JP2002167428A - 生体材料 - Google Patents

生体材料

Info

Publication number
JP2002167428A
JP2002167428A JP2000367390A JP2000367390A JP2002167428A JP 2002167428 A JP2002167428 A JP 2002167428A JP 2000367390 A JP2000367390 A JP 2000367390A JP 2000367390 A JP2000367390 A JP 2000367390A JP 2002167428 A JP2002167428 A JP 2002167428A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
acid
biomaterial
copolymer
polymer
acrylic acid
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000367390A
Other languages
English (en)
Inventor
Takao Okada
隆雄 岡田
Yukari Imamura
由賀里 今村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Taki Chemical Co Ltd
Original Assignee
Taki Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Taki Chemical Co Ltd filed Critical Taki Chemical Co Ltd
Priority to JP2000367390A priority Critical patent/JP2002167428A/ja
Publication of JP2002167428A publication Critical patent/JP2002167428A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Biological Depolymerization Polymers (AREA)
  • Materials For Medical Uses (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 生体内で分解性を有し、生体内に於いて生体
との異物反応を引き起こさず、薬剤による組織修復を阻
害せず且つ適正な強度と分解性を有する生体材料を提供
する。 【解決手段】 アクリル酸系重合体及び/又はメタクリ
ル酸系重合体と、ラクトン類化合物及び/又はヒドロキ
シカルボン酸類化合物とを反応させた共重合体からなる
生体材料である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、生体内分解性と生体適
合性に優れた生体材料であって、とりわけ一定の期間、
薬剤あるいは生理活性物質を連続的に溶出できる生体材
料に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、生体内への薬剤投与を効果的に行
い副作用を抑制する目的で、薬剤の血中濃度が副作用発
現濃度と最低有効濃度との範囲内にある最適治療濃度領
域となるように、製剤からの薬剤放出速度と量を制御す
る方法が検討されている。このような薬剤を連続的に放
出する方法として、薬物徐放システムが考案され、これ
に適合するための種々の高分子材料が検討されている。
【0003】従来より、薬剤放出用の基材ポリマーとし
て、ポリ乳酸、乳酸−グリコール酸共重合体、ポリヒド
ロキシ酪酸、ポリε-カプロラクトン等のヒドロキシカ
ルボン酸を基本骨格とした脂肪族ポリエステルが知られ
ている。また、このような脂肪族ポリエステルとp-ジオ
キサノン、トリメチレンカーボネート等との組み合わせ
による共重合体等のオリゴマー、ポリマーも知られてい
る。しかし、これらはいずれも疎水性ポリマーであっ
て、薬剤とマトリックスを形成させた場合、マトリック
ス表面からの薬剤の初期放出が激しいこと、また薬剤の
放出速度は、ポリマー中に浸透する水への溶解が律速と
なるため、ポリマーの生体内に於ける分解時間が薬剤の
放出時間と比例せず、必要とされる薬剤の放出量と時間
との調節が困難であるいう欠点を有する。
【0004】特開平7-70297号公報には、ラクチドとε-
カプロラクトンとからなる低融点の液状共重合体が開示
されている。しかし、ここで開示されている共重合体
は、オリゴマー程度の低分子量ポリマーではあるが、そ
の分解による消失は1ヵ月を超えるだけでなく、分解に
より生成した酸による周囲組織への炎症等の影響を生じ
るため、その適用が難しいという問題を有している。
【0005】これら上述の問題を解決し、基剤中に不純
物を含まず、副作用がなく周囲の細胞に対する影響も少
ない材料として、疎水性と親水性の両方の物性を有する
ポリマーであるポリ乳酸または乳酸−グリコール酸共重
合体とポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコ
ール、プルロニック、ポリ(メタ)アクリルアミド等との
共重合体が注目され検討されている。(特開昭58-191714
号公報、同昭61-15846号公報) しかし、ポリエチレングリコールのような親水性セグメ
ントが主鎖にあるポリマーの使用では、基材が膨潤した
際のゲル状物は脆く、形状が変形、崩壊するため、ポリ
マーの分解制御による薬剤の放出制御が困難となる。米
国特許第5,852,117号には、アクリル酸、メタクリル酸
のエステルとラクチド、グリコリドからなる熱可塑性の
エラストマーが提示されている。
【0006】このように現在まで数多くの研究がなさ
れ、それに基づいた提案があるものの、薬物の放出速
度、基材の分解性、安全性、実用性等に適合し、所望期
間内に所定量の薬物を生体内部に放出する機能が付与さ
れた生体材料は未だ見い出されていないのが現状であ
る。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明者らは前述の各
種基材の問題点を解決すべく、生体内で分解性を有し、
生体内に於いて生体との異物反応を引き起こさず、薬剤
による組織修復を阻害せず且つ適正な強度と分解性を有
する生体材料について鋭意研究を重ねた。その結果、以
下に詳述する本発明を完成したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、アクリル
酸系重合体及び/又はメタクリル酸系重合体と、ラクト
ン類化合物及び/又はヒドロキシカルボン酸類化合物と
を反応させた共重合体からなる生体材料に関する。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明の生体材料は、アクリル酸
系重合体及び/又はメタクリル酸系重合体(以下、2種
の化合物を(メタ)アクリル酸系重合体と略記する。)
と、ラクトン類化合物及び/又はヒドロキシカルボン酸
類化合物とを反応させることにより共重合体を製造し、
これを薬剤の放出制御に優れた基材として使用するもの
である。この基剤の製造法は、例えば以下の通りであ
る。
【0010】(メタ)アクリル酸系重合体の存在下、ラク
チドを触媒により開環重合させ、(メタ)アクリル酸系重
合体側鎖のカルボキシル基に乳酸系ポリマーが結合した
共重合体を合成する。あるいは(メタ)アクリル酸系重合
体の存在下、乳酸等のヒドロキシカルボン酸を重縮合さ
せ、側鎖に乳酸から誘導されるモノマー単位、コーモノ
マー単位鎖長を有する共重合体を合成する。
【0011】本発明で使用する(メタ)アクリル酸系重
合体の種類としては、ポリアクリル酸、ポリメタクリル
酸の他に、(メタ)アクリル酸系単量体と共重合可能な
他の単量体との共重合体、例えば(メタ)アクリル酸−
アクリルアミド共重合体、(メタ)アクリル酸−エチレ
ン共重合体、(メタ)アクリル酸−ブタジエン共重合
体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸メチル共
重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エチ
ル共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸
ブチル共重合体、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合
体などが挙げられる。また、(メタ)アクリル酸−エチ
レン共重合体等のカルボキシル基のプロトンをナトリウ
ムまたは亜鉛などで置換したアイオノマーも使用するこ
とができる。更には、(メタ)アクリル酸とマレイン
酸、フマル酸、クロトン酸等との共重合体も挙げられる
が、好ましくはポリアクリル酸、ポリメタクリル酸を使
用することである。これら(メタ)アクリル酸系重合体
の分子量としては、数平均分子量が概ね500〜4,000,OOO
の範囲のものを使用する。この数平均分子量が500を下
廻ると、得られる重合体が流動し易くなるだけでなく、
分解性が大となるためカルボキシル基を含んだ分解生成
物が急激に増加し、生体での局所に於けるpHが低下
し、組織反応を引き起こすため好ましくない。また、反
対に数平均分子量が4,000,000を超えると、(メタ)ア
クリル酸系重合体が生体から***されなくなり、生体へ
の影響が大きくなるため使用することは好ましくない。
(メタ)アクリル酸系重合体の製造方法としては、例え
ば溶液重合、油中水滴型エマルジョン重合、疎水性溶媒
中での懸濁重合等の方法により得ることができるが、別
段このような方法に限定されるものではなく、公知の何
れの方法を用いて製造してもよい。また、市販品を使用
してもよい。
【0012】(メタ)アクリル酸系重合体と反応させる
ラクトン類化合物の種類としては、ラクチド、グリコリ
ド、テトラメチルグリゴリド、p-ジオキサノン、トリメ
チレンカーボネート、ε-カプロラクトン、δ-バレロラ
クトン、β-ブチロラクトン、γ-ブチロラクトン、ε-
デカラクトン等が例示される。これらの環状モノマー
は、得られる共重合体に於ける分解性あるいは疎水性の
調節のために、単独あるいは混合して使用する。また、
ラクチドに関しては、L体、DL体、D体等の何れのもので
あってもよい。
【0013】これらのラクトン類化合物は、開環重合に
よって(メタ)アクリル酸系重合体と共重合するが、そ
の際に使用する触媒の種類としては、2-エチルヘキサン
酸スズ、ジラウリン酸ジブチルスズ、塩化第一スズ、塩
化第二スズ、ジエチル亜鉛、塩基性炭酸亜鉛、チタニウ
ムテトライソプロポキシド等あるいはKricheldorf,H.R.
らの報告(Macromo1.Chem.,Supp1.,12,25-38(1985))に記
載されている触媒を用い、反応は溶融状態で行い、ある
いはグリコリドの多い系では固相重合により行ってもよ
い。(メタ)アクリル酸系重合体とラクチド等の環状モ
ノマーとの反応は、固液反応であり、反応速度は遅く収
率も低いため、(メタ)アクリル酸系重合体に低分子量
のポリヒドロキシカルボン酸を前以て結合させ、両者が
溶融状態で反応できるようにする方法も採用できる。
【0014】また、(メタ)アクリル酸系重合体と反応
させるヒドロキシカルボン酸類化合物の種類としては、
乳酸、グリコール酸、α、β、γ-ヒドロキシ酪酸、α-
ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ
デカン酸等を例示でき、これら化合物は前述のラクトン
類化合物からなる環状モノマーとの組み合わせで使用し
てもよい。尚、本発明に於いては、これらヒドロキシカ
ルボン酸類化合物の内、乳酸またはグリコール酸を使用
することが最も望ましい。反応を行う際に使用する触媒
としては、リン酸、塩化第一スズ等を挙げることができ
る。尚、触媒無添加でも反応はある程度進行するが、使
用、不使用のいずれの場合でも、反応温度は100℃以上
とし、窒素導入下あるいは減圧下で重縮合反応を行う。
【0015】本発明では、(メタ)アクリル酸系重合体
とラクトン類化合物及び/又はヒドロキシカルボン酸類
化合物との共重合体の構成単量体単位のモル比が、5
0:1〜1:100の範囲となるように反応を行う。両
者の割合がこの範囲を逸脱し、50:1を下廻り、(メ
タ)アクリル酸系重合体の割合が多くなると、重合の際
に(メタ)アクリル酸系重合体とラクトン類化合物及び
/又はヒドロキシカルボン酸類化合物との混合が困難に
なること、更に水を添加し(メタ)アクリル酸系重合体
の水溶液として用いた場合でも局所的に反応が進行する
ため、目的の組成の材料が得られ難いことが挙げられ
る。また、得られる材料は親水性が大きくなり水溶性と
なるため徐放性薬剤の担体として好ましくない。また反
対に、モル比が1:100を上廻り、(メタ)アクリル
酸系重合体の割合が少なくなると、得られる材料の疎水
性が大きくなるため生体に対する親和性が低下し、また
分解速度も低下するため、徐放性薬剤の担体として使用
した場合には、担体の分解が長期に及び、薬剤放出後も
生体内に長期間担体が残存することになる。従って、何
れの場合に於いても本発明の生体材料は得られない。
【0016】本発明に於ける重合反応は、最終的には溶
融状態で重合が進行するが、モノマー、ポリマーを適当
な溶媒に溶解あるいは懸濁させて溶媒中で行うことも可
能である。この様な溶媒としては、塩化メチレン、クロ
ロホルム、アセトン、ジメチルスルホキシド、ジメチル
ホルムアミド、ジオキサン等が例示できる。
【0017】反応後に得られる反応生成物は、溶媒に溶
解し再沈殿を行う方法により精製を行う。このような溶
媒として、アセトン、クロロホルム等が例示でき、溶媒
に生成物を溶解した後、エーテル、石油エーテル、ヘキ
サン等をその溶解液の2〜10容量倍加えて反応生成物
を析出させ、その際に不純物となる低分子量のポリマー
やホモポリマーあるいは未反応原料を除去することがで
きる。この様にして得られる共重合体は、その分子量分
布が1.3〜2.3の範囲の物性を有する本発明の生体
材料となる。
【0018】この様にして得られる本発明の生体材料
は、(メタ)アクリル酸系重合体とラクトン類化合物及
び/又はヒドロキシカルボン酸化合物との組成比、分子
量等を調整することによって、生体内に於ける生理活性
物質等の薬理学的活性剤の放出速度を任意に調整するこ
とができる。
【0019】本発明の生体材料に適する薬理学的活性剤
の種類としては、抗炎症剤、抗生物質、アルキル化剤、
制癌剤、免疫抑制剤、免疫刺激剤、血圧降下剤、ホルモ
ン、神経成長因子、上皮成長因子、線維牙細胞由来成長
因子、血小板由来成長因子、コロニー刺激因子、エリス
ロポエチン、インターロイキン1,2,3、インターフェロ
ンα,β,γ、軟骨由来因子、軟骨由来成長因子、骨由来
成長因子、骨形成因子、骨盤成長因子、トランスフォー
ミング成長因子、インシュリン、カルシトニン等日本組
織培養学会編、朝倉書店刊"細胞成長因子Part I,II"に
記載されているホリペプタイド等が挙げられる。またこ
の他に、アンチセンスDNA、プラスミッドDNA,RNA等の遺
伝子も合有させることが可能で、適用法によってはこれ
らの数種類を組合せて使用することもできる。また、こ
れらの薬理学的活性剤は、多孔質化されたヒドロキシア
パタイト、バイオグラス、セラピタール、トリカルシウ
ムホスフェート、テトラカルシウムホスフェート、カル
シウムアルミネート等に予め含浸あるいは各々の微粉末
と混合し、薬物徐放の複合化効果を発現させることも可
能である。また、骨膜等の生体組織との複合化も可能で
ある。
【0020】本発明の生体材料に、薬理学的活性剤を合
有させる方法としては、一般的に用いられている方法に
より行うことができる。例えば、先ず、本発明生体材料
を蒸発し易い溶媒に溶解あるいは分散させた後、ポリペ
プタイドを均一に分散させ溶媒を除去する。この場合に
用いる溶媒の種類としては、アセトン、塩化メチレン、
クロロホルム、エタノール等が好ましく、その溶媒は目
的に応じてその一種または二種以上を組み合わせてもよ
い。別の方法としては、予め水に溶解、分散させたポリ
ペプタイドと本発明生体材料との乳化液から溶媒を除去
し、マイクロカプセルを作成することもできる。更に
は、水の存在下で膨潤する本発明の生体材料を使用する
場合については、ポリペプタイドの水溶液、懸濁液中に
本発明の生体材料を加え、生体材料の膨潤によりポリペ
プタイドを吸着させた後、これを凍結乾燥して複合体と
することも可能である。また、本発明生体材料を加温し
流動化させたものに、ポリペプタイドを混合することも
可能である。以上、主にポリペプタイドについて述べた
が、他の薬理学的活性剤についても同様である。
【0021】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げ更に詳細に説明
を行うが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0022】[実施例1]温度計、窒素導入管、排気口
を備えた内容積300mlの反応容器に、dl-乳酸(和光純薬
工業製、試薬)70gとポリアクリル酸(アルドリッチ
製、試薬、平均分子量2000)50gを加え、これに
触媒としてリン酸(和光純薬工業製、試薬)0.05g
を加えた。120ml/minの窒素気流下、135℃で15
時間反応を行った。反応後、得られた共重合体を約10
w/v%となるようにアセトンに溶解し、約3倍のヘキサ
ン中で共重合体を析出させることにより精製処理を行っ
た。処理後、ポリアクリル酸−ポリ乳酸共重合体からな
る本発明生体材料80gを得た。得られた本発明生体材
料の組成(モル比)をH-NMRにより求めた結果、生
体材料中のアクリル酸構成単量体単位と乳酸構成単量体
単位のモル比は73:27であった。また、この生体材
料の分子量をGPC(ケ゛ル・ハ゜ーミエーション・クロマトク゛ラフィー)から求
めた結果2,500であった。
【0023】[実施例2]実施例1の反応容器に、dl-
乳酸(和光純薬工業製、試薬)145g、ポリアクリル
酸(アルドリッチ製、試薬、平均分子量2000)0.
35g、触媒としてリン酸(和光純薬工業製、試薬)
0.03gを加えて、実施例1と同様の重合法で重合を
行った。反応後、得られた共重合体を約10w/v%とな
るようにアセトンに溶解し、約4倍のヘキサン中で共重
合体を析出させることにより精製処理を行った。処理
後、ポリアクリル酸−ポリ乳酸共重合体からなる本発明
生体材料87gを得た。得られた本発明生体材料の組成
(モル比)をH-NMRにより求めた結果、生体材料中
のアクリル酸構成単量体単位と乳酸構成単量体単位のモ
ル比は1:99であった。また、この生体材料の分子量
をGPCから求めた結果27,000であった。
【0024】[実施例3]実施例1の反応容器に、dl-
乳酸(和光純薬工業製、試薬)141gとポリアクリル
酸(アルドリッチ製、試薬、平均分子量250,00
0)25gを加え、これに触媒としてリン酸(和光純薬
工業製、試薬)0.15gを加えた。120ml/min.の
窒素気流下、165℃で10時間反応を行った。反応
後、得られた共重合体を約10w/v%となるようにアセ
トンに溶解し、約3倍のヘキサン中で共重合体を析出さ
せることにより精製処理を行った。処理後、ポリアクリ
ル酸−ポリ乳酸共重合体からなる本発明生体材料77.
5gを得た。得られた本発明生体材料の組成(モル比)
をH-NMRにより求めた結果、生体材料中のアクリル
酸構成単量体単位と乳酸構成単量体単位のモル比は2
7:73であった。また、この生体材料の分子量をGP
Cから求めた結果970,000であった。
【0025】[実施例4]実施例1の反応容器に、dl-
乳酸(和光純薬工業製、試薬)131g、ポリアクリル
酸(アルドリッチ製、試薬、平均分子量250000)
57g、触媒としてリン酸(和光純薬工業製、試薬)
0.15gを加えて、実施例3と同様の重合法で重合を
行った。反応後、得られた共重合体を約10w/v%とな
るようにアセトンに溶解し、約3倍のヘキサン中で共重
合体を析出させることにより精製処理を行った。処理
後、ポリアクリル酸−ポリ乳酸共重合体からなる本発明
生体材料91gを得た。得られた本発明生体材料の組成
(モル比)をH-NMRにより求めた結果、生体材料中
のアクリル酸構成単量体単位と乳酸構成単量体単位のモ
ル比は56:44であった。また、この生体材料の分子
量を末端基定量法から求めた結果75,000であっ
た。
【0026】[実施例5]実施例1の反応容器に、l-ラ
クチド(和光純薬工業製、試薬)185gとエチレン−
アクリル酸共重合体(アルドリッチ製、試薬、平均分子
量2000)11.5gを加え、これに触媒としてオク
タン酸スズ(和光純薬工業製、試薬)0.05gを加え
た。1×10- 1mmHgの減圧下、160℃で35時間
反応を行った。反応後、得られた共重合体を約10w/v
%となるようにクロロホルムに溶解し、約3倍のメタノ
ール中で共重合体を析出させることにより精製処理を行
った。処理後、ポリ(エチレン−アクリル酸)−ポリ乳
酸共重合体からなる本発明生体材料23.5gを得た。
得られた本発明生体材料の組成(モル比)をH-NMR
により求めた結果、生体材料中のアクリル酸構成単量体
単位と乳酸構成単量体単位のモル比は2:98であっ
た。また、この生体材料の分子量をGPCから求めた結
果9,700であった。
【0027】[実施例6]実施例1の反応容器に、ε-
カプロラクトン(アルドリッチ製、試薬)47gとdl-
ラクチド(和光純薬工業製、試薬)30g、ポリアクリ
ル酸(アルドリッチ製、試薬、平均分子量2000)5
5gを加え、これに触媒としてオクタン酸スズ(和光純
薬工業製、試薬)0.05gを加えた。1×10-1mm
Hgの減圧下、160℃で5日間反応を行った。反応
後、得られた共重合体を約10w/v%となるようにアセ
トンに溶解し、約3倍のヘキサン中で共重合体を析出さ
せることにより精製処理を行った。処理後、ポリアクリ
ル酸−ポリ(乳酸−ε-カプロラクトン)共重合体から
なる本発明生体材料57gを得た。得られた本発明生体
材料の組成(モル比)をH-NMRにより求めた結果、
生体材料中のアクリル酸構成単量体単位と(乳酸+ε-
カプロラクトン)構成単量体単位のモル比は87:13
であった。また、この生体材料の分子量をGPCから求
めた結果3,100であった。
【0028】[実施例7]実施例1の反応容器に、ヒド
ロキシ吉草酸(和光純薬工業製、試薬)85gとグリコ
ール酸(和光純薬工業製、試薬)20g、ポリメタクリ
ル酸(アルドリッチ製、試薬、平均分子量500)7.
5gを加え、これに触媒としてリン酸(和光純薬工業
製、試薬)0.15gを加えた。120ml/minの窒素気
流下、170℃で10時間反応を行った。反応後、得ら
れた共重合体を約10w/v%となるようにアセトンに溶
解し、約3倍のヘキサン中で共重合体を析出させること
により精製処理を行った。処理後、ポリメタクリル酸−
ポリ(グリコール乳−吉草酸)共重合体からなる本発明
生体材料57.5gを得た。得られた本発明生体材料の
組成(モル比)をH-NMRにより求めた結果、生体材
料中のアクリル酸構成単量体単位と(グリコール酸+吉
草酸)構成単量体単位のモル比は11:89であった。
また、この生体材料の分子量をGPCから求めた結果
5,700であった。
【0029】<薬剤放出試験・加水分解試験>実施例1
〜7で得られた本発明の生体材料1gをアセトンに溶解
し、これにアミノ安息香酸ブチル0.04gを混合し
た。次に減圧下で溶媒を除去した。得られた徐放性製剤
をリン酸緩衝生理食塩水に浸漬し、アミノ安息香酸ブチ
ルの経時毎の生理食塩水中への溶出量を分光光度計によ
り測定した。また、生体材料の加水分解に伴う重量減少
をみるため、生体材料の経時毎の重量を測定した。結果
を図1〜7に示した。
【0030】[比較例1]実施例1の反応容器に、dl-
ラクチド(和光純薬工業製、試薬)125gとグリコー
ル酸(和光純薬工業製、試薬)45gを加え、これに触
媒としてオクタン酸スズ(和光純薬工業製、試薬)0.
10gを加えた。1×10- 1mmHgの減圧下、160
℃で15時間反応を行った。反応後、得られた共重合体
を約10w/v%となるようにクロロホルムに溶解し、約
3倍のメタノール中で共重合体を析出させることにより
精製処理を行った。処理後、乳酸−グリコール酸共重合
体150gを得た。実施例1〜7と同様に薬剤放出試験
および加水分解試験を行ったところ、薬剤溶出後にほと
んどの担体が残存した。試験結果を図8に示した。
【0031】[比較例2]実施例1の反応容器に、dl-
ラクチド(和光純薬工業製、試薬)120gとポリエチ
レングリコール(キシダ化学製、試薬、平均分子量40
00)45gを加え、これに触媒としてオクタン酸スズ
(和光純薬工業製、試薬)0.10gを加えた。1×1
- 1mmHgの減圧下、160℃で10時間反応を行っ
た。反応後、得られた共重合体を約10w/v%となるよ
うにアセトンに溶解し、約3倍のジエチルエーテル中で
共重合体を析出させることにより精製処理を行った。処
理後、ポリ乳酸−ポリエチレングリコール共重合体12
5gを得た。得られた共重合体はワックス状であり、薬
剤放出試験中に膨潤し形状が崩壊したために薬剤が急速
に溶出した。
【0032】
【発明の効果】本発明の生体材料は、その材料ポリマー
のコア部分が(メタ)アクリル酸系重合体を核とする親
水性を有するカルボキシル基の集合体であり、そのカル
ボキシル基に疎水性を示すヒドロキシカルボン酸の重合
体が結合している構造であるため、薬剤と基材のマトリ
ックスに対する水の浸透が抑制され、マトリックスは均
一な状態を形成する。従って、薬剤は浸透した水に溶解
し、その溶液の拡散は定常性を有するようになる。更
に、基材に水が浸透した状態を保持するため、生体に対
する親和性は高い。また、本発明の生体材料は、含水状
態で脆くなるヒドロゲルとは異なり、弾力性を有するた
めに組織の圧迫に対しても形状が崩れ難い構造となって
いる。また、生体材料を構成しているポリマーは、一分
子当たりのカルボキシル基含量が高いため、加水分解速
度はヒドロキシカルボン酸系の直鎖状ポリマーに比べ大
きく、更に、疎水性の側鎖鎖長を調節することで、薬剤
の溶出に対応した分解速度とすることが可能であること
から、長期間残存するポリマーとは異なり広範囲な適合
性を有している。
【0033】従って、この様な特徴を有する本発明の生
体材料は、縫合糸、骨接合材、外科用網状体等として利
用でき、生体組織の接着に、また組織の再生、置換のた
めの移植材料として適用することができる。あるいは、
ヘパリン等を混合した抗血栓性医用材料、吸収性材料の
自己補強材料等の医療用材料として適用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた本発明の生体材料の薬剤放
出特性と基剤の分解特性を示す図である。
【図2】実施例2で得られた本発明の生体材料の薬剤放
出特性と基剤の分解特性を示す図である。
【図3】実施例3で得られた本発明の生体材料の薬剤放
出特性と基剤の分解特性を示す図である。
【図4】実施例4で得られた本発明の生体材料の薬剤放
出特性と基剤の分解特性を示す図である。
【図5】実施例5で得られた本発明の生体材料の薬剤放
出特性と基剤の分解特性を示す図である。
【図6】実施例6で得られた本発明の生体材料の薬剤放
出特性と基剤の分解特性を示す図である。
【図7】実施例7で得られた本発明の生体材料の薬剤放
出特性と基剤の分解特性を示す図である。
【図8】比較例1で得られた生体材料の薬剤放出特性と
基剤の分解特性を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C081 AB11 AC02 AC04 BA01 BA16 BB06 CA081 CA171 CB011 CC01 DA02 DA04 DA05 DA06 EA05 4J029 AA02 AB01 AC03 AE06 EA02 EA03 EA05 EG05 EG07 EG09 EG10 EH01 EH02 HB07 JA061 JA121 JA251 JB131 JB171 JF181 JF371 KE05 KE12

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクリル酸系重合体及び/又はメタクリ
    ル酸系重合体と、ラクトン類化合物及び/又はヒドロキ
    シカルボン酸類化合物とを反応させた共重合体からなる
    生体材料。
  2. 【請求項2】 アクリル酸系重合体及び/又はメタクリ
    ル酸系重合体と、ラクトン類化合物及び/又はヒドロキ
    シカルボン酸類化合物とを反応させた共重合体の構成単
    量体単位のモル比が50:1〜1:100の範囲である
    請求項1記載の生体材料。
  3. 【請求項3】 アクリル酸系重合体及び/又はメタクリ
    ル酸系重合体が、アクリル酸系単量体及び/又はメタク
    リル酸系単量体と共重合可能な他の単量体との共重合体
    である請求項1または2記載の生体材料。
  4. 【請求項4】 ラクトン類化合物がラクチド及び/又は
    グリコリドを主成分とする化合物である請求項1または
    2記載の生体材料。
  5. 【請求項5】 ヒドロキシカルボン酸類化合物が乳酸及
    び/又はグリコール酸を主成分とする化合物である請求
    項1または2記載の生体材料。
JP2000367390A 2000-12-01 2000-12-01 生体材料 Pending JP2002167428A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000367390A JP2002167428A (ja) 2000-12-01 2000-12-01 生体材料

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000367390A JP2002167428A (ja) 2000-12-01 2000-12-01 生体材料

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002167428A true JP2002167428A (ja) 2002-06-11

Family

ID=18837822

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000367390A Pending JP2002167428A (ja) 2000-12-01 2000-12-01 生体材料

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002167428A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004215712A (ja) * 2003-01-09 2004-08-05 Taki Chem Co Ltd 生体材料
JP2005533556A (ja) * 2002-07-19 2005-11-10 アドヴァンスド カーディオヴァスキュラー システムズ, インコーポレイテッド 植え込み可能な医療器具の被覆のための精製されたポリマー

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07507831A (ja) * 1992-06-15 1995-08-31 アライド−シグナル・インコーポレーテッド 鎖長延長ポリエステル類およびブロックまたはグラフトコポリエステル類を製造する改良された方法
JPH107778A (ja) * 1996-06-28 1998-01-13 Mitsui Petrochem Ind Ltd 分解性共重合体及びその製造方法
JPH10259240A (ja) * 1997-03-17 1998-09-29 Nippon Paint Co Ltd 生分解性樹脂組成物及び防汚塗料組成物
US5852117A (en) * 1997-08-26 1998-12-22 National Starch And Chemical Investment Holding Corporation Process for making lactide graft copolymers

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH07507831A (ja) * 1992-06-15 1995-08-31 アライド−シグナル・インコーポレーテッド 鎖長延長ポリエステル類およびブロックまたはグラフトコポリエステル類を製造する改良された方法
JPH107778A (ja) * 1996-06-28 1998-01-13 Mitsui Petrochem Ind Ltd 分解性共重合体及びその製造方法
JPH10259240A (ja) * 1997-03-17 1998-09-29 Nippon Paint Co Ltd 生分解性樹脂組成物及び防汚塗料組成物
US5852117A (en) * 1997-08-26 1998-12-22 National Starch And Chemical Investment Holding Corporation Process for making lactide graft copolymers

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005533556A (ja) * 2002-07-19 2005-11-10 アドヴァンスド カーディオヴァスキュラー システムズ, インコーポレイテッド 植え込み可能な医療器具の被覆のための精製されたポリマー
JP2004215712A (ja) * 2003-01-09 2004-08-05 Taki Chem Co Ltd 生体材料
JP4548644B2 (ja) * 2003-01-09 2010-09-22 多木化学株式会社 生体材料

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3126637B2 (ja) 生体適合性ブロックコポリマー
Ginjupalli et al. Poly (α-hydroxy acid) based polymers: A review on material and degradation aspects
Nair et al. Biodegradable polymers as biomaterials
EP2760911B1 (en) Controlled hydrolysis of poly-4-hydroxybutyrate and copolymers
JP4548623B2 (ja) 生体材料
JP4376455B2 (ja) 制御された分解速度を有するポリヒドロキシアルカノエート組成物
US4048256A (en) Normally-solid, bioabsorbable, hydrolyzable, polymeric reaction product
US4118470A (en) Normally-solid, bioabsorbable, hydrolyzable, polymeric reaction product
US4095600A (en) Normally-solid, bioabsorbable, hydrolyzable, polymeric reaction product
KR100668046B1 (ko) 생체적합성 및 온도감응성의 폴리에틸렌글리콜/폴리에스터블록 공중합체 및 이의 제조방법
US6339130B1 (en) Bioabsorbable branched polymers containing units derived from dioxanone and medical/surgical devices manufactured therefrom
EP2859887B1 (en) Biodegradable phase separated segmented multi block co-polymers and release of biologically active polypeptides
US7901705B2 (en) Antimicrobial releasing polymers
JP4680900B2 (ja) 分解可能で生体適合性があるブロックコポリマー
EP2203500B1 (en) Absorbable polymer formulations
EP1642921B1 (en) Triblock copolymer, method for producing the same and biocompatible material
JPH064540B2 (ja) 医用組成物
WO2003042277A1 (fr) Polymere contenant des drogues psycho-actives et possedant des acides amines dans sa chaine principale, et son procede de preparation
Shikanov et al. Biodegradable polymers: An update
Kumar et al. An introduction of biodegradable polymers, modes of biodegradation and designing of biodegradable polymers
JP2002167428A (ja) 生体材料
Schroeter et al. Biodegradable materials
JP4548644B2 (ja) 生体材料
Sawhney et al. Polymer synthesis
JP3980395B2 (ja) 生体材料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20061018

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090302

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20090331

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20090526

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100715