JP2002144355A - ビニルアルコール系重合体フィルムの製造法および偏光フィルム - Google Patents
ビニルアルコール系重合体フィルムの製造法および偏光フィルムInfo
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Abstract
で表面平滑性に優れたビニルアルコール系重合体フィル
ムが得られる製造法と、これにより得られるビニルアル
コール系重合体フィルムを用いて作製した偏光性能が均
一な偏光フィルムを提供する。 【解決手段】 ビニルアルコール系重合体を含有する製
膜原料4をダイ1から金属ロール6上に吐出して製膜す
る際に、金属ロール6の中心軸7とダイ吐出部3を結ぶ
平面Aと、金属ロール6の中心軸7と金属ロール6の頂
点8を結ぶ平面Bとのなす角度θ1が20°以下に設定
され、また、ダイ吐出部3と金属ロール6の表面との間
隔Dが10mm以下に設定されている。
Description
造原料として有用で、表面平滑性と厚み均一性に優れた
ビニルアルコール系重合体フィルムの製造法と、これに
より得られるビニルアルコール系重合体フィルムを用い
て作製した偏光フィルムに関するものである。
は、光のスイッチング機能を有する液晶とともに、液晶
ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。こ
のLCDの適用分野も、開発初期の頃の電卓および腕時
計等の小型機器から、近年ではラップトップパソコン、
ワープロ、液晶カラープロジェクター、車載用ナビゲー
ションシステム、液晶テレビ等の広範囲に広がり、従来
以上に光学特性の均一性に優れた偏光板が求められてい
る。
体フィルム(以下、これを「PVAフィルム」と略記
し、また、これの原料であるビニルアルコール系重合体
を「PVA」と略記することがある)を一軸延伸し、染
色することにより製造した偏光フィルムの両面に、三酢
酸セルロース(TAC)膜などの保護膜を貼り合わせた
構成をしている。
一化させるためには、PVAフィルムを均一に延伸する
こと、ムラなく貼り合わせることなど多くの注意点があ
るが、最も重要な点は偏光フィルムの素材となるPVA
フィルムの表面を平滑にすることと、厚みを均一にする
ことである。PVAフィルムの表面平滑性が劣っていた
り、厚みが不均一な場合には、得られる偏光板の偏光性
能を均一化させることが困難である。
用として好適な厚みが均一で表面平滑性に優れたPVA
フィルムを得ることができる製造法と、これにより得ら
れるPVAフィルムを用いて作製した偏光性能が均一な
偏光フィルムを提供することにある。
め、本発明の製造法は、ビニルアルコール系重合体を含
有する製膜原料をダイから金属ロール上に吐出して製膜
する際に、金属ロールの中心軸とダイ吐出部を結ぶ平面
と、金属ロールの中心軸と金属ロールの頂点を結ぶ平面
とのなす角度が20°以下に設定され、また、ダイ吐出
部と金属ロールの表面との間隔が10mm以下に設定さ
れている。
れ、厚み均一性が良好なPVAフィルムが得られる。
吐出部を結ぶ平面よりもダイ内部のリップ面が、上流側
に10°乃至60°傾斜させてダイが設置されているこ
とが好ましい。これによれば、より良好なPVAフィル
ムが得られる。
吐出されて金属ロールに接触した直後に、製膜原料を水
平方向かそれよりも下側方向に移動させることが好まし
い。これによっても、より良好なPVAフィルムが得ら
れる。
ィルムを作製するときに好適に用いられる。また、この
PVAフィルムを用いることにより、偏光性能が均一な
偏光フィルムが得られる。
基づいて説明する。図1は、本発明の製造法に用いるP
VAフィルムの製造装置の一例として、含水PVA(有
機溶剤を含んでいても良い。以下同じ)を溶融して押し
出す溶融押出製膜機の要部を示している。この製膜機
は、フラットダイ1の吐出部3から定量の溶融PVA
(製膜原料)4を、定速で回転方向2に回転する金属ロ
ール6上に押し出し、この金属ロール6の円周面の一部
を通過させて、PVAフィルムを乾燥させる。この後、
このPVAフィルムは、図示しないフローティングドラ
イヤーや乾燥用金属ロールや検査機などを通過してワイ
ンダーに巻き取られる。
イルムを溶融押出製膜する際に、前記金属ロール6の中
心軸7とダイ吐出部3を結ぶ平面Aと、金属ロール6の
中心軸7と金属ロール6の頂点8を結ぶ平面Bとのなす
角度θ1が20°以下、より好ましくは10°以下、特
に好ましくは5°以下の範囲に設定され、この範囲内に
前記ダイ吐出部3が設置される。前記両平面A,Bのな
す角度θ1が20°を超える位置にダイ吐出部3を設置
すると、得られるPVAフィルムの厚み均一性が悪化す
る。
6の表面までの間隔Dは、10mm以下、より好ましく
は5mm以下、さらに好ましくは3mm以下に設定され
る。このとき、前記間隔Dは、フラットダイ1の幅方向
(紙面に垂直方向)にわたって均一に保つことが重要で
ある。前記間隔Dが10mmを超える場合は、製膜原料
4が金属ロール6に均一に接触しにくくなり、得られる
PVAフィルムの厚み均一性が悪化する。
表面までの間隔Dとは、前記平面Aとロール表面の交差
する点9からダイ吐出部3までの高さであり、一般に言
われるエアギャップE(ダイ吐出部3から製膜原料4が
金属ロール6と接触する点5までの直線距離)ではな
い。
その内部のリップ面が作る平面Cを、前記金属ロール6
の中心軸7とダイ吐出部3を結ぶ平面Aに対して所定角
度θ2だけ上流側(樹脂吐出方向後方側)に傾斜させる
ことが好ましい。この角度θ2は、10°乃至60°、
より好ましくは15°乃至50°、最も好ましくは15
°乃至40°である。ここで、前記リップ面が作る平面
Cを前記平面Aに対し上流側に10°未満傾斜させた
り、上流側に60°を超えて傾斜させたり、また、図1
の二点鎖線で示すように、リップ面が作る平面Cを下流
側(樹脂吐出方向前方側)に傾けてダイ1の設置を行う
場合は、得られるPVAフィルムの表面平滑性が悪化す
る場合がある。
れた製膜原料4が金属ロール6に接触した直後には、製
膜原料4を水平方向かそれよりも下側方向に移動させる
ことが好ましい。この製膜原料4を上側方向に移動させ
た場合には、得られるPVAフィルムの厚み均一性が悪
化する場合がある。
ィルムの製造装置の他の例として、図1と同様な溶融押
出製膜機の要部を示している。この実施形態では、前記
リップ面が作る平面Cを上流側(樹脂吐出方向後方側)
に傾けてダイ1を設置するとともに、そのダイ吐出部3
を金属ロール6の中心軸7と頂点8を結ぶ平面B上に配
置して、この平面Bと金属ロール6の中心軸7とダイ吐
出部3を結ぶ平面Aのなす角度θ1を0°に設定してい
る。
ッケル・クロム・酸化クロム・亜鉛・錫などをメッキし
てあるステンレス鋼を用いることが好ましい。また、前
記リップ面の金属表面またはメッキ表面の粗さ(平滑
性)は、1S以下が好ましく、特に0.3S以下が最も
好ましい。1Sを超える場合には、得られるPVAフィ
ルムの厚み均一性や表面の平滑性が悪化する場合があ
る。
の凹凸の程度を示すもので、その表面粗さを最大高さで
表示したものである。最大高さ(Rmax )とは、JIS
B0601に準じ、対象物の断面曲線から基準長さだ
け抜き取った部分の平均線に平行な最も高い山と最も深
い谷に接する2直線間の間隔をマイクロメーター(μ
m)単位で表したものをいう。前記表面粗さ1Sとは、
最大高さが1μmである。
至150μmが好ましく、30μm乃至80μmがより
好ましい。PVAフィルムの厚みが20μm未満では、
偏光フィルムを製造する際の一軸延伸時に切断しやす
く、一方150μmを超えると、前記一軸延伸時に延伸
斑が発生し、得られる偏光フィルムに染色斑や光学斑が
発生しやすい。
水・電気ヒーターなどにより加熱する。また、温風や冷
風などをPVAフィルムに吹き付けたり、PVAフィル
ム周囲の空気や蒸気などを吸引するなどの手段を用いて
も良い。
で、表面にニッケル・クロム・酸化クロム・亜鉛・錫な
どをメッキしてあることが好ましい。また、金属ロール
6の金属表面またはメッキ表面の粗さは、3S以下が好
ましく、特に0.5S以下が最も好ましい。粗さが3S
を超える場合には、得られるPVAフィルムの厚み均一
性や表面の平滑性が悪化する場合がある。
得られたポリビニルエステルをけん化することにより製
造される。また、PVAを不飽和カルボン酸またはその
誘導体、不飽和スルホン酸またはその誘導体、炭素数2
乃至30のα−オレフィンなどをグラフト共重合した変
性PVAや、ビニルエステルと不飽和カルボン酸または
その誘導体、不飽和スルホン酸またはその誘導体、炭素
数2乃至30のα−オレフィンなどを共重合した変性ポ
リビニルエステルをけん化することにより製造される変
性PVAや、未変性または変性PVAをアルデヒド類で
水酸基の一部を架橋したいわゆるポリビニルアセタール
樹脂などが用いられる。
ル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピ
バリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸
ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニルなどが例
示される。
として変性を目的に共重合させるもので、本発明の趣旨
を損なわない範囲で使用される。このようなコモノマー
として、例えば、オレフィン類、アクリル酸およびその
塩またはそのエステル類、メタクリル酸およびその塩ま
たはそのエステル類、アクリルアミド誘導体、メタクリ
ルアミド誘導体、N−ビニルアミド類、ビニルエーテル
類、ニトリル類、ハロゲン化ビニル類、アリル化合物、
マレイン酸およびその塩またはそのエステル類、イタコ
ン酸およびその塩またはそのエステル類、ビニルシリル
化合物、酢酸イソプロペニルなどを挙げることができ
る。
モル%以下が好ましく、5モル%以下がより好ましい。
またコモノマーとしては、α−オレフィンが好ましく、
特にエチレンが好ましい。
ムの偏光性能と耐久性の点から95モル%以上が好まし
く、特に99.5モル%以上が最も好ましく、PVAフ
ィルムの染色性の点からは99.99モル%以下が好ま
しい。
ルコール単位に変換され得る単位の中で、実際にビニル
アルコール単位にけん化されている単位の割合を示した
ものである。なお、PVAのけん化度は、JIS記載の
方法により測定を行った。
の偏光性能と耐久性の点から1000以上が好ましく、
特に2500以上が最も好ましい。PVA重合度の上限
は8000以下が好ましく、6000以下がより好まし
い。
K 6726に準じて測定される。すなわちPVAを再
けん化し、精製した後、30℃の水中で測定した極限粘
度[η](単位:デシリットル/g)から次式により求
められる。Po =([η]×103 /8.29)
(1/0.62)
含水PVAには、必要に応じてジメチルスルホキシド、
ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メ
チルピロリドン、エチレングリコール、グリセリン、プ
ロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチ
レングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチ
ロールプロパン、エチレンジアミン、ジエチレントリア
ミン、ジグリセリンなどの溶媒が1種または2種以上含
まれていても良い。また、可塑剤、界面活性剤、二色性
染料などを含有させても良い。
として多価アルコールを添加することが好ましい。この
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコー
ル、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレング
リコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テ
トラエチレングリコール、トリメチロールプロパンなど
が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を使用す
ることができる。これらのなかでも延伸性の向上効果か
ら、ジグリセリンやエチレングリコールやグリセリンが
好適に使用される。
100重量部に対し1重量部乃至30重量部が好まし
く、特に5重量部乃至20重量部が最も好ましい。1重
量部未満では、染色性や延伸性が低下する場合があり、
一方、30重量部を超えると、PVAフィルムが柔軟に
なりすぎて、取り扱い性が低下する場合がある。
界面活性剤を添加することが好ましい。界面活性剤の種
類としては特に限定はないが、アニオン性またはノニオ
ン性の界面活性剤が好ましい。アニオン性界面活性剤と
しては、例えば、ラウリン酸カリウムなどのカルボン酸
型、オクチルサルフェートなどの硫酸エステル型、ドデ
シルベンゼンスルホネートなどのスルホン酸型のアニオ
ン性界面活性剤が好適である。ノニオン性界面活性剤と
しては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル
などのアルキルエーテル型、ポリオキシエチレンオクチ
ルフェニルエーテルなどのアルキルフェニルエーテル
型、ポリオキシエチレンラウレートなどのアルキルエス
テル型、ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテルな
どのアルキルアミン型、ポリオキシエチレンラウリン酸
アミドなどのアルキルアミド型、ポリオキシエチレンポ
リオキシプロピレンエーテルなどのポリプロピレングリ
コールエーテル型、オレイン酸ジエタノールアミドなど
のアルカノールアミド型、ポリオキシアルキレンアリル
フェニルエーテルなどのアリルフェニルエーテル型など
のノニオン性界面活性剤が好適である。これらの界面活
性剤の1種または2種以上の組み合わせで使用すること
ができる。
0重量部に対して0.01重量部乃至1重量部が好まし
く、0.05重量部乃至0.3重量部が最も好ましい。
0.01重量部未満では延伸性向上や染色性向上の効果
が現れにくく、1重量部を超えると、PVAフィルム表
面に溶出してブロッキングの発生原因になり、取り扱い
性が低下する場合がある。
0重量%乃至90重量%が好適であり、特に45重量%
乃至85重量%が最も好適である。揮発分が90重量%
を超える場合は、得られる偏光フィルムに色斑が発生し
やすく、40重量%未満の場合には、均一な厚みのPV
Aフィルムが得られにくくなる場合がある。
が吐出される金属ロール6の温度は、50乃至110℃
であることが好ましく、60乃至105℃がより好まし
く、70乃至100℃がさらに好ましい。前記金属ロー
ル6の温度が50℃より低いと吐出された製膜原料4の
乾燥が不均一になる場合があり、110℃より高いと、
溶融PVAが発泡する場合があるため、厚み均一性に優
れたPVAフィルムを得ることが困難となる場合があ
る。
を製造するには、例えばPVAフィルムを染色、一軸延
伸、固定処理、および乾燥処理、さらに必要に応じて熱
処理を行えば良い。各工程の順序は特に限定はなく、ま
た染色と一軸延伸など二つの工程を同時に実施しても構
わない。また、各工程を複数回繰り返しても良い。
伸後のいずれでも可能である。染色に用いる染料として
は、ヨウ素−ヨウ化カリウム;ダイレクトブラック 1
7、19、154;ダイレクトブラウン 44、10
6、195、210、223;ダイレクトレッド 2、
23、28、31、37、39、79、81、240、
242、247;ダイレクトブルー 1、15、22、
78、90、98、151、168、202、236、
249、270;ダイレクトバイオレット 9、12、
51、98;ダイレクトグリーン 1、85;ダイレク
トイエロー 8、12、44、86、87;ダイレクト
オレンジ 26、39、106、107などの二色性染
料などが、1種または2種以上の混合物で使用できる。
通常、染色は、PVAフィルムを上記染料を含有する溶
液中に浸漬させることにより行うことが一般的である
が、PVAフィルムに塗工したり、PVAフィルムに混
ぜて製膜するなど、その処理条件や処理方法は特に制限
されるものではない。
伸法が使用でき、温水中(前記染料を含有する溶液中や
後記固定処理浴中でも良い)または吸水後のPVAフィ
ルムを用いて空気中で行うことができる。延伸温度は特
に限定されないが、PVAフィルムを温水中で延伸(湿
式延伸)する場合は30℃乃至90℃が、また乾熱延伸
する場合は50℃乃至180℃が好適である。また一軸
延伸の延伸倍率(多段の一軸延伸の場合には合計の延伸
倍率)は、得られる偏光フィルムの偏光性能の点から4
倍以上が好ましく、特に5倍以上が最も好ましい。延伸
倍率の上限は特に制限はないが、8倍以下であると均一
な延伸が得られやすいので好ましい。延伸後のフィルム
の厚みは、3μm乃至75μmが好ましく、5μm乃至
50μmがより好ましい。
することを目的に、固定処理を行うことが多い。固定処
理に使用する処理浴には、通常、ホウ酸および/または
ホウ素化合物が添加される。また、必要に応じて処理浴
中にヨウ素化合物を添加しても良い。
30℃乃至150℃で行うのが好ましく、50℃乃至1
50℃で行うのがより好ましい。
は、通常、その両面または片面に、光学的に透明で、か
つ機械的強度を有した保護膜を貼り合わせて偏光板とし
て使用される。保護膜としては、三酢酸セルロース(T
AC)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィ
ルム、アクリル系フィルム、ポリカーボネート系フィル
ム、ポリオレフィン系フィルム、ポリエステル系フィル
ムなどが使用される。また、貼り合わせのための接着剤
としては、PVA系の接着剤やウレタン系の接着剤など
を挙げることができるが、PVA系の接着剤が好適であ
る。
するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものでは
ない。 実施例1 図2に記載した溶融押出製膜機を用いた。この実施例1
では、前記ダイ1の吐出部3が金属ロール6の頂点8の
真上に配置され、つまり金属ロール6の中心軸7とダイ
吐出部3を結ぶ平面Aと、金属ロール6の中心軸7と金
属ロール6の頂点9を結ぶ平面Bとのなす角度θ1が0
°(A,B=0°)に設定されている。また、前記ダイ
1の内部のリップ面が作る平面Cと、前記金属ロール6
の中心軸7とダイ吐出部3を結ぶ平面Aとの傾斜角度θ
2が20°となるように、前記ダイ1の全体を上流側
(樹脂吐出方向後方側)に傾けている。さらに、前記ダ
イ吐出部3と金属ロール6の表面との間隔Dが3mmに
設定されている。このとき、前記ダイ1の内部のリップ
面の表面粗さは0.3Sとしている。そして、けん化度
99.9モル%で重合度1750のPVA100重量部
とグリセリン12重量部および水130重量部を押出機
で溶融混練させ、表面の粗さが0.3Sの90℃に加熱
された直径2.5mの金属ロール6に押出した。この後
90℃の熱風で乾燥させ、続いて15本の加熱金属ロー
ルで表裏を交互に乾燥させて、厚さ75μmの偏光フィ
ルム用PVAフィルムを得た。このPVAフィルムは表
面が平滑であり、フィルムの幅方向の厚み斑は1.5μ
mと良好であった。
軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フ
ィルムを作製した。すなわち、前記PVAフィルムを3
0℃の水中に5分間浸漬させて予備膨潤し、ヨウ素濃度
0.4g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リッ
トルの35℃の水溶液中に3分間浸漬させた。続いて、
ホウ酸濃度4%の40℃の水溶液中で5.5倍に一軸延
伸を行い、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ
酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リット
ルの30℃の水溶液中に5分間浸漬させて固定処理を行
った。この後延伸フィルムを取り出し、定長下、40℃
で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行っ
た。
あり、色斑は無かった。そして、得られた偏光フィルム
の50cm四方をクロスニコル状態の2枚の偏光板の間
に45°の角度で挟んで透過光を観察した結果、異常は
見られなかった。
では、前記金属ロール6の中心軸7とダイ吐出部3を結
ぶ平面Aと、金属ロール6の中心軸7と金属ロール6の
頂点8を結ぶ平面Bとのなす角度θ1が5°に設定され
ている。また、前記ダイ1の内部のリップ面が作る平面
Cと、前記金属ロール6の中心軸7とダイ吐出部3を結
ぶ平面Aとの傾斜角度θ2が30°となるように、前記
ダイ1の全体を上流側に傾けている。さらに、前記ダイ
吐出部3と金属ロール6の表面との間隔Dが2mmに設
定されている。このとき、前記ダイ1の内部のリップ面
の表面粗さは0.3Sとしている。そして、けん化度9
9.9モル%で重合度4000のPVA100重量部と
グリセリン10重量部および水110重量部を押出機で
溶融混練させ、表面の粗さが0.3Sの90℃に加熱し
た直径3.5mの金属ロール6に押出した。この後90
℃の熱風で乾燥させ、続いてピンテンタータイプのフロ
ーティングドライヤーで乾燥させて、厚さ75μmの偏
光フィルム用PVAフィルムを得た。このPVAフィル
ムは表面が平滑であり、フィルムの幅方向の厚み斑は
1.5μmと良好であった。
軸延伸、固定処理、乾燥、熱処理の順に処理して偏光フ
ィルムを作製した。すなわち、前記PVAフィルムを3
0℃の水中に5分間浸漬させて予備膨潤し、ヨウ素濃度
0.4g/リットル、ヨウ化カリウム濃度40g/リッ
トルの35℃の水溶液中に3分間浸漬させた。続いて、
ホウ酸濃度4%の40℃の水溶液中で5.6倍に一軸延
伸を行い、ヨウ化カリウム濃度40g/リットル、ホウ
酸濃度40g/リットル、塩化亜鉛濃度10g/リット
ルの30℃の水溶液中に5分間浸漬させて固定処理を行
った。この後延伸フィルムを取り出し、定長下、40℃
で熱風乾燥し、さらに100℃で5分間熱処理を行っ
た。
あり、色斑は無かった。そして、得られた偏光フィルム
の50cm四方をクロスニコル状態の2枚の偏光板の間
に45°の角度で挟んで透過光を観察した結果、異常は
見られなかった。
平面Cと、前記金属ロール6の中心軸7とダイ吐出部3
を結ぶ平面Aとの傾斜角度θ2を0°とした以外は、実
施例1と同様にして、厚さ75μmの偏光フィルム用P
VAフィルムを得た。このPVAフィルムの表面には、
フィルム長さ方向にわずかなスジが見られた。
ムを得た。この偏光フィルムの50cm四方をクロスニ
コル状態の2枚の偏光板の間に45°の角度で挟んで透
過光を観察すると、薄い筋状の斑がわずかに観察された
が、LCD用途には使用可能なレベルであった。
ロール6の頂点8を結ぶ平面Bと、金属ロール6の中心
軸7とダイ吐出部3を結ぶ平面Aとのなす角度θ1を9
0°に設定した以外は、実施例1と同様にして、厚さ7
5μmの偏光フィルム用PVAフィルムを得た。このP
VAフィルムには、フィルム長さ方向にスジが見られ、
フィルムの幅方向の厚み斑も8μmと大きかった。
ムを得た。この偏光フィルムの50cm四方をクロスニ
コル状態の2枚の偏光板の間に45°の角度で挟んで透
過光を観察すると、筋状の斑と不定形な斑が観察され
て、LCD用途には使用できなかった。
との間隔Dを20mmとした以外は、実施例2と同様に
して、厚さ75μmの偏光フィルム用PVAフィルムを
得た。このPVAフィルムには、フィルム長さ方向にス
ジが見られ、フィルムの幅方向の厚み斑も8μmと大き
かった。
ムを得た。この偏光フィルムの50cm四方をクロスニ
コル状態の2枚の偏光板の間に45°の角度で挟んで透
過光を観察すると、筋状の斑と不定形な斑が観察され
て、LCD用途には使用できなかった。
光フィルム用として好適な厚みが均一で表面平滑性に優
れたPVAフィルムを得ることができる。また、このP
VAフィルムを用いて偏光性能に優れた偏光フィルムを
得ることができる。
るロール製膜機の一例の要部を示す正面図である。
るロール製膜機の他例の要部を示す正面図である。
A)、6…金属ロール、7…金属ロールの中心軸、8…
金属ロールの頂点、9…金属ロールの中心軸とダイ吐出
部を結ぶ平面が金属ロールの表面と交差する点、A…金
属ロールの中心軸とダイ吐出部を結ぶ平面、B…金属ロ
ールの中心軸と金属ロールの頂点を結ぶ平面、C…ダイ
内部のリップ面が作る平面、D…ダイ吐出部から金属ロ
ール表面までの間隔、θ1…金属ロールの中心軸とダイ
吐出部を結ぶ平面と金属ロールの中心軸と金属ロールの
頂点を結ぶ平面とのなす角度。
Claims (5)
- 【請求項1】 ビニルアルコール系重合体を含有する製
膜原料をダイから金属ロール上に吐出して製膜する際
に、金属ロールの中心軸とダイ吐出部を結ぶ平面と、金
属ロールの中心軸と金属ロールの頂点を結ぶ平面とのな
す角度が20°以下に設定され、また、ダイ吐出部と金
属ロールの表面との間隔が10mm以下に設定されてい
ることを特徴とするビニルアルコール系重合体フィルム
の製造法。 - 【請求項2】 請求項1において、前記金属ロールの中
心軸とダイ吐出部を結ぶ平面よりもダイ内部のリップ面
が、上流側に10°乃至60°傾斜させてダイが設置さ
れているビニルアルコール系重合体フィルムの製造法。 - 【請求項3】 請求項1または2において、ビニルアル
コール系重合体を含有する製膜原料がダイから吐出され
て金属ロールに接触した直後に、製膜原料を水平方向か
それよりも下側方向に移動させるビニルアルコール系重
合体フィルムの製造法。 - 【請求項4】 請求項1から3のいずれかにおいて、ビ
ニルアルコール系重合体フィルムが偏光フィルム用であ
るビニルアルコール系重合体フィルムの製造法。 - 【請求項5】 請求項4に記載の製造法で得られるビニ
ルアルコール系重合体フィルムを用いて作製した偏光フ
ィルム。
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