JP2002141159A - セラミックヒータ - Google Patents

セラミックヒータ

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JP2002141159A
JP2002141159A JP2000336572A JP2000336572A JP2002141159A JP 2002141159 A JP2002141159 A JP 2002141159A JP 2000336572 A JP2000336572 A JP 2000336572A JP 2000336572 A JP2000336572 A JP 2000336572A JP 2002141159 A JP2002141159 A JP 2002141159A
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Japan
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heating element
resistance heating
resistance
ceramic
ceramic substrate
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Application number
JP2000336572A
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English (en)
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Hiroyuki Sakaguchi
洋之 坂口
Satoru Kariya
悟 苅谷
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Ibiden Co Ltd
Original Assignee
Ibiden Co Ltd
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  • Drying Of Semiconductors (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抵抗値の調整が短時間で行われ、生産性よく
製造されているため比較的安価となり、また、精度よく
抵抗値の調整が行われているため、加熱面の温度均一性
に優れたセラミックヒータを提供する。 【解決手段】 円板形状のセラミック基板の表面に複数
の回路からなる抵抗発熱体が形成されたセラミックヒー
タであって、少なくとも一の回路を構成する抵抗発熱体
は、同心円の一部を描くように繰り返して形成された円
弧からなることを特徴とするセラミックヒータ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に、半導体の製
造や検査のために用いられるセラミックヒータ(ホット
プレート)に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エッチング装置や化学的気相成長
装置等を含む半導体製造・検査装置等として、ステンレ
ス鋼やアルミニウム合金などの金属製基材を用いたヒー
タやウエハプローバ等が用いられてきた。
【0003】しかし、金属製のヒータは、ヒータ板が厚
いため、ヒータの重量が重く、嵩張る等の問題があり、
さらに、これらに起因して温度追従性にも問題があっ
た。
【0004】そこで、特開平11−40330号公報等
には、基板として、熱伝導率が高く、強度も大きい窒化
物セラミックや炭化物セラミックを使用し、これらのセ
ラミックからなる板状体(セラミック基板)の表面に、
金属粒子を焼結して形成した発熱体を設けてなるセラミ
ックヒータが開示されている。
【0005】このようなセラミックヒータを製造する際
に抵抗発熱体を形成する方法としては、以下のような方
法が挙げられる。まず初めに、所定形状のセラミック基
板を製造するが、この後、塗布法で抵抗発熱体を形成す
る場合には、続いて、このセラミック基板の表面に、ス
クリーン印刷等の方法を用いて発熱体パターンの導体ペ
ースト層を形成し、加熱、焼成を行って、抵抗発熱体を
形成していた。
【0006】また、スパッタリング等の物理的蒸着法や
めっき法を用いて抵抗発熱体を形成する場合には、セラ
ミック基板の所定領域に、これらの方法により金属層を
形成しておき、その後、発熱体パターンの部分を覆うよ
うにエッチングレジストを形成した後、エッチング処理
を施すことにより、所定パターンの抵抗発熱体を形成し
ていた。
【0007】また、初めに、発熱体パターン以外の部分
を樹脂等を被覆しておき、この後、上記処理を施すこと
により、一度の処理でセラミック基板の表面に所定パタ
ーンの抵抗発熱体を形成することもできる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、スパッ
タリングやめっき等の方法では、精密なパターンを形成
することができるものの、所定パターンの抵抗発熱体を
形成するために、セラミック基板表面にフォトリソグラ
フィーの手法を用いてエッチングレジストやめっきレジ
スト等を形成する必要があるため、コストが高くつくと
いう問題があった。
【0009】一方、導体ペーストを用いる方法では、上
記したように、スクリーン印刷等の手法を用いることに
より、比較的低コストで抵抗発熱体を形成することがで
きるものの、精密なパターンを作製しようとすると、印
刷時のわずかなミスで短絡等が発生してしまい、精密な
パターンの抵抗発熱体を形成するのが難しいという問題
があった。また、印刷方向により厚さがばらつくため抵
抗値にばらつきが発生し、加熱面の温度が不均一になる
という問題を抱えていた。
【0010】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
このような抵抗発熱体の抵抗値のばらつきを抑制するた
めに、レーザ光によるトリミングを行って抵抗値を調整
する事を想起するに至った。
【0011】しかしながら、レーザ光によるトリミング
を行うには、抵抗発熱体のパターンに沿ってレーザ光を
照射する必要があり、レーザ光の照射位置を設定するた
めに複雑なシステムおよびプログラムを用いなければな
らず、その結果、抵抗値の調整に時間がかかり、セラミ
ックヒータの生産性を低下させてしまうという問題があ
った。また、精度よく抵抗値の調整を行うことが困難で
あった。さらに、レーザ照射位置がずれると、局所的に
発熱体の抵抗値が高くなり、発熱体が溶融するという問
題が発生した。
【0012】本発明者らは、上述した問題点に鑑み、比
較的低コストで、生産性を低下させず、加熱面の温度が
均一となるセラミックヒータを製造することを目的に鋭
意研究を行った結果、抵抗発熱体が同心円の一部を描く
ように繰り返して形成された円弧からなる円板形状のセ
ラミックヒータであれば、レーザ光を用いたトリミング
等により、容易かつ精度よく抵抗値の調整を行うことが
でき、加熱面の温度が均一となるセラミックヒータを製
造することが可能であることを見い出し、本発明を完成
するに至った。
【0013】すなわち、本発明は、円板形状のセラミッ
ク基板の表面に複数の回路からなる抵抗発熱体が形成さ
れたセラミックヒータであって、少なくとも一の回路を
構成する抵抗発熱体は、同心円の一部を描くように繰り
返して形成された円弧からなることを特徴とするセラミ
ックヒータである。
【0014】本発明のセラミックヒータは、円板状であ
り、このような円板状のセラミック基板の加熱面に、導
体ペーストを用いたスクリーン印刷により、同心円の一
部を描くように繰り返して形成された円弧からなる抵抗
発熱体のパターンを形成した場合、厚みのばらつきが大
きくなる部分が存在する。従って、得られたセラミック
ヒータをそのまま使用すると、抵抗発熱体の温度が不均
一になり、これに起因して、セラミック基板の半導体ウ
エハ等を加熱する面(以下、加熱面という)の温度が不
均一になり、被加熱物を均一に温度で加熱することがで
きない。
【0015】このため、抵抗発熱体の各部分の抵抗値を
調整する必要があるが、本発明の場合は、形成された抵
抗発熱体のパターンが同心円の一部を描くように繰り返
して形成された円弧からなるパターンであるため、円板
の中心を基準にとると、中心からの距離rと回転角度θ
とで表現することができる。よって、トリミングの対象
となるセラミック基板を円板の中心を軸として回転さ
せ、その回転角度を調整することにより、レーザ光の照
射位置を迅速にかつ正確に制御することができ、このよ
うな方法でレーザトリミングを行うことにより、容易に
かつ短時間で所定長さの溝または切欠を形成することが
でき、抵抗発熱体の抵抗値を高精度に調整することがで
きる。
【0016】抵抗発熱体のトリミング精度が低下する
と、図10に示すように、トリミングされた溝との距離
が極端に小さい部分Bが生じて、過剰に発熱してしま
い、抵抗発熱体が溶融断線してしまう。しかしながら、
本発明のセラミックヒータの発熱体パターンは、上述の
理由から、レーザ照射位置を高精度に制御することがで
きるため、このような過剰発熱が発生せず、抵抗発熱体
が断線することがない。
【0017】また、円弧からなる発熱体パターンをスク
リーン印刷により形成しようとすると、印刷方向に対し
て概ね45°の角度に厚さばらつきが大きくなるため、
この部分を重点的にトリミングすることで、発熱体の抵
抗値のばらつきを効率的に調整可能となる。また、同心
円の一部を描くように繰り返して形成された上記円弧
は、セラミックヒータの外周に形成されていることが望
ましい。外周は、温度が低下しやすく、発熱体パターン
の形成密度を高くする必要があり、単純な同心円や渦巻
きでは、発熱体パターンの形成密度を向上させることが
できないからである。
【0018】このようにして抵抗値が調整された抵抗発
熱体を有するセラミックヒータは、比較的安価なものに
なるとともに、加熱面の温度を精度良く均一にすること
ができ、半導体ウエハ等を被加熱物を均一に加熱するこ
とができる。
【0019】本発明のセラミックヒータでは、少なくと
も一の回路を構成する抵抗発熱体は、同心円の一部を描
くように繰り返して形成された円弧と屈曲線の組み合わ
せにより形成され、これら円弧の隣り合う端部が屈曲線
により接続されて一連の回路が構成されていることが望
ましい。
【0020】また、同心円の一部を描くように繰り返し
て形成された上記円弧は、セラミック基板の外周部に設
けられていることが望ましい。
【0021】また、少なくとも一の回路を構成する抵抗
発熱体は、レーザ光を用いたトリミングにより、抵抗発
熱体の電流が流れる方向に対して、概ね平行および/ま
たは垂直に溝または切欠が形成され、抵抗値が調整され
ていることが望ましい。
【0022】さらに、上記抵抗発熱体の抵抗値のばらつ
きは、5%の範囲内に調整されていることが望ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】本発明のセラミックヒータは、円
板形状のセラミック基板上に抵抗発熱体を形成したセラ
ミックヒータであって、少なくとも一の回路を構成する
抵抗発熱体は、同心円の一部を描くように繰り返して形
成された円弧からなることを特徴とするセラミックヒー
タである。
【0024】図1は、本発明の発熱体パターンにて形成
される抵抗発熱体12を有するセラミック基板11を模
式的に示す底面図であり、図2は、その部分拡大断面図
である。このセラミックヒータ10は、円板状に形成さ
れたセラミック基板11の加熱面11aの反対側である
底面11bに、抵抗発熱体12(12a〜12h)が形
成されている。
【0025】また、抵抗発熱体12は、加熱面11aの
全体の温度が均一になるように加熱するため、同心円の
一部を描くように繰り返して形成された円弧パターン
と、一部が切断された同心円パターンとから構成されて
いる。
【0026】すなわち、最も外周に近い抵抗発熱体12
a〜12dは、同心円を4分割した円弧状のパターンが
繰り返して形成され、隣り合う円弧の端部は、屈曲線1
22aにより接続され一連の回路を構成している。そし
て、このようなパターンの抵抗発熱体12a〜12dか
らなる4つの回路が、外周を取り囲むように近接して形
成され、全体的に円環状のパターンを構成している。
【0027】また、この抵抗発熱体12a〜12dから
なる回路の端部123aは、クーリングスポット等の発
生を防止するために、円環状パターンの内側に形成され
ており、そのため、外側の回路の端部は内側の方に向か
って延設されている。
【0028】外周に形成された抵抗発熱体12a〜12
dの内側には、そのごく一部が切断された同心円パター
ンの回路からなる抵抗発熱体12e、12f、12gが
形成されており、この抵抗発熱体12e、12f、12
gでは、隣り合う同心円の端部が、順次直線からなる抵
抗発熱体120b、120c、120dで接続されるこ
とにより一連の回路が構成されている。また、それぞれ
の抵抗発熱体12a〜12d、12e、12f、12g
の間には、帯状(円環状)の発熱体非形成領域が設けら
れており、中心部分にも、円形の発熱体非形成領域が設
けられている。
【0029】従って、全体的に見ると、円環状の抵抗発
熱体形成領域と発熱体非形成領域とが、外側から内側に
交互に形成されており、これらの領域をセラミック基板
の大きさ(口径)や厚さ等を考慮して、適当に設定する
ことにより、加熱面を温度を均一にすることができるよ
うになっている。
【0030】また、図2に示すように、抵抗発熱体12
a〜12gは、腐食等を防止するために、金属被覆層1
20aが形成されており、その端部123aには、半田
層(図示せず)等を介して外部端子33が接続されてい
る。
【0031】このセラミック基板11には、発熱体非形
成領域となる位置に3個の貫通孔35が設けられてお
り、シリコンウエハ39等の被加熱物をセラミック基板
11の加熱面11aに接触させた状態で載置して加熱す
るほか、図2に示すように、これらの貫通孔35にリフ
ターピン36を挿通し、リフターピン36でシリコンウ
エハ39等の被加熱物を保持することにより、セラミッ
ク基板11より一定の距離離間させた状態で被加熱物を
加熱することができるようになっている。
【0032】また、このリフターピン36を上下させる
ことにより、搬送機からシリコンウエハ39等の被加熱
物を受け取ったり、被加熱物をセラミック基板11上に
載置したり、被加熱物を支持したまま加熱したりするこ
とができるようになっている。セラミック基板11の加
熱面11aに凹部等を形成し、この凹部等に加熱面11
aからわずかに突出するように支持ピンを設置し、この
支持ピンでシリコンウエハ39を支持することより、シ
リコンウエハ39を加熱面から5〜5000μm離間さ
せた状態で支持し、加熱等を行ってもよい。
【0033】セラミック基板11の底面11bの発熱体
非形成領域には、有底孔34が形成されており、この有
底孔34には、熱電対等の測温素子37が挿入され、セ
ラミック基板11の加熱面11aに近い部分の温度を測
定することができるようになっている。
【0034】なお、本発明のセラミックヒータでは、全
ての抵抗発熱体が、同心円の一部を描くように繰り返し
て形成された円弧と屈曲線の組み合わせで一連の回路が
構成されたパターン(以下、円弧繰り返しパターンとも
いう)から構成されている必要はなく、図1に示したセ
ラミックヒータのように、一部が切断された同心円が隣
り合う端部で直線的に接続され、一連の回路が構成され
ているパターン(以下、同心円状パターンともいう)と
併用されていてもよい。また、屈曲線の繰り返しパター
ン、渦巻き状のパターン等と併用されていてもよい。
【0035】図3は、スクリーン印刷により抵抗発熱体
を形成する場合、抵抗発熱体の厚みが不安定になる領域
を模式的に示した平面図である。スクリーン印刷により
抵抗発熱体を形成した場合、図3に示すように、抵抗発
熱体の厚みがばらつく箇所、すなわち、抵抗値の調整を
行う必要のある箇所は、セラミック基板の中心Aを基準
とし、スクリーン印刷の印刷方向43を軸として、軸か
ら約45°離れた位置となる4箇所の領域42に集中す
る。また、その領域42はセラミック基板の外周側にな
る程広くなる。さらに、セラミック基板の外周側に近づ
くに従って放熱量が多くなるため、この外周に近い部分
では発熱量を多くする必要があり、温度調節も難しくな
り、より精密に抵抗発熱体の抵抗値を調整する必要があ
る。
【0036】従って、抵抗発熱体のパターンについて、
セラミック基板の外周部に形成する抵抗発熱体は、円弧
繰り返しパターンとすることが望ましい。抵抗値の調整
を多く行う必要が生じる領域に、円弧繰り返しパターン
の抵抗発熱体を形成することで、抵抗値の調整を容易、
迅速かつ正確に行うことが可能になるからである。
【0037】図4は、本発明のセラミックヒータの別の
実施形態を模式的に示した底面図である。本発明のセラ
ミックヒータは、図4に示すように、外周に近い部分に
は、図1に示した円弧繰り返しパターンと同様のパター
ンの抵抗発熱体52a〜52dが形成され、その内部
は、屈曲線を主体とする抵抗発熱体52e、52fが形
成されていてもよい。このようなパターンであっても、
加熱面の温度を均一することができるからである。
【0038】なお、セラミック基板の表面に形成される
抵抗発熱体は、図1、図4に示すように、少なくとも2
以上の回路に分割されていることが望ましい。回路を分
割することにより、各回路に投入する電力を制御して発
熱量を変えることができ、シリコンウエハの加熱面の温
度を調整することができるからである。
【0039】なお、抵抗発熱体をセラミック基板の表面
に形成する際、金属の焼結は、金属粒子同士および金属
粒子とセラミックとが融着していれば充分である。ま
た、スクリーン印刷に限らず、めっき法やスパッタリン
グ等の方法を用いて所望とするパターンを形成し、レー
ザトリミングにより抵抗値の調整を行い、抵抗発熱体と
してもよい。さらに、帯状(円環状)の抵抗発熱体を同
心円パターンで形成した後、レーザトリミングにより抵
抗発熱体とならない部分を削除して抵抗発熱体のパター
ンを形成し、この後、再びトリミングを行って、溝や切
欠を形成することにより抵抗発熱体の抵抗値を調節して
もよい。
【0040】次に、本発明の抵抗発熱体を形成するため
に用いるトリミングシステムについて説明する。図5
は、本発明のセラミックヒータの製造に用いるレーザト
リミング装置の概要を示すブロック図である。テーブル
13上には、図5に示したように、所望とするパターン
の抵抗発熱体が形成された円板状のセラミック基板11
が固定用突起13b等を用いて固定されている。
【0041】また、このテーブル13には、モータ等
(図示せず)が設けられているとともに、このモータ等
は制御部17に接続されており、制御部17からの信号
でモータ等を駆動させることにより、テーブル13をθ
方向(セラミック基板の回転方向)およびxy方向に自
由に移動させることができるようになっている。
【0042】一方、このテーブル13の上方には、ガル
バノミラー15が設けられているが、このガルバノミラ
ー15は、モータ16によりx方向に自由に角度を変更
することができるようになっており、同じくテーブル1
3の上方に配置されたレーザ照射装置14から照射され
たレーザ光22が、このガルバノミラー15に当たっ
て、反射し、セラミック基板11を照射するように構成
されている。なお、本発明のセラミックヒータの製造に
用いるレーザトリミング装置に設けられるガルバノミラ
ーは、一方向のみ回転すればよい。一方向(r方向)に
おける制御のみ行われれば、テーブルの回転等と組み合
わせて、セラミック基板の任意の位置にレーザを照射す
ることができるからである。
【0043】また、モータ16およびレーザ照射装置1
4は、制御部17に接続されており、制御部17からの
信号でモータ16、レーザ照射装置14を駆動させるこ
とで、ガルバノミラーをx方向を軸として所定の角度回
転させる。また、制御部17からの信号でテーブル13
に設けられたモータ(図示せず)を駆動させることで、
テーブルをθ方向へ回転させる。ガルバノミラーのx方
向を軸とした回転、および、テーブルのθ方向について
の回転により、セラミック基板11上の照射位置を自由
に設定することができるようになっている。なお、テー
ブルは、θ方向についての回転だけではなく、x−y方
向への移動も可能である。
【0044】このように、セラミック基板11を載置し
たテーブル13および/またはガルバノミラー15を動
かすことにより、セラミック基板11上の任意の位置に
レーザ光22を照射することができる。
【0045】一方、テーブル13の上方には、カメラ2
1も設置されており、これにより、セラミック基板11
上の抵抗発熱体12の位置(r、θまたはx−y)を認
識することができるようになっている。このカメラ21
は、記憶部18に接続され、これによりセラミック基板
11上の抵抗発熱体12の位置(r、θまたはx−y)
等を認識し、その位置にレーザ光22を照射する。
【0046】また、入力部20は、記憶部18に接続さ
れるとともに、端末としてキーボード等(図示せず)を
有しており、記憶部18やキーボード等を介して、所定
の指示等が入力されるようになっている。
【0047】さらに、このレーザトリミング装置は、演
算部19を備えており、カメラ21により認識されたセ
ラミック基板11の位置や厚さ等のデータに基づいて、
レーザ光22の照射位置、照射速度、レーザ光の強度等
を制御するための演算を行い、この演算結果に基づいて
制御部17からモータ16、レーザ照射装置14等に指
示を出し、ガルバノミラー15を回転させるか、また
は、テーブル13を移動または回転させながらレーザ光
22を照射し、抵抗発熱体12にトリミングを行い、溝
または切欠を形成する。
【0048】また、このレーザトリミング装置は、抵抗
測定部23を有している。抵抗測定部23は、複数のテ
スタピン24を備えており、抵抗発熱体を複数の区画に
区分し、各区画毎にテスタピンを接触させて、形成され
た抵抗発熱体パターンの抵抗値を測定し、レーザを該当
する区画に照射することで、抵抗発熱体の厚みと幅の調
整等を行い、所望の抵抗値を有する抵抗発熱体を得るこ
とができる。
【0049】次に、このようなレーザトリミング装置を
用いたセラミックヒータの製造方法について具体的に説
明する。ここでは、本発明の要部であるレーザトリミン
グを用いて抵抗発熱体パターンを形成する工程ついて詳
しく説明し、それ以外の工程については、後で詳しく説
明するので、ここでは簡単に説明する。また、抵抗発熱
体としては、図1に示したパターンからなる抵抗発熱体
12が形成されているものとする。
【0050】(1)最初に、セラミック基板の製造を行
うが、まず、セラミック粉末と樹脂とからなる生成形体
を作製する。この生成形体の作製方法としては、セラミ
ック粉末と樹脂とを含む顆粒を製造した後、これを金型
等に投入してプレス圧をかけることにより作製する方法
と、グリーンシートを積層圧着することにより作製する
方法とがあり、内部に静電電極等の他の導体層を形成す
るか否か等により、より適切な方法を選択する。この
後、生成形体の脱脂、焼成を行うことにより、セラミッ
ク基板を製造する。この後、セラミック基板にリフター
ピンを挿通するための貫通孔の形成、測温素子を埋設す
るための有底孔の形成等を行う。
【0051】(2)次に、このセラミック基板11上
に、スクリーン印刷等により図1に示したパターンの導
体ペースト層を形成し、焼成することにより抵抗発熱体
12とする。めっき法やスパッタリング等の物理蒸着法
を用いて抵抗発熱体12を形成してもよい。めっきの場
合には、めっきレジストを形成することにより、スパッ
タリング等の場合には、選択的なエッチングを行うこと
により、抵抗発熱体12を形成することができる。ただ
し、スクリーン印刷の場合には、めっき法等に比べて、
抵抗発熱体の厚さの不均一の問題が発生し易いため、ト
リミンクにより抵抗値を調整する方法が有効である。
【0052】(3)次に、テーブル13に設けられた固
定用突起13bと嵌合用突起(図示せず)とを用い、抵
抗発熱体12が形成されたセラミック基板11をテーブ
ル13上に固定する。
【0053】(4)次に、固定されたセラミック基板1
1をカメラ21で撮影することにより、抵抗発熱体12
の形成位置が記憶部18に記憶される。
【0054】(5)次に、レーゼトリミング装置の抵抗
測定部23により、形成された抵抗発熱体12の各部分
の抵抗値を測定する。抵抗値の測定は、図6に示すよう
に、例えば、抵抗発熱体パターンをl1 〜l6まで区分
し、テスターピン24を用いて、各区画の抵抗値を測定
することにより行う。このようにして測定した抵抗発熱
体の抵抗値のデータを記憶部18に取り込む。
【0055】そして、抵抗発熱体12の位置(形状)デ
ータ、抵抗発熱体の各部分における抵抗値のデータ、抵
抗発熱体の特性(材料、厚さ等)に基づいて決定される
レーザ照射の強度等の照射条件のデータ等に基づき、抵
抗発熱体12の抵抗値が低い部分について、演算部19
でどの程度の長さ、深さ、幅の溝や切欠を形成すればよ
いかの演算を行い、その結果が制御データとして記憶部
18に記憶される。
【0056】図7(a)〜(c)は、抵抗発熱体12に
トリミングを実施した際に形成される溝や切欠を模式的
に表す斜視図である。
【0057】抵抗発熱体12の表面を電流の流れる方向
に沿って概ね平行にトリミングすることにより、(a)
に示した形状の溝120を形成することができ、抵抗発
熱体12の側面を電流の流れる方向に垂直にトリミング
することにより、(b)に示すような形状の切欠130
を形成することができ、抵抗発熱体12の一部の厚みを
全幅に渡って薄くトリミングすることにより、(c)に
示すような形状の切欠140を形成することができる。
【0058】本発明では、これらのいずれの方法でも抵
抗発熱体の抵抗値を調整することができるが、これらの
中では、抵抗発熱体12の表面を電流の流れる方向に沿
って概ね平行にトリミングして溝120を形成する方法
が望ましい。比較的容易かつ精度よく抵抗値を調整する
ことができるからである。
【0059】抵抗発熱体の側面に、(b)に示した形状
の切欠を形成すると、抵抗が局所的に高くなる部分が生
じて、発熱で溶融してしまう場合もあり、また、(c)
に示した形状の切欠を形成しようとすると、厚さのコン
トロールが難しくなる。
【0060】従って、ここでは、溝120の形状の溝を
形成することとする。なお、溝120を形成する場合に
は、電流の流れる方向に沿って概ね平行に溝を形成すれ
ばよく、溝自体は、蛇行していてもよく、電流の流れる
方向に対して少し斜めに溝が形成されていてもよい。
【0061】また、抵抗発熱体12aは、円弧繰り返し
パターンから形成されているが、このパターンは、同心
円からなるパターンを基本としており、これらのパター
ンの大部分は、上述したように、セラミック基板11の
中心からの距離rと回転角θとで表すことができる。
【0062】従って、制御データは、例えば、レーザ照
射開始位置として、中心Aからの距離r1 と角度θ1
で設定し、溝等の距離は、回転距離(θ1 −θ2 )で設
定することができる。例えば、測定した抵抗値と所望と
する抵抗値との差が大きければ、回転距離(θ1 −θ
2 )は長く設定する。また、この回転距離は、サーボモ
ータの作動時間により設定してもよい。
【0063】(6)次に、記憶されたトリミングデータ
に従い、実際に、トリミング処理を実施する。具体的に
は、トリミングデータに基づき、制御部17から制御信
号を発生させ、ガルバノミラー15のモータ16、およ
び/または、テーブル13のモータを駆動させながら、
レーザ光を照射することにより、トリミング処理を実施
する。このようなトリミングを、例えば、抵抗値が所望
とする値より低い区画について順次行うことにより抵抗
値の調整が完了する。
【0064】なお、上記した抵抗値の調整は、x−yを
座標とし、テーブルをx−y方向に動かすことによるト
リミング操作等によって実施してもよい。
【0065】本発明において、抵抗発熱体は、円板形状
のセラミック基板の底面に形成され、同心円の一部を描
くように繰り返して形成された円弧を基本としているの
で、上述したトリミング方法をとると、位置設定のため
のシステムおよびプログラムを単純化することが可能と
なり、容易に、迅速にかつ正確に求められる抵抗発熱体
の抵抗値を調整することができる。
【0066】次に、抵抗発熱体にトリミング処理を施す
際の条件等や抵抗発熱体および抵抗発熱体を形成する対
象となるセラミック基板等の特性等について、さらに説
明する。本発明の場合のように、抵抗発熱体が円弧を描
く形状で形成されている場合には、円形の抵抗発熱体の
内周側をトリミングした方が、抵抗値を大きく変えるこ
とができる。これは、電流が内周ほど流れやすいためで
ある。
【0067】上記溝は、抵抗発熱体の厚さの20%以上
の深さを持つことが望ましい。抵抗値を変えることがで
きるからである。溝の深さが20%未満では、抵抗値が
ほとんど変わらない。
【0068】上記トリミングにより調整された抵抗発熱
体の抵抗値のばらつきに関し、平均抵抗値に対する抵抗
値のばらつきは5%以下が望ましく、1%がより望まし
い。本発明の抵抗発熱体は、通常、複数回路に分割され
ているが、このように抵抗値のばらつきを小さくするこ
とにより、抵抗発熱体の分割数を減らすことができ温度
を制御しやすくすることができる。さらに、昇温の過渡
時の加熱面の温度を均一にすることが可能となる。
【0069】さらに、抵抗発熱体の抵抗値のばらつき
は、抵抗発熱体を印刷する際に、その厚さや幅等を均一
化することにより25%以下に抑制し、さらにトリミン
グで5%以下に調整することが望ましい。抵抗発熱体の
印刷段階でばらつきを小さくした方が、トリミングによ
る調整がしやすいからである。
【0070】上記溝の幅は、1〜100μm程度が望ま
しい。幅が100μmを超えると、断線等が発生しやす
くなり、一方、幅が1μmでは、抵抗発熱体の抵抗値の
調整が難しいからである。レーザ光のスポット径は、1
μm〜2cmで調整する。
【0071】トリミング処理が終わった後、再度抵抗値
を測定し、必要であればさらにトリミングを実施しても
よい。すなわち、抵抗値測定とトリミングは1回だけで
はなく、2回以上実施してもよい。
【0072】上述のようにしてレーザトリミングにより
抵抗値を調整する際に、レーザ光照射によりトリミング
すべき部分はトリミングするものの、その下に存在する
セラミック基板には、レーザ光照射により大きな影響を
与えないことが重要になる。
【0073】従って、レーザ光は、導体層等を構成する
金属粒子等には良好に吸収され、一方、セラミック基板
に吸収されにくいものを選定する必要がある。このよう
なレーザの種類としては、例えば、YAGレーザ、炭酸
ガスレーザ、エキシマ(KrF)レーザ、UV(紫外
線)レーザ等が挙げられる。これらのなかでは、YAG
レーザ、エキシマ(KrF)レーザが最適である。
【0074】YAGレーザとしては、日本電気社製のS
L432H、SL436G、SL432GT、SL41
1Bなどを採用することができる。レーザはパルス光で
あることが望ましい。極めて短い時間に大きなエネルギ
ーを抵抗発熱体に照射することができ、セラミック基板
に対するダメージを小さくすることができるからであ
る。パルスは、1kHz以下が望ましい。1kHzを超
えると、レーザのファーストパルスのエネルギーが高く
なり、過剰にトリミングされてしまうからである。
【0075】また、加工スピードは、100mm/秒以
下が望ましい。100mm/秒を超えると、周波数を高
くしないかぎり、溝を形成することができないからであ
る。前述のように、周波数は1kHz以下を上限とする
ため、100mm/秒以下が望ましい。さらに、抵抗発
熱体を完全に断線させる場合には、レーザの出力は0.
3W以上が望ましい。
【0076】トリミングは、上述したように、抵抗発熱
体ペーストを印刷した後焼成して導体層を形成し、その
後に実施することが望ましい。焼成により抵抗値が変動
したり、ペーストがレーザ光の照射に起因して剥離する
ことがあるからである。
【0077】セラミック基板の表面に抵抗発熱体を形成
する場合に、抵抗発熱体の厚さは、1〜30μmが好ま
しく、1〜10μmがより好ましい。また、抵抗発熱体
の幅は、0.1〜20mmが好ましく、0.1〜5mm
がより好ましい。抵抗発熱体は、その幅や厚さにより抵
抗値に変化を持たせることができるが、上記した範囲が
最も実用的である。
【0078】抵抗発熱体は、断面形状が矩形であっても
楕円であってもよいが、偏平であることが望ましい。偏
平の方が加熱面に向かって放熱しやすいため、加熱面の
温度分布ができにくいからである。断面のアスペクト比
(抵抗発熱体の幅/抵抗発熱体の厚さ)は、10〜50
00であることが望ましい。この範囲に調整することに
より、抵抗発熱体の抵抗値を大きくすることができると
ともに、加熱面の温度の均一性を確保することができる
からである。
【0079】抵抗発熱体の厚さを一定とした場合、アス
ペクト比が上記範囲より小さいと、セラミック基板の加
熱面方向への熱の伝搬量が小さくなり、抵抗発熱体のパ
ターンに近似した熱分布が加熱面に発生してしまい、逆
にアスペクト比が大きすぎると抵抗発熱体の中央の直上
部分が高温となってしまい、結局、抵抗発熱体のパター
ンに近似した熱分布が加熱面に発生してしまう。従っ
て、温度分布を考慮すると、断面のアスペクト比は、1
0〜5000であることが好ましいのである。
【0080】上記導体ペーストとしては特に限定されな
いが、導電性を確保するための金属粒子または導電性セ
ラミックが含有されているほか、樹脂、溶剤、増粘剤な
どを含むものが好ましい。
【0081】上記金属粒子としては、例えば、貴金属
(金、銀、白金、パラジウム)、鉛、タングステン、モ
リブデン、ニッケルなどが好ましい。これらは、単独で
用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの金
属は、比較的酸化しにくく、発熱するに充分な抵抗値を
有するからである。上記導電性セラミックとしては、例
えば、タングステン、モリブデンの炭化物などが挙げら
れる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用
してもよい。
【0082】これら金属粒子または導電性セラミック粒
子の粒径は、0.1〜100μmが好ましい。0.1μ
m未満と微細すぎると、酸化されやすく、一方、100
μmを超えると、焼結しにくくなり、抵抗値が大きくな
るからである。
【0083】上記金属粒子の形状は、球状であっても、
リン片状であってもよい。これらの金属粒子を用いる場
合、上記球状物と上記リン片状物との混合物であってよ
い。上記金属粒子がリン片状物、または、球状物とリン
片状物との混合物の場合は、金属粒子間の金属酸化物を
保持しやすくなり、抵抗発熱体と窒化物セラミック等と
の密着性を確実にし、かつ、抵抗値を大きくすることが
できるため有利である。
【0084】導体ペーストに使用される樹脂としては、
例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられ
る。また、溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコ
ールなどが挙げられる。増粘剤としては、セルロースな
どが挙げられる。
【0085】導体ペーストには、金属粒子に金属酸化物
を添加し、抵抗発熱体と金属粒子および金属酸化物とを
焼結させたものとすることが望ましい。このように、金
属酸化物を金属粒子とともに焼結させることにより、セ
ラミック基板である窒化物セラミック等と金属粒子とを
より密着させることができる。
【0086】金属酸化物を混合することにより、窒化物
セラミック等との密着性が改善される理由は明確ではな
いが、金属粒子表面や窒化物セラミック等の表面は、わ
ずかに酸化されて酸化膜が形成されており、この酸化膜
同士が金属酸化物を介して焼結して一体化し、金属粒子
と窒化物セラミック等とが密着するのではないかと考え
られる。また、セラミック基板を構成するセラミックが
酸化物セラミックの場合は、当然に表面が酸化物からな
るので、密着性に優れた導体層が形成される。
【0087】上記金属酸化物としては、例えば、酸化
鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化ホウ素(B 23 )、アル
ミナ、イットリアおよびチタニアからなる群から選ばれ
る少なくとも1種が好ましい。これらの酸化物は、抵抗
発熱体12の抵抗値を大きくすることなく、金属粒子と
窒化物セラミック等との密着性を改善することができる
からである。
【0088】上記酸化鉛、酸化亜鉛、シリカ、酸化ホウ
素(B23 )、アルミナ、イットリア、チタニアの割
合は、金属酸化物の全量を100重量部とした場合、重
量比で、酸化鉛が1〜10、シリカが1〜30、酸化ホ
ウ素が5〜50、酸化亜鉛が20〜70、アルミナが1
〜10、イットリアが1〜50、チタニアが1〜50で
あって、その合計が100重量部を超えない範囲で調整
されていることが望ましい。これらの範囲で、これらの
酸化物の量を調整することにより、特に窒化物セラミッ
ク等との密着性を改善することができる。
【0089】上記金属酸化物の金属粒子に対する添加量
は、0.1重量%以上10重量%未満が好ましい。ま
た、このような構成の導体ペーストを使用して抵抗発熱
体12を形成した際の面積抵抗率は、1〜45mΩ/□
が好ましい。
【0090】面積抵抗率が45mΩ/□を超えると、印
加電圧量に対して発熱量は大きくなりすぎて、セラミッ
ク基板の表面に抵抗発熱体12を設けたセラミック基板
11では、その発熱量を制御しにくいからである。な
お、金属酸化物の添加量が10重量%以上であると、面
積抵抗率が50mΩ/□を超えてしまい、発熱量が大き
くなりすぎて温度制御が難しくなり、温度分布の均一性
が低下する。また、必要に応じて面積抵抗率を50mΩ
/□〜10Ω/□にすることができる。面積抵抗率を大
きくすると、パターンを幅を広くすることができるた
め、断線の問題がない。
【0091】抵抗発熱体がセラミック基板の表面に形成
される場合には、抵抗発熱体の表面部分に、金属被覆層
が形成されていることが望ましい。内部の金属焼結体が
酸化されて抵抗値が変化するのを防止するためである。
形成する金属被覆層の厚さは、0.1〜10μmが好ま
しい。
【0092】金属被覆層を形成する際に使用される金属
は、非酸化性の金属であれば特に限定されないが、具体
的には、例えば、金、銀、パラジウム、白金、ニッケル
等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種
以上を併用してもよい。これらのなかでは、ニッケルが
好ましい。
【0093】抵抗発熱体には、電源と接続するための端
子が必要であり、この端子は、半田を介して抵抗発熱体
に取り付けるが、ニッケルは、半田の熱拡散を防止する
からである。接続端子としては、例えば、コバール製の
ものが挙げられる。
【0094】本発明のセラミックヒータにおけるセラミ
ック基板は、円板であることが望ましく、その直径は1
90mmを超えるものが望ましい。このような直径が大
きいものほど加熱面での温度ばらつきが大きくなるから
である。
【0095】また、本発明のセラミックヒータのセラミ
ック基板の厚さは、25mm以下であることが望まし
い。上記セラミック基板の厚さが25mmを超えると温
度追従性が低下するからである。
【0096】また、その厚さは、1.5mmを超え5m
m以下であることがより望ましい。5mmより厚くなる
と、熱が伝搬しにくくなり、加熱の効率が低下する傾向
が生じ、一方、1.5mm以下であると、セラミック基
板中を伝搬する熱が充分に拡散しないため加熱面に温度
ばらつきが発生することがあり、また、セラミック基板
の強度が低下して破損する場合があるからである。
【0097】本発明のセラミックヒータ10では、基板
の材料としてセラミックを使用しているが、セラミック
としては特に限定されず、例えば、窒化物セラミック、
炭化物セラミックおよび酸化物セラミック等を挙げるこ
とができる。セラミック基板11の材料として、これら
のなかでは、窒化物セラミックや炭化物セラミックが好
ましい。熱伝導特性に優れるからである。
【0098】上記窒化物セラミックとしては、例えば、
窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタ
ン等が挙げられる。また、上記炭化物セラミックとして
は、炭化珪素、炭化チタン、炭化硼素等が挙げられる。
さらに、上記酸化物セラミックとしては、アルミナ、コ
ージェライト、ムライト、シリカ、ベリリア等が挙げら
れる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用
してもよい。これらのなかでは、窒化アルミニウムが最
も好ましい。熱伝導率が180W/m・Kと最も高いか
らである。
【0099】ただし、セラミック基板11は、レーザ光
が吸収されにくい材質のものが好ましく、例えば、窒化
アルミニウム基板の場合には、炭素含有量が5000p
pm以下の炭素含有量が少ないものが好ましい。また、
表面を研磨して表面の面粗度をJIS B 0601
Raで20μm以下にすることが望ましい。面粗度が大
きい場合は、レーザ光を吸収してしまうからである。ま
た必要に応じて、抵抗発熱体とセラミック基板の間に耐
熱性セラミック層を設けてもよい。例えば、非酸化物系
セラミックの場合は、表面に酸化物セラミックを形成し
ておいてもよい。
【0100】次に、本発明のセラミックヒータの製造方
法を図8に基づいて説明する。レーザ処理工程について
は、前で詳しく説明したので、ここでは、簡単に説明す
る。図8(a)〜(d)は、レーザ処理を含む本発明の
セラミックヒータの製造方法の一部を模式的に示す断面
図である。
【0101】(1) セラミック基板の作製工程 窒化アルミニウム等のセラミックの粉末に、必要に応じ
て、イットリア(Y2 3 )等の焼結助剤、Na、Ca
を含む化合物、Al23 、バインダ等を配合してスラ
リーを調製した後、このスラリーをスプレードライ等の
方法で顆粒状にし、この顆粒を金型などに入れて加圧す
ることにより板状などに成形し、生成形体(グリーン)
を作製する。
【0102】次に、生成形体に、必要に応じて、シリコ
ンウエハ39等の被加熱物を運搬等するためのリフター
ピン36を挿入する貫通孔35となる部分や熱電対など
の測温素子を埋め込むための有底孔となる部分等を形成
する。
【0103】次に、この生成形体を加熱、焼成して焼結
させ、セラミック製の板状体を製造する。この後、所定
の形状に加工することにより、セラミック基板11を作
製する(図8(a)参照)が、焼成後にそのまま使用す
ることができる形状としてもよい。また、例えば、上下
より加圧しながら加熱、焼成を行うことにより、気孔の
ないセラミック基板11を製造することが可能となる。
加熱、焼成は、焼結温度以上であればよいが、例えば、
窒化物セラミックでは、1000〜2500℃である。
【0104】なお、通常は、焼成を行った後に、貫通孔
35や測温素子を挿入するための有底孔(図示せず)を
設ける。貫通孔35等は、表面研磨後に、SiC粒子等
を用いたサンドブラスト等のブラスト処理を行うことに
より形成することができる。
【0105】(2) セラミック基板に導体ペーストを印刷
する工程 導体ペーストは、一般に、金属粒子、樹脂、溶剤からな
る粘度の高い流動物である。この導体ペーストをスクリ
ーン印刷等を用い、抵抗発熱体12と同形状の導体ペー
スト層を形成する。抵抗発熱体12のパターンは、後工
程で抵抗値の調整を容易に行うため、図1に示すような
同心円の一部を描くように繰り返して形成された円弧を
基本とするパターンとすることが望ましい。
【0106】(3) 導体ペーストの焼成 セラミック基板11の底面に印刷した導体ペースト層を
加熱焼成して、樹脂、溶剤を除去するとともに、金属粒
子を焼結させ、セラミック基板11の底面に焼き付け、
所定パターンの抵抗発熱体12を形成する(図8(b)
参照)。加熱焼成の温度は、500〜1000℃が好ま
しい。もしくは、めっき法、スパッタリング等によりパ
ターンを形成した後、焼成し抵抗発熱体12としてもよ
い。その後、上述した抵抗値の測定とレーザによるトリ
ミング処理とを行い、抵抗値を調整する(図8(c)参
照)。
【0107】(4) 金属被覆層の形成 抵抗発熱体12表面には、図2に示したように、金属被
覆層120aを設けることが望ましい。金属被覆層12
0aは、電解めっき、無電解めっき、スパッタリング等
により形成することができるが、量産性を考慮すると、
無電解めっきが最適である。なお、図8には、金属被覆
層120aを示していない。
【0108】(5) 端子等の取り付け 抵抗発熱体12のパターンの端部に電源との接続のため
の端子(外部端子33)を半田を介して取り付ける(図
8(d)参照)。また、有底孔34に熱電対を挿入し、
ポリイミド等の耐熱樹脂等を用いて封止し、セラミック
ヒータの製造を終了する。
【0109】なお、本発明のセラミックヒータでは、セ
ラミック基板の内部に静電電極を設けることにより静電
チャックとして使用することができ、また、表面にチャ
ップトップ導体層を設け、内部にガード電極やグランド
電極を設けることによりウエハプローバとして使用する
ことができる。
【0110】
【実施例】以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明する。
【0111】(実施例1)セラミックヒータの製造 本実施例では、図1に示す抵抗発熱体パターンを有する
セラミックヒータを製造した。 (1) まず、窒化アルミニウム粉末(平均粒径:1.1μ
m)100重量部、イットリア(平均粒径:0.4μ
m)4重量部、アクリルバインダ12重量部およびアル
コールからなる組成物のスプレードライを行い、顆粒状
の粉末を作製した。
【0112】(2) 次に、この顆粒状の粉末を金型に入
れ、平板状に成形して生成形体(グリーン)を得た。
【0113】(3) 次に、この生成形体を1800℃、圧
力:20MPaでホットプレスし、厚さがほぼ3mmの
窒化アルミニウム板状体を得た。次に、この板状体から
直径210mmの円板体を切り出し、セラミック製の板
状体(セラミック基板11)とした。このセラミック基
板にドリル加工を施し、シリコンウエハのリフターピン
36を挿入する貫通孔35、熱電対を埋め込むための有
底孔34(直径:1.1mm、深さ:2mm)を形成し
た(図8(a)参照)。
【0114】(4) 上記(3) で得たセラミック基板11
に、スクリーン印刷にて導体ペースト層を形成した。印
刷パターンは、図1の抵抗発熱体12の各回路となる抵
抗発熱体12a〜12gと同形状のパターンであった。
上記導体ペーストとしては、プリント配線板のスルーホ
ール形成に使用されている徳力化学研究所製のソルベス
トPS603Dを使用した。この導体ペーストは、銀−
鉛ペーストであり、銀100重量部に対して、酸化鉛
(5重量%)、酸化亜鉛(55重量%)、シリカ(10
重量%)、酸化ホウ素(25重量%)およびアルミナ
(5重量%)からなる金属酸化物を7.5重量部含むも
のであった。また、銀粒子は、平均粒径が4.5μm
で、リン片状のものであった。 (5) さらに、発熱体パターンの導体ペースト層を形成し
た後、セラミック基板11を780℃で加熱、焼成し
て、導体ペースト中の銀、鉛を焼結させるとともにセラ
ミック基板11に焼き付けた。(図8(b)参照)
【0115】抵抗発熱体のパターンは、図1に示したよ
うに、12a〜12dが4チャンネル、12e〜12g
が各1チャンネル、合計7チャンネルである。なお、チ
ャンネルとは、制御を行う際に、同一の電圧を印加して
一の制御を行う回路をいうが、本実施例では、連続体と
して形成された各抵抗発熱体を示す。
【0116】(6) 次に、各チャンネルをさらに9に区画
し、各区画毎にテスタピンを接触させ抵抗値を測定し
た。その結果に基づき、波長が1060nmのYAGレ
ーザ(日本電気社製 S143AL 出力5W、パルス
周波数 0.1〜40kHz)を用いてトリミングを行
い抵抗値を調整した。この装置は、X−Yステージ、ガ
ルバノミラー、CCDカメラ、Nd:YAGレーザを備
え、また、ステージとガルバノミラーを制御するコント
ローラを内蔵している。このコントローラは、コンピュ
ータ(日本電気社製 FC−9821)に接続されてい
る。また、上記コンピュータは、演算部と記憶部を兼ね
るCPUを有しているとともに、記憶部と入力部を兼ね
るハードディスクと3.5インチFDドライブを有して
いる。なお、X−Yステージは、固定されたセラミック
基板の中心軸Aを中心として、任意の角度θだけ回転す
ることができるようになっている。
【0117】このコンピュータにFDドライブから発熱
体パターンデータを入力し、さらに、導体層の位置を読
み取って(読み取りは、導体層の特定箇所またはセラミ
ック基板に形成されたマーカを基準にする)、必要な制
御データを演算し、発熱体パターンを電流が流れる方向
に概ね平行に照射し、その部分の導体層を除去し、セラ
ミック基板に到達するまでの幅50μmの溝を形成した
(図8(c)参照)。
【0118】銀−鉛の抵抗発熱体は、厚さが5μm、幅
2.4mmであった。レーザは、1kHzの周波数で、
0.4Wの出力、バイトサイズは10μm、加工スピー
ドは10mm/秒であった。また、トリミングによる抵
抗値の調整は、全ての抵抗発熱体12a〜12gに対し
て行われた。
【0119】(7) 次に、硫酸ニッケル80g/l、次亜
リン酸ナトリウム24g/l、酢酸ナトリウム12g/
l、ほう酸8g/l、塩化アンモニウム6g/lの濃度
の水溶液からなる無電解ニッケルめっき浴に上記(6) で
作製したセラミック基板11を浸漬し、銀−鉛の抵抗発
熱体12の表面に厚さ1μmの金属被覆層(ニッケル
層)120aを析出させた。
【0120】(8) 電源との接続を確保するための外部端
子13を取り付ける部分に、スクリーン印刷により、銀
−鉛半田ペースト(田中貴金属社製)を印刷して半田層
を形成した。次いで、半田層の上にコバール製の外部端
子13を載置して、420℃で加熱リフローし、外部端
子13を抵抗発熱体12の表面に取り付けた(図8
(d)参照)。
【0121】(9) 温度制御のための熱電対をポリイミド
で封止し、セラミックヒータ10を得た。上記条件によ
り、セラミックヒータを10個製造した。
【0122】(実施例2)セラミックヒータの製造 本実施例では、図4に示す抵抗発熱体のパターンを有す
るセラミックヒータを製造した。図4に示すセラミック
ヒータは、外周部分に円弧繰り返しパターンからなる抵
抗発熱体52a〜52dを有し、その内側に、屈曲線の
繰り返しパターンからなる抵抗発熱体52e、52fを
有する。ただし、実際の屈曲線の繰り返しパターンは、
図4に示したものよりも間隔が狭く、従って繰り返し回
数も多く、その幅も広いものである。
【0123】(1) まず、実施例1と同様の方法で、セラ
ミック基板51を製造し、得られたセラミック基板に実
施例1で行った加工と同様の加工を施し、シリコンウエ
ハのリフターピンを挿入する貫通孔54、熱電対を埋め
込むための有底孔55(直径:1.1mm、深さ:2m
m)を形成した。
【0124】(2) 次に、セラミック基板に、スクリーン
印刷にて導体ペースト層を形成した。印刷パターンは、
図4の抵抗発熱体52の各回路となる抵抗発熱体52a
〜52fと同形状のパターンであった。また、導体ペー
ストは、実施例1と同様のものを用いた。
【0125】(3) このようにして、導体ペースト層を形
成した後、セラミック基板51を780℃で加熱、焼成
して、導体ペースト中の銀、鉛を焼結させるとともにセ
ラミック基板51に焼き付け、抵抗発熱体52を形成し
た。抵抗発熱体52a〜52d、52e、52fともに
幅は2.4mm、厚さが5μmであった。
【0126】(4) 次に、抵抗発熱体52に対して、実施
例1と同様の方法、および、システムを用いてレーザを
照射し、全ての回路(チャンネル)について抵抗値を調
整した。
【0127】(5) 次に、実施例1と同様にして銀−鉛の
抵抗発熱体の表面に厚さ1μmの金属被覆層(ニッケル
層)を析出させた。 (6) 実施例1と同様の方法で、電源との接続を確保する
ための外部端子を抵抗発熱体52の表面に取り付けた。
【0128】(7) 温度制御のための熱電対をポリイミド
で封止し、セラミックヒータ50を得た。上記条件によ
り、セラミックヒータを10個製造した。
【0129】(比較例1)セラミックヒータの製造 比較例1では、図9に示す屈曲線の繰り返しパターンか
らなる抵抗発熱体62a〜62fを有するセラミックヒ
ータを製造した。ただし、実際の屈曲線の繰り返しパタ
ーンは、図9に示したものよりも間隔が狭く、従って繰
り返し回数も多く、その幅も広いものである。 (1) 実施例1と同様にして、セラミック基板61を製造
した後、得られたセラミック基板に実施例1で行った加
工と同様の加工を施し、シリコンウエハのリフターピン
を挿入する貫通孔65、熱電対を埋め込むための有底孔
64(直径:1.1mm、深さ:2mm)を形成した。
【0130】(2) 次に、セラミック基板に、スクリーン
印刷にて導体ペーストを印刷した。印刷パターンは、図
9に示す抵抗発熱体62と同一のパターンであった。た
だし、抵抗発熱体62の回路の全長は実施例1と同じに
なるようにした。導体ペーストは、実施例1と同様のも
のを用いた。
【0131】(3) このようにして、導体ペースト層を形
成した後、セラミック基板61を780℃で加熱、焼成
して、導体ペースト中の銀、鉛を焼結させるとともにセ
ラミック基板61に焼き付け、抵抗発熱体62を形成し
た。銀−鉛の抵抗発熱体は、幅が2.4mm、厚さが5
μm、面積抵抗率が7.7Ω/□であった。
【0132】(4) 次に、抵抗発熱体62に対して、実施
例1と同様の方法、および、システムを用いてレーザを
照射し、全ての回路(チャンネル)について抵抗値を調
整した。
【0133】(5) 次に、実施例1と同様にして銀−鉛の
抵抗発熱体の表面に厚さ1μmの金属被覆層(ニッケル
層)を析出させた。 (6) 実施例1と同様の方法で、電源との接続を確保する
ための外部端子を抵抗発熱体62の表面に取り付けた。
【0134】(7) 温度制御のための熱電対をポリイミド
で封止し、セラミックヒータ60を得た。上記条件によ
り、セラミックヒータを10個製造した。
【0135】(比較例2)図11に示したように、セラ
ミック基板71に印刷するパターンを同心円状のパター
ンとする以外は、比較例1と同様にして、セラミックヒ
ータ70を10個製造した。
【0136】実施例1、2および比較例1、2を、以下
の方法により評価した。その結果を表1、2に示す。
【0137】評価方法 (1)抵抗値の測定 テスターピン14を用いて、抵抗発熱体の抵抗値を測定
し、平均の抵抗値に対するばらつきを計算した。その結
果を表1に示す。なお、抵抗値のばらつきとは、平均の
抵抗値と各部分の抵抗値との差をとり、平均の抵抗値で
割った際の最も大きな割合(%)をいうものとする。
【0138】実施例1については、外周部に形成された
抵抗発熱体12a〜12d内の各円弧毎に、トリミング
の実施前と実施後との抵抗値を測定し、抵抗値のばらつ
きを算出した。実施例2については、外周部に形成され
た抵抗発熱体52a〜52d内の各円弧毎に、トリミン
グの実施前と実施後との抵抗値を測定し、抵抗値のばら
つきを算出した。なお、表1における、(1)〜(9)
の括弧付き数字は、図1に対応する。すなわち、(1)
が最も外周側の円弧を指し、(9)は最も内周側の円弧
を指す。
【0139】また、比較例1については、外周部に形成
された抵抗発熱体62a〜62dを10区画に区分し
て、それぞれのトリミング実施後の抵抗値を測定し、抵
抗値のばらつきを算出した。比較例2については、抵抗
発熱体72を40区画に区分して、それぞれのトリミン
グ実施後の抵抗値を測定し、抵抗値のばらつきを算出し
た。表1において、比較例1については、抵抗発熱体6
2a〜62dの抵抗値ばらつきの平均値を記載し、比較
例2については、抵抗発熱体72の抵抗値ばらつきの平
均値を記載した。
【0140】(2)加熱面内の最高温度と最低温度との
差 得られた10個のセラミックヒータに通電し、300℃
まで昇温させ、昇温後のセラミック基板の加熱面の温度
をサーモビュア(日本データム社製 IR−16201
2−0012)により測定し、最高温度と最低温度との
差の平均値を算出した。その結果を表2に示す。
【0141】(3)断線の有無 得られた10個のセラミックヒータに通電し、300℃
まで昇温させ、溶融断線の有無について、目視観察によ
り評価した。すなわち、10個のうち、1個でも溶融断
線が発生した場合は、断線ありとし、10個全てにおい
て断線が発生しなかった場合は、断線なしとした。その
結果を表2に示す。
【0142】
【表1】
【0143】
【表2】
【0144】表1に示すように、実施例1、2の(1)
〜(9)のトリミング前の抵抗値のばらつきをみると、
抵抗値のばらつきが大きい領域が偏在していることが分
かった。これは、印刷方向に対して約45°離れた位置
となる領域と概ね一致した。また、このばらつきの大き
い領域を重点的にトリミングすることで抵抗値のばらつ
きを低減することができた。
【0145】その結果、実施例1、2に係るセラミック
ヒータにおけるトリミング後の最外周部分の抵抗発熱体
の抵抗値のばらつきは、3%以内に納まった。しかし、
比較例1において、抵抗値のばらつきは13.5%と大
きかった。これは、比較例1に係るセラミックヒータの
抵抗発熱体パターンでは、レーザ照射位置を設定するこ
とが難しいため、精度よく抵抗値の調整を行うことがで
きなかったためであると考えられる。また、比較例2に
おいて、抵抗値のばらつきは2.0%であった。
【0146】また、表2に示すように、実施例に係るセ
ラミックヒータにおいては、加熱面の最高温度と最低温
度との差は2℃と、比較的均一な温度になっていたが、
比較例1の場合には、実施例1、2の場合と比べて、加
熱面の最高温度と最低温度との差が大きかった。実施例
1、2では、より精度よい抵抗値の調整を行うことがで
きたためであると考えられる。また、比較例2では、最
高温度と最低温度との差は、8℃と非常に大きかった。
これは、セラミックヒータの外周部における抵抗発熱体
パターンの密度が低かったからであると考えられる。
【0147】また、実施例1、2および比較例2につい
ては、溶融断線は全く発生しなかったが、比較例1で
は、溶融断線が発生した。これは、実施例1、2および
比較例2に係るセラミックヒータの抵抗発熱体パターン
が、レーザトリミングを行う際のレーザ照射位置設定を
容易に行うことができるパターンであるため、精度のよ
いトリミングを行うことができたのに対し、比較例1に
係るセラミックヒータの抵抗発熱体パターンでは、レー
ザ照射位置を設定することが難しいため、図10に示す
ような、抵抗発熱体の側面とトリミングされた溝との距
離が極端に小さい部分Bが生じて、過剰に発熱してしま
ったためであると考えられる。
【0148】なお、いずれのセラミックヒータも短絡等
は発生せず、設定通りにセラミック基板の温度を上昇さ
せることができた。
【0149】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のセラミッ
クヒータによれば、少なくとも一の回路を構成する抵抗
発熱体は、同心円の一部を描くように繰り返して形成さ
れた円弧を基本的なパターンとしているため、抵抗値の
調整を容易にかつ短時間で行うことができ、生産性よく
製造されるためセラミックヒータが比較的安価なものと
なる。また、精度よく抵抗値の調整が行われているた
め、加熱面の温度均一性に優れたセラミックヒータとな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックヒータを模式的に示す平面
図である。
【図2】図1に示したセラミックヒータの一部を模式的
に示す部分拡大断面図である。
【図3】セラミック基板上にスクリーン印刷により抵抗
発熱体を形成した場合、抵抗発熱体の厚みが不安定にな
る領域を模式的に示す平面図である。
【図4】本発明のセラミックヒータの別の実施形態を模
式的に示す平面図である。
【図5】本発明のセラミックヒータの製造システムの概
要を示すブロック図である。
【図6】抵抗値を測定するために、抵抗発熱体を複数の
領域に分割する様子を模式的に示す斜視図である。
【図7】トリミングが実施された抵抗発熱体を模式的に
示す斜視図である。
【図8】(a)〜(d)は、セラミックヒータの製造工
程の一部を模式的に示す断面図である。
【図9】屈曲線の繰り返しパターンからなる抵抗発熱体
を有するセラミックヒータを模式的に示す平面図であ
る。
【図10】レーザトリミングにおける、レーザ照射位置
の設定精度が低い際に生じる、トリミングにより形成さ
れた溝と、抵抗発熱体の側面との距離が極端に狭い部分
を模式的に示す斜視図である。
【図11】同心円(渦巻き)状のパターンからなる抵抗
発熱体を有するセラミックヒータを模式的に示す平面図
である。
【符号の説明】
10、50 セラミックヒータ 11、51 セラミック基板 11a 加熱面 11b 底面 12(12a〜12g)、52(52a〜52f) 抵
抗発熱体 120 溝 120a 金属被覆層 13 テーブル 13b 固定用突起 14 レーザ照射装置 15 ガルバノミラー 16 モータ 17 制御部 18 記憶部 19 演算部 20 入力部 21 カメラ 22 レーザ光 23 抵抗測定部 24 テスタピン 34、54 有底孔 35、55 貫通孔 36 リフターピン 39 シリコンウエハ
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H05B 3/20 328 H05B 3/20 393 393 3/68 3/68 H01L 21/302 B Fターム(参考) 3K034 AA02 AA21 AA22 AA34 BB06 BB14 BC04 BC12 BC24 CA02 CA22 CA26 DA04 DA08 EA07 HA01 HA10 JA02 3K092 PP20 QA05 QB02 QB04 QB17 QB18 QB32 QB43 QB44 QB45 QB60 QB69 QB74 QB76 QC02 QC07 QC42 QC52 QC62 RF03 RF11 RF17 RF22 UA05 UA17 UA18 VV03 VV18 VV22 4M106 AA01 CA60 DD30 DH44 DH56 DJ02 5F004 AA01 AA16 BB26 BB29 5F045 BB02 BB08 EK09

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 円板形状のセラミック基板の表面に複数
    の回路からなる抵抗発熱体が形成されたセラミックヒー
    タであって、少なくとも一の回路を構成する抵抗発熱体
    は、同心円の一部を描くように繰り返して形成された円
    弧からなることを特徴とするセラミックヒータ。
  2. 【請求項2】 少なくとも一の回路を構成する抵抗発熱
    体は、同心円の一部を描くように繰り返して形成された
    円弧と屈曲線の組み合わせにより形成され、これら円弧
    の隣り合う端部が屈曲線により接続されて一連の回路が
    構成されている請求項1記載のセラミックヒータ。
  3. 【請求項3】 同心円の一部を描くように繰り返して形
    成された前記円弧は、セラミック基板の外周部に設けら
    れてなる請求項1に記載のセラミックヒータ。
  4. 【請求項4】 少なくとも一の回路を構成する抵抗発熱
    体は、レーザ光を用いたトリミングにより、抵抗発熱体
    の電流が流れる方向に対して、概ね平行および/または
    垂直に溝または切欠が形成され、抵抗値が調整されてい
    る請求項1〜3に記載のセラミックヒータ。
  5. 【請求項5】 抵抗発熱体の抵抗値のばらつきが5%の
    範囲内に調整されている請求項1〜4のいずれか1に記
    載のセラミックヒータ。
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