JP2001342278A - 低分子量成分の少ないスチレン系樹脂発泡容器 - Google Patents

低分子量成分の少ないスチレン系樹脂発泡容器

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JP2001342278A
JP2001342278A JP2000161712A JP2000161712A JP2001342278A JP 2001342278 A JP2001342278 A JP 2001342278A JP 2000161712 A JP2000161712 A JP 2000161712A JP 2000161712 A JP2000161712 A JP 2000161712A JP 2001342278 A JP2001342278 A JP 2001342278A
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JP2000161712A
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Takeshi Ikematsu
武司 池松
Hiroshi Shirai
博史 白井
Kiyoshi Kawakami
潔 川上
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来のスチレン系樹脂発泡容器には、スチレ
ンモノマーやスチレンオリゴマー等の低分子量成分が含
まれる。これらの低分子量成分は、例えば、発泡シート
製造時あるいは発泡シートから食品トレーや食品容器等
の二次加工時、金型や加工機器に付着したり、成形体表
面を汚す等の加工上の問題、さらには各種物性、特に印
刷性や加熱時剛性を低下させる等の問題を引き起こす。 【解決手段】 有機リチウム開始剤を用いたスチレンの
アニオン重合法で得られた低分子量成分の含量が100
0ppm未満のスチレン系樹脂から成る発泡容器は、美
麗で、表面印刷性に優れ、しかも各種物性、特に加熱時
剛性に優れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スチレン系樹脂の
単層発泡シートおよびこれに各種の熱可塑性樹脂を積層
したスチレン系樹脂の積層発泡シートを再成形してなる
スチレン系樹脂発泡容器に関する。これらのスチレン系
樹脂発泡容器は各種容器、例えば食品トレー、食品容器
等に好ましく使用できる。
【0002】
【従来の技術】スチレン系樹脂の単層発泡シート、ある
いはこれにポリスチレン、ポリオレフィン等の熱可塑性
樹脂フィルムを積層したスチレン系樹脂の積層発泡シー
トは、一般にはPSP(ポリスチレンペーパー)と呼ば
れる。これらスチレン系樹脂発泡シートは、2次発泡成
形を施すのが容易であり、また得られた成形体が美麗か
つ軽量で、断熱性に優れ、安価であることから、各種の
食器容器等に多量に使用されている。例えば、スチレン
系樹脂発泡容器は真空成形あるいは圧縮成型等により各
種形状に再成形して、食品トレー、食品容器等に、広く
使われている。
【0003】スチレン系樹脂発泡容器製造に用いられる
スチレン系樹脂は、一般には塊状ラジカル重合法により
製造される。塊状ラジカル重合法によるスチレン樹脂は
添加物に起因する不純物が少なく、安価であるという特
長があり、好ましく使用される。スチレン系樹脂発泡容
器は、一般にスチレン系樹脂にタルクや炭酸カルシウム
などの造核剤および流動パラフィンなどの成形性調整剤
を押出機を用いて溶融、混合し、発泡剤を圧入した後、
フラットダイあるいはサーキュラーダイより押出し発泡
させて、発泡シート化した後、再成形することによって
製造されている。発泡剤としては、一般に工業用ブタン
やジクロロジフルオロメタン等の常温でガス状の炭化水
素やハロゲン化炭化水素、あるいは炭酸ガス、窒素ガス
が使用されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】この様にして得られる
スチレン系樹脂発泡容器には、原材料であるスチレン系
樹脂に、当初から含まれるスチレンモノマーやスチレン
オリゴマー等の低分子量成分、さらにはスチレン系樹脂
発泡容器への加工時に新たに生成する低分子量成分が含
まれる。これらのスチレン系樹脂中に含まれる低分子量
成分は、僅かな量であるが成形加工性および製品性能の
点で好ましくない影響を及ぼす。
【0005】例えば、発泡シート製造時あるいは発泡シ
ートから食品トレーや食品容器等の二次加工時、金型や
加工機器に付着したり、成形体表面が汚れる等の問題が
起こる場合がある。このため成型加工時の温度を低く設
定したり、樹脂混合のシェアー低く抑える等、加工条件
をマイルドにする対策が取られるが、これらの対応は生
産性や成形性低下の原因を伴い、弊害もある。また、成
形された最終製品性能の点では、スチレン系樹脂中に低
分子量成分が多く含まれると、製品の剛性、特に加熱時
の剛性の低下を来たし好ましくない。加熱時の剛性は、
熱湯あるいは電子レンジ等での加熱の想定される食品容
器、例えば即席めん用のドンブリ、弁当箱、飲料カップ
では、特に要求される性能である。
【0006】これらの課題解決には、スチレン系樹脂発
泡容器中に含まれるスチレンモノマーやスチレンオリゴ
マー等の低分子量成分の低減が当然の帰結として考えら
れる。このためには原料スチレン系樹脂中の低分子量成
分の低減、および加工時に新たに生成する低分子量成分
低減が必要である。一般にこの様な用途に用いられるス
チレン系樹脂は塊状ラジカル重合法により製造されてお
り、塊状ラジカル重合法の特性として、一定量のスチレ
ンモノマーの残存、オリゴマーの生成は避けられない。
また、塊状ラジカル重合法によるスチレン系樹脂の特性
として、一定量の低分子量成分が加工時に生成すること
も避けられない。
【0007】それ故、塊状ラジカル重合法のスチレン系
樹脂から低分子量成分を積極的に除去しようとする考え
方も既に公知である。例えば、スチレン系樹脂製造時、
加熱下に真空脱揮することによる低分子量成分の除去
が、既に実施されている。しかし、スチレンオリゴマー
は揮発性が小さく、また過度の加熱は新たなスチレンモ
ノマーやスチレンオリゴマー生成を引き起こす原因とも
なり、低分子量成分除去には自ずと限界があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。即ち、有機リチウム開始剤を用いたスチレンのアニ
オン重合法では、特定の重合条件範囲で、未反応スチレ
ンモノマーの残存およびスチレンオリゴマーの生成を著
しく低く抑えることができる。しかも得られたスチレン
系樹脂は加工安定性に優れ、加工時のモノマー、オリゴ
マー等の低分子量成分の生成を極めて少なくできる。こ
の様にして得られたスチレン系樹脂を用いたスチレン系
樹脂発泡容器は、表面への印刷性に優れ、また発泡樹脂
容器としての各種物性、特に加熱時剛性に優れること見
出し、本発明をなすに至った。
【0009】本発明は特許請求の範囲にも示すところで
ある。即ち本発明は、有機リチウム開始剤を用いたアニ
オン重合により得られたスチレン系樹脂を用い、樹脂発
泡シート中のスチレン系樹脂に含まれるモノマー、ダイ
マーおよびトリマーから成る低分子量成分の含量が10
00ppm未満であることを特徴とする低分子量成分の
少ないスチレン系樹脂発泡容器である。本発明のスチレ
ン系樹脂発泡容器中のスチレン系樹脂におけるスチレン
系重合体は、有機リチウム開始剤を用いたアニオン重合
法により得られる。モノマーとしてはスチレンモノマー
単独、あるいはスチレンモノマーを主成分とし、他のビ
ニル芳香族炭化水素モノマー、ブタジエンやイソプレン
等の共役ジエンモノマーから成る混合モノマーも利用で
きる。
【0010】重合時の溶媒は無溶媒であっても良いが、
シクロヘキサン、エチルベンゼン、トルエン等の炭化水
素溶媒中での溶液アニオン重合法が好ましく利用でき
る。スチレン系重合体の分子量は、一般に重量平均の分
子量で100,000〜500,000、好ましくは1
50,000〜400,000、特に好ましくは20
0,000〜350,000の範囲である。重量平均分
子量が余りに低いとスチレン系樹脂発泡容器の各種の力
学的性能、例えば衝撃強度、剛性等が低下して好ましく
ない。また、重量平均分子量が余りに高いと、スチレン
系樹脂発泡容器の成形、加工性が低下してやはり好まし
くない。
【0011】スチレン系重合体の重量平均分子量と数平
均分子量の比で示される分子量分布(Mw/Mn)は、
一般に1.2〜10、好ましくは1.5〜5、特に好ま
しくは2〜4の範囲である。分子量分布が余りに狭い
と、樹脂発泡容器製造時の加工性や特定の樹脂物性、例
えば衝撃強度や発泡特性が低下して好ましくない。ま
た、余りに広い場合にも特定の樹脂性能、例えば樹脂発
泡容器製造時の流動特性や樹脂発泡容器の熱時剛性等が
低下して、やはり好ましくない。
【0012】本発明のスチレン系樹脂発泡容器で用いる
スチレン系樹脂はスチレン系重合体の他、スチレン系樹
脂で公知の各種の添加物を含むことができる。例えばス
チレン系重合体の熱的あるいは機械的安定性、酸化防止
性、耐候性、耐光性を改善するために公知の安定剤類を
添加することができる。その例としてフェノール系安定
剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤が挙
げられる。その他の添加剤としてタルク、炭酸カルシウ
ム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、シリカ等の造核
材、無機フィラー、顔料、染料等が挙げられる。
【0013】本発明のスチレン系樹脂発泡容器に用いら
れるスチレン系樹脂に含まれるモノマー、ダイマーおよ
びトリマーから成る低分子量成分の含率は1000pp
m未満でなければならない。好ましくは500ppm未
満、さらに好ましくは200ppm未満である。低分子
量成分の含有率が高いと、本発明の目的とする効果を十
分達成出来ない。即ち、低分子量成分が多いと、スチレ
ン系発泡容器成型時の加工性低下、および得られた樹脂
発泡容器への印刷性および各種物性、特に加熱時剛性の
低下を来たし、好ましくない。
【0014】本発明のスチレン系樹脂発泡容器の加工あ
るいは製造方法は特に限定しない。公知のスチレン系樹
脂発泡容器の製造方法が利用できる。例えば、スチレン
系樹脂にタルクや炭酸カルシウムなどの造核剤および流
動パラフィンなどの成形性調整剤を押出機を用いて溶
融、混合し、発泡剤を圧入した後、サーキュラー・ダイ
より押出し発泡させてシート化し、さらにこのシートを
二次加工することによってスチレン系樹脂発泡容器が得
られる。
【0015】発泡剤としては工業用ブタンやジクロロジ
フルオロメタン等の常温でガス状の炭化水素やハロゲン
化炭化水素、あるいは炭酸ガスや窒素ガスが使用でき
る。本発明のスチレン系樹脂発泡容器の構造は特に限定
しない。しかし、一般はその厚みは0.5〜10mm、
好ましくは1.0〜5mm、特に好ましくは1.5〜
3.0mmの範囲である。樹脂発泡シートから樹脂発泡
容器を圧縮成型あるいは真空成形等で容器等を成形する
際、加熱するので二次発泡が起こり、膨らむ場合があ
る。従って目標とする容器形状により、ある程度に樹脂
シート厚みを調整しておく必要がある。
【0016】また、その樹脂発泡容器の発泡倍率は一般
には2〜20倍、好ましくは5〜15倍、特に好ましく
は8〜12倍の範囲である。発泡倍率が余りに低いと容
器が重くなり、また断熱性が低下して好ましくない。2
0倍を超えると容器の表面状態が著しく悪くなり、しか
も強度が不足するようになり好ましくない。本発明のス
チレン系樹脂発泡容器においては、必要により発泡体の
片面あるいは両面に、熱可塑性樹脂フィルムを積層した
構造にすることができる。この熱可塑性樹脂フィルムは
接着層等を含む多層フィルムであっても構わない。熱可
塑性樹脂フィルムの積層は、通常は樹脂発泡シート作成
時に実施されるが、容器製造時に積層しながら容器形状
を付与することもできる。
【0017】また、積層は片面でも両面でも構わない。
熱可塑性樹脂フィルムの積層は外観や印刷性の改善の
他、耐表面傷つき性、剛性等の物理的性能の改良に有用
である。積層する熱可塑性樹脂フィルムに用いられる熱
可塑性樹脂の例としては、非発泡のスチレン系樹脂やオ
レフィン系樹脂等が挙げられる。非発泡のスチレン系樹
脂の具体例としてはポリスチレン、耐衝撃性ポリスチレ
ン等が挙げられる。オレフィン系樹脂の具体例としては
ポリプロピレン、ポリエチレン等が挙げられる。耐衝撃
性ポリスチレンは耐衝撃強度に優れ、かつ何らの接着剤
なしに積層が容易なため特に好ましく利用できる。
【0018】熱可塑性樹脂フィルムに用いる耐衝撃性ポ
リスチレンは、ゴム粒子にスチレンがグラフト重合して
いるものが島を形成し、ポリスチレンが海として存在す
るいわゆる海島構造を形成するものが、特に好ましい。
そして、耐衝撃性ポリスチレンは、テトラヒドロフラン
に溶解した時の溶解部分のゲルパーミュエーションクロ
マトグラフによる重量平均分子量が好ましくは10万〜
50万、さらに好ましくは15万〜30万の範囲、含有
されているゴム状物質が好ましくは3〜8重量%の範
囲、分散ゴム粒子の重量平均粒子径が好ましくは1.5
〜6μmの範囲の物である。
【0019】積層する熱可塑性樹脂フィルムの厚さは、
一般に10〜1000μmの範囲である。好ましくは8
0〜200μmの範囲であり、特には好ましくは100
〜150μmの範囲である。80μmより薄いと二次成
型時の加熱でシワがよってしまったり、剥がれて膨らん
でしまう場合がある。また、200μmより厚くする
と、二次成形時の加熱に要する時間が長くなったり、加
熱ムラが発生の原因となり好ましくない。
【0020】この様にして得られたスチレン系樹脂の単
層発泡シートおよびこれに各種の熱可塑性樹脂を積層し
たスチレン系樹脂の積層発泡シートを二次成形して、ス
チレン系樹脂発泡容器が得られる。発泡シートから発泡
容器への二次成形方法は、特に限定しない。公知のシー
ト成形技術が利用できる。シート成形法には、プラスチ
ック材料をまずシート状に成形し、このシートをその樹
脂の融点あるいは軟化点以上に加熱して成形する溶融成
形法、およびプラスチックシートの融点以下あるいは軟
化点以下で成形する固相圧空成形法がある。
【0021】シート成形技術の具体例としては真空成形
法、プラグアシスト成形法、圧空成形法、雌雄型成形
法、先端拡張成形法(CD法)およびこれらの発展およ
び組合わせによる成形法が挙げられる。目的とする製品
形状、要求性能に準じて、これらの成形技術から適宜選
ばれる。スチレン系樹脂発泡容器の具体的用途例は刺
身、肉、魚、漬け物、佃煮、惣菜等の食品トレー、弁当
箱、納豆容器、および即席めん用ドンブリ、飲料カッ
プ、アイスクリーム容器等の断熱性の要求される容器が
あげられる。また、その具体的形状は各用途により異な
り、特に限定できない。
【0022】スチレン系樹脂発泡容器は多数重ね合わせ
て貯蔵あるいは輸送されるこよが多い。この際、容器が
ブロッキングを起こし分離不能になることがある。この
ブロッキングを防止ぎ、離型性あるいは滑性を高めるた
めにシリコーンオイルを使うこともできる。シリコーン
オイルを塗布する場合、シリコーンオイルを乳化剤を用
いて水に分散させ、発泡シート表面に塗布することもで
きる。しかし、シリコーンオイルは少量では効果が薄
く、擦れなどにより塗布したものが剥離し効果を失うの
で、ある程度以上に塗布しなければ十分な効果を発現で
きない。しかし、シリコーン濃度が高すぎると、重ね合
わせている他方のシートの内面にシリコーンオイルや乳
化剤が移行する場合がある。スチレン系樹脂発泡容器を
食品容器等に用いる場合、これは歓迎されるものではな
い。
【0023】また、熱可塑性樹脂発泡シートに積層する
熱可塑性樹脂フィルムが耐衝撃性ポリスチレンフィルム
である場合、予め耐衝撃性ポリスチレンに滑性付与や耐
衝撃性、伸びを改善する目的でシリコーンオイルを添
加、混合したものを用いることもできる。これにより同
様の効果が期待できる。この場合、その含有量は好まし
くは0.01〜3重量%、特に好ましくは0.1〜1.
5重量%の範囲である。シリコーンオイルの含有量がこ
の範囲より少ないと、添加効果が著しく低下し、余りに
多いと発泡シートとの接着性が著しく低下して好ましく
ない。
【0024】シリコーンオイルの具体例としてポリジメ
チルシリコーンオイルを挙げることができる。ポリジメ
チルシリコーンオイルは、JIS K−2283による
23℃における粘度が10,000〜30,000セン
チストークスで、150℃、24時間の加熱減量試験が
0.3重量%以下であるものが、特に好ましく利用でき
る。
【0025】積層フィルムは押出機等によりフィルム状
に成形したものを用いる。フィルム成型時、添加された
オイルの性状が成形性を左右する。粘度が10,000
センチストークス未満であると、ブリードアウトし易
く、また揮発成分が多く含まれているため、押出し時に
目ヤニが発生し、生産性低下の原因ともなる。また、過
度にブリードアウトし難い場合、表面における有効残存
シリコン量が不足し、十分効果が発現されず、シートも
良品が取れなくなる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下に実施例、比較例を挙げて本
発明の態様を具体的に説明する。しかし、これらは例で
あって、本発明の技術範囲を何ら限定するものではない
ことは当然である。 (スチレン系樹脂の製造方法1)攪拌器を備えた容量2
リッターの完全混合型である第1反応槽と、攪拌器を備
えた容量1リッターのプラグフロー型の第2反応槽とを
直列に結合した。両反応槽は温度を80℃に制御した。
【0027】第1反応槽にはスチレンモノマーと重合溶
媒としてエチルベンゼンの50/50重量比の混合液を
1.78Kg/時の流量でフィードした。また、別途有
機リチウム開始剤としてn−ブチルリチウムのヘキサン
溶液を、スチレンモノマー100g当たり、0.8ミリ
モルに相当する量で同反応槽にフィードした。第1反応
槽からの流出した反応液は、引き続き第2反応槽をプラ
グフローで通過させた。第1反応槽から流出した時点で
のモノマーの重合体への転化率は平均98%、第2反応
槽の通過後の転化率は99.99%以上であった。
【0028】得られた重合体溶液はリチウム量の10倍
量のメタノールを添加することによりアニオン活性末端
を失活させた。その後、重合体溶液には重合体100g
当たり、0.05gの酸化防止剤を加えた後、減圧した
フラッシングタンク中240℃に加熱処理することで、
揮発成分を除去した。さらに240℃の減圧ベント付き
押出し機を通して、残余の揮発成分を除去した。このよ
うにして得られスチレン系樹脂における重合体の重量平
均分子量は24.5万、分子量分布(重量平均分子量と
数平均分子量の比Mw/Mnで示す)は2.1であっ
た。
【0029】(スチレン系樹脂の製造方法2)攪拌器を
備えた容量2リッターの反応器に、常温において1.3
5Kgのスチレンモノマーと重合溶媒として0.15K
gのエチルベンゼンを仕込む。その後、攪拌しながら徐
々に温度を上げ130℃〜140℃で6時間熱ラジカル
重合し、その後160℃で2時間重合を続けた。重合後
は実施例1と同様に処理してスチレン系重合体を得た。
このようにして得られスチレン系樹脂における重合体の
重量平均分子量は26.3万、分子量分布(重量平均分
子量と数平均分子量の比Mw/Mnで示す)は3.2で
あった。
【0030】
【実施例1】上記のスチレン系樹脂の製造方法1で得た
スチレン系樹脂100重量部に、タルク0.1重量部を
添加し、一段目押出機に導入し、約220℃で熱可塑し
た後、ブタンを約4重量%圧入し、含浸させた。次いで
二段目押出機に送り込み、発泡に適した粘度まで温調し
たものを約130℃のダイスより押し出して、スチレン
系樹脂発泡シートを作成した。シートを十分に養生させ
た後、真空・圧空を用いたプラグアシスト成形法によ
り、スチレン系樹脂発泡容器を成形した。
【0031】その厚みおよび性能を測定もしくは評価し
た。スチレン系樹脂発泡容器の平均厚みは2.3mmであ
った。スチレン系樹脂発泡容器のスチレン系樹脂におけ
るモノマー、オリゴマー(ダイマーおよびトリマー)の
低分子量成分の含有量を、ガスクロマトグラフィーによ
り分析した。分析の結果は表1に示す。
【0032】
【比較例1】スチレン系樹脂の製造方法2で得たスチレ
ン系樹脂を用いる以外は実施例1と同様に実施した。実
施例1および比較例1で得られたスチレン系樹脂発泡容
器の性能、およびそのスチレン系樹脂中の低分子量成分
含率等を評価あるいは測定した。結果を表1に示す。
【0033】
【実施例2】耐衝撃性ポリスチレンフィルムとして、重
量平均分子量約23万、ゴム含有量約6%、平均ゴム粒
径4μmの475D(旭化成工業(株)製)を用い、押
出機に導入し、約220℃で熱可塑したものをダイスよ
り押出し、約100μmの厚みに押出した。得られた耐
衝撃性ポリスチレンフィルムを、実施例1で得たスチレ
ン系樹脂発泡シートに加熱積層した。これにより、完全
に接着した積層構造のスチレン系樹脂発泡シートが得ら
れた。これを、実施例1と同様に二次成形する事によ
り、外側に耐衝撃性ポリスチレンフィルムが来るように
した積層構造の美麗なスチレン系樹脂発泡容器が得られ
た。
【0034】
【実施例3】耐衝撃性ポリスチレンフィルムとして、4
75Dにシリコーンオイル(東芝シリコーン(株)製:
TSF451−12500)1.3重量%混合し、押出
機に導入し、約220℃で熱可塑したものをダイスより
押出し、約100μmの厚みに押出した。得られた耐衝
撃性ポリスチレンフィルムを、実施例1で得たスチレン
系樹脂発泡シートに加熱積層した。これにより、完全に
接着した積層構造のスチレン系樹脂発泡シートが得られ
た。これを、実施例1と同様に二次成形する事により、
外側に耐衝撃性ポリスチレンフィルムが来るようにした
積層構造のスチレン系樹脂発泡容器が得られた。また、
表面は美麗で、滑性に富む状態を達成出来た。
【0035】
【表1】
【0036】性能評価の基準 1)加工性 得られた発泡シートより、食品トレーを二次成形した。
100工程成形後、ダイ金型表面をガーゼで強く拭い、
ガーゼへの油状物質の付着状態で、加工性を評価した。 ○:油状物質の付着が全く認められなかった。 ×:油状物質の付着が僅かに認められた。
【0037】2)印刷性 スチレン系樹脂発泡容器にポリスチレン用のシルクスク
リーンラッカーを塗布し、70℃で5時間乾燥、さらに
25℃で24時間放置する。その後セロハンテープを密
着させ、そのテープを引き剥がし、印刷面のインクの剥
離状態を観察することにより、印刷性を評価した。 ○:印刷面の剥離は僅かであった。 ×:印刷面の剥離が顕著に認められる。
【0038】3)加熱時剛性 スチレン系樹脂発泡容器を2cm×5cmに切り出し、
それを沸騰水に1分間浸漬した。発泡シートは軟化し、
変形した。その変形状態により発泡シートの加熱時剛性
を評価した。 ○:表面の肌荒れは目立つが、サイズの変形は小さく、
僅かな収縮が認められる程度であった。 ×:表面の肌荒れは、サイズの変形とも著しく、顕著な
収縮が認められた。
【0039】
【発明の効果】有機リチウム開始剤を用いたアニオン重
合により得られたスチレン系樹脂を用い、樹脂発泡シー
ト中のスチレン系樹脂に含まれる低分子量成分の含量が
1000ppm未満のスチレン系樹脂から成る発泡容器
は、二次成形加工性に優れ、しかも各種物性、例えば印
刷性、加熱時剛性に優れる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B65D 1/34 C08F 4/48 C08F 4/48 12/00 12/00 C08L 25:04 // C08L 25:04 B65D 1/00 B Fターム(参考) 3E033 AA10 BA22 BB08 CA01 FA04 4F074 AA32 BA31 BA32 BA33 BA37 BA42 DA02 DA34 4F100 AH08A AK01B AK12A AK12B AK52B AK52H BA01 BA02 CA30A CA30B CA30H DA01 DJ01A EC18 EH17 EJ42 GB16 GB23 JA09A JA13A JB16B JJ03 JK01 JK10B JL01 YY00A YY00B YY00H 4J015 DA02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機リチウム開始剤を用いて得られたス
    チレン系樹脂を用い、樹脂発泡容器中のスチレン系樹脂
    に含まれるモノマー、ダイマーおよびトリマーから成る
    低分子量成分の含量が1000ppm未満であることを
    特徴とする低分子量成分の少ないスチレン系樹脂発泡容
    器。
  2. 【請求項2】 スチレン系樹脂の発泡倍率が2〜20倍
    の範囲であることを特徴とする請求項1に記載の低分子
    量成分の少ないスチレン系樹脂発泡容器。
  3. 【請求項3】 スチレン系樹脂発泡容器の片面もしくは
    両面に、熱可塑性樹脂フィルムを積層することを特徴と
    する請求項1および2に記載の低分子量成分の少ないス
    チレン系樹脂発泡容器。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂フィルムが、耐衝撃性ポリ
    スチレンフィルムであることを特徴とする請求項3に記
    載の低分子量成分の少ないスチレン系樹脂発泡容器。
  5. 【請求項5】 耐衝撃性ポリスチレンフィルムが0.0
    1〜3重量%の範囲のシリコーンオイルを含有すること
    を特徴とする請求項4に記載の低分子量成分の少ないス
    チレン系樹脂発泡容器。
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