JP2002128939A - 発泡用スチレン系重合体組成物および発泡シート - Google Patents

発泡用スチレン系重合体組成物および発泡シート

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JP2002128939A
JP2002128939A JP2001175405A JP2001175405A JP2002128939A JP 2002128939 A JP2002128939 A JP 2002128939A JP 2001175405 A JP2001175405 A JP 2001175405A JP 2001175405 A JP2001175405 A JP 2001175405A JP 2002128939 A JP2002128939 A JP 2002128939A
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Takeshi Ikematsu
武司 池松
Hironori Suezawa
寛典 末澤
Kiyoshi Kawakami
潔 川上
Hiroshi Shirai
博史 白井
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Asahi Kasei Corp
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Asahi Kasei Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発泡シートへの加工性を改良するとともに、
得られる発泡シートおよび発泡シートを再成形してなる
食品包装、食品容器からの低分子成分の溶出あるいは揮
発を顕著に低減した発泡用スチレン系重合体組成物を提
供すること。 【解決手段】 (a)スチレン系重合体 100重量部 (b)核剤 0.1〜3.0重量部 (c)流動パラフィン 0〜3.0重量部 よりなる発泡用スチレン系重合体組成物であって、スチ
レン系重合体は有機リチウム開始剤を用いたアニオン重
合法より得られるスチレン結合単位を主成分する重合体
であり、その重量平均分子量が5万〜100万の範囲、
含まれる分子量140〜400の範囲のスチレン系低分
子成分(但し、スチレン低分子成分はスチレンオリゴマ
ー成分と非スチレンオリゴマー成分とからなる。)が1
000ppm未満であり、かつその内の非スチレンオリ
ゴマー成分が500ppm未満であることを特徴とする
発泡用スチレン系重合体組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は発泡用スチレン系重
合体組成物、該組成物の単層発泡シート、および該発泡
シートに各種の熱可塑性樹脂を積層したスチレン系重合
体の積層発泡シートに関する。スチレン系重合体発泡シ
ートは再成形して、あるいは、そのままで要求サイズに
切断して、各種容器、包装材類、例えば食品トレー、食
品容器、緩衝材としての中敷き等に好ましく使用でき
る。
【0002】
【従来の技術】スチレン系重合体の単層発泡シート、あ
るいはこれにポリスチレン、ポリオレフィン等の熱可塑
性樹脂フィルムを積層したスチレン系重合体の積層発泡
シートは、一般にはPSP(ポリスチレンペーパー)と
呼ばれる。これらスチレン系重合体発泡シートは、2次
発泡成形を施すのが容易であり、また得られた成形体が
美麗かつ軽量で、断熱性に優れ、安価であることから、
各種の食器容器、食品包装等に多量に使用されている。
例えば、スチレン系重合体発泡シートを真空成形あるい
は圧縮成型等により各種形状に再成形して、あるいはそ
のままで要求サイズに切断して、食品トレー、食品容
器、食品包装および緩衝材としての中敷き等に、広く使
われている。
【0003】一般に、PSPに用いられるスチレン系重
合体は塊状ラジカル重合法および懸濁ラジカル重合法に
より製造される。特に、塊状ラジカル重合法によるスチ
レン重合体は添加物に起因する不純物が少なく、安価で
あるという特長があり、PSP製造に好ましく使用され
る。PSPは、スチレン系重合体にタルクや炭酸カルシ
ウムなどの発泡核剤および流動パラフィンなどの成形性
調整剤を添加し、押出機を用いて溶融、混合し、発泡剤
を圧入した後、フラットダイあるいはサーキュラーダイ
より押出し発泡させて、発泡シート化することによって
製造さる。発泡剤としては、一般に工業用ブタンやジク
ロロジフルオロメタン等の常温でガス状の炭化水素やハ
ロゲン化炭化水素、あるいは炭酸ガス、窒素ガスが使用
されている。
【0004】しかし、一般にラジカル重合法はスチレン
系重合体製造時にオリゴマーの生成を伴い、またスチレ
ン単量体も残り易いことは良く知られている。例えば、
総説文献(Encyclopedia of chemical technology,Kir
k-Othmer,Third Edition,JohnWily& Sons,21巻,817
頁)によれば100℃以上のスチレンの熱重合ではスチ
レン二量体、スチレン三量体等のオリゴマーの副生を伴
い、その量は約1重量%程度になるとされている。また
具体的なオリゴマー成分は主として1−フェニル−4−
(1´−フェニルエチル)テトラリン、1,2−ジフェ
ニルシクロブタンからなり、その他に2,4−ジフェニ
ル−1−ブテンと2,4,6−トリフェニル−1−ヘキ
センが存在するとされている。
【0005】一般には塊状ラジカル重合プロセスは80
〜180℃で重合を行い、次いで含まれる溶媒や未反応
単量体を加熱揮発除去することにより、重合体を回収し
ている。しかし、ラジカル重合法では単量体の重合体へ
の転化を高度に達成することができず、これを加熱脱揮
した後も、一般に比較的多量の未反応スチレン単量体が
スチレン系重合体中に残る。このため、脱揮工程を工夫
する方策、例えば加熱脱揮後、さらに水を添加、混合し
た後に再度脱揮することにより、残存するスチレン単量
体を水と共沸除去する方法等が開発されているが、十分
満足できるレベルは達成できていない。
【0006】また、副生したスチレンの二量体および三
量体等のオリゴマー類は揮発し難くいため、一般にその
多くが重合体中に残る。この様にして製造されたスチレ
ン系重合体を分析すると、原料から由来の残留物、不純
物および重合中の副生成物が検出される。具体的にはス
チレン、α−メチルスチレン、n−プロピルベンゼン、
iso−プロピルベンゼン、2,4−ジフェニル−1−
ブテン、1,2−ジフェニルシクロブタン、1−フェニ
ルテトラリン、2,4,6−トリフェニル−1−ヘキセ
ン、1,3,5−トリフェニルシクロヘキサン、1−フ
ェニル−4−(1’−フェニルエチル)テトラリン等が
スチレン系重合体中に含まれる。
【0007】この様に、現在広く実施されているラジカ
ル重合法のスチレン系重合体は、その製造方法に起因し
てスチレン単量体およびスチレンオリゴマー等から成る
低分子成分を多く含む。更に、これらのラジカル重合法
のスチレン系重合体は、一般に安定性に劣り、成形加工
時の機械的履歴あるいは熱的履歴によって、重合体中の
スチレン単量体およびスチレンオリゴマー等の低分子成
分量が増大しやすい。成形加工時に新たに生成する低分
子成分も、重合時に生成する低分子成分と同様の問題を
来す。具体的には、この様な低分子成分を多く含むスチ
レン系重合体は、発泡シートに加工時の熱安定性が十分
でなく、金型や成形品に付着する等の問題を来す場合が
ある。
【0008】また、得られるスチレン系重合体発泡シー
トには、原材料であるスチレン系重合体に、当初から含
まれるスチレン単量体やスチレンオリゴマー等の低分子
成分、さらにはスチレン系重合体発泡シートへの加工時
に新たに生成する低分子成分が含まれる。これらのスチ
レン系重合体中に含まれる低分子成分は僅かな量である
が、成形加工性および製品性能の点で好ましくない影響
を及ぼす。例えば、発泡シートへの成形、加工、あるい
は発泡シートから食品トレーや食品容器等の二次成形
時、金型や加工機器に付着し、成形体表面を汚す等の問
題を起こす場合がある。このため成型、加工時の温度を
低く設定し、重合体混合のシェアーを低く抑える等、加
工条件をマイルドにする対策が取られるが、これらの対
応は生産性や成形性低下の原因を伴い、弊害もある。
【0009】また成形された最終製品性能の点では、ス
チレン系重合体中に低分子成分が多く含まれると、食品
容器や食品包装に用いた場合、スチレン系重合体に含ま
れる低分子成分が溶出あるいは揮発する場合があり、そ
の低減が望まれる。例えば、食品衛生誌、39巻、3
号、199頁(1998)には食品用ポリスチレン製品
からスチレン二量体、スチレン三量体が溶出することが
報告されている。さらに、スチレン系重合体中に低分子
成分が多く含まれると、製品の剛性、特に加熱時の剛性
が低下を来たし好ましくない。加熱時の剛性は、熱湯に
よるの加熱等の想定される食品容器では、特に要求され
る性能である。それ故、塊状ラジカル重合法のスチレン
系重合体から低分子成分を積極的に除去しようとする考
え方も既に公知である。例えば、スチレン系重合体製造
時、加熱下に真空脱揮することによる低分子成分の除去
が、既に実施されている。しかし、スチレンオリゴマー
は揮発性が小さく、また過度の加熱は新たなスチレン単
量体やスチレンオリゴマー生成を引き起こす原因ともな
り、低分子成分除去には自ずと限界があった。
【0010】これらのラジカル重合法スチレン系重合体
に対して、有機リチウム等を用いたアニオン重合法スチ
レン系重合体も、技術的には古くから公知である。例え
ば、米国特許5,391,655号明細書、米国特許
5,089,572号明細書、米国特許4,883,8
46号明細書、米国特許4,748,222号明細書、
米国特許4,205,016号明細書、米国特許4,2
00,713号明細書、米国特許4,016,348号
明細書、米国特許3,954,894号明細書、米国特
許4,859、748号明細書等に詳細に紹介されてい
る。
【0011】これら米国特許技術を要約すると、アニオ
ン重合法においての分散度を下げる方法(米国特許4,
883,846号明細書)、アニオン重合法によりポリ
スチレン製造するにおいて連続重合方式を用いる等の製
造装置に関連した方法(米国特許4,016,348号
明細書、米国特許4,748,222号明細書、米国特
許5,391,655号明細書)、アニオン重合方式に
用いる開始剤の製造方法および適用例(米国特許4,2
05,016号明細書、米国特許5,089,752号
明細書)に限られている。米国特許4,859、748
号明細書は連続攪拌槽反応器中でスチレンのアニオン重
合反応を制御する方法を開示している。しかし、これら
のスチレン系重合体のアニオン重合法技術においては、
本願の主たる目的であるスチレン系低分子成分に関する
開示は全くなかった。
【0012】更に、近年になって、特開平10−110
074号公報は有機リチウムを開始剤とするアニオン重
合において、オリゴマーの少ない重合体が得られること
を開示している。その参考例2の記載において、有機リ
チウムを用いたスチレン単量体のバッチ重合法により、
分子量分布の狭い、単分散の重合体が得られ、酸化防止
剤を添加後に乾燥することにより、二量体含有量1pp
m、三量体含有量170ppmのスチレン重合体を得て
いる。更には、この様にして得られたアニオン重合法の
スチレン重合体が、食品包装材等に利用できることを開
示している。
【0013】国際出願PCT/JP97/00796号
はビニル重合体の製造方法、ビニル系単量体のアニオン
重合用開始剤およびスチレン系重合体組成物に関するも
のである。該明細書の記載において、得られたスチレン
重合体中に存在するスチレン三量体が250ppm以下
の重合体を食品包装材に使用した場合、食料品等へのマ
イグレーションは無視できる程度であることを開示して
いる。また、特開2000−143725号公報はアニ
オン重合法によるスチレン系重合体およびその製造方法
に関するものであり、スチレン二量体含量が80ppm
以下、かつスチレン三量体含量が800ppm以下のス
チレン系重合体およびその製造方法、食品用途への利用
が開示されている。
【0014】この様に、次の(a)〜(c)の事項は既
に公知であった。 (a)有機リチウムを用いるアニオン重合法によりスチ
レン系重合体が得られること。 (b)有機リチウムを用いたアニオン重合法により得ら
れるスチレン系重合体は、ラジカル重合法によるスチレ
ン系重合体に比較して、スチレン二量体およびスチレン
三量体の含有率が低いこと。 (c)有機リチウムを用いて得られたスチレン系重合体
を、樹脂材料として各種用途、特に食品容器材料および
食品包装材料に利用できること。
【0015】しかし、これらのアニオン重合法により得
られるスチレン系重合体にはいくつかの問題点もあり、
発泡シート用途に、現在広く用いられるには至っていな
い。即ち、次の(d)〜(f)の問題点が挙げられる。 (d)有機リチウムを用いたアニオン重合法のスチレン
重合体は、塊状ラジカル重合法のスチレン重合体に比較
して、製造が高コストであること。 (e)生産性を高めてコスト低減を達成するため、高
温、高単量体濃度でアニオン重合を実施するとスチレン
系低分子成分、特に二量体、三量体の増大を来たして、
アニオン重合スチレン系重合体の大きな特長の一つが失
われること。 (f)有機リチウムを用いたアニオン重合法のスチレン
系重合体は一般に分子量分布が狭く、加工性に劣るこ
と。
【0016】上記の従来技術における各問題点につい
て、次に具体的に説明する。(d)項の製造がコスト高
の大きな原因の一つに、アニオン重合法が生産性に劣る
点が挙げられる。即ち、塊状ラジカル重合法では単量体
濃度を90重量%、もしくは更に高濃度で重合するのに
対して、アニオン重合法、特にバッチプロセスのアニオ
ン重合法では、通常、単量体濃度は25重量%程度未満
に限定される。これは、主にアニオン重合法における重
合熱の除熱の難しさに起因するものであり、低い単量体
濃度での製造は生産性に劣る。
【0017】即ち、有機リチウムを用いたアニオン重合
法においては、120℃を越える高温では開始剤の失活
が顕著に起こる。それ故、十分に反応を完結するには、
除熱により重合温度を120℃以下に抑えることが必要
である。しかし、高い単量体濃度では重合速度および重
合溶液粘度が著しく増大する。それ故、発熱量、発熱速
度は増大し、かつ除熱性は低下して、温度制御が困難に
なる。このことは、実験室レベルの反応器では除熱を効
かせることで解決可能である。しかし、相対的に伝熱面
積の低下する大型のプラント反応槽では深刻な問題点と
なり、高単量体濃度でのバッチ重合は極めて困難があ
る。それ故アニオン重合法においては、低い単量体濃度
であることが生産性を低下させ、コスト高の大きな原因
となる。
【0018】高濃度重合で除熱問題を根本的に解決する
方策として、特殊な除熱能力の高い反応器を用い連続重
合する方法の提案がある。例えば、米国特許4,85
9,748号明細書においては、表面積の大きな、除熱
能力の高いチューブ状の循環型反応槽に30〜80重量
%の高濃度単量体を連続的に流し、アニオン重合する方
法が開示されている。この様な方法で高い単量体濃度の
アニオン重合を達成できるが、別の問題が残る。即ち、
細いチューブ中の高粘度重合体溶液の流れは無攪拌状態
となる。この様な無攪拌のチューブ型の反応槽中での重
合は、条件によりゲル生成ひいてはチューブ型反応槽の
閉塞を来し、致命的欠点となる。
【0019】(e)項はスチレン系低分子成分、特に二
量体、三量体問題である。ラジカル重合法と異なり、一
般にアニオン重合法ではスチレンの二量体、三量体の副
生成は無いとされている。しかし、本発明者が鋭意検討
した結果、有機リチウムを用いたアニオン重合において
も、実用的な重合条件である温度、単量体濃度では二量
体、三量体の生成が少なからず起こることが判明した。
更にスチレンの二量体、三量体以外にも、アニオン重合
法に特有のスチレン系低分子成分の生成が起こることも
解明した。これは主に特定の溶媒や含まれる微量の不純
物とスチレン単量体が、有機リチウムの共存下に反応す
る等して生成し、もはやスチレンオリゴマーとは言えな
い構造を有する。即ち、アニオン重合法においても、得
られるスチレン系重合体には分子量140〜400の範
囲のスチレン系低分子成分が、無視できない量で含まれ
るとの問題があることが、本発明者の検討の結果明らか
となった。
【0020】(f)項のアニオン重合法のスチレン系重
合体が加工性に劣る点は、主に狭い分子量分布に起因す
る。バッチ重合法あるいはチューブ状反応槽による連続
重合では得られる重合体の分子量分布は、一般に極めて
狭いものとなる。例えば、前述の特開平10−1100
74号公報は、その参考例2の記載において、有機リチ
ウムを用いたスチレン単量体のバッチ重合法により、分
子量分布の狭い(Mw/Mn=1.04)、単分散の重
合体を得ている。狭い分子量分布の重合体は成形、加工
性に劣り、通常は好ましいものではない。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明の解決しようと
する課題は、発泡シートへの加工性を改良するととも
に、得られる発泡シートおよび発泡シートを再成形して
なる食品包装、食品容器からの低分子成分の溶出あるい
は揮発を顕著に低減した発泡用スチレン系重合体組成物
を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記の課
題を解決するため鋭意検討した結果、本発明に到達し
た。即ち、特定の重合条件範囲で得られた、未反応スチ
レン単量体およびその他のスチレン系低分子成分の少な
いスチレン系重合体を用いた発泡用スチレン系重合体組
成物が、発泡シートへの成形、加工性に優れ、しかも各
種物性、特に加熱時剛性に優れること見出し、本発明を
なすに至った。
【0023】本発明は特許請求の範囲にも示すところで
ある。即ち、 (a)スチレン系重合体 100重量部 (b)核剤 0.1〜3.0重量部 (c)流動パラフィン 0〜3.0重量部 よりなる発泡用スチレン系重合体組成物であって、スチ
レン系重合体は有機リチウム開始剤を用いたアニオン重
合法より得られるスチレン結合単位を主成分とする重合
体であり、その重量平均分子量が5万〜100万の範
囲、含まれる分子量140〜400の範囲のスチレン系
低分子成分(但し、スチレン低分子成分はスチレンオリ
ゴマー成分と非スチレンオリゴマー成分とからなる。)
が1000ppm未満であり、かつその内の非スチレン
オリゴマー成分が500ppm未満であることを特徴と
する発泡用スチレン系重合体組成物である。
【0024】本発明の発泡用スチレン系重合体組成物で
用い得るスチレン系低分子成分の少ないスチレン系重合
体は、例えば、特願2001−136262号明細書に
開示の方法によって得ることができる。具体的には、逆
混合流れを有する第1反応槽の一方から、下記組成
(A)なる原料系を連続的に仕込み、いま一方から生成
系を連続的に抜き出す連続アニオン重合プロセスにおい
て、反応槽の内温を40〜120℃の範囲に制御し、か
つ反応槽中に存在するスチレン系単量体、炭化水素溶媒
およびスチレン系重合体の合計量に対する該単量体の平
均割合を10重量%未満に制御して得られたスチレン系
重合体溶液を、脱揮乾燥してなる低分子成分の少ないス
チレン系重合体を得ることができる。 (A) スチレン系単量体 1.0Kg 炭化水素溶媒 0.1〜3Kg 有機リチウム化合物 0.5〜200ミリモル
【0025】本発明の発泡用スチレン系重合体組成物に
おけるスチレン系重合体はスチレン単量体単独重合体、
あるいはスチレン単量体を主成分とし、他のビニル芳香
族炭化水素との共重合体、あるいは一部にブタジエンや
イソプレン等の共役ジエン単量体を含む共重合体であっ
ても構わない。これらの共重合組成により樹脂の加工
性、軟化温度や剛性等を調整することができ、場合によ
っては好ましい。スチレン系重合体の分子量は、重量平
均の分子量で5万〜100万の範囲でなければ成らな
い。好ましくは10万〜60万、さらに好ましくは15
万〜50万、特に好ましくは20万〜40万の範囲であ
る。重量平均分子量が余りに低いと、得られる発泡用ス
チレン系重合体組成物を成型して得られる発泡シートの
各種の力学的性能、例えば強度、剛性等が低下して好ま
しくない。また、重量平均分子量が余りに高いと、発泡
用スチレン系重合体組成物の成形、加工性が低下してや
はり好ましくない。
【0026】スチレン系重合体の重量平均分子量と数平
均分子量の比で示される分子量分布(Mw/Mn)は、
一般に1.2〜10、好ましくは1.5〜5、特に好ま
しくは2〜4の範囲である。分子量分布が余りに狭いと
加工性や特定の樹脂性能、例えば衝撃強度や発泡特性が
低下して好ましくない。また、余りに広い場合にも特定
の樹脂性能、例えば成形時の流動特性や熱時剛性等が低
下してやはり好ましくない。本発明で用いるスチレン系
重合体に含まれる分子量140〜400の範囲のスチレ
ン系低分子成分は1000ppm未満であって、かつそ
の内の非スチレンオリゴマー成分が500ppm未満な
ければならない。スチレン系低分子成分は好ましくは6
00ppm未満、更に好ましくは400ppm未満、特
に好ましくは200ppm未満である。またその内の非
スチレンオリゴマー成分は好ましくは300ppm未
満、更に好ましくは200ppm未満、特に好ましくは
100ppm未満である。
【0027】本発明で用いるスチレン系重合体に含まれ
る分子量140〜400の範囲のスチレン系低分子成分
は、スチレンオリゴマー成分と非スチレンオリゴマー成
分とからなる。具体的には、ここで言うスチレンオリゴ
マー成分とはスチレンの二量体および三量体である。非
スチレンオリゴマー成分とはこれらのスチレンオリゴマ
ーを除く、フェニル基を1〜3個有する分子量140〜
400の範囲の低分子成分である。スチレンの二量体は
分子量が208であって、2,4−ジフェニル−1−ブ
テン、シス−1,2−ジフェニルシクロブタン、トラン
ス−1,2−ジフェニルシクロブタン等が挙げられる。
スチレンの三量体は分子量312であって、2,4,6
−トリフェニルー1−ヘキセン、1−フェニル−4−
(1’−フェニルエチル)テトラリン(4種類の異性体
を含む)、1,3,5−トリフェニル−シクロヘキサン
等が挙げられる。
【0028】非スチレンオリゴマー成分は、分子中に芳
香環を1〜3個有する炭化水素化合物である。具体的に
は、芳香環を2個有する炭化水素化合物として1,3−
ジフェニルプロパン、1,3−ジフェニルブタン、2,
4−ジフェニルペンタン、芳香環を3個有する炭化水素
化合物として1,3,5−トリフェニルペンタン、1,
3,5−トリフェニルヘキサン、1,2,4−トリフェ
ニルシクロペンタン等が挙げられる。
【0029】これらの非スチレンオリゴマー成分は、主
に特定の溶媒や含まれる不純物とスチレン単量体が、有
機リチウムの共存下に反応する等して生成し、もはやス
チレンオリゴマーとは言えない構造を有する。例えば、
含まれるトルエンにスチレンが1分子あるいは2分子付
加して、1,3−ジフェニルプロパンや1,3,5−ト
リフェニルペンタンが生成する。また、エチルベンゼン
にスチレンが1分子あるいは2分子付加して、1,3−
ジフェニルブタン、1,3,5−トリフェニルヘキサン
が生成する。その他にも、そのスチレン重合体が分解し
て生成する等、生成機構は必ずしも明らかではないが、
1,2,4−トリフェニルシクロペンタン、2,4−ジ
フェニルペンタン、1,2−ジフェニルシクロプロパン
等も加熱脱揮後のスチレン系重合体中に認められる。
【0030】本発明で用いるスチレン系重合体に含まれ
るスチレン単量体は500ppm未満であることが好ま
しい。更に好ましくは200ppm未満、特に好ましく
は100ppm未満、最も好ましくは20ppm未満で
ある。本発明で用いるスチレン系重合体に含まれる残存
炭化水素溶媒は1000ppm未満であることが好まし
い。更に好ましくは300ppm未満、特に好ましくは
100ppm未満である。
【0031】これらの低分子成分、即ちスチレン単量
体、スチレン系低分子成分および残存炭化水素溶媒の含
有量が多いと、スチレン系重合体の成形、加工時の熱安
定性が十分でなく、熱時剛性等で表される耐熱性に劣
る。樹脂中に含まれる低分子成分は、成形品の内部から
表面に拡散あるいは滲むため、印刷が乗り難い、あるい
は印刷が剥離しやすい。さらには樹脂中に含まれる低分
子成分が溶出あるいは揮発する等の問題を来す場合があ
る。特にスチレン系低分子成分が多いと、成型、加工時
に油状物質が、金型や成形品に付着する等の問題を来す
場合がある。スチレン単量体が20ppm未満、分子量
140〜400の範囲のスチレン系低分子成分が200
ppm以下かつ非スチレンオリゴマー成分が100pp
m以下では、拡散あるいは溶出が殆ど認められず、特に
好ましい。
【0032】本発明の発泡スチレン系重合体組成物で用
いる核剤とは発泡核剤であって、スチレン系重合体の発
泡成形で公知の核剤が利用できる。具体的にはタルク、
炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、シリ
カ等が挙げられる。核剤の使用量は、スチレン系重合体
100重量部当たり、0.1〜5重量部の範囲でなけれ
ばならない。好ましくは0.2〜4重量部、特に好まし
くは0.5〜2重量部の範囲である。核剤が余りに少な
いと気泡のサイズが不均一かつ大きくなり、一般に好ま
しくない。核剤が余りに多いと気泡サイズが極端に小さ
くなり、かつ隔壁の厚さ極端に薄くなり、場合により好
ましくない。本発明の発泡スチレン系重合体組成物は、
スチレン系重合体100重量部当たり、流動パラフィン
を0又は0.01〜3重量部、好ましくは0.1〜1.
5重量部、さらに好ましくは0.5〜2.0重量部添加
することができる。流動パラフィンの添加により、発泡
スチレン系重合体組成物の粘度を低下させ、発泡成形性
を改良できる。しかし、3重量部を越える量の添加は、
一般に発泡特性が逆に低下して好ましくない場合があ
る。
【0033】スチレン系重合体の分子量および添加する
流動パラフィンの量を調整することによって、本発明の
発泡用スチレン系重合体組成物の、ツインキャピラリー
レオメーター(狭窄型粘度計)にて、温度220℃で測
定される該組成物の伸長粘度の値が、剪断速度10〜1
000sec-1の範囲で10000〜50000Pa・
secの範囲で連続的に変化することが好ましい。さら
には20000〜40000Pa・secの範囲で連続
的に変化することことが特に好ましい。本発明の発泡用
スチレン系重合体組成物には、その熱的あるいは機械的
安定性、酸化防止性、耐候性、耐光性を改善するため
に、スチレン重合体に対して使用が公知の各種安定剤類
を添加することができる。その例としてフェノール系安
定剤、リン系安定剤、窒素系安定剤、イオウ系安定剤が
挙げられる。
【0034】ポリスチレンの安定化方法として、2,
4,6−三置換フェノールの添加が特に有利であること
が知られている。2,4,6−三置換フェノールの好ま
しい例として2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェ
ノール、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−
t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート]、ペンタエリスト−ルテトラキス[3−
(3,5−ジt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t
−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5
−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼ
ン、n−オクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−
4−ヒドキシフェニル)プロピオネート、2−t−ブチ
ル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチ
ルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2
[1−(2−ヒドロキシ3,5−ジ−t−ペンチルフェ
ニル)]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレ
ート、テトラキス[メチレン3−(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタ
ン、3,9ビス[2−{3−(t−ブチル−4−ヒドロ
キシ−5−メチルフェニル)プロピニルオキシ}−1,
1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキ
ザ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(3’,
5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシベンジル)−
s−トリアジン−2,4,6(1H,2H,3H)−ト
リオン、1,1,4−トリス(2−メチル−4−ヒドロ
キシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、4,4’−ブ
チリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノー
ル)等が挙げられる。これらの安定剤は発泡シート成形
段階に混合することもできる。しかし、混合が容易であ
る点、および溶媒回収工程での重合体の劣化を抑えるこ
とができる点で、スチレン系重合体の重合後に溶液段階
での添加が特に好ましい。
【0035】本発明の発泡用スチレン系重合体組成物
は、必要によりスチレン系重合体材料において使用が公
知の樹脂添加剤を混合することができる。その例として
染料、顔料、充填剤、滑剤、離型剤、可塑剤、帯電防止
剤等が挙げられる。また、本発明の発泡用スチレン系重
合体組成物は、必要によりその特長が失われない範囲
で、他の公知の樹脂を混合して含むことができる。その
好ましい例としてラジカル重合により得られるポリスチ
レンやハイインパクトポリスチレン、ポリフェニレンエ
ーテル、ABS、スチレン−共役ジエンブロック共重合
体およびその水素添加物が挙げられる。本発明の発泡用
スチレン系重合体組成物においては、発泡シートへの成
形、加工方法は特に限定しない。公知のスチレン系重合
体発泡シートの製造方法が利用できる。例えば、スチレ
ン系重合体にタルクや炭酸カルシウムなどの核剤および
流動パラフィンなどの成形性調整剤を押出機を用いて溶
融、混合し、発泡剤を圧入した後、サーキュラー・ダイ
より押出し発泡させてシート化することによって製造で
きる。
【0036】発泡剤としては工業用ブタンやジクロロジ
フルオロメタン等の常温でガス状の炭化水素やハロゲン
化炭化水素、あるいは炭酸ガスや窒素ガスが使用でき
る。本発明の発泡用スチレン系重合体組成物の構造は特
に限定しない。しかし、一般にはその厚みは0.5〜1
0mm、好ましくは1.0〜5mm、特に好ましくは
1.5〜3.0mmの範囲である。厚みは真空成形等で
容器等を成形する際、加熱するので二次発泡が起こり膨
らむ。従って目標とする形状により、ある程度に厚みを
調整しておく必要がある。また、その発泡倍率は一般に
は2〜20倍、好ましくは5〜15倍、特に好ましくは
8〜12倍の範囲である。発泡倍率が余りに低いと、二
次成形時の目標形状、例えば深型容器等を成形する際、
発泡セルが変形に応じられず破泡してしまい、良好な成
型品が得られない場合がある。20倍を超えると成形に
は支障は無いが、表面状態が著しく悪くなる。
【0037】本発明の発泡用スチレン系重合体組成物に
おいては、必要により発泡体の片面あるいは両面に、熱
可塑性樹脂フィルムを積層した構造にすることができ
る。この熱可塑性樹脂フィルムは接着層等を含む多層フ
ィルムであっても構わない。また、積層は片面でも両面
でも構わない。熱可塑性樹脂フィルムの積層は外観や印
刷性の改善の他、耐表面傷つき性、剛性等の物理的性能
の改良に有用である。積層する熱可塑性樹脂フィルムに
用いられる熱可塑性樹脂の例としては、非発泡のスチレ
ン系重合体やオレフィン系重合体等が挙げられる。非発
泡のスチレン系重合体の具体例としてはポリスチレン、
耐衝撃性ポリスチレン等が挙げられる。オレフィン系重
合体の具体例としてはポリプロピレン、ポリエチレン等
が挙げられる。耐衝撃性ポリスチレンは耐衝撃強度に優
れ、かつ何らの接着剤なしに積層が容易なため特に好ま
しく利用できる。
【0038】積層する熱可塑性樹脂フィルムに用いる耐
衝撃性ポリスチレンは、ゴム粒子にスチレンがグラフト
重合しているものが島を形成し、ポリスチレンが海とし
て存在するいわゆる海島構造を形成するものが、特に好
ましい。そして、耐衝撃性ポリスチレンは、テトラヒド
ロフランに溶解した時の溶解部分のゲルパーミュエーシ
ョンクロマトグラフによる重量平均分子量が好ましくは
10万〜50万、さらに好ましくは15万〜30万の範
囲、含有されているゴム状物質が好ましくは3〜8重量
%の範囲、分散ゴム粒子の重量平均粒子径が好ましくは
1.5〜6μmの範囲である。積層する熱可塑性樹脂フ
ィルムの厚さは、一般に10〜1000μm の範囲であ
る。好ましくは80〜200μm の範囲であり、特には
好ましくは100〜150μm の範囲である。80μm
より薄いと二次成型時の加熱でシワがより、剥がれて膨
らんでしまう場合がある。また、200μmより厚くす
ると、二次成形時の加熱に要する時間が長くなり、加熱
ムラ発生の原因となり好ましくない。
【0039】また、本発明のスチレン系重合体発泡シー
トは、通常ロール状に巻いて保管あるいは移送される。
この際、スチレン系重合体発泡シートがブロッキングを
起こし、剥離不能になることがある。スチレン系重合体
発泡シート表面にシリコンオイルを塗布して、ブロッキ
ングを防止することができる。また、スチレン系重合体
発泡シートを二次成形する際、金型との摩擦を軽減し、
離型性あるいは滑性を高めるためにシリコンオイルを使
うこともできる。シリコンオイルを塗布する場合、シリ
コンオイルを乳化剤を用いて水に分散させ、発泡シート
表面に塗布することもできる。しかし、シリコンオイル
は少量では効果が薄く、擦れなどにより塗布したものが
剥離し効果を失うので、ある程度以上に塗布しなければ
十分な効果を発現できない。しかし、シリコン濃度が高
すぎると、重ね合わせている他方のシートの内面にシリ
コンオイルや乳化剤が移行する場合がある。スチレン系
重合体発泡シートを食品容器等に用いる場合、これは歓
迎されるものではない。
【0040】積層する熱可塑性樹脂フィルムが耐衝撃性
ポリスチレンフィルムである場合、予め耐衝撃性ポリス
チレンに滑性付与や耐衝撃性、伸びを改善する目的でシ
リコンオイルを添加、混合したものを用いることもでき
る。これによりスチレン系重合体発泡シート表面にシリ
コンオイルを塗布する場合と同様の効果が期待できる。
この場合、その含有量は好ましくは0.01〜3重量
%、特に好ましくは0.1〜1.5重量%の範囲であ
る。シリコンオイルの含有量がこの範囲より少ないと、
添加効果が著しく低下し、余りに多いと発泡シートとの
接着性が著しく低下して好ましくない。シリコンオイル
の具体例としてポリジメチルシリコンオイルを挙げるこ
とができる。ポリジメチルシリコンオイルは、JISK
−2283による23℃における粘度が10,000〜
30,000センチストークスで、150℃、24時間
の加熱減量試験が0.3重量%以下であるものが、特に
好ましく利用できる。
【0041】積層熱可塑性フィルムは押出機等によりフ
ィルム状に成形したものを用いる。フィルム成型時、添
加されたオイルの性状が成形性を左右する。粘度が1
0,000センチストークス未満であると、ブリードア
ウトし易く、また揮発成分が多く含まれているため、押
出し時に目ヤニが発生し、生産性低下の原因ともなる。
また、過度にブリードアウトし難い場合、表面における
有効残存シリコン量が不足し、十分上記効果が発現され
ず、シートも良品が取れなくなる。
【0042】本発明の発泡スチレン系重合体組成物は住
宅の発泡断熱材、食品容器材料、食品包装材料等の発泡
スチレン系重合体組成物の使用が公知の各種用途に好ま
しく用いることができる。特にスチレン単量体、スチレ
ン系低分子成分の含有量が極めて少ないことを生かし
て、食品と直接接触するような食品容器、食品包装用途
に特に好ましく使用できる。 食品容器、包装の具体例
としては、例えば射出成形、射出中空成形あるいはシー
ト二次成形する等して得られる乳酸飲料容器、プリン容
器、ゼリー容器、醤油さし等の食品容器、発泡成形して
得られる食品トレー、インスタント麺のどんぶり、弁当
箱、飲料カップ等の食品容器、あるいはシート加工して
得られる青果物包装、水産物包装等の食品包装が挙げら
れる。
【0043】
【発明の実施の形態】以下に実施例、比較例を挙げて本
発明の態様を具体的に説明する。しかし、これらは例で
あって、本発明の技術範囲を何ら限定するものではない
ことは当然である。
【0044】(スチレン系重合体の製造法1)攪拌器を
備えた容量2リッターの完全混合型である第1反応槽
と、攪拌器を備えた容量1リッターのプラグフロー型の
第2反応槽とを直列に結合した。両反応槽は温度を80
℃に制御した。第1反応槽にはスチレン単量体と重合溶
媒としてシクロヘキサンの50/50重量比の混合液を
1.78Kg/時の流量でフィードした。また、別途有
機リチウム開始剤としてn−ブチルリチウムのヘキサン
溶液を、スチレン単量体100g当たり、0.8ミリモ
ルに相当する量で同反応槽にフィードした。第1反応槽
からの流出した反応液は、引き続き第2反応槽をプラグ
フローで通過させた。第1反応槽から流出した時点での
単量体の重合体への転化率は平均98%、第2反応槽の
通過後の転化率は99.99%以上であった。得られた
重合体溶液はリチウム量の3倍量のメタノールを添加す
ることによりアニオン活性末端を失活させた。その後、
重合体溶液には重合体100g当たり、0.01gの酸
化防止剤を加えた後、減圧したフラッシングタンク中2
30℃に加熱処理することで、揮発成分を除去した。さ
らに230℃の減圧ベント付き押出し機を通して、残余
の揮発成分を除去した。
【0045】(スチレン重合体の製造法2)リフラック
スコンデンサーおよび攪拌器を備えた実容量2リッター
の完全混合型である第1反応槽と、攪拌器を備えた容量
1リッターのプラグフロー型の第2反応槽とを直列に結
合した。第1反応槽にはスチレン単量体と重合溶媒とし
てシクロヘキサン(3wt%のn−ヘキサンを含む)の
50/50重量比の混合液を1.78Kg/時の流量で
フィードした。また、別途有機リチウム開始剤としてn
−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液を、スチレン単
量体1Kg当たり、8ミリモルに相当する量で同反応槽
にフィードした。第1反応槽の圧力は常圧とし、重合時
の発熱はリフラックスコンデンサーにシクロヘキサンを
リフラックスしながら除熱した。反応液の温度は81℃
でほぼ安定した。第2反応槽は温度を80℃に制御し
た。
【0046】(スチレン重合体の製造法3)攪拌器を備
えた容量2リッターの反応器に、常温において0.75
Kgのスチレン単量体と重合溶媒として0.75Kgの
エチルベンゼン、有機リチウム開始剤としてn−ブチル
リチウム0.57ミリモルを仕込む。その後、攪拌しな
がら徐々に温度を上げたところ、50℃程度から内部発
熱により昇温、最終温度は131℃に到達した。その
後、徐々に温度を下げて100℃にし、合計1.5時間
反応を続けた。重合後の処理条件は実施例1と同様に実
施した。 (スチレン重合体の製造法4)重合溶媒にエチルベンゼ
ンを用い、両反応槽の温度を122℃とする以外は実施
例1と同様に実施した。
【0047】(スチレン重合体の製造法5)攪拌器を備
えた容量2リッターの反応器に、常温において1.35
Kgのスチレン単量体と重合溶媒として0.15Kgの
エチルベンゼンを仕込む。その後、攪拌しながら徐々に
温度を上げ130℃〜140℃で6時間熱ラジカル重合
し、その後160℃で2時間重合を続けた。重合後の処
理条件は実施例1と同様に実施した。製造法1〜5で得
られたスチレン重合体の分子量および含まれる低分子成
分含率を表1に示す。
【0048】
【実施例1〜4】、
【比較例1〜4】 上記の製造法1〜5で得たスチレン系重合体を用い、核
剤としてのタルク、さらに条件により流動パラフィンを
添加し、一段目押出機に導入し、約220℃で熱可塑化
した後、ブタンを約4重量%圧入、含浸させた。次いで
二段目押出機に送り込み、発泡に適した粘度まで温調し
たものを約130℃のダイスより押し出して、スチレン
系重合体発泡シートを作成した。発泡シートの平均厚み
は約2.5mm、平均倍率は約10倍に設定した。
【0049】得られたスチレン系重合体発泡シートは十
分に養生させた後、性能を以下に示す基準で評価した。
結果を表2に示す。 性能評価の基準 1)発泡特性 ○:気泡のサイズが均一で独立している。 △:気泡のサイズがやや不均一で、一部連続した気泡が
存在する。 ×:気泡のサイズが不均一で、一部連続した気泡がやや
多く存在する。 2)表面状態 発泡シートの表面状態を目視観察により評価した。 ○:表面が美麗で、平滑性に富んでいる。 ×:表面に肌荒れが起こっている。
【0050】3)耐熱変形性 スチレン重合体発泡シートを2cm×5cmに切り出
し、それを沸騰水に1分間浸漬した。発泡シートは軟化
し、変形した。その変形状態により発泡シートの耐熱変
形性を評価した。 ○:表面の肌荒れは目立つが、サイズの変形は小さく、
僅かな収縮が認められる程度であった。 ×:表面の肌荒れは、サイズの変形とも著しく、顕著な
収縮が認められた。 4)二次加工性 得られた発泡シートより、食品トレーを二次成形した。
100工程成形後、ダイ金型表面をガーゼで強く拭い、
ガーゼへの油状物質の付着状態で、加工性を評価した。 ○:油状物質の付着が全く認められなかった。 ×:油状物質の付着がかなり認められた。
【0051】5)溶出量の測定 前記製造法1〜5で得られたスチレン重合体の射出成形
で得られた1.2mm厚のシートを切断し、表面積1c
2 当たり、2mlのn−ヘプタン溶媒を加え、25℃
で1時間浸漬、溶出した後、ガラス容器に移し、この溶
液を溶出液として分析、評価した。 (1)スチレン単量体および炭化水素溶媒の分析方法 上記溶出液をガスクロマトグラフィー質量分析計にかけ
て定量分析した。 (2)スチレン系低分子成分の分析方法 上記溶出液50mlを濃縮後、ヘキサンを用いて2ml
に定容、ガスクロマトグラフィー質量分析計にかけて定
量分析した。評価結果を表2にまとめて示す。
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【実施例5】耐衝撃性ポリスチレンフィルムとして、重
量平均分子量約23万、ゴム含有量約6%、平均ゴム粒
径4μmの475D(旭化成(株)製)を押出機に導入
し、約220℃で熱可塑したものをダイスより押出し、
約100μmの厚みに押出した。得られた耐衝撃性ポリ
スチレンフィルムを、実施例1で得たスチレン系重合体
発泡シートに加熱積層した。これにより、完全に接着し
た美麗な積層構造のスチレン系重合体発泡シートが得ら
れた。
【0055】
【実施例6】耐衝撃性ポリスチレンフィルムとして、前
記475Dにシリコンオイル(東芝シリコン(株)製:
TSF451−12500)1.3重量%を混合し、押
出機に導入し、約220℃で熱可塑したものをダイスよ
り押出し、約100μmの厚みに押出した。得られた耐
衝撃性ポリスチレンフィルムを、実施例1で得たスチレ
ン系重合体発泡シートに加熱積層した。これにより、完
全に接着した積層構造のスチレン系重合体発泡シートが
得られた。また、表面は美麗で、滑性に富む状態を達成
出来た。
【0056】
【発明の効果】本発明の発泡用スチレン系重合体組成物
は、発泡シートへの成型、加工性に優れ、発泡特性、耐
熱変形性等の樹脂性能に優れると共に、溶出成分が殆ど
認められないとの特徴を有するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08K 5/01 C08L 25/04 C08L 25/04 B29K 25:00 // B29K 25:00 105:04 105:04 B29L 7:00 B29L 7:00 B65D 1/00 A (72)発明者 川上 潔 岡山県倉敷市潮通3丁目13番1 旭化成株 式会社内 (72)発明者 白井 博史 岡山県倉敷市潮通3丁目13番1 旭化成株 式会社内 Fターム(参考) 3E033 AA10 BA22 BB04 CA07 FA04 3E086 AB01 AD04 AD05 AD06 BA16 BB37 BB84 BB90 CA01 CA11 4F074 AA32 AB01 AC32 AD01 AG20 BA37 CA22 CC04X CC04Y CC05Z DA02 DA23 DA33 DA34 4F207 AA13 AB02 AG01 AG20 AH55 AH56 AH58 KA01 KA11 KF02 KK23 KW41 4J002 BC011 BC031 DE136 DE236 DJ016 DJ046 EA017 FD206 FD320 GG01 GG02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)スチレン系重合体 100重量部 (b)核剤 0.1〜3.0重量部 (c)流動パラフィン 0〜3.0重量部 よりなる発泡用スチレン系重合体組成物であって、スチ
    レン系重合体は有機リチウム開始剤を用いたアニオン重
    合法より得られるスチレン結合単位を主成分とする重合
    体であり、その重量平均分子量が5万〜100万の範
    囲、含まれる分子量140〜400の範囲のスチレン系
    低分子成分(但し、スチレン低分子成分はスチレンオリ
    ゴマー成分と非スチレンオリゴマー成分とからなる。)
    が1000ppm未満であり、かつその内の非スチレン
    オリゴマー成分が500ppm未満であることを特徴と
    する発泡用スチレン系重合体組成物。
  2. 【請求項2】 スチレン系重合体の分子量分布(Mw/
    Mn)が1.5〜5.0の範囲であることを特徴とする
    請求項1記載のスチレン系重合体組成物。
  3. 【請求項3】 スチレン系重合体に含まれるスチレン単
    量体が500ppm未満であることを特徴とする請求項
    1又は請求項2記載のスチレン系重合体組成物。
  4. 【請求項4】 スチレン系重合体に含まれる残存炭化水
    素溶媒が1000ppm未満であることを特徴とする請
    求項1〜3の何れかに記載のスチレン系重合体組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4の何れかに記載のスチレン
    系重合体組成物を発泡成形してなる発泡シート。
  6. 【請求項6】 請求項5記載のスチレン系重合体組成物
    の発泡シートを再成型してなる食品包装又は食品容器。
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