JP2001328949A - プロスタサイクリン合成酵素遺伝子含有医薬組成物 - Google Patents

プロスタサイクリン合成酵素遺伝子含有医薬組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】アポトーシスの誘導が治療効果につながる疾患
の治療に有用なアポトーシス誘導用医薬組成物;アポト
ーシスを誘導し、それにより、癌細胞を細胞死に至らし
める遺伝子治療用医薬組成物;アポトーシスを誘導しう
る薬剤を簡便にスクリーニングすることが可能な、細胞
に対するアポトーシス誘導剤のスクリーニング方法を提
供すること。 【解決手段】プロスタサイクリン合成酵素遺伝子を有効
成分として含有した、細胞におけるアポトーシス誘導用
医薬組成物;該アポトーシス誘導用医薬組成物を有効成
分として含有した、癌の遺伝子治療用医薬組成物;並び
に被検物質の存在下に、ペルオキシソーム増殖因子活性
化受容体(PPAR)−δの活性化を決定することを特
徴とする、細胞に対するアポトーシス誘導剤のスクリー
ニング方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アポトーシス誘導
が治療効果につながりうる疾患の治療に有用なアポトー
シス誘導用医薬組成物、癌の治療に有用な遺伝子治療用
医薬組成物、及び細胞に対するアポトーシス誘導剤のス
クリーニング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プロスタグランジン(PG)は、アラキド
ン酸に由来するエイコサノイドの多様なファミリーであ
る[Vane,J.R.ら, Am. J. Cardiol. 75, 3A-10A (199
5)]。アラキドン酸は、シクロオキシゲナーゼによって
エンドぺルオキシド中間体のプロスタグランジンH2(PG
H2)に変換される。シクロオキシゲナーゼには、少なく
とも2つのイソ型(COX-1 及びCOX-2 )が存在する。CO
X-1 は、多くの組識及び細胞型において構成的に発現さ
れるが、いくつかの場合において、細胞分化の間に増加
される。対照的に、COX-2 の発現は、種々の刺激(例え
ば、マイトジェン、サイトカイン、及びエンドトキシ
ン)によって頻繁にアップレギュレートされる。次い
で、COX 産物のPGH2は、特異的な合成酵素によって、多
くの末端のプロスタグランジン(例えば、PGD2、PGF
2α、及びプロスタサイクリン(PGI2)に変換される[Ta
nabe, T. ら, J. Lipid. Mediat. Cell Signal. 12, 24
3-255(1995)] 。プロスタグランジンは、ホメオスタシ
ス及び病原性の種々の局面の調節において、広範な効果
を有する。例えば、PGE2は、血圧、受精率及び細胞保護
作用を調節し、プロスタサイクリンは、心血管系の維持
に寄与するのみでなく、増殖阻害効果及び細胞保護作用
効果をまた行使する。胃腸管上皮細胞株におけるCOX-2
の過剰発現が、アポトーシスの阻害と関連すること[Tsu
jii, M. ら, Cell 83, 493-501 (1995)]、及びPGE2が、
細胞における主要な生成物であること[Tsujii, M. ら,
Cell 93, 705-716(1998)] が報告されている。対照的
に、不死化内皮細胞株におけるCOX-2 の過剰発現は、増
殖を遅らせ、及び細胞死を増加させる[Narko, K.ら, J.
Biol. Chem. 272, 21455-21460 (1997)] 。プロスタサ
イクリン合成酵素(PGIS)は、内皮細胞において高レベ
ルで内因的に発現され、プロスタサイクリンは、細胞に
おけるPGH2の主要な誘導体である[Hara, S. ら, J. Bio
l.Chem. 269, 19897-19903(1994)] 。
【0003】前記プロスタサイクリンは、半減期5〜10
分間の不安定な脂質メディエーターであり[Sinzinger,
H.ら, Arch. Gynecol. Obstet., 243, 187-190(1988)]
、おそらく、cAMPのレベルを増加させるそのGタンパ
ク質共役型受容体[Smith, E. M. ら, J. Biol. Chem. 2
71, 33698-33704(1996)]を介して、強力な血管拡張物質
及び血小板凝集の強力な内因性インヒビターとして、重
要な役割を果たす[Moncada, S.ら,N. Engl. J. Med. 1
7, 1142-1147(1979)]ことが知られる。その周知の活性
に加えて、プロスタサイクリンについて、さらに種々の
細胞(例えば、血管内皮細胞、心筋細胞、胃細胞、肝細
胞、及び腎細胞)に対して細胞保護の効果を有すること
[Vane, J. R.ら, Am. J. Cardiol. 75, 3A-10A(1995)]
が知られているにすぎないのが現状であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アポトーシ
スの誘導が治療効果につながる疾患の治療に有用なアポ
トーシス誘導用医薬組成物を提供することを目的とす
る。また、本発明は、アポトーシスを誘導し、それによ
り、癌細胞を細胞死に至らしめる遺伝子治療用医薬組成
物を提供することを目的とする。さらに本発明は、アポ
トーシスを誘導しうる薬剤を簡便にスクリーニングする
ことが可能な、細胞に対するアポトーシス誘導剤のスク
リーニング方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明の要旨は、
〔1〕 プロスタサイクリン合成酵素遺伝子を有効成分
として含有してなる、細胞におけるアポトーシス誘導用
医薬組成物、〔2〕 前記〔1〕記載のアポトーシス誘
導用医薬組成物を有効成分として含有してなる、癌の遺
伝子治療用医薬組成物、並びに〔3〕 被検物質の存在
下に、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体(PPA
R)−δの活性化を決定することを特徴とする、細胞に
対するアポトーシス誘導剤のスクリーニング方法、に関
する。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、ヒト腎臓上皮細胞株29
3 において、プロスタサイクリン合成酵素によって生成
される細胞内プロスタサイクリンが、核ホルモン受容体
スーパーファミリーのメンバーの内因性ペルオキシソー
ム増殖因子活性化受容体−δ(PPAR-δ)を活性化する
ことによってプログラム細胞死またはアポトーシスを促
進するという、本発明者らの驚くべき知見に基づく。
【0007】即ち、本発明者らは、ヒト腎臓上皮細胞株
293 において、プロスタサイクリン合成酵素によって生
成される細胞内プロスタサイクリンが、核ホルモン受容
体スーパーファミリーのメンバーの内因性ペルオキシソ
ーム増殖因子活性化受容体(PPAR)を活性化することに
よってプログラム細胞死又はアポトーシスを促進するこ
とを見出した。前記PPARは、代謝及びホメオスタシスの
種々の局面において広範な役割を有するが、PPAR- δの
生物学的機能に関する情報は、非常に限られていた[Xu,
H. E.ら, Mol. Cell 3, 397-403(1999)] 。本発明者ら
は、本研究において、HVJ-リポソーム法を使用する、PP
AR- δアンチセンスオリゴヌクレオチドのトランスフェ
クションにより、プロスタサイクリン媒介性のアポトー
シスがブロックされることを見出した。さらに本発明者
らは、細胞外プロスタサイクリン又はdbcAMPでの刺激
は、アポトーシスを誘導せず、実際アポトーシスを低減
することを見出した。これらの観察により、細胞内プロ
スタサイクリンが、(1) 内在性のPPAR- δに対する天然
に存在するリガンドであること、及び(2) 細胞運命の調
節についてcAMP経路とは逆の効果をもたらす、PPAR- δ
を介した第2のプロスタサイクリンシグナル伝達経路が
存在することを示した。
【0008】前記したような知見に基づき、さらに本発
明者らは、癌細胞にプロスタサイクリン遺伝子を導入す
ることにより、驚くべく癌細胞のアポトーシスを導くこ
とを見出した。
【0009】なお、ペルオキシソーム増殖因子活性化受
容体(PPAR)は、核ホルモン−受容体ファミリーのメン
バーであり、及び、それ自身、リガンド活性化転写因子
である[Nagy, L. ら, Cell 93, 229-240 (1998)]。これ
らの受容体は、脂質低下性のフィブラート(例えば、ク
ロフィブラート)、種々の脂肪酸、及びいくつかのアラ
キドン酸代謝物によって、活性化され得る。3つの亜型
の、PPAR- α、- δ(- β又はNUCIとしてもまた知られ
る)、及び- γが、同定されている[Braissant, O.ら,
Endocrinology 137, 354-366 (1996)]。PPARは、それら
の標的遺伝子のプロモーター中のPPAR- 応答エレメント
(PPRE)と呼ばれるDNA モチーフに結合するPPAR-RXRヘ
テロ2量体を介して、それらの標的遺伝子を活性化する
ことが知られている。
【0010】PPAR間で、最も十分には理解されていない
のが、PPAR- δ亜型の生物学であるが、イロプロスト及
びカルバサイクリンが、CV-1において過剰発現された組
換えPPAR- δのリガンドであることが報告されている[F
orman, B. M.ら, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 94, 431
2-4317 (1997)]。他方、不安定なエイコサノイドのプロ
スタサイクリンが、内在性のPPAR- δのネイティブなリ
ガンドであるか否かは、これが不安定であるので、不明
であった。それを、本発明において、初めて明らかにし
たものである。
【0011】1.細胞におけるアポトーシス誘導用医薬
組成物 本発明の細胞におけるアポトーシス誘導用医薬組成物
は、プロスタサイクリン合成酵素遺伝子を有効成分とし
て含有することに特徴がある。したがって、本発明の遺
伝子治療用医薬組成物を標的細胞に対して導入した場
合、細胞内プロスタサイクリンが生産され、それによ
り、該標的細胞にアポトーシスを誘導することができる
という優れた効果を発揮する。また、プロスタサイクリ
ンは、半減期が約5〜10分間と短く、かつ該プロスタ
サイクリンは、細胞外に存在する場合、アポトーシスは
誘導せず細胞保護作用を発揮するため、標的細胞の周辺
の細胞における影響を減じることができるという優れた
効果が得られうる。
【0012】本発明のアポトーシス誘導用医薬組成物と
しては、プロスタサイクリン合成酵素遺伝子を有効成分
として含有し、かつ他の薬剤との併用に供するものが挙
げられる。
【0013】他の薬剤としては、前記プロスタサイクリ
ン合成酵素遺伝子のアポトーシス誘導能を増強するも
の、標的細胞への特異的導入を可能にする物質などが挙
げられる。具体的には、シクロオキシゲナーゼ−2(COX
-2) 遺伝子、シクロオキシゲナーゼ−1(COX-1) 遺伝子
を含有したものなどが挙げられる。
【0014】アポトーシスは、細胞の染色体DNAのヌ
クレオソーム単位の断片化、クロマチン凝集、細胞の凝
縮、blebbing、微繊毛の消失、細胞と核の断片
化・アポトーシス小体の形成を特徴とする現象である。
前記アポトーシスは、前記アポトーシスの特徴を、例え
ば、TUNEL法、電気泳動による断片化DNA のラダー
の検出;位相差顕微鏡を用いた観察;ヘマトキシリン、
エオシンなどを用いた固定染色標本の観察;DNA結合
性蛍光色素であるアミノベンズイミド(例えば、Hoechs
t 33342 、Hoechst 33258 など)により染色した後、蛍
光顕微鏡で核膜辺縁へのクロマチン凝集を観察すること
などにより、評価されうる。
【0015】また、アポトーシスの進行には、カスパー
ゼが関与していることが示唆されており、かかるカスパ
ーゼの活性を指標として細胞のアポトーシスの誘導を評
価することができる。
【0016】(1)プロスタサイクリン合成酵素遺伝子 本発明に用いられるプロスタサイクリン合成酵素(以
下、PGISともいう) 遺伝子は、その起源に特に限定され
るものではなく、例えば、ヒト、ウシ、ラットなどが挙
げられる。
【0017】前記ヒトPGIS遺伝子(cDNA)の塩基配列及
びコードされるアミノ酸配列は、例えば、B.B.R.C., Vo
l.200, No.3, p1728-1734(1994) 及び国際公開第95/300
13号公報に記載されている。 また、ウシPGIS遺伝子につ
いては、、J.Biol.Chem., 269, 19897-19903(1994)に、
ラットPGIS遺伝子については、Eur.J.Cell.Biol.,72,26
8-277(1997) に記載されている。
【0018】本発明に用いられるPGIS遺伝子は、前記文
献記載の塩基配列の情報に基づき、適当なDNA 部分をP
CRのプライマーとして用い、例えば、血管内皮細胞由
来のmRNAに対してRT-PCR反応を行なうことなどによりク
ローニングすることができる。前記クローニングは、例
えば、モレキュラークローニング・ア・ラボラトリーマ
ニュアル第2版(以下、単に「モレキュラークローニン
グ」という)[Molecular Cloning; A Laboratory Manua
l 2nd Ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press(198
9)] 等の基本書に従い、当業者であれば容易に行なうこ
とができる。
【0019】また、本発明に用いられるPGIS遺伝子は、
前記文献記載の構造を有するものに限定されず、活性を
損なわない程度の改変等を有するものでもよい。
【0020】すなわち、(i)前記文献記載のプロスタ
サイクリン合成酵素のcDNAとストリンジェントな条件下
でハイブリダイズするDNA または(ii)前記文献記載の
プロスタサイクリン合成酵素のアミノ酸配列において、
1若しくは複数のアミノ酸が置換、欠失及び付加からな
る群より選ばれた少なくとも1種を有するアミノ酸配列
からなるタンパク質をコードするDNA 、であって、かつ
発現により、細胞においてアポトーシス誘導能を示しう
るDNA であれば、本発明に用いられるプロスタサイクリ
ン合成酵素遺伝子の範疇に含まれる。ここで、前記
(i)のDNA は、通常のハイブリダイゼーション法によ
り得ることができ、前記(ii)のDNA は、例えば、部位
特異的突然変異誘発法、PCR 法などにより容易に得るこ
とができる。具体的には、前記モレキュラークローニン
グ等の基本書を参考にして行なうことができる。
【0021】ここで、「ストリンジェントな条件」とし
ては、前記モレキュラークローニング:ア・ラボラトリ
ーマニュアル第2版などに記載のハイブリダイゼーショ
ンの条件が挙げられ、具体的には、ホルムアミド濃度:
45%(v/v)、塩濃度:5 ×SSPE、温度:42 ℃程度の条件下
でハイブリダイズさせ、塩濃度: 2 ×SSPE、温度:42℃
程度の条件下で洗浄するという条件などが挙げられる。
【0022】前記(i)及び(ii)のDNA によりコード
されるポリペプチドが所望のプロスタサイクリン合成酵
素であることは、プロスタサイクリン合成酵素の活性測
定法により酵素活性の有無を測定し、該活性を呈するこ
とを指標として実施できる。かかる活性測定法として
は、例えば、6-keto Prostaglandin F1 α enzyme immu
noassay kit (Cayman 社製、カタログ番号:#515211) を
用いたエンザイムイムノアッセイ又はプロスタサイクリ
ン合成酵素の代謝産物を薄層クロマトグラフィー(TLC)
により検出する方法などが挙げられる。また、前記
(i)及び(ii)のDNA によりコードされるポリペプチ
ドが所望のアポトーシス誘導能を示すことは、後述の実
施例に記載のように当該DNA を細胞に導入して発現させ
た後、種々のアポトーシスアッセイに供することによ
り、測定することができる。
【0023】さらに、本発明に用いられるプロスタサイ
クリン合成酵素遺伝子は、(iii) 縮重を介して前記文献
記載のプロスタサイクリン合成酵素遺伝子の塩基配列と
は異なるDNA であってもよい。
【0024】(2)シクロオキシゲナーゼ−2遺伝子 さらに、本発明者らは、前記PGISとシクロオキシゲナー
ゼ−2 (以下、COX-2という) とを共発現させた場合、
該PGISの単独発現の場合に比べて、よりアポトーシス誘
導能を増強するという知見を得た。
【0025】本発明に用いられるCOX-2 遺伝子は、その
起源に特に限定されるものではなく、例えば、ヒト、ウ
シ、ラットなどが挙げられる。
【0026】ヒトCOX-2 遺伝子(cDNA)は、Proc. Natl.
Acad. Sci. USA, 89 (16),7384-7388(1992) に記載され
ており、当該文献に記載の塩基配列の情報に基づき、前
記PGIS遺伝子と同様にしてクローニングすることができ
る。さらに、前述の文献記載のCOX-2 の遺伝子に対して
改変等を施した遺伝子であっても、発現によりCOX-2の
酵素活性を示すもの、さらには、PGIS遺伝子の有するア
ポトーシス誘導能を増強する活性を示すものであれば、
本発明に用いられるCOX-2 遺伝子の範疇に含まれる。
【0027】すなわち、(I)前記文献記載のシクロオ
キシゲナーゼ−2のcDNAとストリンジェントな条件下で
ハイブリダイズするDNA または(II)前記文献記載のシ
クロオキシゲナーゼ−2のアミノ酸配列において、1若
しくは複数のアミノ酸が置換、欠失及び付加からなる群
より選ばれた少なくとも1種を有するアミノ酸配列から
なるタンパク質をコードするDNA 、であって、かつ発現
により、PGIS遺伝子の有するアポトーシス誘導能を増強
する活性を示すDNA であれば、本発明に用いられるCOX-
2 遺伝子の範疇に含まれる。ここで前記(I)及び(I
I)のDNA は、前記PGIS遺伝子の場合と同様に得ること
ができる。
【0028】ここで、「ストリンジェントな条件」とし
ては、前記モレキュラークローニング:ア・ラボラトリ
ーマニュアル第2版などに記載のハイブリダイゼーショ
ンの条件が挙げられ、具体的には、ホルムアミド濃度:
45%(v/v)、塩濃度:5 ×SSPE、温度:42 ℃程度の条件下
でハイブリダイズさせ、塩濃度: 2 ×SSPE、温度:42℃
程度の条件下で洗浄するという条件などが挙げられる。
【0029】前記(I)及び(II)のDNA によりコード
されるポリペプチドが所望のCOX-2であることは、アラ
キドン酸を基質として反応させた後、PGH2が生成される
ことにより確認できる。PGH2の生成は、例えば、TLC 法
を用いた方法[J. Biol. Chem., 274, 34141-34147 (199
9)、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89, 7384-7388 (199
2)] により確認することができる。また、前記(I)及
び(II)のDNA によりコードされるポリペプチドが所望
のアポトーシス誘導能を示すことは、後述の実施例によ
り記載のように、当該DNA をPGIS遺伝子と共に細胞に共
導入して発現させた後、種々のアポトーシスアッセイに
供することにより、測定することができる。
【0030】(3)アポトーシス誘導用医薬組成物の投
与法 本発明のアポトーシス誘導用医薬組成物を投与する場
合、その投与形態としては、非ウイルスベクターを用い
た場合〔A〕と、ウイルスベクターを用いた場合〔B〕
の二つに大別される。かかる投与形態については、実験
手引書などにその調製法、投与法などが詳しく解説され
ている(別冊実験医学, 遺伝子治療の基礎技術, 羊土
社,1996 、別冊実験医学, 遺伝子導入&発現解析実験
法, 羊土社,1997 、日本遺伝子治療学会編遺伝子治療開
発研究ハンドブック, エヌ・ティー・エス,1999 )。以
下、具体的に説明する。
【0031】A.非ウイルスベクターを用いる場合 慣用の遺伝子発現ベクターにPGIS遺伝子が組み込まれた
組換え発現ベクターを用いて、以下のような手法により
PGIS遺伝子を細胞や組織に導入することができる。
【0032】細胞への遺伝子導入法としては、リン酸−
カルシウム共沈法;微小ガラス管を用いたDNA の直接注
入法などが挙げられる。
【0033】また、組織への遺伝子導入法としては、内
包型リポソーム(internal type liposome)による遺伝
子導入法、静電気型リポソーム(electrostatic type l
iposome )による遺伝子導入法、HVJ−リポソーム
法、改良型HVJ−リポソーム法(HVJ-AVE リポソーム
法)、受容体介在性遺伝子導入法、パーティクル銃で担
体(金属粒子)とともにDNA 分子を細胞に移入する方
法、naked−DNA の直接導入法、正電荷ポリマーに
よる導入法等の何れかの方法に供することにより、組換
え発現ベクターを細胞内に取り込ませることが可能であ
る。
【0034】ここで用いられる発現ベクターとしては、
例えばpCAGGS(Gene 108,193-200(1991))や、p
BK−CMV、pcDNA3.1、pZeoSV(イン
ビトロゲン社、ストラタジーン社)などが挙げられる。
【0035】B.ウイルスベクターを用いる場合 ウイルスベクターとしては、組換えアデノウイルス、レ
トロウイルス等が挙げられる。より具体的には、例え
ば、無毒化したレトロウイルス、アデノウイルス、アデ
ノ随伴ウイルス、ヘルペスウイルス、ワクシニアウイル
ス、ポックスウイルス、ポリオウイルス、シンビスウイ
ルス、センダイウイルス、SV40、免疫不全症ウイル
ス(HIV)等のDNA ウイルス又はRNA ウイルスに本発
明のPGIS遺伝子を導入し、細胞に組換えウイルスを感染
させることによって、細胞内に遺伝子を導入することが
可能である。
【0036】前記ウイルスベクターのうち、アデノウイ
ルスの感染効率が他のウイルスベクターを用いた場合よ
りもはるかに高いことが知られており、この観点から
は、アデノウイルスベクター系を用いることが望まし
い。
【0037】本発明のアポトーシス誘導用医薬組成物の
患者への導入法としては、アポトーシス誘導用医薬組成
物を直接体内に導入するin vivo法、及び、ヒト
からある種の細胞を取り出して体外でアポトーシス誘導
用医薬組成物を該細胞に導入し、その細胞を体内に戻す
ex vivo法がある(日経サイエンス,1994 年4月
号,20-45頁、月刊薬事,36(1),23-48,1994、実験医学増
刊,12(15),1994、日本遺伝子治療学会編遺伝子治療開発
研究ハンドブック, エヌ・ティー・エス,1999)。本発
明では、本発明の医薬組成物を導入した細胞においてア
ポトーシスが誘導されるため、in vivo法が望ま
しい。
【0038】in vivo法により投与する場合は、
アポトーシス誘導対象の細胞、組織、標的臓器等に応じ
た適当な投与経路により投与され得る。例えば、静脈、
動脈、皮下、皮内、筋肉内などに投与するか、又は病変
の認められる組織そのものに直接局所投与することがで
きる。
【0039】製剤形態としては、上記の各投与形態に合
った種々の製剤形態(例えば液剤など)をとり得る。例
えば、有効成分のDNA を含有した注射剤の場合、当該注
射剤は常法により調製することができ、例えば、適切な
溶剤(PBS等の緩衝液、生理食塩水、滅菌水等)に溶
解した後、場合によっては、フィルター等で濾過滅菌
し、次いで無菌的な容器に充填することにより調製する
ことができる。当該注射剤には必要に応じて慣用の担体
等を加えても良い。また、HVJ−リポソーム等のリポ
ソームにおいては、懸濁剤、凍結剤、遠心分離濃縮凍結
剤などのリポソーム製剤の形態とすることができる。
【0040】また、疾患部位の周囲に遺伝子を存在し易
くするために、徐放性の製剤(ミニペレット製剤等)を
調製し患部近くに埋め込むことも可能であり、あるいは
オスモチックポンプなどを用いて患部に連続的に徐々に
投与することも可能である。
【0041】前記製剤中のDNA の含量は、治療目的の疾
患、患者の年齢、体重等により適宜調節することがで
き、例えば、有効成分のDNA 量として0.0001〜1
00mg、好ましくは0.001〜10mgであること
が望ましい。かかる投与用量をを数日ないし数ヶ月に1
回投与することが望ましい。
【0042】本発明のアポトーシス誘導用医薬組成物
は、例えば、以下のように薬理評価を行なうことができ
る: 動物実験 対象疾患が癌の場合は、以下のような動物実験により薬
理評価を行なうことができる。腫瘍の形成が確認された
ヌードマウスの癌モデルに適切な用量の該組成物を適当
な投与回数投与する。同時に、腫瘍径の変化を観察す
る。対照群として、プロスタサイクリン合成酵素遺伝子
を含まないDNA を投与した群、および部位特異的変異を
導入した不活性型プロスタサイクリン合成酵素遺伝子を
含んだDNAを投与した群を用いる。さらに投与量、投与
回数などを評価する場合、適宜投与量、投与回数を変え
た群を用いる。本発明のアポトーシス誘導用医薬組成物
を投与した群(投与群)と対照群のそれぞれにおいて、
腫瘍の形成を確認し、腫瘍サイズを測定する。これによ
り、投与群において、より腫瘍の退縮が見られた場合、
動物実験レベルで癌の治療ができたことを示す指標とな
る。また、組織について、前出のアポトーシスの特徴の
評価の手法により評価することができる。これにより、
投与群において多くのアポトーシス細胞の存在が確認さ
れた場合、動物実験レベルで本発明のアポトーシス誘導
用医薬組成物のアポトーシス誘導効果が発揮されたこと
の指標となる。
【0043】ヒトへの臨床試験 プロスタサイクリン合成酵素遺伝子をウイルスベクター
などに組み込んで用いる場合、該ウイルスベクターの細
胞傷害性、他の個体への感染性、染色体への組み込みを
調べる。かかる手法及び治療方法は、例えば、前記日本
遺伝子治療学会編遺伝子治療開発研究ハンドブック, エ
ヌ・ティー・エス,1999 などの記載に従って実施でき
る。また、標的とする細胞が癌細胞の場合、個体におけ
る臨床的効果は、例えば、以下のような手法により評価
できる。すなわち、腫瘍の定期的な写真撮影、CTスキ
ャン、MRIなどでの記録により、腫瘍径を測定し、直
交する長径と短径から推定腫瘍体積を算出し腫瘍の増殖
を計算する。治療効果は、腫瘍に応じた評価指標に基づ
き評価する。また、アポトーシスの有無を組織の形態学
的観察により評価する。さらに、分子生物学的解析とし
て、有効成分のDNA の標的細胞内の存在を確認するため
のPCR などによる検出、アポトーシスのTUNEL染色法な
どによる検出などを行なう。
【0044】2.本発明の癌の遺伝子治療用医薬組成物 プロスタサイクリン合成酵素遺伝子は、細胞に導入され
た場合、細胞内プロスタサイクリンを生産し、それによ
り、該細胞にアポトーシスを誘導することができるとい
う優れた効果を発揮する。したがって、癌細胞に導入す
ることにより、癌細胞においてアポトーシスを誘導する
ことができるため、癌を治療することができる。また、
プロスタサイクリンは、半減期が約5〜10分間と短
く、かつ該プロスタサイクリンは、細胞外に存在する場
合、アポトーシスは誘導せず細胞保護作用を発揮する。
したがって、プロスタサイクリン合成酵素遺伝子を癌細
胞に特異的に導入した場合、癌細胞を除く他の細胞に対
する悪影響を減じることができるという優れた効果が得
られうる。したがって、本発明においては、前記プロス
タサイクリン合成酵素遺伝子を有効成分として含有した
癌の遺伝子治療用医薬組成物も提供される。即ち、前記
1.のアポトーシス誘導用医薬組成物を有効成分として
含有した癌の遺伝子治療用医薬組成物も本発明の範囲に
含まれる。
【0045】本発明の遺伝子治療用医薬組成物として
は、前記プロスタサイクリン合成酵素遺伝子を有効成分
として含有し、かつ他の薬剤との併用に供するものも挙
げられる。
【0046】「他の薬剤」としては、前記プロスタサイ
クリン合成酵素が有するアポトーシス誘導能を増強する
もの、癌細胞に前記プロスタサイクリン合成酵素遺伝子
を特異的に送達しうる物質などが挙げられ、具体的に
は、シクロオキシゲナーゼ−2(COX-2) 遺伝子、癌特異
的表面抗原、シクロオキシゲナーゼ-1(COX-1) 遺伝子を
含有したものなどが挙げられる。
【0047】本発明に用いられるプロスタサイクリン合
成酵素遺伝子及びCOX-2 遺伝子は、前記1.で挙げたも
のと同様のものが挙げられる。
【0048】本発明の癌の遺伝子治療用医薬組成物は、
全ての癌に対して適用可能であり、特に、COX-2 亢進型
の癌に対してより有効に適用できる。前記癌としては、
固形癌等が挙げられる。
【0049】一般的に、癌細胞の70% 程度がCOX-2 亢進
型、即ちCOX-2 を発現する細胞である。後述の実施例で
用いたCaco2 細胞もCOX-2 亢進型の癌細胞由来のもので
ある。このようなCOX-2 亢進型の癌細胞に対しては、PG
IS遺伝子単独で遺伝子治療を行なってもよく、PGISとCO
X-2 遺伝子とを併用して、アポトーシスの誘導をさらに
促進させてもよい。
【0050】一方、内因性COX-2 の発現が低い細胞また
は該内因性COX-2 が検出できない癌細胞の場合、アポト
ーシス誘導による、より高い癌治療効果を発揮させる観
点から、PGIS遺伝子とCOX-2 遺伝子との併用による遺伝
子治療が望ましい。
【0051】本発明の遺伝子治療用医薬組成物において
は、癌細胞の周辺細胞への影響を低減もしくは解消する
観点から、癌細胞に選択的に導入されることが望まし
い。
【0052】癌細胞に対する選択的な導入・遺伝子発現
の手段については、例えば、日本遺伝子治療学会編遺伝
子治療開発研究ハンドブック, エヌ・ティー・エス,199
9 などに詳細に記載されており、具体的には、下記1)〜
5)の手法などが例示される。
【0053】1)レトロウイルスベクターによる導入 レトロウイルスベクターは、***している細胞に限って
その組み込みが行われるため、その性質を利用して、細
胞増殖の盛んな癌細胞に対して本発明の遺伝子治療用医
薬組成物を選択的に導入することができる。特に、この
手法は、脳腫瘍患者に対して脳室内投与する場合に有効
である。具体的には、PGISが発現されるようにPGIS遺伝
子を前記レトロウイルスベクターに組み込むことにより
得られた組換えレトロウイルスベクターを癌の遺伝子治
療用医薬組成物として用いればよい。さらに、前記「他
の薬剤」が、例えば、COX-2 遺伝子である場合、COX-2
とPGISとが共発現できるようにすればよく、例えば、CO
X-2 遺伝子を前記レトルウイルスベクターに組み込むこ
とにより得られた組換えレトロウイルスベクターと前記
PGISの組換えレトロウイルスベクターとを共に含有する
医薬組成物を用いればよい。
【0054】2)変異アデノウイルス株を用いた導入 近年、ONYX社のMcCormick らにより、癌細胞を特異的に
殺す変異アデノウイルス株が開発されている[Nature Me
d.,3 (6),639-645(1997)] 。この変異アデノウイルス株
は、p53 が機能している細胞には感染できないが、p53
が欠損している癌細胞では複製できるという特徴を有し
ている。なお、50% 以上の癌細胞は、p53 の作用を喪失
している。
【0055】かかる手法を、本発明の遺伝子治療用医薬
組成物に適用することにより、p53の機能の欠損した癌
細胞に対して、PGIS遺伝子を選択的に導入することがで
きる。具体的には、PGISが発現されるようにPGIS遺伝子
を前記変異アデノウイルスベクターに組み込むことによ
り得られた組換え変異アデノウイルスベクターを癌の遺
伝子治療用医薬組成物として用いればよい。さらに、前
記「他の薬剤」が、例えば、COX-2 遺伝子である場合、
COX-2 とPGISとが共発現できるようにすればよく、例え
ば、COX-2 についての前記組換え変異アデノウイルスベ
クターとPGISの組換え変異アデノウイルスベクターとを
共に含有する医薬組成物を用いればよい。
【0056】さらに、アデノウイルスベクターを利用し
て、p53 と同様に多くの癌細胞で機能障害を受けている
pRB の機能を欠損した癌細胞へのターゲッティングが可
能である[Nature Med.,3(10),1145-1149(1997)] 。かか
る手法も、同様に本発明に適用することができる。
【0057】3)癌細胞特異的な表面抗原を標的とした導
入 癌細胞表面に特異的に発現している癌抗原や、正常細胞
にも発現しているが癌細胞で特に多く発現している抗原
(トランスフェリン受容体、EGF 受容体など)を標的と
して、癌細胞への選択的な導入を行なうことができる。
具体的な手法の例としては、以下の〜が挙げられ
る。
【0058】各抗原に対するモノクローナル抗体をカ
ップリングさせたイムノリポソームを用いた導入 神経膠腫細胞に対する抗体をカップリングさせたリポソ
ームでプラスミド(DNA) を包み込んだイムノリポソーム
を用いた、該細胞への特異的遺伝子導入が報告されてい
る[Cancer Res.,50,7826-7829 (1990)] 。
【0059】癌細胞特異的な表面抗原に対するモノクロ
ーナル抗体をカップリングさせたリポソームで本発明の
遺伝子治療用医薬組成物を包み込み、得られたイムノリ
ポソームを用いることにより、癌細胞に特異的に本発明
の遺伝子治療用医薬組成物を導入できることが期待され
る。
【0060】トランスフェリン受容体を介した導入 前記のように、トランスフェリン受容体は癌細胞表面に
豊富に発現しているため、これを利用した癌細胞特異的
ターゲッティングが可能である。例えば、トランスフェ
リンとプラスミドとをビオチン−アビジン−ビオチンで
架橋したDNA 複合体を用いた手法[Ann.N Y Acad.Sci.,7
16,336-337(1994)] 、トランスフェリン−リポソーム−
DNA 複合体を用いた手法などが挙げられる。
【0061】具体的には、例えば、PGIS遺伝子発現ベク
ターとトランスフェリンとをビオチン−アビジン−ビオ
チンで架橋したDNA 複合体などを本発明の遺伝子治療用
医薬組成物の有効成分として用いることができる。
【0062】EGF 受容体を介した導入 EGF 受容体も癌細胞表面に豊富に発現しているため、癌
細胞へのターゲッティングに利用することができる。例
としては、EGF 受容体に対するモノクローナル抗体とプ
ラスミドとをpolylysineで架橋させた複合体を用いた手
法[ イムノジーン法、Cancer Gene Ther.,3,113-120(19
96)]が挙げられる。また、EGF そのものとDNA とを結合
させた複合体を用いた手法[Cancer Gene Ther.,3,4-10
(1996)]も開発されている。
【0063】本発明においては、例えば、EGF 受容体に
対するモノクローナル抗体とPGIS遺伝子発現ベクターと
をpolylysineで架橋させた複合体またはEGF と該遺伝子
発現ベクターとを結合させた複合体などを本発明の遺伝
子治療用医薬組成物の有効成分として用いることができ
る。
【0064】その他、アシアロ糖タンパクの受容体は肝
細胞にだけ発現しているという性質を利用し、アシアロ
化されたガラクトース糖鎖を結合させたpolylysineとDN
A との複合体により肝細胞へのターゲッティングを行な
った例も知られている(J.Biol.Chem.,266,14338-14342
(1991))。この手法は肝癌に対して有効に用いられる。
【0065】具体的には、例えば、アシアロ化されたガ
ラクトース糖鎖を結合させたpolylysineとPGIS遺伝子発
現ベクターとの複合体などを本発明の遺伝子治療用医薬
組成物の有効成分として用いることができる。
【0066】4)癌細胞特異的プロモーターによるターゲ
ッティング 癌細胞で特異的に発現するようなベクター系(プロモー
ター/エンハンサー系)を用いることにより、癌細胞へ
のターゲッティングを行うことができる。
【0067】具体的には、日本遺伝子治療学会編遺伝子
治療開発研究ハンドブック, エヌ・ティー・エス,1999,
505 頁の表1に記載されている種々のプロモーター、す
なわち、AFP プロモーター(肝癌)、CEA プロモーター
(胃癌、膵癌)、DF3 プロモーター(乳癌)、オステオ
カルシンプロモーター(骨肉腫)などの癌細胞特異的プ
ロモーターの制御下に前記プロスタサイクリン合成酵素
遺伝子を連結したベクターなどを本発明の遺伝子治療用
医薬組成物の有効成分として用いることができる。
【0068】5)遺伝子を直接局所に注入する手法 特定の細胞に遺伝子を導入する最も単純な手法として
は、標的細胞(癌細胞)を患者から採取し、精製して遺
伝子を導入し、患者に戻すex vivo法が挙げられ
る。
【0069】一方、in vivo法で現在、臨床試験
で使われている方法は、ベクターを直接局所に注入する
in situ遺伝子導入法である。例としては、皮膚
のメラノーマに対してHLA-B7遺伝子を、カチオニックリ
ポソームをキャリアとして直接経皮的に注射した例(Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA,90,11307-11311(1993) )、肺癌
に対して気管支鏡経由又は経皮的にp53 遺伝子を組み込
んだウイルスベクターを注射した例(Nature Med.,2,98
5-991(1996) )などが知られている。
【0070】本発明においても、前記プロスタサイクリ
ン合成酵素遺伝子を保持した発現ベクターを直接局所に
注入するin situ遺伝子導入法を適用することが
できる。標的組織・細胞へのより特異的な導入効率を得
る観点から、当該in situ遺伝子導入法と前記1)
〜4)の手法とを組み合わせて癌細胞への選択性を持たせ
ることが望ましい。
【0071】プロスタサイクリンは、細胞膜上のGタン
パク共役型受容体を介して、細胞保護作用を示すことが
知られている(Am.J.Cardiol.,75,3A-10A(1995) )。従
って、PGIS遺伝子の導入された細胞から放出されたプロ
スタサイクリンは、周辺の正常組織に対して細胞保護的
な作用を示すことが考えられる。よって、本発明のPGIS
遺伝子を有効成分とする医薬組成物は、他剤と比較して
副作用の少ない癌の治療剤となることが期待される。
【0072】本発明の癌の遺伝子治療用医薬組成物の薬
理評価は、例えば、前記アポトーシス誘導用医薬組成物
の評価における記載と同様にして実施できる。
【0073】3.細胞に対するアポトーシス誘導剤のス
クリーニング方法 本発明者らは、PGIS遺伝子導入により生成される細胞内
プロスタサイクリンが、ペルオキシソーム増殖因子活性
化受容体(PPAR-δ) を活性化することによりアポトーシ
スを誘導するという、全く新しいメカニズムを発見し
た。この新たな知見に基づき、本発明は、PPAR- δの活
性化(結合も含む)を指標としたアポトーシス誘導剤の
スクリーニング方法を提供することができる。
【0074】本発明の細胞に対するアポトーシス誘導剤
のスクリーニング方法は、被検物質の存在下に、ペルオ
キシソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)−δの活
性化を決定することを特徴とする。本スクリーニング法
によれば、前記メカニズムによりアポトーシスを誘導し
うる物質のスクリーニングを簡便に行なうことができ
る。
【0075】本発明のスクリーニング方法は、PPAR- δ
と被検物質とが接触でき、さらに、PPAR- δの活性化を
測定・評価できるものであれば、どのような方法であっ
ても本発明の範疇に含まれる。
【0076】本発明の細胞に対するアポトーシス誘導剤
のスクリーニング方法としては、具体的には、PPAR
−応答エレメント(PPRE)とレポーター遺伝子とを
連結したプラスミドを保持した形質転換細胞と被検物質
とを接触させ、レポーター遺伝子発現量の増加をアポト
ーシス誘導能の指標とする方法(態様1);ペルオキシ
ソーム増殖因子活性化受容体(PPAR)−δと被検物
質とをイン・ビトロで接触させる方法(態様2)、が挙
げられる。以下、態様1および態様2の方法を説明す
る。
【0077】態様1の方法 まず、PPARの応答エレメントであるPPREを含む配列をレ
ポーター遺伝子に連結したプラスミドを作製する。ここ
でPPREを含む配列としては、実施例記載の3 つのPPREコ
ピーを含むオリゴヌクレオチドが挙げられる。また、レ
ポーター遺伝子としては、ルシフェラーゼ、CAT(クロラ
ムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ) 、ALP(ア
ルカリフォスファターゼ) 、GH( 成長ホルモン) などの
遺伝子が挙げられる。前記レポーター遺伝子と、SV40、
βグロビン、チミジンキナーゼ等のプロモーターの組み
込まれたプロモーターベクターが種々市販されており、
いずれも使用することができる。具体的には、pGL3- プ
ロモーターベクター (Promega 社製) などが挙げられ
る。
【0078】次に、前記プラスミドを細胞に導入して、
形質転換細胞を作製する。ここで、宿主として用いられ
る細胞としては、PPAR- δを内在的に発現しており、レ
ポーター遺伝子活性が検出できるような細胞であれば、
いかなる細胞であってもよい。具体的には、実施例で用
いたHEK-293 細胞(ATCC CRL-1573) が挙げられる。ま
た、細胞へのプラスミドの導入法としては、リン酸カル
シウム法、LT-1(Panvera社製) を用いた手法、Lipofect
AMINE (Gibco-BRL社製) を用いた手法などが挙げられ
る。
【0079】以上のように作製された形質転換細胞は、
前記プラスミドからレポーター遺伝子を一過的に発現す
る細胞であってもよく、レポーター遺伝子を安定に保持
する細胞 (安定形質転換体) であってもよい。特に安定
形質転換体は、スクリニーングのたびに遺伝子導入を行
なう手間が省け、スクリーニングがより簡便かつ短時間
で行なえるため、好ましい細胞である。
【0080】このようにして作製された形質転換細胞に
対して被検物質を添加し、該被検物質がレポーター遺伝
子の発現量を増加させるか否かを測定・評価することに
より、アポトーシス誘導剤の候補を選択することができ
る。レポーター遺伝子発現量を増加させた被検物質は、
アポトーシス誘導剤の候補である。したがって、この選
択された被検物質を、さらに実施例記載のカスパーゼ活
性を指標としたアポトーシスアッセイ等に供することに
より、細胞に対するアポトーシス誘導剤を選択すること
ができる。
【0081】態様2の方法 精製PPAR- δと被検物質とをイン・ビトロで接触させ、
結合するか否かを測定・評価する。ここで、精製PPAR-
δは、PPAR- δ遺伝子[Endocrinology, 137, No.1,354-
366(1996) 、Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., Vol.91,
7355-7359(1994)] を常法によりクローニングして発現
させることなどにより、得ることができる。
【0082】精製PPAR- δと被検物質との結合は、例え
ば、PanVera 社製のFull-Range BEACON 2000などを用い
た蛍光偏光度測定が挙げられる。また、ラベル化したプ
ロスタサイクリンやその誘導体(イロプラストなど)と
精製又は免疫沈降させたPPAR- δとの結合を、被検物質
が競合阻害するか否かを測定することなどにより検出す
ることができる。
【0083】このようなスクリーニング方法により選択
された被検物質を前記と同様のアポトーシスアッセイ等
に供することにより、細胞に対するアポトーシス誘導剤
を選択することができる。
【0084】
【実施例】実施例1実験手法 (1)抗体の調製、並びに抗PGIS抗体とHoechst 33258
とを使用した2重染色 ヒトPGISにおけるアミノ酸番号:27〜45に対応するPI:
PGEPPLDLGSIPWLGYALDC(配列番号:1)又はキーホール
リンペットヘモシアニンに結合するアミノ酸番号:485
〜500 に対応するP4:LMQPEHDVPVRYRIRP(配列番号:
2)の合成ペプチドは、それぞれペプチド工業(Peptid
e Institute Inc.)により調製された。ニホンシロウサ
ギを、フロイント完全アジュバントと混和した1mgのペ
プチドで免疫した。P1及びP4に対する抗血清の両方は、
イムノブロッティングに有用であった。本研究において
は、P1に対する抗血清を、イムノブロッティングに使用
し、P4抗血清を、免疫蛍光染色に使用した。
【0085】モノレイヤー状に培養したヒト胎児腎由来
HEK-293 細胞(ATCC CRL-1573) を、10%ウシ胎児血清(F
BS) と100U/ml ペニシリンと100mg/mlストレプトマイシ
ンとを含むダルベッコ改変イーグル培地中に播種した
(60mmディッシュあたり3×10 5 細胞)。24時間のイン
キュベーション後、LipofectAMINE (Gibco-BRL社製) を
使用して、3μg のPGISwt(後述)、PGISC441A (後
述)又はコントロールベクターpCMV7 [ テキサス大学よ
り供与;Andersson, S. et al., J. Biol. Chem., 264,
8222-8229 (1989);なお、pcDNA3(Invitrogen 社製、カ
タログ番号:#A-150228) でも可能] のいずれかと0.3mg
のpVA (アデノウイルス付随RNA1をコードするプラスミ
ド)とを用いて細胞をトランスフェクトした。トランス
フェクションの5時間後、細胞をリン酸緩衝生理食塩水
(PBS) で2回リンスし、ついで新鮮な培地を再添加し
た。遺伝子導入後、計48〜60時間培養した後、細胞をPB
S でリンスし、3.7 %のホルムアルデヒドで10分間固定
した。固定した細胞をPBS で3回洗浄した後、抗PGIS抗
体P4とともに、2時間インキュベートし、2% FBSを含
むPBS で3回洗浄した。ついで、洗浄後の細胞を抗ウサ
ギIg-Texas Redとともに37℃で1時間インキュベート
し、1mM Hoechst 33258により室温で15分間染色した。
【0086】(2)オリゴヌクレオチド及びHVJ-リポソ
ーム法 ヒトPPAR- δ cDNA センス配列に対応するdS:5'-CTCGG
TGACTTATCCTGTG-3' (配列番号:3)、ヒトPPAR- δ c
DNA アンチセンス配列に対応するdAS :5'-TCCTCTTTCTC
CTCCTCTT-3' (配列番号:4)、ヒトPPAR- α cDNA セ
ンス配列に対応するaS:5'-CTCGGTGACTTATCCTGTG-3'
(配列番号:5)及びヒトPPAR- α cDNAアンチセンス
配列に対応するaAS :5'-CACAGGATAAGTCACCGAG-3' (配
列番号:6)のそれぞれのオリゴヌクレオチドについ
て、ESPEC oligo service Co. Ltd.により調製した。こ
れらのオリゴヌクレオチドを、HVJ-リポソーム法を用い
ることにより細胞にトランスフェクトした。各オリゴヌ
クレオチド(22μg )と核タンパク質、高移動度群(HM
G)-1 とを混合した。乾燥脂質(ホスファチジルセリン
/ホスファチジルコリン/コレステロール、1:4.8:2 w/
w/w )と紫外線光不活化HVJ ウイルスとを混合すること
により、HVJ-リポソームを調製した。インキュベーショ
ン及びスクロース勾配遠心分離後、最上層をトランスフ
ェクションのために回収した。トランスフェクションの
48時間後、内在性のPPAR- δ発現が抑制される細胞を、
PPREx3- ルシフェラーゼアッセイとアポトーシスアッセ
イとに使用した。
【0087】(3)PPREx3- ルシフェラーゼアッセイ センスオリゴヌクレオチドのCGCGTAAAAACTGGGCCAAAGGTC
TCAAAAACTGGGCCAAAGGTCTAAAAACTGGGCCAAAGGTCTC (配列
番号:7)とアンチセンスオリゴヌクレオチドのTCGAGA
GACCTTTGGCCCAGTTTTTAGACCTTTGGCCCAGTTTTTAGACCTTTGGC
CCAGTTTTA (これは、3コピーのPPREを含む;配列番
号:8)を合成し、アニールし、pGL3- プロモーターベ
クター(Promega 社製)のMluI-XhoI 部位にサブクロー
ン化した。HEK-293 細胞を、LipofectAMINE によって、
PPREx3- ルシフェラーゼレポーターベクターとβ−ガラ
クトシダーゼ発現ベクターとで、共トランスフェクトし
た。β−ガラクトシダーゼ活性について、値を、405nm
での吸光度により標準化した。
【0088】(4)アポトーシスアッセイ LipofectAMINE を用いて、1.0 μg のβ−ガラクトシダ
ーゼ発現ベクターで細胞をトランスフェクトした。所定
の時間後、X-Gal で細胞を染色し、アポトーシス性の形
態について評価した。Ac-DEVD-AFC 基質を使用するApoA
lertカスパーゼアッセイキット(Clontech社製)でアポ
トーシスをモニターした。この活性を、コントロールと
してAc-DEVD-CHO で前処理された溶解物を使用して、製
造業者の指示に従って決定した。カスパーゼ活性は、サ
ンプルのカスパーゼ活性と、擬似プラスミドでトランス
フェクトされたHEK-293 細胞から調製された溶解物にお
けるカスパーゼ活性との間の比率として示される。
【0089】結果 本発明者らは、ウシ大動脈内皮細胞 (BAEC) 又はマウス
血管平滑筋由来のSVS30 細胞におけるCOX-2 の過剰発現
が、膜小疱形成及び細胞体凝縮(アポトーシスの典型的
な特徴)[Yang, X. ら, Cell 89, 1067-1076(1997)] を
含む、有意な形態学的変化を生じることを見出した(図
1b 、d )。他方、ヒト胎児腎上皮細胞株293(HEK-293)
又はサル腎由来のCV-1細胞への、COX-2 発現ベクターの
トランスフェクションは、変化を全く生じなかった (図
1f 、i)。BAEC及びSVS30 は、内在性のPGISを発現する
が、HEK-293 もCV-1も、PGISを発現しない。しかしなが
ら、アポトーシスとPGISとの間の関係は、この段階では
不明であった。
【0090】そこで、アポトーシスが、PGISの発現に依
存するか否かを試験するために、PGISについての発現プ
ラスミドが、COX-2 発現ベクターとともに、HEK-293 細
胞又はCV-1細胞に共トランスフェクトされた。図1g 、
j において示されるように、両方の細胞株の形態が、劇
的に変化した。PGISによって生成されるプロスタサイク
リンが、アポトーシスの誘導に関与するという可能性を
試験するために、酵素学的に活性な野生型ヒトPGIS(PG
ISwt)又は不活性な変異体PGISC441A (PGISの活性部位
のCys 残基での部位特異的変異を誘発させた酵素)に対
する発現ベクターを、HEK-293 にトランスフェクトした
[Hatae, T.ら, FEBS Lett. 389, 268-272 (1996)] 。細
胞におけるPGISの発現を確認するために、抗PGISポリク
ローナル抗体を使用する免疫蛍光染色を行った。同時
に、アポトーシスと関連する典型的な形態学的変化であ
るクロマチン凝集を調べるために、フルオロクロムビス
ベンジミド(Hoechst 33258) 色素染色法を使用して測定
した。PGISwtの発現により、コントロール細胞と比較し
て、有意に、細胞の正常性及び生存性が低減した。図2
a 及びb において示されるように、PGISwtタンパク質を
発現するPGISポジティブ細胞は、Hoechst 33258 によっ
て特異的に染色されることが観察された。これらの細胞
から抽出されたゲノムDNA は、ラダーであった(データ
示さず)。図2c において示されるように、野生型酵素
の発現のレベルに類似する変異体PGISの発現のレベル
が、免疫蛍光染色によって検出されたが、PGISC441A タ
ンパク質を発現するPGISポジティブ細胞は、Hoechst 33
258 によって染色されなかった (図2c 、d)。図3a に
おいて示されるように、アポトーシスHoechst 33258 ポ
ジティブ細胞の数の増加は、時間依存性であった。さら
に、PGIS発現細胞の数に比較して、Hoechst 33258 ポジ
ティブ細胞の数は、100 μM U46619 (PGISのインヒビタ
ー) [Zou, M.ら,Biol. Chem. 378, 707-713(1997)] (32
%) 、又は100 μM アスピリン (COX インヒビター) (4
8 %) での細胞の処理によって減少された(データ示さ
ず)。細胞が、漸増量のPGISwt発現ベクターでトランス
フェクトされる場合、イムノブロッティングによって検
出される細胞中で発現されるPGISwtタンパク質の量、及
びアポトーシス細胞の数の両方が、相関して増加された
(図3b)。他方、PGISC441A 発現ベクターが、同じ条件
下で細胞にトランスフェクトされる場合、アポトーシス
細胞の数は増加しなかったが、PGISC441A タンパク質の
発現レベルの増加は、PGISwtの発現レベルの増加と同じ
であった。これらの結果は、HEK-293 細胞におけるクロ
マチンの凝集は、活性なPGISの発現を必要とすることを
示す。
【0091】PGISの発現とアポトーシスとの間の関係を
厳密に確認するために、HEK-293 細胞を、ヒトPGISwt及
びβガラクトシダーゼについての2つの発現コンストラ
クトで、共トランスフェクトした。HEK-293 細胞の正常
な平らな形態は、膜小疱形成及び細胞体凝縮によって特
徴付けられるアポトーシス細胞の評価を容易にする。ト
ランスフェクションから規定されたインキュベーション
時間経過後、トランスフェクトされた細胞をマークする
ために、細胞を、β−ガラクトシダーゼ活性について、
X-gal で染色し、アポトーシス形態について評価した。
60時間後、アポトーシス形態学に対する劇的な変化が、
青色の細胞において特異的かつ有意に観察された(図4
a )。対照的に、PGISC441A 発現ベクターが、トランス
フェクションに使用された場合、形態学的な変化は何も
見られなかった(図4b )。これらの結果は、酵素学的
に活性なPGISの発現が、細胞がアポトーシスを受けるた
めに必要であることを示す。HEK-293 細胞において、ア
ポトーシスは、COX-2 の共発現を伴わずにPGISwtの発現
によって誘導された (図4 a 、図5) 。COX-2 が、PGIS
wtと共発現される場合、アポトーシス細胞の数は増加さ
れた(16%)。さらに、培地へのアラキドン酸の添加
は、PGISwt及びCOX-2 の両方を発現するほとんど全ての
細胞においてアポトーシスを誘導した。培養培地に放出
される6-ケト-PGF1 αの濃度は、アポトーシスの頻度と
相関した (図6)。COX-2 の代わりの、COX-1 の共発現
は、類似の結果を与えた(データ示さず)。PGISC441A
発現ベクターが、トランスフェクションに使用された場
合、6-ケト-PGF1 αの生成は検出されず、形態学的な変
化を受ける細胞の数は増加しなかった(図5 、図6 、図
4b)。PGISC441A とCOX-2 との共発現も、アラキドン酸
のさらなる補充も、6-ケト-PGF1 αの生成や形態学的な
変化に影響しなかった (図5 、図6)。これらの知見は、
アポトーシスのプロセスにおける、活性なPGISによって
生成されるプロスタサイクリンの関与を明らかに示唆す
る。
【0092】次の問題は、どのカスケードが、この系に
おいてプロスタサイクリンにより誘導されるアポトーシ
スに寄与するのかということである。アポトーシスを誘
導する経路を決定するために、細胞に対するプロスタサ
イクリンの効果を、イロプロスト(安定なプロスタサイ
クリンアナログ)を使用して、試験した。図7 において
示されるように、β- ガラクトシダーゼとPGISwt又はPG
ISC441A とを共発現する細胞を種々の濃度のイロプロス
トで処理したところ、細胞内cAMPが蓄積された場合であ
っても (図8)、アポトーシスを誘導しなかった。プロス
タサイクリン及びイロプロストの両方は、膜結合性のG
タンパク質共役型プロスタサイクリン受容体、IP及び/
又はプロスタグランジンE 受容体のEPを介して、cAMPの
細胞内濃度を上昇させる。本研究においてRT-PCR法によ
ってIP mRNA の発現は検出されなかったが(データ示さ
ず)、HEK-293 細胞においてEPが発現されること、及び
PGE1が、cAMPの細胞内濃度を上昇させること[Venable,
M. E. ら, J. Biol. Chem.269, 26040-26044(1994)]が
報告されている。プロスタサイクリンは、高濃度でEPを
刺激し得るので、cAMPは、EPを介するプロスタサイクリ
ン刺激の結果として蓄積されたと考えられる。しかし、
アポトーシスを受ける細胞の数は、増加しなかった。実
際、ジブチリルcAMP(dbcAMP)での細胞の処理は、アポ
トーシスを促進しなかった (図9)。興味深いことに、イ
ロプロスト及びdbcAMPは、実際、これらの細胞のアポト
ーシスを、ある程度(5%〜30%)阻害した (図7 、図
9)。アポトーシスは、通常、細胞タンパク質のリン酸化
及びタンパク質キナーゼの活性化と関連する。タンパク
質キナーゼ経路とプロスタサイクリン媒介性のアポトー
シスとの間の関係を試験するために、細胞を、タンパク
質キナーゼインヒビターで処理した。図10において示さ
れるように、H-7(cAMP依存性のタンパク質キナーゼ、cG
MP依存性タンパク質キナーゼ、及び脂質依存性タンパク
質キナーゼC に同等に作用するセリン- スレオニンタン
パク質キナーゼインヒビター)は、プロスタサイクリン
媒介性のアポトーシスをブロックせず増強させた。これ
らのデータは、これらのキナーゼによって触媒されるセ
リン- スレオニンリン酸化事象は、プロスタサイクリン
誘導性のアポトーシスの誘導に関与しないことを示唆
し、及びプロスタサイクリン媒介性のアポトーシスの誘
導は、Gタンパク質共役型受容体/第2メッセンジャー
/タンパク質キナーゼシグナル伝達経路の刺激によって
促進されないことを示す。本発明者らのデータは、IP及
びEPから独立してアポトーシスを誘導する、新規なプロ
スタサイクリンシグナル伝達経路を示唆する。
【0093】PPARは、核ホルモン−受容体ファミリーの
メンバーであり、かつそれ自身、リガンド活性化転写因
子である[Nagy, L. ら, Cell 93, 229-240 (1998)]。こ
れらの受容体は、脂質低下性のフィブラート(例えば、
クロフィブラート)、種々の脂肪酸、及びいくつかのア
ラキドン酸代謝物によって、活性化され得る。3つの亜
型の、PPAR- α、- δ(- β又はNUCIとしてもまた知ら
れる)、及び- γが、同定されている[Braissant, O.
ら, Endocrinology 137, 354-366 (1996)]。PPARは、そ
れらの標的遺伝子のプロモーター中のPPAR- 応答エレメ
ント(PPRE)と呼ばれるDNA モチーフに結合するPPAR-R
XRヘテロ2量体を介して、それらの標的遺伝子を活性化
することが知られている。PPAR間で、最も十分には理解
されていないのが、PPAR- δ亜型の生物学であるが、イ
ロプロスト及びカルバサイクリンが、CV-1において過剰
発現された組換えPPAR- δのリガンドであることが報告
されている[Forman, B. M.ら, Proc. Natl. Acad. Sci.
USA 94, 4312-4317 (1997)]。他方、不安定なエイコサ
ノイドのプロスタサイクリンが、内在性のPPAR- δのネ
イティブなリガンドであるか否かは、これが不安定であ
るので、不明であった。ネイティブなプロスタサイクリ
ンが、PPARを活性化し得るか否かを決定するために、PP
AR- 応答性エレメント(PPRE)の制御下でルシフェラー
ゼを発現するレポータープラスミドを構築した。細胞内
リガンドの存在下で、PPARは、PPREに結合し、そしてル
シフェラーゼの遺伝子の転写を活性化し、ルシフェラー
ゼ活性が増加する。内部コントロール基準としてのβ-
ガラクトシダーゼ発現ベクター、PPRE- ルシフェラーゼ
レポータープラスミド、及びPGISwt又はPGIS441Aについ
ての発現プラスミドで、細胞を共トランスフェクトし
た。PGISwt発現プラスミド及びPPRE- ルシフェラーゼレ
ポーターを、細胞に共トランスフェクトした場合、ルシ
フェラーゼ活性は、細胞内6-ケト-PGF1 αの量と平衡し
て増加した(図11、図12)。PGISC441A 及びレポーター
を、細胞に共トランスフェクトした場合、6-ケト-PGF1
αの生成も、ルシフェラーゼ活性の誘導も見られなかっ
た。図13において示されるように、イロプロスト(1〜
100 μM )は、この系においてPPRE- ルシフェラーゼ活
性を増加できなかった。多くのPGが、PG輸送体によっ
て、細胞膜を横切って細胞に輸送されると考えられてい
る[Kanai, N.ら, Science 268, 866-869 (1995)]。他
方、イロプロストは、PG輸送体によって細胞にほとんど
誘導されないことが報告されている[Chan, B. S.ら, J.
Biol. Chem. 273, 6689-6697(1998)]。本発明者らはま
た、HEK-293 細胞におけるイロプロストの取込みが、非
常に低いこと、及び大部分の取込まれたイロプロスト
(99%<)が、細胞膜に局在化されること(図14)、を
確認した。培地に添加されたプロスタサイクリンは、CV
-1細胞中で過剰発現された組換えPPARを活性化できなか
ったが、イロプロストの添加により、細胞中で過剰発現
された組換えPPARが活性化されることが報告されている
[Hertz, R.ら, Eur. J. Biochem. 235, 242-247 (199
6)] 。本発明者らのデータは、培養培地に添加されたイ
ロプロストが、HEK-293 細胞において発現される内在性
のPPARを活性化できなかったことを示した。HEK-293 細
胞は、細胞内及び細胞外のシグナル伝達を別々に特徴付
けするための良好なモデルである。これらの観察は、PG
ISwtによって生成される細胞内プロスタサイクリンは、
PPARを活性化することによってアポトーシスを誘導する
が、細胞外プロスタサイクリンは誘導しないという結論
を導く。
【0094】イロプロストは、PPAR- α及び- δの両方
に対するリガンドとして作用する。PPAR- αは、肝細
胞、心筋細胞、腸細胞、及び腎臓の近位尿細管細胞中で
高度に発現される[Tone, Y. ら, Eur. J. Cell. Biol.
72, 268-277(1997)]。PPAR- αは、肝細胞においてアポ
トーシスの発現を阻害し得[Carcinogenesis, 19, 43-48
(1998)]、及びまた、TNF-αで活性化されたヒトマクロ
ファージにおいてアポトーシスを促進する[Chinetti,
G. ら, J. Biol. Chem. 273, 25573-25580(1998)]。他
方、PPAR- δは、普遍的に、及び、しばしばPPAR- α及
びPPAR- γよりも高いレベルで、発現される[Endocrino
logy 139, 2748-2754, (1998)]。さらに、PPAR- δの生
物学的及び生理学的機能は、明らかでない。プロスタサ
イクリンによって活性化されるアポトーシスを促進する
シグナル伝達経路を明らかにするために、これらのPPAR
についてのアンチセンスオリゴヌクレオチドを使用し
た。アンチセンスオリゴヌクレオチドPPAR- αを、HVJ-
リポソーム法[Todaka, T. ら,Stroke 30, 419-426(199
9)]を使用して、HEK-293 細胞にトランスフェクトした
場合、アポトーシスは阻害されず、実際、細胞の生存率
は低下された(データ示さず)。対照的に、同じ方法を
使用した、PPAR- αセンスオリゴヌクレオチドでの細胞
のトランスフェクションは、顕著な変化を引き起こさな
かった。これらの結果は、PPAR- αが、HEK-293 細胞の
生存性を維持するにおいて重要な役割を果たし得るこ
と、及びプロスタサイクリン媒介性のアポトーシスは、
PPAR- αを介して促進されないことを示す。
【0095】従って、本発明者らは、PPAR- δが、プロ
スタサイクリン媒介性のアポトーシスについての重要な
分子として作用する第2のプロスタサイクリン受容体で
あると考えた。このことを直接的に調査するために、本
発明者らは、PPAR- δアンチセンスオリゴヌクレオチド
を、HVJ-リポソーム法を使用して、HEK-293 細胞にトラ
ンスフェクトした。48時間後、PPAR- δタンパク質の抑
制が、イムノブロッティングによって確認された(図1
5)。PPAR- δアンチセンスオリゴヌクレオチドで処理
された細胞の形態は正常であり、細胞の数は増加され
た。PGISwt発現ベクター及びβ- ガラクトシダーゼ発現
ベクターを、アンチセンスオリゴヌクレオチドととも
に、細胞に共トランスフェクトした場合、アンチセンス
オリゴヌクレオチドを保有するアポトーシス細胞の数の
減少によって評価されるように、プロスタサイクリン媒
介性のアポトーシスが、有意にブロックされた(図1
6)。さらに、PPAR- δアンチセンスオリゴヌクレオチ
ドで処理された細胞においては、PGISwtとともに共発現
されたルシフェラーゼの活性は、有意に減少された。こ
れらの結果は、イロプロスト及びカルバプロスタサイク
リンのみでなく、プロスタサイクリンもまた、PPAR- δ
のリガンドであることを、明らかに示す。図17及び図18
において示されるように、ルシフェラーゼ活性の増加
は、カスパーゼ活性の増加と平行であった。これらの結
果はまた、プロスタサイクリン媒介性のアポトーシス
が、内在性のPPAR- δの発現に依存することを示してい
る。
【0096】本発明者らは、プロスタサイクリンが、PP
AR- δの真正の天然のリガンドであること、及びプロス
タサイクリンによる内在性のPPAR- δの活性化が、HEK-
293細胞におけるアポトーシス経路の活性化を生じるこ
とをはじめて示した。プロスタサイクリンは、核PPAR-
δ及び細胞表面受容体の両方と相互作用し、cAMPの細胞
内濃度を増加し、そしてこれらのシグナル伝達は、それ
ぞれ、細胞アポトーシス及び/又は生存性に対する、反
対の生物学的効果を、協同して行使する。本発明者ら
は、図19中の模式図において示されるように、核受容体
PPAR- δを含むプロスタサイクリンシグナル伝達経路に
収束した。なぜ、PGISを発現する内皮細胞及び血管平滑
筋細胞が、内因的にアポトーシスを受けないのであろう
か。なぜなら、内皮細胞及び血管平滑筋細胞はまた、内
在性のプロスタサイクリン受容体(IP)(これは、低濃
度のプロスタサイクリンでcAMPのレベルを増加する)を
発現するからである。IP/cAMP/タンパク質キナーゼ経路
は、これらの細胞を、オートクリン及び/又はパラクリ
ン作用によって、プロスタサイクリン媒介性のアポトー
シスから保護し得ることが考えられ得る。従って、HEK-
293 及びCV-1のようなIP発現を欠損する細胞は、プロス
タサイクリン媒介性のアポトーシスを容易に受けると考
えることが可能である。さらに、PPAR- α、PPAR- δ、
及びGタンパク質共役型PG受容体と共役して、プロスタ
サイクリンによって調節される細胞運命の制御について
の、精巧な機構が存在し得るかも知れない。この新規な
経路を含むプロスタサイクリンシグナル伝達カスケード
のさらなる特徴づけが、本発明者らの研究室で進行中で
ある。
【0097】実施例2 ヒト結腸癌細胞におけるアポト
ーシスの誘導 慣用の部位特異的変異導入法により、PGISの活性中心に
アラニンを導入して作製した不活性型PGIS遺伝子(PGISC
441A) または天然型PGIS遺伝子(PGISwt)を、ヒト結腸癌
細胞Caco2 細胞にトランスフェクトした。なお、トラン
スフェクションは、LipofectAMINE を用い、1.0 μg の
β−ガラクトシダーゼ発現ベクターと前記遺伝子とを共
トランスフェクトすることにより実施した。また、対照
として、HEK-293 細胞およびCV-1細胞も同様にトランス
フェクトした。60時間後、X-galで染色した。その結果
を図20に示す。
【0098】図20に示すように、PGISwtを導入した細胞
だけにアポトーシスが認められた。したがって、PGIS遺
伝子を導入することにより、癌細胞においてアポトーシ
スを誘導することが示され、PGIS遺伝子が癌治療に有効
であることが示された。
【0099】実施例3 PGIS遺伝子導入による癌治療の
評価 慣用の方法により、PGIS遺伝子をアデノウイルスベクタ
ーに組み込み、組換えアデノウイルスベクターを得た。
得られた組換えベクターを癌の遺伝子治療用医薬組成物
として用いる。
【0100】(1)動物実験 腫瘍の形成が確認されたヌードマウスの癌モデルに適切
な用量の遺伝子治療用医薬組成物を適当な投与回数
(1,2,3回)投与する。同時に、腫瘍径の変化を観
察する。対照群として、プロスタサイクリン合成酵素遺
伝子を含まないアデノウイルスベクターを投与した群を
用いる。さらに投与量、投与回数などを評価する場合、
適宜投与量、投与回数を変えた群を用いる。本発明のア
ポトーシス誘導用医薬組成物を投与した群(投与群)と
対照群のそれぞれにおいて、腫瘍の形成を確認し、腫瘍
サイズを測定する。
【0101】これにより、投与群において、より腫瘍の
退縮が見られた場合、動物実験レベルで癌の治療ができ
たことを示す指標となる。また、組織について、前出の
アポトーシスの特徴の評価の手法により評価することが
できる。これにより、投与群において多くのアポトーシ
ス細胞の存在が確認された場合、動物実験レベルで本発
明のアポトーシス誘導用医薬組成物のアポトーシス誘導
効果が発揮されたことの指標となる。
【0102】(2)ヒト個体における臨床試験 適切な用量の遺伝子治療用医薬組成物を適当な投与回数
投与する。その後、日本遺伝子治療学会編遺伝子治療開
発研究ハンドブック, エヌ・ティー・エス,1999 の記載
に基づき、組換えアデノウイルスベクターの細胞傷害
性、他の個体への感染性、染色体への組み込みを調べ
る。
【0103】個体における癌治療の臨床的効果は、腫瘍
の定期的な写真撮影、CTスキャン、MRIなどでの記
録により、腫瘍径を測定し、直交する長径と短径から推
定腫瘍体積を算出し腫瘍の増殖を計算し、腫瘍の評価指
標に基づき評価する。また、アポトーシスの有無を組織
の形態学的観察により評価する。また、分子生物学的解
析として、有効成分のDNA の標的細胞内の存在を確認す
るためのPCR などによる検出、アポトーシスのTUNEL 染
色法などによる検出などを行なう。
【0104】実施例4 細胞に対するアポトーシス誘導
剤のスクリーニング PPARの応答エレメントである実施例1記載の3 つのPPRE
コピーを含むオリゴヌクレオチドをレポーター遺伝子に
連結したプラスミドを作製する。レポーター遺伝子とし
て、ルシフェラーゼ遺伝子を用い、プラスミドとして、
pGL3- プロモーターベクター (Promega 社製) を用い
る。
【0105】次に、前記プラスミドを細胞に導入して、
形質転換細胞を作製する。ここで、宿主として用いられ
る細胞としては、PPAR- δを内在的に発現しており、レ
ポーター遺伝子活性が検出できるような細胞であるHEK-
293 細胞(ATCC CRL-1573) を用いる。細胞へのプラスミ
ドの導入は、LipofectAMINE (Gibco-BRL社製) を用いた
手法により行なう。
【0106】このようにして作製された形質転換細胞に
対して被検物質を添加し、該被検物質がレポーター遺伝
に発現量を増加させるか否かを測定・評価することによ
り、アポトーシス誘導剤の候補を選択することができ
る。レポーター遺伝子発現量を増加させた被検物質は、
アポトーシス誘導剤の候補である。したがって、この選
択された被検物質を、さらに前記実施例1記載のカスパ
ーゼ活性を指標としたアポトーシスアッセイ等に供する
ことにより、細胞に対するアポトーシス誘導剤を選択す
ることができる。
【0107】配列表フリーテキスト 配列番号:1は、ヒトPGISのアミノ酸番号:27〜45に対
応する合成ペプチドのアミノ酸配列である。
【0108】配列番号:2は、ヒトPGISのアミノ酸番
号:485 〜500 に対応する合成ペプチドのアミノ酸配列
である。
【0109】配列番号:3は、HVJ-リポソーム法用オリ
ゴヌクレオチドの塩基配列である。
【0110】配列番号:4は、HVJ-リポソーム法用オリ
ゴヌクレオチドの塩基配列である。
【0111】配列番号:5は、HVJ-リポソーム法用オリ
ゴヌクレオチドの塩基配列である。
【0112】配列番号:6は、HVJ-リポソーム法用オリ
ゴヌクレオチドの塩基配列である。
【0113】配列番号:7は、PPREx3- ルシフェラーゼ
アッセイ用のオリゴヌクレオチドの塩基配列である。
【0114】配列番号:8は、PPREx3- ルシフェラーゼ
アッセイ用のオリゴヌクレオチドの塩基配列である。
【0115】
【発明の効果】本発明のアポトーシス誘導用医薬組成物
によれば、アポトーシスの誘導が治療効果につながる疾
患の治療が可能になるという優れた効果を奏する。ま
た、本発明の癌の遺伝子治療用医薬組成物によれば、ア
ポトーシスを誘導し、それにより、癌細胞を細胞死に至
らしめることができる。さらに、本発明のスクリーニン
グ法は、アポトーシスを誘導しうる薬剤を簡便にスクリ
ーニングすることが可能である。
【0116】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Tadashi Tanabe <120> A pharmaceutical composition comprising prostacyclin synthase gene . <130> SP-12-003 <160> 8 <170> PatentIn Ver. 2.1
【0117】 <210> 1 <211> 20 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: An amino acid sequence for syn thetic peptide corresponding to amino acid NOs: 27 to 45 of human PGIS. <400> 1 Pro Gly Glu Pro Pro Leu Asp Leu Gly Ser Ile Pro Trp Leu Gly Tyr 1 5 10 15 Ala Leu Asp Cys 20
【0118】 <210> 2 <211> 16 <212> PRT <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: An amino acid sequence for syn thetic peptide corresponding to amino acid NOs: 485 to 500 of human PGIS . <400> 2 Leu Met Gln Pro Glu His Asp Val Pro Val Arg Tyr Arg Ile Arg Pro 1 5 10 15
【0119】 <210> 3 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: A nucleotide sequence of oligo nucleotide for HVJ-lyposome method. <400> 3 ctcggtgact tatcctgtg 19
【0120】 <210> 4 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:A nucleotide sequence of oligon ucleotide for HVJ-lyposome method. <400> 4 tcctctttct cctcctctt 19
【0121】 <210> 5 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:A nucleotide sequence of oligon ucleotide for HJV-lyposome method. <400> 5 ctcggtgact tatcctgtg 19
【0122】 <210> 6 <211> 19 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:A nucleotide sequence of oligon ucleotide for HVJ-lyposome method. <400> 6 cacaggataa gtcaccgag 19
【0123】 <210> 7 <211> 67 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:A nucleotide sequence of oligon ucleotide for PPREx3-luciferase assay. <400> 7 cgcgtaaaaa ctgggccaaa ggtctcaaaa actgggccaa aggtctaaaa actgggccaa 60 aggtctc 67
【0124】 <210> 8 <211> 65 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence:A nucleotide sequence of oligon ucleotide for PPREx3-luciferase assay. <400> 8 tcgagagacc tttggcccag tttttagacc tttggcccag tttttagacc tttggcccag 60 tttta 65
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、BAEC細胞、SVS30 細胞、HEK-293 細
胞、又はCV-1細胞に対する、COX-2 発現の影響を示す図
である。細胞は、β- ガラクトシダーゼ、及び擬似
(a、c、e、h)又はCOX-2 (b、d、f、i)につ
いての発現ベクターで共トランスフェクトされ、X-Gal
で染色された。HEK-293 細胞(g)及びCV-1細胞(j )
は、野生型PGIS(PGISwt)発現ベクターで共トランスフ
ェクトされた。
【図2】図2は、ヒト胎児腎上皮細胞株HEK-293 中にお
ける野生型PGIS(PGISwt)、不活性型(PGISC441A) の発現
による影響を示す図である。野生型PGIS(PGISwt)はHEK-
293 においてアポトーシスを促進する。細胞を、PGISwt
の発現プラスミドで(a、b)、PGISの不活性な形態
(PGISC441A )の発現プラスミドで(c、d)、又はネ
ガティブコントロールの擬似プラスミドで(e、f)、
トランスフェクトした。細胞を、3.7 %ホルムアルデヒ
ドで固定し、そして抗PGISポリクローナル抗体P4(a、
c、e)、又は蛍光色素ビス- ベンジミド(Hoechst 33
258 )(b、d、f)で、2重染色した。細胞中で発現
されるPGISwt(a)及びPGISC441A (c)の免疫検出
を、Texas-red結合2次抗体を使用して行った。
【図3】図3は、抗PGISポジティブ細胞に対するアポト
ーシス及びHoechst 33258 ポジティブ細胞の、経時的な
割合(a)とアポトーシスに対する、PGISwt又はPGISC4
41A それぞれの発現プラスミドの漸増量の影響(b)を
示す図である。上部パネルにおいて、発現されるPGIS
(PGISwt及びPGISC441A )を、抗PGIS抗体P1を使用する
イムノブロッティング分析によって検出した(b)。細
胞中で発現されるPGISwtタンパク質の量及びアポトーシ
ス細胞のパーセントは、相関して増加した(下部パネ
ル)。
【図4】図4は、細胞を、PGISwt(a)又はPGISC441A
(b)とβ- ガラクトシダーゼの発現構築物とで共トラ
ンスフェクトした結果を示す図である。
【図5】図5は、示された発現構築物を用いてトランス
フェクトした全細胞に対するアポトーシス細胞の割合を
示す図である。細胞を、アラキドン酸を伴って、又は伴
わないで、β- ガラクトシダーゼ、COX-2 、及びPGISwt
又はPGISC441A 又はmoc発現ベクターの、示される組み
合わせで、トランスフェクトした。全体の青色細胞に対
するアポトーシス形態学(例えば、膜小疱形成及び細胞
体凝縮)を有する青色細胞のパーセントを測定した。全
ての結果は、3回の実験(n= 3)の平均±S.D.を示
す。
【図6】図6は、示された発現構築物を用いてトランス
フェクトした全細胞における6-ケト-PGF1 αの濃度を測
定した結果を示す図である。全ての結果は、3回の実験
(n= 3)の平均±S.D.を示す。
【図7】図7は、示された濃度(0、1、10、100 μM
)のイロプラストを含有した血清非含有培地におけ
る、特異的なアポトーシスを受ける細胞の割合を示す図
である。細胞を、PGISwt、PGISC441A 又は擬似の発現プ
ラスミドとβ- ガラクトシダーゼの発現プラスミドとで
トランスフェクトした。17時間後、培地を、いくつかの
濃度(0、1、10、100 μM )のイロプロストを含有し
た血清非含有培地に交換した。全ての結果は、3回の実
験(n= 3)の平均±S.D.を示す。
【図8】図8は、示された濃度(0、1、10、100 μM
)のイロプラストを含有した血清非含有培地における
細胞中に蓄積される細胞内cAMPの濃度を示す図である。
細胞を、PGISwt、PGISC441A 、又は擬似、及びβ- ガラ
クトシダーゼについての発現プラスミドでトランスフェ
クトした。17時間後、培地を、いくつかの濃度(0、
1、10、100 μM )のイロプロストを含有した血清非含
有培地に交換した。全ての結果は、3回の実験(n=
3)の平均±S.D.を示す。
【図9】図9は、示された濃度(0、1、10、100 μM
)のdbcAMPを含有した血清非含有培地における、特異
的なアポトーシスを受ける細胞の割合を示す図である。
細胞を、PGISwt、PGISC441A 又は擬似の発現プラスミド
とβ- ガラクトシダーゼの発現プラスミドとでトランス
フェクトした。17時間後、培地を、いくつかの濃度
(0、1、10、100 μM )のdbcAMPを含有した血清非含
有培地に交換した。全ての結果は、3回の実験(n=
3)の平均±S.D.を示す。
【図10】図10は、示された濃度(0、1、10、100
μM )のdbcAMPを含有した血清非含有培地における、特
異的なアポトーシスを受ける細胞の割合を示す図であ
る。細胞を、PGISwt、PGISC441A 、又は擬似、及びβ-
ガラクトシダーゼについての発現プラスミドでトランス
フェクトした。17時間後、培地を、いくつかの濃度
(0、1、10、100 μM )のH-7 を含有した血清非含有
培地に交換した。全ての結果は、3回の実験(n= 3)
の平均±S.D.を示す。
【図11】図11は、PPAR活性化に対するPGIS発現の影
響を示す図である。PPREの活性化の倍率を、いくつかの
量(0、0.1 、0.5 、1μg)の、PGISwt又はPGIS441A
についての発現プラスミドで、共トランスフェクトし
た、PPRE×3-ルシフェラーゼレポータープラスミドを使
用することによって測定した。結果は、3回の実験(n
= 3)の平均±S.D.を示す。
【図12】図12は、細胞内6-ケトPGF1α濃度に対する
PGIS発現の影響を示す図である。漸増量(0、0.1 、0.
5 、1μg)の、PGISwt又はPGIS441Aについての発現プ
ラスミドで共トランスフェクトされた細胞の細胞内6-ケ
ト-PGF1 αの濃度を、EIAによって測定した。結果は、
3回の実験(n= 3)の平均±S.D.を示す。
【図13】図13は、PPAR活性化に対するPGIS発現の影
響を示す図である。PPREの活性化の倍率に対するイロプ
ロスト(100 μM )の効果を、HEK-293 細胞又はCV-1細
胞に1μgのPGISC441A 発現ベクターでトランスフェク
トされた、PPREx3- ルシフェラーゼプラスミドを使用し
て、測定した。結果は、3回の実験(n= 3)の平均±
S.D.を示す。
【図14】図14は、PPAR活性化に対するPGIS発現の影
響を示す図である。イロプロストの透過性を3H- イロプ
ロストを使用して測定した。HEK-293 細胞を、100 μM
3H- イロプロストを含有するDMEM中で、24時間、培養し
た。細胞の細胞膜、細胞質ゾル、及び核を調製し、そし
3H- イロプロストの分布を計数した。結果は、3回の
実験(n= 3)の平均±S.D.を示す。
【図15】図15は、アンチセンスオリゴヌクレオチド
によるPPAR- δ発現の抑制を示す図である。抗PPAR- δ
モノクローナル抗体を用いた、PPAR- δアンチセンスオ
リゴヌクレオチド(AS)でトランスフェクトされた細胞
から調製された溶解物のイムノブロッティング。センス
オリゴヌクレオチド(S )を、コントロールとして使用
した。
【図16】図16は、PGISの発現によって誘導されるプ
ロスタサイクリン媒介性のアポトーシスに対する、PPAR
- δアンチセンスオリゴヌクレオチド(AS)によるPPAR
-δ抑制の効果を示す図である。センスオリゴヌクレオ
チド(S )を、コントロールとして使用した。
【図17】図17は、PGISの発現によって誘導されるPP
AR活性化に対する、PPAR- δアンチセンスオリゴヌクレ
オチド(AS)を使用することによる、PPAR- δ抑制の効
果を示す図である。
【図18】図18は、カスパーゼ活性に対する、PPAR-
δアンチセンスオリゴヌクレオチド(AS)を使用するこ
とによるPPAR- δ抑制の効果を示す図である。全ての結
果は、3回の実験(n= 3)の平均±S.D.を示す。
【図19】図19は、細胞運命の調節について、cAMP伝
達経路と反対の効果を呈する、核受容体PPAR- δを含む
プロスタサイクリンシグナル伝達経路のモデルを示す図
である。
【図20】図20は、不活性型PGIS遺伝子(PGISC441A)
または天然型PGIS遺伝子(PGISwt)をヒト結腸癌細胞Caco
2 細胞にトランスフェクトした結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 15/09 ZNA G01N 33/50 Z C12Q 1/68 A61K 37/48 G01N 33/15 37/50 33/50 C12N 15/00 ZNAA Fターム(参考) 2G045 AA40 BB25 CB01 CB02 DA80 FA29 FB01 FB02 FB03 FB12 GC10 GC22 4B024 AA01 AA11 BA07 CA04 DA02 EA04 GA11 HA17 4B063 QQ08 QQ22 QQ44 QR77 QR80 QS03 QX02 4C084 AA13 DC01 DC23 MA02 NA14 ZB261 ZB262 ZC121 ZC122 ZC191 ZC192 ZC801 ZC802

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロスタサイクリン合成酵素遺伝子を有
    効成分として含有してなる、細胞におけるアポトーシス
    誘導用医薬組成物。
  2. 【請求項2】 他の薬剤との併用に供するものである、
    請求項1記載のアポトーシス誘導用医薬組成物。
  3. 【請求項3】 他の薬剤がシクロオキシゲナーゼ−2遺
    伝子を含有したものである、請求項2記載のアポトーシ
    ス誘導用医薬組成物。
  4. 【請求項4】 細胞が癌細胞である、請求項1〜3いず
    れか記載のアポトーシス誘導用医薬組成物。
  5. 【請求項5】 癌が固形癌である、請求項4記載のアポ
    トーシス誘導用医薬組成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれか記載のアポトーシ
    ス誘導用医薬組成物を有効成分として含有してなる、癌
    の遺伝子治療用医薬組成物。
  7. 【請求項7】 被検物質の存在下に、ペルオキシソーム
    増殖因子活性化受容体(PPAR)−δの活性化を決定
    することを特徴とする、細胞に対するアポトーシス誘導
    剤のスクリーニング方法。
  8. 【請求項8】 PPAR−応答エレメント(PPRE)
    とレポーター遺伝子とを連結したプラスミドを保持した
    形質転換細胞と被検物質とを接触させ、レポーター遺伝
    子発現量の増加をアポトーシス誘導能の指標とする、請
    求項7記載の細胞に対するアポトーシス誘導剤のスクリ
    ーニング方法。
  9. 【請求項9】 ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体
    (PPAR)−δと被検物質とをイン・ビトロで接触さ
    せる、請求項7記載の細胞に対するアポトーシス誘導剤
    のスクリーニング方法。
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