JP2002063718A - 垂直磁気記録媒体の製造方法、垂直磁気記録媒体、及び垂直磁気記録装置 - Google Patents

垂直磁気記録媒体の製造方法、垂直磁気記録媒体、及び垂直磁気記録装置

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JP2002063718A
JP2002063718A JP2000246654A JP2000246654A JP2002063718A JP 2002063718 A JP2002063718 A JP 2002063718A JP 2000246654 A JP2000246654 A JP 2000246654A JP 2000246654 A JP2000246654 A JP 2000246654A JP 2002063718 A JP2002063718 A JP 2002063718A
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perpendicular magnetic
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Hideo Ogiwara
英夫 荻原
Kazuyuki Hikosaka
和志 彦坂
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁性粒子を球状の形状に保った状態のグラニ
ュラー構造を持つ下地膜を成膜することを可能とする。 【解決手段】 基板1の上に非磁性母材中2aに磁性粒
子2bが分散したグラニュラー構造を持った下地膜層2
を成膜する工程と、前記下地膜層2の上に垂直磁性層3
を成膜する工程と、前記垂直磁性層3の上に保護膜層4
を成膜する工程とを有し、前記下地膜層2を成膜する工
程は、前記基板1に断続的に基板バイアスを印加しなが
ら前記下地膜層2を成膜することで、前記磁性粒子2b
が前記下地膜層2の垂直方向に複数の列に並んだ層構造
の下地膜層を成膜する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低ノイズかつ高密
度記録が可能な垂直磁気記録媒体の製造方法、垂直磁気
記録媒体及び垂直磁気記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、パーソナルコンピュータ等の電子
機器においては、外部記録装置として磁気記録装置が広
く用いられている。この磁気記録装置においては、更な
る面記録密度の高密度化が要求されており、それに伴
い、磁気記録媒体の走行方向に対して垂直方向に磁化容
易軸を持つ垂直磁性膜を設け、磁気ヘッドにより垂直磁
性膜の垂直方向に磁界を印加し磁気信号を記録する垂直
磁気記録方式が検討されている。また、垂直磁性膜の下
に高透磁率の下地膜を設けて2層構造とすることで、磁
気ヘッドと下地膜との相互作用により更に優れた記録再
生特性を得る方法が検討されている。ここで、下地膜が
磁壁を生じる構造である場合、スピンドルモータやボイ
スコイルモータなどから発生する磁界の影響により、下
地膜に存在する磁壁の移動や揺らぎが生じ、この磁壁移
動や磁壁揺らぎが、その上層の垂直磁性膜の磁気信号の
記録消磁、書き換えなどを起こしてしまうという問題を
生じることが知られている。
【0003】この問題を解決するために下地膜の構造に
ついて検討されており、例えば、特開平11‐1496
28号公報では、下地膜を、非磁性母材中に、Co、C
oPt、CoCrPtといった硬磁性材料の磁性粒子を
分散させたグラニューラ構造とすることで、軟磁気特性
を示させ、下地膜に磁壁ができない構造にする方法につ
いて記載されている。
【0004】しかし、この従来技術のように硬磁性材料
の磁性粒子を下地膜に用いた場合、実際の記録時に行な
われる高速磁化反転時に影響を与える熱揺らぎを受けな
い磁気特性であるHco(Dynamic coeir
sivity)等は、硬磁性材料の磁性粒子と同じ硬磁
性を示すこととなる。すなわち、磁気信号の記録時に
は、下地膜中の硬磁性材料の磁性粒子の高い異方性磁界
Hkの影響により、垂直磁性膜に高密度に磁気信号を記
録することができない。更に、硬磁性材料の磁性粒子は
飽和磁束密度Bsの値が小さいため、硬磁性材料の磁性
粒子を用いてグラニュラー構造とする場合、垂直磁性膜
に対して軟磁性膜として作用するために必要な飽和磁束
密度Bsを得るためには、その膜厚を非常に厚く形成し
なければならない。
【0005】一方、本発明者は、特願平11−2774
50号において、下地膜に使用する磁性粒子として、硬
磁性材料に代えて、軟磁性材料を用い、更に飽和磁束密
度Bsの値が大きく且つ高透磁率のCoFe、NiF
e、CoZrNb等の軟磁性材料を用いることで、高密
度に磁気信号の記録を可能とすることを図った垂直磁気
記録媒体を提案している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、グラニュラー
構造では、連続膜よりも磁性粒子の体積含有率が低くな
る為、軟磁性材料の磁性粒子でグラニュラー構造の下地
膜を成膜する場合でも、垂直磁性膜に磁気信号を記録す
るに十分な飽和磁束密度Bsを得るため、或る程度膜厚
を厚くすることが必要である。一般に、基板上に硬磁性
材料や軟磁性材料の磁性粒子のグラニュラー構造を持つ
下地膜を成膜する場合には、磁性粒子の粒成長を行なわ
せるために、基板に基板バイアスを印加しながら基板上
に下地膜の材料を物理蒸着させることにより行なう。
【0007】しかしながら、この従来の方法では、膜厚
の厚い下地膜を成膜する場合に硬磁性材料や軟磁性材料
の磁性粒子が下地膜の垂直方向に柱状に成長してしまう
という不具合があった。磁性粒子が垂直方向に柱状の形
状となってしまうと、下地膜が垂直異方性を示すように
なり、この下地膜の垂直異方性が影響して、垂直磁性膜
に高密度に磁気信号を記録することができなくなる。
【0008】そこで、本発明では、磁性粒子を球状の形
状に保った状態のグラニュラー構造を持つ下地膜を成膜
することを可能とし、これにより、低ノイズ且つ高密度
に磁気信号の記録が可能な垂直磁気記録媒体を製造可能
な垂直磁気記録媒体の製造方法、垂直磁気記録媒体、及
び、垂直磁気記録装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の垂直磁気記録媒
体の製造方法は、基板の上に非磁性母材中に磁性粒子が
分散したグラニュラー構造を持った下地膜層を成膜する
工程と、前記下地膜層の上に垂直磁性層を成膜する工程
と、前記垂直磁性層の上に保護膜層を成膜する工程とを
有し、前記下地膜層を成膜する工程は、前記基板に断続
的に基板バイアスを印加しながら前記下地膜層を成膜す
ることで、前記磁性粒子が前記下地膜層の垂直方向に複
数の列に並んだ層構造の下地膜層を成膜することを特徴
とする。
【0010】また、本発明の垂直磁気記録媒体は、基板
と、前記基板上に形成された下地膜層と、前記下地膜層
上に形成された垂直磁性層と、前記垂直磁性層上に形成
された保護膜層を有する垂直磁気記録媒体において、前
記下地膜層は、非磁性母材中に磁性粒子が分散したグラ
ニュラー構造であり、且つ、前記磁性粒子が前記下地膜
層の垂直方向に複数の列に並んだ層構造であることを特
徴とする。
【0011】また、本発明の垂直磁気記録再生装置は、
垂直磁気記録媒体と、前記垂直磁気記録媒体を支持及び
回転駆動するスピンドルモータと、前記垂直磁気記録媒
体への磁気信号の記録及び前記垂直磁気記録媒体に記録
された磁気信号の再生を行なう磁気ヘッドとを具備する
垂直磁気記録再生装置において、前記垂直磁気記録媒体
は、基板と、前記基板上に形成された下地膜層と、前記
下地膜層上に形成された垂直磁性層と、前記垂直磁性層
上に形成された保護膜層を有し、且つ、前記下地膜層
は、非磁性母材中に軟磁性材料の磁性粒子が分散したグ
ラニュラー構造であり、且つ、前記軟磁性材料の磁性粒
子が前記下地膜層の垂直方向に複数の列に並んだ層構造
であることを特徴とする。
【0012】上記構成により、磁性粒子の形状を球状に
保った状態で膜厚の厚い下地膜を有する垂直磁気記録媒
体が実現可能であり、よって、低ノイズ且つ高密度記録
の垂直磁気記録媒体及び垂直磁気記録装置を提供するこ
とが可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】(垂直磁気記録媒体)以下、図面
を参照して本発明の実施の形態について説明する。
【0014】先ず、本発明の製造方法にて製造される垂
直磁気記録媒体について説明する。図1は、本発明の製
造方法にて製造した垂直磁気記録媒体の断面構成図であ
る。本発明の垂直磁気記録媒体は、基板1、軟磁性下地
膜2、垂直磁性膜3、保護膜4を順次積層した構造を有
している。
【0015】基板1の材料としては、ガラス、シリコ
ン、プラスチック、合成樹脂などを用いることができ
る。軟磁性下地膜2及び垂直磁性膜3を基板1上に成膜
する方法としては、スパッタ法、真空蒸着法、ガス中ス
パッタ法、ガスフロースパッタ法等の物理蒸着法を用い
ることが可能である。軟磁性下地膜2の磁性材料として
は、少なくともCo、Fe、Niから選択された一種の
元素を包含する軟磁性材料、例えば、CoFe、NiF
e、CoZrNb等を用いることができる。軟磁性下地
膜2の非磁性母材としては、Ag、Ti、Ru、C等の
非磁性金属やその化合物、又は、酸化物、窒化物、弗化
物、炭化物、例えば、SiO2、SiO、Si3N4、
Al2O3、AlN、TiN、BN、CaF、TiC等
を用いる。
【0016】また、図2は、図1に示す垂直磁気記録媒
体において、軟磁性下地膜2、及び、垂直磁性膜3の領
域Aで示される部分を模式的に示した図である。図2に
示されるように、垂直磁性膜3では、矢印で模式的に示
しているような垂直方向に磁気信号が記録されている。
そして垂直磁性膜3の下に設けられている軟磁性下地膜
2は、非磁性母材2a中に軟磁性材料の磁性粒子2bが
均一に分散したグラニュラー構造を有している。
【0017】次に、図1の垂直磁気記録媒体の製造方法
について、以下に説明する。
【0018】(第1の垂直磁気記録媒体の製造方法)第
1の垂直磁気記録媒体は、次のようにして製造する。す
なわち、2.5インチガラスの基板1上に、Co80F
e20とTiNを成膜後の体積組成比が60:40とな
るよう調節したコンポジットターゲットを用い、対向静
止マグネトロンスパッタ法により、TiNを非磁性母材
2a、Co80Fe20を磁性粒子2bとしたグラニュ
ラー構造の軟磁性下地膜2を成膜した。この軟磁性下地
膜2の成膜に際しては、最初、基板1に基板バイアス4
00[W]を印加しながら、Arガス雰囲気中で、基板
1上にスパッタパワーを1000[W]としてコンポジ
ットターゲットを20[sec]スパッタして成膜し、
軟磁性材料の磁性粒子2bの最初の列が存在する軟磁性
下地膜2の下側部分(図2で、2点鎖線の下側)を成膜
する。その次に、基板1に基板バイアスを印加せずに5
[sec]スパッタして成膜する。引き続いて再度、基
板1に基板バイアス400[W]を印加しながら20
[sec]スパッタして成膜し、軟磁性材料の磁性粒子
2bの次の列が存在する軟磁性下地膜2の上側部分(図
2で、2点鎖線の上側)を成膜する。このようにして、
80[nm]の軟磁性下地膜2を成膜する。
【0019】成膜した軟磁性下地膜2の上に連続して、
CoPt20Cr16合金ターゲットを用いて、Arガ
スに酸素を微量添加した混合ガス中で、CoPt20C
r16の垂直磁性膜3を50[nm]に成膜した。最後
に8[nm]のC保護膜4を成膜する。
【0020】(第2の垂直磁気記録媒体の製造方法)第
1の垂直磁気記録媒体では、非磁性母材2aにTiNを
用いたのに対して、第2の垂直磁気記録媒体は、非磁性
母材2aとして、絶縁材料であるSiO2を用いている
点が異なる。
【0021】第2の垂直磁気記録媒体は次のようにして
製造する。すなわち、2.5インチガラスの基板1上
に、Co80Fe20とSiO2の成膜後の体積組成比
が60:40となるよう調節したコンポジットターゲッ
トを用いて、対向静止マグネトロンスパッタ法でSiO
2を非磁性母材2a、Co80Fe20を磁性粒子2b
としたグラニュラー構造の軟磁性下地膜2を成膜する。
この軟磁性下地膜2の成膜に際しては、上述した第1の
製造方法と同じように、基板1への基板バイアスを2度
に分けて断続的に印加する。すなわち、最初、基板1に
基板バイアス400[W]を印加しながら、Arガス雰
囲気中で、基板1上にスパッタパワーを1000[W]
としてコンポジットターゲットを20[sec]スパッ
タして成膜し、その次に、基板1に基板バイアスを印加
せずに5[sec]スパッタして成膜し、引き続いて再
度、基板1に基板バイアス400[W]を印加しながら
20[sec]スパッタして成膜する。このようにし
て、80[nm]の軟磁性下地膜2を成膜する。
【0022】成膜した軟磁性下地膜2の上に連続して、
CoPt20Cr16合金ターゲットを用いて、Arガ
スに酸素を微量添加した混合ガス中で、CoPt20C
r16の垂直磁性膜3を50[nm]に成膜する。最後
に8[nm]のC保護膜4を成膜する。
【0023】また、第1及び第2の垂直磁気記録媒体と
磁気特性等を比較するための比較例として、軟磁性下地
膜の成膜時に、基板バイアスを印加せず成膜した垂直磁
気記録媒体を製造した。比較例の垂直磁気記録媒体は、
軟磁性下地膜の以外の層は、第1及び第2の垂直磁気記
録媒体と同じ方法で成膜したものである。
【0024】(磁気特性の測定)次に、上記した製造方
法で製造した本発明の第1及び第2の垂直磁気記録媒体
と比較例の垂直磁気記録媒体について、それぞれの軟磁
性下地膜の磁気特性を測定し、比較を行なった。磁気特
性の測定に際しては、本発明の第1及び第2の垂直磁気
記録媒体と比較例の垂直磁気記録媒体について、それぞ
れ軟磁性下地膜のみを上述した方法で成膜し、それをV
SM(Vibrating SampleMagnet
ometer)を用いて測定した。その磁気特性の測定
結果を図3に示す。保磁力Hcについては、本発明の第
1の垂直磁気記録媒体の軟磁性下地膜が87[A/
m]、第2の垂直磁気記録媒体の軟磁性下地膜が79
[A/m]、比較例の垂直磁気記録媒体の軟磁性下地膜
が40[A/m]といずれも低く、また、透磁率μにつ
いてはいずれも1000以上と高いことから、第1及び
第2の垂直磁気記録媒体の軟磁性下地膜と比較例の垂直
磁気記録媒体の軟磁性下地膜はいずれも軟磁気特性を示
していることが分かる。
【0025】しかし、Mr/Msの値について比較する
と、本発明の第1及び第2の垂直磁気記録媒体の軟磁性
下地膜はそれそれ0.52、0.6と値が低く、磁性粒
子がより磁化回転型に近い球状の形状となっていること
が考えられるが、一方、比較例の垂直磁気記録媒体の軟
磁性下地膜は0.85と高く、磁性粒子が膜厚方向に伸
びた柱状の形状となっていると考えられる。
【0026】更に、本発明の第1及び第2の垂直磁気記
録媒体の軟磁性下地膜はどちらも、図4に示すような、
残留磁化Mrが小さく且つ磁化曲線の飽和磁化Msから
残留磁化Mrへ至る部分がストーナー・ウォルファス型
(Stoner・Wohlfarth)の曲線的な変化
の磁気特性が測定されたことからも、本発明の第1及び
第2の垂直磁気記録媒体の軟磁性下地膜はどちらも磁性
粒子が球状、或いは回転楕円体の形状になっている考え
られる。
【0027】一方、比較例の軟磁性下地膜では、図5に
示すように、垂直異方性が見られる磁化曲線が得られる
ため、磁性粒子が柱状の形状となっていると考えられ
る。
【0028】(膜構造の観測)更に、本発明の第1及び
第2の垂直磁気記録媒体び比較例の垂直磁気記録媒体の
それぞれの軟磁性下地膜について、膜内で軟磁性の磁性
粒子が均一に分散しているか、また、軟磁性の磁性粒子
が球状に成長しているか否かを確認するため、TEM
(Transmission Electron Sp
ectroscopy)を用いてその膜構造を観察し
た。
【0029】先ず、本発明の第1及び第2の垂直磁気記
録媒体の軟磁性下地膜について、平面方向(図2に示す
平面方向)の膜構造を観察したところ、どちらも非磁性
母材中に球状の軟磁性材料の磁性粒子が一様に分散して
いることが観察できた。また、その磁性粒子の粒径が約
15〜20[nm]となっており、軟磁性下地膜の成膜
時に基板バイアスを印加した効果により磁性粒子の粒成
長が促進され、その粒径が大きくなったと考えられる。
【0030】次に、垂直方向(図2に示す垂直方向)の
膜構造の観察を行なったところ、本発明の第1及び第2
の垂直磁気記録媒体の軟磁性下地膜は、どちらも磁性粒
子が球状、或いは回転楕円状で、且つ、図2に示すよう
に磁性粒子が垂直方向に2列に並んだ層構造をしている
ことが確認された。これは、軟磁性下地膜の成膜におい
て、基板バイアスの印加を途中で一旦中断しているめで
ある。すなわち、基板バイアスの印加を途中で一旦中断
することで、1段目の磁性材料の磁性粒子が柱状に成長
する前に粒成長を抑制し、その後再度基板バイアスの印
加を行なうことで、2段目の磁性材料の磁性粒子の粒成
長をさせるようにしているためである。
【0031】このように、本発明の第1及び第2の垂直
磁気記録媒体では、軟磁性下地膜の成膜に際して、基板
に基板バイアスを2度に分けて断続的に印加すること
で、磁性粒子が断面方向に柱状に成長した形状とならず
断面方向に2列に並んだ層構造となり、且つ、磁性粒子
の凝集促進効果により磁性粒子の粒径を大きくすること
ができる。
【0032】一方、比較例について膜構造の観察を行な
ったところ、平面方向の膜構造では、非磁性母材中に磁
性粒子が一様に分散しておりグラニュラー構造となって
いるものの、軟磁性下地膜層の成膜時に基板バイアスを
印加しなかったため磁性粒子の粒成長が促進されること
無くその粒径が約10〜13[nm]となり、本発明の
第1及び第2の垂直磁気記録媒体に比べ小さいことが確
認された。更に、垂直方向の膜構造は、図6に示すよう
な磁性粒子が垂直方向に柱状に成長した形状となってい
ることが確認された。
【0033】(ノイズ特性の測定)次に、本発明の第1
及び第2の垂直磁気記録媒体び比較例の垂直磁気記録媒
体のそれぞれのノイズ特性を調べた。ノイズ測定に際し
ては、再生ギャップ長0.15[μm]、再生トラック
幅0.8[μm]のGMRヘッドと主磁極膜圧0.4
[μm]、記録トラック幅2[μm]の単磁極型ヘッド
を用いて、浮上量20[nm]でスピンスタンドを用い
て測定した。
【0034】先ず、本発明の第1及び第2の垂直磁気記
録媒体の軟磁性下地膜のみ(但し、保護膜は有り)につ
いて、そのDCノイズを測定した。その結果、どちらも
スパイクノイズは測定されないことから、軟磁性下地膜
には磁壁が存在していないことが確認された。
【0035】次に、垂直磁気記録媒体の全体(軟磁性下
地膜のみではなく、基板から保護膜までの各膜が積層さ
れた状態のもの)に対して、垂直磁性膜に記録密度30
0[kfci]で記録した時の規格化媒体ノイズNm/
SOを測定した。その結果、どちらも、規格化媒体ノイ
ズNm/SO=0.015[μm1/2μVrms/μ
Vpp]程度とその値は小さく、低ノイズ化されている
ことが分かる。
【0036】一方、比較例の垂直磁気記録媒体について
軟磁性下地膜のみのDCノイズを測定した結果ではスパ
イクノイズは測定されず磁壁が存在していないことが確
認されたが、垂直磁気記録媒体の全体に対して規格化媒
体ノイズの測定結果では、その値がNm/SO=0.0
22[μm1/2μVrms/μVpp]となり、第1
及び第2の垂直磁気記録媒体よりも大きい値となった。
これは、比較例では、軟磁性下地膜が磁性粒子の分散し
たグラニュラー構造となっていることから磁壁は存在し
ないものの、磁性粒子の形状が垂直方向に柱状に成長し
た形状であるため軟磁性下地膜に垂直異方性が現れたた
めと考えられる。
【0037】なお、上述した第1及び第2の垂直磁気記
録媒体の製造方法では、軟磁性下地膜の成膜時に、2回
に分けて基板に基板バイアスを断続的に印加するように
しているが、これに限らず、軟磁性下地膜の膜厚を更に
厚くするため、又は、磁性粒子の列を増加させるため
に、3回以上に分けて基板バイアスを断続的に印加して
も良い。3回に分けて基板バイアスを断続的に印加した
場合は、軟磁性下地膜の垂直方向に球状の磁性粒子が3
列に並んだ層構造となる。4回以上の場合も、軟磁性下
地膜の垂直方向に球状の磁性粒子が基板バイアスの印加
回数に応じた列数分並んだ層構造となることが考えられ
る。
【0038】このように、軟磁性下地膜の成膜時に基板
バイアスを複数回に分けて断続的に印加することで、磁
性粒子の形状を球状に保った状態で軟磁性下地膜の膜厚
を厚くすることが可能となり、従って、規格化媒体ノイ
ズNm/SOの値の小さい低ノイズの垂直磁気記録媒体
を実現することが可能である。
【0039】(分解能の測定)次に、本発明の第1及び
第2の垂直磁気記録媒体について軟磁性下地膜における
非磁性母材の相違による高周波記録特性を比較するた
め、それぞれの垂直磁性膜に記録密度400[kfc
i]で記録した時の分解能PW50を測定した。その結
果、図3に示すように、第1の垂直磁気記録媒体の分解
能PW50は約12[nSec]、第2の垂直磁気記録
媒体の分解能PW50は約10[nSec]となった。
すなわち、第2の垂直磁気記録媒体の方が第1の垂直磁
気記録媒体よりも分解能PW50が1割程度小さいこと
から、第2の垂直磁気記録媒体の方が高周波記録に優れ
ている。
【0040】ここで、第1及び第2の垂直磁気記録媒体
の軟磁性下地膜の表面の電気抵抗率ρを四端子法で測定
したことろ、第1の垂直磁気記録媒体の軟磁性下地膜は
電気抵抗率ρ=〜500[μΩm]、第2の垂直磁気記
録媒体の軟磁性下地膜は電気抵抗率ρ=〜1000[μ
Ωm]となり、第2の垂直磁気記録媒体の軟磁性下地膜
の方が高電気抵抗であることを示した。すなわち、非磁
性母材としてSiO2等の高電気抵抗の材料を用いて軟
磁性下地膜を高抵抗にすることにより、軟磁性下地膜の
表面の渦電流の発生を低減でき、より高周波記録に優れ
た垂直磁気記録媒体を得ることが可能となる。
【0041】(垂直磁気記録装置)次に、上述した垂直
磁気記録媒体を用いた垂直磁気記録装置の構成について
説明する。
【0042】図7に本発明の垂直磁気記録装置の概観図
を示している。図7に示されるように、本発明の垂直磁
気記録装置は、上面の開口した矩形箱上の筐体26と、
複数のねじにより筐体26にねじ止めされる筐体の上端
開口を閉塞する図示しないトップカバーとを有してい
る。筐体26内には、上述した第1又は第2の垂直磁気
記録媒体を用いた垂直磁気記録媒体22、この垂直磁気
記録媒体22を支持および回転させる駆動手段としての
スピンドルモータ21、垂直磁気記録媒体22への磁気
信号の記録及び垂直磁気記録媒体22に記録された磁気
信号の再生を行なう磁気ヘッド23、磁気ヘッド23を
先端に搭載したサスペンションを有し且つ磁気ヘッド2
3を垂直磁気記録媒体22に対して移動自在に支持する
ヘッドアクチュエータ24、ヘッドアクチュエータ24
を回転自在に支持する回転軸28、回転軸28を介して
ヘッドアクチュエータ24を回動および位置決めするボ
イスコイルモータ27、ヘッドアンプ回路25が収納さ
れている。
【0043】このように、垂直磁気記録媒体22に、本
発明の第1又は第2の垂直磁気記録媒体を用いることに
より、低ノイズで且つ高密度記録が可能な垂直磁気記録
媒体を実現することが可能である。
【0044】
【発明の効果】以上詳述したように本発明によれば、磁
性粒子の形状を球状に保った状態で膜厚の厚い下地膜を
有する垂直磁気記録媒体が実現可能であり、よって、低
ノイズ且つ高密度記録の垂直磁気記録媒体及び垂直磁気
記録装置を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1及び第2の垂直磁気記録媒体の断
面構成を示す図。
【図2】本発明の第1及び第2の垂直磁気記録媒体の垂
直磁性膜と軟磁性下地膜の部分拡大模式図。
【図3】本発明の第1及び第2の垂直磁気記録媒体と比
較例の垂直磁気記録媒体との磁気特性表を示す図。
【図4】本発明の第1及び第2の垂直磁気記録媒体の軟
磁性下地膜の磁化曲線を示す図。
【図5】比較例の垂直磁気記録媒体の軟磁性下地膜の磁
化曲線を示す図。
【図6】比較例の垂直磁気記録媒体の垂直磁性膜と軟磁
性下地膜の部分拡大模式図。
【図7】本発明の垂直磁気記録装置の一例を示す図。
【符号の説明】
1…基板 2…軟磁性下地膜 2a…非磁性母材 2b…軟磁性材料の磁性粒子 3…垂直磁性膜 4…保護膜 11…軟磁性下地膜 11a…非磁性母材 11b…軟磁性材料の磁性粒子 12…垂直磁性膜 21…スピンドルモータ 22…垂直磁気記録媒体 23…磁気ヘッド 24…ヘッドアクチュエータ 25…ヘッドアンプ回路 26…筐体 27…ボイスコイルモータ 28…回転軸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4K029 BA24 BA64 BB02 BB07 BC06 BD11 CA05 CA13 5D006 CA01 CA03 CA05 5D112 AA03 BD01 BD03 FA04 FB26

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の上に非磁性母材中に磁性粒子が分
    散したグラニュラー構造を持った下地膜層を成膜する工
    程と、 前記下地膜層の上に垂直磁性層を成膜する工程と、 前記垂直磁性層の上に保護膜層を成膜する工程とを有
    し、 前記下地膜層を成膜する工程は、前記基板に断続的に基
    板バイアスを印加しながら前記下地膜層を成膜すること
    で、前記磁性粒子が前記下地膜層の垂直方向に複数の列
    に並んだ層構造の下地膜層を成膜することを特徴とする
    垂直磁気記録媒体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記下地膜層を成膜する工程は、前記非
    磁性母材として、非磁性金属、当該非磁性金属の化合
    物、酸化物、窒化物、弗化物、炭化物の中から選ばれる
    材料を用いたことを特徴とする請求項1記載の垂直磁気
    記録媒体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記下地膜層を成膜する工程は、前記磁
    性粒子として、少なくともCo、Fe、Niから選択さ
    れた一種を含んだ軟磁性材料を用いたことを特徴とする
    請求項1又は2記載の垂直磁気記録媒体の製造方法。
  4. 【請求項4】 基板と、前記基板上に形成された下地膜
    層と、前記下地膜層上に形成された垂直磁性層と、前記
    垂直磁性層上に形成された保護膜層を有する垂直磁気記
    録媒体において、 前記下地膜層は、非磁性母材中に磁性粒子が分散したグ
    ラニュラー構造であり、且つ、前記磁性粒子が前記下地
    膜層の垂直方向に複数の列に並んだ層構造であることを
    特徴とする垂直磁気記録媒体。
  5. 【請求項5】 前記下地膜層の非磁性母材として、非磁
    性金属、当該非磁性金属の化合物、酸化物、窒化物、弗
    化物、炭化物の中から選ばれる材料を用いたことを特徴
    とする請求項4記載の垂直磁気記録媒体。
  6. 【請求項6】 前記下地膜層の前記磁性粒子として、少
    なくともCo、Fe、Niから選択された一種を含んだ
    軟磁性材料を用いたことを特徴とする請求項4又は5記
    載の垂直磁気記録媒体。
  7. 【請求項7】 垂直磁気記録媒体と、前記垂直磁気記録
    媒体を支持及び回転駆動するスピンドルモータと、前記
    垂直磁気記録媒体への磁気信号の記録及び前記垂直磁気
    記録媒体に記録された磁気信号の再生を行なう磁気ヘッ
    ドとを具備する垂直磁気記録再生装置において、 前記垂直磁気記録媒体は、基板と、前記基板上に形成さ
    れた下地膜層と、前記下地膜層上に形成された垂直磁性
    層と、前記垂直磁性層上に形成された保護膜層を有し、
    且つ、前記下地膜層は、非磁性母材中に軟磁性材料の磁
    性粒子が分散したグラニュラー構造であり、且つ、前記
    軟磁性材料の磁性粒子が前記下地膜層の垂直方向に複数
    の列に並んだ層構造であることを特徴とする垂直磁気記
    録再生装置。
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JP2012146385A (ja) * 2011-01-07 2012-08-02 Showa Denko HD Singapore Pte Ltd 垂直磁気記録媒体の製造方法

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