JP3665459B2 - 易水分散性カーボンブラック - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水中への分散性が優れたカーボンブラックに関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンブラックは疎水性で水に対する濡れ性が低いために水中に高濃度で安定に分散させることが極めて困難である。これはカーボンブラック表面に存在する水分子との親和性が高い官能基、例えばカルボキシル基やヒドロキシル基などの親水性の官能基が極めて少ないことに起因する。したがって、黒色顔料としてカーボンブラックを水中に分散させた水性顔料インキなどに使用する場合にはカーボンブラックの水分散性を改善する必要がある。
【0003】
水性顔料インキは筆記具をはじめ、特に近年ではインクジェットプリンター用の記録液などとして注目されており、例えば特開平3−97770号公報には、水性媒体、ポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテル及び一次粒子径が20〜40nm、DBP吸油量が40〜120ml/100g 、pHが7.0以上であるカーボンブラックを含有することを特徴とするインキジェット用記録液が提案されている。これは、分散剤としてポリオキシエチレンスチリルフェニルエーテルを用いることにより記録液の保存安定性の向上を図るもので、対象となるカーボンブラックには市販品が用いられ、カーボンブラックの変性については何ら意図されていない。
【0004】
また、カーボンブラックを酸化処理して表面に親水性の官能基を形成することによりカーボンブラックの水中への分散性を改良することは古くから知られている。例えば特開昭48−18186号公報にはカーボンブラックを次亜ハロゲン酸塩の水溶液で酸化処理し、ついで反応系より酸化カーボンブラックを分離捕集するにあたり有機溶剤で洗浄することを特徴とする酸化カーボンブラックの製造方法が、また、特開昭57−159856号公報にはカーボンブラックを低温酸化プラズマ処理することを特徴とする水分散性改質カーボンブラックの製造方法などが知られている。
【0005】
更に、特開平8−3498号公報には水とカーボンブラックとを含有する水性顔料インキにおいて、該カーボンブラックが1.5mmol/g以上の表面活性水素含有量を有する水性顔料インキ、及び、水とカーボンブラックとを含有する水性顔料インキの製造方法において、(a) 酸性カーボンブラックを得る工程と、(b) 前記酸性カーボンブラックを水中で次亜ハロゲン酸塩で更に酸化する工程とを、包含する水性顔料インキの製造方法が提案されている。更に、特開平8−319444号公報には吸油量100ml/100g 以下のカーボンブラックを水性媒体中に微分散する工程;及び次亜ハロゲン酸塩を用いて該カーボンブラックを酸化する工程;を包含する水性顔料インキの製造方法が開示されている。
【0006】
上記の特開平8−3498号公報及び特開平8−319444号公報ではカーボンブラックを酸化して、表面に親水性の官能基である活性水素を多く含有させることにより、水分散性が良好で、長期間の分散安定性に優れた水性顔料インキを得るものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カーボンブラック表面に親水性の官能基を形成するのみでは水中へのカーボンブラックの分散性を高め、また長期に亘る分散安定性あるいはカーボンブラック分散体粒子径の均一化を維持させるためには限界がある。そこで、本発明者らは水中におけるカーボンブラックの分散状態について詳細に研究を進めた結果、カーボンブラックの水中への易分散性及び分散安定性などの分散性能はカーボンブラック粒子の凝集形態と密接な関係があることを見出した。
【0008】
すなわち、カーボンブラックの凝集形態は、数個から数十個のカーボンブラックの基本微粒子が不規則で複雑な鎖状に融着結合した凝集体(アグリゲート)を形成し、更に、これらのアグリゲートが相互に絡み合ったり、付着して凝集した集合体(アグロメレート)から構成されている。したがって、カーボンブラックの分散性能を向上させるためには、分散過程で生じる凝集形態の変化による水中におけるアグリゲート及びアグロメレートの割合、すなわちアグロメレートの割合を小さくすることが有効である。
【0009】
本発明は上記の知見に基づいて完成したものであり、その目的の一つは水中へ容易にミクロ分散することができ、かつ長期間に亘って分散状態を安定に保持し得る、分散性能に優れた易水分散性カーボンブラックを提供することである。更に、他の目的はこのカーボンブラックを水中に高濃度でミクロ分散させて、例えばインキジェットプリンターなどに用いられる記録液として吐出安定性に優れ、紙定着濃度、印字品位、耐光性、保存安定性などの良好な水性顔料インキを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明による易水分散性カーボンブラックは、窒素吸着比表面積(N2SA)が80m2/g以上、DBP吸油量が70ml/100g 以下のカーボンブラックを酸化処理したカーボンブラックであって、アグリゲートのストークスモード径Dst(nm)とアグロメレートの平均粒径DUPA (nm)との比DUPA /Dstの値が1.5〜2.0の特性を備えることを構成上の特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明において、カーボンブラックの特性として窒素吸着比表面積(N2SA)が80m2/g以上、DBP吸油量が70ml/100g 以下に限定するのは、優れた分散性能を付与するための前提要件となるものである。すなわち、カーボンブラックを水中に分散する場合、その比表面積が小さいと水分子との接触界面も小さくなるので分散性が低下し、また、DBP吸油量が大きい、すなわちストラクチャー水準が高いと水中に分散した状態におけるカーボンブラックの凝集単位が大きくなり、長期に亘る分散時において沈降し易くなる。したがって、カーボンブラックがより小さい凝集単位で水中に分散していることが必要であり、分散凝集単位が大きいと、水に分散させた場合には濾過性が低下し、例えば水性顔料インキとした場合に吐出安定性を高位に維持することができなくなる。すなわち、この前提特性を外れる窒素吸着比表面積(N2SA)が80m2/gを下回り、DBP吸油量が70ml/100g を越える場合にはカーボンブラックが水中にミクロ分散し難くなるためである。なお、窒素吸着比表面積(N2SA)およびDBP吸油量は下記の方法により測定した値である。
窒素吸着比表面積(N2SA);ASTM D3037-88 Method B
DBP吸油量 ;JIS K6221-82 A法
【0012】
本発明の易水分散性カーボンブラックは、上記の特性を有するカーボンブラックを対象としてアグリゲートのストークスモード径Dst(nm)とアグロメレートの平均粒径DUPA (nm)との比DUPA /Dstの値が1.5〜2.0の選択的特性を有するカーボンブラックを用いることにより、酸化処理により水素含有表面官能基量が付与されて水中において易分散を示すものである。
【0013】
カーボンブラックを水中に分散させる場合、水中への易分散性及び分散安定性などの分散性能を高めるためには、カーボンブラック粒子がより微細な凝集形態で水中に分散していることが必要である。カーボンブラックの凝集形態は、数個〜数十個のカーボンブラックの基本微粒子が融着結合して、最小凝集単位であるアグリゲートを形成し、これらのアグリゲートが相互に絡み合ったり、付着して集合したアグロメレートから構成されている。したがって、カーボンブラックの最小凝集単位であるアグリゲートの状態で水中に分散し、アグリゲートが集合したアグロメレートが存在しない分散状態が理想的である。
【0014】
本発明は、カーボンブラックのアグリゲートのストークスモード径Dst(nm)とアグロメレートの平均粒径DUPA (nm)との比DUPA /Dstの値を1.5〜2.0に設定するものである。このDUPA /Dstの値は水中に分散しているカーボンブラックの凝集形態を示す指標となるものであり、DUPA /Dstの値が大きい程分散しているカーボンブラックの凝集形態はアグロメレートの比率が高く、この値が小さい程アグロメレートの比率が低く、アグリゲートの割合が多くなる。そして、DUPA /Dstの値が1に近いほどアグリゲートの状態でミクロ分散している度合いが大きく、アグロメレートが全て解きほぐされた理想的な分散状態下では、DUPA はDstに一致してDUPA /Dst=1となる。本発明は、このDUPA /Dstの値を好適範囲に設定することにより分散性能の向上を図るもので、より好ましくは1.5〜1.8の範囲に設定する。
【0015】
上記の特性Dst及びDUPA は、下記の測定方法によって得られた値が用いられる。
(1)アグリゲートのストークスモード径Dst(nm):
JIS K6221(1982) 5「乾燥試料の作り方」に基づいて乾燥したカーボンブラック試料を少量の界面活性剤を含む20容量%エタノール水溶液と混合してカーボンブラック濃度100mg/lの分散液を作成し、これを超音波で十分に分散させて試料とする。ディスク・セントリフュージ装置(英国Joyes Lobel 社製)を6000rpm の回転数に設定し、スピン液(2重量%グリセリン水溶液、25℃)を15ml加えた後、1mlのバッファー液(20容量%エタノール水溶液、25℃)を注入する。次いで、温度25℃のカーボンブラック分散液0.5mlを注射器で加えた後、遠心沈降を開始し、同時に記録計を作動させて図1に示す分布曲線(横軸:カーボンブラック分散液を注射器で加えてからの経過時間、縦軸:カーボンブラックの遠心沈降に伴い変化した特定点での吸光度)を作成する。この分布曲線より各時間Tを読み取り、次式(数1)に代入して各時間に対応するストークス相当径を算出する。
【0016】
【数1】
Figure 0003665459
【0017】
数1において、ηはスピン液の粘度(0.935 cp)、Nはディスク回転スピード(6000 rpm)、r1 はカーボンブラック分散液注入点の半径(4.56 cm) 、r2 は吸光度測定点までの半径(4.82 cm) 、ρCBはカーボンブラックの密度(g/cm3) 、ρ1 はスピン液の密度(1.00178 g/cm3) である。
【0018】
このようにして得られたストークス相当径と吸光度の分布曲線(図2)における最大頻度のストークス相当径を、アグリゲートのストークスモード径Dst(nm)とする。
【0019】
(2)アグロメレートの平均粒径DUPA (nm):
カーボンブラックを水に分散して0.1〜0.5g/l の分散液を調製し、ヘテロダインレーザドップラー方式粒度分布測定装置(マイクロトラック社製、UPA mode19340)を用いて分散液にレーザー光を照射して、散乱光の周波数変調の度合いから分散液中のカーボンブラックの平均粒径DUPA (nm)を測定する。分散液中のカーボンブラックはブラウン運動しており、ドップラー効果によって分散しているカーボンブラック凝集体の大きさにより散乱光の周波数が変調する。したがって、凝集体の大きさによるブラウン運動の激しさが異なることから、水中に分散している状態における凝集体の大きさ、すなわちアグロメレートの平均粒径DUPA (nm)を測定することができる。なお、測定の原理は特開平3−170844号公報に詳細に述べられている。
【0020】
本発明において、上記した特性を有するカーボンブラックを酸化処理することにより易水分散性のカーボンブラックとなる。酸化処理方法は特に制限されるものではないが湿式酸化が好ましい。酸化剤には例えば酸素、オゾン、ハロゲン酸、亜ハロゲン酸、次亜ハロゲン酸、次ハロゲン酸などのハロゲン酸やハロゲン酸系の塩類やペルオキソ-2- 硫酸塩などの過硫酸塩などの酸素原子を含む塩類が用いられるが、湿式酸化処理によりカーボンブラック表面に形成したカルボキシル基やヒドロキシル基を塩に変性すると、水との親水性がより改善されて分散性が向上するので、望ましくは酸化剤として次亜ハロゲン酸塩、亜ハロゲン酸塩や過硫酸塩が使用される。塩としては、アンモニウム塩やナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属塩が好ましい。
【0021】
また、カーボンブラックに予め酸素酸化処理またはオゾン酸化処理を施してから湿式酸化処理を行うと、湿式酸化を促進し親水性の官能基の付加が促進されるのでより好ましく、酸化処理したのち中和してカーボンブラックを濾別し、分離したカーボンブラックは付着している酸化剤を除去するために、電気透析、限外濾過などの手段により塩類を除去して濃縮する方法や水洗洗浄したのち乾燥する方法などにより本発明の易水分散性カーボンブラックが得られる。
【0022】
酸化処理されたカーボンブラックには表面にカルボキシル基やヒドロキシル基の親水性の水素含有表面官能基が形成され、水分子との親和性が向上する。本発明においては、水素含有表面官能基量はカーボンブラック表面に3μeq/m2以上に形成することが望ましい。これらの官能基量が3μeq/m2未満であると形成された親水性のカルボキシル基やヒドロキシル基量が少ないので水中への分散性が低下する。カーボンブラックが水中に分散する過程においては、カーボンブラックと水分子との接触界面に存在する親水性の官能基量が重要な機能を果たし、カーボンブラック単位重量当たりの官能基量では分散性の良否を的確に評価することはできない。そこで、カーボンブラック単位表面積当たりに存在する水素含有表面官能基量を指標とするものである。
【0023】
なお、これらの水素含有表面官能基量は下記の方法により測定した値が用いられる。
▲1▼カルボキシル基量:
O.976N炭酸水素ナトリウム50ml中にカーボンブラック2〜5g を添加して6時間振盪した後、カーボンブラックを反応液から濾別し、濾液に0.05N塩酸水溶液を加えたのち、pHが7.0になるまで0.05N水酸化ナトリウム水溶液にて中和滴定試験を行ってカルボキシル基を測定する。この測定値をカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA ;m2/g)で除した値を、カーボンブラックの単位表面積当たりに形成されたカルボキシル基量(μeq/m2)とする。
【0024】
▲2▼ヒドロキシル基量:
2、2′-Diphenyl-1-picrylhydrazyl(DPPH)を四塩化炭素中に溶解して濃度5×10-4mol/l の溶液を作成し、該溶液にカーボンブラックを0.1〜0.6g 添加し、60℃の恒温槽中で6時間撹拌する。その後、反応液からカーボンブラックを濾別し、濾液を紫外線吸光光度計によりヒドロキシル基を測定する。このようにして測定した値をカーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA ;m2/g)で除した値を、カーボンブラックの単位表面積当たりに形成されたヒドロキシル基量(μeq/m2)とする。
【0025】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。
【0026】
実施例1〜4、比較例1〜4
窒素吸着比表面積(N2SA)及びDBP吸油量が異なるカーボンブラック試料を用いて、各カーボンブラック試料150g をオゾン処理容器に入れ、常温でオゾンを18g/hrの流量で流通させて1時間処理した。このオゾン処理した各カーボンブラックを有効塩素濃度6%の次亜塩素酸ナトリウムまたは1.5Nペルオキソ2硫酸アンモニウム水溶液3000ml中に混合し、撹拌しながら反応温度及び反応時間を変えて酸化処理した。次いで、次亜塩素酸ナトリウムにて酸化したものは希塩酸で、またペルオキソ2硫酸アンモニウムで酸化したものは苛性ソーダ水溶液で中和したのち電気透析にて残塩を除去し、カーボンブラック分散濃度が20重量%となるように水分を蒸発させて易水分散性カーボンブラックを得た。
【0027】
得られた易水分散性カーボンブラックについて、アグリゲートのストークスモード径Dst(nm)及びアグロメレートの平均粒径DUPA (nm)を測定して、その比DUPA /Dstを算出した。また、カルボキシル基及びヒドロキシル基を測定し、カルボキシル基量とヒドロキシル基量との和を水素含有表面官能基量とした。なおアグリゲートのストークスモード径Dstの測定では、乾燥した試料を測定液に分散させて測定した。このようにして得られた結果を表1に示した。
【0028】
【表1】
Figure 0003665459
【0029】
次に、これらの酸化したカーボンブラックの水への分散性能を評価するためにカーボンブラック分散濃度が20重量%に調整した分散体について下記の方法で試験を行って、各カーボンブラックの分散性能を評価した。その結果を表2に示した。
【0030】
(a)粘度の測定;
▲1▼サンプルを密閉容器に入れ、70℃の温度に保持して一週間経過後の粘度を測定して、加温時の粘度安定性を比較した。なお、粘度は回転振動式粘度計〔山一電機(株)製、VM-100A-L 〕により測定した。
▲2▼−20℃で24時間冷凍したのち常温で解凍して粘度を測定するサイクルを繰り返して行い、粘度変化から冷凍解凍時の安定性を比較した。なお、粘度は回転振動式粘度計〔山一電機(株)製、VM-100A-L 〕により測定した。
【0031】
(b)アグロメレートの平均粒径DUPA の測定;
70℃の温度に保持して一週間経過後の分散水中のアグロメレートの平均粒径DUPA (nm)を測定して、その変化を比較した。
【0032】
(c)濾過性;
分散水を90φの濾紙(NO.2)、及び膜孔 3μm 、0.8 μm 、0.45μm のフィルターを用いて20Torrの減圧下で濾過試験を行い、濾紙通過量を比較した。
【0033】
(d)印字濃度;
分散水をカーボンブラック濃度3重量%に希釈し、XEROX 1321用紙に#3バーコーダにより印字し、マクベス濃度計(コルモーゲン社製 RD-918 )を用いて光学濃度を測定した。
【0034】
【表2】
Figure 0003665459
【0035】
表1及び表2の結果から、窒素吸着比表面積(N2SA)が80m2/g以上、DBP吸油量が70ml/100g 以下のカーボンブラックを酸化処理したカーボンブラックであって、アグリゲートのストークスモード径Dst(nm)とアグロメレートの平均粒径DUPA (nm)との比DUPA /Dstの値を1.5〜2.0とした実施例1〜4のカーボンブラックは、水中への分散性能および濾過性に優れていることが認められる。すなわち、実施例1〜4のカーボンブラックを水中に分散させた分散水は、70℃に加温して一週間経過後の粘度は殆ど変化せず、また冷凍解凍時のサイクルを繰り返しても粘度変化は僅かであり、分散安定性が優れていることが判る。これは水中において、ミクロ分散したアグリゲートやアグロメレートが再集合して、より大きな凝集体の形成が抑制されるためであり、したがって、分散水の濾過性も高い。
【0036】
これに対して、本発明の要件を外れる比較例1〜4のカーボンブラックを水中に分散させた分散水では、70℃に加温及び冷凍解凍を繰り返した場合に、粘度は一定あるいは低下し安定しているが、DUPA /Dstが大きいためカーボンブラック自体のアグリゲートが大きく、またアグロメレートが再凝集しているために濾過性に劣る。
【0037】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、水中に容易に分散することができ、また長期に亘って分散状態を安定に維持できる優れた分散性能を有する易水分散性カーボンブラックが提供される。また、この易水分散性カーボンブラックを水中に分散させた水性顔料は、例えば、インキジェットプリンターなどに用いられる記録液として吐出安定性に優れ、紙定着濃度、印字品位、耐光性、保存安定性などが良好である。したがって、インキジェットプリンター用の記録液をはじめ、各種筆記具など、広い用途分野で用いる水性顔料インキとして極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】Dstの測定時におけるカーボンブラック分散液を加えてからの経過時間とカーボンブラックの遠心沈降による吸光度の変化を示した分布曲線である。
【図2】Dstの測定時に得られるストークス相当径と吸光度の関係を示す分布曲線である。

Claims (1)

  1. 窒素吸着比表面積(N2SA)が80m2/g以上、DBP吸油量が70ml/100g 以下のカーボンブラックを酸化処理したカーボンブラックであって、アグリゲートのストークスモード径Dst(nm)とアグロメレートの平均粒径DUPA (nm)との比DUPA /Dstの値が1.5〜2.0の特性を備えることを特徴とする易水分散性カーボンブラック。
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