JP2002117735A - 透明積層体の製造方法 - Google Patents

透明積層体の製造方法

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JP2002117735A
JP2002117735A JP2000309858A JP2000309858A JP2002117735A JP 2002117735 A JP2002117735 A JP 2002117735A JP 2000309858 A JP2000309858 A JP 2000309858A JP 2000309858 A JP2000309858 A JP 2000309858A JP 2002117735 A JP2002117735 A JP 2002117735A
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Toshitaka Nakamura
年孝 中村
Kazuaki Sasa
和明 佐々
Yoshihiro Hieda
嘉弘 稗田
Kazuhiko Miyauchi
和彦 宮内
Yukiko Azumi
由起子 安積
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Nitto Denko Corp
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Nitto Denko Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 銀系透明導電体薄膜層上に透明薄膜層として
金属酸化物薄膜層を積層するにあたり、この金属酸化物
薄膜層をスパツタリング法を用いて下地である銀系透明
導電体薄膜層を酸化させることなく速い速度で成膜し、
透明性や電気伝導性の高い品質良好な透明積層体を生産
性良好に製造する。 【解決手段】 透明基体上に厚さが1〜30nmの銀系
透明導電体薄膜層と厚さが10〜300nmの透明薄膜
層とを組み合わせて繰り返し積層し、銀系透明導電体薄
膜層上に積層する透明薄膜層の少なくともひとつを金属
酸化物薄膜層とした透明積層体において、上記の金属酸
化物薄膜層をスパツタリング法で成膜するにあたり、金
属酸化物ターゲットを用いて成膜したのち、金属ターゲ
ットを用いた反応性スパツタリングで成膜することを特
徴とする透明積層体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、透明電極、透明熱
線反射膜、ディスプレイ用透明電磁波シールド材などに
好適に用いられる透明積層体、とくに高可視光線透過
率、低表面抵抗、高近赤外線カット率が要求されるプラ
ズマディスプレイパネル用フィルタに好適に用いられる
透明積層体の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】透明金属酸化物薄膜は、反射防止膜、各
種光学フィルタ、表面保護層、コンデンサ用誘電体膜、
絶縁層などに用いられており、とくにIn、Zn、Sn
などを主成分とした金属酸化物薄膜は、透明導電膜材料
として、ディスプレイ用透明電極、タッチパネル用透明
導電フィルムなどに応用されている。これらの透明金属
酸化物薄膜は、真空蒸着法、イオンプレーティング法、
スパッタリング法などの真空プロセスで成膜されてお
り、とくにスパッタリング法は膜厚の制御性にすぐれ、
大面積にも均一な薄膜を形成できるので、広く用いられ
ている。
【0003】しかし、スパッタリング法は、真空蒸着法
などに比べ、成膜速度が遅く、とくに金属酸化物の焼結
体であるセラミックターゲットを使用する場合、成膜は
容易であるが、成膜速度が遅く、生産性が問題となる。
このため、真空成膜室に複数のターゲットを設置した
り、マグネトロンスパッタリング法では磁場設計を最適
化するなどして生産性の向上をはかっている。また、金
属ターゲットを用い、不活性ガスに酸素ガスを混合した
雰囲気中でスパッタした金属原子を酸化しながら成膜す
る、いわゆる反応性スパッタリングでは、金属のスパッ
タ率が金属酸化物のそれよりも大きいため、比較的高い
成膜速度が得られるが、酸素ガスの導入量により成膜速
度や膜質が変化し、精密な生産条件管理が必要である。
【0004】透明薄膜材料としては、上記したような金
属酸化物のほかに、MgF2 やZnSなどに代表される
金属弗化物や金属硫化物なども用いられており、これら
の材料を使用した透明薄膜についても、上記と同様のス
パッタリング法や、その他、真空蒸着法、イオンプレー
ティング法などの真空プロセスで成膜され、金属酸化物
薄膜の場合と同様の各種用途に応用されている。
【0005】近年、銀に代表される金属薄膜層(銀系透
明導電体薄膜層)を上記のような透明薄膜層で挟んだ構
成、それらをさらに繰り返し積層した構成の透明積層体
が、種々検討されている。上記の銀は、金属材料の中で
最も導電率が高いばかりか、可視光に対する光吸収が小
さく、光学的透明性にすぐれ、20nm程度の厚さまで
であれば、比較的高い透過率が得られることが知られて
いる。
【0006】このような透明積層体は、ITO(酸化イ
ンジウム錫)などの透明導電薄膜に比べて、高い導電性
を示し、透明電磁波シールド材、液晶ディスプレイ用電
極、電場発光体用電極などへの応用が検討されている。
また、銀系透明導電体薄膜層の有する赤外線反射特性を
利用し、かつ透明薄膜層により金属表面での可視光の反
射を防止する機能を付与できることから、可視光線は透
過するが熱線は反射する太陽電池用の透明断熱材、農業
用のグリーンハウス、建築用の窓材、食品用のショーケ
ースなどに、ローエミッション膜として利用されてい
る。これらの透明積層体の構成については、たとえば、
特開昭55−11804号公報、持開平9−17683
7号公報などに記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記構
成の透明積層体をスパッタリング法で製造する、とくに
銀系透明導電体薄膜層上に透明薄膜として代表的な金属
酸化物薄膜層をスパッタリング法で成膜する場合、その
成膜速度が非常に遅くなるか、あるいは下地である銀系
透明導電体薄膜層を酸化して透過率や電気伝導性が低下
する問題があり、品質良好な透明積層体を生産性良好に
製造できなかった。
【0008】金属酸化物ターゲットを用い、Arなどの
不活性ガス雰囲気中でスパッタリングを行うと、金属酸
化物ターゲットは僅かに酸素不足の組成となっており、
Arガスだけの雰囲気では金属酸化物薄膜層の化学両論
的組成が僅かに酸素不足となり、光吸収のある褐色がか
った透過率の低い膜となるため、通常は、酸素ガスを混
合した雰囲気としてストイキオメトリックな透明性の高
い薄膜を得ている。
【0009】このような金属酸化物ターゲットを用いた
スパッタリングでは、上記混合する酸素ガスの量は微量
であり、下地の銀系透明導電体薄膜層を酸化する割合が
少なく、透過率や電気伝導性を低下させる問題は起こら
ない。しかし、成膜速度が遅く、透明積層体を生産性よ
く製造できない。これに対し、金属ターゲットを用いた
反応性スパッタリングで金属酸化物薄膜層を成膜する
と、成膜速度は速くなるが、金属酸化物ターゲットを用
いた場合に比べて、反応性ガスとして多量の酸素ガスを
混合する必要があるため、下地である銀系透明導電体薄
膜層の酸化を防止できず、透過率や電気伝導性の低い透
明積層体しか得られない。
【0010】これらの問題に対し、銀系透明導電体薄膜
層上にあらかじめSn、Ti、In、Cr、Znなどの
バリア層を1〜10nm程度の厚さで、ごく薄く成膜し
ておき、これを金属酸化物薄膜層の成膜時に同時に酸化
させることで、銀系透明導電体薄膜層の酸化を防ぐ試み
がなされている。しかるに、バリア層が薄すぎると銀系
透明導電体薄膜層までが酸化され、逆に厚すぎるとバリ
ア層が十分酸化されずに金属として残り、透過率の著し
く低い膜となる。また、金属酸化物薄膜層の成膜条件な
どによりバリア層の最適な厚さも変化するため、バリア
層の材料や厚さを決定するのには多大な労力が必要であ
る。さらに、バリア層が薄すぎると島状構造の膜となる
ため、銀系透明導電体薄膜層を十分に被覆できず、部分
的に酸化されてしまったり、成膜室内の酸素ガスの分布
状態に差があると、膜厚は均一であっても色むらなどが
発生するなどの不都合が起こりやすい。
【0011】本発明は、このような事情に照らし、銀系
透明導電体薄膜層と透明薄膜層とを組み合わせて繰り返
し積層し、銀系透明導電体薄膜層上に積層する透明薄膜
層の少なくともひとつを金属酸化物薄膜層とした透明積
層体の製造にあたり、上記の金属酸化物薄膜層をスパツ
タリング法を用いて下地である銀系透明導電体薄膜層を
酸化させることなく速い速度で成膜し、これにより透明
性や電気伝導性の高い品質良好な透明積層体を生産性良
好に製造することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成するため、鋭意検討した結果、銀系透明導電体
薄膜層上に透明薄膜層として金属酸化物薄膜層をスパツ
タリング法で成膜する際、金属酸化物ターゲットを用い
て途中まで成膜したのち、金属ターゲットを用いた反応
性スパッタリングにより残りの所望の厚さまで成膜する
と、前段の成膜時には導入する酸素ガス量が微量である
ため、下地の銀系透明導電体薄膜層が酸化される心配は
なく、一方、後段の反応性スパッタリングによる成膜時
には多量の酸素ガスを導入するが、この段階では下地の
銀系透明導電体薄膜層は前段で成膜した金属酸化物薄膜
層で覆われているため、上記下地の酸化がやはり防が
れ、前後段の成膜を通じて銀系透明導電体薄膜層の酸化
が防がれる結果、透明性や電気伝導性の高い品質良好な
透明積層体が得られることがわかつた。
【0013】また、銀系透明導電体薄膜層は透明薄膜層
に比べて一般に成膜速度が速くかつ厚さも薄いため、両
者を組み合わせて繰り返し積層した透明積層体の生産速
度は透明薄膜層の成膜速度に左右される。上記の成膜方
法では、金属酸化物ターゲットを用いた前段の成膜に続
いて、これより数倍(通常約3倍)の成膜速度となる金
属ターゲットを用いた反応性スパッタリングにより後段
の成膜を行うため、この後段で成膜する金属酸化物薄膜
層の厚さを前段のそれよりも厚めに設定することで、透
明積層体の生産速度を向上でき、また、ターゲット数を
増やすと成膜速度が上がるため、金属酸化物ターゲット
と金属ターゲットを合計3個以上使用して、金属ターゲ
ットの使用個数を金属酸化物ターゲットの使用個数より
も多くすることで、生産速度をさらに向上できることが
わかつた。たとえば、金属酸化物ターゲットを1個、金
属ターゲットを2個とすると、生産速度は、単純に計算
して金属酸化物ターゲット1個の場合に比べ、7倍程度
となる。
【0014】さらに、このように金属ターゲットの数を
増やすと、透明積層体の製造コストの低減にも好結果を
得ることができる。金属ターゲットは、金属酸化物ター
ゲットに比べて、安価であるためである。このように、
上記の成膜方法によると、金属ターゲット数を増やすこ
とで、透明積層体の生産速度を大きく向上できるととも
に、製造コストの低減にも好結果が得られることがわか
つた。しかし、全体のターゲット数をあまりに多くしす
ぎると、スパツタリング装置が複雑化し、また大型化す
るという問題があるため、一般には、合計のターゲット
数を5個程度、最大でも7個程度にとどめるのが望まし
いことがわかつた。
【0015】また、金属ターゲットを使用した反応性ス
パッタリングでは、その酸化反応はターゲット表面また
は成膜される透明基体表面で起こる。ターゲット表面で
の酸化反応が支配的となると、ターゲットの表面が酸化
膜で覆われ、その成膜速度は金属酸化物ターゲットを用
いた場合と同等か、それ以下となり、また酸素ガス量の
微妙な変化で成膜速度が大きく変動することになる。こ
のため、ターゲット表面はArなどの不活性ガス雰囲気
に保ち、透明基体表面が酸素ガスリッチな雰囲気になる
ように、ガスの導入量、配管、プラズマシールドの形
状、高真空ポンプの排気口の位置などを工夫し、透明基
体表面で大部分の酸化反応が起こるようにすることが必
要である。このようにすると、金属特有の速い成膜速度
でもって、しかも安定して均一な膜厚でスパッタリング
を行うことができる。
【0016】しかしながら、このような手法を採用した
うえで、さらにその成膜速度を上げるため、ターゲット
ヘの投入電力量を大きくすると、上記酸化反応が追いつ
かなくなり、透明な金属酸化物薄膜が得られなくなるこ
とがあつた。本発明者らは、この問題について検討した
結果、上記手法において、透明基体の温度を上げると、
透明基体表面での酸化反応が促進されて、より高速で成
膜できること、その温度は透明基体の材質に応じて決め
られるが、通常は、350〜600Kの範囲内で適宜設
定するのが望ましいことがわかった。
【0017】本発明は、以上の知見をもとにして、完成
されたものである。すなわち、本発明は、透明基体上に
厚さが1〜30nmの銀系透明導電体薄膜層と厚さが1
0〜300nmの透明薄膜層とを組み合わせて繰り返し
積層し、銀系透明導電体薄膜層上に積層する透明薄膜層
の少なくともひとつを金属酸化物薄膜層とした透明積層
体において、上記の金属酸化物薄膜層をスパツタリング
法で成膜するにあたり、金属酸化物ターゲットを用いて
成膜したのち、金属ターゲットを用いた反応性スパツタ
リングで成膜することを特徴とする透明積層体の製造方
法に係るものである。とくに、本発明は、上記構成の製
造方法として、金属酸化物ターゲットと金属ターゲット
を合計3個以上使用するとともに、金属ターゲットの使
用個数を金属酸化物ターゲットの使用個数よりも多くし
た上記構成の製造方法と、さらに透明基体の温度を35
0〜600Kの範囲に保つようにした上記構成の製造方
法を提供することができる。
【0018】また、本発明は、上記製造方法により得ら
れる透明積層体として、透明基体上に厚さが1〜30n
mの銀系透明導電体薄膜層と厚さが10〜300nmの
透明薄膜層とを組み合わせて繰り返し積層し、銀系透明
導電体薄膜層上に積層する透明薄膜層の少なくともひと
つを金属酸化物薄膜層とした透明積層体において、上記
の金属酸化物薄膜層を、金属酸化物ターゲットを用いて
成膜した透明基体側に位置する内側層と、金属ターゲッ
トを用いて成膜した外側層とで構成したことを特徴とす
る透明積層体を提供することができる。とくに、本発明
は、金属酸化物ターゲットを用いて成膜した透明基体側
に位置する内側層の厚さが、金属ターゲットを用いて成
膜した外側層の厚さよりも薄くされている上記構成の透
明積層体を提供できる。さらに、本発明は、このような
構成とされた透明積層体、とくに光学設計によつて高可
視光線透過率および低表面抵抗に加えて、高い近赤外線
カット率を有するものとされた上記構成の透明積層体を
使用したことを特徴とするプラズマディスプレイパネル
用フィルタを提供できるものである。
【0019】
【発明の実施の形態】本発明における透明基体として
は、可視光領域における透明性を有し、表面がある程度
平滑なものであればよい。たとえば、ポリエチレンテレ
フタレート、トリアセチルセルロース、ポリエチレンナ
フタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネー
ト、ポリアクリレート、ポリエ−テルエーテルケトン、
ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイミドなどの高分
子フィルムが好ましく用いられる。この透明基体の厚さ
は、ドライプロセスで熱ジワなどの問題が発生しなけれ
ば、制限されないが、通常は10〜250μm程度であ
るのがよい。
【0020】また、透明基体の片面または両面にハード
コート層を設けてもよい。ハードコート材は紫外線硬化
タイプでも熱硬化タイプでもよい。紫外線硬化タイプに
は、エステル系、アクリル系、ウレタン系、アミド系、
シリコーン系、エポキシ系、アクリル・ウレタン系、ア
クリル・エポキシ系などのモノマーやオリゴマーに光重
合開始剤を配合したものなどがある。熱硬化タイプに
は、フエノール系、尿素系、メラミン系、不飽和ポリエ
ステル系、ポリウレタン系、エポキシ系などの樹脂に、
必要に応じて架橋剤、重合開始剤、重合促進剤、溶剤、
粘度調整剤などを配合したものなどが挙げられる。ハー
ドコート層の厚さは、1〜10μmが適当であり、2〜
7μmであるのがより好ましい。
【0021】これらの透明基体は、その表面をあらかじ
めスパッタリング処理、コロナ処理などのエッチング処
理を行ったり、銀系透明導電体薄膜層や透明薄膜層など
の薄膜層と透明基体との密着性を向上させるような易接
着層を形成したものであってもよい。なお、透明基体と
しては、上記したような高分子フィルムをベースとした
のものに限定されず、ガラス板、PMMA(ポリメチル
メタクリレート)板、ポリカーボネート板などのフィル
ム以外のものであってもよい。
【0022】本発明における銀系透明導電体薄膜層の材
料には、80重量%以上の銀と、金、銅、パラジウム、
白金、マンガン、カドニウムから選択された1つまたは
2つ以上の元素とにより構成されたものが用いられる。
銀は、金属材料の中で最も電気導電率が高いばかりか、
光吸収が小さく光学的な透明性にもすぐれているが、空
気中の湿気、硫黄、塩素などにより劣化しやすい。この
ため、電気伝導性、光学的透明性、耐劣化性の点より、
90〜99重量%の銀と上記他の元素1〜10重量%と
を固溶させた材料が好ましい。とくに銀中に1〜10重
量%の金を固溶させたものは、銀の劣化防止の点より、
好ましい。金を過剰に混入しすぎると、着色のために透
明性が損なわれやすく、電気伝導率の低下も大きくな
り、また金の混入量が少なすぎると、銀の劣化が起こり
やすい。
【0023】本発明における透明薄膜層の材料として
は、光学的透明性があるものであればよく、各層の材料
や成膜方法、屈折率がそれぞれ異なっていてもよい。ま
た、単一の材料でも、複数材料を焼結または合金化した
材料を用いてもよい。さらに、銀系透明導電体薄膜層の
マイグレーション防止効果や水、酸素のバリア効果があ
る材料ならさらによい。好適な材料としては、酸化イン
ジウム、酸化錫、二酸化チタン、酸化セリウム、酸化ジ
ルコニウム、酸化亜鉛、酸化タンタル、五酸化ニオブ、
二酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなど
の金属酸化物が挙げられる。これらの中でも、酸化イン
ジウムを主成分としこれに二酸化チタン、酸化錫、酸化
セリウムを少量含ませたものは、銀系透明導電体薄膜層
の劣化防止効果があるばかりか、電気導電性を有するた
め、銀系透明導電体薄膜層との間の電気的導通が取りや
すいという点で、好ましい。
【0024】また、本発明における透明薄膜層の材料に
は、金属ターゲットとして、上記の各金属酸化物に対応
する金属または合金が用いられる。金属材料の融点に違
いにより、合金ターゲットを作製できない場合は、添加
する元素を円柱状に埋め込んだターゲットを用いたり、
デュアルマグネトロンスパッタリング法であれば、異な
る材料を1対として用いてもよい。その他、本発明で
は、金属酸化物以外の材料として、窒化珪素、フッ化マ
グネシウム、硫化亜鉛などの金属窒化物、金属弗化物ま
たは金属硫化物も使用することができる。
【0025】本発明においては、このような薄膜層形成
材料を使用して、前記した透明基体上に銀系透明導電体
薄膜層と透明薄膜層とを組み合わせて繰り返し積層する
が、上記の組み合わせ構成には、銀系透明導電体薄膜層
/透明薄膜層の組み合わせ、透明薄膜層/銀系透明導電
体薄膜層/透明薄膜層の組み合わせ、または銀系透明導
電体薄膜層/透明薄膜層/銀系透明導電体薄膜層の組み
合わせ、あるいはこれらをさらに繰り返した構成などが
ある。2以上の銀系透明導電体薄膜層および透明薄膜層
は、それぞれ、すべて同じ材料または組成であっても、
異なる材料または組成であってもよく、1つの層を2種
以上の材料で構成してもよい。
【0026】また、上記の銀系透明導電体薄膜層は、厚
さが1〜30nm、好ましくは5〜20nmとするのが
よい。さらに、上記の透明薄膜層は、厚さが10〜30
0nm、好ましくは30〜100nmとするのがよい。
このような厚さの範囲内において、各層の厚さを、その
光学設計に基づいて、適宜設定することにより、可視光
線透過率、表面抵抗、近赤外線カット率および電磁波シ
―ルド性などの特性を満足する透明積層体を製造するこ
とが可能となる。
【0027】本発明においては、上記種々の組み合わせ
構成とした透明積層体を製造するにあたり、上記の特性
面より、銀系透明導電体薄膜層上に積層する透明薄膜層
の少なくともひとつを金属酸化物薄膜層とするととも
に、この金属酸化物薄膜層を、膜厚の制御性や均一性の
点より、スパツタリング法により成膜するにあたり、金
属酸化物ターゲットを用いて成膜したのち、金属ターゲ
ットを用いた反応性スパツタリングにより成膜すること
を大きな特徴としたものである。
【0028】一般に、透明導電膜として用いられるI
n、Zn、Snなどを主成分とした金属酸化物は、金属
ターゲットを用いた反応性スパッタリングよりも、金属
酸化物ターゲットを用いるのが主流である。これは、こ
れらの金属酸化物ターゲットには導電性があり、DCマ
グネトロンスパッタリングが可能なため、他の金属酸化
物に比べて、比較的速い成膜速度が得られること、また
金属ターゲットを用いた反応性スパッタリングは、成膜
速度は速いが、酸素導入量や背圧、基体温度をはじめと
した成膜条件の微妙な変化により、その電気伝導率が変
化するため、低抵抗な透明導電膜が安定して得られにく
いことに起因する。
【0029】これに対し、本発明の透明積層体では、導
通は電気伝導率が約2桁高い銀系透明導電体薄膜層が担
うため、透明薄膜層は各銀系透明導電体薄膜層との間の
膜厚方向の導通さえ確保できればよい。したがって、透
明薄膜層の電気伝導率が2〜3桁低下しても、透明積層
体の表面抵抗値にはなんら影響はなく、金属ターゲット
を用いた反応性スパッタリングを支障なく適用できる。
【0030】しかし、銀系透明導電体薄膜層上に透明薄
膜層として金属酸化物薄膜層を形成するにあたり、酸素
ガスを多量に導入した反応性スパッタリングを行うと、
酸素プラズマにより銀系透明導電体薄膜層が酸化の影響
を受け、透明性や電気伝導性が低下する。本発明者ら
は、これに対し、銀系透明導電体薄膜層上に金属酸化物
ターゲットを用いて数nm程度の厚さの金属酸化物薄膜
層を成膜すると、その膜上に多量に酸素ガスを導入した
雰囲気にて反応性スパッタリングを行っても、銀系透明
導電体薄膜層はもはや酸化の影響を受けないことがわか
った。
【0031】この方法によれば、前記した銀系透明導電
体薄膜層上に数nmの金属バリア層を設け、これを反応
性スパッタリング時に酸化させる方法に比べて、成膜条
件が簡潔であり、高透過率、低抵抗な透明積層体が容易
に得られることがわかつた。また、ターゲット数、配
置、反応性スパッタリング条件を工夫することにより、
同じターゲット数を配置した装置において、金属酸化物
ターゲットのみを用いた場合の2倍以上の速度で容易に
成膜できることもわかつた。
【0032】このように、本発明では、銀系透明導電体
薄膜層上に積層する透明薄膜層としての金属酸化物薄膜
層をスパツタリング法により成膜するにあたり、金属酸
化物ターゲットを用いて成膜したのち、金属ターゲット
を用いた反応性スパツタリングにより成膜することで、
銀系透明導電体薄膜層を酸化させることなく速い速度で
成膜し、これにより透明性や電気伝導性の高い品質良好
な透明積層体を生産性良好に製造できることを見い出し
たものである。
【0033】このような成膜方法において、金属酸化物
ターゲットから成膜される金属酸化物薄膜層と、金属タ
ーゲットとから成膜される金属酸化物薄膜層とは、両タ
ーゲットの材料および組成を適宜選択することにより、
通常は、成膜される両薄膜層の材料・組成が同一となる
ようにするのが望ましいが、場合により上記両薄膜層の
材料および組成が異なるように構成することもできる。
なお、必要なら、上記成膜後にさらに金属酸化物ターゲ
ットを用いて成膜することもできる。
【0034】本発明の透明積層体においては、銀系透明
導電体薄膜層と透明薄膜層との前記した種々の組み合わ
せ構成において、透明薄膜層としての金属酸化物薄膜層
を、銀系透明導電体薄膜層上に積層するのではなく、透
明基体上に積層するなどの態様をとることもある。この
ような場合は、上記したような成膜方法をとる必要はと
くになく、最初から、成膜速度の速い金属ターゲットを
用いた反応性スパツタリングにより成膜することがで
き、もちろん、金属酸化物ターゲットと組み合わせて成
膜してもよく、その順番も、とくに限定されない。
【0035】また、本発明の透明積層体においては、透
明薄膜層を、金属酸化物以外の薄膜層、たとえば金属窒
化物、金属弗化物または金属硫化物からなる薄膜層で構
成することもある。この場合、当然のことながら、積層
する下地に関係なく、つまり下地が銀系透明導電体薄膜
層であつても透明基体であつても、上記したような成膜
方法は採用されず、通常のスパツタリング法を用いて成
膜することができる。さらに、これらの透明薄膜層や銀
系透明導電体薄膜層を、スパツタリング法以外の真空プ
ロセスにより成膜することも、場合により可能である。
【0036】しかしながら、膜厚の制御性や均一性の点
より、また装置構成の簡素化の点より、銀系透明導電体
薄膜層および透明薄膜層は、各層の材料・組成に関係な
く、スパツタリング法により成膜するのが望ましい。こ
れにより、可視光線透過率、表面抵抗、近赤外線カット
率および電磁波シ―ルド性などの特性を満足する透明積
層体を容易に製造できる。よつて、以下、全薄膜層をス
パツタリング法で成膜することを前提として、さらに詳
しく説明することにする。
【0037】本発明に用いるスパッタリング法には、R
F(高周波)マグネトロンスパッタリング法、DC(直
流)マグネトロンスパッタリング法、パルスDCマグネ
トロンスパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッ
タリング法などがある。銀系透明導電体薄膜層の成膜
は、単に不活性ガス雰囲気で通常のスパッタリングを行
えばよいので、DCマグネトロンスパッタリング法が好
ましい。
【0038】このDCマグネトロンスパッタリング法に
よれば、RFマグネトロンスパッタリング法に比べて、
電源も安価でかつ簡潔な設備でもって、大面積に均一に
制御性よく、銀系透明導電体薄膜層を成膜することがで
きる。透明薄膜層の成膜は、透明薄膜層の材料・組成に
応じて適宜の方式を使用でき、とくに金属酸化物薄膜層
の成膜にあたり、金属酸化物ターゲットを用いる場合と
金属ターゲットを用いる場合とで、違う方式を採用して
も同じ方式を採用してもよい。
【0039】スパッタリング装置は、ロール・トゥ・ロ
ールの巻き取り式装置であっても、枚葉式装置であつて
もよい。ターゲットの個数、配置は、製造する透明積層
体の構成に応じて、適宜選択できる。当然、ターゲット
個数が多いほど、また成膜速度の速い金属ターゲットを
多くするほど、生産速度の向上の点より、好ましい。と
くに、銀系透明導電体薄膜層上に金属酸化物薄膜層を積
層する場合に、既述のとおり、金属酸化物ターゲットと
金属ターゲットを合計3個以上使用して、金属ターゲッ
トの使用個数を金属酸化物ターゲットの使用個数よりも
多くすると、生産速度を著しく向上できる。しかし、全
体のターゲット数をあまりに多くしすぎると、スパツタ
リング装置が複雑化し、また大型化するという問題があ
るため、一般には、合計のターゲット数を5個程度、最
大でも7個程度にとどめるのが望ましい。また、各薄膜
層は、透明積層体の構成に応じて、1 パスですべての層
を成膜してもよいし、数パスに分けて成膜するようにし
てもよい。
【0040】スパッタリングガスは、成膜する薄膜層の
種類に応じて、アルゴン、クリプトン、キセノンなどの
不活性ガス、あるいはこれらのガスに酸素ガスを混合し
たものが用いられる。スパッタリング圧力としては、と
くに限定されないが、通常は0.1〜1.5Pa程度と
するのが好ましい。また、銀系透明導電体薄膜層上に前
記した方法により金属酸化物薄膜層を成膜する場合、酸
素ガス分圧としては、金属酸化物ターゲットを用いる場
合と金属ターゲットを用いる場合とで、それぞれ最適な
量を選択することができる。
【0041】このようなスパッタリング法において、成
膜時の透明基体は、加熱、冷却、非加熱(非冷却)のい
ずれでもよく、成膜条件や透明基体の耐熱性などを考慮
して適宜決定する。とくに、銀系透明導電体薄膜層上に
前記方法により金属酸化物薄膜層を成膜する場合、金属
ターゲットを用いた反応性スパッタリング時の透明基体
表面での酸化反応を促進するため、透明基体を350〜
600Kに加熱するのが望ましい。これにより成膜速度
を速くでき、透明積層体の生産性により好結果が得ら
れ、また表面抵抗の低減にも好ましい結果が得られる。
【0042】本発明の透明積層体は、以上の方法により
製造することができ、透明基体上に厚さが1〜30nm
の銀系透明導電体薄膜層と厚さが10〜300nmの透
明薄膜層とを組み合わせて繰り返し積層し、銀系透明導
電体薄膜層上に積層する透明薄膜層の少なくともひとつ
を金属酸化物薄膜層とした透明積層体において、上記の
金属酸化物薄膜層を、金属酸化物ターゲットを用いて成
膜した透明基体側に位置する内側層と、金属ターゲット
を用いて成膜した外側層とで構成したことを特徴とする
ものである。とくに、金属酸化物ターゲットを用いて成
膜した透明基体側に位置する内側層の厚さが、金属ター
ゲットを用いて成膜した外側層の厚さよりも薄くされて
いることを好ましい態様としたものである。
【0043】このように構成された透明積層体は、必要
により、その最外層の薄膜層上にさらに保護層として他
の金属酸化物薄膜層などを形成してもよく、またハード
コート樹脂層を塗工法により形成してもよい。さらに、
この透明積層体の表面または裏面に、透明な接着剤層
(粘着剤層)を介して、公知の各種の保護フィルムまた
は反射防止フィルムなどを貼り合わせるようにしてもよ
い。
【0044】このような透明積層体は、透明電極、透明
熱線反射膜、ディスプレイ用透明電磁波シールド材など
の種々の用途に利用することができる。とくに各薄膜層
の光学設計により高可視光線透過率および低表面抵抗に
加えて、高い近赤外線カット率を有し、また電磁波シ―
ルド特性にすぐれるものとして、プラズマディスプレイ
パネル用フィルタとして好適に利用することができる。
【0045】
【実施例】つぎに、本発明を実施例により、さらに具体
的に説明するが、本発明は以下の実施例にのみ限定され
るものではない。
【0046】以下、膜厚は、同じ成膜条件にて長時間厚
膜に成膜したサンプルを表面粗さ計(DEKTAK3)
により測定し、その検量線から所定の厚さになるように
制御した値(質量膜厚)である。また、ガス流量に用い
た単位(SCCM)は、標準状態に換算した気体流量
(Standard Cubic Centimete
r per Minute)を示したものである。
【0047】さらに、透明積層体の特性評価は、以下の
ようにして行った。すなわち、透明積層体の可視光線透
過率については、大塚電子製の瞬間マルチ測光器「MC
PD−3000」により、0°入射の透過スペクトルを
測定し、得られた透過スペクトルから、JIS R−3
016に準じて、可視光線透過率を算出した。また、透
明積層体の表面抵抗値は、三菱油化製の「Lorest
er SP」を用い、四端針法(JIS K−719
4)により、測定した。
【0048】実施例1 幅300mm、厚さ125μmのポリエチレンテレフタレ
ート(以下、PETという)フィルムのロール原反を、
ターゲットが3つ配置できるロール・トゥ・ロール式の
スパッタリング装置に取り付け、これを透明基体とし
て、透明薄膜層としての金属酸化物薄膜層と、銀系透明
導電体薄膜層とを、合計3層繰り返し積層してなる透明
積層体を製造した。
【0049】金属酸化物薄膜層を形成する金属酸化物タ
ーゲット材料には、In2 3 :SnO2 =90重量
%:10重量%(以下、ITOx という)を用い、金属
ターゲット材料には、In:Sn=90重量%:10重
量%(以下、ITMeという)を用いた。これらから、
金属酸化物薄膜層として酸化インジウム錫(以下、IT
Oという)薄膜層をそれぞれ成膜した。また、銀系透明
導電体薄膜層を形成するターゲット材料には、Ag:A
u=97重量%:3重量%(以下、Agという)を用い
た。なお、使用したこれらのターゲットサイズは、いず
れも、600mm×150mm×5mm(厚さ)である。
【0050】装置手前からロールが反時計周りに回転す
る方向を順方向、その反対を逆方向とした。ターゲット
は、順方向にてPETフィルムが通過する順に、ITM
e、ITOx 、Agの順で配置した。各ターゲットの成
膜速度は、以下のとおり設定した条件により、ロール速
度0.1m/minにて成膜した薄膜層の厚さを測定
し、算出した。ただし、ロール温度は室温とした。ま
た、各ターゲットは、プラズマシールドで覆われてお
り、ロールとの間隔は2mmとした。さらに、ITMeお
よぴITOターゲットは、Arガスをターゲット表面付
近から導入し、酸素ガスはロール付近から導入するよう
に配管を配置した。また、Agターゲットには酸素ガス
導入管を設置しなかった。
【0051】<ITMeターゲット> DCスパッタリング方式、投入電力2.7kW、ガス圧
0.4Pa、ガス流量比O2 /Ar=30SCCM/1
50SCCM成膜速度20.3nm・m/kW・min <ITOx ターゲット> DCスパッタリング方式、投入電力2.7kW、ガス圧
0.4Pa、ガス流量比O2 /Ar=1SCCM/15
0SCCM成膜速度8.8nm・m/kW・min <Agターゲット> DCスパッタリング方式、投入電力0.5kW、ガス圧
0.4Pa、ガス流量比O2 /Ar=0SCCM/15
0SCCM成膜速度30.5nm・m/kW・min
【0052】ITMeおよびITOx ターゲットとも
に、透明なITO薄膜層が得られた。以上、求めた成膜
速度を元に2パスでもって、透明積層体を作製した。I
TMeおよびITOx の成膜条件は、上記の成膜速度測
定時と同じとし、1パスで各ターゲットからITO薄膜
層が40nm成膜されるようにロール速度を決定した。
また、Agの成膜速度は、投入電力に比例するものと
し、決定されたロール速度にてAg薄膜層が12nm成
膜されるように投入電力を決定した。括弧内の数字は、
各ターゲットから成膜された薄膜層の厚さを示してい
る。
【0053】<1パス目> 順方向:ロール速度1.96m/min、Ag投入電力
0kW PETフィルム/ITMe(28.0nm)/ITOx
(12.0nm) <2パス目> 逆方向:ロール速度1.96m/min、Ag投入電力
0.77kW PETフィルム/ITMe(28.0nm)/ITOx
(12.0nm)/Ag(12.0nm)/ITO
x (12.0nm)/ITMe(28.0nm)
【0054】このようにして製造した透明積層体は、透
明基体(PETフィルム)側から、PETフィルム/I
TO(40nm)/Ag(12nm)/ITO(40n
m)の構成からなるものであった。なお、上記の括弧内
の数字は、各薄膜層の厚さを示したものである。
【0055】比較例1 ターゲットの配置を順方向にてPETフィルムが通過す
る順に、ITOx 、ITOx 、Agの順で配置し、実施
例1と同じ成膜条件にて下記の2パスで、PETフィル
ム側から、ITO/Ag/ITOの3層構成の透明積層
体を製造した。括弧内の数字は、各ターゲットから成膜
された薄膜層の厚さを示している。
【0056】<1パス目> 順方向:ロール速度1.19m/min、Ag投入電力
0kW PETフィルム/ITOx (20.0nm)/ITOx
(20.0nm) <2 パス目> 逆方向:ロール速度1.19m/min、Ag投入電力
0.47kW PETフィルム/ITOx (20.0nm)/ITOx
(20.0nm)/Ag(12.0nm)/ITO
x (20.0nm)/ITOx (20.0nm)
【0057】比較例2 ターゲットの配置を順方向にてPETフィルムが通過す
る順に、ITMe、ITMe、Agの順で配置し、実施
例1と同じ成膜条件で下記の2パスで、PETフィルム
側から、ITO/Ag/ITOの3層構成の透明積層体
を製造した。括弧内の数字は、各ターゲットから成膜さ
れた薄膜層の厚さを示している。
【0058】<1パス目> 順方向:ロール速度2.74m/min、Ag投入電力
0kW PETフィルム/ITMe(20.0nm)/ITMe
(20.0nm) <2 パス目> 逆方向:ロール速度2.74m/min、Ag投入電力
1.08kW PETフィルム/ITMe(20.0nm)/ITMe
(20.0nm)/Ag(12.0nm)/ITMe
(20.0nm)/ITMe(20.0nm)
【0059】上記の実施例1および比較例1,2の各透
明積層体について、可視光線透過率および表面抵抗値を
測定し、また、透明積層体〔PETフィルム/ITO
(40nm)/Ag(12nm)/ITO(40n
m)〕の生産速度を調べた。これらの結果は、下記の表
1に示されるとおりであった。
【0060】
【0061】上記の表1に示すように、実施例1の透明
積層体は、高可視光線透過率と低表面抵抗値が得られて
おり、たとえばローエミッション膜などに用いるのに好
適なものであり、しかもこの高特性を有するものを生産
性よく製造できた。これに対し、比較例1の透明積層体
は、高可視光線透過率と低表面抵抗値を示すものの、生
産性に劣っていた。比較例2の透明積層体は、生産性は
満足できるが、Ag薄膜層上にITMeからITO薄膜
を成膜する際、Ag薄膜層が酸化されるため、可視光線
透過率の低下と著しい表面抵抗値の上昇が起こった。
【0062】また、別の測定評価から、比較例2の透明
積層体は、40%以下の赤外線反射率しか示さなかった
が、実施例1の透明積層体は、比較例1の透明積層体と
同様に、95%を超える高い赤外線反射率を示すことが
わかった。さらに、実施例1の方法において、PETフ
ィルム上にITO薄膜層(50nm)をそれぞれITM
eターゲット、ITOx ターゲットから成膜したサンプ
ルを別途作製して、幅方向の表面抵抗値分布を調べた結
果、ITOx ターゲットから成膜した場合は上記分布が
±2 .1 %、ITMeターゲットから成膜した場合は±
7 .2 %であった。これに対し、実施例1のようにIT
x ターゲットとITMeターゲットとを用いて順次成
膜したサンプルでは、上記分布が±2.4%と低かっ
た。
【0063】実施例2 幅300mm、厚さ125μmのPETフィルムのロール
原反を、ターゲットが5つ配置できるロール・トウ・ロ
ール式のスパッタリング装置に取り付け、これを透明基
体として、透明薄膜層としての金属酸化物薄膜層と、銀
系透明導電体薄膜層とを、合計7層繰り返し積層してな
る透明積層体を製造した。
【0064】ここで、金属酸化物薄膜層を形成する金属
酸化物ターゲットおよび金属ターゲットには、実施例1
と同様の材料を用い、ITO薄膜層を成膜した。また、
銀系透明導電体薄膜層を形成するターゲットには、実施
例1と同様の材料を用いて、Ag薄膜層を成膜した。タ
ーゲットサイズは、いずれも、600mm×150mm×5
mm(厚さ)である。
【0065】また、ターゲットは、順方向にてPETフ
ィルムが通過する順に、ITMe、ITOx 、Ag、I
TOx 、ITMeの順で配置した。実施例1で求めた成
膜速度を元に、下記に示す3パスでもって、透明積層体
を製造した。ITMeおよびITOx の成膜条件は、実
施例1と同じとし、Agの成膜速度は、投入電力に比例
するものとして、決定されたロール速度にてAg薄膜層
が13nm形成されるように投入電力を決定した。括弧
内の数字は、各ターゲットから成膜された薄膜層の厚さ
を示したものである。
【0066】<1パス目> 順方向:ロール速度2.24m/min、Ag投入電力
0.95kW PETフィルム/ITMe(24.5nm)/ITOx
(10.5nm)/Ag(13.0nm)/ITO
x (10.5nm)/ITMe(24.5nm) <2パス目> 逆方向:ロール速度2.24m/min、Ag投入電力
0.95kW PETフィルム/ITMe(24.5nm)/ITOx
(10.5nm)/Ag(13.0nm)/ITO
x (10.5nm)/ITMe(24.5nm)/IT
Me(24.5nm)/ITOx (10.5nm)/A
g(13.0nm)/ITOx (10.5nm)/IT
Me(24.5nm) <3パス目> 順方向:ロール速度2.24m/min、Ag投入電力
0.95kW PETフィルム/ITMe(24.5nm)/ITOx
(10.5nm)/Ag(13.0nm)/ITO
x (10.5nm)/ITMe(24.5nm)/IT
Me(24.5nm)/ITOx (10.5nm)/A
g(13.0nm)/ITOx (10.5nm)/IT
Me(24.5nm)/ITMe(24.5nm)/I
TOx (10.5nm)/Ag(13.0nm)/IT
x (10.5nm)/ITMe(24.5nm)
【0067】このようにして製造された透明積層体は、
透明基体(PETフィルム)側から、PETフィルム/
ITO(35nm)/Ag(13nm)/ITO(70
nm)/Ag(13nm)/ITO(70nm)/Ag
(13nm)/ITO(35nm)の構成からなるもの
であった。なお、上記の括弧内の数字は、各薄膜層の厚
さを示したものである。
【0068】比較例3 ターゲットの配置を順方向にてPETフィルムが通過す
る順に、ITOx 、ITOx 、Ag、ITOx 、ITO
x の順で配置し、下記に示す3パスでもって、実施例2
と同様にして、PETフィルム側から、PETフィルム
/ITO/Ag/ITO/Ag/ITO/Ag/ITO
の7層構成の透明積層体を製造した。括弧内の数字は、
各ターゲットから成膜された薄膜層の厚さを示してい
る。
【0069】<1パス目> 順方向:ロール速度1.36m /min、Ag投入電力
0.58kW PETフィルム/ITOx (17.5nm)/ITOx
(17.5nm)/Ag(13.0nm)/ITO
x (17.5nm)/ITOx (17.5nm) <2パス目> 逆方向:ロール速度1.36m /min、Ag投入電力
0.58kW PETフィルム/ITOx (17.5nm)/ITOx
(17.5nm)/Ag(13.0nm)/ITO
x (17.5nm)/ITOx (17.5nm)/IT
x (17.5nm)/ITOx (17.5nm)/A
g(13.0nm)/ITOx (17.5nm)/IT
x (17.5nm) <3パス目> 順方向:ロール速度1.36m /min、Ag投入電力
0.58kW PETフィルム/ITOx (17.5nm)/ITOx
(17.5nm)/Ag(13.0nm)/ITO
x (17.5nm)/ITOx (17.5nm)/IT
x (17.5nm)/ITOx (17.5nm)/A
g(13.0nm)/ITOx (17.5nm)/IT
x (17.5nm)/ITOx (17.5nm)/I
TOx (17.5nm)/Ag(13.0nm)/IT
x (17.5nm)/ITOx (17.5nm)
【0070】比較例4 ターゲットの配置を順方向にてPETフィルムが通過す
る順に、ITMe、ITMe、Ag、ITMe、ITM
eの順で配置し、下記に示す3パスでもって、実施例2
と同様にして、PETフィルム側から、PETフィルム
/ITO/Ag/ITO/Ag/ITO/Ag/ITO
の7層構成の透明積層体を製造した。括弧内の数字は、
各ターゲットから成膜された薄膜層の厚さを示してい
る。
【0071】<1パス目> 順方向:ロール速度3.13m/min、Ag投入電力
1.33kW PETフィルム/ITMe(17.5nm)/ITMe
(17.5nm)/Ag(13.0nm)/ITMe
(17.5nm)/ITMe(17.5nm) <2パス目> 逆方向:ロール速度3.13m/min、Ag投入電力
1.33kW PETフィルム/ITMe(17.5nm)/ITMe
(17.5nm)/Ag(13.0nm)/ITMe
(17.5nm)/ITMe(17.5nm)/ITM
e(17.5nm)/ITMe(17.5nm)/Ag
(13.0nm)/ITMe(17.5nm)/ITM
e(17.5nm) <3パス目> 順方向:ロール速度3.13m/min、Ag投入電力
1.33kW PETフィルム/ITMe(17.5nm)/ITMe
(17.5nm)/Ag(13.0nm)/ITMe
(17.5nm)/ITMe(17.5nm)/ITM
e(17.5nm)/ITMe(17.5nm)/Ag
(13.0nm)/ITMe(17.5nm)/ITM
e(17.5nm)/ITMe(17.5nm)/IT
Me(17.5nm)/Ag(13.0nm)/ITM
e(17.5nm)/ITMe(17.5nm)
【0072】実施例3 ターゲットの配置を順方向にてPETフィルムが通過す
る順に、ITMe、ITMe、ITMe、ITOx 、A
gの順で配置し、下記に示す6パスでもって、実施例2
と同様にして、PETフィルム側から、PETフィルム
/ITO/Ag/ITO/Ag/ITO/Ag/ITO
の7層構成の透明積層体を製造した。括弧内の数字は、
各ターゲットから成膜された薄膜層の厚さを示してい
る。
【0073】<1パス目> 順方向:ロール速度5.38m/min、Ag投入電力
0kW PETフィルム/ITMe(10.2nm)/ITMe
(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/ITO
x (4.4nm) <2パス目> 逆方向:ロール速度5.38m/min、Ag投入電力
2.29kWPETフィルム/ITMe(10.2n
m)/ITMe(10.2nm)/ITMe(10.2
nm)/ITOx (4.4nm)/Ag(13.0n
m)/ITOx (4.4nm)/ITMe(10.2n
m)/ITMe(10.2nm)/ITMe(10.2
nm) <3パス目> 順方向:ロール速度5.38m/min、Ag投入電力
0kW PETフィルム/ITMe(10.2nm)/ITMe
(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/ITO
x (4.4nm)/Ag(13.0nm)/ITO
x (4.4nm)/ITMe(10.2nm)/ITM
e(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/IT
Me(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/I
TMe(10.2nm)/ITOx (4.4nm) <4パス目> 逆方向:ロール速度5.38m/min、Ag投入電力
2.29kW PETフィルム/ITMe(10.2nm)/ITMe
(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/ITO
x (4.4nm)/Ag(13.0nm)/ITO
x (4.4nm)/ITMe(10.2nm)/ITM
e(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/IT
Me(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/I
TMe(10.2nm)/ITOx (4.4nm)/
g(13.0nm)/ITOx (4.4nm)/ITM
e(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/IT
Me(10.2nm) <5パス目> 順方向:ロール速度5.38m/min、Ag投入電力
0kW PETフィルム/ITMe(10.2nm)/ITMe
(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/ITO
x (4.4nm)/Ag(13.0nm)/ITO
x (4.4nm)/ITMe(10.2nm)/ITM
e(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/IT
Me(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/I
TMe(10.2nm)/ITOx (4.4nm)/A
g(13.0nm)/ITOx (4.4nm)/ITM
e(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/IT
Me(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/I
TMe(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/
ITOx (4.4nm) <6パス目> 逆方向:ロール速度5.38m/min、Ag投入電力
2.29kW PETフィルム/ITMe(10.2nm)/ITMe
(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/ITO
x (4.4nm)/Ag(13.0nm)/ITO
x (4.4nm)/ITMe(10.2nm)/ITM
e(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/IT
Me(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/I
TMe(10.2nm)/ITOx (4.4nm)/A
g(13.0nm)/ITOx (4.4nm)/ITM
e(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/IT
Me(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/I
TMe(10.2nm)/ITMe(10.2nm)/
ITOx (4.4nm)/Ag(13.0nm)/IT
x (4.4nm)/ITMe(10.2nm)/IT
Me(10.2nm)/ITMe(10.2nm)
【0074】実施例4 成膜時のロール温度を380Kに加熱し、実施例3と同
様の透明積層体を製造した。実施例1において、ITM
eの成膜速度を求めた条件(DCスパッタリング方式、
投入電力2.7kW、ガス圧0.4Pa、ガス流量比O
2 /Ar=30SCCM/150SCCM、成膜速度2
0.3nm・m/kW・min)では、ロール温度が室
温である場合、投入電力を約3.0kW以上にすると、
成膜されるITO薄膜層は酸化不足のやや褐色がかった
膜となった。酸素導入量を増加すると、透明な膜は得ら
れたが、成膜速度が逆に低下した。
【0075】ロール温度を380Kに加熱すると、投入
電力3.5kWでも同じ成膜速度で透明な膜が得られ
た。そこで、ITMeターゲットヘの投入電力3.5k
Wとし、下記の6パスでもって、PETフィルム側か
ら、PETフィルム/ITO/Ag/ITO/Ag/I
TO/Ag/ITOの7層構成の透明積層体を製造し
た。括弧内の数字は、各ターゲットから成膜された薄膜
層の厚さを示している。
【0076】<1パス目> 順方向:ロール速度6.77m/min、Ag投入電力
0kW PETフィルム/ITMe(10.5nm)/ITMe
(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/ITO
x (3.5nm) <2パス目> 逆方向:ロール速度6.77m/min、Ag投入電力
2.89kWPETフィルム/ITMe(10.5n
m)/ITMe(10.5nm)/ITMe(10.5
nm)/ITOx (3.5nm)/Ag(13.0n
m)/ITOx (3.5nm)/ITMe(10.5n
m)/ITMe(10.5nm)/ITMe(10.5
nm) <3パス目> 順方向:ロール速度6.77m/min、Ag投入電力
0kW PETフィルム/ITMe(10.5nm)/ITMe
(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/ITO
x (3.5nm)/Ag(13.0nm)/ITO
x (3.5nm)/ITMe(10.5nm)/ITM
e(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/IT
Me(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/I
TMe(10.5nm)/ITOx (3.5nm) <4パス目> 逆方向:ロール速度6.77m/min、Ag投入電力
2.89kW PETフィルム/ITMe(10.5nm)/ITMe
(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/ITO
x (3.5nm)/Ag(13.0nm)/ITO
x (3.5nm)/ITMe(10.5nm)/ITM
e(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/IT
Me(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/I
TMe(10.5nm)/ITOx (3.5nm)/
g(13.0nm)/ITOx (3.5nm)/ITM
e(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/IT
Me(10.5nm) <5パス目> 順方向:ロール速度6.77m/min、Ag投入電力
0kW PETフィルム/ITMe(10.5nm)/ITMe
(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/ITO
x (3.5nm)/Ag(13.0nm)/ITO
x (3.5nm)/ITMe(10.5nm)/ITM
e(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/IT
Me(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/I
TMe(10.5nm)/ITOx (3.5nm)/A
g(13.0nm)/ITOx (3.5nm)/ITM
e(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/IT
Me(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/I
TMe(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/
ITOx (3.5nm) <6パス目> 逆方向:ロール速度6.77m/min、Ag投入電力
2.89kW PETフィルム/ITMe(10.5nm)/ITMe
(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/ITO
x (3.5nm)/Ag(13.0nm)/ITO
x (3.5nm)/ITMe(10.5nm)/ITM
e(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/IT
Me(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/I
TMe(10.5nm)/ITOx (3.5nm)/A
g(13.0nm)/ITOx (3.5nm)/ITM
e(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/IT
Me(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/I
TMe(10.5nm)/ITMe(10.5nm)/
ITOx (3.5nm)/Ag(13.0nm)/IT
x (3.5nm)/ITMe(10.5nm)/IT
Me(10.5nm)/ITMe(10.5nm)
【0077】上記の実施例2〜4および比較例3,4の
各透明積層体について、可視光線透過率および表面抵抗
値を測定し、また透明積層体〔PETフィルム/ITO
(35nm)/Ag(13nm)/ITO(70nm)
/Ag(13nm)/ITO(70nm)/Ag(13
nm)/ITO(35nm)〕の生産速度を調べた。こ
れらの結果は、下記の表2に示されるとおりであった。
【0078】
【0079】上記の表2に示すように、実施例2の透明
積層体は、60%を超える可視光線透過率と2Ω/□レ
ベルの表面抵抗値が得られており、たとえばプラズマデ
ィスプレイパネルの透明電磁波シールドフィルムなどの
用途に好適なものであり、しかもこの高特性を有するも
のを生産性よく製造できた。これに対し、比較例3の透
明積層体は、上記実施例2と同様の高可視光線透過率と
低表面抵抗値を示すものの、生産性に劣っていた。比較
例4の透明積層体は、生産性は満足できるが、Ag薄膜
層上にITMeからITO薄膜層を成膜する際、Ag薄
膜層が酸化されるため、可視光線透過率の低下と著しい
表面抵抗値の上昇が起こり、透明電磁波シールドフィル
ムなどには不適なものしか得られなかった。
【0080】また、金属ターゲットであるITMeを金
属酸化物ターゲットであるITOxよりも多数個配置し
た実施例3では、実施例2と同等の特性を有する透明積
層体を生産性よく製造できた。さらに、ロール温度を3
80Kに加熱した実施例4では、ロール加熱によつてI
TMeスパッタリング時の酸化効率が増し、より大きな
電力を投入できたことにより、生産性がさらに向上し
た。加えて、ロール加熱によりAg薄膜層の結晶性が向
上したことにより、表面抵抗値を1.6Ω/□にまで低
減することができ、このように低抵抗な透明積層体を1
m/minを超える生産速度でもつて製造することがで
きた。
【0081】
【発明の効果】以上のように、本発明は、銀系透明導電
体薄膜層と透明薄膜層とを組み合わせて繰り返し積層
し、銀系透明導電体薄膜層上に積層する透明薄膜層の少
なくともひとつを金属酸化物薄膜層とした透明積層体に
おいて、上記の金属酸化物薄膜層をスパツタリング法に
より成膜するにあたり、金属酸化物ターゲットを用いて
成膜したのち、金属ターゲットを用いた反応性スパツタ
リングにより成膜するようにしたことにより、下地であ
る銀系透明導電体薄膜層を酸化させることなく速い速度
で成膜でき、これにより透明性や電気伝導性の高い品質
良好な透明積層体を生産性良好に製造することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 稗田 嘉弘 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 宮内 和彦 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 安積 由起子 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 4K029 AA11 AA25 BA04 BA05 BA10 BA15 BA45 BA47 BA50 BC09 CA05 CA06 DC04 DC05 5G307 FA02 FB02 FC03 FC09 FC10 5G323 BA01 BA02 BB05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基体上に厚さが1〜30nmの銀系
    透明導電体薄膜層と厚さが10〜300nmの透明薄膜
    層とを組み合わせて繰り返し積層し、銀系透明導電体薄
    膜層上に積層する透明薄膜層の少なくともひとつを金属
    酸化物薄膜層とした透明積層体において、上記の金属酸
    化物薄膜層をスパツタリング法により成膜するにあた
    り、金属酸化物ターゲットを用いて成膜したのち、金属
    ターゲットを用いた反応性スパツタリングにより成膜す
    ることを特徴とする透明積層体の製造方法。
  2. 【請求項2】 金属酸化物ターゲットと金属ターゲット
    を合計3個以上使用するとともに、金属ターゲットの使
    用個数を金属酸化物ターゲットの使用個数よりも多くし
    た請求項1に記載の透明積層体の製造方法。
  3. 【請求項3】 透明基体の温度を350〜600Kの範
    囲に保つ請求項1または2に記載の透明積層体の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 透明基体上に厚さが1〜30nmの銀系
    透明導電体薄膜層と厚さが10〜300nmの透明薄膜
    層とを組み合わせて繰り返し積層し、銀系透明導電体薄
    膜層上に積層する透明薄膜層の少なくともひとつを金属
    酸化物薄膜層とした透明積層体において、上記の金属酸
    化物薄膜層を、金属酸化物ターゲットを用いて成膜した
    透明基体側に位置する内側層と、金属ターゲットを用い
    て成膜した外側層とで構成したことを特徴とする透明積
    層体。
  5. 【請求項5】 金属酸化物ターゲットを用いて成膜した
    透明基体側に位置する内側層の厚さが、金属ターゲット
    を用いて成膜した外側層の厚さよりも薄くされている請
    求項4に記載の透明積層体。
  6. 【請求項6】 請求項4または5に記載の透明積層体を
    使用したことを特徴とするプラズマディスプレイパネル
    用フィルタ。
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