JP2002249559A - ポリエチレンテレフタレートの連続重合方法 - Google Patents

ポリエチレンテレフタレートの連続重合方法

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JP2002249559A
JP2002249559A JP2001048387A JP2001048387A JP2002249559A JP 2002249559 A JP2002249559 A JP 2002249559A JP 2001048387 A JP2001048387 A JP 2001048387A JP 2001048387 A JP2001048387 A JP 2001048387A JP 2002249559 A JP2002249559 A JP 2002249559A
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carbon atoms
polyethylene terephthalate
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JP2001048387A
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Keisuke Suzuki
鈴木  啓介
Takahiro Nakajima
孝宏 中嶋
Shoichi Gyobu
祥一 形舞
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Toyobo Co Ltd
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Toyobo Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チ
タン化合物を触媒の主成分とせず、熱安定性、色調、透
明性に優れるPETを安価で生産性よく製造することが
できる連続重合方法を提供する。 【解決手段】 アルミニウム及び/又はその化合物から
選ばれる少なくとも1種を金属含有成分として含み、フ
ェノール系化合物から選択される少なくとも一種を含有
する重縮合触媒を用いて製造することを特徴とするポリ
エチレンテレフタレートの連続重合方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム系触
媒を用いるポリエチレンテレフタレート(以下、PET
と略記する)の連続重合方法に関するものである。さら
に詳しくは、従来のアンチモン化合物、ゲルマニウム化
合物、チタン化合物を触媒主成分として用いずに、熱安
定性、色調に優れ、かつ安価に生産することができる、
PETの連続重合方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】PETは、機械的特性、化学的特性、透
明性、耐熱性、ガスバリヤ−性等の特性に優れており、
繊維、ボトル等の中空成形体、包装用、工業用等のフィ
ルム、包装用等のシート、電気・電子部品用等の成形材
料などの広範な分野において使用されている。
【0003】一般にこのような用途に使用されるPET
は、テレフタル酸及びエチレングリコ−ルを原料とし、
重縮合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合
物、チタン化合物およびこれらの混合物などを用いて製
造される。
【0004】前記の重縮合触媒の中で、三酸化アンチモ
ンが一般的に広く用いられている。三酸化アンチモン
は、安価で、かつ優れた触媒活性をもつ重縮合触媒であ
る。しかしながら、これを主成分、即ち、実用的な重合
速度が発揮される程度の添加量にて使用すると、重縮合
時に金属アンチモンが析出するため、ポリエステルに黒
ずみや異物が発生するという問題点を有している。上記
異物は、フィルムとした場合に表面欠点の原因となった
り、繊維とした場合に強度が低下したり、製糸時の口金
汚れなどにより操業性が低下したりする場合がある。
【0005】上記の問題を解決する方法として、重縮合
触媒として三酸化アンチモンを用いて、かつポリエステ
ルの黒ずみや異物の発生を抑制する試みが行われてい
る。例えば、特許第2666502号公報においては、
重縮合触媒として三酸化アンチモンとビスマスおよびセ
レンの化合物を用いることで、ポリエチレンテレフタレ
−ト中の黒色異物の生成を抑制している。また、特開平
9−291141号公報においては、重縮合触媒として
ナトリウムおよび鉄の酸化物を含有する三酸化アンチモ
ンを用いると、金属アンチモンの析出が抑制されること
を述べている。ところが、これらの方法では、結局ポリ
エステル中のアンチモンの含有量を低減するという目的
は達成できていない。
【0006】三酸化アンチモン等のアンチモン系触媒に
代わる重縮合触媒の検討も行われている。例えば、テト
ラアルコキシチタネートに代表されるチタン化合物やス
ズ化合物がすでに提案されている。しかしながら、これ
らを用いて製造されたポリエステルは熱安定性が低いた
め、溶融成形時に熱劣化を受けやすく、またポリエステ
ルが著しく着色するという問題点を有する。
【0007】このような、チタン化合物を重縮合触媒と
して用いたときの問題点を克服する試みとして、例え
ば、特開昭55−116722号公報では、テトラアル
コキシチタネートをコバルト塩およびカルシウム塩と同
時に用いる方法が提案されている。また、特開平8−7
3581号公報によると、重縮合触媒としてテトラアル
コキシチタネートをコバルト化合物と同時に用い、かつ
蛍光増白剤を用いる方法が提案されている。ところが、
これらの技術では、テトラアルコキシチタネートを重縮
合触媒として用いたときのポリエステルの着色は低減さ
れるものの、ポリエステルの熱分解を効果的に抑制する
ことは達成できていない。
【0008】チタン化合物を重縮合触媒として用いて重
合したポリエステルの溶融成形時の熱劣化を抑制する他
の試みとして、例えば、特開平10−259296号公
報では、チタン化合物を触媒としてポリエステルを重合
した後にリン系化合物を添加する方法が開示されてい
る。しかし、重合後のポリマーに添加剤を効果的に混ぜ
込むことは技術的に困難であるばかりでなく、コストア
ップにもつながり実用化されていないのが現状である。
【0009】アルミニウム化合物は一般に触媒活性に劣
ることが知られている。アルミニウム化合物の中でも、
アルミニウムのキレート化合物は他のアルミニウム化合
物に比べて重縮合触媒として高い触媒活性を有すること
が報告されているが、上述のアンチモン化合物やチタン
化合物と比べると十分な触媒活性を有しているとは言え
ず、しかもアルミニウム化合物を触媒として用いて長時
間を要して重合したポリエステルは熱安定性に劣るとい
う問題点があった。
【0010】上記の触媒活性および熱安定性を改善する
ために、アルミニウム化合物にアルカリ金属化合物をポ
リエステル重合触媒とする方法が開示されている。しか
しながら、このアルカリ金属化合物を併用した触媒は、
実用的な触媒活性を得ようとすると、それらの添加量を
多くすることが必要である。その結果、得られたポリエ
ステル重合体中のアルカリ金属化合物に起因して、少な
くとも以下のいずれかの問題を生じる。
【0011】1)異物量が多くなり、繊維に使用したと
きには製糸性や糸物性が、またフィルムに使用したとき
はフィルム欠点などが悪化する。 2)ポリエステル重合体の耐加水分解性が低下し、また
異物発生により透明性が低下する。 3)ポリエステル重合体の色調の不良、即ち重合体が黄
色く着色する現象が発生し、フィルム等に使用したとき
に、成形品の色調が悪化するという問題が発生する。 4)溶融して成形品を製造する際のフィルター圧が異物
の目詰まりによって上昇し、生産性も低下する。
【0012】アンチモン化合物以外で優れた触媒活性を
有しかつ上記の問題を有しないポリエステルを与える触
媒としては、ゲルマニウム化合物がすでに実用化されて
いるが、この触媒は非常に高価であるという問題点や、
重合中に反応系から外へ留出しやすいため反応系の触媒
濃度が変化し重合の制御が困難になるという課題を有し
ており、触媒主成分として使用することには問題があ
る。
【0013】また、ポリエステルの溶融成形時の熱劣化
を抑制する方法として、ポリエステルから触媒を除去す
る方法も挙げられる。ポリエステルから触媒を除去する
方法としては、例えば特開平10−251394号公報
には、酸性物質の存在下にポリエステル樹脂と超臨界流
体である抽出剤とを接触させる方法が開示されている。
しかし、このような超臨界流体を用いる方法は技術的に
困難である上に製品のコストアップにもつながるので好
ましくない。
【0014】以上のような技術背景より、アンチモン化
合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物を触媒の主成
分とせず、かつ溶融成形時に熱劣化をほとんど起こさ
ず、良好な色調を有するPETが望まれている。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
従来の問題点を解決することにあり、アンチモン化合
物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物を触媒の主成分
とせず、熱安定性、色調、透明性に優れるPETを安価
で生産性よく製造することができる連続重合方法を提供
することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の技術的要旨は、
従来のアルミニウム化合物を重縮合触媒として用いて重
合したPETの熱安定性を向上する目的で、重合時に各
種酸化防止剤や安定剤の添加効果を検討したところ、ア
ルミニウム及び/又はその化合物とフェノール系化合物
及び/又はリン化合物との組み合わせ、リン化合物のア
ルミニウム塩、または前記化7であらわされる化合物に
よって、もともと触媒活性に劣るアルミニウム化合物が
重合触媒として十分な活性をもつようになり、熱安定
性、色調、透明性も良好なPETを得ることができるこ
とを見いだし、連続重合方法により安価で生産性よく製
造することを可能にしたものである。
【0017】すなわち、本発明は、アルミニウム及び/
又はその化合物から選ばれる少なくとも1種を金属含有
成分として含み、フェノール系化合物から選択される少
なくとも一種を含有する重縮合触媒を用いて製造するこ
とを特徴とするPETの連続重合方法である。
【0018】また、アルミニウム及び/又はその化合物
から選ばれる少なくとも1種を金属含有成分として含
み、リン化合物から選択される少なくとも一種を含有す
る重縮合触媒を用いて製造することを特徴とするPET
の連続重合方法である。
【0019】また、リン化合物のアルミニウム塩から選
択される少なくとも一種を含有する重縮合触媒を用いて
製造することを特徴とするPETの連続重合方法であ
る。
【0020】さらに、前記化7で表される化合物から選
択される少なくとも1種を含有する重縮合触媒を用いて
製造することを特徴とするPETの連続重合方法であ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明において、PETを連続重
合する際に使用する重縮合触媒は、アルミニウム及び/
又はその化合物とフェノール系化合物を含有する触媒、
アルミニウム及び/又はその化合物とリン化合物を含有
する触媒、リン化合物のアルミニウム塩を含有する触
媒、または前記化7で表わされる化合物から選択される
少なくとも1種を含有する触媒である。
【0022】前記アルミニウム及び/又はアルミニウム
化合物として、金属アルミニウムのほか、公知のアルミ
ニウム化合物を限定なく使用することができる。
【0023】アルミニウム化合物としては、具体的に
は、ギ酸アルミニウム、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸
アルミニウム、プロピオン酸アルミニウム、蓚酸アルミ
ニウム、アクリル酸アルミニウム、ラウリン酸アルミニ
ウム、ステアリン酸アルミニウム、安息香酸アルミニウ
ム、トリクロロ酢酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、
クエン酸アルミニウム、サリチル酸アルミニウムなどの
カルボン酸塩、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウ
ム、水酸化塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン
酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸
塩、アルミニウムメトキサイド、アルミニウムエトキサ
イド、アルミニウムn-プロポキサイド、アルミニウムis
o-プロポキサイド、アルミニウムn-ブトキサイド、アル
ミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサ
イド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウ
ムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセ
テート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso-プ
ロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリ
メチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有
機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、
酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうちカル
ボン酸塩、無機酸塩およびキレート化合物が好ましく、
これらの中でもさらに酢酸アルミニウム、塩化アルミニ
ウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムお
よびアルミニウムアセチルアセトネートが特に好まし
い。
【0024】前記アルミニウム及び/又はアルミニウム
化合物の使用量としては、得られるPETにおけるジカ
ルボン酸や多価カルボン酸などの全カルボン酸成分のモ
ル数に対して0.001〜0.05モル%が好ましく、
さらに好ましくは、0.005〜0.02モル%であ
る。使用量が0.001モル%未満であると触媒活性が
十分に発揮されない場合があり、使用量が0.05モル
%以上になると、熱安定性や熱酸化安定性の低下、アル
ミニウムに起因する異物の発生や着色の増加が問題にな
る場合が発生する。この様にアルミニウム成分の添加量
が少なくても本発明の重合触媒は十分な触媒活性を示す
点に大きな特徴を有する。その結果、熱安定性や熱酸化
安定性が優れ、アルミニウムに起因する異物や着色を低
減することができる。
【0025】前記重縮合触媒を構成するフェノール系化
合物としては、フェノール構造を有する化合物であれば
特に限定はされないが、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4
- メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4- エチルフ
ェノール、2,6-ジシクロヘキシル-4- メチルフェノー
ル、2,6-ジイソプロピル-4- エチルフェノール、2,6-ジ
-tert-アミル-4- メチルフェノール、2,6-ジ-tert-オク
チル-4-n- プロピルフェノール、2,6-ジシクロヘキシル
-4-n- オクチルフェノール、2-イソプロピル-4-メチル-
6-tert-ブチルフェノール、2-tert- ブチル-2- エチル-
6-tert-オクチルフェノール、2-イソブチル-4- エチル-
6-tert-ヘキシルフェノール、2-シクロヘキシル-4-n-
ブチル-6- イソプロピルフェノール、1,1,1-トリス(4-
ヒドロキシフェニル) エタン、1,1,3-トリス(2-メチル
-4- ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニル)ブタン、トリ
エチレングリコール−ビス[3-(3-tert- ブチル-5- メ
チル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-
ヘキサンジオール−ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-
ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオジエ
チレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4,4- ヒドロキシ
フェニル)プロピオネート]、N,N'- ヘキサメチレンビ
ス(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロキシ- ヒドロシンナ
ミド)、1,3,5-トリス(2,6-ジメチル-3- ヒドロキシ-4
-tert-ブチルベンジル)イソシアヌレート、1,3,5-トリ
ス(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロキシベンジル)イソ
シアヌレート、1,3,5-トリス[(3,5-ジ-tert-ブチル-4
- ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシエチル]イ
ソシアヌレート、トリス(4-tert-ブチル−2,6-ジメチ
ル-3- ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、2,4-ビ
ス(n−オクチルチオ)-6- (4-ヒドロキシ-3,5- ジ-t
ert-ブチルアニリノ)-1,3,5- トリアジン、テトラキス
[メチレン(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロキシ)ヒド
ロシンナメート]メタン、ビス[(3,3-ビス(3-tert-
ブチル-4- ヒドロキシフェニル)ブチリックアシッド)
グリコールエステル、N,N'- ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブ
チル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオニル]ヒドラジ
ン、2,2'- オギザミドビス[エチル-3- (3,5-ジ-tert-
ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ビ
ス[2-tert- ブチル-4- メチル-6- (3-tert- ブチル-5
- メチル−2-ヒドロキシベンジル)フェニル]テレフタ
レート、1,3,5-トリメチル-2,4,6- トリス(3,5-ジ-ter
t-ブチル-4- ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9-ビス
[1,1-ジメチル2-{β- (3-tert- ブチル-4- ヒドロキ
シ-5- メチルフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]
-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5 ]ウンデカン、2,
2-ビス[4-(2-(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロキシシ
ンナモイルオキシ))エトキシフェニル]プロパン、β
- (3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロキシフェニル)プロ
ピオン酸アルキルエステル、テトラキス-[メチル-3-
(3',5'-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロキシフェニル) プロ
ピオネート] メタン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブ
チル-4- ヒドロキシフェニル) プロピオネート、1,1,3-
トリス(2- メチル-4- ヒドロキシ-5-tert-ブチルフェニ
ル) ブタン、チオジエチレンービス[3-(3,5-ジ-tert-ブ
チル-4- ヒドロキシフェニル) プロピオネート] 、エチ
レンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert- ブチル-4
- ヒドロキシ-m- トリル)プロピオネート] 、ヘキサメ
チレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロキシフェ
ニル) プロピオネート、トリエチレングリコール- ビス
-[-3-(3'-tert-ブチル-4- ヒドロキシ-5- メチルフェニ
ル)]プロピオネート、1,1,3-トリス[2- メチル-4-[3-
(3,5- ジ-tert-ブチル-4- ヒドロキシフェニル) プロピ
オニルオキシ]-5-tert- ブチルフェニル] ブタンなどを
挙げることができる。
【0026】これらは、同時に二種以上を併用すること
もできる。これらのうち、1,3,5-トリメチル-2,4,6- ト
リス(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロキシベンジル)ベ
ンゼン、テトラキス-[メチル-3-(3',5'-ジ-tert-ブチル
-4- ヒドロキシフェニル) プロピオネート] メタン、チ
オジエチレンービス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4- ヒドロ
キシフェニル) プロピオネート] が好ましい。
【0027】これらのフェノール系化合物をPETの重
合時に添加することによって、アルミニウム化合物の触
媒活性が向上するとともに、PETの熱安定性も向上す
る。
【0028】前記フェノール系化合物の使用量として
は、得られるPETにおけるジカルボン酸や多価カルボ
ン酸などの全カルボン酸成分のモル数に対して5 ×10-5
〜1モル%が好ましく、更に好ましくは1 ×10-4〜0.5
モル%である。また、本発明では、フェノール系化合物
にさらにリン化合物をともに用いても良い。
【0029】前記重縮合触媒を構成するリン化合物とし
ては特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物、ホス
フィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜
ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフ
ィン系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以
上の化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ま
しい。これらの中でも、一種または二種以上のホスホン
酸系化合物を用いると触媒活性の向上効果が特に大きく
好ましい。
【0030】前記のホスホン酸系化合物、ホスフィン酸
系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン
酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化
合物とは、それぞれ下記化8〜化13、
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】 で表される構造を有する化合物のことである。
【0031】前記のホスホン酸系化合物としては、例え
ば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフ
ェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホ
ン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェニル、ベンジ
ルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン酸ジエチルな
どが挙げられる。
【0032】前記のホスフィン酸系化合物としては、例
えば、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン
酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フェニル
ホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フェニル
ホスフィン酸フェニルなどが挙げられる。
【0033】前記のホスフィンオキサイド系化合物とし
ては、例えば、ジフェニルホスフィンオキサイド、メチ
ルジフェニルホスフィンオキサイド、トリフェニルホス
フィンオキサイドなどが挙げられる。
【0034】ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサ
イド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸
系化合物、ホスフィン系化合物の中では、リン化合物と
しては、下記化14〜化19、
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】 で表される化合物を用いることが好ましい。
【0035】前記のリン化合物の中でも、芳香環構造を
有する化合物を用いると、触媒活性の向上効果が大きく
より好ましい。
【0036】また、前記の重縮合触媒を構成するリン化
合物としては、下記化一般式化20〜化22で表される
化合物を用いると、特に触媒活性の向上効果が大きく好
ましい。
【0037】
【化20】
【化21】
【化22】 (化20〜化22中、R1 、R4 、R5 、R6 はそれぞ
れ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基ま
たはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基を
含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2 、R3
それぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水
酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化
水素基を表す。ただし、炭化水素基はシクロヘキシル等
の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含ん
でいてもよい。)。
【0038】前記の重縮合触媒を構成するリン化合物と
しては、上記化20〜化22中、R 1 、R4 、R5 、R
6 が芳香環構造を有する基である化合物が特に好まし
い。
【0039】前記の重縮合触媒を構成するリン化合物と
しては、例えば、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホ
スホン酸ジフェニル、フェニルホスホン酸ジメチル、フ
ェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジフェ
ニル、ベンジルホスホン酸ジメチル、ベンジルホスホン
酸ジエチル、ジフェニルホスフィン酸、ジフェニルホス
フィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、フ
ェニルホスフィン酸、フェニルホスフィン酸メチル、フ
ェニルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィンオ
キサイド、メチルジフェニルホスフィンオキサイド、ト
リフェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。こ
れらのうちで、フェニルホスホン酸ジメチル、ベンジル
ホスホン酸ジエチルが特に好ましい。
【0040】前記のリン化合物の使用量としては、得ら
れるPETのジカルボン酸や多価カルボン酸などの全カ
ルボン酸成分のモル数に対して5 ×10-5〜1モル%が好
ましく、更に好ましくは1 ×10-4〜0.5 モル%である。
【0041】前記の重縮合触媒を構成するフェノール部
を同一分子内に有するリン化合物としては、フェノール
構造を有するリン化合物であれば特に限定はされない
が、フェノール部を同一分子内に有する、ホスホン酸系
化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド
系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化
合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる一種
または二種以上の化合物を用いると触媒活性の向上効果
が大きく好ましい。これらの中でも、一種または二種以
上のフェノール部を同一分子内に有するホスホン酸系化
合物を用いると触媒活性の向上効果が特に大きく好まし
い。
【0042】また、前記の重縮合触媒を構成するフェノ
ール部を同一分子内に有するリン化合物としては、下記
一般式化23〜化25で表される化合物などが挙げられ
る。これらのうちで、下記式を用いると特に触媒活性が
向上するため好ましい。
【0043】
【化23】
【化24】
【化25】 (化23〜化25中、R1 はフェノール部を含む炭素数
1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基または
アルコキシル基またはアミノ基などの置換基およびフェ
ノール部を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R
4 、R5 、R6 はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50
の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキ
シル基またはアミノ基などの置換基を含む炭素数1〜5
0の炭化水素基を表す。R2 、R3 はそれぞれ独立に水
素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコ
キシル基などの置換基を含む炭素数1〜50の炭化水素
基を表す。ただし、炭化水素基は分岐構造やシクロヘキ
シル等の脂環構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造
を含んでいてもよい。R2 とR4 の末端どうしは結合し
ていてもよい。)。
【0044】前記のフェノール部を同一分子内に有する
リン化合物としては、例えば、p−ヒドロキシフェニル
ホスホン酸、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジメチ
ル、p−ヒドロキシフェニルホスホン酸ジエチル、p−
ヒドロキシフェニルホスホン酸ジフェニル、ビス(p−
ヒドロキシフェニル)ホスフィン酸、ビス(p−ヒドロ
キシフェニル)ホスフィン酸メチル、ビス(p−ヒドロ
キシフェニル)ホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシ
フェニルフェニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニ
ルフェニルホスフィン酸メチル、p−ヒドロキシフェニ
ルフェニルホスフィン酸フェニル、p−ヒドロキシフェ
ニルホスフィン酸、p−ヒドロキシフェニルホスフィン
酸メチル、p−ヒドロキシフェニルホスフィン酸フェニ
ル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオキサ
イド、トリス(p−ヒドロキシフェニル)ホスフィンオ
キサイド、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メチルホス
フィンオキサイド、および下記化26〜化29で表され
る化合物などが挙げられる。これらのうちで、下記化2
8で表される化合物およびp−ヒドロキシフェニルホス
ホン酸ジメチルが特に好ましい。
【0045】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】 上記化28にて示される化合物としては、例えばSANKO-
220 (三光株式会社製)が使用可能である。
【0046】これらのフェノール部を同一分子内に有す
るリン化合物をPETの重合時に添加することによって
アルミニウム化合物の触媒活性が向上するとともに、P
ETの熱安定性も向上する。
【0047】前記のフェノール部を同一分子内に有する
リン化合物の使用量としては、得られるPETにおける
ジカルボン酸や多価カルボン酸などの全カルボン酸成分
のモル数に対して5 ×10-5〜1モル%が好ましく、更に
好ましくは1 ×10-4〜0.5 モル%である。
【0048】また、前記のリン化合物として、リンの金
属塩化合物を用いることが好ましい。前記のリンの金属
塩化合物とは、リン化合物の金属塩であれば特に限定は
されないが、ホスホン酸系化合物の金属塩を用いると、
触媒活性の向上効果が大きく好ましい。リン化合物の金
属塩としては、モノ金属塩、ジ金属塩、トリ金属塩など
が含まれる。
【0049】また、上記のリン化合物の中でも、金属塩
の金属部分が、Li、Na、K、Be、Mg、Sr、B
a、Mn、Ni、Cu、Znから選択されたものを用い
ると、触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらの
うち、Li、Na、Mgが特に好ましい。
【0050】前記のリンの金属塩化合物として、下記一
般式化30で表される化合物から選択される少なくとも
一種を用いると、触媒活性の向上効果が大きく好まし
い。
【0051】
【化30】 (化30中、R1 は水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基また
はアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
2 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基ま
たはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基
を表す。R3 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、
水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭
素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、
mは0または1以上の整数を表し、(l+m)は4以下
である。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは
1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の
脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構
造を含んでいてもよい。)。
【0052】上記のR1 としては、例えば、フェニル、
1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビ
フェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR
2 としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル
基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、
−CH2 CH2 OHで表される基などが挙げられる。R
3- としては例えば、水酸化物イオン、アルコラート
イオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンな
どが挙げられる。
【0053】上記一般式化30で表される化合物の中で
も、下記一般式化31で表される化合物から選択される
少なくとも一種を用いることが好ましい。
【0054】
【化31】 (化31中、R1 は水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基また
はアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
3 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基ま
たはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜
50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、mは0ま
たは1以上の整数を表し、(l+m)は4以下である。
Mは (l+m)価の金属カチオンを表す。炭化水素基
はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルや
ナフチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)。
【0055】上記のR1 としては、例えば、フェニル、
1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビ
フェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。R3-
としては例えば、水酸化物イオン、アルコラートイオ
ン、アセテートイオンやアセチルアセトンイオンなどが
挙げられる。
【0056】上記のリン化合物の中でも、芳香環構造を
有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好
ましい。
【0057】上記化31の中でも、Mが、Li、Na、
K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、Ni、Cu、Zn
から選択されたものを用いると触媒活性の向上効果が大
きく好ましい。これらのうち、Li、Na、Mgがとく
に好ましい。
【0058】前記のリンの金属塩化合物としては、リチ
ウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、ナ
トリウム[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチ
ル]、マグネシウムビス[(1−ナフチル)メチルホス
ホン酸エチル]、カリウム[(2−ナフチル)メチルホ
スホン酸エチル]、マグネシウムビス[(2−ナフチ
ル)メチルホスホン酸エチル]、リチウム[ベンジルホ
スホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジルホスホン酸エ
チル]、マグネシウムビス[ベンジルホスホン酸エチ
ル]、ベリリウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、
ストロンチウムビス[ベンジルホスホン酸エチル]、マ
ンガンビス[ベンジルホスホン酸エチル]、ベンジルホ
スホン酸ナトリウム、マグネシウムビス[ベンジルホス
ホン酸]、ナトリウム[(9−アンスリル)メチルホス
ホン酸エチル]、マグネシウムビス[(9−アンスリ
ル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[4−ヒド
ロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス
[4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリ
ウム[4−クロロベンジルホスホン酸フェニル]、マグ
ネシウムビス[4−クロロベンジルホスホン酸エチ
ル]、ナトリウム[4−アミノベンジルホスホン酸メチ
ル]、マグネシウムビス[4−アミノベンジルホスホン
酸メチル]、フェニルホスホン酸ナトリウム、マグネシ
ウムビス[フェニルホスホン酸エチル]、亜鉛ビス[フ
ェニルホスホン酸エチル]などが挙げられる。
【0059】これらの中で、リチウム[(1−ナフチ
ル)メチルホスホン酸エチル]、ナトリウム[(1−ナ
フチル)メチルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス
[(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチル]、リチウ
ム[ベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[ベンジ
ルホスホン酸エチル]、マグネシウムビス[ベンジルホ
スホン酸エチル]、ベンジルホスホン酸ナトリウム、マ
グネシウムビス[ベンジルホスホン酸]が特に好まし
い。
【0060】前記の重縮合触媒を構成する別の好ましい
リン化合物であるリンの金属塩化合物は、下記一般式化
32で表される化合物から選択される少なくとも一種か
らなるものである。
【0061】
【化32】 (化32中、R1 、R2 はそれぞれ独立に水素、炭素数
1〜30の炭化水素基を表す。R3 は、水素、炭素数1
〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含
む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4 は、水素、
炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシ
ル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素
基を表す。R4- としては例えば、水酸化物イオン、
アルコラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセ
トンイオンなどが挙げられる。lは1以上の整数、mは
0または1以上の整数を表し、(l+m)は4以下であ
る。Mは(l+m)価の金属カチオンを表す。nは1以
上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環
構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を
含んでいてもよい。)。
【0062】これらの中でも、下記一般式化33で表さ
れる化合物から選択される少なくとも一種を用いること
が好ましい。
【0063】
【化33】 (化33中、Mn+はn価の金属カチオンを表す。nは
1、2、3または4を表す。)。
【0064】上記化32または化33の中でも、Mが、
Li、Na、K、Be、Mg、Sr、Ba、Mn、N
i、Cu、Znから選択されたものを用いると触媒活性
の向上効果が大きく好ましい。これらのうち、Li、N
a、Mgが特に好ましい。
【0065】前記の特定のリンの金属塩化合物として
は、リチウム[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキ
シベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム[3,5 −ジ
−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸エ
チル]、ナトリウム[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒ
ドロキシベンジルホスホン酸]、カリウム[3,5 −ジ−
tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸エチ
ル]、マグネシウムビス[3,5 −ジ−tert−ブチル−4
−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、マグネシウ
ムビス[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベン
ジルホスホン酸]、ベリリウムビス[3,5 −ジ−tert−
ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸メチル]、
ストロンチウムビス[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒ
ドロキシベンジルホスホン酸エチル]、バリウムビス
[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホ
スホン酸フェニル]、マンガンビス[3,5 −ジ−tert−
ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、
ニッケルビス[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキ
シベンジルホスホン酸エチル]、銅ビス[3,5 −ジ−te
rt−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸エチ
ル]、亜鉛ビス[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロ
キシベンジルホスホン酸エチル]などが挙げられる。こ
れらの中で、リチウム[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −
ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]、ナトリウム
[3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホ
スホン酸エチル]、マグネシウムビス[3,5 −ジ−tert
−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル]
が特に好ましい。
【0066】本発明で用いる重縮合触媒の別の実施形態
は、リン化合物のアルミニウム塩から選択される少なく
とも一種を含むことを特徴とするポリエステル重合触媒
である。リン化合物のアルミニウム塩に他のアルミニウ
ム化合物やリン化合物やフェノール系化合物などを組み
合わせて使用しても良い。
【0067】前記の重縮合触媒を構成する好ましい成分
であるリン化合物のアルミニウム塩とは、アルミニウム
部を有するリン化合物であれば特に限定はされないが、
ホスホン酸系化合物のアルミニウム塩を用いると触媒活
性の向上効果が大きく好ましい。リン化合物のアルミニ
ウム塩としては、モノアルミニウム塩、ジアルミニウム
塩、トリアルミニウム塩などが含まれる。
【0068】上記リン化合物のアルミニウム塩の中で
も、芳香環構造を有する化合物を用いると触媒活性の向
上効果が大きく好ましい。
【0069】上記の重合触媒を構成するリン化合物のア
ルミニウム塩としては、下記一般式化34で表される化
合物から選択される少なくとも一種を用いると触媒活性
の向上効果が大きく好ましい。
【0070】
【化34】 (化34中、R1 は水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基また
はアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
2 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基ま
たはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基
を表す。R3 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、
水酸基またはアルコキシル基またはカルボニルを含む炭
素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1以上の整数、
mは0または1以上の整数を表し、(l+m)は3であ
る。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキ
シル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の
芳香環構造を含んでいてもよい。)。
【0071】上記のR1 としては、例えば、フェニル、
1―ナフチル、2―ナフチル、9−アンスリル、4−ビ
フェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR
2 としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル
基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、
−CH2 CH2 OHで表される基などが挙げられる。上
記のR3- としては例えば、水酸化物イオン、アルコ
ラートイオン、エチレングリコラートイオン、アセテー
トイオンやアセチルアセトンイオンなどが挙げられる。
【0072】前記のリン化合物のアルミニウム塩として
は、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エチルのアルミ
ニウム塩、(1−ナフチル)メチルホスホン酸のアルミ
ニウム塩、(2−ナフチル)メチルホスホン酸エチルの
アルミニウム塩、ベンジルホスホン酸エチルのアルミニ
ウム塩、ベンジルホスホン酸のアルミニウム塩、(9−
アンスリル)メチルホスホン酸エチルのアルミニウム
塩、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸エチルのアルミ
ニウム塩、2−メチルベンジルホスホン酸エチルのアル
ミニウム塩、4−クロロベンジルホスホン酸フェニルの
アルミニウム塩、4−アミノベンジルホスホン酸メチル
のアルミニウム塩、4−メトキシベンジルホスホン酸エ
チルのアルミニウム塩、フェニルホスホン酸エチルのア
ルミニウム塩などが挙げられる。
【0073】これらの中で、(1−ナフチル)メチルホ
スホン酸エチルのアルミニウム塩、ベンジルホスホン酸
エチルのアルミニウム塩が特に好ましい。
【0074】また、本発明で使用する重縮合触媒の別の
実施形態は、下記一般式化35で表されるリン化合物の
アルミニウム塩から選択される少なくとも一種からなる
ポリエステル重合触媒である。リン化合物のアルミニウ
ム塩に、他のアルミニウム化合物やリン化合物やフェノ
ール系化合物などを組み合わせて使用しても良い。
【0075】
【化35】 (化35中、R1 、R2 はそれぞれ独立に水素、炭素数
1〜30の炭化水素基を表す。R3 は、水素、炭素数1
〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含
む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4 は、水素、
炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシ
ル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化水素
基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上の整
数を表し、(l+m)は3である。nは1以上の整数を
表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や分岐
構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んでいて
もよい。)。
【0076】これらの中でも、下記一般式化36で表さ
れる化合物から選択される少なくとも一種を用いること
が好ましい。
【0077】
【化36】 (化36中、R3 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50
の炭化水素基を表す。R4 は、水素、炭素数1〜50の
炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基またはカルボ
ニルを含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。lは1
以上の整数、mは0または1以上の整数を表し、(l+
m)は3である。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環
構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を
含んでいてもよい。)。
【0078】上記のR3 としては、例えば、水素、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブ
チル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖
の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェ
ニル基やナフチル基、−CH 2 CH2 OHで表される基
などが挙げられる。上記のR4- としては、例えば、
水酸化物イオン、アルコラートイオン、エチレングリコ
ラートイオン、アセテートイオンやアセチルアセトンイ
オンなどが挙げられる。
【0079】前記のリン化合物のアルミニウム塩として
は、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジル
ホスホン酸エチルのアルミニウム塩、3,5 −ジ−tert−
ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸メチルのア
ルミニウム塩、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキ
シベンジルホスホン酸イソプロピルのアルミニウム塩、
3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホス
ホン酸フェニルのアルミニウム塩、3,5 −ジ−tert−ブ
チル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸のアルミニウ
ム塩などが挙げられる。
【0080】これらの中で、3,5 −ジ−tert−ブチル−
4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸エチルのアルミニウ
ム塩、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジ
ルホスホン酸メチルのアルミニウム塩が特に好ましい。
【0081】また、前記リン化合物としてP−OH結合
を少なくとも一つ有するリン化合物を用いることが好ま
しい。P−OH結合を少なくとも一つ有するリン化合物
とは、分子内にP−OHを少なくとも一つ有するリン化
合物であれば特に限定はされない。これらのリン化合物
の中でも、P−OH結合を少なくとも一つ有するホスホ
ン酸系化合物を用いると、触媒活性の向上効果が大きく
好ましい。
【0082】上記のリン化合物の中でも、芳香環構造を
有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好
ましい。
【0083】前記の重縮合触媒を構成するP−OH結合
を少なくとも一つ有するリン化合物として、下記一般式
化37で表される化合物から選択される少なくとも一種
を用いると、触媒活性の向上効果が大きく好ましい。
【0084】
【化37】 (化37中、R1 は水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基また
はアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
2 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基ま
たはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基
を表す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロ
ヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル
等の芳香環構造を含んでいてもよい。)。
【0085】上記のR1 としては、例えば、フェニル、
1−ナフチル、2−ナフチル、9−アンスリル、4−ビ
フェニル、2−ビフェニルなどが挙げられる。上記のR
2 としては例えば、水素、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル
基、tert−ブチル基、長鎖の脂肪族基、フェニル
基、ナフチル基、置換されたフェニル基やナフチル基、
−CH2 CH2 OHで表される基などが挙げられる。
【0086】上記のリン化合物の中でも、芳香環構造を
有する化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好
ましい。
【0087】P−OH結合を少なくとも一つ有するリン
化合物としては、(1−ナフチル)メチルホスホン酸エ
チル、(1−ナフチル)メチルホスホン酸、(2−ナフ
チル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸エ
チル、ベンジルホスホン酸、(9−アンスリル)メチル
ホスホン酸エチル、4−ヒドロキシベンジルホスホン酸
エチル、2−メチルベンジルホスホン酸エチル、4−ク
ロロベンジルホスホン酸フェニル、4−アミノベンジル
ホスホン酸メチル、4−メトキシベンジルホスホン酸エ
チルなどが挙げられる。これらの中で、(1−ナフチ
ル)メチルホスホン酸エチル、ベンジルホスホン酸エチ
ルが特に好ましい。
【0088】また、好ましいリン化合物としては、P−
OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化合物が挙
げられる。重縮合触媒を構成する好ましいリン化合物で
あるP−OH結合を少なくとも一つ有する特定のリン化
合物とは、下記一般式化38で表される化合物から選択
される少なくとも一種の化合物のことを意味する。
【0089】
【化38】 (化38中、R1 、R2 はそれぞれ独立に水素、炭素数
1〜30の炭化水素基を表す。R3 は、水素、炭素数1
〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含
む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。nは1以上の整
数を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の脂環構造や
分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構造を含んで
いてもよい。)。
【0090】これらの中でも、下記一般式化39で表さ
れる化合物から選択される少なくとも一種を用いること
が好ましい。
【0091】
【化39】 (化39中、R3 は、水素、炭素数1〜50の炭化水素
基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50
の炭化水素基を表す。炭化水素基はシクロヘキシル等の
脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の芳香環構
造を含んでいてもよい。)。
【0092】上記のR3 としては、例えば、水素、メチ
ル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブ
チル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、長鎖
の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換されたフェ
ニル基やナフチル基、−CH 2 CH2 OHで表される基
などが挙げられる。
【0093】前記のP−OH結合を少なくとも一つ有す
る特定のリン化合物としては、3,5−ジ−tert−ブチル
−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル、3,5 −ジ
−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸メ
チル、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジ
ルホスホン酸イソプロピル、3,5 −ジ−tert−ブチル−
4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸フェニル、3,5 −ジ
−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸オ
クタデシル、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシ
ベンジルホスホン酸などが挙げられる。これらの中で、
3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホス
ホン酸エチル、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキ
シベンジルホスホン酸メチルが特に好ましい。
【0094】好ましいリン化合物としては、化学式化4
0であらわされるリン化合物が挙げられる。
【0095】
【化40】 (化40中、R1 は炭素数1〜49の炭化水素基、また
は水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基または
アミノ基を含む炭素数1〜49の炭化水素基を表し、R
2 、R3 はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化
水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜
50の炭化水素基を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐
構造や芳香環構造を含んでいてもよい。)。
【0096】また、更に好ましくは、化学式化40中の
1 、R2 、R3 の少なくとも一つが芳香環構造を含む
化合物である。
【0097】前記リン化合物の具体例は、以下の化学式
化41〜化46、
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】 で示される。
【0098】また、前記リン化合物は、分子量が大きい
ものの方が重合時に留去されにくいためより好ましい。
【0099】重縮合触媒として使用することが好ましい
別のリン化合物は、下記一般式化47で表される化合物
から選ばれる少なくとも一種のリン化合物である。
【0100】
【化47】 (化47中、R1 、R2 はそれぞれ独立に水素、炭素数
1〜30の炭化水素基を表す。R3 、R4 はそれぞれ独
立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基または
アルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表
す。nは1以上の整数を表す。炭化水素基はシクロヘキ
シル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナフチル等の
芳香環構造を含んでいてもよい。)。
【0101】上記化47の中でも、下記一般式化48で
表される化合物から選択される少なくとも一種を用いる
と触媒活性の向上効果が高く好ましい。
【0102】
【化48】 (化48中、R3 、R4 はそれぞれ独立に水素、炭素数
1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基を
含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。炭化水素基は
シクロヘキシル等の脂環構造や分岐構造やフェニルやナ
フチル等の芳香環構造を含んでいてもよい。)。
【0103】上記のR3 、R4 としては例えば、水素、
メチル基、ブチル基等の短鎖の脂肪族基、オクタデシル
等の長鎖の脂肪族基、フェニル基、ナフチル基、置換さ
れたフェニル基やナフチル基等の芳香族基、−CH2
2 OHで表される基などが挙げられる。
【0104】前記の特定のリン化合物としては、3,5 −
ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸
ジイソプロピル、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロ
キシベンジルホスホン酸ジ−n−ブチル、3,5 −ジ−te
rt−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオク
タデシル、3,5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベ
ンジルホスホン酸ジフェニルなどが挙げられる。
【0105】これらの中で、3,5 −ジ−tert−ブチル−
4 −ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,
5 −ジ−tert−ブチル−4 −ヒドロキシベンジルホスホ
ン酸ジフェニルが特に好ましい。
【0106】重縮合触媒として使用することが好ましい
別のリン化合物は、化学式化49、化学式化50で表さ
れる化合物から選ばれる少なくとも一種のリン化合物で
ある。
【0107】
【化49】
【化50】 上記の化学式化49で示される化合物としては、Irgano
x 1222(チバ・スペシャルティーケミカルズ社製)が市
販されている。また、化学式化50で示される化合物と
しては、Irganox 1425(チバ・スペシャルティーケミカ
ルズ社製)が市販されている。
【0108】すなわち、前記のリン化合物を併用するこ
とにより、ポリエステル重合触媒中のアルミニウムとし
ての添加量が少量でも十分な触媒効果を発揮することが
できる。
【0109】前記のリン化合物の使用量は、ポリエステ
ルを構成するジカルボン酸成分の全構成ユニットのモル
数に対して、0.0001〜0.1 モル%が好ましく、0.005 〜
0.05モル%であることがさらに好ましい。リン化合物の
添加量が0.0001モル%未満の場合には添加効果が発揮さ
れない場合がある。一方、0.1 モル%を超えて添加する
と、逆にポリエステル重合触媒としての触媒活性が低下
する場合がある。また、その低下の傾向は、アルミニウ
ムの使用量等により変化する。
【0110】リン化合物を使用せず、アルミニウム化合
物を主たる触媒成分とし、アルミニウム化合物の使用量
を低減し、さらにコバルト化合物を添加することによ
り、アルミニウム化合物を主触媒とした場合の熱安定性
の低下による着色を防止することが検討されているが、
コバルト化合物を十分な触媒活性を有する程度に添加す
るとやはり熱安定性が低下する。従って、この技術では
両者を両立することは困難である。
【0111】前記の特定の化学構造を有するリン化合物
の使用により、熱安定性の低下、異物発生等の問題を起
こさず、しかも金属含有成分のアルミニウムとしての添
加量が少量でも十分な触媒効果を有する重縮合触媒が得
られ、この重縮合触媒により重合したPETを使用する
ことにより、溶融成形後のPETの熱安定性が改善され
る。
【0112】また、前記リン化合物に代えてリン酸やト
リメチルリン酸等のリン酸エステルを添加しても、前記
添加効果は見られない。さらに、前記のリン化合物を前
記好ましい添加量の範囲で、従来のアンチモン化合物、
チタン化合物、スズ化合物、ゲルマニウム化合物等の金
属含有ポリエステル重縮合触媒と組み合わせて使用して
も、溶融重合反応を促進する効果は認められない。
【0113】一方、本発明においてアルミニウムもしく
はその化合物に、さらに少量のアルカリ金属、アルカリ
土類金属並びにその化合物から選択される少なくとも1
種を第2金属含有成分として共存させることも好ましい
態様である。かかる第2金属含有成分を触媒系に共存さ
せることは、ジエチレングリコールの生成を抑制する効
果に加えて触媒活性を高め、従って反応速度をより高め
た触媒成分が得られ、生産性向上に有効である。
【0114】アルミニウム化合物にアルカリ金属化合物
又はアルカリ土類金属化合物を添加して十分な触媒活性
を有する触媒とする技術は公知である。かかる公知の触
媒を使用すると熱安定性に優れたポリエステルが得られ
るが、アルカリ金属化合物又はアルカリ土類金属化合物
を併用した公知の触媒は、実用的な触媒活性を得ようと
すると、触媒添加量を多く必要がある。
【0115】アルカリ金属化合物を併用した場合、それ
に起因する異物量が多くなる傾向がある。また、アルカ
リ土類金属化合物を併用した場合には、実用的な活性を
得ようとすると、得られたPETの熱安定性や熱酸化安
定性が低下し、加熱による着色が大きく、異物の発生量
も多くなる。
【0116】アルカリ金属、アルカリ土類金属、または
それらの化合物を添加する場合、その使用量M(モル
%)は、ポリエステルを構成する全ポリカルボン酸ユニ
ットのモル数に対して、1×10-6以上0.1モル%未
満とすることが好ましく、より好ましくは5×10-6
0.05モル%であり、さらに好ましくは1×10-5
0.03モル%であり、特に好ましくは、1×10-5
0.01モル%である。
【0117】すなわち、アルカリ金属やアルカリ土類金
属の添加量が少量であるため、熱安定性低下、異物の発
生、着色等の問題を発生させることなく、反応速度を高
めることが可能である。また、耐加水分解性の低下等の
問題を発生させることもない。
【0118】アルカリ金属、アルカリ土類金属、または
それらの化合物の使用量Mが0.1モル%以上になる
と、熱安定性の低下、異物発生や着色の増加、耐加水分
解性の低下等が製品加工上問題となる場合が発生する。
Mが1×10-6モル%未満では、添加してもその効果が
明確ではない。
【0119】前記アルミニウムもしくはその化合物に加
えて使用することが好ましい第2金属含有成分を構成す
るアルカリ金属、アルカリ土類金属としては、Li、N
a、K、Rb、Cs、Be、Mg、Ca、Sr、Baか
ら選択される少なくとも1種であることが好ましく、ア
ルカリ金属ないしその化合物の使用がより好ましい。
【0120】アルカリ金属ないしその化合物を使用する
場合、アルカリ金属としては、特にLi、Na、Kが好
ましい。アルカリ金属やアルカリ土類金属の化合物とし
ては、例えば、これら金属のギ酸、酢酸、プロピオン
酸、酪酸、蓚酸などの飽和脂肪族カルボン酸塩、アクリ
ル酸、メタクリル酸などの不飽和脂肪族カルボン酸塩、
安息香酸などの芳香族カルボン酸塩、トリクロロ酢酸な
どのハロゲン含有カルボン酸塩、乳酸、クエン酸、サリ
チル酸などのヒドロキシカルボン酸塩、炭酸、硫酸、硝
酸、リン酸、ホスホン酸、炭酸水素、リン酸水素、硫化
水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素酸、塩素酸、
臭素酸などの無機酸塩、1−プロパンスルホン酸、1−
ペンタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸などの有機
スルホン酸塩、ラウリル硫酸などの有機硫酸塩、メトキ
シ、エトキシ、n−プロポキシ、iso−プロポキシ、
n−ブトキシ、tert−ブトキシなどのアルコキサイ
ド、アセチルアセトネートなどとのキレート化合物、水
素化物、酸化物、水酸化物などが挙げられる。
【0121】これらのアルカリ金属、アルカリ土類金属
またはそれらの化合物のうち、水酸化物等のアルカリ性
の強いものを用いる場合、これらはエチレングリコール
等のジオールもしくはアルコール等の有機溶媒に溶解し
にくい傾向があるため、水溶液で重合系に添加しなけれ
ばならず重合工程上問題となる場合が有る。
【0122】さらに、水酸化物等のアルカリ性の強いも
のを用いた場合、重合時にポリエステルが加水分解等の
副反応を受けやすくなるとともに、重合したポリエステ
ルは着色しやすくなる傾向があり、耐加水分解性も低下
する傾向がある。
【0123】従って、前記のアルカリ金属またはその化
合物、アルカリ土類金属またはその化合物として好適な
ものは、アルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の飽和
脂肪族カルボン酸塩、不飽和脂肪族カルボン酸塩、芳香
族カルボン塩、ハロゲン含有カルボン酸塩、ヒドロキシ
カルボン酸塩、硫酸、硝酸、リン酸、ホスホン酸、リン
酸水素、硫化水素、亜硫酸、チオ硫酸、塩酸、臭化水素
酸、塩素酸、臭素酸から選ばれる無機酸塩、有機スルホ
ン酸塩、有機硫酸塩、キレート化合物、および酸化物で
ある。これらの中でもさらに、取り扱い易さや入手のし
易さ等の観点から、アルカリ金属あるいはアルカリ土類
金属の飽和脂肪族カルボン酸塩、特に酢酸塩の使用が好
ましい。
【0124】本発明の連続重合方法で製造するPETに
は、さらに、コバルト化合物をコバルト原子としてPE
Tに対して10ppm未満の量で添加することが好まし
い態様である。
【0125】コバルト化合物はそれ自体ある程度の重合
活性を有していることは知られている。しかしながら、
前記のように十分な触媒効果を発揮する程度に添加する
と、得られるPETの色調の低下や熱安定性の低下が起
こる。
【0126】本発明の連続重合方法で製造されるPET
は、色調及び熱安定性が良好であるが、コバルト化合物
を上記のような少量で、かつ添加による触媒効果が明確
でないような添加量にて添加することにより、色調の低
下を起こすことなく、着色をさらに効果的に消すことが
できる。
【0127】前記コバルト化合物の添加する目的は、着
色を消すことにあり、添加時期は重合工程のどの段階で
あってもよく、重合反応終了後であってもかまわない。
【0128】コバルト化合物の種類に特に限定はない
が、例えば、酢酸コバルト、硝酸コバルト、塩化コバル
ト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバル
トおよびそれらの水和物等が挙げられる。その中でも、
特に酢酸コバルト四水塩が好ましい。
【0129】コバルト化合物の添加量は、最終的に得ら
れるPETに対して、アルミニウム原子とコバルト原子
の合計量が50ppm以下で、かつコバルト原子の量は
10ppm未満とすることが好ましい。より好ましく
は、アルミニウム原子とコバルト原子の合計量が40p
pm以下で、かつコバルト原子の量は8ppm以下、さ
らに好ましくはアルミニウム原子とコバルト原子の合計
量が25ppm以下で、かつコバルト原子は5ppm以
下である。
【0130】PETの熱安定性の点から、アルミニウム
原子とコバルト原子の合計量が50ppmより少ないこ
と、コバルト原子の量が10ppm以下であることが好
ましい。また、十分な触媒活性を有するためには、アル
ミニウム原子とコバルト原子の合計量が0.01ppm
より多いことが好ましい。
【0131】本発明で用いられるPETの連続重合方法
は、従来公知の製造方法によって製造することが出来
る。即ち、テレフタル酸及びエチレングリコ−ルを直接
反応させて水を留去しエステル化した後、減圧下に重縮
合を行う直接エステル化法、または、テレフタル酸ジメ
チル及びエチレングリコ−ルを反応させてメチルアルコ
−ルを留去しエステル交換させた後、減圧下に重縮合を
行うエステル交換法により製造される。
【0132】前記溶融重縮合反応は1段階で行っても良
いし、また多段階に分けて行っても良い。固相重合反応
は、回分式装置や連続式装置で行うことが出来る。溶融
重縮合と固相重合は連続で行っても良いし、分割して行
ってもよい。
【0133】以下に、PETの好ましい連続重合方法の
一例について説明する。
【0134】まず、エステル化反応により低重合体を製
造する場合について説明する。テレフタル酸またはその
エステル誘導体1モルに対して1.02〜1.5モル、
好ましくは1.03〜1.4モルのエチレングリコ−ル
が含まれたスラリ−を調整し、これをエステル化反応工
程に連続的に供給する。
【0135】エステル化反応は、少なくとも2個のエス
テル化反応器を直列に連結した多段式装置を用いてエチ
レングリコ−ルが還流する条件下で、反応によって生成
した水またはアルコ−ルを精留塔で系外に除去しながら
実施する。
【0136】第1段目のエステル化反応の温度は240
〜270℃、好ましくは245〜265℃、圧力は0.
2〜3kg/cm2 G、好ましくは0.5〜2kg/c
2Gである。最終段目のエステル化反応の温度は通常
250〜280℃好ましくは255〜275℃であり、
圧力は通常0〜1.5kg/cm2 G、好ましくは0〜
1.3kg/cm2 Gである。3段階以上で実施する場
合には、中間段階のエステル化反応の反応条件は、上記
第1段目の反応条件と最終段目の反応条件との間の条件
である。
【0137】前記の多段階のエステル化反応におけるエ
ステル化反応率の上昇は、それぞれの段階で滑らかに分
配されることが好ましい。最終的には、エステル化反応
率が90%以上、好ましくは93%以上に達することが
望ましい。これらのエステル化反応により、分子量50
0〜5000程度の低次縮合物が得られる。
【0138】上記エステル化反応は、原料としてテレフ
タル酸を用いるので、テレフタル酸の酸としての触媒作
用により無触媒でも反応させることができるが、重縮合
触媒の共存下に実施してもよい。
【0139】また、トリエチルアミン、トリ−n−ブチ
ルアミン、ベンジルジメチルアミンなどの第3級アミ
ン、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトラ−
n−ブチルアンモニウム、水酸化トリメチルベンジルア
ンモニウムなどの水酸化第4級アンモニウムおよび炭酸
リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、酢酸ナトリ
ウムなどの塩基性化合物を少量添加すると、PETの主
鎖中のジオキシエチレンテレフタレ−ト成分単位の割合
を比較的低水準(全ジオ−ル成分に対して5モル%以
下)に保持できるので好ましい。
【0140】次に、エステル交換反応によって低重合体
を製造する場合は、テレフタル酸ジメチル1モルに対し
て1.1〜1.6モル、好ましくは1.2〜1.5モル
のエチレングリコ−ルが含まれた溶液を調整し、これを
エステル交換反応工程に連続的に供給する。
【0141】エステル交換反応は、1〜2個のエステル
交換反応器を直列に連結した装置を用いてエチレングリ
コ−ルが還留する条件下で、反応によって生成したメタ
ノ−ルを精留塔で系外に除去しながら実施する。第1段
目のエステル交換反応の温度は180〜250℃、好ま
しくは200〜240℃である。最終段目のエステル交
換反応の温度は通常230〜270℃、好ましくは24
0〜265℃であり、エステル交換触媒として、Zn,
Cd,Mg,Mn,Co,Ca,Baなどの脂肪酸塩、
炭酸塩やPb,Zn,Sb,Ge酸化物等を用いる。こ
れらのエステル交換反応により分子量約200〜500
程度の低次縮合物が得られる。
【0142】次いで、得られた低次縮合物は多段階の液
相縮重合工程に供給される。重縮合反応条件は、第1段
階目の重縮合の反応温度は250〜290℃、好ましく
は260〜280℃であり、圧力は500〜20Tor
r、好ましくは200〜30Torrで、最終段階の重
縮合反応の温度は265〜300℃、好ましくは275
〜295℃であり、圧力は10〜0.1Torr、好ま
しくは5〜0.5Torrである。3段階以上で実施す
る場合には、中間段階の重縮合反応の反応条件は、上記
第1段目の反応条件と最終段目の反応条件との間の条件
である。これらの重縮合反応工程の各々において到達さ
れる極限粘度の上昇の度合は滑らかに分配されることが
好ましい。
【0143】本発明において、PETを製造する際に使
用する触媒は、重縮合反応のみならずエステル化反応お
よびエステル交換反応にも触媒活性を有する。例えば、
テレフタル酸ジメチルなどのジカルボン酸のアルキルエ
ステルとエチレングリコールなどのグリコールとのエス
テル交換反応による重合は、通常チタン化合物や亜鉛化
合物などのエステル交換触媒の存在下で行われるが、こ
れらの触媒に代えて、もしくはこれらの触媒に共存させ
て本発明に記載の触媒を用いることもできる。また、本
発明の連続重合方法によりPETを製造する際に使用さ
れる触媒は、溶融重合のみならず固相重合や溶液重合に
おいても触媒活性を有しており、いずれの方法によって
もPETを製造することが可能である。
【0144】本発明の連続重合方法によりPETを製造
する際に使用される触媒は、重合反応の任意の段階で反
応系に添加することができる。例えば、エステル化反応
またはエステル交換反応の開始前、反応途中の任意の段
階、もしくは重縮合反応の開始直前あるいは反応途中
に、反応系へ添加することができる。特に、本発明で触
媒として使用するアルミニウムないしその化合物は重縮
合反応の開始直前に添加することが好ましい。
【0145】本発明において、PETを製造する際に使
用する重縮合触媒の添加方法は、粉末状ないしはニート
状での添加であってもよいし、エチレングリコールなど
の溶媒のスラリー状もしくは溶液状での添加であっても
よく、特に限定されない。また、アルミニウム金属もし
くはその化合物と他の成分、好ましくは本発明のリン化
合物とを予め混合した混合物あるいは錯体として添加し
てもよいし、これらを別々に添加してもよい。またアル
ミニウム金属もしくはその化合物と他の成分、好ましく
はリン化合物とを同じ添加時期に重合系に添加してもよ
く、それぞれの成分を別々の添加時期に添加してもよ
い。
【0146】本発明において、PETを製造する際に使
用する重縮合触媒は、アンチモン化合物、ゲルマニウム
化合物、チタン化合物などの他の重縮合触媒を、これら
の成分の添加が前述のようなポリエステルの特性、加工
性、色調等製品に問題を生じない添加量の範囲内におい
て少量共存させて用いることは、重合時間の短縮による
生産性を向上させる際に有効であり、好ましい。
【0147】ただし、アンチモン化合物は、重合して得
られるPETに対してアンチモン原子として50ppm
以下の量で添加可能である。より好ましい添加量は、3
0ppm以下である。アンチモンの添加量を50ppm
以上にすると、金属アンチモンの析出が起こり、PET
に黒ずみや異物が発生するため好ましくない。
【0148】ゲルマニウム化合物は、重合して得られる
PETに対してゲルマニウム原子として20ppm以下
の量で添加可能である。より好ましい添加量は10pp
m以下である。ゲルマニウムの添加量を20ppm以上
にすると、コスト的に不利になるため好ましくない。
【0149】添加可能なアンチモン化合物としては、好
適な化合物として三酸化アンチモン、五酸化アンチモ
ン、酢酸アンチモン、アンチモングリコキサイドなどが
挙げられ、特に三酸化アンチモンの使用が好ましい。ま
た、ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウ
ム、四塩化ゲルマニウムなどが挙げられ、特に二酸化ゲ
ルマニウムが好ましい。
【0150】また、チタン化合物、スズ化合物などの他
の重合触媒としては、テトラ−n−プロピルチタネー
ト、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチ
ルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ−
tert−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチ
タネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジル
チタネートなどが挙げられ、特にテトラブチルチタネー
トの使用が好ましい。またスズ化合物としては、ジブチ
ルスズオキサイド、メチルフェニルスズオキサイド、テ
トラエチルスズ、ヘキサエチルジスズオキサイド、トリ
エチルスズハイドロオキサイド、モノブチルヒドロキシ
スズオキサイド、トリイソブチルスズアセテート、ジフ
ェニルスズジラウレート、モノブチルスズトリクロライ
ド、ジブチルスズサルファイド、ジブチルヒドロキシス
ズオキサイド、メチルスタンノン酸、エチルスタンノン
酸などが挙げられ、特にモノブチルヒドロキシスズオキ
サイドの使用が好ましい。
【0151】本発明でいうPETとは、酸成分がテレフ
タル酸またはそのエステル形成性誘導体であり、グリコ
ール成分がエチレングリコールであるポリエステルであ
る。
【0152】本発明の製造法にしたがってPETを連続
重合した後に、このPETから触媒を除去するか、また
はリン系化合物などの添加によって触媒を失活させるこ
とによって、PETの熱安定性をさらに高めることがで
きる。
【0153】本発明により得られるPET中には、 本
発明で用いるポリエステル中には、使用する目的に応じ
て、無機粒子、耐熱性高分子粒子、架橋高分子粒子など
の不活性粒子、蛍光増白剤、紫外線防止剤、赤外線吸収
色素、熱安定剤、界面活性剤、酸化防止剤などの各種添
加剤を1種もしくは2種以上含有させることができる。
酸化防止剤としては、芳香族アミン系、フェノール系な
どの酸化防止剤が使用可能であり、安定剤としては、リ
ン酸やリン酸エステル系等のリン系、イオウ系、アミン
系などの安定剤が使用可能である。
【0154】これらの添加剤は、PETの重合時もしく
は重合後、あるいはPET成形体を成型する際の任意の
段階で添加することが可能であり、どの段階が好適かは
化合物の特性やPET成形体の要求性能に応じてそれぞ
れ異なる。
【0155】本発明の方法にしたがってPETを重合し
た後に、該PETから触媒を除去するか、又はリン系化
合物などの添加によって触媒を失活させることによっ
て、PETの熱安定性をさらに高めることができる。
【0156】本発明の連続重合方法で得られたPETの
極限粘度は0.50〜1.30dl/gが好ましく、よ
り好ましくは0.55〜1.10dl/g、特に好まし
くは0.60〜0.90dl/gの範囲である。極限粘
度が0.50dl/g未満では、得られた成形体等の機
械的特性が悪い。また、1.30dl/gを越える場合
は、成型機等による溶融時に樹脂温度が高くなって熱分
解が激しくなり、保香性に影響を及ぼす遊離の低分子量
化合物が増加したり、成形体が黄色に着色する等の問題
が起こる。
【0157】本発明の連続重合方法で得られたPETの
チップの形状は、シリンダ−型、角型、球状または扁平
な板状等の何れでもよく、その平均粒径は、通常1.5
〜5mm、好ましくは1.6〜4.5mm、さらに好ま
しくは1.8〜4.0mmの範囲である。例えば、シリ
ンダ−型の場合は、長さは1.5〜4mm、径は1.5
〜4mm程度であるのが実用的である。球状粒子の場合
は、最大粒子径が平均粒子径の1.1〜2.0倍、最小
粒子径が平均粒子径の0.7倍以上であるのが実用的で
ある。また、チップの重量は15〜30mg/個の範囲
が実用的である。
【0158】
【実施例】以下、本発明の構成と効果を実施例に基づい
て説明するが、本発明は、もとよりこれらの実施例に限
定されるものではない。
【0159】(1)固有粘度(IV) PETチップをフェノール/1,1,2,2−テトラク
ロロエタンの6/4(重量比)混合溶媒を使用して溶解
し、温度30℃にて測定した。
【0160】(2)PET中のSb粒子の有無 PETチップ40gをパラクロロフェノールとテトラク
ロロエタンの混合溶媒(重量比で75/25)で溶解
し、親水性ポリテトラフルオロエチレン製の平均孔径
0.1μmのメンブレンフィルターで濾過した。このメ
ンブレンフィルター上の残渣を真空乾燥したのち、走査
型電子顕微鏡によりフィルターにトラップされた粒子を
観察し、エネルギー分散型X線マイクロアナライザー
(堀場製作所製、EMAX2770)によりSb元素の
有無を確認した。
【0161】実施例1 予め反応物反応物を含有している第1エステル化反応器
に、高純度テレフタル酸とエチレングリコールとのスラ
リーを2000kg/hで供給し、攪拌下、N2ガス流量1m3/h 、
反応器内温度約250 ℃、反応器内圧力0.05MPa で反応器
内平均滞留時間約3時間反応を行った。その結果、得ら
れたオリゴマーの酸価は1660eq/tonであった。この反応
物を第2エステル化反応器に移送し、攪拌下、反応器内
温度約260 ℃、反応器内圧力0.005MPaで反応させ、酸価
が650eq/ton であるオリゴマーを得た。塩化アルミニウ
ムの2.5g/Lのエチレングリコール溶液をポリエス
テル中の酸成分に対して0.015mol%、Irga
nox 1425(チバ・スペシャルティーケミカルズ
社製)の10g/Lのエチレングリコール溶液を酸成分
に対して0.02mol%を別々にこの第2エステル化
反応器に連続的に供給した。このエステル化反応生成物
を連続的に第1重縮合反応器に供給し、攪拌下、反応器
内温度約265℃、反応器内圧力50hPaで、反応器
内滞留時間約1時間で行った。
【0162】さらに、第2重縮合反応器では、18rp
mの速度で攪拌し、反応器内温度270℃、反応器内圧
力10hPaで滞留時間約1時間の条件で反応させた。
さらに、第3重縮合反応器では、18rpmの速度で攪
拌し、反応器内温度277℃、反応器内圧力0.5〜
1.5hPaで約1時間重縮合反応させた。得られたP
ETのIVは0.65dl/gであり、重縮合触媒は実
用的な重合活性を有するものであった。
【0163】得られたPETレジンの特性は、金属アン
チモンの析出による異物もなく、透明性も良好で、黒ず
みも見られなかった。
【0164】比較例1 重縮合触媒として、三酸化アンチモンをPET中の酸成
分に対してアンチモン原子として0.05mol%とな
るように添加した以外は実施例1と同様にして、固有粘
度0.65dl/gのPETを得た。なお、三酸化アン
チモンは、市販の三酸化二アンチモン(ALDRICH 製、純
度99.999%)を使用し、これを約10g/lの濃
度となるようにエチレングリコールに150℃で約1時
間攪拌して溶解させた溶液を使用した。
【0165】得られたPETレジン中には金属アンチモ
ンに起因する異物が観察され、実施例で得られたPET
と比べ黒ずみが見られた。
【0166】
【発明の効果】本発明のPETの連続重合法は、熱安定
性、色調、透明性に優れるPETを安価で生産性よく製
造することができる。したがって、フィルム、ボトル、
繊維など現在PETが使用されている広い用途に使用す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 形舞 祥一 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 Fターム(参考) 4J029 AA03 AB04 AC01 AD01 AD10 AE01 BA03 CB06A JC551 JC561 JC571 JC591 JF021 JF031 JF041 JF071 JF121 JF131 JF151 JF181 JF221 JF541 JF561 KE07 KE09 LA02

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミニウム及び/又はその化合物から
    選ばれる少なくとも1種を金属含有成分として含み、フ
    ェノール系化合物から選択される少なくとも一種を含有
    する重縮合触媒を用いて製造することを特徴とするポリ
    エチレンテレフタレートの連続重合方法。
  2. 【請求項2】 アルミニウム及び/又はその化合物から
    選ばれる少なくとも1種を金属含有成分として含み、リ
    ン化合物から選択される少なくとも一種を含有する重縮
    合触媒を用いて製造することを特徴とするポリエチレン
    テレフタレートの連続重合方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の重縮合触媒が、さらにリ
    ン化合物を含むことを特徴とするポリエチレンテレフタ
    レートの連続重合方法。
  4. 【請求項4】 リン化合物が、ホスホン酸系化合物、ホ
    スフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、
    亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホス
    フィン系化合物からなる群より選ばれる一種または二種
    以上の化合物であることを特徴とする請求項2または3
    記載のポリエチレンテレフタレートの連続重合方法。
  5. 【請求項5】 リン化合物が、一種または二種以上のホ
    スホン酸系化合物であることを特徴とする請求項2〜4
    のいずれかに記載のポリエチレンテレフタレートの連続
    重合方法。
  6. 【請求項6】 リン化合物が、芳香環構造を有する化合
    物であることを特徴とする請求項2〜5のいずれかに記
    載のポリエチレンテレフタレートの連続重合方法。
  7. 【請求項7】 リン化合物が、下記一般式化1〜化3で
    表される化合物からなる群より選ばれる一種または二種
    以上であることを特徴とする請求項2〜6のいずれかに
    記載のポリエチレンテレフタレートの連続重合方法。 【化1】 【化2】 【化3】 (化1〜化3において、R1 、R4 、R5 、R6 はそれ
    ぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基
    またはハロゲン基またはアルコキシル基またはアミノ基
    を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R2 、R3
    はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素基、
    水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1〜50の炭
    化水素基を表す。ただし、炭化水素基は脂環構造や芳香
    環構造を含んでいてもよい。)
  8. 【請求項8】 上記化1〜化3中のR1 、R4 、R5
    6 が芳香環構造を有する基であることを特徴とする請
    求項7記載のポリエチレンテレフタレートの連続重合方
    法。
  9. 【請求項9】 リン化合物が、フェノール部を同一分子
    内に有することを特徴とする請求項2〜8に記載のポリ
    エチレンテレフタレートの連続重合方法。
  10. 【請求項10】 フェノール部を同一分子内に有するリ
    ン化合物が、下記一般式化4〜化6で表される化合物か
    らなる群より選ばれる一種または二種以上であることを
    特徴とする請求項9記載のポリエチレンテレフタレート
    の連続重合方法。 【化4】 【化5】 【化6】 (化4〜化6において、R1 はフェノール部を含む炭素
    数1〜50の炭化水素基、水酸基またはハロゲン基また
    はアルコキシル基またはアミノ基およびフェノール部を
    含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4 、R5
    6 はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭化水素
    基、水酸基またはハロゲン基またはアルコキシル基また
    はアミノ基を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。
    2 、R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜50の炭
    化水素基、水酸基またはアルコキシル基を含む炭素数1
    〜50の炭化水素基を表す。ただし、炭化水素基は分岐
    構造や脂環構造や芳香環構造を含んでいてもよい。R2
    とR4 の末端どうしは結合していてもよい。)
  11. 【請求項11】 リン化合物のアルミニウム塩から選択
    される少なくとも一種を含有する重縮合触媒を用いて製
    造することを特徴とするポリエチレンテレフタレートの
    連続重合方法。
  12. 【請求項12】 下記一般式化7で表される化合物から
    選択される少なくとも1種を含有する重縮合触媒を用い
    て製造することを特徴とするポリエチレンテレフタレー
    トの連続重合方法。 【化7】 (化7において、R1 、R2 はそれぞれ独立に水素、炭
    素数1〜30の炭化水素基を表す。R3 は、水素、炭素
    数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコキシル基
    を含む炭素数1〜50の炭化水素基を表す。R4 は、水
    素、炭素数1〜50の炭化水素基、水酸基またはアルコ
    キシル基またはカルボニルを含む炭素数1〜50の炭化
    水素基を表す。lは1以上の整数、mは0または1以上
    の整数を表し、(l+m)は3である。nは1以上の整
    数を表す。炭化水素基は脂環構造や分岐構造や芳香環構
    造を含んでいてもよい。)
  13. 【請求項13】 少なくとも2個のエステル化反応器と
    多段階の液相縮重合反応器を用いて製造することを特徴
    とする請求項1〜12記載のポリエチレンテレフタレー
    トの連続重合方法。
  14. 【請求項14】 請求項13記載のエステル化反応器に
    おいて、反応器内温度が240〜270℃で、反応器内
    圧力が0〜0.15MPaで、反応器内滞留時間が1.
    5〜5時間の条件下でエステル化反応を行うことを特徴
    とするポリエチレンテレフタレートの連続重合方法。
  15. 【請求項15】 前記エステル化反応器において、エス
    テル化率が90%以上であり、分子量が500〜500
    0となるようにエステル化反応を行うことを特徴とする
    請求項13または14記載のポリエチレンテレフタレー
    トの連続重合方法。
  16. 【請求項16】 請求項13記載の多段階の液相縮重合
    反応器において、一段目の液相縮重合反応は、反応器内
    温度が250〜290℃で、反応器内圧力が30〜10
    00hPaで、反応器内滞留時間が0.5〜2時間の条
    件下で行うことを特徴とする請求項13〜15記載のポ
    リエチレンテレフタレートの連続重合方法。
  17. 【請求項17】 請求項13記載の多段階の液相縮重合
    反応器において、最終段階の液相縮重合反応は、反応器
    内温度が265〜300℃で、反応器内圧力が0.01
    〜15Paで、反応器内滞留時間が0.5〜3時間の条
    件下で行うことを特徴とする請求項13〜16記載のポ
    リエチレンテレフタレートの連続重合方法。
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