JP2002075242A - 電子銃構体及び陰極線管装置 - Google Patents

電子銃構体及び陰極線管装置

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JP2002075242A
JP2002075242A JP2000252781A JP2000252781A JP2002075242A JP 2002075242 A JP2002075242 A JP 2002075242A JP 2000252781 A JP2000252781 A JP 2000252781A JP 2000252781 A JP2000252781 A JP 2000252781A JP 2002075242 A JP2002075242 A JP 2002075242A
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electron beam
cathode
electron gun
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Tomonari Ishihara
智成 石原
Kazunori Sato
和則 佐藤
Hirobumi Ueno
博文 上野
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Toshiba Development and Engineering Corp
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Toshiba Corp
Toshiba Electronic Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】駆動回路への負担の増加を抑え、小電流から大
電流に変化するときの蛍光体スクリーン上におけるスポ
ットサイズの水平方向径及び垂直方向径の拡大を軽減
し、高い精細度が得られる電子銃構体及びこの電子銃構
体を備えた陰極線管装置を提供すること。 【解決手段】電子銃構体における電子ビーム発生部は、
カソードKを含んでいる。このカソードKは、カソード
面中央の第1領域Ka、第1領域を水平方向Xから挟む
ように配置された第2領域Kb、及び、第1領域を垂直
方向Yから挟むように配置された第3領域Kcの少なく
とも3つの異なる電子放出特性の領域を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電子銃構体に係
り、特に、電子銃構体に備えられるカソードの構造に関
する。
【0002】
【従来の技術】一般的なカラー陰極線管装置に適用され
る電子銃構体は、インライン方向に配列された3電子ビ
ームを発生する電子ビーム発生部と、3電子ビームを蛍
光体スクリーンに向けて加速・集束する主レンズ部とを
備えている。電子ビーム発生部は、少なくとも3つのカ
ソード、第1電極、及び、第2電極によって構成されて
いる。カソードには、映像信号に同期したドライブ電圧
が印加される。電子ビーム量(電流)は、このドライブ
電圧によって制御される。
【0003】ところで、カラー陰極線管装置では、求め
られる映像特性の1つとして、低電流でも高電流でも画
質変化が少ないことが要求されている。
【0004】一般に、電流を大きくする、すなわち電子
ビーム量を多くすると、蛍光体スクリーン上におけるビ
ームスポットのスポットサイズは大きくなる。このスポ
ットサイズの拡大が映像特性を劣化させる。このスポッ
トサイズ拡大による画像劣化の改善手法としては、一般
的に用いられている速度変調コイル(以下、VMコイル
と称する)による見かけ上のスポットサイズ縮小が挙げ
られる。
【0005】VMコイルは、ネックガラスに外装されて
いる。このVMコイルには、輝度信号の立ち上がり及び
立下がりに同期して、立ち上がりでは速く、立下りでは
遅く電子ビームを微小偏向するように電流を流す。その
結果、輝度信号の立ち上がり及び立ち下がりでコントラ
ストが強くなると同時に、見かけ上のスポットサイズが
縮小される。
【0006】VMコイルに流れる電流は、ドライブ電圧
の大きさに依存する。小電流時、すなわち電子ビーム量
が少ないときは、VMコイルに流れる電流も小さく、ス
ポットサイズの水平方向径の変化は少ない。また、大電
流時、すなわち電子ビーム量が多いときは、VMコイル
に流れる電流も多く、このときには、スポットサイズの
水平方向径は大幅に縮小される。ただし、このスポット
サイズの縮小は、偏向ヨークによる走査方向、すなわち
水平方向のスポットサイズのみに効果があり、垂直方向
のスポットサイズは改善されない。すなわち、カソード
電流増加に伴う垂直方向のスポットサイズ拡大は、改善
されない。
【0007】ここで、一般にカソード電流を増すことで
スポットサイズが拡大する理由を説明する。
【0008】カソードから放出される電流を多くとるた
めには、カソードに印加されるドライブ電圧を増大す
る。このとき、電位の浸透により、カソード面における
電子放出領域(Loading Area)が拡大し、
結果として放出電子量(電流)が多くなる。電流量及び
電子放出領域の増大により、主レンズに対する仮想物点
径は大きくなり、蛍光体スクリーン上におけるスポット
サイズは拡大する。
【0009】また、電流増加に伴い、電子ビームの発散
角も増加し、仮想物点位置(主レンズから見たときの物
点の位置)が蛍光体スクリーン側に移動する。この仮想
物点位置の前進移動により、蛍光体スクリーン上に到達
する電子ビームのビームスポットが最適フォーカスとな
るフォーカス電圧が変化する。
【0010】一般に、映像信号に対するフォーカス電圧
は一定であり、小電流から大電流と電流量が変化する
と、蛍光体スクリーン上のビームスポットは、デフォー
カス状態となり、スポットサイズは拡大する。
【0011】さらに、電流量が多くなると、電子ビーム
のクロスオーバー位置における空間電荷反発効果が増大
し、仮想物点径の拡大と仮想物点位置の蛍光体スクリー
ン側への移動が起こり、前述同様に、スポットサイズは
拡大する。
【0012】このように、小電流から大電流に変化した
とき、蛍光体スクリーン上におけるスポットサイズが拡
大し、画像の精細度を劣化させる。
【0013】大電流時におけるスポットサイズを小さく
する方法としては、第1電極の孔径を小さくし、仮想物
点径を小さくする方法が挙げられる。しかしながら、こ
の方法は、大電流時のスポットサイズを小さくすること
はできるが、電流変化に対するスポットサイズの変化を
少なくするものではない。つまり、この方法は、大電流
時のスポットサイズを小さくするとともに、小電流時に
おけるスポットサイズも過度に小さくする。その結果、
モアレ等による画質の劣化を招くおそれがある。
【0014】すなわち、第1電極の孔径を小さくする方
法では、小電流から大電流に変化したとき、蛍光体スク
リーン上におけるスポットサイズの変化は改善できな
い。
【0015】特開平11−120931号公報、及び、
特開平11−283487号公報によれば、電流変化に
対して電子放出領域を限定し、大電流時におけるスポッ
トサイズ拡大を抑制する構成が開示されている。これに
よれば、カソード表面には、中央にコア部エミッタ01
aを設け、その周囲に同心円状に電子の放出しない領域
01bを設け、さらにその周囲に外周部エミッタ01c
を設ける。ただし、外周部エミッタ01cは、製造上残
るものであって、実際には、電子放出に寄与しない。
【0016】また、他のカソードの構造として、カソー
ド表面には、中央に電子を放出しやすい領域02a(低
仕事関数の領域)を設け、その周囲に同心円状に電子を
放出しくい領域02b(高仕事関数の領域)を設ける。
【0017】これらの公報によれば、このように構成す
ることにより、電子放出領域を中央部に限定し、収差の
多いビーム外周部のビーム量を減少させ、ハローの少な
いビームスポットを形成し、良好な画質を得ることがで
きると述べている。しかしながら、電子放出領域をカソ
ード中央部に限定する方法では、大電流時における電子
放出特性が著しく劣化し、大電流をとるためのドライブ
電圧が通常より著しく高くなる。その結果、駆動回路へ
の負担が多くなり、駆動回路のコストアップ、及び駆動
回路の信頼性の劣化を招く。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、良好
な画質を得るためには、小電流から大電流に変化すると
きに、蛍光体スクリーン上でのスポットサイズの変化を
少なくすることが必要である。スポットサイズの水平方
向については、VMコイルによるスポットサイズ縮小の
感度を最適化することにより、小電流から大電流となる
ときのスポットサイズの拡大が補償されるが、垂直方向
の電流変化に対するスポットサイズの拡大は、補償され
ない。また、このような問題は、電子ビーム発生部の構
成を機械的に小さくすることでも解決しない。
【0019】すなわち、従来の方法では、小電流時及び
大電流時にスポットサイズの水平方向径及び垂直方向径
を共に最適化することは難しい。
【0020】また、電子放出領域を中央部のみに限定
し、仮想物点径の拡大を抑える手法では、小電流から大
電流へ変化した場合のスポットサイズ拡大を抑制するこ
とが可能となるが、ドライブ電圧の著しい増大を伴い、
駆動回路への負担増、駆動回路のコストアップ、及び駆
動回路の信頼性の劣化を招くといった問題が生じる。
【0021】本発明は、を提供する。
【0022】この発明は、上述した問題点に鑑みなされ
たものであって、その目的は、駆動回路への負担の増加
を抑え、小電流から大電流に変化するときの蛍光体スク
リーン上におけるスポットサイズの水平方向径及び垂直
方向径の拡大を軽減し、高い精細度が得られる電子銃構
体及びこの電子銃構体を備えた陰極線管装置を提供する
ことにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決し目的を
達成するために、請求項1に記載の電子銃構体は、電子
ビームを発生する電子ビーム発生部、及び、この電子ビ
ーム発生部から発生された電子ビームをターゲットに向
けて加速・集束する主レンズ部を備えた電子銃構体にお
いて、前記電子ビーム発生部は、カソードを含み、前記
カソードは、カソード面中央の第1領域、前記第1領域
を第1方向から挟むように配置された第2領域、及び、
前記第1領域を前記第1方向とは異なる第2方向から挟
むように配置された第3領域の少なくとも3つの異なる
電子放出特性の領域を有することを特徴とする。
【0024】請求項5に記載の電子銃構体は、インライ
ン方向に一列に配置された3電子ビームを発生する電子
ビーム発生部、及び、この電子ビーム発生部から発生さ
れた3電子ビームをターゲットに向けて加速・集束する
主レンズ部を備えた電子銃構体において、前記電子ビー
ム発生部は、少なくとも、インライン方向に一列に配置
された3個のカソードと、第1電極と、第2電極と、を
電子ビームの進行方向に沿って含み、前記各カソード
は、カソード面中央の第1領域、前記第1領域をインラ
イン方向に平行な水平方向から挟むように配置された第
2領域、及び、前記第1領域をインライン方向に垂直な
垂直方向から挟むように配置された第3領域の少なくと
も3つの異なる電子放出特性の領域を有することを特徴
とする。
【0025】請求項9に記載の陰極線管装置は、インラ
イン方向に一列に配置された3電子ビームを発生する電
子ビーム発生部、及び、この電子ビーム発生部から発生
された3電子ビームを蛍光体スクリーンに向けて加速・
集束する主レンズ部を備えた電子銃構体と、前記電子銃
構体から出射された3電子ビームを前記蛍光体スクリー
ンの水平方向及び垂直方向に走査する偏向ヨークと、電
子ビームの走査速度を変調する速度変調コイルと、を備
えた陰極線管装置において、前記電子ビーム発生部は、
少なくとも、インライン方向に一列に配置された3個の
カソードと、第1電極と、第2電極と、を電子ビームの
進行方向に沿って含み、前記各カソードは、カソード面
中央の第1領域、前記第1領域をインライン方向に平行
な水平方向から挟むように配置された第2領域、及び、
前記第1領域をインライン方向に垂直な垂直方向から挟
むように配置された第3領域の少なくとも3つの異なる
電子放出特性の領域を有することを特徴とする。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、この発明の電子銃構体及び
この電子銃構体を備えた陰極線管装置の一実施の形態に
ついて図面を参照して説明する。
【0027】図1に示すように、この発明の陰極線管装
置、例えばセルフコンバージェンス方式のインライン型
カラー陰極線管装置は、パネル1、ネック5、及びこれ
らに一体に接合された漏斗状のファンネル2からなる外
囲器を有している。パネル1は、その内面に、青、緑、
赤に発光するストライプ状またはドット状の3色蛍光体
層からなる蛍光体スクリーン4を備えている。シャドウ
マスク3は、その内側に多数の電子ビーム通過孔を有
し、蛍光体スクリーン4に対向して配置されている。
【0028】ネック5は、その内部に配設された、イン
ライン型電子銃構体6を備えている。この電子銃構体6
は、同一水平面上を通るセンタービーム7Gおよび一対
のサイドビーム7B,7Rからなる一列配置の3電子ビ
ーム7B,7G,7Rを放出する。
【0029】偏向ヨーク8は、ファンネル2の径大部か
らネック5にかけて装着されている。この偏向ヨーク8
は、電子銃構体6から放出された3電子ビーム7B,7
G,7Rを水平方向(X)及び垂直方向(Y)に偏向す
る非斉一な偏向磁界を発生する。この非斉一磁界は、ピ
ンクッション型の水平偏向磁界及びバレル型の垂直偏向
磁界によって形成される。
【0030】また、この陰極線管装置は、偏向ヨーク8
の後部におけるネック5の外面にに装着された一対の速
度変調コイル9を備えている。これら一対の速度変調コ
イル9は、図1に示すように、水平方向に沿って対向し
て配置されている。
【0031】電子銃構体6から放出された3電子ビーム
7B、7G、7Rは、偏向ヨーク8の発生する非斉一磁
界によって偏向され、シャドウマスク3を介して蛍光体
スクリーン4を水平方向及び垂直方向に走査する。これ
により、カラー画像が表示される。
【0032】図2に示すように、電子銃構体6は、イン
ライン方向すなわち水平方向(X)に一列に配置された
3個のカソードKr、Kg、Kb、これらカソードK
(r、g、b)を個別に加熱する3個のヒーター(図示
せず)、および4個のグリッドを有している。4個のグ
リッド、すなわち第1グリッドG1,第2グリッドG
2,第3グリッドG3,及び第4グリッドG4は、カソ
ードKから蛍光体スクリーン4に向かって管軸方向
(Z)に沿って順次配置されている。これらヒーター、
カソードK(r、g、b)、及び4個のグリッドは、一
対の絶縁支持体(図示せず)によって一体に固定されて
いる。
【0033】第1及び第2グリッドG1,G2は、それ
ぞれ一体構造の板状電極によって構成されている。これ
らの板状電極は、3個のカソードK(r、g、b)に対
応して水平方向に一列に配置された3個の円形電子ビー
ム通過孔を有している。フォーカス電極として機能する
第3グリッドG3は、筒状電極によって構成されてい
る。筒状電極は、その両端面に、3個のカソードK
(r、g、b)に対応して水平方向に一列に配置された
3個の電子ビーム通過孔を有している。アノード電極と
して機能する第4グリッドG4は、カップ状電極によっ
て構成され、その第3グリッドG3との対向面に、3個
のカソードK(r、g、b)に対応して水平方向に一列
に配置された3個の電子ビーム通過孔を有している。
【0034】このような構成の電子銃構体において、カ
ソードK(r、g、b)には、約100〜200V程度
の直流電圧に映像信号に対応した変調信号を重畳した電
圧が印加される。第1グリッドG1は、接地されてい
る。第2グリッドG2には、約500〜1000V程度
の直流電圧が印加される。第3グリッドG3には、約6
kV〜10kV程度の一定の集束電圧(Vf)が印加さ
れる。第4グリッドG4には、約22kV〜35kV程
度の陽極電圧が印加される。
【0035】カソードK(r、g、b)、第1グリッド
G1、及び第2グリッドG2は、電子ビームを発生する
とともに後述する主レンズ部の物点を形成する電子ビー
ム発生部を構成する。第2グリッドG2及び第3グリッ
ドG3は、電子ビーム発生部から発生された電子ビーム
を予備集束するプリフォーカスレンズを形成する。第3
グリッドG3及び第4グリッドG4は、予備集束された
電子ビームを最終的に蛍光体スクリーン上に集束する主
レンズ部を形成する。
【0036】ところで、カソードK(r、g、b)は、
その表面に、少なくとも3つの電子放出特性が異なる領
域を有している。すなわち、カソード表面は、図3に示
すように、第1領域としての中央部Ka、第2領域とし
ての左右部Kb、第3領域としての上下部Kcの3つの
領域を有している。
【0037】中央部Kaは、カソード表面の中央に円形
に形成されている。この中央部Kaの中心は、第1グリ
ッドG1に形成された円形の電子ビーム通過孔の中心軸
に一致する。一対の左右部Kbは、中央部Kaを水平方
向(インライン方向)から挟むよう配置されている。こ
れら一対の左右部Kbは、水平方向と平行な軸(X軸)
及びインライン方向に垂直な垂直方向と平行な軸(Y
軸)に関して、軸対称であるように構成される。また、
一対の上下部Kcは、中央部Kaを垂直方向から挟むよ
う配置されている。これら一対の上下部Kcは、水平方
向と平行な軸(X軸)及びインライン方向に垂直な垂直
方向と平行な軸(Y軸)に関して、軸対称であるように
構成される。
【0038】各領域の電子放出特性は、高い順に左右部
Kb、中央部Ka、上下部Kcとなっている。
【0039】これら3つの領域は、以下のようにして形
成される。
【0040】すなわち、まず、円形のタングステン
(W)ベースの基材を用意する。続いて、スパッタリン
グにより、基材の中央部に円形に主にイリジウム(I
r)を成膜して中央部Kaに相当する第1領域を形成す
る。続いて、スパッタリングにより、中央部Kaを除い
た基材の円弧状の領域に主にスカンジウム(Sc)の酸
化物、すなわちScを成膜して左右部Kbに相当
する第2領域を形成する。イリジウム及びスカンジウム
酸化物が成膜されていない基材が剥き出しの領域は、上
下部に相当する第3領域となる。
【0041】カソード表面を、上述したように構成した
場合、小電流のときには、電子ビームは、中央部Kaの
みから放出される。また、大電流のときには、電子ビー
ムは、3つの領域Ka、Kb、Kcから放出される。
【0042】このような構成とすることにより、以下の
ような作用が得られる。
【0043】すなわち、小電流時においては、左右部K
bより電子放出特性の劣る中央部Kaから電子ビームが
放出される。このように、電子放出を担うカソード表面
における中央部Kaの電子放出特性を低く設定すること
により、電子放出領域がカソード全面を左右部Kbと同
じエミッション特性としたときより広くなる。
【0044】すなわち、カソード表面における電子放出
領域11は、図6に示すように、水平方向の電流密度分
布断面12及び垂直方向の電流密度分布断面を有するよ
うになる。図6に示した小電流時の電子放出領域11
は、図8に示したような従来のカソードの電子放出領域
よりも大きくなる。
【0045】このため、主レンズに対する仮想物点径が
大きくなる。このことから、図10の(a)に示すよう
に、小電流時の蛍光体スクリーン上でのスポットサイズ
は、図12の(a)に示した従来の電子銃構体に比べて
大きくなる。このような小電流時における仮想物点径の
拡大は、モアレの発生を抑え、かつ小電流から大電流と
なるときのスポットサイズの変化量を少なくすることが
可能となる。
【0046】大電流時においては、電子放出特性の異な
る3つの電子放出領域Ka、Kb、Kcから電子ビーム
が放出される。これにより、カソード表面から放出され
る電子ビーム量が水平方向と垂直方向とで異なる。
【0047】すなわち、カソード表面における電子放出
領域11は、図7に示すように、水平方向と垂直方向と
で非対称な電流密度分布断面12、及び、電流密度分布
断面13を有するようになる。図7に示した大電流時の
電子放出領域11は、図9に示したような従来のカソー
ドの電子放出領域より、垂直方向及び水平方向で電流量
が少なくなる。特に、図7に示したように、電子放出領
域11においては、垂直方向の電流量が水平方向の電流
量より少なくなる。
【0048】このことから、従来のカソードの同電流時
における垂直方向の仮想物点径の拡大を抑えることがで
き、主レンズに対する仮想物点径の垂直方向の拡大は、
小さく抑えられる。また、空間電荷反発効果も少なく抑
えられることで、垂直方向の仮想物点径の拡大と仮想物
点位置の蛍光体スクリーン側への移動も、従来のカソー
ドより少なく抑えることができる。この結果、図10の
(b)に示すように、大電流時における蛍光体スクリー
ン上でのスポットサイズは、図12の(b)に示すよう
な従来の電子銃構体のスポットサイズより、垂直方向径
の拡大を抑制することができる。
【0049】またこの場合、最も電子放出特性の高い左
右部Kbから十分に電子ビームが放出されることから、
カソード電流を得るために必要なドライブ電圧の上昇を
最小限に抑えることができる。
【0050】このように、カソードを上述したように溝
成することにより、小電流時における仮想物点径は従来
のカソード構成より大きく、小電流から大電流と変化す
るときには、垂直方向の仮想物点径の拡大を抑えると同
時に、仮想物点位置の移動を従来のカソード構成より少
なく抑えられる。したがって、スポットサイズの拡大
は、抑制される。また、ドライブ電圧の上昇も少なく抑
えることができる。
【0051】ただし、この実施の形態に係る構造の電子
銃構体では、蛍光体スクリーン上でのビームスポットの
水平方向径は、従来のものに比べやや大きくなる。しか
しながら、速度変調コイル9により、ビームスポットの
水平方向径の拡大を改善することができる。すなわち、
速度変調コイル9を動作させた場合、図11の(a)及
び(b)に示すように、図10の(a)及び(b)に示
したビームスポットに比べて、水平方向径の拡大を抑制
することができ、スポットサイズを改善することができ
る。これにより、ビームスポットの水平方向径の差を小
さくすることができる。
【0052】これに対して、従来の構造の場合、速度変
調コイル9を動作させると、図13の(a)及び(b)
に示すように、図12の(a)及び(b)に示したビー
ムスポットに比べて、特に大電流時において過剰に水平
方向径が集束され、ビームスポットを劣化させてしま
う。
【0053】したがって、上述した実施の形態のよう
に、カソード表面に、3つの異なる電子放出特性の領域
を形成することにより、電子銃構体の構成を変えること
なく、且つ駆動回路への負担を著しく増やすことなく、
小電流から大電流において高い精細度を保つことのでき
る陰極線管装置用の電子銃構体を得ることができる。
【0054】なお、上述した実施の形態では、主レンズ
は、第3電極及び第4電極によって構成されるバイポテ
ンシャル電子銃構体を例に述べたが、ユニポテンシャル
型や他の複合主レンズにても同様の効果が得られる。
【0055】また、上述した実施の形態では、電子放出
領域の境界は、明確に線引きされているが、境界での電
子放出特性が緩やかに変化するように形成されていて
も、同様な効果が得られる。
【0056】さらに、上述した実施の形態では、カソー
ド表面に形成される電子放出特性の異なる領域が3つの
場合について説明したが、これ以上であっても良い。ま
た、これら3つの領域は、図1に示したような配置の場
合について説明したが、3つの異なる電子放出特性の設
定によっては、図4または図5のように構成しても同様
の効果が得られる。
【0057】すなわち、図4に示した例では、最も電子
放出特性の高い左右部Kbは、次に電子放出特性の高い
円形の中央部Kaの水平方向Xに沿った両側にほぼ半円
形状に形成されている。また、最も電子放出特性の低い
上下部Kcは、中央部Kaの垂直方向Yに沿った両側に
ほぼストライプ状に形成されている。
【0058】また、図5に示した例では、最も電子放出
特性の高い左右部Kbは、次に電子放出特性の高い円形
の中央部Kaの水平方向Xに沿った両側にほぼストライ
プ状に形成されている。また、最も電子放出特性の低い
上下部Kcは、中央部Kaの垂直方向Yに沿った両側に
ほぼ半円形状に形成されている。
【0059】このように、図4及び図5に示したように
電子放出特性を配置した場合であっても、上述した実施
の形態と同様に、小電流時において、蛍光体スクリーン
上でのビームスポットのスポットサイズを拡大し、大電
流時において、ビームスポットの垂直方向径の拡大を抑
制することができ、同様の効果を得ることが可能とな
る。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、駆動回路への負担の増加を抑え、小電流から大電流
に変化するときの蛍光体スクリーン上におけるスポット
サイズの水平方向径及び垂直方向径の拡大を軽減し、高
い精細度が得られる電子銃構体及びこの電子銃構体を備
えた陰極線管装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の電子銃構体を備えた陰極線
管装置の構成を概略的に示す水平断面図である。本発明
の実施例におけるカソードの電子放出領域の分布図。
【図2】図2は、この発明の一実施の形態に係る電子銃
構体の構成を概略的に示す水平断面図である。従来電子
銃におけるカソードの電子放出領域の分布図。
【図3】図3は、図2に示した電子銃構体におけるカソ
ードの電子放出領域の分布例を示す図である。
【図4】図4は、図2に示した電子銃構体に適用可能な
カソードの電子放出領域の他の分布例を示す図である。
【図5】図5は、図2に示した電子銃構体に適用可能な
カソードの電子放出領域の他の分布例を示す図である。
【図6】図6は、図3に示したカソードにおける小電流
時の水平方向及び垂直方向の電流密度分布の断面を示す
図である。
【図7】図7は、図3に示したカソードにおける大電流
時の水平方向及び垂直方向の電流密度分布の断面を示す
図である。
【図8】図8は、従来のカソードにおける小電流時の水
平方向及び垂直方向の電流密度分布の断面を示す図であ
る。
【図9】図9は、従来のカソードにおける大電流時の水
平方向及び垂直方向の電流密度分布の断面を示す図であ
る。
【図10】図10の(a)及び(b)は、それぞれ図3
に示したカソードにおける小電流時及び大電流時のビー
ムスポット形状を模式的に示す図である。
【図11】図11の(a)及び(b)は、それぞれ図3
に示したカソードにおける小電流時及び大電流時におい
て、速度変調コイルを動作させた場合のビームスポット
形状を模式的に示す図である。
【図12】図12の(a)及び(b)は、それぞれ従来
のカソードにおける小電流時及び大電流時のビームスポ
ット形状を模式的に示す図である。
【図13】図13の(a)及び(b)は、それぞれ従来
のカソードにおける小電流時及び大電流時において、速
度変調コイルを動作させた場合のビームスポット形状を
模式的に示す図である。
【符号の説明】
1…パネル 2…ファンネル 3…シャドウマスク 4…蛍光体スクリーン 5…ネック 6…電子銃構体 7(R、G、B)…電子ビーム 8…偏向ヨーク 9…速度変調コイル K(r、g、b)…カソード G1…第1グリッド G2…第2グリッド G3…第3グリッド G4…第4グリッド Ka…中央部(第1領域) Kb…左右部(第2領域) Kc…上下部(第3領域)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 和則 埼玉県深谷市幡羅町一丁目9番地2号 株 式会社東芝深谷工場内 (72)発明者 上野 博文 神奈川県川崎市川崎区日進町7番地1 東 芝電子エンジニアリング株式会社内 Fターム(参考) 5C031 DD04 DD09 DD15 5C041 AA03 AB03

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子ビームを発生する電子ビーム発生部、
    及び、この電子ビーム発生部から発生された電子ビーム
    をターゲットに向けて加速・集束する主レンズ部を備え
    た電子銃構体において、 前記電子ビーム発生部は、カソードを含み、 前記カソードは、カソード面中央の第1領域、前記第1
    領域を第1方向から挟むように配置された第2領域、及
    び、前記第1領域を前記第1方向とは異なる第2方向か
    ら挟むように配置された第3領域の少なくとも3つの異
    なる電子放出特性の領域を有することを特徴とする電子
    銃構体。
  2. 【請求項2】前記第1方向は、水平方向に平行であり、
    前記第2方向は、垂直方向に平行であって、 前記電子放出特性は、高い順に第2領域、第1領域、第
    3領域であるように構成されたことを特徴とする請求項
    1に記載の電子銃構体。
  3. 【請求項3】前記電子放出特性が水平方向に平行な軸ま
    たは垂直方向に平行な軸に対称となるように、前記第1
    乃至第3領域が配置されたことを特徴とする請求項1に
    記載の電子銃構体。
  4. 【請求項4】前記第2領域は、水平方向に平行な軸につ
    いて対称であるとともに、前記第3領域は、垂直方向に
    平行な軸について対称であることを特徴とする請求項1
    に記載の電子銃構体。
  5. 【請求項5】インライン方向に一列に配置された3電子
    ビームを発生する電子ビーム発生部、及び、この電子ビ
    ーム発生部から発生された3電子ビームをターゲットに
    向けて加速・集束する主レンズ部を備えた電子銃構体に
    おいて、 前記電子ビーム発生部は、少なくとも、インライン方向
    に一列に配置された3個のカソードと、第1電極と、第
    2電極と、を電子ビームの進行方向に沿って含み、 前記各カソードは、カソード面中央の第1領域、前記第
    1領域をインライン方向に平行な水平方向から挟むよう
    に配置された第2領域、及び、前記第1領域をインライ
    ン方向に垂直な垂直方向から挟むように配置された第3
    領域の少なくとも3つの異なる電子放出特性の領域を有
    することを特徴とする電子銃構体。
  6. 【請求項6】前記電子放出特性は、高い順に第2領域、
    第1領域、第3領域であるように構成されたことを特徴
    とする請求項5に記載の電子銃構体。
  7. 【請求項7】前記第1電極は、インライン方向に一列に
    配置された3個のカソードに対応して3個の円形の電子
    ビーム通過孔を有し、 前記カソード面の前記第1領域は、前記第1電極の電子
    ビーム通過孔の中心軸を中心とした円形に形成されたこ
    とを特徴とする請求項5に記載の電子銃構体。
  8. 【請求項8】前記第2領域は、水平方向に平行な軸につ
    いて対称であるとともに、前記第3領域は、垂直方向に
    平行な軸について対称であることを特徴とする請求項5
    に記載の電子銃構体。
  9. 【請求項9】インライン方向に一列に配置された3電子
    ビームを発生する電子ビーム発生部、及び、この電子ビ
    ーム発生部から発生された3電子ビームを蛍光体スクリ
    ーンに向けて加速・集束する主レンズ部を備えた電子銃
    構体と、前記電子銃構体から出射された3電子ビームを
    前記蛍光体スクリーンの水平方向及び垂直方向に走査す
    る偏向ヨークと、 電子ビームの走査速度を変調する速度変調コイルと、を
    備えた陰極線管装置において、 前記電子ビーム発生部は、少なくとも、インライン方向
    に一列に配置された3個のカソードと、第1電極と、第
    2電極と、を電子ビームの進行方向に沿って含み、 前記各カソードは、カソード面中央の第1領域、前記第
    1領域をインライン方向に平行な水平方向から挟むよう
    に配置された第2領域、及び、前記第1領域をインライ
    ン方向に垂直な垂直方向から挟むように配置された第3
    領域の少なくとも3つの異なる電子放出特性の領域を有
    することを特徴とする陰極線管装置。
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