JP2001346596A - 光学活性シアノヒドリンの製造方法 - Google Patents

光学活性シアノヒドリンの製造方法

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JP2001346596A JP2000166579A JP2000166579A JP2001346596A JP 2001346596 A JP2001346596 A JP 2001346596A JP 2000166579 A JP2000166579 A JP 2000166579A JP 2000166579 A JP2000166579 A JP 2000166579A JP 2001346596 A JP2001346596 A JP 2001346596A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 カルボニル化合物及び青酸を原料としてヒド
ロキシニトリルリアーゼ等の酵素を触媒に用い光学活性
シアノヒドリンを合成するに際し、工業的に有利な方法
の提供。 【解決手段】 青酸を1.5Mの濃度で水と実質的に混
和しない有機溶媒に溶解した溶液と純水とを、有機相と
水相に二相分離する比率で混合後、静置して得られる水
相のpHが5以下を示す、安定剤として酸性物質を含む
青酸、及びカルボニル化合物を原料として、酵素反応に
より光学活性シアノヒドリンを合成するに際し、当該安
定剤の酵素に対する阻害作用を低減させるための処理を
行った青酸を原料として用いる光学活性シアノヒドリン
の製造方法;並びに上記合成方法において、青酸を一旦
水と実質的に混和しない有機溶媒に溶解して、青酸有機
溶媒溶液を調製し、次いでこれに緩衝液を飽和量以上加
え混合後、青酸有機溶媒溶液相を回収し反応に用いる製
造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カルボニル化合物
及び青酸(シアン化水素酸)を原料として、酵素反応に
より光学活性シアノヒドリンを合成する反応に関する。
【0002】
【従来の技術】カルボニル化合物及び青酸を原料とし
て、ヒドロキシニトリルリアーゼ等の酵素を触媒に用
い、光学活性シアノヒドリンを合成する反応については
多くの報告がある。しかし、いずれも工業的に生産され
ている青酸に安定剤が含まれており、しかも、その安定
剤がヒドロキシニトリルリアーゼの活性に重大な影響を
及ぼすことについては全く言及されていない。この理由
として、これまでの報告例が工業的に生産された青酸で
はなく、実験室内でごく少量調製された青酸であるた
め、安定剤を含まないためにこの事実に気がつかなかっ
たこと、また、反応系に添加する青酸が低濃度である場
合には、安定剤の影響が出難いことなどから、この事実
について知られていなかったためであろうことが考えら
れる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、カルボニル
化合物及び青酸を原料として、ヒドロキシニトリルリア
ーゼ等の酵素を触媒に用い、光学活性シアノヒドリンを
合成するに際し、工業的に有利な方法を提供することを
目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、工業的に利用可能
な青酸に安定剤として含まれている酸性物質(亜硫酸や
硫酸)がヒドロキシニトリルリアーゼ等の酵素の活性を
阻害しており、この安定剤の阻害作用を低減させること
により、ヒドロキシニトリルリアーゼ等の酵素の寿命を
大幅に延長することができることを見出し、本発明を完
成するに至った。
【0005】即ち、本発明は、以下の発明を包含する。 (1)青酸を1.5Mの濃度で水と実質的に混和しない
有機溶媒に溶解した溶液と純水とを、有機相と水相に二
相分離する比率で混合した後、静置して得られる水相の
pHが5以下を示す、安定剤として酸性物質を含む青
酸、及びカルボニル化合物を原料として、酵素反応によ
り光学活性シアノヒドリンを合成するに際し、当該安定
剤の酵素に対する阻害作用を低減させるための処理を行
った青酸を原料として用いることを特徴とする光学活性
シアノヒドリンの製造方法。
【0006】(2)青酸及びカルボニル化合物を原料と
して、酵素反応により光学活性シアノヒドリンを合成す
る方法において、青酸を一旦水と実質的に混和しない有
機溶媒に溶解して、青酸有機溶媒溶液を調製し、次いで
当該青酸有機溶媒溶液に対して緩衝液を飽和量以上加
え、混合した後、青酸有機溶媒溶液相を回収し、反応に
用いることを特徴とする光学活性シアノヒドリンの製造
方法。 (3)緩衝液がpH4〜7の範囲で緩衝能を有する緩衝
液である前記(2)に記載の方法。 (4)酵素反応がヒドロキシニトリルリアーゼを用いる
酵素反応である前記(1)〜(3)のいずれかに記載の
方法。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明に用いるヒドロキシニトリ
ルリアーゼとは、シアン化水素とカルボニル化合物とか
ら光学活性なシアノヒドリンを合成する活性を有するも
のを意味し、R体のシアノヒドリンを合成するヒドロキ
シニトリルリアーゼ((R)−ヒドロキシニトリルリア
ーゼ)としては、アーモンド(Prunus amygdalus)などの
バラ科植物由来の(R)−ヒドロキシニトリルリアー
ゼ、アマ科植物由来の(R)−ヒドロキシニトリルリア
ーゼ、S体のシアノヒドリンを合成するヒドロキシニト
リルリアーゼ((S)−ヒドロキシニトリルリアーゼ)
としては、モロコシ(Sorghum bicolor)などのイネ科植
物由来の(S)−ヒドロキシニトリルリアーゼ、キャッ
サバ(Manihot esculenta)、パラゴムノキ(Hevea brasil
iensis)などのトウダイグサ科植物由来の(S)−ヒド
ロキシニトリルリアーゼ、キシメニア(Ximenia america
na)などのボロボロノキ科植物由来の(S)−ヒドロキ
シニトリルリアーゼなどが例示できる。
【0008】前記酵素は酵素を含む生物組織からの抽出
によって調製することができるが、前記酵素の遺伝子を
クローニングし、当該遺伝子を組み込んで作成した遺伝
子組換え生物によっても生産することができる。
【0009】前記酵素は、酵素粉末状、酵素液状、適当
な担体に固定化してなる固定化酵素などの状態のものを
使用することができる。酵素を固定化する方法として
は、種々の方法があるが、例えば、多孔性の無機担体、
セルロースなどの繊維状の担体、高分子化合物からなる
担体などが挙げられ、具体的には、多孔性のセラミック
粒子、多孔性のシリカゲル粒子、ゼオライト系粒子、寒
天、アルギン酸カルシウム、キトサンなどの天然高分子
ゲル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニ
ルアルコールなどの合成高分子ゲルなどが例示できる
が、これらに限定されるものではない。酵素の固定化方
法としては、特に制限はなく、例えば、担体に酵素液を
吸収させる方法、酵素液と担体とを混合し、酵素を吸着
固定する方法、酵素を包括固定化する方法、酵素を架橋
剤で架橋する方法等が挙げられる。
【0010】本発明においては、光学活性シアノヒドリ
ンの製造原料としてカルボニル化合物及び青酸(シアン
化水素酸)を用いる。ここでカルボニル化合物とは、ア
ルデヒド又はケトンをいい、具体的には、次式(I):
【0011】
【化1】R1−CO−R2 (I) (式中、R1及びR2は、互いに異なり、それぞれ水素原
子又は炭素数22以下の1価の炭化水素基を表し、前記
炭化水素基中、−CH2−並びに−CH3のCH2はカル
ボニル基、スルホニル基、−O−又は−S−で置き換え
られていてもよく、=CH2は=O又は=Sで置き換え
られていてもよく、また−CH2−のC−H、−CH3
C−H、>CH−のC−H、=CH−のC−H並びに=
CH2のC−Hは、N又はC−ハロゲンで置き換えられ
ていてもよく、また、R1及びR2は、共同して非対称の
2価の基を表してもよい。)で示される。
【0012】前記式(I)において、炭素数22以下の
1価の炭化水素基とは、直鎖状又は分岐状の鎖状炭化水
素基、側鎖のない又は側鎖のある単環式炭化水素基、側
鎖のない又は側鎖のある多環式炭化水素基、側鎖のない
又は側鎖のあるスピロ炭化水素基、側鎖のない又は側鎖
のある環集合構造の炭化水素基、あるいは、前記の環式
炭化水素基が置換した鎖状炭化水素基のいずれをも含
む。また、飽和な炭化水素基並びに不飽和な炭化水素基
のいずれをも含むが、不飽和な炭化水素基において、C
=C=Cのアレン構造を含む基は除く。直鎖状又は分岐
状の鎖状炭化水素基としては、例えば、飽和な鎖状炭化
水素基である、炭素数1以上の直鎖状アルキル基、炭素
数3以上の分岐状アルキル基、不飽和な鎖状炭化水素基
である、炭素数2以上の直鎖状アルケニル基、炭素数3
以上の分岐状アルケニル基、炭素数3以上の直鎖状アル
キニル基、炭素数4以上の分岐状アルキニル基、炭素数
4以上の直鎖状アルカジエニル基、炭素数5以上の分岐
状アルカジエニル基などを例示することができる。単環
式炭化水素基としては、例えば、飽和な単環式炭化水素
基である、炭素数3以上の側鎖のないシクロアルキル
基、総炭素数4以上の側鎖のあるシクロアルキル基、不
飽和な単環式炭化水素基である、炭素数4以上の側鎖の
ないシクロアルケニル基、総炭素数5以上の側鎖のある
シクロアルキニル基、炭素数5以上の側鎖のないシクロ
アルカジエニル基、総炭素数6以上の側鎖のあるシクロ
アルカジエニル基などを例示することができる。不飽和
な単環式又は多環式炭化水素基としては、芳香族炭化水
素基、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフ
チル基、9−アントリル基など総炭素数6〜22の側鎖
のない芳香族基、総炭素数7以上の側鎖のある芳香族
基、更には、環集合構造の炭化水素基でもある、炭素数
12のフェニルフェニル基、総炭素数13以上の側鎖の
あるフェニルフェニル基を例示することができる。ま
た、多環式炭化水素基としては、炭素数6以上の側鎖の
ない縮合環式炭化水素基、総炭素数7以上の側鎖のある
縮合環式炭化水素基、炭素数7以上の側鎖のない架橋環
式炭化水素基、総炭素数8以上の側鎖のある架橋環式炭
化水素基、総炭素数9以上の側鎖のないスピロ炭化水素
基、総炭素数10以上の側鎖のあるスピロ炭化水素基な
どを例示することができる。なお、前記の側鎖のない縮
合環式炭化水素基において、縮合する環の一つがベンゼ
ン環である場合、その総炭素数が9以上となるものを挙
げることができ、前記の側鎖のある縮合環式炭化水素基
において、縮合する環の一つがベンゼン環である場合、
その総炭素数が10以上となるものを挙げることができ
る。環集合構造の炭化水素基としては、総炭素数6以上
の側鎖のないシクロアルキルシクロアルキル基、総炭素
数7以上の側鎖のあるシクロアルキルシクロアルキル
基、総炭素数6以上の側鎖のないシクロアルキリデンシ
クロアルキル基、総炭素数7以上の側鎖のあるシクロア
ルキリデンシクロアルキル基などを例示することができ
る。なお、これらの環式炭化水素において、側鎖のある
とは、環上に鎖状炭化水素基が置換していることを意味
する。前述する環式炭化水素基が置換した鎖状炭化水素
基としては、総炭素数7以上の側鎖のない芳香族基で置
換された直鎖状アルキル基、総炭素数8以上の側鎖のあ
る芳香族基で置換された直鎖状アルキル基、総炭素数9
以上の側鎖のない芳香族基で置換された分岐状アルキル
基、総炭素数10以上の側鎖のある芳香族基で置換され
た分岐状アルキル基、総炭素数8以上の側鎖のない芳香
族基で置換された直鎖状アルケニル基、総炭素数9以上
の側鎖のある芳香族基で置換された直鎖状アルケニル
基、総炭素数9以上の側鎖のない芳香族基で置換された
分岐状アルケニル基、総炭素数10以上の側鎖のある芳
香族基で置換された分岐状アルケニル基、総炭素数8以
上の側鎖のない芳香族基で置換された直鎖状アルキニル
基、総炭素数9以上の側鎖のある芳香族基で置換された
直鎖状アルキニル基、総炭素数10以上の側鎖のない芳
香族基で置換された分岐状アルキニル基、総炭素数11
以上の側鎖のある芳香族基で置換された分岐状アルキニ
ル基、総炭素数10以上の側鎖のない芳香族基で置換さ
れた直鎖状アルカジエニル基、総炭素数11以上の側鎖
のある芳香族基で置換された直鎖状アルカジエニル基、
総炭素数11以上の側鎖のない芳香族基で置換された分
岐状アルカジエニル基、総炭素数12以上の側鎖のある
芳香族基で置換された分岐状アルカジエニル基、総炭素
数4以上の側鎖のないシクロアルキル基で置換された直
鎖状アルキル基、総炭素数5以上の側鎖のあるシクロア
ルキル基で置換された直鎖状アルキル基、総炭素数6以
上の側鎖のないシクロアルキル基で置換された分岐状ア
ルキル基、総炭素数7以上の側鎖のあるシクロアルキル
基で置換された分岐状アルキル基、総炭素数5以上の側
鎖のないシクロアルキル基で置換された直鎖状アルケニ
ル基、総炭素数6以上の側鎖のあるシクロアルキル基で
置換された直鎖状アルケニル基、総炭素数6以上の側鎖
のないシクロアルキル基で置換された分岐状アルケニル
基、総炭素数7以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置
換された分岐状アルケニル基、総炭素数5以上の側鎖の
ないシクロアルキル基で置換された直鎖状アルキニル
基、総炭素数6以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置
換された直鎖状アルキニル基、総炭素数7以上の側鎖の
ないシクロアルキル基で置換された分岐状アルキニル
基、総炭素数8以上の側鎖のあるシクロアルキル基で置
換された分岐状アルキニル基、総炭素数8以上の側鎖の
ないシクロアルキル基で置換された分岐状アルカジエニ
ル基、総炭素数9以上の側鎖のあるシクロアルキル基で
置換された分岐状アルカジエニル基などを例示すること
ができる。
【0013】なお、以下においては、側鎖のない芳香族
基、側鎖のある芳香族基、並びに、フェニルフェニル基
又は側鎖のあるフェニルフェニル基などを併せて、アリ
ール基といい、このアリール基で置換された直鎖状又は
分岐状のアルキル基をアラルキル基という。他の環式炭
化水素基に関しても、特に明記しない場合、環上に側鎖
のないものとあるものを併せて指す場合には、単にシク
ロアルキル基等の名称を用いる。鎖状炭化水素基につい
ても、直鎖状のものと分岐状のものを併せて指す場合に
は、単にアルキル基等の名称を用いる。
【0014】前記炭化水素基中、−CH2−がカルボニ
ル基、スルホニル基、−O−又は−S−で置き換えられ
ると、それぞれケトン、スルホン、エーテル又はチオエ
ーテルの構造が導入され、−CH3の−CH2−がカルボ
ニル基、−O−又は−S−で置き換わると、それぞれホ
ルミル基(アルデヒド)、水酸基又はメルカプト基に変
わり、あるいは、末端の=CH2が=O又は=Sに置き
換わると、ケトン、チオケトンの構造が導入されること
を意味し、また、−CH2−のC−HがNに変わると、
−NH−となり、>CH−のC−HがNに変わると、>
N−となり、=CH−のC−HがNに変わると、=N−
となり、末端の−CH3のC−HがNに変わると、−N
2が導入され、=CH2のC−HがNに変わると、=N
Hとなる。また、−CH3、−CH2−、=CH−、≡C
H又は>CH−のC−HがC−ハロゲンで置き換えられ
ると、当該炭素上へハロゲン原子を置換することにな
る。なお、炭素鎖中における−O−、−S−、Nへの置
き換えは、当該炭化水素基に対する、それぞれオキサ置
換、チア置換、アザ置換に当たり、例えば、炭化水素環
の環の骨格炭素で起こると、炭化水素環のそれぞれ含酸
素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環への変換とな
る。該炭化水素基中、CH2並びにC−Hにおける置き
換えは、それぞれ独立に行われてよく、加えて、前記の
置き換えを行った後、なお当該炭素上にCH2又はC−
Hが残存する際には、更に置き換えがなされてもよい。
更には、前記の置き換えにより、−CH2−CH3の−C
O−O−H;カルボン酸構造への変換などもなされる。
【0015】本明細書において、ハロゲン原子とは、フ
ッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を指すが、
フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。従って、
前記炭化水素基としては、鎖状炭化水素基並びに環式炭
化水素基など環構造を有する炭化水素基のいずれをも選
択でき、例えば、飽和鎖状炭化水素基である直鎖状又は
分岐状のアルキル基、不飽和鎖状炭化水素基である直鎖
状又は分岐状のアルケニル基、直鎖状又は分岐状のアル
キニル基、直鎖状又は分岐状のアルカジエニル基など、
飽和な環式炭化水素基であるシクロアルキル基、不飽和
な環式炭化水素基であるシクロアルケニル基、シクロア
ルキニル基、シクロアルカジエニル基など、芳香族炭化
水素基であるアリール基、アラルキル基、アリールアル
ケニル基などが挙げられる。
【0016】更に詳しくいえば、直鎖状又は分岐状のア
ルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピ
ル基、イソプロピル基、ブチル基、1−メチルプロピル
基、ペンチル基、1−メチルブチル基、ヘキシル基、1
−メチルペンチル基、ヘプチル基、1−メチルヘキシル
基、1−エチルペンチル基、オクチル基、ノニル基、デ
シル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テ
トラデシル基、2−メチルプロピル基、2−メチルブチ
ル基、3−メチルブチル基、2−メチルペンチル基、3
−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、メチルヘ
キシル基、メチルヘプチル基、メチルオクチル基、メチ
ルノニル基、1,1−ジメチルエチル基、1,1−ジメ
チルプロピル基、2,6−ジメチルヘプチル基、3,7
−ジメチルオクチル基、2−エチルヘキシル基など、シ
クロアルキルアルキル基としては、シクロペンチルメチ
ル基、シクロヘキシルメチル基など、シクロアルキル基
としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロ
ペンチル基、メチルシクロペンチル基、シクロヘキシル
基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シク
ロオクチル基など、ビシクロアルキル基としては、ノル
ボルニル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、アダ
マンチル基などが挙げられる。直鎖状又は分岐状のアル
ケニル基としては、例えばビニル基、アリル基、クロチ
ル基(2−ブテニル基)、イソプロペニル基(1−メチ
ルビニル基)など、シクロアルケニル基又はシクロアル
カジエニル基としては、シクロペンテニル基、シクロペ
ンタジエニル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサン
ジエニル基などが挙げられる。直鎖状又は分岐状のアル
キニル基としては、例えばエチニル基、プロピニル基、
ブチニル基などが挙げられる。アリール基としては、例
えばフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、2
−フェニルフェニル基、3−フェニルフェニル基、4−
フェニルフェニル基、9−アントリル基、メチルフェニ
ル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エ
チルフェニル基、メチルエチルフェニル基、ジエチルフ
ェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基など
が挙げられる。アラルキル基としては、例えばベンジル
基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、フ
ェネチル基(2−フェニルエチル基)、1−フェニルエ
チル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェ
ニルペンチル基、フェニルヘキシル基、メチルベンジル
基、メチルフェネチル基、ジメチルベンジル基、ジメチ
ルフェネチル基、トリメチルベンジル基、エチルベンジ
ル基、ジエチルベンジル基などが挙げられる。アリール
アルケニル基としては、例えばスチリル基、メチルスチ
リル基、エチルスチリル基、ジメチルスチリル基、3−
フェニル−2−プロペニル基などが挙げられる。
【0017】前記炭化水素基中のCH2がカルボニル
基、スルホニル基、O又はSで、又はC−HがN又はC
−ハロゲンで置き換えられた基としては、ケトン、アル
デヒド、カルボン酸、スルホン、エーテル、チオエーテ
ル、アミン、アルコール、チオール、ハロゲン、複素環
(例えば、含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素
環)などの構造を一つ以上含む基が挙げられる。なお、
含酸素複素環、含硫黄複素環、含窒素複素環とは、環式
炭化水素基の環骨格の炭素がそれぞれ酸素、硫黄、窒素
で置き換わるものを意味し、更には、これらヘテロ原子
置換が二種以上ある複素環であってもよい。前記の置換
を有する炭化水素基としては、例えば、ケトン構造のア
セチルメチル基、アセチルフェニル基;スルホン構造の
メタンスルホニルメチル基;エーテル構造のメトキシメ
チル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキ
シプロピル基、ブトキシエチル基、エトキシエトキシエ
チル基、メトキシフェニル基、ジメトキシフェニル基、
フェノキシメチル基;チオエーテル構造のメチルチオメ
チル基、メチルチオフェニル基;アミン構造のアミノメ
チル基、2−アミノエチル基、2−アミノプロピル基、
3−アミノプロピル基、2,3−ジアミノプロピル基、
2−アミノブチル基、3−アミノブチル基、4−アミノ
ブチル基、2,3−ジアミノブチル基、2,4−ジアミ
ノブチル基、3,4−ジアミノブチル基、2,3,4−
トリアミノブチル基、メチルアミノメチル基、ジメチル
アミノメチル基、メチルアミノエチル基、プロピルアミ
ノメチル基、シクロペンチルアミノメチル基、アミノフ
ェニル基、ジアミノフェニル基、アミノメチルフェニル
基;含酸素複素環のテトラヒドロフラニル基、テトラヒ
ドロピラニル基、モルホリルエチル基;含酸素複素芳香
環のフリル基、フルフリル基、ベンゾフリル基、ベンゾ
フルフリル基;含硫黄複素芳香環のチエニル基;含窒素
複素芳香環のピロリル基、イミダゾリル基、オキサゾリ
ル基、チアジアゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル
基、ピリダジニル基、ピラジニル基、テトラジニル基、
キノリル基、イソキノリル基、ピリジルメチル基;アル
コール構造の2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシ
プロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、2,3−ジヒ
ドロキシプロピル基、2−ヒドロキシブチル基、3−ヒ
ドロキシブチル基、4−ヒドロキシブチル基、2,3−
ジヒドロキシブチル基、2,4−ジヒドロキシブチル
基、3,4−ジヒドロキシブチル基、2,3,4−トリ
ヒドロキシブチル基、ヒドロキシフェニル基、ジヒドロ
キシフェニル基、ヒドロキシメチルフェニル基、ヒドロ
キシエチルフェニル基;チオール構造の2−メルカプト
エチル基、2−メルカプトプロピル基、3−メルカプト
プロピル基、2,3−ジメルカプトプロピル基、2−メ
ルカプトブチル基、3−メルカプトブチル基、4−メル
カプトブチル基、メルカプトフェニル基;ハロゲン化炭
化水素基である2−クロロエチル基、2−クロロプロピ
ル基、3−クロロプロピル基、2−クロロブチル基、3
−クロロブチル基、4−クロロブチル基、フルオロフェ
ニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、ジフル
オロフェニル基、ジクロロフェニル基、ジブロモフェニ
ル基、クロロフルオロフェニル基、トリフルオロフェニ
ル基、トリクロロフェニル基、フルオロメチルフェニル
基、トリフルオロメチルフェニル基;アミン構造とアル
コール構造を有する2−アミノ−3−ヒドロキシプロピ
ル基、3−アミノ−2−ヒドロキシプロピル基、2−ア
ミノ−3−ヒドロキシブチル基、3−アミノ−2−ヒド
ロキシブチル基、2−アミノ−4−ヒドロキシブチル
基、4−アミノ−2−ヒドロキシブチル基、3−アミノ
−4−ヒドロキシブチル基、4−アミノ−3−ヒドロキ
シブチル基、2,4−ジアミノ−3−ヒドロキシブチル
基、3−アミノ−2,4−ジヒドロキシブチル基、2,
3−ジアミノ−4−ヒドロキシブチル基、4−アミノ−
2,3−ジヒドロキシブチル基、3,4−ジアミノ−2
−ヒドロキシブチル基、2−アミノ−3,4−ジヒドロ
キシブチル基、アミノヒドロキシフェニル基;ハロゲン
と水酸基で置換された炭化水素基であるフルオロヒドロ
キシフェニル基、クロロヒドロキシフェニル基;カルボ
ン構造のカルボキシフェニル基などが挙げられる。
【0018】R1及びR2で表される非対称の2価の基と
しては、特に制限はなく、例えば、ノルボルナン−2−
イリデン、2−ノルボルネン−5−イリデンが挙げられ
る。前記式(I)で示されるカルボニル化合物として
は、例えば、ベンズアルデヒド、m−フェノキシベンズ
アルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、o−クロロ
ベンズアルデヒド、m−クロロベンズアルデヒド、p−
クロロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒ
ド、3,4−メチレンジオキシベンズアルデヒド、2,
3−メチレンジオキシベンズアルデヒド、フェニルアセ
トアルデヒド、フルフラール等の芳香族アルデヒド;ア
セトアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデ
ヒド、バレルアルデヒド、シクロヘキサンアルデヒド等
の脂肪族アルデヒド;エチルメチルケトン、ブチルメチ
ルケトン、メチルプロピルケトン、イソプロピルメチル
ケトン、メチルペンチルケトン、メチル(2−メチルプ
ロピル)ケトン、メチル(3−メチルブチル)ケトン等
の飽和脂肪族ケトン;メチル(2−プロペニル)ケト
ン、(3−ブテニル)メチルケトン等の不飽和脂肪族ケ
トン;(3−クロロプロピル)メチルケトン等のアルキ
ル(ハロアルキル)ケトン;2−(アルコキシカルボニ
ルアミノ)−3−シクロヘキシルプロピオンアルデヒド
等の2−(保護アミノ)アルデヒド;3−メチルチオプ
ロピオンアルデヒド等のアルキルチオ脂肪族アルデヒド
が挙げられる。
【0019】本発明においては、青酸としては安定剤と
して酸性物質を含む青酸を用いる。前記安定剤とは、大
量生産された青酸の重合などによる変質を抑制し、品質
を安定に保持するために添加されている物質で亜硫酸、
硫酸などの酸性物質を意味する。本発明に用いる安定剤
として酸性物質を含む青酸としては、青酸を1.5Mの
濃度で水と実質的に混和しない有機溶媒に溶解した溶液
と純水とを、有機相と水相に二相分離する比率で混合し
た後、静置して得られる水相のpHが5以下を示すもの
を意味し、当該pHが4以下を示すものに本発明の方法
を適用することが好ましい。
【0020】本発明における、青酸に含まれる安定剤の
酵素に対する阻害効果を低減させる方法としては、例え
ば、前記安定剤として酸性物質を含む青酸を一旦水と実
質的に混和しない有機溶媒に溶解して、青酸有機溶媒溶
液を調製し、次いで当該青酸有機溶媒溶液に対して緩衝
液を飽和量以上加え、混合した後、有機相を回収し、反
応に用いる方法;アルカリ性水溶液又はpH4〜7で緩
衝能を有する水性緩衝液を当該青酸に添加して、pHを
5〜6の間になるように調整する方法が挙げられる。
【0021】前記安定剤の酵素に対する阻害効果を低減
させる方法の好ましい手順の一例を以下に示す。 1.通常、水と実質的に混和しない有機溶媒(既に水又
は水性緩衝液で飽和されていてもよい)に安定剤を含む
青酸を所定量添加する。 2.緩衝液を前記溶液の飽和溶解量より過剰に添加、混
合し、静置する。 3.二相分離した有機相を分離し、反応に用いる。
【0022】以上のような極めて簡単な方法によって工
業生産された青酸に含まれる安定剤の悪影響を効果的に
除去することが可能になる。シアン化水素の供給方法と
しては液体として供給する方法、気体として供給する方
法のいずれをも採用することができる。
【0023】前記の安定剤の酵素に対する阻害効果を低
減させる方法に用いる緩衝液とは、酵素活性の最適pH
付近において緩衝能を発揮する緩衝液を意味し、具体的
には、クエン酸、グルタル酸、リンゴ酸、マロン酸、o
−フタル酸、コハク酸などの塩等が挙げられ、通常pH
が4〜7、好ましくは5〜7の範囲のものが用いられ
る。緩衝液の濃度は、所定量の青酸を溶解した有機溶媒
と混合した後の水相のpHを5〜7の範囲に維持するこ
とができる濃度が好ましい。
【0024】本発明においては、反応原料の濃度を高
め、生産性を高めるために、反応溶媒として、水と実質
的に混和しない有機溶媒を用いる。ここで、「水と実質
的に混和しない有機溶媒」とは、水に任意の割合で溶解
する溶媒を除く有機溶媒を意味する。有機溶媒として
は、水と実質的に混和せず、基質及び生成物を充分に溶
解し、酵素反応に悪影響を与えないものであれば特に制
限なく用いることができる。このような有機溶媒は、原
料のアルデヒド又はケトンの物性、生成物であるシアノ
ヒドリンの物性に応じて適宜選択することができる。
【0025】水と実質的に混和しない有機溶媒として
は、具体的には、ハロゲン化されていてもよい炭化水素
系溶媒(例えば、直鎖状、分岐状又は環状の飽和又は不
飽和脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素)、例えば、ペン
タン、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、塩化メチレン、クロロホルムなど;ハロ
ゲン化されていてもよいアルコール系溶媒(例えば、直
鎖状、分岐状又は環状の飽和又は不飽和脂肪族アルコー
ル、アラルキルアルコール)、例えば、n−ブタノー
ル、イソブタノール、t−ブタノール、ヘキサノール、
シクロヘキサノール、n−アミルアルコールなど;ハロ
ゲン化されていてもよいエーテル系溶媒(例えば、直鎖
状、分岐状又は環状の飽和又は不飽和脂肪族エーテル、
芳香族エーテル)、例えば、ジエチルエーテル、ジプロ
ピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエー
テル、t−ブチルメチルエーテル、ジメトキシエタンな
ど;ハロゲン化されていてもよいエステル系溶媒(例え
ば、直鎖状、分岐状又は環状の飽和又は不飽和脂肪族エ
ステル、芳香族エステル)、例えば、ギ酸メチル、酢酸
メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル
等が挙げられ、これらを単独で用いてもまた2種以上を
混合して用いてもよい。
【0026】前記有機溶媒は、水又は水性緩衝液で飽和
されていてもよい。また、更に過剰の水又は水性緩衝液
を加えて有機溶媒相と水相との二相系を形成する溶液状
態で使用してもよい。前記の有機溶媒を水又は水性緩衝
液で飽和する方法としては、特に制限はないが、例え
ば、前記の有機溶媒と水又は水性緩衝液を二相を形成す
る割合で混合し、暫く撹拌した後、静置し、その有機層
を用いる方法が挙げられる。ここで用いる水性緩衝液と
しては、特に制限はないが、例えば、前記の緩衝液が挙
げられる。
【0027】本発明は、工業的に生産され、安定剤を含
む青酸を光学活性シアノヒドリンの合成反応に用いるに
あたり、当該青酸に含まれる安定剤の酵素に対する悪影
響を低減させる方法を提供するものであり、当該青酸を
使用する形態については制限しない。即ち、本発明が提
供する安定剤の悪影響を低減する方法を実施して得られ
る青酸は、水・有機溶媒混合系、有機溶媒系、有機溶媒
水二相系、固定化酵素を使う反応系などのいずれの反応
系においても効果的に使用することができる。
【0028】固定化酵素及び基質の使用量、反応温度
は、用いる基質に応じて適宜決定される。通常、固定化
酵素の使用量は基質であるカルボニル化合物50mmolに
対して1〜1000単位、好ましくは10〜500単位
である。基質の濃度は、カルボニル化合物の場合は通常
0.1〜10mol/Lの範囲に設定し、シアン化水素は用い
るカルボニル化合物に対して1〜5倍モル、好ましくは
1.1〜3倍モルの濃度で添加する。本反応は基質濃度
によって酵素活性及び反応速度が変化するので、用いる
カルボニル化合物の種類に応じて適宜決定する。反応時
間は、基質であるカルボニル化合物の転換率が80%以
上、好ましくは90%以上に達するまでの時間が適当で
あるが、この限りではない。反応温度は酵素の活性が十
分発揮される温度であればよく、通常0〜40℃、好ま
しくは4〜30℃である。
【0029】本発明方法によって生成された光学活性シ
アノヒドリンは、高速液体クロマトグラフィー(HPL
C)などによって、測定、定量することができ、必要に
応じて、抽出、減圧蒸留、カラム分離などの通常の手段
によって分離精製することができ、長時間保存する場合
には安定剤を添加してもよい。
【0030】
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
るが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではな
い。 (調製例1)(S)−ヒドロキシニトリルリアーゼの調
製 (S)−ヒドロキシニトリルリアーゼは、酵母サッカロ
マイセス・セレビシエを宿主として、キャッサバ由来の
当該遺伝子をクローニングしたものを当該酵母へ遺伝子
組換えして得た遺伝子組換え酵母を培養することによっ
て調製した。当該遺伝子組換え酵母をYPD培地(酵母
エキス1%、ペプトン2%、グルコース2%)1Lで2
4時間当該遺伝子組換え酵母を培養し、回収した菌体を
破砕して不溶分を除去した液を回収した。
【0031】(調製例2)固定化(S)−ヒドロキシニ
トリルリアーゼの調製 調製例1の方法で調製した(S)−ヒドロキシニトリル
リアーゼ酵素液に、酵素活性300単位に対して1gの
固定化担体(多孔性シリカゲル、microbead silicagel
300A、富士シリシア化学製)を添加し、緩やかに一晩混
合した。次いで、濾過して固定化酵素を回収し、これを
以降の反応に用いた。
【0032】(実施例1)t−ブチルメチルエーテル6
10gと安定剤として亜硫酸を含む青酸41gを混合し
たものに、0.2Mクエン酸緩衝液(pH7)を40m
l添加し、攪拌混合した後、静置してから有機相を分離
した。この有機相に調製例2で調製した固定化酵素(6
万単位)を添加し、次いでベンズアルデヒド106gを
添加した。これを室温で攪拌することによって、(S)
−マンデロニトリルの合成を行った。30分間反応させ
た後、反応液を回収し、HPLCによりアルデヒドの転
換率を測定した。反応終了後、固定化酵素を回収し、前
記と同じ操作で調製した基質液と回収した固定化酵素を
再び混合し、同じ条件で繰り返し反応を行った。この検
討の結果、反応を繰り返しても、酵素の活性は安定に保
持され、11回の反応において、活性の低下は認められ
なかった(図1)。11回目の反応液2.5mlを採取
し、純水5mlと混合して得た水相のpHは5であっ
た。
【0033】なお、原料として用いた、安定剤として亜
硫酸を含む青酸を1.5Mの濃度でt−ブチルメチルエ
ーテルに溶解した溶液と純水とを、有機相と水相に二相
分離する比率(有機相:水=1:2(v/v))で混合
した後、静置して得られた水相のpHは2.9であっ
た。
【0034】(比較例1)10mMリン酸緩衝液(pH
5)で飽和させたt−ブチルメチルエーテル610gと
安定剤として亜硫酸を含む青酸41gを混合したものに
調製例2で調製した固定化酵素(6万単位)を添加し、
次いでベンズアルデヒド106gを添加した。これを室
温で攪拌することによって、(S)−マンデロニトリル
の合成を行った。30分間反応させた後、反応液を回収
し、HPLCによりアルデヒドの転換率を測定した。反
応終了後、固定化酵素を回収し、前記と同じ操作で調製
した基質液と回収した固定化酵素を再び混合し、同じ条
件で繰り返し反応を行った。この検討の結果、繰り返し
反応5回目で活性が顕著に低下し、6回目でほぼ活性が
なくなった(図1)。この時の反応液を2.5ml採取
し、純水5mlと混合したときの水相のpHを測定した
ところ、3.5に低下していた。
【0035】
【発明の効果】本発明によれば、ヒドロキシニトリルリ
アーゼ等の酵素の活性低下を抑制でき、酵素としての寿
命を大幅に延長することができる。そのため、工業的に
生産された安定剤を含む青酸を用いて、光学活性シアノ
ヒドリンを安価に安定的に工業的生産が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】繰り返し反応の回数とアルデヒドの転換率との
関係を示す図である。
【符号の説明】
● 実施例1 ○ 比較例1

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 青酸を1.5Mの濃度で水と実質的に混
    和しない有機溶媒に溶解した溶液と純水とを、有機相と
    水相に二相分離する比率で混合した後、静置して得られ
    る水相のpHが5以下を示す、安定剤として酸性物質を
    含む青酸、及びカルボニル化合物を原料として、酵素反
    応により光学活性シアノヒドリンを合成するに際し、当
    該安定剤の酵素に対する阻害作用を低減させるための処
    理を行った青酸を原料として用いることを特徴とする光
    学活性シアノヒドリンの製造方法。
  2. 【請求項2】 青酸及びカルボニル化合物を原料とし
    て、酵素反応により光学活性シアノヒドリンを合成する
    方法において、青酸を一旦水と実質的に混和しない有機
    溶媒に溶解して、青酸有機溶媒溶液を調製し、次いで当
    該青酸有機溶媒溶液に対して緩衝液を飽和量以上加え、
    混合した後、青酸有機溶媒溶液相を回収し、反応に用い
    ることを特徴とする光学活性シアノヒドリンの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 緩衝液がpH4〜7の範囲で緩衝能を有
    する緩衝液である請求項2記載の方法。
  4. 【請求項4】 酵素反応がヒドロキシニトリルリアーゼ
    を用いる酵素反応である請求項1〜3のいずれか1項に
    記載の方法。
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WO2008041272A1 (fr) 2006-09-29 2008-04-10 Nippon Shokubai Co., Ltd. S-hydroxynitrile lyase modifiÉe et hautement active inÉdite
JP5431165B2 (ja) * 2007-10-23 2014-03-05 日宝化学株式会社 シアノヒドリン化合物の製造方法およびα‐ヒドロキシエステル化合物の製造方法
JP2014156381A (ja) * 2013-02-18 2014-08-28 Asahi Kasei Chemicals Corp 青酸重合物及びその製造方法

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