JP2002080459A - 2−メチルピペラジンの光学分割体の製造法 - Google Patents

2−メチルピペラジンの光学分割体の製造法

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JP2002080459A
JP2002080459A JP2000263694A JP2000263694A JP2002080459A JP 2002080459 A JP2002080459 A JP 2002080459A JP 2000263694 A JP2000263694 A JP 2000263694A JP 2000263694 A JP2000263694 A JP 2000263694A JP 2002080459 A JP2002080459 A JP 2002080459A
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JP2000263694A
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Junji Kawachi
淳二 河内
Hirotomo Matsubara
宏知 松原
Yoshinori Nakahara
良典 中原
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Daiwa Kasei Industry Co Ltd
Original Assignee
Daiwa Kasei Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (±)−2−メチルピペラジンの2種の光学
活性体のうち、望まない方の光学活性体のカウンターア
ニオンとして光学不活性酸を共存させるという特別の工
夫を講じることにより、望む方の光学活性体を効率良く
かつ収率良く得るようにすると同時に、比較的高価な光
学活性有機酸の使用量を大巾に減ずることができるよう
にした(±)−2−メチルピペラジンの光学分割体の工
業的な製造法を提供することを目的とする。 【解決手段】 (±)−2−メチルピペラジンと光学活
性二塩基酸A1 とを溶媒中で反応させて、2−メチルピ
ペラジンの光学分割体と光学活性二塩基酸A1 との塩を
得るにあたり、反応系に光学不活性酸A2 を共存させる
ことにより、2−メチルピペラジン中の望む方の光学分
割体Xと光学活性二塩基酸A1 との塩S1を形成させ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光学活性な二塩基
酸を分割剤として用いてラセミ体の2−メチルピペラジ
ンを光学分割する方法の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】〈2−メチルピペラジンの光学活性体〉
2−メチルピペラジンの光学活性体は、農薬、医薬品の
合成原料として有用な化合物である。特に2−メチルピ
ペラジンの光学活性誘導体を医薬品として使用する場
合、望ましい生理活性を有するエナンチオマーとは反対
のエナンチオマーが、生理的に不活性であったり、毒性
を有していたりする場合があるので、光学純度の高い目
的とする光学活性体を提供することのできる製造法を見
い出しておくことが重要である。
【0003】〈(±)−2−メチルピペラジンの光学分
割方法〉光学活性酒石酸を分割剤として用いて、ラセミ
体である(±)−2−メチルピペラジンを分割する方法
に関し、次に述べる(イ)および(ロ)の文献がある。
【0004】(イ)特開平1−149775号公報 この文献には、 ・(±)−2−メチルピペラジンと光学活性酒石酸とを
溶媒中で反応させて、2種のジアステレオマー塩を生成
させる工程a、 ・上記反応液中の2種のジアステレオマー塩の溶解度差
を利用して、相互に分割する工程b、 ・相互に分割されたジアステレオマー塩をフリー化する
工程c からなる光学活性2−メチルピペラジンの製造方法が示
されている。
【0005】この文献においては、工程aにおける溶媒
としてはたとえば水を用い(2頁右上欄12〜17行参
照、ただし実施例においては、水と共に、アセトン、メ
タノールまたはエタノールを併用している)、工程bに
おける溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プ
ロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−
ブタノール、アセトンなどから選ばれる有機溶媒、また
はこれらの有機溶媒と水との混合溶媒、特に水を主体と
する混合溶媒を用いている(請求項2および2頁左下欄
16行〜右下欄3行参照)。
【0006】またこの文献においては、工程1における
(±)−2−メチルピペラジン1モルに対する光学活性
酒石酸の割合は、2モルが最も効率が良い比であるとし
ている(2頁右上欄17行〜左下欄1行および実施例1
〜3を参照)。
【0007】実施例1〜3においては、 [(±)−2−メチルピペラジン]+[d−酒石酸]→
[(+)−2−メチルピペラジン]・[d−酒石酸]
(1:2)塩 の反応により右辺の(1:2)塩を結晶として得ており
(収率は実施例1〜3の順に45.1%、62.5%、41.1
%)、母液からは [(−)−2−メチルピペラジン]・[d−酒石酸]
(1:2)塩 を回収している(実施例2〜3、殊に実施例3、実施例
3の収率は54.2%)。
【0008】(ロ)特開平3−279375号公報 この文献には、(±)−2−メチルピペラジンと光学活
性な有機酸とを水だけを溶媒として反応させて、2種の
ジアステレオマー塩を形成させ(工程1)、この2種の
ジアステレオマー塩の水に対する溶解度差を利用して相
互に分割し(工程2)、中和後、有機溶媒で抽出する
(工程3)ようにした光学活性2−メチルピペラジンの
分割方法が示されている。工程1における光学活性な有
機酸の代表例は、光学活性酒石酸、殊にL−酒石酸であ
る(2頁左下欄4〜8行参照)。なお、L−酒石酸はd
−酒石酸と同義である。
【0009】この文献は、上記(イ)の特開平1−14
9775号公報の発明を改良したものであって、工程1
における溶媒として水を用い、工程2における溶媒とし
ても水を用いている。
【0010】またこの文献においては、工程1における
(±)−2−メチルピペラジン1モルに対する光学活性
有機酸の割合は、1〜10モル、好ましくは2モル使用
するのがよいとしている(2頁左下欄13〜15行参
照、実施例では2倍モルを用いている)。
【0011】実施例においては、(±)−2−メチルピ
ペラジンとL−酒石酸とを反応させて得た結晶から
(+)−2−メチルピペラジンを収率57%で取得し、
ろ液からは(−)−2−メチルピペラジンを収率53%
で取得している。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述の(イ)、(ロ)
においては、(±)−2−メチルピペラジン1モルに対
する光学活性有機酸(L−またはD−酒石酸)の使用割
合は、1モル以上、好ましくは2モルであるが、光学活
性有機酸の方を殊に2倍モル使用することが望ましいの
は、光学活性2−メチルピペラジンと光学活性有機酸と
の比が1:2の塩を形成させるためである。
【0013】しかしながら、これら従来の方法は、高価
な光学活性有機酸(典型的には光学活性酒石酸)の使用
量が典型的には2倍モルと多いので、工業的見地からは
改良の余地がある。
【0014】この場合、上述の(ロ)には光学活性有機
酸(酒石酸)を1モル使用することも可能であるとある
が、そのときには原料2−メチルピペラジンが過剰にな
るので、収率が低くなり、工業的には実際的ではなくな
る。
【0015】すなわち、原料2−メチルピペラジン1モ
ルに対し、光学活性有機酸(酒石酸)を2モル用いても
(また1モル用いても)、工業的見地からは問題点を有
するのである。
【0016】加えて、上述の(イ)、(ロ)の方法によ
っては、目的物である光学活性2−メチルピペラジンの
収率および光学純度が必ずしも高くはないという問題点
がある。その理由は、反応系からの光学活性2−メチル
ピペラジンと光学活性有機酸との比が1:2の塩の分割
効率が劣るためであると思われる。
【0017】本発明は、このような背景下において、
(±)−2−メチルピペラジンの2種の光学活性体のう
ち、望まない方の光学活性体のカウンターアニオンとし
て光学不活性酸を共存させるという特別の工夫を講じる
ことにより、望む方の光学活性体を効率良くかつ収率良
く得るようにすると同時に、比較的高価な光学活性有機
酸の使用量を大巾に減ずることができるようにした
(±)−2−メチルピペラジンの光学分割体の工業的な
製造法を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の2−メチルピペ
ラジンの光学分割体の製造法は、(±)−2−メチルピ
ペラジンと光学活性二塩基酸A1 とを溶媒中で反応させ
て、2−メチルピペラジンの光学分割体と光学活性二塩
基酸A1 との塩を得るにあたり、反応系に光学不活性酸
2 を共存させることにより、2−メチルピペラジン中
の望む方の光学分割体Xと光学活性二塩基酸A1 との塩
1 を形成させることを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。
【0020】〈反応〉本発明においては、基本的には従
来のように、(±)−2−メチルピペラジンと光学活性
二塩基酸A1 とを溶媒中で反応させて、2−メチルピペ
ラジンの光学分割体と光学活性二塩基酸A1 との塩を得
る。
【0021】そして本発明においては、上記の反応に際
して、反応系に光学不活性酸A2 を共存させる。この点
が本発明のポイントとなる特別の工夫点である。
【0022】これにより、2−メチルピペラジン中の望
む方の光学分割体Xと光学活性二塩基酸A1 との塩S1
が効率良く形成される。
【0023】〈原料(±)−2−メチルピペラジン〉原
料の(±)−2−メチルピペラジンは、現在では工業的
に製造されており、市場で入手可能である。(±)−2
−メチルピペラジンは、ラセミ体であってもよく、どち
らか一方の光学活性体が他方に比し多くまたは少なく含
まれているものであってもよい。
【0024】〈光学活性二塩基酸A1 〉光学活性二塩基
酸A1 としては、この範疇に属する種々の酸が使用でき
るが、光学活性な酒石酸が特に重要である。光学活性な
酒石酸には、天然型のL−酒石酸(つまりd−酒石酸)
と、非天然型のD−酒石酸(つまりl−酒石酸)とがあ
り、そのどちらを用いてもよい。前者のL−酒石酸は比
較的安価に入手することができる。後者のD−酒石酸
は、L−酒石酸よりも高価ではあるが、現在では市場で
入手することができ、やはり工業的に利用することがで
きる。
【0025】光学活性二塩基酸A1 の使用量は、(±)
−2−メチルピペラジン中の望む方の光学分割体X 0.5
モルに対し 0.4〜 0.7モル、さらには 0.4〜 0.6モルと
することが好ましく、特に 0.5モルとするのが最適であ
る。光学活性二塩基酸A1 の使用量がこの範囲より少な
いときは、目的とする2−メチルピペラジンの光学分割
体の収率が小さくなり、一方その使用量がこの範囲より
多いときは、光学活性二塩基酸A1 が無駄に消費される
ことになるので、工業的に不利となる。
【0026】〈光学不活性酸A2 〉光学不活性酸A2
は、2−メチルピペラジンの他方の(通常は重要度の小
さい方の)光学分割体Yに対して、カウンターアニオン
として機能するものである。このような役割を果たす光
学不活性酸A2 としては、有機酸または無機酸があげら
れる。有機酸の例は、ギ酸、酢酸、プロピオン酸などで
あり、特に酢酸が重要である。無機酸の例は、塩酸、硫
酸、硝酸などであり、特に塩酸が重要である。
【0027】光学不活性酸A2 の使用量は、光学活性二
塩基酸A1 との関係で最適範囲が定まるが、(±)−2
−メチルピペラジンがラセミ体の場合でかつ光学不活性
酸A 2 が1価の有機酸または無機酸の場合を例にとる
と、(±)−2−メチルピペラジン1モルに対し、 ・光学活性二塩基酸A1 を 0.5モル使用するときは、
(1.0-0.5)× 2 = 1.0モルまたはその前後、 ・光学活性二塩基酸A1 を 0.4モル使用するときは、
(1.0-0.4)× 2 = 1.2モルまたはその前後、 ・光学活性二塩基酸A1 を 0.6モル使用するときは、
(1.0-0.6)× 2 = 0.8モルまたはその前後 とすることが好ましい。このような量的割合とすると
き、光学活性二塩基酸A1と光学不活性酸A2 とで、塩
基である(±)−2−メチルピペラジンが過不足なく中
和されるからである。
【0028】〈溶媒〉溶媒としては、水混和性有機溶媒
と水との混合溶媒を用いることが好ましい。水混和性有
機溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン等のケ
トン;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n
−プロパノール等の1価アルコール;エチレングリコー
ル等のグリコール;などがあげられ、これらの有機溶媒
を2種以上併用することもできる。これらの中では、ア
セトン、メタノール、エタノールが好適である。
【0029】水混和性有機溶媒と水との比率は、水混和
性有機溶媒の種類によっても異なるので一概には決めら
れないので、実験的に最適の割合を定めるべきである。
メタノールと水との混合溶媒の場合を例にあげると、水
の割合が少なければ、塩の収率が良くなるものの、光学
純度の劣る塩しか得られず、一方水の割合を多くすれ
ば、光学純度の良いものが得られるものの、収率が悪く
なる。そこで、メタノールと水との混合溶媒の場合、混
合溶媒に占める水の割合は15〜30重量%、好ましく
は25重量%程度とするのが適当である。このとき得ら
れる塩の光学純度は95〜98%e.e.程度である。
【0030】なお「e.e.」とは光学純度を表す方法であ
って、enantiomeric excess (鏡像体過剰)の略であ
る。
【0031】溶媒の使用量は、原料(±)−2−メチル
ピペラジン1重量部に対し、2〜20重量部程度、好ま
しくは3〜10重量部程度とすることが多い。
【0032】〈反応操作、反応温度〉反応操作は、典型
的には次のようにしてなされる。すなわち、まず(±)
−2−メチルピペラジンを溶媒に溶解し、光学活性二塩
基酸A1 を添加して反応させる。反応温度は、10〜1
20℃、殊に20〜100℃が適当である。この反応に
より、溶媒中の水の濃度が低いときは塩が析出してくる
が、溶媒中の水の濃度が高いときには完全に均一な溶液
となる。
【0033】ついで、所定量の光学不活性酸A2 をゆっ
くり滴下すると、滴下につれて塩が析出している。この
ときの温度は10〜100℃が好ましい。滴下後、還流
温度で1ないし数時間(好ましくは1〜3時間)かけ
て、析出した結晶を熟成する。冷却後、固液分離し、
(±)−2−メチルピペラジンの片方の光学分割体Xと
光学活性二塩基酸A1 との塩S1 を得る。
【0034】ただし、上記の反応操作は典型例であり、
(±)−2−メチルピペラジン、溶媒、光学活性二塩基
酸A1 、光学不活性酸A2 の添加順序に特に限定はな
い。
【0035】2−メチルピペラジンの光学分割体は、医
薬品原料として使用するために必要な光学純度としては
99.0%e.e.以上のものが求められているので、さらに光
学純度を上げるために再結晶が必要である。再結晶溶媒
は、水でもよいが、収率を上げるために、水に有機溶媒
(好ましくはメタノール)を少量添加した混合溶媒で再
結晶することが好ましい。
【0036】〈解塩〉反応後の反応混合物から2−メチ
ルピペラジン中の望む方の光学分割体Xと光学活性二塩
基酸A1 との塩S1 を上述のようにして分離した後に
は、その塩S1にアルカリ水溶液を作用させて解塩する
ことにより、2−メチルピペラジンの片方の光学分割体
Xを遊離させる。アルカリ水溶液としては、水酸化ナト
リウム、水酸化カリウム、水酸化リチウムなどの水溶液
が用いられる。ついで、光学活性二塩基酸A1 のアルカ
リ金属塩を除去して、遊離した光学分割体Xを得る。
【0037】具体的には、2−メチルピペラジンに対し
て1〜5モル当量で濃度が5〜50重量%のアルカリ水
溶液に、2−メチルピペラジン中の望む方の光学分割体
Xと光学活性二塩基酸A1 との塩S1 を加えると、その
望む方の光学分割体Xがオイル状に分離してくる。この
オイル状の光学分割体Xは、これを有機溶媒で抽出する
ことができる。また、分離したオイル状物を分取した
後、有機溶媒に溶解し、そこに含まれている光学活性二
塩基酸A1 のアルカリ金属塩を除去するようにしてもよ
い。このようにして得られた溶液を濃縮後、蒸留すれ
ば、高光学純度の光学分割体Xを単離することができ
る。
【0038】なお、分割剤としてL−酒石酸を用いたと
きは、光学分割体Xとして(R)−2−メチルピペラジ
ンが得られる。一方、分割剤としてD−酒石酸を用いた
ときは、光学分割体Xとして(S)−2−メチルピペラ
ジンが得られる。
【0039】〈他方の光学分割体Yの回収〉先に述べた
反応後の反応混合物から2−メチルピペラジン中の望む
方の光学分割体Xと光学活性二塩基酸A1 との塩S1
分離した後の母液に、はじめに用いた光学活性二塩基酸
1 をさらに添加して反応させれば、2−メチルピペラ
ジンの他方の光学分割体Yと光学活性二塩基酸A1 との
塩を、1:2の塩として回収することができる。
【0040】母液に添加する光学活性二塩基酸A1 の量
は、母液中に残っている2−メチルピペラジンの1〜5
倍モル比、好ましくは2倍モル比でよい。析出する結晶
の純度を上げるために、数時間還流温度で熟成した後、
室温まで冷却し、固液分離する方法が通常は採用され
る。得られた光学分割体Yと光学活性二塩基酸A1 との
塩の光学純度はたとえば約94%e.e.で、これを再結晶
することにより、さらに光学純度を上げることができ
る。このときの再結晶溶媒は、水でもよいが、収率を上
げるために、水に有機溶媒(好ましくはメタノール)を
少量添加した混合溶媒で再結晶することが好ましい。こ
のようにして得られる塩の光学純度は、たとえば98%
e.e.以上にもなる。
【0041】この塩から光学分割体Yを遊離するには、
光学分割体Xについて先に述べたような解塩操作と後処
理操作とを行えばよい。
【0042】〈作用〉従来の技術の項で述べた(イ)お
よび(ロ)の方法においては、 [(±)−2−メチルピペラジン]+[L−酒石酸]→
[(+)−2−メチルピペラジン]・[L−酒石酸]
(1:2)塩 の反応により、1:2の塩を得ている。L−酒石酸はd
−酒石酸と同義である。また、L−酒石酸に代えてD−
酒石酸を用いてもよい。
【0043】これに対し、本発明においては、(±)−
2−メチルピペラジンと光学活性二塩基酸A1 との溶媒
中での反応に際し、反応系に光学不活性酸A2 を共存さ
せるという特別の工夫を講じているので、光学活性二塩
基酸A1 としてL−酒石酸を使用した場合を例にとる
と、 [(±)−2−メチルピペラジン]+[L−酒石酸]→
[(−)−2−メチルピペラジン]・[L−酒石酸]
(1:1)塩 の反応により、片方の(望む方の)光学分割体Xと光学
活性二塩基酸A1 との塩S1 (1:1の塩)を得てい
る。
【0044】このような機構の違いに基き、本発明にお
いては、望む方の光学分割体Xと光学活性二塩基酸A1
との塩S1 を取得したいときに、原料(±)−2−メチ
ルピペラジン1モルに対し、光学活性二塩基酸A1 の使
用量を典型的にはわずか 0.5モルにするだけでよく、し
かも塩S1 の収率も高いものとすることができる。
【0045】
【実施例】次に実施例を比較例と共にあげて、本発明を
さらに説明する。
【0046】比較例1 この比較例1は、従来技術の項であげた特開平1−14
9775号公報の実施例に対応するものである。
【0047】室温で、水300mlにL−酒石酸 59.03g
(0.393 モル)を溶解し、ラセミ体の(±)−2−メチ
ルピペラジン 19.70g(0.197 モル)とアセトン100
mlとを添加した。均一な溶液となった後、ゆっくりと結
晶が析出した。室温で一昼夜撹拌した後、ろ過、乾燥を
行い、白色の結晶 38.43gを得た。
【0048】この白色結晶は、S体が豊富な2−メチル
ピペラジンとL−酒石酸との1:2の塩で、ラセミ体の
(±)−2−メチルピペラジン中のS体を基準としてS
体収率は 73.10%であり、S体の光学純度は 49.65%e.
e.であった。
【0049】比較例2 この比較例2は、従来技術の項であげた特開平3−27
9375号公報の実施例に対応するものである。
【0050】室温で、水16mlにL−酒石酸 6.0g(0.
04モル)を溶解し、ラセミ体の(±)−2−メチルピペ
ラジン 2.0g(0.02モル)を添加した。均一な溶液とな
った後、ゆっくりと結晶が析出した。室温で一昼夜撹拌
した後、ろ過、乾燥を行い、白色の結晶 2.4gを得た。
【0051】この白色結晶は、S体が豊富な2−メチル
ピペラジンとL−酒石酸との1:2の塩で、ラセミ体の
(±)−2−メチルピペラジン中のS体を基準としてS
体収率は 56.96%であり、S体の光学純度は 89.69%e.
e.であった。
【0052】実施例1 ラセミ体の(±)−2−メチルピペラジン 50.06g(0.
500 モル)に水79.5gとメタノール 238.6gとを加えて
(±)−2−メチルピペラジンを溶解し、さらに光学活
性二塩基酸A1 の一例としてのL−酒石酸 37.53g(0.
250 モル)を加えて加熱溶解した。この溶液に光学不活
性酸A2 の一例としての酢酸 30.03g(0.500 モル)を
ゆっくりと滴下したところ、白色結晶が析出した。この
後、還流温度で2時間加熱した後、室温まで冷却し、ろ
過してから、メタノールで洗浄し、乾燥を行った。
【0053】得られた塩S1 (2−メチルピペラジン中
の望む方の光学分割体Xと光学活性二塩基酸A1 との塩
1 ) 57.11g(0.228 モル)は、ラセミ体の(±)−
2−メチルピペラジン中のR体を基準としてR体収率が
89.88%であり、R体の光学純度は96.845%e.e.であっ
た。
【0054】実施例2 ラセミ体の(±)−2−メチルピペラジン 200.3g(2.
0 モル)に水 318.8gとメタノール 954.7gとを加えて
(±)−2−メチルピペラジンを溶解し、さらに光学活
性二塩基酸A1 の一例としてのL−酒石酸 150.2g(1.
0 モル)を加えて加熱溶解した。この溶液に光学不活性
酸A2 の一例としての酢酸 120.2g(2.0 モル)をゆっ
くりと滴下したところ、白色結晶が析出した。この後、
還流温度で2時間加熱した後、室温まで冷却し、ろ過し
てから、メタノールで洗浄した。
【0055】得られたケーキを約20重量%濃度のメタ
ノール水溶液で再結晶し、ろ過、乾燥を行った。得られ
た塩S1 (2−メチルピペラジン中の望む方の光学分割
体Xと光学活性二塩基酸A1 との塩S1 ) 220.4g(0.
881 モル)は、ラセミ体の(±)−2−メチルピペラジ
ン中のR体を基準としてR体収率が 87.92%であり、R
体の光学純度は99.612%e.e.であった。
【0056】実施例3 濃度 22.76重量%の水酸化ナトリウム水溶液 402.9g
(2.29モル)に、実施例2で得られた塩S1 219.3g
(0.876 モル)を加えて溶解した。溶解するにつれてオ
イル状物が分離した。系を約70℃に保ったまま静置し
て、下層を取り除き、冷却後、イソプロパノール 225.8
gを加えた。析出した結晶をろ過して取り除き、2−メ
チルピペラジンのイソプロパノール溶液を、濃縮、さら
には減圧蒸留して、(R)−2−メチルピペラジン 62.
29g(0.622 モル)を得た。光学純度は99.618%e.e.で
あり、収率は、塩S1 を基準として 70.96%、ラセミ体
の(±)−2−メチルピペラジン中のR体を基準として
62.5%であった。
【0057】実施例4 ラセミ体の(±)−2−メチルピペラジン 20.09g(0.
201 モル)に水 25.58gとメタノール 75.68gとを加え
て(±)−2−メチルピペラジンを溶解し、さらに光学
活性二塩基酸A1 の一例としてのL−酒石酸 15.04g
(0.100 モル)を加え、この溶液に光学不活性酸A2
一例としての濃塩酸 20.76g(0.199 モル)をゆっくり
と滴下したところ、白色結晶が析出した。この後、還流
温度で2時間加熱した後、室温まで冷却し、ろ過してか
ら、メタノールで洗浄し、乾燥を行った。
【0058】得られた塩S1 (2−メチルピペラジン中
の望む方の光学分割体Xと光学活性二塩基酸A1 との塩
1 ) 17.97g(0.072 モル)は、ラセミ体の(±)−
2−メチルピペラジン中のR体を基準としてR体収率が
70.47%であり、R体の光学純度は96.837%e.e.であっ
た。
【0059】実施例5 ラセミ体の(±)−2−メチルピペラジン 20.02g(0.
200 モル)に水 31.73gとメタノール 95.28gとを加え
て(±)−2−メチルピペラジンを溶解し、さらに光学
活性二塩基酸A1 の一例としてのD−酒石酸 15.00g
(0.100 モル)を加えて、加熱溶解した。この溶液に光
学不活性酸A2 の一例としての酢酸 11.98g(0.200 モ
ル)をゆっくりと滴下したところ、白色結晶が析出し
た。この後、還流温度で2時間加熱した後、室温まで冷
却し、ろ過してから、メタノールで洗浄した。
【0060】得られたケーキを約20重量%濃度のメタ
ノール水溶液で再結晶し、ろ過、乾燥を行った。得られ
た塩S1 (2−メチルピペラジン中の望む方の光学分割
体Xと光学活性二塩基酸A1 との塩S1 ) 21.39g(0.
086 モル)は、ラセミ体の(±)−2−メチルピペラジ
ン中のS体を基準としてS体収率が 85.53%であり、S
体の光学純度は99.492%e.e.であった。
【0061】実施例6 実施例1で得られた母液をデカンテーションしてわずか
に析出した結晶を取り除いた後、実施例1で用いた光学
活性二塩基酸A1 であるL−酒石酸 81.27g(0.541 モ
ル)を添加したところ、結晶が析出した。約2時間還流
(還流中、水を125.5g添加)した後、室温まで冷却
し、ろ過してから、メタノールで洗浄し、乾燥を行っ
た。
【0062】得られた白色結晶(2−メチルピペラジン
の他方の光学分割体YとL−酒石酸との1:2の塩) 8
8.07g(0.220 モル)は、実施例1で用いたラセミ体の
(±)−2−メチルピペラジン中のS体を基準としてS
体収率が 85.26%であり、S体の光学純度は93.705%e.
e.であった。
【0063】この塩 10.07gと水 15.02gとメタノール
8.56gとの混合物を加熱し、溶解した後、室温まで冷却
してから、ろ過し、さらにメタノールで洗浄し、乾燥を
行って、白色結晶9.13gを得た。再結晶収率は90.7%で
あり、S体の光学純度は 98.23%e.e.であった。
【0064】
【発明の効果】本発明に従って、(±)−2−メチルピ
ペラジンの2種の光学活性体のうち、望まない方の光学
活性体のカウンターアニオンを共存させることにより、
望む方の光学活性体を効率良くかつ収率良く得ることが
できると共に、比較的高価な光学活性有機酸の使用量を
大巾に減ずることができる。もし必要なら、望まない方
の光学活性体の塩を母液から回収することができる。
【0065】よって、本発明は、(±)−2−メチルピ
ペラジンの光学分割体の工業的な製造法としての意義が
大きい。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(±)−2−メチルピペラジンと光学活性
    二塩基酸A1 とを溶媒中で反応させて、2−メチルピペ
    ラジンの光学分割体と光学活性二塩基酸A1 との塩を得
    るにあたり、反応系に光学不活性酸A2 を共存させるこ
    とにより、2−メチルピペラジン中の望む方の光学分割
    体Xと光学活性二塩基酸A1 との塩S1 を形成させるこ
    とを特徴とする2−メチルピペラジンの光学分割体の製
    造法。
  2. 【請求項2】光学活性二塩基酸A1 の使用量が、(±)
    −2−メチルピペラジン中の望む方の光学分割体X 0.5
    モルに対し 0.4〜 0.7モルである請求項1記載の製造
    法。
  3. 【請求項3】光学不活性酸A2 が、有機酸または無機酸
    である請求項1記載の製造法。
  4. 【請求項4】光学活性二塩基酸A1 が、L−酒石酸また
    はD−酒石酸である請求項1記載の製造法。
  5. 【請求項5】溶媒が、水混和性有機溶媒と水との混合溶
    媒である請求項1記載の製造法。
  6. 【請求項6】反応後の反応混合物から2−メチルピペラ
    ジン中の望む方の光学分割体Xと光学活性二塩基酸A1
    との塩S1 を分離した後、その塩S1 にアルカリ水溶液
    を作用させて解塩することにより、2−メチルピペラジ
    ン中の望む方の光学分割体Xを形成させること、 ついで、光学活性二塩基酸A1 のアルカリ金属塩を除去
    して、遊離した光学分割体Xを得ることを特徴とする請
    求項1記載の製造法。
  7. 【請求項7】反応後の反応混合物から2−メチルピペラ
    ジン中の望む方の光学分割体Xと光学活性二塩基酸A1
    との塩S1 を分離した後の母液に、光学活性二塩基酸A
    1 を添加して反応させ、2−メチルピペラジン中の他方
    の光学分割体Yと光学活性二塩基酸A1 との塩を回収す
    ることを特徴とする請求項1記載の製造法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004149518A (ja) * 2002-10-07 2004-05-27 Toray Fine Chemicals Co Ltd 光学活性2−メチルピペラジンの製造方法
JP2004161749A (ja) * 2002-10-24 2004-06-10 Toray Fine Chemicals Co Ltd 光学活性含窒素化合物の製造方法
US8399655B2 (en) 2005-03-07 2013-03-19 Shire Canada Inc. Process and methods for the preparation of optically active cis-2-hydroxymethyl-4-(cytosin-1′-yl)-1,3-oxathiolane or pharmaceutically acceptable salts thereof

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