JP2002235147A - 強度傾斜部材用鋼板とその製造方法 - Google Patents
強度傾斜部材用鋼板とその製造方法Info
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Abstract
は焼入れを要さずに生産性良く製造できる強度傾斜部材
用鋼板とその製造方法を提供する。 【解決手段】 プレス成形後時効処理された部材内に強
度が他部よりも高い高強度部を有する強度傾斜部材の前
記プレス成形前素材として用いる鋼板であって、下記の
特性を有する高歪時効硬化鋼板の前記高強度部となす箇
所に、好ましくはレベリング加工により、予歪5%以上
を付与してなる強度傾斜部材用鋼板。 記 歪5%付与後に400 ℃以下で熱処理を施した場合の引張
強度が歪を付与せず同じ時効処理を施した場合の引張強
度に比べて40MPa 以上上昇する特性
Description
板とその製造方法に関する。強度傾斜部材とは、部材内
で部分的に強度の異なる部材であって、該部材用鋼板
(素材)をプレス成形後に塗装後焼付け処理等の熱処理
(時効処理ともいう)を施して製造されるものを意味す
る。この強度傾斜部材は、現状の主用途が自動車の分野
にあるが、家電、建築等の分野に適用することも可能で
ある。また、ここで強度傾斜部材は、強度が徐々に変化
するか否かにかかわらず、部材内で部分的に強度の異な
る部材を意味する。
量化が要求されている。その一方で、自動車衝突時の安
全確保のために車体の耐衝突強度を高めることも要請さ
れている。この車体の軽量化と耐衝突強度向上とを十分
なレベルで両立させることは難しく、例えば耐衝突強度
を向上させようとして衝突部材の肉厚を厚くしあるいは
補強材を用いると車体重量が増加するというジレンマに
陥る。
くい高強度材および/または厚肉材で形成され、キャビ
ンから遠い(衝突物体に近い)部分は長さ方向に蛇腹状
に座屈して衝突のエネルギーを吸収しやすい低強度材お
よび/または薄肉材で形成された部材が使用され、衝突
のエネルギーを効率よく吸収する部材が必要となってい
る。かかる部材の如く一つのプレス成形部材において部
分部分で属性を違えたものを傾斜部材と称し、違えた属
性が強度であるものを強度傾斜部材と称する。
化やプレス金型の保有数削減が指向されており、これに
適合させた強度傾斜部材製作法として、複数の鋼板を予
めレーザ等で接合して一体化した部材をプレス成形する
テーラードブランク法や、プレス成形品の強度所望部位
を該部位に高密度エネルギー源(レーザ等)を照射する
ことにより焼入れ硬化部となす方法(特開平4−72010
号公報)などが知られている。
材は、その製作過程で接合や焼入れにレーザ等を使用す
る必要があるため、設備費が高くまた生産性が悪いとい
う問題があった。本発明の目的は、この問題を解決しう
る手段、すなわち強度傾斜部材をレーザ等による接合あ
るいは焼入れを要さずに生産性良く製造できる強度傾斜
部材用鋼板とその製造方法を提供することにある。
熱処理された部材内に強度が他部よりも高い高強度部を
有する強度傾斜部材の前記プレス成形前素材として用い
る鋼板であって、下記の特性を有する高歪時効硬化鋼板
の前記高強度部となす箇所に予歪5%以上を付与してな
ることを特徴とする強度傾斜部材用鋼板(本発明鋼板)
である。
強度が、歪を付与せず同じ熱処理を施した場合の引張強
度に比べて40MPa 以上上昇する特性 また、本発明は、プレス成形後時効処理された部材内に
強度が他部よりも高い高強度部を有する強度傾斜部材の
前記プレス成形前素材として用いる鋼板の製造方法であ
って、前記の特性を有する高歪時効硬化鋼板に前記高強
度部となす箇所を定め、該箇所に対し予歪5%以上にな
るレベリング加工を施すことを特徴とする強度傾斜部材
用鋼板の製造方法(本発明方法)である。
低温の熱処理である400 ℃以下の熱処理を施すことによ
り、歪を付与せず同じ熱処理を施したものに比して引張
強度(引張強さ又はTSとも称する。)が40MPa 以上上
昇する特性を有する高歪時効硬化鋼板の特徴を有利に引
き出したものであり、この高歪時効硬化鋼板に部分的に
予歪5%以上を与えてなる本発明鋼板にプレス成形→熱
処理を施すと、前記予歪を与えた部分のTSが他の部分
に比べて顕著に上昇する。
予歪の歪量と前記プレス成形→熱処理後のTSの上昇量
との関係に基づいて、前記プレス成形→熱処理後のTS
の目標値に対応する歪量の値εA を決定し、歪量εA の
予歪を高強度部としたい箇所に与えておくだけで、プレ
ス成形→熱処理後に前記高強度部としたい箇所のTSが
前記目標値通りとなった強度傾斜部材を得ることができ
る。
のままプレス成形→400 ℃以下の熱処理するだけで、レ
ーザ等の高価な接合あるいは照射加熱設備を必要とせず
安価にかつ生産性良く強度傾斜部材を製造することがで
きる。通常の鋼板を使用しても予歪による加工硬化によ
りプレス成形後に部分的に材料が硬くなった部材を製造
することが可能であるが、本発明によれば、高歪時効硬
化鋼板を使用することにより、通常鋼板を単に加工硬化
させた場合よりも異部分間の強度差が格段に大きい強度
傾斜部材を製造することができる。
%付与後に400 ℃以下の熱処理を施した場合のTSが、
歪を付与せず同じ熱処理を施した場合に比べて40MPa 以
上上昇する特性を有する鋼板でなければならない。この
TS上昇量(ΔTS=(歪5%付与後に熱処理を施した
場合のTS)−(歪を付与せず同じ熱処理を施した場合
のTS))が40MPa に達しない鋼板では、部材内での強
度の差が小さく、部材内で部分的に強度を変化させるメ
リットを享受することができない。
400 ℃を超える高温処理では、処理を行うための設備費
が高くなる。また、熱処理として一般的に行われている
プレス形成後の塗装焼き付け処理を採用することが、設
備費を小さくする上で、非常に有利である。このため、
プレス形成後の塗装焼き付け相当処理、すなわち170℃
×20分処理する熱処理により40MPa 以上引張り強度が
上昇する高歪時効硬化鋼板が好ましい。
00−297350号公報に開示される鋼板、すなわち、第1成
分(C:0.01〜0.12%、Si:2.0 %以下、Mn:0.01〜3.
0 %、P:0.2 %以下、Al:0.001 〜0.1 %、N:0.00
3 〜0.02%)を全て含有し、あるいはさらに、第2成分
(Ti:0.001 〜0.1 %、Nb:0.001 〜0.1 %)のうちの
1種または2種、および/または、第3成分(Ni:0.1
〜1.5 %、Cr:0.1 〜1.5 %、Mo:0.1 〜1.5 %)のう
ちの1種または2種以上を含有し、平均結晶粒径8μm
以下のフェライトを主相とする組織を有し、さらに、固
溶N量=0.003〜0.01%であり、フェライト結晶粒界面
から±5nmの範囲内に存在する平均固溶N濃度Ngb とフ
ェライト結晶粒内に存在する平均固溶N濃度Ngとの比 N
gb/Ng =100 〜10000 である高張力熱延鋼板が好適であ
る。
予歪の歪量は5%以上とする必要がある。この歪量が5
%に満たないと、高歪時効硬化鋼板を用いてもプレス成
形→熱処理後の部材内強度差が過小となるおそれがあ
り、強度傾斜部材用鋼板として不十分なものとなる。本
発明において、予歪の歪量は次のように定義される。す
なわち、予歪導入用の加工装置(例:レベラ、圧延機な
ど)で加工する前の鋼板について引張試験を行って真応
力(σ)−真歪(ε)曲線:σ=F(ε)を求め、次に
同鋼板を同加工装置で加工したものについて引張試験を
行って降伏点強度(YP)を求め、次に前記真応力−真
歪曲線σ=F(ε)を用いてσ=YPに対応する真歪ε
の値ε YPを求め、これを当該加工装置で導入された予歪
の歪量とする(図1参照)。加工装置の操作量(加工操
作量)とYPとの関係は別途実験により定めうるから、
この関係と前記真応力−真歪曲線とを用いて、加工操作
量を予歪の目標歪値に対応した値に設定することができ
る。
歪付与方法はレベリング加工とすることが好ましい。高
歪時効硬化鋼板に予歪を与える方法としては、レベリン
グ加工の他に圧延加工が考えられるが、圧延加工は1対
のロールで板を挟んで圧下する加工であるため鋼板の被
加工部分(高強度部としたい箇所)の板厚(肉厚)減少
を伴い、剛性の面で不利となって好ましくない。これに
対してレベリング加工は複数のロールを上下互い違いに
配置したレベラ2を用いた曲げ曲げもどし主体の加工で
あるから鋼板1の被加工部分の板厚減少をほとんど生じ
ることがなく、予歪導入方法として最適である(図2参
照)。
操作量(矯正量、鋼板通し部位、鋼板通し回数など)を
設定するだけで、任意の鋼板長さ部位に予歪を任意の歪
量で与えることができるから、強度傾斜部材にテーパ
状、ステップ状等の様々な強度分布を容易に付与するこ
とができる。
を有する板状材料(強度傾斜部材用鋼板に相当)をプレ
ス成形により図4に示す寸法形状を有するハット型成形
部材(強度傾斜部材に相当)となし、これに熱処理とし
て170 ℃×20分を施したものを試験片としその部位A側
から重さ270kg の重りを時速20km/hで衝突させ、ハット
型成形部材の潰れ量60mmまでの吸収エネルギーにより耐
衝突性が評価される。
鋼板〜を用いて表2に示す方法で図4のハット型成
形部材の成形素材となすべき図3の板状材料を作製して
上記の耐衝突特性評価試験を行った。その結果を表2に
示す。なお、表1においてΔTSは以下のような形で求
めた。 ΔTS=(歪5%付与後に170 ℃×20分熱処理を施した
場合のTS)−(歪を付与せず170 ℃×20分熱処理を施
した場合のTS)
鋼板(高歪時効硬化鋼板)、の部位A相当部分に予
歪を与えず部位B相当部分にレベラで予歪5%を与えた
ものでこの場合の板状材料が本発明鋼板に該当するも
の、比較例1はΔTSが40MPa未満になる鋼板の部位
A相当部分に予歪を与えず部位B相当部分にレベラで予
歪5%を与えたもの、比較例2は部位A側に鋼板、部
位B側に高強度鋼板を充当して両者をテーラードブラ
ンク法で接合したもの、比較例3は鋼板の部位A相当
部分にも部位B相当部分にも予歪を与えなかったもので
ある。
衝突性が得られており、本発明鋼板を強度傾斜部材の素
材に用いることで、高価な接合装置等によらずとも生産
性良く強度傾斜部材を製造できることがわかる。
ずに生産性良く強度傾斜部材を製造することができると
いう効果を奏する。
ある。
Claims (2)
- 【請求項1】 プレス成形後熱処理された部材内に強度
が他部よりも高い高強度部を有する強度傾斜部材の前記
プレス成形前素材として用いる鋼板であって、下記の特
性を有する高歪時効硬化鋼板の前記高強度部となす箇所
に予歪5%以上を付与してなることを特徴とする強度傾
斜部材用鋼板。 記 歪5%付与後に400 ℃以下の熱処理を施した場合の引張
強度が、歪を付与せず同じ熱処理を施した場合の引張強
度に比べて40MPa 以上上昇する特性 - 【請求項2】 プレス成形後熱処理された部材内に強度
が、他部よりも高い高強度部を有する強度傾斜部材の前
記プレス成形前素材として用いる鋼板の製造方法であっ
て、下記の特性を有する高歪時効硬化鋼板に前記高強度
部となす箇所を定め、該箇所に対し予歪5%以上になる
レベリング加工を施すことを特徴とする強度傾斜部材用
鋼板の製造方法。 記 歪5%付与後に400 ℃以下の熱処理を施した場合の引張
強度が、歪を付与せず同じ熱処理を施した場合の引張強
度に比べて40MPa 以上上昇する特性
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JP2001027524A JP5057299B2 (ja) | 2001-02-02 | 2001-02-02 | 強度傾斜部材用鋼板とその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005081356A (ja) * | 2003-09-04 | 2005-03-31 | Nissan Motor Co Ltd | 強化部材 |
KR101493002B1 (ko) * | 2014-04-29 | 2015-02-12 | (주)동양에스텍 | 열연강판을 활용한 조립보의 제작방법 및 이를 이용한 합성보 |
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JP2000297350A (ja) * | 1999-02-09 | 2000-10-24 | Kawasaki Steel Corp | 焼付硬化性、耐疲労性、耐衝撃性および耐常温時効性に優れた高張力熱延鋼板およびその製造方法 |
-
2001
- 2001-02-02 JP JP2001027524A patent/JP5057299B2/ja not_active Expired - Fee Related
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US7695824B2 (en) | 2003-09-04 | 2010-04-13 | Nissan Motor Co., Ltd. | Reinforced member |
KR101493002B1 (ko) * | 2014-04-29 | 2015-02-12 | (주)동양에스텍 | 열연강판을 활용한 조립보의 제작방법 및 이를 이용한 합성보 |
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