JP2002095233A

JP2002095233A - 渦電流減速装置

Info

Publication number: JP2002095233A
Application number: JP2000278490A
Authority: JP
Inventors: Kazuya Kimura; 一也木村; Hiroshi Ozeki; 浩大関; Aizo Kubo; 愛三久保
Original assignee: Isuzu Motors Ltd
Current assignee: Isuzu Motors Ltd
Priority date: 2000-09-13
Filing date: 2000-09-13
Publication date: 2002-03-29

Abstract

(57)【要約】【課題】制動ドラムの熱膨脹を吸収し得るように、回
転軸のボスに弾性部材により制動ドラムを結合した渦電
流減速装置を得る。【解決手段】回転軸１に結合した制動ドラム７と、制
動ドラム７の内部にあつて車体などの非回転部分に取り
付けられた断面長方形の非磁性体からなる案内筒１０
と、案内筒１０の内部にあつて少くとも１つの可動の磁
石支持筒１４と、磁石支持筒１４の外周面に周方向等間
隔に結合した多数の磁石２４と、案内筒１０の各磁石１
４と対向する部分に結合した強磁性部材１５とを備え、
磁石２４からの磁界に基づく渦電流により制動力を制動
ドラム７に発生させる。制動ドラム７の端部の内周面と
回転軸１のボス５の外周面とに、断面Ｕ字形の弾性部材
４４の両端部を重合せ結合する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は制動時の制動ドラム
の熱膨脹を吸収し、制動ドラムの損傷を防止する渦電流
減速装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】車両の渦電流減速装置において、放熱フ
イン付き制動ドラムは磁石の外面との間に適正な隙間を
保持したまま回転しなければならない。また、渦電流減
速装置の制動時には制動ドラムの温度が５００℃にも達
し、制動ドラムは熱変形により内径が数ｍｍも拡開する
ので、回転軸のボスと制動ドラムとの間に、熱変形を吸
収する機構が必要である。従来は、車両の推進軸（プロ
ペラシヤフト）に固定したボスに、コイルばねを収容し
た径方向のシリンダを周方向等間隔に配設し、各シリン
ダに嵌挿した支持腕の先端に制動ドラムを溶接してい
た。

【０００３】図７，８に示すように、従来の渦電流減速
装置ではボス５の外周面に、複数のシリンダ５７を周方
向等間隔に設け、該シリンダ５７にコイルばね５８を収
容し、かつ先端が制動ドラム７の端壁に結合された支持
腕５４の径内方へ延びる基端が、シリンダ５７に支持さ
れる。つまり、支持腕５４と一体に構成したピストン５
５が、シリンダ５７に嵌挿されるとともに、ピストン５
５の軸心に設けたロツド５６がシリンダ５７の内奥部の
円筒部へ嵌挿される。ピストン５５にはシリンダ５７の
内部の潤滑油の洩れを防ぐＯリング５５ａが装着され
る。

【０００４】しかし、上述した制動ドラムの支持構造で
は、ボス５の外周面にシリンダ５７の孔加工をしなけれ
ばならない。シリンダ５７にはＯリング５５ａを装着す
るために、高精度（Ｈ７程度）の加工が必要である。支
持腕５４の先端の制動ドラム７との結合部分は、特殊な
治具を使用してシリンダ５７を収縮させて溶接する必要
がある。このように、機械加工や溶接加工が多く、部品
点数も多いことから、製造経費の増加を招く。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は制動ド
ラムの熱膨脹を吸収し得るように、回転軸のボスに弾性
部材により制動ドラムを結合した渦電流減速装置を提供
することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の構成は回転軸に結合した導体からなる制動
ドラムに対して、複数の永久磁石または電磁石を用いて
渦電流に基づく制動力を発生させる渦電流減速装置にお
いて、前記制動ドラムの端部内周面と前記回転軸のボス
の外周面とに、断面Ｕ字形の弾性部材の両端部を重合せ
結合したことを特徴とする。

【０００７】

【発明の実施の形態】本発明では回転軸のボスの外周面
に、断面Ｃ字形ないし断面Ｕ字形の弾性部材の一端部を
重合せ結合し、制動ドラムの端部内周面に、断面Ｃ字形
ないし断面Ｕ字形の弾性部材の他端部を重合せ結合す
る。弾性部材は筒状体でも、また周方向に分割された複
数の分割体でもよい。複数の分割体は周方向等間隔に配
設され、開放部を制動ドラムの軸方向へ向けられる。

【０００８】渦電流減速装置の制動時の磁石と制動ドラ
ムとの間に発生する制動トルクは、制動ドラムとボスと
の間に設けた弾性部材を経て回転軸へ伝達され、制動機
能を発揮する。また、渦電流減速装置の制動時に発生す
る制動ドラムの熱変形は弾性部材の弾性変形により吸収
される。

【０００９】

【実施例】図１，２に示すように、回転軸１に支持され
るボス５に、弾性部材４４を介して制動ドラム７が支持
される。弾性部材４４は断面Ｕ字形をなす筒状体であ
り、開放部が回転軸１と同方向へ向けられ、外周面４５
が制動ドラム７の内周面に、内周面４６がボス５の外周
面にそれぞれ重合せ結合される。制動ドラム７の内部に
は案内筒１０が収容されかつ車両の非回転部分に支持さ
れる。案内筒１０は内筒部１０ｂと外筒部１０ａとに、
左右１対の環状の板からなる両端壁１１を結合して、断
面長方形の内空部を形成される。外筒部１０ａには周方
向等間隔に多数の板状の強磁性部材１５が結合される。

【００１０】案内筒１０の内筒部１０ｂに磁石支持筒１
４が軸受１２により正逆回動可能に支持され、磁石支持
筒１４Ａが内筒部１０ｂに固定される。各磁石支持筒１
４，１４Ａには各強磁性部材１５に対向する多数の磁石
２４，２４Ａが周方向等間隔に支持される。各磁石２
４，２４Ａは外筒部１０ａの強磁性部材１５に対向する
磁極が、周方向交互に異なるように結合される。

【００１１】図２に示すように、弾性部材４４は筒状体
に構成される。しかし、図３に示すように、弾性部材４
４は周方向に複数の分割体に分割され、かつ分割体が周
方向等間隔に配設されるようにしてもよい。

【００１２】渦電流減速装置について詳述すると、図
４，５に示すように、渦電流減速装置は車両用変速機の
出力回転軸１に結合される導体からなる制動ドラム７
と、制動ドラム７の内部に配設される非磁性体からなる
案内筒１０と、案内筒１０の断面長方形の内空部に収容
した可動の磁石支持筒１４および不動の磁石支持筒１４
Ａとを備えている。回転軸１にスプライン嵌合固定した
取付フランジ２に、駐車ブレーキの制動ドラム３の端壁
と一緒に、ボス５のフランジ部５ａが重ね合され、かつ
複数のボルト４とナツトにより締結される。放熱フイン
７ａを備えた制動ドラム７の端部の内周面７ｂとボス５
の外周面とに、断面Ｕ字形の弾性部材４４の両端部の外
周面４５と内周面４６が、溶接などにより重合せ結合さ
れる。弾性部材４４は両端部の外周面４５と内周面４６
がＣ字形に開放されたもの、つまり予め拡開力が付与さ
れたものを、両端部の外周面４５と内周面４６がほぼ平
行になるように制動ドラム７とボス５とに結合されるの
が好ましい。制動ドラム７の内周面７ｂの両端部には、
銅などの良伝導体からなる環状体５１，５２が結合さ
れ、制動ドラム７の渦電流の流れを軸方向に広め制動力
を高める。

【００１３】案内筒１０は例えば断面Ｃ字形の筒体に、
環状板からなる端壁１１を結合して構成される。案内筒
１０は適当な手段により非回転部分、例えば変速機の歯
車箱に固定される。案内筒１０の外筒部１０ａに周方向
等間隔に設けた多数の開口２５に、強磁性部材１５を埋
設して結合される。好ましくは、強磁性部材１５は案内
筒１０の鋳造による成形時鋳込まれる。強磁性部材１５
は長方形の板状のものであつて、板面は円弧状に湾曲さ
れる。

【００１４】磁性体からなる可動の磁石支持筒１４は案
内筒１０の内空部１３にあつて、滑り軸受またはコロ軸
受１２により正逆回動可能に内筒部１０ｂに支持され
る。磁石支持筒１４から軸方向へ延びる腕１６は、案内
筒１０の端壁に設けた円弧状のスリツト１８ａを経て、
アクチユエータ２０のロツドに連結される。磁石支持筒
１４は外周面に各強磁性部材１５の左半部に対向する磁
石２４を、強磁性部材１５に対する極性が周方向交互に
異なるように結合される。一方、磁性体からなる不動の
磁石支持筒１４Ａは案内筒１０の内空部１３にあつて内
筒部１０ｂに固定され、外周面に各強磁性部材１５の右
半部に対向する磁石２４Ａを、強磁性部材１５に対する
極性が周方向交互に異なるように結合される。

【００１５】案内筒１０の左端壁に、複数のアクチユエ
ータ２０が周方向等間隔に結合される。アクチユエータ
２０はシリンダ１８にピストン１７を嵌装してなり、ピ
ストン１７から外部へ突出するロツドは腕１６と連結さ
れる。

【００１６】図５に示すように、磁石支持筒１４Ａの磁
石２４Ａは、内面と外面がそれぞれ円筒面をなし、各磁
石２４Ａの周方向の端部に形成した段部３５の間へ、非
磁性体からなる断面Ｔ字形の固定金具３１を係合し、ボ
ルト３２により磁石支持筒１４Ａへ締結される。磁石２
４も同様に構成され、かつ磁石支持筒１４に同様に締結
される。

【００１７】図４に示すように、非制動時、磁石支持筒
１４の磁石２４と磁石支持筒１４Ａの磁石２４Ａとは、
強磁性部材１５に対向する極性が互いに逆になつてい
る。この時、磁石２４，２４Ａは各強磁性部材１５と磁
石支持筒１４との間に、短絡的磁気回路ｗを形成し、制
動ドラム７に磁界を及ぼさない。制動時、アクチユエー
タ２０により磁石支持筒１４を非制動位置から図５に示
す制動位置へ磁石２４の配列ピツチだけ回動すると、軸
方向に並ぶ磁石２４，２４Ａは各強磁性部材１５に対向
する極性が同じになり、強磁性部材１５を経て制動ドラ
ム７に磁界を及ぼす。回転する制動ドラム７が磁界を横
切る時、制動ドラム７に渦電流が流れ、制動ドラム７は
制動トルクを発生する。この時、各磁石２４，２４Ａは
制動ドラム７と磁石支持筒１４との間に磁気回路ｚを形
成する。

【００１８】制動時、渦電流の発熱により制動ドラム７
の温度は５００℃にも達し、制動ドラム７の内径は拡開
する。この時、断面Ｕ字形の弾性部材４４の両端部の外
周面４５と内周面４６が拡開して制動ドラム７の熱膨脹
を吸収し、ボス５には何ら強度上の悪影響を与えない。

【００１９】図４，５の渦電流減速装置において、制動
ドラム７の内部に配置した案内筒１０の内部に、単一の
磁石支持筒１４を正逆回動可能に可動に支持し、磁石支
持筒１４の各磁石２４が案内筒１０の強磁性部材１５と
全面的に対向する制動位置と、磁石支持筒１４の周方向
に隣接する２つの磁石２４が案内筒１０の強磁性部材１
５と部分的に対向する非制動位置とに切り換わるように
しても、同様の効果が得られる。

【００２０】図６に示す渦電流減速装置では、放熱フイ
ン７ａを備えた制動ドラム７の端部の内周面７ｂとボス
５の外周面とに、断面Ｕ字形の弾性部材４４の両端部の
外周面４５と内周面４６が、溶接などにより重合せ結合
される。弾性部材４４は両端部の外周面４５と内周面４
６がＣ字形に開放されたもの、つまり予め拡開力が付与
されたものを、両端部の外周面４５と内周面４６がほぼ
平行になるように制動ドラム７とボス５とに結合される
のが好ましい。案内筒１０は右半部が制動ドラム７の内
部へ臨み、案内筒１０の左半部が制動ドラム７の外部へ
突出される。案内筒１０は磁性体からなる外筒部１０ａ
と端壁１１と内筒部１０ｂを有する断面Ｃ字形の筒体
に、端壁１１をボルト２３により結合し、さらに薄板か
ら成形される外筒部３０ａの左端部に形成した円錐部
を、外筒部１０ａの円錐面３６に重ね合せ、外筒部３０
ａの右端部を径内方へ折り曲げたうえ端壁１１にボルト
２３により結合して、断面長方形の内空部１３を形成さ
れる。前にも述べたように、弾性部材４４は筒状体とす
るか、周方向に分割された複数の分割体とする。

【００２１】案内筒１０の左端壁１１には、シリンダ１
８にピストン１７を嵌挿して室２１と室２２を区画した
アクチユエータ２０を結合し、ピストン１７から内空部
１３へ突出するロツド１９を磁石支持筒１４に結合され
る。案内筒１０の右半部つまり制動ドラム７の内周面７
ｂに対向する外筒部３０ａは、非磁性体または磁性体か
らなる薄板（厚さ０．４〜１ｍｍ）から構成する。また
強磁性体のステンレス鋼の薄板から構成し、磁石２４の
外面に対向しない部分だけを、高温状態から急冷するこ
とにより非磁性オーステナイト相にし、つまり、外筒部
３０ａに磁性部分と非磁性部分が周方向交互に配設され
たものでもよい。一方、制動ドラム７から突出する左半
部の外筒部１０ａは厚肉の磁性体から構成する。

【００２２】非制動時、アクチユエータ２０により磁石
支持筒１４を軸方向に移動して制動ドラム７から引退さ
せれば、各磁石２４は案内筒１０の外筒部１０ａに対向
して短絡的磁気回路を形成し、制動ドラム７には磁界を
及ぼさない。制動時、磁石支持筒１４が制動ドラム７の
内部へ突出されると、各磁石２４からの磁界は外筒部３
０ａを通過して制動ドラム７へ及ぶ。回転する制動ドラ
ム７が磁石２４からの磁界を横切る時、渦電流が制動ド
ラム７の内部に流れ、制動ドラム７が制動トルクを発生
する。

【００２３】図６の渦電流減速装置において、案内筒１
０の制動ドラム７の内部へ臨む右半部の外筒部１０ａ
が、図４，５の外筒部１０ａと同様に、アルミニウムな
どの非磁性体から形成され、かつ周方向等間隔に設けた
多数の開口に、板状の強磁性部材を埋設して結合し、制
動時、磁石支持筒１４を制動ドラム７の内部へ突出した
時、各磁石２４が強磁性部材１５に対向するように構成
しても、同様の効果が得られる。

【００２４】また、本発明は永久磁石式渦電流減速装置
の制動ドラムだけでなく、特開昭６３−２７４３５９号
公報に開示されるような電磁石式渦電流減速装置の制動
ドラムにも適用できる。

【００２５】

【発明の効果】本発明は上述のように、回転軸に結合し
た導体からなる制動ドラムに対して、複数の永久磁石ま
たは電磁石を用いて渦電流に基づく制動力を発生させる
渦電流減速装置において、前記制動ドラムの端部内周面
と前記回転軸のボスの外周面とに、断面Ｕ字形の弾性部
材の両端部を重合せ結合したものであり、構成が簡単で
あり、部品点数が少くなるので、製造経費の低減ととも
に装置の信頼性が向上される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る渦電流減速装置の概略構成を示す
側面断面図である。

【図２】同渦電流減速装置の概略構成を示す正面図であ
る。

【図３】本発明の変更実施例に係る渦電流減速装置の概
略構成を示す正面図である。

【図４】図１の渦電流減速装置の詳細を示す側面断面図
である。

【図５】同渦電流減速装置の詳細を示す正面断面図であ
る。

【図６】本発明が適用される他の形式の渦電流減速装置
を示す側面断面図である。

【図７】従来の渦電流減速装置の概略構成を示す側面断
面図である。

【図８】同渦電流減速装置の概略構成を示す正面図であ
る。

【符号の説明】

１：回転軸３：制動ドラム５：ボス７：制動ドラ
ム７ｂ：内周面１０：案内筒１０ａ：外筒部１
１：端壁１０ｂ：内筒部１２：軸受１３：内空部
１４：磁石支持筒１４Ａ：磁石支持筒１５：強磁
性部材２０：アクチユエータ２４：磁石２４Ａ：
磁石４４：弾性部材４５：外周面４６：内周面

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者久保愛三京都府京都市北区大宮西総門口町３番地の１Ｆターム(参考） 5H649 AA03 BB02 BB07 GG09 GG13 GG16 HH05 HH16 JK03 JK04 PP02 PP08 PP13

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】回転軸に結合した導体からなる制動ドラム
に対して、複数の永久磁石または電磁石を用いて渦電流
に基づく制動力を発生させる渦電流減速装置において、
前記制動ドラムの端部内周面と前記回転軸のボスの外周
面とに、断面Ｕ字形の弾性部材の両端部を重合せ結合し
たことを特徴とする、渦電流減速装置。
【請求項２】前記制動ドラムの内部に断面長方形の内空
部を有する非磁性体からなる不動の案内筒を配置し、前
記永久磁石は前記案内筒の内空部に正逆回動可能に支持
した少くとも１つの磁石支持筒の外周面に周方向等間隔
に結合される、請求項１に記載の渦電流減速装置。
【請求項３】断面長方形の内空部を有する非磁性体から
なる不動の案内筒の一端部を、前記制動ドラムの内部へ
突出して配置し、前記永久磁石は前記案内筒の内空部に
軸方向往復動可能に支持した磁石支持筒の外周面に周方
向等間隔に結合される、請求項１に記載の渦電流減速装
置。
【請求項４】前記断面Ｕ字形の弾性部材は筒状体であ
る、請求項１〜３に記載の渦電流減速装置。
【請求項５】前記断面Ｕ字形の弾性部材は周方向に分割
して配設される、請求項１〜３に記載の渦電流減速装
置。