JP2002121014A - カーボンナノチューブの精製方法 - Google Patents

カーボンナノチューブの精製方法

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JP2002121014A
JP2002121014A JP2000310870A JP2000310870A JP2002121014A JP 2002121014 A JP2002121014 A JP 2002121014A JP 2000310870 A JP2000310870 A JP 2000310870A JP 2000310870 A JP2000310870 A JP 2000310870A JP 2002121014 A JP2002121014 A JP 2002121014A
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Itsukazu Yamaguchi
五和 山口
Hisazumi Oshima
大島  久純
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 カーボンナノチューブの精製方法において精
製効率を向上させる。 【解決手段】 カーボンナノチューブ試料に多数の孔を
形成する多孔化処理工程を行う。多孔化処理工程は、酸
処理工程後のカーボンナノチューブ試料に多孔化処理工
程を行うことで、凝集したカーボンナノチューブ試料中
に隙間を形成し、後に行う酸化処理等の精製効率を向上
させる。多孔化処理工程は、昇華性物質とカーボンナノ
チューブ試料とを混合した後、加熱によって昇華性物質
を試料中から除去することにより行う。さらに、昇華性
物質に代えて、揮発性物質や熱分解性物質を用いること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カーボンナノチュ
ーブの精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カーボンナノチューブの発見以降、カー
ボンナノチューブの作製方法およびその応用に関して様
々な報告がなされている。カーボンナノチューブの用途
としては、フィールドエミッションディスプレイの電子
の電界放射源や、原子間力顕微鏡(AFM)の探針等が
提案されており、ガス貯蔵材料としての用途も提案され
ている。貯蔵するガスとしては水素が有望視されてい
る。
【0003】カーボンナノチューブは生成過程におい
て、非晶質カーボンやグラファイトナノチューブ粒子等
の炭素質不純物、あるいは触媒を使用した場合にはその
触媒微細粒子といった不純物を同時に生成する。このた
め、カーボンナノチューブの物性測定や応用に関して
は、これらの不純物を除去する精製工程が必要となる。
【0004】このカーボンナノチューブの精製方法は、
要求される精製カーボンナノチューブ試料の純度や含有
不純物の種類により異なる。代表的な精製方法として
は、カーボンナノチューブと不純物との液中での沈降速
度の差を利用した遠心分離法、カーボンナノチューブと
不純物との耐酸化性の差を利用した酸化法、カーボンナ
ノチューブと不純物との酸に対する溶解性の差を利用し
た酸処理法等が報告されている。また、これらの方法を
単独あるいは複数の方法を組み合わせた精製法も報告さ
れている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記したカー
ボンナノチューブの精製方法では種々の問題が生じる。
例えば酸化処理による精製方法の場合には、精製直後の
試料は非晶質カーボン等の不純物とカーボンナノチュー
ブが凝集固着した塊状となっており、そのまま酸化処理
を行うと凝集固着塊の表面から酸化が進行するため精製
に時間がかかってしまう。また、塊を微粒化して酸化し
やすくするにしても、粉砕により微細化できる粒子径は
数ミクロンからサブミクロン程度である。このサイズ
は、単層ナノチューブのバンドル(束)の直径の数十n
mに比較してもまだ大きいサイズである。また、カーボ
ンナノチューブと非晶質カーボン等の炭素不純物の酸化
性の差異は大きくないため、長時間の酸化によりカーボ
ンナノチューブ自体も両端から酸化して短くなるため、
時間の経過とともに含有されているカーボンナノチュー
ブの含有量が減少してしまう。
【0006】また、硝酸等の酸により酸処理をした後
に、酸化処理を行うという方法も提案されているが、硝
酸処理により凝集固着した試料の酸化において上記の問
題が生じてしまう。
【0007】また、遠心分離法による精製方法にして
も、試料が凝集固着していた場合にはカーボンナノチュ
ーブと不純物の分離性が悪く、遠心分離の効果が不十分
となってしまう。この場合には、分離性をよくする前処
理が必要となるが、硝酸処理を行った場合と同様に凝集
固着の問題が生じてしまう。
【0008】以上のように、従来のカーボンナノチュー
ブの精製方法では、微量、微粒子の試料に対しては有効
であるが、比較的多い数百ミリグラム以上の試料の場合
や、数ミクロン以上の凝集粒子の場合には、試料の凝集
固着により精製が不十分となったり、精製に伴うカーボ
ンナノチューブ損失の点で問題があった。
【0009】本発明は、上記問題点に鑑み、カーボンナ
ノチューブの精製方法において精製効率を向上させるこ
とを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1に記載の発明では、不純物を含んだカーボ
ンナノチューブ試料から前記不純物を除去するカーボン
ナノチューブの精製方法であって、カーボンナノチュー
ブ試料に多数の孔を形成する多孔化処理工程を備えるこ
とを特徴としている。
【0011】このように多孔化処理を行うことによっ
て、その後に行う精製工程の精製効率を向上させること
ができる。具体的には、多孔化処理を行うことによりカ
ーボンナノチューブ試料の粒子内部に酸素が拡散しやす
い状態になり、請求項3に記載の発明のように酸化処理
による精製の際の精製効率を高めることができる。この
結果、精製時間の短縮や精製効果の向上をもたらすこと
ができる。
【0012】さらに、多孔化処理を行うことで、カーボ
ンナノチューブ試料は機械的にも解砕しやすく微粒化し
やすい状態になるので、遠心分離法による精製を行う場
合にも、その精製効率を高めることができる。
【0013】また、請求項2に記載の発明のように、酸
を用いて不純物を除去する酸処理工程を行う場合であっ
ても、酸処理工程後のカーボンナノチューブ試料に多孔
化処理工程を行うことで、後に行う酸化処理等の精製効
率を向上させることができる。
【0014】また、請求項4に記載の発明では、多孔化
処理工程は、少なくとも昇華性物質を用いて行うことを
特徴としている。昇華性物質はカーボンナノチューブ試
料と混合した後、加熱によって容易に試料中から除去す
ることができる。さらに、昇華性物質に代えて、請求項
5に記載の発明のように、揮発性物質を用いることがで
き、あるいは請求項6に記載の発明の発明のように、加
熱により熱分解して気体となる熱分解性物質を用いるこ
とができる。なお、これらの昇華性物質、揮発性物質、
熱分解性物質は併用することができる。
【0015】また、請求項7に記載の発明では、請求項
1ないし6のいずれか1つに記載のカーボンナノチュー
ブの精製方法により精製されたカーボンナノチューブを
ガス貯蔵材料として用いることができる。このガス貯蔵
材料に貯蔵するガスは、請求項8に記載の発明のように
水素ガスとすることができる。
【0016】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すも
のである。
【0017】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下、本発明の
第1実施形態について説明する。
【0018】まず、アーク放電法等といった周知のカー
ボンナノチューブ作成法により作製したカーボンナノチ
ューブ試料を用意する。作製直後の未精製カーボンナノ
チューブ試料には、非晶質カーボン等の不純物が含まれ
ている。そこで、カーボンナノチューブ試料から不純物
を除去するために精製を行う。
【0019】作製直後の試料は、カーボンナノチューブ
と非晶質カーボン等の不純物が凝集固着した塊状となっ
ている。このため試料内部へのガスの拡散性は低く、さ
らにカーボンが表面を被覆した状態であるため、室温で
の耐薬品性は高いものとなっている。
【0020】カーボンナノチューブを酸化法により精製
する場合には、酸素の拡散性が問題となる。酸化は試料
粒子表面から進行するため、粒子が凝集固着している場
合には内部への酸素の拡散が阻害されて精製に時間がか
かり、この結果、カーボンナノチューブの損失も大きく
なる。
【0021】また、酸化法に先立ち硝酸等を用いた酸処
理工程を行う場合にも、硝酸処理後の試料が凝集固着し
ていると、酸化処理の際に試料内部への酸素の拡散が阻
害されて精製効果が低減され、精製に長時間を要するこ
ととなる。
【0022】そこで、本実施形態のカーボンナノチュー
ブ精製方法では、酸処理工程と酸化工程との間に多孔化
処理工程を行うことで、酸化工程における精製効率の向
上を図っている。多孔化処理により、カーボンナノチュ
ーブ試料の粒子内部に酸素が拡散しやすい状態になり、
酸化工程の際の精製効率を高めることができる。さら
に、多孔化処理を行うことで、カーボンナノチューブ試
料は機械的にも解砕しやすく微粒化しやすい状態になる
ので、遠心分離法による精製を行う場合にも、その精製
効率を高めることができる。この結果、精製時間の短縮
や精製効果の向上をもたらすことができる。
【0023】以下、本実施形態のカーボンナノチューブ
精製方法について説明する。
【0024】まず、カーボンナノチューブ試料を加熱し
た硝酸溶液中で酸処理する酸処理工程を行う。この酸処
理により、カーボンナノチューブ試料中の非晶質カーボ
ンの一部は酸化されて減少する。また触媒を使用した生
成法により作製したカーボンナノチューブ試料を用いる
場合には、触媒金属の一部が硝酸溶液に溶解する。硝酸
処理後の試料はフィルタにより濾過・水洗して回収され
る。
【0025】酸処理工程後にそのまま試料を乾燥させる
と乾燥中に試料が固くかたまってしまい、化学反応性が
低く、微粒化しにくい板状になってしまう。また、スプ
レードライヤを用いて微粒化しようとしても、乾燥中に
凝集固着してしまう。この結果、酸処理工程の後に行う
酸化処理工程といった処理工程の精製効率が低いものと
なる。
【0026】そこで、次にカーボンナノチューブ試料の
多孔化処理を行う。多孔化処理工程では、加熱等により
除去可能な多孔化用物質をカーボンナノチューブ試料と
を混合した後、混合試料を多孔化用物質を加熱あるいは
減圧によりカーボンナノチューブ試料から除去すること
で、カーボンナノチューブ試料に多数の孔を形成する。
【0027】本第1実施形態では、多孔化用物質として
昇華性物質を用い、昇華性物質をカーボンナノチューブ
試料と混合した後、加熱して昇華性物質を除去する。こ
の多孔化工程では、昇華性物質がガス化して試料から脱
離するため、処理条件を適当に選択すれば昇華性物質の
残留がほとんどないという利点がある。また、室温から
昇華する物質を使用すれば、80〜200℃といった低
めの温度で試料から除去できるという利点もある。
【0028】昇華性物質としては、樟脳、ナフタリン、
パラジクロルベンゼン等の室温から昇華する物質を選定
することが望ましい。さらにこれらの昇華性物質中で引
火性や毒性の点から天然樟脳を用いることがより望まし
い。
【0029】試料と昇華性物質の混合方法としては、機
械的に粉体同士を強力に混合するような混合機を使用す
ることができる。あるいは、昇華性物質を溶解する溶媒
を少量添加して昇華性物質を溶解させ、試料とペースト
状にして混合し、その後乾燥させることも可能である。
【0030】試料と昇華性物質の混合後は、混合試料を
昇華性物質の沸点以上の温度におくことで昇華性物質の
昇華を促進させることができる。また、さらに時間はか
かるが、沸点以下の温度においても昇華させることも可
能である。また、昇華除去時に空気や窒素ガス等を流す
ことにより昇華を促進させ、昇華した物質を速やかに外
部に放出除去することが望ましい。
【0031】以上の多孔化処理工程の後に、酸素を含む
酸化性のガスを用いて酸化処理工程を行う。この酸化処
理の際、上記多孔化処理工程にてカーボンナノチューブ
試料には多数の孔が形成され、全体に隙間が多い構造と
なっている。このため、試料内部へのガス透過性が高く
なっており、酸素が試料内部に速やかに拡散することが
できるため、精製時間を短縮でき、精製効率を向上させ
ることができる。
【0032】上記精製方法にて精製したカーボンナノチ
ューブは、水素あるいは天然ガス等を貯蔵するガス貯蔵
材料として好適に用いることができる。
【0033】(第2実施形態)次に、本発明の第2実施
形態について説明する。本第2実施形態は、上記第1実
施形態に比較して多孔化処理工程が異なるものである。
上記第1実施形態と同様の部分は説明を省略する。
【0034】本第2実施形態では、多孔化用物質として
揮発性物質を用い、揮発性物質をカーボンナノチューブ
試料と混合した後、加熱することにより揮発性物質を除
去する。この場合には、揮発性物質がガス化して試料か
ら脱離するため、処理条件を適当に選択すれば揮発性物
質の残留がほとんどないという利点がある。揮発性物質
としては、リン酸エステル類やフタル酸エステル類を用
いることができる。
【0035】試料と揮発性物質の混合方法としては、第
1実施形態と同様の混合方法を用いることができる。混
合後には、混合試料を揮発性物質の沸点以上の温度にお
くことにより揮発性物質を揮発させることができる。ま
た、第1実施形態と同様、揮発性物質の揮発除去時に、
空気や窒素ガス等を流すことにより揮発を促進させ、揮
発した物質を外部に放出除去することが望ましい。
【0036】本第2実施形態においても、上記第1実施
形態と同様の効果を得ることができる。なお、揮発性物
質は、上記第1実施形態の昇華性物質と併用することも
できる。
【0037】(第3実施形態)次に、本発明の第3実施
形態について説明する。本第3実施形態は、上記第1実
施形態に比較して多孔化処理工程が異なるものである。
上記第1実施形態と同様の部分は説明を省略する。
【0038】本第3実施形態では、多孔化用物質として
熱分解性物質を用い、熱分解性物質をカーボンナノチュ
ーブ試料と混合した後、加熱することにより熱分解性物
質を除去する。この場合には、熱分解性物質がガス化し
て試料から脱離するため、処理条件を適当に選択すれば
揮発性物質の残留がほとんどないという利点がある。熱
分解性物質としては、ポリビニルアルコールやポリエリ
レングリコール(ポリエチレンオキサイド)、酢酸ビニ
ル樹脂等を用いることができる。
【0039】試料と揮発性物質の混合方法としては、第
1実施形態と同様の混合方法を用いることができる。混
合後には、混合試料を熱分解性物質の熱分解温度以上の
温度におくことにより熱分解性物質を熱分解させて熱分
解性物質を分解除去することができる。また、第1実施
形態と同様、熱分解性物質の分解除去時に、空気や窒素
ガス等を流すことにより熱分解を促進させ、熱分解ガス
を外部に放出除去することが望ましい。
【0040】本第3実施形態においても、上記第1実施
形態と同様の効果を得ることができる。なお、熱分解性
物質は、上記第1実施形態の昇華性物質、上記第2実施
形態の揮発性物質と併用することもできる。
【0041】
【実施例】(実験例)アーク放電法により作製されたカ
ーボンナノチューブ含有試料200ミリグラムに、酸処
理工程として6モル/リットルの濃度の硝酸溶液400
ミリリットルを加えて12時間加熱・煮沸を行った。気
化した蒸気は冷却塔で液化して還流させる構成としてい
る。
【0042】硝酸の濃度は、1〜12モル/リットルの
範囲から適宜選定することができる。作製されたカーボ
ンナノチューブ試料中の不純物の量が多ければ硝酸濃度
を高くし、不純物が少なければ硝酸濃度を低くすること
が望ましい。また、試料に対する溶液量に関しても、不
純物量が多い場合は増加し、少ない場合は減少させるこ
とが望ましい。煮沸時間に関しても、不純物量が多い場
合には長くし、不純物量が少ない場合には短くする。こ
れらの条件は、処理を行った試料のSEM・TEM観
察、組成分析に基づいて最適化することが望ましい。
【0043】煮沸後の試料は0.2ミクロン孔径のポリ
テトラフルオロエチレン製フィルタで濾過し、水洗して
回収した。回収した試料は120℃で12時間以上乾燥
した。この場合、濾過はアスピレータ等による吸引濾過
が望ましい。水洗は付着している硝酸溶液を除去するこ
とが目的である。
【0044】以上の酸処理を複数回行い、合計2グラム
程度の硝酸処理試料を作製した。図1は硝酸処理試料の
拡大模式図である。図1中の線状部分がカーボンナノチ
ューブを示し、斜線部分が非晶質カーボンや触媒金属を
示している。図1に示すように、硝酸処理後の試料は、
カーボンナノチューブや非晶質カーボン、触媒金属(ま
たは酸化された触媒金属)が固く凝集した状態となって
いる。
【0045】次に、多孔化処理工程を行った。まず、硝
酸処理試料に樟脳を混合した。作製した硝酸処理試料1
グラムをアルミナ乳鉢に入れ、天然樟脳10グラムを加
え、さらにエタノール5ミリリットルを加えて混合し
た。混合中にエタノールが蒸発するため、最初ペースト
状であったものが乾燥・固化し凝集体となる。
【0046】加える天然樟脳の比率は適宜選定すればよ
く、試料1重量部に対して1〜100重量部の範囲から
選定することが望ましい。また、カーボンナノチューブ
試料と樟脳との混合に際して、強力に固体同士を粉砕混
合できる装置を用いれば、エタノールは必ずしも加える
必要がない。
【0047】次に、混合試料中から樟脳の除去を行っ
た。混合乾燥後の試料5グラムをアルミナ製試料容器に
入れて電気炉中にセットし、150℃で2時間、空気1
リットル/分を流して樟脳を加熱昇華させて除去し多孔
体を作製した。なお、この樟脳の除去は単独で行うので
はなく、後の酸化処理工程に含めて行うことも可能であ
る。これは、酸化処理の際に室温から徐々に昇降してし
ていき、カーボン分が酸化し始める温度未満で樟脳が昇
華除去されるためである。
【0048】この昇華除去を数回行い、多孔化処理試料
を合計2グラム作製した。図2は多孔化処理試料の拡大
模式図である。図1に示すように、多孔化処理後の試料
は樟脳除去後の空洞が連続気孔となっており、粒子内部
までガスの拡散が容易となっている。また、カーボンナ
ノチューブの束が露出する比率が高くなっている。
【0049】次に、多孔体試料の酸化処理工程を行っ
た。作製した多孔体試料1グラムをアルミナ製試料容器
に入れて電気炉中にセットし、昇温速度10℃/分で3
80℃まで昇温して12時間保持した。加熱中は空気5
00ミリリットル/分を流した。12時間保持後の試料
は電気炉から取り出して急冷して酸化反応を停止し、室
温まで冷却して酸化処理試料を作製した。
【0050】図3に酸化処理試料の拡大模式図を示す。
図3に示すように、酸化処理後の試料では、非晶質カー
ボンが部分的に残存しているものの、酸化処理により非
晶質カーボンが大きく減少した。また、金属触媒も酸化
されて残存している。酸化した金属触媒は、酸に溶解さ
せて除去することができる。
【0051】上記酸化処理工程において、上述したよう
に、樟脳を除去していない試料を直接酸化して、酸化処
理の際に樟脳を昇華させることも可能である。また、昇
温温度は10℃/分に限らず、さらに遅い昇温速度でも
速い昇温速度の昇温でも酸化処理を行うことが可能であ
る。場合によっては、直接酸化温度に保持しておいた炉
中に投入することも可能である。
【0052】また、試料容器を使用せず、気流中に浮遊
させた状態で酸化させることも可能である。保持温度、
保持時間に関しては、試料の不純物含有量により変化さ
せることが望ましい。雰囲気も酸素濃度を変化させて酸
化状態を調節することが可能である。これらの酸化条件
に関しては、事前に熱重量分析や予備実験を行い、SE
M分析等と比較参照して最適な条件を選定することが望
ましい。
【0053】また、酸化処理後の冷却に関しても、急冷
ではなく徐々に温度を下げていくことも可能である。ま
た、酸化処理中に炉内の雰囲気を不活性雰囲気に変えて
酸化を停止させたり、酸素濃度を変化させて酸化速度を
調節することも可能である。
【0054】(比較例)次に、上記実験例に対する比較
例として、上記実験例と同様の酸処理工程を行った後、
多孔化処理工程を行わずに酸化工程を行った。
【0055】上記図1で示した硝酸処理後のカーボンナ
ノチューブ試料に対して、上記実験例と同様の手順で酸
化処理を行った。この結果、上記実験例に比較して、試
料内部へのガスの拡散が十分に行われず、酸化の進行が
遅くなった。酸化処理後のカーボンナノチューブ試料
は、上記実験例に比較して非晶質カーボン等の不純物の
除去が十分されていなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】上記実験例および比較例の硝酸処理処理後のカ
ーボンナノチューブ試料の拡大模式図である。
【図2】上記実験例の多孔化処理後のカーボンナノチュ
ーブ試料の拡大模式図である。
【図3】上記実験例の酸化処理後のカーボンナノチュー
ブ試料の拡大模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G040 AA32 AA42 4G046 CB01 CB05 CB08 CC10 4G066 AA04A AA04B AA53D AB05D CA38 FA21 4G140 AA32 AA42 AA48

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 不純物を含んだカーボンナノチューブ試
    料から前記不純物を除去するカーボンナノチューブの精
    製方法であって、前記カーボンナノチューブ試料に多数
    の孔を形成する多孔化処理工程を備えることを特徴とす
    るカーボンナノチューブの精製方法。
  2. 【請求項2】 前記多孔化処理工程は、酸を用いて前記
    不純物を除去する酸処理工程の後に行われることを特徴
    とする請求項1に記載のカーボンナノチューブの精製方
    法。
  3. 【請求項3】 前記多孔化処理工程は、酸素を含む酸化
    性ガスにより不純物を除去する酸化処理工程の前に行わ
    れることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の
    カーボンナノチューブの精製方法。
  4. 【請求項4】 前記多孔化処理工程は、少なくとも昇華
    性物質を用いて行うことを特徴とする請求項1ないし3
    のいずれか1つに記載のカーボンナノチューブの精製方
    法。
  5. 【請求項5】 前記多孔化処理工程は、少なくとも揮発
    性物質を用いて行うことを特徴とする請求項1ないし4
    のいずれか1つに記載のカーボンナノチューブの精製方
    法。
  6. 【請求項6】 前記多孔化処理工程は、少なくとも加熱
    により熱分解して気体となる熱分解性物質を用いて行う
    ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記
    載のカーボンナノチューブの精製方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれか1つに記載
    のカーボンナノチューブの精製方法により精製されたカ
    ーボンナノチューブを用いることを特徴とするガス貯蔵
    材料。
  8. 【請求項8】 水素ガスを貯蔵することを特徴とする請
    求項7に記載のガス貯蔵材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005336459A (ja) * 2004-04-30 2005-12-08 Kurabe Ind Co Ltd Ptfeペースト体、ptfe多孔体、ptfe多孔体を用いた複合体、及び、ptfe多孔体の製造方法
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