JP2002011553A - 連続鋳造における小ロット材の製造方法 - Google Patents

連続鋳造における小ロット材の製造方法

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JP2002011553A
JP2002011553A JP2000196771A JP2000196771A JP2002011553A JP 2002011553 A JP2002011553 A JP 2002011553A JP 2000196771 A JP2000196771 A JP 2000196771A JP 2000196771 A JP2000196771 A JP 2000196771A JP 2002011553 A JP2002011553 A JP 2002011553A
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injection
ladle
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Atsushi Kubota
淳 久保田
Kentaro Mori
健太郎 森
Masayuki Nakada
正之 中田
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NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合金元素の添加量制御の煩雑さをなくし、且
つ、簡便な設備で溶融状態の合金元素を用いて連続鋳造
機により小ロット材を製造する。 【解決手段】 取鍋5からタンディッシュ6への溶鋼1
の注入を中断すると共にタンディッシュ内の溶鋼を鋳型
7内へ注入してタンディッシュ内の溶鋼量を減少させ、
タンディッシュ内の溶鋼量が所定量となった時点で鋳型
への溶鋼の注入を停止し、次いで、予め溶融状態とした
合金元素を前記タンディッシュ内に注入し、その後、前
記取鍋からタンディッシュ内へ溶鋼を注入して前記合金
元素と溶鋼とを混合させ、タンディッシュ内の溶鋼量が
所定量に達した時点で取鍋からタンディッシュへの溶鋼
の注入を停止し、タンディッシュ内で溶鋼を所定時間保
持した後にタンディッシュから鋳型への溶鋼の注入を開
始する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、連続鋳造のタンデ
ィッシュ内で溶鋼の成分を調整し、成分調整した溶鋼を
連続鋳造して小ロット材を製造する方法に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】鋼の連続鋳造では、転炉等で溶製された
溶鋼を取鍋からタンディッシュに一旦注入し、次いで、
タンディッシュ底部に設けた浸漬ノズルを経由して鋳型
に注入する。鋳型内に注入された溶鋼は鋳型により冷却
されて凝固シェルを形成し、この凝固シェルは鋳型直下
から水スプレーで冷却されながら連続的に引き抜かれ
る。タンディッシュへ供給される溶鋼は同一成分である
ことが一般的である。
【0003】最近、鋼の用途が多様化する中で、製鋼工
程に要求されるロットサイズ及び鋼種の種類も多様化が
進んでいる。従来は、成分の異なる溶鋼を溶製する場
合、独立した精錬容器にて溶製する方法が採られ、小容
量の溶鋼、即ち小ロット材を溶製する場合も転炉等から
出鋼された溶鋼を分湯して小容量の取鍋に分け、取鍋単
位で鋼種を作り分けることが一般的であった。従って、
製品のオーダー量が取鍋の容量よりも小さい場合には、
製品に引当られない溶鋼は余材若しくはスクラップにな
ることを前提とし、歩留まりを落として鋳造されてい
た。
【0004】この問題を解決するためにタンディッシュ
内で溶鋼成分を変更する方法が多数開示されている。例
えば、特開平6−63705号公報(以下「先行技術
1」と記す)には、取鍋からの注入終了後、タンディッ
シュ内に所定量の溶鋼を残留させた状態で鋳造を一旦停
止し、この残溶鋼を加熱しながら所要の合金元素を添加
して小ロット鋼種を溶製し、この溶鋼を鋳型に鋳造して
小ロット材を製造する方法が開示されている。しかし、
先行技術1では固体状態の合金元素を添加しているの
で、合金元素を溶融するまでの所要時間、溶鋼温度の低
下、及び、合金元素の表面に付着する水分による溶鋼中
水素濃度の上昇等の問題が発生する。
【0005】これに対して、特公平1−33271号公
報(以下「先行技術2」と記す)には、予め溶融させた
合金元素をタンディッシュ内に添加して溶鋼成分を調整
する方法が開示されている。先行技術2では固体状態の
合金元素を添加することに起因する問題点は解消され
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら先行技術
2には以下の問題点がある。先ず、先行技術2では溶融
状態の合金元素をタンディッシュに添加する方法とし
て、溶融状態の合金元素を貯留する密閉容器とタンディ
ッシュとの間に逆U字状の中空パイプを設け、密閉容器
内を加圧して溶融状態の合金元素を中空パイプを経由し
てタンディッシュ内に注入する方法が採られている。こ
の供給方法は設備構成が複雑なために高価である上に、
中空パイプ内での合金元素の凝固詰まりが生じる危険性
がある。
【0007】又、溶鋼の成分調整精度の観点から検討す
ると、先行技術2では溶鋼と溶融状態の合金元素を連続
的にタンディッシュ内に注入しているために、所定の成
分範囲に調整するためには溶鋼及び合金元素の注入流量
を厳密に制御する必要がある。実際、先行技術2ではタ
ンディッシュ内の溶鋼を速やかに目標の成分とするため
に、溶融状態の合金元素の注入開始直後には合金元素の
注入速度を上げて急速に添加し、その後は取鍋からの溶
鋼の注入流量に応じた注入速度で添加することが好まし
いとしている。しかし、このような制御を行うに当た
り、急速添加時の注入速度の決め方や、急速添加から定
常添加への移行時期の決定方法については何ら記載され
ておらず、従って、この方法で成分調整することは極め
て困難である。
【0008】更に、先行技術2では溶融状態の合金元素
の注入速度制御を密閉容器内の加圧力を調整して行って
いるが、密閉容器のリークの有無、密閉容器内の気液比
率の変化等により、加圧に対する合金元素の注入速度の
応答性が変化するため、溶融状態の合金元素の注入流量
制御は容易ではない。
【0009】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
その目的とするところは、成分調整用の合金元素を溶融
状態でタンディッシュ内に添加することの利点を維持し
つつ、溶鋼と合金元素との添加割合の調整制御の煩雑さ
をなくし、且つ、簡便な設備で成分調整することのでき
る小ロット材の製造方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】第1の発明による連続鋳
造における小ロット材の製造方法は、取鍋からタンディ
ッシュへの溶鋼の注入を中断すると共にタンディッシュ
内の溶鋼を鋳型内へ注入してタンディッシュ内の溶鋼量
を減少させ、タンディッシュ内の溶鋼量が所定量となっ
た時点で鋳型への溶鋼の注入を停止し、次いで、予め溶
融状態とした合金元素を前記タンディッシュ内に注入
し、その後、前記取鍋からタンディッシュ内へ溶鋼を注
入して前記合金元素と溶鋼とを混合させ、タンディッシ
ュ内の溶鋼量が所定量に達した時点で取鍋からタンディ
ッシュへの溶鋼の注入を停止し、タンディッシュ内で溶
鋼を所定時間保持した後にタンディッシュから鋳型への
溶鋼の注入を開始することを特徴とするものである。
【0011】第2の発明による連続鋳造における小ロッ
ト材の製造方法は、取鍋からタンディッシュへの溶鋼の
注入を中断すると共にタンディッシュ内の溶鋼を鋳型内
へ注入し、タンディッシュ内溶鋼の鋳型への注入が終了
した時点で該タンディッシュを鋳型上方から取り外し、
次いで、予め溶融状態とした合金元素が注入された別の
タンディッシュ内へ前記取鍋から溶鋼を注入して前記合
金元素と溶鋼とを混合させ、タンディッシュ内の溶鋼量
が所定量に達した時点で取鍋からタンディッシュへの溶
鋼の注入を停止し、タンディッシュ内で溶鋼を所定時間
保持した後にタンディッシュから鋳型への溶鋼の注入を
開始することを特徴とするものである。
【0012】第3の発明による連続鋳造における小ロッ
ト材の製造方法は、第1の発明又は第2の発明におい
て、タンディッシュ内の溶鋼に不活性ガスを吹き込んで
前記合金元素と溶鋼との混合を促進させることを特徴と
するものである。
【0013】第4の発明による連続鋳造における小ロッ
ト材の製造方法は、第1の発明乃至第3の発明の何れか
において、溶融状態の合金元素を注入するタンディッシ
ュには堰を設置しないことを特徴とするものである。
【0014】本発明者等は上記課題を解決すべく検討を
行い、以下の結果を得た。溶鋼と成分調整用の合金元素
を同時に且つ連続的にタンディッシュ内に注入すること
が、溶鋼の成分調整制御を難しくしていると考え、本発
明では、タンディッシュから鋳型への溶鋼の注入を停止
した上で、所定量の合金元素と所定量の溶鋼とをタンデ
ィッシュ内で混合した後に、タンディッシュから鋳型へ
注入することとした。
【0015】そこで先ず、成分の均一混合の観点から、
合金元素と溶鋼の注入順序を検討した。通常、成分調整
用の合金元素の量は溶鋼量に対して多くても10mass%
と少ないことが一般的である。この条件で、溶鋼を先
に、続いて合金元素を注入した場合には、静止している
溶鋼の慣性が続いて注入される合金元素の慣性よりも大
きく、更に、溶鋼と合金元素とは密度が異なることが多
いため、両者の混合は不十分になる。一方、溶鋼と合金
元素を同時に注入した場合、又、合金元素を先に注入し
て、その後に溶鋼を注入した場合には、溶鋼の大きな運
動エネルギーにより十分に混合されることが期待でき
る。
【0016】しかし、溶鋼と合金元素とを同時に注入す
るためには、両者の容器を同時にタンディッシュ上方に
載置する必要があるが、両容器の載置位置が物理的に干
渉する可能性が大きいために実現が難しい。両者の干渉
を防ぐためには他方の容器をタンディッシュから離し、
パイプや樋を用いて移送する方法があるが、設備が複雑
になって設備費が上昇する。そこで、本発明では予め溶
融した合金元素を先に注入し、その後に溶鋼を注入する
方法とした。
【0017】次に、溶融状態の合金元素を先に注入し、
その後に溶鋼を注入する方法により、両者の混合によっ
て成分がどの程度均一になるかを調査した。調査には実
機タンディッシュの1/3縮尺の水モデル実験装置を用
いた。装置の構成を図1に示す。図1において、6はタ
ンディッシュ、12は多孔質煉瓦、14はタンディッシ
ュ蓋、16は堰、17は排出管A、18は排出管B、1
9は給水管、20は電気伝導度計、21は流量調整用バ
ルブ、22はAr吹き込み管である。図2に堰16の形
状を示す。合金元素としてFe−Mn合金を想定し、水
モデルでは水(密度1.0g/cm3 )を溶融状態のF
e−Mn合金の代替とした。又、溶鋼の代替には20ma
ss%濃度の塩化カリウム水溶液(密度1.13g/cm
3 )を用いた。実際、溶鋼よりもFe−Mn合金の方が
低密度であるため、このようなモデルとした。
【0018】実験では、タンディッシュ6内に所定量の
水を給水管19から注入し、その後所定量の塩化カリウ
ム水溶液を給水管19から所定の注入速度で注入した。
その際、多孔質煉瓦12からAr吹き込みを行った実験
も実施し、Ar吹き込みの有無による水と塩化カリウム
水溶液の混合への影響を調査した。又、堰16を設置し
ない試験も実施して堰の有無による両者の混合への影響
も調査した。所定量の塩化カリウム水溶液をタンディッ
シュ6内に注入後、所定時間保持し、次いで、排出管A
及び排出管Bからほぼ同時に所定量の排出速度で混合水
溶液を排出した。表1に実施した6水準の試験条件を示
す。
【0019】
【表1】
【0020】排出管A及び排出管Bからの排出時、混合
水溶液の塩化カリウムの濃度変化を比電導度(単位:S
/m)の変化として電気伝導度計20にて測定した。比
電導度の変化率は下記(1)式で定義した。即ち、比電
導度の変化率は完全混合時の比電導度に対する比電導度
の変化率で表した。 R=(σSN−σO )/(σT −σid)……(1) 但し(1)式において、R:比電導度の変化率、σSN
タンディッシュの排出管で測定した比電導度、σO :タ
ンディッシュの排出管を開にした直後の排出管で測定し
た比電導度、σT :タンディッシュへ注入する塩化カリ
ウム水溶液の比電導度、σid:注入した水と塩化カリウ
ム水溶液とが完全混合した場合の比電導度である。
【0021】(1)式において、分母は成分変更用合金
元素による溶鋼の成分変更代を表しており、分子は成分
変更処理終了後のタンディッシュから鋳型へ注入される
溶鋼成分のゆらぎを表している。又、タンディッシュ内
の溶鋼に対する合金元素の混合は乱流拡散によるものと
考えられる。従って、攪拌混合の強さが一定であれば、
(1)式で定義する比電導度の変化率即ち混合の程度
は、溶鋼に対する合金元素の添加量に関係なく同じであ
ると考えられる。
【0022】図3は表1に示す水準1の実験における排
出開始からの比電導度の変化率(R)であり、図4は表
1に示す水準2の実験における排出開始からの比電導度
の変化率(R)である。図3及び図4において実線が排
出管Aにおける測定値、破線が排出管Bにおける測定値
である。水準1及び水準2ではタンディッシュに堰を設
置しており、そのため比電導度の変化率(R)は、分母
の成分変更代に対して20〜−180%変動しているも
のの、排出したタンディッシュ内の混合水溶液の3/4
以上は±40%以内の成分変動にとどまっている。従っ
て、成分規格範囲の広い鋼種であれば、堰があっても目
的とする成分混合が行われることが分かる。
【0023】しかし、図3及び図4の場合には成分規格
の狭い鋼種では目標とする成分範囲に制御することが難
しくなる。そこで、堰16を設置しない水準3、水準
4、及び、多孔質煉瓦12からAr吹き込みを行った水
準5、水準6の実験を実施した。
【0024】図5は水準3の実験における排出開始から
の比電導度の変化率(R)、図6は水準4の実験におけ
る排出開始からの比電導度の変化率(R)、図7は水準
5の実験における排出開始からの比電導度の変化率
(R)、図8は水準6の実験における排出開始からの比
電導度の変化率(R)である。図5から図8において実
線が排出管Aにおける測定値、破線が排出管Bにおける
測定値である。
【0025】図5及び図6に示すように、堰を設置した
場合に比較して堰を取り除くことで水と塩化カリウム水
溶液との混合が良好となり、比電導度の変化率(R)は
排出した混合水溶液の全域に渡って0〜40%の変動に
収まっている。これは堰を除去したことにより後で注入
された塩化カリウム水溶液が先に注入された水と良く混
合されるためである。
【0026】又、図7及び図8に示すように、タンディ
ッシュ底部に設けた多孔質煉瓦からAr吹き込みを行う
ことにより混合が促進され、比電導度の変化率(R)は
排出した混合水溶液の全域に渡って、図7では0〜約2
0%の変動、図8では0〜−20%の変動に収まってい
る。特に堰を除去した水準6(図8)では均一に混合さ
れ大部分が0〜−10%に収まっている。
【0027】このように、堰を設置しないタンディッシ
ュを用いること、又、タンディッシュ内の溶鋼に不活性
ガスを吹き込んで溶鋼と合金元素とを攪拌することが溶
鋼成分の均一化に有効であることを確認した。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して本発明
の実施の形態を説明する。先ず、第1の実施の形態につ
いて、図9から図11に基づき説明する。図9から図1
1は、第1の実施の形態の例を工程順に示す連続鋳造設
備の図であり、それぞれ(a)は平面図、(b)は正面
図である。
【0029】連続鋳造においては、図9に示すように、
溶鋼1を収容した取鍋5を取鍋ターレット4に積載し、
取鍋5をタンディッシュ6の上方所定位置に合わせて、
取鍋5内の溶鋼1をロングノズル9を介してタンディッ
シュ6内に注入し、次いで、タンディッシュ6内の溶鋼
1を浸漬ノズル10を介して鋳型7内に注入し、鋳型7
内で溶鋼1を冷却して鋳片3を連続的に製造する。この
状態で取鍋5内の溶鋼1が目的とする小ロット材の溶鋼
量になった時点で、ロングノズル9の上部に設けたスラ
イディングノズル(図示せず)を閉鎖して取鍋5からタ
ンディッシュ6への溶鋼1の注入を中断すると共に、タ
ンディッシュ6内の溶鋼1を鋳型7内に注入し、タンデ
ィッシュ6内の溶鋼が少なくなった時点でスライディン
グノズル11を閉鎖して鋳型7への溶鋼1の注入を停止
する。スライディングノズル11を閉鎖する時点は、タ
ンディッシュ6内に添加した保温用のタンディッシュパ
ウダー(図示せず)等が鋳型7内に流出されない程度の
溶鋼量がタンディッシュ6内に残留する時点であれば良
く、厳密に決める必要はない。但し、成分調整を精度良
く行うためにはタンディッシュ6内の残留溶鋼量を正確
に把握する必要があり、ロードセル等でその都度測定す
ることが好ましい。鋳型7への溶鋼1の注入停止後、浸
漬ノズル10の下端が鋳型7内で現出する程度まで鋳片
3を下方に引き抜いておく。
【0030】次いで、図10に示すように、取鍋ターレ
ット4を旋回して取鍋5をタンディッシュ6の上方位置
から外し、誘導溶解炉8をタンディッシュ6の上方位置
に移動させる。誘導溶解炉8では目的とする小ロット材
の成分とするために、予め合金元素2を溶融しておく。
そして、溶融した合金元素2をタンディッシュ6内に注
入する。この時、溶融した合金元素2の空気による酸化
を防止するために、タンディッシュ蓋14で覆われたタ
ンディッシュ6内にAr等の不活性ガスを供給管15を
介して導入して、予めタンディッシュ6内の雰囲気を不
活性ガス雰囲気、厳密には酸素濃度が2%以下の不活性
ガス雰囲気としておくことが好ましい。
【0031】溶融した合金元素2の注入が終了したなら
ば誘導溶解炉8を移動させ、図11に示すように取鍋タ
ーレット4を旋回して、再度取鍋5をタンディッシュ6
の上方所定位置に設置し、取鍋5からタンディッシュ6
へ溶鋼1を注入して溶鋼1と合金元素2とを混合する。
そして、タンディッシュ6内に小ロット材を製造するた
めに必要な所定量の溶鋼1を注入する。タンディッシュ
6への溶鋼1の注入再開に当たり、溶鋼1と溶融状態の
合金元素2とを均一に混合するために、タンディッシュ
6の底部に設けた多孔質煉瓦12からAr等の不活性ガ
スを吹き込むことが好ましい。又、タンディッシュ6へ
の溶鋼1の注入再開に当たり、溶鋼1の空気酸化を防止
するために、合金元素2を注入した時と同様に、タンデ
ィッシュ6内の雰囲気を不活性ガス雰囲気としておくこ
とが好ましい。
【0032】尚、誘導溶解炉8を別の場所に固定して設
置し、溶融した合金元素2を別の収納容器に移し、この
収納容器からタンディッシュ6に溶融した合金元素2を
注入しても良い。又、攪拌用不活性ガスを多孔質煉瓦1
2の代わりにタンディッシュ6内を昇降するランスで吹
き込んでも良く、吹き込み位置も3箇所以上としても良
い。
【0033】そして溶鋼1のタンディッシュ6への注入
が終了してから所定時間タンディッシュ6内で保持した
後、成分調整した溶鋼1を鋳型7へ注入して小ロット材
の鋳片3を製造する。タンディッシュ6内での保持時間
は長い程溶鋼1の清浄性が上昇するので好ましいが、溶
鋼温度が低下して浸漬ノズル10のノズル詰まり等が発
生する危険性もあるので、10秒程度以上保持すれば十
分である。
【0034】本発明では、このようにして小ロット材を
製造するので、合金元素添加による溶鋼温度の低下もな
く、短時間で成分調整を行うことが可能になると共に、
簡便な装置により溶融状態の合金元素を添加することが
可能となる。又、使用中のタンディッシュを用いて小ロ
ット材の溶鋼を溶製できるので、タンディッシュ耐火物
の原単位を低減することができ、安価に小ロット材を製
造することができる。
【0035】次に、第2の実施の形態について、図12
から図14に基づき説明する。図12から図14は、第
2の実施の形態の例を工程順に示す連続鋳造設備の図で
ある。図12から図14において、図9から図11の第
1の実施の形態と同一の部分は同一符号により示し、そ
の説明は省略する。又、第1の実施の形態と第2の実施
の形態とで主たる異なる点は、第2の実施の形態ではタ
ンディッシュ6A及びタンディッシュ6Bの2つタンデ
ィッシュを用いる点であり、その他は共通する部分が多
く、共通する部分は省略して説明する。
【0036】図12に示すように、取鍋5内の溶鋼1を
タンディッシュ6Aを用いて一方の鋳型7Aに注入し、
鋳片3を製造する。この場合、他方の鋳型7Bには溶鋼
1を注入しない。この状態で取鍋5内の溶鋼1が目的と
する小ロット材の溶鋼量になった時点で、タンディッシ
ュ6Aへの溶鋼1の注入を中断すると共に、タンディッ
シュ6A内の溶鋼1を鋳型7A内に注入完了してスライ
ディングノズル11を閉鎖する。鋳型7Aでは鋳片3を
引き続き下方に引き抜き、鋳造を終了する。
【0037】一方、タンディッシュ6A内の溶鋼1が少
なくなった時点で、待機位置で待機中のタンディッシュ
6B内に予め誘導溶解炉8で溶融した合金元素2を注入
する。注入の際、溶融した合金元素2の空気酸化を防止
するために、上述したように予めタンディッシュ6B内
の雰囲気を不活性ガス雰囲気にしておくことが好まし
い。
【0038】次いで、図13に示すように、タンディッ
シュ6Aを鋳型7A上方から取り外して、例えば待機位
置等に移動させると共に、合金元素2を注入したタンデ
ィッシュ6Bを鋳型7Bの上方所定位置に配置し、取鍋
5からタンディッシュ6Bへ溶鋼1を注入して溶鋼1と
合金元素2とを混合する。そして、タンディッシュ6B
内に小ロット材を製造するために必要な所定量の溶鋼1
を注入する。タンディッシュ6Bへの溶鋼1の注入再開
に当たり、前述したように、多孔質煉瓦12から不活性
ガスを吹き込むこと、及び、溶鋼1の空気酸化を防止す
るためにタンディッシュ6B内の雰囲気を不活性ガス雰
囲気としておくことが好ましい。タンディッシュ6Bに
所定量の溶鋼1を注入する前に、鋳型7Bにはダミーバ
ー13を挿入して鋳造を待機する。
【0039】そして、そして溶鋼1のタンディッシュ6
Bへの注入が終了してから所定時間タンディッシュ6B
内で保持した後に、図14に示すように鋳型7B内に溶
鋼1を注入して小ロット材の鋳片3を製造する。
【0040】本発明では、このようにして小ロット材を
製造するので、合金元素添加による溶鋼温度の低下もな
く、短時間で成分調整が可能になると共に、簡便な装置
で溶融状態の合金元素を添加することが可能となる。
又、別のタンディッシュを用いて小ロット材を溶製する
ので、溶鋼量を正確に把握することができ、成分調整が
容易になる。更に、別の鋳型に注入するので鋳片の成分
混合域がなく、目的とする鋳片量を確実に製造すること
ができる。
【0041】尚、上記説明は2ストランド型の連続鋳造
機で行ったが、本発明は2ストランド型の連続鋳造機に
限るものではなく、単ストランド型であっても、3以上
の多ストランド型の連続鋳造機であっても、上記に沿っ
て実施することができる。又、上記説明では取鍋内溶鋼
の鋳造末期に小ロット材を製造する方法で説明したが、
これに限るものではなく、鋳造初期若しくは鋳造中期に
行うこともできる。更に、堰を設置したタンディッシュ
においても実施できることはいうまでもない。
【0042】
【実施例】図12から図14に示した第2の実施の形態
により本発明を実施した。使用した連続鋳造機は2スト
ランドの垂直曲げ型であり、その他の仕様を表2に示
す。この実施例では表3に示す鋼種Aを先に鋳造し、小
ロット材として表3に示す鋼種Bに成分調整した。
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】この実施例を操業の順序を追って説明す
る。先ず、取鍋内の鋼種Aの溶鋼250トンを210ト
ンだけタンディッシュ6Aに注入した時点で、取鍋から
タンディッシュ6Aへの注入を停止し、その後タンディ
ッシュ6A内の溶鋼を注入し終わった時点で、タンディ
ッシュ6Aから鋳型への溶鋼の注入を停止した。ここ
で、タンディッシュ6Aから鋳型への溶鋼の注入は一方
のストランドの鋳型7Aのみで行った。
【0046】一方、タンディッシュ6A内の溶鋼の鋳造
が終了する前に、誘導溶解炉で表3に示す低炭素Fe−
Mn合金を220kg溶融し、バーナー加熱により昇温
し、Ar置換を行って雰囲気の酸素濃度を0.1%とし
たタンディッシュ6B内に溶融した低炭素Fe−Mn合
金を注入した。
【0047】その後、直ちにタンディッシュ6Bを鋳型
上方所定位置に移動して、取鍋からタンディッシュ6B
への溶鋼の注入を開始し、溶鋼40トンを注入した。取
鍋からタンディッシュ6Bへの溶鋼の注入開始と共に、
タンディッシュ底部の両方のスライディングノズル近傍
に設置した多孔質煉瓦から溶鋼中にArを吹き込んだ。
吹き込み量は一箇所当たり30N1/minとした。取
鍋からタンディッシュ6Bへの溶鋼注入終了後、タンデ
ィッシュ6B内で1分間保持した後、溶鋼を鋳型7Bに
注入した。
【0048】そして、鋳造した鋳片の成分を調査した。
鋳造した鋳片の鋳込み開始側から5トンおきに相当する
位置からサンプルを採取し、発光分析法によりMn濃度
を分析した。その結果を図15に示す。図15に示すよ
うに、Mn濃度は鋳片の全域に渡って成分規格範囲内に
収まっており、本発明の小ロット製造方法によりタンデ
ィッシュ内で溶鋼の成分変更が適正に行われたことが確
認できた。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、成分調整用の合金元素
を溶融状態でタンディッシュ内に注入することの利点を
維持しつつ、溶鋼と合金元素を連続的に且つ同時に注入
する場合に見られるような成分調整作業の煩わしさをな
くし、且つ、簡便な設備で成分調整することが可能とな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】1/3縮尺の水モデル実験装置の構成図であ
る。
【図2】1/3縮尺の水モデル実験装置で用いた堰の概
略図である。
【図3】水準1の水モデル実験における排出開始からの
比電導度の変化率Rを示す図である。
【図4】水準2の水モデル実験における排出開始からの
比電導度の変化率Rを示す図である。
【図5】水準3の水モデル実験における排出開始からの
比電導度の変化率Rを示す図である。
【図6】水準4の水モデル実験における排出開始からの
比電導度の変化率Rを示す図である。
【図7】水準5の水モデル実験における排出開始からの
比電導度の変化率Rを示す図である。
【図8】水準6の水モデル実験における排出開始からの
比電導度の変化率Rを示す図である。
【図9】第1の実施の形態の例を工程順に示す連続鋳造
設備の図であり、(a)は平面図、(b)は正面図であ
る。
【図10】第1の実施の形態の例を工程順に示す連続鋳
造設備の図であり、(a)は平面図、(b)は正面図で
ある。
【図11】第1の実施の形態の例を工程順に示す連続鋳
造設備の図であり、(a)は平面図、(b)は正面図で
ある。
【図12】第2の実施の形態の例を工程順に示す連続鋳
造設備の図である。
【図13】第2の実施の形態の例を工程順に示す連続鋳
造設備の図である。
【図14】第2の実施の形態の例を工程順に示す連続鋳
造設備の図である。
【図15】実施例における鋳片のMn濃度の測定結果を
示す図である。
【符号の説明】
1 溶鋼 2 合金元素 3 鋳片 4 取鍋ターレット 5 取鍋 6 タンディッシュ 7 鋳型 8 誘導溶解炉 9 ロングノズル 10 浸漬ノズル 11 スライディングノズル 12 多孔質煉瓦 13 ダミーバー 14 タンディッシュ蓋 15 供給管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中田 正之 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内 Fターム(参考) 4E004 MB14 MB20

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 取鍋からタンディッシュへの溶鋼の注入
    を中断すると共にタンディッシュ内の溶鋼を鋳型内へ注
    入してタンディッシュ内の溶鋼量を減少させ、タンディ
    ッシュ内の溶鋼量が所定量となった時点で鋳型への溶鋼
    の注入を停止し、次いで、予め溶融状態とした合金元素
    を前記タンディッシュ内に注入し、その後、前記取鍋か
    らタンディッシュ内へ溶鋼を注入して前記合金元素と溶
    鋼とを混合させ、タンディッシュ内の溶鋼量が所定量に
    達した時点で取鍋からタンディッシュへの溶鋼の注入を
    停止し、タンディッシュ内で溶鋼を所定時間保持した後
    にタンディッシュから鋳型への溶鋼の注入を開始するこ
    とを特徴とする連続鋳造における小ロット材の製造方
    法。
  2. 【請求項2】 取鍋からタンディッシュへの溶鋼の注入
    を中断すると共にタンディッシュ内の溶鋼を鋳型内へ注
    入し、タンディッシュ内溶鋼の鋳型への注入が終了した
    時点で該タンディッシュを鋳型上方から取り外し、次い
    で、予め溶融状態とした合金元素が注入された別のタン
    ディッシュ内へ前記取鍋から溶鋼を注入して前記合金元
    素と溶鋼とを混合させ、タンディッシュ内の溶鋼量が所
    定量に達した時点で取鍋からタンディッシュへの溶鋼の
    注入を停止し、タンディッシュ内で溶鋼を所定時間保持
    した後にタンディッシュから鋳型への溶鋼の注入を開始
    することを特徴とする連続鋳造における小ロット材の製
    造方法。
  3. 【請求項3】 タンディッシュ内の溶鋼に不活性ガスを
    吹き込んで前記合金元素と溶鋼との混合を促進させるこ
    とを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の連続鋳造
    における小ロット材の製造方法。
  4. 【請求項4】 溶融状態の合金元素を注入するタンディ
    ッシュには堰を設置しないことを特徴とする請求項1乃
    至請求項3の何れか1つに記載の連続鋳造における小ロ
    ット材の製造方法。
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