JP2002159292A - 標的物質の分離回収方法 - Google Patents

標的物質の分離回収方法

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JP2002159292A
JP2002159292A JP2000362583A JP2000362583A JP2002159292A JP 2002159292 A JP2002159292 A JP 2002159292A JP 2000362583 A JP2000362583 A JP 2000362583A JP 2000362583 A JP2000362583 A JP 2000362583A JP 2002159292 A JP2002159292 A JP 2002159292A
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Masaru Tanaka
賢 田中
Tadashi Samejima
正 鮫島
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Terumo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】標的物質を効率よく、高速で分離・回収するこ
とができ、かつ回収された標的物質の純度が高く、機能
低下を招くことのない標的物質の分離回収装置および方
法の提供する。 【解決手段】ヌクレオチドの相補鎖間での水素結合によ
る温度依存性の塩基対形成(ハイブリダイズ)および前
記塩基対形成の解離(デハイブリダイズ)を利用するこ
とを特徴とする、標的物質の分離回収装置および方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液や体液などの
生体組織液から、細胞、細胞微細組織、タンパク質など
の標的物質を選択的に分離・回収する方法および装置に
関する。また、本発明は、生体組織液から細菌やウイル
スなどを分離、除去する方法および装置に関する。より
詳しくは、ヌクレオチドの相補的結合を利用して、前記
ヌクレオチドの温度を制御することにより、前記分離・
回収または前記分離・除去を行う方法および装置に関す
る。さらに、本発明は、 生体組織液からの標的物質の選
択的な分離、回収に使用するヌクレオチドに関する。
【0002】
【従来の技術】特定の細胞を分離・回収する技術は、自
己免疫疾患、AIDSおよび移植後の急性拒絶反応防止
等に利用されている。また、CD34+ を発現している
造血系の幹細胞の分離・回収、自己免疫疾患治療を目的
とした自己反応性抗原受容体をもったリンパ球の捕集、
骨髄移植用細胞からのリンパ球の除去などは、造血系の
悪性腫瘍、癌治療等の際に有効に利用される。さらに、
白血病細胞の検出、治療などを代表とする細胞医療にと
って重要な技術である。近年、胚性幹細胞があらゆる臓
器に分化増殖することが示唆され、胚性幹細胞や未分化
細胞、各種分化増殖因子などの細胞や細胞内微細組織に
損傷を与えることなく分離・回収することは再生医療、
遺伝子治療の分野にとって欠かせない技術である。現在
用いられている細胞や細胞内微細組織の分離方法には、
膜分離法、遠心分離法、電気的分離法、標的細胞以外の
細胞を死滅させる方法、標的細胞に親和性を有するリガ
ンドを固定化した担体に、目的細胞を結合させる方法、
磁気ビーズによる分離法等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これらの技術は、それ
ぞれ細胞の分離に使用する原理による問題点がある。例
えば、膜分離法や遠心分離法は、細胞の大きさや比重の
違いによって分離する方法であるため、白血球、赤血球
及び血小板のように物理的性質に大きな相違がある場合
には分離が可能であるが、白血球の亜集団の分離(例え
ば、T、B細胞の分離)など、対象となる物質間での物
理的な差が小さい場合には使用できず、特異性が低い欠
点がある。また、電気的分離法は、電場中の細胞の荷電
特性、誘電特性の違いを利用するものであるが、同じく
細胞の選択性に限界がある。標的細胞以外の細胞を死滅
させる方法は種々検討され、開発されているが、標的細
胞がダメージを受ける場合があり、副作用の原因とな
る。磁気ビーズ法は、細胞混合液を抗体を結合させた磁
気ビーズと共にインキュベートすることにより、目的細
胞を磁気ビーズでラベルし、磁気装置を用いてラベルさ
れていない細胞から、ラベルした細胞を分離する方法で
ある。この方法の場合、ビーズと標的細胞を効率よく結
合させるために長時間のインキュベートが必要であり、
その結果、標的以外の細胞の非特異的な吸着が生じて目
的細胞の純度低下を招く恐れがあり、また、 小さな磁気
ビーズに吸着した目的細胞を回収することが困難であ
る。免疫吸着カラム法は、標的細胞の膜抗原に対する抗
体等のリガンドをビーズ等の基材表面に固定化し、これ
をカラムに充填して細胞分離を行うものである。このよ
うな免疫吸着等のリガンド間の相互作用を利用したもの
としては、ビオチン−アビジン間の結合を利用したもの
が開示されているが、ビオチン−アビジン間の結合力が
非常に強いため、分離した細胞を回収することが困難で
あり、回収効率が低下する等の欠点を有する。これらの
方法は、抗体を用いるため、標的細胞への選択性が高い
ことが利点であるが、吸着細胞の回収にプロテアーゼや
パパインなどの酵素を用いるため、回収率が低く、細胞
自体への損傷が大きいという欠点を有している。特開平
6−269499号には、標的細胞を認識する抗体にヌ
クレオチドを結合させ、細胞混合液と接触処理し、次い
で、前記ヌクレオチドと相補的な塩基配列を有するヌク
レオチドを固定した水不溶性担体を充填したカラムを通
して細胞を水不溶性担体に吸着させて、目的細胞を分離
する方法が開示されている。なお、特開平6−2694
99号の実施例で用いられているヌクレオチドは10塩
基からなる。しかし、前記方法は、目的物質の吸着によ
る分離を主眼としたもので、分離後の細胞の回収につい
ては特に検討されていない。そのため、分離した細胞の
回収については、実施例において、カラム中のゲルが動
く程度に手動で軽く振動させてビーズより脱離させると
記載されているのみである。このような物理的振動によ
る回収は、回収効率が低く、また、担体と細胞との衝突
等により、細胞が損傷し、その機能が低下するという問
題を有する。また、ヌクレオチドはその片末端、もしく
は両末端が固定化されると、立体障害により、相補鎖と
の二重らせん体の融解温度が大幅に低下する。特に、相
補鎖が30塩基対以下の場合、十分なハイブリダイゼー
ションを形成することができず、細胞の分離・回収効率
が低下する。このため優れた分離・回収を行うには、分
離工程および回収工程のいずれもが、高い効率であるこ
とが要求され、そのため、要求される条件が非常に限定
される。本発明は、上記のような欠点を改良し、標的物
質を効率よく、高速で分離・回収することができ、かつ
回収された標的物質の純度が高く、機能低下を招くこと
のない標的物質の分離回収方法及び装置を提供すること
を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を考慮し、検討
した結果、本発明者らは以下の発明に到達した。すなわ
ち、標的物質の分離・回収に、ヌクレオチドの相補鎖間
での水素結合による温度依存性の塩基対形成(ハイブリ
ダイズ)および前記塩基対形成の解離(デハイブリダイ
ズ)を利用することで、上記問題点を解決されることを
見出した。具体的には、本発明は下記の内容により達成
される。 (1)標的物質含有液と、相補鎖長が30以上であり、
標的物質のリガンドと結合した第1のヌクレオチドとを
混合して、前記標的物質を前記リガンドを介して前記第
1のヌクレオチドのリガンドと結合させる工程と、第1
の温度にて、前記標的物質と結合した第1のヌクレオチ
ドと、前記第1ののヌクレオチドに対してハイブリダイ
ズ可能な塩基配列を含む相補鎖長が30以上であり、担
体に固定された第2のヌクレオチドとを接触させ、前記
標的物質と結合させた第1のヌクレオチドと前記第2の
ヌクレオチドとをハイブリダイズさせて、前記標的物質
を分離する工程と、第2の温度にして、前記ハイブリダ
イズさせた第1のヌクレオチドと第2のヌクレオチドを
デハイブリダイズさせて、前記標的物質を回収する工程
を含むことを特徴とする標的物質の分離回収方法。 (2)前記標的物質のリガンドと前記第1のヌクレオチ
ドとを別体として、前記標的物質含有液と混合させ、前
記標的物質のリガンドと前記第1のヌクレオチドを結合
させることを特徴とする(1)の標的物質の分離回収方
法。 (3)前記標的物質を前記リガンドを介して前記第1の
ヌクレオチドと結合させる工程の後に、前記標的物質と
結合しなかった前記第1のヌクレオチドを除去する工程
をさらに含む(1)または(2)の標的物質の分離回収
方法。 (4)前記標的物質を分離する工程の際に、ハイブリダ
イズしなかった前記第1のヌクレオチドを除去する工程
をさらに含む(1)ないし(3)の標的物質の分離回収
方法。 (5)標的物質含有液と、相補鎖長が30以上であり、
標的物質のリガンドと結合した第1のヌクレオチドと、
前記第1のヌクレオチドに対してハイブリダイズ可能な
塩基配列を含む相補鎖長が30以上であり、標的物質の
リガンドと結合した第2のヌクレオチドとを混合して、
前記標的物質を前記リガンドを介して前記第1のヌクレ
オチドと前記第2のヌクレオチドに各々結合させる工程
と、第1の温度にて、前記標的物質と結合した前記第1
のヌクレオチドと、前記標的物質と結合した前記第2の
ヌクレオチドとを接触させ、ハイブリダイズさせて、ヌ
クレオチドの凝集体を得る工程と、第2の温度にして、
前記ヌクレオチドの凝集体をデハイブリダイズさせて、
前記標的物質を回収する工程を含むことを特徴とする標
的物質の分離回収方法。 (6)前記標的物質のリガンド、前記第1のヌクレオチ
ドおよび前記第2のヌクレオチドを別体として、前記標
的物質含有液に混合して、前記標的物質のリガンドを前
記第1のヌクレオチドおよび前記第2のヌクレオチドに
各々結合させることを特徴とする(5)の標的物質の分
離回収方法。 (7)前記第2の温度が、前記第1の温度より高い温度
である(1)ないし(6)の標的物質の分離回収方法。 (8)前記第1の温度が1〜20℃の範囲の温度であ
り、前記第2の温度が25〜40℃の範囲の温度である
(1)ないし(7)の標的物質の分離回収方法。 (9)入口と出口を有するカラムと、相補鎖長が30以
上であり、標的物質のリガンドと結合した第1のヌクレ
オチドと、前記第1のヌクレオチドに対してハイブリダ
イズ可能な塩基配列を含む相補鎖長が30以上であり、
前記カラムにつめられた担体に固定された第2のヌクレ
オチドと、前記カラム内の温度を調節する手段よりなる
標的物質の分離回収装置。 (10)相補鎖長が30以上であり、標的物質のリガン
ドと結合した第1のヌクレオチドと、第1の温度でハイ
ブリダイズし、第2の温度でデハイブリダイズする、相
補鎖長が30以上の第2のヌクレオチドからなる1対の
ヌクレオチド。
【0005】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の好適な実施の形
態について詳細に説明する。本発明の第1の態様は、互
いに相補的な塩基配列を有する1対のヌクレオチドの温
度依存性のハイブリダイズおよびデハイブリダイズを利
用した標的物質含有液からの標的物質の分離回収方法で
あって、末梢血、リンパ液、骨髄液、臍帯血等の回収必
要成分または除去対象成分である細胞または細胞微細組
織を含んだ液から、細胞または細胞微細組織である回収
必要成分または除去対象成分のいずれかを分離・回収す
ることを目的とする。
【0006】本発明において細胞とは、動物、植物を問
わずすべての細胞を指すが、具体的には、胚性幹細胞、
造血幹細胞、血小板、マクロファージ、樹状細胞、単核
球、好中球、血管内皮細胞、平滑筋細胞、繊維芽細胞、
心筋細胞、骨格筋細胞、肝実質細胞、肝非実質細胞、膵
ラ島細胞などの機能細胞、癌細胞、白血病細胞などの腫
瘍細胞、新型コレラ、O−157、レジオネラなどの細
菌、HIVウイルス、肝炎ウイルスなどの微生物、ウイ
ルス性疾患原因物質等が挙げられる。細胞内微細組織と
は、細胞内または細胞内から細胞外へ放出された細胞増
殖因子等の生理活性物質を指し、具体的には、肝成長因
子(HGF)、骨形成因子(BMP)、血小板由来成長
因子(PDGF)、繊維芽細胞増殖因子(FGF)、血
管内皮増殖因子(VEGF)、神経細胞増殖因子(NG
F)、上皮細胞増殖因子(EGF)、インスリン増殖因
子(IGF)、トランスフォーミング増殖因子(TG
F)などやそれぞれのファミリー等が挙げられる。
【0007】本発明の第1の態様の方法では、前記互い
に相補的等のハイブリダイズ可能な塩基配列を有する1
対のヌクレオチドのうちの1つのヌクレオチド(以下、
「第1のヌクレオチド」という。)には、目的とする細
胞又は細胞内微細組織(以下、「標的物質」という。)
を認識する物質、すなわち標的物質を特異的に結合する
物質が結合されている。このような標的物質を認識する
物質としては、抗原−抗体、酵素−基質、各種生理活性
物質とそのレセプターといった特異的相互作用に基づく
リガンドをはじめ、高次構造、静電的相互作用、疎水性
相互作用等の非特異的相互作用を考慮して設計、合成さ
れた超分子構造体等が挙げられる。前記、標的物質を認
識する物質は、特定の標的物質を認識することができれ
ば、特に限定されない。例えば、抗体を用いる場合、モ
ノクローナル抗体、ポリクローナル抗体のいずれを用い
てもよい。また、細胞認識部位として、細胞膜にアンカ
リングすることが知られている、コレステロール基や長
鎖アルキル基などの疎水性基を有する物質を用いてもよ
い。ヌクレオチドとリガンドとの結合は、公知の化学反
応を用いた方法で達成できるが、両者の結合の間にスペ
ーサや二種類以上の化合物よりなる結合が存在していて
も良い。標的物質に対して親和性を有するリガンドを結
合できる官能基をヌクレオチドの末端または鎖内に有し
ていれば良く、結合に必要な官能基として、アミノ基、
カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基、酸無水
物基、サクシニルイミド基、塩素原子、アルデヒド基、
エポキシ基、アミド基などがあげられる。例えば、ヌク
レオチド中や末端に導入したアミノ基と抗体中のカルボ
キシル基をカルボジイミド法により縮合させる方法、ビ
オチン化抗体と末端または鎖内をビオチン化したヌクレ
オチドとの結合部に(ストレプト)アビジンを用いても
良い。ここで、ヌクレオチドとリガントとは、予め結合
させてあってもよく、または別体として標的物質含有液
と混合し、混合液中で結合させてもよい。この場合、結
合の形成は、リガンドと標的物質との結合の形成の前後
いずれであってもよい。ヌクレオチドとリガンドを予め
結合させた場合、両者の結合の形成が保証され、結合し
ていないヌクレオチドおよびリガンドの発生が少なく、
両者の有効利用を図ることができる。一方、両者を別体
で標的物質含有液に混合させる場合、ヌクレオチドとリ
ガンドを結合する工程を別に設ける必要がない。
【0008】温度依存性のハイブリダイズ、デハイブリ
ダイズに用いる1対のヌクレオチドは、互いに相補的等
のハイブリダイズ可能な塩基配列を有し、後述する第1
の温度でハイブリダイズし、第2の温度でデハイブリダ
イズするものであれば、いずれであってもよい。天然の
ヌクレオチドであってもよく、また、人工のヌクレオチ
ドであってもよい。
【0009】天然のヌクレオチドでは、デオキシリボ核
酸(DNA)については、アデニン−チミン、またはグ
アニン−シトシンが互いに相補的であり、二重らせん構
造中で特異的な塩基対を形成することが知られている。
同様に、リボ核酸(RNA)では、アデニン−ウリジ
ン、シトシン−イトシン、またはシトシン−グアニンが
互いに相補的であり、二重らせん構造中で特異的な塩基
対を形成することが知られている。これら互いに相補的
な塩基対を有するヌクレオチド間では、ハイブリダイゼ
ーションを形成する。また、シトシン−グアニン−シト
シン、チミン−アデニン−チミンなどの三重らせん構造
を形成する塩基対を有するヌクレオチドを用いても良
い。
【0010】天然ヌクレオチド(DNA、RNA)と同
様にハイブリダイズすることが知られている人工ヌクレ
オチドとしては、核酸合成機で人工的に合成したDN
A、RNA、poly(A)・poly(U)、pol
y(I)・poly(C)、poly(G)・poly
(C)、poly(A)・poly(G)などの公知の
物質が例示できる。また、ペプチドヌクレオチド(PN
A)、ポリビニルアデニン、ポリビニルチミン、ポリビ
ニルグアニン、ポリビニルシトシン、ポリビニルウラシ
ルなどや、活性エステル法により、ポリリジンやポリエ
チレンイミンの側鎖アミノ基に核酸塩基を導入した人工
ヌクレオチドなど、また、メタ(アルキル)骨格などの
合成ポリマーの主鎖に、直接またはスペーサ−を介して
核酸塩基を結合させたものが例示できる。特にメタ(ア
ルキル)骨格などの人工ヌクレオチドを用いれば、耐熱
性が向上するため、滅菌可能で、低コストの分離・回収
装置の作製が可能となる。
【0011】本発明の方法において、ヌクレオチドの組
み合わせは、互いに相補的な塩基配列を有していれば特
に限定されず、天然ヌクレオチド対人工ヌクレオチド、
天然ヌクレオチド対天然ヌクレオチド、人工ヌクレオチ
ド対人工ヌクレオチドの何れの組み合わせを用いてもよ
い。ここでヌクレオチドの組み合わせは、完全に相補的
である必要はなく、ハイブリダイズおよびデハイブリダ
イズを本発明の方法において適切に行うことができるの
であれば、部分的に相補的な塩基配列を形成しないミス
マッチ配列を有していてもよい。また、ヌクレオチドが
回文構造である場合、以下に示すように、1つヌクレオ
チドが相補的な塩基配列を形成する。なお、下記の塩基
配列は回文構造の塩基配列を例示したものであり、本発
明のヌクレオチドはこれに限定されない。5’…TCC
GGA…3’3’…AGGCCT…5’この場合、1つ
のヌクレオチドで1対がヌクレオチドを構成でき工程上
簡便である。
【0012】本発明において、ヌクレオチドの長さ、よ
り具体的には、相補鎖の長さは特に限定されないが、標
的物質が細胞の場合、細胞の最表面は、脂質の二分子膜
をマトリックスとして、タンパク質や多糖によって10
〜20nmの厚さで覆われているため、細胞の表面部分
でヌクレオチドがハイブリダイズする際には、立体障害
が生じる。また、ヌクレオチドはその片末端、もしくは
両末端が固定化されると、相補鎖とで形成される二重ら
せん体の融解温度が大幅に低下し、30塩基対未満で
は、十分なハイブリダイズができない。したがって、良
好なハイブリダイズを行うためには、相補鎖の鎖長が少
なくとも30塩基対以上が好ましい。より好ましくは5
0塩基対以上の鎖長である。上限は特には限定されない
が、あまり長いものは取り扱いにくいので、500塩基
対以下が好ましい。
【0013】本発明の方法において、ヌクレオチドがハ
イブリダイズする第1の温度およびデハイブリダイズす
る第2の温度は特に限定されないが、好ましくは、第2
の温度は第1の温度よりも高い温度である。この場合、
本発明の方法による標的物質の分離回収工程中に、ヌク
レオチドの意図しないデハイブリダイズが防止され、標
的物質の適切な分離・回収を行うことができる。なお、
第1の温度は好ましくは1℃から20℃であり、より好
ましくは4℃から10℃である。一方、第2の温度は好
ましくは25℃から40℃である。より好ましくは35
℃から38℃である。上述したように、第2の温度は第
1の温度よりも高い温度であることが好ましく、また、
回収の際、デハイブリダイズの温度が40℃を超える
と、標的細胞に損傷を与える恐れがあり、人間の体温付
近で解離が起こることが好ましいからである。
【0014】ここで第1および第2の温度は、ヌクレオ
チドの相補鎖長または相補鎖を構成する塩基配列により
調節することができる。相補鎖長が増加すると、鎖に含
まれる相補関係にある塩基配列が増加するため、一般に
解離温度が上昇する。一方、相補鎖を構成する塩基配列
に関しては、相補的な塩基配列であるグアニン−シトシ
ンは三重結合、相補的な塩基配列ではないアデニン−シ
トシンは二重結合によりそれぞれ水素結合を形成するた
め、例えば同じ相補鎖長の場合、相補鎖中にグアニン−
シトシンの含量が多いほど、相補鎖の解離温度が上昇
し、アデニン−シトシンの含量が多いほど、相補鎖の解
離温度が下降する。したがって、鎖長が長く(100塩
基対以上)、相補鎖の解離温度が高いヌクレオチドを用
いる場合、相補鎖の塩基配列でのアデニン−シトシン含
量を多くし、部分的に相補的な塩基対を形成しないミス
マッチ配列を導入しても良い。
【0015】以上のように、ヌクレオチドは必要とされ
る解離温度に応じて、鎖長または構成する塩基配列を適
宜選択することができ、また、担体への導入効率や標的
物質のリガンドとの適合性の観点から、構成する塩基配
列を適宜選択してもよい。なお、ヌクレオチドに天然ヌ
クレオチドを用いる場合、必要とされる鎖長または塩基
配列を得るためには、エンドヌクレアーゼ、エキソヌク
レアーゼ、DNase、RNase等の制限酵素を添加
して、ヌクレオチドを切断してもよい。
【0016】本発明の第1の態様の方法を実施する上で
の1つの形態では、ヌクレオチドのうち、リガンドと結
合しない側のヌクレオチド(以下、「第2のヌクレオチ
ド」という。)は担体に固定される。この場合、担体に
用いることができる材質は、木綿、麻、セルロース、ア
ガロース、キチン、キトサン等の天然高分子、ナイロ
ン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリオレフ
ィン、ハロゲン化ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリ
アミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ
(メタ)アクリレート、ポリビニルアルコール、ポリス
チレン、エチレン−ポリビニルアルコール共重合体、ブ
タジエン−アクリロニトリル共重合体等の合成高分子あ
るいはこれらの混合物が挙げられる。担体の形状は特に
限定されず、例えば、多孔質体、繊維、不織布、粒子、
ビーズ、フィルム、シート、チューブ、中空糸や粉末等
のいずれであっても良い。但し、多孔質体、不織布およ
び粒子の場合、最大孔径または平均孔径は0.1μm
( 0.1×103 nm)〜800μm(800×103
nm)であることが好ましく、より好ましくは、1μm
(1×103 nm)〜500μm(500×10 3
m)である。一方、最小口径は、目詰まりを防ぐため、
標的物質の直径以上であることが好ましい。前記の担体
への第2のヌクレオチドの固定は、公知のあらゆる方法
を用いることが可能である。例えば、水酸基、カルボキ
シル基、アミノ基、グリシジル基、イソシアネート基、
アルデヒド基、スルホン酸基、ハロアセチル基、ジスル
フィド基又はチオール基等の官能基を利用して固定化を
行う。また、担体の表面がブロムシアン、カルボニルジ
イミダゾール、トシル、トレシルなどで活性化されてい
ても構わない。これらの官能基を利用して、直接あるい
は縮合剤や架橋剤を用いて結合することが可能である。
第2のヌクレオチドを固定化した担体は、ポリオレフィ
ン、ハロゲン化ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポ
リウレタン、ポリ(メタ)アクリレート、ポリアミド等
のプラスチック製の流入・流出口を有する筒状、円盤
状、円錐状のカラムに充填される。ただし、カラムの形
態はこれに限定されるものではない。なお、担体に固定
化される第2のヌクレオチドの量は、担体1ml当たり
1〜1000μgであり、好ましくは5〜200μgで
ある。
【0017】本発明の第1の態様の方法を実施する上で
の別の1つの形態では、第2のヌクレオチドは固定化さ
れない。すなわち、第2のヌクレオチドは第1のヌクレ
オチドと同様に、標的物質含有液と混合される。そし
て、標的物質を第1のヌクレオチドに結合したリガント
および第2のヌクレオチドに結合したリガンドに各々結
合させた後、前記標的物質を結合させた第1のヌクレオ
チドと標的物質を結合させた第2のヌクレオチドを含む
液を第1の温度にすることにより、第1のヌクレオチド
第2のヌクレオチドをハイブリダイズさせ、ヌクレオチ
ドの凝集体を形成し、これをろ過等により回収し、その
後、第2の温度にすることにより、前記ヌクレオチドの
凝集体をデハイブリダイズさせ、標的物質を回収する。
なお、本実施形態において、第2のヌクレオチドを標的
物質含有液へ混合する工程を行う時期は特に限定され
ず、第1のヌクレオチドの混合と同時に行ってもよく、
また、第1のヌクレオチドのリガンドと標的物質を結合
させた後であってもよい。
【0018】さらに、前記実施の形態において、ヌクレ
オチドは、回文構造からなる1つのヌクレオチドであっ
てもよい。ヌクレオチドが前記であれば、全てのヌクレ
オチドに標的物質のリガンドを結合させることができ、
その結果、全てのヌクレオチドを標的物質の回収に使用
することができる。
【0019】本発明の第1の態様の方法では、標的物質
の回収時に、系中に存在する不要な物質を最小限に抑え
るために、標的物質を結合させる工程の後に、標的物質
のリガンドと結合しなかったヌクレオチドを洗浄する工
程を含めてもよい。また、同様の理由から、ヌクレオチ
ドをハイブリダイズさせる工程に、ハイブリダイズしな
かったヌクレオチドを洗浄する工程を含めてもよい。
【0020】本発明の第2の態様は、標的物質と標的物
質を認識するリガンドが結合したヌクレオチドを含んだ
標的物質含有液から、標的物質を分離回収する装置であ
る。本発明の第2の態様の装置は、入口と出口を有する
カラムと、前記カラムに詰められた担体に固定された第
1のヌクレオチドと、標的物質のリガンドと結合してお
り、第1のヌクレオチドとハイブリダイズ可能な塩基配
列を有する第2のヌクレオチドと、前記カラム内の温度
を調節するための温度制御手段よりなる。本発明の第2
の態様の装置において、前記カラム、ヌクレオチドを固
定化する担体および固定化の方法は特に限定されず、本
発明の第1の態様の方法において記載した通りである。
本発明の第2の態様の装置において、前記第2のヌクレ
オチドは、標的物質をヌクレオチドに結合させたリガン
ドと結合させた後、前記カラム中で第1のヌクレオチド
と温度依存性のハイブリダイズおよびデハイブリダイズ
を行い、それにより標的物質を分離回収するために、標
的物質含有液に添加する試薬として含まれることが好ま
しい。
【0021】本発明の第2の態様の装置において、カラ
ム内の温度を調節する手段は、カラム内の温度を前記ヌ
クレオチドがハイブリダイズする温度およびデハイブリ
ダイズする温度に調節することができれば特に限定され
ない。例えば、カラムの周囲にヒータを取り付け、カラ
ム内の温度を調節する手段であってよく、また、カラム
内に所定の温度の流体を流入させ、それにより温度を調
節させる手段であってもよい。
【0022】本発明の第2の態様の装置は、標的物質含
有液を、標的物質のリガンドと結合しており、カラムに
つめられた担体に固定化された第1のヌクレオチドとハ
イブリダイズする第2のヌクレオチドと共に流入させる
ことにより、標的物質を効率よく、かつ損傷を与えるこ
となく分離・回収することができる。また、本発明の装
置は、ハイブリダイズによってカラム内に捕捉された標
的物質が所定の温度でデハイブリダイズされるので、標
的物質の回収と同時に、担体に固定化されたヌクレオチ
ドを容易に再生することができる。
【0023】本発明の第3の態様は、標的物質のリガン
ドが結合されている相補鎖長が30以上の第1のヌクレ
オチドと、第1の温度でハイブリダイズし、第2の温度
でデハイブリダイズする相補鎖長が30以上の第2のヌ
クレオチドからなる1対のヌクレオチドである。本発明
の第3の態様の1対のヌクレオチドは、第1の温度にす
ることにより、互いにハイブリダイズし、第2の温度に
することによりデハイブリダイズされる。このような温
度依存性のハイブリダイズおよびデハイブリダイズをす
るヌクレオチドについては、本発明の第1の態様の方法
で例示した。また、本発明の第3の態様の1対のヌクレ
オチドにおいて、対を成すヌクレオチドのうち、1つの
ヌクレオチドは標的物質のリガンドを結合されている。
これらの特徴により、本発明の第3の態様の1対のヌク
レオチドは、本発明の第1の態様の方法および本発明の
第2の態様の装置に好適に用いることができる。なお、
以下後述する実施例では、本発明の第3の態様の1対の
ヌクレオチドの一例を使用した。
【0024】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに説明する
が、本発明はこれによって限定されるものではない。 (実施例1〜3、比較例1、2)本発明の標的物質の分
離回収方法の有効性を確認するために、標的細胞として
CD4陽性細胞、標的細胞に対して特異的親和性を有す
る物質として抗CD4抗体(Leu−3a)を用いて実
験を行った。
【0025】CNBr−activated Seph
arose 6MB(アマシャムファルマシアバイオテ
ク社製)へのストレプトアビジンの固定化必要量のCN
Br−activated Sepharose 6M
Bを測りとり、1mM HClで15分間膨潤させた
後、1mM HCl(200ml/g)で洗浄した。膨
潤したゲル1mlあたり20mlのカップリングバッフ
ァー(0.5M NaClを含む0.1M NaHCO
3 ,pH8〜9,4℃)で簡単に洗浄した。ストレプト
アビジン(和光純薬工業社製)を加えた後、ゲルの懸濁
液をend−over−end型のミキサーで、所定の
温度においてゆるやかに攪拌した。インキュベートの
後、非結合ストレプトアビジンをwash buffe
r(0.5M NaClを含む0.1M酢酸バッファ
ー)とカップリングバッファー(10ml/mlゲル)
で交互に3回洗浄した。残存活性基をマスクするため
に、0.2Mグリシンを含むカップリングバッファーで
洗浄した後、0.1%アジ化ナトリウム入りのPBSで
平衡化した。
【0026】ビーズへのヌクレオチドの固定化 上記のストレプトアビジン固定化ビーズに、あらかじめ
ビオチン化した一本鎖DNA(塩基配列は全てアデニン
(A))の鎖長がそれぞれ、75、55、35のDNA
をそれぞれ、ビーズ1mlあたり50μg〜100μg
固定化した。また、比較例として鎖長が10のDNAを
同様に固定化した。また、DNAを固定化していないビ
ーズでの実験も行った。
【0027】カラムの作製 5.0mlシリンジ(テルモ社製)に、あらかじめEx
tran MA02(MERCK)で洗浄したフィルタ
ーを有するカラムに、アビジン(2mg/ml)固定化
ビーズを1ml充填した。
【0028】細胞分離操作 細胞をピペット等で操作するときは、細胞のピペット内
面への非特異的吸着を防ぐために、PBS−A(2%ア
ルブミン、0.1%アジ化ナトリウムを含む)でコート
してから細胞を吸い上げた。人新鮮血を50ml採血
し、Ficoll(アマシャムファルマシバイオテク社
製)によって分離した単核細胞成分(Th細胞、B細
胞、単核球等の混合)を、15ml遠沈管を用いて、P
BS−Aで2回リンス後、PBS−Aで1.5mlメス
アップした。自動血球計算装置(東亜医用電子株式会社
製、Sysmex Ne−6000)を用いて細胞数を
測定した。ビーズに固定化した一本鎖DNA(鎖長がそ
れぞれ、75、55、35)に相補的な配列を有するチ
オール末端一本鎖DNA(塩基配列は全てチミン
(T))を抗体のアミノ基と結合させたDNA結合抗体
を、細胞1×106 個当たり20μl混合し、氷上、遮
光下、30分間反応させた。ついで、PBS−Aで2回
洗浄し、過剰のDNA結合抗体を取り除き、PBS−A
にサスペンドし、Sysmexを用いて細胞数を測定し
た。1カラムに用いる細胞数を3.5×104 /μl個
に調整した。あらかじめ4℃で20分間インキュベート
しておいたカラムに、上記の細胞懸濁液を100μl
(細胞数3.5×106 個)入れ、4℃で10分間イン
キュベートした。吸着しなかった細胞を洗浄し、15m
lチューブにプールした(Flow Through溶
液)。ついで、37℃に保温しておいたPBS−A 3
mlで5回洗浄(2ml/min)し、プールした(E
lution溶液)。
【0029】解析 分離・回収前の細胞懸濁液、Flow Through
溶液、Eluton溶液をスピンダウンし、細胞を40
0μlのPBS−Aにサスペンドした。自動血球計算装
置(東亜医用電子株式会社製、Sysmex NE−6
000)を用いて細胞数を測定し、細胞1×106 個当
たりPE標識アピジン、ビオチン化CD3/CD8抗体
20μlを混合し、氷上、遮光条件下で30分間インキ
ュベートした後フローサイトメーターにより解析を行っ
た。以下の式に従い、CD4陽性細胞回収率およびEl
ution溶液中のCD陽性率を算出した。 CD4陽性細胞回収率(%)=(Elution溶液中
のCD4陽性細胞の数/分離・回収前の細胞懸濁液中の
CD4陽性細胞の数)×100 Elution溶液中のCD4陽性率(%)=(Elu
tion溶液中のCD4陽性細胞の数/Elution
溶液中の総細胞の数)×100 表1にCD4陽性細胞回収率およびElution溶液
中のCD4回収率を示した。
【0030】 表1からわかるように、相補鎖長が35以上のもので、
優れた回収率と選択性を示した。相補鎖が10のもので
は、実施例に比べて回収率と選択性が低下した。ヌクレ
オチドを結合していないビーズでは、標的細胞の回収率
と選択性がさらに低下した。
【0031】(実施例4、5、比較例3)既報(馬場
ら、アナリティカルケミストリー、64号、1920ペ
ージ、1992年)に従って合成したポリ(9−ビニル
アデニン)、ポリ(1−ビニルウラシル)のそれぞれの
平均相補鎖長が150、80の人工ヌクレオチドを用い
て実施例1〜3に従い細胞分離・回収実験を行った。実
施例では、ビーズにポリ(9−ビニルアデニン)、標的
細胞にポリ(1−ビニルウラシル)を結合させた。比較
例として、ビーズと標的細胞に同じポリ(9−ビニルア
デニン)を結合させて実験を行った。結果を表2に示
す。
【0032】 表2から明らかなように、相補的な塩基対を形成する系
では優れた選択性を有するが、相補的な塩基対を形成し
ない系では選択性がなかった。
【0033】(実施例6)標的物質を凝集物として分離回収する実施例 ストレプトアビジンを固定化した直径0.1μmのポリ
スチレンビーズ(モルキュラープローブ社製)に、実施
例2で用いたビオチン化DNA(鎖長55)をビーズ1
ml当たり30μg固定化した。このDNA固定化ビー
ズのPBS−Aの懸濁液100μlと、実施例2で用い
たDNA結合抗体(鎖長55)を結合させたCD4陽性
細胞の懸濁液100μl(細胞数3.5×106 個)と
混合し、4℃でゆっくり攪拌し、30分間インキュベー
トした。この後、光学顕微鏡にて観察した結果、ビーズ
と細胞の凝集体を確認した。また、上記凝集体にDNa
seI(アマシャムファルマシアバイオテク社製)を溶
解した緩衝溶液(pH7.5、10mM Tris−H
Cl、10mM CaCl2 、10mM MgCl2
1% glycol)を添加した後、4℃で10分間イ
ンキュベートした。この後、光学顕微鏡で観察した結
果、DNAの分解により凝集体が解離することを確認し
た。
【0034】
【発明の効果】本発明の標的物質の分離回収方法および
装置は、ヌクレオチドのハイブリダイゼーションによっ
て、標的物質の分離ができ、小さい温度変化でデハイブ
リダイゼーションさせることで回収ができ、しかも担体
基材との接触部位がほとんどないため、回収するのが容
易になる。そのため、細胞等の損傷が小さくなり、機能
が良好に維持されることとなる。本発明の標的物質の分
離回収方法および装置は、簡便且つ短時間の操作で、標
的とする細胞や細胞内微細組織を、品質、特性等を低下
せずに、分離し、また、高い回収率で回収することがで
きる。このため、多成分の混合溶液から、複雑な操作を
経ることなく、 標的物質だけを、迅速に、高選択的に、
ダメージを与えずに効率的に分離回収が行うことができ
る。また、本発明の標的物質の分離回収方法および装置
は、回収必要細胞と除去対象細胞を含む細胞含有液か
ら、目的に応じて、必要細胞または除去対象細胞を選択
的に分離・回収することができる。さらに、本発明の標
的物質の分離回収装置は、デハイブリダイゼーションに
よる標的物質の回収と同時に、担体に固定化されたヌク
レオチドが再生されるため、装置の再生が容易に行え、
保守性に優れている。これらの特徴により、本発明の標
的物質の分離回収方法および装置は、造血幹細胞移植分
野等の細胞医療分野に利用可能であり、また、遺伝子治
療や再生医療の分野においても効果を発揮することとな
る。
フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA20 BA80 CA09 HA12 4B029 AA09 AA21 BB20 CC03 HA10 4B063 QA01 QQ01 QQ42 QR32 QR56 QR58 QR82 QS15 QS34 QS36 QX02 4B065 AA90X BA22 BA30 CA44 CA46

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】標的物質含有液と、相補鎖長が30以上で
    あり、標的物質のリガンドと結合した第1のヌクレオチ
    ドとを混合して、前記標的物質を前記リガンドを介して
    前記第1のヌクレオチドのリガンドと結合させる工程
    と、 第1の温度にて、前記標的物質と結合した第1のヌクレ
    オチドと、前記第1ののヌクレオチドに対してハイブリ
    ダイズ可能な塩基配列を含む相補鎖長が30以上であ
    り、担体に固定された第2のヌクレオチドとを接触さ
    せ、前記標的物質と結合させた第1のヌクレオチドと前
    記第2のヌクレオチドとをハイブリダイズさせて、前記
    標的物質を分離する工程と、 第2の温度にして、前記ハイブリダイズさせた第1のヌ
    クレオチドと第2のヌクレオチドとをデハイブリダイズ
    させて、前記標的物質を回収する工程を含むことを特徴
    とする標的物質の分離回収方法。
  2. 【請求項2】前記標的物質のリガンドと前記第1のヌク
    レオチドとを別体として、前記標的物質含有液と混合さ
    せ、前記標的物質のリガンドと前記第1のヌクレオチド
    を結合させることを特徴とする請求項1に記載の標的物
    質の分離回収方法。
  3. 【請求項3】前記標的物質を前記リガンドを介して前記
    第1のヌクレオチドと結合させる工程の後に、前記標的
    物質と結合しなかった前記第1のヌクレオチドを除去す
    る工程をさらに含む請求項1または2に記載の標的物質
    の分離回収方法。
  4. 【請求項4】前記標的物質を分離する工程の際に、ハイ
    ブリダイズしなかった前記第1のヌクレオチドを除去す
    る工程をさらに含む請求項1ないし3のいずれかに記載
    の標的物質の分離回収方法。
  5. 【請求項5】標的物質含有液と、相補鎖長が30以上で
    あり、標的物質のリガンドと結合した第1のヌクレオチ
    ドと、前記第1のヌクレオチドに対してハイブリダイズ
    可能な塩基配列を含む相補鎖長が30以上であり、標的
    物質のリガンドと結合した第2のヌクレオチドとを混合
    して、前記標的物質を前記リガンドを介して前記第1の
    ヌクレオチドと前記第2のヌクレオチドに各々結合させ
    る工程と、 第1の温度にて、前記標的物質と結合した前記第1のヌ
    クレオチドと、前記標的物質と結合した前記第2のヌク
    レオチドとを接触させ、ハイブリダイズさせて、ヌクレ
    オチドの凝集体を得る工程と、 第2の温度にして、前記ヌクレオチドの凝集体をデハイ
    ブリダイズさせて、前記標的物質を回収する工程を含む
    ことを特徴とする標的物質の分離回収方法。
  6. 【請求項6】前記標的物質のリガンド、前記第1のヌク
    レオチドおよび前記第2のヌクレオチドを別体として、
    前記標的物質含有液に混合して、前記標的物質のリガン
    ドを前記第1のヌクレオチドおよび前記第2のヌクレオ
    チドに各々結合させることを特徴とする請求項5に記載
    の標的物質の分離回収方法。
  7. 【請求項7】前記第2の温度が、前記第1の温度より高
    い温度である請求項1ないし6のいずれかに記載の標的
    物質の分離回収方法。
  8. 【請求項8】前記第1の温度が1〜20℃の範囲の温度
    であり、前記第2の温度が25〜40℃の範囲の温度で
    ある請求項1ないし7のいずれかに記載の標的物質の分
    離回収方法。
  9. 【請求項9】入口と出口を有するカラムと、 相補鎖長が30以上であり、標的物質のリガンドと結合
    した第1のヌクレオチドと、 前記第1のヌクレオチドに対してハイブリダイズ可能な
    塩基配列を含む相補鎖長が30以上であり、前記カラム
    につめられた担体に固定された第2のヌクレオチドと、 前記カラム内の温度を調節する手段よりなる標的物質の
    分離回収装置。
  10. 【請求項10】相補鎖長が30以上であり、標的物質の
    リガンドと結合した第1のヌクレオチドと、第1の温度
    でハイブリダイズし、第2の温度でデハイブリダイズす
    る、相補鎖長が30以上の第2のヌクレオチドからなる
    1対のヌクレオチド。
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