JP2002225128A - 熱可塑性樹脂フィルムの製造方法、および熱可塑性樹脂フィルム - Google Patents

熱可塑性樹脂フィルムの製造方法、および熱可塑性樹脂フィルム

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JP2002225128A JP2001020221A JP2001020221A JP2002225128A JP 2002225128 A JP2002225128 A JP 2002225128A JP 2001020221 A JP2001020221 A JP 2001020221A JP 2001020221 A JP2001020221 A JP 2001020221A JP 2002225128 A JP2002225128 A JP 2002225128A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、熱可塑性樹脂フィルム
の製造方法に関し、詳しくは、幅方向に物性の均一な熱
可塑性樹脂フィルムの製造方法を提供する。 【解決手段】 実質的に未配向の熱可塑性樹脂シ
ートを、テンターを用いて縦方向に3.1〜6.0倍延
伸した後、引続き前記テンターを用いて横方向に3.0
倍以上延伸する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法におい
て、前記縦延伸を、前記未配向の熱可塑性樹脂シートの
ガラス転移温度(Tg)+10℃以上、低温結晶化温度
(Tc)+40℃以下の温度条件下で行い、引続き前記
テンターを用いて、ガラス転移温度(Tg)未満に冷却
せずに、前記横延伸をガラス転移温度(Tg)以上、融
点(Tm)−20℃以下の温度条件下で行うことを特徴
とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、熱可塑性樹脂フィ
ルムの製造方法に関し、詳しくは、幅方向に物性の均一
な熱可塑性樹脂フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂フィルム、特に二軸配向さ
れたポリエステル系、ポリアミド系、ポリオレフィン
系、ポリビニル系樹脂、ポリフェニレンサルファイド等
のフィルムは、包装及び工業用途、その他の多くの用途
に供せられており、フィルムの幅方向のどの部分でも同
じ物性値であることが望ましい。
【0003】しかし、従来の製造方法では製品フィルム
の幅方向の物性を均一にすることは極めて困難であっ
た。この理由として、テンター内においてフィルムの両
端部は把持手段であるクリップによって拘束されている
に対し、フィルムの中央部は把持手段の影響が低く拘束
力が弱くなり、延伸工程によって生じる縦方向の延伸応
力や、熱固定工程によって発生する収縮応力の影響によ
って、クリップで把持されている端部に対してフィルム
の中央部分は遅れが生じることがわかっている。そし
て、横延伸と熱固定を連続に同一のテンターで行う場合
において、テンターに入る前のフィルムの面上に幅方向
に沿って直線を描いておくと、この直線はテンター内で
変形してフィルムの進行方向に対して延伸工程の始めの
領域で凸型に変形し、延伸工程の終わり直前の領域で直
線に戻り、延伸工程終了後には凹型に変形する。さらに
熱固定工程の領域の始めで凹形の変形は最大値に達し、
このまま曲線は変化しないでその後のテンターを通過
し、テンターを出たフィルムには凹形の変形が残る。こ
の現象はボーイング現象と称されているものであるが、
このボーイング現象はフィルムの幅方向の物性値を不均
一にする原因になっている。ボーイング現象によって、
フィルムの側端部分ではボーイング線に対して更に縦方
向に傾斜した配向主軸が生じて、幅方向で配向主軸の角
度が異なる傾向がある。この結果、例えば縦方向の熱収
縮率、熱膨張率、湿潤膨張率等の物性値がフィルムの幅
方向で異なってくる。このボーイング現象によって、包
装用途の一例である印刷ラミネート加工、製袋工程等に
おいては、印刷ピッチずれ、斑の発生、カーリング、蛇
行などのトラブルが生じていた。また、工業用途の一例
であるフロッピー(登録商標)ディスク等のベースフィ
ルムでは面内異方性のため磁気記録持性の低下などのト
ラブルが生じていた。
【0004】ボーイング現象を減少ないし解消する技術
として、特開昭50−73978号公報において、延伸
工程と熱固定工程との間にニップロール群を設置するフ
ィルムの製造方法が提案されている。しかし、この技術
ではニップロールを設置する中間帯の温度がガラス転移
点温度以上であり、ニップ点でのフィルムの剛性が低い
ためボーイング現象の改善効果が低い。また、特公昭6
3−24459号公報には横延伸完了後のフィルムの両
端部を把持しながら中央付近の狭い範囲のみをニップロ
ールによって強制的な前進をもたらす工程が提案されて
いる。しかし、この技術はニップロールをテンター内の
高温領域に設置して、かつロール及びその周辺装置を冷
却する必要があり、またフィルムが高温であるためロー
ルによる傷が発生する恐れがあり、実用性に乏しい。ま
た、特公昭62−43856号公報には、横延伸直後の
フィルムをガラス転移点温度以下に冷却した後、多段に
熱固定を行い、熱固定と同時に横方向に伸長する技術が
提案されている。しかし、この技術は冷却工程に加えて
多段に熱固定する工程と再延伸との複雑な工程となって
おり、テンター内の雰囲気温度やフィルム温度を長時間
にわたり安定して制御することが困難である。また、特
公平1−25694号公報、特公平1−25696号公
報には、フィルムの走行方向を逆転させて横延伸、熱固
定をする技術が提案されている。しかし、この技術はフ
ィルムの走行方向を逆転させるのにフィルムを一旦巻き
取る必要があり、オフラインでの製造方法であるため、
生産性の点で問題点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、フィルム製
造時のボーイング現象の発生を減少させ、幅方向に物性
の均一なフィルムを効率よく得ることが可能な熱可塑性
樹脂フィルムの製造方法の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記の構成を
有する。 (1) 実質的に未配向の熱可塑性樹脂シートを、テン
ターを用いて縦方向に3.1〜6.0倍延伸した後、引
続き前記テンターを用いて横方向に3.0倍以上延伸す
る熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において、前記縦延
伸を、前記未配向の熱可塑性樹脂シートのガラス転移温
度(Tg)+10℃以上、低温結晶化温度(Tc)+4
0℃以下の温度条件下で行い、引続き前記テンターを用
いて、ガラス転移温度(Tg)未満に冷却せずに、前記
横延伸をガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)−
20℃以下の温度条件下で行うことを特徴とする熱可塑
性樹脂フィルムの製造方法。 (2) 上記(1)において前記テンターが、クリップ
の駆動がリニアモーター方式のテンターであることを特
徴とする熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。 (3) 上記(1)または(2)において、前記横延伸
後、前記テンターにより、縦方向および/または横方向
に20%以下の緩和処理を行うことを特徴とする熱可塑
性樹脂フィルムの製造方法。 (4) 前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の熱
可塑性樹脂フィルムの製造方法により形成されてなる熱
可塑性樹脂フィルム。
【0007】本発明の製造方法により形成されてなる熱
可塑性樹脂フィルムの厚みは特に限定されず、「フィル
ム」は所謂「シート」も含む。
【0008】本発明において「実質的に未配向」とは主
配向軸が特定方向に定まっていないことを示す。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の製造方法によって製造さ
れる熱可塑性樹脂フィルムはテンターにより延伸されて
なるフィルムであれば特に限定されず、構成樹脂として
は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,
6−ナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリ
ブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ナ
イロン−6、ナイロン−66などのポリアミド系樹脂、
ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系
樹脂、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスル
フォン、ポリスルフォン、ポリエーテルエーテルケト
ン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエチレントリメリ
テッドイミドなどの単独重合体あるいは共重合体等が挙
げられ、それらの2種以上の混合物であってもよい。ま
た、熱可塑性フィルムは単層であっても、多層構造など
の複合体であっても良い。
【0010】本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
は、実質的に未配向の熱可塑性樹脂シートを、テンター
を用いて縦方向にガラス転移温度(Tg)+10℃以
上、低温結晶化温度(Tc)+40℃以下の温度条件下
で3.1〜6.0倍延伸した後、得られた一軸配向フィ
ルムを引続き前記テンターを用いてガラス転移温度(T
g)未満に冷却せずに、横方向にガラス転移温度(T
g)以上、融点(Tm)−20℃以下の温度条件下で
3.0倍以上延伸する。
【0011】縦方向延伸時の延伸温度が(Tg+10
℃)未満では、延伸応力が著しく増加し、ボーイング現
象を低減する効果が現れず、かつ引続き行う横延伸時に
破断が頻発する。縦方向延伸時の延伸温度が(Tc+4
0℃)を超えると得られた熱可塑性樹脂フィルムの厚み
斑が大きくなり、かつ熱結晶化が著しく進行し、延伸応
力が増大し、さらに引続き行う横延伸時に破断が頻発す
る。好ましくは、縦方向延伸時の延伸温度が(Tg+2
0℃)〜(Tc+30℃)であるのがよい。
【0012】縦方向延伸時の延伸倍率が3.1倍未満で
あるとボーイング現象は低減するものの、得られた熱可
塑性樹脂フィルムの縦方向強度が小さくなり、6.0倍
を超えるとボーイング現象を低減する効果が発現せず、
かつ引続き行う横延伸時に破断が頻発する。好ましく
は、縦方向延伸時の延伸倍率が3.3〜5.0倍である
のがよい。
【0013】得られた一軸配向フィルムを、引続き縦延
伸時と同一のテンターを用いて、ガラス転移温度(T
g)未満に冷却せずに、横延伸を行うことが本発明の特
徴の1つである。すなわち、一軸配向フィルムを強制的
に冷却するのではなく加熱保温し、しかも横延伸のため
の加熱を兼用することにある。一軸配向フィルムを強制
的に冷却し、更に横延伸のために再加熱すると、熱結晶
化が著しく進行し、横延伸応力が増大し、ボーイング現
象を低減する効果が現れない。上記の加熱保温時におい
ても熱結晶化は進行するが、前述の強制冷却および再加
熱も場合に比べると進行速度が甚だ遅く、実用上問題と
ならない。
【0014】横延伸時の延伸温度がTg未満では延伸応
力が著しく増加し、破断が頻発する。横延伸時の延伸温
度が(Tm−20℃)を超えると厚み斑が大きくなり、
かつ熱結晶化が著しく進行し、延伸応力が増大して、破
断が頻発する。好ましくは、横延伸時の延伸温度が(T
g+20℃)〜(Tm−40℃)であるのがよい。
【0015】横延伸時の延伸倍率が3.0倍未満である
と熱可塑性樹脂フィルムの強度が低下し、かつ厚み斑が
増大しやすくなる。好ましくは、横延伸時の延伸倍率が
3.5倍〜5.0倍であるのがよい。横延伸時の延伸倍
率が高すぎると、延伸応力が増大し、破断が頻発しやす
くなる。
【0016】本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
においては、延伸に使用する前記テンターが、クリップ
の駆動がリニアモーター方式のテンターであるのが好ま
しい。クリップの駆動がリニアモーター方式のテンター
を用いることにより、クリップの駆動がスクリュー方式
やパンタグラフ方式等に比べ、フィルム形成速度が向上
し、特に縦延伸倍率の条件設定が容易に制御可能となっ
て、より幅方向の物性が均一なフィルムを得やすくな
る。
【0017】さらに、本発明の熱可塑性樹脂フィルムの
製造方法においては、上記のようにして得られた二軸配
向熱可塑性樹脂フィルムを、前記横延伸後に引き続い
て、延伸時と同一のテンターにより、熱固定を行うこと
が好ましい。熱固定を行うことにより、熱可塑性樹脂フ
ィルムの吸湿寸法変化、乾熱寸法変化、ボイル寸法変化
が低減され、後加工工程中及び後加工品の寸法変化に起
因する、例えば製袋カール等のトラブル誘発を防止でき
る。さらに、熱固定工程中の緩和処理における緩和率
は、縦方向および/または横方向に20%以下であるこ
とが好ましく、特に好ましくは、緩和率が、縦方向およ
び/または横方向に5〜15%であるのがよい。緩和率
が20%を超えると、縦方向および/または横方向に延
伸時に発生する残留応力を熱固定工程で吸収することが
出来ずに、実質的な緩和効果が現れにくく、フィルムが
テンター内で弛むために、テンター内において熱風によ
るフィルムのバタツキが生じ、フィルムの破断やフィル
ムへの擦り傷を誘発やすい。
【0018】さらに、上記緩和処理において、温度は
(Tm−70℃)〜Tmの温度であるのが好ましく、特
に好ましくは、(Tm−50℃)〜(Tm−5℃)であ
るのがよい。緩和処理温度が(Tm−70℃)未満では
緩和効果が現れにくく、Tmを超えると熱結晶化が著し
く進行し破断が頻発しやすくなる。
【0019】上記のように、本発明の熱可塑性樹脂フィ
ルムの製造方法は、実質的に未配向の熱可塑性樹脂シー
トを、クリップの駆動がリニアモーター方式のテンター
を用いて縦方向に、前記未配向の熱可塑性樹脂シートの
ガラス転移温度(Tg)+10℃以上、低温結晶化温度
(Tc)+40℃以下の温度条件下で、3.1〜6.0
倍となるよう延伸した後、ガラス転移温度(Tg)未満
に冷却せずに、引続き前記テンターを用いて横方向に、
ガラス転移温度(Tg)以上、融点(Tm)−20℃以
下の温度条件下で、3.0倍以上となるよう延伸し、さ
らに、前記テンターにより、縦方向および/または横方
向に20%以下の緩和処理を含む熱固定工程を行うのが
好ましい。
【0020】本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
は、上述したような条件での延伸を行えば、他の製造に
おける工程は特に限定されず、例えば、延伸前の実質的
に未配向の熱可塑性樹脂シートは、フィルムを構成する
熱可塑性樹脂原料を乾燥したのち、押し出し機により溶
融押出し、口金より回転ドラム上にキャストして急冷固
化するなどの従来一般の方法により得られる。
【0021】本発明の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法
により、ボーイング減少の発生を減少させ、幅方向に物
性の均一な熱可塑性フィルムが得られる理由として、下
記のことが考えられる。本発明においては、縦延伸を特
定の延伸温度と延伸倍率に制御することにより、縦延伸
により発生する残留熱収縮応力を低減し、かつ横延伸時
に発生する延伸応力を低減することができ、ボーイング
現象が減少する。また同時に同一テンター内の縦延伸と
横延伸の間を保温してガラス転移温度(Tg)未満に冷
却しないことにより、強制冷却から再加熱時に生ずる結
晶化促進作用を防止し、横延伸時に発現する配向の形成
が容易になって延伸性が向上し、また、横延伸時に発生
する延伸応力を低減することができ、ボーイング現象が
減少する。また、横延伸と熱固定を連続に同一のテンタ
ーで行う場合では、ボーイング現象は延伸工程終了後に
も多少発生し、その後の熱固定工程の直後で最大値をと
ることが確認されている。延伸工程と熱固定工程との間
には延伸による延伸応力と熱固定による収縮応力が存在
するが、熱固定工程のフィルムの温度が高いとフィルム
の剛性が低くなり、フィルムの中央部が延伸工程側へ変
形し易くなり、ボーイング現象が発生すると考えられ
る。同一テンターを用いて横延伸と熱固定を行う場合
は、緩和処理を含む熱固定工程を行うことで、フィルム
幅方向で均一な緩和処理が可能となり、ボーイング現象
が減少する。従って、緩和処理を特定の条件に制御する
ことにより、ボーイング減少を低減できる。このよう
に、フィルムの延伸性が向上し、ボーイング現象を減少
させて、幅方向に物性の均一な、製造時あるいは使用時
の取り扱い性に優れたフィルムを経済的に得ることがで
きる。
【0022】本発明を試験例および実施例を用いてより
具体的に説明するが、本発明はそれらに限定されるもの
ではなく、本発明の趣旨に適合し得る範囲で変更を加え
て実施することももちろん可能であり、それらはいずれ
も本発明の技術的範囲に包含される。
【0023】試験例 1.試験方法 (1)ガラス転移温度(Tg)、低温結晶化温度(T
c)、及び融点(Tm) 実施例1〜5、比較例1〜5の熱可塑性樹脂フィルム製
造において得られた未配向シートを液体窒素中で凍結
し、減圧解凍後に、セイコー電子製DSCを用いて昇温
速度10℃/分で測定し、得られた吸熱発熱曲線よりガ
ラス転移温度(Tg)、低温結晶化温度(Tc)及び融
点(Tm)を算出した。
【0024】(2)破断回数 フィルム形成状態として、実施例1〜5、比較例1〜5
の熱可塑性樹脂フィルム製造を、それぞれ2時間同一条
件で行い、フィルムの破断回数を計測した。
【0025】(3)ボーイング歪 実施例1〜5、比較例1〜5の熱可塑性樹脂フィルム製
造において、テンターに入る前の未配向シートの表面に
幅方向に直線を描き、最終的に得られた熱可塑性樹脂フ
ィルムにおいて上記直線の弓状に変形した状態(ボーイ
ング線)より下記式1を用いてボーイング歪(B:単位
%)を算出した。 B(%)=b/W×100 式1 W(mm):フィルムの幅 b(mm):ボーイング線の最大ふくらみ量
【0026】(4)沸水収縮率斜め差 実施例1〜3、比較例1〜3の熱可塑性樹脂フィルム
を、全幅の中央部および中央から左右に全幅の40%の
位置(端部)から、それぞれ21cm角に切り出しサン
プルとする。各々のサンプルの中央を中心とする直径2
0cmの円を描き、熱可塑性樹脂フィルムの縦方向を0
°としたときの0°、45°、90°及び135°方向
に円の中心を通る直線を引き、各方向における円の直径
を測定し、処理前の長さとする。上記各サンプルを沸騰
水中で30分間加熱処理した後、取り出して、表面に付
着した水分を除去、風乾する。風乾後、各方向の直径を
再度測定し、処理後の長さとし、下記式2を用いて沸水
収縮率(%)を算出した。 沸水収縮率(%) =(処理前の長さ−処理後の長さ)/処理前の長さ×100 式2 さらに縦方向を0°としたときの45°と135°方向
の上記沸水収縮率の差の絶対値を求め、両方の端部のサ
ンプルにおける平均値を沸水収縮率斜め差(%)とし
た。
【0027】(5)厚み斑 実施例4、5、比較例4、5の熱可塑性樹脂フィルムを
縦方向、横方向にそれぞれ1m×5cmの短冊状に裁断
し、厚さ計(K306C、安立電気(株)製)を用いて
厚み形状を測定した。下記式3により、1m当りの厚み
斑を算出し、これを5回繰り返して平均値を求め測定値
とした。 厚み斑(%)=(最大厚み−最小厚み)/平均厚み×100 式3
【0028】2.試験結果 上記試験(1)の結果は実施例および比較例中に、試験
(2)〜(5)の結果は表1、2に示す。
【0029】
【実施例】実施例1 ナイロン6ペレット(相対粘度2.8)を真空乾燥した
後、これを押出し機に供給して265℃で溶解し、T型
ダイよりシート状に押し出し、直流高電圧を印可して2
0℃の回転ドラム上に静電気的に密着させ、冷却固化さ
せて厚さ200μmの未配向シートを得た。この未配向
シートのガラス転移温度(Tg)は40℃、低温結晶化
温度(Tc)は68℃、融点(Tm)は220℃であっ
た。上記未配向シートを連続的にリニアモータ方式で駆
動するテンターに導き、延伸温度65℃で縦方向に3.
5倍延伸した後、65℃に保温しつつ、引続き同一テン
ターで、延伸温度120℃で横方向に4.0倍延伸した
後、さらに同一テンターで215℃で縦方向に6%、及
び横方向に6%の緩和処理を施した後に冷却し、両縁部
を裁断除去して、厚み15μmの二軸配向ポリアミドフ
ィルムを得た。
【0030】実施例2 縦延伸を温度75℃で行う以外はすべて実施例1と同様
にして二軸配向ポリアミドフィルムを得た。
【0031】実施例3 緩和処理時の縦方向の緩和率を10%で行う以外はすべ
て実施例1と同様にして二軸配向ポリアミドフィルムを
得た。
【0032】実施例4 ポリエチレンテレフタレートペレット(固有粘度0.6
5)を真空乾燥した後、これを押出し機に供給して28
5℃で溶解し、T型ダイよりシート状に押し出し、直流
高電圧を印可して20℃の回転ドラム上に静電気的に密
着させ、冷却固化させて厚さ190μmの未配向シート
を得た。この未配向シートのガラス転移温度(Tg)は
79℃、低温結晶化温度(Tc)は135℃、融点(T
m)は265℃であった。上記未配向シートを連続的に
リニアモータ方式で駆動するテンターに導き、延伸温度
110℃で縦方向に4.5倍延伸した後、110℃に保
温しつつ、引続き同一テンターで延伸温度140℃で横
方向に4.0倍延伸した後、さらに同一テンターで23
0℃で縦方向に8%、及び横方向に10%の緩和処理を
施した後に冷却し、両縁部を裁断除去して、厚み12μ
mの二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルムを得
た。
【0033】実施例5 縦延伸を倍率3.5倍で行う以外はすべて実施例4と同
様にして二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム
を得た。
【0034】比較例1 縦延伸を温度45℃で行う以外はすべて実施例1と同様
にして二軸配向ポリアミドフィルムを得た。
【0035】比較例2 縦延伸と横延伸を異なるテンターを用いて行い、その間
の温度を35℃にする以外はすべて実施例1と同様にし
て二軸配向ポリアミドフィルムを得た。
【0036】比較例3 縦方向の緩和処理を行わない以外はすべて実施例1と同
様にして二軸配向ポリアミドフィルムを得た。
【0037】比較例4 縦延伸を倍率6.5倍で行う以外はすべて実施例4と同
様にして二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム
を得た。
【0038】比較例5 縦延伸を温度180℃で行う以外はすべて実施例4と同
様にして二軸配向ポリエチレンテレフタレートフィルム
を得た。
【0039】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、ボーイング
現象の発生を減少させ、破断の発生がなく、厚み斑も小
さい、幅方向の物性の均一性が高い熱可塑性樹脂フィル
ムを効率よく得ることができ、コスト性にも優れる。
【表1】
【表2】

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実質的に未配向の熱可塑性樹脂シート
    を、テンターを用いて縦方向に3.1〜6.0倍延伸し
    た後、引続き前記テンターを用いて横方向に3.0倍以
    上延伸する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法において、
    前記縦延伸を、前記未配向の熱可塑性樹脂シートのガラ
    ス転移温度(Tg)+10℃以上、低温結晶化温度(T
    c)+40℃以下の温度条件下で行い、引続き前記テン
    ターを用いて、ガラス転移温度(Tg)未満に冷却せず
    に、前記横延伸をガラス転移温度(Tg)以上、融点
    (Tm)−20℃以下の温度条件下で行うことを特徴と
    する熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記テンターが、クリップの駆動がリニ
    アモーター方式のテンターであることを特徴とする請求
    項1記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記横延伸後、前記テンターにより、縦
    方向および/または横方向に20%以下の緩和処理を含
    む熱固定工程を行うことを特徴とする請求項1または2
    記載の熱可塑性樹脂フィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の
    熱可塑性樹脂フィルムの製造方法により形成されてなる
    熱可塑性樹脂フィルム。
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