JP2002092862A - 金属薄膜型磁気記録媒体 - Google Patents

金属薄膜型磁気記録媒体

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JP2002092862A
JP2002092862A JP2000276739A JP2000276739A JP2002092862A JP 2002092862 A JP2002092862 A JP 2002092862A JP 2000276739 A JP2000276739 A JP 2000276739A JP 2000276739 A JP2000276739 A JP 2000276739A JP 2002092862 A JP2002092862 A JP 2002092862A
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magnetic layer
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Seiichi Onodera
誠一 小野寺
Shinya Yoshida
伸也 吉田
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 極めて薄型の金属薄膜型磁気記録媒体の機械
的強度の向上、走行安定性の向上を図る。 【解決手段】 非磁性支持体1の一主面に、真空薄膜形
成技術により形成した磁性層2を有する金属薄膜型磁気
記録媒体100において、非磁性支持体1の厚さを、5
〔μm〕以下とし、磁性層2の厚さを20〔nm〕〜1
00〔nm〕とし、磁性層形成面側とは反対側の主面
に、真空薄膜形成技術によって、金属、非金属、または
これらの合金、酸化物の化合物による、20〜200
〔nm〕の厚さの裏うち層3を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属薄膜型磁気記
録媒体に係わる。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオテープレコーダー等の分野
においては、高画質化を図るために、高密度記録化が一
層強く要求されている。これに対応する磁気記録媒体と
して、金属あるいはCo−Ni等の合金からなる強磁性
材料を真空薄膜形成技術により直接非磁性支持体上に被
着せしめて磁性層を形成する、いわゆる金属薄膜型磁気
記録媒体が提案されている。このような磁気記録媒体と
して、例えばハイバンド8mmビデオテープレコーダー
(以下、単にVTRと略称する)、デジタルVTR用の
蒸着テープ等が実用化されている。
【0003】真空薄膜形成技術としては、真空蒸着法、
スパッタリング法、イオンプレーティング法、気相成長
法等があり、強磁性金属材料としては、上記Co−Ni
の他、Co−Cr、Co等が用いられている。
【0004】このような金属磁性薄膜型の磁気記録媒体
は、磁性粉末をバインダーに混合して作製した塗料を非
磁性支持体に塗布して得られるいわゆる塗布型の磁気記
録媒体と異なり、磁性層中に非磁性材料であるバインダ
ーが混入されないので、強磁性金属粒子の充填密度が高
い。このため、磁性層を極めて薄く形成することがで
き、記録減磁や再生時の厚み損失が著しく小さく、短波
長での電磁変換に優れている。また、保磁力や残留磁
化、角形比等の磁気特性を安定して制御、作製すること
ができる等の利点を有している。
【0005】ところで、磁気記録媒体のさらなる高密度
記録化の要請を受けて、記録情報の再生を行う際に用い
る磁気ヘッドについて、従来の誘導型ヘッドに代わり、
磁気抵抗効果型磁気ヘッド(MRヘッド)が適用される
ようになってきている。MRヘッドは、磁気記録媒体か
らの微小な漏洩磁束を高感度に検出することができると
いう特性を有するため、磁性層の薄層化を進めることに
より、低ノイズ化することが可能になり、面記録密度の
向上を図ることが可能になる。
【0006】また、テープ形状の磁気記録媒体において
は、単位体積あたりの記録密度を向上させるため、磁性
層が形成されている非磁性支持体をより薄層化し、より
長い磁気テープをカセットに組み込むことが重要な課題
となってきている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
たように、単位体積当たりの記録密度を高めるために、
非磁性支持体を薄層化すると、磁気テープの破断強度、
破断伸度、ヤング率と非磁性支持体との積の値等の機械
的強度が低下してしまい、磁気テープに外力が加わった
ときの耐久性が劣化し、また、走行性、ヘッド当たりの
悪化を招来する等の問題が生じる。
【0008】また、磁気記録媒体を構成する磁性層の薄
層化が進み、その膜厚が従来の200nmから100n
m以下にもなると、磁性層が晒される外部環境から、酸
化等の影響を受け、これにより磁気特性に悪影響がおよ
びおそれがあり、相対的に保存耐久性が劣化するという
問題が生じる。
【0009】非磁性支持体の機械的な強度を向上させる
ためには、従来、磁気テープの非磁性支持体として用い
られているポリエチレンテレフタレート(PET)や、
ポリエチレンナフタレート(PEN)に代えて、ポリア
ミドフィルム等の高強度材料を用いることとしていた。
このポリアミドフィルムを用いることにより、非磁性支
持体の厚さを3〜5〔μm〕程度に薄層化することが可
能となった。
【0010】しかしながら、ポリアミドフィルムは、従
来用いられていたポリエチレンテレフタレート(PE
T)や、ポリエチレンナフタレート(PEN)に比べて
高価な材料であり、磁気テープの非磁性支持体材料とし
て大量に生産販売することに適していないという問題を
有する。
【0011】薄層化した非磁性支持体上に、磁性層を真
空薄膜形成技術により形成すると、その応力により幅方
向にカッピングが生じてしまい、走行性やヘッドタッチ
を悪化させていた。
【0012】本発明者らはかかる点に鑑みて、MRヘッ
ドに適用する金属磁性薄膜型の磁気記録媒体において、
磁性層の薄層化と非磁性支持体の薄層化を達成して、単
位体積当たりの記録密度の向上を図り、同時に低コスト
化を図り、外部環境からの影響、特に水蒸気透過度を低
減化させ、かつカッピングを低減化させた金属薄膜型磁
気記録媒体を提供することとした。
【0013】
【課題を解決するための手段】非磁性支持体の一主面
に、真空薄膜形成技術により形成した磁性層を有する金
属薄膜型磁気記録媒体において、非磁性支持体の厚さ
を、5〔μm〕以下とし、磁性層の厚さを20〔nm〕
〜100〔nm〕とし、磁性層形成面側とは反対側の主
面に、真空薄膜形成技術によって形成された金属、非金
属、またはこれらの合金、酸化物の化合物による、20
〜200〔nm〕の厚さの裏うち層を有する構成とす
る。
【0014】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体によれ
ば、高感度のMRヘッドに好適であり、磁性層の薄層化
と非磁性支持体の薄層化を達成して、単位体積当たりの
記録密度の向上が図られる。
【0015】また、磁性層とは反対側の主面に裏うち層
を設けたことによって、安価な材料の、薄層の非磁性支
持体を適用することが可能になり、機械的強度の向上を
図りつつ、金属薄膜型磁気記録媒体の作製コスト化が低
減化される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体
は、非磁性支持体の一主面に、真空薄膜形成技術により
形成した磁性層を有する金属薄膜型磁気記録媒体におい
て、非磁性支持体の厚さを、5〔μm〕以下とし、磁性
層の厚さを20〔nm〕〜100〔nm〕とし、磁性層
形成面側とは反対側の主面に、真空薄膜形成技術によっ
て形成された金属、非金属、またはこれらの合金、酸化
物の化合物による、20〜200〔nm〕の厚さの裏う
ち層を有する構成とする。
【0017】以下、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体
と、金属薄膜型磁気記録媒体の製造装置の一例について
説明するが、本発明は、以下に示す例に限定されるもの
ではない。
【0018】図1に本発明の金属薄膜型磁気記録媒体の
概略断面図を示す。この金属薄膜型磁気記録媒体100
は、厚さ5〔μm〕以下の薄層の非磁性支持体1の一主
面に、真空薄膜形成技術により形成した厚さ20〔n
m〕〜100〔nm〕の磁性層2を有し、磁性層2形成
面1aとは反対側の主面に、真空薄膜形成技術によって
形成された金属、非金属、またはこれらの合金、酸化物
の化合物による、20〜200〔nm〕の厚さの裏うち
層3を有する。
【0019】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体100を
構成する非磁性支持体1には、通常、磁気テープの基体
として用いられている公知の材料がいずれも適用でき
る。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレ
ン2,6−ナフタレート等のポリエステル類、ポリエチ
レン、ポリプロピレン等のポリオレフィン類、セルロー
ストリアセテート等のセルロース誘導体、ポリカーボネ
ート、ポリイミド、ポリアミドイミド等のプラスチック
等を挙げることができる。
【0020】非磁性支持体1は、従来の磁気テープで
は、通常3〜10〔μm〕の厚さとして機械的な強度を
保持しているが、その他の方法によって、磁気記録媒体
の走行時における機械的な強度が得られれば、これをさ
らに薄型にすることもでき、本発明の金属薄膜型磁気記
録媒体100においては、非磁性支持体1は5〔μm〕
以下、例えば、1〜5〔μm〕の厚さとする。
【0021】非磁性支持体1の磁性層形成面には、バイ
ンダー樹脂、フィラーおよび界面活性剤を含有する塗料
によりコーティング層(図示せず)を形成し、これによ
り、表面に微細な凹凸を付けたり、機械的な強度を高め
たりすることができる。バインダー樹脂には、例えば水
性ポリエステル樹脂、水性アクリル樹脂、水性ポリウレ
タン樹脂等が挙げられる。フィラーの種類としては、耐
熱性ポリマーからなる粒子、二酸化ケイ素、炭酸カルシ
ウム等が挙げられる。
【0022】非磁性支持体1上の磁性層形成面側に形成
したコーティング層の表層の平均粒径は10〜50〔n
m〕、フィラーによる表面の突起の密度は、200万〜
5000〔万個/mm2 〕程度とすることにより、磁気
記録媒体100の走行耐久性を良好ならしめることがで
きる。コーティング層の表層の平均粒径を大きくし、表
面突起密度を増加させることにより、表面の粗度が増加
し、スペーシングによる電磁変換特性が劣化する。
【0023】金属薄膜型磁気記録媒体100を構成する
磁性層2の強磁性金属材料としては、従来公知の金属、
金属酸化物、合金等をいずれも使用することができる。
例えば、Co,CoNi,CoFe,CoNiFe,C
oCr,CoPt,CoPtB,CoCrPt,CoC
rTa,CoCrPtTa等の材料や、これらの材料を
酸素雰囲気中で蒸着したり、あるいはスパッタして酸化
物としたものが挙げられる。また、これらの材料に一種
あるいは二種以上のその他の金属を含有させたもの、さ
らには、Co−Al2 3 、CoPt−SiO2 等の既
存の強磁性金属合金を含み非固溶系磁性層を形成したも
のであってもよい。
【0024】図2に、金属薄膜型磁気記録媒体100の
磁性層2を成膜する蒸着装置10の概略図を示す。この
蒸着装置10においては、排気口21、22から排気さ
れて真空状態となされた真空室11内に、送りロール1
3と巻き取りロール14とが設けられており、これらの
間に非磁性支持体1が順次走行するようになされてい
る。
【0025】これら送りロール13と巻き取りロール1
4との間に、上記非磁性支持体1が走行する途中には、
冷却キャン15が設けられている。この冷却キャン15
には、冷却装置(図示せず)が設けられ、非磁性支持体
1の温度上昇による熱変形等を抑制している。
【0026】非磁性支持体1は、送りロール13から順
次送り出され、さらに冷却キャン15周面を通過して巻
き取りロール14に巻き取られていくようになされてい
る。なお、ガイドロール16および17により非磁性支
持体1には、所定のテンションがかけられ、円滑に走行
するようになされている。
【0027】真空室11内には、冷却キャン15の下方
にルツボ18が設けられており、ルツボ内には、金属磁
性材料19が充填されている。一方、真空室11の側壁
部には、ルツボ18内に充填された金属磁性材料19を
加熱蒸発させるための電子銃20が設けられている。こ
の電子銃20は、これより放出される電子線Bが、ルツ
ボ内18内の金属磁性材料19に照射されるような位置
に配置されている。そして、この電子線Bの照射によっ
て蒸発した金属磁性材料19が非磁性支持体1の表面に
被着して、磁性層2の形成がなされる。
【0028】また、冷却キャン15とルツボ18との間
であって、冷却キャン15の近傍には、シャッター23
が、冷却キャン15の周面を走行する非磁性支持体1の
所定領域を覆う形で配置されており、このシャッター2
3により、蒸発した金属磁性材料19が非磁性支持体1
に対して所定の入射角度範囲で斜めに蒸着するようにな
されている。
【0029】さらに、磁性層の蒸着に際し、真空室11
の側壁部を貫通して設けられている酸素ガス導入管24
により、非磁性支持体1の表面に酸素ガスが供給される
ようになされ、磁性層の磁気特性、耐久性および耐候性
の向上が図られている。
【0030】なお、非磁性支持体1と磁性層2との間に
は、上記コーティング層の他に、非磁性支持体1と磁性
層2との付着力向上、磁性層2の磁気的配向性の向上、
耐蝕性の向上を目的として、非磁性下地層(図示せず)
を形成することもできる。下地層を構成する材料として
は、Crを挙げることができる他、Co,Zr,Pt,
Au,Ta,W,Ag,Al,Mn,Cr,Ti,V,
Nb,Mo等の金属の他、これらのうちの2種以上を組
み合わせた合金、その他酸素や窒素等との化合物であっ
てもよい。例えば、下地層としてスパッタ法によりCr
層を形成し、その上層に磁性層をCoPtCr層として
形成した場合には、磁性層の磁化容易軸(六方晶Coの
c軸)を面内方向に向かせる働きをもつ。すなわち、C
r下地層により、Co合金/Cr合金の2層膜を構成す
る金属薄膜型磁気記録媒体を構成する。
【0031】磁性層2上には、通常、良好な耐蝕性およ
び走行耐久性を確保するために保護層4を形成する。保
護層4を形成する材料としては、従来公知の材料をいず
れも適用することができる。例えばカーボンの他、Cr
2 、Al2 3 、BN、Co酸化物、MgO、SiO
2 、Si3 4 、SiNX 、SiC、SiNX −SiO
2 、ZrO2、TiO2 、TiC、MoS等を挙げるこ
とができる。特に、カーボンを基材として保護層4は、
耐久性、耐蝕性および生産性に優れている。保護層4
は、公知の真空成膜技術により形成することができ、真
空蒸着法、インプレーティング法、スパッタリング法や
CVD法によって、厚さ4〜15〔nm〕程度に形成す
る。
【0032】炭素化合物をプラズマ中で分解し、磁性層
2上に成膜するCVD法は、耐磨耗性、耐蝕性、表面被
覆率に優れ、平滑な表面形状と高い電気抵抗率をもつダ
イヤモンドライクカーボンと呼ばれる硬質カーボンを、
例えば10nm以下程度の極めて薄層に安定して成膜す
ることが可能である。炭素化合物としては、炭化水素
系、ケトン系、アルコール系等、従来公知の材料をいず
れも使用することができる。また、プラズマ精製時に
は、炭素化合物の分解を促進するためのガスとして、A
r,H2 等が導入されていてもよい。
【0033】その他、ダイヤモンドライクカーボンの膜
硬度、耐蝕性の向上を図るため、カーボンが窒素、フッ
素と反応した状態であってもよく、ダイヤモンドライク
カーボン膜は単層であっても多層であってもよい。ま
た、プラズマ生成時に、炭素化合物の他、N2 、CHF
3 、CH2 2 等のガスを単独あるいは適宜混合した状
態で成膜することもできる。
【0034】保護層4は、厚く形成し過ぎると、スペー
シングによる損失が増加し、薄過ぎると、耐磨耗性およ
び耐蝕性が劣化してしまうので、4〜15〔nm〕程度
の厚さに形成することが望ましい。
【0035】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体100
は、磁性層2形成面側とは反対側の主面に、金属、半金
属、またはこれらの合金、酸化物等の化合物からなる裏
うち層3が形成されている。
【0036】裏うち層3は、真空薄膜形成技術によって
形成される。裏うち層3を形成するための材料として
は、特に、Al、Al2 3 を挙げることができるが、
その他、例えばMg,Si,Ti,V,Cr,Mn,F
e,Co,Ni,Cu,Zn,Ge,Zr,Nb,M
o,W等の金属、またはこれらの合金、酸化物、化合物
等いずれも適用することができる。
【0037】裏うち層3は、公知の真空成膜技術によっ
て成膜することができる。例えば、真空蒸着法、イオン
プレーティング法、スパッタリング法、CVD法によっ
て成膜することができる。
【0038】すなわち、裏うち層3は、図2に示した真
空蒸着装置10を用い、ターゲット材として裏うち層3
形成用の材料を充填し、これに電子線Bを照射して加熱
蒸着することによって形成することができる。
【0039】次に、金属薄膜型磁気記録媒体100の保
護層4、あるいは裏うち層3を形成することができるプ
ラズマCVD連続膜形成装置300について説明する。
図3に示す装置300においては、排気系330から排
気されて真空状態となされた真空室331内に、送りロ
ール333と、巻き取りロール334とが設けられ、こ
れら送りロール333と巻き取りロール334に、非磁
性支持体上に磁性層が形成された被処理体340が順次
走行するようになされている。これら送りロール333
から巻き取りロール334に被処理体340が走行する
途中には、円筒状の回転可能な対向電極335が設けら
れている。
【0040】被処理体340は、送りロール333から
順次送り出され、対向電極335の周面を通過し、巻き
取りロール334に巻き取られていくようになされてい
る。なお、送りロール333と対向電極335との間、
および対向電極335と巻き取りロール334との間に
は、それぞれガイドロール336が配置され、被処理体
340に所定のテンションをかけ、被処理体340が円
滑に走行するようになされている。
【0041】また、真空室331内には、反応管337
が設けられ、この反応管337内には、電極338が組
み込まれている。また、この電極338には、直流電流
339により所定の電位が加えられるようになされてい
る。
【0042】反応管337からは、放電ガス導入口34
1から、原料ガスが導入される。被処理体340は、送
りロール333により送り出され、対向電極335の周
面を通過し、反応管337に送り込まれ、この反応管3
37内において、表面に保護層4あるいは裏うち層3
が、所望の厚さに形成される。
【0043】裏うち層3は、膜厚を薄くしすぎると、充
分な機械的強度が得られず、耐久性に問題が生じ、ま
た、外部環境から金属磁性層を保護する機能を発揮でき
なくなってしまう。一方、膜厚を厚く形成し過ぎると、
膜の内部応力が大きく成りすぎ、テープ状の金属薄膜型
磁気記録媒体100に長手方向のカールや、幅方向のカ
ッピングが生じてしまう。特に、磁気ヘッド当たりや磁
気テープの走行安定性を実用上良好に成らしめるために
は、磁気テープのカッピングの発生を回避する必要があ
る。
【0044】図4に長尺状の磁気テープの概略斜視図を
示し、図5にカッピングが生じた場合の概略図を示す。
図4に示すように、磁気テープの幅をwとし、図5に示
すように、幅方向の反り、すなわちカッピングをaとし
たとき、これらの値の比、すなわちa/wの値の絶対値
を低減化させるように、裏うち層3の厚さを制御して成
膜することが必要である。本発明の金属薄膜型磁気記録
媒体100においては、a/w≦10.0、望ましくは
a/w≦5.0となるように、裏うち層3の厚さを制御
する。例えば、磁性層2の厚さを20〔nm〕〜100
〔nm〕に形成した場合、裏うち層3を20〜200
〔nm〕の厚さに形成することにより、磁気テープの内
部応力につり合いが取れ、カッピングを低減化すること
ができる。
【0045】なお、非磁性支持体1と裏うち層3との間
には、バインダー樹脂およびフィラーを含有するコーテ
ィング層(図示せず)を形成し、これにより、バックバ
リア層3の表面に微細な凹凸をつけることができる。バ
インダー樹脂には、例えば水性ポリエステル樹脂、水性
アクリル樹脂、水性ポリウレタン樹脂等が挙げられる。
フィラーの種類としては、耐熱性ポリマーからなる粒
子、二酸化ケイ素、炭酸カルシウム等が挙げられる。裏
うち層3の表面は、良好な走行性を確保するため、磁性
層2の表面よりも粗面となるように形成することが望ま
しく、表層の平均粒径は15〜300〔nm〕で、2種
類以上の大きさの突起が、密度にして1万〜5000
〔万個/mm2〕程度の頻度で含有されていることが望
ましい。
【0046】裏うち層3には、磁性層2と同様に、良好
な走行耐久性を確保するために表面に、保護層(図示せ
ず)を形成することができる。保護層を形成する材料と
しては、従来公知の材料をいずれも適用することができ
る。例えばカーボン、CrO2 、Al2 3 、BN、C
o酸化物、MgO、SiO2 、Si3 4 、SiNX
SiC、SiNX −SiO2 、ZrO2 、TiO2 、T
iC、MoS等を挙げることができる。保護層は、公知
の真空成膜技術により形成することができ、上述したC
VD法や、真空蒸着法、インプレーティング法、スパッ
タリング法等によって形成することができる。
【0047】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体100に
おいては、磁性層2形成面側および裏うち層3形成面側
の最表層に、潤滑剤や防錆剤によって、コーティングす
ることが望ましい。
【0048】次に、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体1
00について、具体的に〔実施例〕および〔比較例〕を
挙げて説明するが、本発明の金属薄膜型磁気記録媒体
は、以下の例に限定されるものではない。
【0049】〔実施例1〕図1に示した金属薄膜型磁気
記録媒体100の非磁性支持体1として、厚さ4.5
〔μm〕のポリエチレンテレフタレートフィルムを用意
した。次に、磁性層2を、図2に示した蒸着装置10を
用いて形成した。金属磁性材料19をCoとし、酸素ガ
ス導入管24から所定の量の酸素を導入し、電子銃20
から電子線Bを照射して加熱し、反応性真空蒸着によ
り、Co−CoO系磁性層を80〔nm〕の膜厚に形成
した。
【0050】磁性層2上には、カーボン保護膜4を形成
した。カーボン保護膜4は、CVD法により、8〔n
m〕の膜厚に形成した。その後、カーボン保護膜上にパ
ーフルオロポリエーテルを塗布して潤滑剤層を形成し
た。
【0051】次に、磁性層形成面1aとは反対側の主面
に、裏うち層3を形成した。裏うち層3は、図2に示し
た蒸着装置10を用いて形成した。ターゲットとしては
Alを用い、電子銃20から電子線Bを照射して加熱
し、蒸着により20〔nm〕の膜厚に形成した。裏うち
層3上にも、同様にCVD法により、カーボン保護膜を
形成し、カーボン保護膜上にパーフルオロポリエーテル
を塗布して潤滑剤層を形成した。その後、8〔mm〕幅
に裁断してサンプルの磁気テープを作製した。
【0052】〔実施例2〕裏うち層3を、図2に示した
蒸着装置10を用い、ターゲットをAlとして、電子銃
20から電子線Bを照射して加熱し、蒸着により50
〔nm〕の膜厚に形成した。その他の条件は、上記〔実
施例1〕と同様にしてサンプルの磁気テープを作製し
た。
【0053】〔実施例3〕裏うち層3を、図2に示した
蒸着装置10を用い、ターゲットをAlとして、電子銃
20から電子線Bを照射して加熱し、蒸着により100
〔nm〕の膜厚に形成した。その他の条件は、上記〔実
施例1〕と同様にしてサンプルの磁気テープを作製し
た。
【0054】〔実施例4〕裏うち層3を、図2に示した
蒸着装置10を用い、ターゲットをAlとして、電子銃
20から電子線Bを照射して加熱し、蒸着により150
〔nm〕の膜厚に形成した。その他の条件は、上記〔実
施例1〕と同様にしてサンプルの磁気テープを作製し
た。
【0055】〔実施例5〕裏うち層3を、図2に示した
蒸着装置10を用い、ターゲットをAlとして、電子銃
20から電子線Bを照射して加熱し、蒸着により200
〔nm〕の膜厚に形成した。その他の条件は、上記〔実
施例1〕と同様にしてサンプルの磁気テープを作製し
た。
【0056】〔比較例1〕裏うち層3を、図2に示した
蒸着装置10を用い、ターゲットをAlとして、電子銃
20から電子線Bを照射して加熱し、蒸着により10
〔nm〕の膜厚に形成した。その他の条件は、上記〔実
施例1〕と同様にしてサンプルの磁気テープを作製し
た。
【0057】〔比較例2〕裏うち層3を、図2に示した
蒸着装置10を用い、ターゲットをAlとして、電子銃
20から電子線Bを照射して加熱し、蒸着により500
〔nm〕の膜厚に形成した。その他の条件は、上記〔実
施例1〕と同様にしてサンプルの磁気テープを作製し
た。
【0058】上記のようにして作製した〔実施例1〕〜
〔実施例5〕および〔比較例1〕、〔比較例2〕のサン
プルの磁気テープについて、テープの幅方向のヤング率
〔Gpa〕、当たり波形のエンベロープ欠け量〔d
B〕、カッピング〔%〕の測定評価を行い、評価結果を
下記〔表1〕に示す。
【0059】なお、当たり波形のエンベロープ欠け量
〔dB〕は、アドバンテスト社製のTR4171型スペ
クトルアナライザを用い、RBW=10〔kHz〕、V
BW=30〔kHz〕、周波数スパン0〔MHz〕、ス
イープタイム=40〔ms〕、アベレージ=16回の条
件で、得られた出力波形(エンベロープ)をオシロスコ
ープで測定し、図6に示すように、出力波形の最大値B
と最小値Aから、欠け量として、下記のように算出し
た。
【0060】欠け量〔dB〕=20log(A/B)
【0061】上記式による算出される欠け量の値が小さ
いものほどヘッドタッチが良好である。この時のデッキ
は、市販のソニー社製デジタルビデオ(VX−100
0)を改造し、MRヘッドが搭載されているものを用い
た。
【0062】
【表1】
【0063】〔表1〕に示すように、非磁性支持体1
を、5〔μm〕以下の厚さの薄型の金属薄膜型磁気記録
媒体100において、厚さ20〔nm〕〜100〔n
m〕の薄層の磁性層2と、磁性層形成面側とは反対側の
主面に、真空薄膜形成技術によって形成された金属、非
金属、またはこれらの合金、酸化物の化合物による、2
0〜200〔nm〕の厚さの裏うち層を有する構成とし
た〔実施例1〕〜〔実施例5〕のサンプルについては、
幅方向のヤング率が10.0〔Gpa〕得られ、実用的
に充分な機械的強度が得られた。また、裏うち層3の厚
さを20〜200〔nm〕としたことから、カッピング
を10.0〔%〕以下に低減化させることができ、磁気
テープ形状も良好にならしめることができ、当たり波形
のエンベロープ欠け量が−2.0〔dB〕以内に低減化
され、安定した走行性が得られた。
【0064】一方、〔比較例1〕の磁気テープは、裏う
ち層の膜厚を10〔nm〕とした場合であるが、この例
においては、機械的強度を上げる効果が少なく、充分な
スティフネスが得られず、当たり波形のエンベロープ欠
け量が−3.6〔dB〕になり走行性が悪化した。
【0065】〔比較例2〕の磁気テープは、裏うち層の
膜厚を500〔nm〕とした場合であるが、この例にお
いては、裏うち層を厚く形成したことによって膜応力が
高くなりすぎ、カールやカッピングが大きくなって当た
り波形のエンベロープ欠け量が劣化した。
【0066】次に、磁性層2の膜厚を変化させて作製し
た以下に示す〔実施例6〕〜〔実施例9〕および〔比較
例3〕、〔比較例4〕の磁気テープについて、再生出力
〔dB〕と保磁力〔kA/m〕を測定した。なお、以下
の場合について、記録ヘッドおよび再生ヘッドにMIG
(Metal In Gap)ヘッドを用いた。
【0067】〔実施例6〕磁性層3を100〔nm〕の
膜厚に形成した。その他の条件は上記〔実施例1〕と同
様にしてサンプルの磁気テープを作製した。
【0068】〔実施例7〕磁性層3を140〔nm〕の
膜厚に形成した。その他の条件は上記〔実施例1〕と同
様にしてサンプルの磁気テープを作製した。
【0069】〔実施例8〕磁性層3を160〔nm〕の
膜厚に形成した。その他の条件は上記〔実施例1〕と同
様にしてサンプルの磁気テープを作製した。
【0070】〔実施例9〕磁性層3を200〔nm〕の
膜厚に形成した。その他の条件は上記〔実施例1〕と同
様にしてサンプルの磁気テープを作製した。
【0071】〔比較例3〕磁性層3を80〔nm〕の膜
厚に形成した。その他の条件は上記〔実施例1〕と同様
にしてサンプルの磁気テープを作製した。
【0072】〔比較例4〕磁性層3を250〔nm〕の
膜厚に形成した。その他の条件は上記〔実施例1〕と同
様にしてサンプルの磁気テープを作製した。
【0073】上記〔実施例7〕〜〔実施例9〕および
〔比較例3〕、〔比較例4〕のサンプル磁気テープのそ
れぞれについて、記録ヘッドおよび再生ヘッドにMIG
ヘッドを用いた場合の再生出力〔dB〕と保磁力〔kA
/m〕を測定した。測定結果を下記〔表2〕に示す。な
お、記録波長は0.3〔μm〕とし、〔実施例8〕の再
生出力値を基準とした相対値として測定した。
【0074】
【表2】
【0075】〔表2〕に示すように、磁性層2の膜厚が
100〜200〔nm〕である〔実施例7〕〜〔実施例
9〕については、再生ヘッドとしてMIGヘッドのよう
なインダクティブヘッドを用いた場合においても、実用
上充分な再生出力が得られた。一方、磁性層2の膜厚が
100〔nm〕未満とした〔比較例3〕においては、充
分な再生出力が得られなかった。また、磁性層2の膜厚
が200〔nm〕を越える〔比較例4〕においては、厚
み損失のために再生出力は上記〔実施例6〕〜〔実施例
9〕の場合に比較して向上せず、逆にノイズが増加して
しまい、S/Nが劣化した。すなわち、再生ヘッドとし
てMIGヘッドのようなインダクティブヘッドを用いる
場合には、磁性層の膜厚は100〜200〔nm〕とす
ることが好適である。
【0076】次に、記録ヘッドおよび再生ヘッドにシー
ルド型のMR(Magneto Resistive)
ヘッドを用いて、上記と同様にして磁性層2の膜厚を変
化させて作製した以下に示す〔実施例10〕〜〔実施例
13〕および〔比較例5〕、〔比較例6〕の磁気テープ
について、再生出力〔dB〕と保磁力〔kA/m〕を測
定した。
【0077】〔実施例10〕磁性層3を20〔nm〕の
膜厚に形成した。その他の条件は上記〔実施例1〕と同
様にしてサンプルの磁気テープを作製した。
【0078】〔実施例11〕磁性層3を50〔nm〕の
膜厚に形成した。その他の条件は上記〔実施例1〕と同
様にしてサンプルの磁気テープを作製した。
【0079】〔実施例12〕磁性層3を80〔nm〕の
膜厚に形成した。その他の条件は上記〔実施例1〕と同
様にしてサンプルの磁気テープを作製した。
【0080】〔実施例13〕磁性層3を100〔nm〕
の膜厚に形成した。その他の条件は上記〔実施例1〕と
同様にしてサンプルの磁気テープを作製した。
【0081】〔比較例5〕磁性層3を10〔nm〕の膜
厚に形成した。その他の条件は上記〔実施例1〕と同様
にしてサンプルの磁気テープを作製した。
【0082】〔比較例6〕磁性層3を150〔nm〕の
膜厚に形成した。その他の条件は上記〔実施例1〕と同
様にしてサンプルの磁気テープを作製した。
【0083】上記〔実施例10〕〜〔実施例13〕およ
び〔比較例5〕、〔比較例6〕のサンプル磁気テープの
それぞれについて、記録ヘッドおよび再生ヘッドにシー
ルド型のMRヘッドを用いた場合の再生出力〔dB〕と
保磁力〔kA/m〕を測定した。測定結果を下記〔表
3〕に示す。なお、記録波長は0.3〔μm〕とし、
〔実施例11〕の再生出力値を基準とした相対値として
測定した。
【0084】
【表3】
【0085】〔表3〕に示すように、磁性層2の膜厚が
20〜100〔nm〕である〔実施例10〕〜〔実施例
13〕については、ヘッドを飽和させることなく、かつ
充分な再生出力が得られた。一方、磁性層2の膜厚が2
0〔nm〕未満とした〔比較例5〕においては、充分な
再生出力が得られなかった。また、磁性層2の膜厚が1
00〔nm〕を越える〔比較例6〕においては、MR素
子が飽和し、ノイズが増加してしまい、S/Nが劣化し
た。すなわち、再生ヘッドとしてシールド型のMRヘッ
ドを用いる場合には、磁性層の膜厚は20〜100〔n
m〕とすることが好適である。
【0086】次に、記録ヘッドおよび再生ヘッドとして
更に高感度のGMR(GiantMagneto Re
sistive)ヘッドを用いて、上記と同様にして磁
性層2の膜厚を変化させて作製した以下に示す〔実施例
14〕〜〔実施例17〕および〔比較例7〕、〔比較例
8〕の磁気テープについて、再生出力〔dB〕と保磁力
〔kA/m〕を測定した。
【0087】〔実施例14〕磁性層3として、Cr下地
層を介してCoCrPt層を10〔nm〕の膜厚に形成
した。その他の条件は上記〔実施例1〕と同様にしてサ
ンプルの磁気テープを作製した。
【0088】〔実施例15〕磁性層3として、Cr下地
層を介してCoCrPt層を20〔nm〕の膜厚に形成
した。その他の条件は上記〔実施例1〕と同様にしてサ
ンプルの磁気テープを作製した。
【0089】〔実施例16〕磁性層3として、Cr下地
層を介してCoCrPt層を30〔nm〕の膜厚に形成
した。その他の条件は上記〔実施例1〕と同様にしてサ
ンプルの磁気テープを作製した。
【0090】〔実施例17〕磁性層3として、Cr下地
層を介してCoCrPt層を50〔nm〕の膜厚に形成
した。その他の条件は上記〔実施例1〕と同様にしてサ
ンプルの磁気テープを作製した。
【0091】〔比較例7〕磁性層3として、Cr下地層
を介してCoCrPt層を5〔nm〕の膜厚に形成し
た。その他の条件は上記〔実施例1〕と同様にしてサン
プルの磁気テープを作製した。
【0092】〔比較例8〕磁性層3として、Cr下地層
を介してCoCrPt層を80〔nm〕の膜厚に形成し
た。その他の条件は上記〔実施例1〕と同様にしてサン
プルの磁気テープを作製した。
【0093】上記〔実施例14〕〜〔実施例17〕およ
び〔比較例7〕、〔比較例8〕のサンプル磁気テープの
それぞれについて、記録ヘッドおよび再生ヘッドにGM
Rヘッドを用いた場合の再生出力〔dB〕と保磁力〔k
A/m〕を測定し、測定結果を下記〔表4〕に示す。
なお、記録波長は0.3〔μm〕とし、〔実施例15〕
の再生出力値を基準とした相対値として測定した。
【0094】
【表4】
【0095】〔表4〕に示すように、磁性層2の膜厚が
10〜50〔nm〕である〔実施例14〕〜〔実施例1
7〕については、GMRヘッドを飽和させることなく、
かつ充分な再生出力が得られた。一方、磁性層2の膜厚
が10〔nm〕未満とした〔比較例7〕においては、充
分な再生出力が得られなかった。また、磁性層2の膜厚
が50〔nm〕を越える〔比較例8〕においては、GM
R素子が飽和し、ノイズが増加してしまい、S/Nが劣
化した。すなわち、再生ヘッドとして高感度のGMRヘ
ッドを用いる場合には、磁性層の膜厚は10〜50〔n
m〕とすることが好適である。
【0096】次に、金属薄膜型磁気記録媒体100を構
成する保護膜4の膜厚を変化させてサンプルの磁気テー
プを作製し、MRヘッドを用いて再生出力〔dB〕とレ
ベルダウン〔dB〕を測定した。
【0097】〔実施例18〕保護層4として、ダイヤモ
ンドライクカーボン層を4〔nm〕の膜厚に形成した。
その他の条件は上記〔実施例1〕と同様にしてサンプル
の磁気テープを作製した。
【0098】〔実施例19〕保護層4として、ダイヤモ
ンドライクカーボン層を8〔nm〕の膜厚に形成した。
その他の条件は上記〔実施例1〕と同様にしてサンプル
の磁気テープを作製した。
【0099】〔実施例20〕保護層4として、ダイヤモ
ンドライクカーボン層を15〔nm〕の膜厚に形成し
た。その他の条件は上記〔実施例1〕と同様にしてサン
プルの磁気テープを作製した。
【0100】〔比較例9〕保護層4として、ダイヤモン
ドライクカーボン層を2〔nm〕の膜厚に形成した。そ
の他の条件は上記〔実施例1〕と同様にしてサンプルの
磁気テープを作製した。
【0101】〔比較例10〕保護層4として、ダイヤモ
ンドライクカーボン層を20〔nm〕の膜厚に形成し
た。その他の条件は上記〔実施例1〕と同様にしてサン
プルの磁気テープを作製した。
【0102】上記〔実施例18〕〜〔実施例20〕およ
び〔比較例9〕、〔比較例10〕のサンプル磁気テープ
のそれぞれについて、記録ヘッドおよび再生ヘッドにM
Rヘッドを用いた場合の再生出力〔dB〕とレベルダウ
ン〔dB〕を測定し、測定結果を下記〔表5〕に示す。
なお、記録波長は0.3〔μm〕とし、〔実施例19〕
の再生出力値を基準とした相対値として測定した。
【0103】
【表5】
【0104】〔表5〕に示すように、保護層4の膜厚が
4〜15〔nm〕である〔実施例18〕〜〔実施例2
0〕については、実用上充分な再生出力が得られ、レベ
ルダウン量も少なく、充分な走行耐久性が得られた。一
方、保護層4の膜厚が4〔nm〕未満とした〔比較例
9〕においては、充分な短波長での出力が得られたが、
レベルダウン量が大きく、充分な走行耐久性が得られな
かった。また、保護層4の膜厚が15〔nm〕を越える
〔比較例10〕においては、スペーシングロスが大きく
なり、短波長での出力が充分に得られなかった。このこ
とから、保護層4は4〜15〔nm〕の膜厚に形成する
ことが望ましい。
【0105】上述したことから明らかなように、本発明
の金属薄膜型磁気記録媒体100によれば、磁性層2の
厚さを20〜100〔nm〕と、薄膜に形成したことに
よって、高感度のMRヘッドに好適であるものとし、ま
た磁性層2とは反対側の主面に、薄膜形成技術により、
裏うち層3を形成したことによって、安価な材料で、か
つ5〔μm〕以下の薄層の非磁性支持体1を用いた場合
においても、磁気テープの機械的強度を実用充分なレベ
ルにすることが可能となった。これにより、単位重量当
たりの記録密度が高く、かつ作製コストが低減化された
金属薄膜型磁気記録媒体100が得られた。
【0106】また、磁性層とは反対側の主面に、薄膜形
成技術により裏うち層3を形成したことによって、磁性
層2の磁性成分の腐食が効果的に回避され、耐蝕性の向
上が図られ、磁化劣化率が低減化された。
【0107】
【発明の効果】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体によれ
ば、磁性層2の厚さを20〔nm〕〜100〔nm〕
と、薄膜に形成したことによって、高感度のMRヘッド
に適用した場合に、充分な再生出力が得られかつ低ノイ
ズ化が図られ、良好なS/N特性が得られた。
【0108】また磁性層2とは反対側の主面に、薄膜形
成技術により、裏うち層3を形成したことによって、安
価な材料で、かつ5〔μm〕以下の薄層の非磁性支持体
1を用いた場合においても、磁気テープのスティフネ
ス、すなわち機械的強度を実用充分なレベルにすること
が可能となった。これにより、単位重量当たりの記録密
度を向上させることができ、かつ作製コストが低減化さ
れた。
【0109】また、磁性層2とは反対側の主面に、薄膜
形成技術により、裏うち層3を形成したことによって、
磁気テープのカッピングの発生を低減化させることがで
き、走行安定性の向上を図ることができた。
【0110】また、磁性層とは反対側の主面に、薄膜形
成技術により裏うち層3を形成したことによって、磁性
層2の磁性成分の腐食が効果的に回避され、耐蝕性の向
上が図られ、磁化劣化率が低減化された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体の概略断面図
を示す。
【図2】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体を構成する磁
性層および裏うち層を作製するための蒸着装置の概略図
を示す。
【図3】本発明の金属薄膜型磁気記録媒体を構成する磁
性層および裏うち層を作製するためのプラズマCVD連
続膜形成装置の概略図を示す。
【図4】長尺形状の磁気テープの概略斜視図を示す。
【図5】長尺形状の磁気テープのカッピングの状態図を
示す。
【図6】当たり波形の状態図を示す。
【符号の説明】
1 非磁性支持体、2 磁性層、3 裏うち層、4 保
護層、10 蒸着装置、11 真空室、13 送りロー
ル、14 巻き取りロール、15 冷却キャン、16,
17 ガイドロール、18 ルツボ、19 金属磁性材
料、20 電子銃、21,22 排気口、23 シャッ
ター、24 酸素ガス導入管、100金属薄膜型磁気記
録媒体、300 プラズマCVD連続膜形成装置、33
0 排気系、331 真空室、333 送りロール、3
34 巻き取りロール、335対向電極、336 ガイ
ドロール、337 反応管、338 電極、339直流
電源、340 被処理体、341 放電ガス導入口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 10/16 H01F 10/16 10/28 10/28 Fターム(参考) 4K029 AA11 BA03 BA07 BA24 BA43 BA44 BB02 BB04 BC06 BD11 CA01 DB03 DB04 DB21 EA01 5D006 AA02 AA05 BB01 BB02 BB03 BB07 CA01 CC01 CC03 DA00 5E049 AA04 AA09 AB10 BA06 CC01 DB04 DB06 DB10 DB12

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非磁性支持体の一主面に、真空薄膜形成
    技術により形成した磁性層を有する金属薄膜型磁気記録
    媒体であって、上記非磁性支持体の厚さは、5〔μm〕
    以下であり、 上記磁性層の厚さは20〔nm〕〜100〔nm〕であ
    り、 上記磁性層形成面側とは反対側の主面に、真空薄膜形成
    技術によって形成された金属、非金属、またはこれらの
    合金、酸化物の化合物による、20〜200〔nm〕の
    厚さの裏うち層を有することを特徴とする金属薄膜型磁
    気記録媒体。
  2. 【請求項2】 上記裏うち層が、Al、または、Al2
    3 により形成されて成ることを特徴とする請求項1に
    記載の金属薄膜型磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 長尺形状の非磁性支持体の一主面に、真
    空薄膜形成技術により形成した磁性層を有する金属薄膜
    型磁気記録媒体であって、 幅方向の反り(カッピング)をa、幅をwとしたとき、 a/w≦10.0 となることを特徴とする請求項1に記載の金属薄膜型磁
    気記録媒体。
  4. 【請求項4】 磁気抵抗効果型(MR)ヘッドを用い
    て、情報の記録、再生を行うことを特徴とする請求項1
    に記載の金属薄膜型磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 上記磁性層上に、4〜15〔nm〕の厚
    さのカーボン保護膜が形成されて成ることを特徴とする
    請求項1に記載の金属薄膜型磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 上記磁性層が、スパッタ法により形成し
    たCr下地層を介して、上記非磁性支持体上に形成され
    て成り、該磁性層が、CoCrTa、CoCrPt、C
    oCrPtTa、CoPtSiO2 、CoPtB−O
    の、少なくともいずれかよりなることを特徴とする請求
    項1に記載の金属薄膜型磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 上記磁性層が、下地層を介することな
    く、上記非磁性支持体上に形成されて成ることを特徴と
    する請求項1に記載の金属薄膜型磁気記録媒体。
  8. 【請求項8】 上記磁性層が、Co,CoNi,および
    その酸化物、CoCrTa,CoCrPt,CoCrP
    tTa,CoPtSiO2 、CoPtB−Oの少なくと
    も一種よりなることを特徴とする請求項7に記載の金属
    薄膜型磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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