JP2001517715A - ヘルペスおよび関連ウイルス感染症の治療用の組成物、および該組成物を含む医薬製剤 - Google Patents

ヘルペスおよび関連ウイルス感染症の治療用の組成物、および該組成物を含む医薬製剤

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Abstract

(57)【要約】 本発明によれば、Prunella vulgarisの穂から、抽出および精製によって新規組成物を見いだした。本発明の組成物は、哺乳類におけるエンベロープウイルスの細胞病原性効果の治療に有効な薬剤である。本発明のもう一つの態様によれば、上記の新規組成物を活性薬剤として用いる、哺乳類におけるエンベロープウイルスの細胞病原性効果および関連症状の治療法が提供される。本発明の更にもう一つの態様によれば、本発明の組成物は、免疫抑制療法に暴露された哺乳類におけるエンベロープウイルスの細胞病原性効果の治療のための有効な薬剤であることを見いだした。本発明の更にもう一つの態様によれば、本発明の組成物は、化学療法剤による治療中または後の再活性化ウイルス感染から哺乳類を保護するための有効な薬剤を提供することを見いだした。本発明の更にもう一つの態様によれば、抗ウイルス作用を有するPrunella vulgarisの新規抽出物およびこの抽出物を含む処方物の製造法が提供される。本発明のもう一つの態様によれば、哺乳類におけるエンベロープウイルスの細胞病原性効果の治療に有効なPrunella vulgarisからの活性画分の精製および特性決定の方法が提供される。本発明の更にもう一つの態様によれば、本発明の組成物は、エンベロープウイルスによって引起される疾患の哺乳類における予防および治療に有効な薬剤であることを見いだした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】発明の分野 本発明は、Prunella vulgarisの穂から抽出し、精製することができる新規組 成物に関する。本発明の組成物は、哺乳類におけるエンベロープウイルスの細胞
病原性効果の治療のための有効な薬剤である。別の観点では、本発明は、本発明
の組成物を活性薬剤として用いる哺乳類におけるエンベロープウイルスの細胞病
原性効果および関連症状のの治療法に関する。更にもう一つの観点では、本発明
は、免疫抑制療法に暴露された哺乳類におけるエンベロープウイルスの細胞病原
性効果の治療法に関する。更にもう一つの観点では、本発明は、化学療法剤で治
療中または後の再活性化ウイルス感染症から哺乳類を保護する方法に関する。も
う一つの観点では、本発明は、Prunella vulgarisから抗ウイルス作用を有する 本発明の組成物を得る方法、およびその組成物を含む処方物に関する。更に別の
観点では、本発明は、Prunella vulgarisからの本発明の組成物の精製法および その特性決定に関する。
【0002】発明の背景 エンベロープウイルスによって引起されるウイルス感染症は、宿主細胞のウイ
ルス感染を特徴とする外因性の種類の疾患である。このような感染症の一例とし
ては、α−、β−およびγ−ヘルペスウイルスなどの広汎なヘルペス関連ウイル
スによって引起される後天性ヘルペスウイルス感染症が挙げられ、感染の開始は
宿主細胞の単純ヘルペスウイルス(HSV)による感染を特徴とする。主要なヘ
ルペスウイルス感染症は、通常は幼児期に獲得されるが、後になり休眠相(すな
わち、神経における)に入る。ヘルペスウイルス感染症の再活性化は、紫外線、
ストレスおよび成年期の開始(adult onset)など様々な要因によって起こる。
【0003】 ウイルスの病原性を阻害し、ウイルス感染症を予防または治療する化合物を同
定するため、広汎な研究が行われている。幾つかの抗ウイルス薬が現在用いられ
るが、様々なウイルス感染症の予防または治療に活性が一層大きくかつ一層特異
的である他の化合物が強く望まれている。
【0004】 ヘルペスウイルス感染症の発生率と重篤さは、疾患の種類、薬剤使用の頻度お
よび薬剤および類似体耐性ヘルペス感染症の出現により過去10年間に増加して
おり、HSVエンベロープウイルス疾患とそれらの進行の病態生理学に、HSV
感染症の予防または治療を目的とするより活性でより特異的な化合物を同定する
ための新たな興味が生じている。
【0005】 ヘルペスウイルス関連感染症は、偏在性である。30歳代までの米国人口の約
16〜35%、40〜80%および90%以上は、それぞれ単純ヘルペスウイル
ス1型(HSV−1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)および水痘−
帯状ヘルペスウイルス(VZV)に対して血清反応陽性であるかまたはこれに感
染している。HSV−1は、単純ヘルペス症、角膜炎および脳炎の原因である。
HSV−2は性器ヘルペスに関与しており、VZVは水痘および帯状ヘルペスの
起因体である。ヘルペス科の5種類の他のウイルス、特にEpstein-Barrウイルス
(感染性単核細胞症およびBurkittリンパ腫)、サイトメガロウイルス(先天性 CMV感染症)、ヒトヘルペスウイルス6型および7型(幼児の熱病および発疹
)、およびヒトヘルペスウイルス8型(Kaposi肉腫)も、ヒトの病因となる。
【0006】 現在、2種類の抗ウイルス薬が、ヘルペス感染症に対して臨床的に用いられて
いる。第一の種類は、アシクロビールおよびそのプロドラッグ誘導体(例えば、
バラシクロビールおよびファムシクロビール)、およびアデニンアラビノシド(
ara−A)のようなヌクレオシド類似体によって代表される。アシクロビールは 、HSVに感染した細胞におけるDNA合成を選択的に阻害する。アシクロビー
ルは、ウイルス性チミジンキナーゼによって活性化され、リン酸化されてアシク
ロビール−三リン酸となり、ウイルス性DNAポリメラーゼによってDNA鎖に
組込まれる。
【0007】 第二の種類の抗ウイルス薬は、ホスホノホルメート(ホスコビール)およびホ
スホノアセテートのような直接的HSVDNAポリメラーゼ阻害薬である。これ
らの薬剤に対する耐性は、チミジンキナーゼおよびDNAポリメラーゼでの突然
変異によって起きる。
【0008】 過去10年間に、ヘルペス感染症の発生率と重篤さは、積極的な化学療法によ
る治療法、臓器移植の拡大、およびヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症の発
生の増加によって生じた免疫抑制患者数の増加により増加してきた。この疾患の
パターンの変化と薬剤使用頻度の増加により、アシクロビールおよび他のヌクレ
オシド類似体耐性ヘルペス感染症が出現し、新規かつ有用な抗ウイルス薬、特に
アシクロビールとは異なる作用形態を有する薬剤が必要とされている。
【0009】 単純ヘルペスウイルス(HSV)および他のウイルスの複製に対するポリアニ
オン性物質の阻害効果は、既に40年前に報告されていた。しかしながら、これ
らの知見は、これらの化合物の抗ウイルス作用が大部分が非特性的であると考え
られたため、余り興味を引かなかった。1984年に後天性免疫不全症候群(A
IDS)の起因体としてヒト免疫不全ウイルス(HIV)が同定されてまもなく
、ヘパリンおよび他のアニオン性(硫酸化)多糖類が、細胞培養においてHIV
−1複製の有効な阻害薬であることが見いだされた。1988年来、アニオン性
多糖類の活性スペクトルは、免疫抑制(例えば、AIDS)患者において日和見
病原体(例えば、単純ヘルペスウイルス(HSV)およびサイトメガロウイルス
(CMV))として出現するウイルスなどの各種のエンベロープウイルスにも敷
衍されることが見いだされている。潜在的な抗ウイルス薬の候補として、アニオ
ン性多糖類は、多数の有望な特徴を提供する。
【0010】 従って、エンベロープウイルスによって引起される各種形態のウイルス感染症
のそれぞれによって引起される細胞病原性効果の予防および治療に有効な化合物
および方法が当該技術分野で必要とされている。
【0011】
【発明の概要】発明の簡単な説明 本発明によれば、本発明者らは、Prunella vulgarisの穂から抽出して精製す ることができる新規組成物が、哺乳類におけるエンベロープウイルスの細胞病原
性効果の治療に有効な薬剤であることを見いだした。本発明のもう一つの態様に
よれば、本発明者らは、本発明の精製組成物を活性薬剤として用いる哺乳類にお
けるエンベロープウイルスの細胞病原性効果および関連症状の治療法を見いだし
た。本発明の更にもう一つの態様によれば、本発明者らは、本発明の精製組成物
が、免疫抑制療法に暴露された哺乳類におけるエンベロープウイルスの細胞病原
性効果の治療の有効な薬剤であることを見いだした。更にもう一つの本発明の態
様によれば、本発明者らは、本発明の精製組成物が、化学療法剤による治療中ま
たは後の再活性化ウイルス感染症から哺乳類を保護するための有効な薬剤である
ことを見いだした。本発明のもう一つの態様によれば、本発明者らは、Prunella
vulgarisから抗ウイルス作用を有する本発明の組成物を得る方法を見いだし、 更に、上記組成物を含む処方物も提供する。本発明の更にもう一つの態様によれ
ば、本発明者らは、Prunella vulgarisから本発明の組成物の精製およびその特 性決定の方法を見いだした。
【0012】
【発明の具体的説明】発明の詳しい説明 本発明によれば、実質的に精製された形態の組成物であって、 (1) グルコース、ガラクトースおよびキシロースを含んでなる水溶性のポリア ニオン性多糖類であって、ペーパークロマトグラフィーによって分析したところ
グルコースが主成分であり、ガラクトースとキシロースが微量成分であり、 (2) プロトロンビン時間試験によって測定したところ、抗凝固薬活性を実質的 にほとんどまたは全く示さず、 (3) ウイルス結合前並びにウイルス結合および浸透後にウイルス感染を阻害す ることができ、 (4) イン・ビボ毒性を実質的にほとんどまたは全く示さない ことを特徴とする組成物が提供される。
【0013】 本発明の組成物は、 (5) 分子質量が約10kDa未満であり、 (6) 約95〜100℃の範囲の温度への4時間の暴露に対して安定であり、 (7) 約1mg/mlの濃度の水溶液に分散したときのpHが5.5であり、 (8) メタノール、エタノール、ブタノール、アセトンおよびクロロホルムに実 質的に不溶性であり、 (9) 元素含量が炭素が約30.78%、水素が約3.05%、窒素が0.66 %、および硫黄が2.69%であり、 (10) グルクロン酸として表した炭水化物を42%(w/w)含み、 (11) グルクロン酸として表したウロン酸を7.5%(w/w)含み、 (12) 中性pHでアルシアンブルーおよびDEAEセファロースに結合すること
ができ、 (13) 非タンパク質性であり、 (14) 水性媒質に分散したとき、202nmに強いUV吸収ピークと280nm
から380nmにかけてショルダーを有し、 (15) C18カラム(25cm×4.6mmID,5μ,Supelcosil LC-18,Si
gma)上で逆相高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)に付し、5%水:95 %アセトニトリルで0.3ml/分の流速で溶出したとき、保持時間が3.56
分であり、 (16) 哺乳類におけるエンベロープウイルスの細胞病原性効果の治療に有効であ
る ことを更に特徴とすることができる。
【0014】 本発明の新規組成物は、抽出および精製についての様々な確立された方法によ
って調製することができる。1つのこのような方法は、本明細書の例1および例
2に記載されている方法である。もう一つの方法では、例えば、本発明の組成物
は、植物Prunella vulgarisの細胞から、Prunella vulgarisからの抽出物を負に
帯電した材料に選択的に結合するアニオン交換材料と接触させ、アニオン交換材
料から本発明の組成物を回収して、本発明の組成物を精製することによって得る
ことができる。
【0015】 本発明は、治療が必要な哺乳類におけるエンベロープウイルスの細胞病原性効
果の治療に適する医薬処方物であって、適当な薬学上許容可能なキャリヤーと共
に本発明の組成物の有効量を含む医薬処方物にも関する。エンベロープウイルス
の例としては、単純ヘルペスウイルス1型および2型、ヒト免疫不全ウイルス1
型(HIV−1)、ヒトサイトメガロウイルス、麻疹ウイルス、耳下線炎ウイル
ス、インフルエンザおよびバラインフルエンザウイルス、呼吸器シンシチウムウ
イルスなどが挙げられる。
【0016】 本発明は、治療が必要な哺乳類におけるエンベロープウイルス、更に好ましく
は単純ヘルペスウイルスの細胞病原性効果の治療に適する医薬処方物であって、
上記の精製組成物の有効量または上記の精製組成物とその薬学上許容可能なキャ
リヤーとの有効量を含む処方物にも関する。
【0017】 本発明は、エンベロープウイルスの細胞病原性効果の治療法であって、治療が
必要な哺乳類に上記の医薬処方物または上記精製組成物の有効量を、場合によっ
ては薬学上許容可能なキャリヤーと共に投与することを含んでなる方法にも関す
る。更に具体的には、治療を行う哺乳類は、上記エンベロープウイルスによって
引起された感染症に罹っていると診断されたヒトである。更に具体的には、治療
を行う哺乳類は、特に単純ヘルペスウイルスを有すると診断されたヒトである。
【0018】 本発明のもう一つの態様によれば、哺乳類におけるエンベロープウイルスの細
胞病原性効果の治療法が提供される。本発明の方法は、治療の必要な哺乳類に上
記の精製組成物の有効量を投与することを含んでなる。
【0019】 本発明で用いられる「哺乳類」とは、ヒト並びに他の哺乳類を表し、ウシ、ヒ
ツジおよびブタのような経済的に重要な動物を包含する。本発明による治療が願
が得られる好ましい哺乳類は、ヒトである。成人並びに非成人(すなわち、新生
児、思春期前の哺乳類など)が、本発明による治療が考えられる。
【0020】 本発明で用いられる「エンベロープウイルスの細胞病原性効果」という用語は
、エンベロープウイルスの感染によって引起される細胞の異常状態を表す。上記
のように、エンベロープウイルスによって引起されるウイルス感染症は、宿主細
胞でのウイルス感染を特徴とする外因性の種類の疾患である。エンベロープウイ
ルスによって引起されるウイルス感染症は、エンベロープウイルスへの直接的暴
露の結果または血清反応陽性の哺乳類におけるエンベロープウイルスの再活性化
として獲得されることがあり、再活性化は、様々な環境因子(例えば、ストレス
)、免疫抑制療法(すなわち、疾患や、化学療法剤または免疫抑制剤によって弱
められた免疫応答に関する)、他のウイルス感染(例えば、HIVなど)により
生じる免疫能力の弱体化、エージオンセット(age onset)など、これらに限定さ れない広汎な薬剤に暴露することによって誘導されることがある。本明細書に記
載の細胞でのウイルス感染を特徴とする疾患としては、培養細胞の感染症(すな
わち、溶菌感染、持続感染、潜在感染、形質転換感染、不全型感染など)、伝染
性疾患、症状および疾病(すなわち、急性感染、不顕性または無症候性感染、慢
性および持続感染、潜在感染、緩進行性疾患、ウイルスによって誘導される腫瘍
など)などが挙げられる。
【0021】 本発明の組成物は、患者に投与するときには精製形態で含まれているのが好ま
しい。本発明の組成物を植物の穂から抽出物によって得るときには、可溶性抽出
物を(残留)粒状物質から適当な手段(例えば、濾過、遠心分離、または他の適
当な分離法)によって分離するのが望ましい。本発明の組成物の治療薬としての
有用性は、精製度を高めることによって増加する。余り精製されていない抽出物
を用いるときには、多めの投薬量が必要となることがある。
【0022】 本発明の組成物は、重金属、混入植物材料、混入微生物、シュウ酸またはシュ
ウ酸の前駆体、または植物材料から誘導することができる製剤中に含まれていて
もよい任意の他の混入物を実質的に含まないことが好ましい。
【0023】 本発明の組成物は、これを必要とする哺乳類、更に具体的にはヒトにおけるエ
ンベロープウイルス(例えば、HSV)の細胞病原性効果の阻害に用いることも
できる。
【0024】 植物Prunella vulgarisの穂からの本発明の組成物の単離は、このような材料 を得るための現在最も実際的な方法であるが、本発明は、本明細書に記載の特性
を有する組成物の回収可能量を含む可能性がある他の植物のような他の供給源か
らこれらの材料を得ることも考えている。考えられる他の植物としては、亜科Ne
petoideae内の種が挙げられ、Prunellaはその1種である。本発明の組成物は、P
runella vulgaris細胞のような植物細胞をイン・ビトロで培養し、この細胞から
活性成分を抽出しまたは細胞培地から活性成分を回収することによって得ること
も可能である。
【0025】 本明細書で用いられる「抽出物」という用語は、Prunella vulgarisの穂また は他の部分、または活性成分の精確な構造、調製の形態または方法、または単離
法とは関係なく、この植物のあらゆる品種、種、雑種または属を包含するがこれ
に限定されない他の天然供給源から単離された活性成分を意味する。「抽出物」
という用語は、上記の生物学的特性または治療上の指示(therapeutic indicatio
n)を有する抽出物の塩、複合体および/または誘導体も包含するものである。「
抽出物」という用語は、本発明の同一または同様な生物学的効果を生じる同一ま
たは同様な特性を有する合成によりまたは生物学的に産生した類似体、同族体お
よび模造品をも含むものである。
【0026】 本発明で用いることが考えられる精製組成物としては、任意の植物または種、
好ましくは天然または変異形態でのPrunella vulgaris、および天然、合成また は組換え体の任意の供給源由来の本明細書に記載の特性を有する精製抽出画分が
挙げられる。また、本発明の範囲内には、上記の精製組成物の類似体、同族体お
よび模造品が含まれる。
【0027】 本発明では、本発明の組成物の特徴を有する合成製剤の使用も考えられる。こ
のような合成製剤は、上記した本発明の組成物の化学構造および/または官能特
性に基づいて調製することができた。本発明の組成物の化学構造および本発明に
よる組成物の官能特性を有する類似体、同族体および模造品も考えられる。
【0028】 本明細書で用いられる本発明の組成物の「類似体、同族体および模造品」とい
う表現は、明らかな構造上の類似性を持たない化合物に対して1個以上の残基の
追加および/または置換および/または欠失程度だけ本発明の組成物の構造と異
なる化合物を包含する。しかしながら、いずれの場合にもこれらの化合物は、本
発明の組成物と実質的に同一の活性を有する。従って、「類似体」とは、本発明
の組成物と同一の基本構造を有するが幾つかの残基が異なる化合物を表し、「同
族体」とは、限定された数の残基の添加および/または欠失および/または置換
によって本発明の組成物とは異なる化合物を表し、「模造品」とは、本発明の組
成物に関して特異的な構造上の類似性のない化合物を表す。実際に、模造品はポ
リアニオン性炭水化物でもある必要はないが、このような化合物は本発明の組成
物の生物学的活性の特徴を示す。
【0029】 本明細書で用いられる「治療」とは、治療的および予防的処理を表す。治療が
必要なものとしては、既にエンベロープウイルス感染症に罹っているもの、並び
にエンベロープウイルス感染症の治療が失敗したものが挙げられる。
【0030】 本発明で用いる目的で記載されている本発明の組成物は、適当なビヒクルで送
達することにより、これらの組成物を経口送達、経皮送達、皮下送達(例えば、
静脈内送達、筋肉内送達、動脈内送達、腹腔内送達など)、局所送達、吸入送達
、浸透圧ポンプなどを行いやすくすることができる。用いた送達の方式によって
は、上記組成物を様々な薬学上許容可能な形態で送達することができる。例えば
、上記組成物は、固形物、溶液、エマルション、分散液、ミセル、リポソームな
どの形態で送達することができる。
【0031】 本発明の実施に用いようとする医薬処方物は、経腸または非経口投与に適する
有機または無機キャリヤーまたは賦形剤と混合した本発明の組成物を含む。活性
成分は、例えば錠剤、ペレット、カプセル、座薬、溶液、エマルション、懸濁液
、および使用に適する他の任意の形態のための通常は毒性のない薬学上許容可能
なキャリヤーと混合することができる。用いることができるキャリヤーとしては
、グルコース、ラクトース、アラビアゴム、ゼラチン、マンニトール、澱粉ペー
スト、三ケイ酸マグネシウム、タルク、トウモロコシ澱粉、ケラチン、コロイド
状シリカ、ジャガイモ澱粉、尿素、中鎖長トリグリセリド、デキストラン、およ
び固形、半固形または液状形態の製剤の製造に用いるのに適した他のキャリヤー
が挙げられる。更に、助剤、安定剤、増粘剤および着色料、および香料を用いる
こともできる。本発明に用いようとする活性化合物は、標的のエンベロープウイ
ルス疾患に対して所望な効果を生じるのに十分な量で医薬処方物に含まれる。
【0032】 本発明で考えられる活性化合物を含む医薬処方物は、錠剤、トローチ、ロゼン
ジ、水性または油性懸濁液、分散性粉末または顆粒、エマルション、硬質または
軟質カプセル、またはシロップまたはエリキシルなど経口使用に適した形態とす
ることができる。経口使用を目的とした処方物は、医薬処方物の製造に当該技術
分野で知られている任意の方法によって製造することができる。更に、このよう
な処方物は、甘味料(例えば、スクロース、ラクトースまたはサッカリン)、香
味料(例えば、ハッカ油、冬緑油または桜桃油)、着色料および防腐剤などから
選択される1種類以上の薬剤を含み、薬学上洗練されかつ味のよい製剤を提供す
ることができる。毒性がない薬学上許容可能な賦形剤と混合した活性成分を含む
錠剤は、既知の方法によって製造することもできる。用いられる賦形剤は、例え
ば(1)炭酸カルシウム、ラクトース、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウムなど の不活性希釈剤、(2)トウモロコシ澱粉、ジャガイモ澱粉、アルギン酸などのよ うな造粒および崩壊剤、(3)トラガカントゴム、トウモロコシ澱粉、ゼラチン、 アラビアゴムなどのような結合剤、および(4)ステアリン酸マグネシウム、ステ アリン酸、タルクなどのような滑沢剤であることができる。錠剤は、コーティン
グを施していなくてもよく、またはそれらは既知の手法によってコーティングを
施して消化管での崩壊および吸収を遅らせることによって、より長時間にわたっ
て持続作用を提供することもできる。例えば、モノステアリン酸グリセリンまた
はジステアリン酸グリセリンのような時間遅延材料を用いることができる。それ
らは、米国特許第4,256,108号、第4,160,452号および第4,
265,874号明細書に記載の手法によってコーティングを施し、制御放出用
浸透治療錠剤を形成させることもできる。
【0033】 幾つかの場合には、経口使用のための処方物は、硬質ゼラチンカプセルの形態
であって、活性成分が炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、カオリンなどの不活
性固形希釈剤と混合したものであることができる。それらは、軟質ゼラチンカプ
セルの形態であって、活性成分が水または油状媒質、例えばピーナッツ油、流動
パラフィン、またはオリーブ油と混合したものであることもできる。
【0034】 医薬処方物は、滅菌注射用懸濁液の形態であってもよい。この懸濁液は、適当
な分散または湿潤剤、および懸濁剤を用いる既知の方法によって処方することが
できる。滅菌注射用製剤は、毒性のない非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒
の滅菌注射用溶液または懸濁液、例えば1,3−ブタンジオールの溶液であるこ
ともできる。滅菌した一定の油状生成物が、通常は溶媒または懸濁媒質として用
いられる。この目的に対して、合成のモノ−またはジグリセリド、脂肪酸(オレ
イン酸など)、天然に存在する植物油、例えばゴマ油、ココナッツ油、落花生油
、綿実油など、または合成の脂肪性ビヒクル、例えばオレイン酸エチルなどの任
意の刺激性のない一定の油状生成物を用いることができる。緩衝剤、防腐剤、酸
化防止剤などを、必要に応じて配合することができる。
【0035】 相乗的治療および予防効果を促進する他のウイルスDNA合成阻害剤またはD
NAポリメラーゼ阻害剤を、本発明の組成物と組合わせて投与するのが望ましい
ことがある。
【0036】 薬剤の治療法または投与パターンは、本発明の組成物の効果を相殺する薬剤と
本発明の組成物との同時投与を行うものであることができる。更に、治療法は、
1つの薬剤を投与した後に、第二の薬剤を投与する交互パターンの段階的なもの
であることができる。段階的投与としては、1つの薬剤を複数回投与した後に第
二の薬剤の複数回投与が挙げられる。薬剤を投与する順序およびそれぞれの投与
期間の長さは、実施者が適当と考えるものである。
【0037】 本発明の組成物は、持続放出系を用いて適当に投与することもできる。持続放
出組成物の適当な例としては、成形製品、例えばフィルムまたはマイクロカプセ
ルの形態の半透性ポリマーマトリックスが挙げられる。持続放出マトリックスと
しては、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号明細書)、L−グルタ
ル酸とγ−エチル−L−グルタメート(Sidman et al., Biopolymers, 22:547-5
56 (1983))、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langer et al.
, J. Biomed. Mater. Res., 15:267-277 (1981))、エチレンビニルアセテート ( Langer et al., 同上)、またはポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧
州特許第133,988号明細書)などが挙げられる。本発明の組成物を含む持
続放出処方物としては、本発明によるリポソームに取込まれた組成物も挙げられ
る。リポソームは、当該技術分野で知られている方法によって調製される(例え
ば、DE3,218,121号明細書;米国特許第4,485,045号および
第4,545,545号明細書参照)。
【0038】 非経口投与には、1態様では、本発明の組成物は、単位投薬量の注射用形態(
溶液、懸濁液またはエマルション)を薬学上許容可能なキャリヤー、すなわち用
いる投薬量および濃度で患者にとって無毒でありかつ処方物の他成分と和合性で
あるものと混合することによって処方される。処方物は、酸化剤、およびポリペ
プチドにとって有害であることが知られている他の化合物を含まないのが好まし
い。
【0039】 一般に、処方物は、本発明の組成物を、液体キャリヤーまたは微粉砕した固形
キャリヤー、または両方と均一かつ緊密に接触させることによって調製される。
次いで、必要ならば、生成物を所望な形態に成形する。好ましくは、キャリヤー
は非経口キャリヤーであり、更に好ましくは患者の血液と等張の溶液である。例
としては、水、食塩水、リンゲル溶液、デキストロース溶液などが挙げられる。
一定の油状生成物およびオレイン酸エチルのような非水性ビヒクル、並びにリポ
ソームも、本発明で用いられる。
【0040】 キャリヤーは、好ましくは等張性および化学的安定性を高める物質のような微
量の添加剤を含む。このような材料は、用いられる投薬量および濃度で患者にと
って無毒であり、リン酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酢酸、および他の有機酸
またはそれらの塩のような緩衝剤、アスコルビン酸のような酸化防止剤、ポリア
ルギニンまたはトリペプチドのような低分子量(約10残基未満)ポリペプチド
、血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質、ポリビ
ニルピロリドンのような親水性ポリマー、グリシン、グルタミン酸,アスパラギ
ン酸またはアルギニンのようなアミノ酸、単糖類、二糖類、およびセルロースま
たはその誘導体、グルコース、マンノース、またはデキストリンなどの他の炭水
化物、EDTAのようなキレート化剤、マンニトールまたはソルビトールのよう
な糖アルコール、ナトリウムのような対イオン、および/またはポリソルベート
、ポロクスマー(poloxmers)またはPEGのようなノニオン性界面活性剤が挙げ られる。本発明の組成物は、典型的には臨床的に関連した/許容可能なプロトコ
ールによってこれらのビヒクル中で処方される。上記の賦形剤、キャリヤーまた
は安定剤のあるものを用いれば、本発明の組成物の塩が形成されることが分かる
であろう。
【0041】 更に、本発明の組成物は、許容可能なキャリヤービヒクル中で適当に処方され
て、医薬処方物、好ましくは細胞を含まない処方物が形成される。一つの態様で
は、処方物に用いられる緩衝剤は、生成する処方物が直ちに混合に用いられるか
または後で用いるために保存される科によって変化する。直ちに用いるときには
、本発明の組成物は、適当なpHのマンニトール、グリシンおよびリン酸塩中で
処方することができる。この混合物を保存しようとするときには、適当なpHの
緩衝剤中で、場合によっては、更にこのpHで本発明の組成物の溶解度を増加さ
せる界面活性剤の存在下にて処方するのが好ましい。最終製剤は、安定な液体ま
たは凍結乾燥した固形生成物であることができる。
【0042】 本発明の組成物を投与に適する任意の方法で処方することができるときには、
現在好ましい処方物は、本発明の組成物約2〜20mg/ml、オスモライト(o
smolyte)約2〜50mg/ml、安定剤約1〜15mg/ml、および約pH5
〜6、更に好ましくはpHが約5〜5.5の緩衝溶液を含む。好ましくは、オス
モライトは、約2〜10mg/mlの濃度の無機塩または約40〜50mg/m
lの濃度の糖アルコールであり、安定剤はベンジルアルコールまたはフェノール
であるか、または両方であり、緩衝溶液は酢酸塩緩衝溶液である。オスモライト
が塩化ナトリウムであり、酢酸塩が酢酸ナトリウムである処方物は、更に一層好
ましい。更に一層好ましくは、本発明の組成物の量は約8〜12mg/mlであ
り、塩化ナトリウムの量は約5〜6mg/mlであり、ベンジルアルコールの量
は約8〜10mg/mlであり、フェノールの量は約2〜3mg/mlであり、酢酸
ナトリウムの量は約50mMであり、pHが約5.4となるようにする。更に、
処方物は、界面活性剤約1〜5mg/ml、好ましくはポリソルベートまたはポ
ロキサマーを約1〜3mg/mlの量で含むことができる。あるいは、本発明の
処方物の調製には、本発明の組成物を5mg/mlで、10mMクエン酸緩衝液
および126mM NaCl,pH6で適当に溶解させる。
【0043】 治療用に用いられる本発明の組成物は、滅菌したものでなければならない。滅
菌性は、滅菌濾過膜(例えば、0.2ミクロン膜)で濾過することによって容易
に得られる。本発明による治療組成物および処方物は、一般に滅菌アクセスポー
トを有する容器、例えば皮下注射針が貫通することができる栓を有するバイアル
に入れる。
【0044】 本発明の組成物および処方物は、通常は単位または複数回投与量容器、例えば
密封アンプルまたはバイアルに、水溶液としてまたは再構成のための凍結乾燥処
方物として保存される。凍結乾燥処方物の一例として、10mlバイアルに本発
明による組成物の滅菌濾過水溶液5mlを充填し、生成混合物を凍結乾燥する。
輸液溶液は、凍結乾燥材料を制菌注射用水中で再構成することによって調製され
る。
【0045】 活性成分の典型的な一日投与量は、通常は約10μg〜約1g/kg体重の範
囲内にあり、好ましくは約100μg〜約500mg/kg体重の範囲内にあり
、例えば1日5回まで投与することができる。現在のところ好ましい一日投与量
は約1mg〜約50mg/kg体重の範囲内にある。典型的には、活性化合物は
、医薬処方物の0.1〜90重量%、好ましくは例えば医薬処方物の0.5〜5
0重量%の量で含まれる。上記の範囲内で操作する場合には、投与経路、および
様々な点、例えば患者の年齢、患者の大きさ、患者の他の障害、場合によっては
患者が用いている他の医薬などによって変化する。
【0046】 一般的提案として、投与量当たりの非経口投与された本発明の組成物の薬学上
総有効量は、有意な水準の毒性を誘発することなく治療効果を提供するのに十分
な量である。個々の患者により、症状の重篤さは広汎に変化し、それぞれの活性
成分は独特な治療上の特徴を有するので、治療に対する患者の桜桃を決定し、従
って投薬量を変化させることは実施者次第である。
【0047】 本明細書に示されるイン・ビトロデータに基づけば、本発明の組成物(例4参
照)10μg〜50mg/gクリームまたは軟膏の濃度は、単純ヘルペスウイル
スの細胞病原性の予防で局所塗布するのに有効であることが予想される。
【0048】 本発明のもう一つの態様によれば、治療を必要としている哺乳類におけるエン
ベロープウイルスの細胞病原性効果および関連症状の治療法であって、哺乳類に
本発明の組成物の有効量を投与することを含んでなる方法が提供される。
【0049】 本発明による治療を考えたエンベロープウイルスの細胞病原性効果を示す患者
は、エンベロープウイルスに血清反応陽性を示すもの、好ましくはHSV、VZ
V、またはHIV感染症と診断されているものである。
【0050】 本発明のもう一つの態様によれば、免疫抑制療法に暴露された哺乳類における
エンベロープウイルスの細胞病原性効果の治療法であって、本発明の組成物の有
効量を上記哺乳類に投与することを含んでなる方法が提供される。
【0051】 エンベロープウイルスの細胞病原性効果を示しかつ本発明による治療のために
考えられた免疫抑制療法に暴露された患者は、正常な免疫耐性が、例えば臓器移
植、異物移植、化学療法を行った患者(例えば、癌患者)などの後に免疫抑制剤
へ暴露することにより抑制されている患者である。
【0052】 本発明の更にもう一つの態様によれば、化学療法剤に暴露されたまたはこれを
用いる治療の後の哺乳類を、再活性化エンベロープウイルス感染症の細胞病原性
効果から保護する方法であって、この哺乳類に本発明の組成物の有効量を投与す
ることを含んでなる方法が提供される。
【0053】 化学療法剤による治療中または後のエンベロープウイルスの再活性化細胞病原
性効果から保護される患者としては、化学療法剤の投与によって通常は治療され
る任意の疾患、例えば臓器移植、ネフローゼ症候群、癌患者などに罹っている患
者が挙げられる。
【0054】 本発明のもう一つの態様によれば、抗ウイルス作用を有するPrunella vulgari
sの新規な抽出画分およびその抽出画分を含むの調製法が提供される。例えば、 本明細書で提供される例1、2および3に記載の方法を参照されたい。
【0055】 エンベロープウイルスの細胞病原性効果を防止するのに活性である抽出物また
は抽出画分を用いて、哺乳類、最も好ましくはヒトにおけるエンベロープウイル
ス感染症の細胞病原性効果を下記の方法で治療することができた。
【0056】 (i) 未処理の水性抽出物を哺乳類細胞に0.5mg/ml程度の濃度まで投 与したが、明らかな副作用は見られなかったので、これをヒト患者が接種するこ
ともでき、またウイルス関連疾患の可能性を減少させることができる。
【0057】 (ii) エンベロープウイルスに対して活性を有する化合物を、この化合物を更
に精製した後にウイルス感染症の患者に静脈内投与することもできた。活性化合
物は消化管から100%吸収されるとは思われないので、この化合物は経口より
静脈内投与したときの方が一層効果的であることがある。
【0058】 (iii) エンベロープウイルスに対して活性を有する精製化合物を脊髄液中に投
与することができ、エンベロープウイルス感染症の患者におけるエンベロープウ
イルス関連疾患の可能性を防止することができることも考えられる。
【0059】 抽出物を処方して、抽出物の有効量を薬学上許容可能なキャリヤー(上記)と
共にまたはなしで含んでなる医薬組成物とすることが考えられる。本明細書に引
用される総ての文献および特許明細書の内容は、その開示の一部として本明細書
に引用される。
【0060】 多数の天然生成物が、単純ヘルペスウイルスに対して阻害効果を有することが
知られている。MusciとPragai (Experientia 41:6 (1985)参照)は、4種類の フラボノイド、すなわちケルセチン、ケルシトリン、ルチンおよびヘスペリジン
のHSV−1およびブタ(アルファ)HSV−1(仮性狂犬病ウイルス)に対す
る阻害効果を示した。ウイルス阻害とフラボノイドの宿主細胞のサイクリックA
MPを増加させる能力との直接的関係が見られ、フラボノイドはサイクリックヌ
クレオチド代謝を介して抗ウイルス作用を示すことを暗示している。Wleklik et
al.(Acta Virol. 32:522 (1988))は更に、フラボノイドの3、5、7、3′ および4′位のヒドロキシル化は最大の抗ヘルペス活性と結びついていることを
示した。Hayashi et al.(Antimicrob. Agents Chemother. 36: 1890-1893 (199
2))は、Cepalotaxus drupaceaから単離したビファバノンギンクゲチン(bifavan
one ginkgetin)によるVero細胞でのHSV−1およびHSV−2複製の阻害を報
告した。HSV−1に対するIC50は、0.91μg/mlであった。ギンク
ゲチンは、ウイルスタンパク質合成を抑制し、HSV−1の細胞への結合および
浸透については全く効果を示さなかった。Barnard et al.(Chemother. 39:203
-211 (1993)参照)は、HSVの細胞への浸透を阻害する2100Daのフラボ ノイドポリマーを報告した。
【0061】 多糖類は、動物ウイルスの成長に影響を与えることが知られている(G.J. Gal
asso, T.C. MeriganおよびR.A. Buchanon監修のShannan, W.M.著「抗ウイルス薬
およびヒトのウイルス性疾患」、Raven Press、ニューヨーク(1984年)、 55〜121頁参照)。特に、ヘパリン、デキストラン硫酸、カラギーナン、ペ
ントサンポリスルフェート、フコイダン、および硫酸化キシロガラクタンのよう
なアニオン性多糖類は、宿主細胞へのヘルペスウイルスの結合の強力な阻害薬で
ある(例えば、Gonalez et al., Antimicrob. Agents Chemother. 31:1388-1393
(1978); Baba et al., Antimicrob. Agents Chemother. 32:1742-1745 (1988);
およびDamonte et al., Chemother. 42:57-60 (1996)参照)。硫酸化多糖類の活
性スペクトルは、日和見病原体として出現するウイルスを包含する各種のエンベ
ロープウイルス(例えば、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)、麻疹ウイ
ルス、耳下線炎ウイルス、インフルエンザおよびバラインフルエンザウイルス、
呼吸器シンシチウムウイルス、およびサイトメガロウイルス(CMV))まで敷
衍されることが示された。これらの多糖類は、ウイルス糖タンパク質に対するレ
セプター(ヘパラン硫酸)の競合体である。Herold et al.(J. Virol. 70:3461
-3469 (1996)参照)は、N−硫酸化およびヘパリンにおけるカルボキシ基の存在
は、HSV−1およびHSV−2の宿主細胞との相互作用の重要な決定因子であ
ることを示した。しかしながら、これらの多糖類は抗凝固剤活性も有し、従って
抗ヘルペス薬として不適当である。
【0062】 幾つかの植物タンパク質は、抗ヘルペス活性を有することが知られている。よ
く知られているものは、リボソーム不活性化タンパク質(例えば、アメリカヤマ
ゴボウの抗ウイルスタンパク質(例えば、Teltow et al., Antimicrob. Agents
Chemother. 23:390 (1983))およびレクチン(例えば、コンカナバリンA;例え
ば、Okada, Y. and J. Kim, Virology 5: 507 (1972)を参照されたい)である。
アメリカヤマゴボウの抗ウイルスタンパク質は30kDaの一本鎖ポリペプチド
であり、HSVに不可逆的に結合し、ウイルスに結合した後にのみ宿主細胞に入
る。宿主細胞に入った後、タンパク質はタンパク質合成を阻害する。コンカナバ
リンAはウイルスエンベロープと相互作用して、感染力を阻害しまたは感染した
細胞からウイルスが出て行くのを遮断する。更に最近、2種類の他の植物タンパ
ク質と1種類のヒト血清タンパク質の抗HSV活性が報告された。MAP30お
よびGAP31は、それぞれ中国ニガウリMomordica charantiaおよびヒマラヤ 杉Gelonium multiflorumから単離された30kDaおよび31kDaのタンパク
質である(例えば、Bourinbaiar, A.S. and S. Lee-Huang, Biochem. Biophys.
Res. Comm. 219:923-929 (1996)を参照)。いずれのタンパク質も、HSV−1 およびHSV−2に対するIC50は0.1〜0.5μMの範囲であった。MA
P30およびGAP31の作用の様式は知られていない。高密度血清アポリポタ
ンパク質A−1は、1μMのHSV誘導細胞融合を阻害することが見いだされた
(Srinivas, R.V., et al., Virology 176:48-57 (1990)参照)。アポリポタン パク質A−1の18アミノ酸合成ペプチド類似体は、ウイルスが細胞中へ浸透す
るのを阻害するが、ウイルス吸着を防止しなかった。
【0063】 他の抗ヘルペス天然生成物としては、テルペノイドおよびタンニンが挙げられ
る。テルペノイド(例えば、グリシルリジン酸、例えばVanden Berghe, D.A., e
t al., Bull. Inst. Pasteur 84:101 (1986)参照)は、HSV複製を阻害する(
Hudson, J.B., 「植物の抗ウイルス化合物」、CRC Press, Inc.、Boca Raton、 フロリダ(1990年)参照)。タンニンは、ウイルス吸着を阻害すると思われ
る(例えば、Fukudri, K., et al., Antiviral Res. 11:285-297 (1989)参照) 。Xu et al.(Heterocycles 38:167-175 (1994)参照)は、加水分解性タンニン であるゲポニンおよび没食子アルデヒドは、HSV−1に対するIC50がそれ
ぞれ25および12.5μg/mlであることを示した。
【0064】 中国、イギリス諸島、欧州で普通に見られる多年生植物であるPrunella vulga
risは、内部および外部目的の収斂剤(例えば、Grieve, M.「最新草本」、Dover
Publications、ニューヨーク(1973年)参照)として、粗製の抗癌剤(例 えば、Lee, H. and J.Y. Lin, Mutation Res. 204:229-234 (1988)を参照された
い)として、高血圧を下げるための草本医薬品(例えば、Namba, T. 「和漢薬(
伝統的な日中医薬品)百科事典」、第II巻、120〜121頁、Hoikusha Publi
shing Co., Ltd.、大阪、日本(1994年)参照)として用いられてきた。西 洋の草本医薬品では、この植物(「薬草」としてよく知られている)は、蜂蜜で
甘味を付けた熱水浸剤の形態で口および喉の爛れの治療に用いられている(例え
ば、Grieve, M., 「最新草本」、Dover Publications、ニューヨーク(1973
年)参照)。Zheng(Chung-Hsi-I-Chieh-Ho-Tsa-Chih 10:39-41 (1990)参照)は
、ヘルペス性角膜炎の臨床治療にPrunella vulgarisの粗製水性抽出物を用いて 幾らか成功を収めたことを報告した。Prunella vulgarisおよびPyrrosia lingua
の粗製抽出物を含む点眼薬を投与された78名の患者の中、38名は治癒し、3
7名は改善が認められ、3名は効果が認められなかったことが報告された。Prun
ella vulgarisの粗製の水性抽出物には、検出可能な抗凝固剤活性は含まれてい なかった(Zeng, F.-Q., 理学修士論文、National University of Singapore( 1996年)参照)。従って、Prunella vulgarisは抗ヘルペス植物である幾ら かの証拠はあるが、活性な抗ヘルペス成分は知られていない。
【0065】 HSV−1、HSV−2およびVSVはヒトα−ヘルペスウイルスに属し、一
方サイトメガロウイルスおよびEpstein-Barrウイルスはそれぞれβ−ヘルペスお
よびγ−ウイルスに属している。HSVは、二本鎖DNAを含む大型の(直径1
80〜200nm)エンベロープウイルスである。DNAコアは、162個のカ
プソマーを含む正二十面体のキャプシドによって囲まれている。このキャプシド
は、次に少なくとも11種類の既知の糖タンパク質(gB、gC、gD、gE、
gG、gH、gI、gJ、gK、gLおよびgM)からなりその多くが細胞への
ウイルス付着および感染細胞の融合に関与している糖タンパク質含有エンベロー
プによって囲まれている。エンベロープとキャプシドとの間には、他のウイルス
タンパク質を含んでいる被包がある。
【0066】 宿主細胞のHSV感染は、ビリオンの細胞表面のプロテオグリカンへの結合に
より開始する多段階現象である。プロテオグリカン上のヘパリン硫酸残基がウイ
ルス結合の部位であるが、HSVはコンドロイチン硫酸に結合することもできる
。2個のウイルス糖タンパク質gCおよびgBは、ヘパリン硫酸へのHSVの付
着に関与している。gCは結合に主要な役割を演じており、これがビリオンから
なくなると、gBが効率は低くなるが結合を媒介する。HSVが細胞中に入る次
の段階は、gDと恐らくはマンノース−6−リン酸レセプターである第二の細胞
表面分子との相互作用を含んでいる(Brunetti, C.R., et al., J. Biol. Chem.
269:17067-17074 (1994)参照)。HSVの浸透はウイルスエンベロープと細胞 膜との融合によって起こる。この融合はpH依存性であり、少なくとも4種類の
ウイルス糖タンパク質gB、gD、gHおよびgLの関与が必要である。誘導体
後の後、ウイルスヌクレオキャプシドが細胞質に放出されて、コーティングが除
かれてウイルスDNAが核に入ることが出きるようになる。ウイルス複製は核に
おいて通常の様式で起こり、最初に遺伝学転写の調節に必要な前初期タンパク質
、初期タンパク質(例えば、DNAポリメラーゼ)および後期タンパク質(構造
タンパク質)が出現する。子孫ビリオンは、核に集められ、小胞体を通って細胞
から出て行くと広く考えられている。
【0067】 本発明によれば、20種類を上回る植物からの抽出物を、標準的プラーク減少
分析法を用いて抗HSV−1活性についてスクリーニングを行った(Edgar, L.,
et al.、「臨床微生物学便覧(Manual of clinical microbiology)」−第5版、
A. Balows(監修責任者)、American society for Microbiology、ワシントンD
C(1991年)、1184〜1191頁参照)。Prunella vulgarisの穂から 調製した熱水抽出物は良好な活性を示し、細胞毒性は示さなかった。部分精製抽
出物(PVP)は、エタノール沈澱による凍結乾燥した水性抽出物から調製した
。抗ヘルペス抽出物を、ゲル浸透カラムクロマトグラフィー(Sephadex G-50) によって更に精製した。抗ヘルペス活性を有する画分(画分E)を集めた。逆相
(ODS-2)カラムを用いるHPLC分析では、画分Eは1個の主ピークと2個の 極めて小さなピークを含むことが示された。プラーク減少分析法では、PVPお
よび画分EのHSV−1に対するIC50はそれぞれ18および10μg/ml
であった。
【0068】 精製抽出物は、臨床単離物、およびHSV−1およびHSV−2のアシクロビ
ール耐性(チミジンキナーゼ欠損およびDNAポリメラーゼ欠損)株でも活性で
あった。HSV−1を精製抽出物と共に前インキュベーションしたところ、ウイ
ルスの感染力はなくなったが、Vero細胞の前処理では、HSV−1の感染は防止
されず、抽出物は感染の初期現象(結合および/または浸透)を防止することが
確認された。一段階成長の研究では、感染から0、2、4および7.25時間後
にPVPを添加したところ、総(細胞外および細胞内)ウイルス収率はそれぞれ
99、96、94および90%減少した。これらの結果により、この化合物はウ
イルス複製も妨げることが確かめられる。
【0069】 画分Eは、フェノール硫酸分析法(Dubois, M., et al., 1956, Anal. Bioche
m. 28:350-356 (1956)参照)によって測定したところ、42%(w/w)の炭水
化物(グルクロン酸として表した)を含んでいた。ウロン酸(グルクロン酸とし
て表した)の含量は、BlumenkrantzとAsboe-Hansenによって報告されたウロン酸
分析法(Blumenkrantz, N., and G. Asboe-Hansen, Anal. Biochem., 54:484-48
9 (1973)参照)によって測定したところ、7.5%(w/w)に過ぎなかった。
この化合物は、Alcianブルー(Whiteman, P., Biochem. J. 131:343-350 (1973)
)および中性pHでのDEAEセファロースへのその結合から明らかなように、
ポリアニオン性である。ヘキソースアミンおよびタンパク質は、検出されなかっ
た。ペーパークロマトグラフィーによって分析したところ、精製抗ヘルペス多糖
類はグルコース、ガラクトースおよびキシロースを含んでなることが確認された
【0070】 精製抽出物は水溶性であるが、メタノール、エタノール、ブタノール、アセト
ンとまたはクロロホルムには不溶性であった。画分Eの水溶液(1mg/ml)
のpHは5.5であった。分光光度分析法では、202nmに強い吸収ピークと
280nmから380nmにかけてショルダーが示された。ゲル濾過カラムを用
いるHPLCによって評価した精製化合物の分子質量は、3,500kDaであ
った。Tabba et al.(Antiviral Res. 11:263-274 (1989))によって以前に単離
されたポリアニオン性多糖類であるプルネリンは、水溶液でのpHが7.4であ
り、370nmから500nmにかけて吸収ピークを示し、分子質量は10,0
00kDaである。これにより、画分Eの抗ヘルペス化合物もポリアニオン性炭
水化物であり、プルネリンとは化学的に異なっていることが確かめられる。
【0071】 本発明によれば、Prunella vulgarisの抽出物は抗ヘルペスウイルスの治療に 有効であることが見いだされた。この植物は、オレアノール酸、トリテルペン酸
(ウルソール酸)、トリテルペノイド、フラボノイド(ルチン)、フェンコンお
よびプルネリンを含むことが知られている(例えば、Namba, T. 「和漢薬(伝統
的な日中医薬品)百科事典」、第II巻、120〜121頁、Hoikusha Publishin
g Co., Ltd.、大阪、日本(1994年)参照)。プルネリンは10kDaのア ニオン性多糖類であり、ヒト免疫不全ウイルス1型の複製を阻害することが示さ
れている(例えば、Tabba, H.D., Antiviral Res. 11:263-274 (1989)およびYao
, X.-J., et al., Virology, 187:56-62 (1992)参照)。ルチンはHSVに対し て幾らかの活性を有することが示されているが(例えば、Mucsi, I., and B.M.
Pragai, Experientia 41:6 (1985)参照)、他の化合物がヘルペスウイルスに対 して活性を有することは示されていない。
【0072】 実験室用ウサギの目およびマウスの耳感染症モデルは、HSV感染症での実験
モデルとして詳細に特性決定されている。これらおよび他の動物の感染症モデル
を用いて、前臨床評価におけるPrunella vulgarisからの本発明の抽出画分の有 用性を検討することができる。
【0073】 下記の例により、Prunella vulgaris植物の穂の抽出、抽出物の特徴、および 抽出物の単純ヘルペスウイルスの細胞病原性効果の阻害に対する効果を説明する
【0074】 例に記載の結果は、P. vulgarisの多糖類は、既知の抗ヘルペス薬より優れた 抗ウイルス薬であることを明確に示している。既知の抗凝固薬であるヘパリンと
は対照的に、PVPは平均プロトロンビン時間が水と同様であり、PVPが抗凝
固薬活性を全くまたはほとんど持たないことを示唆している。更に、P. vulgari
sのアニオン性多糖類は、ウイルス結合前並びにウイルス結合および浸透後にH SV感染を阻害することが見いだされた。1段階成長の研究(例6)は、ウイル
ス感染の7.25時間後でも、P. vulgaris多糖類はウイルス収率を90%まで 減少させることができることを明確に示している。これは、ヘパリンナトリウム
がウイルス感染の開始時に存在するときにのみ、すなわちウイルスが細胞に結合
して感染サイクルを開始していないときにのみ、抗ヘルペス活性を示すことと極
めて対照的である。
【0075】
【実施例】
下記の諸例は単なる例示のためのものであり、特許請求の範囲によって定義さ
れる本発明の範囲を制限しようとするものではない。当業者であれば、本発明の
方法において様々な修飾および変更を、本発明の精神および範囲から離反するこ
となく行うことができることは明らかであろう。従って、本発明が特許請求の範
囲およびそれと同等のものの範囲内にあるという条件で、本発明は本発明の修飾
および変更を包含するものである。
【0076】例1 Prunella vulgarisからの本発明の組成物の抽出 Prunella vulgarisの乾燥した穂(1.4kg)を、Waringブレンダーで粉砕 して細片にした。蒸留水(12L)を加え、懸濁液を95〜100℃で90分間
煮沸した。抽出物を傾瀉して容器を空にし、植物を同じ条件下で水で更に2回抽
出した。抽出物を綿布で濾過し、不溶性植物材料を除去した。透明になった抽出
物の容積を、ロータリーエバポレーターで約1リットルまで減少させた。濃縮抽
出物を凍結乾燥した。総量が85gの暗褐色乾燥粉末が得られた(図1参照)。
【0077】 水性抽出物の抗ヘルペス成分を、エタノールによって沈澱させた。これを行う
ため、凍結乾燥水性抽出物30gを水300mlに溶解し、エタノールを最終濃
度が90%(容積/容積)まで加えた。混合物を、4℃で18時間インキュベー
ションした。沈澱を綿濾過によって回収し、ブタノール4×1.5Lで洗浄した
後、メタノール3×1.5Lで洗浄した。これにより、暗褐色粉末31gが得ら
れ、PVPと命名した(図1参照)。エタノール沈澱からの上清は、プラーク減
少分析法では抗ヘルペス活性が見られず(例2参照)、廃棄した。
【0078】例2 カラムクロマトグラフィーによる抽出画分の精製 活性の抗ヘルペス成分を、ゲル濾過カラムクロマトグラフィーによって更に精
製した。PVPの水溶液(450mg/10ml)をSephadex G-50カラム(9 8×2.5cm)にかけて、水で溶出した。5ml画分を集めた。抗ヘルペス活
性は、プラーク減少分析法を用いて検出した。これを行うため、画分を凍結乾燥
し、蒸留水に再溶解して1mg/mlとした。プラーク減少分析法は、Edgar et
al.が記載の方法に準じて行った(「臨床微生物学便覧(Manual of clinical mi
crobiology)」−第5版、A. Balows(監修責任者)、American society for Mic
robiology、ワシントンDC(1991年)、1184〜1191頁参照)。簡 単に説明すれば、培養プレート上で生育させたVero細胞の単層にウイルス100
〜200pfu(プラーク形成単位)を感染させた。1時間インキュベーション
してウイルスを吸着させた後、接種物を吸引し、2%メチルセルロース中Prunel
la vulgaris抽出物の希釈物を含む培地(2%ウシ胎児血清を含むDulbeccoの改 良Eagle培地)を重層した。37℃で72時間インキュベーションした後、プレ ートをホルマリンで固定し、クリスタルバイオレットで染色し、風乾して、プラ
ーク数を計数した。抽出物を含まない培地を重層したプレートを、コントロール
として用いた。プラーク形成の阻害率は、下記のようにして計算した。
【0079】
【数1】
【0080】 活性画分をプールして、凍結乾燥した。試験化合物を省いたコントロールプレ
ートの平均値は、188.5プラーク/ウェルであった。
【0081】 活性の抗ヘルペス活性は、画分番号91〜131に見いだされた(表1参照、
これはSephadex G-50カラムからの画分の抗HSV−1活性を示す)。これらの 画分をプールして、貯蔵画分C、D、EおよびFを得たが、最高活性は画分Eに
見られた(図2参照)。それぞれの貯蔵画分中の回収された材料の量を示した。
【0082】
【表1】
【0083】 この例の結果から、本発明のPrunella vulgarisから単離した精製抽出画分は 抗ヘルペス活性を有することが確かめられる。
【0084】例3 精製抽出画分のHPLC分析 Prunella vulgarisからの抗ヘルペス材料の純度を、3種類の調製物(水性抽 出物、PVPおよび画分E)を逆相高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)に
よる分析によって評価した。水溶液(10μg/ml)の分量(25μl)を、 C18カラム(25cm×4.6mmID,5μ,Supelcosil LC-18, Sigma)
に注入した。化合物を、5%水:95%アセトニトリルで0.3ml/分の流速
で溶出した。化合物を、210nmでUV検出器を用いて検出した。保持時間が
3.56分のピークを、精製工程中に濃縮した(図3参照)。画分Eでは、この
3.56分のピークは本質的に単一のピークであった。例4で提供した抗ヘルペ
ス試験の結果(精製中に特異的抗HSV−1活性が増加する)と共に、この例の
結果により、3.56分のピークはPrunella vulgarisの精製抽出画分であり、 この精製抽出画分は高い抗ヘルペス活性を有することが確認される。
【0085】例4 阻害活性IC 50 Prunella vulgarisからの抗ヘルペス化合物の効力を一定範囲の濃度のPVP を用いて評価し、画分Eを用いてVero細胞におけるHSV−1によるプラーク形
成を阻害した。プラーク阻害率は、加えたPVPと画分Eの量によって変化した
(表2参照)。IC50は、記載した分析系で形成したプラークの数において5
0%阻害を引起す抽出物の濃度として定義される。ゼロ阻害は、分析中に形成し
たプラークの数が、抽出物を含まないコントロールによって形成されるプラーク
の数と等しいかまたはそれ以上であるものである。100%阻害は、分析中にプ
ラークが全く形成しない場合である。50%阻害(IC50)を生じるのに要す
るPVPおよび画分Eの濃度は、それぞれ18および10μg/mlと計算され
た。表2に、PVPおよび画分Eによるプラーク形成の用量依存阻害を示す(試
験化合物を含まないコントロールは、平均値が64.25プラーク/ウェルであ
った)。
【0086】
【表2】
【0087】 この例の結果により、Prunella vulgarisからの精製抽出画分は単純ヘルペス ウイルスに対して有効かつ有用であることが確認される。
【0088】例5 活性のスペクトル 多数のウイルスをプラーク減少分析法に用いて、Prunella vulgarisからの抽 出画分の活性のスペクトルを評価した。結果は、PVPは100μg/mlで、
HSV−1およびHSV−2の実験室および臨床株によるVero細胞でのプラーク
形成が完全に阻害されることを示した。PVPは、100μg/mlで、HSV
−1{DM2−1株(チミジンキナーゼ欠損)およびPAAr5株(DNAポリ
メラーゼ欠損)]およびHSV−2Kost株(チミジンキナーゼ変更)のアシクロ
ビール耐性株も阻害した。PVPは100μg/mlで、サイトメガロウイルス
、ヒトインフルエンザウイルスAおよびB型、ポリオウイルス1型、および水疱
性口内炎に対して活性を示さなかった。サイトメガロウイルスおよびヒトインフ
ルエンザウイルスを用いる試験については、それぞれヒト***細胞およびMDC
K(イヌ腎)細胞をVero細胞の代わりに用いた。
【0089】 この例の結果により、Prunella vulgarisからの抽出画分はHSV−1および HSV−2に対して特異活性を有し、これがアシクロビール耐性HSVに対して
活性であるので、Prunella vulgarisからの抽出画分は、アシクロビール耐性H SVによって引起される感染症の細胞病原性効果の治療に特に有用な薬剤である
可能性があることも示すことが確かめられる。
【0090】例6 HSV−1感染症に対するPrunella vulgaris抗ヘルペス化合物の効果 PVPの抗ヘルペス効果の作用方式を検討した。Vero細胞を、75μg/ml
PVPと共に37℃で16〜20時間前インキュベーションした。細胞を培地で
洗浄して、HSV−1に感染させた。細胞をPVPで処理していないコントロー
ルと同数のプラーク(50プラーク/ウェル)が観察された。これは、Vero細胞
をPVPで前インキュベーションしても保護効果はないことを示している。
【0091】 ウイルスをPVPで前インキュベーションすることによって感染力がなくなる
かどうかを検討するため、PVP100μgをHSV−1 10pfuと共に
37℃でインキュベーションした。1時間のインキュベーションの後、混合物を
培地で10,000倍に希釈して、Vero細胞の感染に用いた。インキュベーショ
ンの後の単層には、プラークは認められなかった。対照的に、ウイルスをPVP
の代わりに培地で前処理したコントロールプレートには、平均して130プラー
ク/ウェルが見られた。この知見は、HSV−1の感染力がPVPで前インキュ
ベーションすることによって消失し、PVPが恐らくウイルス粒子に結合し、そ
れらがVero細胞上のヘパリン硫酸に結合するのを防止することによってその効果
を発揮することを示唆している。ヘルペスの感染力を減少させるためのこの作用
様式は、アシクロビールおよび他の既知のヌクレオシド類似体とは全く異なって
いる。
【0092】 PVPの予防効果を、PVPをHSV−1と同時にVero細胞に添加することに
よって説明した。PVP75μg/mlをHSV−1と同時にVero細胞に加える
と、プラーク形成が98%以上減少することが認められた。PVP100μgお
よびHSV10プラーク形成単位を、4℃、周囲温度(25℃)および36℃
で1時間インキュベーションしたところ、ウイルス感染力の99%がなくなった
。PVPの保護効果を、PVPを感染後に添加した場合にも説明した。
【0093】 PVPのVero細胞中でのHSV−1の成長に対する効果を、1段階成長研究で
更に検討した。Vero細胞の単層に、4℃でHSV−1を感染多重度(MOI)5
、すなわち5ビリオン/細胞で感染させた。この温度では、ウイルスは細胞に結
合するが、浸透しない。従って、単層中の総ての細胞を、ウイルス感染の同一段
階で同期させた。細胞を低温培地で洗浄し、洗浄段階の0、2、4および7.2
5時間後にPVP75μg/mlで処理した。それぞれの時点の総ウイルス収率
を、上清(細胞外)および溶解細胞(細胞内)からの試料を接種することによっ
て測定した。結果から、PVPを感染から0、2、4および7.25時間後に添
加したとき、総ウイルス収率は、細胞をPVPで処理しなかったコントロールと
比較して、それぞれ99、96、94および90%だけ減少したことが確かめら
れる。
【0094】 この例の結果から、Prunella vulgarisからの抽出画分は細胞内でもヘルペス ウイルスに作用して感染ウイルスの収率を減少し、ウイルスの細胞−細胞伝達を
防止子、抽出画分はウイルス複製工程におけるある種の生合成段階を細胞内で妨
害することが確かめられる。
【0095】例7 Prunella vulgairsからの抗ヘルペス化合物の化学的性状 抗ヘルペス化合物の化学的性状を、様々な化学試験によって検討した。総炭水
化物含量を、標準としてグルクロン酸を用いるフェノール硫酸分析法によって評
価したところ、画分Eの抗ヘルペス化合物は42%(w/w)の炭水化物(グル
クロン酸として表した)を含むことを示していた。ウロン酸を、グルクロン酸を
標準として用いて、BlumenkrantzとAsboe-Hansenによって報告された方法(Anal
. Biochem., 54:484-489 (1973)参照)を用いて測定した。抗ヘルペス化合物は 、7.5%(w/w)のウロン酸(グルクロン酸として表した)を含む。総ヘキ
ソースアミンは、N−アセチルグルコースアミン(Sigma)を標準として用いてMol
gan-Elson試薬(Whiteman, P., Biochem. J., 131: 343-350 (1973))を用いて 測定した。ヘキソースアミンは検出されなかった。タンパク質は、ウシ血清アル
ブミンを標準として用いるクーマジーブルー染料結合法(Bio-Rad)によって測定 した。タンパク質は検出されなかった。元素分析では、精製抽出画分が、炭素3
0.78%、水素3.05%、窒素0.66%および硫黄2.69%を含むこと
が示された。
【0096】 抗ヘルペス化合物は、Whitemanによって報告された方法に準じてカチオン染料
Alcian Blue 8GXによって沈澱することが見いだされた(Biochem. J., 131:343-
350 (1973)参照)。抗ヘルペス化合物は、中性pHでDEAEセファロースに強
く結合し、2M NaClで溶出することができた。これらの実験により、Prun
ella vulgarisからの抗ヘルペス抽出画分はポリアニオン性炭水化物であること が確かめられる。
【0097】 抗ヘルペス化合物は水溶性であるが、メタノール、エタノール、ブタノール、
アセトンまたはクロロホルムには不溶性であった。この化合物は、熱安定性であ
る(95〜100℃、4時間)。抗ヘルペス化合物の1mg/ml水溶液は、p
Hが5.5であった。分光光度法では、202nmに強い吸収ピークと、280
nmから380nmにかけてショルダーを示した。対照的に、Tabba et al.によ
って以前に単離されたプルネリン(Antiviral Res., 11:263-274 (1989)参照) は、水溶液のpHが7.4であり、370nmから500nmにかけて吸収ピー
クを示す。
【0098】 この例の結果により、Prunella vulgarisからの抗ヘルペス抽出画分はプルネ リンとは異なることが確かめられる。
【0099】例8 細胞毒性 水性抽出物の哺乳類細胞に対する細胞毒性効果を、公表された方法(Blay, J.
, and A.S.L. Poon, Toxicon., 33:739-746 (1995)参照)に準じてラットの腸上
皮細胞系(RIE−1)を用いて試験した。T84ヒト腸上皮細胞およびKBヒ
ト口腔上皮細胞のようなヒト由来の細胞を包含する他の細胞系を用いて試験して
、毒性の欠如が1細胞系または種に限定されないことを確かめることもできる。
乾燥した水性抽出物をDMSOに溶解し、RIE−1細胞に直接添加する前に、
培地(5%の熱不活性化ウシ血清を含むDulbeccoの改良Eagle培地)で希釈した 。培養物を48時間インキュベーションした。MTT(3−[4,5−ジメチル
チアゾール−2−イル]−2,5−ジフェニルテトラゾリウムブロミド)を培養
ウェルに加え、最終濃度を0.5mg/mlとした。培養物を37℃で3時間イ
ンキュベーションし、ミトコンドリア性スクシネートデヒドロゲナーゼによって
MTTをホルマザン染料に転換した。染料を、Titertek Multiscan プレートリ ーダーによりA492で測定した。同僚のDMSOを含むが試験抽出物を含まな
いプレートを、コントロールとして用いた。細胞毒性率を、試験からのA492 の読みを、抽出画分を省いたコントロールウェルからのA492の読みと比較す
ることによって計算した。
【0100】 この例の結果により、Prunella vulgarisの水性抽出画分は、試験した最高濃 度、すなわち500μg/mlまで細胞毒性効果を示さないことが確認される(
図4参照)。
【0101】 上記の例1〜8に記載の実験シリーズにより、Prunella vulgarisから得られ る本発明の組成物はポリアニオン性炭水化物であり、500μg/mlまで無毒
であり、エンベロープウイルス、具体的にはHSV−1、HSV−2の株、例え
ばアシクロビール耐性株に対する特異的な新規活性を示すことが確認される。
【0102】 Prunella vulgarisからの活性抽出画分を精製して均質にし、その化学的およ び生物学的特性を測定してその化学的性状、作用様式、および活性のスペクトル
を理解し、これにより以下の例に準じて抗ウイルス薬としてのその有用性および
効力を改良することができる。
【0103】例9 Prunella vulgarisからの抗ヘルペス抽出物の単離および精製 抗ヘルペスアニオン性多糖類を、例2に記載の方法を用いてBiogel P4カラム (95×2.5cm)上で画分DおよびE(例2参照)からの貯蔵材料を再クロ
マトグラフィーすることによって精製した。得られた画分のHSV−1に対する
収率および阻害活性を、図5に示す。本発明の精製した抽出画分を、本明細書に
開示したように、抽出、沈澱、およびゲル濾過クロマトグラフィーによって調製
することもできる。代替精製手段、例えば密度平衡遠心分離、限外濾過および透
析を用いることもできる。工業的規模の工程についての更に経済的な活性化合物
の精製は、例えばイオン相互作用クロマトグラフィー(DEAE−Sepharose 4B
)および逆相高圧液体クロマトグラフィーにより行うことができる。活性化合物
は、DEAE Sepharose 4Bに中性pHで強く結合し、2M NaClで溶出す ることができるので、エタノール沈澱化合物をDEAE−Sepharoseカラムにか けて、活性化合物をNaClグラディエントで溶出し、活性画分を標準的プラー
ク減少分析法によって同定することができる。その後、活性画分をプールし、透
析し、工業的規模のHPLCにスケールアップすることができる代表的精製法で
ある合成用逆相(C−18)カラムを用いるHPLCによって更に精製すること
ができる。画分IVからの試料をHPLCによって分析すると、単一ピークが得ら
れ、抗ヘルペス化合物が純粋であることが示唆された(図6)。HPLCの条件
は下記の通りである:カラム−TSK G3000PWx1, 7.8 mm x 30 cm, 6 μm;流速 0.8ml/分;移動相−水;検出−UV210nm;注入20μlおよび濃度 0.2mg/ml。
【0104】例10 P. vulgarisからの抗ヘルペス化合物の化学的特性決定 次の目的は、精製化合物の分子量または質量を決定することであった。高分子
の分子質量の決定に最もよく用いられる方法は、ゲル浸透クロマトグラフィー、
HPCL排除クロマトグラフィー、浸透圧、SDSゲル電気泳動、G-75を用いる
Squire法、選択された分子質量カットオフを有する膜による透析、沈降速度測定
を備えた超遠心分離などである。精製化合物の分子質量は、ゲル濾過カラム(TSK
-GEL G3000PWx1, 7.8 mm x 30 cm, 6 μm)を用いるHPLCによって評価した。
精製化合物の理論分子質量は、3,500kDaである。(図7;これは、Tabb
a et al.(Antiviral Res. 11:263-274 (1989))によって以前に単離された分子
質量が10,000kDaのプルネリンと対照的である。)元素、赤外、NMR
および他の分光光度法による分析手段を用いて、活性化合物の特性決定を行うこ
ともできる。
【0105】 精製化合物を、2Nトリフルオロ酢酸中で121℃で1時間加水分解した。加
水分解生成物をペーパークロマトグラフィー(溶媒系:ピリジン:酢酸エチル:
水=4:10:3)によって分析したところ、グルコース、ガラクトースおよび
キシロース標準物質と同一のR値を有する3個のスポットを得た。生成物を酸
(例えば、2N HCl)中で完全に加水分解し、HPLCおよびガスクロマト
グラフィーによって単糖類成分を分析することもできる。スポットの強度を比較
することによって、グルコースが主要な糖成分であった。ガラクトースおよびキ
シロースは、微量成分であった。
【0106】 これらの結果は、精製した抗ヘルペス多糖類は、主としてグルコースからなり
、単糖類成分として幾らかのガラクトースとキシロースを含むことを示唆してい
る。これらの単糖類の幾つかは、それらの上にSOおよび/COOH基を有し
、多糖類のアニオン性状を賦与していると思われる。ウロン酸分析法(Blumenkr
antz, N., and G. Asboe-Hansen, Anal. Biochem., 54:484-489 (1973)参照)、
およびMolgan-Elson分析法(Ghuysen, J.M., et al., Methods Enzymology 8:68
5-699 (1966)参照)のような既存の分析法を用いて、含まれているウロン酸およ
びヘキソースアミンの量を確認することができる。単離化合物の他の特性、例え
ばpI、水溶液のpH、および溶解度を当該技術分野で知られている手段によっ
て決定することができる。
【0107】例11 P. vulgarisからの抗ヘルペス化合物の生物学的特性決定 1. HSVに対する精製多糖類の活性 本明細書に開示されているように、半精製抽出画分は、ウイルスに対して細胞
外および細胞内で作用することによるイン・ビトロでの抗HSV活性の2つの機
構を有する。(複数の)活性化合物は細胞外で結合し、これによって感染ウイル
スの収率を減少させ、ウイルスの細胞−細胞伝達を防止するので、化合物はウイ
ルス複製工程での他の官能または生合成段階を細胞内で妨げると思われる。
【0108】 作用の特異的様式は、当該技術分野で知られている手段を用いることによって
、例えばビリオン結合分析法によって解明することができる。この例では、35 Sで標識したHSV−1を、2%の透析したウシ胎児血清と35S−メチオニン
(10μCi/ml,特異活性>800Ci/ミリモル,New England Nuclear )を含むメチオニン欠損培地で生育した7〜20時間ウイルス感染Vero細胞から
の培養液のスクロースグラディエント(20〜60%,w/w)分画によって精
製する。放射能標識したウイルスを、精製化合物または培地と共に4℃でインキ
ュベーションした後、感染多重度(MOI)1のVero細胞の単層に加えた。4℃
で1時間インキュベーションして、ウイルスを吸着した後、細胞をウシ血清アル
ブミン(0.5%)を含むリン酸緩衝食塩水で洗浄して、未吸着ウイルスを除く
。ウイルス結合の程度は、化合物で処理したまたは培地で処理したウイルスで感
染した単層の放射能を測定することによって比較することができる。あるいは、
単層細胞を界面活性剤で可溶化し、細胞に結合した放射能標識をSDS−PAG
Eおよびフルオログラフィーによって分析することができる。
【0109】 主要なウイルスキャプシドタンパク質VP5を、デンシトメトリーによる定量
に好都合なタンパク質として用いることができる(Herold, B.C., et al., J. V
irol., 65:1090-1098 (1991)参照)。当該技術分野で知られている他の結合実験
を用いて、ウイルス結合動態およびVero細胞に既に結合したウイルスに対する本
発明の化合物の効果を検討することができる。
【0110】 gCおよびgBに関するウイルス結合におけるPrunella vulgaris化合物の特 異的役割を、HSV−1のgC欠損およびgB欠損突然変異体と特異的抗−gC
およびgB抗体を用いて更に確認することができる。ウイルス浸透に対する化合
物の効果は、当該技術分野で知られている方法、例えばHerold et al., J. Viro
l. 70:3461-3469 (1996)の、吸着ウイルスのpH3.0緩衝液に対する耐性を測
定する方法を用いて検討することができる。
【0111】 化合物の細胞内抗HSV活性は、Vero細胞をMOIが20のHSV−1で4℃
で感染させ、次いで、化合物の存在下または非存在下における細胞成長(細胞外
上清および細胞溶解生成物から)を感染から0、0.5、1、2、4、8、12
、16、および20時間後に比較することによって検討することができる。この
例の「単細胞成長」実験により、本明細書に開示されている本発明の結果、とり
わけ、感染後に化合物を添加することによって培養物におけるウイルス収率が減
少することが確認されると思われる。これらの試料についての超微細構造の研究
は、既知の方法(例えば、Gollins and Porterfield, J. Gen. Virol., 66:1969
-1982 (1985)参照)を用いて行うことができる。HSV−1の細胞中へ入る様式
を、化合物の存在下または非存在下でインキュベーションした感染細胞の細胞お
よび亜細胞コンパートメントにおける引続く形態学的展開と比較することによっ
て、本発明の化合物の基本的なウイルス阻害特性の知識が増加し、これを用いて
生化学的および分子レベルで本発明の化合物の作用様式を定義することができる
【0112】
【表3】
【0113】 これらの結果は、P. vulgarisからの精製多糖類が、いずれの型のヘルペスウ イルスに対しても、アシクロビールに感受性であるかまたは耐性であるかに関わ
らず、活性を有することを示している。これらの結果は、P. vulgaris化合物が アシクロビールとは異なる作用様式を有することを示し、アシクロビール耐性ヘ
ルペスウイルスによって引起される感染症の治療に用いることができることを示
唆している。
【0114】 抽出画分の精製化合物の活性を、ヘルペス科のウイルス(例えば、VZVおよ
びサイトメガロウイルス)およびヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)、ヒ
トサイトメガロウイルス、麻疹ウイルス、耳下線炎ウイルス、インフルエンザお
よびバラインフルエンザウイルス、呼吸器シンシチウムウイルスなどの他のエン
ベロープウイルスに対して試験し、所定のエンベロープウイルスについてのその
特異的有用性の決定に用いる活性および抗凝固薬活性の完全なスペクトルを決定
することができる。
【0115】2. 抗凝固薬活性 化合物の抗凝固薬活性は、プロトロンビン時間試験によって測定した。プロト
ロンビン時間は、BBLフィブロメーター(Becton Dickinson and Co.、米国)
を用いて37℃で測定した。ウサギ耳周辺静脈から採取した血液(9ml)を3
.8%クエン酸ナトリウム(1ml)と混合して、1,500×gで10分間室
温にて遠心分離し、試験血漿として透明な上清を得た。典型的な分析法では、試
験溶液50μl(1mg/ml)、50mMトリス緩衝液150μl、0.1M
HCl,pH7.5、カルシウムを含むトロンボプラスチン100μl、および 血漿100μlを含む混合物を、37℃でインキュベーションした。プロトロン ビン時間は、血液凝固によりフィブロメーターが停止したとき、秒で記録した。
【0116】 抗ヘルペス化合物の平均プロトロンビン時間は25.9±1.5秒であり、水
コントロールの29.9±1.4秒と同様の値であった。これらの結果は、本発
明の抗ヘルペス化合物が実質的にまたは全く抗凝固薬活性を持たないことを示し
ていた。これは、抗HSV活性を有することが報告されている(Herold et al.,
(1996) J. Virol., 70:3461-3469)既知の抗凝固薬のアニオン性多糖類であるヘ パリンと対照的である。抗凝固薬(例えば、ヘパリン)のプロトロンビン時間は
、約300秒である。
【0117】3. P. vulgaris化合物とヘパリンナトリウムとの間の抗ヘルペス活性の比較研 P. vulgaris化合物とヘパリンナトリウムとの間の抗ヘルペス活性を検討して 、これら2種類の多糖類の差を説明した。第一に、例に記載のプラーク減少分析
法を用いて、2種類の化合物がHSV−1 15577株とΔgC2−3株(糖
タンパク質C欠損HSV−1,Herold et al., (1994) J. Gen. Virol., 75:121
1-1222)を阻害する能力の有意差を観察した。糖タンパク質Cは、哺乳類細胞の
ヘパリンレセプターへのウイルス結合を媒介するウイルスエンベロープタンパク
質の一つである。ヘパリンは、ヘパリンレセプターと競合することによって細胞
のHSV−1感染を阻害すると考えられる(Harold et al. (1994))。15577
およびΔgC2−3株に対するヘパリンのIC50は、それぞれ750μg/m
lおよび>1mg/mlと計算された。対照的に、P. vulgaris化合物のIC は、それぞれ10μg/mlおよび5μg/mlと計算された。
【0118】 P. vulgaris多糖類とヘパリンナトリウムとの第二の主要な差は、結合実験に よって観察した。この実験では、HSV−1(10pfu)0.1mlを、0
.1mlのヘパリンナトリウム(20mg/ml)またはP. vulgaris化合物( 1mg/ml)または水と36℃で1時間インキュベーションした。混合物を培
地で連続希釈し、残存している感染性ウイルスの数をプラーク分析法によって決
定した。水処理コントロールで表れたプラークの数を、100%とした。これら
の結果は、ヘパリン2mgで処理した後、元のHSV−1 15577およびΔ
gC2〜3株のそれぞれ30%および42%は感染性野間まであり、プラーク分
析法によって回収されることを示していた。対照的に、P. vulgaris化合物10 0μgに暴露した後の同量のウイルスは、いずれの株からのウイルスも感染性で
はなく、プラーク分析法によって回収されなかった。
【0119】 ヘパリンナトリウムの抗ヘルペス効果を、結合競合実験によって更に検討した
。この実験では、HSV−1の0.5ml試料(約100pfu)を、様々な濃
度のヘパリンナトリウム0.5mlと混合した。混合物を直ちに用いて、Vero細
胞を37℃で1時間感染させた。インキュベーションの後、プラークの数をプラ
ーク分析法によって決定した。これらの結果は、62.5μg/mlのヘパリン
を用いたとき、15577株についてはプラーク形成が88%阻害されることを
示していた。しかしながら、プラーク形成の完全な阻害は、1mg/mlヘパリ
ンを用いたときにも達成されなかった。1mg/mlヘパリンでは、プラーク阻
害率は92%であった。同様の結果は、gC−欠損HSV−1、ΔgC2−3を
用いたときに得られた。それらの場合に、62.5μg/mlおよび1mg/m
lヘパリンについてのプラーク阻害率は、それぞれ77%および86%であった
【0120】 これらの結果は、ヘパリンナトリウムは、ウイルス感染の開始時に存在すると
きにのみ抗ヘルペス活性を有することを示している。換言すれば、ヘパリンは、
ウイルスが細胞に結合して感染サイクルを開始していないときにのみHSVに対
して阻害効果を有することができる。この表現は、プラーク減少分析法によって
測定したときのIC50値が高い(750〜1000μg/ml)ことによって
も指示される。
【0121】例12 Prunella vulgarisからの抗ヘルペス化合物のイン・ビボでの毒性試験 本発明の化合物のイン・ビボ毒性は、当該技術分野で知られている手段、例え
ば下記のようなアルビノマウスの2段階処理を用いて試験することができる。 段階1: 用量範囲決定 マウスに毒性効果を生じる用量を決定するため、抗ヘルペス抽出物PVPを蒸
留水0.4mlに溶解したものを、BALB/c雌マウス(8月齢、22−23
g)に給餌チューブを介して経口投与した。低用量(例えば、25mg/kg)
の新規化合物を1匹の動物に経口投与した後、1時間毎に24時間、その後は8
時間毎に観察し、連続して14日間毎日観察した。第二の動物には、第一の動物
の二倍の用量を投与した。次いで、引続く動物についてこの工程を繰返し、それ
ぞれに前の動物の2倍用量を最大2000mg/kg(OCEDガイドライン1
995)まで投与した。10匹の動物の全部を用いて、この段階で用量を設定し
た。動物当たりに投与したPVPの量は、25、100、200、400および
800mg/kg体重であった。
【0122】 それぞれの用量において、動物は生き残り、瀕死状態の兆候は全く示さなかっ
た。瀕死状態は、浅い、負荷のかかったまたは不規則な呼吸、筋肉の弱体化また
は振顫、外部刺激に対する自発反応の非存在、直立状態でいることの不能、チア
ノーゼおよび昏睡のような症状を特徴とする。これらの指標のいずれでも瀕死状
態を表し、動物は直ちに安楽死させる。しかしながら、瀕死の影響または致死状
態が観察されない場合には、動物を14日目に屠殺して、選択した臓器(心臓、
肺臓、肝臓、脾臓、腎臓、脳、筋肉、子宮)を組織病理学の目的で採取した。瀕
死の影響または致死状態は観察されなかったので、動物を安楽死させ、それぞれ
の動物の臓器を検討した。選択した臓器の組織学的検討では、炎症や他の病理学
的兆候は見られなかった。これらの結果は、PVPが800mg/kgまでの濃
度ではイン・ビボ毒性を持たないことを示唆している。
【0123】 段階2: 近似的急性毒性(LD50)測定 段階1からの用量範囲決定を用いて、3つの適当な用量レベルを設定してLD 50 を決定した。各用量レベルに対して10匹の動物を用いて、1時間毎に24
時間、その後は8時間毎に観察し、連続して14日間毎日観察した。瀕死状態を
示す動物は直ちに殺し、総ての動物は14日目に殺して、それらの臓器を組織学
の目的で採取する。これらの実験からのデータを用いて、実際のLD50を当該
技術分野の既存の方法を用いて補外および数学的操作によって計算する(例えば
、DePass, Toxicology Letters, 49:159 (1989)を参照されたい)。
【0124】 未処理抽出物(例2参照)および精製画分(例4)に含まれる化合物は、イン
・ビトロでのHSVの細胞病原性効果の抑制において活性である。この後者の活
性およびそれらの生化学的特性のあるもの(特に、そのアニオン特性)に基づい
て、抽出物のこれらの製剤は他のエンベロープウイルスの細胞病原性を抑制する
ことができる。この推論は、Baba et al.(Antimicrobial Agents and Chemothe
rapy, 32:1742 (1988)参照)によって支持されている。
【0125】 最後に、例えばPrunella vulgarisの穂から得られる本発明の組成物は、哺乳 類におけるエンベロープウイルスの細胞病原性効果の治療に有効な薬剤であるこ
とが示された。この結果は、エンベロープウイルス内での精製抽出画分の作用の
経路を明らかにするものである。
【0126】 本発明を、幾つかの好ましい態様について詳細に説明してきたが、修飾および
変更は、記載されかつ特許請求されている発明の精神および範囲の内にあること
が理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】 Prunella vulgarisの穂からの活性な抗ヘルペス抽出物を抽出しおよび単離す る代表的方法。
【図2】 Sephadex G-50カラムによる活性な抗ヘルペス材料の代表的な分離。
【図3】 Prunella vulgarisからの抗ヘルペス製剤のHPLC分析をまとめて表したも の。 図中(a)は、水性抽出物のHPLC溶出曲線、 図中(b)は、部分精製抽出物(PVP;例1参照)のHPLC溶出曲線、 図中(c)は、画分E(例2参照)のHPLC溶出曲線。
【図4】 Prunella vulgarisの水性抽出物が、500μg/mlまで細胞毒性を示さな いことを示す。
【図5】 BioGel P4カラムによる活性な抗ヘルペス材料の更なる分離。
【図6】 精製したPrunella vulgaris多糖類のHPLC曲線。
【図7】 Prunella vulgaris多糖類の分子質量のHPLCによる評価を表すグラフ。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年3月23日(2000.3.23)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0102
【補正方法】変更
【補正内容】
【0102】実施例10 P. vulgarisからの抗ヘルペス化合物の化学的特性決定 次の目的は、精製化合物の分子量または質量を決定することであった。高分子
の分子質量の決定に最もよく用いられる方法は、ゲル浸透クロマトグラフィー、
HPCL排除クロマトグラフィー、浸透圧、SDSゲル電気泳動、G-75を用いる
Squire法、選択された分子質量カットオフを有する膜による透析、沈降速度測定
を備えた超遠心分離などである。精製化合物の分子質量は、ゲル濾過カラム(TSK
-GEL G3000PWx1, 7.8 mm x 30 cm, 6 μm)を用いるHPLCによって評価した。
精製化合物の理論分子質量は、3,500Daである。(図7;これは、Tabba
et al.(Antiviral Res. 11:263-274 (1989))によって以前に単離された分子質
量が10,000Daのプルネリンと対照的である。)元素、赤外、NMRおよ
び他の分光光度法による分析手段を用いて、活性化合物の特性決定を行うことも
できる。
【手続補正書】特許協力条約第34条補正の翻訳文提出書
【提出日】平成12年3月23日(2000.3.23)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正内容】
【0012】
【発明の具体的説明】発明の詳わしい説明 本発明によれば、実質的に精製された形態の組成物であって、 (1) グルコース、ガラクトースおよびキシロースを含んでなる水溶性のポリア ニオン性多糖類であって、ペーパークロマトグラフィーによって分析したところ
グルコースが主成分であり、ガラクトースとキシロースが微量成分であり、 (2) プロトロンビン時間試験によって測定したところ、抗凝固薬活性を実質的 にほとんどまたは全く示さず、 (3) ウイルス結合前並びにウイルス結合および浸透後にウイルス感染を阻害す ることができ、 (4) イン・ビボ毒性を実質的にほとんどまたは全く示さず、 (5) 分子質量が約10kDa未満である ことを特徴とする組成物が提供される。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正内容】
【0013】 本発明の組成物は、 (6) 約1mg/mlの濃度の水溶液に分散したときのpHが5.5であり、 (7) 水性媒質に分散したとき、202nmに強いUV吸収ピークと280nm から380nmにかけてショルダーを有し、 (8) 約95〜100℃の範囲の温度への4時間の暴露に対して安定であり、 (9) メタノール、エタノール、ブタノール、アセトンおよびクロロホルムに実 質的に不溶性であり、 (10) 元素含量が炭素が約30.78%、水素が約3.05%、窒素が0.66
%、および硫黄が2.69%であり、 (11) グルクロン酸として表した炭水化物を42%(w/w)含み、 (12) グルクロン酸として表したウロン酸を7.5%(w/w)含み、 (13) 中性pHでアルシアンブルーおよびDEAEセファロースに結合すること
ができ、 (14) 非タンパク質性であり、 (15) C18カラム(25cm×4.6mmID,5μ,Supelcosil LC-18,Si
gma)上で逆相高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)に付し、5%水:95 %アセトニトリルで0.3ml/分の流速で溶出したとき、保持時間が3.56
分であり、 (16) 哺乳類におけるエンベロープウイルスの細胞病原性効果の治療に有効であ
る ことを更に特徴とすることができる。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0070
【補正方法】変更
【補正内容】
【0070】 精製抽出物は水溶性であるが、メタノール、エタノール、ブタノール、アセト
ンとまたはクロロホルムには不溶性であった。画分Eの水溶液(1mg/ml)
のpHは5.5であった。分光光度分析法では、202nmに強い吸収ピークと
280nmから380nmにかけてショルダーが示された。ゲル濾過カラムを用
いるHPLCによって評価した精製化合物の分子質量は、3,500Daであっ
た。Tabba et al.(Antiviral Res. 11:263-274 (1989))によって以前に単離さ
れたポリアニオン性多糖類であるプルネリンは、水溶液でのpHが7.4であり
、370nmから500nmにかけて吸収ピークを示し、分子質量は10,00
0Daである。これにより、画分Eの抗ヘルペス化合物もポリアニオン性炭水化
物であり、プルネリンとは化学的に異なっていることが確かめられる。
【手続補正書】
【提出日】平成12年7月7日(2000.7.7)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】特許請求の範囲
【補正方法】変更
【補正内容】
【特許請求の範囲】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (81)指定国 EP(AT,BE,CH,CY, DE,DK,ES,FI,FR,GB,GR,IE,I T,LU,MC,NL,PT,SE),OA(BF,BJ ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GW,ML, MR,NE,SN,TD,TG),AP(GH,GM,K E,LS,MW,SD,SZ,UG,ZW),EA(AM ,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM) ,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG, BR,BY,CA,CH,CN,CU,CZ,DE,D K,EE,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM ,HR,HU,ID,IL,IS,JP,KE,KG, KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,L U,LV,MD,MG,MK,MN,MW,MX,NO ,NZ,PL,PT,RO,RU,SD,SE,SG, SI,SK,SL,TJ,TM,TR,TT,UA,U G,UZ,VN,YU,ZW (72)発明者 ホン‐ザイ、スー カナダ国ノバスコシア州、ハリファック ス、ベロニカ、ドライブ、303ビ−‐2 (72)発明者 ジョナサン、ブレイ カナダ国ノバスコシア州、ベッドフォー ド、ブランチャード、クレセント、12 (72)発明者 ワイ‐チューン、フーン カナダ国ノバスコシア州、ベッドフォー ド、バシンビュー、ドライブ、46 Fターム(参考) 4C088 AB38 AC04 BA12 BA25 CA05 MA52 MA55 ZB33 4C090 AA01 AA09 BA69 BB10 BB12 BB13 BB22 BB55 BC12 CA10 DA23 【要約の続き】 画分の精製および特性決定の方法が提供される。本発明 の更にもう一つの態様によれば、本発明の組成物は、エ ンベロープウイルスによって引起される疾患の哺乳類に おける予防および治療に有効な薬剤であることを見いだ した。

Claims (22)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (1) グルコース、ガラクトースおよびキシロースを含んでなる水溶性のポリ アニオン性多糖類であって、ペーパークロマトグラフィーによって分析したとこ
    ろグルコースが主成分であり、ガラクトースとキシロースが微量成分であり、 (2) プロトロンビン時間試験によって測定したところ、抗凝固薬活性を実質 的にほとんどまたは全く示さず、 (3) ウイルス結合前並びにウイルス結合および浸透後にウイルス感染を阻害 することができ、 (4) イン・ビボ毒性を実質的にほとんどまたは全く示さない ことを特徴とする組成物。
  2. 【請求項2】 (5) 分子質量が10kDa未満であり、 (6) 約95〜100℃の範囲の温度への4時間の暴露に対して安定であり、 (7) 約1mg/mlの濃度の水溶液に分散したときのpHが5.5であり、 (8) メタノール、エタノール、ブタノール、アセトンおよびクロロホルムに 実質的に不溶性であり、 (9) 元素含量が炭素が約30.78%、水素が約3.05%、窒素が0.6 6%、および硫黄が2.69%であり、 (10) グルクロン酸として表した炭水化物を42%(w/w)含み、 (11) グルクロン酸として表したウロン酸を7.5%(w/w)含み、 (12) 中性pHでアルシアンブルーおよびDEAEセファロースに結合するこ
    とができ、 (13) 非タンパク質性であり、 (14) 水性媒質に分散したとき、202nmに強いUV吸収ピークと280n
    mから380nmにかけてショルダーを有し、 (15) C18カラム(25cm×4.6mmID,5μ,Supelcosil LC-18,
    Sigma)上で逆相高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)に付し、5%水:9 5%アセトニトリルで0.3ml/分の流速で溶出したとき、保持時間が3.5
    6分であり、 (16) 哺乳類におけるエンベロープウイルスの細胞病原性効果の治療に有効で
    ある ことを更に特徴とする、請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 上記組成物が、植物の亜科Nepetoideaeに由来する、請求項1に記載の組成物 。
  4. 【請求項4】 上記組成物が、植物Prunella vulgarisの細胞に由来する化合物である、請求 項1に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 上記組成物が植物Prunella vulgarisの細胞から得られる、請求項1に記載の 組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の組成物およびその薬学上許容可能なキャリヤーを含んでなる
    、医薬処方物。
  7. 【請求項7】 上記化合物をPrunella vulgarisから熱水抽出、エタノール沈澱、およびゲル 浸透カラムクロマトグラフィーによって単離する、請求項1に記載の組成物の製
    造法。
  8. 【請求項8】 エンベロープウイルスによる(複数の)細胞の感染を阻害する方法であって、
    請求項1に記載の組成物の有効量を(複数の)上記細胞に加えることを含んでな
    る、方法。
  9. 【請求項9】 哺乳類におけるエンベロープウイルスの細胞病原性効果の治療法であって、治
    療を必要としている哺乳類に請求項1に記載の組成物の有効量を投与することを
    含んでなる方法。
  10. 【請求項10】 エンベロープウイルスの細胞病原性効果が、環境因子への暴露の結果として得
    られる、請求項9に記載の方法。
  11. 【請求項11】 エンベロープウイルスの細胞病原性効果が、正常な免疫能力に影響を与える薬
    剤での治療に応答して得られる、請求項9に記載の方法。
  12. 【請求項12】 上記エンベロープウイルスが単純ヘルペスウイルスである、請求項9に記載の
    方法。
  13. 【請求項13】 上記組成物を、 (1) 上記エンベロープウイルス感染症の患者から血液の試料を採取し、 (2) 上記血液試料を上記組成物と共にインキュベーションし、 (3) 上記のインキュベーションした血液を上記患者に戻す ことによって投与する、請求項9に記載の方法。
  14. 【請求項14】 上記段階(1)〜(3)を少なくとも1回繰返す、請求項13に記載の方法。
  15. 【請求項15】 上記哺乳類がヒトである、請求項9に記載の方法。
  16. 【請求項16】 上記組成物が、Prunella vulgarisから得た精製抽出画分の類似体、同族体ま たは模造品である、請求項9に記載の方法。
  17. 【請求項17】 上記組成物が精製抽出画分類似体であって、骨格構造の好ましい態様がポリア
    ニオン性炭水化物の骨格構造である、請求項9に記載の方法。
  18. 【請求項18】 上記組成物を、薬学上許容可能なキャリヤー中で処方する、請求項9に記載の
    方法。
  19. 【請求項19】 上記組成物を、連続輸液、単位投薬、ディーポウまたは持続放出により投与す
    る、請求項9に記載の方法。
  20. 【請求項20】 上記組成物を、非経口、または生物学的利用能を提供する任意の他の手段によ
    り投与する、請求項9に記載の方法。
  21. 【請求項21】 上記組成物を局所投与する、請求項9に記載の方法。
  22. 【請求項22】 上記組成物を経口投与する、請求項9に記載の方法。
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