JP2002087571A - 低騒音型オフセットチェーン - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 リンク本体同士の衝突音及び摺接音を低減す
ることができるオフセットチェーンを提供すること。 【解決手段】 チェーン１０は、同一形状のリンク１２
が連結ピン１４により無端状に連結されてなる。リンク
本体１６のプレート２０，２０の一端にはブシュ２２が
設けられている。プレート２０，２０の他端にはピン孔
２８が形成されている。プレート２０，２０の一端のそ
れぞれの外側に、リンク本体１６の材質と異材質の樹脂
部分３０，３０が一体成形されている。隣合うリンク同
士の連結ピン軸方向の衝突や摺接は異材質間で生じ、騒
音を低減する効果を期待することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、リンクを連結ピン
によって無端状に連結してなるオフセットチェーンに関
する。より詳細には、本発明は、連結ピンの軸方向で隣
合うリンク同士が接触するときに生じる騒音を低減する
ことができるオフセットチェーンに関する。

【０００２】

【従来の技術】オフセットチェーンは、特開２０００−
７２２１４の図２に記載されるように、同一形状の樹脂
製リンク本体を連結ピンによって無端状に連結してな
る。前記公報記載のオフセットチェーンは、リンク本体
に、同一材質の樹脂よりなるトッププレートが一体成形
されている。この種のオフセットチェーンでは、リンク
本体の一端において連結ピンが貫通するブシュ孔が形成
されるとともに、リンク本体の他端において連結ピンが
嵌合する一対のピン孔が形成されている。１つのリンク
のブシュ孔と隣合うリンクのピン孔とを整列させて連結
ピンをそれぞれの孔に挿通することで、リンクは無端状
に連結される。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】オフセットチェーンを
走行させる場合、隣合うリンクのリンク本体が連結ピン
の軸方向に相対移動し、リンク本体が互いに接触するこ
とよって騒音が発生する。この騒音は、リンク本体同士
に連結ピンの軸方向隙間が存在することによって生じ
る。しかし、前記隙間は、可及的小さくできるにして
も、リンク同士の屈曲を円滑にするためには、ある程度
は確保しなければならない。特に、曲線搬送用に構成さ
れたオフセットチェーンでは、積極的に前記隙間を大き
くしてリンク同士の水平方向の屈曲を許容しているの
で、リンク本体同士の衝突による騒音は大きくならざる
を得ない。

【０００４】本発明の目的は、上記隙間があっても、リ
ンク本体同士の衝突音及び摺接音を低減することができ
るオフセットチェーンを提供することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、リンクを構成
するリンク本体の一端に連結ピンが貫通するブシュ孔が
形成されるとともに、リンク本体の他端に前記連結ピン
が嵌合する一対のピン孔が形成され、隣合うリンク本体
同士を前記連結ピンで無端状に連結した樹脂製オフセッ
トチェーンにおいて、連結ピン軸方向で対向するリンク
本体対向面の一方に、リンク本体を成形する樹脂と異材
質の樹脂を成形した低騒音型オフセットチェーンにより
前記課題を解決した。

【０００６】オフセットチェーンが走行する場合、リン
ク本体が連結ピン軸方向に相対移動するが、このときリ
ンク本体同士の衝突や摺接は、異材質部材間の衝突や摺
接となる。リンク本体を強度的に有利な材質で構成し、
リンク本体対向面の一方に柔らかい材質の樹脂を成形す
ることにより、強度及び耐摩耗性が必要なリンク本体の
機能を満足させ、騒音が生じる部位のみ騒音低減に有利
な材質で成形することにより、強度等を維持した状態で
騒音の対策を施すことができる。

【０００７】また、本発明では、前記ブシュ孔が形成さ
れたブシュを含む前記リンク本体の一端が、リンク本体
を成形する樹脂と異材質の樹脂で成形されている低騒音
型オフセットチェーンを提供する。この発明は、リンク
本体間で生じる騒音低減に加えて、スプロケットとの噛
合時に生じる騒音低減にも着目している。リンク本体間
で生じる騒音は、対向面を異材質にすることで低減する
ことができる。オフセットチェーンでは、スプロケット
がリンク本体のブシュに噛合するので、比較的柔らかい
材質でブシュを構成することが好ましい。例えば、リン
ク本体をポリアセタール樹脂で成形し、ブシュ孔を含む
リンク本体の一端をポリアミド樹脂で成形することによ
り、リンク本体同士の衝突及び摺接によって生じる騒音
とリンク本体とスプロケットとの衝突及び摺接によって
生じる騒音を合わせて低減することができる。

【０００８】本発明では、異材質成形によってオフセッ
トチェーンを構成することが好ましい。このうち、異材
質成形とは、リンク本体を構成する樹脂をコア内で１次
成形した後、異材質の樹脂を同一コア内又は異なるコア
内で２次成形する方法であり、例えば、プラスチック成
形品に、さらにエラストマーを射出成形する方法であ
る。これらの方法によれば、２以上の材質の樹脂を一体
に成形することができ、別部材の樹脂を組立ることによ
ってオフセットチェーンを構成するよりも、部品管理コ
スト及び製造コストを低減できる効果がある。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明によ
るオフセットチェーンを説明する。図１乃至図３は、本
発明による低騒音型オフセットチェーンの第１の実施の
形態を示し、図１はオフセットチェーンを底部から見た
斜視図、図２はオフセットチェーンの側面図、図３はオ
フセットチェーンの底部断面図である。本実施の形態の
オフセットチェーンは、樹脂製テーブルトップチェーン
である。このチェーン１０は、同一形状のリンク１２が
連結ピン１４により無端状に連結されてなる。それぞれ
のリンク１２は、隣合うリンクを牽引するリンク本体１
６と物品を載荷するトッププレート１８よりなる。本実
施の形態では、リンク本体１６とトッププレート１８は
一体であるが、これらが別体に成形された後、リンク１
２として組み立てられるものもある。

【００１０】リンク本体１６は、左右一対の鏡像対象の
プレート２０，２０を有する。プレート２０，２０の一
端には、これらのプレート２０，２０間で一体に成形さ
れたブシュ２２が設けられている。ブシュ２２には、連
結ピン１４が貫通し、連結ピン１４を遊嵌するブシュ孔
２４が形成されている。プレート２０，２０の他端の対
峙する円形肉厚部２６には、連結ピン１４を嵌合するＤ
形状のピン孔２８が形成されている。整列するブシュ孔
２４とピン孔２８にＤ形状の連結ピン１４を挿通するこ
とで、リンク１２は連結ピン１４を中心に屈曲自在に連
結される。

【００１１】リンク１２が屈曲自在であるためには、１
つのリンク本体１６の一端と隣合うリンク本体１６の他
端とが、連結ピン軸方向の対向面において隙間を持つこ
とが必要であり、この隙間が原因してリンク本体１６同
士の衝突や摺接により騒音が発生する。本発明では対向
面の一方、本実施の形態ではプレート２０，２０の一端
のそれぞれの外側に、異材質の樹脂部分３０，３０が一
体成形されている。異材質樹脂部分３０を設けることに
より、隣合うリンク同士の連結ピン軸方向の衝突や摺接
は異材質間で生じることにより、同材質でリンクを構成
する場合と比較して騒音を低減する効果を期待すること
ができる。

【００１２】本実施の形態では、異材質樹脂部分３０，
３０は、プレート２０，２０の厚みを一部占有するだけ
であり、リンク間に生じる牽引力はプレート２０，２０
だけでも負担できる構造となっている。従って、強度を
要するリンク部分は、強度に有利な材質の樹脂を選定
し、異材質樹脂部分３０について比較的柔らかい材質の
樹脂を選定することにより、強度等を確保した状態で騒
音を低減することができる。

【００１３】異材質樹脂部分３０は、異材質成形によっ
てリンク本体１６に一体に成形することが好ましい。当
該成形法によれば、リンク本体１６中に異材質樹脂部分
を一体成形することができ、部品点数増加による製造コ
スト及び管理コストを抑えて低騒音化を図ることができ
るからである。また、異材質樹脂部分３０は、図示され
るように、ブシュ孔２４を囲繞してリンク本体１６に一
体成形されていることが好ましい。２種以上の樹脂を一
体成形することによりウェルドが生じるが、仮にウェル
ドから異材質樹脂部分３０が離反するようなことが生じ
ても、異材質樹脂部分３０はチェーンから脱落するよう
なことがない。この観点からは、異材質樹脂部分３０の
厚みを最大隙間より厚くしておくことが好ましい。こう
することにより、異材質樹脂部分３０が所定の位置から
ずれることもなくなる。

【００１４】図４乃至図６は、本発明による低騒音型オ
フセットチェーンの第２の実施の形態を示し、図４はオ
フセットチェーンを底面から見た斜視図、図５はオフセ
ットチェーンの側面図、図６はオフセットチェーンの底
部断面図である。第１の実施の形態のオフセットチェー
ン１０と同様に、オフセットチェーン５０は、リンク５
２が連結ピン５４によって無端状に連結され、リンク５
２は、左右一対のプレート６０，６０、ブシュ６２を備
えたリンク本体５６と、トッププレート５８よりなる。
ブシュ６２にはブシュ孔６４が形成されるとともに、プ
レート６０，６０の円形肉厚部６６にはピン孔６８が形
成されている。

【００１５】本実施の形態では、異材質樹脂部分７０
は、ブシュ６２を含むプレート６０，６０の一端に成形
されている。こうすることにより、隣合うリンク同士の
連結ピン軸方向の衝突や摺接は異材質間で生じることに
より、同材質でリンクを構成する場合と比較して騒音を
低減する効果を期待することができる。また、ブシュ６
２を含めて異材質樹脂部分７０を設けることにより、ス
プロケットとの間の騒音を低減させることも可能とな
る。オフセットチェーン５０は、スプロケットと噛合す
る際、専らブシュ６２がスプロケットと接触する。スプ
ロケットの材質が決まっている場合には、リンク本体５
６の材質及びスプロケットの材質を考慮した上で、材質
を選定することにより、さらなる騒音低減効果を期待す
ることができる。

【００１６】好ましい樹脂の組合せとしては、オフセッ
トチェーンの使用条件によっても異なるが、例えば、リ
ンク本体をポリアセタール樹脂とし、異材質樹脂部分を
ポリアミド樹脂とすることが考えられる。上記材質は単
なる例示であり、材質の選定に際しては、オフセットチ
ェーンの使用条件やコストをを十分に考慮すべきであ
る。

【００１７】

【発明の効果】請求項１の発明は、連結ピン軸方向で衝
突や摺接するリンク本体の対向面の一方に、リンク本体
を成形する樹脂と異材質の樹脂を成形したので、リンク
本体同士の衝突や摺接は、異材質間の衝突や摺接とな
り、同材質間の衝突や摺接に比べて騒音を低減する効果
を期待することができる。特に、曲線搬送用チェーンの
ように、リンク本体同士の連結ピン軸方向隙間が大きく
ならざるを得ないチェーンでは、この発明のように、材
質を異ならせることで大きな騒音低減効果を期待するこ
とができる。また、リンク本体の材質を強度や耐摩耗性
に優れた材質から選定し、リンク本体対向面の一方を構
成する材質を柔らかい材質から選定することにより、強
度を維持した状態で騒音を低減することができる。

【００１８】請求項２の発明では、ブシュ孔が形成され
たブシュを含むリンク本体一端を異材質の樹脂から成形
したので、この異材質部分は、隣合うリンクのリンク本
体との接触や摺接によって生じる騒音を低減できる効果
を期待できることに加え、比較的柔らかい材質でブシュ
を構成することにより、オフセットチェーンとスプロケ
ットとの噛合時に生じる騒音も低減できる効果を期待す
ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明によるオフセットチェーンの第１の実
施の形態を底面から見た斜視図。

【図２】 図１のオフセットチェーンの側面図。

【図３】 図１のオフセットチェーンの底面断面図。

【図４】 本発明によるオフセットチェーンの第２の実
施の形態を底面から見た斜視図。

【図５】 図４のオフセットチェーンの側面図。

【図６】 図４のオフセットチェーンの底面断面図。

【符号の説明】

１０，５０ オフセットチェーン １２，５２ リンク １４，５４ 連結ピン １６，５６ リンク本体 １８，５８ トッププレート ２０，６０ プレート ２２，６２ ブシュ ２４，６４ ブシュ孔 ２６，６６ 円形肉厚部 ２８，６８ ピン孔 ３０，７０ 異材質樹脂部分

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 リンクを構成するリンク本体の一端に連
   結ピンが貫通するブシュ孔が形成されるとともに、リン
   ク本体の他端に前記連結ピンが嵌合する一対のピン孔が
   形成され、隣合うリンク本体同士を前記連結ピンで無端
   状に連結した樹脂製オフセットチェーンにおいて、 連結ピン軸方向で対向するリンク本体対向面の一方に、
   リンク本体を成形する樹脂と異材質の樹脂を成形したこ
   とを特徴とする、低騒音型オフセットチェーン。
2. 【請求項２】 前記ブシュ孔が形成されたブシュを含む
   前記リンク本体の一端が、リンク本体を成形する樹脂と
   異材質の樹脂で成形されている、請求項１記載の低騒音
   型オフセットチェーン。