JP2002096251A - 希土類合金の切断方法および切断装置 - Google Patents

希土類合金の切断方法および切断装置

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JP2002096251A
JP2002096251A JP2000271578A JP2000271578A JP2002096251A JP 2002096251 A JP2002096251 A JP 2002096251A JP 2000271578 A JP2000271578 A JP 2000271578A JP 2000271578 A JP2000271578 A JP 2000271578A JP 2002096251 A JP2002096251 A JP 2002096251A
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rare earth
earth alloy
cutting fluid
wire
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JP2000271578A
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Hajime Ishida
一 石田
Sadahiko Kondo
禎彦 近藤
Akira Miyaji
章 宮地
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Hitachi Metals Ltd
Original Assignee
Sumitomo Special Metals Co Ltd
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 ワイヤ切れを防止して長時間の連続運転を可
能にするとともに、切断速度を向上させた希土類合金の
切断方法を提供する。 【解決手段】 砥粒を固着させたワイヤと希土類合金と
の間に切削液を供給しながら希土類合金を切断する。動
粘度が6.0〜100.0mm2/sの範囲内にある切
削液を用いる。また、希土類合金の切断する際に生じた
合金スラッジを切削液内から磁力によって分離する。ス
ラッジを収集する領域において0.27テスラ以上の磁
力を示すマグネットセパレータを用いる。切削液の温度
を制御することによって、ワイヤと希土類合金との間に
供給される切削液の粘度を調節する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、希土類合金の切断
方法および切断装置に関する。より詳細には、ダイヤモ
ンド砥粒等の超砥粒を固着させたワイヤを用いて希土類
合金を切断する方法および装置に関している。
【0002】
【従来の技術】従来より、シリコンのインゴットから多
数のウェハを切り出すためにワイヤソーを用いてインゴ
ットを切断する技術が開発され、例えば特開平6−82
34号公報に開示されている。このような技術によれ
ば、走行するマルチワイヤに対して研削砥粒を含むスラ
リを供給しながらインゴットの切削・切断加工を実行
し、一定の厚さのウェハを多数枚同時に切り出すことが
可能になる。
【0003】一方、希土類合金のインゴットを切断する
方法としては、従来から、例えば回転するスライシング
ブレードを用いてインゴットをスライスする技術が知ら
れている。しかし、スライシングブレードで切断する方
法によれば、切断刃の厚さはワイヤ径に比べて大きいた
め、どうしても削り代が多くなり、資源の有効利用がは
かれない。
【0004】希土類合金は、例えば磁石材料として好適
に用いられている。磁石の用途は多様化し、各種の電子
機器にも広く使用されているため、ワイヤソーによって
希土類合金のインゴットから少ない削り代にて所定厚さ
のウェハを多数枚同時に作製することができれば、希土
類磁石の製造コストが大幅に低減される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、実用的
なワイヤソー技術を用いて希土類合金を切断したとの報
告は未だに無い。発明者らの実験によれば、遊離砥粒型
ワイヤソーによる切断加工処理を希土類合金のインゴッ
トに対して実行しようとすると、ワイヤソー加工によっ
て発生した微粉・研削くず(きりこ若しくはスラッジ)
のためにスラリ循環パイプが極めて短時間で詰まってし
まう結果、ワイヤ上にスラリが供給されなくなり、ワイ
ヤ切れが生じてしまうということがわかった。この問題
を回避するためにスラリ全体を数時間ごとに完全に交換
すると、スラリ交換の都度ワイヤソーによる加工を中断
しなければならなくなるため、量産には適さず、実用化
が不可能になる。また、スラッジは切削溝内にもたまり
やすく、そのせいで切削抵抗が著しく増加し、ワイヤ切
れがいっそう生じやすくなることもわかった。更に、切
断加工処理中、スラッジはローラの溝にもたまりやす
く、ワイヤが巻き付けられているローラからワイヤが脱
溝するなど現象が頻発し、切断精度が著しく低下すると
いう問題のあることもわかった。これらの問題は、何れ
も、従来のワイヤソー技術によってシリコンやガラスの
インゴットを切断する際には現れなかったものである。
【0006】また、砥粒をスラリ中に浮遊させたタイプ
の遊離砥粒型ワイヤソーによれば、切断加工時に砥粒が
切削部において転動するため、単位時間あたりの切削量
(切断速度)の向上が難しいという問題もあった。特に
希土類合金はシリコンやガラスに比べて硬く、粘り気が
あり、切断しにくい材料であるため、遊離砥粒型ワイヤ
ソーを用いて希土類合金を切断した場合には切断速度が
かなり遅くなる。
【0007】特開平8−126953号公報は、固定砥
粒を有するワイヤを用い、水をクーラントとしてシリコ
ンインゴットを切断する技術を開示している。しかし、
この技術を希土類合金の切断に用いると、希土類合金の
スラッジは切削溝からの排出性が悪いため、遊離砥粒の
場合と同様の問題が生じる。
【0008】本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたもの
であり、その主な目的は、ワイヤ切れを防止して長時間
の連続運転を可能にするとともに、切断速度を向上させ
ることができる希土類合金の切断方法および希土類合金
の切断装置を提供することにある。
【0009】また、本発明の他の目的は、上記希土類合
金の切断方法を用いた希土類合金磁石の製造方法、なら
びに当該希土類合金磁石を備えたボイスコイルモータを
提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による希土類合金
の切断方法は、砥粒を固着させたワイヤを用いる希土類
合金の切断方法であって、前記ワイヤと前記希土類合金
との間に所定の動粘度を有する切削液を供給しながら前
記希土類合金を切断することを特徴とする。
【0011】前記ワイヤと前記希土類合金との間に供給
される前記切削液の動粘度が6.0mm2/s〜10
0.0mm2/sの範囲内にあることが好ましい。
【0012】ある好ましい実施形態において、前記切削
液は切削油であり、前記切削油は、40℃における粘度
が4.0から40.0[ミリパスカル秒]の範囲内にあ
ることが好ましい。
【0013】ある好ましい実施形態において、前記切削
液はグリコール系水溶性切削液であり、前記グリコール
系水溶性切削液は、25℃における動粘度が10.0m
2/s〜67.0mm2/sの範囲内にあることが好ま
しい。
【0014】前記切削液の温度を制御することによって
前記切削液の粘度を制御することが好ましい。
【0015】前記希土類合金を切断する際に生じた前記
希土類合金のスラッジを含む切削液を回収する工程と、
前記切削液の温度を制御する前に、前記回収された切削
液からスラッジを除去する工程とを包含することが好ま
しい。
【0016】前記切削液の温度を制御する工程は、スラ
ッジが除去された一部の切削液の温度を調節する工程
と、前記温度が調節された一部の切削液と温度が調節さ
れていない残りの切削液とを混合する工程とを包含し、
前記混合された切削液を前記ワイヤと前記希土類合金と
の間に供給することが好ましい。
【0017】前記希土類合金を切断する際に生じた前記
希土類合金のスラッジを前記切削液内から磁力によって
分離することが好ましい。
【0018】前記スラッジを収集する領域において0.
27テスラ以上の磁力を示すマグネットセパレータを用
いることが好ましい。
【0019】好ましい実施形態では、外周にリング状の
複数の溝が所定のピッチで形成され、回転可能に支持さ
れた複数のローラと、前記ローラを回転させながら前記
ローラの前記溝に巻き付けた前記ワイヤを走行させる駆
動手段とを備えたワイヤソー装置を用いる。
【0020】前記ワイヤに対して、上方から下方に向か
って前記希土類合金を降下させながら前記希土類合金を
切断することが好ましい。
【0021】前記希土類合金を複数のブロックに分割し
た状態で保持し、前記切削液の供給の少なくとも一部を
前記複数のブロックの間隙を介して行うことが好まし
い。
【0022】本発明による希土類合金板の製造方法は、
希土類合金のインゴットを作製する工程と、上記何れか
の希土類合金の切断方法を用いて前記希土類合金のイン
ゴットから複数の希土類合金板を分離する工程とを包含
する。
【0023】本発明による希土類合金磁石の製造方法
は、希土類磁石合金粉末から焼結体を作製する工程と、
上記何れかの希土類合金の切断方法を用いて前記焼結体
から複数の希土類合金磁石を分離する工程とを包含す
る。
【0024】本発明によるボイスコイルモータは、上記
希土類合金磁石の製造方法によって作製された希土類合
金磁石を備えていることを特徴とする。
【0025】好ましい実施形態では、前記希土類合金磁
石の厚さが0.5〜3.0mmの範囲にある。
【0026】本発明による希土類合金切断装置は、ワイ
ヤで希土類合金を切断する装置であって、砥粒が固着さ
れたワイヤと、前記ワイヤと前記希土類合金との間に所
定の動粘度を有する切削液を供給する手段とを備えてい
ることを特徴とする。
【0027】前記ワイヤと前記希土類合金との間に供給
される切削液の動粘度が6.0mm 2/s〜100.0
mm2/sの範囲内にあることが好ましい。
【0028】前記ワイヤと前記希土類合金との間に供給
される切削液の動粘度を制御する粘度制御手段をさらに
備えることが好ましい。
【0029】前記粘度制御手段は、前記切削液の温度を
制御することによって前記切削液の動粘度を制御するこ
とが好ましい。
【0030】前記粘度制御手段は、切削液を収容する容
器と、前記容器に収容された切削液の少なくとも一部の
温度を制御する温度調節機と、前記容器に収容された切
削液を攪拌する攪拌装置とを備えることが好ましい。
【0031】前記希土類合金を切断する際に生じた前記
希土類合金のスラッジを前記切削液から磁力によって分
離するマグネットセパレータを備えていることが好まし
い。
【0032】好ましい実施形態では、前記マグネットセ
パレータは、前記スラッジを収集する領域において0.
27テスラ以上の磁力を示す。
【0033】本明細書において、「切削液」とは、水を
主成分とし動粘度が約1mm2/sである切削水を除
く、不水溶性切削液(「不水溶性切削油剤」または「切
削油」と呼ばれることもある。)および水溶性切削液
(「水溶性切削油剤」と呼ばれることもある。)を指
す。
【0034】
【発明の実施の形態】本願発明者は、切断速度を向上さ
せる目的のため、砥粒を固着させたワイヤを用いて希土
類合金を切断した。砥粒がワイヤに固定されることによ
って切削時における砥粒の転がりを阻止できるため、切
断速度が向上する。この方法による場合、砥粒を浮遊さ
せるためのスラリが不要になるが、スラッジを切削部か
ら洗い流す(排出する)ためには、切削水を切断加工部
分に供給する必要がある。本発明者の実験によれば、切
削水を用いた場合、希土類合金のスラッジが切削溝内に
たまりやすく、そのせいで切削抵抗が著しく増加し、ワ
イヤ切れが生じやすくなることがわかった。このような
現象は、前述のように遊離砥粒型の場合にも見られたも
のである。しかし、砥粒を固着させたワイヤを用いる場
合、切断対象である希土類合金から単位時間に削り取ら
れるスラッジの量が多くなるため、切削抵抗の増大は、
より大きな問題となる。
【0035】また、凝集したスラッジがワイヤソー装置
内の切削水循環パイプ内で切削水の循環を阻害すると、
それによって切削水循環パイプが詰まるため、切削水の
交換を頻繁に行わない限り長時間の連続運転を実施する
ことが不可能になる。
【0036】スラッジの沈殿・凝集は、希土類合金を構
成する鉄および希土類元素の比重が大きいために生じる
と考えられる。ワイヤソーを用いてシリコンや石英ガラ
スのインゴットを切断した場合は、スラッジは切削水に
よって速やかに洗い流され、スラッジの沈殿・凝集はほ
とんど生じず、そのことに起因する大きな問題は今まで
特に発生していなかった。
【0037】さらに、切削水を用いて希土類合金を切断
した場合、固定砥粒を有するワイヤの摩耗が激しく、ワ
イヤの切削能力が短時間の間に低下する結果、切断速度
が大きく低下することがわかった。希土類合金は硬くて
粘り気が高い材料であるため、切断時においてワイヤと
希土類合金との間で生じる摩擦が大きい。切削水を用い
て希土類合金を切断する場合は、この摩擦を十分に低減
することができないものと考えられる。このことも、希
土類合金よりも切断が容易であるシリコンやガラスのイ
ンゴットを切断する際には、大きな問題にはなっていな
かった。
【0038】本発明者は、切削水を用いる代わりに、所
定範囲の粘度を有する切削液(例えば精製鉱油を主成分
とする切削油やグリコール系の水溶性切削油剤など)を
用いることによって、切削抵抗を低減できることを見出
した。後述するように、切削液の動粘度は6.0mm2
/s以上であることが望ましい。さらに、磁石に引きつ
けられるという希土類合金スラッジの性質に着目し、ス
ラッジを磁力で切削液から分離・除去することにした。
このようにすることによって、切削液の循環パイプ内で
の詰まりを防止するとともに、切削液の頻繁な交換をほ
とんど不要とし、連続運転時間を従来技術に比較して著
しく改善することを可能にした。
【0039】また、切削液を循環させて使用する場合、
初期には室温程度の比較的低い温度で供給される切削液
の温度は、ワイヤと希土類合金との間で発生する摩擦熱
を切削液が吸収することによって段々と上昇する。切削
液を循環させて使用するうちに、切削液の温度は約50
℃を上回り得る。
【0040】本発明者の実験によれば、切削液の温度が
上昇すると、切削液の冷却性とともに切削液の粘性が低
下し、このように粘性が低下した切削液を供給した場合
には切断における切削抵抗が増加するということがわか
った。図14に示すように、切削水の動粘度は温度に関
わらずほぼ一定(約1mm2/s)であるのに対し、切
削液(切削油およびグリコール系水溶性切削液)の動粘
度は温度に依存して大きく変化する。
【0041】ワイヤと希土類合金との間に供給される切
削液の粘度が温度の上昇に伴って大きく低下した場合、
ワイヤの走行によって形成される、切削溝内での切削液
の流れは悪くなるものと考えられる。粘度が低下した切
削液の動きは、ワイヤの動きの影響を受けにくい(すな
わち、切削液がワイヤと共には動きにくい)からであ
る。この場合、比重の大きい希土類合金のスラッジは、
切削溝から排出されにくくなり、その結果、溝内にたま
ったスラッジによって切削抵抗が増加する。希土類合金
のスラッジはシリコンなどのスラッジに比べて硬いた
め、スラッジが排出されない場合には切削抵抗が著しく
増加することになる。
【0042】また、希土類合金に形成される切削溝の幅
は狭い(例えば、0.3mm以下)ので、切削溝に直接
切削液を供給することが困難であり、切削液はワイヤに
対して供給され、ワイヤに付着させた状態で切削溝内に
供給される。このような方法で供給される切削液は、そ
の粘度が低すぎるとワイヤから脱離しやすくなり、十分
な量が切削溝内に供給されなくなると考えられる。この
場合にも切削抵抗は増加する。このようにして切削抵抗
が増加すると、切削効率が低下し、ワイヤ切れが発生す
る可能性が高くなり、さらには希土類磁石の切断面の加
工精度が低下するという問題も生じる。
【0043】そこで本発明者は、所定範囲の粘度を有す
る切削液を循環させて使用する場合において、切削液の
温度を調整することにした。こうすることで長時間にわ
たって連続運転を行ったときにも、切削液を所定範囲の
温度に維持できるとともに、切削液の動粘度を常に所望
の範囲内に制御することができた。これにより、切削抵
抗の増加を防いで効率的に精度良く希土類合金を切断す
ることが可能になった。なお、切削液の潤滑性も切削性
能に影響するため、切削液の好ましい動粘度の範囲は、
用いる切削液の種類によって多少異なり得る。また、切
削液は流動状態で供給されるので、本願明細書では、そ
の粘性を動粘度(単位:mm2/s)で規定するが、静
粘度(単位:ミリパスカル秒)で規定することもでき
る。
【0044】(実施形態)以下、本発明による希土類合
金板の製造方法の実施形態を説明する。本実施形態で
は、希土類合金としてネオジム(Nd)、鉄(Fe)お
よびホウ素(B)を主成分とする三元系の化合物Nd−
Fe−B、またはNd−Fe−BのNdの一部をDy
(ジスプロシウム)で置換し、Feの一部をCo(コバ
ルト)で置換したものを用いる。Nd−Fe−Bは、最
大エネルギー積が320kJ/m3を超える強力なネオ
ジム磁石材料として知られている。
【0045】図1のフローチャートを参照しながら、N
d−Fe−Bのインゴットを作製する方法を簡単に説明
する。なお、磁石材料としての希土類合金を作製する方
法は、例えば米国特許第4,770,723号明細書に
詳細に開示されている。
【0046】まず、図1のステップS1で原料を所定の
成分比に正確に秤量した後、ステップS2で真空または
アルゴンガス雰囲気の高周波溶解炉にて原料を溶解す
る。溶解した原料を水冷の鋳型に鋳込み、所定の組成の
原料合金を形成する。ステップS3で原料合金を粉砕
し、平均粒径3〜4μm程度の微粉末を作製する。ステ
ップS4で微粉末を金型に入れ、磁界中でプレス成形す
る。このとき必要に応じて微粉末を潤滑剤と混合してか
らプレス成形を行う。次に、ステップS5で約1000
〜1200℃程度の焼結工程を行えばネオジム磁石素材
を作製することができる。この後、ステップS6で磁石
の保磁力を向上させるために約600℃での時効処理を
実行し、希土類合金インゴットの作製を完了する。イン
ゴットのサイズは、例えば30mm×50mm×60m
mである。
【0047】ステップS7では希土類合金インゴットの
切断加工を行い、インゴットから切断した複数の薄板
(基板またはウェハと称される場合がある)を形成す
る。ステップS8以降の説明を行う前に、以下において
希土類合金のインゴットを本発明によるワイヤソー技術
によって切断加工する方法を詳細に説明する。
【0048】図2(a)および(b)を参照する。ま
ず、上述の方法で作製した複数のインゴット20を例え
ばエポキシ樹脂からなる接着剤22にて相互に固着し、
複数のブロック24a〜24cとして組み立てた状態で
鉄製のワークプレート26に固定する。ワークプレート
26と各ブロック24a〜24cとの間の固着もまた接
着剤22によって達成される。より詳細には、ワークプ
レート26と各ブロック24a〜24cとの間には、ダ
ミーとして機能する炭素製ベースプレート28が配置さ
れ、この炭素製ベースプレート28も接着剤22を介し
てワークプレート26および各ブロック24a〜24c
に固着されている。炭素製ベースプレート28は、ブロ
ック24a〜24cの切断加工が終了した後、ワークプ
レート26の下降動作が停止するまでワイヤソーによる
切断加工を受け、ワークプレート26を保護するという
ダミーとしての役割を担っている。
【0049】本実施形態では、図2(a)の矢印Aで示
される方向(以下「ワイヤ走行方向」と称する)に沿っ
て計測した各ブロック24a〜24cのサイズが100
mm程度になるように各ブロックの大きさを設計してい
る。本実施形態では、ひとつのインゴット20について
ワイヤ走行方向に沿って計測したサイズが約50mmで
あるため、2つのインゴット20をワイヤ走行方向に沿
って配列したものを重ね合わせることによって、上記ブ
ロック24a〜24cの各々を構成するようにしてい
る。
【0050】ワークプレート26に固定された複数のイ
ンゴット20を全体として「ワーク」と称するが、この
ワークを複数のブロックに分割することによって、次の
ような利点が生まれる。
【0051】一塊りのワークについて、ワイヤ走行方向
サイズ(切削溝の長さ)が切削液の引き込み量を越えて
大きくなりすぎると、ワークの切断加工部分のうち切削
液供給が不十分になる領域が発生し、このことによって
ワイヤ断線の生じるおそれがある。しかし、本実施形態
のワークは適当なサイズのブロック24a〜24cに分
割されているため、ブロック24a〜24cの隙間に切
削液を供給することが可能になり、切削液供給不足の問
題を解消できる。また、これにより、砥粒間にたまった
スラッジを洗い流すこともできるため、切断効率も向上
する。
【0052】ブロック24a〜24cの隙間に切削液を
供給するため、本実施形態では、2本の切削液供給パイ
プ29をワークプレート28の上部に配置しており、ス
リット状ノズル29aを介して切削液供給パイプ29内
から新鮮な切削液を下方向に噴射するようにしている。
切削液供給パイプ29は、後述する切削液供給タンクか
らスラッジを含まない新鮮な切削液またはスラッジの除
去された切削液を受け取る。切削液供給パイプ29は、
例えば二重管式の構造を持ち、下方のスリット29aの
幅は長手方向に変化し、均一な切削液供給を実現するよ
うに設計されている。
【0053】本実施形態では上述のようにワークを複数
のブロックに分割しているが、各ブロック24a〜24
cの各々についてのワイヤ走行方向サイズをどの程度の
大きさに設定すべきかは、切削液の粘度やワイヤ走行速
度によっても変化する。また、各インゴット20の大き
さによって、ひとつのブロックを構成するインゴット2
0の数や配置も変化する。これらを考慮して、適宜最適
なサイズのブロックにワークを分割すればよい。また、
本実施形態では、ワークプレート26の上側に切削液供
給パイプ29を設けているがワークプレート26の下側
でブロック間に切削液を供給するようにしてもよい。
【0054】次に、図3(a)および図3(b)を参照
しながら、本実施形態で好適に使用されるワイヤソー装
置の主要部30を説明する。このワイヤソー装置には、
一本のワイヤ32が何重にも巻き付けられる3つのメイ
ンローラ34a〜34cが備えつけられている。このう
ち、二つのメインローラ34aおよび34bは、ワイヤ
ソー装置によって回動自在に支持されているが、モータ
などの駆動手段には直接的に接続されておらず、従動ロ
ーラとして機能する。これに対して、メインローラ34
cは不図示の駆動源例えばモータに接続されており、こ
の駆動源によって所望の回転力を受け、設定速度で回転
することができる。メインローラ34cはワイヤ32を
介して二つのメインローラ34aおよび34bに回転力
を伝達するため、駆動ローラとして機能する。
【0055】ワイヤ32は、メインローラ34a〜34
cの回転に応じて数キログラム重の張力を受けながら案
内され、所定速度(例えば600〜1000m/分)で
往復走行しながら不図示のリールから他の不図示のリー
ルに巻きとられていく。
【0056】メインローラ34a〜34cの外周表面に
は、複数の溝が等間隔で形成されており、一本のワイヤ
32が多数の溝内にはめ込まれるようにして各ローラに
巻き付けられる。ワイヤ32の配列ピッチ(ワイヤ列の
間隔)は、この溝のピッチによって規定される。本実施
形態では、このピッチを約2.0mmに設定している。
このピッチは切断加工によって切り出すべき薄板の厚さ
に応じて設定されるため、適宜適切なピッチを持った多
溝ローラ34a〜34cを選択して使用することにな
る。
【0057】ワイヤ32は、例えば硬鋼線(ピアノ線)
から形成され、その太さは0.06〜0.25mm程度
のものが使用される。ワイヤの断面構成を図6に示す。
図6からわかるように、本実施形態で用いるワイヤ芯線
61の表面には粒径が30〜60μmのダイヤモンド砥
粒62が樹脂膜63によって固着されている。樹脂膜6
3は例えばフェノール樹脂などから形成され、その膜厚
は例えば0.02〜0.04mmである。固着された状
態にある近接する砥粒62どうしの間隔は、砥粒の中心
から中心までの距離で、砥粒62の直径の約2〜4倍で
あることが好ましい。また樹脂膜63に代えて、Ni等
の金属膜でダイヤモンド砥粒62を固定することもでき
る。
【0058】なお、ワイヤ芯線61は、Ni−CrやF
e−Ni等の合金、WやMo等の高融点金属、またはナ
イロン繊維を束ねたものから形成されていても良い。ま
た、砥粒の材料はダイヤモンドに限定されず、SiC、
B、C、CBN(Cubic BoronNitride)等であってもよ
い。
【0059】切断加工処理に際して、ワークは走行する
ワイヤ32のうちメインローラ34aとメインローラ3
4bとの間に張り渡された部分に押しあてられる。本実
施形態では、切削液を少なくとも3カ所からワイヤ32
上に供給することができ、そのうち2カ所からの切削液
供給は、ワークプレート26の上部に配置したパイプ2
9およびスリット状ノズル29aを用いブロックの隙間
を利用して行う。残り一カ所からの切削液供給は、図3
(b)においてワークの左側からノズル36を用いて行
う。切削液の供給は、これらのノズル29aおよび36
に加えて、他のノズルを用い、例えば図3(b)におい
てワークの右側の位置から付加的に行ってもよい。
【0060】本実施形態では、ワークとワイヤとの間に
供給される切削液の動粘度が6.0〜100.0mm2
/sに設定され得るように、切削液の材料の選択または
成分調整などを行っている。ワークに形成される切削溝
の幅は典型的には約0.3mm以下と非常に狭く、切削
溝に切削液を直接的に供給することは困難である。この
ため、ワイヤに対して切削液を供給し、これをワイヤに
よって溝内に引き込ませ、その後、溝外へと排出させて
いる。このようにして供給される切削液の動粘度が6.
0mm2/sより小さい場合、ワイヤの走行によって生
じる切削液の流れは低下し、比重が大きい希土類合金か
ら形成されるスラッジは切削溝から排出され難くなり、
その結果、切削抵抗が上昇する。また、切削液の動粘度
が低い場合、切削液はワイヤから脱離しやすく、十分な
量の切削液が切削溝内に供給されない。一方、動粘度が
100.0mm2/sより大きい場合、切削液はワイヤ
から脱離しにくいものの、粘性が高すぎるため、非常に
狭い幅を有する切削溝に切削液が導入されにくく、導入
された切削液は切削溝から排出されにくい。この場合に
もスラッジの排出性が低下し、切削抵抗が大きくなる。
また、十分な量の切削液が切削溝内に供給されないと、
ワイヤと希土類合金との間で十分な潤滑性が得られず
(切れ味が低下する)、切断面の面粗度や寸法精度が悪
くなる。このような場合、その後の研磨加工に要する時
間が増加し、製造効率が低下する。ワイヤと希土類合金
との間に十分な潤滑性が提供されない場合、これらの間
で発生する摩擦が大きくなり、ワイヤの摩耗性が高くな
るという問題も生じる。その結果、切断効率が大きく減
少するとともに、ワイヤの寿命が短くなる。
【0061】これに対し、上記範囲内に含まれる粘度を
有する切削液を使用すれば、希土類合金の切削溝内で生
じたスラッジ(すなわち、比重の大きい希土類合金(例
えば、ネオジム合金の比重は約7.5))は、速やかに
切削溝の外部へ流れだし(高い排出効率)、切削加工領
域から排除される。このため、切削溝内のスラッジがワ
イヤの走行を強く妨げることもなく、切削抵抗増加によ
るワイヤ切れや切断効率低下の問題を解決できる。ま
た、上述のような比較的粘性の低い切削液を使用すれ
ば、走行するワイヤによってメインローラにまで運ばれ
るスラッジの量も低減され、メインローラ上の溝内にス
ラッジがたまるという現象も抑制できる。この結果、ワ
イヤ切れが防止され、また、ワーク切断終了後にワーク
からワイヤを簡単にはずすことができるという利点もあ
る。ワイヤと希土類合金との間に供給される切削液の動
粘度は、13.0mm2/s〜90mm2/sであること
がより好ましく、13.0mm2/s〜80mm2/sで
あることがさらに好ましい。
【0062】切削液には、不水溶性切削液(切削油)ま
たは水溶性切削液が含まれる。不水溶性切削液として
は、例えば、主成分として精製鉱油を含むほか、エステ
ル(25〜35%)、防錆添加剤(1%以下)、硫黄系
極圧添加剤(1%以下)を含有した切削油(ユシロ化学
工業株式会社製:HT−9)を用いることできる。この
ような切削油は安価であるため、これを用いればコスト
を低減することができる。水溶性切削液としては、例え
ば、グリコール系切削液(ユシロ化学工業株式会社製:
WL−2)を用いることができる。このような水溶性切
削液は不水溶性切削液(油)に比べ環境を汚染し難い。
また、水溶性切削液は、発煙、引火の危険性が少なく安
全であり、オイルミストを発生させないことから、水溶
性切削液を用いれば作業環境を改善することができる。
さらに、スラッジを除去することが容易であるため、水
溶性切削液は再使用に適した材料でもある。
【0063】図3(b)を参照する。ワークプレート2
6はワークの切断加工処理に際し、不図示の駆動装置に
よって所定の速度(例えば0.5〜1.0mm/分)で
下方向へ矢印Dに沿って動かされ、ワークプレート26
に固定されたワークを、水平横方向(矢印A方向)に走
行するワイヤ32に押しつける。ワークとワイヤ32と
の間に充分な量の切削液を供給することによってワーク
とワイヤ32との間からスラッジを排出し、それによっ
てワークを連続的に切削することができる。ワークプレ
ート26の降下速度を速くすると、切断効率は向上する
が、切削抵抗が上昇するためワイヤ32の波打ち現象が
発生し、ワーク切断面の平面度が悪くなるおそれがあ
る。ワーク切断面の平面度劣化は、あとの工程での研磨
作業に要する時間を増大させたり、不良品の発生確率を
増加させる。従って、ワークの降下速度、つまりワーク
の切断速度を適切な範囲内に設定する必要が生じる。
【0064】ワークの降下によって、一定ピッチで配列
されたワイヤ32がマルチワイヤソーとしてワークを研
削し、それに伴って多数の加工溝(切削溝)をワークに
同時形成しながらその溝深さを増大させ、切断加工を進
行させることになる。加工溝が各インゴットを完全に横
切ったときに、そのインゴットの切断加工が達成され、
ワイヤ列のピッチおよびワイヤの太さによって決まる厚
さの多数のウェハが同時に切り出される。全てのインゴ
ット20の切断が完了した後、前述の駆動装置によって
ワークプレート26は矢印Dに沿って上昇させられる。
その後、各ブロックがワークプレート26から分離され
るとともに、切断されたウェハが各ブロックから分離さ
れることになる。
【0065】本実施形態では、ワイヤ32の上方からワ
ークを降下させながら切断加工を実行するため、切断加
工を受けたインゴット20は接着剤によってなおもワー
クプレート26に結合した状態のまま、ワークプレート
26ともに下降してゆく。このように切断加工を受けた
インゴット20はワイヤの下方に位置するため、ワーク
の切断加工済み部分がワーク本体から分離・脱落したと
しても、その脱落部分がワイヤ32と再度接触するおそ
れはない。そのため、切断加工済みの合金板は高い品質
状態で次の工程に回されることになる。
【0066】次に、図4を参照しながら、ワイヤソー装
置40の切削液循環システムの概略構成を説明する。図
4に模式的に示すように、装置40内にはワイヤソー装
置の主要部30に切削液を供給するとともに、加工によ
り形成されたスラッジを含む使用済み切削液を回収する
ための切削液循環システムが設けられている。
【0067】この装置40の場合、ワークの切断加工に
際して、切削液供給タンク42から第1の循環パイプ4
4を介して、図3(a)および(b)に示すワークプレ
ート26上の切削液供給パイプ29およびノズル36に
切削液が供給される。このとき、ポンプP1が用いられ
る。切断加工のために用いられた切削液は、加工部分お
よびその周辺から滴下し、下方に位置する回収ドレイン
37によって受け取られるようになっている。切削液は
回収ドレイン37から第2の循環パイプ46を介して分
離槽54に運ばれ、そこで、後述するマグネットセパレ
ータ50によるスラッジ分離処理を受けたのち回収タン
ク48にためられる。このスラッジ分離処理によって切
断加工前の状態に近い状態に戻った切削液は、第3の循
環パイプ49を介して切削液供給タンク42に送られ
る。このときは中継ポンプP2が用いられる。第3の循
環パイプ49の途中にはフィルタFが挿入されており、
フィルタFは、マグネットセパレータ50によって除去
されなかったスラッジを除去することができる。フィル
タFとしては袋状のバッグフィルタが好適に用いられ
る。
【0068】なお、切削液供給タンク42は、フィルタ
Fを透過し得た微細なスラッジを沈殿させることができ
る。このため、第1の循環パイプ44を介して主要部3
0に送られる切削液中に残存しているスラッジの量を更
に低減することが可能である。このとき、マグネットセ
パレータ50によって微細なスラッジは磁化されている
ので凝集し、沈殿しやすくなっている。
【0069】このように本実施形態では、切削液の供給
および回収を循環的に実行しながら、スラッジの分離除
去(フィルタリング)を効率的に実行するため、切削液
交換作業の間隔が著しく延び、切断加工処理を長時間に
わたって連続的に続けることが可能になる。
【0070】なお、特に切削油を用いる場合、切削油粘
度を所望の範囲内に維持するには、適当な時間間隔で新
しい切削油を補給することが好ましい。この場合、定期
的に切削油粘度を実測し、切削油粘度が設定範囲内から
外れる場合に随時新しい切削油を装置内(例えば、切削
液供給タンク42)に補給するようにしてもよい。この
ような切削油の部分的な補給は、切断加工処理を中断す
ることなく行える点で切削油の全量的交換と大きく異な
っている。
【0071】次に、図5を参照しながらマグネットセパ
レータ50を説明する。このマグネットセパレータ50
は、スラッジを含む使用済み切削液(ダーティ液)52
を貯えた分離槽54から、磁力を用いてスラッジを分離
することができる。分離槽54には分離壁54aが設け
られている。この分離壁54aは、サイズの大きなスラ
ッジを分離槽54に沈降させる機能を持つ。ダーティ液
52中に浮遊し、ダーティ液52とともに分離壁54a
を乗り越えることができた細かいスラッジは、以下に詳
述する方法によって磁気的に分離されることになる。
【0072】マグネットセパレータ50は、内側に強力
な磁石(永久磁石または電磁石)が配置されたドラム5
6と、ドラム56の外周面の一部に密着しながら回転す
る絞りローラ57とを備えている。ドラム56は固定軸
を中心に回転可能に支持されながら、分離槽54内で切
削液52に部分的に接触するように配置されている。絞
りローラ57は、耐油性ゴムなどから形成されており、
ドラム56の外周面に対してバネの付勢力によって圧接
される。ドラム56が不図示のモータによって矢印の方
向に回転すると、その回転が絞りローラ57に摩擦力を
与え、絞りローラ57を回転駆動させる。
【0073】回転するドラム56の外周面には、切削液
52中に浮遊するスラッジがドラム56内の磁石によっ
て吸着する。ドラム56の外周面に吸着したスラッジは
ドラム56の回転に伴って切削液52内から取り除か
れ、ドラム56と絞りローラ57との間を通過する。ス
ラッジは、やがてスクレイパ58によってドラム56の
表面から掻き取られ、スラッジボックス59内に集めら
れる。このようにしてスラッジが除去された切削液はド
ラム56の長手方向における端部からパイプ60によっ
て回収タンク48に運ばれる。このようなマグネットセ
パレータ50として使用可能なスラッジ除去手段の構造
は、例えば実公昭63−23962号公報に開示されて
いる。のちに説明する発明者の実験によると、切削液中
の希土類合金のスラッジをドラム56の表面に引き寄せ
るには、切削液52内におけるドラム56の外周面(ス
ラッジ吸着面)での磁力を0.27テスラ以上にするこ
とが好ましく、0.3テスラ以上にすることが更に好ま
しい。比較的粘度の低い切削液を使用したことによっ
て、マグネットセパレータ50による希土類合金スラッ
ジの収集を容易にするという利点をも得ることができ
る。切削液52中に形成された磁界中を移動するスラッ
ジの受ける粘性抵抗が低減されるため、多くのスラッジ
を効率よく集めることが可能になるからである。
【0074】このようなセパレータを用いて効率的にス
ラッジを除去すれば、循環使用される切削液に含まれる
スラッジの濃度を低く維持することができ、切削液の粘
度を低く維持することができるので、ワーク切断面でワ
イヤの受ける切断負荷を長期間にわたって充分に小さい
レベルに保つことができる。
【0075】以下、図7および図8を参照しながら、温
度調節機を備えた別形態の切削液循環システム70の構
成を説明する。なお、上記図4および図5に示した循環
システムに対して同様の構成を有する部分については同
様の参照符号を付している。以下には、上記図4および
図5に示した循環システムとは異なる構成を有する部分
について主に説明する。
【0076】図7に示す切削液循環システム70では、
ワークの切断加工に際して、浄化装置72から第1の循
環パイプ76を介して、ワイヤソー装置の主要部30に
切削液が供給される。一方、主要部30に設けられた回
収ドレイン37によって受け取られたダーティ液は、第
2の循環パイプ78を介して浄化装置72に運ばれ、そ
こで、前述のマグネットセパレータ50およびバッグフ
ィルタ84によるスラッジ分離処理を受けたのち回収タ
ンク48(分離槽82および温度調節槽92)にためら
れる。
【0077】主要部30において、ワイヤと希土類磁石
との間で発生する摩擦熱を吸収することによって、循環
システム70を循環する切削液の温度は全体的に上昇す
る。温度の上昇に伴い切削液の粘性が低下すると、切断
における切削抵抗が増加してしまう。これに対し、循環
システム70では、浄化装置72に接続された温度調節
機74を用いて、循環使用される切削液の温度を所定の
温度範囲内に維持することができる。温度調節機74と
しては、熱交換器等を備えた公知の温度調節機(例えば
特公平8−25125号公報に記載の温度制御装置な
ど)を使用することができ、好ましくは、温度調節機7
4は冷却機能と加熱機能との両方を備えている。
【0078】温度調節機74は、例えば、切削液の温度
が所定値を超えて上昇した場合に作動するように制御さ
れており、主要部30に供給される切削液の温度を所定
範囲内に制御することができる。このように切削液の温
度調節を行えば、ワイヤと希土類磁石との間に供給され
る切削液の粘度を適切な状態に維持し、切削抵抗を増加
させることがないので、切削液の交換を行わずとも希土
類磁石の切断を連続して行うことができる。
【0079】次に、図8を参照しながら浄化装置72の
構成を説明する。この浄化装置72は、前述のマグネッ
トセパレータ50および分離槽82を備える分離部80
と、温度調節槽92を備える温度調節部90とから構成
されている。分離槽82と温度調節槽92とは隔壁88
によって隔てられており、隔壁88は、切削液が槽間を
自由に移動することを阻止する。隔壁88の上部におい
て、連通部88a(図8に示す形態においては、各槽8
2および92の側壁の高さよりも低い高さを有する隔壁
部分上方の隙間)が形成されており、切削液は、連通部
88aを通って槽間を移動することができる。すなわ
ち、分離槽82と温度調節槽92とは、各槽の上部の位
置においてのみ流体が移動できるように、連通可能に接
続されている。
【0080】分離部80において、ワイヤソー装置から
運ばれたダーティ液は、マグネットセパレータ50およ
びバッグフィルタ84に供給される。マグネットセパレ
ータ50は大量の切削液を短時間に処理する能力を有
し、比較的サイズの大きいスラッジを除去するのに適し
ている。一方、バッグフィルタは比較的サイズの小さい
スラッジを除去するのに適している。各分離装置(マグ
ネットセパレータ50およびバッグフィルタ84)の処
理能力や、切削液に含まれるスラッジの大きさ、量など
に応じて、各分離装置への切削液の供給割合を適切に設
定すれば、スラッジを効率良く分離させることが可能で
ある。マグネットセパレータ50およびバッグフィルタ
84への切削液の供給割合は、例えば8:2に設定され
る。ただし、分離装置の形態はこれに限られず、例え
ば、マグネットセパレータ50を出た切削液の一部をバ
ッグフィルタ84で濾過する形態であってもよい。
【0081】マグネットセパレータ50によってスラッ
ジが除去された切削液は、ドラム56の長手方向におけ
る端部からパイプ85によって分離槽82に運ばれる。
また、バッグフィルタ84によってスラッジが除去され
た切削液は、パイプ86によって分離槽82に運ばれ
る。分離槽82の容積は、例えば約200Lに設定され
ている。
【0082】パイプ85および86の開口から分離槽8
2に流れ込んだ切削液は、隔壁88によって一時的に分
離槽82に滞留し、温度調節槽92に直接に流れこむこ
とがない。したがって、マグネットセパレータ50やバ
ッグフィルタ84で除去しきれなかったスラッジを分離
槽82において沈降させることができる。その結果、分
離槽82における切削液の上澄み部分のみが隔壁88を
超えて温度調節槽92に流入する。
【0083】分離槽82で沈降したスラッジは、スラッ
ジ吸収ポンプ87によってマグネットセパレータ50に
戻される。これにより、分離槽82内のスラッジの量を
低減させることができ、かつ、このようなスラッジを再
度マグネットセパレータ50によって分離させる機会を
得ることができる。このようすれば、浄化装置72のス
ラッジ除去性能を向上させることができる。
【0084】なお、切削液の液面近くにスラッジが舞い
上がることを防止しつつスラッジ吸収ポンプ87の吸入
口の近傍においてスラッジを沈降させるために、図8に
示すように隔壁88に傾斜部を設けてスラッジを集めた
り、パイプ85および86の開口の位置を設定したりす
ることが望ましい。
【0085】分離槽82おいて形成された切削液の上澄
み部分は、連通部88aを通って温度調節槽92に移動
する。温度調節槽92の容積は、例えば400Lに設定
されている。温度調節槽92に供給される切削液は、ス
ラッジをほとんど含んでいない。
【0086】このようにして温度調節槽92にためられ
た切削液は、ポンプP3を用いて温度調節機74(図7
参照)に送られ、温度が下げられた後、再び温度調節槽
92に戻される。切削液を温度調節機74に送る前に、
分離部80においてスラッジの除去を行うようにしてい
るので、温度調節機74においてスラッジがパイプ内に
溜まることなどによって熱交換効率が低下することがな
く、切削液の温度調節を効果的に行うことができる。
【0087】本実施形態では、温度調節槽92内の切削
液の温度が所定の温度以上になったときに、ポンプP3
および温度調節機74を作動させ、その後、温度調節槽
92内の切削液の温度が所定の温度以下になったとき
に、ポンプP3および温度調節機74を停止させてい
る。従って、温度調節機74には、温度調節槽92に収
容された切削液の全てが送られるわけではなく、所定の
期間において切削液の一部が送られる。温度調節されて
戻された一部の切削液と温度調節槽92内の残りの切削
液とは、攪拌機94によって混合(攪拌)され、これに
より、温度調節槽92内の切削液の温度が均一化され
る。このようにすれば、温度調節した切削液を直接ワイ
ヤソー装置の主要部に送る場合に比べて、ワイヤソー装
置の主要部に供給される切削液の温度が急激に変化する
ことが防止される。ワイヤソー装置の主要部に安定した
温度で切削液を供給することができれば、切削液の粘度
などが大きく変化しないため、ワイヤソー装置は安定し
た切削を行うことができる。このようにして、本実施形
態では、温度調節機74を効果的に動作させながら、温
度調節槽92内の切削液の温度を所定の温度範囲に維持
することができる。
【0088】一方、室温などの影響によって切削液の温
度が低下し、切削液の粘度が所定の範囲を超えて高くな
る場合がある。この場合、スラッジの排出性が低下し、
切断抵抗が増加する。また、マグネットセパレータによ
るスラッジ除去能力の低下も生じ得る。このようなとき
には、温度調節機72を用いて切削液の温度を上昇さ
せ、切削液の粘度を低下させることが有利である。
【0089】温度調節槽92において温度制御された切
削液は、ポンプP4によってワイヤソー装置の主要部3
0(図7)へと送られる。ワイヤと希土類磁石との間に
供給される切削液の温度は、好ましくは15℃〜35℃
となるように制御され、さらに好ましくは20℃〜25
℃に制御される。
【0090】上述の実施形態では、切削液の供給および
回収を循環的に実行しながら、スラッジの分離除去を効
率的に実行するとともに、切削液の温度制御を行うこと
によって切削液の粘度を適切な範囲に維持する。このよ
うにすれば、切削溝からスラッジを適切に排出し、切削
抵抗を低いレベルに維持することによって、切断効率を
高め、切断面の精度を高くすることができる。従って、
切削液交換作業の間隔が著しく延び、切断加工処理を長
時間にわたって連続的に続けることが可能になる。
【0091】次に、図9から図13を参照しながら、切
断速度、切削液粘度、およびワーク切断の平面度などの
詳細を説明する。
【0092】図9は、スラッジ洗浄のために水や切削液
を用いた場合において、切断速度が切断回数に応じてど
のように変化するかを示すグラフである。図9のグラフ
において、黒三角はエステルを添加した切削油を用いた
場合、黒四角はエステルを添加していない切削油を用い
た場合、黒ひし形は水を使用した場合を示している。
【0093】この実験では、長さ30mのワイヤをドラ
ムに巻きつけ、200m/分の速度で往復動作させた。
用いたワイヤの詳細条件は、芯線径0.18mmφ、仕
上がり径0.24mmφ、破断荷重68.6〜83.4
N(7〜8.5kgf)、砥粒径40〜60μm、フェ
ノール樹脂被膜厚さ30μm〜60μmであった。ワー
クは定圧荷重にてワイヤに押し付けられ、切削加工を受
けた。切削部分には上記の切削油または水を滴下し、切
削加工時間が所定時間(例えば3分)を経過した後、ワ
ークに形成した凹部の深さを測定した。この切削深さを
切断時間で割った値を図9においては「切断速度」と表
記している。最初の所定時間が経過した後、ワークの他
の部分にワイヤをあて、その部分に対する切削加工を行
った。このようにして15回の切削加工工程を行い、そ
れぞれの工程での切断速度を求めた。図9のグラフの横
軸(切断回数)はこれを示している。
【0094】図9からわかるように、水を用いてスラッ
ジを洗い流した場合、切断速度が極めて遅く、浮遊砥粒
型のワイヤソー装置に代えて固定砥粒型のワイヤソー装
置を用いる意義が無くなる。切削油を用いる場合におい
て、エステルを添加している油の場合は、エステルを添
加していない切削油を用いた場合の切削速度の約1.5
倍の切削速度が得られた。
【0095】図10は、ワイヤのたわみ量と切削油の粘
度との関係を示している。図4に示すワイヤソー装置を
用い、ワークの降下速度は、0.5〜1.0mm/分の
範囲内でほぼ一定に維持して実験を行った。ただし、ワ
イヤの往復線速度は800m/分および1000m/分
とした。図10のグラフにおいて、黒ひし形はワイヤの
往復線速度が800m/分の場合、白丸はワイヤの往復
線速度が1000m/分の場合を示す。
【0096】ワイヤによるワーク切断がスムーズに進行
しない場合、ワイヤのたわみ量は増大する。このため、
ワイヤのたわみ量が大きいということは、ワークの切削
抵抗が大きく、ワーク切断の効率が悪いことを意味し、
逆にワイヤのたわみ量が小さいということは、ワーク切
断の効率が良いことを意味している。
【0097】図10からわかるように、ワイヤの往復線
速度を800m/分に設定した場合には、40℃におけ
る粘度が4.0から40.0[ミリパスカル秒]の範囲
内にあるような切削油を用いるとき、たわみ量が25m
m以下となり、切断効率が良い。特に、40℃における
粘度が4.5から20[ミリパスカル秒]の範囲内にあ
るような切削油を用いるとき、たわみ量が20mmを下
回るため、切断効率は更に好ましいレベルに達する。ま
た、ワイヤの往復線速度を1000m/分に設定した場
合には、40℃における粘度が9.5から50.0[ミ
リパスカル秒]の範囲内にあるような切削油を用いると
き、たわみ量が25mm以下となり、切断効率が良い。
【0098】この実験において、ワイヤと希土類合金と
の間に供給される切削油は、温度調節しつつ循環使用す
ることによって適切な温度(約25℃)に維持されてい
る。ワイヤ速度を800m/分に設定した時に用いた、
上記40℃における粘度が4.0から40.0[ミリパ
スカル秒]の範囲内にある切削油の約25℃での動粘度
は、6.0mm2/s〜90.0mm2/sである。ま
た、ワイヤ速度を1000m/分に設定した時に用い
た、上記40℃における粘度が9.5から50.0[ミ
リパスカル秒]の範囲内にある切削油の約25℃での動
粘度は、13.0mm2/s〜100.0mm2/sであ
る。すなわち、ワイヤ速度を適切に設定すれば、ワイヤ
と希土類合金との間に6.0mm2/s〜100.0m
2/sの動粘度を有する切削液を供給することによっ
て、たわみ量を25mm以下に抑えることが可能であ
る。
【0099】ワイヤに供給される切削液の粘度が所定範
囲から外れている場合、希土類合金スラッジが切削溝内
にたまりやすくなるため、切削抵抗が増加し、切断効率
が低下する。その結果、ワイヤのたわみ量が上昇してし
まうことになる。これらのことから、40℃における切
削油の粘度は4.0から40.0[ミリパスカル秒]の
範囲内に設定することが好ましく、4.5〜20[ミリ
パスカル秒]の範囲内にすることが更に好ましい。ま
た、ワイヤ速度が比較的大きい場合には、40℃におけ
る切削油の粘度を9.5から50.0[ミリパスカル
秒]の範囲内に設定することが好ましい。
【0100】このような切削油を用いることによって、
ワイヤと希土類合金との間に6.0mm2/s〜10
0.0mm2/sの動粘度を有する切削液を供給するこ
とが好ましい。このようにすれば、切削抵抗の増加を抑
制し、高い切断効率を実現し得る。なお、上述のように
ワイヤ速度によって切削液の好ましい動粘度の範囲は多
少異なる場合もある。このため、広い範囲のワイヤ速度
で、磁石の切断を適切に行うためには、13.0mm2
/s〜90.0mm2/sの動粘度を有する切削液を供
給することがさらに好ましい。
【0101】次に、図11および図12を参照しなが
ら、グリコール系の水溶性切削液を用いた場合におけ
る、切断性能に対する粘性の影響について説明する。
【0102】図11は、後述する図12に示す実験を行
った試験機(評価機)10の構成を示す。試験機10
は、外周面に切断用ワイヤ12が巻回され、回転軸が駆
動モータ(不図示)に接続された巻きドラム102と、
巻きドラム102から、被切断物(ワーク)14を切断
する切断部104を介して再び巻きドラム102へとワ
イヤ12を案内する複数のプーリ106と、切断部10
4において、ワイヤ12に向かって被切断物14を直線
的に移動させる(押し当てる)ことができる移動装置1
08とを備えている。また、ワイヤ12の経路の途中に
は、テンション調節装置110が設けられている。テン
ション調節装置110は、ワイヤ12が巻き掛けられた
可動プーリ112に外側への付勢力Tを与えることによ
ってワイヤ12に張力を付与し、これにより、ワイヤ1
2の弛みを防止することができる。さらにテンション調
節装置110は、ワーク14の押し当てなどによってワ
イヤ12に所定以上の張力が働く場合には、上記付勢力
Tに対抗して可動プーリ112が内側に移動することで
きるように構成されている。これにより、ワイヤ12に
加えられる張力を緩和しながら、ワイヤ12がワーク1
4に対して与える応力を平衡に保つ(すなわち、ワーク
14に対して一定圧力でワイヤの押し当てを行う)こと
ができる。
【0103】切断部104のワイヤ12’の上方には、
切削液供給ノズル114が設けられており、ノズル11
4からワイヤ12’へ切削液が滴下または噴射される。
ワイヤ12’に供給された切削液は循環使用されずに廃
棄されており、従ってワイヤ12’に供給される切削液
の温度は、ほぼ一定に保たれている。
【0104】この試験機10を用いて、グリコール系水
溶性切削液をノズル114からワイヤ12’に滴下さ
せ、切断性能を測定した。なお、巻きドラム102の回
転方向を定期的に反転させることによって、ワイヤ1
2’を線速200m/minで双方向移動させた。ま
た、付勢力Tおよび移動装置108の移動速度を適切に
設定することによって、ワイヤ12’に対しワーク14
を定圧4Nで押し当て、定圧荷重にて切断を行った。な
お、ワーク14は、ブロック状の希土類焼結磁石から形
成している。
【0105】切削液としては、粘度の異なる種々のグリ
コール系水溶性切削液(ユシロ化学工業株式会社製:W
L−1〜WL−5)を約25℃の温度で用いた。用いた
切削液の25℃における動粘度は、10.0mm2/s
〜67.0mm2/sである。
【0106】図12は、試験機10を用いて得られた、
切削液の動粘度ν[mm2/s]と、切れ味低下係数α
[%/単位対数時間]および切断性能定数γ[%]との
関係を示すグラフである。切断性能定数γは、切断初期
における切断性能(切れ味)を示すパラメータであり、
特にスラッジ排出性などに影響されるものと考えられ
る。切れ味低下係数αは、時間に関する切断性能の低下
率(α<0)を表すパラメータであり、特にワイヤの摩
耗を示すものと考えられる。具体的は、切断性能定数γ
および切れ味低下係数αは、以下の式(1)を満足する
値である。
【0107】 Y=αln(t)+γ (1) 式(1)において、tは切断時間(ただし3分を1単位
とする)を表し、Yは切断性能比を表す。切断性能比Y
は、25℃での動粘度が16mm2/s(40℃での粘
度が9.6ミリパスカル秒:図10参照)の切削油を用
いた場合の初期切断性能を100としたときの切断性能
として定義される。切断性能は、ワイヤによって希土類
合金に形成された切削溝の深さを測定することによって
決定している。なお、式(1)から、切断性能定数γは
3分後(t=1)の切断性能比(対切削油)を表し、切
れ味低下係数αは対数時間(ln(t))に対する切削
性能の変化率を表していることがわかる。
【0108】図12のグラフからわかるように、25℃
における動粘度νが10.0mm2/s〜67.0mm2
/sのグリコール系水溶性切削液を用いた場合、切断性
能定数γは100[%]未満であり、上記切削油を用い
た場合よりは切断性能が低い。しかし、各水溶性切削液
の切断性能定数γは75[%]を上回っており、この程
度の切断性能が得られれば、比較的効率良く希土類合金
の切断を行うことが可能である。また、上記範囲の動粘
度を有するグリコール系水溶性切削液を用いた場合、切
れ味低下係数αは−16.5[%/単位対数時間]以上
であり、長時間連続して切断を行った場合にも切れ味が
それほど大きく低下しないことがわかる。グリコール系
水溶性切削液を用いた場合の切れ味低下係数αの値は、
切削水を用いた場合の切れ味低下係数の値に比べて、十
分に良好な値である。
【0109】このようにグリコール系の水溶性切削液を
用いる場合、特定の切削油を用いる場合に比べ、切削効
率は悪くなるが、その反面、オイルミストなどが発生し
ないため作業性が良くなるという利点が得られる。ま
た、水溶性切削液は環境を汚染し難く、この点では切削
油よりも水溶性切削液を用いるほうが望ましい。また、
水溶性切削液からはスラッジを除去することが比較的容
易であるため、切削液を循環して使用する場合には水溶
性切削液は切削油よりも好適な材料であり得る。
【0110】これらのことから、グリコール系水溶性切
削液を用いる場合、25℃における動粘度νを10.0
mm2/s〜67.0mm2/sに設定することが望まし
い。特に、25℃での動粘度が約41mm2/sである
グリコール系水溶性切削液(ユシロ化学工業株式会社
製:WL−2)を用いることが好ましい。このようなグ
リコール系水溶性切削液を用いれば、環境汚染などを引
き起こすことなく、効率良く希土類合金の切断を行うこ
とが可能である。
【0111】図13は、マグネットセパレータのスラッ
ジ収集面(スラッジ吸着領域)における磁力とワーク切
断面の平面度との関係、およびマグネットセパレータの
スラッジ収集面(スラッジ吸着領域)における磁力とス
ラッジ排出量(切削液から取り除かれるスラッジの1時
間あたりの量)との関係を示している。なお、図13に
示すデータは、1kg/時間のスラッジがワーク切断面
から切削液中に取り込まれる条件のもとで得られた。こ
のときの磁力(表面磁束密度)は、ガウスメータおよび
プローブ(ともにベル社製)を用い、プローブをスラッ
ジ収集面に接触させて測定した。
【0112】図13からわかるようにマグネットセパレ
ータの磁力が増加すると、それに伴ってスラッジ排出量
が増加し、ワーク切断面の平面度が向上してゆく。マグ
ネットセパレータによる切削液からのスラッジ排出量が
少ない場合、スラッジの吸着および分離が充分に達成さ
れておらず、スラッジ濃度が上昇する。このことは、ワ
イヤによる加工が行われている部分に供給される切削液
中のスラッジ濃度を高めることにつながる。その結果、
ワイヤに対する切削抵抗が増加し、ワイヤがたわむため
に、加工面の平坦度が低下すると考えられる。なお、マ
グネットセパレータによって希土類合金スラッジを適切
に除去すれば、平面度が改善する以外にも、ワイヤ切削
液の全量交換を実行しなくても長期間の連続運転が可能
になるという効果が得られる。
【0113】ワーク切断面の平面度が100μmを超え
ると、あとの研磨工程に要する時間を考慮した場合の全
体としての作業効率が低下するため、平面度は15μm
以下になることが好ましく、磁力も加工面の平面度が1
5μm以下になるように調整されることが好ましい。そ
のためには、マグネットセパレータのドラム表面におけ
る磁力を0.27テスラ以上に設定することが好まし
く、0.30テスラ以上にすることが更に好ましい。
【0114】再び、図1を参照する。上記方法を用いて
切断加工した希土類合金板のそれぞれに対して研磨によ
る仕上げ加工を行い、寸法と形状を整えた後、長期的な
信頼性を向上させるため、ステップS8で合金板に表面
処理を施す。ステップS9で着磁工程を実行した後、検
査工程を経てネオジム永久磁石が完成する。
【0115】(実施例1) [切削油を、温度調節を行いながら使用した場合]図7
に示したワイヤソー装置を利用して、希土類合金の切断
を行った。切削液としては、ユシロ化学工業株式会社製
の切削油(HT−9)を用いた。
【0116】温度調節機としては、関東精機株式会社製
の自動温度調節機(KTC−3B)を用いた。この装置
は、冷却と加熱との両方の機能を有している。
【0117】また、切断用ワイヤとしては、芯線径:
0.18mm、フェノール樹脂の厚さ:20μm、砥粒
材質:ダイヤモンド、砥粒径:40〜60μm、平均砥
粒間隔(隣接する砥粒における、一方の砥粒の中心から
他方の砥粒の中心までの距離):100μmのワイヤを
用いた。このワイヤを線速800m/minで往復走行
させ、新線供給量:2m/min、ワイヤテンション:
30Nの条件で装置を動作させた。被切削物としては、
20mm×40mm×60mmの希土類合金を7段積み
して接着し、これを40mm/minの降下速度でワイ
ヤに接触させた。
【0118】上記条件の下で、温度調節機を稼動させ、
切削油の温度を25℃〜28℃の範囲に維持しながら希
土類合金の切断を実行した。希土類合金を180mmま
で切り込み、切断面を観察したところ、面精度Raは
0.8μm以下、Rmaxは7μm以下であり、平滑な
面が形成された。切断された希土類合金は、ボイスコイ
ル用モータに使用される磁石として要求される品質を満
たしていた。また、切断中、ワイヤのたわみ量は略一定
に維持され、切削抵抗の増加はなかった。
【0119】(比較例1) [切削油を、温度調節を行わずに使用した場合]温度調
節機を稼動しないことを除いて、上記実施例1と同様に
して希土類合金の切断を行った。切削油の温度は当初2
0℃であったが、切断が進むに連れて上昇し、50℃以
上に達した。
【0120】希土類合金を180mmまで切り込み、切
断面を観察したところ、後に切断した部分ほど面精度が
低下しており、切断面の面精度Raは1.5μm以上、
Rmaxは15μm以上であり、凹凸が大きい面が形成
された。切断された希土類合金は、ボイスコイル用モー
タに使用する磁石として要求される品質を満たしていな
かった。また、切断中、ワイヤのたわみ量は徐々に増加
し、切削抵抗の増加が認められた。
【0121】(実施例2) [グリコール系水溶性切削液を、温度調節を行いながら
使用した場合]切削液としては、ユシロ化学工業株式会
社製のグリコール系水溶性切削液(WL−2)を使用し
た。それ以外は上記実施例1と同様にして、切削液の温
度を25℃〜28℃の範囲に維持しながら希土類磁石の
切断を実行した。
【0122】希土類合金を180mmまで切り込み、切
断面を観察したところ、面精度Raは0.8μm以下、
Rmaxは7μm以下であり、平滑な面が形成された。
切断された希土類合金は、ボイスコイル用モータに使用
される磁石として要求される品質を満たしていた。ま
た、切断中、ワイヤのたわみ量は略一定に維持され、切
削抵抗の増加はなかった。
【0123】(比較例2) [温度調節せずにグリコール系水溶性切削液を用いた場
合]温度調節機を稼動しないことを除いて、上記実施例
2と同様にして希土類合金の切断を行った。グリコール
系水溶性切削液の温度は当初20℃であったが、切断が
進むに連れて上昇し、50℃以上に達した。
【0124】希土類合金を180mmまで切り込み、切
断面を観察したところ、後に切断した部分ほど面精度が
低下しており、切断面の面精度Raは1.5μm以上、
Rmaxは15μm以上であり、凹凸が大きい面が形成
された。切断された希土類合金は、ボイスコイル用モー
タに使用する磁石として要求される品質を満たしていな
かった。また、切断中、ワイヤのたわみ量は徐々に増加
し、切削抵抗の増加が認められた。
【0125】以上説明してきたように、上記希土類合金
板品の製造方法によれば、以下に示すような数多くの有
利な効果が得られる。
【0126】1.ワーク切断面からの切削液の排出効率
が向上するため、ワイヤの受ける切削抵抗が低減され、
長時間の連続切断作業が可能になる。
【0127】2.ワーク切断面の平面度を向上させるこ
とが可能になる。このため、製品の製造歩留まりが改善
される。
【0128】3.希土類合金に対するワイヤソー切断の
効率が最適化される。
【0129】4.切削液中のスラッジを効率的に除去で
きるため、切削液の交換を頻繁に実施しなくとも、ワー
ク切断面で受けるワイヤの切断負荷を低減し、それによ
って切断速度を向上させることが可能になる。
【0130】5.ワークの崩れが生じても、ワイヤとの
接触によって製品の品質が劣化することが防止される。
【0131】なお、希土類合金板の製造方法について本
発明の実施形態を説明してきたが、本発明はこれに限定
されるものではない。例えば、板状以外の加工形状をも
つ希土類合金製品・部品を作製するために、本発明の切
断方法を好適に用いることができる。
【0132】また、被加工対象して、Nd−Fe−Bの
希土類合金磁石材料を用いた実施形態を説明したが、切
削抵抗が大きく、スラッジが凝集しやすいという性質は
希土類合金全体に共通するため、本発明は他の希土類合
金を被加工物として用いても上記実施形態について述べ
た効果と同様の効果を得ることができる。
【0133】上述の方法を用いて作製した希土類合金磁
石は、外周刃を用いて希土類合金インゴットを切断する
場合に比較して切断代が少なく、薄型の磁石(例えば、
厚さ0.5〜3.0mm)を製造するのに適している。
近年、ボイスコイルモータに使用される希土類磁石は益
々薄くなってきているため、本発明の方法を用いて製造
した上記の薄い希土類合金磁石をボイスコイルモータに
取り付ければ、高い性能を持つ小型ボイスコイルモータ
を提供することができる。
【0134】
【発明の効果】本発明によれば、希土類合金に対してワ
イヤソーによる切断加工を実行しようとする場合におい
ても、ワイヤ切れが防止され、必要な切削液の交換回数
も著しく低減される結果、長時間の連続運転が可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】Nd−Fe−B永久磁石の作製手順を示すフロ
ーチャートである。
【図2】(a)はワークプレートに固定されたインゴッ
トブロックを示す正面図であり、(b)はその側面図で
ある。
【図3】(a)は本発明の実施形態で好適に使用される
ワイヤソー装置の主要部を示す斜視図であり、(b)は
その正面図である。
【図4】前記ワイヤソー装置の切削液循環システムを示
す概略構成図である。
【図5】前記ワイヤソー装置に備えつけられたマグネッ
トセパレータ装置を示す斜視図である。
【図6】ワイヤの断面図である。
【図7】図4とは別形態のワイヤソー装置の切削液循環
システムを示す概略構成図である。
【図8】図7に示す循環システムに備え付けられた浄化
装置を示す斜視図である。
【図9】スラッジ洗浄のために水や切削液を用いた場合
に切断速度が切断回数に応じてどのように変化するかを
示すグラフである。
【図10】切削油の粘度とワイヤのたわみ量との関係を
示すグラフである。
【図11】グリコール系水溶性切削液の粘度と切断性能
との関係を調べるために用いた試験機である。
【図12】グリコール系水溶性切削液の粘度と切断性能
との関係を示すグラフである。
【図13】マグネットセパレータの磁力とワーク切断面
の平面度との関係を示すグラフである。
【図14】切削液や切削水の、温度と粘度との関係を示
すグラフである。
【符号の説明】
20 希土類合金のインゴット 22 接着剤 24a〜24c インゴットのブロック(ワークブロ
ック) 26 ワークプレート 28 炭素製ベースプレート 29 切削液供給パイプ 29a スリット状ノズル 30 ワイヤソー装置の主要部 32 ワイヤ 34a〜34c メインローラ(多溝ローラ) 36 ノズル 37 スラリの回収ドレイン 40 ワイヤソー装置 42 切削液供給タンク 44 第1の循環パイプ 46 第2の循環パイプ 48 切削液回収タンク 49 第3の循環パイプ 50 マグネットセパレータ 52 スラッジを含む使用済み切削液(ダーティ液) 54 分離槽 54a 分離槽に設けられた開口部 56 ドラム 57 絞りローラ 58 スクレイパ 59 スラッジボックス
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮地 章 大阪府三島郡島本町江川2丁目15番17号 住友特殊金属株式会社山崎製作所内 Fターム(参考) 3C058 AA05 AA07 AC01 AC04 BA08 BA09 CA01 CB01 CB03 CB10 DA03

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 砥粒を固着させたワイヤを用いる希土類
    合金の切断方法であって、 前記ワイヤと前記希土類合金との間に所定の動粘度を有
    する切削液を供給しながら前記希土類合金を切断するこ
    とを特徴とする希土類合金の切断方法。
  2. 【請求項2】 前記ワイヤと前記希土類合金との間に供
    給される前記切削液の動粘度が6.0mm2/s〜10
    0.0mm2/sの範囲内にあることを特徴とする請求
    項1に記載の希土類合金の切断方法。
  3. 【請求項3】 前記切削液は、切削油である請求項1ま
    たは2に記載の希土類合金の切断方法。
  4. 【請求項4】 前記切削油は、40℃における粘度が
    4.0から40.0[ミリパスカル秒]の範囲内にある
    ことを特徴とする請求項3に記載の希土類合金の切断方
    法。
  5. 【請求項5】 前記切削液は、グリコール系水溶性切削
    液である請求項1または2に記載の希土類合金の切断方
    法。
  6. 【請求項6】 前記グリコール系水溶性切削液は、25
    ℃における動粘度が10.0mm2/s〜67.0mm2
    /sの範囲内にあることを特徴とする請求項5に記載の
    希土類合金の切断方法。
  7. 【請求項7】 前記切削液の温度を制御することによっ
    て前記切削液の動粘度を制御する請求項1から6の何れ
    かに記載の希土類合金の切断方法。
  8. 【請求項8】 前記希土類合金を切断する際に生じた前
    記希土類合金のスラッジを含む切削液を回収する工程
    と、 前記切削液の温度を制御する前に、前記回収された切削
    液からスラッジを除去する工程とを包含する請求項7に
    記載の希土類合金の切断方法。
  9. 【請求項9】 前記切削液の温度を制御する工程は、ス
    ラッジが除去された一部の切削液の温度を調節する工程
    と、前記温度が調節された一部の切削液と温度が調節さ
    れていない残りの切削液とを混合する工程とを包含し、
    前記混合された切削液を前記ワイヤと前記希土類合金と
    の間に供給することを特徴とする請求項8に記載の希土
    類合金の切断方法。
  10. 【請求項10】 前記希土類合金を切断する際に生じた
    前記希土類合金のスラッジを前記切削液内から磁力によ
    って分離することを特徴とする請求項1から9の何れか
    に記載の希土類合金の切断方法。
  11. 【請求項11】 前記スラッジを収集する領域において
    0.27テスラ以上の磁力を示すマグネットセパレータ
    を用いることを特徴とする請求項10に記載の希土類合
    金の切断方法。
  12. 【請求項12】 外周にリング状の複数の溝が所定のピ
    ッチで形成され、回転可能に支持された複数のローラ
    と、 前記ローラを回転させながら前記ローラの前記溝に巻き
    付けた前記ワイヤを走行させる駆動手段と、 を備えたワイヤソー装置を用いることを特徴とする請求
    項1から11の何れかに記載の希土類合金の切断方法。
  13. 【請求項13】 前記ワイヤに対して、上方から下方に
    向かって前記希土類合金を降下させながら前記希土類合
    金を切断することを特徴とする請求項12に記載の希土
    類合金の切断方法。
  14. 【請求項14】 前記希土類合金を複数のブロックに分
    割した状態で保持し、前記切削液の供給の少なくとも一
    部を前記複数のブロックの間隙を介して行うことを特徴
    とする請求項13に記載の希土類合金の切断方法。
  15. 【請求項15】 希土類合金のインゴットを作製する工
    程と、 請求項1から14の何れかに記載の希土類合金の切断方
    法を用いて前記希土類合金のインゴットから複数の希土
    類合金板を分離する工程と、を包含する希土類合金板の
    製造方法。
  16. 【請求項16】 希土類磁石合金粉末から焼結体を作製
    する工程と、 請求項1から14の何れかに記載の希土類合金の切断方
    法を用いて前記焼結体から複数の希土類合金磁石を分離
    する工程と、を包含することを特徴とする希土類合金磁
    石の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項16に記載の希土類合金磁石の
    製造方法によって作製された希土類合金磁石を備えてい
    ることを特徴とするボイスコイルモータ。
  18. 【請求項18】 前記希土類合金磁石の厚さが0.5〜
    3.0mmの範囲にあることを特徴とする請求項17に
    記載のボイスコイルモータ。
  19. 【請求項19】 ワイヤで希土類合金を切断する装置で
    あって、 砥粒が固着されたワイヤと、前記ワイヤと前記希土類合
    金との間に所定の動粘度を有する切削液を供給する手段
    とを備えていることを特徴とする希土類合金切断装置。
  20. 【請求項20】 前記ワイヤと前記希土類合金との間に
    供給される切削液の動粘度が6.0mm2/s〜10
    0.0mm2/sの範囲内にあることを特徴とする請求
    項19に記載の希土類合金切断装置。
  21. 【請求項21】 前記ワイヤと前記希土類合金との間に
    供給される切削液の動粘度を動制御する粘度制御手段を
    さらに備える請求項19または20に記載の希土類合金
    切断装置。
  22. 【請求項22】 前記粘度制御手段は、前記切削液の温
    度を制御することによって前記切削液の動粘度を制御す
    ることを特徴とする請求項21に記載の希土類合金切断
    装置。
  23. 【請求項23】 前記粘度制御手段は、切削液を収容す
    る容器と、前記容器に収容された切削液の少なくとも一
    部の温度を制御する温度調節機と、前記容器に収容され
    た切削液を攪拌する攪拌装置とを備える請求項22に記
    載の希土類合金切断装置。
  24. 【請求項24】 前記希土類合金を切断する際に生じた
    前記希土類合金のスラッジを前記切削液から磁力によっ
    て分離するマグネットセパレータを備えていることを特
    徴とする請求項19から23の何れかに記載の希土類合
    金切断装置。
  25. 【請求項25】 前記マグネットセパレータは、前記ス
    ラッジを収集する領域において0.27テスラ以上の磁
    力を示すことを特徴とする請求項24に記載の希土類合
    金切断装置。
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