JP2002210915A - 分割版胴を個別に駆動する多色刷平版印刷機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 分割版胴の各分割部及びブランケット胴への
回転駆動の伝動手段を比較的簡素な機構にする。 【解決手段】 版胴と接触させたブランケット胴を他の
胴と接触させて一斉に回転させる印刷部を複数設けた多
色刷平版印刷機で、少なくとも１つの印刷部が、軸方向
に２分割され各分割部が個別に軸方向に移動可能に、か
つ円周方向に回転可能にした分割版胴ＰＣ、ＰＣ′と、
分割版胴の各分割部に対応した同期制御可能な電動駆動
手段４、４ａ、５、５ａと、それぞれ対応する分割部と
電動駆動手段との間に設けられた伝動手段ＧＤ、Ｇ
Ｄ′、ＧＰ、ＧＰ′と、を有し、分割版胴の２つの分割
部と、これらの分割部ごとに対応した電動駆動手段との
間にそれぞれ設けられた伝動手段の一方が、当該分割版
胴ＰＣａ、ＰＣａ′と接触するブランケット胴ＢＣ、Ｂ
Ｃ′へ伝動可能に形成されるとともに、当該分割部とブ
ランケット胴のうち小径である方を伝動の上流側にし
た。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、分割版胴を有す
る印刷部にウェブ紙を順次連続して通して印刷する分割
版胴を個別に駆動する多色刷平版印刷機に関するもので
ある。

【０００２】

【従来の技術】分割版胴を有する複数の印刷部にウェブ
紙を順次連続して通して印刷する多色刷平版印刷機は、
例えば特許第２５６６８９５号公報に示されたものが公
知である。

【０００３】この公報には、版胴と接触させたブランケ
ット胴を隣接させ、かつ互いに接触させて一斉に回転さ
せる印刷部を高さ方向に４つ積み重ね、各印刷部の２つ
のブランケット胴の間にウェブ紙を順次経由させて４色
印刷を行い得る多色刷平版印刷機であって、各版胴が軸
方向に２分割され各分割部が個別に軸方向に移動可能、
かつ円周方向に回転可能な分割版胴である多色刷印刷機
が示されている。

【０００４】この多色刷平版印刷機の各印刷部には、２
つの分割版胴におけるそれぞれ２つの分割部と２つのブ
ランケット胴との都合６つの被駆動部を回転駆動する電
動駆動手段が１つ設けられ、この電動駆動手段の出力軸
と６つの被駆動部の各軸端とが連動するように伝動手段
によって連結されている。

【０００５】また、２つの分割版胴の各分割部には、多
色印刷における各色の印刷画線間のずれを修正するため
に、分割部を個別に円周方向に移動するための版胴円周
微動調整手段と、分割部を個別に軸方向に移動するため
の版胴左右微動調整手段が、それぞれ個別に設けられて
いる。

【０００６】他方、平版印刷では、版胴とブランケット
胴の組に回転を伝動するときに、外径の小さな胴を伝動
の上流側に配して伝動することによって、伝動手段のバ
ックラッシュの影響による印刷ずれをなくし、品質の良
い印刷物を得ることができることが、例えば特開昭６１
−１８２９５１号及び前記した特許第２５６６８９５号
公報によって公知である。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記従来の
多色刷平版印刷機では、１つの伝動駆動手段によって２
つの分割版胴と２つのブランケット胴を回転駆動するに
あたり、バックラッシュの影響による印刷ずれをなくす
ために、各組の分割版胴とブランケット胴との間の駆動
伝達を、小径のものが常に伝動の上流側になるように形
成した伝動手段を用いている。

【０００８】したがって、伝動手段を形成する部品が多
く、機構が複雑なものであり、部品の加工、組付けに多
くの工数を必要とし、組付けに高い熟練度を必要とする
うえ、複雑な機構を良好な状態に維持するためのメイン
テナンスに多くの時間を必要とし、また故障の発生頻度
も高くならざるを得なかった。加えて、多くの部品が接
触して高速回転を伝動する伝動手段は、比較的大きな騒
音を発生し、作業環境を悪化させる原因の１つになって
いた。

【０００９】さらに、２つの分割版胴の各分割部に設け
られた版胴円周微動調整手段と版胴左右微動調整手段と
は、各分割部及びブランケット胴への回転駆動の伝動を
妨げず、しかも各分割部が個別に、かつ円周微動と左右
微動とが互いに無関係に行われる必要があるため、これ
ら微動調整手段を形成する部品が極めて多くなり、その
構造が極めて複雑で、部品の加工、組付けに非常に多く
の工数を必要とし、組付けに非常に高い熟練度を必要と
した。したがって、これらの機構を良好な状態に維持す
るためのメインテナンスに多くの時間と高い熟練度を必
要とし、また故障の頻度が高くならざるを得なかった。

【００１０】またさらに、これらの微動調整手段を前記
伝導手段と複合して形成しているため、前記伝導手段の
機構がより複雑になり、そのメインテナンスに要する時
間を増加させ、また故障の頻度を押し上げていた。

【００１１】この発明は、以上記載した課題を一掃する
もので、分割版胴を有する印刷部において、分割版胴の
各分割部及びブランケット胴への回転駆動の伝動手段を
比較的簡素な機構にし、また各色の印刷画線間のずれを
修正するために設ける微動調整手段の構成を簡素化し、
これら各手段の部品数を減じ、その加工や組付けの工数
を減じてイニシャルコストを低減するとともに、メイン
テナンスを容易にし、かつ故障頻度を低くしてランニン
グコストをも低減することを目的としている。また、こ
れら各手段を簡素化することによって、通常の技能を有
する誰でもが容易に組付けできるようにすることを目的
としている。さらに、伝動手段を簡素化して接触部を減
らすことにより騒音の発生を少なくし、作業環境を改善
することを目的としている。

【００１２】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成しようと
するために、この発明に係る分割版胴を個別に駆動する
多色刷平版印刷機は、版胴と接触させたブランケット胴
を他の胴と接触させて一斉に回転させる印刷部を複数設
けるとともに、各印刷部のブランケット胴と他の胴との
間にウェブ紙を順次経由させ得るように設けた多色刷平
版印刷機において、少なくとも１つの印刷部が、軸方向
に２分割され各分割部が個別に軸方向に移動可能に、か
つ円周方向に回転可能に設けられた分割版胴と、分割版
胴の各分割部に対応して設けられた同期制御可能な電動
駆動手段と、それぞれ対応する分割部と電動駆動手段と
の間に設けられた伝動手段と、を有し、分割版胴の２つ
の分割部と、これらの分割部ごとに対応して設けられた
電動駆動手段との間にそれぞれ設けられた伝動手段の一
方が、当該分割版胴と接触するブランケット胴へ伝動可
能に形成されるとともに、当該分割部とブランケット胴
のうち小径である方を伝動の上流側となるよう形成され
た構成になっている。

【００１３】そして前記構成の分割版胴を個別に駆動す
る多色刷平版印刷機において、分割版胴と接触させたブ
ランケット胴を接触させる他の胴が、他の版胴と接触さ
せた他のブランケット胴であり、他の版胴が、軸方向に
２分割され各分割部が個別に軸方向に移動可能に、かつ
円周方向に回転可能に設けられた他の分割版胴であると
ともに、同期制御可能な電動駆動手段が各分割部に対応
して設けられ、さらに、それぞれ対応する分割部と電動
駆動手段との間に伝動手段が設けられ、他の分割版胴の
２つの分割部とこれらの分割部ごとに対応して設けられ
た電動駆動手段との間にそれぞれ設けられた伝動手段の
一方が、当該他の分割版胴と接触する他のブランケット
胴へ伝動可能に形成され、かつ当該分割部と他のブラン
ケット胴のうち小径である方を伝動の上流側となるよう
形成されている。

【００１４】また、前記各分割部のそれぞれに、当該分
割部を個別に軸方向に移動させる版胴左右微動調整手段
が設けられている。

【００１５】

【作 用】前記構成によれば、分割版胴を個別に駆動す
る多色刷平版印刷機において、分割版胴の各分割部に対
応して設けられた電動駆動手段が同期制御されて回転作
動する。すると電動手段にそれぞれ対応している各分割
部は、それぞれ個別に、両者の間に設けられた伝動手段
を介して駆動伝達され回転させられる。

【００１６】また、分割版胴の２つの分割部とそれに対
応する各電動駆動手段との間にそれぞれ設けられた２つ
の伝動手段のうちの一方の伝動手段は、当該分割版胴と
接触するブランケット胴に駆動伝達する。そしてこの一
方の伝動手段は、分割版胴の分割部とブランケット胴の
うち、まず小径のものに駆動伝達し、次いで大径のもの
に駆動伝達する。

【００１７】さらに、各電動駆動手段は、それぞれ他の
電動駆動手段に対して僅かに速くまたは遅く回転するよ
うに制御されることにより、当該電動駆動手段によって
回転駆動される分割部を、それぞれ個別に回転方向に進
めたり遅らせたりするように移動することができ、つま
りはウェブ紙に施した当該分割部の印刷画線の位置を、
他の印刷部の印刷画線の位置に対して、ウェブ紙の長さ
方向に移動調整することができる。

【００１８】他方、分割版胴の各分割部は、各分割部ご
とに設けられた版胴左右微動調整手段によって、それぞ
れ個別に分割版胴の軸方向に押し引き移動され得る。つ
まりは、ウェブ紙に施した当該分割部の印刷画線の位置
を、他の印刷部の印刷画線の位置に対して、ウェブ紙の
幅方向に移動調整することができる。

【００１９】

【発明の実施の形態】次にこの発明の実施の形態を図面
に従って説明する。図１はこの発明の実施の形態である
多色刷平版印刷機の１つの印刷部を示す概略構成並列
図、図２（ａ）は図１のＡ−Ａ矢視による多色刷平版印
刷機全体の概略構成図、図２（ｂ）は図１のＢ−Ｂ矢視
による多色刷平版印刷機全体の概略構成図である。

【００２０】この発明の実施の形態では、分割版胴ＰＣ
と仕立径において分割版胴ＰＣより小さなブランケット
胴ＢＣの組み合わせと、分割版胴ＰＣ′と仕立径におい
て分割版胴ＰＣ′より小さなブランケット胴ＢＣ′の組
み合わせを、それぞれのブランケット胴ＢＣ、ＢＣ′を
接離可能に左右に配置して印刷部Ｐ１、Ｐ２、Ｐ３、Ｐ
４とし、これら印刷部Ｐ１、Ｐ２、Ｐ３、Ｐ４を重ねて
設置するとともに、それぞれの分割版胴ＰＣ、ＰＣ′は
軸方向に２分割し、一方の分割部ＰＣａ、ＰＣａ′と他
方の分割部ＰＣｂ、ＰＣｂ′から構成している。しか
し、この発明は、印刷部Ｐ１、Ｐ２、Ｐ３、Ｐ４の少な
くとも１つにおいて版胴を分割版胴ＰＣとしてもよいこ
とは勿論である。

【００２１】図１、図２において印刷部Ｐ１、Ｐ２、Ｐ
３、Ｐ４には、ドライブサイドフレーム１の外側に、各
印刷部Ｐ１、Ｐ２、Ｐ３、Ｐ４にて接離可能に配置した
対となる両ブランケットＢＣ、ＢＣ′のうちの一方のブ
ランケット胴ＢＣと、これに転がり接触する分割版胴Ｐ
Ｃのドライブサイドフレーム１側の分割部ＰＣａを駆動
するドライブサイドフレーム１側の一方の電動駆動手段
４…と、他方のブランケット胴ＢＣ′と、これに転がり
接触する分割版胴ＰＣ′のドライブサイドフレーム１側
の分割部ＰＣａ′を駆動するドライブサイドフレーム１
側の他方の電動駆動手段４ａ…が、並びに、それぞれの
電動駆動手段４…、４ａ…の回転力を各被駆動部に伝動
するドライブサイド伝動手段ＧＤ…、及びＧＤ′…が設
けられている。

【００２２】また、オペレーションサイドフレーム２の
外側に、各印刷部Ｐ１、Ｐ２、Ｐ３、Ｐ４の対となる各
分割版胴ＰＣ、ＰＣ′のうちの一方の分割版胴ＰＣのオ
ペレーションサイドフレーム２側の分割部ＰＣｂを駆動
するオペレーションサイドフレーム２側の一方の電動駆
動手段５…と、他方の分割版胴ＰＣ′のオペレーション
サイドフレーム２側の分割部ＰＣｂ′を駆動するオペレ
ーションサイドフレーム２側の他方の電動駆動手段５ａ
…が、並びに、それぞれの電動駆動手段５…、５ａ…の
回転力を各被駆動部へ伝動するオペレーションサイド伝
動手段ＧＰ…、及びＧＰ′…が設けられている。

【００２３】さらに、各分割版胴ＰＣ、ＰＣ′の各分割
部ＰＣａ、ＰＣａ′、ＰＣｂ、ＰＣｂ′に連結されて、
各分割部ＰＣａ、ＰＣａ′、ＰＣｂ、ＰＣｂ′をそれぞ
れ軸方向に移動させる版胴左右微調整手段２９…が設け
られている。

【００２４】そして前記した各電動駆動手段４…、４ａ
…及び５…、５ａ…は、図示しない同期制御手段によっ
て、それぞれ回転位相と速度とを個別に電気的に検出さ
れて相対的に整合させられ同期されて一斉に回転させら
れることが可能であると共に、それぞれが個別に、他に
対して速度を僅かに速めたり遅くしたりして、回転位相
を他に対して進めたり遅らせたりすることが可能である
ように設けられている。

【００２５】図３は、１つの印刷部Ｐ１乃至Ｐ４のいず
れかの版胴ＰＣ、ＰＣ′の一方（ドライブサイドフレー
ム１側）の分割部ＰＣａ、ＰＣａ′及びブランケット胴
ＢＣ、ＢＣ′に関する電動駆動手段４、４ａ、ドライブ
サイド伝動手段ＧＤ、ＧＤ′及び版胴左右微動調整手段
２９、２９の詳細な並列図、図４は、１つの印刷部Ｐ１
乃至Ｐ４のいずれかの版胴ＰＣ、ＰＣ′の他方（オペレ
ーションサイドフレーム２側）の分割部ＰＣｂ、ＰＣ
ｂ′及びブランケット胴ＢＣ、ＢＣ′に関する電動駆動
手段５、５ａ、オペレーションサイド伝動手段ＧＰ、Ｇ
Ｐ′及び版胴左右微動調整手段２９、２９の詳細な並列
図、図５は、版胴左右微動調整手段２９の詳細を示す部
分断面並列図である。

【００２６】また、図６はこの発明の伝動手段であるド
ライブサイド伝動手段ＧＤ、ＧＤ′、オペレーションサ
イド伝動手段ＧＰ、ＧＰ′、分割版胴ＰＣ、ＰＣ′及び
ブランケット胴ＢＣ、ＢＣ′の関係を示す概略構成並列
図である。

【００２７】一方のドライブサイド伝動手段ＧＤは、電
動駆動手段４と分割版胴ＰＣのドライブサイドフレーム
１側の分割部ＰＣａ及びブランケット胴ＢＣとを連動可
能に連結すべく設けられた電動機歯車１０、第１中間歯
車１２、第２中間歯車１４、ブランケット胴歯車１８、
分割部歯車１６よりなる。また、他方のドライブサイド
伝動手段ＧＤ′は、電動駆動手段４ａと分割版胴ＰＣ′
のドライブサイドフレーム１側の分割部ＰＣａ′及びブ
ランケット胴ＢＣ′とを連動可能に連結すべく設けられ
た原動機歯車１０ａ、第１中間歯車１２ａ、第２中間歯
車２２、ブランケット胴歯車２０、分割部歯車２４から
構成されている（図６参照）。

【００２８】図３で示すドライブサイドにおいて、一方
の電動駆動手段４の回転は、その出力軸に取付けられた
原動機歯車１０を介してその歯車と噛み合う第１中間歯
車１２に伝達され、この第１中間歯車１２の回転はブラ
ンケット胴ＰＣのドライブサイドフレーム１側の分割部
ＰＣａに対して回転自在に取り付けられた第２中間歯車
１４に伝達される。そしてこの第２中間歯車１４の回転
は、ブランケット胴ＢＣの軸に取り付けられたブランケ
ット胴歯車１８に伝達され、その軸を経由してブランケ
ット胴ＢＣを回転させる。

【００２９】ブラケット３３の軸受ホルダー部４４は、
左右方向から規制された軸受４３を介して内歯歯車５０
を回転自在に保持する。そして内歯歯車５０は、分割版
胴ＰＣのドライブサイドフレーム１側の分割部ＰＣａの
軸ＰＣｅに嵌め合ってキー５５を介して回転を規制され
た外歯歯車５２と、軸方向の移動可能に噛み合わされ
る。一方、内歯歯車５０にはドライブサイドフレーム１
側の分割部ＰＣａの駆動用の分割部歯車１６が取り付け
られており、その分割部歯車１６はブランケット胴ＢＣ
駆動用のブランケット胴歯車１８と噛み合う。したがっ
て、動力はブランケット胴歯車１８よりドライブサイド
フレーム１側の分割部ＰＣａの軸部に取り付けられた分
割部歯車１６に伝達され、ドライブサイドフレーム１側
の分割部ＰＣａを回転させる。

【００３０】これにより、ドライブサイドフレーム１側
の一方の電動駆動手段４の駆動力は、小径側であるブラ
ンケット胴ＢＣに伝達されてから大径側である分割版胴
ＰＣのドライブサイドフレーム１側の分割部ＰＣａに伝
達される。

【００３１】また、他方の電動駆動手段４ａの回転は、
その出力軸に取り付けられた原動機歯車１０ａを介し
て、そのギヤと噛み合う第１中間歯車１２ａに伝達さ
れ、この第１中間歯車１２ａの回転はブランケット胴Ｐ
Ｃ′のドライブサイドフレーム１側の分割部ＰＣａ′に
対して回転自在に取り付けられた第２中間歯車２２に伝
達される。そしてこの第２中間歯車２２の回転は、ブラ
ンケット胴ＢＣ′の軸に取り付けられたブランケット胴
歯車２０に伝達され、その軸を経由してドライブサイド
フレーム１側のブランケット胴ＢＣ′を回転させる。

【００３２】ブラケット３３ａの軸受ホルダー部４４ａ
は、左右方向から規制された軸受４３を介して内歯歯車
５０ａを回転自在に保持する。そして内歯歯車５０ａ
は、軸ＰＣｅ′に嵌め合ってキー５５ａを介して回転を
規制された外歯歯車５２ａと軸方向の移動可能に組み合
わされる。一方、内歯歯車５０ａにはドライブサイドフ
レーム１側の分割部ＰＣａ′の駆動用の分割部歯車２４
が取り付けられており、その分割部歯車２４はブランケ
ット胴ＢＣ′駆動用のブランケット胴歯車２０と噛み合
う。したがって、動力はブランケット胴歯車２０よりド
ライブサイドフレーム１側の分割部ＰＣａ′の軸に取り
付けられた分割部歯車２４に伝達され、ドライブサイド
フレーム１側の分割部ＰＣａ′を回転させる。

【００３３】これにより、ドライブサイドフレーム１側
の他方の電動駆動手段４ａの駆動力は、小径側であるブ
ランケット胴ＢＣに伝達されてから大径側である分割版
胴ＰＣ′のドライブサイドフレーム１側の分割部ＰＣａ
に伝達される。

【００３４】一方のオペレーションサイド伝動手段ＧＰ
は、電動駆動手段５と分割版胴ＰＣのオペレーションサ
イドフレーム２側の分割部ＰＣｂとを連動可能に連結す
べく設けられた原動機歯車１１、第１中間歯車１３、分
割部歯車１５よりなる。また他方のオペレーションサイ
ド伝動手段ＧＰ′は、電動駆動手段５ａと分割版胴Ｐ
Ｃ′のオペレーションサイドフレーム２側の分割部ＰＣ
ｂ′とを、連動可能に連結すべく設けられた原動機歯車
１１ａ、第１中間歯車１３ａ、分割部歯車２３から構成
されている（図６参照）。

【００３５】図４で示すオペレーションサイドにおい
て、一方の電動駆動手段５の回転は、その出力軸に取り
付けられた原動機歯車１１を介して、その歯車と噛み合
う第１中間歯車１３、さらにその第１中間歯車１３と噛
み合う分割部歯車１５に伝達される。ここで、ブラケッ
ト３３ｂの軸受ホルダー部４４ｂは、左右方向から規制
された軸受４３を介して分割部歯車１５を回転自在に保
持している。そして、分割部歯車１５に形成された内歯
歯車５１は、分割版胴ＰＣのオペレーションサイドフレ
ーム２側の分割部ＰＣｂに連結された軸ＰＣｄに嵌め合
ってキー５５ｂを介して回転を規制された外歯歯車５３
と軸方向の移動可能に噛み合わされている。したがっ
て、オペレーションサイドフレーム２側の分割部ＰＣｂ
の駆動用の分割部歯車１５の回転により、オペレーショ
ンサイドフレーム２側の分割部ＰＣｂは回転される。

【００３６】また、他方の電動駆動手段５ａの回転は、
その出力軸に取り付けられた原動機歯車１１ａを介し
て、その歯車と噛み合う第１中間歯車１３ａ、さらにそ
の第１中間歯車１３ａと噛み合う分割部歯車２３に伝達
される。ここで、ブラケット３３ｃの軸受ホルダー部４
４ｃは、左右方向から規制された軸受４３を介して分割
部歯車２３を回転自在に保持している。そして、分割部
歯車２３に形成された内歯歯車５１ａは、分割版胴Ｐ
Ｃ′のオペレーションサイドフレーム２側の分割部ＰＣ
ｂ′に連結された軸ＰＣｄ′に嵌め合ってキー５５Ｃを
介して回転規制された外歯歯車５３ａと軸方向に移動可
能に噛み合わされている。したがって、オペレーション
サイドフレーム２側の分割部ＰＣｂ′の駆動用の分割部
歯車２３の回転によりオペレーションサイドフレーム２
側の分割部ＰＣｂ′は回転される。

【００３７】次に、図３及び図４、そして図５の拡大図
で示す版胴左右微動調整手段２９について以下に説明す
る。版胴左右微動調整手段２９は、ドライブサイドフレ
ーム１側の分割部ＰＣａ、ＰＣａ′もしくはオペレーシ
ョンサイドフレーム２側の分割部ＰＣｂ、ＰＣｂ′ごと
に取り付けられ、それらの胴を個別的に軸線と平行する
方向に微変位させることによって、ブランケット胴Ｂ
Ｃ、ＢＣ′の各胴周面に対する接触位置が個別的に軸方
向に微小移動するのを利用して、印刷画線のずれを調整
するものである。その構成を、ドライブサイドフレーム
１側の版胴ＰＣの一方の分割部ＰＣａに設けた版胴左右
微動調整手段２９について説明する。なお、他の各分割
部ＰＣａ′、ＰＣｂ、ＰＣｂ′に設けられた版胴左右微
動調整手段２９…も同様の構成であるので、これら分割
部ＰＣａ′、ＰＣｂ、ＰＣｂ′に関する各構成部材の符
号を（ ）を付して併記する。

【００３８】版胴左右微動調整手段２９は、前記ドライ
ブサイドフレーム１またはオペレーションサイドフレー
ム２と、ドライブサイドフレーム１またはオペレーショ
ンサイドフレーム２から外方へ突き出されて設けられた
ブラケット３３（３３ａ、３３ｂ、３３ｃ）に支持され
ている。版胴左右微動調整用駆動部３１（３１ａ）は、
ブラケット５６（５６ａ）を介してブラケット３３（３
３ａ，３３ｂ，３３ｃ）に支持され、その出力軸３２
（３２ａ）にはピニオン３４（３４ａ）が取り付けられ
ている。ピニオン３４（３４ａ）は、軸受ホルダー３５
（３５ａ）と一体に組み付けられた雄ねじ部材３７（３
７ａ）に固定して取り付けられた大径歯車３６（３６
ａ）と噛み合っており、その回転を大径歯車３６（３６
ａ）に伝える。

【００３９】また、雄ねじ部材３７（３７ａ）の雄ねじ
３７ｈが、ブラケット３３（３３ａ、３３ｂ、３３ｃ）
に取り付けられた雌ねじ部材３８（３８ａ）とねじ結合
する。したがって、軸受ホルダー３５（３５ａ）は雌ね
じ部材３８（３８ａ）に案内されて回転変位するととも
に軸方向に直線変位させられる。

【００４０】ところで、一方の分割部ＰＣａ（ＰＣａ′
または他方の分割部ＰＣｂ、ＰＣｂ′）の軸ＰＣｅ（Ｐ
Ｃｅ′またはＰＣｄ、ＰＣｄ′）と一体の補助軸３９
は、軸受４０を介して前記軸受ホルダー３５（３５ａ）
に回転自在に保持されている一方、軸受４０の両端面
は、軸受ホルダー３５（３５ａ）に突設されたあご部３
５ｈと、軸受押さえ４２の脚部４２ｈとによって規制さ
れており、また補助軸３９の大径部３９ａと、軸端キャ
ップ４１の環端部４１ａによっても規制されているの
で、前記軸受ホルダー３５（３５ａ）の軸方向に平行な
直線変位が軸受４０、補助軸３９、軸ＰＣｅ（ＰＣ
ｅ′、ＰＣｄ、ＰＣｄ′）を介して、一方の分割部ＰＣ
ａ（ＰＣａ′または他方の分割部ＰＣｂ、ＰＣｂ′）に
伝達され、かくして軸方向に平行な直線微変位が一方の
分割部ＰＣａ（ＰＣａ′または他方の分割部ＰＣｂ、Ｐ
Ｃｂ′）に付与される。

【００４１】以上の構成による動作は次のように行われ
る。まず、印刷に先立って刷版装着を行う。一方（ドラ
イブサイドフレーム１側）分割部ＰＣａ及び他方（オペ
レーションサイドフレーム２側）分割部ＰＣｂへの刷版
装着は、刷胴ＰＣの原動機である電動駆動手段４及び５
を同期制御のもとで動作させ、一方の分割部ＰＣａ及び
他方の分割部ＰＣｂを一斉に動作させて行う。版胴Ｐ
Ｃ′すなわち一方の分割部ＰＣａ′及び他方の部活部Ｐ
Ｃｂ′についても、電動駆動手段４ａ及び５ａを同期制
御のもとで動作させて同様に行う。

【００４２】刷版装着等の印刷準備が終了したら、電動
駆動手段４、４ａ、５、５ａを図示しない制御装置によ
り同期制御のもとで動作させる。電動駆動手段４、４ａ
は、その出力軸に取り付けられた原動機歯車１０、１０
ａを介して噛み合う第１中間歯車１２、１２ａ、さらに
その第１中間歯車１２、１２ａと噛み合う第２中間歯車
１４、２２を回転させる。そしてさらに、一方の分割部
ＰＣａ、ＰＣａ′に対して回転自在に取り付けられた第
２中間歯車１４、２２の回転は、ブランケット胴ＢＣ、
ＢＣ′の軸に取り付けられたブランケット胴歯車１８、
２０に伝達され、その軸を経由してブランケット胴Ｂ
Ｃ、ＢＣ′を回転させる。また、ブランケット胴歯車１
８、２０の回転は、一方の分割部ＰＣａ、ＰＣａ′の軸
に取り付けられた分割部歯車１６、２４に伝達され、一
方の分割部ＰＣａ、ＰＣａ′を回転させる。

【００４３】分割部歯車１６に伝達された回転は、内歯
歯車５０、外歯歯車５２、キー５５、軸ＰＣｅを介して
一方の分割部ＰＣａに伝達され、分割部歯車２４に伝達
された回転は、内歯歯車５０ａ、外歯歯車５２ａ、キー
５５ａ、軸ＰＣｅ′を介して他方の分割部ＰＣａ′に伝
達され、これにより２つの分割部ＰＣａ及びＰＣａ′は
ブランケット胴ＢＣ及びＢＣ′と相反する向きに一斉に
回転させられる。

【００４４】電動駆動手段５、５ａは、その出力軸に取
り付けられた原動機歯車１１、１１ａを介して噛み合う
第１中間歯車１３、１３ａ、さらにその第１中間歯車１
３、１３ａと噛み合う分割部歯車１５、２３を回転させ
る。分割部歯車１５に伝達された回転は、内歯歯車５
１、外歯歯車５３、キー５５ｂ、軸ＰＣｄを介して他方
の分割部ＰＣｂに伝達され、また分割部歯車２３に伝達
された回転は、内歯歯車５１ａ、外歯歯車５３ａ、キー
５５ｃ、軸ＰＣｄ′を介して一方の分割部ＰＣｂ′に伝
達され、これにより２つの分割部ＰＣｂ及びＰＣｂ′は
ブランケット胴ＢＣ及びＢＣ′と相反する向きに一斉に
回転させられる。

【００４５】このとき、小径側のブランケット胴ＢＣ、
ＢＣ′が大径側の分割版胴ＰＣａ、ＰＣａ′より動力伝
達系の上流側で駆動されることにより、伝動系のバック
ラッシュの影響をなくすることができる。

【００４６】この回転により印刷された印刷画線の位置
がウェブ紙Ｗの表裏面においてズレていたり、同一面に
重ね合わせて印刷される他の印刷画線、すなわち他の印
刷部によって印刷される印刷画線の位置に対してズレて
いるときは、電動駆動手段４、４ａ、５、５ａの回転速
度を個別にウェブ紙Ｗの走行速度、すなわち他の印刷部
を含む他の電動駆動手段４、４ａ、５、５ａの回転に対
して僅かに速くまたは遅く回転するように制御し、それ
ぞれが回転駆動する分割部の回転位相を他の印刷部を含
む他の分割部の回転位相に対して回転方向に進め、また
は遅らせて、前記ずれをなくす調整を行う。

【００４７】さらに、一方の分割版胴ＰＣａ、ＰＣａ′
の印刷画線または他方の分割版胴ＰＣｂ、ＰＣｂ′の印
刷画線にウェブ紙Ｗの幅方向においてずれがあるとき
は、版胴左右微動調整手段２９の版胴左右微動調整用駆
動部３１、３１ａを動作させる。これにより前記説明の
ように、一方の分割版胴ＰＣａ、ＰＣａ′の印刷画線ま
たは他方の分割版胴ＰＣｂ、ＰＣｂ′の印刷画線を版胴
ＰＣ、ＰＣ′の軸方向に変位させ、他の印刷部の各分割
版胴ＰＣａ、ＰＣａ′またはＰＣｂ、ＰＣｂ′の印刷画
線に対するウェブ紙Ｗの幅方向のずれをなくす調整を行
う。

【００４８】

【発明の効果】この発明は、電動駆動手段を印刷部の各
分割版胴に個別に設けたことによって、分割版胴の各分
割部及びブランケット胴への回転駆動の伝動手段を比較
的簡素な構造にできた。また、円周微動調整を電動駆動
手段で代用できるので、版胴円周微動調整機構を省くこ
とができ、大幅に部品数を削減できた。したがってその
加工や組付け工数を削減でき、イニシャルコストを低減
できた。

【００４９】また前記による部品数の大幅な削減は、故
障頻度の低減のみならず各機構のメインテナンスを容易
にするので、ランニングコストを節減できた。

【００５０】さらに、分割版胴の各分割部及びブランケ
ット胴への回転駆動の伝動手段を比較的簡素にでき、ま
た、版胴円周微動調整機構を省くことができ、各手段が
簡素化されたので、通常の技能を有する組立技能者が容
易に組付けできるので作業効率の改善による製造コスト
の低減に効果があった。

【００５１】さらに、また伝動手段の簡素化により接触
部を削減でき、騒音の発生を少なくできたので、印刷工
場現場の作業環境の改善に効果があった。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の実施の形態である多色刷平版印刷機
の１つの印刷部を示す概略構成並列図である。

【図２】（ａ）は図１のＡ−Ａ矢視による多色刷平版印
刷機全体の概略構成図である。（ｂ）は図１のＢ−Ｂ矢
視による多色刷平版印刷機全体の概略構成図である。

【図３】１つの印刷部の版胴の一方の分割部及びブラン
ケット胴に関するドライブサイドの詳細な並列図であ
る。

【図４】１つの印刷部の版胴の一方の分割部及びブラン
ケット胴に関するオペレーションサイドの詳細な並列図
である。

【図５】版胴左右微動調整手段の詳細を示す部分断面並
列図である。

【図６】ドライブサイドの伝動手段、オペレーションサ
イドの伝動手段、分割版胴及びブランケット胴の関係を
示す概略構成並列図である。

【符号の説明】

ＰＣ、ＰＣ′…版胴、ＢＣ、ＢＣ′…ブランケット胴、
Ｐ１、Ｐ２、Ｐ３、Ｐ４…印刷部、ＧＤ、ＧＤ′…ドラ
イブサイド伝動手段（伝動手段）、ＧＰ、ＧＰ′…オペ
レーションサイド伝動手段（伝動手段）、ＰＣａ、ＰＣ
ａ′…一方の分割部、ＰＣｂ、ＰＣｂ′…他方の分割
部、ＰＣｅ、ＰＣｅ′…一方の分割部の軸、ＰＣｄ、Ｐ
Ｃｄ′…他方の分割部の軸、１…ドライブサイドフレー
ム、２…オペレーションサイドフレーム、４、４ａ、
５，５ａ…電動駆動手段、１０、１０ａ、１１、１１ａ
…電動機歯車（伝動手段）、１２、１２ａ、１３、１３
ａ…第１中間歯車（伝動手段）、１４…第２中間歯車
（伝動手段）、１５…分割部歯車（伝動手段）、１６…
分割部歯車（伝動手段）、１８…ブランケット胴歯車
（伝動手段）、２０…ブランケット胴歯車（伝動手
段）、２２…第２中間歯車（伝動手段）、２３…分割部
歯車（伝動手段）、２４…分割部歯車（伝動手段）、２
９…版胴左右微動調整手段、３１、３１ａ…版胴左右微
動調整用駆動部、３２，３２ａ…出力軸、３３，３３
ａ、３３ｂ、３３ｃ…ブラケット、３４、３４ａ…ピニ
オン、３５、３５ａ…軸受ホルダー、３５ｈ…あご部、
３６、３６ａ…大径歯車、３７、３７ａ…雄ねじ部材、
３７ｈ…雄ねじ、３８，３８ａ…雌ねじ部材、３９…補
助軸、３９ａ…補助軸３９の大径部、４０…軸受、４１
…軸端キャップ、４１ａ…軸端キャップ４１の環端部、
４２…軸受押さえ、４２ｈ…軸受押さえ脚部、４３…軸
受、４４、４４ａ、４４ｂ、４４ｃ…ブラケット３３、
３３ａ、３３ｂ、３３ｃの軸受ホルダー部、５０，５０
ａ…内歯歯車、５１…分割部歯車１５の内歯歯車、５１
ａ…分割部歯車２３の内歯歯車、５２、５２ａ、５３、
５３ａ…外歯歯車、５５、５５ａ、５５ｂ、５５ｃ…キ
ー、５６，５６ａ…ブラケット。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 版胴と接触させたブランケット胴を他の
   胴と接触させて一斉に回転させる印刷部を複数設けると
   ともに、各印刷部のブランケット胴と他の胴との間にウ
   ェブ紙を順次経由させ得るように設けた多色刷平版印刷
   機において、 少なくとも１つの印刷部が、 軸方向に２分割され各分割部が個別に軸方向に移動可能
   に、かつ円周方向に回転可能に設けられた分割版胴と、 分割版胴の各分割部に対応して設けられた同期制御可能
   な電動駆動手段と、 それぞれ対応する分割部と電動駆動手段との間に設けら
   れた伝動手段と、 を有し、 分割版胴の２つの分割部と、これらの分割部ごとに対応
   して設けられた電動駆動手段との間にそれぞれ設けられ
   た伝動手段の一方が、当該分割版胴と接触するブランケ
   ット胴へ伝動可能に形成されるとともに、当該分割部と
   ブランケット胴のうち小径である方を伝動の上流側とな
   るよう形成されたことを特徴とする分割版胴を個別に駆
   動する多色刷平版印刷機。
2. 【請求項２】 分割版胴と接触させたブラケット胴を接
   触させる他の胴が、他の版胴と接触させた他のブランケ
   ット胴であり、 他の版胴が、 軸方向に２分割され各分割部が個別に軸方向に移動可能
   に、かつ円周方向に回転可能に設けられた他の分割版胴
   であるとともに、同期制御可能な電動駆動手段が各分割
   部に対応して設けられ、さらに、それぞれ対応する分割
   部と電動駆動手段との間に伝動手段が設けられ、他の分
   割版胴の２つの分割部とこれらの分割部ごとに対応して
   設けられた電動駆動手段との間にそれぞれ設けられた伝
   動手段の一方が、当該他の分割版胴と接触する他のブラ
   ンケット胴へ伝動可能に形成され、かつ当該分割部と他
   のブランケット胴のうち小径である方を伝動の上流側と
   なるよう形成された請求項１に記載の分割版胴を個別に
   駆動する多色刷平版印刷機。
3. 【請求項３】 各分割部のそれぞれに、当該分割部を個
   別に軸方向に移動させる版胴左右微動調整手段が設けら
   れた請求項１または請求項２に記載の分割版胴を個別に
   駆動する多色刷平版印刷機。