JP2002020931A - ポリエステルフィラメント - Google Patents
ポリエステルフィラメントInfo
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Abstract
湿熱性能を長期間にわたって保持し、かつ、工業的に生
産が容易であるポリエステルフィラメントを提供する。 【解決手段】 ポリエチレンテレフタレート又はこれを
主体とするポリエステルに、エチレン成分に対してアク
リル酸エステル成分を20〜40モル%有する共重合体
を1〜15質量%、カルボジイミド化合物を0.3〜3.0質
量%添加してなるポリエステル組成物からなり、相対粘
度が1.4以上、カルボキシル末端基量が10eq/t以下であ
る、ポリエステルフィラメント。
Description
メント、特に抄紙用カンバス糸、ベルト布、フィルター
等に好適な優れた耐湿熱性能を有するポリエステルフィ
ラメントに関するものである。
的性質を有し、産業資材用フィラメント、特に抄紙カン
バスやベルト布あるいはフィルターに好適に使用されて
いる。しかし、産業資材用フィラメントは使用される環
境が過酷であり、比較的短期間にフィラメントの劣化が
起こり使用できなくなることがある。例えば、ポリエス
テルフィラメントを用いた抄紙カンバスは、抄紙プレス
ゾーン並びにその後の乾燥ゾーン等の工程に使用される
ため、高温多湿状態にさらされる。そのため、水、熱、
水蒸気の影響により、ポリエステルフィラメントが熱及
び加水分解劣化を起こし、使用できなくなることが知ら
れている。
は、水分子のエステル結合部分への攻撃によって分解
し、カルボキシル基と水酸基が形成され、ポリマー鎖の
***が起こり加水分解劣化が進行していく。さらに、こ
れにより形成されたカルボキシル末端基は、ポリエステ
ルの加水分解反応の触媒的な役割を担い、カルボキシル
末端基量の増加に伴い、その加水分解速度は加速され
る。特に、熱が加わると加水分解は促進される。
カルボキシル末端基量の少ないポリエステルとすること
により、フィラメントの耐湿熱性能を改良する方法が採
用されている。例えば、特公平1-15604 号公報、特開平
4-289221号公報には、カルボジイミド化合物を添加し、
カルボキシル末端基の封鎖を行うことによって、耐湿熱
性能が改善されたポリエステルフィラメントを得る方法
が開示されている。しかしながら、ポリエステルフィラ
メント中のカルボキシル末端基量を低減させるだけで
は、耐湿熱性能を長期間にわたって持続させることは困
難であった。
ステルにポリオレフィン及びカルボジイミドを含有させ
耐湿熱性能を向上させる方法が開示されている。しか
し、ポリエステルに通常のポリオレフィンを配合する
と、相分離を起こしやすく、フィラメントがフィブリル
化したり、糸質物性が低下したりするという問題点があ
った。
開平11−323661号公報には、ポリオレフィンと
して、反応性の官能基であるメタクリル酸グリシジル成
分を導入したものを用い、さらにポリエステル及びエチ
レン成分とメタクリル酸グリシジル成分との共重合体に
対して相溶性を有する、エチレン成分とアクリル酸エス
テル成分との共重合体を相溶化剤として添加することに
より、糸中の残存カルボジイミド化合物量をアップした
耐湿熱性モノフィラメントが提案されている。
シジル基がポリエステルの末端カルボキシル基と反応す
るため、ポリエステルとの相分離を低減させることがで
き、フィブリル化を抑制しながら耐湿熱性に優れたモノ
フィラメントが得られる。しかしながら、さらに耐湿熱
性を向上させるためにメタクリル酸グリシジル成分の共
重合比を高くしたポリオレフィンを用いると、ポリエス
テルとの反応が進行しすぎる結果、溶融粘度の上昇が顕
著となり、ポリマーに溶融粘度斑が生じ、製糸性が悪く
なる。また、カルボジイミド化合物の取り込み量を向上
させるために、相溶性を向上させる手段として、エチレ
ン成分とアクリル酸エステル成分との共重合体(ポリオ
レフィン)も添加している。その結果、相溶性はかなり
向上しているものの、やはりメタクリル酸グリシジル成
分を含有することによる溶融粘度斑が十分に解消されな
いため、得られるフィラメントは表面平滑性にも多少問
題が残るという問題点があった。
点を解決するものであって、糸質性能が良好で、優れた
耐湿熱性能を長期間にわたって保持することができ、表
面平滑性にも優れ、かつ、操業性よく生産することがで
きるポリエステルフィラメントを提供しようとするもの
である。
を解決するため鋭意検討の結果、エチレン成分とアクリ
ル酸エステル成分を有する重合体(以下、P〔E−A
E〕と略す)において、アクリル酸エステル成分の共重
合割合を最適化することにより、オレフィン成分が有す
る疎水性を十分発揮しながら、かつポリエステルへの相
溶性が向上し、これにより糸中へのカルボジイミド化合
物(以下、CI化合物と略す)の取り込み量も著しくア
ップすることを見出し、本発明に到達した。
タレート又はこれを主体とするポリエステルに、エチレ
ン成分に対してアクリル酸エステル成分20〜40モル
%を有する共重合体を1〜15質量%、カルボジイミド
化合物を0.3〜3.0質量%添加してなるポリエステル組成
物からなり、相対粘度が1.4以上、カルボキシル末端基
量が10eq/t以下であることを特徴とするポリエステルフ
ィラメントを要旨とするものである。
シル末端基量及びフィラメント中に含まれる活性状態の
CI化合物の含有量は次の方法で測定したものである。 〔相対粘度〕フェノールと四塩化エタンとの等重量混合
物を溶媒とし、濃度0.5g/dl 、温度20℃の条件下でウベ
ローデ型粘度計を用いて測定した。 〔カルボキシル末端基量〕ポリエステルをベンジルアル
コールに溶解し、0.1 規定の水酸化カリウムメタノール
溶液で滴定して求めた。 〔活性状態のCI化合物の含有量〕フィラメントをヘプ
タフルオロイソプロパノールとクロロホルム混合溶媒に
溶解後、アセトニトリルでポリマー分を沈殿させ、濾過
した溶液をHPLC測定して求めた。
する。本発明におけるポリエステルは、ポリエチレンテ
レフタレート(PET)又はこれを主体とするものであ
って、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、2,6-ナ
フタレンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン
酸、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,
4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタ
ノール等が少量共重合されたものも用いることができ
る。
テルにP〔E−AE〕及びCI化合物を添加した組成物
からなるものである。本発明におけるP〔E−AE〕
は、ポリエチレンの主鎖中にアクリル酸エステル(以
下、AEと略す)成分を共重合したものであり、その共
重合割合は20〜40モル%、より好ましくは25〜3
5%、さらに好ましくは26〜32%である。また、効
果を損なわない範囲であれば、その他の成分として酢酸
ビニル成分、スチレン成分等が共重合されていてもよ
い。
テルフィラメントが未反応のカルボジイミド化合物とポ
リオレフィンを含んでいること及びフィラメントを構成
する基質であるポリエステルのカルボキシル末端基濃度
が低いことの3要因の相乗効果が考えられることは周知
の事実である。この際、撥水性を有するポリオレフィン
がポリエステル中に微分散することでポリエステル中へ
水分が侵入することを抑制し、ポリエステル中の未反応
のカルボジイミド化合物がカルボキシル末端基が水分と
反応することを抑制している。
分の共重合割合を20〜40モル%にすると、フィラメ
ントの耐湿熱性がより向上する。この理由は明らかでは
ないが、以下に示す理由であると考えられる。本発明に
おいては、P〔E−AE〕中のAE成分の共重合割合を
20〜40モル%とすることにより、ポリエステルとの
相溶性が向上し、ポリエステル中により微分散しやすく
なり、疎水性(撥水性)がより向上する。さらには、こ
の共重合範囲のP〔E−AE〕においては、融点が低い
CI化合物を糸中へ取り込むのに最適であり、CI化合
物の取り込み量が著しく増加するためと考えられる。
ると、上記のような効果を奏することができず、糸質性
能の低下、製糸性の悪化が起こる。一方、AE成分の共
重合比が40モル%を超えると、オレフィン成分が少な
くなるため、疎水性能が低下し、また、フィラメント中
にエステル結合部分を増加させることになり、得られる
フィラメントは耐湿熱性能の低下が起こりやすい。
物中の添加量は、1〜15質量%とすることが必要であ
る。添加量が1質量%未満であると、ポリエステル中の
疎水性成分の割合が不十分となり、CI化合物が取り込
まれ難くなり、上記のような耐湿熱性向上効果を奏する
ことができない。一方、15質量%を超えると、アクリ
ル酸エステル成分が増えるために、組成物中にエステル
結合部分が増加し、結果として耐湿熱性能が低下する。
また、P〔E−AE〕は化学的にポリエステルと結合さ
れないため、添加量が増えると製糸性も悪化しやすい。
メチルフェニル) カルボジイミド、N,N'−ビス(2,6−ジ
エチルフェニル) カルボジイミド、N,N'−ビス(2,6−ジ
イソプロピルフェニル) カルボジイミド、N,N'−ビス(2
−イソプロピルフェニル) カルボジイミド等が挙げられ
る。この中でも、耐熱性、工業レベルでの使用が可能で
あるためN,N'−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル) カ
ルボジイミドが好ましい。
とすることが必要であり、より好ましくは0.3 〜2.0 質
量%である。0.3 質量%未満であると、カルボキシル末
端基の封鎖が不十分となり、カルボキシル末端基量が10
eq/t以下の繊維とすることができず、耐湿熱性能が不十
分な繊維となる。一方、3.0 質量%を超えると製糸性が
悪化する。
糸中に500〜27000ppm含有されていることが好ましく、
より好ましくは1000〜27000ppm、さらに好ましくは3000
〜25000ppmである。活性状態とは、カルボキシル基や水
分子と反応可能な状態のことをいい、含有量が500ppm以
下であると、カルボキシル末端基を封鎖するというCI
化合物による効果が十分に発現され難い。一方、27000p
pmを超えるようにすることは、CI化合物の添加量の上
限が3.0 質量%であることから困難である。
ては、前記したような3成分以外にも、効果を損なわな
い範囲であれば、その他の成分が含有されていてもよ
い。その他の成分としては例えば、ポリエチレン、ポリ
プロピレン、ポリメチルペンテン、環状オレフィン系重
合体等のポリオレフィン類、ポリスチレンおよびポリ-
p-メチルスチレン等のスチレン類、ポリメタクリレー
ト系重合体、アイオノマー類、エチレン・塩化ビニル共
重合体およびエチレン・酢酸ビニル共重合体等のエチレ
ン・ビニル系共重合体類、テルペン樹脂他の石油樹脂
類、ポリアセタール樹脂類、ポリメタクリレート類、ス
チレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・無水マ
レイン酸共重合体、スチレン・無水マレイミド共重合
体、クマロン・インデン共重合体、ポリフェニレンエー
テル類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリカーボネー
ト類、ナイロン6及びナイロン6・6などのポリアミド
類、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチ
レンとパーフルオロアルキルビニルエーテルとの共重合
体類、エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体類
等が挙げられる。
組成物中にエポキシ基成分を含まないことが好ましい。
エポキシ基成分の一例としては、メタクリル酸グリシジ
ル成分が挙げられる。エポキシ基成分は、ポリエステル
の末端基と反応し、ポリオレフィンとポリエステルの相
分離を低減させるが、溶融粘度の上昇を引き起こしやす
く、これにより溶融ポリマーは溶融粘度斑が生じて製糸
性が悪化しやすい。また、得られるフィラメントの平面
平滑性も悪くなるという欠点がある。したがって、本発
明においては、上記の成分を含まないポリエステル組成
物とすることが好ましい。
は、各種の用途に適合させるため、糸質性能に影響を与
えない範囲であれば、酸化チタン等の無機粒子、着色
剤、可塑剤、改質剤等を含有していてもよい。
らなる、本発明のポリエステルフィラメントは、相対粘
度が1.4以上、カルボキシル末端基量が10eq/t以下であ
ることが必要である。フィラメントのカルボキシル末端
基量が10eq/tより多いと、長期間の湿熱処理により糸質
の低下が顕著となり、十分な耐湿熱性能を有するフィラ
メントとならない。相対粘度が1.4 未満であると、フィ
ラメントの摩耗による劣化に対する耐性が悪化し、耐摩
耗性に劣ったものとなり、実用に供することができな
い。
は、モノフィラメントであってもマルチフィラメントで
あってもよい。
の製造方法について説明する。上記したような特定量の
AE成分をエチレン成分に共重合したP〔E−AE〕及
びCI化合物をポリエステル中に含有させ、例えばエク
ストルーダで溶融し、紡糸口金より押し出し、冷却・延
伸・熱セットを行うなどの公知の方法で製造することが
できる。
有させるポリエステルとしては、相対粘度が1.4 以上で
カルボキシル末端基量が20eq/t以下のポリエステルを使
用することが好ましい。そのポリエステルの一例として
は、相対粘度が1.2 〜1.4 のプレポリマーを固相重合し
て得られたカルボキシル末端基量が20eq/t以下のものが
挙げられる。カルボキシル末端基量が20eq/tを超えると
きは、溶融紡糸して得られるフィラメントのカルボキシ
ル末端基量を10eq/t以下とすることが困難となる場合が
ある。
AE〕及びCI化合物を添加する方法としては、P〔E
−AE〕とCI化合物とを予め溶融混練によりとのマス
ターバッチ化しておき、その後にポリエステルと溶融混
練する方法が好ましいが、例えば紡糸ライン中やノズル
パック中にスタティックミキサー等の物理的に混練を可
能にするミキサー等を含有させた場合、それぞれを直接
ブレンドする方法を採用しても溶融粘度に斑のないポリ
マーを得ることが可能である。
く、常法によって行うことができるが、紡糸温度は350
℃以下、好ましくは300 ℃以下とすることが好ましい。
紡糸温度が高すぎるとポリエステル及び添加物が熱分解
を起こし、円滑な紡糸が困難になるとともに得られるフ
ィラメントの物性が劣ったものとなる。また、ポリエス
テルの熱分解反応に伴ってカルボキシル末端基が生成
し、溶融紡糸時に末端基封鎖剤が多量に消費されてしま
い、得られるフィラメントのカルボキシル末端基量が10
eq/tを超えるものとなりやすい。
好ましくは20〜90℃の液体(モノフィラメントの場
合)、または、0 〜100 ℃、好ましくは10〜40℃の空気
中(マルチフィラメントの場合)で冷却される。冷却温
度をあまり低くすると温度管理及び作業性等に困難をき
たし、高すぎると冷却不足となり最終的に得られるフィ
ラメントの糸質性能が劣ったものとなる。
旦巻き取った後又は巻き取ることなく延伸される。延伸
は一段又は二段以上の多段で行うことができる。第1段
延伸は3.0 〜6.5 倍の延伸倍率で行い、第2段延伸以降
は、第1段延伸より高温で全延伸倍率が5.0 〜8.0 倍と
なるように行う。マルチフィラメントの場合は、第1段
延伸を70〜200 ℃程度の温度で、第2段延伸以降を第1
段延伸よりも高温で、かつ150 〜300 ℃程度の温度で行
う。モノフィラメントの場合は、第1段延伸を延伸点の
移動を起こさない60〜100℃程度の温度の液体中で、第
2段延伸以降を第1段延伸よりも高温で、かつ130〜300
℃程度の温度の液体又は気体中で行う。
となり、延伸斑及び糸切れが発生しやすく、一方、延伸
温度が高すぎるとフィラメントの融解及び熱劣化が起こ
り、好ましくない。また、全延伸倍率が5.0 倍未満であ
ると得られるフィラメントの糸質特性、特に直線強度が
低くなりやすい。一方、全延伸倍率を8.0 倍より大きく
すると繊維内での塑性変形に分子配向が対応できなくな
るため、繊維中にミクロボイドが発生し、満足な性能を
示すフィラメントが得られない。
伸後、弛緩熱処理を施してもよい。このとき、150 〜50
0 ℃の気体中で1〜15%の弛緩率で行うことが好まし
い。熱処理温度が150 ℃より低いとフィラメントに対す
る熱処理効果が不十分となりやすく、熱処理時間にも関
係するが500 ℃より高くすると繊維表面でポリエステル
の熱分解反応が起こりやすくなる。また、弛緩率を1%
未満にすると、得られるフィラメントは、熱収縮率が高
くなりすぎ、場合によっては実用に適さなくなり、弛緩
率が15%を超えると、弛緩熱処理段階で糸のたるみが発
生し、操業性が悪化するとともに、糸質性能が低下しや
すい。
定量のP〔E−AE〕とCI化合物とをポリエステル中
に含有していれば、複合形態の繊維としてもよい。例え
ば、P〔E−AE〕とCI化合物を含有するポリエステ
ル組成物であって、P〔E−AE〕やCI化合物の含有
量が異なる複数のポリエステル組成物を芯鞘形態やサイ
ドバイドサイド形態に配したものでもよい。なお、この
ような複合形態においては、効果を奏する大部分が特定
量のP〔E−AE〕とCI化合物とを含有するポリエス
テル組成物からなるものであれば、一部分に通常のポリ
エステルを用いたものでもよい。
及びAE成分の共重合割合を最適化したP〔E−AE〕
を添加することにより、ポリエステルとの相溶性が向上
し、ポリエステル中に微分散しやすくなり、疎水性(撥
水性)がより向上するとともに、CI化合物の取り込み
量も著しく増加させることが可能となる。したがって得
られるポリエステルフィラメントは、低カルボキシル末
端基量であり、かつ未反応のCI化合物を大量に含有
し、耐湿熱性能に優れているとともに、表面平滑性にも
優れたものとなる。
する。なお、実施例中の特性値の測定や評価は次のよう
に行った。相対粘度、カルボキシル末端基量、活性状態
のCI化合物の含有量の測定は前記の方法で行った。 〔強度、伸度〕JIS L 1013に準じて測定し
た。 〔耐湿熱性能(強力保持率)〕フィラメントを120 ℃の
飽和水蒸気で10日間処理した後、未処理のフィラメント
に対する強力保持率で評価した。 〔製糸性〕紡出された糸条の採取が可能であった場合を
○、不可能であった場合を×として示した。 〔延伸糸表面凹凸〕得られたフィラメントの繊維径をマ
イクロメーターで測定し、その繊維径値の変動率が、5
%未満のものを◎、5%以上、10%未満のものを○、
10%以上のものを×とした。
テルプレポリマーを固相重合して得た相対粘度1.6、カ
ルボキシル末端基量16eq/tのペレットに、エチレン成分
に対してAE成分を22モル%共重合したP〔E−A
E〕を1質量%及びN,N'- ビス(2.6- ジイソプロピルフ
ェニル) カルボジイミドを1.5質量%添加して溶融紡糸
した。溶融紡糸は、エクストルーダー型紡糸装置を使用
し、紡糸温度295 ℃で、孔径2.0mm の紡糸孔を有する口
金を使用して行い、紡出糸条を70℃の水浴中で冷却し、
未延伸糸を得た。この未延伸糸を90℃の水浴中で第一段
階目の延伸(3.2倍)を行い、次いで250 ℃の熱風雰囲
気下で第二段階目の延伸(1.7倍)を行い、全延伸倍率
を5.5 倍とした。引き続いて400 ℃の熱風雰囲気下で10
%の弛緩熱処理を行い、ポリエステルモノフィラメント
(1600d)を得た。得られたモノフィラメントの各種の
物性値及び評価結果を表1に示す。
添加量を表1のように変更した以外は、実施例1と同様
にしてポリエステルモノフィラメントを得た。得られた
モノフィラメントの各種の物性値及び評価結果を表1に
示す。
分の共重合量のP〔E−AE〕とCI化合物を表1に示
す量を添加し、溶融紡糸した。溶融紡糸は、エクストル
ーダー型紡糸装置を使用し、紡糸温度295℃で、孔径0.4
mmの紡糸孔を48個有する紡糸用口金を使用して行い、紡
出糸条を20℃の空気で冷却し、未延伸糸を得た。この未
延伸糸を90℃に加熱し、第一ローラと230 ℃に加熱した
第二ローラとの間で6.3 倍の延伸を行い、次いで170 ℃
に加熱して6%の弛緩熱処理を行い、ポリエステルマル
チフィラメント(300d/48f)を得た。得られたマル
チフィラメントの各種の物性値及び評価結果を表1に示
す。
ル%有する共重合体(P〔E−GMA〕を3重量%添加
した以外は実施例2と同様にしてポリエステルモノフィ
ラメントを得た。得られたモノフィラメントの各種の物
性値及び評価結果を表1に示す。
得られたモノフィラメント及び実施例7で得られたマル
チフィラメントは、強度、伸度に優れ、糸中の未反応C
I化合物の残存量も高く、湿熱処理後の強力保持率も高
かった。また、糸表面の凹凸が非常に少ない品位の高い
繊維であって、生産性よく得ることができた。一方、比
較例1〜5で得られたモノフィラメント及び比較例10
で得られたマルチフィラメントは、AE成分の共重合量
が少なすぎたため、糸中へのCI化合物の取り込み量が
少なくなり、耐湿熱性に劣るものであり、また表面平滑
性にも劣るものであった。比較例6はP〔E−AE〕の
添加量が少なすぎたため、比較例7はCI化合物の添加
量少なすぎたため、ともに糸中へのCI化合物の取り込
み量が低く耐湿熱性に劣るものであった。また、比較例
8はP〔E−AE〕の添加量が多すぎたため、比較例9
はCI化合物の添加量が多すぎたため、ともに製糸性が
悪く、フィラメントを得ることができなかった。比較例
11はP〔E−GMA〕を添加したため、ポリエステル
のカルボキシル末端基との反応が進行した結果、溶融粘
度の上昇が顕著に見られ、また溶融粘度斑が十分に解消
されないため、得られたモノフィラメントは表面平滑性
に劣るものであった。
優れた耐湿熱性能を長期間にわたって保持することがで
き、かつ強度、伸度等の糸質性能及び表面平滑性が良好
で、かつ、工業的に生産性よく得ることが可能であり、
産業資材用フィラメント、特に工業用織物である抄紙用
カンバス糸、ベルト布、フィルター等として好適に用い
ることが可能である。
Claims (5)
- 【請求項1】 ポリエチレンテレフタレート又はこれを
主体とするポリエステルに、エチレン成分に対してアク
リル酸エステル成分を20〜40モル%有する共重合体
を1〜15質量%、カルボジイミド化合物を0.3〜3.0質
量%添加してなるポリエステル組成物からなり、相対粘
度が1.4以上、カルボキシル末端基量が10eq/t以下であ
ることを特徴とするポリエステルフィラメント。 - 【請求項2】 ポリエステル組成物中にエポキシ基を含
まない請求項1記載のポリエステルフィラメント。 - 【請求項3】 エチレン成分に対するアクリル酸エステ
ル成分の共重合の割合が25〜35モル%である請求項
1又は2に記載のポリエステルフィラメント。 - 【請求項4】 フィラメント中に活性状態のカルボジイ
ミド化合物を3000〜25000ppm含有する請求項1、2又は
3に記載のポリエステルフィラメント。 - 【請求項5】 カルボジイミド化合物が、N,N'-ビス(2,
6- ジイソプロピルフェニル)カルボジイミドである請求
項1、2、3又は4に記載のポリエステルフィラメン
ト。
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