JP2002071018A - シンクロメッシュ式トランスミッションのための変速装置 - Google Patents

シンクロメッシュ式トランスミッションのための変速装置

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JP2002071018A
JP2002071018A JP2000261725A JP2000261725A JP2002071018A JP 2002071018 A JP2002071018 A JP 2002071018A JP 2000261725 A JP2000261725 A JP 2000261725A JP 2000261725 A JP2000261725 A JP 2000261725A JP 2002071018 A JP2002071018 A JP 2002071018A
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sleeve
synchronization
transmission
time
drive signal
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JP2000261725A
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Yoshiyuki Aoyama
義幸 青山
Yoshie Miyazaki
剛枝 宮崎
Ryuji Choshi
竜二 調子
Mitsutoshi Kamiya
充俊 神谷
Yoshihiro Ichikawa
義裕 市川
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Aisin AI Co Ltd
Original Assignee
Aisin AI Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電気的に制御されるアクチュエータによりシン
クロメッシュ式のトランスミッションの変速比を変化さ
せる変速装置において、駆動信号のアクチュエータへの
供給に対するスリーブ荷重の応答遅れにもかかわらずス
リーブの押し分け状態の開始当初におけるスリーブ荷重
が適正化されるようにアクチュエータを制御する。 【解決手段】トランスミッションにおける同期装置によ
る同期が実質的に完了する同期完了時期すなわちスリー
ブの押し分け状態の開始時期を予測するとともに、駆動
信号Sを、その予測された同期完了時期から、駆動信号
Sのアクチュエータへの供給に対するスリーブ荷重Fの
応答遅れ時間Tdlyと同じ時間早い時期に、スリーブ
荷重Fを要求押し分け荷重Fに減少させるための値に
変化させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気的に制御され
るアクチュエータによりシンクロメッシュ式のトランス
ミッションの変速比を変化させる技術に関するものであ
り、特に、そのアクチュエータの制御に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】車両において動力源の回転を駆動車輪に
伝達するトランスミッションの形式としてシンクロメッ
シュ式が既に存在する。この形式のトランスミッション
においては、動力源から駆動車輪までの力伝達系に滑り
要素が存在しない。そのため、この形式のトランスミッ
ションには、オートマチック式のトランスミッションと
は異なり、運転者のアクセル操作に対して駆動車輪が敏
感に応答し、応答性の高い運転フィーリングが得られる
という利点や、燃料消費量が減少し、省エネに貢献する
という利点がある。
【0003】それらの利点を享受するとともに、運転者
による変速操作を従来のマニュアル式トランスミッショ
ンにおけるより簡単なものにするために、電気的に制御
されるアクチュエータによりシンクロメッシュ式のトラ
ンスミッションの変速比を変化させる技術が既に提案さ
れている。その一例を採用した変速装置が本出願人の特
開2000−46176号公報に開示されている。
【0004】この種の変速装置と共に使用されるトラン
スミッションは、各ギヤ対が常時噛み合わされるととも
にギヤ比が互いに異なる複数のギヤ対のいずれかを有効
ギヤ対として選択するために同期装置を備えている。
【0005】その同期装置は、ギヤ対の一方が遊動ギヤ
として相対回転可能に装着されたシャフトに対して相対
回転不能かつ軸方向に相対移動可能なスリーブと、遊動
ギヤに対して相対回転可能かつ軸方向に相対移動可能な
シンクロナイザリングとを備えている。
【0006】この同期装置は、作動状態では、スリーブ
を軸方向に移動させてそのスリーブをシンクロナイザリ
ングに当接させ、それにより、そのシンクロナイザリン
グを、遊動ギヤに対して相対回転不能な摩擦面に押し付
けてその遊動ギヤとスリーブとの同期を行う。この同期
装置は、さらに、その同期が完了した後、スリーブをさ
らに同じ向きに移動させることにより、そのスリーブに
対して相対変位不能なクラッチにおける複数の歯が、シ
ンクロナイザリングに対して相対変位不能な複数の歯
と、遊動ギヤに対して相対変位不能なクラッチにおける
複数の歯とをそれらの周方向に押し分けつつそれら歯に
噛み合う押し分け状態を実現し、それにより、それら両
クラッチを噛み合わせる。
【0007】そして、上述の変速装置は、外部からの信
号に応じて電気的に制御されることにより、スリーブを
軸方向に移動させるために荷重を発生させるアクチュエ
ータと、車両の運転者の意思とその車両の状態とトラン
スミッションの状態との少なくとも一つに基づいてその
トランスミッションの変速比を変化させるためにアクチ
ュエータに駆動信号を供給して制御する制御装置とを備
えている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この種の変速装置と共
に使用されるトランスミッションの同期装置は、前述の
ように、スリーブをシンクロナイザリングに押し付けて
スリーブと遊動ギヤとの同期を行い、その同期の完了後
に、スリーブをさらに移動させることにより、そのスリ
ーブのクラッチにおける複数の歯が、シンクロナイザリ
ングにおける複数の歯と、遊動ギヤのクラッチにおける
複数の歯とをそれらの周方向に押し分けつつそれら歯に
噛み合う押し分け状態を実現する。
【0009】このような作動を行う同期装置において
は、同期の迅速化のためには同期状態においてスリーブ
にある程度大きい荷重を作用させることが必要である。
この同期状態においては、スリーブの歯の先端面とシン
クロナイザリングの歯の先端面とが互いに当接した状態
において実質的に静止しているが、この同期状態から押
し分け状態への移行段階においては、一般に、スリーブ
の歯の先端面がシンクロナイザリングの歯の先端面上を
スライドさせられ、やがてスリーブの歯の先端面の終端
に位置する角部と、シンクロナイザリングの歯の先端面
の終端に位置する角部とが互いに擦られる。そのため、
同期状態の終了後にも依然としてスリーブに大きな荷重
が作用させられる場合には、スリーブの上記角部とシン
クロナイザリングの上記角部との摩耗が早期に進行して
しまう。
【0010】また、この種の変速装置においては、一般
に、スリーブに作用するスリーブ荷重が駆動信号のアク
チュエータへの供給に対して応答する際に遅れが存在す
ることを避け得ない。そのため、この応答遅れを考慮し
ないで駆動信号を決定してアクチュエータに供給したの
では、スリーブの押し分け状態の開始当初においてスリ
ーブ荷重を、上述の早期摩耗を抑制するのに適正な大き
さに制御することができない。
【0011】
【課題を解決するための手段および発明の効果】このよ
うな知見に基づき、本発明は、駆動信号のアクチュエー
タへの供給に対するスリーブ荷重の応答遅れにもかかわ
らずスリーブの押し分け状態の開始当初におけるスリー
ブ荷重が適正化されるようにアクチュエータを制御する
ことを課題としてなされたものであり、本発明によって
下記各態様が得られる。各態様は、請求項と同様に、項
に区分し、各項に番号を付し、必要に応じて他の項の番
号を引用する形式で記載する。これは、本明細書に記載
の技術的特徴のいくつかおよびそれらの組合せのいくつ
かの理解を容易にするためであり、本明細書に記載の技
術的特徴やそれらの組合せが以下の態様に限定されると
解釈されるべきではない。
【0012】(1) 車両において動力源の回転を駆動車
輪に伝達するシンクロメッシュ式トランスミッションで
あって、各ギヤ対が常時噛み合わされるとともにギヤ比
が互いに異なる複数のギヤ対のいずれかを有効ギヤ対と
して選択するために同期装置を備えており、かつ、その
同期装置が、(a)前記ギヤ対の一方が遊動ギヤとして
相対回転可能に装着されたシャフトに対して相対回転不
能かつ軸方向に相対移動可能なスリーブと、前記遊動ギ
ヤに対して相対回転可能かつ軸方向に相対移動可能なシ
ンクロナイザリングとを備え、かつ、(b)作動状態で
は、前記スリーブを軸方向に移動させてそのスリーブを
前記シンクロナイザリングに当接させ、それにより、そ
のシンクロナイザリングを、前記遊動ギヤに対して相対
回転不能な摩擦面に押し付けてその遊動ギヤと前記スリ
ーブとの同期を行い、その同期が完了した後、前記スリ
ーブをさらに同じ向きに移動させることにより、そのス
リーブに対して相対変位不能なクラッチにおける複数の
歯が、前記シンクロナイザリングに対して相対変位不能
な複数の歯と、前記遊動ギヤに対して相対変位不能なク
ラッチにおける複数の歯とをそれらの周方向に押し分け
つつそれら歯に噛み合う押し分け状態を実現し、それに
より、それら両クラッチを噛み合わせるものであるトラ
ンスミッションと共に使用され、そのトランスミッショ
ンの変速比を変化させる変速装置であって、外部からの
信号に応じて電気的に制御されることにより、前記スリ
ーブを前記軸方向に移動させるために荷重を発生させる
アクチュエータと、前記車両の運転者の意思とその車両
の状態と前記トランスミッションの状態との少なくとも
一つに基づいてそのトランスミッションの変速比を変化
させるために前記アクチュエータに駆動信号を供給して
制御する制御装置であって、前記駆動信号を、前記押し
分け状態の開始時期に先立って、その開始時期において
前記スリーブに作用するスリーブ荷重に要求される要求
荷重に対応する要求荷重対応値を取るように変化させる
駆動信号変化手段を有するものとを含むシンクロメッシ
ュ式トランスミッションのための変速装置[請求項
1]。この変速装置においては、駆動信号が、押し分け
状態の開始時期に先立って、その開始時期においてスリ
ーブ荷重に要求される要求荷重に対応する要求荷重対応
値を取るように変化させられる。したがって、この変速
装置によれば、駆動信号のアクチュエータへの供給に対
してスリーブ荷重が応答する際に遅れが存在するにもか
かわらず、スリーブの押し分け状態の開始時期における
スリーブ荷重が要求荷重に近づくようにアクチュエータ
が制御される。よって、この変速装置によれば、押し分
け状態の開始当初においてスリーブ荷重を容易に適正化
し得、例えば、スリーブとシンクロナイザリングとの早
期摩耗を抑制して同期装置の耐久性を向上させ得る。本
項において「動力源」は、エンジン(内燃機関)とした
り、電動モータとしたり、エンジンと電動モータとの双
方とすることができる。本項において「制御装置」は、
運転者の意思を検出するセンサのうち運転者の変速に関
する意思を検出するセンサ、例えば、シフトレバー等の
変速操作部材の操作を検出するセンサからの出力信号を
主体にアクチュエータを制御する形式とすることができ
る。さらに、「制御装置」は、運転者の意思を検出する
センサのうち運転者の車両加減速に関する意思を検出す
るセンサ、例えば、アクセルペダル等の加速操作部材の
操作を検出するセンサと、車両の状態、例えば、車両速
度、動力源の回転数を検出するセンサとからの出力信号
を主体にアクチュエータを制御する形式とすることがで
きる。シンクロメッシュ式トランスミッションを備えた
車両においては、一般に、それの動力源とそのトランス
ミッションとの間にそれらの断続を行うクラッチが搭載
される。このクラッチには、運転者により直接に作動さ
せられる手動式と、電気的に制御されるアクチュエータ
により作動させられる自動式とがある。自動式のクラッ
チを採用する場合には、例えば、本項の「制御装置」
を、スリーブを制御するアクチュエータと連動してその
クラッチのアクチュエータをも制御する形式とすること
ができる。本項において「同期装置」は、同じトランス
ミッションにおいて少なくとも一つ使用される。また、
同じ「同期装置」は、一般に、2つのギヤ対のいずれか
を有効ギヤ対として選択するように構成される。さら
に、本項において「アクチュエータ」は、モータ等、電
気的な駆動源からの力を、その駆動源またはそれに接続
された制御機器を電気的に制御することによって制御す
る電気的駆動源利用式としたり、ポンプ、アキュムレー
タ等、圧力を発生させる圧力源からの圧力を、その圧力
源またはそれに接続された電磁バルブ等の制御機器を電
気的に制御することによって制御する圧力源利用式とす
ることができる。さらにまた、本項に係る変速装置は、
前記シャフトが前記駆動車輪に、前記ギヤ対のうち前記
遊動ギヤでない非遊動ギヤが前記動力源にそれぞれ連結
されるトランスミッションと共に使用可能であり、ま
た、シャフトが動力源に、非遊動ギヤが駆動車輪にそれ
ぞれ連結されるトランスミッションと共に使用可能であ
る。さらにまた、本項において「押し分け状態の開始時
期」は、例えば、同期が完了した時期と同じ時期として
定義したり、同期が完了してスリーブとシンクロナイザ
リングとの相対移動が開始する時期として定義したり、
スリーブの前記角部とシンクロナイザリングの前記角部
とが接触し始める時期として定義することができる。 (2) 前記駆動信号変化手段が、前記駆動信号を、前
記押し分け状態の開始時期に先立って、前記スリーブ荷
重を減少させるための値に変化させるものである(1)
項に記載のシンクロメッシュ式トランスミッションのた
めの変速装置[請求項2]。この変速装置によれば、押
し分け状態の開始時期に駆動信号をスリーブ荷重を減少
させるための値に変化させる場合に比較し、押し分け状
態の開始時期においてスリーブ荷重が、その押し分け状
態に先行する同期状態における大きさより減少する傾向
が強い。よって、この変速装置によれば、押し分け状態
の開始時期においてスリーブとシンクロナイザリングと
の早期摩耗を抑制し得る。 (3) 前記制御装置が、さらに、前記同期が実質的に
完了する同期完了時期を予測する同期完了時期予測手段
を含み、前記駆動信号変化手段が、前記駆動信号を、そ
の同期完了時期予測手段による予測同期完了時期から、
前記駆動信号の前記アクチュエータへの供給に対する前
記スリーブ荷重の応答遅れ時間と実質的に同じ時間早い
時期に、前記要求荷重対応値を取るように変化させるも
のである(1)または(2)項に記載のシンクロメッシ
ュ式トランスミッションのための変速装置[請求項
3]。この変速装置によれば、同期が実質的に完了する
同期完了時期が予測されるとともに、駆動信号が、その
予測された同期完了時期から、駆動信号のアクチュエー
タへの供給に対するスリーブ荷重の応答遅れ時間と実質
的に同じ時間早い時期に、要求荷重対応値を取るように
変化させられる。したがって、この変速装置によれば、
同期完了時期と応答遅れ時間とを考慮することにより、
押し分け状態の開始時期におけるスリーブ荷重の制御精
度を向上させ得る。 (4) 前記同期完了時期予測手段が、前記同期中のあ
る時期における前記遊動ギヤと前記スリーブとの相対回
転数とそれの変化勾配とに基づいて前記同期完了時期を
予測するものである(3)項に記載のシンクロメッシュ
式トランスミッションのための変速装置[請求項4]。
同期中においては、遊動ギヤとスリーブとの相対回転数
がほぼ一定の勾配で減少する期間が存在すると考えるこ
とが可能である。したがって、そのような期間中のある
時期におけるその相対回転数とそれの変化勾配とが分か
れば、相対回転数が実質的に0に減少する同期完了時期
を予測可能である。このような知見に基づき、本項に記
載の変速装置においては、同期中のある時期における遊
動ギヤとスリーブとの相対回転数とそれの変化勾配とに
基づいて同期完了時期が予測される。この変速装置にお
いては、相対回転数とそれの変化勾配とはいずれも、比
較的簡単に取得可能な物理量である。したがって、この
変速装置によれば、同期完了時期を比較的簡単に予測し
得る。 (5) 前記シャフトが、前記駆動車輪に連結されてお
り、前記ギヤ対のうち遊動ギヤでない非遊動ギヤが、前
記動力源に連結されており、前記同期完了時期予測手段
が、前記同期中のある時期における前記遊動ギヤの回転
数である入力回転数およびそれの変化勾配と、その同期
の完了時期にその入力回転数が取るべき目標回転数とに
基づいて前記同期完了時期を予測するものである(4)
項に記載のシンクロメッシュ式トランスミッションのた
めの変速装置。同期中のある時期における遊動ギヤの回
転数である入力回転数と、それの変化勾配と、その同期
の完了時期にその入力回転数が取るべき目標回転数と、
そのある時期から同期完了時期までの時間、すなわち、
同期開始から同期完了までの予想時間Tsynから、そ
の同期開始からそのある時期までの時間tを差し引いた
残りである残余時間Tresとの間に一定の関係が成立
する。それは、入力回転数と目標回転数との差を変化勾
配で割り算した値が残余時間Tresと一致するという
関係である。このような知見に基づき、本項に係る変速
装置においては、同期中のある時期における入力回転数
およびそれの変化勾配と目標回転数とに基づいて同期完
了時期が予測される。ところで、この変速装置は、同期
装置におけるシャフトが駆動車輪に連結されており、か
つ、ギヤ対のうち遊動ギヤでないギヤである非遊動ギヤ
が動力源に連結されている状態でトランスミッションが
使用される態様で実施される。この実施態様において
は、回転の安定性という観点から駆動車輪と動力源とを
対比すれば、駆動車輪は定速回転させられる傾向が強い
のに対し、動力源はその傾向が弱い。したがって、同期
中、スリーブの回転数である出力回転数はほとんど変化
しないと考えることができる。さらに、同期の完了時期
に入力回転数が取るべき目標回転数は、同期の完了時期
における出力回転数に一致する。よって、この変速装置
においては、目標回転数を、同期中の前記ある時期にお
ける出力回転数として取得することが可能である。 (6) 前記制御装置が、前記同期の開始時期から完了
時期までの実際同期時間が目標同期時間に近づくよう
に、前記同期のための同期制御中の各時期における前記
遊動ギヤと前記スリーブとの相対回転数の目標値である
目標相対回転数と、それと実質的に同じ各時期における
前記相対回転数の実際値である実際相対回転数との差で
ある相対回転数差に基づき、その後における相対回転数
差が0に近づくように前記駆動信号を逐次決定する駆動
信号決定手段を含み、前記同期完了時期予測手段が、前
記目標同期時間に基づいて前記同期完了時期を予測する
ものである(3)項に記載のシンクロメッシュ式トラン
スミッションのための変速装置[請求項5]。トランス
ミッションにおいては、同期が進行するにつれて、遊動
ギヤとスリーブとの相対回転数が0に接近し、0に一致
したときに同期が完了する。したがって、同期が開始し
てから完了するまでの経過時間である同期時間の目標値
が実現されるように、同期制御中の各時期において遊動
ギヤとスリーブとの相対回転数が取ることが適当である
値を目標相対回転数として決定することが可能である。
さらに、このようにして決定された目標相対回転数が実
現されるようにアクチュエータを制御すれば、同期時間
の実際値が目標値に精度よく一致することになる。この
ように、同期制御中の各時期における相対回転数に着目
することにより、同期時間を精度よく制御することが可
能なのである。そして、このことは、相対回転数に着目
してアクチュエータを制御すれば、目標同期時間が経過
した時期に同期が実際に完了する傾向が強くなることを
意味する。このような知見に基づき、本項に係る変速装
置においては、実際同期時間が目標同期時間に近づくよ
うに、同期制御中の各時期における目標相対回転数と、
それと実質的に同じ各時期における実際相対回転数との
差である相対回転数差に基づき、その後における相対回
転数差が0に近づくように駆動信号が決定されるととも
に、その目標同期時間に基づいて同期完了時期が予測さ
れる。 (7) 前記駆動信号決定手段が、前記同期の開始時期
における前記相対回転数である初期相対回転数に基づ
き、前記同期制御中の各時期における前記目標相対回転
数を決定する目標相対回転数決定部を含む(6)項に記
載のシンクロメッシュ式トランスミッションのための変
速装置。同期制御中において実際相対回転数が時間と共
に変化すべきパターン、例えば、直線であるのか、特定
の曲線であるのかを予め設定し、さらに、同期時間の目
標値を予め設定すれば、同期の開始時期における相対回
転数である初期相対回転数から、その同期制御中におい
て実際相対回転数が逐次取るべき値を取得可能である。
すなわち、同期制御中の各時期における目標相対回転数
を取得可能なのである。このような知見に基づき、本項
に記載の変速装置においては、初期相対回転数に基づ
き、同期制御中の各時期における目標相対回転数が決定
される。 (8) 前記制御装置が、各回の同期制御において単位
制御を繰返し実行するものであり、前記駆動信号決定手
段が、その単位制御ごとに前記駆動信号を決定するため
に、初回の単位制御において、前記同期の開始時期にお
ける前記相対回転数である初期相対回転数と前記駆動信
号との間に設定された関係に従い、その初回の単位制御
において前記アクチュエータに供給すべき駆動信号を決
定する第1信号決定部と、2回目以後の各回の単位制御に
おいて、前回の単位制御において前記アクチュエータに
供給された駆動信号を、今回の単位制御の実行前におけ
る前記相対回転数差に基づき、その今回の単位制御の実
行によって相対回転数差が0に近づくこととなるように
補正することにより、その今回の単位制御において前記
アクチュエータに供給すべき駆動信号を決定する第2信
号決定部とを含み、かつ、前記制御装置が、さらに、そ
れら第1および第2信号決定部により決定された駆動信
号を前記アクチュエータに供給する駆動信号供給手段を
含む(6)または(7)項に記載のシンクロメッシュ式
トランスミッションのための変速装置。前記(6)また
は(7)項に係る変速装置は、各回の同期制御において
単位制御が繰返し実行されるとともに単位制御ごとに駆
動信号が決定される場合に、各回の単位制御における駆
動信号を、前回の単位制御における駆動信号の適否を反
映した相対回転数差のみに基づいて決定する態様で実施
することが可能である。ところで、一般のシンクロメッ
シュ式トランスミッションにおいては、理論的に、同期
の開始時期における遊動ギヤとスリーブとの相対回転数
である初期相対回転数と、その同期が開始してから完了
するまでの経過時間である同期時間と、スリーブ荷重と
の間に一定の関係が成立する。したがって、例えば、あ
る長さの同期時間を目標同期時間に選定すれば、その条
件のもとに、初期相対回転数に対応するスリーブ荷重が
決定され、ひいては、その決定されたスリーブ荷重を実
現するためにアクチュエータに供給することが適当な駆
動信号も決定される。このように、初期相対回転数は、
一回の同期制御全体における駆動信号の基準値を適正に
決定するために有効な物理量なのである。このような知
見に基づき、本項に係る変速装置においては、相対回転
数差のみならず初期相対回転数にも基づいて駆動信号が
決定される。具体的には、初回の単位制御においては、
初期相対回転数と駆動信号との間に設定された関係に従
い、その初回の単位制御においてアクチュエータに供給
すべき駆動信号が決定される。2回目以後の各回の単位
制御においては、前回の単位制御においてアクチュエー
タに供給された駆動信号が、今回の単位制御の実行前に
おける相対回転数差に基づき、その今回の単位制御の実
行によって相対回転数差が0に近づくこととなるように
補正されることにより、その今回の単位制御においてア
クチュエータに供給すべき駆動信号が決定される。した
がって、この変速装置によれば、前回の単位制御におけ
る駆動信号の適否を反映した相対回転数差のみならず、
一回の同期制御全体における駆動信号の基準値を適正に
決定するために有効な初期相対回転数をも考慮して駆動
信号が決定される。よって、この変速装置によれば、初
期相対回転数を考慮しないで相対回転数差のみに基づい
て駆動信号を決定してアクチュエータに供給する場合に
比較して、同期制御中において実際相対回転数をより迅
速に目標相対回転数に追従させ得、実際相対回転数の制
御精度を容易に向上させ得る。 (9) 前記同期完了時期予測手段が、前記目標同期時
間と、前記同期中のある時期における前記遊動ギヤと前
記スリーブとの相対回転数およびそれの変化勾配とに基
づき、前記同期完了時期を予測するものである(6)な
いし(8)項のいずれかに記載のシンクロメッシュ式ト
ランスミッションのための変速装置[請求項6]。この
変速装置においては、目標同期時間と、同期中のある時
期における遊動ギヤとスリーブとの相対回転数およびそ
れの変化勾配とに基づき、同期完了時期が予測される。
したがって、この変速装置によれば、目標同期時間のみ
に基づいて同期完了時期を予測する場合、または相対回
転数およびそれの変化勾配のみに基づいて同期完了時期
を予測する場合に比較して、同期完了時期の予測精度を
容易に向上させ得る。 (10) 前記制御装置が、さらに、前記駆動信号の前
記アクチュエータへの供給とその供給に応答する前記ス
リーブ荷重の変化との間の時間的関係に基づき、実際の
前記応答遅れ時間を取得する実際応答遅れ時間取得手段
を含み、前記駆動信号変化手段が、前記駆動信号を、前
記同期完了時期予測手段による予測同期完了時期から、
前記実際応答遅れ時間取得手段により取得された実際応
答遅れ時間と実質的に同じ時間早い時期に、前記要求荷
重対応値を取るように変化させるものである(3)ない
し(9)項のいずれかに記載のシンクロメッシュ式トラ
ンスミッションのための変速装置[請求項7]。この変
速装置においては、駆動信号のアクチュエータへの供給
とその供給に応答するスリーブ荷重の変化との間の時間
的関係に基づき、実際の応答遅れ時間が取得されるとと
もに、駆動信号が、予測同期完了時期から、取得された
実際応答遅れ時間と実質的に同じ時間早い時期に、要求
荷重対応値を取るように変化させられる。したがって、
この変速装置によれば、実際の応答遅れ時間を考慮して
駆動信号が変化させられるため、押し分け状態の開始時
期におけるスリーブ荷重を精度よく制御することが容易
になる。 (11) 前記実際応答遅れ時間取得手段が、前記アク
チュエータと前記スリーブとが静止している状態におい
てそのアクチュエータにステップ状の駆動信号が供給さ
れることに応答して前記スリーブ荷重に変化が生じる際
の遅れ時間に基づいて前記実際応答遅れ時間を取得する
ものである(10)項に記載のシンクロメッシュ式トラ
ンスミッションのための変速装置。この変速装置によれ
ば、実際応答遅れ時間を比較的に簡単かつ正確に取得し
得る。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明のさらに具体的な実
施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】図1には、本発明の第1実施形態である変
速装置のハードウエア構成が概念的に示されている。こ
の変速装置は、動力源がエンジン(内燃機関)10であ
る車両に搭載されている。この車両においては、エンジ
ン10のアウトプットシャフト(図示しない)がクラッ
チ12およびシンクロメッシュ式のトランスミッション
14を経て図示しない複数の駆動車輪に連結されてい
る。
【0015】この車両は、それを加速させるために運転
者により操作されるアクセル操作部材としてのアクセル
ペダル20を備えている。この車両は、さらに、トラン
スミッション14を変速するために運転者により操作さ
れる変速操作部材としてのシフトレバー22を備えてい
る。
【0016】シフトレバー22は、トランスミッション
の変速が完全に手動により行われる車両においてその変
速のために運転者により操作されるシフトレバーと同じ
H字状パターンで操作されるように設計されている。し
たがって、シフトレバー22の変速操作は、車両前後方
向におけるシフト操作と、車両左右方向におけるセレク
ト操作とにより構成される。ただし、変速操作部材をそ
のようなシフトレバー22として構成することは本発明
を実施する際に不可欠なことではなく、例えば、運転者
により操作されるステアリングホイールに装着されたイ
ンクリメンタル式のスイッチとして構成することが可能
である。
【0017】トランスミッション14は、よく知られて
いるように、クラッチ12に接続されるインプットシャ
フト(図示しない)と、それと同軸のアウトプットシャ
フト26(図2参照)と、それらに平行に延びるカウン
タシャフト(図示しない)とを備えている。インプット
シャフトとカウンタシャフトとの間においては1つのギ
ヤ対により常時回転が伝達され、アウトプットシャフト
26とカウンタシャフトとの間においてはギヤ比が互い
に異なる複数のギヤ対のいずれかが有効ギヤ対として選
択されて回転が伝達される。その選択は複数の同期装置
により行われる。
【0018】図2には、1つの同期装置30が代表的に
示されている。この同期装置30は、イナーシャロック
型(ボーキング型ともいわれる)の一種であるボルグワ
ーナ式である。
【0019】同期装置30は、アウトプットシャフト2
6において、それと常時相対回転不能に装着されたクラ
ッチハブ32を備えている。そのクラッチハブ32の外
周部にはスリーブ34が、常時相対回転不能かつ軸方向
に移動可能に嵌合されている。スリーブ34の外周部に
は環状の溝36が形成されている。この溝36には図示
しない二股状のシフトフォークがスリーブ34を両側か
ら挟む姿勢で嵌合させられる。スリーブ34は、そのシ
フトフォークに対する相対回転が許容される状態でその
シフトフォークと共に軸方向に移動させられる。スリー
ブ34の内周部には複数の歯が周方向に並んで形成され
ている。それら複数の歯により、そのスリーブ34にお
いてクラッチ38が構成されている。
【0020】アウトプットシャフト26には、スリーブ
34を挟む2つの定位置においてそれぞれギヤAとギヤ
Bとが相対回転可能に装着されている。それらギヤAと
ギヤBとは共に、遊動ギヤとして機能するとともに、前
記カウンタシャフトに固定された各ギヤ(図示しない)
に常時噛み合わされている。
【0021】ギヤAの軸部のうちスリーブ34に近い部
分の外周部には、そのスリーブ34に近づくにつれて小
径となる円錐面を有するコーン42が形成されている。
すなわち、本実施形態においては、そのコーン42の円
錐面が請求項1における「摩擦面」の一例を構成してい
るのである。
【0022】そのコーン42には、それの円錐面を補完
する円錐面を有するシンクロナイザリング46が装着さ
れている。このシンクロナイザリング46の外周部には
複数の歯が周方向に並んで形成されている。それら複数
の歯は、スリーブ34のクラッチ38と選択的に噛み合
わされる。
【0023】ギヤAの軸部のうちコーン42に近い部分
の外周部にも複数の歯が形成されている。それら複数の
歯により、ギヤAにおいてクラッチ48が構成されてい
る。このクラッチ48は、スリーブ34のクラッチ38
と選択的に噛み合わされる。
【0024】クラッチハブ32とスリーブ34との間に
は複数のシフティングキー50が装着されている。それ
ら複数のシフティングキー50はクラッチハブ32の周
方向において互いに隔たった複数の定位置に保持されて
いる。シフティングキー50は、一定の幅を有してスリ
ーブ34の軸方向に延びている。シフティングキー50
は、それとクラッチハブ32との間に配置されたキース
プリング52により常時、スリーブ34の内周面に押し
付けられている。シフティングキー50はそれの外面に
形成された凸部において、スリーブ34の内面に形成さ
れた凹部に嵌合可能とされている。このような構造によ
り、スリーブ34が軸方向にスライドさせられる際、そ
のスリーブ34とシフティングキー50との間に作用す
る力が設定値を超えないために凹部が凸部の斜面を乗り
越えない状態では、それらスリーブ34とシフティング
キー50とが一体的に移動し、一方、上記力が設定値を
超えたために凹部が凸部の斜面を乗り越えた後には、シ
フティングキー50が置き去りにされてスリーブ34の
みが単独で移動させられる。
【0025】それら複数のシフティングキー50は常
時、シンクロナイザリング46にそれぞれ形成された複
数の凹部56に部分的に嵌り込んでいる。凹部56は、
一定の幅を有してシンクロナイザリング46の軸方向に
延びている。凹部56の幅寸法は、対応するシフティン
グキー50の幅寸法より少し長くされている。この寸法
設定により、スリーブ34とシンクロナイザリング46
との相対回転が一定範囲内で許容される。さらに、凹部
56の底面の位置は、スリーブ34もシンクロナイザリ
ング46も初期位置にある状態では、対応するシフティ
ングキー50の先端面との間にクリアランスが存在する
ように設定されている。このクリアランスは、シフティ
ングキー50がシンクロナイザリング46に接近するに
つれて減少し、やがて消滅する。この消滅状態では、シ
フティングキー50の軸力がシンクロナイザリング46
に伝達され、その結果、シンクロナイザリング46がコ
ーン42に押し付けられる。この押し付けにより、スリ
ーブ34とギヤAとの相対回転数が減少させられる。
【0026】シフティングキー50がシンクロナイザリ
ング46に当接した後にスリーブ34がさらに同じ向き
に移動させられれば、前述のように、スリーブ34のみ
が単独で移動させられ、それの歯の先端面においてシン
クロナイザリング46の歯の先端面に当接する。スリー
ブ34とギヤAとの相対回転数が実質的に0ではない状
態では、シフティングキー50と凹部56との幅方向ク
リアランスが消滅することにより、シンクロナイザリン
グ46がスリーブ34に対して自由に相対回転すること
が阻止される。そのため、スリーブ34のシンクロナイ
ザリング46へ向かう移動がそのシンクロナイザリング
46により邪魔される。スリーブ34がボーク状態にあ
るのである。しかし、それと同時に、スリーブ34がシ
ンクロナイザリング46をコーン42にさらに強く押し
付ける結果、やがてスリーブ34とギヤAとの相対回転
数が実質的に0に減少させられる。
【0027】その相対回転数が実質的に0である状態、
すなわち、同期完了状態においては、シンクロナイザリ
ング46とコーン42との間に摩擦力がほとんど発生せ
ず、そのため、シンクロナイザリング46がスリーブ3
4に対して自由に相対回転可能となる。したがって、そ
の後、スリーブ34の歯がシンクロナイザリング46の
歯を周方向に押し分けながら前進させられ、その結果、
スリーブ34の歯とシンクロナイザリング46の歯との
噛み合いが行われる。引き続いて、スリーブ34のクラ
ッチ38の歯がギヤAのクラッチ48の歯を周方向に押
し分けながら前進させられ、やがて、スリーブ34のク
ラッチ38がギヤAのクラッチ48に噛み合わされる。
【0028】ギヤAと同様に、ギヤBにも、コーン42
とクラッチ48とが形成されるとともに、そのコーン4
2にシンクロナイザリング46が装着されている。
【0029】そして、スリーブ34のクラッチ38の歯
がギヤA側のシンクロナイザリング46の歯とギヤAの
クラッチ48の歯とに噛み合わされている状態では、ギ
ヤAの回転がアウトプットシャフト26に伝達される。
この状態においては、ギヤAと、それと常時噛み合わさ
れた状態で前記カウンタシャフトと共に回転するギヤと
が「有効ギヤ対」を構成している。これに対して、スリ
ーブ34のクラッチ38の歯がギヤB側のシンクロナイ
ザリング46の歯とギヤBのクラッチ48の歯とに噛み
合わされている状態では、ギヤBの回転がアウトプット
シャフト26に伝達される。この状態においては、ギヤ
Bと、それと常時噛み合わされた状態で前記カウンタシ
ャフトと共に回転するギヤとが「有効ギヤ対」を構成し
ている。このように、ギヤAとギヤBとのうち回転がア
ウトプットシャフト26に伝達されるものがスリーブ3
4の移動に応じて変化させられ、その結果、トランスミ
ッション14の変速比も変化させられる。
【0030】この変速装置においては、トランスミッシ
ョン14の変速比の変化すなわち変速が自動的に行われ
る。この変速装置においては、複数の同期装置30の複
数のスリーブ34にそれぞれ係合させられる複数のシフ
トフォークが伝達機構を経てアクチュエータ装置に連結
されている。
【0031】アクチュエータ装置は、図1に示すよう
に、シフトレバー22のシフト操作に連動するシフトア
クチュエータ60と、セレクト操作に連動するセレクト
アクチュエータ62とを備えている。それらシフトアク
チュエータ60およびセレクトアクチュエータ62は、
前述の電気的駆動源利用式または圧力源利用式とするこ
とができる。
【0032】図3に示すように、伝達機構66は、複数
のスリーブ34の軸方向に平行に複数のシフトフォーク
から延びる複数のシフティングロッド68を備えてい
る。伝達機構66は、さらに、シフトアクチュエータ6
0の発生荷重をそれら複数のシフティングロッド68の
いずれかに伝達する伝達ロッド70を備えている。それ
ら複数のシフティングロッド68には複数の係合部72
がそれぞれ形成されており、それら複数の係合部72の
うち選択されたものに伝達ロッド70の係合部74が係
合させられる。係合部72の選択は、伝達ロッド70の
係合部74と複数のシフティングロッド68の複数の係
合部72との相対移動により行われ、その相対移動はセ
レクトアクチュエータ62により行われる。
【0033】クラッチ12は、よく知られた基本的な構
造により、エンジン10のアウトプットシャフトとトラ
ンスミッション14のインプットシャフトとを、それら
が互いに接続される接続状態と、互いに切断される切断
状態とに切り換える。この変速装置においては、そのク
ラッチ12の切換えも自動的に行われる。この自動切換
えは図1に示すクラッチアクチュエータ80により行わ
れる。クラッチアクチュエータ80も、シフトアクチュ
エータ60およびセレクトアクチュエータ62と同様
に、電気的駆動源利用式または圧力源利用式とすること
ができる。
【0034】それらクラッチアクチュエータ80、シフ
トアクチュエータ60およびセレクトアクチュエータ6
2は、図1に示す変速ECU(Electronic Control Uni
t)により制御される。その変速ECU82は、図4に
示すように、プロセッシングユニット(以下、「PU]
と略称する)84とリードオンリメモリ(以下、「RO
M」と略称する)86とランダムアクセスメモリ(以
下、「RAM」と略称する)88とがバス90により互
いに接続されたコンピュータ92を主体として構成され
ている。PU84は、ROM86に記憶されている複数
のプログラムを一括して一つのプロセッサにより実行す
る形式としたり、それら複数のプログラムを複数のプロ
セッサにより個々に実行する形式とすることができる。
【0035】図1に示すように、その変速ECU82の
入力部には、車両に対する運転者の意思を検出するため
の複数のセンサが接続されている。それら複数のセンサ
は、シフトレバー22の操作位置を検出するシフト位置
センサ94と、アクセルペダル20の操作位置を検出す
るペダル位置センサ96とを含んでいる。
【0036】変速ECU82の入力部には、さらに、ト
ランスミッション14の作動状態を検出するための複数
のセンサが接続されている。それら複数のセンサは、ス
リーブ34の移動位置を直接にまたは間接に検出するス
リーブ位置センサ98(例えば、シフティングロッド6
8、伝達ロッド70または前記シフトフォークの移動位
置を検出するセンサ)と、スリーブ34に作用するスリ
ーブ荷重を直接にまたは間接に検出する荷重センサ10
0と、トランスミッション14のインプットシャフトの
回転数である入力回転数Ninを検出する入力回転数セ
ンサ102と、アウトプットシャフト26の回転数であ
る出力回転数Noutを検出する出力回転数センサ10
4とを含んでいる。
【0037】一方、変速ECU82の出力部には、シフ
トアクチュエータ60とセレクトアクチュエータ62と
クラッチアクチュエータ80とが接続されている。変速
ECU82は、上述の複数のセンサからの信号に基づ
き、それらアクチュエータ60,62,80に供給する
電気エネルギーの関連値(例えば、瞬間電流、瞬間電
圧、積分電流、積分電圧等)を制御する。
【0038】ここで、変速ECU82とアクチュエータ
60,62,80との接続を詳細に説明すれば、変速E
CU82は、よく知られている手法により、電源(図示
しない)に接続されたドライバ(図示しない)を介して
それらアクチュエータ60,62,80に接続されてい
る。変速ECU82は、そのドライバへの指令信号を制
御することにより、そのドライバを経て電源からアクチ
ュエータ60,62,80に供給される電気エネルギー
の関連値を制御する。ただし、本実施形態においては、
ドライバへの指令信号に関する説明を省略するととも
に、変速ECU82の指令信号に応じてドライバがアク
チュエータ60,62,80に電気エネルギーを供給す
ることを、変速ECU82がアクチュエータ60,6
2,80に駆動信号を出力する(または供給する)こと
として説明する。
【0039】変速ECU82は、同じ車両を制御する他
のECUとの通信を行う。他のECUの一例は、エンジ
ン10を制御するエンジンECU106である。変速E
CU82は、それにとって必要な信号を他のECUから
受信したり、他のECUにとって必要な信号をそれに送
信する。
【0040】図4のROM86には、図5ないし図9に
それぞれフローチャートで概念的に表されているメイン
プログラム、セレクトアクチュエータ制御プログラム、
シフトアクチュエータ制御プログラム、クラッチアクチ
ュエータ制御プログラムおよび応答遅れ時間取得プログ
ラムを始めとし、各種プログラムが記憶されている。以
下、各プログラムの内容を順に説明する。
【0041】まず、図5のメインプログラムの内容を説
明する。このメインプログラムは、コンピュータ92の
電源投入後、繰返し実行される。各回の実行時には、ま
ず、ステップS101(以下、単に「S101」で表
す。他のステップについても同じとする。)において、
シフト位置センサ94を含むセンサから信号が取り込ま
れる。次に、S102において、その取り込まれた信号
に基づき、トランスミッション14において今回選択さ
れるべき目標変速段が決定される。トランスミッション
14の変速段(変速比)を1段に変更するのか、2段に
変更するのか等が決定されるのである。決定された目標
変速段を表すデータはRAM88に記憶される。
【0042】その後、S103において、セット状態で
は変速要求が出されたことを示す一方、リセット状態で
は出されていないこと示す変速要求フラグがセットされ
る。この変速要求フラグは、RAM88に設けられてい
て、コンピュータ92の電源投入に伴ってリセットされ
るように設計されている。以上で、このメインプログラ
ムの一回の実行が終了する。
【0043】次に、図6のセレクトアクチュエータ制御
プログラムの内容を説明する。このプログラムも上記メ
インプログラムと同様に、繰返し実行される。各回の実
行時には、まず、S201において、変速要求フラグが
セットされているか否かが判定される。セットされてい
ない場合には、判定がNOとなり、直ちにこのプログラ
ムの一回の実行が終了する。これに対して、セットされ
ている場合には、判定がYESとなり、S202におい
て、RAM88から目標変速段が読み込まれ、続いて、
S203において、その目標変速段を選択するのに必要
な駆動信号がセレクトアクチュエータ62に出力され
る。その結果、伝達ロッド70の係合部74が、複数の
シフティングロッド68のうち目標変速段に対応するも
のの係合部72に係合させられる。以上で、このプログ
ラムの一回の実行が終了する。
【0044】次に、図7のシフトアクチュエータ制御プ
ログラムの内容を説明する。このプログラムも上記メイ
ンプログラムおよびセレクトアクチュエータ制御プログ
ラムと同様に、繰返し実行される。各回の実行時には、
まず、S301において、変速要求フラグがセットされ
ているか否かが判定される。セットされていない場合に
は、判定がNOとなり、直ちにこのプログラムの一回の
実行が終了する。
【0045】これに対して、変速要求フラグがセットさ
れている場合には、S301の判定がYESとなり、S
302において、RAM88から目標変速段が読み出さ
れ、続いて、S303において、その目標変速段を選択
するためにシフトアクチュエータ60を作動させること
が必要である方向が決定される。複数の同期装置30の
うちセレクトアクチュエータ62により選択されたもの
のスリーブ34のクラッチ38を、目標変速段を実現す
るギヤのクラッチ48に噛み合せるためにスリーブ34
を移動させる方向が決定されるのである。
【0046】その後、S304において、スリーブ34
の前進がシンクロナイザリング46により邪魔されるボ
ークの前段階であるか否かが判定される。この判定にお
いては例えば、前記公報に記載されているように、一回
の変速制御において、入力回転数センサ102により検
出された入力回転数Ninと出力回転数センサ104に
より検出された出力回転数Noutとの差の時間的変化
量の絶対値が未だしきい値を超えていないか、または超
えたことがあるかが判定される。未だ超えていないと判
定された場合には、スリーブ34がボーク前の状態にあ
ると判定される。
【0047】スリーブ34がボーク前の状態にあると判
定された場合には、S304の判定がYESとなり、S
305に移行する。このステップにおいては、スリーブ
34が、トランスミッション14において、現在変速段
実現のための位置から抜かれて目標変速段実現のための
位置に入れられるシフト抜き入れ状態にあると判断され
る。スリーブ34の抜き作動と入れ作動とは、同じ同期
装置30において行われる場合と、2つの同期装置30
においてそれぞれ行われる場合とがある。その後、S3
06において、スリーブ34に作用させることが要求さ
れる要求荷重F が、そのシフト抜き入れに適した大き
さを有するように決定される。続いて、S307におい
て、S303において決定された作動方向にスリーブ3
4を移動させるとともに、S306において決定された
要求荷重Fを実現するのに必要なステップ状の駆動信
号がシフトアクチュエータ60に出力される。その後、
S304に戻る。
【0048】それらS304ないしS307の実行が繰
り返された結果、スリーブ34がシンクロナイザリング
46に当接し、それにより、スリーブ34がボークの状
態であると判定されるに至ると、S304の判定がNO
となり、S308に移行する。このステップにおいて
は、同期制御が行われる。
【0049】このS308の詳細が図10に同期制御ル
ーチンとしてフローチャートで概念的に表されている。
【0050】この同期制御ルーチンは、概念的に説明す
れば、スリーブ34がシンクロナイザリング46に当接
し始めるボーク開始時期から同期が実質的に完了する同
期完了時期までの間、一回の同期制御を行うために実行
される。さらに、この同期制御ルーチンは、一回の同期
制御中の各時期における入力回転数Ninの目標値であ
る目標入力回転数Nin と、それと実質的に同じ各時
期における入力回転数Ninの実際値である実際入力回
転数Nin との差である入力回転数差ΔN に基づ
き、その後における入力回転数差ΔNinが0に近づく
ように、シフトアクチュエータ60に供給すべき駆動信
号Sを逐次決定するために実行される。
【0051】ここに、「入力回転数Nin」は、目標変
速段に対応する前記遊動ギヤ(以下、「目標遊動ギヤ」
という)の回転数を意味し、その回転数は、前記インプ
ットシャフトの回転数(狭義の入力回転数Nin)と、
そのインプットシャフトからその目標遊動ギヤまでのギ
ヤ列の全ギヤ比との積により求められる。ただし、説明
の便宜上、特に断らない限り、その目標遊動ギヤの回転
数を入力回転数Ninで表すこととする。
【0052】さらに、この同期制御ルーチンは、同期の
開始時期における目標遊動ギヤとアウトプットシャフト
26との相対回転数Nである初期相対回転数Nr0
基づき、一回の同期制御中の各時期における目標入力回
転数Nin (i)を決定するために実行される。本実
施形態においては、同期制御中に実際入力回転数N
がそれの初期値から直線的に増加して、定速回転状態
にあると仮定されるアウトプットシャフト26の回転数
である出力回転数Noutに到達すると仮定されてお
り、この仮定を前提として、初期相対回転数Nr0
ら、一回の同期制御中の各時期における目標入力回転数
in (i)が決定されるのである。
【0053】一般のシンクロメッシュ式トランスミッシ
ョンにおいては、初期相対回転数N r0とスリーブ荷重
Fと同期時間Tsynとの間には、初期相対回転数N
r0がスリーブ荷重Fと同期時間Tsynとの積に比例
するという関係が成立する。したがって、同期時間T
synを目標値に固定すれば、初期相対回転数Nr0
スリーブ荷重Fとが1対1に対応する。さらに、スリー
ブ荷重Fとシフトアクチュエータ60の駆動信号Sとが
1対1に対応する。
【0054】このような知見に基づき、この同期制御ル
ーチンにおいては、各回の同期制御において単位制御を
繰返し実行するとともに単位制御ごとに駆動信号S
(i)を決定するために、初回の単位制御においては、
初期相対回転数Nr0と駆動信号Sとの間に設定された
関係に従い、その初回の単位制御においてシフトアクチ
ュエータ60に供給すべき初回の駆動信号S(0)が決
定される。その設定された関係は、駆動信号決定マップ
としてROM86に記憶されている。
【0055】さらに、この同期制御ルーチンにおいて
は、2回目以後の各回の単位制御においては、前回の単
位制御においてシフトアクチュエータ60に供給された
駆動信号S(i−1)が、今回の単位制御の開始時期に
おける、実際入力回転数Nin (i)と目標入力回転
数Nin (i)との差である入力回転数差ΔNin(
i)に基づき、その今回の単位制御の実行によって入力
回転数差ΔNin(i)が0に近づくこととなるように
補正されることにより、その今回の単位制御においてシ
フトアクチュエータ60に供給すべき駆動信号S(i)
が決定される。すなわち、本実施形態においては、入力
回転数差ΔNinに基づき、シフトアクチュエータ60
に対してPID制御を含むフィードバック制御が行われ
るのである。
【0056】以上要するに、本実施形態においては、初
期相対回転数Nr0を利用したオープンループ制御的な
要素と、入力回転数差ΔNinを利用したフィードバッ
ク制御的な要素とがハイブリッドされているのである。
【0057】さらに、この同期制御ルーチンにおいて
は、シフトアクチュエータ60に出力されるべき駆動信
号Sが、スリーブ34の押し分け状態の開始時期に先立
って、スリーブ荷重Fを減少させるための値に変化させ
られる。具体的には、前述の同期時間Tsynの目標値
である目標同期時間Tsyn に基づき、同期が実質的
に完了する同期完了時期が予測されるとともに、その予
測同期完了時期から、駆動信号Sのシフトアクチュエー
タ60への供給に対するスリーブ荷重Fの応答遅れ時間
dlyと同じ時間早い時期に、スリーブ荷重Fを減少
させるための値を取るように変化させられる。応答遅れ
時間Tdly は、後に詳述する応答遅れ時間取得ルー
チンの実行により実測される。
【0058】次に、具体的に説明すれば、この同期制御
ルーチンにおいては、まず、図10のS501におい
て、初期相対回転数Nr0が算出される。
【0059】具体的には、まず、現時点、すなわち、今
回の同期制御の開始時期に、入力回転数センサ102と
出力回転数センサ104とにより入力回転数Nin(狭
義)と出力回転数Noutとがそれぞれ検出される。次
に、入力回転数Nin(狭義)の検出値の換算値(その
検出値と、トランスミッション14のインプットシャフ
トから目標遊動ギヤまでの全ギヤ比との積)と、出力回
転数Noutの検出値との差が初期相対回転数Nr0
して算出される。
【0060】以上のようにして初期相対回転数Nr0
算出されたならば、S502において、ROM86の駆
動信号決定マップを用いることにより、初期相対回転数
の算出値に対応する駆動信号Sが初回の駆動信号
(0)として決定される。図11には、その駆動信号
決定マップの一例がグラフで表されている。
【0061】駆動信号決定マップは、正確には、初期相
対回転数Nr0についての複数の代表値(離散値)と、
複数の駆動信号Sの値(離散値)との関係を定義してい
る。そして、今回の初期相対回転数Nr0が、それら複
数の代表値のいずれかに一致した場合には、今回の初期
相対回転数Nr0と一致する代表値に対応する駆動信号
Sが初回の駆動信号S(0)として決定される。これに
対して、今回の初期相対回転数Nr0が、それら複数の
代表値のいずれにも一致しない場合には、今回の初期相
対回転数Nr0に近い2つの代表値により規定される区
間において駆動信号Sが線形補間されることにより、初
回の駆動信号S(0)が決定される。決定された初回の
駆動信号S(0)はRAM88に記憶される。
【0062】その後、S503において、その決定され
た初回の駆動信号S(0)がシフトアクチュエータ60
に出力される。続いて、S504において、今回の同期
制御の開始時期からの経過時間tを計測するためのタイ
マがリセットされた後にスタートさせられる。その後、
S505に移行する。
【0063】このS505においては、ROM86から
目標同期時間Tsyn が読み出される。その後、S5
06において、今回の同期制御において逐次実現される
べき目標入力回転数Nin (i)(iは1以上n以下
の整数である)が決定される。具体的には、図12に破
線のグラフで示すように、同期開始時期における入力回
転数Ninである初期入力回転数Nin0と同期完了予
定時期、すなわち、同期開始時期から目標同期時間T
syn が経過した時期における出力回転数N ut
をつなぐ直線を定義する関数式が決定される。この決定
された関数式に各回の単位制御の開始時期を代入すれ
ば、その各回の単位制御において実現すべき目標入力回
転数Nin (i)が得られる。決定された関数式はR
AM88に記憶される。
【0064】続いて、図10のS507において、単位
制御の回数を表す整数iが1にセットされる。その後、
S508において、今回の単位制御が、前回の単位制御
(すなわち、現時点においては、初回の単位制御)の開
始時期から制御周期Δtが経過した時期に開始されるこ
ととなるように、遅延が行われる。続いて、S509に
おいて、現時点、すなわち、今回の単位制御の開始時期
における実際入力回転数Nin (i)が、入力回転数
センサ102の出力信号に基づいて取得される。
【0065】その後、S510において、今回の同期制
御の開始時期から同期が完了するまでの時間(すなわ
ち、本来であれば目標同期時間Tsyn と一致する時
期)から、今回の同期制御の開始時期から現在までの経
過時間t(前記タイマにより計測される)を差し引いた
残りである残余時間Tresが算出される。図13に
は、目標同期時間Tsyn と残余時間Tresとの関
係がグラフで表されている。続いて、S511におい
て、RAM88から応答遅れ時間Tdlyが読み出され
る。応答遅れ時間Tdlyは、前述のように、後に詳述
する応答遅れ時間取得プログラムの実行により取得され
てRAM88に記憶される。ただし、その応答遅れ時間
取得プログラムの初回の実行前においては、応答遅れ時
間Tdlyの標準値がROM86からRAM88に転送
される。
【0066】続いて、S512において、算出された残
余時間Tresが、読み出された応答遅れ時間Tdly
以下であるか否かが判定される。予想同期完了時期より
応答遅れ時間Tdlyと同じ時間早い時期に到達したか
否かが判定されるのである。今回は、残余時間Tres
が応答遅れ時間Tdly以下ではないと仮定すれば、判
定がNOとなり、S513に移行する。
【0067】このS513においては、RAM88に記
憶されている前記関数式を利用することにより、今回の
単位制御において実現すべき目標入力回転数Nin
(i)が取得される。さらに、その取得された目標入力
回転数Nin (i)と、S509において取得された
実際入力回転数Nin (i)との差が入力回転数差Δ
in(i)として取得される。その取得された入力回
転数差ΔNin(i)はRAM88に記憶される。
【0068】その後、S514において、その取得され
た入力回転数差ΔNin(i)が0に近づく向きに、そ
の入力回転数差ΔNin(i)の絶対値の大きさに対応
する量だけ、前回の駆動信号S(i−1)が補正され
る。入力回転数差ΔNin(i の絶対値の大きさと前
回の駆動信号S(i−1)の補正量との関係は、実験
値、設計値または経験値としてROM86に記憶されて
いる。その補正により、今回の駆動信号S(i)が決定
される。その決定された今回の駆動信号S(i)はRA
M88に記憶される。図14の上側には、実際入力回転
数Nin の時間的推移の一例が実線のグラフで表さ
れ、一方、下側には、それに応答する駆動信号Sの時間
的推移の一例が実線のグラフで表されている。続いて、
S515において、その決定された今回の駆動信号S
(i)がシフトアクチュエータ60に出力される。
【0069】その後、S516において、整数iが1だ
けインクリメントされ、S508に戻る。それらS50
8ないしS516の実行が繰り返されることによって単
位制御が繰り返され、その結果、残余時間Tresが応
答遅れ時間Tdly以下になれば、S512の判定がY
ESとなる。
【0070】その後、S517において、押し分け状態
においてスリーブ34に作用することが要求される要求
押し分け荷重FがROM86から読み出される。続い
て、S518において、その読み出された要求押し分け
荷重Fを実現するのに必要な駆動信号がシフトアクチ
ュエータ60に出力される。図13には、駆動信号Sの
時間的変化と実際スリーブ荷重Fの時間的変化との関係
がグラフで表されている。シフトアクチュエータ60
は、それへの駆動信号Sの供給が押し分け状態の開始時
期に先行して行われるため、同期完了時期に要求押し分
け荷重Fを実現するように作動させられることとな
る。
【0071】その後、S519において、入力回転数セ
ンサ102の出力信号と出力回転数センサ104の出力
信号とに基づき、スリーブ34と目標遊動ギヤとの相対
回転数Nが実質的に0になるのが待たれる。相対回転
数Nが実質的に0になるまで、シフトアクチュエータ
60への駆動信号が維持される。相対回転数Nが実質
的に0になったならば、S519の判定がYESとな
り、以上で、この同期制御ルーチンの一回の実行が終了
する。
【0072】その後、図7のS309において、スリー
ブ34が現在、押し分け状態にあると判定される。スリ
ーブ34と目標遊動ギヤとの同期が完了した状態におい
て、スリーブ34のクラッチ38の歯が、シンクロナイ
ザリング46の歯と、目標遊動ギヤのクラッチ48の歯
とを押し分けながら前進する状態にあると判定されるの
である。続いて、S310において、スリーブ34に作
用させることが要求される要求押し分け荷重Fが、ス
リーブ34の押し分けに適した大きさを有するように決
定される。
【0073】その後、S311において、S303にお
いて決定された作動方向にスリーブ34を移動させると
ともに、S310において決定された要求押し分け荷重
を実現するのに必要な駆動信号がシフトアクチュエ
ータ60に出力される。続いて、S312において、セ
ット状態では今回の変速制御が完了したことを示す一
方、リセット状態では完了していないことを示す変速完
了フラグがセットされる。この変速完了フラグもRAM
88に設けられていて、コンピュータ92の電源投入に
伴ってリセットされるように設計されている。以上で、
このシフトアクチュエータ制御プログラムの一回の実行
が終了する。
【0074】図8のクラッチアクチュエータ制御プログ
ラムも、以上説明したプログラムと同様に、繰返し実行
される。各回の実行時には、まず、S401において、
変速要求フラグがセットされているか否かが判定され
る。セットされていない場合には、判定がNOとなり、
直ちにこのプログラムの一回の実行が終了する。
【0075】これに対して、変速要求フラグがセットさ
れている場合には、S401の判定がYESとなり、S
402に移行する。このステップにおいては、クラッチ
12が接続状態から切断状態に移行するために必要な駆
動信号がクラッチアクチュエータ80に出力される。そ
の後、S403において、変速完了フラグがセットされ
るのが待たれる。セットされたならば、S404におい
て、クラッチ12が切断状態から接続状態に移行するた
めに必要な駆動信号がクラッチアクチュエータ80に出
力される。続いて、S405において、変速要求フラグ
と変速完了フラグとがリセットされる。以上で、このク
ラッチアクチュエータ制御プログラムの一回の実行が終
了する。
【0076】次に、図9の応答遅れ時間取得プログラム
の内容を説明する。この応答遅れ時間取得プログラム
は、概念的に説明すれば、シフトアクチュエータ60と
スリーブ34とが共に静止している状態においてそのシ
フトアクチュエータ60にステップ状の駆動信号が供給
されることに応答して実際スリーブ荷重Fに変化が生じ
る際の遅れ時間に基づいて応答遅れ時間Tdlyの実際
値を取得するために実行される。この応答遅れ時間取得
プログラムにおいては、応答遅れ時間Tdlyの取得
が、スリーブ34のシフト抜き入れ状態においてシフト
アクチュエータ60に最初にステップ状の駆動信号が出
力される際に行われる。図15には、駆動信号Sの時間
的変化とスリーブ荷重Fの時間的変化と応答遅れ時間T
dlyとの関係がグラフで表されている。
【0077】具体的には、この応答遅れ時間取得プログ
ラムも、他のプログラムと同様に、繰返し実行される。
各回の実行時には、まず、S601において、スリーブ
34が現在、シフト抜き入れ状態にあるか否かが判定さ
れる。シフト抜き入れ状態にはない場合には、判定がN
Oとなり、直ちにこの応答遅れ時間取得ルーチンの一回
の実行が終了する。
【0078】これに対して、スリーブ34が現在、シフ
ト抜き入れ状態にある場合には、S601の判定がYE
Sとなり、S602において、シフトアクチュエータ6
0に最初にステップ状の駆動信号が出力されるのが待た
れる。出力されたならば、S603において、その出力
開始時期からの経過時間tを計測するためのタイマがリ
セットされた後にスタートさせられる。その後、S60
4において、スリーブ位置センサ98によりスリーブ3
4の現在位置Xが検出され、S605において、その検
出値が前回値とされる。
【0079】続いて、S606において、遅延が設定時
間Δtの間行われる。その後、S607において、スリ
ーブ位置センサ98によりスリーブ34の現在位置Xが
検出され、S608において、その検出値が今回値とさ
れる。続いて、S609において、その今回値から前記
前回値を引き算した変化量ΔXが算出される。その後、
S610において、その算出された変化量ΔXの絶対値
がしきい値ΔXth以上であるか否かが判定される。し
きい値ΔXth以上ではない場合には、判定がNOとな
り、S606に戻る。
【0080】S606ないしS610の実行が繰り返さ
れた結果、変化量ΔXの絶対値がしきい値ΔXth以上
になれば、S610の判定がYESとなり、S611に
移行する。このステップにおいては、前記タイマにより
経過時間tが計測されるとともに、その経過時間tが応
答遅れ時間Tdlyとされる。その応答遅れ時間T
lyはRAM88に記憶される。以上で、この応答遅れ
時間取得プログラムの一回の実行が終了する。
【0081】図16の(a)には、スリーブ34とシン
クロナイザリング46とが、同期状態にあり、スリーブ
34の歯110の先端部におけるチャンファ面112
と、シンクロナイザリング46の歯114の先端部にお
けるチャンファ面116とにおいて互いに当接する様子
が示されている。一方、(b)には、スリーブ34とシ
ンクロナイザリング46とが、押し分け状態にあり、ス
リーブ34のチャンファ面112の終端に位置する角部
118が、シンクロナイザリング46のチャンファ面1
16の終端に位置する角部120を擦る様子が示されて
いる。角部118が角部120を擦る際に両者間に必要
以上の荷重が作用すると、それら角部118,120が
早期に摩耗し易い。一方、駆動信号Sのシフトアクチュ
エータ60への供給に対するスリーブ荷重Fの応答に遅
れが存在する。
【0082】これに対して、本実施形態においては、前
述の説明から明らかなように、予想同期完了時期から応
答遅れ時間Tdlyと同じ時間早い時期に、要求押し分
け荷重F、すなわち、スリーブ34およびシンクロナ
イザリング46の早期摩耗が生じない耐久限度荷重以下
の荷重を実現するのに必要な駆動信号Sがシフトアクチ
ュエータ60に出力される。したがって、本実施形態に
よれば、シフトアクチュエータ60の駆動信号Sとスリ
ーブ荷重Fとの間に応答遅れが存在するにもかかわら
ず、押し分け状態におけるスリーブ荷重Fを、スリーブ
34およびシンクロナイザリング46の耐久限度との関
係において容易に適正化し得る。
【0083】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、シフトアクチュエータ60が請求項1に
おける「アクチュエータ」の一例を構成し、変速ECU
82が同請求項における「制御装置」の一例を構成し、
その変速ECU82のうち図10の同期制御ルーチンを
実行する部分が同請求項における「駆動信号変化手段」
の一例を構成しているのである。さらに、変速ECU8
2のうち図10のS510ないしS512を実行する部
分が請求項3における「同期完了時期予測手段」の一例
を構成し、S517およびS518を実行する部分が同
請求項における「駆動信号変化手段」の一例を構成して
いるのである。さらに、変速ECU82のうち図10の
S501ないしS503,S505ないしS509、S
513ないしS516を実行する部分が入力回転数セン
サ102および出力回転数センサ104と共同して請求
項5における「駆動信号決定手段」の一例を構成し、図
10のS510ないしS512を実行する部分が同請求
項における「同期完了時期予測手段」の一例を構成して
いるのである。さらに、変速ECU82のうち図9の応
答遅れ時間取得プログラムを実行する部分がスリーブ位
置センサ98と共同して請求項7における「実際応答遅
れ時間取得手段」の一例を構成しているのである。
【0084】なお付言すれば、本実施形態においては、
シフト抜き入れが、スリーブ34とシフトアクチュエー
タ60とが共に静止している状態においてステップ状の
駆動信号がシフトアクチュエータ60に出力されること
により開始されるという事実を利用することにより、実
際の応答遅れ時間Tdlyが取得されるようになってい
るが、他の手法により取得することが可能である。
【0085】例えば、同期装置30においては、スリー
ブ34の前進限度を規制する機械的なストッパが設けら
れ、そのスリーブ34のクラッチ38と遊動ギヤのクラ
ッチ48との噛み合わせ状態においては、スリーブ34
がそのストッパより少し手前の正規の停止位置に停止さ
せられる。このことは、その噛み合わせ状態においてス
テップ状の駆動信号をシフトアクチュエータ60に出力
すれば、それに応答してスリーブ34が前進することが
可能であることを意味する。しかし、スリーブ34を正
規の停止位置からストッパに接近させることは、この状
態で変速要求が出されたときに、スリーブ34が正規位
置に位置決めされていた場合に比較し、変速完了までに
長い時間がかかってしまう可能性がある。一方、例え
ば、車両が定常走行させられている場合には、一般に、
変速要求が出される可能性が小さい。
【0086】これらの知見に基づき、車両が定常走行状
態にあり、かつ、スリーブ34のクラッチ38と遊動ギ
ヤのクラッチ48とが噛み合わせ状態にある場合におい
て、ステップ状の駆動信号をシフトアクチュエータ60
に、スリーブ34がそれの正規の停止位置からストッパ
に接近する向きに前進させるために出力し、それに応答
してスリーブ34が実際に移動し始める時期を検出する
ことにより、実際の応答遅れ時間Tdlyを取得するこ
とが可能である。
【0087】次に、本発明の第2実施形態を説明する。
ただし、本実施形態は、第1実施形態と同期時間T
synの取扱いに関する要素が異なるのみで、他の要素
については共通するため、異なる要素についてのみ詳細
に説明し、共通する要素については第1実施形態におけ
る説明を代用することにより、説明を省略する。
【0088】本実施形態においては、コンピュータ92
による推定同期時間算出プログラムの実行により推定同
期時間Tsyn が算出される。その算出された推定同
期時間Tsyn は、RAM88に記憶され、必要に応
じて図10のS505においてRAM88から目標同期
時間Tsyn として読み出されて使用される。
【0089】図17には、その推定同期時間算出プログ
ラムがフローチャートで概念的に表されている。この推
定同期時間算出プログラムは、概念的に説明すれば、目
標同期時間Tsyn と、同期中のある時期における、
目標遊動ギヤの回転数である入力回転数Ninおよびそ
れの変化勾配dNinとに基づき、前記目標同期時間T
syn (ROM86に記憶されている)を補正して真
の同期時間Tsynを推定するために実行される。
【0090】この推定同期時間算出プログラムにおいて
は、具体的には、図18に示すように、同期中に入力回
転数Ninが正常かつ一定の勾配で変化し始めた一定勾
配変化開始時期において、その一定勾配変化開始時期に
おける入力回転数Ninおよびそれの変化勾配dNin
と、入力回転数Ninが同期完了時期に取ることが予想
される目標回転数Nin とに基づき、その一定勾配変
化開始時期から同期完了時期までの時間が暫定残余時間
res として算出される。暫定残余時間T res
は、 Tres =|Nin −Nin|/dNin なる式を用いて算出される。ここに、目標回転数Nin
は、一定勾配変化開始時期における出力回転数N
outと等しい値として決定することが可能である。
【0091】さらに、この推定同期時間算出プログラム
においては、上記算出された暫定残余時間T
res と、同期開始時期から現時点までの経過時間t
とを加算することにより、暫定同期時間Tsyn が算
出される。
【0092】さらにまた、この推定同期時間算出プログ
ラムにおいては、暫定同期時間T yn と前記目標同
期時間Tsyn との平均値として推定同期時間T
syn が算出される。すなわち、目標同期時間T
syn が暫定同期時間Tsyn により補正されるの
である。
【0093】さらに具体的に説明すれば、この推定同期
時間算出プログラムは、本実施形態における他のプログ
ラム、すなわち、前述のメインプログラム、セレクトア
クチュエータ制御プログラム、シフトアクチュエータ制
御プログラム、クラッチアクチュエータ制御プログラム
および応答遅れ時間取得プログラムと同様に、繰返し実
行される。
【0094】この推定同期時間算出プログラムの各回の
実行時には、図17に示すように、まず、S701にお
いて、同期が開始されたか否かが判定される。例えば、
スリーブ34のボークが開始されたか否かが判定される
のである。同期が開始されてはいない場合には、判定が
NOとなり、直ちにこの推定同期時間算出プログラムの
一回の実行が終了する。
【0095】これに対して、同期が開始された場合に
は、S701の判定がYESとなり、S702におい
て、その同期開始時期からの経過時間tを計測するため
のタイマがリセットされた後にスタートさせられる。そ
の後、S703において、入力回転数センサ102の出
力信号に基づき、目標遊動ギヤの実際入力回転数Nin
が取得される。続いて、S704において、その取得
値が前回値とされる。
【0096】その後、S705において、遅延が設定時
間Δtの間行われる。続いて、S706において、入力
回転数センサ102の出力信号に基づき、目標遊動ギヤ
の実際入力回転数Nin が取得される。その後、S7
07において、その取得値が今回値とされる。
【0097】続いて、S708において、その今回値か
ら前記前回値を引き算することにより、変化勾配(すな
わち、設定時間Δtあたりの変化量)dNin(m)
算出される。その後、S708において、その算出され
た変化勾配dNin(m)の絶対値がしきい値dN
inth以上であるか否かが判定される。同期中に実際
入力回転数Nin が正常な勾配で変化し始めたか否か
が判定されるのである。しきい値dNinth以上では
ない場合には、判定がNOとなり、S710において、
S708の次回の実行に備えて前記今回値が前回値とさ
れた後、S705に戻る。
【0098】S705ないしS710の実行が繰り返さ
れた結果、変化勾配dNin(m)の絶対値がしきい値
dNinth以上となれば、S709の判定がYESと
なり、S711に移行する。このステップにおいては、
今回の変化勾配dNin(m から前回の変化勾配dN
in(m−1)を引き算した変化勾配変化量ddN
の絶対値がしきい値ddNinth以下であるか否かが
判定される。同期中において、実際入力回転数Nin
の変化勾配が十分に一定となったか否かが判定されるの
である。しきい値ddNinth以下ではない場合に
は、判定がNOとなり、変化勾配dNin(m)の絶対
値がしきい値dNinth以上ではない場合と同様に、
S710を経てS705に戻る。
【0099】すなわち、この推定同期時間算出プログラ
ムにおいては、同期中において、前述の、実際入力回転
数Nin の変化勾配に関する2つの条件、すなわち、
勾配の大きさと安定性とに関するものが共に充足されな
いうちは、目標同期時間T yn に対する補正が行わ
れないのである。
【0100】S705ないしS711の実行が繰り返さ
れた結果、変化勾配dNin(m)の絶対値がしきい値
dNinth以上となり、かつ、変化勾配変化量ddN
inの絶対値がしきい値ddNinth以下となった場
合には、S709およびS711の判定が共にYESと
なり、S712に移行する。
【0101】このS712においては、出力回転数セン
サ104の出力信号に基づき、現時点における出力回転
数Nout(目標回転数Nin として使用される)が
検出される。さらに、このステップにおいては、その検
出された出力回転数Noutと、S706およびS70
8の最新の実行により取得された入力回転数Nin
よびそれの変化勾配dNinとに基づき、前記式を用い
ることにより、暫定残余時間Tres が算出される。
【0102】その後、S713において、ROM86か
ら目標同期時間Tsyn が読み出される。続いて、S
714において、算出された暫定残余時間T
res と、読み出された目標同期時間Tsyn との
平均値として推定同期時間Tsyn が算出される。算
出された推定同期時間Tsyn は、RAM88に、前
記同期制御ルーチンに用いるための目標同期時間T
syn として記憶される。以上で、この推定同期時間
算出プログラムの一回の実行が終了する。
【0103】以上の説明から明らかなように、本実施形
態においては、変速ECU82のうち図17のS702
ないしS712を実行する部分が入力回転数センサ10
2および出力回転数センサ104と共同して請求項4に
おける「同期完了時期予測手段」の一例を構成している
のである。さらに、変速ECU82のうち図17のS7
13およびS714を実行する部分が請求項5における
「同期完了時期予測手段」の一例を構成しているのであ
る。さらに、変速ECU82のうち図17のS712な
いしS714を実行する部分が請求項6における「同期
完了時期予測手段」の一例を構成しているのである。
【0104】以上、本発明のいくつかの実施形態を図面
に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、前
記[課題を解決するための手段および発明の効果]の欄
に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種
々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施するこ
とが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態であるシンクロメッシュ
式トランスミッション14のための変速装置のハードウ
エア構成を概念的に示す系統図である。
【図2】図1に示す変速装置が使用される同期装置30
を示す正面断面図である。
【図3】図1に示す変速装置における伝達機構66を示
す斜視図である。
【図4】図1における変速ECU82の構成を概念的に
示すブロック図である。
【図5】図4におけるメインプログラムを概念的に表す
フローチャートである。
【図6】図4におけるセレクトアクチュエータ制御プロ
グラムを概念的に表すフローチャートである。
【図7】図4におけるシフトアクチュエータ制御プログ
ラムを概念的に表すフローチャートである。
【図8】図4におけるクラッチアクチュエータ制御プロ
グラムを概念的に表すフローチャートである。
【図9】図4における応答遅れ時間取得プログラムを概
念的に表すフローチャートである。
【図10】図7におけるS308の詳細を同期制御ルー
チンとして概念的に表すフローチャートである。
【図11】図4における駆動信号決定マップの内容を概
念的に表すグラフである。
【図12】図10のS506の内容を説明するためのグ
ラフである。
【図13】図10の同期制御ルーチンの内容を説明する
ためのグラフである。
【図14】図10の同期制御ルーチンの内容を説明する
ための別のグラフである。
【図15】図9の応答遅れ時間取得プログラムの内容を
説明するためのグラフである。
【図16】図2の同期装置30におけるスリーブ34と
シンクロナイザリング46とを取り出して拡大して示す
平面図である。
【図17】本発明の第2実施形態であるシンクロメッシ
ュ式トランスミッション14のための変速装置における
コンピュータ92により実行される推定同期時間算出プ
ログラムを概念的に表すフローチャートである。
【図18】図17の推定同期時間算出プログラムの内容
を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
10 エンジン 14 トランスミッション 26 アウトプットシャフト 30 同期装置 34 スリーブ 46 シンクロナイザリング 60 シフトアクチュエータ 82 変速ECU 98 スリーブ位置センサ 102 入力回転数センサ 104 出力回転数センサ 110,114 歯 112,116 チャンファ面 118,120 角部
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F16H 59:68 F16H 59:68 (72)発明者 調子 竜二 愛知県西尾市小島町城山1番地 アイシ ン・エーアイ株式会社内 (72)発明者 神谷 充俊 愛知県西尾市小島町城山1番地 アイシ ン・エーアイ株式会社内 (72)発明者 市川 義裕 岐阜県岐阜市須賀3丁目11番11−202号 Fターム(参考) 3J067 AA04 AA21 AB11 AB21 AC05 BA52 BA58 CA02 CA07 CA08 CA31 CA32 FB90 GA01 3J552 MA04 MA13 NA01 NB01 PA62 SA26 SA27 SB38 VA32W VA32Y VA37W VA74W VA77W VA77Y VD16W

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 車両において動力源の回転を駆動車輪に
    伝達するシンクロメッシュ式トランスミッションであっ
    て、各ギヤ対が常時噛み合わされるとともにギヤ比が互
    いに異なる複数のギヤ対のいずれかを有効ギヤ対として
    選択するために同期装置を備えており、かつ、その同期
    装置が、(a)前記ギヤ対の一方が遊動ギヤとして相対
    回転可能に装着されたシャフトに対して相対回転不能か
    つ軸方向に相対移動可能なスリーブと、前記遊動ギヤに
    対して相対回転可能かつ軸方向に相対移動可能なシンク
    ロナイザリングとを備え、かつ、(b)作動状態では、
    前記スリーブを軸方向に移動させてそのスリーブを前記
    シンクロナイザリングに当接させ、それにより、そのシ
    ンクロナイザリングを、前記遊動ギヤに対して相対回転
    不能な摩擦面に押し付けてその遊動ギヤと前記スリーブ
    との同期を行い、その同期が完了した後、前記スリーブ
    をさらに同じ向きに移動させることにより、そのスリー
    ブに対して相対変位不能なクラッチにおける複数の歯
    が、前記シンクロナイザリングに対して相対変位不能な
    複数の歯と、前記遊動ギヤに対して相対変位不能なクラ
    ッチにおける複数の歯とをそれらの周方向に押し分けつ
    つそれら歯に噛み合う押し分け状態を実現し、それによ
    り、それら両クラッチを噛み合わせるものであるトラン
    スミッションと共に使用され、そのトランスミッション
    の変速比を変化させる変速装置であって、 外部からの信号に応じて電気的に制御されることによ
    り、前記スリーブを前記軸方向に移動させるために荷重
    を発生させるアクチュエータと、 前記車両の運転者の意思とその車両の状態と前記トラン
    スミッションの状態との少なくとも一つに基づいてその
    トランスミッションの変速比を変化させるために前記ア
    クチュエータに駆動信号を供給して制御する制御装置で
    あって、前記駆動信号を、前記押し分け状態の開始時期
    に先立って、その開始時期において前記スリーブに作用
    するスリーブ荷重に要求される要求荷重に対応する要求
    荷重対応値を取るように変化させる駆動信号変化手段を
    有するものとを含むシンクロメッシュ式トランスミッシ
    ョンのための変速装置。
  2. 【請求項2】 前記駆動信号変化手段が、前記駆動信号
    を、前記押し分け状態の開始時期に先立って、前記スリ
    ーブ荷重を減少させるための値に変化させるものである
    請求項1に記載のシンクロメッシュ式トランスミッショ
    ンのための変速装置。
  3. 【請求項3】 前記制御装置が、さらに、前記同期が実
    質的に完了する同期完了時期を予測する同期完了時期予
    測手段を含み、前記駆動信号変化手段が、前記駆動信号
    を、その同期完了時期予測手段による予測同期完了時期
    から、前記駆動信号の前記アクチュエータへの供給に対
    する前記スリーブ荷重の応答遅れ時間と実質的に同じ時
    間早い時期に、前記要求荷重対応値を取るように変化さ
    せるものである請求項1または2に記載のシンクロメッ
    シュ式トランスミッションのための変速装置。
  4. 【請求項4】 前記同期完了時期予測手段が、前記同期
    中のある時期における前記遊動ギヤと前記スリーブとの
    相対回転数とそれの変化勾配とに基づいて前記同期完了
    時期を予測するものである請求項3に記載のシンクロメ
    ッシュ式トランスミッションのための変速装置。
  5. 【請求項5】 前記制御装置が、前記同期の開始時期か
    ら完了時期までの実際同期時間が目標同期時間に近づく
    ように、前記同期のための同期制御中の各時期における
    前記遊動ギヤと前記スリーブとの相対回転数の目標値で
    ある目標相対回転数と、それと実質的に同じ各時期にお
    ける前記相対回転数の実際値である実際相対回転数との
    差である相対回転数差に基づき、その後における相対回
    転数差が0に近づくように前記駆動信号を逐次決定する
    駆動信号決定手段を含み、前記同期完了時期予測手段
    が、前記目標同期時間に基づいて前記同期完了時期を予
    測するものである請求項3に記載のシンクロメッシュ式
    トランスミッションのための変速装置。
  6. 【請求項6】 前記同期完了時期予測手段が、前記目標
    同期時間と、前記同期中のある時期における前記遊動ギ
    ヤと前記スリーブとの相対回転数およびそれの変化勾配
    とに基づき、前記同期完了時期を予測するものである請
    求項5に記載のシンクロメッシュ式トランスミッション
    のための変速装置。
  7. 【請求項7】 前記制御装置が、さらに、前記駆動信号
    の前記アクチュエータへの供給とその供給に応答する前
    記スリーブ荷重の変化との間の時間的関係に基づき、実
    際の前記応答遅れ時間を取得する実際応答遅れ時間取得
    手段を含み、前記駆動信号変化手段が、前記駆動信号
    を、前記同期完了時期予測手段による予測同期完了時期
    から、前記実際応答遅れ時間取得手段により取得された
    実際応答遅れ時間と実質的に同じ時間早い時期に、前記
    要求荷重対応値を取るように変化させるものである請求
    項3ないし6のいずれかに記載のシンクロメッシュ式ト
    ランスミッションのための変速装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007255472A (ja) * 2006-03-20 2007-10-04 Aisin Ai Co Ltd 自動変速機の制御方法
JP2010169103A (ja) * 2009-01-20 2010-08-05 Aisin Ai Co Ltd 変速機の同期装置
JP2017003083A (ja) * 2015-06-15 2017-01-05 いすゞ自動車株式会社 変速機の制御装置
KR101730192B1 (ko) * 2009-05-14 2017-04-25 섀플러 테크놀로지스 아게 운트 코. 카게 자동 동기화

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