JP2002080834A - 高耐水性を有する硬化塗膜 - Google Patents

高耐水性を有する硬化塗膜

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JP2002080834A
JP2002080834A JP2000274433A JP2000274433A JP2002080834A JP 2002080834 A JP2002080834 A JP 2002080834A JP 2000274433 A JP2000274433 A JP 2000274433A JP 2000274433 A JP2000274433 A JP 2000274433A JP 2002080834 A JP2002080834 A JP 2002080834A
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cured coating
coating film
silica
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JP2000274433A
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Kunihiko Terase
邦彦 寺瀬
Maki Inoue
真樹 井上
Atsushige Fujii
淳成 藤井
Hidekazu Ono
英一 小野
Takayoshi Sasaki
隆好 佐々木
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DOKAI CHEMICAL IND CO Ltd
Dokai Chemical Industries Co Ltd
Original Assignee
DOKAI CHEMICAL IND CO Ltd
Dokai Chemical Industries Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鱗片状シリカ粒子及び機能性微粒子を含有
する高耐水性の硬化塗膜を提供する。 【解決手段】 粗面処理を施した基材表面に、鱗片状
シリカの薄片1次粒子の面間が平行的に配向し重なって
形成される葉状シリカ2次粒子からなる鱗片状シリカ粒
子及び機能性微粒子及びさらに所望により粒子結着剤を
含有させた硬化性組成物を塗布乾燥して高耐水性の硬化
塗膜とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鱗片状シリカ粒子
及び機能性微粒子を含有する高耐水性を有する硬化塗膜
に関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者らは、先に、鱗片状シリカの薄
片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なっ
て形成される葉状シリカ2次粒子から実質的になり、互
いに独立に存在する積層構造の粒子形態を有する鱗片状
シリカ粒子及び機能性微粒子を含有する硬化塗膜を提案
した(特願平11−351182号)。
【0003】上記の硬化塗膜の用途の一つとして、ガラ
ス、セラミックス、金属板等の基材の表面にこの硬化塗
膜を形成することにより、当該硬化塗膜は、当該基材が
高温で使用される際の耐熱性の表面保護コート(塗料)
として好適に使用される。また、当該硬化塗膜中には、
一部であれば、高温耐熱性を実質的に損なわない範囲で
有機高分子物質等をバインダーとして含有させることも
可能である。
【0004】本発明の目的は、このような硬化性塗膜中
の葉状シリカ2次粒子と機能性微粒子との総量が占める
含有率が、60質量%以上と高い所謂耐熱性の無機系硬
化塗膜と称されるものにおいて、当該塗膜中に含有され
る機能性微粒子の含有量が、10質量%以上と多い場合
に問題となりうる、擦触下における耐水性をより向上さ
せることである。
【0005】擦触下における耐水性とは、単に塗膜を水
中に浸漬した状態での膨れや剥離の有無で耐水性を評価
するものではなく、さらに過酷な条件下における評価方
法であって、当該塗膜を水中に静置浸漬した後に、水に
濡れた状態のままで、指で強く擦って評価するものであ
る。すなわち、水に浸漬された硬化塗膜を指で擦ること
により、硬化塗膜にわずかな膨潤感が感じられたり、指
先に硬化塗膜表面から剥離した機能性微粒子の一部が付
着したり、あるいは、極端な場合でも硬化塗膜の一部が
剥離することがあってはならないとする過酷な評価方法
なのである。このように、本発明にかかる硬化塗膜が耐
熱性ばかりでなく擦触下における耐水性をも具備した場
合は、当該基材表面の塗膜を破損することなく、これに
洗浄液等をスプレーしながら洗浄機械のブラシやパッド
で機械的に擦りつつ洗浄することも可能となるので、そ
の用途が一層広がることが期待される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、以上
のごとく、本発明者らにより創成された葉状シリカ2次
粒子及び機能性微粒子を含有する硬化塗膜において、こ
れにより高い耐水性を付与し、JIS法による耐水性評
価法を満足することはもちろん、JIS法よりもさらに
過酷な、「擦触法耐水性評価法」(試験法については、
後記実施例において記載する。)を適用した場合におい
ても、充分に高い耐水性を有する硬化塗膜とすることで
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明に従え
ば、基材表面に形成された硬化塗膜であって、当該塗膜
は、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的
に配向し複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子
からなる互いに独立に存在する積層構造の粒子形態を有
する鱗片状シリカ粒子及び機能性微粒子とから実質的に
なり、擦触法耐水性試験方法において高耐水性を有する
ことを特徴とする硬化塗膜、が提供される。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0009】(本発明の硬化塗膜における鱗片状シリカ
粒子)本発明の硬化塗膜は、基本的に鱗片状シリカ粒子
と機能性微粒子からなるものであるが、まず鱗片状シリ
カ粒子について簡単に説明する。
【0010】本発明の鱗片状シリカ粒子とは、鱗片状シ
リカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数
枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子から実質的に
なり、互いに独立に存在する積層構造の粒子形態を有す
る鱗片状シリカ粒子である。
【0011】当該粒子の平均粒子径は、特に限定するも
のではないが、本発明で使用する場合は、通常0.00
1〜20μm、好ましくは0.01〜10μm、さらに
好ましくは0.1〜10μm程度である。ここで、平均
粒子径の測定方法として、レーザー回折/散乱式粒度測
定装置(例えば、堀場製作所製、LA−920型)、動
的光散乱式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、
LB−500型)、或いはコールターカウンター(例え
ば、コールターエレクトロニクス社製、MA−II型)等
で粒子径の範囲に応じて適宜適用することにより測定さ
れる。
【0012】このシリカ2次粒子は、鱗片状1次粒子が
重なって形成されるものであるが当該1次粒子は、走査
型電子顕微鏡(SEMとも略称される。)では、識別で
きず、これが面間が平行的に配向して複数枚重なった葉
状2次粒子だけが識別できるものであり、また、透過型
電子顕微鏡(TEMとも略称される。)を用いて観察す
ると、電子線が一部透過するような極薄片粒子である1
次粒子が識別できるようなものである。なお、1次粒子
の層間の結合は極めて強固であって、葉状2次粒子か
ら、その構成単位である薄片状の当該1次粒子を1枚ず
つ剥離し、単離することは困難である。
【0013】本発明で使用する葉状シリカ2次粒子は、
シリカの3次凝集体粒子(3次粒子)を解砕することに
より得られる。なお、このシリカ3次凝集体粒子は、好
ましくは、本発明者らが先に提案した方法により製造で
きる(特開2000−72432号)。
【0014】すなわち、シリカヒドロゲル及びケイ酸ナ
トリウムまたは水酸化ナトリウム及び水を原料として、
160〜200℃程度の温度で水熱処理反応を行ないシ
リカ−Xやシリカ−Yを主体とする鱗片状シリカの3次
凝集体粒子を生成させるものである。
【0015】このようにして水スラリー状で得られたシ
リカ3次凝集体粒子を、本発明者らが先に提案した特定
の機械的方法(以下、「機械的解砕法」と称する。)に
より、葉状シリカ2次粒子へと解砕する方法(特願平1
1−351182号、特願2000−206264号)
により粉砕する。すなわち、当該3次凝集体粒子の水ス
ラリー(固形分濃度1〜30質量%)を、粉砕媒体を用
い機械的に高速撹拌する方式の湿式ビーズミルなどの装
置を用いて、葉状シリカ2次粒子へ解砕することにより
葉状シリカ2次粒子がスラリーとして得られる。
【0016】本発明で使用する葉状シリカ2次粒子の基
本物性は、以下のとおりである。当該シリカ2次粒子に
おけるシリカのSiO2 純度は、99.0質量%以上で
ある。pHは、6.0〜8.0であり、X線回折のスペ
クトルとしては、米国のASTM(American Society f
or Testing and Materials)に登録されているカード
(以下単にASTMカードと称する。)番号16−03
80に該当する2θ=4.9°、26.0°、及び2
8.3°の主ピークを特徴とするシリカ−X及び/また
はASTMカード番号31−1233に該当する2θ=
5.6°、25.8°及び28.3°の主ピークを特徴
とするシリカ−Yからなるシリカである。上記以外のピ
ークとしては、シリカ−Xの場合は、ASTMカード番
号31−1234、37−0386、シリカ−Yの場合
は、ASTMカード番号35−63、25−1332な
どのピークが認められるものである。
【0017】吸油量(JIS K5101)は、100
〜150ml/100gである。このシリカ2次粒子の
細孔分布をBET法(日本ベル社製、商品名ベルソープ
−28型)により測定すると、細孔容積は、0.05〜
0.15ml/g、比表面積は、30〜80m2 /gで
ある。
【0018】とくに注目すべきは、細孔分布曲線から
は、細孔直径2〜6nm、特には3.5〜4.0nm付
近に鋭い大きなピークが認められることである。
【0019】これは、メソ細孔領域(ミクロとマクロの
中間の細孔直径2〜50nmの領域)の細孔が顕著に存
在することを示している。すなわち、本発明における葉
状シリカ2次粒子は、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互
いに面間が平行的に配向し複数枚重なった積層構造また
はラメラ構造の粒子形態を有しているが、この重なり合
う薄片と薄片の間に形成される空隙部が、上記のメソ領
域の大きさの細孔として測定されると推察される。
【0020】また、当該シリカ(熱処理していない常温
でのSiO2 )の赤外吸収スペクトル(FT−IR)
は、3600〜3700cm-1、3400〜3500c
-1にそれぞれ1つの吸収帯をもつシラノール基をもつ
シリカである。また、BET法による比表面積当たりの
シラノール基の量を、いわゆる、加熱重量法で求められ
る120℃における加熱から1200℃における加熱ま
での平衡における質量の減少差の数値W(質量%)とB
ET法比表面積の数値SA(m2 /g)とを用いて、
(W×1111.1)/SA=SiOH(μmol/m
2 )という計算式からもとめたBET法による比表面積
当たりのシラノール基の量は、50〜70μmol/m
2 という大きな値を有している(シリカゲルの数倍)。
【0021】本発明における葉状シリカ2次粒子の耐熱
性については、空気雰囲気下、500〜1000℃で、
1時間加熱後、走査型電子顕微鏡で粒子の形態・寸法の
変化を観察したが、特段の変化は認められなかった。
【0022】当該シリカの酸水溶液及びアルカリ水溶液
に対する20℃での飽和溶解度は低い。すなわち、溶解
SiO2 濃度は、10質量%のH℃l水溶液に対して
は、0.008質量%、イオン交換水に対しては、0.
006質量%、5質量%NaOH水溶液に対しては、
0.55質量%、10質量%NaOH水溶液に対して
は、0.79質量%であり、酸、アルカリのいずれに対
しても、小さな溶解度であり、耐酸性、耐アルカリ性を
有することを示す。特に、シリカゲルやコロイダルシリ
カに比較して、非常に小さなアルカリ水溶液への溶解度
であり、耐アルカリ性を有することを示す。
【0023】本発明における葉状シリカ2次粒子の水ス
ラリーは、上記方法により製造することができるが、市
販されているものが入手可能であり(商品名:「サンラ
ブリーLFS」、製造元:洞海化学工業株式会社、販売
元:旭硝子株式会社)、これを好適に使用することが可
能である。
【0024】本発明における葉状シリカ2次粒子の水ス
ラリーは、本発明者らが先に提案(特願平11−351
182号)したように、金属、プラスチック、ガラス、
セラミックス、木材、セメント硬化体、石材、紙、皮革
などの基材表面に単独で塗布し乾燥あるいは加熱処理し
た場合には、顕著な自己造膜性(被膜形成機能)を有
し、強靭な硬化塗膜を形成するという極めて特徴的な性
質を有する。
【0025】本発明の対象とする硬化塗膜は、またこの
葉状シリカ2次粒子を、機能性微粒子と混合して、水ス
ラリー状態で基材の表面に塗布し、乾燥あるいは加熱処
理した場合には、上記したそれ自身の被膜形成機能とと
もに、機能性微粒子に対する顕著な粒子結着作用(バイ
ンダー作用)を示し、強靭な硬化塗膜を形成せしめるこ
とができる。
【0026】本発明においては、鱗片状粒子が、いわゆ
る層状ポリケイ酸またはその金属の塩と総称されるシリ
カである場合が最も好ましい。ここで層状ポリケイ酸と
は、基本構成単位がSiO4 四面体だけからなるシリケ
ート層構造のポリケイ酸を云う。
【0027】層状ポリケイ酸又はその塩とは、例えばシ
リカ−X、シリカ−Y、ケニアアイト、マガディアイ
ト、マカタイト、アイラアイト、カネマイト、オクトシ
リケート等であり、例えば層状ポリケイ酸塩を酸処理す
ることによりケイ酸塩中のアルカリ金属等が水素イオン
でイオン交換されたH型のものや、当該酸処理前のアル
カリ金属塩等の塩型のものなどの総称である。なお、本
発明において層状ポリケイ酸とは、上記H型及びアルカ
リ金属等の塩型の両者を意味する。
【0028】本発明においては、アルカリ金属塩型の層
状ポリケイ酸塩とアルカリ金属塩型の層状ポリケイ酸塩
の両者を使用できるが、両者を比較した場合には、アル
カリ金属塩型の層状ポリケイ酸塩は、pHが高アルカリ
性であり、H型層状ポリケイ酸は、pHが中性に近いの
で、本発明においては、H型層状ポリケイ酸の方が、よ
り適している。
【0029】これらのうち、後に層状ポリケイ酸の一種
として知られているシリカ−Xは、A.Heydemann によ
り、最初に詳細に報告されており(Beitr.Mineral. Petr
ogr.,10,242-259(1964) 、次いでシリカ−Xの類似結晶
及びシリカ−Yについては、B.A.Mitsyuk により報告さ
れ(Geochem.Int.13,101-111(1976))、さらにシリカ−X
及びシリカ−Yについては、 S. Kitahara等によっても
報告されている(Proc.Inst.Symp.Hydrotherm.React.,1
s,480-495t(1983))。
【0030】一方、その他の層状ポリケイ酸及びその塩
としては、カネマイト、マカタイト、マガディアイト、
ケニアアイト、アイライト、オクトシリケート等の天然
或いは合成の層状ポリケイ酸又はその塩が知られてお
り、これに関する研究報告は数多い。例えば、日本国内
では、代表的、先進的な論文として、小菅勝典、粘土科
学、33(4),215-222 (1994)、があり、またケニアアイト
については、K.Beneke etal., American Mineralogist,
68,818-826,(1983) などがある。なお、層状ポリケイ酸
又は層状ポリケイ酸塩に関する命名については、黒田に
よる総説において述べられている( 表面,vol.27,No.2,
77-88(1989))。
【0031】上記層状ポリケイ酸は、通常、鱗片状粒子
(実際は、極薄片1次粒子が積層した2次粒子である)
が不規則に重なり合って形成される間隙を有するシリカ
3次凝集体粒子であるので、水スラリー状態で、本発明
者が先に提案した機械的解砕方法を適用することによ
り、同様にして、葉状シリカ2次粒子が得られ、本発明
に、好適に使用できる。なお、層状ポリケイ酸から得ら
れる葉状シリカ2次粒子の中では、シリカ−X、シリカ
−Y、H型ケニアアイト、H型マガディアイトなどが、
最も本発明に適している。
【0032】すでに述べたように、本発明で使用する被
膜形成性の葉状シリカ2次粒子は、H型層状ポリケイ酸
の3次凝集体を、本発明者らにより見出された特定の機
械的方法により解砕することにより得られるものであ
る。
【0033】解砕処理後の平均粒子径は、葉状シリカ2
次粒子の基本的粒子形状を実質的に破壊することなく、
処理前に比較して大幅に小さくなることが認められ、ま
た、走査型電子顕微鏡による分散粒子の観察においても
葉状シリカ2次粒子が、互いに独立に存在している事
が、明確に判明している(特願平11−351182
号、特願2000−206264号)。
【0034】従って、我々の認識している限り、層状ポ
リケイ酸又は層状ポリケイ酸塩の水スラリー状態のシリ
カ3次凝集体粒子を、本発明に適した葉状シリカ2次粒
子へと解砕する方法としては、上記の機械的解砕法が、
最も適しているといえる。
【0035】これに対し、従来、この3次凝集体粒子を
水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム
などのアルカリ水溶液で処理することにより化学的に解
砕・分散化する提案がなされている(例えば、小菅勝典
ら、Journal of the CeramicSociety of Japan,100(6),
872-875(1992)、小菅勝典ら、ゼオライト、13(3),89-96
(1996) 、特公平6−104565など)( 以下、「化
学的解砕法」と称する。)。
【0036】しかしながら、本発明者らが上記提案のよ
うな粒子分散処理法を、ナトリウム型ケニアアイト等を
例にして当該公知例の方法に準じて詳細に検討した結
果、当該化学的解砕法によっては、本発明に使用してい
る葉状シリカ2次粒子に相当する形態の粒子は得られな
いことを確認した。すなわち、化学的解砕法により処理
した後の粒子を、走査型電子顕微鏡で観察すると、見掛
上、粒子が解砕されているように観察されるが、分散処
理前後の粒子径分布を、粒度分布測定装置(例えば、コ
ールターカウンター、レーザー回折/散乱式粒度分布測
定装置、動的光散乱式粒度分布測定装置等)により測定
した結果では、粒子径分布は、上記処理前後であまり大
きな変化は認められず、粒子分散によって、当然認めら
れるべき平均粒子径の大幅な低下は、認められなかっ
た。また、得られた粒子は、本発明で使用する鱗片状シ
リカ2次粒子と異なり、室温乾燥条件下では、強固な被
膜形成機能は有しない。
【0037】(機能性微粒子)本発明においては、鱗片
状シリカ粒子とともに硬化塗膜を形成する構成成分とし
て機能性微粒子を使用する。ここで機能性微粒子とは、
例えば以下に記載するものが例示される。すなわち、
【0038】まず、代表的なものとして、機能性微粒子
が顔料である場合があげられる。例えば通常の塗料やコ
ーティング剤に配合される着色顔料、例えば、亜鉛華
(酸化亜鉛)、チタン白(二酸化チタン)、カーボンブ
ラック、鉄黒(Fe34 )、ベンガラ(Fe2
3 )、黄鉛(クロム酸鉛)、黄土(天然物)、紺青(F
4 〔Fe(CN)63 ・nH2 0)、群青(Na6
Al6 Si624X )、クロムバーミリオン(クロム
酸鉛と硫酸鉛の混結晶)、金属微粉などの無機顔料やレ
ーキ顔料やトナーなどの各種有機顔料があげられる。
【0039】一方、通常の塗料やコーティング剤に配合
される体質顔料と呼ばれる顔料であってもよい。これ
は、増量、補強、つや消しなどの目的で単独又は着色顔
料とともに使用され、これ自体には着色力が殆どない顔
料である。例えば、アルミナ、アルミナ白、クレー、セ
ッコウ、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、
硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸マグネシウム、グロ
ス・ホワイト、ベントナイト、ホワイトカーボン(沈降
性シリカ)などがあげられる。
【0040】また、その他の機能性微粒子としては、熱
的機能(断熱機能など)を有する機能性微粒子(例え
ば、ガラスマイクロバルーン、ゾノトライトなど)、光
学的機能(紫外線遮蔽機能など)を有する機能性微粒子
(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、酸化
鉄、酸化ジルコニウムなど)、電気・磁気的機能(電波
吸収機能や電磁波遮蔽機能など)を有する機能性微粒子
(例えば、金属微粉、カーボン微粉、フェライトな
ど)、吸着及び/又は脱着機能を有する機能性微粒子
(シリカゲル、シリカ・アルミナゲル、活性炭、合成ゼ
オライトなど)、触媒機能(光酸化触媒機能など)をす
る機能性微粒子(例えば、アナターゼ型酸化チタンな
ど)、対生物機能(抗菌機能など)を有する機能性微粒
子、芳香・消臭機能を有する微粒子、その他、ガラスや
プラスチックなどの基体の機械的あるいは化学的損傷か
ら保護する機能を付与するために使用される機能性微粒
子などがあげられる。これらは、2種以上を併用しても
よい。
【0041】本発明において、硬化塗膜中における葉状
シリカ2次粒子と機能性微粒子との総量の固形分換算質
量含有率は、60〜100質量%であることが好まし
く、また、機能性微粒子の硬化塗膜中の固形分換算質量
含有率は、10質量%以上であることが好ましい。
【0042】(粒子結着剤(バインダー))本発明にお
ける葉状シリカ2次粒子は、自己造膜性を有するととも
に、それ自身顕著な粒子結着作用(バインダー作用)を
示すものであり、葉状シリカ2次粒子と機能性微粒子と
で強固な硬化塗膜を形成することができるが、本発明の
塗膜においては、さらに、これ以外の粒子結着剤を含有
していてもよい。
【0043】このような粒子結着剤を葉状シリカ2次粒
子に配合して併用した場合には、機能性微粒子に対する
粒子結着作用を、さらに向上させることができる。本発
明においては、当該2次粒子に配合する結着剤を「粒子
結着剤」又は「バインダー」と称する。
【0044】かかる粒子結着剤としては、もっとも代表
的には、有機高分子物質、コロイダルシリカ及びアルカ
リ金属ケイ酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種
である。
【0045】有機高分子物質としては、これらに限定す
るものではないが、例えば、アクリル樹脂系、ウレタン
樹脂系、シリコン樹脂系、スチレン樹脂系、エポキシ樹
脂系、フッ素樹脂系、塩化ビニル樹脂系及びポリエステ
ル樹脂系からなる群から選ばれる少なくとも1種である
単独樹脂系、及びこれらの少なくとも2種以上の共重合
樹脂系、または、これらの単独樹脂系と共重合樹脂系と
を2種以上を混合もしくは複合したものである。
【0046】これらの有機高分子物質を本発明において
使用する場合は、水性エマルション状態のものがハンド
リングが容易で好ましい。
【0047】これらのうち、後述する擦触法耐水性試験
法において、特に良好な耐水性を付与することができる
有機高分子物質としては、(メタ)アクリル樹脂系、ウ
レタン樹脂系及びシリコン樹脂系からなる群から選ばれ
る少なくとも1種である単独樹脂系、及びこれらの少な
くとも2種以上の共重合樹脂系、または、これらの単独
樹脂系と共重合樹脂系とを2種以上を混合あるいは複合
したものが好ましい。
【0048】さらに、(メタ)アクリル樹脂系のエマル
ション粒子内にアルコキシシリル基を有する所謂アクリ
ルシリコン樹脂エマルションが、最も好ましい。
【0049】本発明において、硬化塗膜中の固形分換算
量での有機高分子物質の添加量としては、1〜40質量
%が好ましい。添加量が1質量%未満では、耐水性向上
への添加効果が乏しく、添加量が40質量%を越えて添
加しても、それ以上の耐水性向上の効果が得られない。
【0050】また、コロイダルシリカを結着剤として使
用する場合、平均粒子径が、数nm〜100nmの、粒
子形状が球状又は不定形の非晶質シリカの微粒子が20
〜50質量%の固形分濃度で水中に安定分散したスラリ
ー状態のものが好ましい(例えば、触媒化成工業社製、
商品名カタロイドーS、日産化学工業製、商品名スノー
テックスなどがある。)。
【0051】硬化塗膜中の固形分換算量でのコロイダル
シリカの添加量としては、1〜40質量%が好ましい。
添加量が1質量%未満では、耐水性向上への添加効果が
乏しく、添加量が40質量%を越えて添加しても、それ
以上の耐水性向上の効果が得られない。
【0052】また、アルカリ金属ケイ酸塩を結着剤とす
る場合、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム及びケイ酸
リチウムからなる群から選ばれる少なくとも1種のアル
カリ金属ケイ酸塩を水溶液の状態で使用する。
【0053】アルカリ金属ケイ酸塩の硬化塗膜中の固形
分換算量での添加量としては、1〜40質量%が好まし
い。添加量が1質量%未満では、耐水性向上への添加効
果が乏しく、添加量が40質量%を越えて添加しても、
それ以上の耐水性向上の効果が得られない。
【0054】(硬化塗膜の形成方法)本発明における硬
化塗膜は、葉状シリカ2次粒子の水スラリー、機能性微
粒子、及び必要に応じて粒子結着剤を含む硬化性組成物
を基材表面に塗布・乾燥することにより得られる。かか
る硬化性組成物の調整は、葉状シリカ2次粒子の水スラ
リー、機能性微粒子及び所望により粒子結着剤、さらに
必要に応じて水とを混合して硬化性組成物の水スラリー
とすることによりなされる。水スラリーの混合手段とし
ては、特に限定するものではなく、撹拌羽根を有する撹
拌装置や、分散ビーズを用いる湿式分散機などが適用で
きる。
【0055】なお、粒子結着剤として、水性エマルショ
ン状態の有機高分子物質を、葉状シリカ2次粒子の水ス
ラリーと混合して使用する場合においては、以下の点に
ついて注意することが好ましい。
【0056】すなわち、一般的に、水性エマルション状
態の有機高分子物質は、そのエマルション状態の安定性
につきpH依存性が高いので、当該水性エマルションと
葉状シリカ2次粒子の水スラリーとを混合した場合に、
当該混合によりpHが変化することにより、有機高分子
物質の水性エマルション状態が、不安定になったり、あ
るいは極端な場合には、当該水性エマルション状態が破
壊されゲル化するような場合がある。従ってこのような
場合には、葉状シリカ2次粒子の水スラリーのpHを、
当該水性エマルション状態の有機高分子物質のpHに実
質的に一致させるように、予めpH調整してから、両者
を混合することが好ましい。
【0057】なお、一般的な注意として、本発明におけ
る葉状シリカ2次粒子の水スラリーに、水性エマルショ
ン状態の有機高分子物質を混合して硬化塗膜を形成する
目的が、粒子結着作用以外の、塗料やコーティング剤と
しての硬化塗膜形成の場合であっても、有機高分子物質
のエマルション状態を安定的に維持するため、同様なp
H調整に関する考慮を行うことが好ましい。
【0058】本発明においては、硬化塗膜を形成させる
基材表面が粗面化処理されていることを特徴とする。粗
面化処理の手段としては、基材表面に微細な凹凸及び/
又は傷を形成させるために通常採用される手段が適用可
能であり、特に限定するものではないが、サンドブラス
ト処理、サンドクロス処理、化学研磨処理及び電解研磨
処理からなる群より選択される少なくとも1種の処理に
より行われることが好ましい。これらの粗面化手段は、
対象とする基材の種類や目的とする表面粗さの程度に応
じて適宜選択される。
【0059】かくして粗面化処理された基材の表面粗さ
の最大高さ(Ry)は、1〜100μm、好ましくは1
〜50μm、さらに好ましくは1〜30μmである。
【0060】ここで表面粗さの最大高さRy(Rmax
とも表示される。)とは、JISB0601−1994
により規定されているように、表面粗さ計で測定した、
対象基材の表面(対象面)の粗さ曲線からその平均線の
方向に基準長さだけを抜取り、この抜取り部分の山頂線
と谷底線との間隔を粗さ曲線の縦倍率の方向に測定した
ものをμmで表示したものである。
【0061】このようにして、例えばステンレス鋼基
材、アルミニウム基材等の金属製基材の場合、基材の表
面に対して、サンドブラスト処理、サンドクロス処理の
ような微細な凹凸を形成させる粗面化処理をしたもの
に、上記調整した硬化性組成物を塗布し、塗膜を形成す
る。なお、金属製基材等を使用する場合は、定法によ
り、粗面化処理後に脱脂処理等の表面洗浄処理を行うこ
とが好ましい。
【0062】本発明において、硬化性組成物を基材表面
に塗布する手段としては、特定のものではなく、刷毛に
よる塗装、バーコ−ターによる塗装、噴霧塗装、静電塗
装など一般の塗料の塗装に使用される手段を使用でき
る。なお、当然のことながら、基材の粗面化処理は、金
属以外の基材についても行われる。
【0063】この塗膜は、塗布後に、好ましくは室温
(常温)で数時間程度乾燥後に、100〜1000℃、
好ましくは、250〜500℃程度の温度において、2
0分〜10時間、好ましくは30分〜5時間程度加熱処
理することにより、後記する擦触法耐水性試験評価にお
いても耐えうる、充分高い耐水性を有する硬化塗膜とな
しうるのである。かかる塗装後の乾燥あるいは加熱処理
方法については、特に限定するものではなく、一般の塗
装工程において、常用されている手段を使用できる。
【0064】なお、硬化塗膜において、機能性粒子の含
有量が例えば10%未満と少なく、有機高分子物質が3
0%以上と多い場合は、特に加熱することなく室温で長
時間(70〜120時間程度)乾燥することによっても
上記の基準を満たす耐水性塗膜となしうる。
【0065】なお、硬化性組成物を塗布する基材の表面
が粗面化処理されていない場合は、塗布後の加熱処理
を、十分高い温度(例えば、500℃)において行った
場合においても、擦触法耐水性試験評価に全く耐えな
い、低耐水性の硬化塗膜しか得られないことに注意を喚
起したい。
【0066】なお、本発明における葉状シリカ2次粒子
を含有しない、単なる高分子物質と顔料とからなる塗料
組成物のごとき従来の硬化性組成物の系では、基材の粗
面化処理を行った場合も、基材の粗面化処理を行なわず
例えば脱脂処理だけの場合であっても、両者には決して
このような極端な相異は、生じない。
【0067】このように、本発明における葉状シリカ2
次粒子を含有する硬化性組成物についてだけ、かかる大
きな差異が生ずる理由は、詳細には不明であるが、概略
次のようであると推定される。すなわち、基本的に、本
発明者らにより創成された葉状シリカ2次粒子は、既に
述べたように特異な物性を有し、溶媒である水に対して
溶解度が極めて小さな固体の微粒子であること、特異な
鱗片状の形状を有することのため、及びさらに機能性微
粒子の水への溶解度も極めて小さい場合には、粗面化さ
れた基材の表面の微細な凹凸内に当該微粒子が入り込
み、凹凸内で鉤のように引っ掛かって配向することによ
り強いアンカー効果が生じて、硬化塗膜の強度や耐水性
が大きく向上するためと推察される。
【0068】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。
【0069】なお、実施例において、基材表面の粗さ
は、表面粗さ計(ミツトヨ社製、Surftest402)により、
JIS B0601−1994に準拠して測定した。
【0070】〔実施例1〕 (1) 葉状シリカ2次粒子の固形分濃度15質量%の水
スラリー(洞海化学工業社製、旭硝子社販売、商品名:
サンラブリ−LFS(平均粒子径1.5μm(コールタ
ーエレクトロニクス社製、コールターカウンターMAII
型による測定値。以下、同じ。)、水スラリーのpH
6.4、ナトリウム濃度120ppm))を50g、機
能性微粒子として顔料用酸化チタン(石原産業社製、C
R−50、平均粒子径、0.25μm)を3.2g、水
1.7gとを添加して得られたスラリーを、小型媒体ビ
ーズミル(シンマルエンタープライゼズ社製、ダイノー
ミルKDL A型、以下の実施例及び比較例において同
じ。)を用いて高分散させ、硬化塗膜形成用の固形分濃
度24.2質量%の水スラリー状の硬化性組成物を得た
(固形分質量換算で、葉状シリカ2次粒子:酸化チタン
微粒子=70:30)。
【0071】(2) 次に、硬化塗膜を形成する基材とし
てステンレス板を(25mm×76mm×0.95m
m)を準備し、JIS K5400に準拠して、当該ス
テンレス板の表面を、クロス番号AA−240のサンド
クロスを用いてサンドクロス磨き処理した後、さらに脱
脂処理した(処理溶剤はキシレン:イソプロピルアルコ
ール=1:1混合液を使用)。
【0072】上記サンドクロス磨きをしたステンレス板
の表面の粗度を、走査型電子顕微鏡で観察したところ、
多数の微細な凹凸及び傷が形成されているのが観察され
た。また、当該表面の表面粗さの最大高さRyは、3.
0μmであった。
【0073】(3) 次いで、バーコーター塗り法(JI
S K5400)で、#40バーコーター(江藤器械社
製)を使用して、上記硬化性組成物を、上記ステンレス
板の片面に塗布し、室温で3時間乾燥した後、それぞ
れ、250℃、300℃、400℃、500℃で各1時
間、空気中で加熱処理をして試験片とした。各試験片の
塗布量は、固形分換算で、約31g/m2 であった。こ
の硬化塗膜は、上記の条件で加熱処理後も、均一で平滑
な硬化塗膜であった。
【0074】(4) 上記各加熱条件で加熱した後の硬化
塗膜について耐水性試験前におけるJIS K5400
に準拠して測定した鉛筆硬度試験及び碁盤目剥離試験の
結果を表1に示した。
【0075】次に、上記の硬化塗膜の試験片を、JI
S法耐水性試験法(室温の水中に当該試料片を18時間
静置浸漬し、水から試験片を引き上げた直後及び室温下
2時間静置して硬化塗膜の変化を評価する方法)、及び
擦触法耐水性試験法により評価した。この擦触法耐水
性試験法とは、室温の水中に当該硬化塗膜の試料片を2
4時間静置浸漬後、当該試験片を水中から取り出して、
直ちに台上に硬化塗膜面を上にして水平に置き、当該水
に濡れた状態の硬化塗膜を20〜40才の複数の健常な
成人が人指し指で体重をかけてできるだけ強く10回程
度擦り、硬化塗膜の変化の有無を調べるという、JIS
法に比較してさらに過酷な試験方法である。
【0076】両法の耐水性の試験結果を、表1に示し
た。以下の表1〜8中の○印は、良好な耐水性を示す硬
化塗膜であることを示し、擦触法耐水性試験方法におい
ても、擦った指先への機能性微粒子の一部の付着や硬化
塗膜が一部剥離するという現象が実質的に認められない
良好な耐水性を示すものである。本発明における「高耐
水性を有する」硬化塗膜とは、このような擦触法試験に
おいても、○で評価される良好な耐水性を有するものを
いう。
【0077】一方、硬化塗膜にわずかな膨潤感が感じら
れ、擦った指先に、硬化塗膜表面から剥離した機能性微
粒子の一部が、付着したり、硬化塗膜が一部剥離すると
いう現象が認められ、不良な耐水性を示す場合の評価は
×とする。
【0078】表1に示したように、葉状シリカ2次粒子
(70%)/無機顔料(30%)と、硬化塗膜の100
%が、無機物質からなり、その中の機能性微粒子である
無機顔料の含有量が、30質量%と多い場合において
も、加熱処理温度が250℃以上であれば、JIS法よ
りも過酷な評価方法である擦触法耐水性試験方法におい
ても、高い耐水性を発現する硬化塗膜が得られることが
わかった。また、250℃以上で加熱処理された硬化塗
膜の鉛筆硬度試験及び碁盤目剥離試験の結果も良好であ
った。
【0079】
【表1】
【0080】〔実施例2〕 (1) 実施例1で使用したものと同一の葉状シリカ2次
粒子の固形分濃度15質量%の水スラリーを50g、機
能性微粒子として顔料用酸化チタン(石原産業社製、C
R−50、平均粒子径0.25μm)を3.2g、コロ
イダルシリカ(触媒化成工業社製、商品名:SI−3
0、固形分濃度30質量%、粒子径約12nm)を1.
93g、水1.7gとを添加して得られたスラリーを、
小型媒体ビーズミルを用いて高分散させ、硬化塗膜形成
用の固形分濃度24.8質量%の水スラリー状の硬化性
組成物を得た(固形分質量換算で、葉状シリカ2次粒
子:酸化チタン微粒子:コロイダルシリカ微粒子=6
5:30:5)。
【0081】(2) 次に、硬化塗膜を形成する基材とし
てステンレス板を(25mm×76mm×0.95m
m)を準備し、JIS K5400に準拠して、当該ス
テンレス板の表面を、実施例1と同様にしてクロス番号
AA−240のサンドクロスを用いてサンドクロス磨き
処理した後、さらに脱脂処理した(処理溶剤はキシレ
ン:イソプロピルアルコール=1:1混合液を使用)。
【0082】上記サンドクロス磨きをしたステンレス板
の表面の粗度を、走査型電子顕微鏡で観察したところ、
多数の微細な凹凸及び傷が形成されているのが観察され
た。また、当該表面の表面粗さの最大高さRyは3.0
μmであった。
【0083】(3) 次いで、バーコーター塗り法(JI
S K5400)で、#40バーコーター(江藤器械社
製)を使用して、上記硬化性組成物を、上記ステンレス
板の片面に塗布し、室温で3時間乾燥した後、それぞ
れ、200℃、300℃、400℃、500℃で各1時
間、空気中で加熱処理をして試験片とした。各試験片の
塗布量は、固形分換算で、約32g/m2 であった。こ
の硬化塗膜は、上記の条件で加熱処理後も、均一で平滑
な硬化塗膜であった。
【0084】(4) 上記各加熱条件で加熱した後の硬化
塗膜について耐水性試験前におけるJIS K5400
に準拠して測定した鉛筆硬度試験及び碁盤目剥離試験の
結果を表2に示した。
【0085】次に、上記の硬化塗膜の試験片を、上記
JIS法耐水性試験法及び擦触法耐水性試験法により
評価した。両法の耐水性の試験結果を、表2に示した。
【0086】表2に示したように、葉状シリカ2次粒子
(65%)/無機顔料(30%)/コロイダルシリカ粒
子(5%)と、硬化塗膜の100%が、無機物質からな
り、その中の機能性微粒子である無機顔料の含有量が、
30質量%と多い場合において、加熱処理温度が200
℃以上であれば、JIS法よりも過酷な評価方法である
擦触法耐水性試験方法においても、高い耐水性を発現す
る硬化塗膜が得られることがわかった。なお、実施例1
と比較して、粒子結着剤(バインダー)として、コロイ
ダルシリカの添加が、擦媒法耐水性評価の際の所要加熱
処理温度レベルに、50℃の所要温度レベル低下の効果
があることが判明した。
【0087】また、200℃以上で加熱処理された硬化
塗膜の鉛筆硬度試験及び碁盤目剥離試験の結果も良好で
あった。
【0088】
【表2】
【0089】〔実施例3〕 (1) 実施例1で使用したものと同一の葉状シリカ2次
粒子の固形分濃度15質量%の水スラリーを50g、機
能性微粒子として顔料用酸化チタン(石原産業社製、C
R−50、平均粒子径0.25μm)を3.2g、JI
S1号ケイ酸ナトリウム水溶液(洞海化学工業社製、固
形分濃度60質量%(SiO2 /Na2O=2.3(モ
ル比))を0.96g、水0.38gとを添加して得ら
れたスラリーを、小型媒体ビーズミルを用いて高分散さ
せ、硬化塗膜形成用の固形分濃度25.3質量%の水ス
ラリー状の硬化性組成物を得た(固形分質量換算で、葉
状シリカ2次粒子:酸化チタン微粒子:ケイ酸ナリトウ
ム=65:30:5)。
【0090】(2) 次に、硬化塗膜を形成する基材とし
てステンレス板を(25mm×76mm×0.95m
m)を準備し、JIS K5400に準拠して、当該ス
テンレス板の表面を、実施例1と同様にしてクロス番号
AA−240のサンドクロスを用いてサンドクロス磨き
処理した後、さらに脱脂処理した(処理溶剤はキシレ
ン:イソプロピルアルコール=1:1混合液を使用)。
【0091】上記サンドクロス磨きをしたステンレス板
の表面の粗度を、走査型電子顕微鏡で観察したところ、
多数の微細な凹凸及び傷が形成されているのが観察され
た。また、当該表面の表面粗さの最大高さRyは3.0
μmであった。
【0092】(3) 次いで、バーコーター塗り法(JI
S K5400)で、#40バーコーター(江藤器械社
製)を使用して、上記硬化性組成物を、上記ステンレス
板の片面に塗布し、室温で3時間乾燥した後、それぞ
れ、200℃、300℃、400℃、500℃で各1時
間、空気中で加熱処理をして試験片とした。各試験片の
塗布量は、固形分換算で、約32g/m2 であった。こ
の硬化塗膜は、上記の条件で加熱処理後も、均一で平滑
な硬化塗膜であった。
【0093】(4) 上記各加熱条件で加熱した後の硬化
塗膜について耐水性試験前におけるJIS K5400
に準拠して測定した鉛筆硬度試験及び碁盤目剥離試験の
結果を表3に示した。
【0094】次に、上記の硬化塗膜の試験片を、上記
JIS法耐水性試験法及び擦触法耐水性試験法により
評価した。両法の耐水性の試験結果を、表3に示した。
【0095】表3に示したように、葉状シリカ2次粒子
(65%)/無機顔料(30%)/ケイ酸ナトリウム
(5%)と、硬化塗膜の100%が、無機物質からな
り、その中の機能性微粒子である無機顔料の含有量が、
30質量%と多い場合においても、加熱処理温度が20
0℃以上であれば、JIS法よりも過酷な評価方法であ
る擦触法耐水性試験方法においても、高い耐水性を発現
する硬化塗膜が得られることがわかった。なお、実施例
1と比較して、粒子結着剤(バインダー)として、ケイ
酸ナトリウムの添加が、擦媒法耐水性評価の際の所要加
熱処理温度レベルに、50℃の所要温度レベル低下の効
果があることが判明した。
【0096】また、200℃以上で加熱処理された硬化
塗膜の鉛筆硬度試験及び碁盤目剥離試験の結果も良好で
あった。
【0097】
【表3】
【0098】〔実施例4〕 (1) 実施例1で使用したものと同一の葉状シリカ2次
粒子の固形分濃度15質量%の水スラリーを50g、機
能性微粒子として顔料用酸化亜鉛(本荘ケミカル社製、
微細亜鉛華1種、平均粒子径、0.5μm)を3.2
g、水1.7gとを添加して得られたスラリーを、小型
媒体ビーズミルを用いて高分散させ、硬化塗膜形成用の
固形分濃度24.2質量%の水スラリー状の硬化性組成
物を得た(固形分質量換算で、葉状シリカ2次粒子:酸
化亜鉛微粒子=70:30)。
【0099】(2) 次に、硬化塗膜を形成する基材とし
てステンレス板を(25mm×76mm×0.95m
m)を準備し、JIS K5400に準拠して、当該ス
テンレス板の表面を、実施例1と同様にしてクロス番号
AA−240のサンドクロスを用いてサンドクロス磨き
処理した後、さらに脱脂処理した(処理溶剤はキシレ
ン:イソプロピルアルコール=1:1混合液を使用)。
【0100】上記サンドクロス磨きをしたステンレス板
の表面の粗度を、走査型電子顕微鏡で観察したところ、
多数の微細な凹凸及び傷が形成されているのが観察され
た。また、当該表面の表面粗さの最大高さRyは3.0
μmであった。
【0101】(3) 次いで、バーコーター塗り法(JI
S K5400)で、#40バーコーター(江藤器械社
製)を使用して、上記硬化性組成物を、上記ステンレス
板の片面に塗布し、室温で3時間乾燥した後、それぞ
れ、250℃、300℃、400℃、500℃で各1時
間、空気中で加熱処理をして試験片とした。各試験片の
塗布量は、固形分換算で、約31g/m2 であった。こ
の硬化塗膜は、上記の条件で加熱処理後も、均一で平滑
な硬化塗膜であった。
【0102】(4) 上記各加熱条件で加熱した後の硬化
塗膜について耐水性試験前におけるJIS K5400
に準拠して測定した鉛筆硬度試験及び碁盤目剥離試験の
結果を表4に示した。
【0103】次に、上記の硬化塗膜の試験片を、上記
JIS法耐水性試験法及び擦触法耐水性試験法により
評価した。両法の耐水性の試験結果を、表4に示した。
【0104】表4に示したように、葉状シリカ2次粒子
(70%)/無機顔料(30%)と、硬化塗膜の100
%が無機物質からなり、その中の機能性微粒子である無
機顔料の含有量が、30質量%と多い場合においても、
加熱処理温度が250℃以上であれば、JIS法よりも
過酷な評価方法である擦触法耐水性試験方法において
も、高い耐水性を発現する硬化塗膜が得られることがわ
かった。
【0105】また、250℃以上で加熱処理された硬化
塗膜の鉛筆硬度試験及び碁盤目剥離試験の結果も良好で
あった。
【0106】
【表4】
【0107】〔実施例5〕 (1) 実施例1で使用したものと同一の葉状シリカ2次
粒子の固形分濃度15質量%の水スラリーを50g、機
能性微粒子として合成マイカ微粒子(トピー工業社製、
PDM−9WA、平均粒子径、6.0μm)を1.9
g、水3.0gとを添加して得られたスラリーを、小型
媒体ビーズミルを用いて高分散させ、硬化塗膜形成用の
固形分濃度17.1質量%の水スラリー状の硬化性組成
物を得た(固形分質量換算で、葉状シリカ2次粒子:合
成マイカ微粒子=80:20)。
【0108】(2) 次に、硬化塗膜を形成する基材とし
てステンレス板を(25mm×76mm×0.95m
m)を準備し、JIS K5400に準拠して、当該ス
テンレス板の表面を、実施例1と同様にしてクロス番号
AA−240のサンドクロスを用いてサンドクロス磨き
処理した後、さらに脱脂処理した(処理溶剤はキシレ
ン:イソプロピルアルコール=1:1混合液を使用)。
【0109】上記サンドクロス磨きをしたステンレス板
の表面の粗度を、走査型電子顕微鏡で観察したところ、
多数の微細な凹凸及び傷が形成されているのが観察され
た。また、当該表面の表面粗さの最大高さRyは3.0
μmであった。
【0110】(3) 次いで、バーコーター塗り法(JI
S K5400)で、#40バーコーター(江藤器械社
製)を使用して、上記硬化性組成物を、上記ステンレス
板の片面に塗布し、室温で3時間乾燥した後、それぞ
れ、200℃、300℃、400℃、500℃で各1時
間、空気中で加熱処理をして試験片とした。各試験片の
塗布量は、固形分換算で、約31g/m2 であった。こ
の硬化塗膜は、上記の条件で加熱処理後も、均一で平滑
な硬化塗膜であった。
【0111】(4) 上記各加熱条件で加熱した後の硬化
塗膜について耐水性試験前におけるJIS K5400
に準拠して測定した鉛筆硬度試験及び碁盤目剥離試験の
結果を表5に示した。
【0112】次に、上記の硬化塗膜の試験片を、上記
JIS法耐水性試験法及び擦触法耐水性試験法により
評価した。両法の耐水性の試験結果を、表5に示した。
【0113】表5に示したように、葉状シリカ2次粒子
(70%)/無機顔料(30%)と、硬化塗膜の100
%が、無機物質からなり、その中の機能性微粒子である
無機顔料の含有量が、30質量%と多い場合において
も、加熱処理温度が200℃以上であれば、JIS法よ
りも過酷な評価方法である擦触法耐水性試験方法におい
ても、高い耐水性を発現する硬化塗膜が得られることが
わかった。
【0114】また、200℃以上で加熱処理された硬化
塗膜の鉛筆硬度試験及び碁盤目剥離試験の結果も良好で
あった。
【0115】
【表5】
【0116】〔比較例1〜5〕 (1) 基材として実施例1〜5と同一のステンレス板を
用意し、その表面をサンドクロス磨き処理をすることな
く、脱脂処理(キシレン:イソプロピルアルコール=
1:1混合液)だけを行った。これに実施例1〜5で使
用したものと同一の硬化性組成物を同一の条件により塗
布して硬化塗膜を形成した。当該硬化塗膜は、上記各加
熱温度で処理後も、均一で平滑な硬化塗膜であった。
【0117】(2) この硬化塗膜を、実施例1〜5と同
じ方法及び条件で評価をした。各加熱条件において加熱
した後の耐水性試験前における硬化塗膜を、JISK5
400に準拠して測定した。いずれの加熱処理条件で
も、鉛筆硬度試験では、3H〜8Hであり、碁盤目剥離
試験では、8〜10点という良好な結果であった。
【0118】しかしながら、実施例1〜5と同じ加熱条
件(常温乾燥3時間後、200〜500℃、各1時間)
での加熱処理品の擦触法耐水性評価結果は、すべてが、
不良(×)であった。
【0119】上記のように、葉状シリカ2次粒子と無機
顔料の総量が硬化塗膜中ほぼ100%の無機物質であ
り、その中の機能性微粒子の含有量が、10質量%以
上、例えば30質量%と多い場合において、塗布される
基材表面への表面粗さ付与という前処理を実施すること
により、当該基材表面に形成される塗膜の擦触法耐水性
を予想外に向上させることができる。すでに述べたこと
ではあるが、このように基材表面の表面粗さがかかる重
要な因子であることは、驚くべきことと言える。なぜな
ら、一般的に、有機高分子物質と顔料からなる系では、
基材の前処理として、サンドクロス磨き等の粗面化処理
をせず、脱脂処理だけをした場合においても、耐擦触法
耐水性について、決してこのような極端な相異は、生じ
ないものであるからである。
【0120】〔実施例6〕 (1) 実施例1で使用したものと同一の葉状シリカ2次
粒子の固形分濃度15質量%の水スラリーを50g、機
能性微粒子として顔料用酸化チタン(石原産業社製、C
R−50、平均粒子径、0.25μm)を0.91g、
アクリルシリコン樹脂系の水性エマルション(三洋化成
工業社製、商品名:サンモールEW−102、固形分濃
度約40質量%)を1.83g、水0.5gとを添加し
て得られたスラリーを、小型媒体ビーズミルを用いて高
分散させ、硬化塗膜形成用の固形分濃度17.5質量%
の水スラリー状の硬化性組成物を得た(固形分質量換算
で、葉状シリカ2次粒子:顔料用酸化チタン微粒子:ア
クリルシリコン樹脂=82:10:8)。
【0121】(2) 次に、硬化塗膜を形成する基材とし
てステンレス板を(25mm×76mm×0.95m
m)を準備し、JIS K5400に準拠して、当該ス
テンレス板の表面を、実施例1と同様にしてクロス番号
AA−240のサンドクロスを用いてサンドクロス磨き
処理した後、さらに脱脂処理した(処理溶剤はキシレ
ン:イソプロピルアルコール=1:1混合液を使用)。
【0122】上記サンドクロス磨きをしたステンレス板
の表面の粗度を、走査型電子顕微鏡で観察したところ、
多数の微細な凹凸及び傷が形成されているのが観察され
た。また、当該表面の表面粗さの最大高さRyは3.0
μmであった。
【0123】(3) 次いで、バーコーター塗り法(JI
S K5400)で、#40バーコーター(江藤器械社
製)を使用して、上記硬化性組成物を、上記ステンレス
板の片面に塗布し、室温で3時間乾燥した後、それぞ
れ、150℃、200℃で各1時間、空気中で加熱処理
をして試験片とした。各試験片の塗布量は、固形分換算
で、約31g/m2 であった。この硬化塗膜は、上記の
条件で加熱処理後も、均一で平滑な硬化塗膜であった。
【0124】(4) 上記各加熱条件で加熱した後の硬化
塗膜について耐水性試験前におけるJIS K5400
に準拠して測定した鉛筆硬度試験及び碁盤目剥離試験の
結果を表6に示した。
【0125】次に、上記の硬化塗膜の試験片を、上記
JIS法耐水性試験法及び擦触法耐水性試験法により
評価した。両法の耐水性の試験結果を、表6に示した。
【0126】表6に示したように、葉状シリカ2次粒子
(82%)/無機顔料(10%)/アクリルシリコン樹
脂(8%)と、硬化塗膜の92%が無機物質からなり、
その中の機能性微粒子である無機顔料の含有量が、10
質量%とやや多い場合においても、JIS法よりも過酷
な評価方法である擦触法耐水性試験方法によっても、高
い耐水性を発現する硬化塗膜が得られることがわかっ
た。
【0127】また、150℃以上で加熱処理された硬化
塗膜の鉛筆硬度試験及び碁盤目剥離試験の結果も良好で
あった。
【0128】
【表6】
【0129】〔実施例7〕 (1) 実施例1で使用したものと同一の葉状シリカ2次
粒子の固形分濃度15質量%の水スラリーを50g、機
能性微粒子として顔料用酸化チタン(石原産業社製、C
R−50、平均粒子径、0.25μm)を0.91g、
アクリルシリコン樹脂系の水性エマルション(三洋化成
工業社製、商品名:サンモールEW−102、固形分濃
度約40質量%)を1.83g、水0.5gとを添加し
て得られたスラリーを、小型媒体ビーズミルを用いて高
分散させ、硬化塗膜形成用の固形分濃度17.5質量%
の水スラリー状の硬化性組成物を得た(固形分質量換算
で、葉状シリカ2次粒子:顔料用酸化チタン微粒子:ア
クリルシリコン樹脂=82:10:8)。
【0130】(2) 次に、硬化塗膜を形成する基材とし
て次に、アルミニウム板(25mm×76mm×1.9
5mm、合金番号A5052P)を準備し、JIS K
5400に準拠して、当該アルミニウム板の塗布する表
面を、実施例1と同様にしてクロス番号AA−240の
サンドクロスを用いてサンドクロス磨き(AA−24
0)処理した後、さらに脱脂処理した(処理溶剤はキシ
レン:イソプロピルアルコール=1:1混合液を使用し
た。)。
【0131】上記サンドクロス磨きをしたアルミニウム
板の表面の粗度を、走査型電子顕微鏡で観察したとこ
ろ、多数の微細な凹凸及び傷が形成されているのが観察
された。また、当該表面の表面粗さの最大高さRyは2
2.5μmであった。
【0132】(3) 次いで、バーコーター塗り法(JI
S K5400)で、#40バーコーター(江藤器械社
製)を使用して、上記硬化性組成物を、上記ステンレス
板の片面に塗布し、室温で3時間乾燥した後、それぞ
れ、150℃及び200℃で各1時間、空気中で加熱処
理をして試験片とした。各試験片の塗布量は、固形分換
算で、約31g/m2 であった。この硬化塗膜は、上記
の条件で加熱処理後も、均一で平滑な硬化塗膜であっ
た。
【0133】(4) 上記各加熱条件で加熱した後の硬化
塗膜について耐水性試験前におけるJIS K5400
に準拠して測定した鉛筆硬度試験及び碁盤目剥離試験の
結果を表7に示した。
【0134】次に、上記の硬化塗膜の試験片を、上記
JIS法耐水性試験法及び擦触法耐水性試験法により
評価した。両法の耐水性の試験結果を、表7に示した。
【0135】表7に示したように、葉状シリカ2次粒子
(82%)/無機顔料(10%)/アクリルシリコン樹
脂(8%)と、硬化塗膜の92%が、無機物質からな
り、その中の機能性微粒子である無機顔料の含有量が1
0質量%とやや多い場合においても、JIS法よりも過
酷な評価方法である擦触法耐水性試験方法によっても、
高い耐水性を発現する硬化塗膜が得られることがわかっ
た。
【0136】また、150℃以上で加熱処理された硬化
塗膜の鉛筆硬度試験及び碁盤目剥離試験の結果も良好で
あった。
【0137】粒子結着剤(バインダー)として、アクリ
ルシリコン樹脂系からなる水系エマルション系の粒子結
着剤(バインダー)の添加が、擦触法耐水性評価の際に
も、高い耐水性を発現させる効果があることが判明し
た。
【0138】
【表7】
【0139】〔実施例8〕 (1) 実施例1で使用したものと同一の葉状シリカ2次
粒子の固形分濃度15質量%の水スラリーを50g、機
能性微粒子として顔料用酸化チタン(石原産業社製、C
R−50、平均粒子径、0.25μm)を1.25g、
アクリルシリコン樹脂系の水性エマルション(三洋化成
工業社製、商品名:サンモールEW−102、固形分濃
度約40質量%)を9.38g、水0.67gとを添加
して得られたスラリーを、小型媒体ビーズミルを用いて
高分散させ、硬化塗膜形成用の固形分濃度20.4質量
%の水スラリー状の硬化性組成物を得た(固形分質量換
算で、葉状シリカ2次粒子:顔料用酸化チタン微粒子:
アクリルシリコン樹脂=60:10:30)。
【0140】(2) 次に、硬化塗膜を形成する基材とし
てステンレス板を(25mm×76mm×0.95m
m)を準備し、JIS K5400に準拠して、当該ス
テンレス板の表面を、実施例1と同様にしてクロス番号
AA−240のサンドクロスを用いてサンドクロス磨き
処理した後、さらに脱脂処理した(処理溶剤はキシレ
ン:イソプロピルアルコール=1:1混合液を使用)。
【0141】上記サンドクロス磨きをしたステンレス板
の表面の粗度を、走査型電子顕微鏡で観察したところ、
多数の微細な凹凸及び傷が形成されているのが観察され
た。また、当該表面の表面粗さの最大高さRyは3.0
μmであった。
【0142】(3) 次いで、バーコーター塗り法(JI
S K5400)で、#40バーコーター(江藤器械社
製)を使用して、上記硬化性組成物を、上記ステンレス
板の片面に塗布し、室温で3時間乾燥した後、それぞ
れ、100℃、150℃、200℃で各1時間、空気中
で加熱処理をして試験片とした。また、実施例8につい
ては室温で72時間の乾燥の試験も行った。各試験片の
塗布量は、固形分換算で、約31g/m2 であった。こ
の硬化塗膜は、上記の条件で加熱処理後も、均一で平滑
な硬化塗膜であった。
【0143】(4) 上記各加熱条件で加熱した後の硬化
塗膜について耐水性試験前におけるJIS K5400
に準拠して測定した鉛筆硬度試験及び碁盤目剥離試験の
結果を表8に示した。
【0144】次に、上記の硬化塗膜の試験片を、上記
JIS法耐水性試験法及び擦触法耐水性試験法により
評価した。両法の耐水性の試験結果を、表8に示した。
【0145】表8に示したように、葉状シリカ2次粒子
(60%)/無機顔料(10%)/アクリルシリコン樹
脂(30%)と、硬化塗膜の70%が無機物質からな
り、その中の機能性微粒子である無機顔料の含有量が1
0質量%とやや多い場合であっても、JIS法よりも過
酷な評価方法である擦触法耐水性試験方法においても、
高い耐水性を発現する硬化塗膜が得られることがわかっ
た。
【0146】また、100℃以上で加熱処理された硬化
塗膜の鉛筆硬度試験及び碁盤目剥離試験の結果も良好で
あった。
【0147】粒子結着剤(バインダー)として、アクリ
ルシリコン樹脂系からなる水系エマルション系の粒子結
着剤(バインダー)の添加が、擦触法耐水性評価の際に
も、高い耐水性を発現させる効果があることが判明し
た。
【0148】
【表8】
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C01B 33/12 C01B 33/12 Z C09D 7/12 C09D 7/12 201/00 201/00 (72)発明者 藤井 淳成 福岡県北九州市若松区北湊町13番1号 洞 海化学工業株式会社内 (72)発明者 小野 英一 福岡県北九州市若松区北湊町13番1号 洞 海化学工業株式会社内 (72)発明者 佐々木 隆好 福岡県北九州市若松区北湊町13番1号 洞 海化学工業株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AA03B AA20B AA21 AB01 AB04 AD00 AG00 AK01B AK12B AK15B AK17B AK25B AK41B AK52B AK53B AL01B AL05B AS00B AT00A BA02 CC00 CC00B DD07A DE01B DE02B DE05B EH46 EJ34A JB07 JB07B JK12 JK12B YY00A YY00B 4G072 AA25 BB09 BB20 EE01 FF01 FF02 FF04 GG02 HH14 HH15 LL06 RR12 UU09 UU30 4H020 BA02 BA03 BA12 BA32 4J038 EA011 HA446 KA20

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材表面に形成された硬化塗膜であっ
    て、当該塗膜は、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに
    面間が平行的に配向し複数枚重なって形成される葉状シ
    リカ2次粒子からなる互いに独立に存在する積層構造の
    粒子形態を有する鱗片状シリカ粒子及び機能性微粒子と
    から実質的になり、擦触法耐水性試験方法において高耐
    水性を有することを特徴とする硬化塗膜。
  2. 【請求項2】 前記硬化塗膜がさらに粒子結着剤を含有
    する請求項1に記載の硬化塗膜。
  3. 【請求項3】 前記基材表面が粗面化処理されている請
    求項1又は2に記載の硬化塗膜。
  4. 【請求項4】 前記基材表面の粗面化処理が、サンドブ
    ラスト処理、サンドクロス処理、化学研磨処理及び電解
    研磨処理からなる群より選択される少なくとも1種の処
    理により行われる請求項3に記載の硬化塗膜。
  5. 【請求項5】 前記基材の表面粗さの最大高さRyが1
    〜100μmである請求項3又は4に記載の硬化塗膜。
  6. 【請求項6】 前記粒子結着剤が、有機高分子物質、コ
    ロイダルシリカ及びアルカリ金属ケイ酸塩からなる群か
    ら選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の硬化
    塗膜。
  7. 【請求項7】 前記粒子結着剤が有機高分子物質であ
    り、当該有機高分子物質が、アクリル樹脂系、ウレタン
    樹脂系、シリコン樹脂系、スチレン樹脂系、エポキシ樹
    脂系、フッ素樹脂系、塩化ビニル樹脂系及びポリエステ
    ル樹脂系からなる群から選ばれる少なくとも1種の単独
    樹脂系、これらの少なくとも2種以上の共重合樹脂系、
    またこれらの単独樹脂系と共重合樹脂系とを2種以上を
    混合若しくは複合したものからなる請求項6に記載の硬
    化塗膜。
  8. 【請求項8】 前記硬化塗膜中における葉状シリカ2次
    粒子と機能性微粒子との総量の固形分換算質量含有率
    が、60〜100質量%である請求項1〜7のいずれか
    に記載の硬化塗膜。
  9. 【請求項9】 前記機能性微粒子の硬化塗膜中の固形分
    換算質量含有率が、10質量%以上である請求項1〜8
    のいずれかに記載の硬化塗膜。
  10. 【請求項10】 前記葉状シリカ2次粒子が、層状ポリ
    ケイ酸である請求項1〜9のいずれかに記載の硬化塗
    膜。
  11. 【請求項11】 前記葉状シリカ2次粒子が、X線回折
    分析での主ピークが、シリカ−X及び/又はシリカ−Y
    に該当するシリカである請求項1〜10のいずれかに記
    載の硬化塗膜。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2005015728A (ja) * 2003-06-30 2005-01-20 Wako:Kk 無機塗料組成物
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