JP2002047434A - 水性インキ用カーボンブラック顔料とそれを用いた水性インキ - Google Patents

水性インキ用カーボンブラック顔料とそれを用いた水性インキ

Info

Publication number
JP2002047434A
JP2002047434A JP2000235503A JP2000235503A JP2002047434A JP 2002047434 A JP2002047434 A JP 2002047434A JP 2000235503 A JP2000235503 A JP 2000235503A JP 2000235503 A JP2000235503 A JP 2000235503A JP 2002047434 A JP2002047434 A JP 2002047434A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon black
water
carbon
ratio
tint
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2000235503A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4038004B2 (ja
Inventor
Hiroaki Arai
啓哲 新井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokai Carbon Co Ltd
Original Assignee
Tokai Carbon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokai Carbon Co Ltd filed Critical Tokai Carbon Co Ltd
Priority to JP2000235503A priority Critical patent/JP4038004B2/ja
Publication of JP2002047434A publication Critical patent/JP2002047434A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4038004B2 publication Critical patent/JP4038004B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Pigments, Carbon Blacks, Or Wood Stains (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 水分散性能に優れ、水性インキ用として好適
なカーボンブラック顔料および該カーボンブラックを用
いた水性インキを提供する。 【解決手段】 本発明の水性インキ用カーボンブラック
顔料はN2SA 150m2/g以上、DBP 100cm3/100g 以上、Tint
125以上のカーボンブラックを20〜80wt%、N2SA150m2/
g未満、DBP 100cm3/100g 未満、Tint 125以上のカーボ
ンブラックを80〜20wt%、の割合で混合したカーボンブ
ラックであって、酸化処理してX線光電子分光法により
測定した全炭素原子と全酸素原子との原子比(酸素結合
エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)を 0.1
以上、水素含有表面官能基量を3.0μeq/m2 以上に化学
修飾されたことを特徴とする。また水性インキは混合し
たカーボンブラックを水中に分散させ酸化処理して、X
線光電子分光法により測定した全炭素原子と全酸素原子
との原子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネ
ルギーの強度)を 0.1以上、水素含有表面官能基量を3.
0 μeq/m2 以上に化学修飾し、濾別後、アルカリ水溶液
に分散し、次いで分散液中に残存する塩を分離精製した
ものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水中への分散性能
に優れ、水性黒色インキ用として好適な水性インキ用カ
ーボンブラック顔料、および該カーボンブラック顔料を
用いた水性インキに関する。
【0002】
【従来の技術】カーボンブラックは疎水性で水に対する
濡れ性が低いために水中に高濃度で安定に分散させるこ
とが極めて困難である。これはカーボンブラック表面に
存在する水分子との親和性が高い官能基が極めて少ない
ことに起因する。そこで、水分散性を向上させるために
カーボンブラックを酸化改質して表面に親水性の官能基
を形成する方法が古くから知られている。
【0003】例えば、特開昭48−18186号公報に
はカーボンブラックを次亜ハロゲン酸塩の水溶液で酸化
処理し、ついで反応系より酸化カーボンブラックを分離
捕集するにあたり有機溶剤で洗浄することを特徴とする
酸化カーボンブラックの製造方法が、また、特開昭57
−159856号公報にはカーボンブラックを低温酸化
プラズマ処理することを特徴とする水分散性改質カーボ
ンブラックの製造方法が開示されている。
【0004】水分散性に優れたカーボンブラックは水性
顔料インキとして有用されており、筆記具をはじめ、特
に近年ではインキジェットプリンター用の記録液などと
しても注目されている。易水分散性カーボンブラックを
用いた水性インキとして、例えば、特開平8−3498
号公報には水とカーボンブラックとを含有する水性顔料
インキにおいて、該カーボンブラックが1.5mmol/g以
上の表面活性水素含有量を有する水性顔料インキ、及
び、水とカーボンブラックとを含有する水性顔料インキ
の製造方法において、(a) 酸性カーボンブラックを得る
工程と、(b) 前記酸性カーボンブラックを水中で次亜ハ
ロゲン酸塩で更に酸化する工程とを、包含する水性顔料
インキの製造方法が提案されている。また、特開平8−
319444号公報には吸収量100cm3/100g以下のカ
ーボンブラックを水性媒体中に微分散する工程;及び次
亜ハロゲン酸塩を用いて該カーボンブラックを酸化する
工程;を包含する水性顔料インキの製造方法が開示され
ている。
【0005】上記の特開平8−3498号公報及び特開
平8−319444号公報ではカーボンブラックを酸化
して、表面に親水性の官能基である活性水素を多く含有
させることにより水分散性が良好で、長期間の分散安定
性に優れた水性顔料インキを得るものである。しかしな
がら、カーボンブラックが水中に分散して安定な分散状
態を維持するためにはカーボンブラック粒子表面と水分
子との接触界面に存在する親水性の官能基量が大きく機
能し、単にカーボンブラック単位重量当たりに存在する
官能基量を規制するのみでは分散性の良否を的確に判断
することは困難である。
【0006】そこで、本発明者は分散性能の良否を的確
に判断する新たな指標としてカーボンブラック単位表面
積当たりに存在する親水性の水素含有官能基量に着目し
て研究を進め、表面に存在する水素含有官能基のうちカ
ルボキシル基とヒドロキシル基の総和量が、単位表面積
当たり3μeq/m2以上である易水分散性カーボンブラッ
ク、及びその製造方法(特開平11−148027号公報)を開
発し、また、窒素吸着比表面積(N2SA)が80m2/g以上、
DBP吸油量が70ml/100g 以下のカーボンブラックを
酸化処理したカーボンブラックであって、アグリゲート
のストークスモード径Dst(nm)とアグロメレートの平均
粒径Dupa50%(nm)との比Dupa50%/Dstの値が1.5〜
2.0の特性を備える易水分散性カーボンブラック(特
開平11−148026号公報)を開発提案した。
【0007】本発明者は、更に水への分散性能に優れ、
水性インキ用黒色顔料として好適な易水分散性カーボン
ブラックの開発について引き続き研究を行っており、窒
素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g以上、DBP吸油量が
80ml/100g 以下のカーボンブラックであって、(1) カ
ーボンブラックのアグリゲートのストークスモード径D
st(nm)とアグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)との比
Dupa50%/Dstの値が1.1〜1.5、(2) アグロメレ
ートの平均粒径Dupa50%(nm)の値が40〜140(nm)、
(3) アグロメレートの最大粒径Dupa99%(nm)の値が25
0(nm)以下、であり、かつ表面に存在する水素含有官能
基のうちカルボキシル基とヒドロキシル基の総和量が単
位表面積当たり3μeq/m2以上の特性を備える易水分散
性カーボンブラック(特開平11−256066号公報)を提案
した。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、引き続く研
究開発の結果、完成に至ったもので、その目的は、水中
における分散性に優れ、水性インキ用の黒色顔料として
好適であり、例えばインキジェット用インキ顔料として
用いた場合、普通紙、専用紙、OHPシート、アート紙
などに印字する際の紙定着濃度、印字濃度、吐出安定
性、耐光性、保存安定性および分散安定性などに優れた
水性インキ用カーボンブラック顔料とこのカーボンブラ
ック顔料を用いた水性インキを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
の本発明の水性インキ用カーボンブラック顔料は、窒素
吸着比表面積(N2SA)150m2/g以上、DBP吸収量10
0cm3/100g以上、比着色力(Tint)120%以上のカーボ
ンブラックを20〜80wt%、窒素吸着比表面積(N2SA)
150m2/g未満、DBP吸収量100cm3/100g未満、比
着色力(Tint)120%以上のカーボンブラックを80〜
20wt%、の割合で混合したカーボンブラックであっ
て、酸化処理してX線光電子分光法により測定した全炭
素原子と全酸素原子との原子比(酸素結合エネルギーの
強度/炭素結合エネルギーの強度)を0.1以上に、カ
ルボキシル基とヒドロキシル基の和である水素含有表面
官能基量を3.0μeq/m2 以上に、化学修飾されたこと
を構成上の特徴とする。
【0010】更に、本発明の水性インキ用カーボンブラ
ック顔料は、上記の特性を備えたカーボンブラックであ
って、水中に分散した状態におけるカーボンブラックの
アグロメレートの平均粒径Dupa50%が50〜110nm、
アグロメレートの最大粒径Dupa99%が250nm以下の粒
子性状を有していることを特徴とする。
【0011】また、本発明の水性インキは、窒素吸着比
表面積(N2SA)150m2/g以上、DBP吸収量100cm3/
100g以上、比着色力(Tint)120%以上のカーボンブラ
ックを20〜80wt%、窒素吸着比表面積(N2SA)150
m2/g未満、DBP吸収量100cm3/100g未満、比着色力
(Tint)120%以上のカーボンブラックを80〜20wt
%、の割合で混合したカーボンブラックを水中に分散さ
せ酸化処理して、X線光電子分光法により測定した全炭
素原子と全酸素原子との原子比(酸素結合エネルギーの
強度/炭素結合エネルギーの強度)を0.1以上に、カ
ルボキシル基とヒドロキシル基の和である水素含有表面
官能基量を3.0μeq/m2 以上に、化学修飾し、濾別後
アルカリ水溶液に分散し、次いで分散液中に残存する塩
を分離精製したことを構成上の特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】カーボンブラック特性のうち、窒
素吸着比表面積(N2SA)はカーボンブラックを水中に分散
させた場合にカーボンブラック粒子表面と水分子とが接
触する界面の面積に関与する特性であり、この値が大き
い程、接触界面の面積が大きくなるので水分散性能は向
上する。しかしながら、水性インキとした場合には紙定
着濃度が低くなり、印字濃度が薄くなる。一方、窒素吸
着比表面積(N2SA)が小さくなると水分子との接触界面も
小さくなるので水分散性が低下し、水性インキの濾過性
や吐出安定性などが低下する。
【0013】また、DBP吸収量は水中に分散した状態
におけるカーボンブラック粒子の凝集体の大きさに関連
する特性であり、DBP吸収量が大きくなると水分散液
中において凝集体が絡み合う確率が高くなり、カーボン
ブラックが沈降し易くなるので、水性インキとした場合
に沈殿残渣率が増大して、濾過性や吐出安定性が低下す
ることとなる。しかし、DBP吸収量が小さくなると紙
定着濃度が低下するため、印字濃度が低くなる。
【0014】比着色力(Tint)はカーボンブラックの粒子
径(比表面積)、ストラクチャー(DBP吸収量)、更
にアグリゲート径などに関連した特性であり、この値が
小さくなり、120を下回るようになると粒度分布がブ
ロード化するため、水性インキを作製した場合、濾過性
や吐出安定性が低下し、また沈殿残渣率も増大すること
となる。
【0015】このようにカーボンブラックの特性は、水
への分散性能、更に水性インキの紙定着濃度、印字濃
度、濾過性、吐出安定性などに大きく影響するため、本
発明のカーボンブラック顔料は、これらの特性の異なる
カーボンブラックを混合して使用に供される。すなわ
ち、窒素吸着比表面積(N2SA)が150m2/g以上、DBP
吸収量が100cm3/100g以上、比着色力(Tint)が120
%以上のカーボンブラックを20〜80wt%、窒素吸着
比表面積(N2SA)が150m2/g未満、DBP吸収量が10
0cm3/100g未満、比着色力(Tint)が120%以上のカー
ボンブラックを80〜20wt%、の割合で混合したカー
ボンブラックが適用される。
【0016】本発明の水性インキ用カーボンブラック顔
料は、これらの特性範囲のカーボンブラックを所定の重
量比で混合したカーボンブラックを対象として、酸化処
理によりその表面に存在する官能基量として、X線光電
子分光法により測定した全炭素原子と全酸素原子との原
子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギー
の強度)の値が0.1以上に、およびカルボキシル基と
ヒドロキシル基の和である水素含有表面官能基量が3.
0μeq/m2 以上に化学修飾された点に特徴がある。
【0017】XPSやESCAなどのX線光電子分光法
により測定される全炭素原子と全酸素原子との原子比
(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強
度)が0.1未満であると、水などの極性溶媒に対する
自己分散性が低下し、水性インキとした場合に保存安定
性が悪化することとなる。なお、この結合エネルギーの
強度比の調整は、酸化処理によりカーボンブラック粒子
表面を化学的に酸化させて、化学修飾することにより親
水性官能基を形成することにより行われる。
【0018】そして、親水性の官能基としてカルボキシ
ル基とヒドロキシル基の和である水素含有表面官能基量
が3.0μeq/m2 以上に化学修飾されたものであること
が必要となる。カーボンブラックの水中への分散性能は
カーボンブラックと水分子との接触界面に存在する親水
性の官能基量が大きな役割を果たすので、化学修飾され
て形成した親水性官能基量として、活性水素を含むカル
ボキシル基およびヒドロキシル基を対象として、その和
である水素含有表面官能基量を3.0μeq/m2以上に設
定する。この値が3.0μeq/m2 を下回ると親水性の官
能基量が少ないために、優れた分散性能を付与すること
ができない。なお、カルボキシル基量およびヒドロキシ
ル基量は、本発明者が先に提案した特開平11-148027 号
公報に記載した方法により測定された値が用いられる。
【0019】酸化処理は、例えば亜塩素酸塩、塩素酸
塩、過硫酸塩、過硼酸塩、過炭酸塩などのアルカリ金属
塩やアンモニウム塩などの酸化剤水溶液中にカーボンブ
ラックを添加して酸化することにより行われ、酸化剤水
溶液の濃度、カーボンブラックの添加量、反応温度、反
応時間などを適宜に制御して、全炭素原子と全酸素原子
との原子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネ
ルギーの強度)が0.1以上に、またカルボキシル基と
ヒドロキシル基の和である水素含有表面官能基量が3.
0μeq/m2 以上となるように処理される。
【0020】更に、本発明の水性インキ用カーボンブラ
ック顔料は、上記の特性に加えて、水中に分散させた状
態におけるアグロメレートの平均粒径Dupa50%の値が5
0〜110nm、アグロメレートの最大粒径Dupa99%の値
が250nm以下の粒子性状を有することを特徴としてい
る。
【0021】水中におけるカーボンブラック粒子の凝集
形態の大きさを示すアグロメレートの平均粒径Dupa50%
の値が50nm未満であると、水性インキとした場合に紙
繊維の隙間をカーボンブラックが通過する頻度が増大し
て紙定着濃度が低下し、印字濃度(黒色度)が低下す
る。一方、アグロメレートの平均粒径Dupa50%の値が1
10nmを越えると黒色度は向上するが、水性インキ中の
カーボンブラック顔料の分散安定性が低下して、濾過性
が悪化し、沈降性が増大することになる。また、アグロ
メレートの最大粒径Dupa99%の値が250nmを越える
と、水性インキ中において大きな凝集体のカーボンブラ
ック顔料が存在することになり沈降性、吐出安定性およ
び濾過性の低下が著しくなるためである。
【0022】なお、アグロメレートの平均粒径Dupa50%
および最大粒径Dupa99%は、下記の方法によって測定さ
れる。カーボンブラックを水に分散して0.1〜0.5
kg/m3 の分散液を調製し、ヘテロダインレーザドップラ
ー方式粒度分布測定装置(マイクロトラック社製、UPA
mode1 9340)を用いて分散液にレーザー光を照射して、
散乱光の周波数変調の度合いから分散液中のアグロメレ
ートの粒径を測定する。分散液中のカーボンブラックは
ブラウン運動しており、ドップラー効果によって分散し
ているカーボンブラック凝集体の大きさにより散乱光の
周波数が変調する。したがって、凝集体の大きさによる
ブラウン運動の激しさが異なることから、水中に分散し
ている状態における凝集体の大きさ、すなわちアグロメ
レートの粒径を測定することができる。このようにして
測定したアグロメレート粒径からその累積度数分布曲線
を作成し、50%累積度数の値をアグロメレートの平均
粒径Dupa50%(nm)、99%累積度数の値をアグロメレー
トの最大粒径Dupa99%(nm)とする。
【0023】本発明の水性インキは、これらの特性を備
えた本発明の水性インキ用カーボンブラック顔料を水中
に所定の濃度に分散させたものである。すなわち、上記
の窒素吸着比表面積(N2SA)、DBP吸収量、および比着
色力(Tint)を備えたカーボンブラックを所定の重量比で
混合し、混合カーボンブラックを亜塩素酸塩、塩素酸
塩、過硫酸塩、過硼酸塩、過炭酸塩などのアルカリ金属
塩やアンモニウム塩などの酸化剤水溶液中に添加し、攪
拌しながら酸化剤水溶液の濃度、カーボンブラックの添
加量、反応温度、反応時間などを適宜に制御して酸化処
理することにより全炭素原子と全酸素原子との原子比
(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強
度)が0.1以上に、またカルボキシル基とヒドロキシ
ル基の和である水素含有表面官能基量が3.0μeq/m2
以上となるように化学修飾する。
【0024】酸化処理したのち、速やかに濾別してカー
ボンブラックを分離し、次いで分離したカーボンブラッ
クを水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニアな
どのアルカリ水溶液に分散させ、pHを調節して安定分
散させる。すなわち、酸化処理によりカーボンブラック
粒子表面が化学修飾され、カーボンブラック粒子表面に
形成された親水性官能基の末端水素の全てあるいはその
一部をアルカリ金属、アミノ基などに置換することによ
り、水分散性の向上が図られる。次いで、酸化反応によ
り生成した残塩を分離除去して精製することにより本発
明の水性インキが得られる。
【0025】残塩の除去は、水分散液のpHを6〜11
に調節し、電気透析あるいは分離膜(逆浸透膜、限外濾
過膜、ルーズ R.Oなど)により残塩を分離精製する。こ
の場合、カーボンブラック分散液中の残塩濃度は、例え
ばカーボンブラック含有濃度を20wt%として導電度が
5mS/cm 未満となるように分離精製することが好まし
い。なお、水性インキの分散安定性を維持するためには
カーボンブラック顔料の分散濃度を60wt%以下に調整
することが望ましい。
【0026】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して具
体的に説明する。
【0027】カーボンブラック試料;特性の異なるカー
ボンブラックとして、表1に示した4種類のカーボンブ
ラックA、B、C、Dを用いた。
【表1】
【0028】実施例1 表1のカーボンブラックA、Bを用いて、両者を異なる
割合で混合してカーボンブラック試料を調製した。この
カーボンブラック試料100g を濃度0.75mol/dm3
の過硫酸ナトリウム水溶液3000cm3 に添加し、反応
温度60℃、反応時間10時間、攪拌速度5 s-1の条件
で酸化処理した。次いで、濾別した酸化カーボンブラッ
クを純水中に分散させて、水酸化ナトリウム水溶液で中
和し、限外濾過膜(旭化成、AHP-1010、分画分子量 500
00)により精製処理して残存する塩を分離して、カーボ
ンブラック水分散液を作製した。なお、精製後の分散液
の導電度は0.6mS/cm (カーボンブラック含有濃度22
wt%)であった。
【0029】実施例2 表1のカーボンブラックC、Dを用いて、両者を異なる
割合で混合してカーボンブラック試料を調製し、このカ
ーボンブラック試料を用いた他は、全て実施例1と同一
の方法によりカーボンブラック水分散液を作製した。
【0030】比較例1〜4 表1に示したカーボンブラックA、B、C、Dをカーボ
ンブラック試料として単独で用いた他は、全て実施例1
と同一の方法によりカーボンブラック水分散液を作製し
た。
【0031】比較例5 表1のカーボンブラックA、Bを用いて、両者を異なる
割合で混合してカーボンブラック試料を調製し、このカ
ーボンブラック試料を用いた他は、全て実施例1と同一
の方法によりカーボンブラック水分散液を作製した。
【0032】比較例6 表1のカーボンブラックC、Dを用いて、両者を異なる
割合で混合してカーボンブラック試料を調製し、このカ
ーボンブラック試料を用いた他は、全て実施例1と同一
の方法によりカーボンブラック水分散液を作製した。
【0033】これらのカーボンブラック水分散液を濃縮
して、カーボンブラック含有濃度を20wt%に調整し
た。このようにして作製した水性インキについて、下記
の方法により分散性能及びインキ性能などを評価した。
得られた結果を、表2〜表5に示した。
【0034】保存安定性;サンプルを密閉容器に詰
め、70℃の保温器中にて1週間から4週間の粘度変化
を測定した。なお粘度は回転振動式粘度計〔山一電機
(株)製、VM-100A-L 〕により測定した。
【0035】粒子径測定;サンプル及び保存安定性の
試験を行ったサンプルの粒子径をヘテロダインレーザド
ップラー方式粒度分布測定装置〔マイクロトラック社
製、UPA model 9340〕を用いて測定した。この測定装置
は、懸濁液中においてブラウン運動している粒子にレ−
ザ光を当てると、ドップラー効果により散乱光の周波数
が変調する。その周波数の変調度合いからブラウン運動
の激しさ、すなわち粒子径を測定するものである。
【0036】印字濃度;水性インキのカーボンブラッ
ク含有濃度を4wt%に希釈し、コピー紙としてXEROX 40
24紙を使用し、これに#6バーコータにより印字して、マ
クベス濃度計〔コルモーゲン社製 RD-927 〕を用いて光
学濃度を測定した。
【0037】濾過性;水性インキ200g を90φの
NO.2濾紙および膜孔径3μm 、0.8μm 、0.65
μm 、0.45μm のフィルターを用いて2.66 KPa
の減圧下で濾過試験を行い、濾過通過重量(g) を測定し
た。
【0038】沈殿残渣率;水性インキを20000G
の重力加速度で30分間遠心分離処理を行った後の沈殿
残渣量(M1)と、遠心分離処理前のカーボンブラックの重
量(M0)との重量比(M1/M0) を沈殿残渣率とした。この値
が低いほど分散安定性は良好である。
【0039】
【表2】
【0040】
【表3】
【0041】
【表4】
【0042】
【表5】
【0043】表1〜表5の結果から、窒素吸着比表面積
(N2SA)150m2/g以上、DBP吸収量100cm3/100g以
上、比着色力(Tint)120%以上のカーボンブラックを
20〜80wt%、窒素吸着比表面積(N2SA)150m2/g未
満、DBP吸収量100cm3/100g未満、比着色力(Tint)
120%以上のカーボンブラックを80〜20wt%、の
割合で混合したカーボンブラックを用い、酸化処理して
全炭素原子と全酸素原子との原子比を0.1以上に化学
修飾したカーボンブラック顔料を水中に分散させて作製
した実施例1(Run No.1 〜5)および実施例2(Run No.6
〜10) の水性インキは初期粘度が低いのでインキ化設計
が容易であり、またオリフィスからの吐出安定性の簡易
指標である濾過性も良好で、更に印字濃度(OD値)も
1.30以上あって充分な黒色度を示すことが認められ
る。
【0044】これに対して、単一のカーボンブラック試
料を用いて作製した比較例1〜4(Run No.11〜14) の水
性インキは、比較例1、3は初期粘度が高く、濾過性も
膜径0.65μm のフィルターを全量通過することがで
きず、吐出安定性が不良であり、また比較例2、4は初
期粘度、濾過性、沈殿残渣率などは良好であるが、黒色
度(OD値)が極めて低い。そして、2種類のカーボン
ブラックの配合割合が本発明の範囲外である比較例5(R
un No.15〜16) および比較例6(Run No.17〜18) の水性
インキでは、配合比の高いカーボンブラック特性の影響
を大きく受けるため、初期粘度、濾過性、沈殿残渣率な
どが良好であれば黒色度が低下し、逆に黒色度が高い場
合には初期粘度、濾過性、沈殿残渣率などが不良となる
ことが認められる。
【0045】
【発明の効果】以上のとおり、本発明の水性インキ用カ
ーボンブラック顔料によれば、インキ特性として相反す
る紙定着濃度と濾過性および沈殿残渣率などの関係を両
立することができ、また初期粘度も低位にあり、更に長
期に亘って安定した水分散性能を示すカーボンブラック
顔料が提供される。したがって、この水性インキ用カー
ボンブラック顔料を用いて作製した水性インキは紙定着
濃度、黒色度などが高位にあるとともに優れた吐出安定
性、耐光性、保存安定性などを備え、例えばインキジェ
ット用インキなどとして極めて有用である。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒素吸着比表面積(N2SA)150m2/g以
    上、DBP吸収量100cm3/100g以上、比着色力(Tint)
    120%以上のカーボンブラックを20〜80wt%、窒
    素吸着比表面積(N2SA)150m2/g未満、DBP吸収量1
    00cm3/100g未満、比着色力(Tint)120%以上のカー
    ボンブラックを80〜20wt%、の割合で混合したカー
    ボンブラックであって、酸化処理してX線光電子分光法
    により測定した全炭素原子と全酸素原子との原子比(酸
    素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)
    を0.1以上に、カルボキシル基とヒドロキシル基の和
    である水素含有表面官能基量を3.0μeq/m2 以上に、
    化学修飾されたことを特徴とする水性インキ用カーボン
    ブラック顔料。
  2. 【請求項2】 水中に分散した状態におけるカーボンブ
    ラックのアグロメレートの平均粒径Dupa50%が50〜1
    10nm、アグロメレートの最大粒径Dupa99%が250nm
    以下の粒子性状を有する、請求項1記載の水性インキ用
    カーボンブラック顔料。
  3. 【請求項3】 窒素吸着比表面積(N2SA)150m2/g以
    上、DBP吸収量100cm3/100g以上、比着色力(Tint)
    120%以上のカーボンブラックを20〜80wt%、窒
    素吸着比表面積(N2SA)150m2/g未満、DBP吸収量1
    00cm3/100g未満、比着色力(Tint)120%以上のカー
    ボンブラックを80〜20wt%、の割合で混合したカー
    ボンブラックを水中に分散させ酸化処理して、X線光電
    子分光法により測定した全炭素原子と全酸素原子との原
    子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギー
    の強度)を0.1以上に、カルボキシル基とヒドロキシ
    ル基の和である水素含有表面官能基量を3.0μeq/m2
    以上に、化学修飾し、濾別後、アルカリ水溶液に分散
    し、次いで分散液中に残存する塩を分離精製したことを
    特徴とする水性インキ。
JP2000235503A 2000-08-03 2000-08-03 水性インキ用カーボンブラック顔料とそれを用いた水性インキ Expired - Lifetime JP4038004B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000235503A JP4038004B2 (ja) 2000-08-03 2000-08-03 水性インキ用カーボンブラック顔料とそれを用いた水性インキ

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000235503A JP4038004B2 (ja) 2000-08-03 2000-08-03 水性インキ用カーボンブラック顔料とそれを用いた水性インキ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2002047434A true JP2002047434A (ja) 2002-02-12
JP4038004B2 JP4038004B2 (ja) 2008-01-23

Family

ID=18727699

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000235503A Expired - Lifetime JP4038004B2 (ja) 2000-08-03 2000-08-03 水性インキ用カーボンブラック顔料とそれを用いた水性インキ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4038004B2 (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007043596A1 (ja) * 2005-10-11 2007-04-19 Tokai Carbon Co., Ltd. カーボンブラック水性顔料とその水性分散体の製造方法
JP2008545823A (ja) * 2005-05-16 2008-12-18 キャボット コーポレイション カーボンブラックの混合物およびこれを含む製品
CN115463226A (zh) * 2021-06-10 2022-12-13 北京微著新材科技有限公司 一种竹炭纳米混悬液及其制备方法

Cited By (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008545823A (ja) * 2005-05-16 2008-12-18 キャボット コーポレイション カーボンブラックの混合物およびこれを含む製品
US8258207B2 (en) 2005-05-16 2012-09-04 Cabot Corporation Blends of carbon blacks and products containing the same
KR101274906B1 (ko) 2005-05-16 2013-06-13 캐보트 코포레이션 카본블랙의 블렌드 및 이것을 함유하는 제품
JP2013177609A (ja) * 2005-05-16 2013-09-09 Cabot Corp カーボンブラックの混合物およびこれを含む製品
WO2007043596A1 (ja) * 2005-10-11 2007-04-19 Tokai Carbon Co., Ltd. カーボンブラック水性顔料とその水性分散体の製造方法
JP2007106796A (ja) * 2005-10-11 2007-04-26 Tokai Carbon Co Ltd カーボンブラック水性顔料とその水性分散体の製造方法
EP1935947A1 (en) * 2005-10-11 2008-06-25 Tokai Carbon Company, Ltd. Water-dispersible carbon black pigment and process for producing aqueous dispersion thereof
EP1935947A4 (en) * 2005-10-11 2011-05-25 Tokai Carbon Kk WATER DISPERSIBLE RUSSIUM SPIGMENT AND METHOD FOR PRODUCING AN AQUEOUS DISPERSION THEREOF
KR101226413B1 (ko) 2005-10-11 2013-01-24 도카이 카본 가부시키가이샤 카본블랙 수성 안료와 그 수성 분산체의 제조 방법
TWI410464B (zh) * 2005-10-11 2013-10-01 Tokai Carbon Kk Carbon black waterborne pigment and its aqueous dispersion manufacturing method
CN115463226A (zh) * 2021-06-10 2022-12-13 北京微著新材科技有限公司 一种竹炭纳米混悬液及其制备方法
CN115463226B (zh) * 2021-06-10 2024-05-14 北京微著新材科技有限公司 一种竹炭纳米混悬液及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP4038004B2 (ja) 2008-01-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH10237349A (ja) 酸化処理カーボンブラック、その製造方法及びこれを含有する水性分散液並びに水性インキ
JP3749406B2 (ja) 水性インキ用カーボンブラック顔料
JP4771247B2 (ja) 水性インキ用カーボンブラック顔料とそれを用いた水性インキ
JP3691947B2 (ja) 易水分散性カーボンブラック及びその製造方法
JP3933303B2 (ja) カーボンブラック及びその製造方法並びにカーボンブラック水性分散液及びこれを用いた水性インキ
JP4208221B2 (ja) 水性インキ用カーボンブラックとそれを用いた水性顔料インキ
JP4038004B2 (ja) 水性インキ用カーボンブラック顔料とそれを用いた水性インキ
JP2003096333A (ja) カーボンブラック顔料とそれを用いた水性インキ
JP3905681B2 (ja) 水性インキ用カーボンブラック顔料
JP3862255B2 (ja) 酸化処理カーボンブラックの水性分散体
JP3521669B2 (ja) 酸化処理カーボンブラック並びにカーボンブラック分散液及びその製造方法
JP4099263B2 (ja) 易水分散性カーボンブラックの製造方法
JP2003183539A (ja) 酸化処理カーボンブラック、製造方法及びその水性分散体
JP2000017187A (ja) カーボンブラック水性分散液及びこれを用いた水性インキ
JP2000017189A (ja) カーボンブラック水性分散液及びこれを用いた水性インキ
JP2003183541A (ja) 酸化処理カーボンブラックの水性分散液
JP2004107513A (ja) 酸化処理カーボンブラック、製造方法及びその水分散体
JP2001081386A (ja) 水性黒色インキ
JP3749390B2 (ja) 水性顔料インキ
JP2000017191A (ja) カーボンブラック水性分散液及びこれを用いた水性インキ
JP2001164172A (ja) カーボンブラック顔料の水分散体
JP3665459B2 (ja) 易水分散性カーボンブラック
JP5126757B2 (ja) 水性インキ
JPH11256066A (ja) 易水分散性カーボンブラック及びその製造方法
JP2001164147A (ja) 水性インキ用カーボンブラック顔料

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050225

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20071022

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20071030

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20071102

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 4038004

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101109

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101109

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111109

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121109

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131109

Year of fee payment: 6

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term