JP2002129469A - アモルファス型酸化チタンを使用した光触媒効果のある繊維製品 - Google Patents

アモルファス型酸化チタンを使用した光触媒効果のある繊維製品

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JP2002129469A
JP2002129469A JP2000315269A JP2000315269A JP2002129469A JP 2002129469 A JP2002129469 A JP 2002129469A JP 2000315269 A JP2000315269 A JP 2000315269A JP 2000315269 A JP2000315269 A JP 2000315269A JP 2002129469 A JP2002129469 A JP 2002129469A
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water
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titanium oxide
fiber product
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JP2000315269A
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Kenichi Yamanaka
堅市 山中
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アモルファス型酸化チタンであるペルオキソ
チタン酸溶液の光触媒効果をもつ酸化チタンとしての使
用、および撥水剤としての使用、およびそれらの効果を
持つペルオキソチタン酸溶液を付着させた繊維あるいは
繊維製品の提供。 【解決手段】 ペルオキソチタン酸溶液を、繊維製品等
に浸漬あるいはスプレー等により付着させ、それを従来
のような高温にての加熱をせずとも自然乾燥させるだけ
で付着力の良い酸化チタン膜が得られると共に、アナタ
ーゼ型酸化チタンと同様の光触媒効果のある繊維製品等
が得られるものである。更に、それらは従来の光触媒効
果の親水性とは逆の撥水効果を生じるものであり、それ
らを利用・活用する事で従来になかった繊維製品等が得
られるものである。更に、アナターゼ型酸化チタン液を
混合する事で撥水効果を調整できると共に、より光触媒
効果も得られるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アモルファス型酸
化チタンであるペルオキソチタン酸溶液の光触媒効果を
もつ酸化チタンとしての使用、および撥水剤としての使
用、およびそれらの効果を持つペルオキソチタン酸溶液
を付着させた繊維あるいは繊維製品に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】従来は、本発明のような光触媒効果のあ
るものとしてのアモルファス型酸化チタンであるペルオ
キソチタン酸溶液の使用はなく、光触媒効果を得るため
には結晶化させる必要があり、そのためにはペルオキソ
チタン酸溶液を含めアモルファス型酸化チタンの場合に
は、それを付着させた基体を数百度の温度にて長時間加
熱あるいは焼成しないと光触媒効果のある結晶化したア
ナターゼ型あるいはルチル型の酸化チタンとして利用で
きないものとされていたものである。あるいは、ペルオ
キソチタン酸溶液のようにその基体への付着力を利用し
た他の結晶化した酸化チタンを付着させるためのバイン
ダーとしての利用であったり、あるいは光触媒効果のあ
る酸化チタンを有機物に付着させる場合における、その
有機物の光触媒効果による分解を防ぐための保護膜とし
ての使用であったり、何れもペルオキソチタン酸溶液を
含むアモルファス型酸化チタンには光触媒効果はないも
のとし、且つそれを期待したものはなかった。
【0003】係るに本発明者は、ペルオキソチタン酸溶
液には繊維あるいは繊維製品に付着させ、自然乾燥させ
るだけでも光触媒効果を生じる事を見出し本発明に至っ
たものであり、従来は本発明のようなペルオキソチタン
酸溶液の使用はなく、知られていなかった。更に、それ
を付着させた繊維あるいは繊維製品には撥水効果を生
じ、ペルオキソチタン酸溶液を撥水剤としても使用でき
るものであり、同じく従来はそのような使用もなかっ
た。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明はアモルファス
型酸化チタンであるペルオキソチタン酸溶液の光触媒効
果をもつ酸化チタンとしての使用、および撥水剤として
の使用、およびそれらの効果を持つペルオキソチタン酸
溶液を付着させた繊維あるいは繊維製品の提供を課題と
する。
【0005】
【課題を解決するのための手段】初めに、前述の通り従
来はアモルファス型酸化チタンであるペルオキソチタン
酸溶液には光触媒効果はなく、その効果を得るためには
それを基体に付着させ数百度の温度にて加熱あるいは焼
成する事により結晶化させ、アナターゼ型あるいはルチ
ル型の酸化チタンとする事で光触媒効果を得ていたもの
である。しかるに、アモルファス型酸化チタンであるペ
ルオキソチタン酸溶液に光触媒効果および撥水効果を生
じる理由は不明であるが、本発明によると、ペルオキソ
チタン酸溶液を繊維あるいは繊維製品(以下、繊維製品
等という)に付着させ、それを従来のような高温での加
熱等をしなくとも自然乾燥させるだけで光触媒効果を生
じる繊維製品等が得られるものであり、更に、それらの
繊維製品等には周囲の条件に関係なく従来の親水性とは
逆の撥水性があり、その効果も得られるものである。更
に、その効果のあるものとしての使用、およびそれを利
用・活用した繊維製品等はなく、且つ知られていなかっ
た。また、それらの効果は繊維製品等に付着・乾燥させ
るだけで良いため、後加工でも簡単に得られるものであ
り、それを利用・活用する事で従来にない繊維製品等が
得られるものである。
【0006】尚、本発明における自然乾燥とは室温程度
の温度での乾燥を言い、概ね20〜35度程度の自然環
境下での温度で十分であり、低湿度に調整された環境下
であればより好ましい。更には、35〜80度程度の温
度で且つ乾燥した雰囲気中における乾燥であれば、繊維
製品等を含め酸化チタンの質の変化もさせず付着力も増
すため更に好ましい。しかしこれに限るものではなく、
付着させた溶液が乾燥し且つ繊維製品等を変化変質させ
る温湿度でなければどのような条件であっても好ましく
用いられるものである。
【0007】また、ペルオキソチタン酸溶液は基体とな
る繊維製品等に付着させさせ易く、且つそれが変化変質
しないものが好ましく用いられる。更に加えて、アナタ
ーゼ型酸化チタン分散液と混合使用する事でその撥水効
果の調整もでき、併せてその配合比率を上げる事でより
光触媒効果のある繊維製品等としても得られるものであ
る。但し、その配合比に応じ付着力も減少するため事前
の確認が望ましい。また、アナターゼ型酸化チタン分散
液においても前記に同じく基体となる繊維製品等に付着
させさせ易く、且つそれが変化変質しないものが好まし
く用いられるものである。
【0008】次に本発明に使用する繊維製品等は、染色
加工するものであれば染色後が良く、無染色のまま使用
するのであればそのままで使用し、当然の事として本発
明に使用する液を付着しない物を除き、糸、織り、編
み、不織等を問わずどのような種類、形状、形態であっ
ても好ましく用いられるが、付着効果および本発明の効
果を含む光触媒効果をより得るためには、繊維表面が平
滑なものより凹凸があるもの、および繊維が細く絡み合
っているものの方が、繊維と繊維の間にも物理的に酸化
チタン粒子が絡みつく事により付着量を増す事ができ、
より本効果を期待できるので好ましい。但し、繊維製品
等またはその染色方法等によっては十分な付着が期待で
きないものもあるため、それぞれの繊維製品等に合わせ
た事前の確認、対応をするのが望ましい。
【0009】次に、ペルオキソチタン酸溶液を使用し効
果を得たい繊維製品等を作成するのであるが、その方法
はペルオキソチタン酸溶液を繊維製品等に浸漬あるいは
スプレー等によりできる限り均等に塗布浸透させた後、
それを自然乾燥させるだけで酸化チタンが付着した撥水
効果を併せ持つ光触媒効果のある繊維製品等が得られる
ものである。尚、その乾燥方法は前述の通りであるが、
できれば温風等で乾燥させる方がより付着力を増すので
好ましい。それは、同一条件にて作成した繊維製品等を
自然乾燥させた物と乾燥機により温風にて加熱乾燥させ
たものを、それぞれ水を入れた容器の中で手もみ洗いに
よりそれぞれの酸化チタンの剥離状況を目視により調べ
ると、その水の濁り方が自然乾燥に比べ加熱乾燥の方が
少ないため、その付着力が判断できるものである。
【0010】但し、繊維の種類、または同じ種類の繊維
であってもその製造方法または染料または染色方法によ
っては本溶液が付着し難いものがあるため、それぞれ事
前の確認をするのが望ましい。尚、本溶液を繊維製品等
に付着させる方法は、前述の方法に関わらず、公知の各
種製法等で液を変質させず、且つ繊維製品等が変化変質
せずにできる限り均等に塗布浸透させ付着させる事がで
きればどのような方法でも好ましく用いられるものであ
る。更に好ましくは、それらの繊維製品等の製造過程に
おいて付着あるいは含有させる事で製造効率の良い、且
つ効果の均一な製品も得る事ができるものである。以下
にそれらを更に詳しく説明する。
【0011】
【発明の実施形態】まず、本発明において使用するペル
オキソチタン酸溶液は前述の通り付着させる繊維製品等
および人体に悪影響を与えず、且つ同等以上の性能のも
のであれば何れも好ましく使用できるものであり、更に
ゲル状のものよりゾル状のものが取り扱い易く好ましく
使用できるものである。また本発明に使用するペルオキ
ソチタン酸溶液は公知の製法にて得られるものであり、
例えば特許番号第2875993号の製法により得られ
るペルオキソチタン酸溶液(以下、本溶液という)が中
性で水と酸化チタンでできており、且つ不純物を殆ど含
まないものであるため好ましく用いられる。また、その
製法により製造された本溶液は各方面より市販されてお
り、中でもPTAゾル(株式会社田中転写製)が好まし
く使用できるものである。
【0012】重ねて、本溶液は中性であるので繊維製品
等に対して質の変化をほとんど与えずに使用できるた
め、後加工により簡単に光触媒効果のある繊維製品等等
を得られるものである。また、本溶液は自然乾燥でも基
体への付着力は十分にあり、且つバインダーの替わりに
なり得る程度の付着力のあるもので、その付着力を活用
して本発明の繊維製品等を得るものである。更に、酸化
チタン以外の不純物をほとんど含んでいない事により少
量でも本発明の請求項記載の各効果(以下、本効果とい
う)を得る事ができるものであり、その濃度すなわち付
着量を変化させる事により各種用途に応じた本効果のあ
る繊維製品等を得る事ができるものである。更に、本溶
液の酸化チタンは10nm程度の超微粒子であり、且つ
溶液中に粒子が均一に溶け込んでいるため、繊維製品等
を溶液に浸漬し含浸させるだけでも酸化チタン粒子が繊
維の隅々にまで浸透し、且つ均等に分散すると共に付着
するため、本効果のより均一な繊維製品等が得られるも
のである。
【0013】本溶液の酸化チタン粒子は加熱する事でよ
り基体に対する付着力を増すが、より強い付着力を得た
い場合には、前述の通りその繊維製品等の質あるいは形
状・形態にもよるが、常温〜80度程度の温度で、ある
いはその繊維製品等を変質させない程度の温度・時間に
おいて加熱乾燥する事で得られるものである。但し、加
熱する事により、繊維製品等を劣化させてしまう恐れも
あり、自然乾燥でも十分な付着力のある本効果のある繊
維製品等が得られるため、それらを考慮の上製造方法を
選択するのが望ましい。
【0014】更に加えて、本溶液にアナターゼ型酸化チ
タン液を配合しその比率を調整する事で撥水効果の強弱
も調整もできるものであり、併せてその比率に応じたよ
り光触媒効果を増した繊維製品等を得る事もできるもの
である。そのアナターゼ型酸化チタン液としては本溶液
と同じくゲル状のものよりゾル状のものが好ましく、且
つ基体となる繊維製品等に付着させる事でその繊維製品
等が変化変質しないものが好ましく用いられるものであ
り、中でも本溶液と同じ特許番号第2875993号の
製法により得られるアナターゼ型酸化チタン分散液(以
下、本分散液という)が同一製法により製造されたもの
であり、それぞれに相性が良く且つ混合しても分離せず
に均一に分散し均等な効果が得られるため、より好まし
く用いる事ができるものである。これは同じくTOゾル
(同株式会社田中転写製)として市販されており、好ま
しく使用できるものである。但し、本分散液の重量配合
比が増えるに従い付着力がそれに比して減少するため、
それぞれの使途に応じた配合比を選択するのが望まし
い。尚、本分散液は本溶液を80度以上の温度にて長時
間加熱する事により溶液中の酸化チタン粒子を結晶化さ
せる事で得られるペルオキソ基に修飾されたアナターゼ
型酸化チタン分散液である。但し、これに限るものでは
なく、同等ものであれば同じく好ましく使用できるもの
である。
【0015】しかし、より光触媒効果が欲しい場合、あ
るいはあっても不都合でない場合には、両液を加工しよ
うとする繊維製品等に期待する効果にあわせ本分散液の
配合比率をより大きくした本溶液との混合液を使用し、
同じく自然乾燥から繊維製品等を劣化させない範囲の温
度にて長時間加熱し乾燥させる事により、より光触媒効
果のある繊維製品等も得る事もできるものである。また
それぞれに共通であるが、一般の塗装で言う重ね塗りの
要領で乾燥後に再度付着させる事でそれぞれの効果は増
大するが、付着粒子の量が増し膜厚が厚くなり、その繊
維製品等の柔軟性が損なわれるため、この方法で行うに
おいても事前の十分な確認検討のうえ行うのが望まし
い。
【0016】それらを考慮し、本効果を得るための本溶
液および本分散液の濃度は、それぞれ4重量%を上限と
し0.15重量%を下限として使用するのが経済的でも
あり好ましい。それは溶液濃度が概ね4重量%を超える
とその濃度に応じたゲル状の液となり、繊維製品等に均
一に塗布する事が困難となるばかりか、付着した酸化チ
タンの膜厚が厚くなりすぎる事が多いため乾燥させると
その多くが剥離し易く、目的とする繊維製品等が得られ
ない事があるうえ、使用した液が無駄になるからであ
る。逆に0.15重量%以下だと、酸化チタン粒子量が
少なく膜厚が薄くなり、本分散液の効果を含む本効果等
はあまり期待できないためできれば避けるのが望まし
い。好ましくは0.5〜1重量%程度のものが扱い易く
本効果も十分に得られ且つ経済的である。
【0017】また、本溶液と本分散液とを混合する場合
においては、その配合比率は特にこだわる必要はなくそ
れぞれの用途に応じ期待する本発明の効果等が得られる
比率を選択すれば良いのであるが、本分散液の重量配合
比率が40%以下であると、すすぎ洗い程度の洗濯であ
れば付着力の良い剥離しにくい撥水効果のある製品が得
られる。但し、10%以下の場合には、本分散液を配合
した事による光触媒効果の増加はあまり期待できないの
で、それぞれの繊維製品等および用途に応じた配合を検
討し選択するのが望ましい。
【0018】これは、前述の通り本溶液および本分散液
が、同じ製法および製造過程で造られる液である事によ
り、それぞれの相性が良く混合しても分離せず液中に均
等に分散され、且つその濃度および配合比率に応じたそ
れぞれの持つ性質および特徴が素直に表れるためであ
り、繊維製品等に塗布した場合にその濃度に応じた粒子
量が付着しその膜が作られると共に、その配合比率に応
じた付着力および光触媒効果を生じるからである。但
し、繊維製品等によっては一見同様の形状・形態であっ
ても付着量に違いがあるため、それぞれに応じた効果を
得るため事前の確認・選択するのが望ましい。以下に本
発明による繊維製品の手作りによる製造方法と、目視レ
ベルでの光触媒効果等の実験を実施例として詳しく説明
する。また、機器等により製造する場合においても、こ
れらに倣い製造できるものであるが、これに限るもので
はない。
【0019】まず、本発明の効果を得るために使用する
繊維製品等としては天然、化繊を問わずどのような形状
・形態であっても何れも用いる事ができるが、後加工に
おいては化繊よりも天然繊維の方が好ましく用いられる
ものである。また、後述する実施例においては一般に市
販されている繊維製品で白色の綿、絹、麻、ウール、ア
クリル、ポリエステル、ナイロン、レーヨンの各布製品
を供試体および対照として共通に使用し、目視レベルに
おける実験においてそれぞれに効果を得たものである。
また、それぞれの繊維製品は事前に洗濯機にて十分に洗
濯し自然乾燥させたものを使用した。
【0020】前記の繊維製品を使用し本効果を得るため
の付着させる液として、まず光触媒効果の有無確認のた
めの液として本溶液および本分散液の濃度をそれぞれ
0.85重量%に調整した液を、および本効果の確認のた
めの前記と同じ本溶液と本分散液の配合比率を均等に配
合した混合液、および60対40とした混合液、および
その逆の40対60とした混合液を作成し5種類の液を
得た。
【0021】それらの液に前記繊維製品を浸漬し、その
全体に液が浸透するように液中で繰り返し揉み込む事に
より含浸させ、それぞれ保水できる程度の液量となるよ
う余分な液を調整した後、自然乾燥させる事でそれぞれ
の繊維製品を供試体として得た。尚、厚みのある繊維製
品あるいは繊維製品内部に空気をため込むような繊維製
品等および撥水性あるいはそれに類似した性質を持つ繊
維製品等に浸透・含浸させようとすると、その内部にま
では浸透させにくいため、同じく液中でその繊維製品等
を揉み込むように断続的な圧力をかけ、繊維内部の空気
を押し出すようにして内部にまで吸い込むように浸透さ
せるのが望ましい。このようにする事で繊維製品等の隅
々にも液が浸透すると共に、酸化チタン粒子が繊維と繊
維の間にも物理的に付着するようになるため好ましい。
これらは供試体以外の繊維製品等にも共通して行える方
法であるが、普通の布地よりタオル地のような製品の方
が浸透させ易かったものであり、同種の繊維製品等でも
編み方、織り方等による繊維の密度の違いにより生じる
ものと思われ、それぞれの繊維製品等に合わせた方法を
事前に検討する事が望ましい。
【0022】尚、繊維製品等に含浸させる液量は前記の
通り繊維製品等に飽和状態的に保水できる量(以下、飽
和含水量という)を基準とするが、使途に応じその量の
調整をするのが望ましい。また、本例におけるその飽和
含水量とは、それぞれの繊維製品等を水を入れた容器に
浸漬しその水が繊維内部にまで浸透するように揉み込む
ように含浸させた後に取り出し、それをハンガーなどに
吊るし繊維に含浸した水が滴り落ちなくなった時のその
下部に溜まった余分な水を除去した後の繊維製品等の重
量を測る事でその飽和含水量とするもので、厳密なもの
ではないが一つの基準とできるものである。
【0023】加えて、含浸させる量をその繊維製品等の
飽和含水量としたのは、乾燥させるに当たり、それ以上
の量が付着しているとほとんどの繊維製品等で液が偏る
と共に滴り落ち、その液が余分な量であると共に無駄で
あり、そのまま乾燥すると酸化チタン粒子が偏った状態
で付着したまま乾燥し、均一な効果が得られなくなるた
めである。また、それ以下の量の場合は、繊維製品等全
体に均等に浸透していない状態であったり、繊維製品等
全体に含浸させた場合にはその繊維製品等をきつく絞る
ようにしないと調整できないため、同じく均一性を欠き
易い。それが繊維製品等の飽和含水量とする事で、均一
的に含浸させる目安とする事ができるうえ、液より取り
出した時の余分な液を除く調整をする場合にも軽く挟む
程度で済み、より均一的に粒子を付着させたより効果に
ムラの少ない繊維製品等が得られると共に、同じく製造
基準の一つとする事ができるからである。よって、それ
ぞれの繊維製品等によりその飽和含水量が違うため、事
前の確認は必要であり望ましい。但し、その保水量が事
前に分かっている場合には、その量を含浸させる量とす
るのが最良と思われるが、同じく事前の確認をするのが
望ましい。尚、本各例に使用する供試体の飽和含水量は
ほぼ同じであり、その製品重量の概ね2.5〜3倍であ
った。
【0024】本発明の供試体を含め化学繊維の場合で多
く見受けられたものであるが、その種類または同じ種類
であっても撥水性があり、液をはじいてしまい付着効率
の良くない物も多くあるので同じく事前の確認をするの
が望ましい。その場合においては、同じ浸漬方法で数回
に渡り液にゆっくりと出し入れするディッピング法の要
領で浸漬する事で付着させる事ができるものである。ま
た、同質の繊維製品等であっても染色された色の違いに
より同じく付着効率の良くない物があるので、同じく事
前の確認の上それぞれに応じた調整をするのが望まし
い。これらは製造方法あるいは染料あるいは染色方法の
違いにより起こるものと思われる。更に加えて、それぞ
れの繊維製品等あるいはそれぞれの液を変化、変質しな
い程度に適度に予熱しておくとより付着し易くなり、効
率的である。本例においては繊維製品等を家庭用のヘア
ードライヤー(1000W)の温風にて1〜2分程度全
体的に暖める事で予熱し付着し易くさせた。これは予熱
する事により繊維製品等が柔軟になり浸透させやすくな
ると共に、付着した液の水分が早く蒸発し、より液の粘
度が増し酸化チタン粒子が付着し易くなるためと思われ
る。尚、液濃度を上げる事でも同様に付着効率を上げる
事ができるが、前述のように付着量が多く膜厚が厚くな
り剥離し易くなるので、この方法で行う場合には濃度お
よび付着量等の製造管理を十分に行う事が望ましい。
【0025】次に、スプレーにより作成する場合には、
前述の浸漬方法の場合と同様にその繊維製品等に均等に
浸透・含浸するように吹き付ければ良いのであるが、そ
の繊維製品等が糸または薄い布の場合はあまり問題はな
いが、厚みのある布の場合にはその繊維全体に浸透させ
ることが難しいため、事前にその方法等の検討するのが
望ましい。その他、付着の良くない繊維製品等の場合に
おいては前述の浸漬法に倣い予熱する事で対処すれば良
くはなるが、均一性を欠き易く浸漬法以上の製造管理が
必要となるため、できれば他の方法にて付着させるのが
効率的である。また、本スプレー法はどちらかというと
布あるいは繊維表面の塗布に適している方法であり、布
の片面のみに効果を期待したい場合あるいは片面のみで
よい場合の処理、あるいは使い捨て使用等の製品でその
表面にのみ効果が期待できればよい製品の製造に向いて
いる方法である。尚、毛羽立った繊維製品等の場合には
厚みに関わらず液をはじき易いので、同じく事前の確認
検討が望ましい。また、それ以外にも吹き付ける圧力、
空気量等によりその浸透させられる量が違うため、併せ
ての確認が望ましい。本発明においては噴出し圧力が
0.3MPaで空気量が毎分17リットルのコンプレッ
サーでノズル径が0.3mmのエアーブラシを使用し、
適宜調整をしながら吹き付け浸透・含浸させた。以上の
要領にて作成した前述の繊維製品を使用し、各種効果の
確認等の実験を行ったものを以下に詳しく説明する。
【0026】
【実施例】(実施例1)本発明における浸漬法により作
成した前述の各供試体と、未処理の同じ繊維製品を対照
としてそれぞれ10cm角の大きさに調整したものを3
枚ずつ作成し、それぞれの光触媒効果の有無を目視によ
り確認するため、パイロット社製のINK30Rの赤イ
ンクを30倍に薄め、0.5mlをそれぞれ布の表面に
前記のエアーブラシにて直径5cm程度の大きさに均等
に塗布し、直射日光に当てる事でそのインクの分解効果
の実験を行いそれぞれ効果を得たものである。
【0027】その結果、各供試体とも殆ど同様に分解が
始まり、本分散液のみを使用した物が一番早く分解しそ
れぞれ15〜20分程度で、本溶液および他の混合液の
ものは殆ど差がなくそれぞれ20〜25分程度でわずか
なインクかすと思われる跡を残して分解し効果を得た。
但し、本溶液のみを使用した物はその跡の色がわずかに
濃いものであったが、これは本溶液のペルオキソ基の黄
色の影響によるものと思われる。また、その後1時間程
度放置する事で、それぞれそのインクかすと思われるも
のもほとんど分解し見えなくなったものである。片や対
照の方は1時間経過しても、紫外線による分解と思われ
る程度のわずかに薄く分解した程度で、2時間経過後も
その半分程度が分解されただけであった。これはそれぞ
れ3枚共ほぼ同じ結果であった。
【0028】これらの結果から、それぞれの供試体に光
触媒効果の有る事が分かると共に、本溶液であるペルオ
キソチタン酸溶液はアモルファス型であるが、繊維製品
等に付着させた場合においてはアナターゼ型と比較する
と緩慢であるが十分な光触媒効果を生じるものである事
が判断できるものである。更にその後、供試体および対
照の各繊維製品等をそれぞれ水で手もみ洗いをし、その
乾燥後に同じ実験をすると、洗濯前より分解効率が落ち
少しばらつきはあったが、供試体はそれぞれ30〜40
分程度で同様に分解を終えた。しかし、対照は洗濯前と
ほとんど変りはなかった。尚、この事により本分散液の
みの繊維製品等は他の液の繊維製品等と比較して酸化チ
タン粒子がより多く剥離しているのが推測できるもので
あり、その付着力は他の液より良くない事が判断できる
ものである。逆に、本配合比率における混合液および本
溶液のみで作成した供試体においては、もみ洗い程度で
は酸化チタン粒子は十分に付着している事も判断できる
ものである。尚、確認として、前述の実験の布を白色の
施釉タイルに換えて行った場合の、本溶液を塗布乾燥さ
せたタイル面のインクは、未処理のタイル面に塗布した
インクと同程度の分解効率であり、紫外線による色が薄
くなる程度の分解しか行わなかったが、その他の配合の
ものは、供試体の布の場合と比べて分解時間は遅かった
が、それぞれ同様にインクを分解したものである。これ
によっても本発明の繊維製品等に付着させた場合には光
触媒効果を得られる事が分かるものである。
【0029】(実施例2)次に、撥水効果を得るため、
実施例1記載と同じ繊維製品の供試体の内、未処理の状
態で吸水性のある綿布を使用し、本溶液、本分散液をそ
れぞれ単独で使用した同じ供試体を別途作成し、水をス
ポイドで約1.5cmの高さより滴下させる方法および
水を入れた容器に供試体を広げて浮かべる方法によりそ
の確認を行い効果を得た。化繊を除いたのは、その撥水
効果が繊維製品等自体によるものか酸化チタンによるも
のかが区別し難い繊維製品等が多いためである。この場
合において、まず本分散液を単独使用した繊維製品等は
水を滴下せるとそのまま瞬時に繊維製品等に浸透し吸収
され、水に浮かべると同じく瞬時に水を吸収しまもなく
水没した。本溶液を単独使用したものは、滴下した水は
水玉になり水をはじくと共に水面に浮かんだが、水を振
り払った時の繊維製品等の状態はわずかであるが湿って
いた。また、長時間水に浮かべておくと徐々にではある
が水が浸透したものもあった。尚、両液を均等に混合し
たもので作成した供試体は、前記のそれぞれの状態の中
間的な状態であり、水を滴下すると緩やかに浸透し、水
に浮かべると同じく水が緩やかに浸透し、水没はしない
が水面ぎりぎりに浮かんでいるものであった。尚、時間
の経過と共に徐々に水没したものもあった。
【0030】尚、前記とは逆の吸水効果効果を得るため
実施例1記載と同じ繊維製品の供試体の内、未処理の状
態で撥水性のある化繊のナイロン布を本供試体として使
用し、同じく本溶液本分散液をそれぞれ単独、および均
等に混合した同じ物を使用した浸漬法による供試体を別
途作成し、前記の撥水効果の確認実験と同じ方法で行い
効果を得た。天然繊維製品等を除いたのは、その吸水効
果が繊維製品等自体によるものか酸化チタンによるもの
かが区別し難い繊維製品等が多いためである。本実験に
おいても同じく本溶液を単独使用した供試体は未処理の
布と同様の撥水効果があり、水を滴下するとより水をは
じき、水に浮かべるとより表面張力が働いたように水面
に浮かんだが、本分散液を単独使用した供試体は明らか
な吸水効果があり、水を滴下するとほぼ同時に浸透し、
水に浮かべると同じくほぼ同時に水が浸透し繊維製品等
全体に行き渡ったものである。これは明らかに本分散液
による吸水効果によるものと判断できるものである。ま
た、液を混合したものは綿布と同じような現象であった
が、どちらかというと繊維製品等の性質の撥水効果が大
きいと感じられるものであった。
【0031】(実施例3)次に、より強い撥水効果を得
るため実施例2記載と同じ供試体で、その作成する過程
において家庭用の洗濯乾燥機を使用し、それぞれが影響
しないように個別に完全乾燥に至るまで強制乾燥させた
もので本例の供試体を得、その撥水、吸水効果の確認実
験をした。結果、実施例2記載と同様に効果が有った
が、本溶液を単独使用したものはより強い撥水効果が有
ったもので、それぞれ滴下した水は球に近いものができ
たうえ、より水をはじき水面に浮かんだ。また、その水
を払った後の繊維製品等の状態も自然乾燥と比較してあ
まり湿り気はなかったもので、より強い撥水効果のある
ことが分かるものである。更に、長時間水に浮かべても
同じく目視レベルでの水の浸透はほとんどなかった。
尚、本分散液を単独使用したもの、および混合使用した
ものの目視レベルでの違いはあまり確認できなかった
が、本分散液を単独使用したものはより吸水性が増し、
混合したものはどちらかというと吸水性が増した感じが
する程度のものであった。
【0032】(実施例4)次に、混合液の明らかな撥水
あるいは吸水効果が生じる混合比率を得るため、それぞ
れの本溶液および本分散液の配合比率を、均等、および
55対45、および60対40、およびそれぞれその逆
の混合液を作成し、それぞれの液により本発明における
浸漬方法で、未処理の状態で吸水性のある綿布同じく撥
水性のあるナイロン布で供試体を作成し、前述と同じ水
の滴下および水に浮かべる実験方法でその確認をし混合
比を得た。
【0033】まず均等配合の場合は、それぞれの繊維製
品等の持つ特徴の効果が勝っているように感じる程度に
滴下した水が徐々に浸透し、水に浮かべると同じく徐々
に水が浸透した。次に55対45の配合の場合は均等配
合と比較して、それぞれ配合量の多い液の特徴、性質が
大きくなったと思われる程度の撥水または吸水現象で、
それぞれゆっくりと浸透したものであり、60対40の
配合の場合には、明らかにそれぞれの配合の多い方の液
の特徴、性質が表れたと思われるもので、それぞれ単独
使用のものと比較するとその効果、現象に緩慢な所は見
られるが、本溶液の配合比率の大きいものは撥水作用が
明らかに働き、水をはじきそして浮かんだもので本溶液
単独使用のものと同じような撥水効果があった。片や本
分散液の配合比率の大きいものはその逆で、吸水作用が
明らかに働き、ほとんど同時に水を吸収し、そしてゆっ
くりとであるが水面下に沈んだもので、本分散液単独使
用のものと同じような吸水効果があった。これらの事に
より、混合した液でそれぞれ吸水または撥水効果の欲し
い場合には、その期待する効果のある液の配合比率を概
ね55〜60%以上にする事で得られる事が分かるもの
である。逆にそれぞれの混合比率に応じたその特性を発
揮するため、対応する液の効果を抑える緩和剤としても
使用できるものである。但し、光触媒効果および付着力
の事も併せて検討し選択するのが望ましい。
【0034】(実施例5)次に、紙製品での本効果を得
るため、市販のティシュペーパー、コピー用紙、和紙で
できた便箋および画用紙を供試体および対照として共通
に使用し、紙製品に対する光触媒効果および撥水効果お
よび吸水効果を得た。その実験を本溶液および本分散液
をそれぞれ単独使用し、それぞれ10cm角に調整した
ものに1mlをスプレーで均等に吹き付ける事でそれぞ
れの紙製品に含浸させ、自然乾燥させたもので実験を行
い、それぞれ前述の各実験と同様の効果を得たものであ
るが、同じ繊維製品であっても布などと違い、液が乾燥
するに連れて製品の収縮にムラが生じ、紙としての機能
を果たせるものは少なかったが、紙の表面に薄く吹き付
ける程度であれば画用紙程度以上の厚みのあるもの、ま
たは薄くても繊維の密度が高く吸水性の少ないものは十
分にその用途として使用できるものであった。
【0035】まず光触媒効果の結果であるが、前述の供
試体の布と比較するとその効果は緩慢であり且つ同一表
面上においてもばらつきが有り効率が悪く、一つの結果
としての測定は困難であった。また、分解時間も40〜
60分程度かかったものである。更に、供試体以外の紙
においてもほぼ同様であり、中でも繊維密度が高く艶の
ある紙などは1時間以上かかり薄い塗布跡を残して分解
したものもあった。これはタイルなどの固体に付着させ
た場合と同様の表面状態であったためとも思われる。し
かし、未処理の対照はそれぞれ2時間以上かかってもま
だ薄くそのインクが付着しているのが分かるものであ
り、それと比較した場合には十分にその効果のある事が
分かるものである。これらは紙の繊維密度などにムラが
ある事で両液およびインクの浸透あるいは付着の仕方が
布等の繊維製品等と違う事により起こるものと思われ
る。
【0036】次に、撥水および吸水効果の結果である
が、本溶液を塗布浸透させた供試体はそれぞれ滴下した
水をはじくと共に水に浮かび、本分散液を塗布浸透させ
た供試体はそれぞれ滴下した水は瞬時に吸収し、水に浮
かべると同じく瞬時に水を吸収し、しかも水面側と反対
側である表面にまでもほぼ同時に浸透してきたもので、
未処理の対照と比較してその浸透速度は明らかに速く、
本分散液の吸水効果によるものと判断できるものであ
る。
【0037】(実施例6)尚、本発明においての本溶液
の撥水効果および本分散液の吸水効果が従来の光触媒効
果によるものか否かを確認するため、同じ供試体を作成
し光の当たらない状態において、水に浮かべる事により
その撥水あるいは吸水効果の有無でその確認をし効果を
得た。従来の光触媒効果の中には撥水効果は言われてい
ないが確認のための実験であり、本実験の主目的は本分
散液の光触媒効果による親水性に対する確認である。こ
の実験により本発明の本分散液の吸水効果が紫外線によ
るものであるか否かが判断できるものである。
【0038】その確認に使用する繊維製品等として、本
溶液の撥水効果の確認には吸水性のある実施例2記載と
同じ綿布を使用し、本分散液の吸水効果の確認には撥水
性のあるナイロン布を使用した。それぞれの供試体とす
る布は事前に太陽光の当たる場所において同じ布を水に
浮かべる事でその撥水性、吸水性を調べておいたもの
で。まず、綿布は水に浮かべると速やかに吸水し、その
事で水没するような吸水性のあるもので、その後水中か
ら引き上げても含水したままの状態であり、布を絞って
も水を絞りきれず、湿った状態のままであった。次に、
ナイロン布の場合は水に浮かべるとその撥水効果により
浮かんでしまうため、強制的に沈めてから引き上げても
ほとんど水をはじいており、わずかに付着していた水は
布を指先ではじく程度で、はじき飛ばされるものであっ
た。
【0039】次に、それぞれ浸漬法にて別に作成した同
じ布の供試体を使用し、それらを、外光が入らない状態
にした室内で照明を消した暗室状態で、それぞれの供試
体および対照とする未処理の同じ布を広げた状態でゆっ
くりと水に浮かべた後、その状態のままで取り出し、そ
れぞれの状態を白熱灯の照明下で確認する事で効果を得
た。本溶液を付着させた供試体の綿布は水との接触面が
わずかに湿っている程度で、明らかに撥水効果が働いて
いるのが分かるものであり、対照の綿布は事前の確認と
同じく全体的に十分に含水し濡れていた。一方、本分散
液を付着させた供試体のナイロン布は含水するように全
体的に濡れており、明らかに吸水効果が働いているのが
分かるものであり、対照は事前の確認と同じく水をはじ
いていた。この事により本発明における繊維製品等に塗
布乾燥させた各液の撥水、吸水効果は光に関係なく作用
する事が分かるもので、同じく本発明に使用する両液が
従来の光触媒効果以外の効果も有している事が分かるも
のである。その他、吸水性のある麻と撥水性のあるポリ
エステル布において同じの実験をした場合においても同
様の結果を得たものであるが、繊維の違いにより起こる
ものと思われる程度の湿り気の違いはあった。
【0040】(実施例7)以上の撥水および吸水効果を
利用し、実施例2記載の供試体と同じ綿布およびナイロ
ン布に本溶液、本分散液をそれぞれ単独使用し、布の片
面のみに液が付着する程度にそれぞれスプレーにより吹
き付け、自然乾燥により作成したもので撥水および吸水
効果の実験をすると、まず綿布においては、それぞれ未
処理の面については水を滴下すると両面とも未処理の綿
布のように浸透し、未処理面を水面側にして水に浮かべ
ると同じく繊維製品等全体に水が浸透したが、各液を吹
き付けた反対側の面については、本溶液を吹き付けたも
のは、滴下した水をはじき、処理面を水面側にして水に
浮かべると水をはじき浮かんだものである。また、本分
散液を吹き付けた面は、滴下した水は瞬時に浸透し、同
じく水に浮かべると瞬時に水が全体に浸透しまもなく水
没した。その浸透の仕方は未処理のものと比較して、よ
り早く浸透したもので、吸水効果によるものと判断でき
るものである。次に、ナイロン布においては、それぞれ
未処理の面については水を滴下すると両面とも未処理の
ナイロン布のように水をはじき、同じく水に浮かべると
繊維製品等全体が水をはじき浮かんだが、本分散液を吹
き付けた面は、滴下した水はほぼ同時に浸透し、同じく
水に浮かべるとほぼ同時に水が浸透した。これもまた明
らかに吸水効果によるものと判断できるものである。ま
た、本溶液を吹き付けたものはより水をはじき、水に浮
かんだと感じられる程度の違いしか目視レベルでは確認
できなかった。
【0041】これらの結果は前述の各実施例の結果から
考えると当然のものであるが、本発明の効果を活用しそ
れぞれの液を使い分ける事により、本実施例に使用した
繊維製品に限らず、吸水性のある繊維製品等を撥水性の
あるものに、あるいは撥水性のある繊維製品等を吸水性
の有るものに変える事ができる上、その繊維製品等の片
面だけにそれらの期待する効果を生じさせる事もでき、
多方面の色々な用途に利用、活用できるものである。ま
た、それらの液の濃度および配合比率を変え、それぞれ
を片面ずつまたは片面のみでその面の半分ずつに付着さ
せるなどのバリエーションのある付着をさせる事で、元
の繊維製品等の性質とは全く違う繊維製品等も得られる
ものである。
【0042】(実施例8)また、本溶液の撥水効果が繊
維製品等以外のガラス、タイル、金属においても働くも
のか否かを確認するため、同じくそれぞれ市販の透明普
通板ガラス、白色の施釉タイル、アルミ板、ステンレス
板をそれぞれ10cm角の大きさに調整し、表面の油分
・汚れ等を洗剤および熱湯により洗浄除去した後、ディ
ッピングおよびスプレーによりその膜厚が概ね1μとな
るように塗布し(概ね1ml)自然乾燥させたものを供
試体とし、未塗布のものを対照として、前述の繊維製品
等と同じスポイドによる水を滴下する方法でその効果を
得た。まず対照の水滴の形状はそれぞれ深みのあるお皿
を伏せたような接触角度の小さい形状であり、片やそれ
ぞれの供試体に滴下した水は対照と比較して明らかな撥
水効果と思われるお椀を伏せたような接触角度が60〜
80度程度の形状になり、それらの表面に水跡を残すこ
ともなく滑り落ちるもので、対照はそれぞれ滑り落ちる
時に水跡を残す状況であった。
【0043】更に、家庭用のオーブンを使用しそれらの
供試体をアモルファス型の酸化チタンからアナターゼ型
に変化させない温度である150度程度の温度にて10
分間加熱し、より付着力が増し高密度になったと思われ
るそれぞれの供試体にそれらが冷えた後に同じく水を滴
下すると、より強い撥水現象があり接触角度も90度近
く有るような、より球状になり転がるようにその水が落
ちる状態の撥水効果があったものである。これは繊維製
品等に塗布し加熱乾燥した場合と同じ撥水作用を増す働
きがあるものと思われるものである。これらの事によ
り、本溶液は繊維製品等だけでなく他の基体に塗布して
も同様に撥水効果を生じる事が分かるものであるが、付
着力および撥水性は増したが前述の通り繊維に塗布した
場合と違い光触媒効果は得られなかったものである。但
し、250度以上の温度にて加熱して結晶化させる事に
より得られた物は光触媒効果があり、且つそれによる親
水性が働き水を滴下するとなじむようにその表面に拡散
したものである。
【0044】(参考例1)参考として、供試体の綿布を
使用し、繰り返し使用できる目安としての洗濯回数の確
認実験を行ったもので、その結果は次の通りであった。
その確認に使用した液濃度および配合は、それぞれ前述
の5種類の液と同じものを使用し、それぞれの液による
綿布の供試体を同じく3枚ずつ作成し、手による揉み洗
いおよびすすぎ洗いにてその付着力の差の確認を前述と
同じインクの分解実験により行った。それぞれ洗濯前の
分解時間は、本分散液は15分程度で、その他はほぼ同
じで20〜25分程度で分解したものであるが、揉み洗
いにおいては、本分散液のみの場合1回目の洗濯後にお
いてはその分解時間は40分前後となり、2回目には9
0分前後、3回目以降では120分以上かかってもまだ
インクが薄く分かる程度に残っていた。均等配合および
本溶液が40%の場合、1回目の洗濯後においてはその
分解時間は40分前後となり、2回目には60分前後、
3回目においては80分前後となり、4回目以降では9
0分以上かかってもまだインクが薄く分かる程度に残っ
ていた。次に、本溶液のみおよび60%の場合には、1
回目の洗濯後においては35分前後となり、2回目45
分前後、3回目60分前後、4回目75分前後、5回目
95分前後、6回目では100分以上かかっても同じく
インクが薄く分かる程度に残っていた。
【0045】すすぎ洗いにおいては、本分散液のみの場
合1回目の洗濯後においてはその分解時間は35分前後
となり、2回目には50分前後、3回目80分前後、4
回目以降では90分以上かかってもまだインクが薄く分
かる程度に残っていた。均等配合および本溶液が40%
の場合にはそれぞれほぼ同様の結果で、1回目の洗濯後
においては30分前後となり、2回目45分前後、3回
目50分前後、4回目60分前後、5回目80分前後6
回目には90分以上かかっても同じくインクが薄く分か
る程度に残っていた。本溶液のみおよび60%の場合に
は、1回目の洗濯後においては30分前後となり、2回
目35分前後、3回目45分前後、4回目55分前後、
5回目70分前後、6回目85分前後、7回目で100
分程度以上かかっても同じくインクが薄く分かる程度に
残っていた。
【0046】これらの結果により本溶液と本分散液の付
着力の違いが推測できるものであるが、手洗いおよび目
視レベルにての実験のため厳密なものではないが、十分
に判断できるものであり、少なくとも本溶液の付着力の
良さと、手洗い程度の洗濯では4〜5回程度以上の繰り
返し使用のできる事も分かるものである。但し、洗濯機
での5分間のすすぎ洗いでは、手によるすすぎ洗いより
その効果はずいぶんと落ち、本溶液のみおよび本溶液が
60%の繊維製品等の場合は50分程度以上かかり、そ
の他の場合には1回目の洗濯でその分解時間は90分程
度以上かかった。また、洗剤を使用するとそれぞれ未処
理の物よりわずかに分解効率がよい程度の分解であり、
ほとんど剥離した事が判断できるものであった。
【0047】尚、以上のそれぞれの液における撥水およ
び吸水の効果を生じる理由は前述の通り不明であるが、
その粒子形状の違いによるものと思われるものである。
本溶液であるペルオキソチタン酸溶液の場合において
は、その粒子が結晶化していない事により無定形で変態
できる状態の粒子であり、その付着させた液の定着乾燥
過程において密着して緻密な膜を形成するように定着す
ると共に溶液中のペルオキソ基が何らかの形で緻密さお
よび付着力を提供する働きをし、且つそれらが総合的に
働く事で撥水効果を生じているものと思われる。片や本
分散液であるアナターゼ型酸化チタン分散液の場合には
その粒子が多孔質であるか、その付着させた液の定着乾
燥過程において多孔質となるような凝集定着をする事に
より起こるものと思われる。また結晶化している事によ
り基体に対して密着したような付着ができないものとも
思われるものである。しかし、これらの効果を活用する
事で従来にない繊維製品等が得られるものである。
【0048】
【発明の効果】本発明は従来になかったアモルファス型
酸化チタンのペルオキソチタン酸溶液を繊維製品等に付
着乾燥させた場合において、光触媒効果の生じる事を見
出したものであり、従来は本溶液を基体に塗布した場合
にはそれを数百度の高温にて長時間加熱あるいは焼成し
ないと光触媒効果を生じる結晶化した酸化チタンとなら
ないものとされていたものであるが、本発明を活用する
事でそのような事をする必要がなくなり、自然乾燥させ
るだけでも十分な光触媒効果を生じる繊維製品等が得ら
れるものである。それにより今まで得にくかった光触媒
効果のある繊維製品等を特別な設備を要せずとも既存の
設備程度でも簡単に得られるものである。
【0049】また、従来の光触媒効果の一つとして親水
性が生じるものとされていたが、本溶液を使用する事で
それとは逆の撥水効果を持つ光触媒効果のある繊維製品
等が得られるものであり、その撥水効果を利用・活用す
る事で吸水性のある繊維製品等を撥水性のあるものに変
える事ができる上、その繊維製品等の片面だけにその期
待する効果を生じさせる事もでき、元の繊維製品等の性
質とは全く違う繊維製品等も得られるもので、従来にな
い多方面の色々な用途に利用、活用できるものである。
またその撥水効果の調整も、液濃度あるいはアナターゼ
型酸化チタン分散液と混合使用しその配合を変化させる
事で簡単にでき、各種用途に応じた撥水効果を併せ持つ
光触媒効果の有る繊維製品等が得られるものである。
【0050】更には、アナターゼ型酸化チタン分散液に
は光の有無に関係なく吸水効果を生じるものであり、そ
の効果もまた活用する事で前記とは逆の撥水性のある繊
維製品を吸水効果のあるものに変える事もでき、更にペ
ルオキソチタン酸溶液とハイブリッドした使用方法とす
る事で色々なバリエーションのある、同じく従来にない
製品等が得られるものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C09K 3/18 101 D06M 11/12 Fターム(参考) 4G069 BA04A BA04B BA04C BA48A BB20C BC50A BC50B BC50C DA05 EA09 EA10 EC22X EC26 FB14 FB23 FB24 FB30 FC02 4H020 BA03 4L031 AB31 BA09 DA08 DA12 DA13 4L055 AG19 AG23 AH02 AH23 AH37 AH50 AJ04 BE08 EA32 FA11 FA19 GA47

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アモルファス型酸化チタンであるペルオ
    キソチタン酸溶液の繊維あるいは繊維製品へ付着させた
    場合における、光触媒効果のある酸化チタンとしての使
    用。
  2. 【請求項2】 前項記載のペルオキソチタン酸溶液を、
    浸漬あるいはスプレーあるいはそれらに類する方法によ
    り付着させ、自然乾燥により得られる撥水効果があり光
    触媒効果のある事を特徴とした繊維あるいは繊維製品。
  3. 【請求項3】 前項記載のペルオキソチタン酸溶液の撥
    水剤としての使用。
  4. 【請求項4】 前項記載の撥水剤がペルオキソチタン酸
    溶液を加熱する事で得られるアナターゼ型酸化チタン分
    散液との混合液であり、その重量配合比率が50%以下
    である同項記載の撥水剤。
  5. 【請求項5】 前項記載のアナターゼ型酸化チタン分散
    液の吸水剤としての使用。
  6. 【請求項6】 前項記載の吸水剤がペルオキソチタン酸
    溶液との混合液であり、その重量配合比率が50%以下
    である同項記載の吸水剤。
  7. 【請求項7】 請求項1、2記載の繊維製品の形状ある
    いは形態がその質を問わず、糸、布、不織布、タオル、
    ガーゼ、包帯、綿、紙の何れか、あるいはそれらの一つ
    以上で構成されたものである同項記載の繊維製品。
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