JP2001323344A - 加工性およびリサイクル性に優れた無方向性電磁鋼板 - Google Patents

加工性およびリサイクル性に優れた無方向性電磁鋼板

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JP2001323344A
JP2001323344A JP2000142146A JP2000142146A JP2001323344A JP 2001323344 A JP2001323344 A JP 2001323344A JP 2000142146 A JP2000142146 A JP 2000142146A JP 2000142146 A JP2000142146 A JP 2000142146A JP 2001323344 A JP2001323344 A JP 2001323344A
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Masaki Kono
正樹 河野
Atsuto Honda
厚人 本田
Yasuyuki Hayakawa
康之 早川
Yuka Komori
ゆか 小森
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 加工性およびリサイクル性に優れ、さらには
歪取り焼鈍後の磁気特性にも優れた無方向性電磁鋼板を
提供する。 【解決手段】 Si:1.5 〜4.0 mass%およびMn:0.005
〜2.00mass%を含み、かつAl,CおよびNをそれぞれ、
Al:0.030 mass%以下、C:0.0020mass%以下、N:0.
0020mass%以下に低減し、残部はFeおよび不可避不純物
の組成にすると共に、磁気特性について次の範囲鉄損W
15/50 ≦ 3.20 W/kgかつ磁束密度B50≧(1.650+0.025
×W15/50)Tを満足させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主に電気機器の
鉄心材料として用いられる無方向性電磁鋼板に関し、特
にその加工性およびリサイクル性の有利な改善を図った
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電力をはじめとするエネルギーの
節減という世界的な動きの中で、電気機器についても、
その高効率化が強く要望されている。また、電気機器を
小型化する観点から、特に鉄心材料の小型化に対する要
望も高まっている。さらに、最近では、環境への配慮か
ら、電気機器における鉄心材料のリサイクル化への対応
も急務となっている。
【0003】上記した電気機器の高効率化や鉄心材料の
小型化には、鉄心の素材となる電磁鋼板の磁気特性を改
善することが有効である。ここに、従来の無方向性電磁
鋼板の分野では、磁気特性のうち、特に鉄損を低減する
手段として、電気抵抗を増大させて渦電流損を低下させ
るために、SiやAl,Mn等の含有量を高める手法が一般に
用いられてきた。しかしながら、この手法では、磁束密
度の低下を免れることができないという、本質的な問題
を抱えていた。
【0004】一方、単にSiやAl等の含有量を高めるだけ
でなく、併せてCやSを低減すること、あるいは特開昭
58−15143号公報に記載されているようにBを添
加したり、特開平3−281758号公報に記載されて
いるようにNiを添加したりするなど、合金成分を増加さ
せることも、一般に知られている方法である。これら合
金成分を添加する方法では、鉄損は改善されるものの、
磁束密度の改善効果は小さく満足できるものではなかっ
た。また、合金添加に伴って鋼板の硬さが上昇して加工
性が劣化するため、かような無方向性電磁鋼板を加工し
て電気機器に使用する場合の汎用性に乏しく、その用途
は極めて限定されたものとなっていた。
【0005】さらに、製造プロセスを変更し、製品板に
おける結晶方位の集積度合い、すなわち集合組織を改善
して磁気特性を向上させる方法がいくつか提案されてい
る。例えば、特開昭58−181822号公報には、S
i: 2.8〜4.0 mass%およびAl: 0.3〜2.0 mass%を含
有する鋼に 200〜500 ℃の温度範囲で温間圧延を施し、
{100}<UVW>組織を発達させる方法が、そして
特開平0−294422号公報には、Si:1.5 〜4.0 ma
ss%およびAl:0.1 〜2.0 mass%を含有する鋼を熱間圧
延したのち、1000℃以上、1200℃以下の熱延板焼鈍と圧
下率:80〜90%の冷間圧延を組み合わせることによって
{100}組織を発達させる方法が、それぞれ開示され
ている。
【0006】しかしながら、これらの方法による磁気特
性の改善効果は、未だ満足できるものではなく、さらに
は加工性およびリサイクル性にも問題を残していた。す
なわち、鋼中にある程度以上のAlが含まれていると、ま
ず鋼板の硬さが上昇して加工性が阻害され、また鉄心材
料をリサイクルしたり、需要家でスクラップ処理する場
合に電気炉の電極を傷めるという問題があった。
【0007】さらに、鉄心のリサイクル材を用いてモー
タのシャフトなどを鋳造する場合、0.1 mass%以上のAl
が含まれていると、鋳込み時に溶鋼の表面酸化が進行し
て粘性が増大し、溶鋼の鋳型内充填性が悪化するため
に、健全な鋳込みが阻害されるところにも問題を残して
いた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、上記の問
題を有利に解決するもので、磁気特性に優れるのはいう
までもなく、加工性、さらにはリサイクル性にも優れた
無方向性電磁鋼板を提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】単にリサイクル性を改善
するだけならば、Al含有量を所定レベルまで低減すれば
良いのであるが、Al量を低減するとその分磁気特性の劣
化が避けられない。そこで、発明者らは、この点を改善
すべく鋭意研究を行った結果、Siを十分に含有し、かつ
N量が低い場合には、低Al材としても良好な鉄損特性が
得られること、しかも鋼中に不可避不純物として混入す
るSeとSを併せて低減すると、磁気特性がさらに改善さ
れることの知見を得た。また、Sbを添加すると、磁気特
性上好ましい集合組織の形成が促進されるだけでなく、
鋼板の硬さ調整にも有用であることが併せて見出され
た。この発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0010】すなわち、この発明の要旨構成は次のとお
りである。 1.Si:1.5 〜4.0 mass%およびMn:0.005 〜2.00mass
%を含み、かつC,AlおよびNをそれぞれ、C:0.0050
mass%以下、Al:0.030 mass%以下、N:0.0030mass%
以下に低減し、さらにSeおよびSを合計で0.0050mass%
以下に低減し、残部はFeおよび不可避不純物の組成にな
り、さらに鉄損W15/50 ≦ 3.20 W/kgかつ磁束密度B50
≧(1.650+0.025 ×W15/50)Tを満足することを特徴と
する、加工性およびリサイクル性に優れた無方向性電磁
鋼板。
【0011】2.上記1において、さらに Sb:0.005 〜0.50mass%を含有する組成になることを特
徴とする、加工性およびリサイクル性に優れた無方向性
電磁鋼板。
【0012】3.上記1または2において、鋼板の硬さ
が200 HV1以下であることを特徴とする、加工性および
リサイクル性に優れた無方向性電磁鋼板。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の解明経緯につい
て説明する。さて、電気機器のモータやトランスの効率
を高めるためには、これらの銅損や鉄損を低減すること
が重要であり、銅損と鉄損を同時に低減するためには、
素材の磁束密度を高めかつ鉄損を低減する必要がある。
ところが、一般に鉄損を低減するために添加するSiなど
の比抵抗増加元素は、飽和磁束密度を低下させることか
ら、鉄損および磁束密度を両立させるのは非常に困難で
あった。この点、集合組織の改善は、鉄損および磁束密
度を両立させ得る優れた手段であるが、これにも自ずか
ら限界があった。
【0014】このような状況下で、新たに材料を開発す
るには、まず素材の鉄損と磁束密度とをいかにバランス
させれば電気機器の高効率化につながるかを知ることが
極めて重要になる。そこで、発明者らは、最近一般的に
用いられるようになった 500WのブラシレスDCモータ
を用い、この鉄心に種々の素材を適用した場合における
モータ効率について調査した。ここで、モータ効率と
は、DCモータにおける入力に対する出力の比率であ
り、92%以上であれば極めて高効率と言える。
【0015】得られた結果を図1に示す。同図に示した
ように、鉄損W15/50 が 3.2 W/kg 以下で、かつ磁束密
度B50が(1.650+0.025 ×W15/50)T以上を満足する範
囲に素材の鉄損と磁束密度を制御することによって、極
めて良好なモータ効率が得られることが判明した。これ
は、素材の鉄損−磁束密度バランスを調整することによ
って、機器の鉄損と銅損が良好にバランスした結果であ
る。
【0016】この知見は、DCモータに限らず、AC誘
導モータや小型トランスにおいても基本的には同じはず
である。そこで、鉄損および磁束密度を上記の好適範囲
に制御することを、新たな材料開発の指針とした。
【0017】そこで次に、上記の知見を踏まえ、鉄損お
よび磁束密度が上記範囲を満足し、しかも良好な加工性
およびリサイクル性をも確保し得る、無方向電磁鋼板の
成分組成について検討した。まず、Alは、従来、磁気特
性向上のために必要であるとして添加されてきたが、加
工性およびリサイクル性を阻害することから、ここでは
Alを低減することが肝要である。
【0018】すなわち、Alは、鋼板の製造工程におい
て、鋼板表面の酸化を促進するため、圧延工程で圧延ロ
ールの磨耗を早めて圧延性を阻害するだけでなく、鋼板
の硬さを高めるために、需要家が打ち抜き加工する際に
金型の劣化を早めて作業時間やコストを増大させるな
ど、加工性に関して不利な成分である。また、電気機器
などのスクラップを利用して鋳造を行う場合に、Alが含
まれていると、鋳込み時に溶鋼の表面酸化が進行して粘
性が増大し、溶鋼の鋳型内充填性が悪化するために、健
全な鋳物が得られないことがあり、Alを含むスクラップ
はリサイクル性に乏しいものになる。
【0019】従って、加工性およびリサイクル性を向上
させるには、Alの含有量を低減することが有効となる。
とはいえ、一方でAlの低減は、磁気特性とりわけ鉄損の
増大を招くことになる。
【0020】しかしながら、この点に関する発明者らの
研究によれば、Alを低減したとしても、その他の鋼中成
分を適切に調整してやれば、加工性およびリサイクル
性、さらには磁気特性の全てを満足させ得ることが、新
たに究明された。すなわち、発明者らは、数多くの実験
結果を解析するうちに、Si量が十分にあり、かつN量が
低い場合には、Alをほとんど添加しなくても、良好な鉄
損特性が得られることを見出した。そこで、Al量とN量
について、系統的にその影響を明らかにするために、以
下の実験を行った。
【0021】まず、成分としてC:0.002 mass%および
Mn:0.20mass%を基本成分として固定し、これにSi, N
およびAl量を種々に変化させて含有させた、種々の鋼塊
を溶製した。ついで、これらの鋼塊を、1050℃に加熱
し、熱間圧延にて2.3 mm厚としたのち、約1000℃で熱延
板焼純を施し、酸洗後、冷間圧延にて最終板厚:0.35mm
に仕上げたのち、約1000℃, 10秒間の再結晶焼鈍を施し
て製品板とした。
【0022】これらの製品板から、圧延方向と平行およ
び圧延方向と直角にそれぞれサンプルを切り出し、JIS
C 2550に準拠して鉄損を測定して、その平均値を求め
た。得られた結果を図2に示す。同図に示したように、
Si量が高くかつN量が低い場合には、Alが 0.030mass%
以下の範囲でも、鉄損が著しく低減されることが判明し
た。
【0023】前述したように、Si量の高い高級無方向性
電磁鋼板では、従来鉄損を改善するために、Alを添加し
て固有電気抵抗を増加させる手法が採用されてきた。ま
た、Alの添加は、結晶粒成長を抑制する鋼中析出物であ
るAlNを凝集粗大化させ、結晶粒の成長を促進させる効
果もあった。そして、これらの効果を得るためには、一
定量以上のAlを確保することが必要とされ、従来、Al量
は少なくとも 0.1mass%を超える範囲に規制され、通常
は 0.4〜1.0 mass%程度含有されていた。しかしなが
ら、発明者らの上記実験によれば、従来技術の範囲より
もはるかにAl量を低減した場合でも、N量を規制するこ
とによって、Alを含有させた場合と同等以上に良好な集
合組織が発達し鉄損特性が向上することが、新たに見出
されたのである。
【0024】このように、素材成分において、Nを低減
した上でAlの含有量を低減することによって、良好な集
合組織が発達する理由については、必ずしも明確に解明
されたわけではないが、発明者らは、不純物の粒界移動
抑制効果に関連づけて以下のように考えている。すなわ
ち、Alを低減することにより、より純鉄に近い結晶格子
の配列状態へと近づくため、粒界構造に依存する本来的
な移動速度差が顕在化して、再結晶に伴う粒成長過程で
一部の粒界のみが優先的に移動し、{111}、{55
4}、{321}など数多くの磁気的に不利な結晶粒の
成長が抑制され、{100}強度が増加する方向への集
合組織変化が引き起こされる結果、磁気特性が向上した
ものと考えられる。特に、十分なSi量を含有し、かつN
量を0.0030mass%以下に低減した場合には、AlN析出物
が形成されにくくなる結果、{100}強度が増加する
方向への粒界移動が促進されるものと考えられる。
【0025】このように、Alを多量添加することなく集
合組織を改善して磁気特性を向上する手法では、Alが減
量されるために素材のリサイクル性が改善され、また合
金元素の添加量が減少するために飽和磁束密度を高める
ことができる。さらに、合金元素の添加量が減少される
と、鋼板の硬さ上昇が抑制される結果、製品の加工性が
確保されて、汎用電気製品への適用が促進されるとい
う、利点も得られる。
【0026】次に、発明者らは、上記のAlおよびNの低
減による効果をさらに高めることを目的として、微量元
素の影響について詳細な検討を行った。その結果、溶銑
やSi原料に含まれているが故に溶鋼中に不可避に混入す
る、SやSeを低減することによって、上記したAlおよび
Nの低減による磁気特性改善効果が高まり、より安定し
て鉄損および磁束密度の改善が達成されることが突き止
められた。
【0027】すなわち、Si,AlおよびN量を所定の範囲
に規定した成分組成であっても、磁束密度B50が図1に
示した適正領域から外れる場合が散見されたことから、
この原因を明らかにするために、Si:1.5 〜3.5 mass
%、Al:0.0002〜0.0150mass%およびN:約0.0020mass
%を含み、さらに微量不純物元素であるSおよびSeの含
有量を種々に変化させた鋼塊を溶製して実験に供した。
そして、これらの鋼塊を、1000℃に加熱してから熱間圧
延により2.3 mm厚としたのち、約1020℃で熱延板焼鈍を
施し、酸洗後、冷間圧延にて最終板厚:0.35mmに仕上げ
た。ついで、冷間圧延後、約1000℃,10秒間の再結晶焼
鈍を行って製品板とした。かくして得られた製品板か
ら、圧延方向と平行および圧延方向と直角に、それぞれ
サンプルを切り出し、JIS C 2550に準拠して磁束密度お
よび鉄損を測定し、その平均値をそれぞれ求めた。得ら
れた結果を、B50−1.650 − 0.025×W15/50 に整理し
た上で、SおよびSeの合計含有量との関係で、図3に示
す。
【0028】同図に示したように、(S+Se)合計量が
50 ppm以下の場合に、安定してB50≧1.650 + 0.025×
15/50 の特性が得られることが判明した。この理由は
必ずしも明らかではないが、SおよびSeはともにMnS,
MnSe等のMn析出物形成元素であることから、これらが微
細に析出すると、集合組織形成および結晶粒成長性に悪
影響を及ぼす微細析出AlNと同様の害を与えるため、こ
れらを低減することによって、この種の害が防止される
結果、良好な磁束密度が得られるものと考えられる。
【0029】さらに、この発明の無方向性電磁鋼板で
は、需要家での加工性を損なうことのないように、鋼板
のビッカース硬さを 200 HV1以下に規制することが好ま
しい。すなわち、Alを低減し、鋼板表面での酸化を抑制
して金型の早期磨耗を回避することに併せて、鋼板の硬
さを 200 HV1以下に規制することによって、鋼板の加工
性が格段に改善されるのである。とはいえ、鋼板の硬さ
が 120 HV1未満になると、逆に打ち抜いた端面に、だれ
やつぶれ等が発生して金型からの離脱が阻害されたり、
打ち抜き後のかえりが大きくなって鋼板の占積率などに
悪影響を及ぼす場合があるため、120 HV1 以上とするこ
とが好ましい。
【0030】この鋼板硬さの規制は、主にAlを低減する
ことによって達成されるものであるが、不純物元素が多
量に存在したり、最終焼純において焼鈍温度が不十分で
あったり、あるいは焼鈍中に酸化や窒化が生じた場合な
どには、所望の硬さを安定して得るのが困難となること
がある。従って、この発明に従って不純物を低減するこ
とは勿論、製造工程における焼鈍を、過度に酸化や窒化
が生じない雰囲気にすることが有効である。なお、この
発明では、酸化や窒化の核となる鋼中Al量を低減してい
るため、他の鋼種と比較すると、酸化や窒化は生じにく
い、利点がある。
【0031】また、酸化や窒化に対する抑制効果のある
Sbを添加することも、鋼板の硬さを200 HV1以下に規制
するのに有効である。また、Sbの添加は、低Alの場合の
AlNの微細析出を抑制し、かつこれらの粒成長阻害作用
を抑制することにより、磁気特性上より有利な集合組織
の形成を促進させる上でも有効である。これらの効果を
得るには、Sbは 0.005〜0.50mass%の範囲で添加するこ
とが好ましい。
【0032】次に、この発明の各構成要件の限定理由に
ついて詳述する。まず、この発明の無方向性電磁鋼板の
成分組成について説明すると、この発明では、Si:1.5
〜4.0 mass%およびMn:0.005 〜2.00mass%を含有させ
る必要がある。 Si:1.5 〜4.0 mass% すなわち、Siを含有させて電気抵抗を増大させ、鉄損を
低減する必要があり、この鉄損改善のためには1.5 mass
%以上の含有が必要である。一方、Si含有量が4.0 mass
%を超えると、磁束密度が低下するだけでなく、製品の
二次加工性が著しく劣化するので、Si量は 1.5〜4.0 ma
ss%の範囲に限定する。
【0033】Mn:0.005 〜2.00mass% Mnは、良好な熱間加工性を得るために必要な成分であ
り、そのためには少なくとも 0.005mass%の含有が不可
欠である。一方、2.00mass%を超えると、飽和磁束密度
の低下を招くので、Mn量は 0.005〜2.00mass%の範囲に
限定する。
【0034】C:0.0050mass%以下 Cは、磁気時効劣化を抑制し、かつ低Al化による集合組
織の改善効果を十分に発揮させるために、0.0050mass%
以下に抑制する必要がある。なお、Cの低減は、溶鋼の
段階で0.0050mass%以下としてもよいし、溶鋼段階で0.
0050mass%を超えている場合には途中工程での脱炭処理
により0.0050mass%以下としてもよく、要は再結晶焼鈍
中の鋼板におけるC含有量を50ppm 以下としておくこと
が重要である。
【0035】Al:0.030 mass%以下、N:0.0030mass%
以下 優れた磁気特性を得るためには、鋼板のAl量を0.030 ma
ss%以下まで低減すると共に、N量を0.0030mass%以下
まで低減することが肝要である。すなわち、Al含有量が
0.030 mass%を超えると、製品板における集合組織が劣
化して磁束密度が低下するため、0.030 mass%以下好ま
しくは0.010 mass%以下に低減する。また、N量が0.00
30mass%を超えると、AlN 析出物が形成されて、再結晶
焼鈍時の集合組織の発達と結晶粒の成長とが抑制され、
鉄損が大きく劣化するので、N量は0.0030mass%以下好
ましくは0.0025mass%以下に低減する。
【0036】SeおよびSを合計で0.0050mass%以下 さらに、SおよびSeは、MnS, MnSe等を形成し、集合組
織形成および結晶粒成長性を阻害するため、これらは合
計量で0.0050mass%以下好ましくは0.0030mass%以下に
規制する必要がある。
【0037】Sb:0.005 〜0.50mass% また、Sbは、AlN析出形態および粒界移動時の良好な集
合組織形成のために、有効な成分であり、0.005 mass%
未満ではその効果に乏しく、一方0.5 mass%を超える
と、逆に粒成長性を阻害するため、 0.005〜0.5mass %
の範囲で添加することが好ましい。
【0038】なお、Ni, Sn, Cu, PおよびCrなども、集
合組織の形成に有利に働くことが確認されており、これ
らを添加することに問題はない。しかしながら、Niが
2.0mass%、Snが 1.0mass%、Cuが 1.0mass%、Pが 0.
3mass%、そしてCrが 3.0mass%を超えると、粒界移動
が抑制されて集合組織の形成や粒成長性が阻害されるた
め、これらの上限値を超えない範囲で各成分を添加する
ことが好ましい。
【0039】上記の成分組成に調整した鋼板は、鉄損W
15/50 が 3.20 W/kg以下で、かつ磁束密度B50が(1.65
0 + 0.025×W15/50 )T以上の磁気特性を有し、しか
も加工性およびリサイクル性に優れたものとなる。
【0040】次に、この発明鋼板の製造方法について説
明する。上記の好適成分組成に調整した溶鋼から、通常
の造塊−分塊法や連続鋳造法によってスラブを製造して
もよいし、100 mm以下の厚さの薄鋳片を直接鋳造法で製
造してもよい。ついで、スラブは通常の方法で加熱して
熱間圧延に供するが、鋳造後、加熱せずに直ちに熱間圧
延に供してもよい。なお、薄鋳片の場合には、熱間圧延
しても良いし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程
に進めてもよい。ついで、必要に応じて熱延板焼鈍を施
し、さらに必要に応じて中間焼鈍を挟む1回以上の冷間
圧延を施したのち、連続焼鈍を行い、必要に応じて絶縁
コーティングを施す。積層した鋼板の鉄損を改善するた
めに、鋼板表面に絶縁コーティングを施すが、この目的
のためには、2種類以上の被膜からなる多層膜であって
もよいし、樹脂等を混合させたコーティングとしてもよ
い。
【0041】
【実施例】表1に示す成分組成になる鋼スラブを、連続
鋳造にて製造した。この鋼スラブを、1150℃で50分間加
熱後、熱間圧延にて2.2 mm厚の熱延板としたのち、1000
℃,30秒の熱延板焼鈍を施し、酸洗後、スケールを除去
してから、180 ℃の温度で冷間圧延を行って、0.35mmの
最終板厚に仕上げた。ついで、水素雰囲気で1000℃, 30
秒の再結晶焼鈍を施した後、重クロム酸塩と樹脂からな
る半有機コーティング液を塗布し、 300℃で焼き付けて
製品板とした。
【0042】かくして得られた製品板から、圧延方向と
平行および圧延方向と直角にそれぞれサンプルを切り出
し、JIS C 2550に準拠して磁束密度および鉄損を測定し
た。また、得られた製品板の硬さ(HV1)についても測定
した。得られた結果を表2に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
【表2】
【0045】表2に示したとおり、この発明範囲に成分
組成を調整した場合には、磁気特性の良好な製品板が得
られている。また、製品板の硬さも適正であり、良好な
加工性が得られることが分かる。
【0046】
【発明の効果】かくして、この発明によれば、加工性お
よびリサイクル性に優れ、しかも低鉄損でかつ高磁束密
度の無方向性電磁鋼板を安定して得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 モータ効率に及ぼす磁束密度B50および鉄損
15/50 の影響を示す図である。
【図2】 鉄損W15/50 に及ぼすAl,SiおよびN量の影
響を示す図である。
【図3】 磁気特性に及ぼす(S+Se)合計量の影響を
示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 早川 康之 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 (72)発明者 小森 ゆか 岡山県倉敷市水島川崎通1丁目(番地な し) 川崎製鉄株式会社水島製鉄所内 Fターム(参考) 5E041 AA02 AA19 CA02 CA04 NN01 NN06 NN13 NN15

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】Si:1.5 〜4.0 mass%および Mn:0.005 〜2.00mass% を含み、かつC,AlおよびNをそれぞれ、 C:0.0050mass%以下、 Al:0.030 mass%以下、 N:0.0030mass%以下 に低減し、さらに SeおよびSを合計で0.0050mass%以下 に低減し、残部はFeおよび不可避不純物の組成になり、
    さらに 鉄損W15/50 ≦ 3.20 W/kgかつ磁束密度B50≧(1.650+
    0.025 ×W15/50)T を満足することを特徴とする、加工性およびリサイクル
    性に優れた無方向性電磁鋼板。
  2. 【請求項2】 請求項1において、さらに Sb:0.005 〜0.50mass% を含有する組成になることを特徴とする、加工性および
    リサイクル性に優れた無方向性電磁鋼板。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、鋼板の硬さ
    が200 HV1以下であることを特徴とする、加工性および
    リサイクル性に優れた無方向性電磁鋼板。
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