JP2002121423A - 樹脂被覆アルミニウム顔料およびその製造方法 - Google Patents

樹脂被覆アルミニウム顔料およびその製造方法

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JP2002121423A JP2000312638A JP2000312638A JP2002121423A JP 2002121423 A JP2002121423 A JP 2002121423A JP 2000312638 A JP2000312638 A JP 2000312638A JP 2000312638 A JP2000312638 A JP 2000312638A JP 2002121423 A JP2002121423 A JP 2002121423A
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aluminum
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Shuichi Nishikawa
修一 西川
Kazuo Kojo
和夫 古城
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Showa Aluminum Powder KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】水性塗料や水性インキに配合された時の水素ガ
スの発生、エネルギー線硬化型塗料に配合された時の増
粘・ゲル化現象、および耐電圧性の低下といった従来の
アルミニウム顔料の問題点を解決するアルミニウム顔料
を提供すること。 【解決手段】樹脂被覆された原料アルミニウム顔料をリ
ン酸および/またはリン酸塩を必須成分とする反応液と
接触させることにより、アルミニウムに対してP元素換
算で0.1質量%以上のリンを含むリン化合物が形成さ
れた樹脂被覆アルミニウム顔料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム箔や
アトマイズドアルミニウム粉を粉砕することなどにより
製造される改良されたアルミニウム顔料に関する。さら
に詳しくは、アルミニウム顔料が水性塗料や水性インキ
に配合される場合にガス発生が少なく貯蔵安定性に優
れ、また、エネルギー線硬化型塗料やインキ中に配合さ
れる場合に塗料が増粘・ゲル化することがなく、貯蔵安
定性に優れるアルミニウム顔料に関するものである。耐
電圧性が要求される塗膜を形成するためのメタリック塗
料に配合される場合は光沢(メタリック感)を損なうこ
となく、耐電圧性が満足されるアルミニウム顔料に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】近年、塗料や印刷インキ、ボールペンイ
ンキなどの分野において、環境・健康問題対策として、
水性塗料やインキを用いることが多くなってきている。
また、様々な意匠性を有するアルミニウム顔料を配合し
た水性メタリック塗料の需要が強い状況でもある。しか
し、アルミニウム顔料が水性塗料や水性インキに配合さ
れる場合、アルミニウムが溶けて水素ガスが発生すると
言う問題がある。
【0003】一方、近年、電気製品の表面塗装にはメタ
リック感の意匠性の需要が強くなっており、アルミニウ
ム顔料が必要とされているが、従来のアルミニウム顔料
を配合した塗料ではアルミニウムが持つ導電性のために
安全性の観点から要求される耐電圧性が満たされていな
い。
【0004】また、環境・健康問題対策として溶剤をで
きる限り減らしたエネルギー線硬化型塗料などの需要も
高まっている。アルミニウム顔料をエネルギー線硬化型
塗料やインキに配合した場合には、経時的に塗料が増粘
・ゲル化してしまうという問題がある。この問題の反応
機構は解明されていないが、アルミニウムの金属表面が
何らかの関与をしているようである。
【0005】これらの問題を解決するため、これまでに
多くの技術が開示されている。例えば、水性塗料の貯蔵
安定性に関しては、特開平07−70468でモリブデ
ン酸被膜の上にリン酸系被膜を形成することを特徴とす
る処理方法が開示されている。また、特開平10−13
0545には無機リン酸または無機リン酸塩、リン酸エ
ステル化合物などで処理する方法が開示されている。し
かしながら、これらの方法は処理方法が複雑であり、廃
水処理などにも問題がある。さらに耐電圧性も不十分で
ある。また、耐電圧性に関しては、特開昭62−814
60で樹脂被覆の技術が開示されているが、樹脂被覆に
より耐電圧性は改良されているものの、水性塗料に対し
ての貯蔵安定性は満足できる水準には達していない。以
上のように、水性塗料、水性インキやエネルギー線硬化
型塗料などに使用された場合の水素ガス発生やゲル化の
問題に対しての貯蔵安定性に優れ、同時に、塗膜の耐電
圧性に優れたアルミニウム顔料を得ることは困難である
のが現状である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】アルミニウム顔料は水
性塗料や水性インキに配合された時、それに含有される
水と反応して水素ガスを発生して溶解するという問題点
がある。
【0007】また、アルミニウム顔料は、紫外線などに
よるエネルギー線硬化型塗料やインキに配合された時、
塗料やインキが増粘・ゲル化する場合がある。さらに、
電気製品のように塗装された部位で耐電圧性が要求され
る場合、従来のアルミニウム顔料を配合した塗料では、
アルミニウムが持つ導電性のために要求される耐電圧性
が満たされないという問題もある。
【0008】本発明は、上記のような問題点を全て解決
するアルミニウム顔料を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の問題
点に対して鋭意研究を行なった結果、アルミニウム顔料
の表面上に樹脂被覆し、さらにその上に、アルミニウム
に対してP換算で0.1質量%以上のリン化合物を含有
させることにより、前記課題を解決することを見出し、
本発明に到った。即ち、本発明は以下の[1]〜[1
7]に示される樹脂被覆アルミニウム顔料とその製造方
法に関する。
【0010】[1]樹脂被覆された原料アルミニウム顔
料をリン酸および/またはリン酸塩を必須成分とする液
に40℃〜100℃の反応温度で接触させ、その表面に
アルミニウムに対してP元素換算で0.1質量%以上の
リンを含むリン化合物を含有させることを特徴とする樹
脂被覆アルミニウム顔料の製造方法。 [2]反応温度を60℃〜95℃とする上記[1]に記
載の樹脂被覆アルミニウム顔料の製造方法。 [3]リン化合物がアルミニウムに対してP元素換算で
0.1〜5質量%である上記[1]または[2]に記載
の樹脂被覆アルミニウム顔料の製造方法。 [4]リン酸塩がリン酸1水素2アンモニウム、リン酸
2水素1アンモニウムおよび第一リン酸アルミニウムか
らなる群より選ばれた1種以上である上記[1]〜
[3]のいずれかに記載の樹脂被覆アルミニウム顔料の
製造方法。 [5]樹脂被覆された原料アルミニウム顔料の樹脂量が
アルミニウムに対して3〜20質量%である上記[1]
〜[4]のいずれかに記載の樹脂被覆アルミニウム顔料
の製造方法。 [6]アルミニウム顔料表面に樹脂被膜が形成され、さ
らにリン化合物が含有されていることを特徴とする樹脂
被覆アルミニウム顔料。 [7]リン化合物量がアルミニウムに対してP元素換算
で0.1〜5質量%である上記[6]に記載の樹脂被覆
アルミニウム顔料。 [8]樹脂被覆された原料アルミニウム顔料の樹脂量が
アルミニウムに対して3〜20質量%である上記[6]
または[7]に記載の樹脂被覆アルミニウム顔料。 [9]樹脂被覆された原料アルミニウム顔料をリン酸お
よび/またはリン酸塩を必須成分とする液に40℃〜1
00℃の反応温度で接触させ、その表面にアルミニウム
に対してP元素換算で0.1質量%以上のリンを含むリ
ン化合物を含有させることにより得られた樹脂被覆アル
ミニウム顔料。 [10]反応温度を60℃〜95℃とする上記[9]に
記載の樹脂被覆アルミニウム顔料。 [11]リン化合物量がアルミニウムに対してP元素換
算で0.1〜5質量%である上記[9]または[10]
に記載の樹脂被覆アルミニウム顔料。 [12]リン酸塩がリン酸1水素2アンモニウム、リン
酸2水素1アンモニウムおよび第一リン酸アルミニウム
からなる群より選ばれた1種以上である上記[9]〜
[11]のいずれかに記載の樹脂被覆アルミニウム顔
料。 [13]樹脂被覆された原料アルミニウム顔料の樹脂量
がアルミニウムに対して3〜20質量%である上記
[9]〜[12]のいずれかに記載の樹脂被覆アルミニ
ウム顔料。 [14]上記[6]〜[13]のいずれかに記載の樹脂
被覆アルミニウム顔料を含有する塗料。 [15]上記[6]〜[13]のいずれかに記載の樹脂
被覆アルミニウム顔料を含有するインキ組成物。 [16]上記[14]に記載の塗料が塗布された塗装
物。 [17]上記[15]に記載のインキ組成物が使用され
た印刷物。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明について具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0012】本発明のリン化合物を含む樹脂被覆アルミ
ニウム顔料の製造方法例の概略を説明する。まず、常法
により樹脂被覆された原料アルミニウム顔料(またはそ
のペースト)を混練機に投入する。次にリン酸またはリ
ン酸塩の水溶液を加えて所定の温度まで加熱する。一定
時間経過後に冷却し、リン化合物含有樹脂被覆アルミニ
ウム顔料を得る(上記の一連の操作をリン酸塩処理と呼
ぶ。)。この後、親水性溶媒を加えて所定の加熱残分
(アルミニウム顔料ペーストを105℃で2時間加熱し
た後の不揮発分のアルミニウム顔料ペーストに対しての
質量%)に調整し、アルミニウム顔料ペーストとする。
【0013】本発明で用いる原料アルミニウム顔料は、
アルミニウム箔やアトマイズドアルミニウム粉をボール
ミルなどでの粉砕法によって製造されたものであり、さ
らに特開昭62−81460で開示されているような方
法による樹脂被覆処理をしたものである。その形状、大
きさは特に限定されないが、メタリック塗料として使用
される場合にはフレーク状であり、平均粒子径(D50
累積重量50%粒子径)で5μmから100μm、厚み
は1μm以下、アスペクト比(粒子径/厚み)が20以上
であることが望ましい。
【0014】アルミニウム顔料は、乾燥粉末にすると、
粉塵爆発の危険性や取り扱いの困難さの理由から、通常
は溶剤を含んだペースト状になっている。本発明におい
ては、アルミニウム顔料はそのまま用いても良いし、あ
るいは洗浄して溶剤を除いてから用いても良い。ミネラ
ルスピリットなどの疎水性有機溶剤を含むアルミニウム
ペーストを用いる場合は、親水性溶剤で洗浄することが
好ましい。洗浄に用いる親水性有機溶剤としては、グリ
コール類やアルコール類が挙げられ、これらの1種ある
いは2種以上が用いられる。グリコール類としては、プ
ロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレング
リコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコール
モノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチル
エーテルなどがある。また、アルコール類としては、エ
タノール、プロパノール、ブタノール、ダイアセトンア
ルコールなどがある。あるいは、ノニオン性やアニオン
性の界面活性剤を添加して、水に乳化・分散し易くして
も良い。
【0015】原料アルミニウム顔料(またはそのペース
ト)は以下のようにして樹脂被覆を施されるが、この例
に限定されるものではない。反応槽に所定量のアルミニ
ウム顔料、トリメチロールプロパントリメタクリレー
ト、アクリル酸などのモノマー、アゾビスイソブチロニ
トリルなどの重合開始剤および必要に応じてミネラルス
ピリットを入れ、窒素ガスを通気しながら撹拌し、加熱
する。70℃以上で2時間保持した後、室温まで冷却
し、ろ過・洗浄し、樹脂被覆されたアルミニウム顔料を
得る。
【0016】樹脂被膜形成に用いられるモノマーは、ト
リメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロ
ールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトール
テトラアクリレート、ジビニルベンゼン、イタコン酸、
アクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エ
チルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、ベンジルアクリレートなどがあげられる。これらモ
ノマーは1種もしくは2種以上を用いることができる。
中でも、トリメチロールプロパントリアクリレートとア
クリル酸の併用が金属光沢の低下がより少ない樹脂被覆
を得ることができ、好ましい。
【0017】樹脂被覆の量はアルミニウムに対して3〜
20質量%が好ましく、より好ましくは5〜15質量%
である。3質量%以下では耐電圧性が不十分となる場合
がある。また、20質量%以上では、アルミニウム顔料
が持つ金属光沢が損なわれることがあり、好ましくな
い。
【0018】重合開始剤は上記モノマーの重合(炭素−
炭素二重結合を2つ以上有するモノマーの場合には架橋
反応も含む)を開始させるもので有れば特に制限はない
が、加熱によりラジカルを発生する化合物が望ましい。
重合開始剤としてはアゾビスイソブチロニトリル、2,
2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)な
どのアゾ系開始剤、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミ
ルパーオキサイドなどの過酸化物系開始剤があげられ
る。これら開始剤は原料アルミニウム顔料の樹脂被覆反
応の温度や時間に応じて選択することができる。
【0019】ミネラルスピリットは樹脂被覆アルミニウ
ム顔料をペーストとして得たい場合に添加することがで
きる。ペーストの方が取り扱いが容易で安全性が高いた
めミネラルスピリットを添加しておく方が望ましい。
【0020】上記の樹脂被覆された原料アルミニウム顔
料の加熱残分には特に制限はないが、取り扱い上の便宜
性から40〜70質量%となるように樹脂被膜形成反応
後に親水性溶媒などを加えて調整することが好ましい。
【0021】リン酸塩処理のため、樹脂被覆された原料
アルミニウム顔料とリン酸および/またはリン酸塩水溶
液を混合、反応させる混練機は原料の均一混合、加熱で
きるものであれば特に制限はない。例えば双腕型ニーダ
ータイプの混練機などを用いることができる。
【0022】上記の樹脂被覆された原料アルミニウム顔
料に添加するリン酸塩としては、リン酸1水素2アンモ
ニウム、リン酸2水素1アンモニウム、第一リン酸アル
ミニウムなどが挙げられる。これらのリン酸塩やリン酸
は混合して用いることもできる。
【0023】リン酸またはリン酸塩は水溶液の形で樹脂
被覆された原料アルミニウム顔料に添加される。その濃
度は所定量のリン酸塩類が完全溶解している濃度であれ
ば特に制限はない。ただし、混練時の加熱残分が30質
量%以下にならない水の量とすることが望ましい。混練
時の加熱残分が30質量%以下になると、求める性能上
には問題はないが、塗料やインキにアルミニウムペース
トを使用するユーザーにおいて、配合上の不便さや他の
問題が生じる可能性がある。
【0024】リン酸またはリン酸塩類の使用量は、樹脂
被覆された原料アルミニウム顔料の種類によって異なる
ため一概には規定できないが、樹脂被覆されたアルミニ
ウム顔料に含有されたリン化合物量がアルミニウムに対
してP元素換算で0.1質量%以上、好ましくは0.1
〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%となる
ようにリン酸またはリン酸塩類の使用量を決めることが
望ましい。リン酸塩等の使用量が少ない場合は、アルミ
ニウム顔料に緻密なリン化合物が十分に形成されず、水
素ガス発生やゲル化の問題が解決されない恐れがある。
また、リン酸塩等の使用量が多すぎる場合には、アルミ
ニウム顔料の表面にリン化合物が付き過ぎ、アルミニウ
ムの持つ金属光沢が損なわれる場合があり、好ましくな
い。
【0025】樹脂被覆された原料アルミニム顔料とリン
酸および/またはリン酸塩水溶液を添加したアルミニウ
ムペーストは混練しながら加熱され、所定の温度で反応
する。反応温度は好ましくは40〜100℃、より好ま
しくは60〜95℃、更に好ましくは70〜90℃の範
囲である。40℃未満や100℃を超える温度では、リ
ン化合物が十分に生成されなかったり、不均一になった
りして、本発明の課題を解決できない場合がある。
【0026】上記反応は所定の温度にて、0.1〜5時
間混練を続けることによりなされる。最適な混練時間は
混練機の種類や回転数などの諸条件により変化するので
一概には決められない。但し、アルミニウムから樹脂被
覆が取れてしまうのを避けるためにリン化合物が必要量
まで含有される範囲で混練時間はできるだけ短くするこ
とが好ましい。
【0027】所定時間混練して得られた上記アルミニウ
ム顔料は常温まで冷却される。このとき親水性溶剤を加
えて、所定の加熱残分に調整することができる。親水性
溶媒は上記のグリコール類やアルコール類を用いること
ができる。加熱残分の値は粉塵飛散防止の面から30〜
70質量%とすることが好ましい。
【0028】この加熱残分調整の際、本発明のリン酸塩
処理された樹脂被覆アルミニウム顔料が水性塗料やイン
キに分散しやすくなるように、ノニオン性界面活性剤な
どを加えることもできる。ノニオン性界面活性剤として
はポリオキシエチレンラウリルエーテルやポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテルが例示される。
【0029】以上のリン酸塩処理をすることによって、
リン酸またはリン酸塩とアルミニウム表面との間で何ら
かの化学反応が起きるため、アルミニウム顔料表面に酸
化被膜もしくは化成被膜が形成されるものと考えられ
る。該被膜によりアルミニウム表面を被覆し不活性化す
る効果に加えて、樹脂被膜との相乗効果とにより、アル
ミニウム顔料の耐水性や耐ゲル化性のみならず、塗膜の
耐電圧性を付与することも可能とすることができる。
【0030】上記の方法で得られた本発明のリン酸塩処
理された樹脂被覆アルミニウム顔料を高分解能走査型電
子顕微鏡で観察すると、樹脂被覆以外には明瞭な被膜は
観察されないものの、何らかの化学反応によりアルミニ
ウム顔料の表面が変化しているものと考えられる。樹脂
被覆は、アルミニウム顔料の表面を完全に被覆している
のではなく、また、微視的な観点では、多孔性であると
考えられる。その樹脂被覆の上に、本発明のリン酸塩処
理を加えることによって、課題を解決するアルミニウム
顔料を得ることができるものと考えている。
【0031】本発明のリン酸塩処理された樹脂被覆アル
ミニウム顔料は公知、慣用の塗料、インキ組成物に配合
して使用することができる。これらの塗料、インキ組成
物は油性でもよく、水性(エマルジョン、水溶性)であ
ってもよい。また、1液性ばかりでなく、2液以上を混
合して用いるものであってもよく、反応を伴うものであ
ってもよい。
【0032】本発明のリン酸塩処理された樹脂被覆アル
ミニウム顔料を含有する塗料、インキ組成物は目的とす
る塗料、インキ組成物の色相に合わせて、他の顔料、染
料を含むことができる。但し、顔料は本発明のリン酸塩
処理された樹脂被覆アルミニウム顔料によるメタリック
感を損なわない範囲で使用することが望ましい。
【0033】本発明のリン酸塩処理された樹脂被覆アル
ミニウム顔料を含有する塗料、インキ組成物に使用する
溶媒は塗料、インキ組成物の種類に応じて親油性、親水
性、水溶性の各種溶媒(水を含む)を用いることができ
る。また、溶媒はその機能(シンナー、リターダー、レ
ベリング剤など)に対応して複数の種類の混合物であっ
てもよく、無溶剤であってもよい。
【0034】バインダーとしては天然あるいは合成の各
種のポリマー、モノマー、オリゴマー、プレポリマー等
を使用することが可能である。反応型の塗料、インキ組
成物の場合には触媒、開始剤、架橋剤、硬化剤なども含
有することができる。
【0035】本発明のリン酸塩処理された樹脂被覆アル
ミニウム顔料を含有する塗料、インキ組成物は必要に応
じて各種の添加剤を含有することができる。例えば、界
面活性剤、安定剤、防腐剤、可塑剤、乾燥剤、顔料湿潤
剤、顔料分散剤、防食剤、流動調整剤、防かび剤、紫外
線吸収剤が挙げられる。
【0036】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により具
体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。
【0037】○加熱残分の測定方法 アルミニウム顔料ペースト10gを105℃のオーブン
で2時間加熱し、不揮発分の重さを測定し、元のアルミ
ニウム顔料ペーストに対する質量%を計算する。
【0038】(樹脂被覆された原料アルミニウム顔料の
製造例)ステンレス反応槽に昭和アルミパウダー社製ア
ルミニウム顔料ペーストSapFM4010 (アルミ
ニウム分67質量%)15.2kg、トリメチロールプ
ロパントリメタクリレート0.8kg、アクリル酸0.
2kg、アゾビスイソブチロニトリル0.2kgとミネ
ラルスピリット125kgを入れ、窒素ガスを通気しな
がら撹拌し、加熱する。70℃で2時間保持した後、室
温まで冷却し、ろ過・洗浄し、樹脂被覆された原料アル
ミニウム顔料を得た。
【0039】(実施例1)昭和アルミパウダー社製の樹
脂被覆されたアルミニウム顔料ペーストSapFM40
10ER(アルミニウム分40質量%、樹脂量はアルミ
ニウムに対して9質量%)を900g取り、それに含ま
れるミネラルスピリットをプロピレングリコールモノメ
チルエーテルで置換し、加熱残分を55質量%に調整し
た。これを混練機(昭南機工製双腕型ニーダー)に投入
し、リン酸2水素1アンモニウム4gを溶解した水溶液
50gを添加した。36rpmで混練しながら混練機を
加熱し、アルミニウム顔料を85℃に昇温した。1時間
混練を続けた後、室温まで冷却し、プロピレングリコー
ルモノメチルエーテルを加えて加熱残分を50質量%に
調整し、リン酸塩処理された樹脂被覆アルミニウムペー
ストを得た。
【0040】(実施例2)昭和アルミパウダー社製の樹
脂被覆したアルミニウム顔料ペーストSap FM40
10ERを900g取り、それに含まれるミネラルスピ
リットをプロピレングリコールモノメチルエーテルで置
換し、加熱残分を55質量%にしたものを混練機に投入
し、リン酸1水素2アンモニウム22gを溶解した水溶
液100gを添加した。混練しながら混練機を加熱し、
アルミニウム顔料を75℃に昇温した。1時間混練を続
けた後、室温まで冷却し、プロピレングリコールモノメ
チルエーテルを加えて加熱残分を50質量%に調整し、
リン酸塩処理された樹脂被覆アルミニウムペーストを得
た。混練機とその条件は実施例1と同じ。
【0041】(実施例3)昭和アルミパウダー社製の樹
脂被覆したアルミニウム顔料ペーストSap 010E
R(アルミニウム分45質量%、樹脂量はアルミニウム
に対して10質量%)を800g取り、それに含まれる
ミネラルスピリットをプロピレングリコールモノエチル
エーテルで置換し、加熱残分を60質量%にしたものを
混練機に投入し、リン酸11gを溶解した水溶液100
gを添加した。混練しながら混練機を加熱し、アルミニ
ウム顔料を80℃に昇温した。1時間混練を続けた後、
冷却し、プロピレングリコールモノエチルエーテルを加
えて加熱残分を50質量%に調整し、リン酸塩処理され
た樹脂被覆アルミニウムペーストを得た。混練機とその
条件は実施例1と同じ。
【0042】(実施例4)リン酸80gを溶解した水溶
液100gを添加した添加した以外は、実施例3と同様
の処理をした。
【0043】(比較例1)昭和アルミパウダー社製アル
ミニウム顔料ペーストで、樹脂被覆のないSapFM4
010(アルミニウム分67質量%)537gを用い、
リン酸2水素1アンモニウムを溶解していない水を添加
した以外は、実施例1と同様の処理をした。
【0044】(比較例2)昭和アルミパウダー社製アル
ミニウム顔料ペーストで、樹脂被覆のないSapFM4
010(アルミニウム分67質量%)537gを用いた
以外は、実施例1と同様の処理をした。
【0045】(比較例3)混練機を加熱せず(25℃)
にて混練を続けた以外は、実施例1と同様の処理をし
た。
【0046】(比較例4)リン酸1水素2アンモニウム
を含まない水100gを添加した以外は、実施例2と同
様の処理をした。
【0047】(実施5〜8、比較例5〜8)実施例1〜
4、比較例1〜4で作製したアルミニウム顔料ペースト
を用い、以下のようにしてメタリック塗料を作製した。
【0048】 アルミニウム顔料ペースト 6g 酢酸エチル 6g を混合し、予備分散させ、次に、 オリジン電気社製 プラネットSVクリア 38g オリジン電気社製 プラネットシンナー#175 72g を加えて、5分間撹拌する。
【0049】○アルミニウム顔料の評価方法 実施例および比較例で得られたアルミニウム顔料を下記
の方法で評価した。
【0050】(1)P量の測定 アルミニウム顔料ペーストを乾燥させ、王水に溶解した
のち、蒸留水で希釈し、厚さ0.2μmのメンブレンフ
ィルターでろ過した溶液をPの濃度既知の水溶液で検量
線を引いたICPで測定し、Pの濃度から被着率を算出
した。
【0051】(2)水素ガス発生テスト 試験管中にアルミニウムペースト7.5gと蒸留水7.
5gを加え、さらにアクリルエマルジョン塗料(三井化
学製E−208)35gを加えてよく撹拌し、水性塗料
を調合した。これを50℃の恒温水槽に入れ、2週間の
水素ガス累積発生量を測定した。
【0052】(3)ゲル化テスト 茶褐色ガラス瓶にアルミニウムペースト12gを入れ、
さらに、エポキシアクリレート系のUV硬化型インキ
(十条ケミカル製、CDV−SGX)48gを加えてよ
く撹拌後、50℃の恒温オーブンに入れ、2週間後のゲ
ル化の状態を調べた。
【0053】(4)アルミニウム顔料含有塗料の塗装 実施例5〜8、比較例5〜8で作製した塗料をプラスチ
ック板に塗装した。即ち、関西ペイント製自動塗装機レ
シコーターに、イワタ製スプレーガンWA−100を使
用して、ABS樹脂板に乾燥膜厚15μmとなるように
スプレー塗装し、60℃のエアーオーブン中で20分間
乾燥し、試験塗板を得た。
【0054】(5)耐電圧テスト (4)の方法でABS板に塗装されたアルミニウム顔料
含有塗膜を、耐電圧測定器(多摩電測製TW−516)
を使用し、遮断電流0.5mA、電極間隔10mmで、1
kV刻みに電圧を20秒間印加し、絶縁破壊により回路
が遮断されない最大の電圧を耐電圧とした。
【0055】(6)光沢(メタリック感) ABS板に塗装された塗膜外観を肉眼で観察した。
【0056】上記のテストの結果を表1に示す。
【0057】
【表1】
【0058】
【発明の効果】本発明で得られたリン酸塩処理された樹
脂被覆アルミニウム顔料は、水性塗料やエネルギー線硬
化型塗料に配合された時の貯蔵安定性に優れ、塗膜の耐
電圧性、光沢(メタリック感)が悪化しないアルミニウ
ム顔料を提供するものである。

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂被覆された原料アルミニウム顔料をリ
    ン酸および/またはリン酸塩を必須成分とする液に40
    ℃〜100℃の反応温度で接触させ、その表面にアルミ
    ニウムに対してP元素換算で0.1質量%以上のリンを
    含むリン化合物を含有させることを特徴とする樹脂被覆
    アルミニウム顔料の製造方法。
  2. 【請求項2】反応温度を60℃〜95℃とする請求項1
    に記載の樹脂被覆アルミニウム顔料の製造方法。
  3. 【請求項3】リン化合物量がアルミニウムに対してP元
    素換算で0.1〜5質量%である請求項1または2に記
    載の樹脂被覆アルミニウム顔料の製造方法。
  4. 【請求項4】リン酸塩がリン酸1水素2アンモニウム、
    リン酸2水素1アンモニウムおよび第一リン酸アルミニ
    ウムからなる群より選ばれた1種以上である請求項1〜
    3のいずれかに記載の樹脂被覆アルミニウム顔料の製造
    方法。
  5. 【請求項5】樹脂被覆された原料アルミニウム顔料の樹
    脂量がアルミニウムに対して3〜20質量%である請求
    項1〜4のいずれかに記載の樹脂被覆アルミニウム顔料
    の製造方法。
  6. 【請求項6】アルミニウム顔料表面に樹脂被膜が形成さ
    れ、さらにリン化合物が含有されていることを特徴とす
    る樹脂被覆アルミニウム顔料。
  7. 【請求項7】リン化合物量がアルミニウムに対してP元
    素換算で0.1〜5質量%である請求項6に記載の樹脂
    被覆アルミニウム顔料。
  8. 【請求項8】樹脂被覆された原料アルミニウム顔料の樹
    脂量がアルミニウムに対して3〜20質量%である請求
    項6または7に記載の樹脂被覆アルミニウム顔料。
  9. 【請求項9】樹脂被覆された原料アルミニウム顔料をリ
    ン酸および/またはリン酸塩を必須成分とする液に40
    ℃〜100℃の反応温度で接触させ、その表面にアルミ
    ニウムに対してP元素換算で0.1質量%以上のリンを
    含むリン化合物を含有させることにより得られた樹脂被
    覆アルミニウム顔料。
  10. 【請求項10】反応温度を60℃〜95℃とする請求項
    9に記載の樹脂被覆アルミニウム顔料。
  11. 【請求項11】リン化合物量がアルミニウムに対してP
    元素換算で0.1〜5質量%である請求項9または10
    に記載の樹脂被覆アルミニウム顔料。
  12. 【請求項12】リン酸塩がリン酸1水素2アンモニウ
    ム、リン酸2水素1アンモニウムおよび第一リン酸アル
    ミニウムからなる群より選ばれた1種以上である請求項
    9〜11のいずれかに記載の樹脂被覆アルミニウム顔
    料。
  13. 【請求項13】樹脂被覆された原料アルミニウム顔料の
    樹脂量がアルミニウムに対して3〜20質量%である請
    求項9〜12のいずれかに記載の樹脂被覆アルミニウム
    顔料。
  14. 【請求項14】請求項6〜13のいずれかに記載の樹脂
    被覆アルミニウム顔料を含有する塗料。
  15. 【請求項15】請求項6〜13のいずれかに記載の樹脂
    被覆アルミニウム顔料を含有するインキ組成物。
  16. 【請求項16】請求項14に記載の塗料が塗布された塗
    装物。
  17. 【請求項17】請求項15に記載のインキ組成物が使用
    された印刷物。
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