JP2002161352A - 炭素被覆、炭素被覆を施す方法および装置、およびその様な被覆を施した物品 - Google Patents

炭素被覆、炭素被覆を施す方法および装置、およびその様な被覆を施した物品

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JP2002161352A JP2000339168A JP2000339168A JP2002161352A JP 2002161352 A JP2002161352 A JP 2002161352A JP 2000339168 A JP2000339168 A JP 2000339168A JP 2000339168 A JP2000339168 A JP 2000339168A JP 2002161352 A JP2002161352 A JP 2002161352A
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ディディエ、カミノ
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】耐磨耗性を有する炭素−炭素結合が大部分グラ
ファイト状sp2形態である新規炭素被覆方法を提供す
る。 【解決手段】少なくとも1個以上の炭素ターゲットを使
用し、被覆する基材に印加するイオン電流密度を0.5
mA/cmを超える電流密度でスパッターイオンプレ
ーティングすることにより、湿潤条件下で10−16m
/Nm未満の国有磨耗率を有する炭素含有被覆を製造
する。物品22の上にクロム層24を堆積させて、被覆
と物品の密着性をよくし、その上に炭化クロム層26が
ある。最外層にグラファイト状の層28Cr×Cyが被
覆されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は、炭素含有被覆、その様な被覆を
施す方法および装置、およびその様な被覆を有する物品
に関する。
【0002】炭素被覆自体は公知である。本発明は特
に、良好な硬度および耐摩耗性を有する炭素被覆に関す
る。過去において、耐摩耗性の高い表面を形成するため
に製造された炭素被覆は、典型的にはダイアモンド状の
炭素被覆、すなわち大量の、ダイアモンドのsp3結合
を有する材料を含む炭素被覆である。
【0003】本発明は、炭素含有被覆の摩擦学的特性を
改良するために行なった研究に基づいており、本発明の
目的は、摩擦学的特性を改良した新規な炭素含有被覆、
およびその様な炭素被覆の形成に使用できる方法および
装置を提供することである。従って、その第一の態様に
おいて、本発明は、被覆中の炭素−炭素結合が大部分グ
ラファイトsp2形態である炭素含有被覆を有する物品
を提供する。
【0004】実際、グラファイト構造を有する炭素含有
被覆が、ダイアモンド状構造を有する炭素含有被覆の特
性よりもはるかに改良された摩擦学的特性を事実上有す
ること、例えば硬度および耐摩耗性がより高いこと、は
驚くべきことである。
【0005】その様な被覆は、好ましくはスパッタリン
グにより形成し、その第二の態様で、本発明は、物品に
被覆を施す方法であって、少なくとも1個の炭素ターゲ
ットを含むスパッターイオンプレーティング機構を使用
し、その中で0.5 mA/cmを超えるイオン電流密度を
被覆すべき基材に印加し、炭素被覆層を堆積させること
を特徴とする方法を提供する。
【0006】この方法は、特にその摩擦学的特性に関し
て品質がはるかに改良された被覆を提供する。被覆層
は、その中で炭素−炭素(炭化物と反対に)結合になる
ための十分な炭素を含む。この様に堆積した時、これら
の炭素−炭素結合が主としてsp2またはグラファイト
型であることが分かる。グラファイト状炭素材料は、そ
の中に金属を有することも、有していないこともある
が、少なくとも、材料の主としてsp2炭素−炭素性質
を大幅に減じる程十分な金属は含まない。ある程度の金
属(例えば<20原子%)を有することにより、より厚
いグラファイト状材料の層を製造することができ、耐負
荷容量がはるかに高い被覆を得ることもできる。
【0007】本発明は、その第三の態様で、物品に被覆
を施す方法であって、少なくとも1個の炭素ターゲット
を含むスパッターイオンプレーティング機構を使用し、
その中で、被覆すべき基材に印加するイオン電流密度を
十分に高くし、それによって摩擦学的特性が改良され
た、炭素−炭素結合が主としてグラファイト状sp2形
態である炭素被覆層を堆積させることを特徴とする方法
を提供する。
【0008】本発明の別の態様では、炭素含有層を有す
る物品であって、層が、大部分がsp2形態である炭素
−炭素結合を有するのに十分な炭素を有し、炭素含有層
が金属原子、好ましくはクロムまたは他の遷移金属、も
含む物品を提供する。
【0009】物品は、炭素含有層および金属層を交互に
有することができる。あるいは、またはさらに、主とし
てsp2炭素−炭素結合を有し、金属、所望により約2
0%(原子で)までの金属、を含むこともできる、炭素
含有材料の実質的に均質な層があってもよい。該実質的
に均質な層は、交互の炭素−被覆層および金属層(これ
らを備えている場合)の上に伸びていてもよい。約15
%までの金属、または約10%までの金属、または約5
%までの金属、または上側または下側範囲としてこれら
の点のいずれかに規定される範囲内のレベルで金属が存
在できる。金属は遷移金属でよく、クロムでよい。
【0010】物品は、主として窒化クロムである層を、
好ましくは主としてクロムである層の上に配置して含む
被覆を有することができる。物品は、主としてCrCN
である層を、好ましくはCrN層の上に配置することが
できる。物品は、主として炭化クロムである層を、好ま
しくはCrCN層の上に配置することができる。物品
は、クロムおよび炭素を、最高約20%クロムおよび少
なくとも約80%炭素で含み、炭素が他の炭素原子に対
して主としてグラファイト状sp2結合を有するグラフ
ァイト状層を有するのが好ましい。好ましくは、グラフ
ァイト状層は、約15%以下のクロム(約85%以上の
炭素)を有する。
【0011】「クロム」とは、「クロムまたは他の、使
用可能な遷移金属」を意味するものとする。
【0012】グラファイト状層は、厚さが約2μm以
上、または厚さが少なくとも1μmである。
【0013】物品は、グラファイト状層の下に硬質層を
有することができ、硬質層は、CrN、CrCNおよび
CrCの1種以上であるか、またはそれらの層を有す
る。
【0014】好ましくは、物品は、順に、Cr、Cr
N、CrCN、CrCの層、グラファイト状層を有す
る。
【0015】CrN層はCrC層よりもはるかに厚く、
場合により少なくとも3、4、5倍以上厚く、場合によ
り10倍以上厚くてもよい。
【0016】物品は、100個以上のオーダーの、主と
して金属および主として炭素の、間に挟まれた層を、好
ましくは実質的に均質な金属含有グラファイト状層の下
に有することができる。
【0017】本発明の別の態様により、炭素含有被覆を
有する物品であって、該被覆が主として炭素の層および
主として金属の層の連続を含んでなり、炭素層または各
炭素層内の炭素−炭素結合が大部分グラファイト状sp
2形態である物品を提供する。
【0018】本発明は、物品に炭素被覆を施す方法であ
って、主として炭素被覆層および主として金属含有被覆
層を堆積させるために、少なくとも1個の炭素ターゲッ
トおよび少なくとも1個の金属ターゲットを含むスパッ
ターイオンプレーティング機構を使用することを含んで
なる方法を提供する。
【0019】異なった組成を有するターゲットを使用す
ることにより、特に基材を適切に回転させた場合に、最
終的な被覆組成を非常に効果的に制御することができ
る。
【0020】金属および炭素ターゲットから共堆積させ
ることにより、層構造(stratum)を形成することができ
る。
【0021】我々は、被覆構造中に金属が存在すること
が、被覆特性に大きく貢献し得ることを見出だした。本
発明の好ましい実施態様では、その様な金属含有層は、
基材上に直接堆積させる下側層であり、その上に炭素で
上側被覆する。その様な金属含有下側層は、炭素層と基
材の間の密着性を強化するのに非常に効果的である。
【0022】そこで本発明の方法は、好ましくは、金属
ターゲットを使用し、基材上に直接金属含有下側層を形
成し、その上に炭素被覆層を施すことを含んでなる。そ
の様な金属含有下側層は、好ましくは厚さ50〜200
nmに堆積させる。
【0023】下側層は、金属の第一層構造に続いて、金
属および炭素ターゲットから共堆積させることにより製
造される、金属および炭素からなる第二層構造を含んで
なることができる。第二層構造は金属層構造よりも硬く
てよく、その後に続く炭素被覆の摩擦学的特性を改良す
ることができる。
【0024】あるいは、またはそれに加えて、1個の、
または異なった層構造を設け、各層構造中で、層が主と
して金属含有層または主として炭素層であり、主として
炭素の層および主として金属の層が交互に存在すること
ができる。これによって、被覆全体の凝集性が強化され
る。我々は、一様な(グラファイト状)炭素被覆(金属
を含まない)を基材上に堆積させる時、一定の厚さ閾値
を超えると、被覆は小さく砕ける傾向があり、厚さの増
加と共にこの傾向が増大することを発見した。しかし我
々は、ある限られた量の金属が共堆積すると、この傾向
が緩和される、または無くなりさえすることも発見し
た。その様な小さく砕ける危険性を回避するには、該炭
素含有層を1μmまでの厚さに形成するのが好ましい
が、1〜5μm、10μm、またはそれ以上のグラファイ
ト状炭素層構造を製造することもできる。
【0025】我々は、炭素とクロム(または他の遷移金
属)の共堆積により、被覆すべき物品の回転速度に応じ
て、多層または均質混合物を製造できることを見出だし
た。遷移金属、すなわちHandbook of Chemistry and Ph
ysics, 77th Edition 1996-1997 (CRC Press) の1〜1
5頁に記載されている様に、周期律表の3〜10族(新
IUPAC表記法)の一つに族する金属、好ましくはク
ロムまたはチタン、が特に有効であることが分かってい
る。
【0026】該被覆は、マグネトロンスパッターイオン
プレーティングにより効果的に、最も好ましくは閉鎖磁
界不均衡マグネトロンスパッターイオンプレーティング
(closed field unbalanced magnetron sputter ion pla
ting) (CFUBMSIP)と呼ばれる技術により形成
される。その様な技術を使用し、本発明の、非常に優れ
た特性を有する被覆を製造することができる。その様な
技術に使用する装置は、本明細書の後の方で、添付の図
面を参照しながら説明する。さらに、その様な装置は、
ここにその全文を参考として含める英国特許第2258
343号明細書に記載されている。
【0027】少なくとも2個のマグネトロンを配置し、
それらの間に磁界を発生させ、磁界線が1個の該マグネ
トロンから他の該マグネトロンに伸び、該マグネトロ
ン、および1個の該マグネトロンから他のマグネトロン
に直接伸びる磁界線が、プラズマ含有作業空間(その中
で基材が被覆される)内から電子が逃げるのを阻止する
バリヤーを形成するのが有利である。
【0028】その様な方法は、被覆している基材の領域
に高いイオン電流密度を達成するのに特に好適である。
その様なバリヤーによる磁界の少なくとも部分的な閉鎖
により作業空間から電子が逃げるのを阻止する傾向があ
るCFUBMSIP法を使用することにより、その空間
におけるイオン化が促進され、それによって被覆堆積の
際に基材が受けるイオン爆撃の強度が増大する。その結
果、高いイオン電流密度(icd)を達成することがで
きる。本発明の好ましい実施態様では、電子の逃げに対
するその様なバリヤーは、基材を取り囲む想像上の管の
形態を取る。その様な管状バリヤーの末端は開いていて
も閉じていてもよい。
【0029】その様なCFUBMSIP堆積法は好まし
い堆積法であるが、高icdを与える他の方法も使用で
きる。
【0030】スパッターイオンプレーティングを行なう
場合、被覆する物品は、好ましくは浮動(floating)電圧
〜250Vネガティブのバイアス電圧に保持する。これ
らは包括的な値であり、印加するバイアス電圧はDC、
パルス状DCまたはRFでよい。好ましくは、その様な
バイアスは50V〜150Vネガティブであり、その様
なバイアスが70〜100ボルトネガティブである場合
に最良の結果が得られる。
【0031】該被覆を形成する非常に簡単で好ましい方
法は、被覆している間に基材を回転させることである。
この方法は、基材上に一様な被覆を達成し易く、多層被
覆の堆積にも有利である。しかし、金属が比較的低レベ
ル(20%以下)で存在すれば、金属を含む、実質的に
均質なグラファイト状層を製造することができる。炭素
ターゲットおよびクロム(または他の金属)ターゲット
から共堆積させることにより、回転速度に応じて、多層
または均質混合物を製造することができる。
【0032】炭素と金属の最適比率を達成するための特
に便利な方法は、3個の炭素供与ターゲットおよび1個
の金属供与ターゲットを被覆形成に使用することであ
る。基材は、作業空間内の、その様なターゲット間で回
転させることができる。
【0033】基材の回転速度および炭素および金属の堆
積率は、(被覆の、主として炭素および主として金属で
ある交互の層からなる区域の)被覆層構造で少なくとも
3nmの期間(period)を得る様に、適切に制御する。
【0034】炭素ターゲットの数は金属ターゲットより
も多くすることができる。少なくとも6個のマグネトロ
ン(少なくとも2個の金属、例えばクロム、ターゲット
および少なくとも4個の炭素ターゲット)、または少な
くとも8個のマグネトロン(少なくとも2個の金属ター
ゲットおよび少なくとも6個の炭素ターゲット)を有す
る閉鎖リング磁界系が好ましい。
【0035】我々は、炭素ターゲットに印加し得る電力
量には(例えばクロムターゲットと比較して)比較的低
い電力限度があること、およびこれがグラファイト状被
覆の堆積速度における速度制限段階であることを理解し
た。多数の炭素ターゲットを使用することにより、被覆
速度を高めることができる。例えば、少数の金属ターゲ
ットマグネトロンで流れるよりも低い電流で多数の炭素
ターゲットマグネトロンで最初の作業を行なうことがで
きる(すなわち金属ターゲットマグネトロンは高い電力
で作動させることができる)。こうして、最初に考えら
れることとは対照的に、4C+2Crターゲットマグネ
トロン、または6C+2Crターゲットマグネトロン
が、炭素およびクロムの50/50被覆(炭化クロム)
を堆積させることができ、それを2C+2Crマグネト
ロンターゲット系よりも約2または3倍速く行なうこと
ができる。
【0036】好ましくは、被覆の少なくとも一部を貴ガ
スを含む雰囲気中で堆積させる。貴ガスの使用により、
堆積した被覆の、化学的に活性なガスの化合物による汚
染が避けられる。一般的に、アルゴンを使用するのが最
も都合が良い。スパッター系におけるアルゴンガス圧は
重要ではなく、約7x10−2Pa(5x10−4トル)
〜約1Pa(1x10−2トル)でよい。好ましくは、該
被覆は、アルゴン含有雰囲気中、圧力0.07Pa〜0.
6Paで堆積させる。
【0037】化学的に活性なガスの化合物による被覆の
汚染は避けるのが好ましいが、本発明は、その様なガス
をスパッタリング室の雰囲気中に導入することにより、
被覆組成物を故意に変性する可能性を排除するものでは
ない。
【0038】例えば、本発明のある種の実施態様で行な
う様に、堆積させる際に炭化水素ガスをスパッタリング
雰囲気中に含むことにより、形成する被覆を変性させる
ことができる。
【0039】炭素と金属の混合物をスパッタリングし、
金属含有層として基材(被覆する物品)上に堆積させる
ことができる。この層は、作業雰囲気中に存在する炭化
水素ガスの分解により生じる別の炭素も含むことがで
き、この炭素が電気的にバイアスされた基材上に直接堆
積する。該炭素層の堆積は、炭素ターゲットからのスパ
ッタリングとプラズマ中にある炭化水素ガスの分解の組
合せにより行なうことができる。
【0040】また、上記の被覆は、堆積の際に作業雰囲
気に窒素を加えることにより変性することもできる。こ
れによって、窒素を、金属と反応させて金属窒化物を形
成するか、または炭素と反応させて炭素−窒素化合物を
形成することにより、被覆を変性することができる。
【0041】本発明の別の態様では、少なくとも1個の
金属供与ターゲットおよび少なくとも1個の炭素供与タ
ーゲットを有するマグネトロンスパッターイオンプレー
ティング装置を提供する。
【0042】その様なマグネトロンスパッターイオンプ
レーティング装置は、好ましくは少なくとも2個のマグ
ネトロンを含んでなり、それらのマグネトロンは、マグ
ネトロン間に磁界を発生し、磁界線が1個の該マグネト
ロンから他の該マグネトロンに伸びる様に設計されてお
り、該マグネトロン、および1個の該マグネトロンから
他の該マグネトロンに直接伸びる磁界線が、プラズマ含
有作業空間(その中で基材を被覆することができる)か
ら電子が逃げるのを阻止する傾向があるバリヤーを形成
する。
【0043】好ましくは、少なくとも0.5 mA/cm
のイオン電流密度を達成できる様に配置する。
【0044】炭素および金属ターゲットを使用すること
により、被覆層を堆積させる条件の選択に大きな融通性
が得られる。例えば、その様な条件を変えることによ
り、炭素層および/または金属含有層(例えば下側の
層)の組成を変化させ、その層が堆積する時に、その組
成を基材表面に隣接する金属から、金属炭化物を通り、
炭素層にある(グラファイト状)炭素に変化させること
ができる。
【0045】本発明は、ここに規定する方法により形成
される被覆、その様な被覆を有する物品、さらに下記の
物品にも及ぶ。
【0046】炭素含有被覆を有し、該被覆の湿潤条件下
での固有摩耗率が10−16m/Nm未満、好ましくは1
−17m/Nm未満である物品(一般的に、被覆の摩耗
率は、乾燥時に約2x10−17m/Nm、湿潤または潤
滑時に約10−18m/Nmである)。
【0047】炭素含有被覆を有し、該被覆の密着臨界荷
重が少なくとも70Nである物品。炭素含有被覆を有
し、該被覆の硬度が少なくとも1000 VHNである物
品。炭素含有被覆を有し、該被覆の(乾燥)摩擦係数が
0.1以下である物品。
【0048】上記の被覆は、高い比荷重(例えば、約3
GPa以上)を受けても、それらの摩耗率、密着臨界荷
重、硬度、および摩擦係数の特性を有することができ
る。
【0049】該被覆が黒色である、および/または導電
性である、すべてのその様な物品。該炭素含有層は、最
も好ましくは下記の特性、すなわちX線回折により、ま
たは透過電子顕微鏡における選択区域回折により検出で
きる結晶化度が存在しないこと、ラマン分光法により、
sp2形態の層中に主として炭素−炭素結合が示される
こと、および主としてグラファイト状(sp2)結合で
あり、粒子径が非常に小さいことの1つ以上を備えた構
造を有する。
【0050】これらの被覆が非常に高い硬度を発揮する
ことは、ある程度の架橋があるに違いないことを示して
いる。被覆構造はある程度のC60を含み、ある程度の
sp3結合が存在し得る。
【0051】我々は、本発明により形成される被覆によ
り与えられる優れた耐摩耗特性に様々な試験を行なっ
た。
【0052】無論、異なった耐摩耗性測定方法は異なっ
た結果を与えることがあり、従って、本明細書では、請
求項を含めて、耐摩耗性は、他に指示がない限り、下記
の試験により測定した固有耐摩耗性である。
【0053】固有耐摩耗性試験試験被覆は、特定の被覆
と同じ条件下で、ただし平らな高速鋼製ディスクからな
る基材上に形成する。試験被覆の耐摩耗性は、下記の様
にして測定する。
【0054】被覆していない、半径2.5mmの半球状ヘ
ッドを有する炭化タングステンピンを、平らな高速鋼製
ディスク上の試験被覆に擦り付ける。ピン上の規定荷重
は、20〜100Nであり、ディスクを回転させ、摩擦
速度を毎分180mmにする。(ピン上の荷重を20〜1
00Nにすると、この試験により与えられる固有摩耗率
は実際の荷重とは実質的に無関係であることが分かっ
た。)湿式条件を規定する場合、他の液体が規定されな
い限り、水の存在下で摩擦を行なう。
【0055】摩擦表面を通るテーパー部分(角度5°未
満)を、光学顕微鏡を使用して500xの倍率で検査
し、被覆の摩耗を測定する。この方法により、10
−17m/Nmまでの低い固有摩耗率を容易に測定するこ
とができる。
【0056】無論、他の試験も可能であり、実際に他の
幾つかの試験が本明細書で好ましい。本明細書の請求項
に記載されている値の基準となる試験は、すぐ上の段落
に記載する試験である。
【0057】本発明により形成される被覆は、油または
水性媒体により潤滑されていなくても、潤滑されていて
も、構成部品が高い負荷を受ける条件下で使用するため
の硬質、低摩擦の耐摩耗性表面を与えるのに有用であ
る。本発明により被覆を施すのが有利である構成部品の
例は、自動車工業に多くある。歯車、カムシャフト、バ
ルブ、ピストンリング、シリンダーライナーを挙げるこ
とができる。
【0058】また、本発明は、医療用義肢、例えば人造
の腰、膝、または肩の関節および心臓弁、の分野でも特
に重要であり、本発明は、医療用義肢またはその一部と
して構成された、ここに規定する被覆物品にも及ぶ。
【0059】医療用義肢に関する問題点は、患者に埋め
込まれた後、摩擦表面の可動部分の共同作用するすべて
の表面と一緒に擦れることである。これによって、擦れ
る表面の摩擦および摩耗が引き起こされる。摩耗した表
面により引き起こされる問題を改善するために外科手術
を行なって義肢を交換しなければならないのでは、明ら
かに好ましくない。義肢の摩耗に関連する機械的問題に
加えて、義肢の表面の摩耗から生じる屑に関連する生物
化学的問題もある。これらの2つの問題は良く知られて
いる。
【0060】本発明は、新規な、摩耗し難い、低摩擦義
肢を提供する。特別な実施態様では、固有摩耗率が10
−16m/Nm以下である被覆を施した少なくとも1個の
部分を有する義肢を提供する。好ましくは固有摩耗率は
10−17m/Nm以下、場合により10−18 または
10−19m/Nm以下である。無論、被覆は低摩擦の固
体潤滑性被覆である。
【0061】本発明は、やはり同様の被覆を施したコバ
ルト−クロムプレートに対して、40Nの荷重および摩
擦速度3mm秒で、水を付けて擦り付けた時に、1000
メートル摩擦した後に定量的に摩耗が測定されない様な
被覆を有する義肢を提供する。やはり、摩耗測定は、倍
率500xの光学顕微鏡を使用し、擦った表面を通るテ
ーパー部分(角度5°未満)の検査により行なう。
【0062】義肢は、被覆を施した金属表面を含んでな
るのが好適である。
【0063】被覆は、義肢の、使用中に互いに対して移
動する相互の摩擦表面すべてを覆う様に施すのが好まし
い。
【0064】好ましくは、義肢は、被覆を施したクロム
またはチタン部材を含んでなる。より好ましくは、義肢
は、被覆を施したコバルト−クロム合金部材、チタン合
金部材またはステンレス鋼部材を含んでなる。チタン合
金は、好ましくはTiAlVである。
【0065】本発明の最も好ましい実施態様により、優
れた摩擦学的特性を備えた新しい種類の炭素被覆か開発
された。この新規な炭素被覆は、ダイアモンド結合をほ
とんど有していない様である。被覆の改良が、多くの摩
擦および摩耗実験で立証されている。
【0066】この炭素被覆は、炭素ターゲットからマグ
ネトロンスパッターイオンプレーティングにより単純に
堆積させる。我々の英国特許第2258343号明細書
(および対応するヨーロッパ特許第0521045号明
細書および米国特許第5,556,519号明細書)に
記載されている方法および装置を使用することにより、
特に良好な結果が得られる。
【0067】一実施態様では、英国特許第225834
3号明細書の図5に例示されている様な4ターゲット閉
鎖磁界不均衡マグネトロンスパッターイオンプレーティ
ング機構を使用する。
【0068】ここで本発明の実施態様を添付の図面を参
照しながら、例としてのみ説明する。図1で、4個のマ
グネトロン1、2、3および4はそれぞれ外側リング磁
石5および中央のコア磁石6を有する。マグネトロン
は、被覆すべき基材のためのキャリヤー7を中心にして
配置されている。基材キャリヤー7は、矢印8により示
される様に一つの軸を中心にして回転する。基材キャリ
ヤー7は、実質的に垂直な軸を中心にして回転する様に
配置するのが通常最も都合が良い。実用的な配置を示す
図面では、マグネトロン1および3の外側磁石5はS極
であり、それらの内側コア磁石6はN極である(それら
の、基材キャリヤー7に面した区域で)。マグネトロン
2および4の外側磁石5はN極であり、それらのコア磁
石6はS極である(やはりそれらの、基材キャリヤー7
に面した区域で)。こうして、マグネトロン1、2、3
および4の磁界線Bは連続的なバリヤーを形成し、マグ
ネトロンプラズマから拡散する電子を捕獲し、磁界線B
は、少なくとも部分的に作業空間10を限定し、その中
で被覆工程中に基材キャリヤー7が回転する。そのバリ
ヤーは、所望により、作業空間10の軸方向末端(通常
はその上端および下端)を超えて伸びていても、いなく
てもよい。
【0069】この図は、それぞれのマグネトロン1、
2、3および4に関連する供給材料のターゲット11、
12、13および14も示す。これらのターゲットは、
基材キャリヤー7に面したマグネトロン極の面を覆って
おり、各マグネトロンは軟鉄製裏板15を有し、それら
の内側磁性回路を完結している。
【0070】この図面から分かる様に、磁界線Bは基材
キャリヤー7を取り囲み、管状の作業空間10を形成
し、その中に電子が捕獲される。電子は、恐らくこの系
の軸方向末端を除いて、この系から逃げられないので、
基材と関連するイオン化を強化するのに使用でき、高イ
オン密度を生じる。
【0071】使用中、不活性ガス、例えばアルゴン、が
この系の室中に供給され、その室中でマグネトロンター
ゲット11、12、13および14に印加される電位差
により電子が加速され、ガスをイオン化し、より多くの
電子およびアルゴンイオンを発生する。室中に存在する
アルゴンイオンが供給材料のターゲットを爆撃し、供給
材料の被覆フラックスを製造する。ターゲットの中の3
個が炭素であり、1個が遷移金属、例えばクロムまたは
チタン、であるのが好適である。アルゴンイオンは基材
も爆撃する。磁界線Bは、マグネトロン放電から拡散す
る電子に対して連続バリヤーを形成し、これらの電子
が、電気的に負にバイアスされた基材に関連するグロー
放電を強化する有用な機能を果たさずに、系の側方を通
って失われるのを確実に阻止する。
【0072】マグネトロン1、2、3および4は、一つ
のリング中にほぼ等角度に間隔をおいて配置され、その
中心に基材キャリヤー7がある。これらのマグネトロン
は、被覆室(図には示していない)中に支持されてお
り、被覆室は円筒形でよく、基材キャリヤー7をその上
部と底部で支持するための軸方向ベアリングを有する。
4個のマグネトロンを含む線の外に、例えばその基底部
に、ポンプ口(図には示していない)を備えている。
【0073】磁界Bは、基材を取り囲む連続リングを形
成し、そのリング中に電子を捕獲する。偶数のマグネト
ロン極機構があるので、フラックスリングが完結でき
る。偶数のマグネトロンを備えるのが有利である。6ま
たは8個のマグネトロン極機構も良い配置と考えられる
が、無論、所望によりより多くを備えることもでき、2
個だけのマグネトロンを有する系も使用できる。図に示
す様に、隣接するマグネトロンは、反対の極性を有する
外側磁石機構を有する。
【0074】別の実施態様では、対向する一対のマグネ
トロン1、3を他の対よりも強くし、その対の1個の磁
石の極性を逆転させる。磁界線がこれらのマグネトロン
の外側極を接続して電子バリヤーを形成し、他のマグネ
トロン2、4がそのバリヤーの外になる様に配置する。
これによって、これらのマグネトロンは電子を閉じ込め
る役目を果たさず、追加の被覆材料を供与するだけに使
用される。その様な配置は、英国特許第2258343
号明細書の図8に示されている。
【0075】無応力被覆を得るには、基材に極めて低い
バイアス電圧を使用するのが好ましく、従って、基材を
70Vネガティブのバイアス電圧に維持する。スパッタ
リング室はアルゴン雰囲気を約0.3Pa(2x10−3
トル)の圧力で含む。4ターゲット閉鎖磁界不均衡マグ
ネトロンスパッターイオンプレーティング機構を使用す
ることにより、0.5 mA/cm を超える電流密度が基
材に確保される。低い電流密度、典型的には0.5 mA/
cm 未満、では、被覆の摩擦学的特性が劣ることが分
かっている。
【0076】極めて優れた摩擦学的特性を有する被覆を
製造する典型的な堆積手順は、下記の通りである。
【0077】i.被覆すべき物品をイオン洗浄する、 ii.0.05〜0.2μmの金属を堆積させる、 iii.金属および炭素を共堆積させ、厚さ0.1〜0.3
μmの炭化クロムの下側層構造を製造する、 iv.基材を回転させながら金属ターゲット上の電力を次
第に下げ、炭素および金属を含む層構造からなる多層構
造被覆層を製造する。
【0078】最終被覆の厚さは、特定用途の要求により
異なるが、典型的には1〜5μmである。
【0079】上記の様にして堆積させた炭素または炭素
/金属多層被覆は、非常に優れた摩擦学的特性を有する
ことが分かっている。
【0080】密着臨界荷重>70N。
【0081】規定する条件下で形成される被覆のビッカ
ース硬度は、約2500 VHNであったが、これは正確な
堆積条件に応じて1000〜3000 VHN以上に変動し
得る。
【0082】摩擦計数0.1未満。通常の(湿気のあ
る)雰囲気における非潤滑(乾燥)摩擦に対する固有摩
耗率は、驚く程低く、約2x10−17m/Nmである。
潤滑(湿潤)摩擦では、摩耗率ははるかに低く、事実、
油また水の潤滑下での摩耗率を正確に測定することが困
難である程低い。このことから、その様な摩耗率は10
−18/Nm未満、場合により10−19m/Nm未満であ
ると考えられる。
【0083】被覆は、非常に高い荷重で摩耗に耐える能
力を有し、炭素層は800 N/mmまでの荷重に耐える
ことができ、本発明の最も好ましい実施態様による多層
被覆は3000 N/mmまでの荷重に耐えることができ
る。(荷重は、高速鋼の基材上に被覆を堆積させた時に
測定)潤滑摩擦に関する上記の摩耗係数は、1800N/
mmを超える特定の荷重で得られる。
【0084】ここで、本発明により形成される被覆は、
真空中での使用は意図していない。我々は高真空下およ
び乾燥窒素雰囲気中で試験を行ない、高真空または乾燥
雰囲気中での摩耗率が高いことを見出だした。このこと
は、大部分がグラファイト状構造である炭素被覆層の特
性と一致している。
【0085】UVラマン分光法によりsp3結合、すな
わちダイアモンド結合、はほとんど検出されず、ラマン
分光法は、結合が大部分sp2。すなわちグラファイト
状結合であることを示している。このことは、被覆が導
電性であり、高真空条件下で摩耗率が高いことと一致し
ている。
【0086】1000〜3000 VHNの硬度はグラファ
イト状構造には異常である。CFUBMSIP(または
他の高icd機構)により与えられる堆積条件は、ある
種の形態の架橋を生じ、高硬度をもたらすに違いない。
【0087】高硬度と低摩擦の組合せが、恐らく、多く
の試験で示される異常に低い摩耗速度の原因であり、こ
れは、他の炭素系被覆、例えば金属含有、ダイアモンド
状炭素被覆、よりもはるかに低く、我々の新規な炭素被
覆の耐負荷能力がはるかに高いことと一致している。
【0088】本発明の被覆方法は、得られる被覆が傑出
した摩擦学的特性を有し、水系液体中で安定しており、
これらの液体で湿潤した時の摩耗率が非常に低いので、
医療様義肢の分野で特に重要である。我々の試験によ
り、非潤滑(乾燥)摩擦条件下でも被覆の摩耗率は非常
に低い(固有摩耗率が上記の様に約10−17m/Nmで
ある)が、水の存在下で摩擦した時、摩耗率は、定量的
な測定が非常に困難な程低いことが分かっている。これ
らの試験は、水力学的影響が不可能である低摩擦速度で
行なったものであり、摩耗率が低いことは、この被覆の
真の特性である。
【0089】我々は、炭素含有被覆を施した構成部品
を、体内移植物、例えば人造腰部関節、に見られる条件
を模擬するウシ血清(0.01%NaN3)中に浸漬し
て摩擦する試験をさらに行ない、類似の良好な結果を示
した。ウシ血清におけるこれらの試験により、被覆した
移植物の摩耗が著しく低いことが分かった。
【0090】試験により、これらの被覆は生物と相容性
があり、被覆による悪影響は検出されないことも分かっ
た。炭素繊維移植物が生物学的に受け入れられることは
公知である。特定の形態にある炭素は生物活性であるこ
とも公知である(その上の細胞成長を促す)。
【0091】コバルトクロム合金材料は、義肢、例えば
人造腰部関節、の製造に好適な、事実、通常使用されて
いる、材料であることは公知である。往復摩擦試験で、
コバルトクロム合金製の半径2.5mmの半球状末端を有
するピンを、被覆していないコバルトクロム合金の平ら
な板に対して、ウシ血清潤滑下で摩擦した。荷重は40
0 MPaであり、摩擦速度は毎分180mmであった。固有
摩耗速度は10−14m/Nmであることが分かった。こ
れは、被覆していないコバルトクロム合金材料を本発明
により被覆した材料と比較するための基準点である。
【0092】次いで、コバルトクロム平板に本発明によ
り炭素被覆を施した。被覆は、上記の様に炭素およびク
ロムを共スパッタリングにより堆積させた炭素−クロム
被覆であった。
【0093】炭素−クロム層の前に、クロムの下側層を
堆積させた。炭素−クロム層の厚さは3μmであった。
【0094】被覆していないコバルトクロム合金製の半
径2.5mmの半球状末端を有するピンおよび被覆したコ
バルトクロム平板を使用し、ここに規定する試験に従っ
て、水の存在下で摩擦を行なったところ、摩耗率は極め
て低く、正確には測定できなかった。この場合の固有摩
耗率は、10−17m/Nm(これは、被覆した基材に対
して、空気中、非潤滑条件下で行なった同等の試験の大
体の摩耗率である)より、確実にはるかに低い。
【0095】この様に、2個の相対的に移動している/
摩擦している表面間の被覆していない界面と比較して、
被覆は摩耗率が1000を超えるファクターで低下し
た。
【0096】ピン−オン−ディスク機械で、直径5mmの
半球状末端を有する炭化タングステンピンを使用し、被
覆したコバルトクロム平板を水の存在下で荷重40ニュ
ートン、摩擦速度毎秒3mmで被覆を試験したところ、1
000メートル摩擦後に摩耗は定量的に測定できなかっ
た。試験をウシ血清中で行なっても、類似の結果が達成
された。
【0097】上記の様な、摩擦した表面のテーパーのつ
いた部分の光学顕微鏡による測定を試みた。
【0098】移植物/義肢の炭素被覆は、生物学的に相
容性があり、人体に使用するのに好適である。
【0099】被覆は、腰関節、膝関節、型関節、等を包
含する広範囲な人造関節における摩耗を低減させるのに
好適である。この被覆は、あまり高い負荷のかからない
移植物、例えば人工心臓弁、の摩耗を低減させるのにも
好適である。上に挙げた用途は代表例であり、本発明を
制限するものではない。
【0100】体内移植物として使用する典型的な義肢
は、一緒に摩擦する表面を有する。これらの2つの表面
は、通常、相対的に運動する金属表面である。
【0101】被覆は、互いに摩擦する義肢表面の一方
に、または両方の表面に堆積させることができる。明ら
かに、両方に堆積させる方が非常に有利である。
【0102】義肢/移植物上に厚さ10μm、好ましく
は1〜5μmの被覆を施すことを意図している。厚さ
は、義肢の使用および目標とする寿命によって異なり、
例えば、関節用に実用的な被覆の厚さは3〜4μmでよ
いが、負荷の低い部品(例えば心臓弁)にはより小さく
てよい。この種の被覆を達成するには、使用する技術
は、必要とする厚さを与える堆積時間の調節に関して説
明した技術である。
【0103】図2は、物品22に施した被覆20の断面
を図式的に示す。被覆は、物品22の上にクロム層24
を堆積させ、被覆と物品の密着性を改良している。炭化
クロム層26(大体がCr)がクロム層の上に伸
びている。グラファイト状の層28Cr(xは約
15であり、yは約85である)(すなわち炭素中、ク
ロム15%)が炭化クロム層の上に伸びている。グラフ
ァイト状の層は、主としてsp2形態の炭素−炭素結合
を有し、実質的に均質な(層になっていない)構造を有
する。異なった層間に鮮明な境界が無く、よりゆるやか
な推移があることが分かる。
【0104】クロム濃度を臨界レベル(約15〜20
%)より低く抑える限り、sp2結合した炭素のグラフ
ァイト状層(その中にある程度のクロムがある)は、良
好な摩擦学的特性が低下せず、その層はかなり厚く(例
えば10μm以上)構築することができる。しかし、ク
ロムが臨界レベルを超えると、主としてクロムの層と主
として炭素の層を含む層状構造が生じる。クロムが約2
0%を超えると、被覆の良好な摩擦学的特性が失われ
る。
【0105】クロム層24の深さ30は約100〜20
0nmであり、炭化クロム層26(CrC−原子の正確な
比は重要ではない)の深さ32は約200〜400nmで
あり、グラファイト状層28の深さ34は約2〜3μm
である。
【0106】図4は、クロムマグネトロンターゲット
(実線36)および炭素ターゲット(基準38)用の電
力設定の相対的なタイミングを図式的に示す。最初にク
ロムターゲットに電力を印加し(例えば電流約6Aをク
ロムターゲットに設定する)、クロムを堆積させ、層2
4を製造する。次いで、ある時間の後、電力を徐々に炭
素マグネトロンターゲットに印加し、堆積する炭素の百
分率をゼロから増加させる。同時に、クロムターゲット
に印加する電力を低下させ、クロム堆積の絶対速度を下
げる。この堆積速度が低下すると、炭素ターゲットの全
体的な堆積速度がクロムターゲットのそれと適合するの
で、一般的に化学量論的な1:1、またはCr
の炭素とクロムが堆積し、炭化クロムCr層26
を形成する。クロムターゲットへの電力をさらに連続的
に低下させるが、完全には停止せず、炭素ターゲットへ
の電力を許容される最大値に維持すると、クロムよりは
るかに多くの炭素が堆積し、グラファイト状CCr
層28が製造される。
【0107】図4のマグネトロン電力プロファイルによ
り製造される炭素系被覆は、金属性密着層(好ましくは
Crであるが、これが必要という訳ではない)と、これ
に続く、グラファイト−IC最上層への勾配を付けた界
面からなる。勾配を付けた界面は、金属(Cr)ターゲ
ットへの電力を最大から最小に、Cターゲットへの電力
をゼロから最大に、連続的に変化させることにより達成
される。この連続的な変化は、1または2個のCrター
ゲットを使用する場合、15〜60分間、理想的には3
0分間の間に行なう。この勾配を付けた界面を図4に示
す。
【0108】Cr層の堆積時間は、使用するターゲット
の数によって異なり、2個のCrターゲットではこの時
間は3分間であろう。最終的なCCr層の堆積時間
は使用する炭素ターゲットの数によって異なり、約2μ
mのCCr層を形成すれば十分である。2個の炭素
ターゲットを備えた堆積機構では、この時間は典型的に
は3時間である。
【0109】被覆は、最上部の、主としてsp2C−C
結合のグラファイト状層の下に炭化物の層を有すること
ができる。図5は、マグネトロン電力と、炭化クロム中
間層を有する被覆を達成する時間のグラフを示す。炭化
物Cr層の堆積時間はCrターゲットの数によっ
て異なり、2個のCrターゲットを使用する系では、典
型的には60分間である。
【0110】Cr層の堆積時間は2μmの厚さを
与えれば十分であり、続いて2μmのCCr(主と
して炭素、例えば85%炭素)を形成する。これらの時
間は、2個のCrターゲットおよび2個の炭素ターゲッ
トを備えた系では、それぞれ60分間および180分間
であろう。
【0111】図5Bは、ターゲット/マグネトロン電力
と、Cr層を有する被覆を形成する時間のグ
ラフを示す。このグラフは、窒素含有量も最大流量の百
分率として示す。厚さ約2μmのCr層を形
成するための堆積時間を示す。
【0112】図4は、46で、クロムの総含有量が約2
0%(原子で)以上である時の、クロム/炭素の交互の
層(より正しくは、主としてクロムの層と、主として炭
素の層が交互に存在する層)を図式的に示す。48は、
クロム含有量が約15原子%未満の均質なグラファイト
状層28を非常に図式的に示す。
【0113】炭素含有量の高い被覆を工業的に製造する
には問題があり、炭素ターゲットは直接冷却することが
できず、炭素ターゲットを銅製のヒートシンクに取り付
け、間接的に冷却しなければならない。炭素ターゲット
の熱伝導性により、ターゲットが亀裂を生じることなく
ターゲットに印加できる電力量が制限される。炭素ター
ゲットの電力約3.6 Wcm−2ワット以下で操作するの
が好ましい。この電力は、冷却される金属ターゲットに
印加できる電力よりはるかに低く、この製法の速度を制
限する部分である。従って、最初に考えられそうなこと
とは反対に、(所望の被覆を得るのに純粋に化学量論的
なターゲット数と比較して)過剰の炭素ターゲットを備
えたMSIP機構を使用する方が良い。そのため、Cr
Cを製造するのに、4個の炭素ターゲット40および2
個のクロムターゲットを使用するのが好ましい。例え
ば、2個のCターゲットおよび2個のCrターゲットを
備えたMSIP機構を使用して炭素被覆を製造するのに
6時間かかるとして、4個のCターゲットおよび2個の
Crターゲットを備えた機構ではそれを製造するのに約
3時間で済む。8個のマグネトロンを備えた機構、例え
ば6個の炭素ターゲットおよび2個のクロムターゲット
を備えた機構が好ましい。
【0114】図3は、物品22’に施した別の被覆50
を示す。クロム層24’を堆積させ、続いて窒化クロム
層(CrN)52、炭窒化クロム層(CrCN)54、
炭化クロム層(CrC)26’、およびグラファイト状
層(CCr)28’(ここでxは約85以上であ
り、yは約15以下であり、主としてsp2結合が存在
する)を堆積させる。
【0115】窒素は、MSIP装置に窒素ガスとして入
口から導入する。CrNは硬い材料である。CrNは、
炭素を含んでいない(従って、炭素ターゲットよりも多
くの電力をクロムターゲットに印加できる)ので、Cr
Cよりもはるかに迅速に堆積させることができる。従っ
て、より速くできるので、主としてCrNを使用し、よ
り厚い硬質被覆を構築するのが好ましい。CrCN層5
4への移行は徐々に行ない(急激な変化は、被覆構造中
に構造的な歪みおよび弱さを持ち込むことがある)、C
被覆(x:yは約1:1または約3:2、また
はこれらの値の間である)を達成するのに必要な工程で
あり、我々は、グラファイト状被覆28’に穏やかに移
行させ、それによって被覆中に良好な凝集を確保するの
に望ましいと考える。CrCNから、Cr層をほ
とんど、または実質的に含まないグラファイト状被覆に
行くことも可能であるが、適度の実質的なCr
を有するのが好ましい。
【0116】典型的な層厚さを以下に示す。
【0117】 層 厚さ 図3の番号 Cr層24’ 200nm 56 CrN層52 >2μm 58 CrCN層54 2μm 60 CrC層26’ 2μm 62 Cr 層28’ 2μm 64 主としてCrC(Cr)である代わりに主として
CrNである硬質層を(密着Cr層24’とグラファイ
ト状層28’の間に)有することにより、硬質層を堆積
させる時間を大幅に短縮することができる。
【0118】図5Aは、前に説明した様に、別の被覆を
施すために、クロムターゲット(線66)および炭素タ
ーゲット(線68)に電力を印加する相対的なタイミン
グ図式的に示す。この例では、クロム層が製造される区
域70(クロムに高電力を印加し、炭素には印加しな
い)があり、次いで、炭素ターゲットに印加する電力
を、区域72を経由して区域74の中間レベルに次第に
増加させる。区域74では、クロムターゲットおよび炭
素ターゲットに印加する相対的な電力は、ある時間、実
質的に一定である。区域76で、クロムターゲットへの
電力を、区域78における低レベルに次第に下げ、炭素
ターゲットへの電力を最高レベルに増加させる。MSI
P機構が区域70で作動している間、クロム層が堆積し
ている。この機構が区域74で作動している間、クロム
の量は20%を超え(例えば25%)、主としてクロム
の層および主として炭素の層が交互に配置された実質的
に層状の被覆区域が製造され、系は、その炭化クロムの
区域で存在し、計画的に多層構造を形成する。系が区域
78で作動する時、グラファイト状層(均質で、クロム
が約15%未満であるが、ある程度のクロムは存在し、
主としてC−Cのsp2結合を有する)が製造される。
【0119】被覆の深さの一部が、約100以上の主と
して炭素の層の間に交互に挟まれた約100以上の主と
してクロムの層からなり、各炭素層および各クロム層の
厚さが約100オングストローム(50〜150オング
ストローム)である被覆を得ることができる。
【0120】無論、クロム以外の遷移金属も効果的に使
用でき、請求項で「クロム」と言う場合、クロムおよび
他の効果的に使用できる遷移金属もカバーするものとす
る。この被覆の主要な応用分野は、自動車工業におけ
る、可動部分間で接触する、ベアリング、等である。
【0121】無論、本発明のグラファイト状被覆を、あ
らゆる硬質被覆、場合により別の被覆工程で予め施され
た被覆、の上に施すことができる。硬質の下側被覆は、
遷移金属窒化物、遷移金属炭化物、または遷移金属酸化
物、またはそれらのすべての組合せでよい。
【0122】物品上に被覆層を施す典型的な手順を以下
に説明する。主としてCrの層、次いでCr含有量が約
15%に徐々に減少し、炭素含有量が0〜約85%に増
加する層、次いで約15%のCrを含む炭素の層を施
す。
【0123】硬質下側層を施す場合には、この手順を、
Cr層に続いてCr含有量を約50%に下げ(ただし、
約30%〜70%に下げ、残りを炭素にしてもよい)、
C含有量を約50%に上げる様にする。これらの条件
は、この組成の層が、1〜3μmに堆積するまで維持す
る。次いで、Cr含有量を約15%に次第に下げ、C含
有量を約85%に上げて行く。次いで、これらの条件
を、被覆の残りの部分のC:Cr組成が85:15にな
り、最終的な層厚さが典型的には1〜3μmになるまで
維持する。
【0124】硬質下側層を製造するもう一つの方法で
は、系の中に窒素を導入する。これによって、配列はC
r−CrN−CrCN(CはCターゲットからスパッタ
リングにより形成される)−CrC−Cr:C(85:
15)になる。この方法の主な利点は、CrNをCrC
(Cターゲットからのスパッタリングを使用する)より
も高速で堆積させることができるので、より厚い硬質下
側層がより迅速に堆積する。CrNから85:15の外
側層までの配列はすべて勾配を有する。
【0125】CrまたはCrNとCの共堆積の際、その
堆積方法のために、CrまたはCrN(少量のCを含
む)および少量のCrまたはCrと窒素を含むCからな
る多層被覆が、CrとCの比が約20:80に低下する
まで堆積する。
【0126】最終的な層(Cr:C=約15:85)
は、多層でも均質な混合物でもよい。通常の方法では、
この層は多層ではないが、回転をはるかに遅くすると、
回転速度に応じた層の期間で層状の構造が得られる。
【0127】中間層中の多層の数は、その中間層の厚さ
および回転速度によって異なる。典型的な数は厚さ1μ
mの層に対して100層であるが、回転速度に応じて、
この数は25〜500のいずれかになろう。1回転は1
個の二重層を意味する。
【0128】Cr以外の遷移金属も使用できる。堆積系
中に2個の金属ターゲットを使用する場合、これらの2
個のターゲットが同じ材料である必要はない。例えば、
1個のCrターゲットおよび1個のTiターゲットで優
れた被覆が得られている。一般的に、Tiは最終層には
使用しないが、使用してもよい。また、上記のCrNの
所で、CrNを使用することもできよう。
【0129】図6は、4個の炭素ターゲット40および
2個のクロムターゲット42を有する6マグネトロン閉
鎖磁界スパッター機構を示す。クロムターゲットは互い
に対向して配置されている。
【0130】別の機構として、6個の炭素ターゲットお
よび2個のクロムターゲットを有し、やはりクロムター
ゲットが直径方向で互いに対向して配置されている8マ
グネトロン機構も使用できよう。実際、我々の英国特許
第GB2258343号明細書に示されているすべての
配置を包含する、どの様な閉鎖磁界配置でも使用でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、閉鎖磁界不均衡マグネトロンスパッタ
ーイオンプレーティング機構の一実施態様を示す平面図
である。
【図2】図2は、本発明の被覆を図式的に示す図であ
る。
【図3】図3は、本発明の別の被覆を図式的に示す図で
ある。
【図4】図4は、異なった被覆を製造する時の、炭素お
よびクロムターゲットの電力−時間プロファイルを図式
的に示す図である。
【図5A】図5Aは、異なった被覆を製造する時の、炭
素およびクロムターゲットの電力−時間プロファイルを
図式的に示す図である。
【図5B】図5Bは、異なった被覆を製造する時の、炭
素およびクロムターゲットの電力−時間プロファイルを
図式的に示す図である。
【図6】図6は、6マグネトロンCFMSIP機構を示
す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ディディエ、カミノ フランス国アノワイエ、ルート、ド、ビ ク‐ビル、16 (72)発明者 アンドリュー、エイチ.エス.ジョーンズ イギリス国シュロップシャー、ブリッジノ ース、キングズ、ロード、1 Fターム(参考) 4K029 BA07 BA34 BA55 BB02 BC02 CA06 DC03 DC05 DC16 DC39 JA02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被覆中の炭素−炭素結合が大部分グラファ
    イト状sp2形態であり、かつ、該被覆が、湿潤条件下
    で10−16m/Nm未満の固有摩耗率を有する、炭素含
    有被覆を施した物品。
  2. 【請求項2】被覆が、炭素層と金属含有層とを連続的に
    含んでなり、 炭素層または各炭素層中の炭素−炭素結合が大部分グラ
    ファイト状sp2形態であり、そして、 被覆が、湿潤条件下で10−16m/Nm未満の固有摩耗
    率を有する、炭素含有被覆を施した物品。
  3. 【請求項3】少なくとも80原子%の炭素原子と20原
    子%以下のレベルのクロム原子を含む炭素層を含んでな
    り、 主としてsp2型の炭素−炭素結合が存在し、そして実
    質的に均質な下側被覆区域が存在する、被覆区域を有す
    る、被覆を施した物品。
  4. 【請求項4】クロム層と、炭化クロム層と、実質的に均
    質な炭素−クロム材料の層とを含んでなり、 ここで、主としてsp2型の炭素−炭素結合が存在し、 少なくとも80原子%の炭素原子が存在する、被覆を施
    した物品。
  5. 【請求項5】クロム層と、窒化クロム層と、炭窒化クロ
    ム層と、前記炭化クロム層と、および前記炭素−クロム
    材料の層とを連続的に含んでなる、請求項4に記載の物
    品。
  6. 【請求項6】被覆の第一の深さで、前記炭素層と金属含
    有層との連続が存在し、 被覆の第二の深さで、第一の深さの外に向かって、実質
    的に均質なグラファイト状の炭素と金属との層が存在す
    る、請求項2に記載の物品であって、 ここで、少なくとも80原子%の炭素原子を有し、 主としてsp2型の炭素−炭素結合を有し、そして、 湿潤条件下で10−16m/Nm未満の固有摩耗率を有す
    る、物品。
  7. 【請求項7】少なくとも1個の炭素ターゲットを含むス
    パッターイオンプレーティング機構を使用することを含
    んでなる、物品に被覆を施す方法であって、 被覆すべき基材に印加するイオン電流密度が0.5 mA/
    cm超過および/または十分に高く、それによって、 炭素−炭素結合が大部分グラファイト状sp2形態であ
    り、かつ、被覆が、湿潤条件下で10−16m/Nm未満
    の固有摩耗率を有する炭素被覆層を堆積させる、方法。
  8. 【請求項8】前記炭素材料が、4個もしくは6個または
    それ以上の炭素マグネトロンスパッターターゲットを使
    用して堆積されるものである、請求項7に記載の方法。
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