JP2001342939A - ポンプ水車 - Google Patents

ポンプ水車

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JP2001342939A
JP2001342939A JP2000166444A JP2000166444A JP2001342939A JP 2001342939 A JP2001342939 A JP 2001342939A JP 2000166444 A JP2000166444 A JP 2000166444A JP 2000166444 A JP2000166444 A JP 2000166444A JP 2001342939 A JP2001342939 A JP 2001342939A
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rotation speed
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pump
runner
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Hisao Kuwabara
尚夫 桑原
Kei Katayama
慶 片山
Hiroto Nakagawa
博人 中川
Haruki Hagiwara
春樹 萩原
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Kansai Electric Power Co Inc
Hitachi Ltd
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Kansai Electric Power Co Inc
Hitachi Ltd
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    • Y02E10/20Hydro energy

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  • Control Of Water Turbines (AREA)
  • Control Of Eletrric Generators (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明では、従来のポンプ水車では困難であっ
た負荷遮断時の水撃その他の過渡現象を安定化させたポ
ンプ水車を提示することにある。 【解決手段】負荷遮断後、ポンプ水車のガバナによる案
内羽根の閉鎖制御が進行中に一時的に閉鎖速度を制限す
るようにし、回転速度の降下をゆるやかにさせる。 【効果】負荷遮断時の過激な流量変動を抑制し水撃の軽
減を可能にする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は同一のランナーを使
って、回転方向を変えて、ポンプ,水車両方の運転を可
能にしたポンプ水車に関する。
【0002】
【従来の技術】一般的に、ポンプ水車、特に高揚程ポン
プ水車のランナーは、ポンプ運転時に高揚程を得る為
に、充分なる遠心ポンプ作用を発揮するべく設計され
る。
【0003】しかしながら、この設計が、ポンプ水車の
水車運転には悪影響を与える。特に後述のS字特性と呼
ばれる特性が現れるが、これを完全に回避するのは難し
いと考えられている。ポンプ水車の流量特性は、一般
に、案内羽根開度をパラメータにして単位落差当り回転
数(N1=N/√H)と単位落差当り流量(Q1=N/
√H)との関係を示す一群の特性曲線で表す。他方、ポ
ンプ水車のトルク特性は、案内羽根開度をパラメータに
して単位落差当り回転数(N1=N/√H)と単位落差
当りトルク(T1=T/H)との関係を示す一群の特性
曲線で表す。なお、これら2種類の特性曲線を総称して
完全特性と呼ぶ。ところで上記流量特性曲線は、水車運
転領域において、N1の値の増加に伴ってQ1の値が減
少する第1の部分と、N1の値の減少に伴ってQ1の値
が減少する第2の部分とを有する。説明の便宜上、本明
細書においては、前記第2の部分を、S字特性部分と称
する。更に、S字特性部分におけるポンプ水車の特性
を、以後、S字特性と称する。S字特性部分における水
車運転にあっては、単位落差当りトルク(T1)もま
た、単位落差当り回転数(N1)の減少に伴い、減少す
る。
【0004】ポンプ水車の水車モードの通常運転は、上
記第1の部分において行われる。しかしながら、負荷遮
断により、単位落差当りの回転数(N1)が急激に大き
く増加する場合は、ポンプ水車は、S字特性部分におい
て運転されることになる。S字特性部分における運転が
開始されると、ポンプ水車の運転点はS字特性部分を一
端から他端へと辿りつつ、まず単位落差当りの流量(Q
1)と単位落差当りの回転数(N1)は減少する。その
後、今度は振子が振返すようにS字特性部分を逆方向に
辿りつつ、Q1とN1は増加する。S字特性部分におけ
るこの往復運動は、案内羽根開度を閉めない限りいつま
でも継続する。この間、単位落差当りのトルク(T1)
も、減少と増加をくり返す。
【0005】水車運転領域においてS字特性を有するポ
ンプ水車の特性を、図6(A)および図6(B)に示
す。図6(A)においては、ポンプ水車の特性が、案内
羽根開度をパラメーターにとり、単位落差当りの回転数
(N1)と単位落差当りの流量(Q1)との関係として
示されている。一方、図6(B)においては、ポンプ水
車の特性が、同じパラメーターにより、単位落差当りの
回転数(N1)と単位落差当りのトルク(T1)との関
係として示されている。
【0006】上記において、符号N,Q,HおよびT
は、それぞれ、ポンプ水車の回転数,流量,有効落差お
よびトルクを示す。
【0007】特性曲線1および1′は、所定の比較的大
きな案内羽根開度の下で得られる。特性曲線2および
2′は、それよりも小さな案内羽根開度の下で得られ
る。特性曲線3および3′は更にそれよりも小さい案内
羽根開度の下で得られる。
【0008】特性曲線1のa−d−h部分においては、
Q1の値は、N1の減少に伴い減少する。上述の様に、
この曲線部分a−d−hを、本明細書においては、S字
特性部分と称する。同様に、曲線部分b−e−iは、特
性曲線2のS字特性部分であり、曲線部分c−f−j
は、特性曲線3のS字特性部分である。一見して明らか
なように、特性曲線1のS字特性部分a−d−hは、特
性曲線2のS字特性部分b−e−iより長く、特性曲線
2のS字特性部分b−e−iは、特性曲線3のS字特性
部分c−f−jよりも長い。このことは、案内羽根開度
が小さくなるとS字特性部分の長さが短くなることを意
味する。
【0009】図6(A)におけると同様に、図6(B)
においても、曲線部分a′−d′−h′,b′−e′−
i′およびc′−f′−j′は、それぞれ特性曲線
1′,2′および3′のS字特性部分である。
【0010】図6(B)は、図6(A)と密接な関係が
ある。例えば、図6(A)の曲線3上のQ1=Q1x,
N1=N1xを満たす点xは、図6(B)の曲線3′上
の点x′に対応している。点x′は、T1=T1x′,
N1=N1x′(=N1x)を満たす点である。同様
に、図6(A)における点a,b,c,d,e,f,
h,iおよびjはそれぞれ図6(B)における点a′,
b′,c′,d′,e′,f′,h′,i′およびj′
に対応している。
【0011】曲線nrは、無負荷流量曲線である。曲線
1,2,3と曲線nrとの交点α,β,γは、それぞ
れ、曲線1′,2′,3′と直線T1=0との交点
α′,β′,γ′に対応している。
【0012】次に、特性曲線1と1′を参照しながらポ
ンプ水車の水車運転(発電運転)について説明を行う。
上述したように特性曲線1を1′に対応する特性は、案
内羽根開度を比較的大きな値にした時に得られる。通常
は、ポンプ水車の水車運転は、特性曲線1の上部、すな
わち、S字特性部分a−d−hより上部の曲線部分にお
いて行われる。しかしながら、もし例えばポンプ水車に
加わっている負荷が突然失われた場合は、ポンプ水車の
回転数(N)が急激に増加するので、N1の値も急激に
増加する。こうして、ポンプ水車は、S字特性部分にお
いて運転され始まる。運転点が一旦S字特性部分に入る
と、ポンプ水車の回転数(N)の低下によりN1の値が
低下すると、Q1の値が低下し、ポンプ水車流量(Q)
が減少する。この様子を詳しく説明すると図7になる。
なお、Hの値、すなわちポンプ水車入口とポンプ水車出
口との水頭差は、流量Qの減少に伴って上昇する。この
ようにして一旦N1の値が減少すると、流量Qが減少
し、流量Qの減少は、ポンプ水車の有効落差Hの増加を
もたらす。この有効落差Hの増加は、更にN1の減少を
もたらし、N1の減少は、更にQ1の減少をもたらす。
このようにして、一旦S字特性部分における運転が始ま
ると、Q1とN1は、S字特性部分をQ1減少方向、す
なわち点aから点dの方向に辿りつつ、加速度的に、減
少する。もちろん、この間に管路摩擦等の減衰作用も働
くのでQの減少の進展にも自ずと抑制が作用することは
言うまでもない。とにかく、Q1とN1は、正帰還制御
回路におけると同様に、加速度的に、減少する傾向があ
る。
【0013】ポンプ水車の運転点がS字特性部分を点a
から点hまで辿り終えると、上記の現象は、負帰還制御
回路におけると同様に次第に緩和され、その後、反転
し、やがてS字特性部分をQ1増加方向、すなわち点h
を少し過ぎた点から点aへたどることになる。S字特性
部分を逆方向に辿るのも矢張り正帰還制御回路と同様の
様式で行われる。図8はこの振れ戻し作用を説明するも
のである。
【0014】負荷遮断後、ポンプ水車の案内羽根を閉鎖
せずに放置した場合には、ポンプ水車の運転点は当該案
内羽根に相当するS字特性曲線上を、上記のように往復
運動する。このようにポンプ水車特性任せの運転は有害
で、場合によっては危険である。なぜならば、ポンプ水
車流量は増減を繰り返し、水力発電所各水路系に激しい
水撃が繰り返し発生するからである。
【0015】S字特性部分における運転に伴うこのよう
な悪影響は、S字特性部分の長さが短くなければ減少す
る。例えば、もし案内羽根開度を小さくして、より短い
S字特性部分b−e−iを有する特性曲線2に従ってポ
ンプ水車を運転するならば、S字特性に伴う悪影響は軽
減される。
【0016】S字特性部分におけるポンプ水車の運転
は、ポンプ水車のトルクTにも悪影響を与える。S字特
性部分においてN1の値が減少すると、図6(B)に示
すように、T1の値が減少する。ここで再び図6(A)
に示される特性曲線1上の点aとhは、図6(B)に示
される特性曲線1′上の点a′とd′にそれぞれ対応す
ることに注意しなければならない。
【0017】有効落差Hが一定であると仮定すれば、T
1減少は、ポンプ水車トルクTの減少を意味する。更
に、ポンプ水車トルクTの減少が、ポンプ水車回転数N
の減少をもたらすことは明白である。ポンプ水車回転数
Nが減少すると、それに対応してN1が減少し、次にT
1が更に減少することになる。現実にはこの間に前記し
たように有効落差Hが増加しているのでこの加速傾向は
益々強まる。このようにして、ポンプ水車は、特性曲線
1を、Q1減少方向に辿る間、同時に特性曲線1′を点
a′から点h′へとたどっていることになる。その辿り
方は、正帰還制御回路の場合と同様である。その後、S
字特性部分を辿る方向が逆転すると、特性曲線1′は点
h′から点a′の方向へと、辿ることになる。明らか
に、上述したようなトルク変動は、不利益である。
【0018】負荷遮断後ポンプ水車の運転点がS字特性
を辿り下っている時に案内羽根を速く閉めるのは危険で
ある。N1の低下を助長する作用が働くためである。
【0019】このため従来から、水車運転モードにおい
ては、案内羽根の所定開度、例えば80%より下では、
案内羽根の閉鎖速度の上限制限を、案内羽根80%以上
の時の閉鎖速度上限制限より下げて設定している。この
結果、負荷遮断時には、運転点がS字特性に入る直前
に、案内羽根の閉鎖速度が急速閉鎖から緩慢閉鎖に移行
し、縦軸を案内羽根開度、横軸を時間にしたグラフ上の
案内羽根の閉鎖パターンでみればここで腰折が入る。図
9で説明すると、例えば、案内羽根開度が100%近く
にあって負荷遮断(時刻to)が起きた場合を考える
と、案内羽根は最初比較的速く閉まり、案内開度が予め
設定された開度Yaに達した時点taで閉鎖速度制限が
より小さい値に切り換えられる。したがってポンプ水車
回転速度が最大値を超えて降下に転じたころから始まる
運転点のS字特性突入と流量減少方向への辿り下りが進
行中には、案内羽根閉鎖速度は比較的遅い速度に制限さ
れ、前述のようなN1低下による過度の正帰還現象助長
が抑えられ過度の水撃は防止できる。
【0020】ところで、この案内羽根開度に応じた閉鎖
速度切換に依存する従来の負荷遮断時の案内羽根閉鎖パ
ターンと水撃、特に上池側管路水圧Hpの上昇の関係に
ついては図9のような関係になることが知られている。
すなわち、案内羽根閉鎖速度を急速から緩慢閉鎖に切り
り換える条件となる案内羽根開度Yaを上げると、上池
側管路水圧Hpの1波目のピーク値Hpxは下がってHpx
1となるが、2波目のピーク値Hpyは上がってHpy1と
なる。下池側管路水圧Hdの波形は図示してないが、H
p波形の上下を逆にしたようになり、2波目のピークH
dy1はHdyより下がる。尚、案内羽根の急速閉鎖部の速
度制限を変えた場合もHp波形は変わる。すなわち、よ
り緩慢な勾配に制限すれば、1波目のピーク値Hpxは下
がり、2波目のピーク値Hpyは上がる。最も典型的な例
は、急速閉鎖速度が腰折点以下の緩慢閉鎖速度と同じに
なった場合である。
【0021】従って、この案内羽根閉鎖パターンの腰折
だけに依存する従来技術においては例えば特開昭54−
40946号の第5図のように、負荷遮断直後の案内羽
根急閉鎖中の上池側管路水圧のピーク値Hpxと回転速度
が降下に転じた後にS字特性によって現れる上池側管路
水圧のピーク値Hpyが略等しくなるように案内羽根閉鎖
パターンを決めていた。具体的には、腰折開度Yaの値
やY>Yaにおける案内羽根急閉鎖速度制限およびY<
Yaにおける案内羽根緩閉鎖速度制限を調整していた。
【0022】しかし、案内羽根閉鎖パターンの腰折だけ
に依存する従来技術では問題があることが解っている。
例えば、S字特性を有する複数台のポンプ水車が図10
のように各ポンプ水車の上流側または下流側または両側
を共有する場合には、水撃の相互干渉によって上流側水
圧が異常上昇したり、下流側水圧が異常低下することが
あることが知られている。当該の複数台のポンプ水車が
同一仕様の場合を仮定すると、同時負荷遮断された時に
発生する上流側水圧の最高値より、相次いで負荷遮断さ
れる時間差遮断時に発生する上流側水圧の最高値の方が
高くなる問題や、同時負荷遮断された時に発生する下流
側水圧の最低値より、相次いで負荷遮断される時間差負
荷遮断時に発生する下流側水圧の最低値の方が低くな
り、場合によっては水柱分離が発生するという問題があ
った。しかもこれらの異常水撃現象がS字特性を辿り下
る微妙なタイミングに関係しているため最悪になる時間
差等の条件を事前に特定しにくいという問題があった。
図11(A),図11(B),図11(C)は時間差負
荷遮断時のこの種の相互干渉の難しさを説明する例図で
ある。この場合には3台のポンプ水車が上下流水路を共
有する場合で、1号機が20秒の時点で全負荷遮断され
てからTd1秒後に2号機が全負荷遮断され、さらにこ
れより遅いTd2秒後に3号機が全負荷遮断される。結
果的に1号機の下流側水圧が33.6 秒の時点、すなわ
ち、負荷遮断後13.6 秒の時点で急降下している。こ
のようにこの種の相互干渉による下流側水圧低下は突然
スパイク状に発生する。それでもポンプ水車の下流側管
路に水柱分離が発生しないようにするためにはポンプ水
車の据付高さを充分低くして下池との水位差を充分な値
に確保する必要があり、ポンプ水車用の掘削量が増大
し、土木コストが異常にアップする。
【0023】なお、この場合には、各号機が単独で全負
荷遮断された場合に、回転速度が降下に転じた後にS字
特性によって現れる上池側管路水圧のピーク値Hpyに比
べて案内羽根急閉鎖中の上池側管路水圧のピーク値Hpx
が充分高くなるように案内羽根閉鎖パターンを設定して
いるので(図12(A)参照)、相互干渉による異常水
撃が上流側にはあまり顕著には現れていない。換言すれ
ば、HpxをHpyに対して充分高くし、上池側管路の設計
水圧を充分高くできた場合で、上流側の建設コストの高
騰を覚悟した設計である。もちろん、上流側の建設コス
ト低減を狙うためにはHpxの低下が必要で、その場合に
は、上池側管路の水撃の相互干渉問題に直面する。さら
に、図12(A)のような案内羽根閉鎖パターンを採用
して、たとえ上池側管路の水撃の相互干渉による異常上
昇問題を回避したとしても、図11(A),図11
(B),図11(C)のように下流側管路の相互干渉に
よるスパイク問題は依然として残る。
【0024】このように、高落差ポンプ水車の場合には
上下流水路や据付高さ等の土木設計を決める上でS字特
性が大きな問題になるとの認識から従来もS字特性対応
制御の提案がなされている。
【0025】例えば、特公昭49−40902号では、
図13のように、負荷遮断直後は、案内羽根を急速に閉
鎖し、回転速度の増加に伴い流量が大きく減少する運転
領域に入ったら案内羽根をゆっくりと閉鎖し、その後は
案内羽根を急速に閉鎖するという方法が開示されてい
る。しかし、この公知例では最後の急速閉鎖の開始時期
が明確にされていないという欠点がある。もし、ポンプ
水車の運転点がS字特性部をQ1減少方向に辿っている
時に最後の案内羽根急速閉鎖が行われたならば、上述し
たように水撃が異常拡大し危険である。さらに、案内羽
根をゆっくり閉鎖している間に、ポンプ水車はS字特性
部をQ1減少方向,Q1増加方向,Q1減少方向と交互
に辿っているはずであるので、どの時点で最後の急速閉
鎖を行うかは重大問題になっているのにこれについて何
も規定していない。
【0026】また、特公昭62−9747号では、図1
4のような方法が開示されている。すなわち、負荷遮断
直後は、案内羽根を急速に閉鎖し、案内羽根が所定開度
まで閉まったら、緩閉鎖に移行し、ポンプ水車の運転点
がS字特性部を流量減少方向またはトルク減少方向に辿
っている間はこの緩閉鎖を継続し、その後ポンプ水車の
運転点がS字特性部を流量増加方向に辿り始めるハ点か
らは再び案内羽根を急速閉鎖する構成にし、ハ点を検出
するために、負荷遮断後回転速度が所定値N10より上昇
したことを記憶する記憶装置を設け、その後回転速度が
下降しN10より低い他の所定値N20まで降下したことを
検出する検出装置を設け、該記憶装置の動作後に該検出
装置が動作するという&条件による検出方法を提案して
いる。なお、所定値N20については、回転速度降下曲線
が上に凸から下に凸に変わる変極点付近とすることも提
案している。ところで、この公知例では、ハ点としてポ
ンプ水車の運転点がS字特性をQ1減少方向に辿り終え
た時点を想定し、ハ以後は案内羽根を負荷遮断直後の
(イ点からロ点までの)急速閉鎖と同等の速度で急速閉
鎖することを想定している。しかし、図10のように複
数台のポンプ水車が同一管路を共有するような発電所で
は、運転点がS字特性をQ1減少方向に辿り終えた時点
(ハ点)を正確に検出することは難しい。特に、各ポン
プ水車の管路の長さが異なる場合や、ポンプ水車特性
(Q1−N1特性やT1−N1特性)が異なる場合の同
時負荷遮断や、さらには、これら複数台のポンプ水車が
1から2秒間隔で順次負荷遮断される時間差遮断の場合
には、極めて難しい。しかも、誤ってこのハ点の検出が
早くなり過ぎた場合は、実際には運転点が未だS字特性
部をQ1減少方向に辿っているのに、案内羽根の急速閉
鎖が始まることを意味し、反って異常水撃を拡大させる
可能性がある。また、ロ点からハ点までの緩閉鎖の勾配
をいかに調整すればよいかにつき具体的な開示がなかっ
た。
【0027】また、特開平08−042441号では、
水量調整手段の開度が所定値Ya以上にある間は、水量
調整手段の閉鎖速度を前記第一の速度(急速閉鎖レー
ト)に制限し、前記水量調整手段の開度が前記Ya以下
になった後は閉鎖速度を前記第三の速度(緩閉鎖レー
ト)に制限する水量調整手段用閉鎖速度制限手段を備え
たポンプ水車を対象にして、前記の水量調整手段開度応
答形の水量調整手段用閉鎖速度制限手段の信頼性を増す
対策が開示されている。すなわち、図16のように、前
記第一の速度(急速閉鎖レート)から前記第三の速度
(緩閉鎖レート)への切換条件を、Y<Yaだけの条件
でなく、Y<YaとN>Naの2条件のORとするもの
である。しかし、この公知例によれば、急速閉鎖レート
から緩閉鎖レートへの切換の信頼性は向上するが、負荷
遮断時や非常停止時の水撃を改善するための水量調整手
段の閉鎖パターンの調整方法については何も開示されて
いない。
【0028】
【発明が解決しようとする課題】本発明では、従来のポ
ンプ水車では困難であった負荷遮断時や非常停止時の水
撃他の過渡現象の激しさを緩和し安定性を改善したポン
プ水車を提示することにある。
【0029】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明ではランナーと、該ランナーに接続された発
電電動機と、前記ランナーを通過する水量を調整する水
量調整手段と、前記ランナーの回転速度を検出し前記ラ
ンナーの回転速度が所定値になるように前記水量調整手
段を制御する回転速度制御手段を備えたポンプ水車にお
いて、発電モードの負荷遮断時、前記水量調整手段を、
負荷遮断直後は第一の速度で閉鎖し、回転速度が第一の
ピークに達する時点より前から、前記第一の速度より低
速の第二の速度による閉鎖に移行させ、前記第二の速度
による低速閉鎖は、回転速度が前記第一ピークを過ぎた
下降過程において終了させ、前記第二の速度より速く、
前記第一の速度よりおそい第三の速度による閉鎖に移行
させるようにし、全負荷またはそれに近い負荷の遮断時
には、負荷遮断時点から回転速度が第一ピークに達する
時点までの所要時間に対して、前記第一ピークの時点か
ら回転速度が(遮断前の回転速度)+[(前記第一ピー
ク)−(遮断前回転速度)]/3まで降下するに要する
時間が1.5 倍以上になるようにしたことを特徴とする
ものである。
【0030】また、上記課題を解決するために、本発明
ではランナーと、該ランナーに接続された発電電動機
と、前記ランナーを通過する水量を調整する水量調整手
段と、前記ランナーの回転速度を検出し前記ランナーの
回転速度が所定値になるように前記水量調整手段を制御
する回転速度制御手段を備えたポンプ水車において、発
電モードの負荷遮断時、水量調整手段を、負荷遮断直後
は第一の速度で閉鎖し、回転速度が第一のピークに達す
る時点より前から、前記第一速度より低速の第二の速度
による閉鎖に移行させ、前記第二の速度による低速閉鎖
は、回転速度が前記第一ピークを過ぎた下降過程で、回
転速度カーブが上に凸から下に凸に変わる時点より前に
終了させ、前記第二の速度より速く、前記第一の速度よ
りおそい第三の速度による閉鎖に移行させるようにし、
負荷遮断時点から回転速度が第一ピークに達する時点ま
での所要時間に対して、前記第一ピークの時点から回転
速度が(遮断前の回転速度)+[(前記第一ピーク)−
(遮断前回転速度)]/3まで降下するに要する時間が
1.5 倍以上になるようにしたことを特徴とするもので
ある。
【0031】また、上記課題を解決するために、本発明
のポンプ水車は前記ランナーに接続された発電電動機
と、前記ランナーを通過する水量を調整する水量調整手
段と、前記ランナーの回転速度を検出し、前記ランナー
の回転速度が所定値になるように前記水量調整手段を制
御する構成で、最終段の増幅機構として油圧サーボ機構
を備え、前記第一,第二,第三の閉鎖速度は、前記油圧
サーボ機構のサーボモータへの流入または流出油量また
はその両方を直接または間接的に制限することによって
達成するようにしたものである。
【0032】また、上記課題を解決するために、本発明
ではランナーと、 該ランナーに接続された発電電動機
と、前記ランナーを通過する水量を調整する水量調整手
段と、前記ランナーの回転速度を検出し前記ランナーの
回転速度が所定値になるように前記水量調整手段を制御
する回転速度制御手段と、少なくとも回転速度の検出信
号を受けて、ポンプ水車の運転状態に応じて所定の指令
信号を発する指令装置を備えたポンプ水車において、発
電モードの負荷遮断時、水量調整手段を、負荷遮断直後
は第一の速度で閉鎖し、回転速度が第一のピークに達す
る時点より前から、前記第一速度より低速の第二の速度
による閉鎖に移行させ、前記第二の速度による低速閉鎖
は、回転速度が前記第一ピークを過ぎた下降過程の初期
において終了し、前記第二の速度より速く、前記第一の
速度よりおそい第三の速度による閉鎖に移行させるよう
にし、全負荷またはそれに近い負荷の遮断時には、負荷
遮断時点から回転速度が第一ピークに達する時点までの
所要時間に対して、前記第一ピークの時点から回転速度
が(遮断前の回転速度)+[(前記第一ピーク)−(遮
断前回転速度)]/3まで降下するに要する時間が1.
5 倍以上になるようにし、前記指令装置からの指令に
よって、少なくとも前記第二の速度による閉鎖の開始,
終了またはそれらの両方を行うようにしたことを特徴と
するものである。
【0033】また、上記課題を解決するために、本発明
のポンプ水車は前記指令装置が、回転速度が第一の所定
値以上になったことで前記第二の速度による閉鎖の開始
を指令するようにしたことを特徴とするものである。
【0034】また、上記課題を解決するために、本発明
のポンプ水車は前記指令装置が、回転速度が第一の所定
値以上になったことおよび回転速度の上昇勾配または相
当の演算値が第二の所定値以下になったことのAND条
件で前記第二の速度による閉鎖開始を指令するようにし
たことを特徴とするものである。
【0035】また、上記課題を解決するために、本発明
のポンプ水車は前記水量調整手段の開度に応じて前記水
量調整手段の閉鎖速度を制限する開度応答形閉鎖速度制
限手段を備え、前記開度応答形閉鎖速度制限手段は前記
水量調整手段の開度が所定値Ya以上にある間は、前記
水量調整手段の閉鎖速度を前記第一の速度に制限し、前
記水量調整手段の開度が前記Ya以下になった後は閉鎖
速度を前記第三の速度に制限するように構成し、前記第
三の速度の制限が作動中に、前記指令装置により前記第
二の速度の低速閉鎖が指令された時には、前記第二の速
度の低速閉鎖が優先的に設定されるようにしたことを特
徴とするものである。
【0036】また、上記課題を解決するために、本発明
のポンプ水車は前記第一の所定値を前記発電電動機が電
力系統に接続されている通常運転中に起こりうる回転速
度の最大値より充分高く設定したものである。
【0037】また、上記課題を解決するために、本発明
のポンプ水車は前記第一の所定値を前記発電電動機が電
力系統に接続されている通常運転中に起こりうる回転速
度の最大値より充分高く設定したものである。
【0038】また、上記課題を解決するために、本発明
のポンプ水車は同一の上流または下流管路をポンプ水車
端近くに置かれた分岐管を介して他のポンプ水車と共有
し合うポンプ水車に関し、ランナーと、該ランナーに接
続された発電電動機と、前記ランナーを通過する水量を
調整する水量調整手段と、前記ランナーの回転速度を検
出し前記ランナーの回転速度が所定値になるように前記
水量調整手段を制御する回転速度制御手段を備えたポン
プ水車において、発電モードの負荷遮断時、水量調整手
段を、負荷遮断直後は第一の速度で閉鎖し、回転速度が
第一のピークに達する時点よりも前から、前記第一速度
より低速の第二の速度による閉鎖に移行させ、前記第二
の速度による低速閉鎖は、回転速度が前記第一ピークを
過ぎた下降過程の初期において終了させ、前記第二の速
度より速く、前記第一の速度より遅い第三の速度による
閉鎖に移行させるようにし、全負荷またはそれに近い負
荷の単独遮断時には、負荷遮断時点から回転速度が第一
ピークに達する時点までの所要時間に対して、前記第一
ピークの時点から回転速度が(遮断前の回転速度)+
[(前記第一ピーク)−(遮断前回転速度)]/3まで
降下するに要する時間が1.5 倍以上になるようにした
ことを特徴とするものである。
【0039】また、上記課題を解決するために、本発明
ではランナーと、該ランナーに接続された発電電動機
と、前記ランナーを通過する水量を調整する水量調整手
段と、前記ランナーの回転速度を検出し前記ランナーの
回転速度が所定値になるように前記水量調整手段を制御
する回転速度制御手段を備えたポンプ水車において、発
電モードの負荷遮断時、水量調整手段を、負荷遮断直後
は第一の速度で閉鎖し、回転速度が第一のピークに達す
る時点より前から、前記第一速度より低速の第二の速度
による閉鎖に移行させ、前記第二の速度による低速閉鎖
は、回転速度が前記第一ピークを過ぎた下降過程の初期
において終了させ、前記第二の速度より速く、前記第一
の速度より遅い第三の速度による閉鎖に移行させるよう
にし、全負荷またはそれに近い負荷の遮断時には、負荷
遮断時点から回転速度が第一ピークに達する時点までの
所要時間に対して、前記第一ピークの時点から回転速度
が(遮断前の回転速度)+[(前記第一ピーク)−(遮
断前回転速度)]/3まで降下するに要する時間が1.
5 倍以上になるようにし、かつ、前記水量調整手段が
前記第二の速度の閉鎖に入る前に記録される上流側鉄管
水圧の最高値(水撃第一波)と、回転速度の第一ピーク
直後の最初の回転速度降下過程で記録される上流側鉄管
水圧の最高値(水撃第二波)が略等しくなるように調整
したことを特徴とするものである。
【0040】また、上記課題を解決するために、本発明
ではランナーと、 該ランナーに接続された発電電動機
と、 前記ランナーを通過する水量を調整する水量調整
手段と、 前記ランナーの回転速度を検出し前記ランナ
ーの回転速度が所定値になるように前記水量調整手段を
制御する回転速度制御手段と、少なくとも発電モードの
負荷遮断時には、前記回転速度制御手段の制御に関わり
なく、前記水量調整手段の閉鎖速度の最大値を、負荷遮
断直後は比較的速い第一の速度に制限し、その後一時的
に前記第一の速度より低速の第二の速度に制限し、前記
第二の速度の制限の後前記水量調整手段が無負荷開度付
近に閉鎖されるまでの時間の大半は、主として前記第二
の速度より速く、前記第一の速度より遅い速度に制限す
る閉鎖速度制限手段を備え、前記水量調整手段の実際の
開度よりも低い開度に設定されれば、前記回転速度制御
手段や閉鎖速度制限手段の状態には関わりなく前記水量
調整手段の開度を当該設定値まで絞り込むように構成さ
れた開度制限手段を備えたポンプ水車において、全負荷
またはそれに近い負荷の遮断時には、負荷遮断時点から
回転速度が第一ピークに達する時点までの所要時間に対
して、前記第一ピークから回転速度が(遮断前回転速
度)+[(前記第一ピーク)−(遮断前回転速度)]/
3まで降下するに要する時間が1.5倍以上になるよう
に前記閉鎖速度制限手段を調整し、かつ、負荷遮断前に
は前記水量調整手段の開度より大きい開度に設定されて
いた前記開度制限手段が、負荷遮断後の過渡時には所定
のパターンで下げ操作されるようにしたことを特徴とす
るものである。
【0041】また、上記課題を解決するために、本発明
のポンプ水車では負荷遮断直後は前記第一の閉鎖速度制
限を与え、回転速度が第一のピークに達する時点より早
い時点から、前記第二の閉鎖速度制限を与え、回転速度
が前記第一ピークを過ぎた下降過程の初期からは、前記
第三の速度による閉鎖速度制限を与えるようにして調整
したものである。
【0042】また、上記課題を解決するために、本発明
のポンプ水車では負荷遮断前の通常運転中は、前記開度
制限手段を前記水量調整手段の開度より大きい開度に設
定しておき、負荷遮断後所定のパターンで下げ操作をす
るようにしたものである。
【0043】また、上記課題を解決するために、本発明
のポンプ水車では前記第二の閉鎖速度制限が与えられて
いる間は前記開度制限手段の下げ操作が継続されるよう
にしたものである。
【0044】また、上記課題を解決するために、本発明
ではランナーと、該ランナーに接続された発電電動機
と、前記ランナーを通過する水量を調整する水量調整手
段と、前記ランナーの回転速度を検出し前記ランナーの
回転速度が所定値になるように前記水量調整手段を制御
する回転速度制御手段を備えたポンプ水車において、発
電モードの負荷遮断時、前記水量調整手段を、負荷遮断
直後は第一の速度で閉鎖し、回転速度が第一のピークに
達する時点より前から、前記第一の速度より低速の第二
の速度による閉鎖に移行させ、前記第二の速度による低
速閉鎖は、回転速度が前記第一ピークを過ぎた下降過程
において終了させ、前記第二の速度より速く、前記第一
の速度よりおそい第三の速度による閉鎖に移行させるよ
うにし、前記発電電動機の発電電力が遮断される負荷遮
断後の過渡時に、前記水量の逆流が発生しないことを特
徴とするものである。
【0045】負荷遮断直後は前記第一の閉鎖速度制限を
与え、回転速度が第一のピークに達する時点より早い時
点から、前記第二の閉鎖速度制限を与え、回転速度が前
記第一ピークを過ぎた下降過程の初期からは、前記第三
の速度による閉鎖速度制限を与えるようにすることであ
る。
【0046】次に、負荷遮断前の通常運転中は、前記開
度制限手段を前記水量調整手段の開度より大きい開度に
設定しておき、負荷遮断後所定のパターンで下げ操作を
することである。
【0047】次に、前記第二の閉鎖速度制限が与えられ
ている間は前記開度制限手段の下げ操作が継続されるよ
うにすることである。
【0048】ポンプ水車においては、負荷遮断と同時に
発電出力はゼロになるが、水車出力はすぐにはゼロにな
らないため回転が上昇してしまう、すなわち、この出力
差による余剰エネルギーを一時的に回転部の慣性効果に
溜め込むことは当然の結果で意図した通りである。しか
し、従来技術によれば、回転速度が下降に転じた後回転
速度が定格回転速度付近まで一気に低下している。これ
は溜め込んだエネルギーをすぐに吐き出すことを意味す
る。しかし、この回転部の慣性エネルギーの一気の吐き
出しが実は問題であることが判明した。この一気の回転
部エネルギーの吐き出しの裏では回転部に代わって同エ
ネルギーを一気に受け取るものがあるためである。それ
は実はポンプ水車上下流の水柱で、吐き出されたエネル
ギーはこの長大な水柱が異常に速く減速され、さらには
逆にポンプ流れさえ引き起こすために使用されるためで
ある。負荷遮断後に落ち着く先の目標流量は無負荷流量
であるので、本来ならば負荷遮断前の出力相当流量から
無負荷流量へスムースに移行してほしいところである。
しかし、実際には負荷遮断前の出力相当流量から無負荷
流量をはるかに通り過ぎて一時的にポンプ領域まで突っ
込む。当然ながら、このような異常な水柱の加速は反動
を招く。すなわち、今度はポンプ流れから無負荷流量を
大きく超えて過大な水車流量を招く。この時は水柱のエ
ネルギーを回転部慣性効果が受け取る番で回転速度が再
び上昇する。このように、従来技術によれば、過大な余
剰エネルギーが回転部慣性効果と水柱の間を行ったり来
たりし、この間にポンプ水車流量を過大に振らせてポン
プ水車上下流水路に過大な水撃をもたらす。図12
(B)は図12(A)のような従来技術による負荷遮断
を行った場合のポンプ水車の運転点軌跡の例を示す。と
ころで問題の発端である負荷遮断後最初の回転速度の一
気低下は回転速度を制御するガバナー、すなわち、回転
速度制御手段が求めたものである。なおこれは、回転速
度制御手段の立場で考えれば当然の要求なのである。す
なわち、S字特性を有するポンプ水車にとっては、負荷
遮断時に回転速度制御手段だけの要求に合わせて制御す
ることは流量制御,水撃制御の観点では誠に合理的でな
いことになる。このような本発明者自身の研究に基づく
考察に立って、本発明では負荷遮断後回転速度が降下中
にガバナーが指令する案内羽根の急速閉鎖を制限してS
字特性によるN1低下を合理的に抑制する。そして結果
的に、少なくとも過大な流量低下オーバシュートが起き
ない様にする。
【0049】負荷遮断直後は案内羽根をできるだけ速く
閉鎖するべきである。これは、この段階で、案内羽根を
できるだけ小さい開度まで閉め込んでおいて、やがて辿
ることになるS字特性の大きさをできるだけ小さくして
おくためである。もちろん、この案内羽根の閉鎖速度が
速すぎると、ポンプ水車上流側鉄管に生ずる水撃圧も過
大になるので、限度がある。次に、回転速度が上昇し、
第一ピークに近づいている段階では、多くの場合、案内
羽根閉鎖による流量減少より、回転速度上昇による、す
なわち、流入する水に作用する遠心力増大による流量減
少の方が支配的になる。ところでこの段階では、運転点
がS字特性に近づいている時であるので、できるだけ流
量低下勾配を緩やかにして、できるだけ静かに接近させ
るべきである。この段階で流量低下の勢いを充分抑えら
れないまま、S字特性に突入すると、S字特性の辿り下
りによる上流側鉄管の水撃第二波が有害レベルに達する
可能性があるからである。ところで、この段階では、流
量低下勾配を緩やかにするために、案内羽根開度の閉鎖
速度を下げるべきである。その理由は、閉鎖速度を下げ
なかった場合に比べて、刻刻の案内羽根開度が大きめに
保たれ水車流れを増そうとする作用が強化され、前記の
遠心力増大による流量減少作用が相対的に減衰させるか
らである。なお、回転速度が第一ピークを迎える寸前に
なって、すなわち、運転点がS字特性に突入する寸前に
なって、案内羽根開度の閉鎖速度を下げても間に合わな
い。回転速度が第一のピークになる時点よりかなり前の
時点から、前記第一の速度より格段に低速の第二の速度
による閉鎖に移行させるのはそのためである。なお、前
記第二の速度はゼロも含む。前記第二の速度による低速
閉鎖は、回転速度が前記第一ピークを過ぎた下降過程の
初期において終了させるべきである。特公昭62−97
47号の(ハ点)に関する説明でも述べたように、運転
点がS字特性を流量増加方向に辿り始めたのに、案内羽
根が前記第二の速度による低速閉鎖を続けているような
事態は避けるべきである。S字辿り上りによる流量増加
を案内羽根の高開度維持による流量増加作用が助長し、
折角のS字特性対応制御がS字特性助長になってしまう
からである。従って、前記第二の速度による低速閉鎖は
回転速度低下カーブが上に凸から下に凸になる変極点
(この時点が略S字辿り下りから辿り上りに反転する時
点)以前に終了させるべきである。
【0050】前記第二の速度による低速閉鎖の後は、前
記第二の速度より速く、前記第一の速度よりおそい第三
の速度による閉鎖に移行させるべきである。ここでは、
特公昭62−9747号の(ハ)点の検出が早くなり過
ぎた場合の問題を踏まえて、前記第三の速度を設定する
べきである。すなわち、運転点が未だS字特性部をQ1
減少方向に辿っている時であっても、案内羽根の閉鎖速
度上げによって上流側鉄管の水撃が異常レベルにならな
いような閉鎖速度に設定するべきである。しかも、結果
的に、全負荷またはそれに近い負荷の遮断時には、負荷
遮断時点から回転速度が第一ピークに達する時点までの
所要時間に対して、前記第一ピークの時点から回転速度
が(遮断前の回転速度)+[(前記第一ピーク)−(遮
断前回転速度)]/3まで降下するに要する時間が1.
5 倍以上になるように、前記第一の速度の急速閉鎖速
度および急速閉鎖幅、前記第二の閉鎖速度および前記第
二の閉鎖速度の開始タイミングおよび終了タイミング、
を調整するべきである。種々の特性のポンプ水車につい
て本発明者が進めてきた解析によれば、S字特性対応制
御の効果は敏感に回転速度の下降勾配に現れること、お
よび、上記の目安以上に回転速度下降勾配を緩やかにし
ないと顕著な効果は望めないことを確認した。
【0051】回転速度制御手段の最終段の増幅機構とし
て油圧サーボ機構を備えている場合、前記第一,第二,
第三の閉鎖速度制限は、前記油圧サーボ機構のサーボモ
ータへの流入または流出油量またはその両方の制限を調
整することで達成するようにすれば、閉鎖速度制限手段
がそれより上流側の回転速度制御手段の演算部に対して
優先権をもつようにできる。すなわち、回転速度制御手
段自身がより高速の閉鎖を指令していてもこの閉鎖速度
制限手段によって、所定の閉鎖速度制限が確保できるか
らである。なお、前記油圧サーボ機構のサーボモータは
水量調整手段に連結されているので、このサーボモータ
への流入/からの流出油量を制限することはサーボモー
タの走行速度を制限することに他ならない。
【0052】前述のように、負荷遮断後のポンプ水車の
挙動、特に運転点がS字特性に近づきつつあるか、流量
減少方向に辿りつつあるか、逆に流量増加方向に辿りつ
つあるかは回転速度に顕著に現れるので、少なくとも回
転速度を検出し、これに所定の分析を加えて前記第二の
速度による低速閉鎖の開始,終了等の指令を自動的に与
える指令装置を設ければ、S字特性対応制御を自動化す
ることができる。
【0053】前記指令装置にとって、最低限求められる
のは負荷遮断が行われたか否かの判定である。この意味
で、回転速度の所定値以上の上昇を判別条件にするのは
合理的である。当機が、電力系統に並列されている限
り、回転速度の変動幅は極めて僅かで、しかも予想可能
であるので(例えば±0.2 %以内)前記所定値はこれ
より充分高くしておけばよい。
【0054】前述のように負荷遮断後ポンプ水車の運転
点がS字特性に突入するのは回転速度が第一ピークにな
った時点であるので、前記第二の速度による低速閉鎖を
開始する時点を微妙に調整するためには、前記指令装置
をより高度な論理判断ができるようにするのがよい。具
体例として、上述の条件(回転速度が所定値以上)だけ
でなく、回転速度上昇勾配の低下度合を加味する案が考
えられる。
【0055】前記水量調整手段の開度が所定値Ya以上
にある間は、前記水量調整手段の閉鎖速度を前記第一の
速度に制限し、前記水量調整手段の開度が前記Ya以下
になった後は閉鎖速度を前記第三の速度に制限するよう
に閉鎖速度制限手段を開度応答形にしておいて、前記第
三の速度制限が作動中に限って、前記指令装置から低速
閉鎖が指令された時、前記第二の低速閉鎖が設定される
ようにしておけば、前記指令装置が誤って低速閉鎖指令
を出さなかった場合でも、前記第三の速度制限は確保さ
れることになり信頼性が向上する。
【0056】同一の上流または下流管路をポンプ水車端
近くに置かれた分岐管を介して他のポンプ水車と共有し
合う複数台のポンプ水車については、前記水量調整手段
の前記第一の閉鎖速度、前記第二の閉鎖速度、前記第二
の閉鎖の開始時期および終了時期、前記第三の閉鎖速度
等の設定は他号機の影響を排除した状態で行うべきであ
る。すなわち、負荷遮断時点から回転速度が第一ピーク
に達する時点までの所要時間に対する、前記第一ピーク
の時点から回転速度が(遮断前の回転速度)+[(前記
第一ピーク)−(遮断前回転速度)]/3まで降下所要時
間の比(1.0対1.5 )は各ポンプ水車の単独遮断、そ
れも全負荷遮断またはそれに近い負荷の遮断時に適用す
るべきである。
【0057】なお、前記第一の速度による水量調整手段
の閉鎖幅を大きくすれば、前記第二の速度による閉鎖中
に記録される上流側鉄管水圧の最大値(水撃第二波)を
下げられるが、前記第一の速度による閉鎖中に記録され
る上流側鉄管水圧の最大値(水撃第一波)は上がる。さ
りとて反対の場合は、水撃第一波は下がるが、水撃第二
波は上がる。このため、結果的に水撃第一波と水撃第二
波が同程度の高さになるように設定するのが最も合理的
である。
【0058】ところで、前記水量調整手段の前記第二の
速度による低速閉鎖の時間が誤って延長した場合には、
負荷遮断後ポンプ水車およびこれと直結された発電電動
機がより長い間高回転速度にさらされるので好ましくな
い。また、ポンプ水車の運転点がS字特性を流量増加方
向に辿る時のS字特性による加振作用がより大きくなり
好ましくない。また、同一の上流または下流管路をポン
プ水車端近くに置かれた分岐管を介して他のポンプ水車
と共有し合う複数台のポンプ水車が時間差をおいて相次
いで負荷遮断される順次遮断の場合を考えると、各号機
が回転速度の所定値以上の上昇を条件に前記第二の速度
による低速閉鎖が指令されるようになっておれば、他号
機の干渉条件によって回転速度が異常に長い間所定値以
上に留まる場合があり、前記第二の速度による低速閉鎖
が異常に長く続き前記水量調整手段の閉鎖が異常に遅れ
る可能性もある。
【0059】このため、前記回転速度制御手段に対して
も前記閉鎖速度制限手段に対しても割り込みを掛けて前
記水量調整手段の開度を無条件に制限することのできる
開度制限手段を備え、負荷遮断前の通常運転中には、通
常運転に支障がでないように前記開度制限手段を(充分
な余裕を付けて)充分高く設定しておき、負荷遮断時に
はこれを自動的に下げてくるようにする。こうすれば、
前述の前記第二の速度による低速閉鎖の時間延長による
トラブルを未然に防止できる。
【0060】少なくとも前述の想定トラブルの原因にな
る前記第二の速度による低速閉鎖が継続中には前記開度
制限手段を自動的に下げるようにすれば、合理的な保護
が可能である。
【0061】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施例を図面を用い
て説明する。図2は本発明の一実施例のポンプ水車の水
量調整手段の制御系のブロック図である。
【0062】1は水車100の回転速度Nを検出する速
度検出部、Xnは前記速度検出部からの速度検出信号、
2は回転速度の基準値を設定する速度調整部、X0は速
度調整部2からの設定値を示す。3は速度調整部設定値
X0と前記速度検出信号Xnの差、すなわち、速度偏差
信号X0−Xnと速度調定率設定部からの復元信号Xσ
を突き合わせる加算器である。この結果得られる制御偏
差信号Xεが回転速度制御手段の主たる演算部を構成す
るPID演算回路に入力される。
【0063】発電電動機が大電力系統に接続される通常
の発電運転時には比例演算要素(P要素)4aを使い、
また、負荷遮断後の無負荷運転時には比例演算要素(P
要素)4bを使うように接点19a,19bがある。な
お、前者の比例演算要素のゲインKpa>後者の比例演
算要素のゲインKpbとなっている。同様に、通常の発
電運転時に使用する積分演算要素(I要素)5aと負荷
遮断後の無負荷運転時に使用する積分演算要素(I要
素)5bの切換も接点19a,19bで行われる。前者
の積分ゲインKia>後者の積分ゲインKibとなって
いる。なお、接点19a,19bは負荷遮断前後を判別
するスイッチの接点で、例えば図示してない発電電動機
の遮断器の開閉を直接または間接的に検出する接点と考
えてよい。なお、接点19a,19bは同時にスイング
動作して下側接点を開き上側接点を閉じる。接点19
a,19bが各2個ある理由は比例演算要素,積分演算
要素共に同時に切り換えするためである。
【0064】微分演算要素6(D要素)からは出力信号Z
dが出力される。また、接点19bからは比例演算要素
の出力信号Zp,積分演算要素の出力信号Ziが出力さ
れる。
【0065】そして、これらの3つの出力信号は加算部
7で加算され、その出力Zが回転速度制御手段の主演算
部の制御指令すなわち回転速度制御手段が求める案内羽
根開度指令を示している。他方、実際の案内羽根開度は
信号Yで示される。
【0066】加算部8,リミッター9a,9b、9c,
油圧サーボモーター10、は一種の油圧増幅部になって
いる。なお、3つあるリミッター9a,9b,9cは前
記第一の閉鎖速度,第二の閉鎖速度,第三の閉鎖速度制
限に対応するリミッターでSW1,SW2はいずれか一
つを選択する切換部である。例えばSW1は案内羽根開
度Y>Yaの条件でリミッター9aを選択する切換部で
ある。すなわち、図2のようにSW1のスイング片が水
平位置の場合にはリミッター9aを選択するようになっ
ている。他方、SW2は前記指令装置の接点で案内羽根
開度Y<Yaの時のリミッターの選択を行うもので、ス
イング片が水平位置の場合には前記第二の速度による低
速閉鎖用のリミッター9bを選択し、スイング片が直立
位置の場合には第三の閉鎖速度制限用のリミッター9c
を選択するものである。
【0067】かくして、加算部8,リミッター9a/9
b/9c,油圧サーボモーター10はリミッター付一次
遅れ要素を構成し、案内羽根開度指令Zを増幅して水量
制御手段である案内羽根を直接操作するに充分なストロ
ークと操作力をもつ案内羽根開度Yに変換する増幅器で
ある。Yε1は案内羽根開度指令Zと実際の案内羽根開
度Yの偏差を示す。リミッター9aのθRは案内羽根の
開速度をθR.Cy に、θLaは閉速度をθLa .Cyに
制限するためのものである。同様に、リミッター9bの
θRは案内羽根の開速度をθR.Cyに、θLbは閉速度
をθLb.Cyに制限するためのもので、リミッター9c
のθRは案内羽根の開速度をθR.Cyに、θLcは閉速
度をθLc .Cyに制限するためのものである。なお、
この場合は、いずれのリミッターが選択されても開速度
制限は同じにしている。
【0068】Yε2は偏差信号Yε1を上記開閉速度制
限を考慮して制限した信号である。上記のYε1,Yε
2、リミッター9a,9b,9c、切換部SW1,SW
2はブロック線図のイメージで説明したが、具体的な製
品イメージでは、Yε1は変位制限が与えられる前の配
圧弁プランジャーの変位、Yε2は変位制限を受けた後
の配圧弁プランジャーの変位、9a,9b,9cは配圧
弁プランジャーの閉方向変位を制限する機械的なストッ
パーと考えてもよい。
【0069】なお、加算部11には出力調整部13から
所望の案内羽根開度設定信号Yaが与えられる。もし実
際の案内羽根開度YがYaに達していない場合には、す
なわち、Y<Yaの場合にはその差がゼロになるまでガ
バナーのPID演算部に開信号σ(Ya−Y)が送り続
けられるので、やがてはY=Yaとなりその段階で落ち
着く。速度調定率設定部12は上記の係数σを設定する
部分である。換言するとσは速度検出信号Xnの変化に
対する案内羽根開度Yの変化の割合を決めるゲインで、
一般には電力系統の中での当該プラントの役割、すなわ
ち、負荷分担の割合を考慮して一度決めたら変更されな
いものである。また14は水路系を含む水車を示す。水
車軸に直結された発電機に与えられる当該発電所の負荷
電力L,電力系統側から与えられる負荷電力RL,信号
PgはLとRLを総合した発電機負荷を示す。そして、
17bは電力系統からの負荷特性を示す。水車100の
自己制御性17aは具体的には回転速度上昇に伴い増加
する機械損や効率低下等を総合した特性部である。ま
た、信号RTは回転速度変化に伴う自己制御性による水
車出力のロスを示す。
【0070】かくして水車からみればPgだけでなくR
Tも一種の負荷のようにみなすことができる。すなわ
ち、水車の出力Ptを消費する総合負荷LΣ=Pg+R
Tとみなすことができる。よって(Pt−LΣ)が回転
部慣性効果部16の入力となり、回転部慣性効果部16
の出力が回転速度Nとなる。なお、負荷遮断後は信号P
gは信号Lに等しくなる。
【0071】ここで、速度調整部2,出力調整部13,
速度調定率設定部12の作用を図15(A),図15
(B)により説明する。なお、ここで無負荷時の案内羽
根開度は0.2(pu)と仮定する。図15(A)の右下
がりの実線はこのプラントが電力系統に接続される直前
の状態を示す。すなわち、定格値N(同期速度)ライン
とこの実線の交点が案内羽根開度を示すが、丁度無負荷
開度0.2 になっている。なお、水車を起動する前はこ
の実線はこれより低い位置に設定される。例えば図15
(A)の点線の位置に設定される。このように図15
(A)の実線より下側でこの実線を上下に平行移動させ
るのが、速度調整部2である。この実線を上下に平行移
動した時無負荷開度0.2 線上の交点が上下に動くこと
から速度調整部の名が付いている。他方、このプラント
が電力系統に接続された後の動きについて図15(B)
により説明する。この場合は、実線と定格速度との交点
はY=1.0 になっている。すなわち、100%負荷運
転中を示す。図15(A)の並列時の実線位置は図15
(B)では点線の位置になる。このように実線を平行移
動させて案内羽根開度を調整するのが出力調整部13で
ある。出力調整部13は、実線を水平方向に平行移動さ
せるものであるが、無限大電力系統に連繋された状態で
は、回転速度は事実上1.0 に固定されるので、実線の
水平方向移動に伴うN=1.0 線上の交点は左右に動く
ことから、この名が付けられている。図15(B)の実
線の設定では、定常時はN=1.0,Y=1.0で運転さ
れるが、今、仮に電力系統の周波数が3%上昇しN=
1.03 になったとすると、Yは0.2 になる。電力系
統周波数の上昇幅が1.5 %であれば、Y=0.6 に閉
め込まれる。このように周波数変化幅と案内羽根閉め込
み幅の間に比例関係を与えているのが、速度調定率設計
部12である。速度調定率設計部12のゲインを大きく
すれば、図15(B)の実線の右下がり勾配はよりきつ
くなり、周波数変化に対する案内羽根開度応答幅のゲイ
ンが下がってくる。従って、図15(B)の実線の設定
で定格回転速度で(N=1.0で)全負荷(100%負
荷)運転中に負荷遮断が起きれば、ガバナーは回転速度
Nを最終的には定格値より速度調定率分だけ高い1.0
3 に落ち着かせるように作動する。
【0072】図1は図2の本発明の実施例のポンプ水車
の負荷遮断時の時間応答グラフを示す。この場合はY>
Yaの条件で切換部SW1がリミッター9aを選択し、
ここで第一の閉鎖速度制限が与えられるようになってい
る。すなわち、時点t0からt1の間で第一の閉鎖速度
制限が与えられる。また、YがYa以下まで閉鎖した後
では、N>Naと|dN/dt|=|tanβ|<Cβ a
&条件で切換部SW2がリミッター9bを選択し、第二
の閉鎖速度制限が与えられるようになっている。当然な
がら、Y<Yaでは前記切換部SW2がリミッター9b
を選択しない限り第三の閉鎖速度制限が与えられるよう
になっている。従って、時点t1からtF1の間はまだ
切換部SW2がリミッター9bを選択していないので第
三の閉鎖速度制限になり、時点tF1から時点tF2の
間は切換部SW2がリミッター9bを選択し第二の閉鎖
速度制限になる。なお、この場合第二の閉鎖速度制限が
与えられれば案内羽根は事実上ホールド状態になるよう
に設定している。なお、時点tF2から時点tF3の間
は切換部SW2がリミッター9bを選択しないので再び
第三の閉鎖速度制限に戻る。時点tF3の時点になれ
ば、Nが再上昇し、N>Naと|dN/dt|=|tan
β|<Cβ aの&条件が成立するので、第二の閉鎖速度
制限が与えられる。時点tF4以降になればもはやN>
Naの条件は成立しないので第三の閉鎖速度制限のまま
案内羽根の閉鎖が進む。なお、Q,Hp,Hdはそれぞ
れ、ポンプ水車の流量(水車方向が+)、ポンプ水車上
流側鉄管水頭、ポンプ水車下流側ドラフト水頭を示す。
ところで図1の本発明を使ったあるポンプ水車の負荷遮
断の効果は、図18の典型的な従来技術(案内羽根の閉
鎖速度が閉鎖の進行と共に低下していく折線形閉鎖)を
使った同一ポンプ水車の同一条件の負荷遮断時の時間応
答グラフと対比すれば明らかである。すなわち、従来技
術では、回転速度が第一ピークを過ぎて下降に転じた後
ポンプ水車上流側鉄管水頭Hpが上昇しており、その最
大値(水撃第二波の最大値)は負荷遮断直後の第一閉鎖
速度の進行中に記録される水撃第一波の最大値より高く
なっている。この場合にはあまり顕著でないが、ポンプ
水車の特性によってはもっと顕著に現れることがある。
これに対して本発明の図1では、水撃第一波は同じであ
るが、水撃第二波ははるかに低くなっており、もちろ
ん、水撃第一波を超えることはない。さらに、図18の
従来技術では、ポンプ水車流量Qが負荷遮断前の全負荷
相当流量から最終的に無負荷相当流量に落ち着くまでの
間に大きく振れており、途中で逆流(ポンプ方向流れ)
を起こしている。これに対して本発明の図1ではポンプ
水車流量Qが無負荷相当流量に落ち着くまでの振れが格
段に小さく逆流することはない。ポンプ水車上下流管路
の水撃は流量変化で起こされることを考えれば、このよ
うな過渡的な流量変動の縮小は上流側だけでなく下流側
水撃の改善にもなることは言うまでもない。特に、複数
台のポンプ水車が図10のように上流または下流または
その両方を共有している場合にドラフト側に現れる突然
のスパイク状の水圧低下も低減できることを意味する。
ところで上述のような本発明の顕著な効果は、単に第二
の閉鎖速度制限を与えるというだけでは達成できない。
全負荷またはそれに近い大負荷遮断時の回転速度変動カ
ーブが次のように明確に変わるように、第二の閉鎖速度
制限の開始時期,終了時期、第二の閉鎖速度はもちろ
ん、第一の閉鎖速度や第三の閉鎖速度も調整する必要が
ある。すなわち、負荷遮断後回転速度が第一ピークに達
するまでの所要時間tR1に対して、回転速度が第一ピ
ークからN0+(Nmax−N0)/3まで降下する所用
時間tL1が1.5 倍以上になるように調整することが
重要なポイントである。もちろん、ポンプ水車のS字特
性が強過ぎてどうしてもtL1を充分長くできない場合
もあるが、その場合には、この第二の閉鎖速度制限だけ
に依存するS字特性対応制御では不十分であることを意
味する。かくして、図1では、回転速度の第一ピークか
らの回転速度の降下カーブを充分ゆるやかにできたた
め、図18のように回転部慣性エネルギーがポンプ水車
上下流水路の水の揚水方向への無用な加速に消費される
ことがなくなる。図4は別のポンプ水車に本発明を適用
した場合の負荷遮断時の時間応答グラフである。なお、
図19は図4に相当する従来技術を採用したポンプ水車
の負荷遮断時の時間応答グラフである。図19ではポン
プ水車上流側鉄管水頭Hpの水撃第二波の最大値が水撃
第一波の最大値をはるかに超えている。これに対して図
4では水撃第一波は同じであるが水撃第二波が大きく低
下し、水撃第一波よりはるかに小さくなっている。ポン
プ水車の流量も図19では大幅な逆流が認められるのに
対して、図4では僅かな逆流に留まっている。この場合
も、その理由が回転速度低下カーブに顕著に現れてい
る。すなわち、図4では回転速度が第一ピークからN0
+(Nmax−N0)/3まで降下する所用時間tL1は負
荷遮断後回転速度が第一ピークに達するまでの所要時間
tR1の約2倍になっているのに対して、図19ではt
L1とtR1はほぼ同じである。
【0073】図5は本発明の別の実施例である。大体は
図4の実施例と同様であるが、この場合には、案内羽根
開度制限手段を設けて、負荷遮断後の案内羽根閉鎖中に
その設定値GLを図のようにバックアップ閉鎖するよう
にしている。そしてもし、リミッター9b等の不具合で
時点TTbになっても第二の閉鎖速度制限が除外され
ず、案内羽根の閉鎖が点線のように遅れた場合にも、案
内羽根は開度制限手段の設定値GLの下降に伴って閉鎖
されるようにしている。
【0074】図3は上述の図5の本発明の実施例を実現
するためのハード構成を示す図である。すなわち、回転
速度制御手段が求める案内羽根開度指令Zと開度制限手
段の設定部22で設定された開度制限信号GLが低値選
択器(LVG)23に入力されここで両者の小さい方の
信号が選択されこれがZLとして出力される。結局、案
内羽根開度Yはこの開度制限された信号ZLに追従す
る。ところで、Yε1からYに至るリミッター付一次遅
れ増幅機構はリミッター9a,9b,9cをもっている
ので、特に9cによって、過渡的に案内羽根の閉鎖がG
Lの閉鎖より遅れる場合がある。特に何らかの理由で切
換部SW2の9bから9cへのリミッター切換が遅れた
場合が考えられる。その場合には、24比較器がGLと
Yの異常接近を検出してその接点で切換部SW2を無条
件に切換し、リミッター9cを選択し、その後の案内羽
根の閉鎖がGLに追従する形で進むようにする。
【0075】上述のようにS字特性対応制御は、一時的
には回転速度制御手段による案内羽根の閉鎖に逆らうよ
うな制御になるので、誤動作の場合、案内羽根の閉鎖の
信頼性が低下する傾向になる可能性があるが、開度制限
手段のバックアップによってこの懸念を解消できる。
【0076】以上に説明した実施例は一例に過ぎず、本
発明はこれに限定されるものではない。
【0077】本発明の効果は上記から明らかである。す
なわち、ポンプ水車の負荷遮断時に過大な流量変動を伴
うことなくスムースに無負荷流量に収斂していく。この
ため水車の上流側水圧上昇幅を、特に第2ピークHpyを
低くすることが可能である。従って、第1ピークHpxは
いかなる条件でも第2ピークHpyより低くしないように
との従来主流になっている調整方法を踏襲しても、第1
ピークHpxを大幅に下げることが可能になる。このため
水車上流側管路及びポンプ水車自体の設計水圧を大幅に
下げることが可能である。水車の下流側管路についても
S字特性に起因する水圧低下幅を大幅に縮小可能であ
る。特に、下流管路を複数のポンプ水車が共有する場合
の号機間相互干渉による異常スパイクを解消または軽減
することができる。このため同じ下池水位の下でポンプ
水車の据付高さを高くすることが可能になり、特に地下
発電所の場合土木掘削ボリュームを少なくすることが可
能である。S字特性による異常な流量変動幅を大幅に圧
縮できるため、ポンプ水車が受ける過渡的な水スラスト
変動を大幅に低減できる可能性がある。従って、スラス
ト軸受の設計合理化が可能になる。ポンプ水車の上流側
または下流側管路を共有する複数台のポンプ水車におい
ては、従来、異常水撃干渉の対策として各号機に運転制
限を与えている場合もあったが、これが必要なくなり、
各号機はお互いに自由に運転できるようになる。さらに
は、負荷遮断時の余計な流量変動を抑制できるので振
動,騒音等が軽減されポンプ水車自身の運転状態が改善
され寿命の延長が可能になる。異常の効果は全てが揚水
発電所コスト低減に貢献することは言うまでもない。し
かも、本発明は従来の回転速度制御ガバナに上述の閉鎖
速度制限手段や開度制限手段を付加するだけで達成でき
る。
【0078】
【発明の効果】本発明では負荷遮断時の上流側水圧上昇
を低減することが可能になり、これにより上流側水路及
びポンプ水車自身の設計水圧の低減が可能で、耐水圧設
計のためのコストを低減することが可能になる。負荷遮
断時の下流側水圧低下幅も低減するので従来と比較して
ポンプ水車据付高さを浅い位置に設置することが可能に
なるので発電所の掘削ボリュームを低減し土木コストを
低減することが可能になる。
【0079】また、上流側、または下流側の管路が複数
のポンプ水車で共有されている場合でも、有害な水撃相
互干渉を少なくすることが可能になるので、運用上の無
用な制限が不要になる。
【0080】また、負荷遮断時の流量の変動を抑制でき
るので過渡時の水スラストを軽減できスラストメタルの
設計を合理化することができる。
【0081】そして、ポンプ水車自身の負荷遮断時の運
転の安定化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のポンプ水車の負荷遮断時の時
間応答グラフ。
【図2】本発明の一実施例のポンプ水車の水量調整手段
の制御系のブロック図。
【図3】図5の本発明の実施例を実現するためのハード
構成例を示す図。
【図4】別のポンプ水車に本発明を適用した場合の負荷
遮断時の時間応答グラフ。
【図5】本発明の別の実施例の負荷遮断時の時間応答グ
ラフ。
【図6】(A),(B)はポンプ水車の特性グラフ。
【図7】ポンプ水車の動作説明チャート。
【図8】ポンプ水車の動作説明チャート。
【図9】従来の案内羽根の閉鎖パターンの説明グラフ。
【図10】複数台のポンプ水車を有する発電所の例図。
【図11(A)】従来のポンプ水車の動作図。
【図11(B)】従来のポンプ水車の動作図。
【図11(C)】従来のポンプ水車の動作図。
【図12(A)】従来のポンプ水車の動作図。
【図12(B)】従来のポンプ水車の動作図。
【図13】従来のポンプ水車の負荷遮断時の案内羽根閉
鎖パターンを示す図。
【図14】従来のポンプ水車の負荷遮断時の過渡現象を
示す図。
【図15】(A),(B)はガバナの機能に関する説明
図。
【図16】従来の案内羽根閉鎖速度制限手段の信頼性を
増す対策例の図。
【図17】従来のポンプ水車の水量調整手段(案内羽
根)の制御系のブロック図。
【図18】従来の案内羽根閉鎖パターンを使ったポンプ
水車の負荷遮断時の時間応答グラフ。
【図19】従来技術を採用したポンプ水車の負荷遮断時
の時間応答グラフ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 片山 慶 茨城県日立市幸町三丁目1番1号 株式会 社日立製作所火力・水力事業部内 (72)発明者 中川 博人 大阪府大阪市北区中之島三丁目3番22号 関西電力株式会社内 (72)発明者 萩原 春樹 大阪府大阪市北区中之島三丁目3番22号 関西電力株式会社内 Fターム(参考) 3H073 AA13 BB10 BB23 BB34 CC12 CD03 CE09 CE27 5H590 AA01 AA03 AA04 AA06 AB15 CA12 CC01 CE01 EA05 EA07 EB21 EB29 FA01 FC26 GA10 HA14 HA22 HA26 HA27 JA08 JA12 JA13 JA14 JB18

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ランナーと、 該ランナーに接続された発電電動機と、 前記ランナーを通過する水量を調整する水量調整手段
    と、 前記ランナーの回転速度を検出し前記ランナーの回転速
    度が所定値になるように前記水量調整手段を制御する回
    転速度制御手段を備えたポンプ水車において、 発電モードの負荷遮断時、前記水量調整手段を、負荷遮
    断直後は第一の速度で閉鎖し、回転速度が第一のピーク
    に達する時点より前から、前記第一の速度より低速の第
    二の速度による閉鎖に移行させ、前記第二の速度による
    低速閉鎖は、回転速度が前記第一ピークを過ぎた下降過
    程において終了させ、前記第二の速度より速く、前記第
    一の速度よりおそい第三の速度による閉鎖に移行させる
    ようにし、 全負荷またはそれに近い負荷の遮断時には、負荷遮断時
    点から回転速度が第一ピークに達する時点までの所要時
    間に対して、前記第一ピークの時点から回転速度が(遮
    断前の回転速度)+[(前記第一ピーク)−(遮断前回
    転速度)]/3まで降下するに要する時間が1.5 倍以
    上になるようにしたことを特徴とするポンプ水車。
  2. 【請求項2】ランナーと、 該ランナーに接続された発電電動機と、 前記ランナーを通過する水量を調整する水量調整手段
    と、 前記ランナーの回転速度を検出し前記ランナーの回転速
    度が所定値になるように前記水量調整手段を制御する回
    転速度制御手段を備えたポンプ水車において、 発電モードの負荷遮断時、水量調整手段を、負荷遮断直
    後は第一の速度で閉鎖し、回転速度が第一のピークに達
    する時点より前から、前記第一速度より低速の第二の速
    度による閉鎖に移行させ、前記第二の速度による低速閉
    鎖は、回転速度が前記第一ピークを過ぎた下降過程で、
    回転速度カーブが上に凸から下に凸に変わる時点より前
    に終了させ、前記第二の速度より速く、前記第一の速度
    よりおそい第三の速度による閉鎖に移行させるように
    し、 負荷遮断時点から回転速度が第一ピークに達する時点ま
    での所要時間に対して、前記第一ピークの時点から回転
    速度が(遮断前の回転速度)+[(前記第一ピーク)−
    (遮断前回転速度)]/3まで降下するに要する時間が
    1.5 倍以上になるようにしたことを特徴とするポンプ
    水車。
  3. 【請求項3】請求項1のポンプ水車において、 前記ランナーに接続された発電電動機と、 前記ランナーを通過する水量を調整する水量調整手段
    と、 前記ランナーの回転速度を検出し、前記ランナーの回転
    速度が所定値になるように前記水量調整手段を制御する
    構成で、最終段の増幅機構として油圧サーボ機構を備
    え、 前記第一,第二,第三の閉鎖速度は、前記油圧サーボ機
    構のサーボモータへの流入または流出油量またはその両
    方を直接または間接的に制限することによって達成する
    ようにしたポンプ水車。
  4. 【請求項4】ランナーと、 該ランナーに接続された発電電動機と、 前記ランナーを通過する水量を調整する水量調整手段
    と、 前記ランナーの回転速度を検出し前記ランナーの回転速
    度が所定値になるように前記水量調整手段を制御する回
    転速度制御手段と、 少なくとも回転速度の検出信号を受けて、ポンプ水車の
    運転状態に応じて所定の指令信号を発する指令装置を備
    えたポンプ水車において、 発電モードの負荷遮断時、水量調整手段を、負荷遮断直
    後は第一の速度で閉鎖し、回転速度が第一のピークに達
    する時点より前から、前記第一速度より低速の第二の速
    度による閉鎖に移行させ、前記第二の速度による低速閉
    鎖は、回転速度が前記第一ピークを過ぎた下降過程の初
    期において終了し、前記第二の速度より速く、前記第一
    の速度よりおそい第三の速度による閉鎖に移行させるよ
    うにし、 全負荷またはそれに近い負荷の遮断時には、負荷遮断時
    点から回転速度が第一ピークに達する時点までの所要時
    間に対して、前記第一ピークの時点から回転速度が(遮
    断前の回転速度)+[(前記第一ピーク)−(遮断前回
    転速度)]/3まで降下するに要する時間が1.5 倍以
    上になるようにし、 前記指令装置からの指令によって、少なくとも前記第二
    の速度による閉鎖の開始,終了またはそれらの両方を行
    うようにしたことを特徴とするポンプ水車。
  5. 【請求項5】請求項4のポンプ水車において、 前記指令装置が、回転速度が第一の所定値以上になった
    ことで前記第二の速度による閉鎖の開始を指令するよう
    にしたことを特徴とするポンプ水車。
  6. 【請求項6】請求項4のポンプ水車において、 前記指令装置が、回転速度が第一の所定値以上になった
    ことおよび回転速度の上昇勾配または相当の演算値が第
    二の所定値以下になったことのAND条件で前記第二の
    速度による閉鎖開始を指令するようにしたことを特徴と
    するポンプ水車。
  7. 【請求項7】請求項4のポンプ水車において、 前記水量調整手段の開度に応じて前記水量調整手段の閉
    鎖速度を制限する開度応答形閉鎖速度制限手段を備え、
    前記開度応答形閉鎖速度制限手段は前記水量調整手段の
    開度が所定値Ya以上にある間は、前記水量調整手段の
    閉鎖速度を前記第一の速度に制限し、前記水量調整手段
    の開度が前記Ya以下になった後は閉鎖速度を前記第三
    の速度に制限するように構成し、前記第三の速度の制限
    が作動中に、前記指令装置により前記第二の速度の低速
    閉鎖が指令された時には、前記第二の速度の低速閉鎖が
    優先的に設定されるようにしたことを特徴とするポンプ
    水車。
  8. 【請求項8】請求項5のポンプ水車において、 前記第一の所定値を前記発電電動機が電力系統に接続さ
    れている通常運転中に起こりうる回転速度の最大値より
    充分高く設定したポンプ水車。
  9. 【請求項9】請求項6のポンプ水車において、 前記第一の所定値を前記発電電動機が電力系統に接続さ
    れている通常運転中に起こりうる回転速度の最大値より
    充分高く設定したポンプ水車。
  10. 【請求項10】同一の上流または下流管路をポンプ水車
    端近くに置かれた分岐管を介して他のポンプ水車と共有
    し合うポンプ水車に関し、 ランナーと、 該ランナーに接続された発電電動機と、 前記ランナーを通過する水量を調整する水量調整手段
    と、 前記ランナーの回転速度を検出し前記ランナーの回転速
    度が所定値になるように前記水量調整手段を制御する回
    転速度制御手段を備えたポンプ水車において、 発電モードの負荷遮断時、水量調整手段を、負荷遮断直
    後は第一の速度で閉鎖し、回転速度が第一のピークに達
    する時点よりも前から、前記第一速度より低速の第二の
    速度による閉鎖に移行させ、前記第二の速度による低速
    閉鎖は、回転速度が前記第一ピークを過ぎた下降過程の
    初期において終了させ、前記第二の速度より速く、前記
    第一の速度より遅い第三の速度による閉鎖に移行させる
    ようにし、 全負荷またはそれに近い負荷の単独遮断時には、負荷遮
    断時点から回転速度が第一ピークに達する時点までの所
    要時間に対して、前記第一ピークの時点から回転速度が
    (遮断前の回転速度)+[(前記第一ピーク)−(遮断
    前回転速度)]/3まで降下するに要する時間が1.5
    倍以上になるようにしたことを特徴とするポンプ水車。
  11. 【請求項11】ランナーと、 該ランナーに接続された発電電動機と、 前記ランナーを通過する水量を調整する水量調整手段
    と、 前記ランナーの回転速度を検出し前記ランナーの回転速
    度が所定値になるように前記水量調整手段を制御する回
    転速度制御手段を備えたポンプ水車において、 発電モードの負荷遮断時、水量調整手段を、負荷遮断直
    後は第一の速度で閉鎖し、回転速度が第一のピークに達
    する時点より前から、前記第一速度より低速の第二の速
    度による閉鎖に移行させ、前記第二の速度による低速閉
    鎖は、回転速度が前記第一ピークを過ぎた下降過程の初
    期において終了させ、前記第二の速度より速く、前記第
    一の速度より遅い第三の速度による閉鎖に移行させるよ
    うにし、 全負荷またはそれに近い負荷の遮断時には、負荷遮断時
    点から回転速度が第一ピークに達する時点までの所要時
    間に対して、前記第一ピークの時点から回転速度が(遮
    断前の回転速度)+[(前記第一ピーク)−(遮断前回
    転速度)]/3まで降下するに要する時間が1.5 倍以
    上になるようにし、かつ、前記水量調整手段が前記第二
    の速度の閉鎖に入る前に記録される上流側鉄管水圧の最
    高値(水撃第一波)と、回転速度の第一ピーク直後の最
    初の回転速度降下過程で記録される上流側鉄管水圧の最
    高値(水撃第二波)が略等しくなるように調整したこと
    を特徴とするポンプ水車。
  12. 【請求項12】ランナーと、 該ランナーに接続された発電電動機と、 前記ランナーを通過する水量を調整する水量調整手段
    と、 前記ランナーの回転速度を検出し前記ランナーの回転速
    度が所定値になるように前記水量調整手段を制御する回
    転速度制御手段と、 少なくとも発電モードの負荷遮断時には、前記回転速度
    制御手段の制御に関わりなく、前記水量調整手段の閉鎖
    速度の最大値を、負荷遮断直後は比較的速い第一の速度
    に制限し、その後一時的に前記第一の速度より低速の第
    二の速度に制限し、前記第二の速度の制限の後前記水量
    調整手段が無負荷開度付近に閉鎖されるまでの時間の大
    半は、主として前記第二の速度より速く、前記第一の速
    度より遅い速度に制限する閉鎖速度制限手段を備え、 前記水量調整手段の実際の開度よりも低い開度に設定さ
    れれば、前記回転速度制御手段や閉鎖速度制限手段の状
    態には関わりなく前記水量調整手段の開度を当該設定値
    まで絞り込むように構成された開度制限手段を備えたポ
    ンプ水車において、 全負荷またはそれに近い負荷の遮断時には、負荷遮断時
    点から回転速度が第一ピークに達する時点までの所要時
    間に対して、前記第一ピークから回転速度が(遮断前回
    転速度)+[(前記第一ピーク)−(遮断前回転速
    度)]/3まで降下するに要する時間が1.5倍以上に
    なるように前記閉鎖速度制限手段を調整し、 かつ、負荷遮断前には前記水量調整手段の開度より大き
    い開度に設定されていた前記開度制限手段が、負荷遮断
    後の過渡時には所定のパターンで下げ操作されるように
    したことを特徴とするポンプ水車。
  13. 【請求項13】請求項12のポンプ水車において、 負荷遮断直後は前記第一の閉鎖速度制限を与え、回転速
    度が第一のピークに達する時点より早い時点から、前記
    第二の閉鎖速度制限を与え、回転速度が前記第一ピーク
    を過ぎた下降過程の初期からは、前記第三の速度による
    閉鎖速度制限を与えるようにして調整したポンプ水車。
  14. 【請求項14】請求項12のポンプ水車において、 負荷遮断前の通常運転中は、前記開度制限手段を前記水
    量調整手段の開度より大きい開度に設定しておき、負荷
    遮断後所定のパターンで下げ操作をするようにしたポン
    プ水車。
  15. 【請求項15】請求項12のポンプ水車において、 前記第二の閉鎖速度制限が与えられている間は前記開度
    制限手段の下げ操作が継続されるようにしたポンプ水
    車。
  16. 【請求項16】ランナーと、 該ランナーに接続された発電電動機と、 前記ランナーを通過する水量を調整する水量調整手段
    と、 前記ランナーの回転速度を検出し前記ランナーの回転速
    度が所定値になるように前記水量調整手段を制御する回
    転速度制御手段を備えたポンプ水車において、発電モー
    ドの負荷遮断時、前記水量調整手段を、負荷遮断直後は
    第一の速度で閉鎖し、回転速度が第一のピークに達する
    時点より前から、前記第一の速度より低速の第二の速度
    による閉鎖に移行させ、前記第二の速度による低速閉鎖
    は、回転速度が前記第一ピークを過ぎた下降過程におい
    て終了させ、前記第二の速度より速く、前記第一の速度
    よりおそい第三の速度による閉鎖に移行させるように
    し、 前記発電電動機の発電電力が遮断される負荷遮断後の過
    渡時に、前記水量の逆流が発生しないことを特徴とする
    ポンプ水車。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109268200A (zh) * 2018-08-29 2019-01-25 哈尔滨工业大学 一种针对水泵水轮机在飞逸过渡过程的动态特性及内流特性分析方法

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