JP2001354845A - 難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物 - Google Patents

難燃性ポリカーボネート系樹脂組成物

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JP2001354845A JP2000375676A JP2000375676A JP2001354845A JP 2001354845 A JP2001354845 A JP 2001354845A JP 2000375676 A JP2000375676 A JP 2000375676A JP 2000375676 A JP2000375676 A JP 2000375676A JP 2001354845 A JP2001354845 A JP 2001354845A
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Takatsune Yanagida
高恒 柳田
Hideo Minamisono
英雄 南園
Yutaka Takeya
竹谷  豊
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Teijin Chemicals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 難燃効果が高い特定のケイ素含有化合物を配
合することにより、透明性などのポリカーボネート系樹
脂本来の物性を維持しながら難燃性の良好なポリカーボ
ネート系樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 ポリカーボネート系樹脂100重量部に
対して、特定のケイ素含有化合物0.1〜20重量部を
含有するポリカーボネート系樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、難燃化されたポリ
カーボネート系樹脂組成物に関する。さらに詳しくは、
ハロゲン、リン元素を含まずに難燃化された環境負荷の
低い透明ポリカーボネート系樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は機械的強度、電
気的特性、透明性等に優れたエンジニアリングプラスチ
ックとして、OA機器、電気・電子機器分野、自動車分
野、建築分野等様々な分野において幅広く利用されてい
る。これらの利用分野の中には、OA機器、電気・電子
機器分野を中心として、高度の難燃性を要求される分野
があり、種々の難燃剤が添加された難燃性ポリカーボネ
ート樹脂組成物が用いられている。これらの樹脂組成物
には一般的に、有機ハロゲン化合物、又はハロゲン化ポ
リカーボネート共重合体、又はこれらと三酸化アンチモ
ンとが添加されている。しかし、これらの難燃性樹脂組
成物は燃焼時に有害なハロゲン系ガスを発生するという
欠点があった。これに対して、有害ガスを発生しないシ
リコーン樹脂を添加することで難燃性が付与されること
が知られている。
【0003】特公昭62−60421号公報には、3官
能性シロキサン単位を80重量%以上含有するシリコー
ン樹脂を添加する難燃性樹脂組成物が記載されている。
しかし、有機樹脂との溶融加工性を重視して、実質的に
3官能性シロキサン単位のみで構成されたシリコーン樹
脂を使用しているため、難燃化効果が小さく、シリコー
ン樹脂を10重量%以上添加しないと有効な難燃効果は
得られていない。
【0004】特公昭63−31513号公報には、アル
コキシ末端のシリコーン樹脂を添加する耐熱酸化性樹脂
組成物が記載されている。しかし、アルコキシ基含有率
の高い液状低分子量シリコーンが好ましく使用されるた
め、少量の添加でも成形品の外観や強度への影響が大き
いこと、樹脂成形品からブリードアウトし易く、更に加
水分解反応性が高く、アルコール等の可燃性低沸点化合
物を副生することから難燃化効果はあまり期待できな
い。
【0005】特公平3−48947号、特公平7−78
171号、特開平7−33971号公報には、単官能性
シロキサン単位と4官能性シロキサン単位からなるシリ
コーン樹脂を添加した難燃性樹脂組成物が、特開平6−
128434号公報には、ビニル基をもつシロキサン単
位を含有するシリコーン樹脂を添加した難燃性樹脂組成
物が記載されている。しかしながら、いずれの組成物に
おいても十分な難燃効果を得るためにはシリコーン樹脂
の添加量を多くしたり、水酸化アルミニウム等の無機充
填材やハロゲン及びリン化合物を併用することが必要で
ある。
【0006】ポリカーボネート樹脂の難燃性を高めるの
に、例えば、特公昭47−40445号公報には、パー
フルオロアルカンスルホン酸のアルカリ金属塩又はアル
カリ土類金属塩を添加したポリカーボネート樹脂組成物
が開示されている。しかし、ここに開示されている技術
では、燃焼時に滴下が生じ、直下の材料を発火させる欠
点がある。
【0007】特公昭60−16473号公報には、ポリ
カーボネート樹脂に有機アルカリ金属塩や有機アルカリ
土類金属塩を混合し、さらにシロキサンを添加すること
により、燃焼時の滴下を防止する技術が開示されてい
る。特開平8−176425号公報には、エポキシ基を
含有するオルガノポリシロキサンと有機スルホン酸のア
ルカリ金属塩を添加した難燃性樹脂組成物が、特開平8
−176427号公報には、フェノール性水酸基含有オ
ルガノポリシロキサンで変性したポリカーボネート樹脂
と有機アルカリ金属塩を添加した難燃性樹脂組成物が記
載されている。また、特開平9−169914号公報に
は、石油系重質油類又はピッチ類をシリコーン化合物と
併用して難燃効果を向上させた組成物が記載されてい
る。しかし、これら難燃化用シリコーン樹脂は、ポリカ
ーボネート樹脂への分散性及び相溶性が十分でなく、透
明度の低いものか、配合量が多い場合は不透明なものし
か得られない。
【0008】特開平7−258532号公報では有機ア
ルカリ(土類)金属塩を分岐状ポリカーボネートおよび
直鎖状ポリカーボネートの混合物に添加することで難燃
性を付与しているが、薄肉成形品で高い難燃性を付与す
るためには添加量を多くする必要があり、透明性が失わ
れてしまう。
【0009】特開平11−222559号公報には、特
定の構造のオルガノシロキサンを芳香族環を含む樹脂に
添加することにより透明性を維持したまま難燃性を付与
する技術が開示されているが、得られる樹脂組成物の透
明性は高くない。
【0010】特開平4−359960号公報には、特定
のビフェニル構造を有するポリ(アリールオキシシロキ
サン)を芳香族ポリカーボネート樹脂に添加することで
透明の難燃性樹脂組成物を得る技術が開示されている
が、ポリ(アリールオキシシロキサン)を20重量部以
上加えないと難燃性が発現しないため、経済的に有利で
はない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】このように、シリコー
ン樹脂を添加する場合、添加量を多くしないと十分な難
燃効果が得られないが、添加量を多くするとポリカーボ
ネート系樹脂組成物の成形性、成形品の外観や透明性、
機械的強度等の諸物性が大幅に低下してしまうという問
題があった。本発明の目的は、透明性などのポリカーボ
ネート系樹脂本来の物性を維持しながらハロゲン、リン
元素を含まない難燃性の良好なポリカーボネート系樹脂
組成物を提供することにある。
【0012】かかる状況を鑑み、鋭意検討した結果、ポ
リカーボネート系樹脂、特に構造粘性指数が1.36以
上であるポリカーボネート系樹脂に、特定のケイ素含有
化合物と必要に応じて炭素数が1以上である有機ブレン
ステッド酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩を配合
した樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂本来の性質
である透明性、優れた機械物性を保ったまま難燃性が発
現することを見出し、本発明に到達した。
【0013】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明によれ
ば、(A)ポリカーボネート系樹脂(A成分)100重
量部に対して、(B)下記式[1]で示されるケイ素含
有化合物(B成分)0.1〜20重量部からなるポリカ
ーボネート系樹脂組成物が提供される。
【0014】
【化5】
【0015】(式中、R1は下記式[2−I]および
[2−II]から選択される基であり、R2、R3は同一
又は異なっていてもよく、水素原子、炭素数1〜12の
飽和または不飽和アルキル基、および炭素数5〜16の
置換もしくは非置換アリール基から選ばれる基であり、
その一部がフッ素原子によって置換されていても良い。
nは1〜10の整数、kおよびmは0または1、jは2
〜2000の整数を示す。)
【0016】
【化6】
【0017】
【化7】
【0018】(式中、Xは、−C(R10)(R11)−、
−C(=O)−、−SO2−、−S−、−O−、または
下記式[3]で示される基を表し、pは0〜2の整数を
示し、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11
は同一又は異なっていてもよく、水素原子、フッ素原
子、炭素数1〜12の飽和または不飽和アルキル基およ
び炭素数5〜16の置換もしくは非置換アリール基から
選ばれる基であり、その一部がフッ素原子によって置換
されていても良い。)
【0019】
【化8】
【0020】(式中、R12、R13、R14、R15、R16
よびR17は同一又は異なっていてもよく、水素原子、フ
ッ素原子、炭素数1〜12の飽和または不飽和アルキル
基および炭素数5〜16の置換もしくは非置換アリール
基から選ばれる基であり、その一部がフッ素原子によっ
て置換されていても良い。) 本発明で使用されるポリカーボネート系樹脂とは、二価
フェノールとカーボネート前駆体を反応させて得られる
芳香族ポリカーボネート樹脂、二価フェノール及び脂肪
族二酸とカーボネート前駆体を反応させて得られるポリ
エステルカーボネート樹脂、または二価フェノールと三
官能以上の多官能性化合物とカーボネート前駆体と必要
に応じて脂肪族二酸とを共重合させて得られる分岐状ポ
リカーボネート系樹脂等であり、界面重合法または溶融
法により得ることができる。
【0021】使用される二価フェノールとしては、例え
ばハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェ
ノール、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,
1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビス
フェノールAと称する)、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ペンタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)オクタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−
メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロ
キシ−3−tert−ブチルフェニル)プロパン、2,
2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニ
ル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−シ
クロヘキシルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)プロパン、1,1
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5
−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロ
ヘキサン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチ
ルフェニルエーテル、4,4’−(p−フェニレンジイ
ソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェ
ニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ス
ルホン、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチル
ジフェニルスルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ケトン、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)
フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチ
ルフェニル)フルオレン等が挙げられる。好ましい二価
フェノールはビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン
系であり、ビスフェノールAが特に好ましい。
【0022】脂肪族二酸としては、例えば炭素数8〜2
0、好ましくは10〜12の脂肪族二酸である。かかる
脂肪族二酸は、直鎖状、分枝状、環状のいずれであって
も良く、またα、ω−ジカルボン酸が好ましい。好まし
い脂肪族二酸の例としては、デカン二酸、ドデカン二
酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、アイコサン
二酸等の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、セバ
シン酸およびドデカン二酸が特に好ましい。
【0023】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カルボニルエステル、ハロホルメート等が挙げ
られ、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネート、
二価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0024】ポリカーボネート系樹脂を製造するに当
り、上記二価フェノールを単独で用いても又は二種以上
を併用してもよく、又二価フェノール及び脂肪族二酸を
それぞれ単独で用いても又は二種以上を併用してもよ
い。かかる二価フェノール及び脂肪族二酸の含有割合は
任意に調整可能であるが、かかるポリカーボネート系樹
脂中少なくとも40モル%以上が、ビスフェノールA由
来のものであることが望ましい。また、脂肪族二酸成分
はかかるポリカーボネート系樹脂中20モル%以下であ
ることが耐熱性及び難燃性の向上という観点から好まし
い。
【0025】分岐剤として使用される三官能以上の多官
能性化合物としては、例えばフロログルシン、フロログ
ルシド、又は4,6−ジメチル−2,4,6−トリス
(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、2,4,6−ト
リメチル−2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニ
ル)ヘプタン、1,3,5−トリス(4−ヒドロキシフ
ェニル)ベンゼン、1,1,1−トリス(4−ヒドロキ
シフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジ
メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビ
ス(4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キシル)プロパン、2,6−ビス(2−ヒドロキシ−5
−メチルベンジル)−4−メチルフェノール、4−{4
−[1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル]
ベンゼン}−α,α−ジメチルベンジルフェノール、ビ
ス(2−ヒドロキシ−3−(2−ヒドロキシ−5−メチ
ルベンジル)−5−メチルフェニル)メタン、テトラキ
ス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、トリス(4−ヒ
ドロキシフェニル)フェニルメタン、トリスフェノー
ル、2,2−ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)プ
ロパン、ビス(2,4−ジヒドロキシフェニル)ケト
ン、1,4−ビス(4,4−ジヒドロキシトリフェニル
メチル)ベンゼン、又はトリメリット酸、ピロメリット
酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸及びこれらの酸ク
ロライド等が挙げられる。これらの分岐剤はそれぞれ単
独で用いてもよいし、二種以上組み合わせて用いてもよ
い。中でも1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニ
ル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−
4−ヒドロキシフェニル)エタンが好ましく、特に1,
1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンが好
ましい。分岐剤は、上記二価フェノール100モルに対
して、好ましくは0.05〜3モル、より好ましくは
0.1〜2.0モル使用される。
【0026】また、本発明のポリカーボネート系樹脂
は、上記ポリカーボネート系樹脂の二種以上を混合した
混合物であってもよい。
【0027】以下にポリカーボネート系樹脂を製造する
基本的な手段を簡単に説明する。なお、以下の手段以外
の製造法で得られたポリカーボネート系樹脂であっても
本発明の目的の達成を妨げるものではない。
【0028】界面重合法による反応は、通常二価フェノ
ールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶
媒の存在下に反応させる。
【0029】酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピ
リジン等のアミン化合物が用いられる。
【0030】有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、
クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。
【0031】また、反応促進のために例えばトリエチル
アミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、
テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第三級
アミン、第四級アンモニウム化合物、第四級ホスホニウ
ム化合物等の触媒を用いることができ、末端停止剤とし
て、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノー
ル、p−クミルフェノールおよびイソオクチルフェノー
ル等の単官能フェノール類を使用することができる。
【0032】反応温度は通常0〜40℃、反応時間は1
0分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好
ましい。尚、分子鎖末端の全てが末端停止剤に由来の構
造を有する必要はない。
【0033】溶融法による反応は、通常二価フェノール
とカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、
不活性ガスの存在下に二価フェノールとカーボネートエ
ステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコール
またはフェノールを留出させる方法により行われる。
【0034】反応温度は生成するアルコールまたはフェ
ノールの沸点等により異なるが、通常120〜350℃
の範囲である。かかる反応の初期段階で二価フェノール
等と同時に又は反応の途中段階で末端停止剤を添加させ
ることができる。反応後期には系を1000〜10Pa
程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの
留出を容易にさせる。反応時間は1〜10時間程度であ
る。また、重合速度を速めるために通常エステル化反
応、エステル交換反応に使用される重合触媒を用いるこ
とができる。
【0035】このエステル交換反応に用いられるカーボ
ネートエステルとしては、置換または非置換の炭素数6
〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素数1〜
4のアルキル基などのエステルが挙げられる。例えばジ
フェニルカーボネート、ジナフチルカーボネート、ジメ
チルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジブチルカ
ーボネート等があげられる。これらのうち特にジフェニ
ルカーボネートが好ましい。又脂肪族二酸を含有する場
合には、かかる脂肪族二酸を予めジフェニルエステル等
のエステルの形とすることが好ましい。
【0036】本発明で使用されるポリカーボネート系樹
脂(A成分)の粘度平均分子量は、10,000〜4
0,000の範囲が好ましい。粘度平均分子量(Mv)
は塩化メチレン100mlにポリカーボネート系樹脂
0.7gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度(η
SP)を次式に挿入して求めたものである。 ηSP/C=[η]+0.45[η]2C [η]=1.23×10-4Mv0.83 (但し[η]は極限粘度、Cはポリマー濃度で0.7)
【0037】本発明で使用されるポリカーボネート系樹
脂において、その構造粘性指数が、1.36以上のもの
が好ましく、1.36〜3.5の範囲のものがより好ま
しく、1.5〜3.5の範囲のものが特に好ましい。か
かる構造粘性指数(N)は、次式のポリカーボネート系
樹脂の溶融特性を表す式より求められる。 Q=K・PN (式中、Qは溶融樹脂の流動量(mL/sec)、Kは
定数、Pは圧力(MPa)、Nは構造粘性指数) N=1のときはニュートン流動性を示し、Nが大きくな
るほど非ニュートン流動性が大きくなることを示す。
【0038】かかる構造粘性指数を有するポリカーボネ
ート系樹脂としては、粘度平均分子量70,000〜2
50,000の高分子量ポリカーボネート系樹脂や分岐
状ポリカーボネート系樹脂が挙げられる。また、これら
の高分子量ポリカーボネート系樹脂や分岐状ポリカーボ
ネート系樹脂と粘度平均分子量10,000〜40,0
00の直鎖状ポリカーボネート系樹脂との混合物も前記
構造粘性指数の範囲を満足するものであれば好適に使用
することができる。
【0039】本発明において、ポリカーボネート系樹脂
(A成分)の好ましい態様の一つとしては、(A−1)
粘度平均分子量10,000〜40,000のポリカー
ボネート系樹脂(A−1成分)と(A−2)粘度平均分
子量70,000〜250,000の高分子量ポリカー
ボネート系樹脂(A−2成分)との混合物を挙げること
ができる。
【0040】A−1成分とA−2成分との混合割合は、
A−1成分とA−2成分の合計を100重量%として、
好ましくはA−1成分が65〜95重量%、A−2成分
が5〜35重量%、より好ましくはA−1成分が75〜
95重量%、A−2成分が5〜25重量%である。
【0041】このブレンドされたポリカーボネート系樹
脂の粘度平均分子量は、11,000〜40,000が
好ましく、18,000〜40,000がより好まし
く、20,000〜40,000がさらに好ましい。
【0042】高分子量ポリカーボネート系樹脂は、単独
では溶融成形に供し得ない70,000〜250,00
0、好ましくは100,000〜160,000の粘度
平均分子量を有する。粘度平均分子量70,000以上
のものを使用した場合は、溶融特性を改良するための配
合量が適量となり、成形が容易で好ましく、また、粘度
平均分子量250,000以下のものを使用した場合
は、混合時の分散が良好で、外観に優れた成形品が得ら
れる。
【0043】また、本発明において、ポリカーボネート
系樹脂(A成分)の好ましい他の態様としては、A−3
成分とA−4成分の合計を100重量%として、(A−
3)直鎖状ポリカーボネート系樹脂(A−3成分)0〜
95重量%と(A−4)分岐状ポリカーボネート系樹脂
(A−4成分)5〜100重量%からなるポリカーボネ
ート系樹脂である。
【0044】分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−4成
分)の粘度平均分子量は、10,000〜40,000
が好ましく、15,000〜35,000がより好まし
く、20,000〜30,000がさらに好ましい。か
かる分子量範囲の分岐状ポリカーボネート樹脂を用いる
ことにより、充分な難燃性が得られ、且つ溶融成形し易
く良好な成形物が得られ、透明性も十分となり好まし
い。
【0045】また、直鎖状ポリカーボネート系樹脂(A
−3成分)の粘度平均分子量は、10,000〜40,
000が好ましく、15,000〜35,000がより
好ましく、20,000〜30,000がさらに好まし
い。
【0046】また、A−3成分とA−4成分の混合物の
粘度平均分子量は、10,000〜40,000の範囲
が好ましい。
【0047】本発明において、B成分として使用される
ケイ素含有化合物は前記式[1]で示され、式中のR1
は前記式[2−I]および前記式[2−II]から選択
される基であり、式[2−I]中のXは−C(R10
(R11)−、−C(=O)−、−SO2−、−S−、−
O−または前記式[3]で示される基である。特に、X
はイソプロピリデン、ヘキサフルオロイソプロピリデ
ン、スルホニル、酸素原子が望ましい。pは0〜2の整
数を示し、特に1が望ましい。
【0048】式[1]中のR2およびR3は同一又は異な
っていてもよく、水素原子、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびシクロヘキシル
等の炭素数1〜12の飽和またはビニル、プロペニル等
の不飽和アルキル基、およびシクロペンタジエニル、フ
ェニル、トリル、キシリル、ナフチル等の炭素数5〜1
6の置換もしくは非置換アリール基から選ばれる基であ
り、トリフルオロプロピル等その一部がフッ素原子によ
って置換されていても良い。特に水素原子、メチル基、
エチル基、プロピル基、ブチル基、ビニル基、フェニル
基が望ましい。
【0049】式[2−I]および式[2−II]中のR
4、R5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は同一又
は異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、メチ
ル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルお
よびシクロヘキシル等の炭素数1〜12の飽和またはビ
ニル、プロペニル等の不飽和アルキル基、およびシクロ
ペンタジエニル、フェニル、トリル、キシリル、ナフチ
ル等の炭素数5〜16の置換もしくは非置換アリール基
から選ばれる基であり、トリフルオロプロピル等その一
部がフッ素原子によって置換されていても良い。
【0050】式[3]中のR12、R13、R14、R15、R
16およびR17は同一又は異なっていてもよく、水素原
子、フッ素原子、メチル、エチル、プロピル、ブチル、
ペンチル、ヘキシルおよびシクロヘキシル等の炭素数1
〜12の飽和またはビニル、プロペニル等の不飽和アル
キル基、およびシクロペンタジエニル、フェニル、トリ
ル、キシリル、ナフチル等の炭素数5〜16の置換もし
くは非置換アリール基から選ばれる基であり、トリフル
オロプロピル等その一部がフッ素原子によって置換され
ていても良い。
【0051】前記式[1]のなかでも、R1が前記式
[2−I]で表され、そのR4、R5、R6およびR7が水
素原子またはメチル基、Xが−C(R10)(R11)−(R
10、R1 1はそれぞれ水素原子、炭素数1〜6の飽和また
は不飽和アルキル基、および炭素数5〜16の置換もし
くは非置換アリール基から選ばれる基である)、−C
(=O)−、−SO2−、−S−、または−O−であ
り、pは1で示される構造からなるケイ素含有化合物が
好ましい。なかでも式[2−I]中のR4、R5、R6
よびR7が水素原子、XがC(CH32、pが1で示さ
れる構造からなるケイ素含有化合物は、安価なビスフェ
ノールAから合成可能で経済的にも有利であり、特に好
ましい。
【0052】前記式[1]中のnは1〜10の整数を示
し、nは1〜5が望ましい。nが10以上であるとポリ
カーボネート系樹脂に対する相溶性が悪くなり、得られ
る樹脂組成物の透明性および物性が劣り好ましくない。
【0053】また、前記式[1]中のkおよびmは0ま
たは1を示し、kおよびmともに0が望ましい。
【0054】B成分のケイ素含有化合物は、前記式
[1]中のjが2〜2000の整数であるオリゴマーま
たはポリマーであり、また、ホモポリマーまたは2種類
以上の構成単位からなる共重合体およびこれらの混合物
を含む。平均重合度jは50〜200の範囲が特に好ま
しい。平均重合度があまりに高いとケイ素含有化合物
は、その製造が困難となり、生産性に劣り好ましくな
い。また、平均重合度が低い場合は、ケイ素含有化合物
のガラス転移点および溶融温度が低くなる場合があり、
ポリカーボネート系樹脂組成物の物性を低下させること
がある。
【0055】これらB成分として用いられるケイ素含有
化合物は公知の方法で製造できる。一般に、2つの水酸
基を有する芳香族化合物(ビスフェノール類、ジヒドロ
キシジフェニルエーテル等)と2つの反応性基(ハロゲ
ン、アミノ基等)を有する2置換シラン(ジメチルジク
ロロシラン、メチルフェニルジクロロシラン等)とを触
媒存在下で溶液縮合重合して合成できる。Journa
l of Polymer Science, Vo
l.18, p.3119(1980)ではビスフェノ
ールAとジメチルジクロロシランをトルエン溶媒中で縮
合重合することによってビスフェノールAおよびジメチ
ルシロキシ骨格からなるケイ素含有ポリマーを得る方法
が示されている。また、特開平5−247215号公報
で開示されているように溶媒を用いないでケイ素含有ポ
リマーを合成する溶融重合法も可能である。
【0056】本発明において、B成分として用いられる
ケイ素含有化合物の配合量は、前記A成分のポリカーボ
ネート系樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量
部であり、好ましくは0.2〜10重量部であり、特に
好ましくは0.5〜5重量部である。B成分の量が0.
1重量部未満であると樹脂組成物の難燃性が発現しなく
なり、20重量部を超えると透明性や機械的物性等のポ
リカーボネート系樹脂本来の性質が失われてしまい好ま
しくない。
【0057】また、本発明のポリカーボネート系樹脂組
成物に添加することができる炭素数が1以上である有機
ブレンステッド酸のアルカリまたはアルカリ土類金属塩
(C成分)としては例えば、有機スルホン酸、有機カル
ボン酸、有機リン酸、有機ホスホン酸、有機ホスフィン
酸等のブレンステッド酸のアルカリまたはアルカリ土類
金属塩があげられる。本発明におけるブレンステッド酸
とはフィーザー・アンド・フィーザー著、有機化学、イ
ンターサイエンス出版社(Interscience
publishers, N. Y.)、1965年、
p.595から述べられているものである。C成分を構
成する有機ブレンステッド酸はジフェニルリン酸のよう
に一部がエステルとなっていても良い。これらの有機ブ
レンステッド酸のなかでも有機スルホン酸が好ましい。
一方、アルカリ金属は、ナトリウム、カリウム、リチウ
ム、セシウム等、またアルカリ土類金属は、マグネシウ
ム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等である。
【0058】したがって、有機ブレンステッド酸のアル
カリ金属またはアルカリ土類金属の塩としては、有機ス
ルホン酸、有機カルボン酸、有機リン酸のアルカリ金属
の塩、またはアルカリ土類金属の塩等である。特に、ナ
トリウム、カリウム、セシウムの塩が好ましく用いられ
る。また、その有機酸または有機酸エステルの塩は、そ
の一部がフッ素で置換されていてもよい。
【0059】上記各種の有機ブレンステッド酸のアルカ
リ金属塩又はアルカリ土類金属塩の中では、例えば、有
機スルホン酸の場合、下記式[4] (Cq2q+1SO3p M [4] (式中、qは1〜10の整数を示し、Mはリチウム,ナ
トリウム,カリウム,セシウム等のアルカリ金属、又は
マグネシウム,カルシウム,ストロンチウム,バリウム
等のアルカリ土類金属を示し、pはMの原子価を示
す。)で表されるパーフルオロアルカンスルホン酸のア
ルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が好ましく用いら
れる。
【0060】上記式[4]において、パーフルオロアル
カンスルホン酸としては、例えば、パーフルオロメタン
スルホン酸,パーフルオロエタンスルホン酸,パーフル
オロプロパンスルホン酸,パーフルオロブタンスルホン
酸,パーフルオロメチルブタンスルホン酸,パーフルオ
ロヘキサンスルホン酸,パーフルオロヘプタンスルホン
酸,パーフルオロオクタンスルホン酸等が挙げられ、特
に、これらのカリウム塩が好ましく用いられる。
【0061】さらに、他の有機スルホン酸のアルカリ金
属塩又はアルカリ土類金属塩としては、ジフェニルスル
ホン−3スルホン酸、ジフェニルスルホン−3,3’ス
ルホン酸、ナフタレントリスルホン酸等のアルカリ金属
塩又はアルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらの中
で、特に、パーフルオロブタンスルホン酸カリウムおよ
びジフェニルスルホンスルホン酸カリウムが好ましく用
いられる。
【0062】有機カルボン酸としては、例えば、パーフ
ルオロギ酸,パーフルオロメタンカルボン酸,パーフル
オロエタンカルボン酸,パーフルオロプロパンカルボン
酸,パーフルオロブタンカルボン酸,パーフルオロメチ
ルブタンカルボン酸,パーフルオロヘキサンカルボン
酸,パーフルオロヘプタンカルボン酸,パーフルオロオ
クタンカルボン酸等が挙げられ、これら有機カルボン酸
のアルカリ金属塩又はアルカリ土類金属塩が用いられ
る。
【0063】有機リン酸としては、下記式[5−I]ま
たは[5−II]
【0064】
【化9】
【0065】
【化10】
【0066】(式中、R18、R19及びR20は、同一また
は異なっていてもよく、アルキル基又はアリール基を示
し、このR19とR20は直接又はアルキレン基によって結
合されていてもよく、また、1個の縮合環を形成してい
てもよい。)で表される化合物があげられ、上記式中の
水素原子をアルカリ金属又はアルカリ土類金属に代えた
化合物が用いられる。このような有機リン酸のアルカリ
(土類)金属塩としては、例えば、ジ(p−tert−
ブチルフェノール)のリン酸エステルアルカリ(土類)
金属塩、ジ(p−クミルフェノール)のリン酸エステル
アルカリ(土類)金属塩等が好ましく用いられる。
【0067】上記のC成分として必要に応じて用いられ
る炭素数が1以上である有機ブレンステッド酸のアルカ
リ金属塩又はアルカリ土類金属塩は、それぞれ単独で用
いてよく、また2種以上を混合して用いてもよい。ま
た、C成分の配合量は、前記A成分のポリカーボネート
系樹脂100重量部に対して、0.01〜1重量部の範
囲が好ましく、0.02〜0.5重量部の範囲が特に好
ましい。C成分の配合量がかかる範囲であれば、さらに
高度の難燃性を付与することができ、また経済的にも有
利である。
【0068】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物の
特徴の1つである透明性とは、ポリカーボネート系樹脂
本来の透明性により近いことである。具体的には1/1
6インチ(1.59mm)厚みの成形平板において、J
IS−K−7105に準拠して測定したヘーズ(曇価)
値が10以下であることをさし、9以下がより好まし
く、4以下がさらに好ましい。また、全光線透過率が8
0.0%以上であり、84.0%以上がより好ましく、
87.0%以上がさらに好ましい。
【0069】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物に
は、本発明の目的を損なわない程度でドリップ防止剤を
配合することができる。ドリップ防止剤としては、フィ
ブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレンが好
適に使用される。かかるポリテトラフルオロエチレン
は、樹脂の透明性を維持するために、アクリロニトリル
−スチレン共重合体やポリメチルメタクリレート樹脂等
で被覆されたものも好ましく使用できる。ドリップ防止
剤の配合量は、前記ポリカーボネート系樹脂(A成分)
100重量部に対して0.01〜3重量部が好ましい。
【0070】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物に
は、成形時における分子量の低下や色相の悪化を防止す
るために本発明の目的を損なわない程度で熱安定剤を配
合することができる。
【0071】かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン
酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸及びこれらのエステル等
が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,
4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ト
リデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、ト
リオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホ
スファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジ
イソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジ
フェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファ
イト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス
(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニ
ル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メ
チレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)
オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタ
エリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t
ert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホス
ファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスフ
ァイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェ
ート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェ
ート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジ
ブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソ
プロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホス
ホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチ
ルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼン
ホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等
が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスフ
ァイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ
−tert−ブチルフェニル)ホスファイト及びベンゼ
ンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。これらの
熱安定剤は、単独でもしくは2種以上混合して用いても
よい。かかる熱安定剤の配合量は、前記ポリカーボネー
ト系樹脂(A成分)100重量部に対して0.0001
〜1重量部が好ましく、0.0005〜0.5重量部が
より好ましく、0.001〜0.1重量部が更に好まし
い。
【0072】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物に
は、本発明の目的を損なわない程度で通常知られた酸化
防止剤を配合することができる。かかる酸化防止剤とし
ては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メ
ルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテト
ラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロ
ール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレ
ングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5
−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネー
ト]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5
−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス
[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−
(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,
4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−
ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレ
ンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキ
シ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブ
チル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチ
ルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−
4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’
−ビフェニレンジホスホスフィン酸テトラキス(2,4
−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス
{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチ
ル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニ
ルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサ
スピロ[5,5]ウンデカン等が挙げられる。これら酸
化防止剤の配合量は、前記ポリカーボネート系樹脂(A
成分)100重量部に対して0.0001〜0.05重
量部が好ましい。
【0073】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物に
は、溶融成形時の金型からの離型性をより向上させるた
めに、本発明の目的を損なわない程度で離型剤を配合す
ることができる。かかる離型剤としては、一価又は多価
アルコールの高級脂肪酸エステル、パラフィンワック
ス、蜜蝋等が挙げられる。かかる高級脂肪酸エステルと
しては、炭素原子数1〜20の一価又は多価アルコール
と炭素原子数10〜30の飽和脂肪酸との部分エステル
又は全エステルであるのが好ましい。かかる一価又は多
価アルコールと飽和脂肪酸との部分エステル又は全エス
テルとしては、ステアリン酸モノグリセリド、ステアリ
ン酸ジグリセリド、ステアリン酸トリグリセリド、ステ
アリン酸モノソルビテート、ベヘニン酸モノグリセリ
ド、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエ
リスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトー
ルテトラペラルゴネート、プロピレングリコールモノス
テアレート、ステアリルステアレート、パルミチルパル
ミテート、ブチルステアレート、メチルラウレート、イ
ソプロピルパルミテート、ビフェニルビフェネ−ト、ソ
ルビタンモノステアレート、2−エチルヘキシルステア
レート等が挙げられ、なかでもステアリン酸モノグリセ
リド、ステアリン酸トリグリセリド、ペンタエリスリト
ールテトラステアレートが好ましく用いられる。かかる
離型剤の配合量は、前記ポリカーボネート系樹脂(A成
分)100重量部に対して0.001〜0.5重量部が
好ましい。
【0074】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物に
は、本発明の目的を損なわない程度で光安定剤を配合す
ることができる。かかる光安定剤としては、例えば2−
(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニ
ル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル
−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロ
ベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキ
シフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキ
シ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニ
ル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレン
ビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニ
ル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾ
オキサジン−4−オン)、ポリアルキレンナフタレート
等が挙げられる。かかる光安定剤の配合量は、前記ポリ
カーボネート系樹脂(A成分)100重量部に対して
0.01〜2重量部が好ましい。
【0075】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物に
は、本発明の目的を損なわない程度で帯電防止剤を配合
することができる。かかる帯電防止剤としては、例えば
ポリエーテルエステルアミド、グリセリンモノステアレ
ート、ドデシルベンゼンスルホン酸アンモニウム塩、ド
デシルベンゼンスルホン酸ホスホニウム塩、無水マレイ
ン酸モノグリセライド、無水マレイン酸ジグリセライド
等が挙げられる。かかる帯電防止剤の配合量は、前記ポ
リカーボネート系樹脂(A成分)100重量部に対して
0.1〜10重量部が好ましい。
【0076】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物に
は、他の樹脂やエラストマーを本発明の目的が損なわれ
ない範囲、すなわち高い難燃性及び透明性を保持できる
範囲で配合することもできる。かかる他の樹脂として
は、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリブチレン
テレフタレート等のポリエステル樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウ
レタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリフェニレンエーテル
樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリ
ロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブ
タジエン−スチレン共重合体、ポリメタクリレート樹
脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられ
る。
【0077】また、エラストマーとしては、例えばイソ
ブチレン−イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴ
ム、エチレン−プロピレンゴム、アクリル系エラストマ
ー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラス
トマー、コアシェル型のエラストマーであるMBS(メ
タクリル酸メチル−ステレン−ブタジエン)ゴム、MA
S(メタクリル酸メチル−アクリロニトリル−スチレ
ン)ゴム等が挙げられる。
【0078】本発明のポリカーボネート系樹脂組成物
は、通常、A成分のポリカーボネート系樹脂、B成分の
ケイ素含有化合物、所望によりC成分の有機ブレンステ
ッド酸のアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩、お
よび必要に応じてその他の添加剤等を別々の供給機よ
り、又はかかる成分の一部を混合機により予備混合した
混合物及び混合物以外の各成分を各々の供給機より、同
一の投入口から又は2個所以上の投入口から混練機に供
給し、溶融混合することにより得ることができる。
【0079】また、本発明のポリカーボネート系樹脂組
成物を得る方法として、B成分の一部又全部を一部のA
成分と予め混合してマスターを作成し投入する方法、か
かるマスターを押出機途中から投入する方法のいずれの
方法も取ることができる。混合機としては例えば、タン
ブラー、V型ブレンダー、スーパーミキサー、スーパー
フローター及びヘンシェルミキサー等が挙げられる。又
混練機としては種々の溶融混合機が使用でき、例えば、
ニーダー、一軸又は二軸押出機等が使用できる。中でも
二軸押出機等を用いて樹脂組成物を溶融して押出し、ペ
レタイザーによりペレット化する方法が好ましく使用さ
れる。好ましくは250〜320℃程度の温度で1個以
上の脱気孔を備えた押出機を使用し、減圧下において溶
融混練することが好ましい。
【0080】こうして得られるポリカーボネート系樹脂
組成物のペレットは射出成形法、押出成形法、圧縮成形
法等の通常知られている方法で成形品にすることができ
る。尚、上記混合機により得られた混合物のまま射出成
形、押出成形等により成形品にすることも当然可能であ
る。
【0081】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明を詳述するが、
本発明の範囲がこれらの実施例に限定されるものではな
い。なお、実施例中の各種特性の測定は以下の方法で行
った。
【0082】(1)ケイ素含有化合物の分子量・分子量
分布測定 昭和電工(株)社製GPCカラムKF−805Lを備え
たHPLC測定装置LC−10A(島津製作所製)を用
いてサイズ排除クロマトグラフィーによって数平均分子
量、分子量分布を得た。測定は溶離液としてクロロホル
ムを用い、標準ポリスチレンを用い校正した。
【0083】(2)構造粘性指数 ポリカーボネート系樹脂ペレットを高化式フローテスタ
ー(島津製作所(株)製)のシリンダーに入れ、温度を
280℃と一定にして、加えた圧力P(9.8〜17.
6MPa)とそれぞれの溶融樹脂の流出量Q(mL/s
ec)を測定し、それぞれの値を両対数グラフにプロッ
トして得られる回帰直線の勾配から求めた。
【0084】(3)ポリカーボネート系樹脂の粘度平均
分子量 粘度平均分子量(Mv)は塩化メチレン100mlにポ
リカーボネート系樹脂0.7gを20℃で溶解した溶液
から求めた比粘度(ηSP)を次式に挿入して求めた。 ηSP/C=[η]+0.45[η]2C [η]=1.23×10-4Mv0.83 (但し[η]は極限粘度、Cはポリマー濃度で0.7)
【0085】(4)難燃性 (i)酸素指数 JIS−K−7201に準拠して測定した。
【0086】(ii)UL−94試験 厚さ1/16インチ(1.59mm)および1/24イ
ンチ(1.06mm)のテストピースを用い、米国UL
規格のUL−94に規定されている垂直燃焼試験に従っ
て評価した。
【0087】(5)透明性(ヘイズ値) 厚さ1/16インチ(1.59mm)のテストピースに
ついてJIS−K−7105に準拠してヘイズ値を測定
した。
【0088】[参考例1]高分子量ポリカーボネート樹
脂の合成 温度計、撹拌機及び還流冷却器付き反応器に、ビスフェ
ノールA100重量部を、窒素気流下でイオン交換水に
より作成した10%水酸化ナトリウム水溶液550重量
部を溶解した中に、塩化メチレン320重量部を加えて
攪拌下25℃でホスゲン50重量部を100分間要して
吹き込んだ。この間15%水酸化ナトリウム水溶液を加
えて水層のpH値を12〜14に調整した。反応終了後
における塩化メチレン層中の反応生成物の濃度は25%
であった。次いで強く攪拌しながら塩化メチレン550
重量部を加えて均一なエマルジョンにした。この時、塩
化メチレン層中の反応生成物の濃度は11%であった。
続いて15%水酸化ナトリウム水溶液を加えて水層のp
Hを13に調整しながら末端停止剤としてp−tert
−ブチルフェノール0.23重量部、触媒としてトリエ
チルアミン0.2重量部及び塩化メチレン550重量部
を添加した。この時、塩化メチレン層中の反応生成物の
濃度は7%であった。10分後更に塩化メチレン550
重量部を追加し、塩化メチレン層中の反応生成物の濃度
を5%とし、更に10分後塩化メチレン550重量部を
追加し、30℃で3時間重縮合反応させた。反応終了
時、塩化メチレン層中の反応生成物の濃度は4%であっ
た。反応終了後水層を分離し、有機層を十分に水洗し、
濃縮した後、メタノール中に滴下し、沈殿物として直鎖
状高分子量ポリカーボネート樹脂を得、これを乾燥し
た。得られた直鎖状高分子量ポリカーボネート樹脂は粘
度平均分子量121,000であった。
【0089】[参考例2]分岐状ポリカーボネート樹脂
の合成 温度計、撹拌機及び還流冷却器付き反応器に、ビスフェ
ノールA114重量部を溶解した12.3%水酸化ナト
リウム水溶液394重量部と、塩化メチレン300重量
部を加えて攪拌下25℃でホスゲン70重量部を40分
間要して吹き込んだ。これにp−tert−ブチルフェ
ノール2.8重量部と1,1,1−トリス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタン0.9重量部を溶解した10%水
酸化ナトリウム水溶液9重量部を加え、5分間攪拌した
後トリエチルアミン0.23重量部を加え10分間攪拌
した。続けてビスフェノールA23重量部を溶解した4
%水酸化ナトリウム水溶液237重量部を加えて、約4
0分間攪拌して反応を完結した。水層を分離し、有機層
を十分に水洗し、濃縮して分岐状ポリカーボネート樹脂
を得た。得られた分岐状ポリカーボネート樹脂は粘度平
均分子量25,100であった。
【0090】[参考例3]ケイ素含有化合物(B−1)
の合成 窒素雰囲気下でビスフェノールA228.3g、ピリジ
ン158.2g、トルエン600mlの混合物を攪拌し
ながら、ジメチルジクロロシラン129.1gを室温で
5分間かけて滴下した。滴下終了後、1時間還流した
後、室温まで冷却し、トルエン1000mlを加えてか
ら白色沈澱を濾別した。得られた溶液を希塩酸、炭酸水
素ナトリウム水溶液、水で洗浄してから乾燥し、大量の
ヘキサンに加えたところ、白色沈澱が生成した。この沈
澱物を回収した後、80℃にて12時間真空乾燥した。
85%の収率で241.8gの生成物が得られた。生成
物の分子量をサイズ排除クロマトグラフィーで測定した
ところ、数平均分子量(Mn)45,000、重量平均
分子量(Mw)90,000、分子量分布(Mw/M
n)2.0のポリマーであることが分かった。
【0091】[参考例4]ケイ素含有化合物(B−2)
の合成 窒素雰囲気下でビスフェノールA228.3g、ピリジ
ン158.2g、トルエン600mlの混合物を攪拌し
ながら、ジフェニルジクロロシラン253.2gを室温
で5分間かけて滴下した。滴下終了後、1時間還流した
後、室温まで冷却し、トルエン1000mlを加えてか
ら白色沈澱を濾別した。得られた溶液を希塩酸、炭酸水
素ナトリウム水溶液、水で洗浄してから乾燥し、大量の
ヘキサンに加えたところ、白色沈澱が生成した。この沈
澱物を回収した後、90℃にて12時間真空乾燥した。
85%の収率で347.3gの生成物が得られた。生成
物の分子量をサイズ排除クロマトグラフィーで測定した
ところ、数平均分子量45,400、重量平均分子量1
09,600、分子量分布2.4のポリマーであること
が分かった。
【0092】[参考例5]ケイ素含有化合物(B−3)
の合成 窒素雰囲気下で4,4’−ジヒドロキシジフェニルエー
テル202.2g、ピリジン158.2g、トルエン6
00mlの混合物を攪拌しながら、ジメチルジクロロシ
ラン129.1gを室温で5分間かけて滴下した。滴下
終了後、1時間還流した後、室温まで冷却し、トルエン
1000mlを加えてから薄褐色沈澱を濾別した。得ら
れた溶液を水洗してから溶媒を減圧留去し、60℃にて
12時間真空乾燥した。99%の収率で255.8gの
生成物が得られた。生成物の分子量をサイズ排除クロマ
トグラフィーで測定したところ、数平均分子量12,2
00、重量平均分子量28,100、分子量分布2.3
のポリマーであることが分かった。
【0093】実施例に用いた原料は以下の通りである。
【0094】(A成分) (A−1成分)または(A−3成分) PC−1:パンライトL−1250(直鎖状ポリカーボ
ネート樹脂、帝人化成(株)製、Mv=25,000) (A−2成分) PC−2:上記参考例1で得られた直鎖状高分子量ポリ
カーボネート樹脂 (A−4成分) PC−3:タフロンIB2500(分岐状ポリカーボネ
ート樹脂、出光石油化学(株)製、分岐剤 1,1,1
−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン使用、Mv
=25,000) PC−4:上記参考例2で得られた分岐状ポリカーボネ
ート樹脂
【0095】(B成分)ケイ素含有化合物 B−1:上記参考例3で得られたケイ素含有ホモポリマ
ー B−2:上記参考例4で得られたケイ素含有ホモポリマ
ー B−3:上記参考例5で得られたケイ素含有ホモポリマ
【0096】(C成分)有機アルカリ金属塩 C−1:C49SO3K(大日本インキ化学(株)製メ
ガファックF114) C−2:ジフェニルスルホンスルホン酸カリウム(UC
B社製KSS;ジフェニルスルホン−3−スルホン酸と
ジフェニルスルホン−3,3’−スルホン酸との混合
物)
【0097】[実施例1〜12および比較例1〜5]表
1および表2記載の各成分を、表1および表2記載の配
合割合(重量部)でタンブラーを使用して均一に混合し
た後、15mmφベント付き二軸押出機((株)テクノ
ベル社製 KZW−15)にて樹脂温度260℃でペレ
ット化し、得られたペレットを熱風乾燥機にて95℃で
4時間乾燥した。このペレットを射出成形機((株)日
本製鋼所製J75Si)を用いてシリンダー温度280
℃、金型温度80℃で各テストピースを成形した。作成
したテストピースを用いて、透明性および難燃性の評価
を行った。
【0098】
【表1】
【0099】
【表2】
【0100】実施例1、4および8に示されるように本
発明のケイ素含有化合物を混錬した組成物は酸素指数が
上昇し難燃化されていることが分かる。実施例2、3、
5、6、7、9、10、11および12で示されるよう
に有機ブレンステッド酸アルカリ金属塩を併用すると、
UL−94試験において1/16インチおよび1/24
インチテストピースでV−0の難燃性が付与されている
ことが分かる。これらの実施例で得られたテストピース
はいずれもヘイズが7以下であり透明性に優れているこ
とが分かる。
【0101】一方、比較例1〜3で示されるように本発
明のケイ素含有化合物を配合しないポリカーボネート系
樹脂組成物の酸素指数は低く、難燃性は不十分であるこ
とが明らかである。比較例4ではケイ素含有化合物の量
が少ないために、難燃性に劣ることが明らかである。ま
た、比較例5では、ケイ素含有化合物の含有量が多くな
ると、難燃性は優れているものの透明性が悪化すること
が明らかである。
【0102】
【発明の効果】本発明はハロゲン、リン元素を用いない
で、透明且つ難燃性のポリカーボネート系樹脂組成物を
提供するものであって、電気・電子機器分野及び自動車
分野、その他各種の分野において使用可能な環境負荷の
低いポリカーボネート系樹脂組成物であり、その工業的
効果は極めて大きいものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 83:14) C08L 83:14) (72)発明者 竹谷 豊 東京都千代田区内幸町1丁目2番2号 帝 人化成株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA50 AA65 AC09 AC14 AC15 AF47 BB05 BB06 4J002 CG001 CG002 CP192 EG026 EG036 EV256 EW126 EW136 FD132 4J035 BA02 CA061 CA132 CA162 HA02 LB20

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)ポリカーボネート系樹脂(A成
    分)100重量部に対して、(B)下記式[1]で示さ
    れるケイ素含有化合物(B成分)0.1〜20重量部か
    らなるポリカーボネート系樹脂組成物。 【化1】 (式中、R1は下記式[2−I]および[2−II]か
    ら選択される基であり、R2、R3は同一又は異なってい
    てもよく、水素原子、炭素数1〜12の飽和または不飽
    和アルキル基、および炭素数5〜16の置換もしくは非
    置換アリール基から選ばれる基であり、その一部がフッ
    素原子によって置換されていても良い。nは1〜10の
    整数、kおよびmは0または1、jは2〜2000の整
    数を示す。) 【化2】 【化3】 (式中、Xは、−C(R10)(R11)−、−C(=O)
    −、−SO2−、−S−、−O−、または下記式[3]
    で示される基を表し、pは0〜2の整数を示し、R4
    5、R6、R7、R8、R9、R10およびR11は同一又は
    異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、炭素数1
    〜12の飽和または不飽和アルキル基および炭素数5〜
    16の置換もしくは非置換アリール基から選ばれる基で
    あり、その一部がフッ素原子によって置換されていても
    良い。) 【化4】 (式中、R12、R13、R14、R15、R16およびR17は同
    一又は異なっていてもよく、水素原子、フッ素原子、炭
    素数1〜12の飽和または不飽和アルキル基および炭素
    数5〜16の置換もしくは非置換アリール基から選ばれ
    る基であり、その一部がフッ素原子によって置換されて
    いても良い。)
  2. 【請求項2】 ポリカーボネート系樹脂(A成分)の粘
    度平均分子量は、10,000〜40,000である請
    求項1記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリカーボネート系樹脂(A成分)は、
    その構造粘性指数が1.36以上である請求項1記載の
    ポリカーボネート系樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 ポリカーボネート系樹脂(A成分)は、
    (A−1)粘度平均分子量10,000〜40,000
    のポリカーボネート系樹脂(A−1成分)65〜95重
    量%と(A−2)粘度平均分子量70,000〜25
    0,000の高分子量ポリカーボネート系樹脂(A−2
    成分)5〜35重量%からなる請求項1記載のポリカー
    ボネート系樹脂組成物。
  5. 【請求項5】 ポリカーボネート系樹脂(A成分)は、
    (A−3)直鎖状ポリカーボネート系樹脂(A−3成
    分)0〜95重量%と(A−4)分岐状ポリカーボネー
    ト系樹脂(A−4成分)5〜100重量%からなる請求
    項1記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  6. 【請求項6】 直鎖状ポリカーボネート系樹脂(A−3
    成分)の粘度平均分子量が10,000〜40,000
    である請求項5記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 分岐状ポリカーボネート系樹脂(A−4
    成分)の粘度平均分子量が10,000〜40,000
    である請求項5記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  8. 【請求項8】 ケイ素含有化合物(B成分)が、前記式
    [1]において、R 1が前記式[2−I]であり、その
    4、R5、R6およびR7が水素原子またはメチル基、X
    が−C(R10)(R11)−(R10、R11はそれぞれ水素原
    子、炭素数1〜6の飽和または不飽和アルキル基、およ
    び炭素数5〜16の置換もしくは非置換アリール基から
    選ばれる基である)、−C(=O)−、−SO2−、−
    S−、または−O−であり、pは1で示される構造から
    なるケイ素含有化合物である請求項1記載のポリカーボ
    ネート系樹脂組成物。
  9. 【請求項9】 ケイ素含有化合物(B成分)が、前記式
    [1]において、R 1が前記式[2−I]であり、その
    4、R5、R6およびR7が水素原子、XがC(C
    32、pは1で示される構造からなるケイ素含有化合
    物である請求項1記載のポリカーボネート系樹脂組成
    物。
  10. 【請求項10】 ケイ素含有化合物(B成分)が、前記
    式[1]において、R2、R3がそれぞれ水素原子、メチ
    ル、エチル、プロピル、ビニル、ブチル、フェニルから
    選ばれる基であり、k、mは0であり、nは1で示され
    る構造からなるケイ素含有化合物である請求項1記載の
    ポリカーボネート系樹脂組成物。
  11. 【請求項11】 さらに、ポリカーボネート系樹脂(A
    成分)100重量部に対して、(C)炭素数が1以上で
    ある有機ブレンステッド酸のアルカリまたはアルカリ土
    類金属塩(C成分)0.01〜1重量部を含有する請求
    項1記載のポリカーボネート系樹脂組成物。
  12. 【請求項12】 請求項1記載の樹脂組成物より形成さ
    れた成形品。
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