JP2002141658A - フローはんだ付け方法および装置 - Google Patents

フローはんだ付け方法および装置

Info

Publication number
JP2002141658A
JP2002141658A JP2001241979A JP2001241979A JP2002141658A JP 2002141658 A JP2002141658 A JP 2002141658A JP 2001241979 A JP2001241979 A JP 2001241979A JP 2001241979 A JP2001241979 A JP 2001241979A JP 2002141658 A JP2002141658 A JP 2002141658A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
substrate
solder material
cooling
zone
chamber
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001241979A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2002141658A5 (ja
Inventor
Atsushi Yamaguchi
敦史 山口
Masato Hirano
正人 平野
Yoshinori Sakai
良典 酒井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP2001241979A priority Critical patent/JP2002141658A/ja
Publication of JP2002141658A publication Critical patent/JP2002141658A/ja
Publication of JP2002141658A5 publication Critical patent/JP2002141658A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Molten Solder (AREA)
  • Electric Connection Of Electric Components To Printed Circuits (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉛フリーのはんだ材料を用いて電子部品を基
板に実装するためのフローはんだ付け方法であって、リ
フトオフの発生が効果的に低減される方法を提供する。 【解決手段】 鉛フリーのはんだ材料を用いて電子部品
を基板に実装するためのフローはんだ付け方法におい
て、はんだ材料供給ゾーンにて、溶融したはんだ材料を
基板の所定の箇所に付着させた後、基板に付着したはん
だ材料を急速に冷却して凝固させるように、冷却ゾーン
にて基板を冷却ユニットにより冷却する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鉛フリーのはんだ
材料を用いて電子部品を基板に実装するためのフローは
んだ付け方法およびそのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化・高性能化に伴
って、これら電子機器に内蔵される電子回路基板の信頼
性特性の向上が強く望まれている。このため、電子部品
実装において、電子部品を基板にはんだ付けすることに
よって形成される接合部の機械的強度の向上や、熱衝撃
強度などの信頼性特性向上に対する要求が高まって来て
いる。
【0003】また、地球環境保護への関心が世界的規模
で高まる中、産業廃棄物処理に対する法規制が整備され
つつある。電子部品に内蔵される電子回路基板において
は、SnおよびPbを主要構成成分とするSn−Pb系
のはんだ材料(例えば、いわゆる「63Sn−37P
b」共晶はんだ材料)が一般的に用いられているが、こ
のはんだ材料に含まれる鉛が不適切な廃棄物処理により
環境汚染を招く可能性があるため、鉛を含有するはんだ
材料の代替として、鉛を含まない、いわゆる「鉛フリ
ー」のはんだ材料に対する研究開発が進みつつある。
【0004】以下、電子部品をプリント基板などの基板
に接合して電子回路基板を作製する従来のフローはんだ
付け方法およびそのための装置について、図面を参照し
ながら説明する。図3は、従来のフローはんだ付け装置
の概略模式図である。
【0005】はんだ付けに先立って、まず、基板に貫通
して設けられたスルーホールに、電子部品から引き出さ
れたリード(例えば電極)が基板の上面側から挿入され
て、電子部品が配置された基板を準備する。ここで、ス
ルーホールの壁面(A)ならびに基板の上面のスルーホ
ールを取り囲む領域(B)および基板の下面のスルーホ
ールを取り囲む領域(C)には、例えば銅箔などからな
るランド(A+B+C、図4を参照のこと)が、基板の
上面にある回路パターンに接続されて形成されている。
また、基板の上面および下面のランドを除く部分は、は
んだレジストによって覆われている。
【0006】次に、スプレーフラクサー(図示せず)を
用いて、このような電子部品が配置されていない基板の
下面にフラックスを塗布することによって、基板を前処
理する。この前処理は、ランドに不可避的に形成される
酸化膜(自然酸化膜)を除去して、ランド表面でのはん
だ材料の濡れ広がりを良好にする目的で行われる。
【0007】その後、図3に示すように、得られた基板
(図示せず)をフローはんだ付け装置60に、電子部品
が配置されている上面を(図面に対して)上にして入
れ、フローはんだ付け装置60内を矢印61の方向にほ
ぼ一定速度で機械的に搬送する。このフローはんだ付け
装置60では、まず、前処理により基板に付着したフラ
ックスの活性力を十分に発揮できるようにするため、プ
リヒートユニット62の上方に位置するプリヒートゾー
ンにて、プリヒートユニット(またはプリヒーター)6
2により基板を加熱する。
【0008】次いで、はんだ噴流ノズル64および65
の上方に位置するはんだ材料供給ゾーン66に基板が搬
送されると、はんだ材料供給ユニット63によって、予
め加熱により溶融させたはんだ材料(図示せず)を1次
噴流ノズル64および2次噴流ノズル65を通して、そ
れぞれ1次噴流および2次噴流として基板に下面側から
供給する。はんだ材料は、スルーホールの内壁と基板の
上面側からスルーホールに挿入されているリードとの間
の環状空間を、基板の下面側から毛管現象によって濡れ
上がり、その後、基板の周囲の雰囲気への放冷によって
自然に冷えて温度低下し、この結果、はんだ材料が凝固
(または固化)して、はんだ材料からなる接合部(いわ
ゆる「フィレット」)を形成する。このはんだ材料供給
工程(またはフローはんだ付け工程)において、1次噴
流は、リードおよびランドの表面をはんだ材料で十分に
濡らすためのものであり、2次噴流は、はんだ材料がラ
ンド間にまたがって残留・凝固してブリッジを形成した
り(このブリッジは電子回路のショートを招くので望ま
しくない)、角状の突起を形成したりしないように、は
んだレジストで覆われた領域からはんだ材料を除去し、
フィレットの形を整えるためのものである。
【0009】以上のようにして、はんだ材料からなるフ
ィレット(接合部)が電子部品のリードと基板に形成さ
れたランドとを電気的および物理的に接合して形成さ
れ、これにより、電子回路基板が作製される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上述のようなはんだ材
料からなるフィレットは、電子回路基板の高い信頼性を
得るために、電子部品のリードと基板のランドとの間に
おいて十分に高い接合強度が要求される。しかし、図4
に示すように、上記のような従来のフローはんだ付け方
法において、鉛フリーのはんだ材料を用いて電子回路基
板70を作製すると、ランド73(これは、基板71に
設けられたスルーホール72の壁面ならびに該スルーホ
ール72を取り囲む基板71の上面および下面領域に配
置されている)の表面に濡れ広がったはんだ材料は、凝
固する際に矢印80で示すようにその界面で部分的に剥
離して、ランド73とはんだ材料からなるフィレット7
4(または単にはんだ材料とも言う)との間の接合が不
十分になり、リード75とランド73との間で高い接合
強度が得られないという問題がある。
【0011】このような、フィレット74のランド73
からの剥離現象は一般に「リフトオフ」と呼ばれ、Sn
−Pb系はんだ材料を用いる場合にはほとんど起こらな
かったが、鉛フリーはんだ材料を用いる場合に頻繁に起
こる。特に、SnおよびBiを含む鉛フリーはんだ材料
(例えば、Sn−Ag−Bi系材料)を用いる場合や、
Sn−Pbめっきが施されたリードを接合するために鉛
フリーはんだ材料を用いる場合などにリフトオフが顕著
に発生する。
【0012】リフトオフの発生要因としては、一般的
に、フローはんだ付けに用いるはんだ材料および/また
ははんだ材料中に溶け出し得る金属材料(例えばリード
のめっきなど)が、溶融状態から凝固する際に、元のは
んだ材料と組成の異なる低融点の脆弱な合金が形成され
ることが挙げられる。
【0013】溶融状態の高温のはんだ材料は、主に電子
部品(図示せず)から引き出されたリード75を通して
熱が奪われる。基板71に付着したはんだ材料74の内
部には、このようなリード75を通る熱の流れによって
温度勾配が形成される。この温度勾配に従ってはんだ材
料74の凝固が進行するが、はんだ材料74の最低温部
はその上端部分(矢印81で示す)であり、最高温部は
熱の良導体であるランド73とフィレット74との界面
近傍であるので、該上端部分から凝固が始まり、ランド
73とフィレット74との界面に達して凝固が終了す
る。このとき、上記のような低融点合金は、まだ凝固し
ていない溶融状態のはんだ材料部分へより多く分配され
る(または偏析する)ため、凝固の進行と共に低融点合
金が溶融部分へ移動して濃縮される。即ち、はんだ材料
の凝固の際に、はんだ材料において偏析現象が起こり、
この結果、最も凝固が遅いランド73とフィレット74
との界面に低融点合金76が集まる。このような凝固の
際には、最初にフィレット74の上端部分が凝固により
固定(または拘束)され、はんだ材料の凝固収縮によっ
て矢印82で示す方向に張力が生じ、また、基板71が
矢印83で示す方向に熱収縮して張力が生じる。上記の
ようにしてランド73とフィレット74との界面近傍に
濃縮された脆弱な低融点合金76は、これら張力に耐え
きれず、矢印80で示す方向に向かう界面剥離が起こる
と考えられる。
【0014】本発明は上記の従来の課題を解決すべくな
されたものであり、本発明の目的は、鉛フリーのはんだ
材料を用いて電子部品を基板に実装するためのフローは
んだ付け方法であって、リフトオフの発生が効果的に低
減される方法、ならびに該方法を実施するための装置を
提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の方法は、鉛フリ
ーのはんだ材料(以下、単にはんだ材料とも言う)を用
いて電子部品を基板に実装するためのフローはんだ付け
方法において、はんだ材料供給ゾーンにて、溶融したは
んだ材料を基板の所定の箇所に付着させた後、基板に付
着したはんだ材料を急速に冷却して凝固させるように、
冷却ゾーンにて基板を冷却ユニットにより冷却すること
を特徴とする。
【0016】より詳細には、冷却ゾーンにおける基板の
冷却(より詳細にははんだ材料の急冷)は、冷却ユニッ
トを用いることにより基板を積極的に(または強制的
に)冷却することにより、少なくとも、基板に付着した
溶融状態のはんだ材料がその融点に等しい温度となって
から、はんだ材料が完全に(またははんだ接合部の全体
に亘って)凝固するまでの間に実施されればよく、この
ことが確保される限り、任意の適切な冷却ユニットを用
いて、適当な期間に亘って実施され得る。また、冷却ゾ
ーンにおける基板の冷却は、冷却ユニットにより基板を
積極的に(または強制的に)冷却することにより、基板
に付着したはんだ材料が急速に冷却されて凝固する限
り、どのようにして実施されてもよい。例えば、基板は
全体的に冷却されても、少なくともその一部(例えばそ
の必要部分のみ)が冷却されてもよい。
【0017】上記のような本発明の方法によれば、冷却
ユニットを用いて基板を積極的に冷却することにより、
基体に付着した鉛フリーのはんだが急冷され、はんだが
凝固し始めてから完全に凝固するまでに要する時間が短
縮化される。従来の方法では基板を積極的に冷却してい
ないので、はんだ材料(フィレット)内部の温度勾配に
よって、はんだ材料において偏析現象を生じ、脆弱な低
融点合金が最終的にフィレットとランドとの界面近傍に
て集まっていたが、本発明の方法では、はんだがより短
時間で完全に凝固するので、はんだ材料における偏析現
象を緩和でき、より詳細には、リフトオフを発生させる
のに十分な数の低融点金属が界面近傍にまで移動して集
まることを回避でき、これによりリフトオフの発生を効
果的に低減することが可能となる。
【0018】更に、従来、はんだ材料が凝固する際にフ
ィレット内部に固くて脆い金属相(例えばBi相または
Biの塊)が形成され、フィレットに脆性を与えて、機
械的強度が低下していたが、本発明の方法によれば、は
んだ材料の凝固時間が短縮化されるので、このような金
属相の成長時間が短縮化されて、フィレットの金属組織
を微細化し、これにより機械的強度を向上させることが
できる。
【0019】好ましい態様においては、鉛フリーのはん
だ材料は、冷却ゾーンにおいて200℃/分以上の冷却
速度で冷却される。冷却速度は、可能な限り大きい方が
よいが、例えば、約200〜500℃/分、好ましくは
約300〜500℃/分とすることができる。
【0020】尚、冷却速度とは、はんだ接合部(より詳
細には、はんだ材料が凝固して、はんだ材料から成る接
合部(またはフィレット)となる部分)の温度が低下す
る速度を言い、本来、基板に付着した溶融状態のはんだ
材料がその融点に等しい温度となってから、はんだ材料
が完全に(またははんだ接合部の全体に亘って)凝固す
るまでの間の平均の温度低下速度であるが、基板が冷却
ゾーンに入るときと、出てくるときにおいて各々測定さ
れる測定値の平均値として得られるはんだ接合部温度の
平均変化速度を用いても実質的に差し支えないので、本
明細書においてはこのようにして得られた平均変化速度
を温度低下速度(即ち、冷却速度)と便宜的に用いるも
のとする。はんだ接合部の温度は、例えば、はんだ材料
が付着する基板の所定の箇所(例えば、基板のはんだ材
料が付着する側の面に位置するランド)に熱電対を接触
させ(例えば貼り付けて)、この熱電対から得られるデ
ータを経時的に記録することによって測定できる。
【0021】このような冷却ゾーンにおける基板の積極
的な冷却は、例えばガス冷却または液体冷却によって実
施することができ、基板を冷却するための冷却ユニット
として、ガス冷却または液体冷却を用いるユニットを用
いることができる。尚、ガス冷却とは、基板(より詳細
には基板に付着したはんだ材料)の温度より低温、一般
的にはこれよりもかなり低温、例えば−20〜30℃、
好ましくは−10〜10℃の空気(大気)、窒素ガス、
不活性ガスなどの気体を冷却剤として用いて、このガス
雰囲気に基板を接触させて(例えば、このようなガス雰
囲気に基板を通過させ、またはこのようなガスを基板に
吹きつけることによって)冷却することを言う。また、
液体冷却とは、基板(より詳細には基板に付着したはん
だ材料)の温度より低温、一般的にはこれよりもかなり
低温、例えば1〜30℃、好ましくは1〜10℃の水、
液体窒素および他の液体などの流体を冷媒として用い
て、この流体に基板を少なくとも部分的に、例えば基板
のはんだ接合部または基板全体を接触させて(例えば、
このような流体に基板を浸け、またはこのような流体を
基板に向けて噴霧することによって)冷却することを言
うものとする。液体冷却は、液体の蒸発潜熱を利用する
ことができて、容易にはんだ材料を急冷できるという利
点がある。
【0022】より具体的には、ガス冷却ユニットとして
は、基板を通過させるガス雰囲気を提供するように、低
温のガスを冷却ゾーンに供給して取り出すことができる
ブロワー、ガスフロー装置(例えばポンプなどを備え
る)や、低温のガスを基板に吹き付けることができるノ
ズル、ファン、スポットクーラーなどを有するユニット
を用いることができる。また、液体冷却ユニットとして
は、液体に基板を浸けることによって基板を冷却するた
めの液体を入れたバス(浴)や、液体を基板表面に噴霧
することができるアトマイザーや、比較的少量の液体を
基板に供給することができるノズルなどを有するユニッ
トを用いることができる。このような冷却ユニットは、
その種類に応じて、冷却チャンバの内部に配置されてい
ても、冷却ユニットに接続されてその一部または全体が
外部に配置されていてもよい。もちろん、例示したこれ
らのユニットを組合せて用いることも可能である。より
大きい冷却速度を得るためには、ガス冷却よりも液体冷
却を用いてはんだ材料を積極的に冷却することが好まし
い。
【0023】所望の冷却速度は、ガス冷却の場合には、
冷却ゾーンに供給する雰囲気ガスの温度、雰囲気ガスの
流量、基板に配置される部品および基板の熱容量、なら
びに基板の搬送速度など、液体冷却の場合には、基板と
接触させる液体の温度、基板に配置される部品および基
板の熱容量、ならびに基板の搬送速度などを調節するこ
とによって得ることができる。例えば、ガラスエポキシ
樹脂から成る200mm×200mm×0.8mmのサ
イズの基板に約25℃のガスを流量2リットル/分で吹
き付けながら、該基板を1000mm×500mm×5
00mmのサイズのチャンバに1.2m/分の速度で通
過させることによって、約210℃/分の冷却速度が得
られる。
【0024】また、上記冷却ゾーンにおける基板の積極
的な冷却は、ガス冷却ユニットを用いる窒素ガスによる
ガス冷却によって実施されることが好ましい。窒素ガス
によるガス冷却を用いると、はんだ材料の酸化を抑制
し、はんだ材料の濡れ性(特にランドに対する濡れ性)
を向上させることができ、これにより、リフトオフの発
生を更に低減することができる。
【0025】好ましい態様においては、本発明の方法
は、はんだ材料供給ゾーンにて、溶融したはんだ材料を
基板の所定の箇所に付着させた後で、かつ、冷却ゾーン
にて基板を冷却する前に、基板に付着したはんだ材料が
完全に溶融している状態を確保することができる温度を
有する雰囲気を有する調整ゾーンに基板を配置すること
を更に含む。尚、基板に付着したはんだ材料が完全に溶
融している状態は、少なくとも基板が冷却ゾーンにて冷
却される直前に確保されていればよい。このような調整
ゾーンは、基板の搬送方向において、上記はんだ材料供
給ゾーンよりも下流に位置し、かつ、上記冷却ゾーンよ
りも上流に位置することは当業者には容易に理解されよ
う。
【0026】尚、「調整ゾーン」とは、基板にはんだ材
料を付着させた後、基板を急冷するに先立って基板の状
態を調整(コンディショニング)するものであり、より
詳細には、基板に付着したはんだ材料が、基板の急冷に
先立って、基板のどの位置においても(即ち、基板の面
内で均一に)実質的に完全に溶融している状態にあるよ
うに、基板の(より詳細には基板に付着したはんだ材料
の)状態を調整するためのものである。より具体的に
は、基板に付着したはんだ材料の一部が調整ゾーンに入
る前に自然に冷えて、既に部分的に凝固し始めている場
合には、基板(従って、はんだ材料)を加熱して、少な
くとも基板が冷却ゾーンにて冷却される前までに、基板
に付着している全てのはんだ材料を再び、好ましくは完
全に溶融させる。あるいは、基板に付着した実質的に全
てのはんだ材料が溶融状態を保ったまま調整ゾーンに入
って来る場合には、少なくとも、はんだ材料が冷却ゾー
ンに入る前に凝固する程度まで基板(より詳細にははん
だ材料)から熱が逃げ過ぎないような温度雰囲気にはん
だ材料を配置し、好ましくははんだ材料を加熱して、基
板に付着している全てのはんだ材料を溶融状態に維持す
る(従って、この場合には積極的な加熱は行なわれなく
てよい)。従って、調整ゾーンは、基板に熱を供給する
ことにより基板を加熱するための「加熱ゾーン」、また
はゾーン全体に亘ってある一定の温度に保たれ、基板が
該調整ゾーンを通過するまでの間(または冷却ゾーンに
入るまでの間)、ある程度の熱を供給するか、調整チャ
ンバを熱的に隔離することにより、はんだ材料(従っ
て、基板)の過度の温度低下(よって、過度の冷却)を
防止する「恒温ゾーン」とも呼ばれ得る。
【0027】このような調整ゾーンに基板を配置するこ
とにより、個々のはんだ接合部内でのはんだ材料の温度
分布(または温度差)ならびに基板全体でのはんだ材料
の温度分布を低減することができ、換言すれば、基板
(より詳細には基板に付着したはんだ材料)を均熱化す
ることができる。調整ゾーンがない場合には、冷却ゾー
ンにて基板を冷却する前にはんだ材料が場合によっては
部分的に凝固し始めることが起こり得、この場合、冷却
ゾーンでの急冷開始温度は、はんだ材料の個々の接合部
または全ての接合部において多少のばらつきを有する
が、このような調整ゾーンを設けて冷却前に基板を均熱
化すると、急冷開始温度のばらつきを低減でき、はんだ
材料の凝固時間のばらつきをなくすことができ、これに
より、リフトオフの発生を更に低減することが可能とな
る。
【0028】上記の調整ゾーンの雰囲気温度は、基板に
付着したはんだ材料が冷却ゾーンに入るに先立って完全
に溶融している状態とすることができる温度であって、
基板に配置される電子部品の熱による損傷を避けるため
に電子部品の耐熱温度未満の温度である限り、どのよう
な温度であってもよいが、はんだ材料を確実に完全に溶
融させるためには、調整ゾーンの雰囲気温度は、はんだ
材料の融点以上、電子部品の耐熱温度未満の範囲内の温
度とすることが好ましい。より好ましくは、調整ゾーン
の雰囲気温度は、はんだ材料の融点より約10℃以上、
電子部品の耐熱温度より約5℃以下の範囲内の温度であ
る。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば、基板
が調整ゾーンに入って来る際、基板に付着したはんだ材
料がその融点よりも高い温度を有する場合(またははん
だ材料が凝固し始めていない場合)であって、基板が調
整ゾーンを通って冷却ゾーンに入る前に、基板に付着し
たはんだ材料が凝固し始める程度に温度低下し過ぎるこ
とを防止できる場合には、調整ゾーンの雰囲気温度は必
ずしもはんだ材料の融点以上の温度でなくてもよい。も
ちろん、この場合であっても、はんだ材料を確実に溶融
させる観点から、調整ゾーンの雰囲気温度をはんだ材料
の融点以上、電子部品の耐熱温度未満の範囲内の温度と
することが好ましい。
【0029】また、調整ゾーンは、窒素雰囲気に保たれ
ていることが好ましい。これにより、はんだ材料および
ランドの酸化を防止して、はんだ材料の濡れ性が低下す
ることを回避でき、よって、はんだ材料とランドとの間
の接合面積を十分に確保してはんだ材料の剥離を抑制す
ることが可能となる。
【0030】調整ゾーンおよび冷却ゾーンの雰囲気は、
互いに独立して選択することができるが、両方を窒素ガ
ス雰囲気とすることがより好ましい。
【0031】本発明の別の要旨においては、鉛フリーの
はんだ材料を用いてフローはんだ付け方法により電子部
品を基板に実装するための装置であって、はんだ材料供
給チャンバ内に位置する基板に溶融したはんだ材料を供
給して基板の所定の箇所にはんだ材料を付着させるはん
だ材料供給ユニットと、はんだ材料供給チャンバよりも
基板の搬送方向下流に位置する冷却チャンバとを有して
成り、冷却チャンバにおいて、基板に付着したはんだ材
料を急速に冷却して凝固させるように基板が冷却ユニッ
トにより冷却されることを特徴とする装置が提供され
る。
【0032】好ましい態様においては、鉛フリーのはん
だ材料が冷却チャンバにおいて200℃/分以上の冷却
速度で冷却されるように、基板が冷却ユニットにより冷
却される。このような冷却ユニットとしては、ガス冷却
または液体冷却、好ましくは窒素ガスによるガス冷却を
利用した、本発明のフローはんだ付け方法に関連して上
述したようなユニット(または装置)を用いることがで
きる。
【0033】好ましい態様においては、本発明の装置
は、基板の搬送方向においてはんだ材料供給チャンバと
冷却チャンバとの間に調整チャンバを更に有して成り、
調整チャンバ内の雰囲気が、基板に付着したはんだ材料
を完全に溶融している状態を確保する温度を有する。こ
の調整チャンバ内の雰囲気の温度は、はんだ材料の融点
以上、電子部品の耐熱温度未満の範囲内の温度であるこ
とが好ましい。また、調整チャンバ内の雰囲気は、窒素
ガス雰囲気であることが好ましい。
【0034】尚、本明細書において、「チャンバ」とは
空間をある程度区画するものを意味し、「ゾーン」とは
チャンバにより区画(または規定)されるチャンバ内部
の空間を意味し、「雰囲気」とはチャンバにより区画
(または規定)されるチャンバ内部の空間の気体雰囲気
を意味する(よって、上述の「〜ゾーンの雰囲気」は
「〜チャンバ内の雰囲気」と同義である)。例えば、
「はんだ材料供給チャンバ」は、上記の本発明のフロー
はんだ付け方法に言う「はんだ材料供給ゾーン」を規定
するものであり、「冷却チャンバ」および「調整チャン
バ」についても同様である。
【0035】本発明の装置は、上述の本発明のフローは
んだ付け方法を実施するために好適に利用される。従っ
て、本発明のフローはんだ付け方法にてはんだ材料供給
ゾーンおよび冷却ゾーンおよび場合により調整ゾーンに
関連して上述した好ましい態様についての説明は、本発
明のフローはんだ付け装置におけるはんだ材料供給チャ
ンバおよび冷却チャンバ、および場合により調整チャン
バについても当て嵌まることは当業者であれば容易に理
解されよう。
【0036】尚、本発明のフローはんだ付け装置におい
て、はんだ材料供給チャンバは、本発明の装置において
はんだ材料供給ゾーンを他の装置内の空間から必ずしも
厳密に区画する必要はない。冷却チャンバは、本発明の
装置において、基板を効率的に積極的に冷却することが
できる程度に冷却ゾーンを他の装置内の比較的高温の空
間から区画できればよい。また、調整チャンバは、その
内部の雰囲気を比較的高温の雰囲気(例えばはんだ材料
供給チャンバ内の雰囲気)から区画するものであっても
よいが、本発明の装置において必ずしも厳密にこれを区
画する必要はない。しかし、調整チャンバは、冷却チャ
ンバに対しては、熱効率の観点から互いの内部雰囲気が
ある程度区画されるようになっていることが好ましい。
【0037】尚、本発明のフローはんだ付け方法の実施
するのに、上述のようなはんだ材料供給チャンバ、冷却
チャンバおよび場合により調整チャンバは必ずしも必要
ではなく、上述のように基板を急冷することができる限
り、他の装置を用いてもよいことに留意されるべきであ
る。
【0038】本発明のフローはんだ付け方法および/ま
たは装置に利用可能な鉛フリーのはんだ材料としては、
例えば、Sn−Cu系、Sn−Ag−Cu系、Sn−A
g系、Sn−Ag−Bi系、およびSn−Ag−Bi−
Cu系の材料などを用いることができる。また、基板に
は、例えば、紙フェノール系材料、ガラスエポキシ系材
料、ポリイミドフィルム系材料、およびセラミック系材
料などからなる基板が用いられ得る。基板に接合される
電子部品は、基板のスルーホールを用いて接合するタイ
プのリード付き電子部品、例えばDIP IC、コネク
タ、およびアキシャル部品などであってよい。しかし、
これらは単なる例示にすぎず、本発明はこれに限定され
るものではない。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明の2つの実施形態に
ついて図面を参照しながら説明する。
【0040】(実施形態1)本実施形態のフローはんだ
付け方法は、図1(a)のフローはんだ付け装置20を
用いて実施される。
【0041】図1(a)を参照して、本実施形態のフロ
ーはんだ付け装置20は、プリヒートユニット(または
プリヒーター)2と、溶融したはんだ材料を基板(図1
(a)に図示せず)に供給するはんだ材料供給ユニット
3と、基板が矢印1の方向に沿ってその内部を通過す
る、プリヒートチャンバ19、はんだ材料供給チャンバ
16および冷却チャンバ17とを備える。はんだ材料供
給ユニット3は、その内部に予め加熱により溶融したは
んだ材料(図示せず)を有し、はんだ材料を1次噴流ノ
ズル4および2次噴流ノズル5に通して噴流の形態で、
はんだ材料供給チャンバ16に位置する(従って、後述
のはんだ材料供給ゾーン6に位置する)基板に供給する
ことができる。尚、プリヒートチャンバ19、はんだ材
料供給チャンバ16および冷却チャンバ17は、それぞ
れの内部空間をプリヒートゾーン9、はんだ材料供給ゾ
ーン6および冷却ゾーン7として有するが、一般的には
基板がこれらの間を通過し得るような隙間が設けられて
いる。図1(a)に示すように、プリヒートチャンバ1
9とはんだ材料供給チャンバ16との境が明確でなくて
もよく、これについては以下に詳述する。
【0042】プリヒートチャンバ19は、プリヒートユ
ニット2により基板をプリヒートするプリヒートゾーン
9を規定するものである。プリヒートユニット2は、本
実施形態においてはプリヒートチャンバ19の内部に備
えられているが、本発明はこれに限定されず、プリヒー
トユニット2はプリヒートチャンバ19の外部に位置し
ていてもよい。また、プリヒートユニット2は本発明の
実施に必ずしも必要ではないが、これを備えていること
が好ましい。また、はんだ材料供給チャンバ16は、は
んだ材料供給ユニット3の上方に位置し、はんだ噴流ノ
ズル4および5を通じて溶融状態のはんだ材料が基板に
供給されるはんだ材料供給ゾーン6を規定するものであ
る。このようなプリーヒートゾーン9およびはんだ材料
供給ゾーン6は、いずれも高温雰囲気を有することが好
ましいため、必ずしも明確に区画されている必要はな
く、よって、プリヒートチャンバ19およびはんだ材料
供給チャンバ16は、必ずしもこれらゾーン(より詳細
には各々の内部雰囲気)を厳密に区画していなくてよ
い。本実施形態では、プリヒートチャンバ19およびは
んだ材料供給チャンバ16は仕切りなしに繋がってお
り、よって、各々の内部雰囲気も繋がっている。しか
し、本発明はこれに限定されず、プリヒートチャンバ1
9およびはんだ材料供給チャンバ16の各々の内部雰囲
気がある程度区画され得るようになっていてもよい。
【0043】また、冷却チャンバ17は、基板に付着し
たはんだ材料を急速に冷却して凝固させるように、基板
を冷却ユニットにより積極的に冷却する冷却ゾーン7を
規定する。このため、冷却チャンバ17はその内部空間
である冷却ゾーン7に位置する基板を冷却し得るよう
に、冷却ユニット(図示せず)を備えるか、これと接続
されている。この冷却ユニットとしては、はんだ材料を
急冷し得る限り任意の適切な装置などを用いることがで
きるが、例えばノズルを通してガスを吹き出すことがで
きるユニットなどを用いることができる。より具体的に
は、図1(b)に冷却チャンバ17内の基板13を拡大
して模式的に示すように、複数のノズル12が基板13
の搬送ライン(図中に点線にて示すライン)の上下に配
置され、このノズル12を通して、例えば冷却チャンバ
17の外部に配置されたガス源、ポンプなどを用いてガ
ス(図中に矢印にてその流れを模式的に示す)を吹き出
すことができるようになっているユニットを用いること
ができる。このノズル12の各々からは、好ましくは低
温のガスが基板13に向かって吹き付けられ、これによ
り基板13がガス冷却される。冷却チャンバ17内にお
けるノズル12の配置は、冷却チャンバ17内の基板1
3を積極的に冷却することにより、はんだ材料を急冷し
て完全に凝固させることができる限り、特に限定されな
い。また、ノズル12は、必ずしも基板の搬送ライン
(図中に点線にて示すライン)の上下に配置される必要
はなく、いずれか片側だけとしてもよい。また、本発明
に利用可能な冷却ユニットは上記のようなノズルを有す
るユニットに限定されず、ガス、液体またはこれらの混
合物を基板に接触させることにより基板を冷却し、それ
によってはんだ材料を急冷し得るような他の適切な冷却
ユニットを用いることができる。
【0044】例えば、基板を冷却するために使用可能な
冷却ユニットは、低温のガスを冷却チャンバに供給して
冷却ゾーン7の雰囲気温度をかなり低温に(例えば、−
20〜30℃の温度に)維持し、これにより基板(より
詳細には基板に付着したはんだ材料)を急冷するもので
あってもよい。この場合、低温のガスは基板に向けられ
なくてもよい。
【0045】上述のようなはんだ材料供給チャンバ16
および冷却チャンバ17は、熱効率の観点から、基板に
溶融状態のはんだ材料を供給してスルーホール内を十分
に濡れ上がらせることおよび基板を冷却することを、そ
れぞれ効率的に実施し得る程度に各々の内部雰囲気を区
画し得るものであればよく、各々の内部雰囲気を厳密に
区画する必要は必ずしもない点に留意されるべきであ
る。
【0046】次に、図1(a)のフローはんだ付け装置
20を用いるフローはんだ付け方法について説明する。
【0047】まず、従来の方法と同様に、基板の下面に
スプレーフラクサーを用いてフラックスを塗布して基板
を前処理しておく。この基板には、電子部品から引き出
されたリードが基板の上面側からスルーホールに挿入さ
れて、電子部品が配置されている。
【0048】このような基板を、図1(a)のフローは
んだ付け装置20に、電子部品が配置されている上面側
を(図面に対して)上にして入れ、フローはんだ付け装
置20のプリヒートチャンバ19、はんだ材料供給チャ
ンバ16および冷却チャンバ17を通して、図中に点線
にて示すライン上を矢印1の方向にほぼ一定速度で機械
的に搬送する。このフローはんだ付け装置20では、ま
ず、プリヒートゾーン9にてプリヒートユニット2によ
り大気雰囲気下、好ましくは窒素雰囲気下で基板を約1
50〜160℃に加熱(またはプリヒート)する。次い
で、基板がはんだ材料供給ゾーン6に搬送されると、は
んだ材料供給ユニット3によって基板の下面側から、予
め加熱により溶融させたはんだ材料(図示せず)を1次
噴流ノズル4および2次噴流ノズル5を通してそれぞれ
1次噴流および2次噴流として供給する。ここまでは、
従来のフローはんだ付け方法として上述したものとほぼ
同様である。
【0049】以上のようにして、溶融したはんだ材料を
基板の所定の箇所に付着させた後、基板ははんだ材料供
給チャンバ16から冷却チャンバ17へ搬送されて、冷
却ゾーン7内に配置される。この冷却ゾーン7におい
て、基板に付着したはんだ材料を急速に冷却して凝固さ
せるように、低温の窒素ガスを吹き付けて、窒素ガス冷
却により基板を急速に冷却する。このとき、はんだ材料
の冷却速度は200℃/分以上であることが好ましく、
例えば約200〜500℃/分、より好ましくは約30
0〜500℃/分であり得る。尚、上記のような窒素ガ
ス冷却に代えて、上述のような任意の適切な冷却ユニッ
トを用いることにより、低温の空気(大気)を吹きつけ
る空冷などの他のガス冷却や、低温の循環水と接触させ
る水冷などの液体冷却によって基板を冷却してもよい。
【0050】以上のようにして基板を冷却ユニットを用
いて積極的に冷却することにより、はんだ材料が凝固し
てフィレットを形成し、このフィレットにより電子部品
のリードと基板に形成されたランドとが電気的および物
理的に接合される。得られた基板は、更に搬送されて冷
却チャンバ17の外部に搬送されて、装置20の外部に
取り出される。以上のようして、電子部品がフローはん
だ付けされた電子回路基板が作製される。
【0051】本実施形態によれば、はんだ材料の凝固時
間が短縮化されるので、リフトオフの発生を効果的に低
減することができる。また、凝固したはんだ材料(フィ
レット)における金属組織を微細化して、はんだ材料か
らなる接合部(フィレット)の機械的強度を向上させる
ことができる。
【0052】(実施形態2)本実施形態のフローはんだ
付け方法は、図2のフローはんだ付け装置30を用いて
実施される。以下、特に説明しない限り上述の実施形態
1と同様とする。
【0053】このフローはんだ付け装置30は、実施形
態1にて上述したフローはんだ付け装置20において、
はんだ材料供給チャンバ16と冷却チャンバ17との間
に、調整チャンバ18を加えて改変した点を除いては、
図1(a)のフローはんだ付け装置20と同様である。
調整チャンバ18は、調整ゾーン8を規定するものであ
る。調整チャンバ18もまた、はんだ材料供給チャンバ
16と同様に、熱効率の観点から、基板を加熱(場合に
より保温)することを効率的に実施し得る程度に、場合
によっては基板の熱損失を効果的に防止し得る程度に内
部雰囲気を区画し得るものであればよく、内部雰囲気を
他の高温雰囲気、例えばはんだ材料供給チャンバ16内
の雰囲気から厳密に区画する必要は必ずしもない点に留
意されるべきである。本実施形態では、調整チャンバ1
8ははんだ材料供給チャンバ16と各々の内部雰囲気を
ある程度区画するものとして示しているが、これらは熱
効率を考慮して場合により繋がって構成されていてもよ
い。
【0054】このようなフローはんだ付け装置30を用
いるフローはんだ付け方法においては、実施形態1と同
様にしてはんだ材料供給ゾーン6にてはんだ材料を付着
させた後、基板ははんだ材料供給チャンバ16から調整
チャンバ18へと搬送されて、調整ゾーン8内に配置さ
れる。この調整ゾーン8は、基板に付着したはんだ材料
が完全に溶融している状態を確保するように、好ましく
ははんだ材料の融点以上、電子部品の耐熱温度未満の範
囲内の温度、例えば約220〜230℃の雰囲気ガスで
保たれている。この雰囲気ガスは、大気であってもよい
が、好ましくは窒素ガスである。
【0055】その後、基板は調整チャンバ18から冷却
チャンバ17へ搬送されて冷却ゾーン7内に配置され、
実施形態1と同様に冷却される。この結果、はんだ材料
が凝固してフィレットを形成し、このフィレットにより
電子部品のリードと基板に形成されたランドとが電気的
および物理的に接合される。以上のようして、電子部品
がフローはんだ付けされた電子回路基板が作製される。
【0056】本実施形態によれば、個々のはんだ接合部
内でのはんだ材料の温度分布ならびに基板全体でのはん
だ材料の温度分布を低減することができるので、急冷開
始温度のばらつきならびにはんだ材料の凝固時間のばら
つきをなくすことができ、これにより、リフトオフの発
生を更に低減することが可能となる。
【0057】
【実施例】フローはんだ付け方法において、はんだの冷
却速度がリフトオフの発生率に及ぼす影響を調べた。上
述の実施形態1または2にて説明したフローはんだ付け
方法および装置を用い、種々の条件に従って電子回路基
板を作製した。
【0058】各実施例の条件を以下の表1にまとめる。
表1において、実施例1および2は、冷却ゾーンをのみ
を用い、調整ゾーンを用いない上述の実施形態1のフロ
ーはんだ付け方法および装置に関し、実施例3〜8は、
冷却ゾーンおよび調整ゾーン(換言すれば、冷却チャン
バおよび調整チャンバ)の両方を用いる上述の実施形態
2に関する。全ての実施例について、鉛フリーのはんだ
材料としてSn−Ag−Bi系材料(融点約215℃)
を用いた。
【0059】
【表1】
【0060】表1の各実施例1〜8について、はんだ材
料の冷却速度が50、100、200、300、40
0、および500℃/分でそれぞれ一定となるように、
適切な温度および流量等でガスを基板に吹き付けて冷却
しながらフローはんだ付けを実施することにより電子回
路基板を作製した。得られた電子回路基板より、リフト
オフの発生率を求めた。結果を表2に示す。
【0061】
【表2】
【0062】表2より、全ての実施例において、冷却速
度が大きくなるにつれて、リフトオフの発生効率が減少
することがわかる。本発明のフローはんだ付け方法のよ
うに、はんだ材料を急速に冷却すると、具体的にははん
だ材料の冷却速度を200℃/分以上とすると、リフト
オフの発生が効果的に低減されることが確認できる。例
えば、冷却ゾーンのみを用いた実施例1の場合でも、は
んだ材料の冷却速度を200℃/分以上とすると、リフ
トオフの発生率を15%以下にすることができた。
【0063】同じく表2より、冷却ゾーンのみを用いた
実施例1と、冷却ゾーンに加えて調整ゾーンを用いた実
施例3、5、および7(それぞれ調整ゾーンの温度 1
50、220、240℃)との結果を比較すると、同じ
大気雰囲気下であっても、実施例1よりも実施例3、
5、7の場合の方がリフトオフの発生率が低下すること
がわかる。尚、調整ゾーンを用いる実施例3、5、7の
うち、用いたはんだ材料の融点(約215℃)よりも調
整ゾーンの雰囲気温度が低い実施例3の場合、本実施例
では、調整ゾーンを出るまでに基板に付着したはんだ材
料が凝固し始めることはなく、よって、はんだ材料が実
質的に溶融状態に維持されていたものと考えられ得る。
尚、調整ゾーンの雰囲気温度がはんだ材料の融点よりも
低い場合、基板に付着したはんだ材料が溶融状態に維持
されるかどうかは、基板に供給する際のはんだ材料の温
度、基板の搬送速度および調整ゾーンの長さ等の条件に
依存するので、調整ゾーンが150℃の雰囲気を有して
いてもはんだ材料の溶融状態が必ず確保されるとは言え
ない点に留意されるべきである。更に、実施例3、5お
よび7の結果を比較すると、調整ゾーンの温度をより高
く保持した方が、リフトオフの発生率が低下していた。
特に、調整ゾーンを、鉛フリーはんだ材料として用いた
Sn−Ag−Bi系材料の融点(215℃)以上の温度
に保った実施例5および7の場合、はんだ材料の冷却速
度を200℃/分以上とすると、リフトオフの発生率を
8%以下にまで低下させることができた。これは、はん
だ材料の融点以上の温度を有する雰囲気に基板を通すこ
とにより、基板に付着したはんだ材料を溶融状態とする
ことを確実に確保することができることによると考えら
れ得る。
【0064】また、大気雰囲気下で実施した実施例1、
3、5、および7に比べて、窒素雰囲気下で実施したこ
と以外は実施例1、3、5、および7とそれぞれ同様の
条件とした実施例2、4、6、および8のほうが、リフ
トオフの発生率が低下することがわかる。換言すれば、
フローはんだ付けを大気雰囲気下で実施するよりも、窒
素雰囲気下で実施するほうがリフトオフの発生率を低減
することができることがわかる。
【0065】
【発明の効果】本発明によれば、鉛フリーのはんだ材料
を用いて電子部品を基板に実装するためのフローはんだ
付け方法であって、リフトオフの発生が効果的に低減さ
れる方法、ならびに該方法を実施するための装置が提供
される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(a)は、本発明の1つの実施形態にお
けるフローはんだ付け装置の概略模式図であり、図1
(b)は、図1(a)のフローはんだ付け装置の部分模
式図であって、冷却チャンバの内部を示すものである。
【図2】 本発明の別の実施形態におけるフローはんだ
付け装置の概略模式図である。
【図3】 従来のフローはんだ付け装置の概略模式図で
ある。
【図4】 従来のフローはんだ付け方法によって作製さ
れた電子回路基板の概略部分断面図である。
【符号の説明】
1 矢印(搬送方向) 2 プリヒートユニット 3 はんだ材料供給ユニット 4 1次噴流ノズル 5 2次噴流ノズル 6 はんだ材料供給ゾーン 7 冷却ゾーン 8 調整ゾーン 9 プリヒートゾーン 12 ノズル(冷却ユニットの一部) 13 基板 16 はんだ材料供給チャンバ 17 冷却チャンバ 18 調整チャンバ 19 プリヒートチャンバ 20、30 フローはんだ付け装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B23K 101:42 B23K 101:42 (72)発明者 酒井 良典 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4E080 AA01 AB06 5E319 AA02 AB01 BB08 CC24 GG15

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鉛フリーのはんだ材料を用いて電子部品
    を基板に実装するためのフローはんだ付け方法であっ
    て、はんだ材料供給ゾーンにて、溶融したはんだ材料を
    基板の所定の箇所に付着させた後、基板に付着したはん
    だ材料を急速に冷却して凝固させるように、冷却ゾーン
    にて基板を冷却ユニットにより冷却することを含む方
    法。
  2. 【請求項2】 はんだ材料が、冷却ゾーンにおいて20
    0℃/分以上の冷却速度で冷却されるように、基板が冷
    却ユニットにより冷却される、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 冷却ユニットが、ガス冷却または液体冷
    却を用いるユニットである、請求項1または2に記載の
    方法。
  4. 【請求項4】 冷却ユニットが、窒素ガスによるガス冷
    却を用いるユニットである、請求項3に記載の方法。
  5. 【請求項5】 はんだ材料供給ゾーンにて、溶融したは
    んだ材料を基板の所定の箇所に付着させた後で、かつ、
    冷却ゾーンにて基板を冷却する前に、基板に付着したは
    んだ材料が完全に溶融している状態を確保する温度の雰
    囲気を有する調整ゾーンに基板を配置することを更に含
    む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 【請求項6】 調整ゾーンの雰囲気の温度が、はんだ材
    料の融点以上、電子部品の耐熱温度未満の範囲内の温度
    である、請求項5に記載の方法。
  7. 【請求項7】 調整ゾーンの雰囲気が窒素ガス雰囲気で
    ある、請求項5または6に記載の方法。
  8. 【請求項8】 はんだ材料の急冷により、基板に付着し
    て凝固するはんだ材料における偏析現象が緩和される、
    請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 はんだ材料の急冷により、基板に付着し
    て凝固するはんだ材料の金属組織が微細化される、請求
    項1〜8のいずれかに記載の方法。
  10. 【請求項10】 鉛フリーのはんだ材料を用いてフロー
    はんだ付け方法により基板を搬送しながら電子部品を基
    板に実装するための装置であって、はんだ材料供給チャ
    ンバ内に位置する基板に溶融したはんだ材料を供給して
    基板の所定の箇所にはんだ材料を付着させるはんだ材料
    供給ユニットと、はんだ材料供給チャンバよりも基板の
    搬送方向下流に位置する冷却チャンバとを有して成り、
    冷却チャンバにおいて、基板に付着したはんだ材料を急
    速に冷却して凝固させるように、基板が冷却ユニットに
    より冷却されることを特徴とする装置。
  11. 【請求項11】 はんだ材料が冷却チャンバにおいて2
    00℃/分以上の冷却速度で冷却されるように、基板が
    冷却ユニットにより冷却される、請求項10に記載の装
    置。
  12. 【請求項12】 冷却ユニットが、ガス冷却または液体
    冷却を用いるユニットである、請求項10または11に
    記載の装置。
  13. 【請求項13】 冷却ユニットが、窒素ガスによるガス
    冷却を用いるユニットである、請求項12に記載の方
    法。
  14. 【請求項14】 基板の搬送方向においてはんだ材料供
    給チャンバと冷却チャンバとの間に位置する調整チャン
    バを更に有して成り、調整チャンバ内の雰囲気が、基板
    に付着したはんだ材料を完全に溶融している状態を確保
    する温度を有する、請求項10〜13のいずれかに記載
    の装置。
  15. 【請求項15】 調整チャンバ内の雰囲気の温度が、は
    んだ材料の融点以上、電子部品の耐熱温度未満の範囲内
    の温度である、請求項14に記載の装置。
  16. 【請求項16】 調整チャンバ内の雰囲気が窒素ガス雰
    囲気である、請求項14または15に記載の装置。
JP2001241979A 2000-08-21 2001-08-09 フローはんだ付け方法および装置 Pending JP2002141658A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001241979A JP2002141658A (ja) 2000-08-21 2001-08-09 フローはんだ付け方法および装置

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000-249588 2000-08-21
JP2000249588 2000-08-21
JP2001241979A JP2002141658A (ja) 2000-08-21 2001-08-09 フローはんだ付け方法および装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002141658A true JP2002141658A (ja) 2002-05-17
JP2002141658A5 JP2002141658A5 (ja) 2006-04-06

Family

ID=26598148

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001241979A Pending JP2002141658A (ja) 2000-08-21 2001-08-09 フローはんだ付け方法および装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002141658A (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6805282B2 (en) 2000-09-26 2004-10-19 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Flow soldering process and apparatus
EP1855517A1 (en) * 2006-05-08 2007-11-14 Kabushiki Kaisha Tokai-Rika-Denki-Seisakusho Soldering structure of through hole
JP2008283017A (ja) * 2007-05-11 2008-11-20 Furukawa Electric Co Ltd:The 部品実装基板のはんだ付け方法および部品実装基板
JP2009010299A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Furukawa Electric Co Ltd:The はんだ付け方法
JP2009010300A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Furukawa Electric Co Ltd:The はんだ付け方法およびはんだ付け装置
JP2014531137A (ja) * 2011-10-25 2014-11-20 レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード はんだ付けされたプリント回路基板を冷却するための方法およびデバイス

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6805282B2 (en) 2000-09-26 2004-10-19 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Flow soldering process and apparatus
EP1855517A1 (en) * 2006-05-08 2007-11-14 Kabushiki Kaisha Tokai-Rika-Denki-Seisakusho Soldering structure of through hole
JP2008283017A (ja) * 2007-05-11 2008-11-20 Furukawa Electric Co Ltd:The 部品実装基板のはんだ付け方法および部品実装基板
JP2009010299A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Furukawa Electric Co Ltd:The はんだ付け方法
JP2009010300A (ja) * 2007-06-29 2009-01-15 Furukawa Electric Co Ltd:The はんだ付け方法およびはんだ付け装置
JP2014531137A (ja) * 2011-10-25 2014-11-20 レール・リキード−ソシエテ・アノニム・プール・レテュード・エ・レクスプロワタシオン・デ・プロセデ・ジョルジュ・クロード はんだ付けされたプリント回路基板を冷却するための方法およびデバイス
US9936569B2 (en) 2011-10-25 2018-04-03 L'Air Liquide, Soci§té Anonyme pour l'Etude et l'Exploitation des Procédés Georges Claude Method and device for cooling soldered printed circuit boards

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6648216B2 (en) Process and apparatus for flow soldering
US6575352B2 (en) Apparatus and method for soldering electronic components to printed circuit boards
JP2000244108A (ja) プリント基板のはんだ付け方法、プリント基板のはんだ付け装置およびはんだ付け装置用冷却装置
JP3054056B2 (ja) はんだ付け方法
JP2002141658A (ja) フローはんだ付け方法および装置
JP2003078242A (ja) プリント基板の部分はんだ付け方法
EP1295665B1 (en) Method of manufacturing mount structure without introducing degraded bonding strength of electronic parts due to segregation of low-strength/low-melting point alloy
JP2000188464A (ja) 自動はんだ付け装置
JP2002270987A (ja) 電子部品、これを備えた配線基板、及びはんだ付け方法、並びにはんだ付け装置
JP2004106061A (ja) プリント基板ユニットの製造方法ならびにはんだ付け装置
JP3303224B2 (ja) 半田付け方法及び半田ごて
JP2002141656A (ja) フローはんだ付け方法および装置
JP4731768B2 (ja) フローはんだ付け方法
JP2002111194A (ja) フローはんだ付け方法および装置
JP3580730B2 (ja) 鉛フリー半田用フロー半田付け装置及び半田付け方法、並びに接合体
JPS6264475A (ja) 物品の融着接合装置
JP2597695Y2 (ja) リフロー炉
JP2000176678A (ja) クリームはんだ及びそれを用いた実装製品
JP2004071785A (ja) 噴流式はんだ付け装置
JPH0415414Y2 (ja)
JP2001308508A (ja) はんだ付け装置およびそれによってはんだ付けした電気機器
JPH04163990A (ja) 改良された半田付け方法
JP2002057446A (ja) はんだ付け方法、はんだ付け装置、及びこの装置を用いてはんだ付けしたプリント基板
JP2004158898A (ja) 実装構造体の構造方法および実装構造体
JPS6229196A (ja) リフロ−はんだ付方法およびその装置

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20060220

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060220

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080610

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080808

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080909