JP2002241604A - 熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

熱可塑性樹脂組成物

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JP2002241604A
JP2002241604A JP2001037954A JP2001037954A JP2002241604A JP 2002241604 A JP2002241604 A JP 2002241604A JP 2001037954 A JP2001037954 A JP 2001037954A JP 2001037954 A JP2001037954 A JP 2001037954A JP 2002241604 A JP2002241604 A JP 2002241604A
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thermoplastic resin
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Masaaki Motai
政明 馬渡
Hiroyuki Mizouchi
博行 溝内
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DSM JSR Engineering Plastics KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐衝撃性に優れ、表面実装方式に供される樹
脂系部品の樹脂材料として使用された場合に、リフロー
炉内を通過した後における樹脂系部品の表面にブリスタ
ーを生じさせない、耐ブリスター性に優れた熱可塑性樹
脂組成物の提供。 【解決手段】 上記の課題は、ポリアミド樹脂よりなる
(A)成分と、下記一般式(I)で表される化合物より
なる(B)成分とが含有されてなり、前記(A)成分と
前記(B)成分との割合が、重量比で99.99:0.
01〜95:5である熱可塑性樹脂組成物によって解決
される。 【化1】 〔式中、R1 〜R4 は水素原子または炭素数1〜8のア
ルキル基で、それぞれ同一でも異なっていてもよいが、
少なくとも1つは炭素数1〜8のアルキル基である。R
5 は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基、Xは炭
素数1〜8のアルキレン基、Y1 〜Y2 は水素原子また
は水酸基で、少なくとも1つは水酸基である。〕

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐衝撃性に優れ、
リフロー炉内でハンダ付けを行う際の耐ブリスター性が
良好な熱可塑性樹脂塑性物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリアミド4,6樹脂(ナイロン4,
6)や、テレフタル酸等の芳香族基を有するモノマーか
ら得られるポリイミド樹脂は、機械的性質、物理的性質
および成形加工性に優れ、また、高い融点をするために
熱的性質にも優れた樹脂材料であり、このような理由か
ら、電気・ 電子部品、車輌部品、各種機器、雑貨等の幅
広い分野に利用されている。然るに、このようなポリア
ミド樹脂は、高い融点を有することから、耐熱性が高い
ものである反面、一般に、加工温度が高いものであるた
め、加工時における熱劣化によって耐衝撃性が低下す
る、という問題がある。
【0003】また、近年、電気・電子工業の分野では、
製品の小型化や生産性の向上に伴い、コネクター、スイ
ッチ、リレー、コイルボビン等の樹脂系電子部品を、表
面実装方式(Surface−Mount Techn
ology 方式)によって、プリント基板上にハンダ
付けする方法が採用されるようになっている。ここで、
「表面実装方式」とは、プリント印刷された配線基板上
に、クリーム状のハンダを介して電子部品を載せた後、
当該配線基板を、加熱炉(リフロー炉)内を通過させる
ことによってハンダを溶融して固化することにより、配
線基板上に電子部品を固定する実装方式をいう。この表
面実装方式は、配線基板のスルーホールに電子部品のリ
ード線を通し、電子部品を装着する面とは反対側の面に
直接ハンダ付け(フリーソルダリングまたはウェーブソ
ルダリング)を行う従来の挿入実装方式(リードスルー
方式)とは異なる。この表面実装方式は、実装密度を高
くすることができること、基板の表裏両面の実装が可能
であること、効率化によって製造コストを低減させるこ
とができること等の利点があり、ハンダ付けによる実装
方式の主流となっている。
【0004】しかしながら、ポリアミド樹脂等の従来公
知の樹脂材料から構成される電子部品を、表面実装方式
を適用して配線基板に固定(ハンダ付け)する場合にお
いて、当該電子部品を載置した配線基板がリフロー炉内
を通過する際に当該電子部品の表面にブリスター(ふく
れ)が生じることがあり、環境保全等の観点から有利な
鉛フリーハンダの使用による炉内温度(設定温度)の上
昇に伴って、ブリスターの発生頻度が増加する傾向にあ
る。このブリスターが発生する原因については、十分に
解明されていない。そして、ブリスターが発生した製品
は、その商品価値が著しく減殺されてしまうという問題
がある。このため、表面実装方式に供される樹脂系電子
部品を構成する樹脂材料として、リフロー炉内でハンダ
付けを行う際の耐ブリスター性(以下、単に「耐ブリス
ター性」ともいう。)に優れた熱可塑性樹脂材料の開発
が望まれている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な事情に基づいてなされたものであって、その目的は、
耐衝撃性に優れ、しかも、表面実装方式に供される樹脂
系部品の樹脂材料として使用された場合に、リフロー炉
内を通過した後における当該樹脂系部品の表面にブリス
ターを生じさせない、耐ブリスター性に優れた熱可塑性
樹脂組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明者らが鋭意研究を重ねた結果、ポリアミド
樹脂に特定の構造を有するフェノール系化合物を特定の
割合で含有させることにより、耐衝撃性および耐ブリス
ター性に優れた熱可塑性樹脂組成物が得られることを見
い出し、かかる知見に基いて本発明を完成するに至っ
た。
【0007】すなわち、本発明の熱可塑性樹脂組成物
は、ポリアミド樹脂よりなる(A)成分と、下記一般式
(I)で表される化合物よりなる(B)成分とが含有さ
れてなり、前記(A)成分と前記(B)成分との割合
が、重量比で99.99:0.01〜95:5であるこ
とを特徴とする。
【0008】
【化2】
【0009】〔式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、
水素原子または炭素数が1〜8のアルキル基を示し、R
1 、R2 、R3 およびR4 は、それぞれ同一のものであ
っても異なるものであってもよい。但し、R1 〜R4
うち少なくとも1つは炭素数が1〜8のアルキル基であ
る。R5 は、水素原子または炭素数が1〜3のアルキル
基を示す。Xは、炭素数が1〜8のアルキレン基を示
す。Y1 およびY2 は、水素原子または水酸基を示し、
1 およびY2 のうち少なくとも1つは水酸基であ
る。〕
【0010】本発明の熱可塑性樹脂組成物においては、
前記(A)成分および前記(B)成分の合計100重量
部に対して、難燃剤よりなる(C)成分5〜70重量部
と、難燃助剤よりなる(D)成分0〜50重量部とが含
有されていてもよい。また、本発明の熱可塑性樹脂組成
物においては、前記(A)成分および前記(B)成分の
合計100重量部に対して、無機充填材よりなる(E)
成分5〜300重量部が含有されていてもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の熱可塑性樹脂組成
物について詳細に説明する。 〈(A)成分〉本発明の熱可塑性樹脂組成物において、
(A)成分として用いられるポリアミド樹脂は、アミド
結合(−NHCO−)を有するポリマーであり、このよ
うなポリアミド樹脂としては、例えば、ジアミンとジカ
ルボン酸とを重縮合することによって得られるポリマ
ー、アミノカルボン酸を重縮合することによって得られ
るポリマー、ラクタム類を開環重合することによって得
られるポリマー等を用いることができる。ポリアミド樹
脂は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて(A)
成分として用いることができる。
【0012】ポリアミド樹脂を得るためのジアミンとし
ては、脂肪族系ジアミン類、芳香族系ジアミン類、脂環
族系ジアミン類を用いることができる。
【0013】脂肪族系ジアミン類としては、炭素数が3
〜18の直鎖状のまたは側鎖を有するジアミンを用いる
ことが好ましく、その具体例としては、1,3−トリメ
チレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、
1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチ
レンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,
8−オクタメチレンジアミン、2−メチルー1,8−オ
クタンジアミン、1,9−ノナメチレンジアミン、1,
10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカンメ
チレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミン、
1,13−トリデカメチレンジアミン、1,14−テト
ラデカメチレンジアミン、1,15−ペンタデカメチレ
ンジアミン、1,16−ヘキサデカメチレンジアミン、
1,17−ヘプタデカメチレンジアミン、1,18−オ
クタデカメチレンジアミン、2,2,4−トリメチルヘ
キサメチレンジアミシ、2,4,4−トリメチルヘキサ
メチレンジアミン等が挙げられ、これらは、1種単独で
または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0014】芳香族系ジアミン類としては、分子中に少
なくとも1つのフェニレン基を有する炭素数が6〜27
のジアミンを用いることが好ましく、その具体例として
は、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミ
ン、p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミ
ン、p−キシリレンジアミン、3,4−ジアミノジフェ
ニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテ
ル、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、3,3’−
ジアミノジフェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジ
フェニルスルフォン、4,4’−ジアミノジフェニルス
ルフィド、4,4’−ジ(m−アミノフェノキシ)ジフ
ェニルスルフォン、4,4’−ジ(p−アミノフェノキ
シ)ジフェニルスルフォン、ベンジジン、3,3’−ジ
アミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェ
ノン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、
1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタ
レン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェ
ニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フ
ェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−
アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミ
ノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフ
ェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノ
キシ)ベンゼン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエ
チル−5,5’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’
−ジアミノ−3,3’,5,5’−テトラメチルジフェ
ニルメタン、2,4−ジアミノトルエン、2,2’−ジ
メチルベンジジン等が挙げられ、これらは、1種単独ま
たは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0015】脂環族系ジアミン類としては、分子中に少
なくとも1つのシクロヘキシレン基を有する炭素数が4
〜15のジアミンを用いることが好ましい、その具体例
としては、4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシレンメ
タン、4,4’−ジアミノ−ジシクロヘキシレンプロパ
ン、4,4’−ジアミノ−・3,3’−ジメチル−ジシ
クロヘキシレンメタン、1,4−ジアミノシクロヘキサ
ン、ピペラジン等が挙げられ、これらは、1種単独また
は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】ポリアミド樹脂を得るためのジカルボン酸
としては、脂肪族系ジカルボン酸類、芳香族系ジカルボ
ン酸類、脂環族系ジカルボン酸類を用いることができ
る。
【0017】脂肪族系ジカルボン酸類としては、炭素数
が2〜18の飽和または不飽和のジカルボン酸を用いる
ことが好ましく、その具体例としては、シュウ酸、マロ
ン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン
酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカ
ン二酸、ドデカン二酸、プラシリン酸、テトラデカン二
酸、ペンタデカン二酸、オクタデカン二酸、マレイン
酸、フマル酸等が挙げられ、これらは、1種単独または
2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0018】芳香族系ジカルボン酸類としては、分子中
に少なくとも1つのフェニレン基を有する炭素数が8〜
15のジカルボン酸を用いることが好ましく、その具体
例としては、イソフタル酸、テレフタル酸、メチルテレ
フタル酸、ビフェニル−2,2’−ジカルボン酸、ビフ
ェニル−4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルメタン−
4,4’−ジカルボン酸、ジフェニルエーテル−4,
4’−ジカルボン酸、ジフェニルスルフォン−4,4’
−ジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、
2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,4−ナフタレン
ジカルボン酸等が挙げられ、これらは、1種単独でまた
は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】ポリアミド樹脂を得るためのアミノカルボ
ン酸としては、炭素数が4〜18のアミノカルボン酸を
用いることが好ましく、その具体例としては、4−アミ
ノ酪酸、6−アミノヘキサン酸、7−アミノヘプタン
酸、8−アミノオクタン酸、9−アミノノナン酸、10
−アミノデカン酸、11−アミノウンデカン酸、12−
アミノドデカン酸、14−アミノテトラデカン酸、16
−アミノヘキサデカン酸、18−アミノオクタデカン酸
等が挙げられ、これらは、1種単独または2種以上を組
み合わせて用いることができる。
【0020】ポリアミド樹脂を得るためのラクタム類の
具体例としては、ε−カプロラクタム、ω−ラウロラク
タム、ζ−エナントラクタム、η−カプリルラクタム等
が挙げられ、これらは、1種単独または2種以上を組み
合わせて用いることができる。
【0021】(A)成分として用いられるポリアミド樹
脂は、その融点が270℃以上のものであることが好ま
しく、より好ましくは280℃以上である。ここで、ポ
リアミド樹脂の「融点」とは、示差熱分析(DSC)に
より測定された、結晶融解によって検出される吸熱のピ
ークトップにおける温度をいう。また、2種以上のポリ
アミド樹脂の混合物を用いる場合においては、それらの
いずれかの単独での融点が270℃未満(または280
℃未満)であっても、混合物としての融点が270℃以
上(または280℃以上)であればよい。また、混合物
としての融点が2点以上検出される場合であって、それ
らのいずれかが270℃未満(または280℃未満)で
あるときには、単独での融点が270℃以上(または2
80℃以上)であるポリイミド樹脂の割合が混合物中に
50重量%含有されていればよい。
【0022】(A)成分として好ましいポリアミド樹脂
の具体例としては、1,4−テトラメチレンジアミンと
アジピン酸とから得られるポリアミド樹脂(ナイロン
4,6)、1,6−ヘキサメチレンジアミンとテレフタ
ル酸とから得られるポリアミド樹脂、1,6−ヘキサメ
チレンジアミンとテレフタル酸とε−カプロラクタムと
から得られるポリアミド樹脂、1,6−ヘキサメチレン
ジアミンとテレフタル酸とアジピン酸とから得られるポ
リアミド樹脂、1,9−ノナメチレンジアミンとテレフ
タル酸とから得られるポリアミド樹脂、1,9−ノナメ
チレンジアミンとテレフタル酸とε−カプロラクタムと
から得られるポリアミド樹脂、1,9−ノナメチレンジ
アミンと1,6−ヘキサメチレンジアミンとテレフタル
酸とアジピン酸とから得られるポリアミド樹脂、2−メ
チル−1,8−オクタンジアミンと1,9−ノナメチレ
ンジアミンとテレフタル酸とから得られるポリアミド樹
脂、m−キシリレンジアミンとアジピン酸とから得られ
るポリアミド樹脂などが挙げられる。これらの中では、
1,4−テトラメチレンジアミンとアジピン酸とから得
られるポリアミド樹脂、1,6−ヘキサメチレンジアミ
ンとテレフタル酸とから得られるポリアミド樹脂、1,
9−ノナメチレンジアミンとテレフタル酸とから得られ
るポリアミド樹脂、2−メチル−1,8−オクタンジア
ミンと1,9−ノナメチレンジアミンとテレフタル酸と
から得られるポリアミド樹脂がより好ましく、1,4−
テトラメチレンジアミンとアジピン酸とから得られるポ
リアミド樹脂が特に好ましい。また、1,6−ヘキサメ
チレンジアミンとテレフタル酸とから得られるポリアミ
ド樹脂に、ε−カプロラクタムから得られるポリアミド
樹脂、1,6−ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸と
から得られるポリアミド樹脂、または1,6−ヘキサメ
チレンジアミンとアジピン酸とε−カプロラクタムとか
ら得られるポリアミド樹脂を混合したものも好ましく用
いることができる。
【0023】(A)成分として用いられるポリアミド樹
脂は、末端基の少なくとも一部が末端封止剤によって封
止されていてもよい。末端封止剤としては、ポリアミド
末端のアミノ基またはカルボキシル基と反応性を有する
単官能性の化合物であれば特に制限はないが、反応性お
よび封止末端の安定性などの点から、モノカルボン酸ま
たはモノアミンが好ましく、取扱いの容易さなどの点か
ら、モノカルボン酸がより好ましい。その他、無水フタ
ル酸などの酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロ
ゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類なども使
用することができる。
【0024】末端封止剤として使用されるモノカルボン
酸としては、アミノ基との反応性を有するものであれば
特に制限はないが、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、
吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデ
シル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
ピバリン酸、イソブチル酸などの脂肪族モノカルボン
酸;シクロヘキサンカルボン酸などの脂環式モノカルボ
ン酸;安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン
酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカル
ボン酸、フェニル酢酸などの芳香族モノカルボン酸を挙
げることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み
合わせて使用することができる。これらのうち、反応
性、封止末端の安定性、価格などの点から、酢酸、プロ
ピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラ
ウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン
酸、ステアリン酸、安息香酸が特に好ましい。ポリアミ
ドの末端基をモノカルボン酸で封止する場合には、ポリ
アミドの製造に際してジカルボン酸成分に対するジアミ
ン成分の使用モル数をわずかに多くして、ポリアミドの
両末端がアミノ基になるようにし、モノカルボン酸を末
端封止剤として加えればよい。
【0025】末端封止剤として使用されるモノアミンと
しては、カルボキシル基との反応性を有するものであれ
ば特に制限はないが、例えばメチルアミン、エチルアミ
ン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、
オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジ
メチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジ
ブチルアミンなどの脂肪族モノアミン;シクロヘキシル
アミン、ジシクロヘキシルアミンなどの脂環式モノアミ
ン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチ
ルアミンなどの芳香族モノアミンを挙げることができ、
これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用する
ことができる。これらのうち、反応性、沸点、封止末端
の安定性および価格などの点から、ブチルアミン、ヘキ
シルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリ
ルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリンが特に好ま
しい。ポリアミドの末端基をモノアミンで封止する場合
には、ポリアミドの製造に際してジカルボン酸成分に対
するジアミン成分の使用モル数をわずかに少なくして、
ポリアミドの両末端がカルボキシル基になるようにし、
モノアミンを末端封止剤として加えればよい。
【0026】また、(A)成分として用いられるポリア
ミド樹脂には、当該ポリアミド樹脂を得るための反応系
に、官能基を3個以上有する多価カルボン酸を添加して
重合することにより、これらの多価カルボン酸に由来す
る構造単位が導入されていてもよい。ここで、官能基を
3個以上有する多価カルボン酸としては、トリメリット
酸、トリメシン酸、ピロメリット酸等を用いることがで
き、その使用割合は、最終的に得られる熱可塑性樹脂組
成物の溶融成形による成形性が損なわれない範囲であれ
ばよい。
【0027】(A)成分として用いられるポリアミド樹
脂の重合度は、特に限定されないが、96%濃硫酸1g
/dl(25℃)によって測定された相対粘度が1.5
〜6.0の範囲となる重合度であることが好ましい。
【0028】(A)成分として用いられるポリアミド樹
脂を製造する方法としては、ポリアミド樹脂を製造する
方法として従来公知の重合法、すなわち、溶融重合法、
固相重合方、溶液重合法、反応型押出機を使用する重合
法およびこれらを組み合わせた重合法などを利用するこ
とができる。
【0029】(A)成分であるポリアミド樹脂を製造す
る際に用いることができる触媒としては、従来公知の触
媒、例えばリン酸、亜リン酸、次亜リン酸;それらのア
ンモニウム塩;それらの金属塩(カリウム、ナトリウ
ム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コ
バルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム,
チタン、アンチモンなどの金属塩);それらのエステル
類(エチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエ
ステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オク
タデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステ
ル、フェニルエステル)などを挙げることができる。
【0030】〈(B)成分〉本発明の熱可塑性樹脂組成
物に用いられる(B)成分は、上記一般式(I)で表さ
れる化合物(以下、「特定のフェノール系化合物」とも
いう。)である。特定のフェノール化合物の構造を示す
一般式(I)において、基R1 、基R2、基R3 および
基R4 は、それぞれ水素原子または炭素数が1〜8のア
ルキル基であり、これらの基R1 〜基R4 は、それぞれ
同一の基であっても異なる基であってもよい。但し、基
1 〜基R4 のうち少なくとも1つは1〜8のアルキル
基である。また、基R5 は、水素原子または炭素数が1
〜3のアルキル基である。また、基Xは、炭素数が1〜
8のアルキレン基である。また、基Y1 および基Y 2
水素原子または水酸基であり、基Y1 および基Y2 のう
ち少なくとも1つは水酸基である。
【0031】また、一般式(I)において、基Y1 およ
び基Y2 は、基Xが結合した炭素原子の近傍の炭素原子
に結合していることが好ましい。また、Y1 が水酸基で
かつY2 が水素原子であることが好ましい。また、基R
1 〜基R4 のうち2つ以上が炭素数が1〜8のアルキル
基であることが好ましく、さらに好ましくは基R1 〜基
4 のうち3つ以上が炭素数が1〜8のアルキル基、特
に好ましくは基R1 〜基R4 の4つ全てが炭素数が1〜
8のアルキル基である。また、基R5 は、水素原子また
はメチル基であることが好ましく、さらに好ましくは水
素原子である。特定のフェノール系化合物のうち好まし
い化合物としては、下記一般式(II)で表されるもので
ある。
【0032】
【化3】
【0033】〔式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、
水素原子または炭素数が1〜8のアルキル基を示し、R
1 、R2 、R3 およびR4 は、それぞれ同一のものであ
っても異なるものであってもよい。但し、R1 〜R4
うち、少なくとも1つは炭素数が1〜8のアルキル基で
あり、好ましくは2つ以上、さらに好ましくは3つ以
上、特に好ましくは4つ全てが炭素数が1〜8のアルキ
ル基である。Xは、炭素数が1〜8のアルキレン基を示
す。〕
【0034】また、好ましい特定のフェノール系化合物
としては、基R1 および基R2 が、下記式(1)で表さ
れる基または下記式(2)で表される基であって、基X
が下記式(3)で表される基または下記式(4)で表さ
れる基である化合物である。
【0035】
【化4】
【0036】本発明の熱可塑性樹脂組成物において、
(A)成分と(B)成分との割合は、重量比で99.9
9:0.01〜95:5とされ、好ましくは99.9
5:0.05〜97:3であり、特に好ましくは99.
95:0.05〜99:1である。(B)成分の割合が
過小((A)成分の割合が過大)である場合には、耐衝
撃性および耐ブリスター性に優れた熱可塑性樹脂組成物
を得ることが困難となることがある。一方、(B)成分
の割合が過大((A)成分の割合が過小)である場合に
は、耐衝撃性および耐ブリスター性に優れた熱可塑性樹
脂組成物を得ることが困難となることがある。
【0037】〈(C)成分〉本発明の熱可塑性樹脂組成
物においては、(C)成分として難燃剤が含有されてい
てもよい。かかる難燃剤としては、臭素系難燃剤、塩素
系難燃剤等のハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤等を用い
ることができ、これらは単独でまたは2種以上を組み合
わせて使用することができる。これらのうち、ハロゲン
系難燃剤が好ましく、臭素系難燃剤が特に好ましい。臭
素系難燃剤の中で好ましいものとしては、臭素化ポリス
チレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化エポキ
シオリゴマーを挙げることができ、臭素化ポリスチレン
が特に好ましい。
【0038】(C)成分として用いられる臭素化ポリス
チレンは、下記一般式(III)で表される構造を有する化
合物であることが好ましい。
【0039】
【化5】
【0040】(C)成分として用いられる臭素化ポリス
チレンは、臭素化スチレンを重合するか、またはポリス
チレンを臭素化することにより製造される。以下、前者
により得られる臭素化ポリスチレンを「ポリ臭素化スチ
レン」ともいい、後者により得られる臭素化ポリスチレ
ンを「後臭素化ポリスチレン」ともいう。臭素化ポリス
チレン中の臭素含有率は、40〜75重量%であること
が好ましく、更に好ましくは50〜75重量%とされ
る。
【0041】(C)成分として用いられる臭素化ポリス
チレンは、必要に応じて、臭素化スチレンまたはスチレ
ンと共重合可能な単量体に由来する構造単位を含んでも
よい。かかる共重合可能な単量体としては、エチレン、
プロピレン、ブタジエン、ブテン、ヘキセン、ペンテ
ン、メチルブテン、メチルペンテン、スチレン、アクリ
ロニトリル、塩化ビニル、酢酸ビニル等が挙げられ、こ
れらのうち、エチレン、プロピレン、ブタジエン、スチ
レン、アクリロニトリルが好ましい。
【0042】臭素化ポリスチレンを製造するに際して、
官能基含有ビニル単量体を使用することもできる。かか
る官能基含有ビニル単量体は、臭素化スチレンと共重合
させるために使用してもよいし、臭素化ポリスチレンの
末端等を修飾するために使用してもよい。官能基含有ビ
ニル単量体の有する官能基としては、カルボキシル基、
酸無水物基、オキサゾリン基、エポキシ基を挙げること
ができる。官能基含有ビニル単量体の具体例としては、
アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン
酸、無水イタコン酸、ビニルオキサゾリン、グリシジル
メタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げら
れる。
【0043】(C)成分として用いられる臭素化ポリス
チレンの重量平均分子量(Mw)としては、特に制限は
ないが、5,000〜500,000であることが好ま
しく、更に好ましくは10,000〜300,000と
される。この重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)を用い、テトラ
ヒドロフラン(THF)を溶媒として、当該臭素化ポリ
スチレンを1mg/mlの濃度に溶解させ、流量1.0
ml/分、温度36〜40℃の条件で測定することによ
り、ポリスチレン換算の重量平均分子量として得ること
ができる。
【0044】(C)成分を構成する臭素化ポリスチレン
の具体例を下記表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】上記表1に示した臭素化ポリスチレンのう
ち、臭素化スチレンを重合して得られるポリ臭素化スチ
レンであるC−1、C−2、C−3が好ましい。(C)
成分としてポリ臭素化スチレンを使用することにより、
一段と優れた本発明の効果が得られる。
【0047】本発明の熱可塑性樹脂組成物における
(C)成分の含有量としては、前記(A)成分と前記
(B)成分との合計100重量部に対して、通常5〜7
0重量部とされ、好ましくは10〜60重量部とされ
る。(C)成分の含有量が5重量部未満では、難燃剤の
添加効果である耐燃焼性を樹脂組成物に対して充分に付
与することができない。一方、(C)成分の含有量が7
0重量部を超えると、得られる樹脂組成物の耐衝撃性お
よび耐ブリスター性が低下する。
【0048】〈(D)成分〉本発明の熱可塑性樹脂組成
物においては、前記(C)成分と共に、(D)成分とし
て難燃助剤が含有されていてもよい。かかる難燃助剤と
しては、周期律表第Va族の金属化合物及び他の金属化
合物を挙げることができる。ここに、周期律表第Va族
の金属化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アン
チモン、アンチモン酸ナトリウム等のアンチモン化合物
が挙げられる。また、他の金属化合物としては、酸化ホ
ウ素、酸化ジルコニウム、酸化鉄、酸化亜鉛等が挙げら
れる。これらの金属化合物は、単独でまたは2種以上を
組み合わせて使用することができる。これらのうち、第
Va族の金属化合物であるアンチモン化合物が好まし
く、三酸化アンチモンが特に好ましい。
【0049】本発明の熱可塑性樹脂組成物における
(D)成分の含有量としては、前記(A)成分と前記
(B)成分との合計100重量部に対して、通常0〜5
0重量部とされ、好ましくは1〜30重量部とされる。
(D)成分の含有量が50重量部を超えると、得られる
樹脂組成物の耐衝撃性およひ耐ブリスター性が低下す
る。
【0050】〈(E)成分〉本発明の熱可塑性樹脂組成
物においては、(E)成分として無機充填材が含有され
ていてもよい。かかる無機充填材としては、従来公知の
無機充填材、例えば、繊維状、粉末状、粒状、板状、針
状、クロス状、マット状等の種々の充填材が挙げられ
る。(E)成分の具体例としては、ガラス繊維、アスベ
スト繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、炭酸カルシウ
ム、タルク、カタルボ、ワラステナイト、シリカ、アル
ミナ、シリカアルミナ、ケイソウ土、クレー、焼成クレ
ー、カオリン、マイカ(微細雲母)、粒状ガラス、ガラ
スフレーク、ガラスバルーン(中空ガラス)、せっこ
う、ベンガラ、金属繊維、二酸化チタン、チタン酸カリ
ウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー等の合
成および天然鉱物ウイスカー、酸化マグネシウム、ケイ
酸カルシウム、アスベスト、アルミン酸ナトリウム、ア
ルミン酸カルシウム、アルミニウム、酸化アルミニウ
ム、水酸化アルミニウム、銅、ステンレス、酸化亜鉛、
金属ウイスカー等が挙げられる。これらのうち、ガラス
繊維、炭素繊維、カオリン、マイカ、タルク、各種ウイ
スカーは、機械的強度の向上効果に優れていることから
好ましく、ガラス繊維、カオリン、タルクは、経済性の
点から特に好ましい。
【0051】(E)成分として使用する無機充填材は、
本発明の熱可塑性樹脂組成物の成形性や物性を損なわな
い限りにおいて、表面処理が施されたものであってもよ
い。中でも、アミノシラン、アクリルシラン、ビニル、
ウレタン、アクリルウレタン等に代表される化合物(収
束剤等)による表面処理を施した無機充填材を好ましく
用いることができる。
【0052】本発明の熱可塑性樹脂組成物における
(E)成分の含有量としては、前記(A)成分と前記
(B)成分とからなる特定のポリアミド樹脂成分100
重量部に対して、通常5〜300重量部とされ、好まし
くは5〜200重量部、更に好ましくは5〜150重量
部とされる。(E)成分の含有量が5重量部未満では、
充填材の添加効果である剛性や寸法安定性の向上効果を
樹脂組成物に対して充分に付与することができない。一
方、(E)成分の含有量が300重量部を超えると、得
られる樹脂組成物の耐衝撃性および耐ブリスター性が低
下する。
【0053】〈その他の成分〉本発明の熱可塑性樹脂組
成物には、要求される特性等に応じて、その成形性及び
物性を損なわない限りにおいて、上記(A)成分〜
(E)成分以外の任意成分、例えば、顔料、染料、紫外
線吸収剤、耐候剤、滑剤、結晶核剤、離型剤、可塑剤、
帯電防止剤、親水性ゼオライト、疎水性ゼオライト等が
含有されていてもよい。
【0054】また、本発明の熱可塑性樹脂組成物の耐熱
性を向上させることを目的として、ヨウ化銅等の銅化合
物、芳香族アミン化合物、ヒンダードフェノール化合
物、有機リン化合物、硫黄化合物等の酸化防止剤あるい
は熱安定剤を添加含有させることができ、酸化防止剤と
しては、ヒンダードフェノール化合物、有機リン化合
物、硫黄化合物が好ましく、その使用割合は、前述の
(B)成分の割合と同程度であることが好ましい。
【0055】さらに、本発明の熱可塑性樹脂組成物に
は、ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂として、ポリフ
ェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルエ
ーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリスルホン樹脂、液
晶ポリマー(LCP)、ABS樹脂、ポリスチレン(P
S、HIPS)樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重
合体(AS)樹脂、ポリエステル樹脂、ジンジオタクチ
クポリスチレン、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)樹脂、ポリフッ化ビニリデン樹脂、アラミド繊維、
ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹
脂を含有させることができる。これらの熱可塑性樹脂
は、カルボキシル基、酸無水物基、エポキシ基、水酸
基、オキサゾリン基、アミノ基、アミド基等の官能基で
変性されたものでもよい。
【0056】〈熱可塑性樹脂組成物の製造方法〉本発明
の熱可塑性樹脂組成物は、(A)成分および(B)成
分、並びに必要に応じて含有される(C)成分〜(E)
成分およびその他の成分を、混練機を用いて溶融混練す
ることによって製造することができる。本発明の熱可塑
性樹脂組成物を製造するために使用する混練機として
は、押出機、ニーダー、ロール、ブラベンダー、バンバ
リーミキサー、連続ニーダーを挙げることができ、これ
らを組み合わせて使用することも可能である。これらの
うち、押出機が好ましく、特に二軸押出機が好ましい。
【0057】本発明の熱可塑性樹脂組成物の構成成分を
混練機内に投入して混練する方法としては、(i)すべ
ての成分の全量を一括して投入して混練する方法、(i
i)一部の成分を1回または複数回に分けて投入して混
練した後、残りの成分を1回または複数回に分けて投入
して混練する方法、(iii)すべての成分の一部を1回ま
たは複数回に分けて投入して混練した後、すべての成分
の残部を1回または複数回に分けて投入して混練する方
法等を例示することができる。
【0058】〈熱可塑性樹脂組成物の成形方法〉本発明
の熱可塑性樹脂組成物は、任意の成形方法、例えば、射
出成形、圧縮成形、真空成形、シート成形、フィルム成
形、インジェクションプレス成形、ブロー成形、異型押
出成形、二色成形、サーモエジェクト成形、インサート
成形、アウトサート成形等によって成形することができ
る。
【0059】<熱可塑性樹脂組成物の用途>本発明の熱
可塑性樹脂組成物は、優れた性能を有することから、電
機・電子、車輛、家電、建築、サニタリー、スポーツ、
雑貨等の幅広い分野で使用することができる。具体的に
は、コネクター、スイッチ、センサー、ソケット、コン
デンサー、ジャック、ヒューズホルダー、リレー、コイ
ルボビン、抵抗器、ICやLEDのハウジング、ギア、
ベアリングリテーナー、スプリングホルダー、チェーン
テンショナー、ワッシャー、ウォームホイール、ベル
ト、フィルター、各種ハウジング、オートテンショナー
及びウエイトローラー、ブレーカーパーツ、クラッチパ
ーツ等が挙げられる。中でも、本発明の熱可塑性樹脂組
成物は、特に表面実装方式対応用のコネクター、スイッ
チ、センサー、抵抗器、リレー、コンデンサー、ソケッ
ト、ジャック、ヒューズホルダー、コイルボビン、IC
やLEDのハウジング等に有用である。
【0060】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例について説明
するが、本発明は、これらの実施例に限定されるもので
はない。尚、以下の実施例および比較例中の「%」およ
び「部」は、特に断らない限り、「重量%」および「重
量部」を意味する。
【0061】〔(A)成分〕下記のポリアミド樹脂(a
1)〜ポリアミド樹脂(a6)を用意した。 (1)ポリアミド樹脂(a1):1,4−テトラメチレ
ンジアミンとアジピン酸とを縮重合して得られるポリア
ミド4,6樹脂であって、融点が300℃で、96%濃
硫酸1g/dl(25℃)によって測定された相対粘度
が3.5のもの。 (2)ポリアミド樹脂(a2):ε−カプロラクタムか
ら得られるポリアミド6樹脂であって、融点が223℃
で、96%濃硫酸1g/dl(25℃)によって測定さ
れた相対粘度が3.3のもの。 (3)ポリアミド樹脂(a3):1,6−ヘキサメチレ
ンジアミンとアジピン酸とを縮重合して得られるポリア
ミド6,6樹脂であって、融点が261℃で、96%濃
硫酸1g/dl(25℃)によって測定された相対粘度
が3.2のもの。 (4)ポリアミド樹脂(a4):1,6−ヘキサメチレ
ンジアミンとテレフタル酸とを縮重合して得られるポリ
アミド樹脂であって、融点が370℃で、96%濃硫酸
1g/dl(25℃)によって測定された相対粘度が
2.9のもの。 (5)ポリアミド樹脂(a5):1,9−ノナメチレン
ジアミンとテレフタル酸とを、末端封止剤として安息香
酸を用いて縮重合して得られるポリアミド樹脂であっ
て、融点が315℃で、96%濃硫酸1g/dl(25
℃)によって測定された相対粘度が3.5のもの。 (6)ポリアミド樹脂(a6):1,9−ノナメチレン
ジアミン85モル%および2−メチル−1,8−オクタ
ンジアミン15モル%よりなるジアミンとテレフタル酸
とを、末端封止剤として安息香酸を用いて縮重合して得
られるポリアミド樹脂であって、融点が306℃で、9
6%濃硫酸1g/dl(25℃)によって測定された相
対粘度が3.5のもの。
【0062】〈調製例1〉上記ポリアミド樹脂(a1)
をそのまま(A)成分とした。以下、これを(A−1)
成分とする。 〈調製例2〉上記ポリアミド樹脂(a1)90部と上記
ポリアミド樹脂(a2)10部とを混合し、この混合物
を二軸押出機を用いて溶融混練し、得られた混練物を
(A)成分とした。以下、これを(A−2)成分とす
る。この(A−2)成分の融点は292℃であった。 〈調製例3〉上記ポリアミド樹脂(a3)60部と上記
ポリアミド樹脂(a4)40部とを混合し、この混合物
を二軸押出機を用いて溶融混練し、得られた混練物を
(A)成分とした。以下、これを(A−3)成分とす
る。この(A−3)成分の融点は304℃であった。 〈調製例4〉上記ポリアミド樹脂(a5)をそのまま
(A)成分とした。以下、これを(A−4)成分とす
る。 〈調製例5〉上記ポリアミド樹脂(a6)をそのまま
(A)成分とした。以下、これを(A−4)成分とす
る。
【0063】〔(B)成分〕(B)成分として、下記式
(5)で表される化合物(住友化学(株)製の「スミラ
イザーGS」)および下記式(6)で表される化合物
(住友化学(株)製の「スミライザーGM」)を用意し
た。以下、下記式(5)で表される化合物を(B−1)
成分とし、下記式(6)で表される化合物を(B−2)
成分とする。
【0064】
【化6】
【0065】
【化7】
【0066】〔(C)成分〕(C)成分(難燃剤)とし
て、ポリ臭素化スチレン「PDBS−80」(グレート
レークスケミカル社製,臭素含有率59重量%,Mn=
21000,Mw/Mn=1.86)を用意した。 〔(D)成分〕(D)成分(難燃助剤)として三酸化ア
ンチモンを用意した。 〔(E)成分〕(E)成分として、繊維径10μm、カ
ット長3mmの表面処理が施されたガラス繊維チョップ
トストランド(表面処理剤:アミノシラン,収束剤:ウ
レタン)を用意した。 〔その他の成分〕酸化防止剤として、チバ・スペシャル
・ケミカルズ(株)製の「イルガノックス 1098」
を用意した。
【0067】<実施例1〜10および比較例1〜4>下
記表3に示す配合処方に従って、(A)成分、(B)成
分、(C)成分および(D)成分並びに酸化防止剤をタ
ンブラーによって均一に混合して混合物を得た。その
後、2つのベント口を有し、一方のベント口にサイドフ
ィーダーが取り付けられた二軸押出機(44mmφ)を
用い、この二軸押出機のホッパに上記の混合物を投入
し、真空ポンプによって他方のベント口からシリンダー
内のガスを吸引しなから当該混合物を溶融混練すると共
に、サイドフィーダーによって、下記表3に示す割合の
(E)成分をシリンダー内に供給して混練し、ペレット
化した。得られたペレットを除湿乾燥機で充分に乾燥し
た後、射出成形機を用いて所定の試験片(性能評価用の
試験片)を作製した。
【0068】<樹脂組成物の評価>実施例1〜10によ
り得られた本発明の樹脂組成物、および比較例1〜4に
より得られた比較用の樹脂組成物の各々について、耐衝
撃性および耐ブリスター性を評価した。結果を併せて表
3に示す。なお、測定ないし評価方法は以下のとおりで
ある。
【0069】(1)耐衝撃性:ASTM D256に準
拠して、ノッチ付きアイゾット衝撃強さを測定した。
【0070】(2)耐ブリスター性: (i)試験片:射出成形機を用いて厚み0.8mmの平
板を得、温度35℃、相対湿度90%の環境下に37時
間放置して吸水(吸湿)させて試験片とした。 (ii)リフロー試験条件:リフロー装置として、エイテ
ックテクトロン社製の「エアーリフローAIS−26
0」を用いた。リフロー装置の設定温度は、下記表2の
とおりとした。表2中の「PH1」、「PH2」および
「PH3」は、それぞれ、リフローの予熱ゾーンの設定
温度を意味し、「RE」は、リフローゾーンの設定温度
を意味する。
【0071】
【表2】
【0072】(iii)評価:リフロー装置内に試験片を通
過させ、当該試験片に発生したブリスターの個数を数え
た。
【0073】
【表3】
【0074】表3に示す結果から次のことが理解され
る。 (1)実施例1〜10:実施例1〜10に係る樹脂組成
物は、ポリアミド樹脂よりなる(A)成分と特定のフェ
ノール系化合物とが特定の割合で含有されてなるもので
あるため、耐衝撃性および耐ブリスター性に優れたもの
であることが確認された。 (2)比較例1〜4:比較例1に係る樹脂組成物は、
(B)成分の割合が過小であることを除き、実施例1と
同様の配合処方のものであるが、実施例1に係る樹脂組
成物と比較すると、耐衝撃性および耐ブリスター性が劣
るものである。比較例2に係る樹脂組成物は、(B)成
分の割合が過大であることを除き、実施例1と同様の配
合処方のものであるが、実施例1に係る樹脂組成物と比
較すると、耐衝撃性および耐ブリスター性が劣るもので
ある。比較例3に係る樹脂組成物は、(B)成分の割合
が過小であることを除き、実施例10と同様の配合処方
のものであるが、実施例10に係る樹脂組成物と比較す
ると、耐衝撃性および耐ブリスター性に劣るものであ
る。比較例3に係る樹脂組成物は、(B)成分の割合が
過大であることを除き、実施例10と同様の配合処方の
ものであるが、実施例10に係る樹脂組成物と比較する
と、耐衝撃性および耐ブリスター性に劣るものである。
【0075】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の熱可塑性
樹脂組成物は、耐衝撃性に優れ、しかも、表面実装方式
に供される樹脂系部品の樹脂材料として使用された場合
に、リフロー炉内を通過した後における当該樹脂系部品
の表面にブリスターを生じさせない、耐ブリスター性に
優れたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 63/00 C08L 63/00 A 71/12 71/12 Fターム(参考) 4J002 BC112 CD122 CH072 CL001 CL011 CL031 CL051 DA018 DE097 DE107 DE117 DE127 DE238 DJ018 DJ028 DJ038 DJ048 DJ058 DK007 DL008 EJ066 FA048 FD018 FD132 FD137 FD206 GM00 GN00 GQ00

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリアミド樹脂よりなる(A)成分と、
    下記一般式(I)で表される化合物よりなる(B)成分
    とが含有されてなり、前記(A)成分と前記(B)成分
    との割合が、重量比で99.99:0.01〜95:5
    であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。 【化1】 〔式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、水素原子また
    は炭素数が1〜8のアルキル基を示し、R1 、R2 、R
    3 およびR4 は、それぞれ同一のものであっても異なる
    ものであってもよい。但し、R1 〜R4 のうち少なくと
    も1つは炭素数が1〜8のアルキル基である。R5 は、
    水素原子または炭素数が1〜3のアルキル基を示す。X
    は、炭素数が1〜8のアルキレン基を示す。Y1 および
    2 は、水素原子または水酸基を示し、Y1 およびY2
    のうち少なくとも1つは水酸基である。〕
  2. 【請求項2】 (A)成分および(B)成分の合計10
    0重量部に対して、難燃剤よりなる(C)成分5〜70
    重量部と、難燃助剤よりなる(D)成分0〜50重量部
    とが含有されていることを特徴とする請求項1に記載の
    熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 (A)成分および(B)成分の合計10
    0重量部に対して、無機充填材よりなる(E)成分5〜
    300重量部が含有されていることを特徴とする請求項
    1または請求項2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
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