JP2002048081A - 気体圧縮機 - Google Patents

気体圧縮機

Info

Publication number
JP2002048081A
JP2002048081A JP2000231066A JP2000231066A JP2002048081A JP 2002048081 A JP2002048081 A JP 2002048081A JP 2000231066 A JP2000231066 A JP 2000231066A JP 2000231066 A JP2000231066 A JP 2000231066A JP 2002048081 A JP2002048081 A JP 2002048081A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
chamber
back pressure
vane
cylinder
suction
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000231066A
Other languages
English (en)
Inventor
Makoto Ijiri
誠 井尻
Hiroaki Sekiguchi
洋明 関口
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Instruments Inc
Original Assignee
Seiko Instruments Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Instruments Inc filed Critical Seiko Instruments Inc
Priority to JP2000231066A priority Critical patent/JP2002048081A/ja
Publication of JP2002048081A publication Critical patent/JP2002048081A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Rotary Pumps (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸入行程初期のベーン背圧を減らして、動力
損失を低減する。 【解決手段】 ベーン溝3の進行方向先端がシリンダ室
1aの短径円弧面18を通過した直後の位置で、ベーン
溝3の底部の背圧室5を吸入室14に連通させる吸入室
連通孔31を設け、この連通により背圧室圧力を下げ
る。ベーン4が更に先に進むと背圧室5が吸入室連通孔
31から離れて吸入室連通孔31は閉じられ、直ちに背
圧流体入口15に連通して背圧室圧力は元に戻る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、カーエアコン等
に用いられるベーン型の気体圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】ベーン型の気体圧縮機は、図7に示すよ
うに、シリンダブロック1のシリンダ室1a内に回動自
在に設けられたロータ2と、このロータ2にほぼ放射状
に刻設されたベーン溝3に摺動自在に出没して、先端4
aが上記シリンダ室1aの内筒面1bに摺接するベーン
4と、上記ベーン溝3の底部に形成され、加圧された流
体を導入してベーン4をシリンダ室1aの内筒面1bに
付勢する背圧室5と、上記ベーン4により上記シリンダ
室1aを分割して形成された圧縮室6(6a、6b)と
を有し、上記ロータ2の回動に伴い圧縮室6の容積を増
減させて、シリンダ室1aに開口する吸入穴7から気体
(冷媒ガス)を吸入し、圧縮室6内でこの気体を圧縮
し、シリンダ室1aに開口する吐出穴8へ圧縮した圧縮
気体を吐出するものである。
【0003】[ベーンの押し付け力]ベーン4は、気体
圧縮機の作動中、その先端4aを適度の強さの力でシリ
ンダ室1aの内筒面1bに押し付けられたまま摺接しな
けらばならない。押し付け力Fが弱いと、シリンダ室1
aとベーン4との摺接面の隙間から隣の圧縮室へ圧縮気
体が漏れたり、ベーン4が振動して摺接面でチャタリン
グを起こしたりする。圧縮気体の漏れは圧縮効率を低下
し、冷房能力を下げ、チャタリングは騒音となるばかり
でなく、シリンダブロック1、ベーン4、ベーン溝3の
損耗を著しく促進してしまう。一方、押し付け力Fが過
度に強いと、動力損が増し、ベーン4、シリンダブロッ
ク1、ベーン溝3の摩耗を大きくする。
【0004】ベーン4をシリンダブロック1の内筒面1
bに押し付ける上記押し付け力Fは、主として背圧室5
の圧力とベーン自体の遠心力とにより生じるベーン飛び
出し力と、ベーン4に隣接する圧縮室6a、6b内の気
体圧力により主に生じる、ロータ回転中心側への押し込
み力との差となる。
【0005】[押し込み力の発生原因]圧縮室6a、6
b内の気体圧力がベーン4に対して押し込み力を生じる
理由は、次のとおりである。図8に示すように、ベーン
4の先端4aは、径が変化するシリンダ内筒面1bと接
しながらスムーズに摺動できるように、シリンダ内筒面
1bの最大曲率よりも大きい曲率の曲面となっており、
シリンダ内筒面1bとはコンタクト線Cで接するように
なっている。従って、このコンタクト線Cの前側と後側
では、内筒面1bとベーン先端4aとの間に微小な隙間
があって、図の両側の圧縮室6a、6bのそれぞれの気
体圧力P+ 、P- のベーン出没方向成分P +1 、P-
2 がベーン4を押し込む力となって作用するのであ
る。なお、ここでS1 、S2 は、コンタクト線Cの両側
のベーンの出没方向投影断面積である。
【0006】上記押し付け力Fは、動力損、摩耗を増や
す程には大きくなく、チャタリングを起こしたり、シー
ル不良をもたらす程には小さくなく、ベーン4の回転角
位置に関係なく、ほぼ一定であることが望ましい。
【0007】[従来のベーン押し付け力適正化の方策]
従来、ベーン4の押し付け力Fをほぼ一定にするため
に、ベーン4に先行して回動する圧縮室6aが吸入穴7
と連通している吸入行程から連通を閉じて圧縮行程初期
にある間では、背圧室5と加圧潤滑油路9とが連通さ
れ、吐出室10の油溜り11(図2参照)からを経由
し、途中の軸受12等で絞られてやや圧力を下げられた
潤滑油が、加圧潤滑油路9の開口部9aから背圧室5に
供給される。
【0008】吸入行程では、圧縮室6aの気体圧力P+
が吸入室14(図2参照)よりも若干低くなるので、背
圧室5の背圧もあまり上がらないように加圧潤滑油路9
の背圧流体入口115の幅(ロータ半径方向の幅)を狭
くし、圧縮行程初期では、圧縮室6aの気体圧力P+
急速に高まるので、背圧流体入口115の幅を広くして
ある。
【0009】また、圧縮室6aでの圧縮が進行するに従
い、背圧室5と加圧潤滑油路9との連通を閉じて潤滑油
を閉じ込め、ベーン4の押し込みによりその圧力を更に
増して、圧縮行程で増大していく気体圧力P+ の押し込
み力に抗して、ベーン4とシリンダ内筒面1bとの接触
を維持できるようにしてある。
【0010】[背圧室と加圧潤滑油路との連通開始タイ
ミングと問題点]圧縮行程が終わると、再び背圧室5と
加圧潤滑油路9とを連通する。この切り替えのタイミン
グを以下に説明する。
【0011】上記シリンダ室1aの内筒面1bは、長径
部16と短径部17を有するほぼ楕円形としてあって、
短径部17の中央部分には、ロータ2とほぼ同径の短径
円弧面18(図3参照)が形成されている。この短径円
弧面18は吸入行程側にある低圧の圧縮室と圧縮行程側
にある高圧の圧縮室とのシールを保つためのものである
が、この短径円弧面18を通過中も、背圧室5と加圧潤
滑油路9との連通を閉じたままにする。
【0012】すなわち、ベーン先端4aが高圧側から短
径円弧面18に到達するとき、ベーン先端4aと短径円
弧面18のシリンダ内筒面1bとベーン溝3とで囲まれ
て閉じ込められる気体(図3(b)参照)は高圧となっ
ていてベーン4を押し込み続けるから、背圧室5の背圧
も高いままで維持しなければならないのである。
【0013】そして、この短径円弧面18を通過する
と、ベーン先端4aの閉じ込められた高圧ガスが吸入穴
7から吸入室14側へ逃げ、ベーン4の押し込み力が急
減する。従って、このとき、背圧室5と加圧潤滑油路9
とを連通開始するのであるが、加圧潤滑油路9には、高
圧の吐出室10の油溜り11から、途中絞って減圧され
た潤滑油が供給されるのであるから、その圧力は吸入行
程初期の圧縮室6の急激に減圧された上記吸入圧力より
もかなり高く、ベーン4のシリンダ室1aへの押し出し
力が過大になってしまう。なお、上記の絞りを強くすれ
ば、理論上、背圧室5の圧力を吸入圧力程度に急減する
ことも可能であるが、加圧潤滑油路9は潤滑油の供給路
を兼ねているので、あまり絞りを強くすると、圧縮機の
潤滑に支障が出てしまう。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、吸入行程
初期において、ベーンの押し付け力を減じて適正な押し
付け力とすることにより、動力損失が少ない気体圧縮機
を提供するものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上述の課題を解決するた
めに、この発明では、前後をサイドブロックで塞がれて
シリンダブロック内に形成されたシリンダ室と、このシ
リンダ室内にあって、上記サイドブロックに両側面を摺
接しながら回動するロータと、このロータにほぼ放射状
に刻設されたベーン溝と、このベーン溝に摺動自在に出
没して、先端が上記シリンダ室の内筒面に摺接するベー
ンと、上記ベーン溝底部に形成され、加圧された流体を
導入してベーンをシリンダの内筒面に付勢する背圧室
と、上記ベーンにより上記シリンダ室を分割して形成さ
れた圧縮室とを有し、上記ロータの回動に伴い圧縮室の
容積を増減させて、シリンダ室に開口する吸入穴から吸
入室内の気体を吸入し、圧縮室内で上記気体を圧縮し、
シリンダ室に開口する吐出穴から吐出室へ圧縮した圧縮
気体を吐出する気体圧縮機において、サイドブロックの
ロータとの摺接面に開口して、背圧室と吸入室とを連通
する吸入室連通孔が設けられ、この吸入室連通孔の上記
開口する位置が、ロータの回動に伴い進行するベーン溝
の進行方向前側がシリンダ室の短径円弧面を通過した直
後の角度位置において、該ベーン溝の背圧室と開口が連
通開始する位置となっているようにする。
【0016】また、この気体圧縮機において、サイドブ
ロックのロータとの摺接面に開口して、背圧室と加圧潤
滑油路とを連通して背圧室に加圧された流体を供給する
背圧流体入口が設けられ、この背圧流体入口の位置が、
ロータの回動に伴い上記背圧室が吸入室連通孔の開口か
ら離れて背圧室と吸入室との連通が遮断された直後の角
度位置において、該背圧室と背圧流体入口が連通開始す
る位置となっているようにする。
【0017】ともに両サイドブロックのロータとの摺接
面に開口して設けられる吸入室連通孔と背圧流体入口と
は、ロータの回動に伴い進行する背圧室の進行方向後側
が、上記吸入室連通孔の開口部の輪郭と外接するとき、
背圧室の進行方向前側が、上記背圧流体入口の輪郭と外
接するように配置する。
【0018】この発明においては、図4に示すように、
ベーン溝の前側がシリンダ室の短径円弧面を通過した直
後のベーン押し込み力の急減に対応して、直ちに、背圧
室が吸入室側に連通することにより、背圧室の圧力が充
分に下がり、押し付け力の上昇を回避する。そして、背
圧室と吸入室側との連通が閉じられると、直ちに、背圧
室は加圧潤滑油路と連通し、従来の気体圧縮機同様、吐
出室の油溜りからやや減圧された潤滑油が背圧室に供給
されて、ベーンの飛び出し力をその押し込み力より強め
に制御する。
【0019】
【発明の実施の形態】この発明の実施の形態を、以下、
図1〜図6を参照して説明する。図1は、この発明の一
実施の形態の気体圧縮機のシリンダ、ロータおよびベー
ンを示す断面図、図2は、図1の気体圧縮機の縦断面
図、図3は、図1の要部を示し、(a)、(b)、
(c)および(d)は、それぞれロータの回動に伴うベ
ーンの進行状態を示す。図4は、ベーンに加わる背圧の
変化を示す説明図、図5の(a)および(b)は、それ
ぞれ吸入室連通孔のサイズと冷房能力との関係を示す説
明図、図6の(a)および(b)は、それぞれ吸入室連
通孔のサイズと動力との関係を示す説明図である。
【0020】図1において、図7と同一部分について
は、同一の符号を付してその説明を省略する。
【0021】図1および図2において、吸入穴7は、フ
ロントサイドブロック21およびリアサイドブロック2
2のシリンダブロック1との当接面に設けられ、シリン
ダ室1aの短径部17、17よりロータ進行方向寄りの
吸入行程位置に開口し、リアサイドブロック22側の吸
入穴7は、シリンダブロック1を貫通する連絡路23を
介してフロントサイドブロック21側の吸入穴7につな
がり、更に、フロントサイドブロック21側の吸入穴7
は、吸入室14につながっている。この吸入室14に
は、気体圧縮機の外部に開口する吸入ポート24とつな
がっていて、図示省略のエアコンシステムの配管から冷
媒ガスを吸入するようになっている。
【0022】吐出穴8は、シリンダブロック1に設けら
れ、シリンダ室1aの短径部17、17よりロータ進行
方向の手前寄りの圧縮行程位置に開口し、圧縮室連絡路
25、26を経て、吐出室10につながっている。この
吐出室10には、気体圧縮機の外部に開口する吐出ポー
ト27とつながっていて、エアコンシステムの配管へ圧
縮した冷媒ガスを吐出するようになっている。なお、図
1の28は、圧縮室連絡路25から圧縮室6への冷媒ガ
ス(気体)の逆流を防ぐリーフバルブ構造の吐出弁、図
2の29は、圧縮室連絡路26の出口から吐出室10へ
突き出した油分離器である。この油分離器29により分
離された冷媒ガス中の潤滑油は、油溜り11に落下して
溜り、再び潤滑油として加圧潤滑油路9を経由して循
環、使用される。
【0023】加圧潤滑油路9は、その詳細な経路の図示
を省略するが、油溜り11から潤滑油を導いて、この潤
滑油がロータ2のロータ軸2aを回転自在に支持する軸
受12、12を経由して潤滑し、軸受12、12の隙間
で絞られて減圧され、背圧流体入口15、15に達する
ように、両サイドブロック21、22とシリンダブロッ
ク1内に形成されている。
【0024】上記背圧流体入口15、15は両サイドブ
ロック21、22のロータ2との摺接面30、30に開
口して、この背圧流体入口15から摺接面30に潤滑油
が漏れ出して、両サイドブロック21、22のロータ2
およびベーン4との摺接面を潤滑する。また、ロータ2
の回動により、背圧流体入口15が背圧室5と連通した
ときは、その圧力により、ベーン4をシリンダ室1aの
内筒面1bに押し付ける。背圧室5内の潤滑油もベーン
4とベーン溝3との隙間へ漏れ出して潤滑し、更に、ベ
ーン先端4aとシリンダ室内筒面1bとの間も潤滑す
る。潤滑油は、圧縮室6内で冷媒ガスと混ざり、圧縮室
連絡路25、26を経て、油分離器29へ送られる。
【0025】なお、背圧流体入口15、15は、フロン
トサイドブロック21、リアサイドブロック22のそれ
ぞれに浅い溝状に設けられ、加圧潤滑油路9の開口部か
ら遠く配置した圧縮室6の吸入行程の位置では、ロータ
半径方向の幅を狭くして途中の流体抵抗を大きくして背
圧室5にあまり強い圧力が加わらないようにし、一方、
加圧潤滑油路9の開口部9aに近く配置した圧縮行程前
半の位置では、ロータ半径方向の幅を広くして、圧縮室
6の高い圧縮圧力に対抗するようにしてある。この点は
従来と同様である。しかし、背圧流体入口15、15の
短径部17側の輪郭は、後に説明するように、短径部1
7から従来よりもやや離して配置する。
【0026】また、両サイドブロック21、22には、
ロータ2との上記摺接面30に開口して、背圧室5と吸
入室14とを連通する吸入室連通孔31、31が設けら
れている。なお、リアサイドブロック22の吸入室連通
孔31は、図2では省略してあるが、フロントサイドブ
ロック21の吸入室連通孔31と同様に摺接面30に開
口し、リアサイドブロック22、シリンダブロック1、
フロントサイドブロック21内を経由して、吸入室14
に達している。
【0027】両サイドブロック21、22のロータ2と
の摺接面30に開口する上記背圧流体入口15および吸
入室連通孔31のシリンダ室1aとの、この発明の特徴
である、位置関係を、図3および図4を参照して、次に
説明する。
【0028】図3(a)は、ベーン4の先端4aが吐出
穴8を通過して圧縮室6aの圧縮冷媒ガスの一部g1 を
ベーン溝3、ベーン4、シリンダ室内筒面1bで囲んで
閉じ込めた瞬間を示し、図3(b)は、ロータ2の回動
がやや進んで、ベーン溝3が、ロータ2とシリンダ室内
筒面1bとが接する短径円弧面18内に入って、圧縮室
6aの圧縮冷媒ガスの一部を、短径円弧面18とベーン
先端4aのコンタクト線Cの後方g2 に閉じ込めた状態
を示す。この図3(b)の状態でも、図3(a)の状態
同様、圧縮冷媒ガスの圧力による背圧室5側へのベーン
押し込み力が強く、背圧室5は、背圧流体入口15とも
吸入室連通孔31とも連通を遮断して、その内部に潤滑
油(加圧流体)を閉じ込め、圧縮行程におけるシリンダ
室内筒面1bの短径化につれて押し込まれるベーン4
が、この潤滑油(加圧流体)の圧力を更に高めることに
より、適正な押し付け力Fを維持している。なお、この
間、閉じ込められた背圧室5内の潤滑油は、周囲に漏れ
出して潤滑する。
【0029】図3(c)は、更にロータ2の回動が進ん
で、ベーン溝3の進行方向前側がシリンダ室1aの短径
円弧面18を通過する瞬間を示す。このとき、吸入室連
通孔31の輪郭と背圧室5の進行方向前側とが外接した
状態となっている。すなわち、図3(c)の状態となっ
た直後の角度位置で、そのベーン溝の背圧室5と吸入室
連通孔31の開口が連通を開始する。吸入室連通孔31
の先の吸入室14の気体圧力は低いから、背圧室5の圧
力も急激に下がる。一方、これと同時に、g1に閉じ込
められていた高圧冷媒ガスは先行する圧縮室6aに解放
され、圧縮室6aはこの位置では吸入穴7に連通して圧
力が下がっているから、g1 のガス圧分、ベーン4の押
し込み力は弱まっている。更にロータ2の回動が進ん
で、g2 に閉じ込められていた高圧冷媒ガスも先行する
圧縮室6aに解放されると、ベーン4の押し込み力は更
に弱まる。従って、図4に示すように、ベーン4の押し
込み力の急激な変化にうまく対応して、背圧室5の圧力
も充分に下がり、ベーン4のシリンダ室内筒面1bへの
押し付け力Fは、過大となることなく、ベーン4とシリ
ンダ室内筒面1bとの摩擦による動力損失が軽減され
る。
【0030】図3(d)は、背圧室5の進行方向後側5
bが、吸入室連通孔31の開口部の輪郭と外接した瞬間
を示し、このとき、背圧室5の進行方向前側5aが、背
圧流体入口15の輪郭と外接する。そして、ロータ2の
回動に伴い背圧室5が吸入室連通孔31の開口から離れ
て背圧室5と吸入室14との連通が遮断された直後の角
度位置において、この背圧室5と背圧流体入口15が連
通を開始する。
【0031】この構成により、図4に示すように、背圧
室5が吸入室連通孔31との連通を遮断されたとき、背
圧流体入口15との連通が始まって、背圧室5内の圧力
は、吸入室14に近い圧力から、加圧潤滑油路9の潤滑
油が背圧流体入口15の幅狭の部分で絞られやや減圧さ
れた圧力に上がり、吸入行程でのベーン4のシリンダ室
1aへの十分な追従が維持される。
【0032】図5および図6に示したように、この実施
の形態の気体圧縮機では、吸入室連通孔の断面径を0.
5〜2.5mmの円形断面(断面積0.2〜5mm
2 )、長さが約5mmの部分を設けると、冷房能力があ
まり下がることがなくて、動力軽減効果があることが確
かめられた。背圧室5が吸入室14と連通したとき、背
圧室5内の潤滑油が吸入室14側へ充分移動して圧力が
吸入室圧力まで下がると、動力が非常に軽減されるので
あるが、背圧室5内の潤滑油が吸入室14へあまり流れ
込むと、油分離器29で潤滑油の分離がしきれなくな
り、エアコンシステムに流れ出す冷媒ガス中の潤滑油が
多くなって冷房能力が下がるので、吸入室連通孔31の
流量抵抗をこの程度に大きくする必要があるのである。
【0033】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、この発明に
おいては、ベーン溝の進行方向前側がシリンダ室の短径
円弧面を通過した直後の角度位置において、ベーン溝の
背圧室が吸入室と連通開始するように、吸入室連通孔の
開口を配置したから、ベーンが短径円弧面を通過して、
ベーン先端側のベーンを押し戻す圧縮ガス圧が抜けてベ
ーン押し込み力が弱まるとき、ほぼこれに同期して背圧
室の流体が吸入室側へ抜けてベーン押し出し力が弱まっ
て、ベーンがシリンダ室内筒面に過剰な力で押し付けら
れることがなくなった。それ故、動力損、ベーン・シリ
ンダの磨耗が大幅に軽減される。
【0034】また、背圧室が吸入室連通孔の開口から離
れて背圧室と吸入室との連通が遮断された直後の角度位
置において、背圧室と背圧流体入口が連通開始するよう
にしたから、ロータの回動に伴い圧縮室の容積が増し、
気体の吸入が進んでいく角度位置では、背圧室の圧力が
高まり、ベーンがシリンダ室内筒面の逃げるのに充分追
従することができ、チャタリングや、ベーン・シリンダ
室内筒面間のシール不良を起こしたりすることがない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態の気体圧縮機のシリン
ダ、ロータおよびベーンを示す横断面図。
【図2】図1の気体圧縮機の縦断面図。
【図3】図1の要部を示し、(a)、(b)、(c)お
よび(d)は、それぞれロータの回動に伴うベーンの進
行状態を示す。
【図4】ベーンに加わる背圧の変化を示す説明図。
【図5】(a)および(b)は、それぞれ吸入室連通孔
のサイズと冷房能力との関係を示す説明図。
【図6】(a)および(b)は、それぞれ吸入室連通孔
のサイズと動力との関係を示す説明図。
【図7】従来の気体圧縮機を示す横断面図。
【図8】図7のベーン先端を示す拡大断面図。
【符号の説明】
1 シリンダブロック 1a シリンダ室 1b 内筒面 2 ロータ 3 ベーン溝 4 ベーン 4a ベーン先端 5 背圧室 6、6a、6b 圧縮室 7 吸入穴 8 吐出穴 9 加圧潤滑油路 10 吐出室 12 軸受 14 吸入室 15 背圧流体入口 18 短径円弧面 21 フロントサイドブロック 22 リアサイドブロック 30 摺接面

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前後をサイドブロックで塞がれてシリン
    ダブロック内に形成されたシリンダ室と、このシリンダ
    室内にあって、上記サイドブロックに両側面を摺接しな
    がら回動するロータと、このロータにほぼ放射状に刻設
    されたベーン溝と、このベーン溝に摺動自在に出没し
    て、先端が上記シリンダ室の内筒面に摺接するベーン
    と、上記ベーン溝底部に形成され、加圧された流体を導
    入してベーンをシリンダの内筒面に付勢する背圧室と、
    上記ベーンにより上記シリンダ室を分割して形成された
    圧縮室とを有し、上記ロータの回動に伴い圧縮室の容積
    を増減させて、シリンダ室に開口する吸入穴から吸入室
    内の気体を吸入し、圧縮室内で上記気体を圧縮し、シリ
    ンダ室に開口する吐出穴から吐出室へ圧縮した圧縮気体
    を吐出する気体圧縮機において、 サイドブロックのロータとの摺接面に開口して、背圧室
    と吸入室とを連通する吸入室連通孔が設けられ、この吸
    入室連通孔の上記開口する位置が、ロータの回動に伴い
    進行するベーン溝の進行方向前側がシリンダ室の短径円
    弧面を通過した直後の角度位置において、該ベーン溝の
    背圧室と開口が連通開始する位置となっていることを特
    徴とする気体圧縮機。
  2. 【請求項2】 サイドブロックのロータとの摺接面に開
    口して、背圧室と加圧潤滑油路とを連通して背圧室に加
    圧された流体を供給する背圧流体入口が設けられ、この
    背圧流体入口の位置が、ロータの回動に伴い上記背圧室
    が吸入室連通孔の開口から離れて背圧室と吸入室との連
    通が遮断された直後の角度位置において、該背圧室と背
    圧流体入口が連通開始する位置となっていることを特徴
    とする請求項1記載の気体圧縮機。
  3. 【請求項3】 上記摺接面の吸入室連通孔の断面径が
    0.5〜2.5mm、長さが約5mmであることを特徴
    とする請求項1記載の気体圧縮機。
  4. 【請求項4】 前後をサイドブロックで塞がれてシリン
    ダブロック内に形成されたシリンダ室と、このシリンダ
    室内にあって、上記サイドブロックに両側面を摺接しな
    がら回動するロータと、このロータにほぼ放射状に刻設
    されたベーン溝と、このベーン溝に摺動自在に出没し
    て、先端が上記シリンダ室の内筒面に摺接するベーン
    と、上記ベーン溝底部に形成され、加圧された流体を導
    入してベーンをシリンダの内筒面に付勢する背圧室と、
    上記ベーンにより上記シリンダ室を分割して形成された
    圧縮室とを有し、上記ロータの回動に伴い圧縮室の容積
    を増減させて、シリンダ室に開口する吸入穴から吸入室
    内の気体を吸入し、圧縮室内で上記気体を圧縮し、シリ
    ンダ室に開口する吐出穴から吐出室へ圧縮した圧縮気体
    を吐出する気体圧縮機において、 背圧室と吸入室とを連通する吸入室連通孔と、 背圧室と加圧潤滑油路とを連通して背圧室に加圧された
    流体を供給する背圧流体入口とが、 サイドブロックのロータとの摺接面に開口して設けら
    れ、 ロータの回動に伴い進行する背圧室の進行方向後側が、
    上記吸入室連通孔の開口部の輪郭と外接するとき、背圧
    室の進行方向前側が、上記背圧流体入口の輪郭と外接す
    ることを特徴とする気体圧縮機。
JP2000231066A 2000-07-31 2000-07-31 気体圧縮機 Pending JP2002048081A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000231066A JP2002048081A (ja) 2000-07-31 2000-07-31 気体圧縮機

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000231066A JP2002048081A (ja) 2000-07-31 2000-07-31 気体圧縮機

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002048081A true JP2002048081A (ja) 2002-02-15

Family

ID=18723943

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000231066A Pending JP2002048081A (ja) 2000-07-31 2000-07-31 気体圧縮機

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002048081A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104929932A (zh) * 2014-03-19 2015-09-23 卡森尼可关精株式会社 气体压缩机
KR101920648B1 (ko) 2017-07-03 2018-11-21 명화공업주식회사 바이너리 베인 펌프

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104929932A (zh) * 2014-03-19 2015-09-23 卡森尼可关精株式会社 气体压缩机
JP2015178820A (ja) * 2014-03-19 2015-10-08 カルソニックカンセイ株式会社 気体圧縮機
US9765783B2 (en) 2014-03-19 2017-09-19 Calsonic Kansei Corporation Vane-rotary gas compressor
KR101920648B1 (ko) 2017-07-03 2018-11-21 명화공업주식회사 바이너리 베인 펌프

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN100419269C (zh) 一种气体压缩机
US4611977A (en) Vane compressor with vane back pressure adjustment
JP2963888B2 (ja) 吐出チャンバ圧力逃がし溝を有するロータリコンプレッサ
JP3792578B2 (ja) 気体圧縮機
JP2002048080A (ja) 気体圧縮機
KR100951551B1 (ko) 스크롤 압축기
US4810177A (en) Vane compressor with vane back pressure adjustment
JP2002048081A (ja) 気体圧縮機
JP2583944B2 (ja) 圧縮機
JP4095869B2 (ja) 気体圧縮機
JPH01224490A (ja) 気体圧縮機
JP4076764B2 (ja) 気体圧縮機
JP2001059487A (ja) 気体圧縮機
JP2006226116A (ja) 気体圧縮機
JP2004190509A (ja) 気体圧縮機
JPH0128231B2 (ja)
JP4421359B2 (ja) 気体圧縮機
JP4142863B2 (ja) 気体圧縮機
JP2002070774A (ja) 気体圧縮機
JP2829721B2 (ja) 気体圧縮機
JP3692236B2 (ja) 気体圧縮機
JP2000265980A (ja) 気体圧縮機
JP3598210B2 (ja) 可変容量型コンプレッサ
JP2002174190A (ja) 気体圧縮機
JP2000265983A (ja) 気体圧縮機

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20040617

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20070628

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20090610

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20090903

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20091021

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20100310