JP2001357573A - 光磁気記録媒体およびその再生方法 - Google Patents
光磁気記録媒体およびその再生方法Info
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Abstract
助層を用いることにより、小さな消去磁界で消去可能な
光磁気記録媒体を得ることが可能となる。 【解決手段】 本発明の光磁気記録媒体は、第1の透明
誘電体層と、室温で面内磁化状態であり温度上昇にとも
ない垂直磁化状態となる、膜厚が5〜30nmの再生層
と、膜厚が6〜40nmの第2の透明誘電体層と、垂直
磁化膜からなる記録層と、をこの順に有してなり、記録
層のキュリー温度より高いキュリー温度を有する記録補
助層が、記録層に隣接して形成されており、記録層と記
録補助層のトータル膜厚が20nm以上であることを特
徴とするものである。
Description
置に適用される光磁気ディスク、光磁気テープ、光磁気
カード等の光磁気記録媒体、及びその再生方法に関する
ものである。
して、光磁気記録媒体が実用化されている。このような
光磁気記録媒体では、光磁気記録媒体上に集光された半
導体レーザから出射される光ビームのビーム径に対し
て、記録用磁区である記録ビット径及び記録ビット間隔
が小さくなってくると、再生特性が劣化してくるという
欠点が生じている。
上に集光された光ビームのビーム径内に隣接する記録ビ
ットが入るために、個々の記録ビットを分離して再生す
ることができなくなることが原因である。
150418号公報において、室温において面内磁化状
態であり温度上昇と共に垂直磁化状態となる再生層と、
記録層との間に非磁性中間層を設け、再生層と記録層と
が静磁結合した構造の光磁気記録媒体が提案されてい
る。
録磁区情報がマスクされ、集光された光ビームのビーム
径内に隣接する記録ビットが入る場合においても、個々
の記録ビットを分離して再生することが可能となること
が示されている。
特開平6−150418号公報では、さらに小さい記録
ビット径及び記録ビット間隔で記録再生を行った場合、
再生層に存在する磁化から発生する漏洩磁界が記録層へ
達し、記録・消去に大きな磁界が必要であることが確認
された。
めになされたものであり、その目的は、小さい記録ビッ
ト径及び小さい記録ビット間隔で記録再生を行った場合
においても再生可能な光磁気記録媒体を得ると共に、小
さな磁界でも記録消去可能な光磁気記録媒体を得ること
にある。
め、本発明の光磁気記録媒体は、第1の透明誘電体層
と、室温で面内磁化状態であり温度上昇にともない垂直
磁化状態となる、膜厚が5〜30nmの再生層と、膜厚
が6〜40nmの第2の透明誘電体層と、垂直磁化膜か
らなる記録層と、をこの順に有してなり、記録層のキュ
リー温度よりも高いキュリー温度を有する記録補助層
が、記録層に隣接して形成されており、記録層と記録補
助層のトータル膜厚が20nm以上であることを特徴と
するものである。
して感度の高い記録補助層を用いることにより、小さな
消去磁界で消去可能な光磁気記録媒体を得ることが可能
となる。
透明誘電体層と、室温で面内磁化状態であり温度上昇に
ともない垂直磁化状態となる再生層と、第2の透明誘電
体層と、垂直磁化膜からなる記録層と、をこの順に有し
てなり、記録層のキュリー温度よりも高いキュリー温度
を有する記録補助層が、記録層に隣接して形成されてお
り、記録補助層の補償温度Ticompが50℃以下である
か、または記録補助層において室温からキュリー温度T
icまで常に遷移金属副格子モーメントが希土類金属副格
子モーメントよりも大きいことを特徴とするものであ
る。
が最適化されるため、実用可能な記録磁界で記録可能な
光磁気記録媒体を得ることが可能となる。
の透明誘電体層と記録層との間に、記録補助層が形成さ
れていることを特徴とするものである。
光が記録層より大きなカー回転角を有する記録補助層で
反射されることにより、より大きな再生信号を得ること
が可能となる。
は、垂直磁化膜からなる記録層と、室温で面内磁化状態
であり温度上昇にともない垂直磁化状態となり、静磁結
合により記録層の磁化が転写される再生層と、を有する
光磁気記録媒体の再生方法であって、再生を行う際のレ
ーザ光強度を、再生層における磁区の消滅(コプラス)
に伴う再生信号の急峻な変化が発生するレーザ光強度よ
りも低い強度に設定することを特徴とするものである。
様に記録磁区に対応した正弦状の波形とすることができ
る。
形態について図1に基づいて説明すれば以下の通りであ
る。本実施の形態では、光磁気記録媒体として光磁気デ
ィスクを適用した場合について説明する。
に示すように、基板1、第1の透明誘電体層2、再生層
3、第2の透明誘電体層4、記録層5、保護層6、オー
バーコート層7がこの順に積層されたディスク本体8を
有している。
方式としてキュリー温度記録方式が用いられており、半
導体レーザから出射される光ビーム9が対物レンズ10
により再生層3に絞り込まれ、極カー効果として知られ
ている光磁気効果によって情報が記録再生されるように
なっている。上記極カー効果とは、入射表面に垂直な磁
化の向きにより、反射光の偏光面の回転の向きが逆方向
になる現象である。
明な基材からなり、ディスク状に形成される。再生層3
は、希土類遷移金属合金からなる磁性膜からなり、その
磁気特性は室温において面内磁化状態であり、温度上昇
にともない垂直磁化状態となるように組成調整され、そ
の膜厚は5〜30nmの範囲に設定されている。第2の
透明誘電体層4は、AlN、SiN等の誘電体からな
り、その膜厚が6〜40nmに設定されている。記録層
5は、希土類遷移金属合金からなる垂直磁化膜からな
り、その膜厚が20〜80nmの範囲に設定されてい
る。
層5とが静磁結合しており、再生層3の磁化方向は、記
録層5の磁化から発生する漏洩磁界と同じ方向、すなわ
ち、記録層5の磁化と同じ方向を向こうとする。しか
し、再生層の面内磁化状態にある部分、すなわち温度上
昇していない部分は極カー効果を示さず、再生層の垂直
磁化状態にある部分、すなわち再生のためのレーザ光照
射により温度上昇した部分のみの情報を再生することが
可能となり、光ビームスポットよりも小さなピッチで記
録された記録磁区を再生することが可能となる。
レーザ光に対して良好な干渉効果が実現し媒体のカー回
転角が増大すべく設定される必要があり、再生層の波長
をλ、透明誘電体層の屈折率をnとした場合、第1の透
明誘電体層2の膜厚は(λ/4n)程度に設定される。
例えば、レーザ光の波長を680nmとした場合、第1
の透明誘電体層2の膜厚を40nm〜100nm程度に
設定すれば良い。
る。
金ターゲットと、TbDyFeCoターゲットとをそれ
ぞれ備えたスパッタ装置内に、プリグルーブ及びプリピ
ットを有しディスク状に形成されたポリカーボネート製
の基板1を基板ホルダーに配置する。スパッタ装置内を
1×10-6Torrまで真空排気した後、アルゴンと窒
素の混合ガスを導入し、Alターゲットに電力を供給し
て、ガス圧4×10-3Torrの条件で、基板1にAl
Nからなる第1の透明誘電体層2を膜厚80nmで形成
した。
orrまで真空排気した後、アルゴンガスを導入し、G
dFeCo合金ターゲットに電力を供給して、ガス圧4
×10-3Torrとし、上記第1の透明誘電体層2上に
Gd0.31(Fe0.78Co0.22) 0.69からなる再生層3を膜
厚20nmで形成した。その再生層3は、室温において
面内磁化状態であり、120℃の温度で垂直磁化状態と
なる特性を有し、その補償温度が300℃、そのキュリ
ー温度が360℃であった。
し、Alターゲットに電力を供給して、ガス圧4×10
-3Torrの条件で、再生層3上にAlNからなる第2
の透明誘電体層4を膜厚20nmで形成した。
orrまで真空排気した後、アルゴンガスを導入し、T
bDyFeCo合金ターゲットに電力を供給して、ガス
圧4×10-3Torrとし、上記第2の透明誘電体層4
上に(Tb0.75Dy0.25)0.30(Fe0.72Co0.28)0.70か
らなる記録層5を膜厚40nmで形成した。その記録層
5は25℃に補償温度を有し、キュリー温度は275℃
であった。
し、Alターゲットに電力を供給して、ガス圧4×10
-3Torrの条件で、記録層5上にAlNからなる保護
層6を形成した。
等の腐食から保護することが可能であればよく、5nm
以上であることが望ましい。本実施例の形態において
は、保護層6の膜厚を20nmとした。
または熱硬化樹脂をスピンコートにより塗布し、紫外線
を照射するか加熱するかによってオーバーコート層7を
形成した。
た光ピックアップで測定したCNR(信号対雑音比)の
マーク長依存性を図2に示す。
ィスクのCNRのマーク長依存性も併せて同図に記載す
る。なお現在市販されている光磁気ディスクの媒体構成
は、図3に示すように(基板91/第1の誘電体層92
/記録層93/第2の誘電体層94/反射層95/オー
バーコート層96)となっている。
0nmの半導体レーザを用いた光ピックアップで行って
おり、市販光磁気ディスクにマーク長0.3μm、マー
クピッチ0.6μmにて普通に記録された記録磁区列の
場合、複数の記録磁区が光ビームスポットの中に入り、
個々の記録磁区を分離して再生することができなくな
る。そのため市販光磁気ディスクにおいて、マーク長
0.3μmでのCNRはゼロとなっている。
ザ照射に伴い温度上昇し、再生層3が垂直磁化状態とな
った部分のみを再生することが可能であるため、マーク
長0.3μmの場合においても41dBのCNRが得ら
れている。
とが静磁結合した構成の光磁気記録媒体においては、再
生層3と記録層5の間に形成される非磁性中間層(ここ
では第2の透明誘電体層4)は、特開昭6−15041
8号公報に記載されているように5nmと薄く形成され
ている。記録層から発生する漏洩磁界は、記録層から離
れるにつれて小さくなるため、再生層が記録層から発生
する漏洩磁界と十分静磁結合すべく、再生層と記録層と
の間隔を小さく、すなわち非磁性中間層を薄く形成する
ものである。しかし、本実施例図2に示すように、第2
の透明誘電体層4(非磁性中間層)を20nmと厚くし
た場合においても、良好な超解像再生特性を得ることが
できた。
記録層5の膜厚を変えて、マーク長0.45μmでのC
NRを測定した結果を示すものである。
層3を形成せずに第2の干渉膜を第1の干渉膜に連続し
て形成したことを意味しており、再生層3が存在しない
場合の記録再生特性を表している。再生層3の膜厚を3
nmとした場合、再生層3が存在しない場合よりCNR
が低くなっており、再生特性の改善が確認されなかっ
た。これは、再生層3が薄くなり過ぎたため、室温にお
いて面内磁化状態であり、温度上昇とともに垂直磁化状
態となるべき再生層3の磁気特性が良好に実現されなか
ったことによる。良好なCNRを得るためには、再生層
3の膜厚が5nm以上必要である。また、再生層3の膜
厚が35nm以上になると消去磁界が急激に上昇し、4
0kA/m以上の消去磁界が必要となり、消去磁界発生
装置の大型化・消費電力の増大が必要となる。現在の光
磁気ディスクドライブにおいて、現実的な消去磁界を実
現するためには、再生層膜厚を30nm以下とする必要
がある。
録層5の膜厚を10nmとした場合、まったく再生信号
が得られなかった。再生層3の磁化方向は、記録層5か
ら発生する漏洩磁界により決定されるため、記録層5の
膜厚が薄くなり記録層5から発生する漏洩磁界が小さく
なった場合、記録情報の再生を行うことができなくな
る。表1から分かるように本発明の構成においては、記
録層5の膜厚を20nm以上とする必要がある。また、
再生特性(CNR)のみから判断すると、記録層5の膜
厚の上限は存在しないが、記録層5が厚くなり過ぎると
大きな消去磁界が必要となる。31kA/mより大きな
消去磁界を発生させるためには、大型の磁界発生装置が
必要となり、光磁気記録再生装置の大型化を招くことに
なる。実用的な消去磁界(31kA/m以下)を実現す
るためには、記録層5の膜厚を80nm以下とする必要
がある。
誘電体層4の膜厚を変えて、マーク長0.45μmでの
CNR・消去磁界を測定した結果を示すものである。
の膜厚が5nm以下になると消去磁界が急激に大きくな
る。これは、第2の誘電体層4の膜厚が薄くなり、再生
層3と記録層5とが近づくにつれて、再生層3から発生
する漏洩磁界が記録層5に及ぼす影響が大きくなり、消
去磁界が増大するものである。第2の誘電体層4の膜厚
が8nm以上においては、再生層から発生する漏洩磁界
は、全く記録特性に影響を及ぼさず、消去磁界は記録層
5の記録特性のみより決定されることとなり、20kA
/mと一定の値を示す。
ブにおける磁界発生装置の大型化、消費電力の増大を招
くことになる。現在の光磁気ディスクドライブにおい
て、現実的な消去磁界の大きさは31kA/m以下であ
り、第2の透明誘電体層4の膜厚としては6nm以上必
要であることがわかる。
生する漏洩磁界により再生層3の磁化方向が決定される
ため、第2の透明誘電体層4の膜厚が50nmと厚くな
ると、記録層5から発生する漏洩磁界が十分に再生層3
へと届かなくなり、CNRの劣化が発生することにな
る。良好な信号品質、すなわち高いCNRを得るために
は、第2の誘電体層4の膜厚を40nm以下とする必要
がある。
て、記録層5の組成のみを変えて本発明の光磁気ディス
クを作成し、その記録再生特性を測定した。各ディスク
の記録層5の組成、補償温度及びキュリー温度を表3に
示し、記録層5の保磁力Hcと磁化Mの温度依存性を図
4、図5に示す。
1同様、波長680nmの半導体レーザを用いた光ピッ
クアップで、マーク長0.45μmでの最適再生条件に
おけるCNRを測定した。結果を表4に示す。
と、ディスクA2〜C2は良好なCNRが得られている
のに対して、ディスクD2においては20dBのCNR
しか得られなかった。これは、各ディスクの磁気特性
(図4、図5)から理解される結果である。本発明の光
磁気記録媒体における再生層3の磁化方向は、記録層5
から発生する漏洩磁界により決定されるため、記録層5
から発生する漏洩磁界が小さくなった場合、記録情報の
再生を行うことができなくなる。記録層5から発生する
漏洩磁界は、記録層5の磁化の大きさに比例するもので
あり、再生層3の磁化方向が面内から垂直に移行する温
度、すなわち100℃〜150℃の温度において、記録
層5は十分大きな磁化を有し、十分大きな漏洩磁界を発
生させる必要がある。図5から分かるように、ディスク
A2〜C2の場合、記録層5の補償温度は再生層3の磁
化方向が面内から垂直に移行する温度(100℃〜15
0℃)から離れており、記録層5は十分大きな磁化を有
し、十分大きな漏洩磁界を発生させることが可能であ
る。しかしディスクD2の場合、記録層5の補償温度は
再生層3の磁化方向が面内から垂直に移行する温度(1
00℃〜150℃)に近接しており、磁化が小さく、再
生に必要な漏洩磁界を発生させることができなくなって
しまう。このような理由から、記録層5の磁気特性とし
ては補償温度が50℃以下である(ディスクB2,C
2)か、または記録層5が室温からそのキュリー温度T
WCまで、常に遷移金属副格子モーメントが希土類金属副
格子モーメントより大きい(ディスクA2)ことが必要
である。
て、再生層3の組成のみを変えて本発明の光磁気ディス
クを作成し、その記録再生特性を測定した。各ディスク
の再生層3の組成、補償温度及びキュリー温度を表5に
示し、再生層3の保磁力Hcと磁化Mの温度依存性を図
6、図7に示す。
1同様に波長680nmの半導体レーザを用いた光ピッ
クアップで、マーク長0.45μmでの最適再生条件に
おけるCNRを測定した。結果を表6に示す。
と、ディスクA3〜D3は良好なCNRが得られている
のに対して、ディスクE3においては30dBのCNR
しか得られなかった。これは、各ディスクの磁気特性
(図6、図7)から理解される結果である。本発明の光
磁気記録媒体における再生層3の磁化方向は、記録層5
から発生する漏洩磁界により決定されるため、再生層3
の磁化が小さくなると記録層5から発生する漏洩磁界と
の静磁結合が弱くなり、記録情報の再生を行うことがで
きなくなる。再生層3の磁化方向が面内から垂直に移行
する温度、すなわち100℃〜150℃の温度におい
て、再生層3は十分大きな磁化を有し、記録層5から発
生する漏洩磁界と十分に静磁結合する必要がある。図7
から分かるように、ディスクA3〜D3の場合、再生層
3の補償温度は再生層3の磁化方向が面内から垂直に移
行する温度(100℃〜150℃)から離れており、再
生層3は十分大きな磁化を有し、記録層5から発生する
漏洩磁界と十分に静磁結合することが可能である。しか
しディスクEの場合、再生層3の補償温度は再生層3の
磁化方向が面内から垂直に移行する温度(100℃〜1
50℃)に近接しており、再生層3の磁化が小さく、十
分な静磁結合を実現することができなくなってしまう。
℃)において、ディスクE3の場合、ディスクA3〜D
3に比べて大きな磁化を有することになり、再生層から
発生する漏洩磁界が記録消去特性に影響を与えることと
なり、表5に示すように大きな消去磁界が必要となる。
性としては室温で面内磁化状態であり温度上昇に伴い垂
直磁化状態になるとともに、補償温度が180℃以上で
ある(ディスクB3〜D3)か、またはそのキュリー温
度Trcまで、常に希土類金属副格子モーメントが遷移金
属副格子モーメントより大きい(ディスクA3)ことが
必要である。
スクC3の構成、すなわち再生層3として補償温度25
0℃、キュリー温度380℃であるGd0.31(Fe0.72
Co0.28)0.69を使用し、記録層として補償温度25
℃、キュリー温度275℃である(Tb0.75Dy0.25)
0.30(Fe0.72Co0.28)0.70を使用したディスクにおけ
る、キャリアレベル及びノイズレベルの再生パワー依存
性を図8に示す。
室温で面内磁化状態であり、温度上昇に伴い垂直磁化状
態となるため、再生信号出力(キャリアレベル)は再生
レーザパワー0.6mWから1.8mWへと大きくな
り、再生層3の温度が上昇するにつれて徐々に大きくな
る。再生レーザパワー1.8mW以上において、再生に
必要な範囲の再生層は全て垂直磁化状態となり、キャリ
アレベルは飽和する。ところが図8から分かるように、
2.8mW以上の再生レーザパワーにおいてさらにキャ
リアレベルの上昇が確認される。ただし、この範囲の再
生レーザパワーにおいては、ノイズレベルの上昇が観測
され、実質的にCNRが低下するという問題を有してい
る。
ザパワー2.5mW、3.2mWにおける再生波形を示
している。(a)の場合、記録された磁区に対応して再
生信号波形がサイン波形状に変化しており、適切なスラ
イスレベルを設定することにより記録磁区の長さを記録
情報として再生することが可能である。これに対して
(b)の場合、急峻な再生信号の立ち下がりが不規則に
観測される。これは、再生層3の温度がその補償温度に
近づき再生層3の磁化が小さくなることにより記録層5
との静磁結合が弱くなったため、静磁結合により記録層
5から再生層3に転写されていた磁区が瞬間的に消滅
(コラプス)することに起因している。この場合、コラ
プスに伴う再生信号強度の大きな変化が存在するためキ
ャリアレベルが上昇するが、コラプスが不規則に起こる
ためノイズレベルも同時に上昇しCNRが劣化すること
になる。さらに、本来の記録磁区の長さがa1、a2、
a3に対して、コラプスが発生することにより異なる長
さの記録磁区b1、b3を検出することとなり、記録磁
区の長さを記録情報として再生することが困難となる。
以上の理由から、本発明に係る光磁気記録媒体を再生す
る際、レーザ光強度を再生層における磁区の消滅(コラ
プス)に伴う再生信号の急峻な変化が発生するレーザ光
強度よりも低い強度に設定する必要がある。
について図10、図11に基づいて説明すれば以下の通
りである。本実施の形態では、光磁気記録媒体として光
磁気ディスクを適用した場合について説明する。
10に示すように、基板1、第1の透明誘電体層2、再
生層3、第2の透明誘電体層4、記録補助層11、記録
層5、保護層6、オーバーコート層7が、この順にて積
層されたディスク本体8を有しているか、または図11
に示すように、基板1、第1の透明誘電体層2、再生層
3、第2の透明誘電体層4、記録層5、記録補助層1
1、保護層6、オーバーコート層7が、この順にて積層
されたディスク本体8を有している。
ては、実施の形態1と同様である。実施の形態2におい
ては、記録層5に接して、記録層5のキュリー温度より
も高いキュリー温度を有する記録補助層11を形成し、
記録動作の改善を行うことを可能としている。
電体層4と記録層5の間に記録補助層11を設けること
により、再生層3を透過したレーザ光が記録層5より高
いキュリー温度を有する記録補助層11、すなわち記録
層5よりも大きなカー回転角を有する記録補助層11に
よって反射されることにより、図11に示すように記録
層5を反射膜とした場合よりもより大きな再生信号を得
ることが可能となる。
る。本実施の形態の光磁気ディスクの形成方法は、記録
補助層11を付加して設ける以外、実施の形態1におい
て記載と同じ方法である。
明誘電体層2、再生層3、第2の透明誘電体層4を形成
した後、スパッタ装置内を1×10-6Torrまで真空
排気し、次いでアルゴンガスを導入し、記録補助層11
用のGdFeCo合金ターゲットに電力を供給して、ガ
ス圧4×10-3Torrとし、上記第2の透明誘電体層
4上にGd0.24(Fe0.83Co0.17)0.76からなる記録補
助層11を膜厚20nmで形成し、記録層5、保護層
6、オーバーコート層7を形成することにより作製され
る。上記記録補助層11は25℃以下に補償温度を有
し、そのキュリー温度が290℃であった。本実施例に
おいては、図10記載の光磁気ディスクをディスクA5
として記述する。
1の透明誘電体層2、再生層3、第2の透明誘電体層
4、記録層5を形成した後、スパッタ装置内を1×10
-6Torrまで真空排気し、次いでアルゴンガスを導入
し、記録補助層11用のGdFeCo合金ターゲットに
電力を供給して、ガス圧4×10-3Torrとし、上記
第2の透明誘電体層4上にGd0.24(Fe0.83Co0.17)
0.76からなる記録補助層11を膜厚20nmで形成し、
保護層6、オーバーコート層7を形成することにより作
製される。上記記録補助層11は、図10の構成におけ
る記録補助層同様、25℃以下に補償温度を有し、その
キュリー温度が290℃であった。本実施例において
は、図11記載の光磁気ディスクをディスクB5として
記述する。
ーザを用いた光ピックアップでマーク長0.45μmで
の最適再生条件において測定されたCNRと、記録磁区
を消去するのに必要な磁界(消去磁界)を表7に示す。
比較のため、実施の形態1のディスクB2の特性を併せ
て同表に記載する。
2の場合20.0kA/mの消去磁界が必要であったの
に対して、実施の形態2記載のディスクA5及びディス
クB5の場合、7.5kA/mの消去磁界で消去可能で
あることが確認された。この結果は、記録層5のキュリ
ー温度(275℃)よりも記録補助層11のキュリー温
度(290℃)が高く、記録層5(TbDyFeCo)
よりも磁化反転が容易な記録補助層11(GdFeC
o)が消去動作を主導することにより消去磁界の低減が
実現したことを意味している。
比較すると、ディスクA5において、より高いCNRが
得られていることがわかる。ディスクB5の場合、再生
層3を透過したレーザ光は記録層5と再生層3の間で多
重反射するため、その再生特性はディスクB2と同じ特
性となる。これに対してディスクA5の場合、再生層3
を透過したレーザ光は記録補助層11と再生層3の間で
多重反射し、記録層5より高いキュリー温度を有する記
録補助層11、すなわち記録層5よりも大きなカー回転
角を有する記録補助層11を多重反射膜とすることによ
り、ディスクB2、ディスクB5よりも高いCNRを得
られたものである。
3、記録補助層11、記録層4の膜厚を変えて、マーク
長0.45μmでのCNRを測定した結果を示すもので
ある。
3を形成せずに第2の干渉膜を第1の干渉膜に連続して
形成したことを意味しており、再生層3が存在しない場
合の記録再生特性を表している。再生層3の膜厚を3n
mとした場合、再生層3が存在しない場合よりCNRが
低くなっており、再生特性の改善が確認されなかった。
これは再生層3が薄くなり過ぎたために、室温において
面内磁化状態であり、温度上昇とともに垂直磁化状態と
なるべき再生層3の磁気特性が良好に実現されなかった
ことによる。CNRを改善するためには、再生層3の膜
厚が5nm以上必要である。また、再生層3の膜厚が3
5nm以上になると消去磁界が急激に上昇し36.5k
A/m以上の消去磁界が必要となり、消去磁界発生装置
の大型化・消費電力の増大が必要となる。現在の光磁気
ディスクドライブにおいて、現実的な消去磁界を実現す
るためには再生層膜厚を30nm以下とする必要があ
る。
補助層11の膜厚を5nm、記録層5の膜厚を5nmと
した場合、まったく再生信号が得られなかった。再生層
3の磁化方向は、記録補助層11と記録層5から発生す
る漏洩磁界により決定されるため、記録補助層11と記
録層5のトータル膜厚が薄くなり、発生する漏洩磁界が
小さくなった場合、記録情報の再生を行うことができな
くなる。表8から分かるように、本発明の構成において
は記録補助層11の膜厚を10nm、記録層5の膜厚を
10nm、すなわち記録補助層11と記録層5のトータ
ル膜厚を20nm以上とする必要がある。また実施の形
態1においては、消去磁界の増大から記録補助層11と
記録層5のトータル膜厚を80nm以下としたが、実施
の形態2においては記録補助層11が記録動作を主導し
ているため、記録補助層11と記録層5のトータル膜厚
の上限は存在しない。しかし、記録補助層11と記録層
5のトータル膜厚が厚くなり過ぎた場合、記録を行う際
に大きなレーザ光強度が必要となるため、トータル膜厚
を200nm以下とすることが望ましい。
第2の透明誘電体層4の膜厚を変えて、マーク長0.4
5μmでのCNR・消去磁界を測定した結果を示すもの
である。
の膜厚が5nm以下になると消去磁界が急激に大きくな
る。これは、第2の誘電体層4の膜厚が薄くなり、再生
層3と記録層5及び記録補助層11とが近づくにつれて
再生層3から発生する漏洩磁界が記録層5と記録補助層
11に及ぼす影響が大きくなり、消去磁界が増大するも
のである。第2の誘電体層4の膜厚が8nm以上におい
ては、再生層から発生する漏洩磁界は全く記録特性に影
響を及ぼさず、消去磁界は記録層5の記録特性のみより
決定されることとなり、7.5kA/mと一定の値を示
す。
ブにおける磁界発生装置の大型化、消費電力の増大を招
くことになる。現在の光磁気ディスクドライブにおい
て、現実的な消去磁界の大きさは31kA/m以下であ
り、第2の透明誘電体層4の膜厚としては6nm以上必
要であることがわかる。
補助層11から発生する漏洩磁界により再生層3の磁化
方向が決定されるため、第2の透明誘電体層4の膜厚が
50nmと厚くなると記録層5及び記録補助層11から
発生する漏洩磁界が十分に再生層3へと届かなくなり、
CNRの劣化が発生することになる。
るためには、第2の誘電体層4の膜厚を40nm以下と
する必要がある。
5の構成において、記録補助層11の組成のみを変えて
本発明の光磁気ディスクを作成し、その記録再生特性を
測定した。各ディスクの記録補助層11の組成、補償温
度及びキュリー温度を表10に示す。
に波長680nmの半導体レーザを用いた光ピックアッ
プで、マーク長0.45μmでの最適再生条件における
CNRを測定した結果、及び記録磁区を消去するのに必
要な磁界(消去磁界)、記録磁区を形成するのに必要な
磁界(記録磁界)を表11に示す。
と、ディスクA6からディスクE6へとCNRが低くな
っていることがわかる。これは、記録補助層11の補償
温度が上昇し徐々に漏洩磁界が小さくなるため、徐々に
CNRが低下するものである。しかし、記録補助層11
に隣接して記録層5が存在し、十分な大きさの漏洩磁界
を発生させているため、CNRの低下は小さいものに抑
さえられている。
度が高くなるにつれて小さくなり、記録補助層11の補
償温度は高いほど望ましいことになる。しかし、記録磁
界は記録補助層の補償温度の上昇とともに大きくなり、
ディスクE6の場合45kA/mもの記録磁界が必要で
あり、非実用的であることがわかる。
償温度が50℃以下(ディスクC6、ディスクD6)で
あるか、又は室温からそのキュリー温度まで、常に遷移
金属副格子モーメントが希土類金属副格子モーメントよ
り大きいこと(ディスクA6、ディスクB6)が必要で
ある。
おいて、透明誘電体層、再生層、記録層、記録補助層と
して、それぞれAlN、GdFeCo、TbDyFeC
o、GdFeCoについて説明したが、これに限られる
ものではない。
AlN、TaO2 等の屈折率の高い透明膜を使用するこ
とが可能である。
り、温度上昇とともに垂直磁化状態となればよく、希土
類金属としてGdを主成分としたGdDyFeCo、G
dTbFe、GdTbFeCo等の磁性膜を使用するこ
とが可能である。
はTbを主成分としたDyFeCo、TbFeCo、G
dTbFeCo等の磁性膜を使用することが可能であ
る。
dを主成分としたGdDyFeCo、GdTbFe、G
dTbFeCo等の磁性膜を使用することが可能であ
る。
層よりも磁界に対して感度の高い記録補助層を用いるこ
とにより、小さな消去磁界で消去可能な光磁気記録媒体
を得ることが可能となる。
るため、実用可能な記録磁界で記録可能な光磁気記録媒
体を得ることが可能となる。
より大きなカー回転角を有する記録補助層で反射される
ことにより、より大きな再生信号を得ることが可能とな
る。
ば、再生信号波形を従来と同様に記録磁区に対応した正
弦状の波形とすることができる。
成を示す図である。
の再生特性の比較図である。
す図である。
性を示す図である。
性を示す図である。
性を示す図である。
性を示す図である。
る。
る。
構成を示す図である。
構成を示す図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 第1の透明誘電体層と、 室温で面内磁化状態であり温度上昇にともない垂直磁化
状態となる、膜厚が5〜30nmの再生層と、 膜厚が6〜40nmの第2の透明誘電体層と、 垂直磁化膜からなる記録層と、 をこの順に有してなり、 記録層のキュリー温度よりも高いキュリー温度を有する
記録補助層が、記録層に隣接して形成されており、 記録層と記録補助層のトータル膜厚が20nm以上であ
ることを特徴とする光磁気記録媒体。 - 【請求項2】 第1の透明誘電体層と、 室温で面内磁化状態であり温度上昇にともない垂直磁化
状態となる再生層と、 第2の透明誘電体層と、 垂直磁化膜からなる記録層と、をこの順に有してなり、 記録層のキュリー温度よりも高いキュリー温度を有する
記録補助層が、記録層に隣接して形成されており、 記録補助層の補償温度Ticompが50℃以下であるか、
または記録補助層において室温からキュリー温度Ticま
で常に遷移金属副格子モーメントが希土類金属副格子モ
ーメントよりも大きいことを特徴とする光磁気記録媒
体。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載の光磁気
記録媒体において、 第2の透明誘電体層と記録層との間に、記録補助層が形
成されていることを特徴とする光磁気記録媒体。 - 【請求項4】 垂直磁化膜からなる記録層と、室温で面
内磁化状態であり温度上昇にともない垂直磁化状態とな
り、静磁結合により記録層の磁化が転写される再生層
と、を有する光磁気記録媒体の再生方法であって、 再生を行う際のレーザ光強度を、再生層における磁区の
消滅(コプラス)に伴う再生信号の急峻な変化が発生す
るレーザ光強度よりも低い強度に設定することを特徴と
する光磁気記録媒体の再生方法。
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- 2001-04-27 JP JP2001131009A patent/JP3581110B2/ja not_active Expired - Fee Related
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