JP2002241417A - 電離放射線硬化性樹脂からなる混合物の硬化方法および表面改質方法 - Google Patents
電離放射線硬化性樹脂からなる混合物の硬化方法および表面改質方法Info
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Abstract
表面を得ることが可能であり、かつ塗料として利用可能
である電離放射線硬化性樹脂からなる混合物の硬化方法
を提供することを目的とする。また、異なる表面自由エ
ネルギーを有する表面を得るための表面改質方法を提供
することを目的とする。 【解決手段】 上記の課題は、表面自由エネルギーが30
mN/m以上である電離放射線硬化性樹脂組成物(a)100
重量部に対し、表面自由エネルギーが25mN/m以下である
化合物(b)0.01〜10重量部を混合して得られる混合物
に対して、該混合物も少なくとも一部を電離放射線硬化
性樹脂組成物(a)よりも表面自由エネルギーが高い媒
質に接触した状態で電離放射線により硬化させることを
特徴とする電離放射線硬化性樹脂からなる混合物の硬化
方法によって達成される。
Description
ーの異なる硬化表面を得ることが可能な電離放射線硬化
性樹脂組成物の硬化方法および表面改質方法に関する。
度の撥水性および撥油性を示すことは良く知られてい
る。シリコーンオイルやフッ素系化合物などは低い表面
自由エネルギーを有する代表的な物質であり、プラスチ
ック・木材・繊維・金属等の表面改質材料として用いられ
ており(特開2000-191911公報、特開平5-117546号公報
他多数)、このような特性を利用してアンテナ、電線等
の着雪防止、船舶航行時の抵抗低減、自動車のウインド
ウグラスの水滴付着や曇りの防止などへ適用されてい
る。
のようにさまざまな用途に用いることができるが、撥水
性および撥油性を示す固体表面は同時に接着剤等との密
着性、インク等の濡れ性なども低下させるため、他の部
材と接着する際に十分な接着強度が得られなかったり、
印刷が困難であるなどの問題もある。
ギーを部分的に高くすることができれば、高表面自由エ
ネルギー化した部分を親水性もしくは親油性に表面改質
することが可能となり、接着性、印刷性などの改良がで
きるし、固体表面へのインクの濡れ性の違いを積極的に
利用する平版印刷版などへ応用することができる。例え
ば、平版印刷はアルミ板などからなる親水性表面の上に
疎水性の感光性樹脂を塗付した原板の表面自由エネルギ
ーを変化させることにより、インクが乗る画線部とイン
クが乗らない非画線部を形成することによって得られる
平面印刷版を用いて行われる。感光性樹脂としてネガ型
感光性樹脂を用いた場合には電離放射線の照射された領
域が画線部、ポジ型感光性樹脂を用いた場合には電離放
射線の照射された領域が非画線部となる。この画線部と
非画線部の表面改質は、感光性樹脂を現像除去すること
により達成しているものである。
が150°以上を示す超撥水表面に電離放射線を照射する
ことにより水との接触角が70°以下の親水表面となるよ
うな材料の印刷版への応用が例示され、また特開2000-8
7016公報では水との接触角が150°以上を示す超撥水表
面に電離放射線を照射することにより水との接触角が10
°以下の親水表面となる材料が提案されている。
印刷版および超撥水から親水表面に変化する材料はいず
れも固体の材料であり、かつ溶剤に対する相溶性が低い
ため、塗料としての利用は困難である。本発明は、表面
自由エネルギーの異なる硬化表面を得ることが可能であ
り、かつ塗料として利用可能である電離放射線硬化性樹
脂組成物の硬化方法を提供することを課題とする。ま
た、異なる表面自由エネルギーを有する表面を得るため
の表面改質方法を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、表面自由エネルギーが30mN/m以
上である電離放射線硬化性樹脂組成物(a)100重量部
に対し、表面自由エネルギーが25mN/m以下である化合物
(b)0.01〜10重量部を混合して得られる混合物に対し
て、該混合物の少なくとも一部を電離放射線硬化性樹脂
組成物(a)よりも表面自由エネルギーが高い媒質に接
触した状態で電離放射線により硬化させることを特徴と
する電離放射線硬化性樹脂からなる混合物の硬化方法で
ある。
化性樹脂組成物(a)よりも表面自由エネルギーが高い
媒質が水である上記の電離放射線硬化性樹脂からなる混
合物の硬化方法である。
由エネルギーが30mN/m以上である電離放射線硬化性樹脂
組成物(a)100重量部に対し、表面自由エネルギーが2
5mN/m以下である化合物(b)0.01〜10重量部を混合し
て得られる混合物を基材表面に塗工する工程;化合物
(b)よりも表面自由エネルギーが低い媒質に接触した
状態で該混合物を部分的に電離放射線を照射して硬化さ
せた後、残りの未硬化部を電離放射線硬化性樹脂組成物
(a)よりも表面自由エネルギーが高い媒質に接触した
状態で電離放射線を照射して硬化させる工程よりなるこ
とを特徴とする表面改質方法である。
由エネルギーが30mN/m以上である電離放射線硬化性樹脂
組成物(a)100重量部に対し、表面自由エネルギーが2
5mN/m以下である化合物(b)0.01〜10重量部を混合し
て得られる該混合物を基材表面に塗工する工程;電離放
射線硬化性樹脂組成物(a)よりも表面自由エネルギー
が高い媒質に接触した状態で該混合物を部分的に電離放
射線を照射して硬化させた後、残りの未硬化部を化合物
(b)よりも表面自由エネルギーが低い媒質に接触した
状態で電離放射線を照射して硬化させる工程よりなるこ
とを特徴とする表面改質方法である。
射線硬化性樹脂組成物(a)よりも表面自由エネルギー
が高い媒質に接触した状態で硬化された部分の硬化後の
表面自由エネルギーが、化合物(b)よりも表面自由エ
ネルギーが低い媒質に接触した状態で電離放射線により
硬化された部分の硬化後の表面自由エネルギーよりも5m
N/m以上高いことを特徴とする上記の表面改質方法であ
る。
由エネルギーが30mN/m以上である電離放射線硬化性樹脂
組成物(a)100重量部に対し、表面自由エネルギーが2
5mN/m以下である化合物(b)0.01〜10重量部を混合し
て得られる混合物を基材表面に塗工する工程;基材表面
上の該混合物上に部分的に電離放射線硬化性樹脂組成物
(a)よりも表面自由エネルギーが高い媒質を付着させ
た後、化合物(b)よりも表面自由エネルギーが低い媒
質に接触した状態で該混合物に電離放射線を照射して硬
化させる工程よりなることを特徴とする表面改質方法で
ある。
射線硬化性樹脂組成物(a)よりも表面自由エネルギー
が高い媒質を付着させた部分の硬化後の表面自由エネル
ギーが、付着させなかった部分の硬化後の表面自由エネ
ルギーよりも5mN/m以上高いことを特徴とする上記の表
面改質方法である。
ギーの値は温度20℃、相対湿度50%における値であり、
下記の方法により測定される。
ては種々の方法が有るが、本明細書では、ウィルヘルミ
ー法による温度20℃、相対湿度50%における測定値を表
面自由エネルギーとして用いている。ウィルヘルミー法
の測定原理は以下の通りである。図1に示すように、天
秤1の一方に板2を吊るしてその一端が測定液体3に浸
るようにし、他方に適当な荷重4をのせて天秤1をつり
あわせる。この時板2は重力と浮力以外に下向きに測定
液体3からの力を受け、平衡状態では下記式(1)が成
り立つ。 [荷重4]=[板2の重力]―[板2の浮力]+[液体表面から受ける力] ( 1) 液体表面から受ける力は表面張力(=液体の表面自由エ
ネルギー)に相当するため、液体表面から受ける力を測
定することで、液体の表面自由エネルギーが得られる。
なお、板2の材質として白金、ガラスなどが使用される
が、表面自由エネルギーは不変であるので、測定液体3
に浸蝕されない材質であれば良く、本明細書の測定にお
いては、板2として白金を用いている。
ことができないが、表面自由エネルギーが既知である数
種類の液体を用いて求めることができる。固体表面上の
液滴は図2に示すような断面形状を有しており、図中接
触角9は、固体5表面上の液体6の表面と固体5表面と
の交点7において、液体6に引いた接線8と固体5表面
との液体6を含む側のなす角であり、その値をθとす
る。このとき、交点7における平衡条件により下記式
(2)(Youngの式)が成り立っている。 γS=γSL+γL cosθ (2) ここで、γSは固体の表面自由エネルギー、γLは液体の
表面自由エネルギー、γ SLは固体/液体の界面自由エネ
ルギーを表す。表面自由エネルギーγは分散力成分
γa、極性力成分γbおよび水素結合成分γ cの和で表さ
れ、固体/液体の界面自由エネルギーγSLには下記式
(3)の仮定が成り立つとされている。 γSL=γS+γL−2(γS aγL a)1/2−2(γS bγL b)1/2−2(γS cγL c)1/2 (3) したがって、温度20℃、相対湿度50%の条件下におい
て、異なる表面自由エネルギーを持つ3種類以上の液体
の固体表面上での接触角9の値θを求めれば、式(2)
および式(3)よりなる3元の方程式を解くことにより
γS a、γS bおよびγ S cが算出でき、その和として固体の
表面自由エネルギーγSが求められる。
本発明による電離放射線硬化性樹脂からなる混合物の硬
化方法には、後述する電離放射線硬化性樹脂組成物
(a)に後述する表面自由エネルギーが低い化合物
(b)を添加した混合物が用いられる。本願の課題を解
決するために用いる電離放射線硬化性樹脂組成物(a)
の表面自由エネルギーは30mN/m以上であり、好ましくは
40mN/m以上である。また、化合物(b)の表面自由エネ
ルギーは25mN/m以下であり、好ましくは20mN/m以下であ
る。
樹脂組成物(a)および化合物(b)よりなる混合物を
表面自由エネルギーの異なる媒質に接触した状態で電離
放射線により硬化することにより、表面自由エネルギー
の異なる表面を得ることができる現象を見出し、表面自
由エネルギーが低い媒質に接触した状態における硬化で
は硬化物表面の表面自由エネルギーが低くなるのに対し
て、表面自由エネルギーが高い媒質に接触した状態にお
ける硬化では硬化物表面の表面自由エネルギーが高くな
ることを確認した。
現しているものと推測される。電離放射線硬化性樹脂組
成物(a)および化合物(b)の混合物(以下、硬化性
混合物と呼ぶことがある)と媒質との界面がエネルギー
的に安定となるのは両者の表面自由エネルギーの差が最
小となるときであり、該硬化性混合物中の化合物(b)
は電離放射線硬化性樹脂組成物(a)よりも表面自由エ
ネルギーが低いため、表面自由エネルギーが低い媒質に
接触した状態では化合物(b)が界面に存在することに
より安定状態となる。それに対して、表面自由エネルギ
ーが高い媒質に接触した状態では化合物(b)が界面に
存在するよりも電離放射線硬化性樹脂組成物(a)が界
面に存在した方がエネルギー的に安定であるため、化合
物(b)は界面に存在しなくなる。つまり、電離放射線
硬化性樹脂組成物(a)が未硬化状態であれば、接触す
る媒質の違いにより相転移を起こすことになる。したが
って、表面自由エネルギーの異なる媒質に接触した状態
で硬化性混合物に電離放射線を照射し、界面での状態を
固定化することにより表面自由エネルギーの異なる表面
を得ることができる。
上記相転移は可逆であるため、基材表面に該硬化性混合
物を塗工し、該硬化性混合物を表面自由エネルギーの高
い領域と低い領域とに表面改質する場合、選択的に表面
自由エネルギーの高い領域に改質した後、残りを表面自
由エネルギーの低い領域に改質することも可能である
し、逆に、選択的に表面自由エネルギーの低い領域に改
質した後、残りを表面自由エネルギーの高い領域に改質
することも可能である。
水;グリセリン等の高級アルコール類などが挙げられ
る。また、表面自由エネルギーが低い媒質としては、大
気;ヘリウムガス、アルゴンガス等の不活性ガスなどが
挙げられるが、それぞれこれらに限定されるものではな
い。
を、表面自由エネルギーが高い媒質として水を用いるこ
とが可能であるため、本発明の表面改質方法は、コスト
面や環境面から有意な方法である。
25mN/m以下である化合物(b)としては、ポリジメチル
シロキサン等のシリコーンオイル、該シリコーンオイル
の側鎖または末端がアミノ基、エポキシ基等で変性され
た変性シリコーンオイル、テトラメトキシシラン、フェ
ニルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン類等の含
けい素(高分子)化合物;フルオロアルキルシラン類、
トリフルオロアルキル基等を有する高分子化合物等の含
フッ素(高分子)化合物などが挙げられるが、上記化合
物に限定されるものではない。
組成物(a)は、重合性の単量体および/またはオリゴ
マーより主としてなり、所望に応じて電離放射線重合開
始剤等の他の成分(ただし、上記の表面自由エネルギー
が25mN/m以下である化合物(b)は除く)を含むことが
できる。該重合性の単量体およびオリゴマーは電離放射
線重合可能な化合物であり、表面自由エネルギーが30mN
/m以上であり、かつ分子内に少なくとも1個のエチレン
系二重結合を有する電離放射線重合可能なエチレン系不
飽和化合物を一般的に使用することができるが、必要に
応じて、さらに、電離放射線カチオン重合可能なエポキ
シ系またはオキセタン系の化合物等を加えても良い。
射線重合可能なエチレン系不飽和化合物としては(メ
タ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル
(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレー
ト、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メ
タ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリ
レート、ベンジル(メタ)アクリレート、グリシジル
(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メ
タ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート等の単官能性(メタ)アクリレート系モノマ
ー;N−ビニルピロリドン、N−ビニルイミダゾール、
N−ビニルカプロラクタム、スチレン、α−メチルスチ
レン、ビニルトルエン、酢酸アリル、酢酸ビニル、プロ
ピオン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニル系モノマ
ーおよび1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、
1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート等の2官能性(メタ)
アクリレートモノマー;トリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メ
タ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリ
ルイソシアヌレート、1,3,5−トリ(メタ)アクリロイ
ルヘキサヒドロ−s−ヒドラジン等の多官能性(メタ)
アクリレートモノマーなどが挙げられ、これらの内の1
種以上が用いられる。なお、上記化合物の名称中、
「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」と「メタクリ
ル酸」の総称であり、「(メタ)アクリレート」は「ア
クリレート」と「メタクリレート」の総称であり、
「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル」と「メタ
クロイル」の総称である。
を加えても良い。電離放射線重合開始剤の具体例として
は、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトン、アセトフ
ェノン、ベンゾフェノン、キサントフルオレノン、ベン
ズアルデヒド、アントラキノン、1−(4−イソプロピ
ルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−
1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル
−ケトン、4−オキサントン、カンファーキノン、2−
メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホ
リノプロパン−1−オン等が挙げられる。
釈剤として、アセトン、エタノール、メタノール、イソ
プロピルアルコール、ヘキサン、酢酸エチル、クロロホ
ルム、四塩化炭素、テトラヒドロフラン、ジエチルエー
テル、メチルエチルケトン、トルエン、ベンゼンなどの
有機溶剤を使用しても良い。
基材としては、フィルム、シート、射出成形体等のプラ
スチックの成形品;木材、金属、紙、セラミックス等種
々の素材よりなる製品などが挙げられる。
由エネルギーの高い領域と表面エネルギーの低い領域と
に選択的に表面改質することが可能である。したがっ
て、選択的に表面改質した硬化表面にインキを塗付する
ことによって、ぬれ性の良好な表面自由エネルギーの高
い領域のみにインキを付着させることができ、ぬれ性の
悪い表面自由エネルギーの低い領域はインキを反発し、
インキが付着しない。この方法を用いることにより、電
離放射線の照射領域を制御して、画線部と非画線部を作
製することができ、平版印刷版として用いることができ
る。また、表面改質した基材に他の部材を接着する場
合、塗膜上の接着させたい部分に表面自由エネルギーの
高い領域を形成することができるため、塗膜を剥離する
ことなく、他の部材を強固に接着することができる。
するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではな
い。
スリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA)60重
量部、東亞合成(株)製イソシアヌール酸エチレンオキサ
イド変性トリアクリレート(アロニックスM-315)40重
量部、日本化薬(株)製2,4−ジエチルチオキサントン
(KAYACURE DETX-S)1重量部、チバ・スペシャリティ
・ケミカルズ(株)製2−メチル−1−[4−(メチルチオ)
フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(イルガ
キュア907)3重量部の割合で混合して電離放射線硬化性
樹脂組成物(a)を調製した。該電離放射線硬化性樹脂
組成物(a)の表面自由エネルギーをウィルヘルミー法
により測定したところ42.6mN/mであった。該電離放射線
硬化性樹脂組成物(a)に表面自由エネルギーが低い化
合物(b)としてウィルヘルミー法による表面自由エネ
ルギーの測定値が20.7mN/mである信越化学工業(株)製ア
ミノ変性シリコーンオイル(KF857)を0.5重量部添加
し、固形分濃度5wt%となるようにトルエンにより希釈し
て硬化性の混合物を得た。該硬化性の混合物を厚さ125
μmの東洋紡績(株)製PETフィルムにバーコーターで20
μm塗工したのち、トルエンを揮発させることによっ
て、PETフィルム上に均一に厚さ1μmの硬化性の混合物
が塗工されたフィルムを得ることができた。得られたフ
ィルムを二分割し、一方は大気中、他方は水中において
高圧水銀ランプで紫外線照射した。協和界面科学(株)製
接触角計で各種溶剤との接触角を測定し表面性を評価し
た。その結果を表1に示す。
水中で硬化した場合の表面自由エネルギーを算出すると
それぞれ、21.5mN/mおよび40.2mN/mであり、水中で硬化
させることにより、大気中で硬化させたときとは異なっ
た表面自由エネルギーの表面が得られたことがわかる。
スリトールヘキサアクリレート(KAYARAD DPHA)60重
量部、東亞合成(株)製イソシアヌール酸エチレンオキサ
イド変性トリアクリレート(アロニックスM-315)40重
量部、日本化薬(株)製2,4−ジエチルチオキサントン
(KAYACURE DETX-S)1重量部、チバ・スペシャリティ・
ケミカルズ(株)製2−メチル−1−[4−(メチルチオ)
フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン(イルガ
キュア907)3重量部の割合で混合し電離放射線硬化性樹
脂組成物(a)を調製した。該電離放射線硬化樹脂組成
物(a)の表面自由エネルギーをウィルヘルミー法によ
り測定したところ42.6mN/mであった。該電離放射線硬化
性樹脂組成物(a)を固形分濃度5wt%となるようにトル
エンで希釈して硬化性の混合物を得た。該硬化性の混合
物を厚さ125μmの東洋紡績(株)製PETフィルムにバーコ
ーターで20μm塗工したのち、トルエンを揮発させるこ
とによって、PETフィルム上に均一に厚さ1μmの硬化性
混合物が塗工されたフィルムを得ることができた。得ら
れたフィルムを二分割し、一方は大気中、他方は水中に
おいて高圧水銀ランプで紫外線照射した。協和界面科学
(株)製接触角計で各種溶剤との接触角を測定し表面性を
評価した。その結果を表2に示す。
水中で硬化した場合の表面自由エネルギーを算出すると
それぞれ、39.6mN/mおよび42.3mN/mであった。したがっ
て、表面自由エネルギーが低い化合物(b)を添加して
いない硬化性の混合物は、異なる雰囲気下で硬化して
も、異なる表面自由エネルギーの表面が得られるという
効果を示さないことがわかる。
リトールトリアクリレート(アロニックスM-305)100重
量部、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製1‐ヒ
ドロキシ‐シクロヘキシル‐フェニル‐ケトン(イルガ
キュア184)3重量部の割合で混合し電離放射線硬化性樹
脂組成物(a)を調製した。該電離放射線硬化樹脂組成
物(a)の表面自由エネルギーをウィルヘルミー法によ
り測定したところ46.8mN/mであった。該電離放射線硬化
性樹脂組成物(a)に表面自由エネルギーが低い化合物
(b)としてウィルヘルミー法による表面自由エネルギ
ーの測定値が18.6mN/mの日本油脂(株)製フッ素系ブロッ
クコポリマー(モディパーF200)を1重量部添加し、固
形分濃度10wt%となるようにメチルエチルケトンにより
希釈して硬化性の混合物を得た。該硬化性の混合物を厚
さ125μmの東洋紡績(株)製PETフィルムにバーコーター
で10μm塗工したのち、メチルエチルケトンを揮発させ
ることによって、PETフィルム上に均一に厚さ1μmの硬
化性混合物が塗工されたフィルムを得ることができた。
得られたフィルムをライン幅0.5mm、ピッチ1mmのフォト
マスクを用いて大気中で高圧水銀ランプで紫外線照射
し、次にフォトマスクを外して該フィルムを水中に浸漬
し、同様に高圧水銀ランプで紫外線照射した。上記の処
理により得られたフィルムに東洋インキ製造(株)製PS版
オフセット印刷用UV硬化性インキ(FDカルトン)を厚さ
3μm塗付したところ、大気中で硬化した領域の該UV硬
化性インキは表面に塗れずに、水中で硬化した領域のみ
UV硬化性インキで表面がぬれ、0.5mm幅のインキのスト
ライプを形成することができた。また、この時の表面自
由エネルギーを算出すると、大気中硬化では20.3mN/m、
水中硬化では52.3mN/mであった。
リトールトリアクリレート(アロニックスM-305)100重
量部、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製1‐ヒ
ドロキシ‐シクロヘキシル‐フェニル‐ケトン(イルガ
キュア184)3重量部の割合で混合し電離放射線硬化性樹
脂組成物(a)を調製した。該電離放射線硬化樹脂組成
物(a)の表面自由エネルギーをウィルヘルミー法によ
り測定したところ46.8mN/mであった。固形分濃度10wt%
となるようにメチルエチルケトンにより希釈して硬化性
の混合物を得た。該硬化性の混合物を厚さ125μmの東
洋紡績(株)製PETフィルムにバーコーターで10μm塗工
したのち、メチルエチルケトンを揮発させることによっ
て、PETフィルム上に均一に厚さ1μmの硬化性の混合物
が塗工されたフィルムを得ることができた。得られたフ
ィルムをライン幅0.5mm、ピッチ1mmのフォトマスクを用
いて大気中で高圧水銀ランプで紫外線照射し、次にフォ
トマスクを外して該フィルムを水中に浸漬し同様に高圧
水銀ランプで紫外線照射した。上記の処理により得られ
たフィルムに東洋インキ製造(株)製PS版オフセット印刷
用UV硬化性インキ(FDカルトン)を厚さ3μm塗付した
ところ、大気中で硬化した領域および水中で硬化した領
域ともに該UV硬化性インキがぬれ、0.5mm幅のインキの
ストライプを形成することはできなかった。また、この
時の表面自由エネルギーを算出すると、大気中硬化では
51.2mN/m、水中硬化では52.3mN/mであった。
組成物(a)に表面自由エネルギーが低い化合物(b)
を添加した硬化性混合物を用い、異なる表面自由エネル
ギーの媒質に接触した状態で硬化させることで、表面自
由エネルギーの高い表面および表面自由エネルギーの低
い表面のいずれも得ることが可能となる。
する図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 表面自由エネルギーが30mN/m以上である
電離放射線硬化性樹脂組成物(a)100重量部に対し、
表面自由エネルギーが25mN/m以下である化合物(b)0.
01〜10重量部を混合して得られる混合物に対して、該混
合物の少なくとも一部を電離放射線硬化性樹脂組成物
(a)よりも表面自由エネルギーが高い媒質に接触した
状態で電離放射線照射により硬化させることを特徴とす
る電離放射線硬化性樹脂からなる混合物の硬化方法。 - 【請求項2】 電離放射線硬化性樹脂組成物(a)より
も表面自由エネルギーが高い媒質が水である請求項1に
記載の電離放射線硬化性樹脂からなる混合物の硬化方
法。 - 【請求項3】 表面自由エネルギーが30mN/m以上である
電離放射線硬化性樹脂組成物(a)100重量部に対し、
表面自由エネルギーが25mN/m以下である化合物(b)0.
01〜10重量部を混合して得られる混合物を基材表面に塗
工する工程;化合物(b)よりも表面自由エネルギーが
低い媒質に接触した状態で該混合物を部分的に電離放射
線を照射して硬化させた後、残りの未硬化部を電離放射
線硬化性樹脂組成物(a)よりも表面自由エネルギーが
高い媒質に接触した状態で電離放射線を照射して硬化さ
せる工程よりなることを特徴とする表面改質方法。 - 【請求項4】 表面自由エネルギーが30mN/m以上である
電離放射線硬化性樹脂組成物(a)100重量部に対し、
表面自由エネルギーが25mN/m以下である化合物(b)0.
01〜10重量部を混合して得られる混合物を基材表面に塗
工する工程;電離放射線硬化性樹脂組成物(a)よりも
表面自由エネルギーが高い媒質に接触した状態で該混合
物を部分的に電離放射線を照射して硬化させた後、残り
の未硬化部を化合物(b)よりも表面自由エネルギーが
低い媒質に接触した状態で電離放射線を照射して硬化さ
せる工程よりなることを特徴とする表面改質方法。 - 【請求項5】 電離放射線硬化性樹脂組成物(a)より
も表面自由エネルギーが高い媒質に接触した状態で硬化
された部分の硬化後の表面自由エネルギーが、化合物
(b)よりも表面自由エネルギーが低い媒質に接触した
状態で電離放射線により硬化された部分の硬化後の表面
自由エネルギーよりも5mN/m以上高いことを特徴とする
請求項3〜4のいずれか1項に記載の表面改質方法。 - 【請求項6】 表面自由エネルギーが30mN/m以上である
電離放射線硬化性樹脂組成物(a)100重量部に対し、
表面自由エネルギーが25mN/m以下である化合物(b)0.
01〜10重量部を混合して得られる混合物を基材表面に塗
工する工程;基材表面上の該混合物上に部分的に電離放
射線硬化性樹脂組成物(a)よりも表面自由エネルギー
が高い媒質を付着させた後、化合物(b)よりも表面自
由エネルギーが低い媒質に接触した状態で該混合物に電
離放射線を照射して硬化させる工程よりなることを特徴
とする表面改質方法。 - 【請求項7】 電離放射線硬化性樹脂組成物(a)より
も表面自由エネルギーが高い媒質を付着させた部分の硬
化後の表面自由エネルギーが、付着させなかった部分の
硬化後の表面自由エネルギーよりも5mN/m以上高いこと
を特徴とする請求項6に記載の表面改質方法。 - 【請求項8】 電離放射線硬化性樹脂組成物(a)より
も表面自由エネルギーが高い媒質が水である請求項3〜
7のいずれか1項に記載の表面改質方法。 - 【請求項9】 化合物(b)よりも表面自由エネルギー
が低い媒質が大気である請求項3〜8のいずれか1項に
記載の表面改質方法。
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