JP2002127353A - オフセット印刷方法及び印刷装置 - Google Patents

オフセット印刷方法及び印刷装置

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JP2002127353A
JP2002127353A JP2000324132A JP2000324132A JP2002127353A JP 2002127353 A JP2002127353 A JP 2002127353A JP 2000324132 A JP2000324132 A JP 2000324132A JP 2000324132 A JP2000324132 A JP 2000324132A JP 2002127353 A JP2002127353 A JP 2002127353A
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Takao Nakayama
隆雄 中山
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】アルカリ性現像液を必要とせず、簡易に製版で
きて、かつ印刷面の画像部と非画像部の識別性が改良さ
れた実用レベルの印刷画質を有し、さらに印刷用原板を
反復して使用することも可能なオフセット印刷方法を提
供すること。 【解決手段】印刷用原板を高温親水性発現温度に加熱し
て親水化した後、その表面にGnJM4-n (Gは疎水性有
機基を示し、JはC、Si、Ge、Ti、Zr及びSn
から選択される原子価4の元素を表し、Mはハロゲン又
はアルコキシ基を表し、nは1〜3の整数を表す)で表
される化合物を含有する溶液をインクジェット方式によ
って像様に描画することによって疎水性の画像領域を形
成させて印刷を行うオフセット印刷方法及び装置。ま
た、印刷済みの印刷版面上のインクを洗浄除去して、再
度その印刷原版を用いる印刷原板の再使用方法及び装
置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般軽印刷分野、
とくにオフセット印刷、とりわけ簡易に印刷版を製作で
きる新規なオフセット印刷方法及び印刷原板に関するも
のである。その中でもとくに製版が簡易で、かつ印刷用
原板の反復再生使用を可能にするオフセット印刷方法、
その印刷用原板及びそれらによる印刷装置に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】オフセット印刷法は、数多くの印刷方法
の中でも印刷版の製作工程が簡単であるために、とくに
一般的に用いられてきており、現在の主要な印刷手段と
なっている。この印刷技術は、油と水の非混和性に基づ
いており、画像領域には油性材料つまりインキが、非画
像領域には湿し水が選択的に保持される。したがって印
刷される面と直接あるいはブランケットと称する中間体
を介して間接的に接触させると画像部のインキが転写さ
れて印刷が行われる。
【0003】オフセット印刷の主な方法は、アルミニウ
ム基板を支持体としてその上にジアゾ感光層を塗設した
PS板である。PS板においては、支持体であるアルミ
ニウム基板の表面に砂目立て、陽極酸化、その他の諸処
理を施して画像領域のインキ受容能と非画像部のインキ
反発性を強め、耐刷力を向上させ、印刷面の精細化を図
るなど、簡易性に加えて耐刷力や印刷面の高精細性など
の特性も備わるに及んで一般印刷分野のもっとも一般的
で主要な印刷方法となっている。オフセット印刷法の普
及に伴って、その一層の簡易化が要望され、数多くの簡
易印刷方法が提案されている。
【0004】その代表例がAgfa-Gevaert社から市販され
たCopyrapid オフセット印刷版をはじめ、米国特許35
11656号、特開平7−56351号などでも開示さ
れている銀塩拡散転写法による印刷版作製に基づく印刷
方法であって、この方法は、1工程で転写画像を作るこ
とができて、かつその画像が親油性であるために、その
まま印刷版とすることができるので、簡易な印刷方法と
して実用されている。しかしながら、簡易とはいいなが
らこの方法もアルカリ現像液による拡散転写現像工程を
必要としている。現像液による現像工程を必要としな
い、しかも簡易な印刷方法が要望されている。
【0005】その要望に応える方法は、印刷用原板材料
の改良と画像記録方法の改良の2面から進められてき
た。前者については、特開平2000−203143号
公報に、高温度に加熱すると表面が親水性となる熱応答
性材料を用いて、加熱によって親水性を強化するという
きわめて簡易な方法が開示されている。この方法は、簡
易性という点で優れているが、親水性表面上に疎水性の
画像領域を像様に 担持させるので、画像部と基板との
接着性は、必ずしも充分とはいえない問題がある。
【0006】一方、後者すなわち画像記録法の改良につ
いては、最近の事務機器の発達とOA化の発展に伴っ
て、印刷分野においても平版印刷原板に電子写真式プリ
ンター、感熱転写プリンター、インクジェットプリンタ
ー等の種々の乾式の画像記録方法を用いて湿式の現像な
どの手間のかかる処理を行なうことなく直接に印刷版を
作成する本来簡易なオフセット平版印刷の中でもさらに
簡易な方式が提案されている。提案された中でも、イン
クジェットプリンターによる記録を利用する方法は、イ
ンクジェット記録が低騒音で高速印字が可能な記録方法
であるので、簡易製版への適用性が高いと考えられる。
【0007】インクジェット記録方式としては、静電誘
引力を利用してインクを吐出させる、いわゆる電界制御
方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用してインクを吐出さ
せる、いわゆるドロップ・オン・デマンド方式(圧力パ
ルス方式)、さらには高熱によって気泡を形成し、成長
させることによって生じる圧力を利用してインクを吐出
させる、いわゆるバブル(サーマル)ジェット方式等の
各種の記録方式が提案されており、これらの方式により
高精度な画像を得ることができる。
【0008】これら従来の直描型平版印刷用原版上に、
インクジェット記録方式で画像形成を行なうインクジェ
ット用インクとしては、主溶媒として水を用いる水性イ
ンクと、主溶媒として有機溶剤を用いる油性インクとが
一般に用いられている。しかしながら、水性インクで
は、版材上の画像に滲みを生じたり、乾燥が遅いために
描画速度が低下するという問題があった。このような問
題を軽減するために、分散媒を非水溶媒とした油性イン
クを用いる方法が特開昭54−117203号に開示さ
れている。
【0009】しかし、油性インクを用いても、実際に製
版された画像には滲みぼけが見られ、印刷するとさらに
滲みが生じ、また印刷枚数もせいぜい数百枚程度が限度
であり、不充分であった。またこのようなインクは、高
解像度の製版画像を可能とする微少インク滴を吐出させ
るノズルでは目詰まりを生じやすいという問題があっ
た。さらに、静電吐出型のインクジェット方式では、油
滴の帯電が画像の歪みを招いて画質を損ねるという欠陥
もある。
【0010】インクジェット方式の画像記録の製版に応
用するに際しては、油溶性インクを用いても上記の欠陥
を伴うが、さらに基本的な問題は、印刷用原板は印刷性
能を最大限に発揮させることが重点設計指針であるの
で、インクジェット画像の画像物質と原板表面層との接
着強度が不充分なことが多く、従って画像部の強度が弱
く、耐刷性が不足しがちなことも挙げられる。
【0011】また、一般的なインクジェットプリンター
用油性インクによるノズルの目詰まりを防止する試みと
して、例えば、顔料粒子の分散安定性を向上させる方法
(特開平4−25573号公報、同5−25413号公
報、同5−65443号公報等)、インク組成物とし
て、特定の化合物を含有させる方法(特開平3−796
77号公報、同3−64377号公報、同4−2023
86号公報、同7−109431号公報等)等が提案さ
れている。しかしながら、これらの何れも平板印刷版の
画像形成に用いても、印刷時の画像の強度不足が解決す
るに至らず耐刷性を満足しうるものは得られていない。
【0012】又、酸化亜鉛を含有する画像受理層をもつ
原版上に、インクジェット方式で画像形成後、不感脂化
処理して非画像部を不感脂化して印刷とする方法は、得
られる製版画質・印刷物の画質も良好で多数枚の印刷も
可能である。しかしながら、印刷版作成において不感脂
化処理液を用いること及び印刷時に湿し水として、不感
脂化処理液と同様の不感脂化成分を含有した液が必須で
あること等の湿式処理の複雑さが挙げられる。又、上記
のような成分を含有する湿し水を用いることから、使用
する印刷インクによっては、印刷インク中の成分と相互
作用し、印刷物への汚れを生じる場合もあり、多様な印
刷インクを用いたカラー印刷が行えないという問題があ
る。
【0013】以上に述べたように、平版の軽印刷用の製
版において、インクジェット方式の描画手段を採用する
ことは、製版作業の簡易化の面では、きわめて有望であ
りながら、支持体と画像部との接着力が弱く、耐刷性に
劣るほか、インクの目詰まりや、画像の静電気の影響に
よる画像ひずみを伴うなど上記した弱点が実用化の障害
となっている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
している課題は、上記事情に鑑みてアルカリ性現像液を
必要とせず、簡易に製版できて、かつ印刷面の画像部と
非画像部の識別性が改良された実用レベルの印刷画質を
有し、さらに印刷用原板を反復して使用することも可能
なオフセット印刷方法を提供することである。本発明の
第2の目的は、上記の印刷方法によって簡易な操作によ
って実用レベルの印刷品質の印刷を行い、かつ印刷原板
を繰り返して使用することのできる印刷装置を提供する
ことである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明者たちは、上記の
目的を達成するために、製版の簡易性に長所を有するイ
ンクジェット方式の可能性について鋭意検討を重ね、と
りわけ、画像部のインク膜と画像担持原板(支持体表面
など)との接着性の向上手段を探索したところ、後述す
るインキ受容性と基板との接着性のいずれをも満足する
化合物を見出すことができた。この化合物は、親水性表
面上に像様に 担持あれた場合でも、基板との接着力が
維持されることが判明し、従って清浄な表面親水性材料
を選択すると、上記特性がさらに活かされて、耐刷性の
確保や画像部/非画像部の識別性の向上、さらには印刷
汚れの抑制につながって、印刷性能と製版簡易性がとも
に満たされて本発明の目的を達成することができた。す
なわち、本発明は下記の各項によって示される。
【0016】1.印刷用原板を高温親水性発現温度で加
熱することによって親水化し、次いで該原板表面上に少
なくとも下記一般式(1)で表される化合物を含有する溶
液をインキとしてインクジェット方式によって像様に描
画することによって疎水性の画像領域を形成させ、該画
像領域を印刷用インキに接触させることによって該領域
がインキを受け入れた印刷面を形成させて印刷を行うこ
とを特徴とするオフセット印刷方法。 GnJM4-n (1) 上記一般式(1)において、Gは疎水性有機基を示し、
JはC、Si、Ge、Ti、Zr及びSnから選択され
る原子価4の元素を表し、Mはハロゲン又はアルコキシ
基を表し、nは1〜3の整数を表す。
【0017】2.高温親水性発現温度が200℃以上で
あることを特徴とする上記1に記載のオフセット印刷方
法。
【0018】3.印刷用原版の表面を親水化する加熱温
度が、300〜700℃であることを特徴とする上記1
又は2に記載のオフセット印刷方法。
【0019】4.印刷に使用した印刷版面上に残存する
インキを洗浄除去したのち、その印刷用原板を用いて請
求項1に記載の操作を反復して印刷を行うことを特徴と
する上記1〜3のいずれか1項に記載の印刷方法。
【0020】5.印刷用原板の表面が、TiO、RT
iO(Rはアルカリ土類金属原子)、AB2−x
3−x10(Aは水素原子又はアルカリ金属原
子、Bはアルカリ土類金属原子又は鉛原子、Cは希土類
原子、Dは周期律表の5A族元素に属する金属原子、E
は同じく4A族元素に属する金属原子、xは0〜2の任
意の数値を表す)、SnO,Bi,SiO
GeO,Al,ZnO及びFeOy(yは1.
0〜1.5)から選ばれる金属酸化物の少なくとも一つ
によって構成されていることを特徴とする上記1〜4の
いずれか1項に記載のオフセット印刷方法。
【0021】6.印刷用原板の表面が、アルミニウム、
鉄、銅、珪素、ニッケル、ゲルマニウム、亜鉛及び錫か
ら選ばれる金属又は金属合金の少なくとも一つによって
構成されていることを特徴とする上記1〜5のいずれか
1項に記載のオフセット印刷方法。
【0022】7.請求項1〜6項のいずれか1項に記載
の方法に使用するオフセット印刷装置であって、印刷用
原板を装着する原板装着部と、該原板を高温親水性発現
温度に加熱してその表面を親水性化する加熱手段と、該
原板にインクジェットの描画を施して疎水性の画像領域
を形成させるインクジェット描画手段と、該画像領域に
印刷用インキを供給して画像領域がインキを受け入れた
印刷面を形成させるインキ供給手段と、該印刷面を印刷
される面と接触させて印刷を行う印刷手段と、を有する
ことを特徴とするオフセット印刷装置。
【0023】8.印刷終了後、印刷版に残存するインキ
を除去する手段を有することを特徴とする上記7に記載
のオフセット印刷装置。
【0024】9.少なくとも加熱手段、描画手段、イン
キ供給手段およびインキ除去手段が、版胴の周囲に配設
されてなることを特徴とする上記7又は8に記載のオフ
セット印刷装置。
【0025】10.印刷用原板が版胴の一部を構成して
おり、少なくとも加熱手段、描画手段、インキ供給手段
およびインキ除去手段が、版胴の周囲に配設されてなる
ことを特徴とする上記7〜9のいずれか1項に記載のオ
フセット印刷装置。
【0026】本発明は、一つには、特定の物質(主とし
て上記した金属酸化物及び金属)の表面物性の特異な熱
変化挙動の利用と、またもう一つには、原板表面に強固
に接着し、かつ接着領域の表面疎水性を強化する化合物
の利用とに基づいてなされたもので、この二つの機能性
材料を巧みに組み合わせた新規な着想によってなされた
ものである。
【0027】前記の熱変化挙動は、ある種の物質は高温
度に加熱するとその表面が親水性となり、かつこの表面
の性質の変化には履歴効果があるという現象であり、こ
のような熱変化挙動を持つ物質を、本明細書において
は、「熱応答性物質」(あるいは熱応答材料)と呼び、
親水性が現れる温度を、「高温親水性発現温度」と呼ん
でいる。この性質を利用すれば、第1段階としてまず熱
応答性の印刷原板を親水性発現温度で加熱して原板表面
を親水性とし、つぎに第2段階としてその表面に画像状
に疎水性領域を形成させ、次いで第3段階として疎水性
領域に印刷用インキを、親水性領域に湿し水をそれぞれ
保持させてオフセット印刷を行う。第2段階では、親水
性とした表面(印刷原板用表面)に一般式(1)の化合
物をインクジェット装置を用いて描画して画像領域を形
成させる。一般式(1)の化合物は,像様の疎水性表面
を形成して優れた印刷インキ受容領域となり、同時に画
像担持表面(印刷用原板表面)への接着力が強固である
ので、画像領域の機械的強度も維持できて耐刷性が確保
され,かつ画像担持表面の親水性を強化できるので識別
効果も高く,汚れの少ない印刷面を形成することができ
る。
【0028】さらに、印刷の終了後に使用済みの印刷版
のインキを洗浄除去して、印刷原板として上記の製版、
印刷過程に再び使用できるので、版材使用の面でも簡易
で経済的である。再生使用において,再生された原板を
再び親水性発現温度に加熱する際に印刷済みの画像の履
歴が消去される。この温度では,一般式〔1〕の化合物
も分解して疎水性部分が離脱消滅している。
【0029】熱応答性物質は、一般に、適当な温度に加
熱されるとその表面は疎水性となり(この温度を疎水性
発現温度と呼ぶ)、さらに加熱すると親水性が発現する
という性質を有している。しかしながら本発明に適用さ
れる場合、熱応答物質の履歴効果によって、一旦高温親
水性発現温度で親水化された表面は、その後の製版操作
の過程で疎水性発現温度領域を経ても疎水性に変化する
ことはない。また、製版と印刷の間に通常範囲の時間経
過があっても、画像を担持した原板上の親水性の非画像
領域は、履歴効果によって室温下においても安定に維持
される。熱応答型物質及び疎水性画像の描画用の一般式
(1)の化合物については、後に詳細に説明する。
【0030】本発明の印刷方法では、インクジェット方
式の直接描画機能を利用して,コンピュータ上で作製し
た印刷原稿を直接描画して印刷版を作製することがで
き、機上製版などの簡易な製版印刷方法が可能とするこ
とができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。 〔印刷用原板材料〕はじめに、本発明で用いる「熱応答
性物質」について説明する。熱応答性物質は、多くの金
属及び金属酸化物に見られ、その中にはセラミック、半
導体などの機能性材料として用いられているものも含ま
れている。熱応答性セラミックは、複合金属酸化物から
なっており、熱応答型半導体の多くは、基底順位と伝導
体が近い珪素やゲルマニウムなどの真正半導体と不純物
準位に依存する酸化バナジウムや酸化銅などの仮性半導
体との両方に見られる。これらセラミック及び半導体
は、本発明に利用する物質の熱応答特性の上では、他の
金属酸化物及び金属と同様であるので、それらも「熱応
答性金属酸化物」及び「熱応答性金属」に含めて以下に
その順序に説明する。
【0032】前記した加熱によって親水性となる特性を
有しており、かつ履歴現象を示す熱応答性金属酸化物と
して用いることのできる金属及び金属酸化物は、いろい
ろの形態のものがあり、単一の金属や金属酸化物、合金
や複合酸化物のいずれの場合もあり、また後者の場合
は、固溶体、混晶、多結晶体、非晶質固溶体、金属酸化
物微結晶の混合物のいずれからもこの特性を有するもの
が認められる。このような特性をもつ金属酸化物は、経
験的に周期律表の0族と VIIA(ハロゲン元素)族を除
く第3〜6周期に属する元素の金属やその金属の酸化物
に見いだされる。これらの金属及び金属酸化物は、印刷
版として使用する際に湿し水に対して過度に溶解しては
ならないので、水に対する溶解度は、水100ミリリッ
トルについて10mg以下、好ましくは5mg以下、よ
り好ましくは1mg以下である。
【0033】「熱応答性金属酸化物」の中でも好ましい
化合物として、まず、酸化チタンと酸化亜鉛から説明す
る。いずれも熱応答性を具備した印刷版材料として本発
明に利用できるが、特に酸化チタンが感度(つまり表面
性の光変化特性)などの点で好ましい。酸化チタンは、
イルメナイトやチタンスラグの硫酸加熱焼成、あるいは
加熱塩素化後酸素酸化など既知の任意の方法で作られた
ものを使用できる。あるいは後述するように金属チタン
を用いて印刷版製作段階で真空蒸着によって酸化物皮膜
とする方法も用いることができる。
【0034】「熱応答性金属酸化物」の中でも好ましい
化合物として、まず、酸化チタンと酸化亜鉛が挙げられ
る。いずれも熱応答性を具備した印刷版材料として本発
明に利用できるが、特に酸化チタンが好ましい。酸化チ
タンは、イルメナイトやチタンスラグの硫酸加熱焼成、
あるいは加熱塩素化後酸素酸化など既知の任意の方法で
作られたものを使用できる。あるいは後述するように金
属チタンを用いて印刷版製作段階で真空蒸着によって酸
化物皮膜とする方法も用いることができる。
【0035】酸化チタン又は酸化亜鉛を含有する層を原
板の表面に設けるには、たとえば、酸化チタン微結晶
又は酸化亜鉛微結晶の分散物を印刷版の原板上に塗設す
る方法、塗設したのち焼成してバインダーを減量或い
は除去する方法、印刷原板上に蒸着、スパッタリン
グ、CVD、イオンプレーティングなどの方法で酸化チ
タン(又は酸化亜鉛)膜を設ける方法、例えばチタニ
ウムブトキシドのようなチタン有機化合物を原板上に塗
布したのち、焼成酸化を施して酸化チタン層とする方法
など、既知の任意の方法を用いることができる。本発明
においては、真空蒸着又はスパッタリングによる酸化チ
タン層が特に好ましい。
【0036】上記又はの酸化チタン微結晶を塗設す
る方法には、具体的には無定形酸化チタン微結晶分散物
を塗布したのち、焼成してアナターゼまたはルチル型の
結晶酸化チタン層とする方法、酸化チタンと酸化シリコ
ンの混合分散物を塗布して表面層を形成させる方法、酸
化チタンとオルガノシロキサンなどとの混合物を塗布し
てシロキサン結合を介して支持体と結合した酸化チタン
層を得る方法、酸化物層の中に酸化物と共存するポリマ
ーバインダーに分散して塗布したのち、焼成して有機成
分を除去する方法などがある。酸化物微粒子のバインダ
−には、酸化チタン微粒子に対して分散性を有し、かつ
比較的低温で焼成除去が可能なポリマーを用いることが
できる。好ましいバインダーの例としては、ポリエチレ
ンなどのポリアルキレン、ポリブタジエン、ポリアクリ
ル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリ酢酸ビ
ニル、ポリ蟻酸ビニル、ポリエチレンテレフタレート、
ポリエチレンナフタレート、ポリビニルアルコール、部
分鹸化ポリビニルアルコール、ポリスチレンなどの疎水
性バインダーが好ましく、それらの樹脂を混合して使用
してもよい。
【0037】上記の酸化チタンの真空蒸着を行うに
は、通常真空蒸着装置内の蒸着用加熱の熱源に金属チタ
ンを置き、真空度10-6〜10-3Paで全ガス圧10
-3〜100Pa、酸素分圧比が5〜90%になるよう
にしながら、チタン金属を蒸発させると、蒸着面には酸
化チタンの蒸着薄膜が形成される。また、スパッタリン
グによる場合は、例えばスパッタ装置内にチタン金属タ
ーゲットをセットしてAr/O比が60/40(モル
比)となるようにガス圧を5×10-3Paに調整したの
ち、RFパワー200Wを投入してスパッタリングを行
って酸化チタン薄膜を基板上に形成させる。
【0038】一方、本発明に酸化亜鉛層を使用する場
合、その酸化亜鉛層は既知の任意の方法で作ることがで
きる。とくに金属亜鉛板の表面を電解酸化して酸化皮膜
を形成させる方法と、真空蒸着、スパッタリング、CV
D、イオンプレーティングなどによって酸化亜鉛皮膜を
形成させる方法が好ましい。酸化亜鉛の蒸着膜は、上記
の酸化チタンの蒸着と同様に金属亜鉛を酸素ガス存在下
で蒸着して酸化膜を形成させる方法や、酸素のない状態
で亜鉛金属膜を形成させたのち、空気中で温度を約70
0℃にあげて酸化させる方法を用いることができる。そ
のほか、蓚酸亜鉛の塗布層やセレン化亜鉛の薄層を酸化
性気流中で加熱しても得られる。
【0039】蒸着膜の厚みは、酸化チタン層、酸化亜鉛
層いずれの場合も0.1〜10000nmがよく、好ま
しくは1〜1000nmである。さらに好ましくは30
0nm以下として光干渉の歪みを防ぐのがよい。また、
光活性化作用を十分に発現させるには厚みが5nm以上
あることが好都合である。
【0040】酸化チタンはいずれの結晶形のものも使用
できるが、とくにアナターゼ型のものが感度が高く好ま
しい。アナターゼ型の結晶は、酸化チタンを焼成して得
る過程の焼成条件を選ぶことによって得られることはよ
く知られている。その場合に無定形の酸化チタンやルチ
ル型酸化チタンが共存してもよいが、アナターゼ型結晶
が40%以上、好ましくは60%以上含むものが上記の
理由から好ましい。酸化チタンあるいは酸化亜鉛を主成
分とする層における酸化チタンあるいは酸化亜鉛の体積
率は、それぞれ30〜100%であり、好ましくは50
%以上を酸化物が占めるのがよく、さらに好ましくは酸
化物の連続層つまり実質的に100%であるのがよい。
しかしながら、表面の親水性/親油性変化特性は、酸化
亜鉛を電子写真感光層に用いるときのような著しい純度
による影響はないので、100%に近い純度のもの(例
えば98%)をさらに高純度化する必要はない。それ
は、本発明に利用される物性は、導電性とは関係ない膜
表面の親水性/親油性の性質変化特性、すなわち界面物
性の変化特性であることからも理解できることである。
【0041】しかしながら、熱の作用によって表面の親
水性が変化する性質を増進させるためにある種の金属を
ドーピングすることは有効な場合があり、この目的には
イオン化傾向が小さい金属のドーピングが適しており、
Pt,Pd,Au,Ag,Cu,Ni,Fe,Co又は
Crをドーピングするのが好ましい。また、これらの好
ましい金属を複数ドーピングしてもよい。ドーピングを
行った場合も、その注入量は酸化亜鉛や酸化チタン中の
金属成分に対して5モル%以下である。
【0042】一方、体積率が低いと層の表面の親水性/
親油性の熱応答挙動の敏感度が低下する。したがって、
層中の酸化物の体積率は、30%以上であることが望ま
しく、とくに実質的に100%であることが好ましい。
【0043】RTiOの一般式で示したチタン酸金属
塩模本発明に好ましく適用できる化合物であり、つぎに
この化合物について説明する。一般式RTiOにおい
て、Rはマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、
バリウム、ベリリウムなどの周期律表のアルカリ土類元
素に属する金属原子であり、とくにストロンチウムとバ
リウムが好ましい。また、2種以上のアルカリ土類金属
原子をその合計が上記の式に化学量論的に整合する限り
共存することができる。
【0044】次に、一般式AB2−x3−x
10で表される化合物について説明する。この一般式
において、Aは水素原子及びナトリウム、カリウム、ル
ビジウム、セシウム、リチウムなどのアルカリ金属原子
から選ばれる1価原子で、その合計が上記の式に化学量
論的に整合する限りそれらの2種以上を共存してもよ
い。Bは、上記のRと同義のアルカリ土類金属原子又は
鉛原子であり、同様に化学量論的に整合する限り2種以
上の原子が共存してもよい。Cは希土類原子であり、好
ましくは、スカンジウム及びイットリウム並びにランタ
ン、セリウム、プラセオジウム、ネオジウム、ホルミウ
ム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ツリウ
ム、イッテルビウム、ルテチウムなどのランタノイド系
元素に属する原子であり、また、その合計が上記の式に
化学量論的に整合する限りそれらの2種以上を共存して
もよい。Dは周期律表の5A族元素から選ばれた一種以
上で、バナジウム、ニオブ、タンタルが挙げられる。ま
た、化学量論関係を満たす限り、2種以上の5A族の金
属原子が共存してもよい。Eは同じくチタン、ジルコニ
ウム、ハフニウムなどの4A族元素に属する金属原子で
あり、また、2種以上の4A族の金属原子が共存しても
よい。xは0〜2の任意の数値を表す。
【0045】RTiOや一般式AB2−x
3−x10で表される上記化合物を原板の表面に
設ける場合も、酸化チタン及び酸化亜鉛を設ける前記の
方法を用いることが好ましい。すなわち、上記熱応答
型金属酸化物の微粒子の分散物を印刷版の原板上に塗設
する方法、塗設したのち焼成してバインダーを減量或
いは除去する方法、印刷版の原板上に上記酸化物を各
種の真空薄膜法で膜形成する方法、例えば金属元素の
アルコレートのような有機化合物を原板上に塗布したの
ち、加水分解させ、さらに焼成酸化を施して適当な厚み
の金属薄膜とする方法、上記金属を含む塩酸塩、硝酸
塩などの水溶液を加熱スプレーする方法など、既知の任
意の方法を用いることができる。
【0046】例えば、上記、の塗設方法によってチ
タン酸バリウム微粒子を塗設するには、チタン酸バリウ
ムとシリコンの混合分散物を塗布して表面層を形成させ
る方法、チタン酸バリウムとオルガノポリシロキサンま
たはそのモノマ−との混合物を塗布する方法などがあ
る。また、酸化チタンの項で述べたように、酸化物層の
中に酸化物と共存できるポリマーバインダーに分散して
塗布した後、焼成して酸化物層とすることもできる。酸
化物微粒子のバインダ−として好ましいポリマーの例
は、酸化チタン層の項で述べたものと同じである。この
方法の場合にはチタン酸バリウム以外にチタン酸マグネ
シウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム
又はそれらの分子間化合物、混合物も同様に薄膜形成可
能である。
【0047】同様にして上記、の塗設方法によって
LaNbTi10微粒子を塗設することも可
能である。CLaNbTi10微粒子は、その
化学量論に対応するCsCO, La,NbO
, TiOを乳鉢で微粉砕して、白金るつぼに入れ、
130℃ で5時間焼成し、それを冷却してから乳鉢に
入れて数ミクロン以下の微粒子に粉砕する。このCsL
NbTi10微粒子を前記のチタン酸バリウム
と同様にバインダーの中に分散し、塗布して薄膜を形成
した。この方法は、CsLaNbTi10型微粒
子に限らず、HCa1.5La0.5Nb2.5Ti
0.510,HLaNbTi10など前述のA
2−x3−x10、(0≦x≦2)に適
用される。
【0048】上記の真空薄膜形成法を用いた熱応答型
金属酸化物層の形成方法としては、一般的にはスパッタ
リング法あるいは真空薄膜形成法が用いられる。スパッ
タリング法では、あらかじめ単一もしくは複合型の酸化
物ターゲットを準備する。例えば、チタン酸バリウムタ
ーゲットを用いて蒸着膜用の支持体の温度を450℃以
上に保ち、アルゴン/酸素混合雰囲気中でRFスパッタ
リングを行うことによりチタン酸バリウム結晶薄膜が得
られる。結晶性の制御には必要に応じてポストアニーリ
ングを300〜900℃で行えばよい。本方法は前述の
RTiO(Rはアルカリ土類金属原子)をはじめ他の
前記熱応答型金属酸化物にも、結晶制御に最適な基板温
度を調整すれば同様の考え方で薄膜形成が可能である。
例えば酸化錫薄膜を設ける場合には基板温度120℃、
アルゴン/酸素混合雰囲気中でRFスパッタリングを行
うことにより酸化錫結晶の本目的に沿う薄膜が得られ
る。
【0049】上記の金属アルコレートを用いる方法
も、バインダーを使用しないで目的の薄膜形成が可能な
方法である。チタン酸バリウムの薄膜を形成するにはバ
リウムエトキシドとチタニウムブトキシドの混合アルコ
ール溶液を表面にSiOを有するシリコン基板上に塗
布し、その表面を加水分解したのち、200℃以上に加
熱してチタン酸バリウムの薄膜を形成することが可能で
ある。本方式の方法も前述した他のRTiO(Rはア
ルカリ土類金属原子)、AB2−xCxD3−x
10(A,B,C,D,Eはそれぞれ前記の定義の内容
を表す)、SnO ,SiO,Bi、Se
,GeO,Al及びFeOy(yは1.0
〜1.5) の薄膜形成に適用することができる。Fe
y(yは1.0〜1.5)は、酸化第一鉄,酸化第二
鉄、四三酸化鉄などの鉄酸化物を表す。
【0050】上記によって熱応答性機能を発現する金
属酸化物薄膜を形成させる方法も、バインダーを含まな
い系の薄膜の形成が可能である。SnOの薄膜を形成
するにはSnClの塩酸水溶液を200℃以上に加熱
した石英又は結晶性ガラス表面に吹きつけて薄膜を生成
することができる。本方式は、SnO薄膜のほか,前
述したRTiO(Rはアルカリ土類金属原子)、AB
2−x3−x 10(A,B,C,D,Eは
それぞれ前記の定義の内容を表す)、SiO,Bi
、SeO,GeO,Al及びFeOy
(yは1.0〜1.5)のいずれの薄膜形成にも適用す
ることができる。
【0051】金属酸化物薄膜の厚みは、上記のいずれの
場合も0.1〜10000nmがよく、好ましくは1〜
1000nmである。さらに好ましくは300nm以下
として光干渉の歪みを防ぐのがよい。また、光活性化作
用を十分に発現させるには厚みが5nm以上あることが
好都合である。
【0052】バインダーを使用した場合の上記熱応答性
金属酸化物の薄層において、金属酸化物の体積率は50
〜100%であり、好ましくは90%以上を酸化物が占
めるのがよく、さらに好ましくは酸化物の連続層つまり
実質的に100%であるのがよい。
【0053】次に「熱応答性金属」について説明する。
本発明には、熱応答性金属すなわち加熱によって親水性
となる特性を有し、かつ履歴現象を示す金属であれば、
いずれの金属でも印刷原板としてもちいることができ
る。このような特性をもつ金属は、経験的に周期律表の
0族と VIIA(ハロゲン元素)族を除く第3〜6周期に
属する金属元素に見いだされる。また、周期律表の上記
した範囲の金属の中から見いだされる熱応答特性を有す
る金属は、単一組成の金属であっても、複合組成つまり
合金であっても本発明に使用することができる。合金の
場合は、金属固溶体、金属間化合物、金属微結晶混合物
のいずれでもよい。また、ステンレススチール(以下、
SUSと記述する)に見られるように、表面に不働体性
の酸化皮膜が生成していてもよい。また、単一の金属や
合金の純度に関しては、特別な制約はなく、通常の一般
的な用途に用いられているものであれば、本発明に適用
できる。
【0054】好ましい金属は、アルミニウム、鉄、珪
素、ニッケル、亜鉛、ゲルマニウム、錫及び銅並びにそ
れらの合金である。とくに好ましい金属は、アルミニウ
ムである。アルミニウムを用いる場合は、後に説明する
原板用支持体であるアルミニウム板を直接使用すること
が好ましく、したがって、機械的な砂目立てや電解粗面
化などによって表面の親水性を強化したり、陽極酸化を
施したりしたアルミニウム板が用いられる。
【0055】熱応答型金属の使用形態としては、金属板
をそのまま使用することもできるが、また適当なプラス
チックフィルムあるいは他の金属板を支持体としてその
上に電気メッキ、貼り合わせなどによって設けてもよ
い。支持体上の金属板の厚みは、支持体よりも薄い任意
の厚みを用いることができるが、好ましい厚みは、0.
01mm〜0.4mm程度、より好ましくは0.02mm〜
0.2mmである。
【0056】印刷原板の熱応答性を高めるには、断熱層
を画像形成層の下層に設けることが有効なこともある。
以上で本発明に用いる熱応答型物質とくに熱応答型金
属酸化物及び金属についての説明を終わり、次に本発明
に使用する印刷用原板の形態について述べる。
【0057】〔印刷用原板の形態〕本発明に係わる印刷
原板は、いろいろの形態と材料を用いることができる。
例えば、高温親水性発現物質の薄層を印刷機の版胴の基
体表面に蒸着、浸漬あるいは塗布するなど上記した方法
で直接設ける方法、支持体に担持された高温親水性発現
物質や、あるいは支持体を持たない上記物質の薄板を版
胴の基体に巻き付けて印刷版とする方法などを用いるこ
とができる。また、勿論版胴上で製版する上記形態以外
に、一般的に行われているように、製版を行った印刷版
を輪転式あるいは平台式印刷機に装着する形態を採って
もよい。
【0058】高温親水性発現物質の画像形成層が支持体
上に設けられる場合、使用される支持体は、一般式
(1)の化合物を含有する本発明用のインク画像を担持
し得る、寸度的にも安定な板状物であり、アルミニウム
板、SUS鋼板、ニッケル板、銅板などの金属板が好ま
しく、特に可撓性(フレキシブル)の金属板を用いるこ
とが好ましい。また、ポリエステル類やセルローズエス
テル類などのフレキシブルなプラスチック支持体も用い
ることが出来る。防水加工紙、ポリエチレン積層紙、含
浸紙などの支持体上に酸化物層を設けてもよく、それを
印刷版として使用してもよい。このような支持体は、光
触媒能を有する物質が支持体上に設けられる場合にも、
好ましく使用される。インク滴が帯電する静電吐出型の
インクジェット装置を用いる場合には、画像形成層表面
または画像形成層と支持体との間に公知の適当な導電層
を設けたり、あるいは支持体にアミン類、無機又は有機
塩類などを含浸させて導電性を付与することが望まし
い。アルミニウム板のような金属板支持体の場合には、
それ自体が導電性であり、どのタイプのインクジェット
装置も適用可能である。
【0059】具体的には、紙、プラスチックシート(例
えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド等のシ
ート)がラミネートされた紙、金属板(例えば、アルミ
ニウム、亜鉛、銅、ステンレス等)、プラスチックフィ
ルム(例えば、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、
プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セ
ルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリイミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポ
リビニルアセタール等)、上記のごとき金属がラミネー
ト、もしくは蒸着された紙、もしくはプラスチックフィ
ルム等が挙げられる。
【0060】好ましい支持体は、ポリエステルフィル
ム、ポリイミドフィルム、アルミニウム、又は印刷版上
で腐食しにくいSUS板であり、その中でも寸法安定性
がよく、比較的安価であるアルミニウム板とフィルムは
特に好ましい。
【0061】好適なポリイミドフィルムは、ピロメリッ
ト酸無水物とm−フェニレンジアミンを重合させたの
ち、環状イミド化したポリイミド樹脂フィルムであり、
このフィルムは市販されている(例えば、東レ・デュポ
ン社製の「カプトン」を挙げることができる)。
【0062】好適なアルミニウム板は、純アルミニウム
板およびアルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含
む合金板であり、更にアルミニウムがラミネートもしく
は蒸着されたプラスチックフィルムでもよい。アルミニ
ウム合金に含まれる異元素には、ケイ素、鉄、マンガ
ン、銅、マグネシウム、クロム、亜鉛、ビスマス、ニッ
ケル、チタンなどがある。合金中の異元素の含有量は高
々10重量%以下である。本発明において特に好適なア
ルミニウムは、純アルミニウムであるが、完全に純粋な
アルミニウムは精錬技術上製造が困難であるので、僅か
に異元素を含有するものでもよい。このように本発明に
適用されるアルミニウム板は、その組成が特定されるも
のではなく、従来より公知公用の素材のアルミニウム板
を適宜に利用することができる。本発明で用いられる金
属支持体の厚みはおよそ0.1mm〜0.6mm程度、好ま
しくは0.15mm〜0.4mm、特に好ましくは0.2mm
〜0.3mmであり、プラスチックや加工紙などその他の
支持体の厚みはおよそ0.1mm〜2.0mm程度、好まし
くは0.2mm〜1.0mmである。
【0063】アルミニウム支持体を用いる場合は、表面
を粗面化して用いることが好ましい。その場合、所望に
より、粗面化に先立って表面の圧延油を除去するため
の、例えば界面活性剤、有機溶剤またはアルカリ性水溶
液などによる脱脂処理が行われる。アルミニウム板の表
面の粗面化処理は、種々の方法により行われるが、例え
ば、機械的に粗面化する方法、電気化学的に表面を溶解
粗面化する方法および化学的に表面を選択溶解させる方
法により行われる。機械的方法としては、ボール研磨
法、ブラシ研磨法、ブラスト研磨法、バフ研磨法などの
公知の方法を用いることができる。また、電気化学的な
粗面化法としては塩酸または硝酸電解液中で交流または
直流により行うなど公知の方法を利用することができ
る。また、粗面化されたアルミニウム板は、必要に応じ
てアルカリエッチング処理および中和処理された後、所
望により表面の保水性や耐摩耗性を高めるために陽極酸
化処理が施される。陽極酸化の電解質の濃度は電解質の
種類によって適宜決められる。
【0064】陽極酸化の処理条件は、用いる電解質によ
り種々変わるので一概に特定し得ないが、一般的には電
解質の濃度が1〜80重量%溶液、液温は5〜70℃、
電流密度5〜60A/dm2、電圧1〜100V、電解時間
10秒〜5分の範囲であれば適当である。陽極酸化皮膜
の量が1.0g/m2より少ないと、耐刷性が不十分であっ
たり、平板印刷版の非画像部に傷が付き易くなって、印
刷時に傷の部分にインキが付着するいわゆる「傷汚れ」
が生じ易くなる。
【0065】本発明の印刷方法に用いる高温親水性発現
物質を表面に有する印刷原板の構成に続いて、この印刷
用原板の製版過程について説明する。
【0066】〔全面親水性化〕印刷用原板の全面親水性
化のための加熱手段には、熱源との接触による伝熱加
熱,高温の風を吹き付ける送風加熱及び熱線による輻射
加熱方式のいずれをも用いることができる。伝熱加熱
は、原板表面を熱板と接触させる加熱方式、原板表面と
加熱ローラーと接触状態で原板又はローラーの一方ある
いは両方を回転させる加熱方式,版胴内部に加熱ユニッ
ト(ヒーターなど)を設けて原板を裏面から加熱する方
式のいずれでもよく、それらの加熱の熱源も特に限定は
ないが,電熱加熱が好ましい。接触加熱方式の別の一態
様としては、公知の任意の熱記録印字素子を画像情報を
担持させないで全面走査して熱印加する方法も用いられ
る。それらは、単一の熱記録素子の一次元走査を二次元
方向に反復駆動させる方式、熱記録素子を線状に配列し
たアレイを直角方向に走査する方式あるいは二次元配列
した記録素子を用いる高速熱印加方式など公知の熱記録
方式を応用することができる。
【0067】送風加熱は赤外線ランプやヒートチューブ
などの熱源で加熱された空気を原板表面に送り込む方式
である。輻射加熱方式は、赤外線ランプ,キセノンラン
プ,タングステンランプ、赤外線を放射する固体レーザ
ー、などの熱線成分の多い光源を用いて原板表面を照射
して加熱する。その態様の一つには、印刷原板の画像形
成層又は支持体の中に光熱変換剤を含有させておくこと
もできる。例えば印刷原板に光熱変換層を設けて、その
層に光エネルギーを吸収させ、熱を発生させることがで
きる。あるいは、高温親水性発現性の原板材料それ自体
が光を吸収して自ら発熱することにより加熱することも
できる。その場合の光源は光熱変換剤の吸収波長域の光
を放射する光源であればいずれでもよい。たとえば、カ
ーボンブラック含有層を設けた印刷原板を版胴に装着
し、版胴を回転させながら半導体レーザーガスレーザ
ー、ヘリウムカドミウムレーザー、YAGレーザーなど
のレーザー光を走査露光する方法を採ることもできる。
【0068】全面親水性化のための加熱温度は,親水性
発現温度以上で,かつ原板や版胴(機上製版の場合)な
どの熱破壊の起こる温度以下の温度を選択できる。高温
親水性発現温度は、材料物質によって異なるが、一般に
200℃以上であり、多くは300℃程度である。した
がって多くの場合、加熱温度は300℃から350℃程
度が好ましい。加熱温度の上限は700℃,好ましくは
500℃である。加熱温度を高温親水性発現温度の範囲
に調節するには、加熱に用いる光の強度を制御したり、
あるいは熱記録用の加熱体への供給電力を制御するなど
の方法が取られる。
【0069】〔疎水性画像領域の形成〕本発明の印刷方
法においては、上記の加熱処理によって全面親水性化し
た原版表面に一般式(1)の化合物を含有する疎水性液
体を含有する液体をインキとしてインクジェット装置に
よって描画を行なう。この一般式(1)の化合物含有溶
液が、印刷用原板表面(画像記録面)と接触する際、通
常、印刷用原板表面の水酸基と反応して、酸素を介して
印刷用原板表面(画像記録面)に結合するか、印刷用原
板表面(画像記録面)に吸着し、印刷用原板表面に一般
式(1)の化合物により親油層が形成される。そして、
親油層が設けられた印刷用原板表面(画像記録面)が画
像領域を形成し、親水性表面領域が非画像部を形成す
る。
【0070】本発明に使用される上記機能を有する一般
式(1)の化合物の一般式(1)は下記で表される。 GnJM4-n (1) 一般式(1)の化合物において、Gは親油性有機基を示
し、JはC、Si、Ge、Ti、Zr及びSnから選択
される原子価4の元素を示し、Mはハロゲンまたはアル
コキシ基を示し、nは1〜3の整数を示す。一般式
(1)の化合物は、上述のように感光性平版印刷版の画
像記録層表面と接触するときにMが空気中の水により加
水分解して水酸化されると共に画像記録層表面の水酸基
と脱水反応して酸素を介して画像記録層表面に結合乃至
吸着し、画像記録層表面に親油性有機基Gによる親油層
が形成される。そして、親油層が設けられた画像記録層
を像様加熱すると加熱部分の一般式(1)の化合物と画
像記録層との結合(即ち、(画像記録層の金属原子)−
酸素−J原子という結合)における酸素−J間の結合や
あるいはGnJに含まれる結合が切断されるか、一般式
(1)の化合物と画像記録層との吸着が脱着されること
により、一般式(1)の化合物が脱離乃至分解除去さ
れ、該加熱部分が親水化される。画像記録層の加熱によ
る極性変換よりも一般式(1)の化合物が吸着した状態
の極性変換が顕著に大きい。
【0071】親油性有機基Gは、一般式(1)の化合物
に上記機能を付与し得、かつ親油層形成の主体となる機
能を担え得るものであれば特に制限はない。具体的には
親油性有機基Gとしては、好ましくは炭素数1〜32
の、更に好ましくは炭素数3〜18のアルキル基やアリ
ール基が挙げられ、また、これらアルキル基またはアリ
ール基の水素原子がアリール基、ハロゲン原子、エポキ
シ基、アミノ基、ビニル基、ビニル基、メタクリロキシ
基、シアノ基、アルキルチオ基(例えば、炭素数1〜
8)、アルキルオキシ基(例えば、炭素数1〜8)等で
置換された置換アルキル基または置換アリール基が挙げ
られる。
【0072】より具体的には、アルキル基(メチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシ
ル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、
ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシ
ル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基
等)、モノクロロアルキル基(3−クロロプロピル基、
クロロメチル基、4−クロロブチル基、2−クロロエチ
ル基、5−クロロペンチル基、6−クロロヘキシル基
等)、ポリクロロアルキル基(3,3,3−トリクロロ
プロピル基、トリクロロメチル基、トリクロロブチル
基、トリクロロエチル基、トリクロロペンチル基、3,
3,4,4,5,5,6,6,6−ノナクロロヘキシル
基等)、アセトキシメチル基、アセトキシプロピル基、
4−アミノブチル基、ベンジル基、アミノエチル基、ア
ミノプロピル基、3−アミノフェノキシ基、5−(ビシ
クロヘプテニル)基、尿素プロピル基、ビニルベンジロ
キシ基、チエニル基、フェニルチエニル基、フェノキシ
プロピル基、ビニル基、ブテニル基、オクテニル基、オ
クタジエニル基、モルフォリノプロピル基、モルフォリ
ノエチルチオプロピル基、N−メチルアミノプロピル
基、メトキシフェニル基、メタクリロキシメチル基、O
−メタクリロキシ(ポリエチレンオキシ)エチル基、エ
チルメチルケトキシミノメチル基、5,6−エポキシヘ
キシル基、γ−グリシドキシプロピル基、エポキシエチ
ル基、エポキシメチル基、グリシジル基、2−(3,4
−エポキシシクロヘキシル)基、ドコセニル基、o−ト
リル基、p−トリル基、ピリジノ基、ジエチルホスフェ
ートエチル基、N,N−ジエチル−3−アミノプロピル
基、シクロヘキシル基、2−(3−シクロヘキセニル)
エチル基、3−シアノプロピル基、クロロプロピル基、
2−(カルボキシメチルチオ)エチル基等が挙げられ
る。
【0073】JはC、Si、Ge、Ti、Zr及びSn
から選択される原子価4の元素を示す。画像記録層主体
が酸化チタンである場合、JはC、Tiが感光性平版印
刷版の再生性能に特に優れる点で好ましい。Mは、ハロ
ゲン原子またはアルコキシ基を示す。ハロゲン原子とし
ては、塩素、臭素、ヨウ素、フッ素で特に塩素が好まし
い。アルコキシ基としては、炭素数1〜12のものが好
ましく、炭素数3〜6のものが更に好ましい。nが1又
は2の場合、複数のMは互いに同一または異なるハロゲ
ン原子及び/又はアルコキシ基が置換されてもよい。n
は1〜3の整数であり、好ましくは1である。
【0074】一般式(1)の化合物の具体例としては、
メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、プ
ロピルトリクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ペ
ンチルトリクロロシラン、ヘキシルトリクロロシラン、
ヘプチルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラ
ン、ノニルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラ
ン、ウンデシルトリクロロシラン、ドデシルトリクロロ
シラン、トリデシルトリクロロシラン、テトラデシルト
リクロロシラン、ペンタデシルトリクロロシラン、ヘキ
サデシルトリクロロシラン、ヘプタデシルトリクロロシ
ラン、オクタデシルトリクロロシラン、ノナデシルトリ
クロロシラン、エイコシルトリクロロシラン、
【0075】ジメチルジクロロシラン、エチルメチルジ
クロロシラン、プロピルメチルジクロロシラン、ブチル
メチルジクロロシラン、ペンチルメチルジクロロシラ
ン、ヘキシルメチルジクロロシラン、ヘプチルメチルジ
クロロシラン、オクチルメチルジクロロシラン、ノニル
メチルジクロロシラン、デシルメチルジクロロシラン、
ウンデシルメチルジクロロシラン、ドデシルメチルジク
ロロシラン、トリデシルメチルジクロロシラン、テトラ
デシルメチルジクロロシラン、ペンタデシルメチルジク
ロロシラン、ヘキサデシルメチルジクロロシラン、ヘプ
タデシルメチルジクロロシラン、オクタデシルメチルジ
クロロシラン、ノナデシルメチルジクロロシラン、エイ
コシルメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラ
ン、エチルジメチルクロロシラン、プロピルジメチルク
ロロシラン、ブチルジメチルクロロシラン、ペンチルジ
メチルクロロシラン、ヘキシルジメチルクロロシラン、
ヘプチルジメチルクロロシラン、オクチルジメチルクロ
ロシラン、ノニルジメチルクロロシラン、デシルジメチ
ルクロロシラン、ウンデシルジメチルクロロシラン、ド
デシルジメチルクロロシラン、トリデシルジメチルクロ
ロシラン、テトラデシルジメチルクロロシラン、ペンタ
デシルジメチルクロロシラン、ヘキサデシルジメチルク
ロロシラン、ヘプタデシルジメチルクロロシラン、オク
タデシルジメチルクロロシラン、ノナデシルジメチルク
ロロシラン、エイコシルジメチルクロロシラン、
【0076】アセトキシメチルトリクロロシラン、アセ
トキシエチルトリクロロシラン、アセトキシプロピルト
リクロロシラン、アセトキシブチルトリクロロシラン、
アセトキシペンチルトリクロロシラン、アセトキシヘキ
シルトリクロロシラン、アセトキシヘプチルトリクロロ
シラン、アセトキシオクチルトリクロロシラン、アセト
キシノニルトリクロロシラン、アセトキシデシルトリク
ロロシラン、アセトキシウンデシルトリクロロシラン、
アセトキシドデシルトリクロロシラン、アセトキシトリ
デシルトリクロロシラン、アセトキシテトラデシルトリ
クロロシラン、アセトキシペンタデシルトリクロロシラ
ン、アセトキシヘキサデシルトリクロロシラン、アセト
キシヘプタデシルトリクロロシラン、アセトキシオクタ
デシルトリクロロシラン、アセトキシノナデシルトリク
ロロシラン、アセトキシエイコシルトリクロロシラン、
【0077】メチルトリエトキシシラン、エチルトリエ
トキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルト
リエトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘキ
シルトリエトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラ
ン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシ
シラン、デシルトリエトキシシラン、ウンデシルトリエ
トキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシ
ルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラ
ン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルト
リエトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、
オクタデシルトリエトキシシラン、ノナデシルトリエト
キシシラン、エイコシルトリエトキシシラン、ジメチル
ジエトキシシラン、エチルメチルジエトキシシラン、プ
ロピルメチルジエトキシシラン、ブチルメチルジエトキ
シシラン、ペンチルメチルジエトキシシラン、ヘキシル
メチルジエトキシシラン、ヘプチルメチルジエトキシシ
ラン、オクチルメチルジエトキシシラン、ノニルメチル
ジエトキシシラン、デシルメチルジエトキシシラン、ウ
ンデシルメチルジエトキシシラン、ドデシルメチルジエ
トキシシラン、トリデシルメチルジエトキシシラン、テ
トラデシルメチルジエトキシシラン、ペンタデシルメチ
ルジエトキシシラン、ヘキサデシルメチルジエトキシシ
ラン、ヘプタデシルメチルジエトキシシラン、オクタデ
シルメチルジエトキシシラン、ノナデシルメチルジエト
キシシラン、エイコシルメチルジエトキシシラン、
【0078】トリメチルエトキシシラン、エチルジメチ
ルエトキシシラン、プロピルジメチルエトキシシラン、
ブチルジメチルエトキシシラン、ペンチルジメチルエト
キシシラン、ヘキシルジメチルエトキシシラン、ヘプチ
ルジメチルエトキシシラン、オクチルジメチルエトキシ
シラン、ノニルジメチルエトキシシラン、デシルジメチ
ルエトキシシラン、ウンデシルジメチルエトキシシラ
ン、ドデシルジメチルエトキシシラン、トリデシルジメ
チルエトキシシラン、テトラデシルジメチルエトキシシ
ラン、ペンタデシルジメチルエトキシシラン、ヘキサデ
シルジメチルエトキシシラン、ヘプタデシルジメチルエ
トキシシラン、オクタデシルジメチルエトキシシラン、
ノナデシルジメチルエトキシシラン、エイコシルジメチ
ルエトキシシラン、
【0079】3−クロロプロピルトリクロロシラン、ク
ロロメチルメチルジクロロシラン、4−クロロブチルジ
メチルクロロシラン、2−クロロエチルトリクロロシラ
ン、5−クロロペンチルメチルジクロロシラン、6−ク
ロロヘキシルジメチルクロロシラン、3,3,3−トリ
クロロプロピルトリクロロシラン、トリクロロメチルジ
メチルクロロシラン、トリクロロブチルメチルジクロロ
シラン、トリクロロエチルトリクロロシラン、トリクロ
ロペンチルトリクロロシラン、3,3,4,4,5,
5,6,6,6−ノナクロロヘキシルトリクロロシラ
ン、アセトキシメチルトリクロロシラン、アセトキシプ
ロピルジメチルクロロシラン、4−アミノブチルトリク
ロロシラン、ベンジルメチルジクロロシラン、アミノエ
チルジメチルクロロシラン、アミノプロピルメチルジク
ロロシラン、3−アミノフェノキシトリクロロシラン、
5−(ビシクロヘプテニル)トリクロロシラン、尿素プ
ロピルトリクロロシラン、ビニルベンジロキシトリクロ
ロシラン、チエニルトリクロロシラン、フェニルチエニ
ルジメチルクロロシラン、フェノキシプロピルトリクロ
ロシラン、ビニルジメチルクロロシラン、ブテニルメチ
ルジクロロシラン、オクテニルジメチルクロロシラン、
オクタジエニルトリクロロシラン、モルフォリノプロピ
ルジメチルクロロシラン、モルフォリノエチルチオプロ
ピルジメチルクロロシラン、N−メチルアミノプロピル
メチルジクロロシラン、メトキシフェニルメチルジクロ
ロシラン、メタクリロキシメチルメチルジクロロシラ
ン、O−メタクリロキシ(ポリエチレンオキシ)エチル
ジメチルクロロシラン、エチルメチルケトキシミノメチ
ルトリクロロシラン、5,6−エポキシヘキシルジメチ
ルクロロシラン、γ−グルシドプロピルメチルジクロロ
シラン、エポキシエチルトリクロロシラン、エポキシメ
チルジメチルクロロシラン、グリシジルメチルジクロロ
シラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリ
クロロシラン、ドコセニルトリクロロシラン、o−トリ
ルメチルジクロロシラン、p−トリルメチルジクロロシ
ラン、ピリジノメチルジクロロシラン、ジエチルホスフ
ェートエチルトリクロロシラン、N,N−ジエチル−3
−アミノプロピルジメチルクロロシラン、シクロヘキシ
ルジメチルクロロシラン、2−(3−シクロヘキセニ
ル)エチルジメチルクロロシラン、3−シアノプロピル
ジメチルクロロシラン、クロロプロピルトリクロロシラ
ン、2−(カルボキシメチルチオ)エチルメチルジクロ
ロシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキ
シシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロ
キシプロピルトリメトキシシラン、β(3,4エポキシ
シンクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−グ
リシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシド
キシプロピルメチルジエトキシシラン、N−β(アミノ
エチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキ
シシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N
−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、
γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロ
ロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプ
ロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル
トリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチ
ル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、
【0080】3−クロロプロピルトリエトキシシラン、
クロロメチルメチルジエトキシシラン、4−クロロブチ
ルジメチルエトキシシラン、2−クロロエチルトリエト
キシシラン、5−クロロペンチルメチルジエトキシシラ
ン、6−クロロヘキシルジメチルエトキシシラン、3,
3,3−トリクロロプロピルトリエトキシシラン、トリ
クロロメチルジメチルエトキシシラン、トリクロロブチ
ルメチルジエトキシシラン、トリクロロエチルトリエト
キシシラン、トリクロロペンチルトリエトキシシラン、
3,3,4,4,5,5,6,6,6−ノナクロロヘキ
シルトリエトキシシラン、アセトキシメチルトリエトキ
シシラン、アセトキシプロピルジメチルエトキシシラ
ン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、ベンジルメ
チルジエトキシシラン、アミノエチルジメチルエトキシ
シラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−
アミノフェノキシトリエトキシシラン、5−(ビシクロ
ヘプテニル)トリエトキシシラン、尿素プロピルトリエ
トキシシラン、ビニルベンジロキシトリエトキシシラ
ン、チエニルトリエトキシシラン、フェニルチエニルジ
メチルエトキシシラン、フェノキシプロピルトリエトキ
シシラン、ビニルジメチルエトキシシラン、ブテニルメ
チルジエトキシシラン、オクテニルジメチルエトキシシ
ラン、オクタジエニルトリエトキシシラン、モルフォリ
ノプロピルジメチルエトキシシラン、モルフォリノエチ
ルチオプロピルジメチルエトキシシラン、N−メチルア
ミノプロピルメチルジエトキシシラン、メトキシフェニ
ルメチルジエトキシシラン、メタクリロキシメチルメチ
ルジエトキシシラン、O−メタクリロキシ(ポリエチレ
ンオキシ)エチルジメチルエトキシシラン、エチルメチ
ルケトキシミノメチルトリエトキシシラン、5,6−エ
ポキシヘキシルジメチルエトキシシラン、エポキシエチ
ルトリエトキシシラン、エポキシメチルジメチルエトキ
シシラン、グリシジルメチルジエトキシシラン、2−
(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリエトキシシラ
ン、ドコセニルトリエトキシシラン、o−トリルメチル
ジエトキシシラン、p−トリルメチルジエトキシシラ
ン、ピリジノメチルジエトキシシラン、ジエチルホスフ
ェートエチルトリエトキシシラン、N,N−ジエチル−
3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、シクロヘ
キシルジメチルエトキシシラン、2−(3−シクロヘキ
セニル)エチルジメチルエトキシシラン、3−シアノプ
ロピルジメチルエトキシシラン、クロロプロピルトリエ
トキシシラン、2−(カルボキシメチルチオ)エチルメ
チルジエトキシシラン
【0081】n−オクタデシルトリクロロメタン、n−
オクタデシルトリクロロチタン、フェニルトリクロロゲ
ルマン、O−アリルオキシ(ポリエチレンオキシ)トリ
イソプロポキシチタネート、チタンイソブトキサイド、
チタンイソブトキサイド、チタンn−ノニルオキサイ
ド、ジルコニウムt−ブトキサイド、ジルコニウムn−
プロポキサイド、テトライソプロポキシスズ−イソプロ
パノール、その他、上記例示した反応性シリコン化合物
において、SiをC、Ge、Ti、Zr及びSnで置換
し得る化合物等が挙げられる。Siをほかの元素と置き
換えた構造の化合物も本発明の目的に対して効果が大き
く,特に金属元素がTi,Zrの場合は,効果的である
が、上記の例示化合物のSiそれぞれの金属又は非金属
元素に置き換えた形であるので,例示することは省略す
る。
【0082】上記一般式(1)の化合物は、単独乃至組
み合わせて使用される。また、それらは上記一般式
(1)の化合物と同様の機能を発揮する基G、J、Mを
有した構造のものであれば、一般式(1)の化合物は脱
水縮合反応により、J−O結合を介してなるオリゴマー
化されたものでもよい。上記一般式(1)の化合物は、
市販のものが使用でき、例えば、信越化学工業(株)、
チッソ(株)等から入手できる。
【0083】本発明に用いる一般式〔1〕の化合物を含
有するインキは、疎水性の像様領域を形成することが目
的なので, 一般式〔1〕の化合物のみの疎水性溶剤溶液
であってもよいが、インクジェット装置の噴射性,視認
性,液滴分散性,帯電特性などを最適化するために、有
機溶剤,界面活性剤,有機高分子化合物、色素又は顔
料、など公知のインクジェット用油溶性インキの添加物
を必要に応じて適宜加えることができる。
【0084】本発明においては、油性インクを用いるイ
ンクジェット装置であればいずれの装置をも用いること
ができる。用いられる油性インクは、好ましくは電気抵
抗109Ω・cm以上かつ誘電率3.5以下の非水溶媒を
溶液又は分散媒として用いることができる。静電吐出型
以外の装置であれば、誘電率の上記のような制約はな
く、溶剤の選択の範囲を広げることができる。
【0085】本発明に用いる疎水性溶液は、非水溶媒を
用いるのが好ましく、その場合の好ましい非水溶媒とし
ては直鎖状もしくは分岐状の脂肪族炭化水素、脂環式炭
化木素、または芳香族炭化水素、およびこれらの炭化水
素のハロゲン置換体がある。例えばオクタン、イソオク
タン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカ
ン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、
シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチ
レン、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、ア
イソパーL(アイソパー;エクソン社の商品名)、シェ
ルゾール70、シェルゾール71(シェルゾール;シェ
ルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ46
0溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)等を単独あ
るいは混合して用いる。なお、このような非水溶媒の電
気抵抗の上限値は1016Ω・cm程度であり、誘電率の下
限値は1.8程度である。
【0086】用いる非水溶媒の電気抵抗を上記範囲とす
るのは、電気抵抗が低くなると、インクの電気抵抗が適
正にならず、電界によるインクの吐出が悪くなるからで
あり、誘電率を上記範囲とするのは、誘電率が高くなる
とインク中で電界が緩和されやすくなり、これによりイ
ンクの吐出が悪くなりやすくなるからである。静電吐出
型以外のインクジェット装置を用いる場合は、油性イン
クを用いる装置であっても、誘電率の制約は少なく,オ
クタノール、デカノール、MEKなどの極性の比較的高
い溶剤を用いることができる。、インクが画像として着
弾後、にじみを抑制するために、2種以上の溶媒を用い
たり、以下に述べる高分子材料や粘度調整剤を添加した
り、あるいは蒸発速度制御用の他の溶媒を添加すること
ができる。これらの溶媒としてはアルコール類、エーテ
ル類、アセタール類、ケトン類、エステル類、脂肪酸
類、アミン類、フェノール類及び可塑材溶剤などが挙げ
られる。
【0087】また、本発明においては、画像領域は一般
式〔1〕の化合物の像様分布で形成されればよいので、
高分子材料を存在させる必要は、必須ではないが、イン
クの構成成分の性質上などの必要に応じて少量(2質量
%以下)の高分子材料を添加してもよく、添加される樹
脂として具体的には、オレフィン重合体および共重合体
(例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチ
レン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アク
リレート共重合体、エチレン−メタクリレート共重合
体、エチレン−メタクリル酸共重合体等)、塩化ビニル
共重合体(例えば、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合体)、塩化ビニリデン共重合体、アルカン
酸ビニル重合体および共重合体、アルカン酸アリル重合
体および共重合体、スチレンおよびその誘導体の重合体
ならびに共重合体(例えばブタジエン−スチレン共重合
体、イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−メタク
リレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体
等)、アクリロニトリル共重合体、メタクリロニトリル
共重合体、アルキルビニルエーテル共重合体、アクリル
酸エステル重合体および共重合体、メタクリル酸エステ
ル重合体および共重合体、イタコン酸ジエステル重合体
および共重合体、無水マレイン酸共重合体、アクリルア
ミド共重合体、メタクリルアミド共重合体、フェノール
樹脂、アルキド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ケトン樹
脂、ポリエステル樹脂、シリコン樹脂、アミド樹脂、水
酸基およびカルボキシル基変性ポリエスエテル樹脂、ブ
チラール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ウレタン樹
脂、ロジン系樹脂、水素添加ロジン樹脂、石油樹脂、水
素添加石油樹脂、マレイン酸樹脂、テルペン樹脂、水素
添加テルペン樹脂、クロマン−インデン樹脂、環化ゴム
−メタクリル酸エステル共重合体、環化ゴム−アクリル
酸エステル共重合体、窒素原子を含有しない複素環を含
有する共重合体(複素環として例えば、フラン環、テト
ラヒドロフラン環、チオフエン環、ジオキサン環、ジオ
キソフラン環、ラクトン環、ベンゾフラン環、ベンソチ
オフェン環、1,3−ジオキセタン環等)、エポキシ樹
脂等が挙げられる。
【0088】本発明に用いる油性インクに分散された樹
脂粒子を添加する場合,その含有量は、インク全体の
0.1〜2質量%とすることが好ましい。含有量が多く
なると,吐出へッドでのインクの目詰まりが生じやす
く、安定なインク吐出が得られ難いなどの問題がある。
【0089】本発明に供される油性インク中には、前記
の分散樹脂粒子とともに、画像部の視認性を持たせるた
めに着色成分として色材を含有させることが好ましい。
色材としては、従来から油性インク組成物あるいは静電
写真用液体現像剤に用いられている顔料および染料であ
ればどれでも使用可能である。
【0090】顔料としては、無機顔料、有機顔料を問わ
ず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用
することができる。具体的には、例えば、カーボンブラ
ック、カドミウムレッド、モリブデンレッド、クロムイ
エロー、カドミウムイエロー、チタンイエロー、酸化ク
ロム、ピリジアン、チタンコバルトグリーン、ウルトラ
マリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、ア
ゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔
料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、ス
レン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、チオイ
ンジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料、等
の従来公知の顔料を特に限定することなく用いることが
できる。
【0091】染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、
ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、
カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染
料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロ
ソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロ
シアニン染料、金属フタロシアニン染料、等の油溶性染
料が好ましい。これらの顔料および染料は、単独で用い
てもよいし、適宜組み合わせて使用することも可能であ
るが、インク全体に対して0.01〜5重量%の範囲で
含有されることが望ましい。
【0092】これらの色材は、分散樹脂粒子とは別に色
材自身を分散粒子として非水溶媒中に分散させてもよい
し、分散樹脂粒子中に含有させてもよい。含有させる場
合、顔料などは分散樹脂粒子の樹脂材料で被覆して樹脂
被覆粒子とする方法などが一般的であり、染料などは分
散樹脂粒子の表面部を着色して着色粒子とする方法など
が一般的である。本発明の非水溶媒中に、分散された樹
脂粒子、更には着色粒子等を含めて、これらの粒子の平
均粒径は0.10μm〜1μmが好ましい。より好まし
くは0.15μm〜0.8μmである。この粒径はCA
PA−500粒度測定装置(堀場製作所(株)製、商品
名)により求めたものである。
【0093】本発明に用いられる非水系の描画用インキ
は、塗料または静電写真用液体現像剤の製造方法を利用
することができ、これらについては、例えば、植木憲二
監訳「塗料の流動と顔料分散」共立出版(1971
年)、「ソロモン、塗料の科学」、「Paint and Surfac
e Coating and Theory and Practice」、原崎勇次「コ
ーティング工学」朝倉書店(1971年)、原崎勇次
「コーティングの基礎科学」槙書店(1977年)等の
成書に記載されている。
【0094】具体的には、例えば、英国特許第8934
29号、同第93038号、米国特許第1122397
号、同第3900412号、同第4606989号、特
開昭60−179751号、同60−185963号、
特開平2−13965号等に記載された方法に準じて調
製することができる。
【0095】吐出型のインクジェットの場合に好ましく
用いる荷電調節剤は、担体液体である分散媒1000重
量部に対して0.001〜1.0重量部の添加量であ
り、静電吐出方式でない場合には、添加しなくてもよ
い。また、更に所望により各種添加剤を加えてもよく、
それら添加物の総量は、油性インクの電気抵抗によって
その上限が規制される。一方、分散粒子を除去した状態
のインクの電気抵抗が10 9Ω・cmより低くなると良質
の連続階調像が得られ難くなるので、各添加物の添加量
を、この限度内で調整することが必要である。
【0096】次に、前記した平板印刷原版(以下「マス
ター」とも称する)上に画像を形成する方法を説明す
る。このような方法を実施する装置系としては例えば図
1に示すものがある。図1に示す装置系は油性インクを
使用するインクジェット記録装置1を有するものであ
る。
【0097】図1のように、まず、マスター2を形成す
べき画像(図形や文章)のパターン情報を、コンピユー
タ3のような情報供給源から、バス4のような伝達手段
を通し、油性インクを使用するインクジェット記録装置
1に供給する。記録装置1のインクジェット記録用ヘッ
ド10は、その内部に油性インクを貯え、記録装置1内
にマスター2が通過すると、前記情報に従い、インクの
微小な液滴をマスター2に吹き付ける。これにより、マ
スター2に前記パターンでインクが付着する。こうして
マスター2に画像を形成し終え、製版マスター(製版印
刷原版)を得る。
【0098】図1の装置系におけるインクジェット記録
装置の構成例を図2および図3に示す。図2および図3
では図1と共通する部材は共通の符号を用いて示してい
る。図2はこのようなインクジェット記録装置の要部を
示す概略構成図であり、図3はヘッドの部分断面図であ
る。インクジェット記録装置に備えられているヘッド1
0は、図2、図3に示されるように、上部ユニット10
1と下部ユニット102とで挟まれたスリットを有し、
その先端は吐出スリット10aとなっており、スリット
内には吐出電極10bが配置され、スリット内には油性
インク11が満たされた状態になっている。
【0099】ヘッド10では、画像のパターン情報のデ
ジタル信号に従って、吐出電極10bに電圧が印加され
る。図2に示されるように、吐出電極10bに対向する
形で対向電極10cが設置されており、対向電極10c
上にはマスター2が設けられている。電圧の印加によ
り、吐出電極10bと、対向電極10cとの間には回路
が形成され、ヘッド10の吐出スリット10aから油性
インク11が吐出され対向電極10cに設けられたマス
ター2上に画像が形成される。
【0100】吐出電極10bの幅は、高画質の画像形
成、例えば印字を行うためにその先端はできるだけ狭い
ことが好ましい。例えば油性インクを図3のヘッド10
に満たし、先端が20μm幅の吐出電極10bを用い、
吐出電極10bと対向電極10cの間隔を1.5mmとし
て、この電極間に3KVの電圧を0.1ミリ秒印加する
ことで40μmのドットの印字をマスター2上に形成す
ることができる。
【0101】〔印刷〕印刷用原板は、その表面に親油性
・親水性の画像状分布を形成させたのち、現像処理する
ことなく、そのままオフセット印刷工程に送ることがで
きる。従って通常の公知の平版印刷法に比較して簡易性
を中心に多くの利点を有する。すなわち上記したように
アルカリ現像液による化学処理が不要であり、それに伴
うワイピング、ブラッシングの操作も不要であり、さら
に現像廃液の排出による環境負荷も伴わない。また、上
記したような簡易な画像記録手段から容易に印刷を行う
ことも利点である。
【0102】平版印刷版の非画像部は、十分に親水性化
しているが、所望により、水洗水、界面活性剤等を含有
するリンス液、アラビアガムや澱粉誘導体を含む不感脂
化液で後処理してもよい。本発明の画像記録材料を印刷
用版材として使用する場合の後処理としては、これらの
処理を種々組み合わせて用いることができる。その方法
としては、該整面液を浸み込ませたスポンジや脱脂綿に
て、平版印刷版上に塗布するか、整面液を満たしたバッ
ト中に印刷版を浸漬して塗布する方法や、自動コーター
による塗布などが適用される。また、塗布した後でスキ
ージー、あるいは、スキージーローラーで、その塗布量
を均一にすることは、より好ましい結果を与える。整面
液の塗布量は一般に0.03〜0.8g/m2(乾燥重量)
が適当である。この様な処理によって得られた平版印刷
版は、オフセット印刷機等にかけられ、あるいは印刷機
上で製版され、多数枚の印刷に用いられる。
【0103】次に印刷を終えた印刷版の再生工程につい
て記す。 〔印刷用原板の再生〕印刷終了後の印刷版は疎水性の石
油系溶剤を用いて付着しているインキを洗い落とす。溶
剤としては市販の印刷用インキ溶解液として芳香族炭化
水素、例えばケロシン、アイソパ−などがあり、そのほ
かベンゾール、トルオール、キシロール、アセトン、メ
チルエチルケトン、ケロシン及びそれらの混合溶剤を用
いてもよい。画像物質が溶解しない場合には、布などを
用いて軽く拭き取る。また、トルエン/ダイクリーンの
1/1混合溶媒を用いるとよいこともある。インクが除
去された版は、印刷用原板として再使用できる。
【0104】再使用の際には,前記したようにまず全面
親水化のために高温親水性発現温度への加熱が行なわれ
るが、この加熱温度は、印刷版面上に疎水性領域を形成
している一般式(1)の化合物の熱分解温度以上であ
り、この化合物を熱分解して疎水性基を離脱させ、一様
の親水性表面を回復させ、次ぎの疎水性溶液による描画
工程をすすめることが可能となる。この熱分解は、一般
式(1)の化合物の種類にもよるが、200℃以上、多
くは、ほぼ300℃程度で起こるので,好ましくは35
0℃に加熱するのがよい。
【0105】本発明に係わる印刷原板の反復再生可能回
数は、完全に把握できていないが、少なくとも15回以
上であり、おそらく反面の除去不能な汚れ、修復が実際
的でない刷面の傷や、版材の機械的な変形(ひずみ)な
どによって制約されるものと思われる。
【0106】〔装置の態様〕本発明における印刷原板の
構成材料及び製版操作についての説明に続いて、この原
板を装着して印刷を行う方法及び装置を、図によって説
明する。熱応答型物質を表面にもつ印刷用原板は、版胴
の構成部材として固定されていてもよく、また着脱自在
であってもよい。以下図4以降の説明では、本発明の簡
易性を顕著に発揮する前者を例に、すなわち版胴上に印
刷原板が固定されている例について説明する。
【0107】図4は、本発明の第1の実施形態の一例に
よるオフセット印刷装置の構成を示す図である。図4に
示すように本発明の一つの実施形態によるオフセット印
刷装置は、酸化チタンや酸化第二鉄など前記した熱応答
特性を有する材料を表面に有する版胴41と、版胴41
に対して親水性発現温度以上に加熱を行って原板表面を
全面親水性化する親水性化処理部42と、全面親水性化
された版胴41に対してインクジェット装置を用いて本
発明に係る一般式(1)の化合物を含有するインクによ
る描画を行って親水性・疎水性の像様分布を形成するイ
ンクジェット描画部45と、その版胴41にインキおよ
び湿し水を供給するインキ・湿し水供給部43と、印刷
終了後に版胴41に残存するインキを除去するインキ洗
浄部44と、版胴41に保持されたインキを用紙に転写
するための中間体としてのブランケット46と、ブラン
ケット46とともに給送された用紙を保持する圧胴47
とを備え、これらの部材が本体48内に収容されてなる
ものである。
【0108】本形態では親水性化処理部42には、原板
の幅方向両端よりもそれぞれ5mm広い幅で版胴回転方
向に20mmの長さを持ち、かつ版胴と同じ曲率半径の
電熱加熱方式の熱板を原板表面から0.5mmの間隔で
配して、版胴の回転に伴って原板が親水性化処理部42
を通過する間に高温親水性発現温度に加熱あれる構造と
なっている。熱板に印可する電力と版胴の回転速度によ
って加熱時間と加熱温度が制御される。全面親水化され
た原版は、インクジェット描画部45を通過しながら、
あるいは版胴の回転を止めた状態でインクジェット描画
を行ない、原板表面に像様の親水性・疎水性分布が形成
される。前者の場合には、描画が適切に行なわれるよう
にインクの吐出速度と版胴の回転速度がきめられる。イ
ンクジェット描画後、速やかに溶剤を乾燥除去させるた
めに過熱あるいは風乾を可能とする乾燥器を設けてもよ
い。温度は、100℃以下で十分である。
【0109】インクジェット描画部45は、画像情報を
担持した電気信号に従ってインク滴を吐出して版面に疎
水性領域を形成する。 図5は、インクジェット装置に
よる描画部45の構成例である。編集・レイアウトW/
S60において印刷すべき画像から信号化されて記録部
に入力される画像信号Sに基づいて、インクジェット装
置の駆動部59が電気信号を液滴の吐出信号に変調さ
れ、液滴吐出ノズル58から版面に向けて像様の吐出が
行なわれ、版胴41の表面に描画を行われる
【0110】次いで、第1の実施形態の動作について説
明する。まず、電熱加熱による全面親水化を行なう親水
性化処理部42を回転しながら通過する版胴41の表面
部分は、親水性となる。全面が親水性化した版胴は、イ
ンクジェット方式の描画部45で、画像情報で変調させ
た液滴の吐出により、疎水性液滴の像様分布が付与さ
れ、親水性・親油性の画像状分布が得られる。インクジ
ェット方式の描画が終了すると、インキ・湿し水供給部
43よりインキおよび湿し水が版胴41に供給される。
これにより、版胴41の親油性の画像領域にはインキが
保持され、親水性の非画像領域にはインキが保持される
ことなく湿し水が保持される。
【0111】その後、ブランケット46と圧胴47との
間に矢印Aに示すように用紙を供給し、版胴41に保持
されたインキをブランケット46を介して用紙に転写す
ることによりオフセット印刷が行われる。
【0112】印刷終了後、インキ洗浄部44により版胴
41に残存するインキを除去したのち、続いて、あるい
は保存ののち、再び印刷用原板として使用する。
【0113】このように、本発明によるオフセット印刷
装置によれば、高温親水性発現温度での全面加熱による
全面親水性の均一表面の形成と一般式〔1〕の化合物の
インクジェット方式による像様分布のみで版胴41上の
原板に印刷画面を形成することができ、これにより現像
が不要でかつ印刷面の鮮鋭性が保たれたオフセット印刷
を行うことができる。また、印刷終了後、版胴41上の
原板を洗浄して、版胴41うえの原板を反復使用するこ
とができ、これにより印刷物を低コストで提供すること
ができることとなる。さらに、印刷装置から版胴41を
取り外す必要がないため、従来のPS版のように印刷装
置に組み込む際にゴミなどが付着することもなくなり、
これにより、印刷品質を向上させることができる。
【0114】また、印刷用原板として版胴41を使用
し、版胴41の周囲に親水性化処理部42、インキ・湿
し水供給部43、インキ洗浄部44および描画部45を
配設することにより、単に版胴41を回転させるのみ
で、原板の全面疎水性化、活性光による像様照射および
インキと湿し水の供給、さらには印刷終了後のインキ洗
浄を行うことができるため、装置をコンパクトに構成す
ることができ、これにより省スペース化を図ることがで
きる。
【0115】
【実施例】〔実施例1〕上記実施形態1による実施例を
示す。99.5重量%アルミニウムに、銅を0.01重
量%、チタンを0.03重量%、鉄を0.3重量%、ケ
イ素を0.1重量%含有するJISA1050アルミニ
ウム材の厚み0.30mm圧延板を、400メッシュのパ
ミストン(共立窯業製)の20重量%水性懸濁液と、回
転ナイロンブラシ(6,10−ナイロン)とを用いてそ
の表面を砂目立てした後、よく水で洗浄した。これを1
5重量%水酸化ナトリウム水溶液(アルミニウム4.5
重量%含有)に浸漬してアルミニウムの溶解量が5g/m2
になるようにエッチングした後、流水で水洗した。更
に、1重量%硝酸で中和し、次に0.7重量%硝酸水溶
液(アルミニウム0.5重量%含有)中で、陽極時電圧
10.5ボルト、陰極時電圧9.3ボルトの矩形波交番
波形電圧(電流比r=0.90、特公昭58−5796
号公報実施例に記載されている電流波形)を用いて16
0クローン/dm2の陽極時電気量で電解粗面化処理を行
った。水洗後、35℃の10重量%水酸化ナトリウム水
溶液中に浸漬して、アルミニウム溶解量が1g/m2になる
ようにエッチングした後、水洗した。次に、50℃、3
0重量%の硫酸水溶液中に浸漬し、デスマットした後、
水洗した。
【0116】さらに、35℃の硫酸20重量%水溶液
(アルミニウム0.8重量%含有)中で直流電流を用い
て、多孔性陽極酸化皮膜形成処理を行った。即ち電流密
度13A/dm2で電解を行い、電解時間の調節により陽極
酸化皮膜重量2.7g/m2とした。この支持体を水洗後、
70℃のケイ酸ナトリウムの3重量%水溶液に30秒間
浸漬処理し、水洗乾燥した。以上のようにして得られた
アルミニウム支持体は、マクベスRD920反射濃度計
で測定した反射濃度は0.30で、中心線平均粗さは
0.58μmであった。
【0117】次いでこのアルミニウム支持体を真空蒸着
装置内に入れて、全圧0.020Paになるように分圧
70%の酸素ガスの条件下でチタン金属片を電熱加熱し
て、アルミニウム支持体上に蒸着して酸化チタン薄膜を
形成した。この薄膜の結晶成分はX線解析法によって無
定型/アナターゼ/ルチル結晶構造の比が1.5/6.
5/2であり、TiO2薄膜の厚さは90nmであった。こ
れを版胴41の基体に巻き付けて機上印刷用の原板とし
た。
【0118】次いで、図4の親水性化処理部42におい
て版胴を回転させながら熱板からの熱輻射による加熱を
行なって原板表面を全面親水性とした。加熱温度は,原
板表面で350℃であり、加熱部の通過時間が120秒
となる回転速度で版胴を回転させた。照射後の原板表面
の水に対する接触角をContact Angle Meter CA-D(協和
界面科学(株)製)を用いて空中水滴法で表面の水に対
する接触角を室温のもとで測定したところ、いずれの照
射領域も3〜6度の間にあった。
【0119】次ぎにトルエンに0.1質量%の濃度でn
−オクタデシルトリクロロシランを溶解させた描画用溶
液をインクジェット用インクカセットに充填して、これ
をインクとして図4のインクジェット描画部45に装着
したインクジェット装置から原板表面に描画を行なっ
て,親水性表面に像様のインク(疎水性)領域を形成させ
た。原板表面の疎水性領域の水に対する接触角をContac
t Angle Meter CA-D(協和界面科学(株)製)を用いて
空中水滴法で室温のもとで測定したところ、いずれの部
分も78〜81度の間にあり、十分に疎水性であった。
【0120】この版胴41をサクライ社製オリバー52
片面印刷機に使用して、インキ・湿し水供給部3におい
て湿し水を純水、インキを大日本インキ化学工業社製Ne
wchampion Fグロス85墨を用いて3000枚印刷を行
った。スタートから終了まで鮮明な印刷物が得られ、版
胴41の損傷も認められなかった。
【0121】次いで洗浄部4において、版胴41の表面
を印刷用インキ洗浄液ダイクリーンR(発売元;大日本
インキ化学工業社)とトルエンの1/1混合液をウエス
にしみ込ませて丁寧に洗浄してインキを除去した。
【0122】次いで、この版胴41の表面に上記と同一
の条件で全面加熱して一様親水性化させた後、上記と同
じ条件でインクジェットによる描画を繰り返した。この
版胴41をサクライ社製オリバー52片面印刷機に使用
して、インキ・湿し水供給部3において湿し水を純水、
インキを大日本インキ化学工業社製Newchampion Fグロ
ス85墨を用いて5000枚オフセット印刷を行った。
スタートから終了まで鮮明な印刷物が得られ、版胴41
の損傷も認められなかった。
【0123】以上の繰り返しを5回実施したところ、活
性光照射後の接触角の値、加熱による接触角の回復スピ
ード及び印刷面の画像の鮮明さの変化は認められなかっ
た。この結果から、酸化チタン層をアルミニウム支持体
上に設けた印刷原板を使用し、実施形態1の印刷装置を
用いて活性光の一様照射とインクジェット方式の疎水性
画像領域の形成、印刷後のインク除去と高温親水性発現
温度への加熱によって製版印刷及び原板の反復再生使用
が可能であることが示された。
【0124】〔実施例2〕真空蒸着装置中に100ミク
ロン厚みのSUS板をセットして全圧0.65Paの真
空下でセレン化亜鉛を100nmの厚みに蒸着した。こ
れを空気中600°Cで2時間酸化処理してSUS板の
片面に酸化亜鉛の薄膜を形成させた。この酸化亜鉛皮膜
付き100ミクロンSUS板を実施例1と同じく、実施
形態1の印刷装置の版胴41の基体に巻き付けて機上製
版型の原板とした。
【0125】次いで、実施例1と同じ熱板を用いて同じ
条件で、原板表面の一様加熱親水化を行った。加熱後の
原板表面の水に対する接触角をContact Angle Meter CA
-Dを用いて空中水滴法で測定したところ、いずれの照射
領域も10〜13度の間にあった。
【0126】実施例1と同じ図1〜3に示した態様のイ
ンクジェット装置と、トルエンに0.1質量%の濃度で
n−オクタデシルトリクロロシランを溶解させた描画用
溶液とを使用して親水性化した原板表面に疎水性表面の
像様分布を形成させた。疎水性領域の水に対する接触角
をContact Angle Meter CA-D(協和界面科学(株)製)
を用いて空中水滴法で測定したところ、いずれの部分も
90〜95度の間にあった。
【0127】この版胴41をサクライ社製オリバー52
片面印刷機に使用して、インキ・湿し水供給部3におい
て湿し水を純水、インキを大日本インキ化学工業社製Ne
wchampion Fグロス85墨を用いて1000枚オフセッ
ト印刷を行った。スタートから終了まで鮮明な印刷物が
得られ、版胴41の損傷も認められなかった。
【0128】次いで洗浄部44において、版胴41の表
面を印刷用インキ洗浄液ダイクリーンR(発売元;大日
本インキ化学工業社)とトルエンの1/1混合液をウエ
スにしみ込ませて丁寧に洗浄してインキを除去した。次
いでこの版胴41の表面に上記と同一の条件で全面加熱
して一様親水化させた後、上記と同じ条件でインクジェ
ットによる描画を繰り返した。
【0129】この版胴41をサクライ社製オリバー52
片面印刷機に使用して、インキ・湿し水供給部3におい
て湿し水を純水、インキを大日本インキ化学工業社製Ne
wchampion Fグロス85墨を用いて1000枚オフセッ
ト印刷を行った。スタートから終了まで鮮明な印刷物が
得られ、版胴41の損傷も認められなかった。
【0130】この結果から、酸化亜鉛層をSUS支持体
上に設けた印刷原板を使用し、態様1の印刷装置を用い
て全面加熱による親水化と一般式(1)の化合物による
画像層形成によって印刷が可能であり、しかもインキの
洗浄除去のみで印刷原板を反復再生使用できることが示
された。
【0131】〔実施例3〕実施例1と同様にして陽極酸
化処理したアルミニウム支持体をCsLa2 NbTi2
10の化学量論比に相当するセシウムエトキシド、チタ
ンブトキシド、ランタンイソブトキシド、ニオブエトキ
シドを含む20%のエタノール溶液に浸漬して表面を加
水分解したのち280°Cに加熱してアルミニウム支持
体表面にCsLa2 NbTi2 10の厚み1000オン
グストロームの薄膜を形成させた。
【0132】この複合金属酸化物薄膜付きアルミニウム
支持体を版胴の基体に巻き付けて原板とした以外は、実
施例1と同じ操作による製版、印刷及びインキ洗浄除去
による原板再生、再印刷を行った。ただし、今回は、加
熱温度は、380℃とし、版胴の回転速度を上げて親水
性化処理部42の加熱部滞留時間を60秒とした。n−
オクタデシルトリクロロシラン層が形成された疎水性領
域の水に対する接触角は、1回目及び2回目とも84〜
90度であり、また、一様加熱領域の接触角は、9〜1
2度であった。印刷面の品質も1回目及び2回目とも地
汚れはなく、画像領域と非画像領域の識別性も十分であ
った。
【0133】〔実施例4〕厚み100ミクロンのポリイ
ミド(無水ピロメリット酸・m−フェニレンジアミン共
重合物)フィルム(商品名;カプトン、東レ・デュポン
社製)を真空蒸着装置内にセットし、二酸化チタンを熱
応答性金属酸化物とした原板を作製した。すなわち、上
記ポリイミド支持体をスパッタリング装置内にセット
し、全圧0.015Paで酸素分圧70%の条件下でチ
タン金属片を加熱して二酸化チタン薄膜を蒸着形成し
た。この薄膜の結晶成分は、X線解析法によれば、無定
型、アナターゼ、ルチルの各結晶の構造比が15/6.
5/2であった。また、二酸化チタン薄膜の暑さは90
nmであった。これを版胴の基体に巻き付けて原板とし
て使用したことと、全面加熱用にタングステンハロゲン
赤外線ランプを原板の幅方向に並べて配置して原板表面
が幅方向温度分布が350〜380℃の範囲内であって
親水性化処理部の加熱部滞留時間が70秒である条件で
使用した以外は、実施例1と同じ製版、印刷及びインキ
洗浄除去、再印刷を行った。疎水性領域の水に対する接
触角は、1回目及び2回目とも69〜72度であり、ま
た、加熱による親水性領域の接触角は、10〜15度で
あった。印刷面の品質も1回目及び2回目とも地汚れは
なく、画像領域と非画像領域の識別性も十分であった。
【0134】〔実施例5〕疎水性画像領域形成用の溶液
を、ヘキサデシルジメチルクロロシラン0.5%、シク
ロヘキサノール0.02%のキシレン溶液とした以外
は、実施例1と同じ操作によって製版,印刷,原板再生
を行なった。ヘキサデシルジメチルクロロシラン層が形
成された疎水性領域の水に対する接触角は、1回目及び
2回目とも73〜75度であり、また、加熱による親水
性領域の接触角は、8〜11度であった。印刷面の品質
も1回目及び2回目とも地汚れはなく、画像領域と非画
像領域の識別性も十分であった。
【0135】〔実施例6〕疎水性画像領域形成用の溶液
を、n−オクタデシルジメチルクロロチタン0.5%、
シクロヘキサノール0.02%のキシレン溶液とした以
外は、実施例1と同じ操作によって製版,印刷,原板再
生を行なった。n−オクタデシルジメチルクロロチタン
層が形成された疎水性領域の水に対する接触角は、1回
目及び2回目とも70〜72度であり、また、加熱によ
る親水性領域の接触角は、10〜13度であった。印刷
面の品質も1回目及び2回目とも地汚れはなく、画像領
域と非画像領域の識別性も十分であった。
【0136】〔実施例7〕実施例6で用いた疎水性画像
領域形成用の溶液を、n−オクタデシルジメチルクロロ
チタン0.5%、カーボンブラック(平均径35nm)
0.02%、オクチルアルコール0.02%のキシレン
溶液とした以外は、実施例6と同じ操作によって製版,
印刷,原板再生を行なった。結果も実施例6と同様であ
った。
【0137】
【発明の効果】熱応答性材料を用いた本発明の印刷用原
板に高温親水性発現温度での加熱を施して親水性表面と
し、この親水性表面に一般式(1)の化合物を含む疎水
性溶液を用いてインクジェット方式で描画を行なって疎
水性の像様領域を形成させて印刷を行なう印刷方法は,
現像処理が不要で操作が簡易な製版方法であり、かつ印
刷汚れのない鮮明な印刷画像品質が得られる。機上で製
版することも可能であり,さらに、印刷済みの版にイン
クの洗浄除去を施すことによって、印刷に使用した版を
印刷用原板に再生することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる装置系の一例を示す概略構成図
である。
【図2】本発明に用いるインクジェット記録装置の要部
を示す概略構成図である。
【図3】本発明に用いるインクジェット記録装置のヘッ
ドの部分断面図である。
【図4】本発明の第一の実施形態のオフセット印刷装置
の構成を示す概略図である。
【図5】インクジェット方式による疎水性画像の描画の
動作を示す疎水性化処理部の構成を示す概略図である。
【符号の説明】
1 インクジェット記録装置 2 マスター 3 コンピューター 4 バス 10 ヘッド 10a 吐出スリット 10c 対向電極 11 油性インク 101 上部ユニット 102 下部ユニット 41 版胴 42 親水性化処理部 43 インキ・湿し水供給部 44 インキ洗浄部 45 インクジェット描画部 46 ブランケット 47 圧胴 48 本体 57 インクジェット装置 58 液滴吐出ノズル 59 変調・駆動部 60 編集・レイアウトW/S
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C034 AA12 BA02 2C056 FB01 FB08 2H084 AA25 AA38 AE05 BB02 BB16 CC05 2H114 AA04 AA22 BA10 DA04 DA08 DA62 DA73 DA78 EA01 EA03 EA05 FA16 GA03 GA05 GA06 GA08 GA09 GA34 GA38

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 印刷用原板を高温親水性発現温度で加熱
    することによって親水化し、次いで該原板表面上に少な
    くとも下記一般式(1)で表される化合物を含有する溶液
    をインキとしてインクジェット方式によって像様に描画
    することによって疎水性の画像領域を形成させ、該画像
    領域を印刷用インキに接触させることによって該領域が
    インキを受け入れた印刷面を形成させて印刷を行うこと
    を特徴とするオフセット印刷方法。 GnJM4-n (1) (式中、Gは疎水性有機基を示し、JはC、Si、G
    e、Ti、Zr及びSnから選択される原子価4の元素
    を表し、Mはハロゲン又はアルコキシ基を表し、nは1
    〜3の整数を表す。)
  2. 【請求項2】 高温親水性発現温度が200℃以上であ
    ることを特徴とする請求項1に記載のオフセット印刷方
    法。
  3. 【請求項3】 印刷用原版の表面を親水化する加熱温度
    が、300〜700℃であることを特徴とする請求項1
    又は2に記載のオフセット印刷方法。
  4. 【請求項4】 印刷に使用した印刷版面上に残存するイ
    ンキを洗浄除去したのち、その印刷用原板を用いて請求
    項1に記載の操作を反復して印刷を行うことを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれか1項に記載の印刷方法。
  5. 【請求項5】 印刷用原板の表面が、TiO、RTi
    (Rはアルカリ土類金属原子)、AB2−x
    3−x10(Aは水素原子又はアルカリ金属原
    子、Bはアルカリ土類金属原子又は鉛原子、Cは希土類
    原子、Dは周期律表の5A族元素に属する金属原子、E
    は同じく4A族元素に属する金属原子、xは0〜2の任
    意の数値を表す)、SnO,Bi, SiO
    GeO,Al,ZnO及びFeOy(yは1.
    0〜1.5)から選ばれる金属酸化物の少なくとも一つ
    によって構成されていることを特徴とする請求項1〜4
    のいずれか1項に記載のオフセット印刷方法。
  6. 【請求項6】 印刷用原板の表面が、アルミニウム、
    鉄、銅、珪素、ニッケル、ゲルマニウム、亜鉛及び錫か
    ら選ばれる金属又は金属合金の少なくとも一つによって
    構成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
    か1項に記載のオフセット印刷方法。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6項のいずれか1項に記載の
    方法に使用するオフセット印刷装置であって、 印刷用原板を装着する原板装着部と、 該原板を高温親水性発現温度に加熱してその表面を親水
    性化する加熱手段と、 該原板にインクジェットの描画を施して疎水性の画像領
    域を形成させるインクジェット描画手段と、 該画像領域に印刷用インキを供給して画像領域がインキ
    を受け入れた印刷面を形成させるインキ供給手段と、 該印刷面を印刷される面と接触させて印刷を行う印刷手
    段と、を有することを特徴とするオフセット印刷装置。
  8. 【請求項8】 印刷終了後、印刷版に残存するインキを
    除去する手段を有することを特徴とする請求項7に記載
    のオフセット印刷装置。
  9. 【請求項9】 少なくとも加熱手段、描画手段、インキ
    供給手段およびインキ除去手段が、版胴の周囲に配設さ
    れてなることを特徴とする請求項7又は8に記載のオフ
    セット印刷装置。
  10. 【請求項10】 印刷用原板が版胴の一部を構成してお
    り、少なくとも加熱手段、描画手段、インキ供給手段お
    よびインキ除去手段が、版胴の周囲に配設されてなるこ
    とを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載のオ
    フセット印刷装置。
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