JP2002248639A - セルロースエステルフィルムとその製造方法、偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

セルロースエステルフィルムとその製造方法、偏光板保護フィルム、偏光板及び液晶表示装置

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JP2002248639A
JP2002248639A JP2001082941A JP2001082941A JP2002248639A JP 2002248639 A JP2002248639 A JP 2002248639A JP 2001082941 A JP2001082941 A JP 2001082941A JP 2001082941 A JP2001082941 A JP 2001082941A JP 2002248639 A JP2002248639 A JP 2002248639A
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JP
Japan
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cellulose ester
film
ester film
drying step
transport
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JP2001082941A
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English (en)
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Takeshi Tanaka
武志 田中
Takashi Murakami
隆 村上
Shoichi Kurokawa
正一 黒川
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィルムの溶液流延製膜法により製造するに
あたり、高温度、高湿度条件での保存時、縦、横の寸法
変動が少ないフィルムとその製造方法、偏光板保護フィ
ルム、偏光板及び液晶表示装置の提供。 【解決手段】 支持体上にセルロースエステル溶液を流
延し、連続的に剥離して乾燥させるフィルムの製造方法
において、乾燥収縮率が下式を満たすように乾燥させる
ことを特徴とするフィルム。 0≦乾燥収縮率(%)≦0.1×剥離する時の残留溶媒
量(%)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセルロースエステル
フィルムの製造方法、セルロースエステルフィルム、偏
光板保護フィルム、それを用いる偏光板及びそれを用い
る液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマ
ディスプレイ等の表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】昨今、自動車搭載用の液晶ディスプレ
イ、大型液晶テレビのディスプレイ、携帯電話、ノート
パソコン等の普及から液晶表示装置の需要が増えてきて
いる。
【0003】この液晶表示装置の基本的な構成としては
液晶セルの両側に偏光板を設けたものである。偏光板
は、一定方向の偏波面の光だけを通すものである。従っ
て、液晶表示装置においては、電界による液晶の配向の
変化を可視化させる重要な役割を担っている。すなわ
ち、偏光板の性能によって液晶表示装置の性能が大きく
左右される。偏光板の一般的な構成を、図で説明する。
【0004】図1は偏光板の概略断面図である。図中1
は偏光子であり、この偏光子1の両側に保護フィルム2
が積層されている。このような構成の偏光板を液晶セル
に対して積層することで、液晶表示装置が構成されてい
る。
【0005】前記保護フィルムは、偏光子の耐久性を向
上させる目的から設けられ、従来、偏光板保護フィルム
としては、セルロースエステル樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエ
ーテルスルホン樹脂、ノルボルネン樹脂、ポリスチレン
樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリエステル樹脂等が知
られており、これら樹脂の中で特に、セルロースエステ
ル樹脂が透明で優れた物理的、機械的性質を持ち、温湿
度に対する寸度変化が小さいため、好ましく用いられて
いる。
【0006】又、自動車搭載用の液晶ディスプレイ等の
ように高温、高湿の過酷な環境下で使用されたり、大型
液晶テレビのディスプレイ等に用いられるようになりつ
つあり、要求品質も厳しくなり、従来の耐久性では不足
し、またより高度な耐久性も要求されている。偏光板用
保護フィルムの縦、横寸法が伸びたり、縮んだりした場
合、縦方向及び横方向の配向が異なったり、縦、横の厚
みが異なったり、平面性が悪くなり、結果として、屈折
率が変動してしまい、液晶ディスプレイの画面が正常に
見ることができなくなるために、特に耐久性の中でも寸
法安定性が求められている。
【0007】特に、液晶ディスプレイは様々な分野で使
用されるようになってきており、携帯性を重視する用途
を中心に、更に膜厚を薄くしたいという要望が強くなっ
ている。セルロースエステルフィルム(以下、単にフィ
ルムとも言う)では、膜厚が薄くなると寸法安定性が悪
くなるため、特にその改善が求められていた。又、液晶
テレビあるいはモニターの大画面化も進んでいる。画面
が大きくなると温湿度の影響による寸法変化量が大きく
なるため、画面周辺部で白抜けするなど表示性能の低下
をもたらすため、更に寸法変化の少ないフィルムが求め
られていた。
【0008】保護フィルムの寸法安定性に影響を与える
要因としては、添加剤として使用する可塑剤量、種類、
製造方法が挙げられ、特に製造方法の影響が大きいこと
が知られている。
【0009】保護フィルムに使用するフィルムの製造方
法としては、ポリマー配向が生じないようにするため、
セルロースエステル樹脂を溶媒に溶解して製膜する溶液
流延法が用いられているが、この場合でも乾燥中にテン
ションを与えて搬送するため製膜方向に配向が生じ複屈
折が発現し、十分な偏光度が得られなかった。このため
溶液製膜で複屈折率の発現を少なくするため、テンター
を使用した製造方法が採用されるようになってきた。例
えば、特開平11−077719号にはクリップ間の保
持されていない部分の張力不均一防止に関する技術が記
載されており、特開平07−112446号にはテンタ
ーにおける乾燥温度の規制により配向性を緩和させ複屈
折を低下させる技術が記載されており、特公平05−0
19898号には、乾燥時の溶媒の揮発による発泡防止
と、フィルム端の把持間隔を調節することでフィルムの
強度を改善する技術が記載されているが、これらの公知
技術ではテンターを使用し、フィルムを生産する技術に
ついては述べられているが、高温、高湿度条件での保存
による寸法変動改良に関する技術は記載されておらず、
更に高温、高湿度条件での保存による寸法変動が少ない
フィルムが要求されている。
【0010】本発明者らは、フィルムを溶液流延製膜法
により作製するにあたりフィルムの高温、高湿度条件で
の保存時の縦、横の寸法変化を如何に小さくするかを鋭
意研究を重ねた結果、乾燥時のフィルム中の残留溶媒量
と、幅方向及び搬送方向の乾燥収縮率を特定の範囲に制
御することによって、寸法安定性が著しく改善できるこ
とを見いだし、本発明に至ったものである。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、フィルムの溶液流延製膜法により製造するにあた
り、高温度、高湿度条件での保存時、縦、横の寸法変動
が少ないフィルムとその製造方法、偏光板保護フィル
ム、偏光板及び液晶表示装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は下記により達成
することができる。
【0013】1)支持体上にセルロースエステル樹脂を
溶媒に溶解したセルロースエステル溶液(ドープ)を流
延し、張力を掛けながら連続的に剥離し、搬送・乾燥工
程で乾燥させる溶液流延製膜法により製造したセルロー
スエステルフィルムにおいて、式(1)で規定されるセ
ルロースエステルフィルムの搬送方向及び幅方向の乾燥
収縮率が、式(2)を満たすことを特徴とするセルロー
スエステルフィルム。
【0014】式(1) 乾燥収縮率=(1−残留溶媒量1%まで乾燥されたとき
の寸法(cm)/剥離直後の寸法(cm))×100 式(2) 0≦乾燥収縮率(%)≦0.1×剥離する時の残留溶媒
量(%) 2)支持体上にセルロースエステル樹脂を溶媒に溶解し
たセルロースエステル溶液(ドープ)を流延し、支持体
上で溶媒を蒸発させ前記ドープがフィルム状に固化した
後、残留溶媒量が70〜160質量%で支持体より張力
を掛けながら連続的に剥離し、搬送・乾燥工程で乾燥さ
せる溶液流延製膜法により製造したセルロースエステル
フィルムにおいて、下式(1)で規定される支持体から
剥離し、乾燥し、巻き取る迄のセルロースエステルフィ
ルムの搬送方向及び幅方向の乾燥収縮率が0.1〜7.
0%であることを特徴とするセルロースエステルフィル
ム。
【0015】式(1) 乾燥収縮率=(1−残留溶媒量1%まで乾燥されたとき
の寸法(cm)/剥離直後の寸法(cm))×100 3)搬送・乾燥工程がロール搬送・乾燥工程またはロー
ル搬送・乾燥工程とテンター搬送・乾燥工程及びそれら
の組み合わせで構成されていることを特徴とする1)又
は2)に記載のセルロースエステルフィルムの製造方
法。
【0016】4)剥離後のセルロースエステルフィルム
の残留溶媒量が40〜100質量%の範囲内にあると
き、テンター搬送・乾燥工程で前記セルロースエステル
フィルムの両端部を把持しながら少なくとも残留溶媒量
を30質量%以上減少させることを特徴とする3)に記
載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0017】5)剥離後のセルロースエステルフィルム
のテンター搬送・乾燥工程の入り口における残留溶媒量
が40〜100質量%であり、出口における残留溶媒量
が4〜20質量%であることを特徴とする3)又は4)
に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0018】6)テンター搬送・乾燥工程でセルロース
エステルフィルムを搬送する張力がテンター搬送・乾燥
工程の入り口から出口に向けて増加するようにしたこと
を特徴とする3)〜5)の何れか1項に記載のセルロー
スエステルフィルムの製造方法。
【0019】7)テンター搬送・乾燥工程でセルロース
エステルフィルムを搬送する張力とセルロースエステル
フィルムを幅手方向の張力が略等しいことを特徴とする
3)〜6)の何れか1項に記載のセルロースエステルフ
ィルムの製造方法。
【0020】8)剥離後のセルロースエステルフィルム
の残留溶媒量が40質量%以上で搬送するロール搬送・
乾燥工程が、下式(3)で定義されるフリースパン比が
5以下となるように搬送ロールが配置されたロール搬送
・乾燥工程であり、該ロール搬送・乾燥工程でセルロー
スエステルフィルムの残留溶媒量を10〜50質量%分
減少させることを特徴とする3)に記載のセルロースエ
ステルフィルムの製造方法。
【0021】式(3) フリースパン比=(ロール間隔の合計×2)/(ロール
直径の合計×π) π:円周率 9)ロール搬送・乾燥工程におけるロールの間隔が50
0mm以下であることを特徴とする8)に記載のセルロ
ースエステルフィルムの製造方法。
【0022】10)搬送・乾燥工程でセルロースエステ
ルフィルムを搬送する張力を、セルロースエステルフィ
ルムが支持体より剥離後、10秒以内に剥離する張力以
下に減少させることを特徴とする1)〜9)のいずれか
1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
【0023】11)巻き取り後のセルロースエステルフ
ィルムの残留溶媒量が0.1質量%未満であることを特
徴とする1)〜10)のいずれか1項に記載のセルロー
スエステルフィルムの製造方法。
【0024】12)3)〜11)に記載の方法で製造さ
れたことを特徴とするセルロースエステルフィルム。
【0025】13)寸法変化率が80℃・90%RHで
50時間処理した時、幅方向、搬送方向ともに±0.2
%以内であることを特徴とする1)、2)、12)に記
載のセルロースエステルフィルム。
【0026】14)総置換度2.3〜2.85のセルロ
ースエステルを含むことを特徴とする1)、2)、1
2)および13)いずれか1項に記載のセルロースエス
テルフィルム。
【0027】15)膜厚が10〜60μmであることを
特徴とする1)、2)、12)〜14)のいずれか1項
に記載のセルロースエステルフィルム。
【0028】16)1)、2)、12)〜15)のいず
れか1項に記載のセルロースエステルフィルムを用いた
ことを特徴とする偏光板保護フィルム。
【0029】17)1)、2)、12)〜15)のいず
れか1項に記載のセルロースエステルフィルムを用いた
ことを特徴とする偏光板。
【0030】18)1)、2)、12)〜15)のいず
れか1項に記載のセルロースエステルフィルムを用いた
ことを特徴とする液晶表示装置。
【0031】19)17)に記載の偏光板を用いたこと
を特徴とする液晶表示装置。以下に本発明のフィルムの
製造方法に付き更に詳細に説明する。
【0032】本発明のフィルムの製造に用いられるセル
ロースエステル樹脂としては、セルロースの低級脂肪酸
エステル樹脂であることが好ましい。セルロースの低級
脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6
以下の脂肪酸が好ましく、例えば、セルロースアセテー
ト、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート
等がセルロースの低級脂肪酸エステルの特に好ましい例
として挙げられる。
【0033】また、上記以外にも、特開平10−458
04号、同8−231761号、米国特許第2,31
9,052号等に記載のセルロースアセテートプロピオ
ネート、セルロースアセテートブチレート、セルロース
アセテートプロピオネートブチレート等の混合脂肪酸エ
ステルを用いることができる。上記記載の中でも、最も
好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルと
してはセルローストリアセテート(以下、TACとい
う)、セルロースアセテートプロピオネートである。
【0034】本発明に係るセルロースエステルの数平均
分子量は、70,000〜250,000が、成型した
場合の機械的強度が強く、適度なドープ粘度となり好ま
しく、更に好ましくは、80,000〜150,000
である。
【0035】本発明で用いられるセルロースエステルと
しては、アセチル基及び/又はプロピオニル基を置換基
として有し、アセチル基の置換度をX、またプロピオニ
ル基の置換度をYとしたとき、下記式(I)及び(II)
を同時に満たすセルロースエステルが好ましい。
【0036】(I)2.3≦X+Y≦3.0 (II)0≦X≦2.5 特に下記式(III)及び(IV)(V)を同時に満たすセ
ルロースエステルが特に好ましい。
【0037】(III)2.3≦X+Y≦2.85 (IV)1.5≦X≦2.5 (V)0.1≦Y≦1.0 アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−9
6の規定に準じて測定することが出来る。
【0038】これまで、置換度が2.85未満のセルロ
ースエステルを用いると寸法安定性が低下することがあ
ったが、本発明の製造方法を適用することによって置換
度が低いセルロースエステルを用いても優れた寸法安定
性を有するフィルムを得ることが可能となった。
【0039】セルロースエステルは綿花リンターから合
成されたセルロースエステルと木材パルプから合成され
たセルロースエステルのどちらかを単独あるいは混合し
て用いることができる。支持体やドラムからの剥離性が
もし問題になれば、支持体やドラムからの剥離性が良い
綿花リンターから合成されたセルロースエステルを多く
使用すれば生産性が高く好ましい。木材パルプから合成
されたセルロースエステルを混合し用いた場合、綿花リ
ンターから合成されたセルロースエステルの比率が40
質量%以上で、剥離性の効果が顕著になるため好まし
く、60質量%以上がさらに好ましく、単独で使用する
ことが最も好ましい。
【0040】ドープを作製する際に使用される溶媒とし
ては、セルロースエステルを溶解できる溶媒であれば何
でも良く、また単独で溶解できない溶媒であっても他の
溶媒と混合することにより、溶解できるものであれば使
用することができる。一般的には良溶媒であるメチレン
クロライドとセルロースエステルの貧溶媒からなる混合
溶媒を用い、かつ混合溶媒中には貧溶媒を4〜30質量
%含有するものが好ましく用いられる。
【0041】このほか使用できる良溶媒としては、例え
ばメチレンクロライド、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸
アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオ
キソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ
酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,
2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,
3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノー
ル、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プ
ロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1
−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることが出来る
が、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物、ジオ
キソラン誘導体、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン等
が好ましい有機溶媒(即ち、良溶媒)として挙げられ
る。セルロースエステルの貧溶媒としては、例えばメタ
ノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロ
パノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、te
rt−ブタノール等の炭素原子数1〜8のアルコール、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸プ
ロピル、モノクロルベンゼン、ベンゼン、シクロヘキサ
ン、テトラヒドロフラン、メチルセルソルブ、エチレン
グリコールモノメチルエーテル等をあげることができ、
これらの貧溶媒は単独もしくは2種以上を適宜組み合わ
せて用いることができる。
【0042】本発明で用いることのできる可塑剤として
は特に限定しないが、リン酸エステル系可塑剤、フタル
酸エステル系可塑剤、トリメリット酸エステル系可塑
剤、ピロメリット酸系可塑剤、グリコレート系可塑剤、
クエン酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤など
を好ましく用いることが出来る。
【0043】リン酸エステル系では、トリフェニルホス
フェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェ
ニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、
ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホス
フェート、トリブチルホスフェート等、フタル酸エステ
ル系では、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタ
レート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、
ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレー
ト、ブチルベンジルフタレート等、トリメリット酸系可
塑剤として、トリブチルトリメリテート、トリフェニル
トリメリテート、トリエチルトリメリテート等、ピロメ
リット酸エステル系可塑剤として、テトラブチルピロメ
リテート、テトラフェニルピロメリテート、テトラエチ
ルピロメリテート等、グリコール酸エステル系では、ト
リアセチン、トリブチリン、エチルフタリルエチルグリ
コレート、メチルフタリルエチルグリコレート、ブチル
フタリルブチルグリコレート等、クエン酸エステル系可
塑剤として、トリエチルシトレート、トリ−n−ブチル
シトレート、アセチルトリエチルシトレート、アセチル
トリ−n−ブチルシトレート、アセチルトリ−n−(2
−エチルヘキシル)シトレート等を好ましく用いること
ができる。ポリエステル系可塑剤として脂肪族二塩基
酸、脂環式二塩基酸、芳香族二塩基酸等の二塩基酸とグ
リコールの共重合ポリマーを用いることが出来る。脂肪
族二塩基酸としては特に限定されないが、アジピン酸、
セバシン酸、フタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロ
ヘキシルジカルボン酸などを用いることが出来る。
【0044】グリコールとしては、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、1,3−プロピレングリコ
ール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブチレ
ングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−
ブチレングリコールなどを用いることが出来る。これら
の二塩基酸及びグリコールはそれぞれ単独で用いても良
いし、二種以上混合して用いても良い。ポリエステルの
分子量は重量平均分子量で500〜2000の範囲にあ
ることが、セルロースエステルとの相溶性の点から好ま
しい。
【0045】また、本発明では特に200℃における蒸
気圧が1333Pa未満の可塑剤を用いることが好まし
く、より好ましくは蒸気圧666Pa以下、更に好まし
くは1〜133Paの化合物である。不揮発性を有する
可塑剤は特に限定されないが、例えばアリーレンビス
(ジアリールホスフェート)エステル、リン酸トリクレ
シル、トリメリット酸トリ(2−エチルヘキシル)、上
記ポリエステル可塑剤等が挙げられる。これらの可塑剤
は単独あるいは2種以上併用して用いることが出来る。
【0046】可塑剤の使用量は寸法安定性、加工性の点
を考慮すると、セルロースエステルに対して、1〜40
質量%添加させることができ、3〜20質量%の範囲で
添加することが好ましく、更に好ましくは4〜15質量
%である。3質量%未満の場合は、スリット加工や打ち
抜き加工した際、滑らかな切断面を得ることができず、
切り屑の発生が多くなる。
【0047】本発明のフィルムには酸化防止剤や紫外線
吸収剤などを添加することが好ましい。上記酸化防止剤
としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく
用いられ、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、
ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−
t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−
ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)
プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチ
オ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチル
アニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−
ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−
ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル
−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス
(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシ
ンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−
トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベン
ジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等が挙げ
られる。特に2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾー
ル、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−
ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネ
ート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t
−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロ
ピオネート〕が好ましい。また例えば、N,N′−ビス
〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金
属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニ
ル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用しても
よい。これらの化合物の添加量は、セルロースエステル
に対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、1
0〜1000ppmが更に好ましい。
【0048】また、この他、カオリン、タルク、ケイソ
ウ土、石英、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタ
ン、アルミナ等の無機微粒子、カルシウム、マグネシウ
ムなどのアルカリ土類金属の塩などの熱安定剤を加えて
もよい。
【0049】本発明のフィルムは、その高い寸法安定性
から、偏光板または液晶表示用部材等に使用されるが、
偏光板または液晶等の劣化防止のため、紫外線吸収剤が
好ましく用いられる。
【0050】紫外線吸収剤としては、波長370nm以
下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観
点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないも
のが好ましく用いられる。具体的には380nmの透過
率が10%未満であることが好ましく、特に5%未満で
あることがより好ましい。
【0051】本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤
の具体例としては、例えばオキシベンゾフェノン系化合
物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル
系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレー
ト系化合物、ニッケル錯塩系化合物、トリアジン系化合
物などが挙げられる。例えば、特開平10−18262
1号、特開平8−337574号、記載の紫外線吸収剤
が好ましく用いられる。又、特開平6−148430
号、特開平12−273437号に記載の高分子紫外線
吸収剤も好ましく用いられる。あるいは特開平10−1
52568号に記載されている紫外線吸収剤を加えても
良い。
【0052】ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤として
は下記一般式〔1〕で示される化合物が好ましく用いら
れる。
【0053】
【化1】
【0054】式中、R1、R2、R3、R4及びR5は同一
でも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、ニトロ
基、ヒドロキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリ
ール基、アルコキシル基、アシルオキシ基、アリールオ
キシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、モノ若しく
はジアルキルアミノ基、アシルアミノ基または5〜6員
の複素環基を表し、R4とR5は閉環して5〜6員の炭素
環を形成してもよい。また、上記記載のこれらの基は、
任意の置換基を有していても良い。
【0055】以下に本発明に係る紫外線吸収剤の具体例
を挙げるが、本発明はこれらに限定されない。
【0056】UV−1:2−(2′−ヒドロキシ−5′
−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール UV−2:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−
tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール UV−3:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−
ブチル−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール UV−4:2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−
tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリア
ゾール UV−5:2−(2′−ヒドロキシ−3′−(3″,
4″,5″,6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)
−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール UV−6:2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,
3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリア
ゾール−2−イル)フェノール) UV−7:2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−
ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾト
リアゾール UV−8:2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イ
ル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェ
ノール(TINUVIN171、チバスペシャルティケ
ミカルズ(株)製) UV−9:オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4
−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾー
ル−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチル
ヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2
−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物(TINU
VIN109、チバスペシャルティケミカルズ(株)
製) 以下にベンゾフェノン系紫外線吸収剤の具体例を示す
が、本発明はこれらに限定されない。
【0057】UV−10:2,4−ジヒドロキシベンゾ
フェノン UV−11:2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベ
ンゾフェノン UV−12:2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スル
ホベンゾフェノン UV−13:ビス(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5
−ベンゾイルフェニルメタン) 本発明フィルムでは、フィルムに滑り性を付与し、ロー
ル状フィルムのブロッキングを防止するために微粒子を
添加することが好ましい。
【0058】本発明に係る微粒子としては、無機化合物
の微粒子または有機化合物の微粒子が挙げられる。
【0059】無機化合物としては、珪素を含む化合物、
二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭
酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケ
イ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミ
ニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が
好ましく、更に好ましくは、ケイ素を含む無機化合物や
酸化ジルコニウムであるが、セルロースエステル積層フ
ィルムの濁度を低減できるので、二酸化珪素が特に好ま
しく用いられる。
【0060】二酸化珪素の微粒子としては、例えば、ア
エロジルR972、R972V、R974、R812、
200、200V、300、R202、OX50、TT
600(以上日本アエロジル(株)製)等の市販品が使
用できる。
【0061】酸化ジルコニウムの微粒子としては、例え
ば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロ
ジル(株)製)等の市販品が使用できる。
【0062】有機化合物としては、例えば、シリコーン
樹脂、弗素樹脂及びアクリル樹脂等のポリマーが好まし
く、中でも、シリコーン樹脂が好ましく用いられる。
【0063】上記記載のシリコーン樹脂の中でも、特に
三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、ト
スパール103、同105、同108、同120、同1
45、同3120及び同240(以上東芝シリコーン
(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。
【0064】本発明に係る微粒子の1次平均粒子径とし
ては、ヘイズを低く抑えるという観点から、20nm以
下が好ましく、更に好ましくは、5〜16nmであり、
特に好ましくは、5〜12nmである。
【0065】本発明に係る微粒子の1次平均粒子径の測
定は、透過型電子顕微鏡(倍率50万〜200万倍)で
粒子の観察を行い、粒子100個を観察し、その平均値
をもって、1次平均粒子径とした。
【0066】微粒子の、見掛比重としては、70g/リ
ットル以上が好ましく、更に好ましくは、90〜200
g/リットルであり、特に好ましくは、100〜200
g/リットルである。見掛比重が大きい程、高濃度の分
散液を作ることが可能になり、ヘイズ、凝集物が良化す
るため好ましく、また、本発明のように固形分濃度の高
いドープを調製する際には、特に好ましく用いられる。
【0067】1次粒子の平均径が20nm以下、見掛比
重が70g/リットル以上の二酸化珪素微粒子は、例え
ば、気化させた四塩化珪素と水素を混合させたものを1
000〜1200℃にて空気中で燃焼させることで得る
ことができる。また例えばアエロジル200V、アエロ
ジルR972V(以上日本アエロジル(株)製)の商品
名で市販されており、それらを使用することができる。
【0068】本発明において、上記記載の見掛比重は二
酸化珪素微粒子を一定量メスシリンダーに採り、この時
の重さを測定し、下記式で算出した。
【0069】見掛比重(g/リットル)=二酸化珪素質
量(g)÷二酸化珪素の容積(リットル) 本発明に係る微粒子の分散液を調製する方法としては、
例えば以下に示すような3種類が挙げられる。
【0070】《調製方法A》溶媒と微粒子を撹拌混合し
た後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とす
る。微粒子分散液をドープ液に加えて撹拌する。
【0071】《調製方法B》溶媒と微粒子を撹拌混合し
た後、分散機で分散を行う。これを微粒子分散液とす
る。別に溶媒に少量のセルロースエステルを加え、撹拌
溶解する。ここで添加するセルロースエステルとして、
本発明の固形物を添加することが特に好ましい。
【0072】これに前記微粒子分散液を加えて撹拌す
る。これを微粒子添加液とする。微粒子添加液をインラ
インミキサーでドープ液と十分混合する。
【0073】《調製方法C》溶媒に少量のセルロースエ
ステルを加え、撹拌溶解する。これに微粒子を加えて分
散機で分散を行う。これを微粒子添加液とする。微粒子
添加液をインラインミキサーでドープ液と十分混合す
る。
【0074】調製方法Aは二酸化珪素微粒子の分散性に
優れ、調製方法Cは二酸化珪素微粒子が再凝集しにくい
点で優れている。中でも、上記記載の調製方法Bは二酸
化珪素微粒子の分散性と、二酸化珪素微粒子がさらに再
凝集しにくい等、両方に優れている好ましい調製方法で
ある。
【0075】《分散方法》二酸化珪素微粒子を溶媒など
と混合して分散するときの二酸化珪素の濃度は5〜30
質量%が好ましく、10〜25質量%がさらに好まし
く、15〜20質量%が最も好ましい。分散濃度は高い
方が、添加量に対する液濁度は低くなる傾向があり、ヘ
イズ、凝集物が良化するため好ましい。
【0076】使用される溶媒は低級アルコール類として
は、好ましくはメチルアルコール、エチルアルコール、
プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチル
アルコール等が挙げられる。低級アルコール以外の溶媒
としては特に限定されないが、セルロースエステルの製
膜時に用いられる溶媒を用いることが好ましい。
【0077】セルロースエステルに対する二酸化珪素微
粒子の添加量はセルロースエステル100質量部に対し
て、二酸化珪素微粒子は0.01〜0.3質量部が好ま
しく、0.05〜0.2質量部がさらに好ましく、0.
08〜0.12質量部が最も好ましい。添加量は多い方
が、動摩擦係数に優れ、添加量が少ない方がヘイズが低
く、凝集物も少ない点が優れている。
【0078】分散機は通常の分散機が使用できる。分散
機は大きく分けてメディア分散機とメディアレス分散機
に分けられる。二酸化珪素微粒子の分散にはメディアレ
ス分散機がヘイズが低く好ましい。
【0079】メディア分散機としてはボールミル、サン
ドミル、ダイノミルなどがあげられる。
【0080】メディアレス分散機としては超音波型、遠
心型、高圧型などがあるが、本発明においては高圧分散
装置が好ましい。高圧分散装置は、微粒子と溶媒を混合
した組成物を、細管中に高速通過させることで、高剪断
や高圧状態など特殊な条件を作りだす装置である。高圧
分散装置で処理する場合、例えば、管径1〜2000μ
mの細管中で装置内部の最大圧力条件が9.807MP
a以上であることが好ましい。更に好ましくは19.6
13MPa以上である。またその際、最高到達速度が1
00m/秒以上に達するもの、伝熱速度が420kJ/
時間以上に達するものが好ましい。
【0081】上記のような高圧分散装置にはMicro
fluidics Corporation社製超高圧
ホモジナイザ(商品名マイクロフルイダイザ)あるいは
ナノマイザ社製ナノマイザがあり、他にもマントンゴー
リン型高圧分散装置、例えばイズミフードマシナリ製ホ
モジナイザ、三和機械(株)社製UHN−01等が挙げ
られる。また、これらの微粒子はフィルムの厚み方向で
均一に分布していてもよいが、より好ましくは主に表面
近傍に存在するように分布していることが好ましく、例
えば、共流延法により、2種以上のドープを用いて、微
粒子を主に表層側に配置されたドープに添加すること
が、滑り性が高く、ヘイズが低いフィルムが得られるの
で好ましい。好ましくは3種のドープを使用して表層側
の2つのドープに主に微粒子を添加することが望まし
い。
【0082】又、本発明のフィルムには導電性を有する
物質を添加することで好ましいインピーダンスを有する
セルロースエステルフィルムを得ることもできる。導電
性物質としては特に限定はされないが、イオン導電性物
質や導電性微粒子あるいはセルロースエステルと相溶性
を有する帯電防止剤などを用いることができる。
【0083】ここでイオン導電性物質とは電気伝導性を
示し、電気を運ぶ担体であるイオンを含有する物質のこ
とであるが、例えば、イオン性高分子化合物を挙げるこ
とができる。
【0084】イオン性高分子化合物としては、特公昭4
9−23828号、同49−23827号、同47−2
8937号にみられるようなアニオン性高分子化合物、
例えば特公昭55−734号、特開昭50−54672
号、特公昭59−14735号、同57−18175
号、同57−18176号、同57−56059号など
にみられるような、主鎖中に解離基をもつアイオネン型
ポリマー、特公昭53−13223号、同57−153
76号、特公昭53−45231号、同55−1457
83号、同55−65950号、同55−67746
号、同57−11342号、同57−19735号、特
公昭58−56858号、特開昭61−27853号、
同62−9346号にみられるような、側鎖中にカチオ
ン性解離基をもつカチオン性ペンダント型ポリマー等を
挙げることができる。
【0085】また、導電性微粒子の例としては導電性を
有する金属酸化物が挙げられる。金属酸化物の例として
は、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23
SiO2、MgO、BaO、MoO2、V25等、或いは
これらの複合酸化物が好ましく、特にZnO、TiO2
及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、
例えばZnOに対してはAl、In等の添加、TiO2
に対してはNb、Ta等の添加、又SnO2に対して
は、Sb、Nb、ハロゲン元素等の添加が効果的であ
る。これら異種原子の添加量は0.01〜25mol%
の範囲が好ましいが、0.1〜15mol%の範囲が特
に好ましい。
【0086】また、これらの導電性を有する金属酸化物
粉体の体積抵抗率は107Ωcm以下特に105Ωcm以
下であって、1次粒子径が10nm以上0.2μm以下
で、高次構造の長径が30nm以上6μm以下である特
定の構造を有する粉体をフィルム内の少なくとも一部の
領域層に体積分率で0.01%以上20%以下含んでい
ることが好ましい。
【0087】特に好ましくは、特開平9−203810
号に記載されているアイオネン導電性ポリマーあるいは
分子間架橋を有する第4級アンモニウムカチオン導電性
ポリマーなどを含有することが望ましい。
【0088】架橋型カチオン性導電性ポリマーの特徴
は、得られる分散性粒状ポリマーにあり、粒子内のカチ
オン成分を高濃度、高密度に持たせることができるた
め、優れた導電性を有しているばかりでなく、低相対湿
度下においても導電性の劣化は見られず、粒子同志も分
散状態ではよく分散されているにもかかわらず、塗布後
造膜過程において粒子同志の接着性もよいため膜強度も
強く、また他の物質、例えば基体にも優れた接着性を有
し、耐薬品性に優れている。
【0089】架橋型のカチオン性導電性ポリマーである
分散性粒状ポリマーは一般に約0.01μm〜0.3μ
mの粒子サイズ範囲にあり、好ましくは0.05μm〜
0.15μmの範囲の粒子サイズが用いられる。ここで
用いている「分散性粒状ポリマー」の語は、視覚的観察
によって透明またはわずかに濁った溶液に見えるが、電
子顕微鏡の下では粒状分散物として見えるポリマーであ
る。
【0090】帯電防止剤もしくはマット剤の添加は光学
フィルムの表層部(表面から10μmまでの部分)に含
まれていることが好ましく、共流延等の方法によってフ
ィルムの表面に帯電防止剤及び/又はマット剤を含有さ
せることが好ましい。具体的には、導電性物質及び/又
はマット剤を含有するドープAと実質的にこれらを含有
しないドープBを使用し、ドープBの少なくとも片側の
面にドープAがあるように流延されることが好ましい。
【0091】必要に応じて、更に帯電防止剤、難燃剤、
滑剤、油剤、マット剤、その他添加剤を加えてもよい。
【0092】このように良溶媒と貧溶媒との混合溶媒に
セルロースエステル、更に添加剤を溶解させたドープを
連続的に移動する支持体上にダイスから均一に流延し、
支持体上にて溶媒を蒸発させドープがフィルム状に固化
した後に支持体から剥離し、更に残存する溶媒を幅方向
乾燥伸縮率及び搬送方向乾燥伸縮率を設定しながら蒸発
・乾燥させてフィルムを得る。
【0093】支持体から剥離されたフィルムは、乾燥に
より溶媒が蒸発していくため、収縮していく。本発明で
は、この乾燥による収縮を式(1)で定義される乾燥収
縮率で規定するとき、乾燥収縮率を剥離する時の残留溶
媒量(%)×0.1の値以下とすることによって、寸法
安定性が改善されることを見いだした。 式(1) 乾燥収縮率=(1−残留溶媒量1%まで乾燥されたとき
の寸法(cm)/剥離直後の寸法(cm))×100 式(2) 0≦乾燥収縮率(%)≦0.1×剥離する時の残留溶媒
量(質量%) 特に剥離する時の残留溶媒量が70〜160質量%にお
いて、乾燥収縮率が0.1〜7.0%の範囲であり、好
ましくは0.1〜6%である。乾燥収縮率が7%を越え
た場合、吸湿による収縮が大きくなり好ましくない。
【0094】本発明における残留溶媒量(質量%)の値
は一定の大きさのフィルムを115℃で1時間乾燥した
時のフィルムの質量をAとし、乾燥前のフィルムの質量
をBとしたとき、((B−A)/A)×100=残留溶
媒量(質量%)で求めた値である。すなわち、この方法
で任意の乾燥状態におけるフィルムの残留溶媒量を求め
ることができる。例えば、剥離する時の残留溶媒量は、
乾燥前のフィルムとして剥離時のフィルムを用いること
によって求めることができる。
【0095】支持体上に流延したドープの溶媒を蒸発さ
せ、フィルム状に固化した後に支持体から剥離する時の
残留溶媒量が70〜160質量%であり、剥離したフィ
ルムの乾燥収縮率を0.1〜7%の範囲とすることで、
得られるフィルムの寸法安定性を著しく改善することが
できる。好ましい剥離する時の残留溶媒量は、搬送方向
の伸縮制御の観点から70〜120質量%である。
【0096】搬送方向への延伸による影響の観点から、
より好ましい乾燥収縮率は0.1〜6%である。
【0097】尚、本発明において、テンター搬送・乾燥
工程及びロール搬送・乾燥工程を含む工程とは、支持体
から剥離されたフィルムを乾燥して巻き取る迄の工程の
どこかに、フィルムの乾燥伸縮率を調整するテンター搬
送・乾燥工程及びロール搬送・乾燥工程を有する工程を
言う。搬送・乾燥工程とは、連続的にフィルムを搬送し
ながら乾燥する工程をいう。テンター搬送・乾燥工程と
はテンター搬送装置で搬送しながら同時に乾燥を行い、
乾燥伸縮率を調整する工程を言い、ロール搬送・乾燥工
程とはロール搬送装置で搬送しながら同時に乾燥を行
い、乾燥伸縮率を調整する工程を言う。
【0098】以下に本発明のフィルムの溶液流延製膜法
による製造方法に付き図を用いて更に詳細に説明する。
【0099】図2はフィルムの溶液流延製膜法の模式図
である。図2(a)は流延後、ロール搬送・乾燥工程で
乾燥する場合の模式図である。図2(b)は流延後、ロ
ール搬送・乾燥工程で乾燥し、その後テンター搬送・乾
燥工程で乾燥を行う場合の模式図である。図2(c)は
流延後、テンター搬送・乾燥工程で乾燥し、その後ロー
ル搬送・乾燥工程で乾燥を行う場合の模式図である。図
2(d)は流延後、ロール搬送・乾燥工程で乾燥し、そ
の後テンター搬送・乾燥工程で乾燥し、その後ロール搬
送・乾燥工程で乾燥を行う場合の模式図である。
【0100】図中3はエンドレスで走行する支持体を示
す。支持体としては鏡面帯状金属が使用されている。4
はセルロースエステル樹脂を溶媒に溶解したドープを、
支持体3に流延するダイスを示す。5は支持体3に流延
されたドープが固化したフィルムを剥離する剥離点を示
し、6は剥離されたフィルムを示す。7はテンター搬送
・乾燥工程を示し、71は排気口を示し、72は乾燥風
取り入れ口を示す。尚、排気口71と乾燥風取り入れ口
72は逆であっても良い。8は張力カット手段を示す。
張力カット手段としてはニップロール、サクションロー
ル等が挙げられる。尚、張力カット手段は各工程間に設
けてもかまわない。
【0101】10はロール搬送・乾燥工程を示し、10
1は乾燥箱を示し、102は排気口を示し、103は乾
燥風取り入れ口を示す。尚、排気口102と乾燥風取り
入れ口103は逆であっても良い。104は上部搬送用
ロールを示し、105は下部搬送用ロールを示す。該搬
送用ロール104、105は上下で一組で、複数組から
構成されている。9は巻き取られたロール状のフィルム
を示す。
【0102】図2(d)で示される工程において、テン
ター搬送・乾燥工程7の前のロール搬送・乾燥工程を第
1ロール搬送・乾燥工程と呼び、テンター搬送・乾燥工
程7の後のロール搬送・乾燥工程を第2ロール搬送・乾
燥工程と呼ぶ。尚、図2(a)〜(d)では示されてい
ない冷却工程を、巻き取る前に必要に応じて設けても良
い。
【0103】支持体上のドープの溶媒を蒸発させる手段
としては、特に限定は無いが、例えば支持体のドープ接
触面に温風を吹き付ける方法、赤外線ヒータで加熱する
方法、支持体の裏面に温風を吹き付け裏面側から加熱す
る方法、支持体の裏面に温水や加熱オイルを接触し加熱
する方法等が挙げられる。
【0104】流延後、剥離までの間での時間は作製する
フィルムの膜厚、使用溶媒によって異なるが一般的に
0.5〜5分の範囲が好ましい。0.5分未満の場合は
フィルムの乾燥が終了せず剥がすことができなくなり好
ましくなく、5分を越えた場合は工程が長くなり又製膜
効率が悪くなり好ましくない。
【0105】本発明の乾燥収縮率とするため、剥離後の
乾燥工程が重要になる。好ましくは剥離後のフィルムの
残留溶媒量が40〜100質量%の範囲内にあるとき、
フィルムの幅を一定に保持しながら少なくとも残留溶媒
量を30質量%以上減少させることが好ましく、特に好
ましくはフィルムの幅を一定に保持しながら残留溶媒量
を45質量%以上減少させることである。フィルム幅を
一定に保持する手段はテンター装置によって行うことが
好ましく、テンター搬送・乾燥工程の入り口部でのフィ
ルムの残留溶媒量が40〜100質量%であり、テンタ
ー搬送・乾燥工程の出口でのフィルムの残留溶媒量が4
〜20質量%であることがより好ましい。
【0106】特にテンター搬送・乾燥工程におけるフィ
ルムを搬送する張力がテンター搬送・乾燥工程の入り口
部に対してテンター搬送・乾燥工程の出口方向で増加す
るようにすることが好ましく、更にテンター搬送・乾燥
工程においてフィルムを搬送する張力とテンター装置に
よるフィルムを幅手方向に延伸する張力が略等しくなる
ように調整されていることが、本発明の乾燥収縮率を得
るために好ましい。
【0107】ロール搬送・乾燥工程でフィルムを収縮さ
せるには、フィルムを弛まない程度に張力を下げ搬送
し、乾燥を行うことで乾燥収縮率を変更することができ
る。
【0108】特に剥離後のフィルムの残留溶媒量が40
質量%以上のフィルムをロール搬・乾燥工程で、残留溶
媒量を10質量%分以上低減するような乾燥を行う場合
は、張力の他に式(3)で定義されるロール搬送・乾燥
工程での搬送ロールのフリースパン比が、乾燥収縮率と
共に寸法安定性に影響する。残留溶媒量が10質量%分
以上とは、ロール搬送・乾燥工程の入り口でのフィルム
の残留溶媒量(質量%)とロール搬送・乾燥工程の出口
でのフィルムの残留溶媒量(質量%)の差が10質量%
より大きいことを意味する。
【0109】式(3) フリースパン比=(搬送ロール間隔の合計×2)/(搬
送ロール直径の合計× π) π:円周率 寸法安定性を向上させるために幅方向の収縮の観点から
フリースパン比が5以下であることが好ましく、装置設
計上0.64以上が好ましい。剥離後の残留溶媒量が4
0質量%以上のロール搬送・乾燥工程でこのフリースパ
ン比が5以下となるようにロールが配置されている部分
を有していることが好ましく、より好ましくはロール5
〜50本程度で構成されるロール搬送・乾燥工程の50
%以上のロール間でフリースパン比が5以下となるよう
にロールが配置されていることが好ましい。ここで、搬
送ロール間隔の合計とは図6に示すように、スリースパ
ン比を計算する対象となるロール同士の間隔に、スリー
スパン比を計算する対象となるロール群の末端に位置す
るロールと、そのロールの外側に位置するロールとの距
離の半分を加えた合計をいう。
【0110】更に、搬送ロール間の距離も搬送方向の乾
燥収縮率に影響する。搬送ロール間の距離は、500m
m以下が好ましく、さらに乾燥進行性の観点および収縮
の観点から1.0〜500mmが好ましい。
【0111】測定方法としては、剥離時に搬送方向に一
定の長さの印しをインクジェットプリンターでマーキン
グを行い、フィルムを巻き取った後、マーキングした箇
所を実測することで幅方向の測定と同じ方法で乾燥収縮
率を計算することができる。
【0112】フリースパン比及び搬送ロール間の距離を
上記の如くすることで、剥離する時の残留溶媒量が多
く、搬送する張力によって引き延ばされやすく、幅方向
に収縮し易い剥離直後のフィルムを、ロール搬送・乾燥
工程でも均一な乾燥を行うことができるため、幅方向お
よび搬送方向の寸法安定性及びそのバランスに優れたフ
ィルムが得られる。
【0113】乾燥収縮率を本発明の範囲にするため、搬
送されるフィルムを支持体から剥離した後10秒以内に
剥離時にかかっていた張力をそれ以下の張力となるよう
に減少させることが好ましい。より好ましくは0.5〜
8.0秒である。フィルムを搬送するときの張力をフィ
ルムを支持体から剥離するときの張力に対して50N/
m以上減少させることが好ましく、100N/m以上減
少させることが特に好ましい。これによって不要に幅方
向、搬送方向に延伸されることが防止でき、寸法安定性
向上に寄与することができる。
【0114】これらの方法を組み合わせ、本発明の乾燥
収縮率とすることが寸法変化率の少ないフィルムを得る
ために特に好ましい。
【0115】本発明によれば、80℃・90%RHで5
0時間処理した時、寸法変化率が幅方向、搬送方向とも
に±0.2%以内のフィルムを得ることができ、更に±
0.1%以内のフィルムも得ることが可能である。特
に、剥離後の搬送・乾燥工程で搬送方向に延伸されやす
い膜厚が10〜60μmの薄膜フィルムであっても、上
記の方法などで本発明の乾燥収縮率とすることによっ
て、優れた寸法安定性のフィルムを得ることができる。
【0116】更に、本発明のフィルムの製造方法によれ
ば、残留溶媒量が0.1質量%未満である膜厚10〜6
0μmのフィルムロールを得ることができるのである。
【0117】以下、図2(a)〜(d)に示される模式
図の特徴を説明する。図2(a)の場合、剥離する時の
残留溶媒量が40質量%未満の低い場合、乾燥収縮率は
それほど問題とならないが、剥離する時の残留溶媒量が
90質量%以上になると乾燥収縮率が大きくなり、乾燥
収縮率の調整できなくなる。
【0118】図2(b)の場合、剥離する時の残留溶媒
量が90質量%と高くなった場合でも、ロール搬送・乾
燥工程にて、フィルムを搬送する張力を調整することで
搬送方向の収縮率を調整することが可能となり、ロール
搬送・乾燥工程の後のテンター搬送・乾燥工程で幅方向
を延伸することにより、幅方向の乾燥伸縮率を調整する
ことが可能となる。
【0119】図2(c)の場合、テンター搬送・乾燥工
程後にロール搬送・乾燥工程が存在するため、テンター
搬送・乾燥工程内で生じた膜収縮応力をロール搬送・乾
燥工程にて緩和することで最終乾燥収縮量を調整するこ
とが可能となる。
【0120】図2(d)の場合、テンター搬送・乾燥工
程前とテンター搬送・乾燥工程後にロール搬送・乾燥工
程があり、テンター搬送・乾燥工程での幅方向の延伸量
をバランスすることにより、より精度良く乾燥収縮量を
調整することが可能となる。
【0121】以下に乾燥工程を更に詳細に説明する。支
持体から剥離された後のフィルムを乾燥させる手段は特
に制限なく、テンター搬送・乾燥工程では一般的に熱
風、赤外線等で行う。簡便さの点で熱風で行うのが好ま
しい。乾燥温度は、テンター搬送・乾燥工程に入る時の
フィルムの残留溶媒量により異なるが、30〜180℃
の範囲で残留溶媒量により適宜選択して決めれば良く、
一定の温度で乾燥しても良いし、数段階の温度に分けて
乾燥してもかまわない。
【0122】30℃未満では、剥離直後ではフィルムの
表面温度がフィルム中の溶媒の蒸発により低下し、フィ
ルム表面に空気中の水分の露結が生じる。又、乾燥が遅
いためフィルムの残留溶媒量が多くなりフィルムの柔ら
かい状態が続き、搬送方向の乾燥収縮率の調製が難しく
なり好ましくなく、180℃を越えた場合は、支持体か
らフィルムを剥離する時の残留溶媒量が多いため、フィ
ルムの温度上昇と共にフィルムが弱くなり、乾燥収縮率
の調整が難しくなる。又、使用溶媒によってはフィルム
中で発泡する物もあるため好ましくない。流延速度は支
持体からフィルムを剥離する時の残留溶媒量により乾燥
温度、時間の関係から適宜選択して決めれば良く、特に
限定は無い。
【0123】一方、ロール搬送・乾燥では一般的に加熱
空気、赤外線等単独又は加熱空気と赤外線乾燥を併用し
てもかまわない。簡便さの点で加熱空気で行うのが好ま
しい。乾燥温度は、ロール搬送・乾燥工程に入る時のフ
ィルムの残留溶媒量により異なるが、30〜150℃の
範囲で残留溶媒量により適宜選択して決めれば良く、一
定の温度で乾燥しても良いし、3〜4段階の温度に分け
て、暫時高くしてもかまわない。30℃未満では乾燥速
度が遅く乾燥時間が長くなり好ましくなく、150℃を
越えた場合は、急激な乾燥による部分的な収縮ムラやフ
ィルム軟化が生じ伸縮量がフィルム内で不均一となり好
ましくない。
【0124】ロール搬送・乾燥工程及びテンター搬送・
乾燥工程の搬送速度、時間は各ロール搬送・乾燥工程、
テンター搬送・乾燥工程終了後のフィルムの残留溶媒量
により適宜選択して決めれば良く、特に限定は無い。
【0125】図3はロール搬送・乾燥工程のロール搬送
部分を拡大した模式図である。図中Fはフィルム6が接
する上部搬送用ロール104の接点から、フィルム6が
接する下部搬送用ロール105の接点間の距離を示し、
本発明ではロール間の距離と言う。上部搬送用ロール1
04、下部搬送用ロール105の間隔は自在に設定する
ことが可能になっている。又、ロール搬送部の搬送速度
も独立で可変となつている。ロール搬送・乾燥工程では
乾燥温度、時間に加え、前記ロールの接点間の距離L及
び搬送速度によりフィルムの搬送方向の乾燥収縮率を必
要に応じて変えることが可能となる。
【0126】図4はテンター搬送・乾燥工程の平面模式
図である。本図ではテンターを説明するため乾燥用外壁
部は省略してある。図中73はクリップを示し、該クリ
ップ73はエンドレスのループ状のチェーン74に取り
付けられている。75はレールを示し、チェーン74は
レール75に沿ってスプロケット76により駆動される
ようになっている。これと全く同じ物がフィルム6の端
部を把持するためにフィルムの反対側に設けられてい
る。Vはクリップとクリップの間隔を示し、Uはテンタ
ーの幅を示す。Sはテンター入り口を示し、Tはテンタ
ー出口を示す。入り口Sで、支持体から剥離されたフィ
ルム6の両端部をクリップ73で把持し、出口Tでクリ
ップ73からはずす機構となっている。クリップ73
は、フィルム6を挟み押えるタイプのクリップと多数の
ピンにフィルム6を刺し込むタイプのピン型クリップと
があり、必要に応じて選択すれば良いが、フィルム6の
場合は、挟み押えるタイプのクリップが好ましい。
【0127】テンターの幅Uは可変であり、例えば入り
口Sから出口Tに段階的に広げることも、一定であるこ
とも、広げて途中から固定にすること等必要とする幅に
設定が可能である。
【0128】テンターの幅を、支持体から剥離する時の
幅に対して設定することでフィルムの幅方向の乾燥収縮
率を必要に応じて調整することができる。本発明では、
特に入り口Sと出口Tでテンターの幅Uが略一定である
ことが好ましい。
【0129】又、入り口Sで、支持体3から剥離された
フィルム6の両端部をクリップ73で把持するとき、支
持体3の速度に対してテンターの速度を変化させること
で搬送方向の乾燥収縮率を決めることが可能となる。
又、別にフィルム6をクリップ903aで把持した後、
クリップとクリップの間隔Vを変化させることによって
も搬送方向の乾燥収縮率を決めることができる。
【0130】図5はフィルム6の端部を挟み押えるタイ
プのクリップ及び差し込むタイプのピン型クリップで把
持した状態の模式図である。図5(a)はフィルム6を
挟み押えるタイプのクリップによりフィルム6を把持し
た状態を示す模式図である。図5(b)はフィルム6を
差し込むタイプのピン型クリップによりフィルム6を把
持した状態を示す模式図である。図中731はレバーを
示し、732はシュウを示し、733は固定台を示し、
シュウ732と固定台733の間にフィルム6を把持す
る様になっている。734は固定台735に取り付けら
れたピンを示し、フィルム6を差し込むことで把持する
ようになっている。
【0131】本発明に使用するテンターとしては特に限
定はなく、例えば特開平11−077719号、同11
−090943号、同7−112446号に記載されて
いるピンテンター、クリップテンターでも良い。幅方向
と搬送方向の張力を個別に調製できるテンターとしてB
RUCKNER社製のLISIMを使用することもでき
る。
【0132】本発明において、幅方向の乾燥収縮率とは
支持体上に流延したドープの溶媒が蒸発しフィルム状に
固化した後に支持体から剥離する時の残留溶媒量が70
〜160質量%で剥離した時の幅に対し、乾燥終了後、
巻き取ったフィルム幅の割合を示す。即ち、設定する乾
燥収縮率によりテンターの幅を暫時広げた状態、あるい
は暫時縮めた状態で乾燥すること目標とする乾燥収縮率
に設定し、テンターの幅の設定は支持体上に流延したド
ープの溶媒が蒸発しフィルム状に固化した後に支持体か
ら剥離する時の残留溶媒量により適宜決定される。
【0133】測定方法としては、剥離時に幅方向に所定
幅にインクジェットプリンターでマーキングを行い、フ
ィルムを巻き取った後、マーキングした箇所を実測する
ことで前述の方法で乾燥収縮率を計算することができ
る。
【0134】本発明において、搬送方向の乾燥収縮率と
は、支持体上に流延したドープの溶媒が蒸発しフィルム
状に固化した後に支持体から剥離する時の残留溶媒量が
70〜160質量%で剥離時、搬送方向に付けた一定長
さの印しに対し、乾燥終了後、巻き取ったフィルムの前
記一定長さの割合を示す。即ち、設定する乾燥収縮率に
より各搬送・乾燥工程の速度を調整した状態で乾燥する
ことで目標とする乾燥収縮率に設定し、各搬送・乾燥工
程の速度の設定は支持体上に流延した膜の剥離時の残留
溶媒量により適宜決定される。即ち、支持体の速度に対
して乾燥工程の速度が大きいほどフィルムに張力が掛か
り、搬送方向の延伸が大きくなる。
【0135】搬送・乾燥工程にテンター装置を使用する
場合は、テンター装置の種類により搬送方向の乾燥収縮
率の設定が異なる。テンター装置のクリップが固定式の
場合は、支持体から剥離したフィルムをテンター装置に
移す時、テンター装置の速度と支持体の搬送速度の差に
より搬送方向の伸ばし率を設定することができ、クリッ
プが移動式の場合は、テンター装置の入り口から出口ま
での間でクリップ間の距離を変えることで搬送方向の乾
燥収縮率を設定することができる。
【0136】又、本発明のフィルムは製膜後巻き取り時
の残留溶媒量が著しく低減されており、特にフィルム質
量あたりの残留溶媒量は0.1質量%未満であり、より
好ましくは0.01質量%以下である。これは寸法安定
性を向上させるだけでなく、環境的にも好ましい。残留
溶媒量は、一定量のフィルムサンプルを気密容器に採取
し、そのヘッドスペースガス中に含まれる残留溶媒量を
ガスクロマトグラフィ等を用いて定量することができ
る。
【0137】本発明のフィルムを使用した偏光板の作製
方法は特に限定されず、一般的な方法で作製することが
できる。例えば、フィルムをアルカリ処理し、沃素溶液
中に浸漬延伸して作製した偏光膜の両面に、完全ケン化
型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせる方
法がある。アルカリ処理の代わりに特開平6−9491
5号、特開平6−118232号に記載されているよう
な易接着加工を使用しても良い。
【0138】本発明のフィルムは本発明の乾燥収縮率と
することによって、80℃・90%RHで50時間処理
した前後での寸法変化率が幅方向、搬送方向ともに±
0.2%以内のフィルムとすることができた。特に寸法
変化しやすい総置換度2.3〜2.85の低置換度セル
ロースエステルや、膜厚10〜60μmの薄膜フィルム
であっても、効果的であり、偏光板保護フィルムとして
特に優れており、偏光板の寸法安定性向上に大きく寄与
することができ、これらの偏光板を用いた液晶表示装置
において、優れた表示性能を示すことができた。特に1
5型以上の画面サイズとなる大画面の表示装置において
は、高温高湿環境下で使用しても、偏光板の寸法変化に
よるしわの発生や周辺部での表示ムラなどが著しく低減
され、優れた表示性能を発揮することが確認された。
【0139】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0140】 実施例1 (ドープ組成物の調製) 三酢酸セルロース 100質量部 トリフェニルホスフェート 13質量部 2−(2′−ヒドロキシ−3′,5′−ジ−t−ブチルフェニル) ベンゾトリアゾール 3質量部 アエロジルR200V(日本アエロジル(株)製) 0.1質量部 メチレンクロライド 475質量部 エタノール 50質量部 以上を密閉容器に投入し、41℃で撹拌しながら完全に
溶解した。
【0141】(フィルムの調製)図2(d)で示される
工程を用い次に示す方法でフィルムを調製した。ドープ
組成物を濾過し、ドープ温度33℃で支持体上に幅10
00mmで均一に流延した。支持体の速度は20m/m
inで温度をコントロールしながら溶媒を蒸発させ、表
1に示す残留溶媒量で支持体上から剥離した後、ロール
搬送乾燥工程での乾燥を残留溶媒量が80質量%までは
30℃、80質量%未満では50℃で行った。次ぎに、
テンター搬送・乾燥工程で残留溶媒量が20質量%迄は
80℃で、20質量%未満は100℃で行い、更にテン
ター後のロール乾燥を130℃で行った。以上の方法に
より、表1に示す幅方向乾燥収縮率、搬送方向乾燥収縮
率の試料101〜120を作製した。延伸倍率は1.0
で行った。
【0142】乾燥終了時のフィルムの厚さは60μmで
あり、試料101〜120については、残留溶媒量は
0.1質量%未満であった。
【0143】残留溶媒量の測定はフィルムを115℃で
1時間乾燥した時のフィルムの質量をAとし、乾燥前の
フィルムの質量をBとしたとき、下式より求めた値であ
る。
【0144】 ((B−A)/A)×100=残留溶媒量(質量%) 各試料の寸法測定はフィルム試料について、長手方向1
50mm×幅方向120mmサイズに断裁し、該フィル
ム表面に100mm間隔で2ヶ所にカミソリ等の鋭利な
刃物で十文字型の印を付し、23℃55%RHの環境下
で24時間以上調湿し、工場顕微鏡で処理前の搬送方
向、及び幅方向のそれぞれの印間距離L1を測定する。
次に、該試料を高温高湿槽中で高温高湿処理(条件;8
0℃90%RHの環境下で120時間放置する)する。
再び、該試料を23℃55%RHの環境下で24時間調
湿し、工場顕微鏡で処理後の搬送方向及び幅方向のそれ
ぞれの印間距離L2を測定する。この処理前後の寸法変
化率を次式によって求め、結果を表1に示す。 (式) 寸法変化率(%)=(L1−L2)/L1×100 L1:処理前の印間距離 L2:処理後の印間距離
【0145】
【表1】
【0146】表1に示す如く、本発明の条件で作製した
試料はいずれも、寸法変化率が少なく安定性に優れてい
ることが確認され、特に乾燥収縮率が7%以下のもので
寸法変化率が小さく、良好な結果が得られた。これに対
して比較の試料114及び115は寸法変化率が大きか
った。
【0147】試料116は支持体からのフィルムの剥離
しにくく、剥離の際に搬送方向に伸びが起こった。試料
116は剥離する時の残留溶媒量が高いため、剥離時に
搬送方向に伸びやすく、特に搬送方向の寸法変化が大き
くなった。
【0148】 実施例2 (ドープ組成物の調製) メチレンクロライド 356kg エタノール 67kg CAP(セルロースアセテートプロピオネート:アセチル置換度2.0、 プロピオニル基置換度0.8、数平均分子量100,000) 100kg チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 0.5kg チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 1.0kg チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 1.0kg トリフェニルホスフェート 7kg エチルフタリルエチルグリコレート 4kg アエロジルR972V(日本アエロジル(株)製) 0.2kg 以上を密閉容器に投入し、41℃で撹拌しながら完全に
溶解した。
【0149】(フィルムの調製)図2(d)で示される
工程を用い次に示す方法でフィルムを調製した。ドープ
組成物を濾過し、ドープ温度33℃で支持体上に幅10
00mmで均一に流延した。支持体の速度は30m/m
inで温度をコントロールしながら溶媒を蒸発させ、表
2に示す残留溶媒量で支持体上から剥離した後、表2に
示したロール間隔、フリースパン比となるロール搬送・
乾燥工程で乾燥させた後、テンター搬送・乾燥工程でフ
ィルム両端を把持し、残留溶媒量が20質量%迄は80
℃で、20質量%未満は100℃で乾燥し、テンター搬
送・乾燥工程後のロール搬送・乾燥工程で乾燥を130
℃で行った。このようにして、表2に示す幅方向乾燥収
縮率、搬送方向乾燥収縮率の試料201〜208を作製
し、寸法変化率を測定した結果を表2に示す。乾燥終了
時のフィルムの厚さは40μm、残留溶媒量は全て0.
1質量%未満であった。残留溶媒量、寸法変化率の測定
は実施例1と同様な方法で行った。
【0150】
【表2】
【0151】本発明のロールスパン比5以下、あるいは
ロール間距離500mm以下のロール乾燥工程で乾燥を
行ったフィルムは更に寸法安定性に優れていることが確
認された。それに対して、フリースパン比が5以上であ
ったり乾燥収縮率が大きい試料206〜208は、本発
明の試料と比較して寸法変化率が大きかった。
【0152】 実施例3 (ドープ組成物の調製) メチレンクロライド 373kg エタノール 50kg セルローストリアセテート(アセチル基置換度 2.7) 100kg チヌビン326(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 0.5kg チヌビン109(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 1.0kg チヌビン171(チバスペシャルティケミカルズ(株)製) 1.0kg トリフェニルホスフェート 7kg エチルフタリルエチルグリコレート 4kg アエロジルR972V(日本アエロジル(株)製) 0.2kg 以上を密閉容器に投入し、41℃で撹拌しながら完全に
溶解した。
【0153】(フィルムの調製)図2(d)で示される
工程を用い次に示す方法でフィルムを調製した。ドープ
組成物を濾過し、ドープ温度33℃で支持体上に幅10
00mmで均一に流延した。支持体の速度は30m/m
inで温度をコントロールしながら溶媒を蒸発させ、表
3に示す残留溶媒量で支持体上から剥離した後、表3に
示すフリースパン比、搬送ロール間隔のロール搬送・乾
燥工程で乾燥させた後、次いでテンター工程で両端を把
持しながら所定の残留溶媒量まで乾燥させた。
【0154】テンター搬送・乾燥工程では、テンター装
置の入口から出口に向かって、幅手方向張力を増加させ
るとともにフィルムを搬送する張力と幅方向張力が略等
しくなるように調整しながら搬送し、乾燥させ、幅方向
乾燥収縮率、搬送方向乾燥収縮率の各試料を作製し、寸
法変化率を測定した結果を表3に示す。試料301では
支持体からフィルムを剥離後12秒後にフィルムを剥離
する張力よりもフィルムを搬送する張力を50N/m下
げて搬送を行った。これに対して、試料302では剥離
後10秒後に剥離張力よりも搬送張力を50N/m下げ
て搬送を行った。
【0155】乾燥終了時のフィルムの厚さは40μm、
残留溶媒量は0.1質量%であった。残留溶媒量、寸法
変化率の測定は実施例1と同様な方法で行った。
【0156】
【表3】
【0157】表3中テンター延伸倍率とは、テンター搬
送・乾燥工程に入る前のフィルムの幅方向の寸法をテン
ター搬送・乾燥工程後のフィルムの搬送方向の寸法で除
した値である。
【0158】支持体からフィルムを剥離後10秒以内
に、フィルムを剥離する張力に対して、フィルムを搬送
する張力を低減した試料302はさらに良好な寸法安定
性を得ることができた。
【0159】
【発明の効果】本発明によれば、高温度、高湿度の環境
下における寸法変動が少ないフィルムの溶液流延製膜法
による製造方法及び前記製造方法によるフィルムを提供
することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】偏光板の概略断面図である。
【図2】フィルムの溶液流延製膜法の模式図である。
【図3】ロール搬送・乾燥工程のロール搬送部分を拡大
した模式図である。
【図4】テンター搬送・乾燥工程の平面模式図である。
【図5】フィルムの端部を挟み押えるタイプのクリップ
及び差し込むタイプのピン型クリップで把持した状態の
模式図である。
【図6】スリースパン比を決定するためのロール間隔の
合計を計算するための考え方である。
【符号の説明】 1 偏光子 2 保護フィルム 3 鏡面帯状金属流延支持体 4 ダイス 6 セルロースエステルフィルム 7 テンター搬送・乾燥工程 8 張力カット手段 10 ロール搬送・乾燥工程 73 クリップ 74 チェーン 75 レール 104 上部搬送用ロール 105 下部搬送用ロール F ロールの接点間距離 U テンターの幅 V クリップとクリップの間隔
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 1:00 B29K 1:00 B29L 7:00 B29L 7:00 C08L 1:10 C08L 1:10 Fターム(参考) 2H049 BB33 BB51 BC22 2H091 FA08X FA08Z FC01 GA16 LA04 LA06 4F071 AA09 AF61 AF61Y AH16 AH19 BA02 BB02 BC01 BC10 4F205 AA01 AG01 AH73 AR04 AR20 GA07 GB02 GC07 GN22 GN24 GN29 GW26

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上にセルロースエステル樹脂を溶
    媒に溶解したセルロースエステル溶液(ドープ)を流延
    し、張力を掛けながら連続的に剥離し、搬送・乾燥工程
    で乾燥させる溶液流延製膜法により製造したセルロース
    エステルフィルムにおいて、式(1)で規定されるセル
    ロースエステルフィルムの搬送方向及び幅方向の乾燥収
    縮率が、式(2)を満たすことを特徴とするセルロース
    エステルフィルム。 式(1) 乾燥収縮率=(1−残留溶媒量1%まで乾燥されたとき
    の寸法(cm)/剥離直後の寸法(cm))×100 式(2) 0≦乾燥収縮率(%)≦0.1×剥離する時の残留溶媒
    量(%)
  2. 【請求項2】 支持体上にセルロースエステル樹脂を溶
    媒に溶解したセルロースエステル溶液(ドープ)を流延
    し、支持体上で溶媒を蒸発させ前記ドープがフィルム状
    に固化した後、残留溶媒量が70〜160質量%で支持
    体より張力を掛けながら連続的に剥離し、搬送・乾燥工
    程で乾燥させる溶液流延製膜法により製造したセルロー
    スエステルフィルムにおいて、下式(1)で規定される
    支持体から剥離し、乾燥し、巻き取る迄のセルロースエ
    ステルフィルムの搬送方向及び幅方向の乾燥収縮率が
    0.1〜7.0%であることを特徴とするセルロースエ
    ステルフィルム。 式(1) 乾燥収縮率=(1−残留溶媒量1%まで乾燥されたとき
    の寸法(cm)/剥離直後の寸法(cm))×100
  3. 【請求項3】 搬送・乾燥工程がロール搬送・乾燥工程
    またはロール搬送・乾燥工程とテンター搬送・乾燥工程
    及びそれらの組み合わせで構成されていることを特徴と
    する請求項1又は2に記載のセルロースエステルフィル
    ムの製造方法。
  4. 【請求項4】 剥離後のセルロースエステルフィルムの
    残留溶媒量が40〜100質量%の範囲内にあるとき、
    テンター搬送・乾燥工程で前記セルロースエステルフィ
    ルムの両端部を把持しながら少なくとも残留溶媒量を3
    0質量%以上減少させることを特徴とする請求項3に記
    載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 剥離後のセルロースエステルフィルムの
    テンター搬送・乾燥工程の入り口における残留溶媒量が
    40〜100質量%であり、出口における残留溶媒量が
    4〜20質量%であることを特徴とする請求項3又は4
    に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  6. 【請求項6】 テンター搬送・乾燥工程でセルロースエ
    ステルフィルムを搬送する張力がテンター搬送・乾燥工
    程の入り口から出口に向けて増加するようにしたことを
    特徴とする請求項3〜5の何れか1項に記載のセルロー
    スエステルフィルムの製造方法。
  7. 【請求項7】 テンター搬送・乾燥工程でセルロースエ
    ステルフィルムを搬送する張力とセルロースエステルフ
    ィルムを幅手方向の張力が略等しいことを特徴とする請
    求項3〜6の何れか1項に記載のセルロースエステルフ
    ィルムの製造方法。
  8. 【請求項8】 剥離後のセルロースエステルフィルムの
    残留溶媒量が40質量%以上で搬送するロール搬送・乾
    燥工程が、下式(3)で定義されるフリースパン比が5
    以下となるように搬送ロールが配置されたロール搬送・
    乾燥工程を有し、該ロール搬送・乾燥工程でセルロース
    エステルフィルムの残留溶媒量を10〜50質量%分減
    少させることを特徴とする請求項3に記載のセルロース
    エステルフィルムの製造方法。 式(3) フリースパン比=(ロール間隔の合計×2)/(ロール
    直径の合計×π) π:円周率
  9. 【請求項9】 ロール搬送・乾燥工程におけるロールの
    間隔が500mm以下であることを特徴とする請求項8
    に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】 搬送・乾燥工程でセルロースエステル
    フィルムを搬送する張力を、セルロースエステルフィル
    ムが支持体より剥離後、10秒以内に剥離する張力以下
    に減少させることを特徴とする請求項1〜9のいずれか
    1項に記載のセルロースエステルフィルムの製造方法。
  11. 【請求項11】 巻き取り後のセルロースエステルフィ
    ルムの残留溶媒量が0.1質量%未満であることを特徴
    とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のセルロー
    スエステルフィルムの製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項3〜11に記載の方法で製造さ
    れたことを特徴とするセルロースエステルフィルム。
  13. 【請求項13】 寸法変化率が、80℃・90%RHで
    50時間処理した時、幅方向、搬送方向ともに±0.2
    %以内であることを特徴とする請求項1、2、および1
    2のいずれか1項に記載のセルロースエステルフィル
    ム。
  14. 【請求項14】 総置換度2.3〜2.85のセルロー
    スエステルを含むことを特徴とする請求項1、2、12
    および13のいずれか1項に記載のセルロースエステル
    フィルム。
  15. 【請求項15】 膜厚が10〜60μmであることを特
    徴とする請求項1、2、12〜14のいずれか1項に記
    載のセルロースエステルフィルム。
  16. 【請求項16】 請求項1、2、12〜15のいずれか
    1項に記載のセルロースエステルフィルムを用いたこと
    を特徴とする偏光板保護フィルム。
  17. 【請求項17】 請求項1、2、12〜15のいずれか
    1項に記載のセルロースエステルフィルムを用いたこと
    を特徴とする偏光板。
  18. 【請求項18】 請求項1、2、12〜15のいずれか
    1項に記載のセルロースエステルフィルムを用いたこと
    を特徴とする表示装置。
  19. 【請求項19】 請求項17に記載の偏光板を用いたこ
    とを特徴とする表示装置。
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