JP2001305472A - 光偏向器 - Google Patents

光偏向器

Info

Publication number
JP2001305472A
JP2001305472A JP2000123100A JP2000123100A JP2001305472A JP 2001305472 A JP2001305472 A JP 2001305472A JP 2000123100 A JP2000123100 A JP 2000123100A JP 2000123100 A JP2000123100 A JP 2000123100A JP 2001305472 A JP2001305472 A JP 2001305472A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
movable plate
pair
support
fixing member
light
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2000123100A
Other languages
English (en)
Inventor
Nobuyoshi Asaoka
延好 浅岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Olympus Corp
Original Assignee
Olympus Optical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Olympus Optical Co Ltd filed Critical Olympus Optical Co Ltd
Priority to JP2000123100A priority Critical patent/JP2001305472A/ja
Publication of JP2001305472A publication Critical patent/JP2001305472A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laser Beam Printer (AREA)
  • Mechanical Optical Scanning Systems (AREA)
  • Mechanical Light Control Or Optical Switches (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】可動板を所望の振れ角と周波数で駆動し得る光
偏向器を提供する。 【解決手段】光偏向器100は、光偏向ミラー部102
と一対の永久磁石104a,104bから成る振動ユニ
ット部106と、光偏向ミラー部102の特性を調整す
るための特性調整機構108とを有している。光偏向ミ
ラー部102は、可動板112と、これを揺動可能に支
持する一対の弾性部材114a,114bと、これらを
支持する一対の支持体116a,116bとを有してい
る。可動板112は、光ビームを反射するためのミラー
142と、その内部を周回する駆動コイル122を有し
ている。特性調整機構108は、一対の支持体116
a,116bを保持する一対の固定用部材152,15
4と、これら固定用部材152,154の間隔を変更す
るための間隔調整手段、例えば一対の固定用部材15
2,154を連結する一対の圧電素子156とを含んで
いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光偏向器に関す
る。
【0002】
【従来の技術】光偏向器は、例えばレーザ光を偏向する
用途などに利用されるものである。その駆動原理はいく
つかあり、例えばクーロン力を利用する静電型のアクチ
ュエータや、磁界中に配置した駆動コイルに電流を流す
と、電流と磁界との相互作用でフレミングの左手の法則
に基づく力が駆動コイルに発生することを利用する電磁
駆動型のアクチュエータ、また、素材に電圧を印加する
と素材の長さが変化する圧電素材を利用した圧電駆動型
のアクチュエータなどがある。
【0003】特開平7−175005号は電磁駆動型の
アクチュエータを開示している。このアクチュエータ
は、シリコン基板に加工して作製された、平板状の可動
板と、これを揺動可能に支持する一対のトーションバー
と、トーションバーを支持する枠状の支持体とを備えて
いる。可動板の上面の周縁部には通電により磁界を発生
させるための平面コイルが設けられ、平面コイルで囲ま
れる上面中央部には全反射ミラーが設けられている。支
持体には、平面コイルによって発生される磁界と相互作
用させるための永久磁石が設けられている。
【0004】平面コイルの両端は、トーションバーの上
を延びるコイル配線を介して、支持体に設けられた電極
端子と電気的に接続されている。平面コイルとコイル配
線と電極端子は、シリコン基板上に電鋳法により同時形
成される。この電磁アクチュエータは、従来のものに比
べて、極めて薄型化・小型化することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に光偏向器の作製
にあたっては、作製時の加工の誤差によって弾性部材の
形状が所望の設計形状と異なることがある。弾性部材の
形状は弾性部材の定数を決定する重要な要素であるた
め、このように設計形状からはずれた形状の弾性部材を
持つ光偏向器は、所望の振れ角と周波数で可動板を駆動
することができない。
【0006】また、弾性部材の形状が作製時において所
望の形状であっても、温度や湿度などの使用環境の変化
によって弾性部材の特性(横弾性係数等)が変化すること
もある。この場合も、光偏向器は、可動板は所望の振れ
角と周波数で駆動されなくなる。
【0007】本発明の目的は、可動板を常に所望の振れ
角と周波数で駆動することのできる光偏向器を提供する
ことである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の光偏向器は、光
偏向ミラー部と一対の永久磁石から成る振動ユニット部
と、光偏向ミラー部の特性を調整するための特性調整機
構とを備えており、光偏向ミラー部は、可動板と、可動
板を揺動可能に支持する一対の弾性部材と、一対の弾性
部材を支持する支持体とを有しており、特性調整機構
は、支持体を保持する一対の固定用部材と、一対の固定
用部材の間隔を変更するための間隔調整手段とを有して
いる。可動板は、光ビームを偏向させるため必要な様々
な光学要素、例えば、ミラーやプリズムや回折格子や光
源を保持する。間隔調整手段は、一例においては、一対
の固定用部材を連結する一対の圧電素子を含んでいる。
あるいは、別の一例においては、支持体は一対の支持体
であって、間隔調整手段は、一対の支持体にそれぞれ設
けられた一対の櫛形アクチュエータと、一対の支持体の
一方に連結された伸縮ばねとを含んでいる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら本発明
の実施の形態について説明する。
【0010】図1に示されるように、光偏向器100
は、光偏向ミラー部102と一対の永久磁石104a,
104bから成る振動ユニット部106と、光偏向ミラ
ー部102の特性を調整するための特性調整機構108
と、振動ユニット部106と特性調整機構108を駆動
・制御する駆動制御回路110とを有している。
【0011】光偏向ミラー部102は、図2(A)に示さ
れるように、可動板112と、可動板112の両側から
対称的に延びる一対の弾性部材114a,114bと、
弾性部材114a,114bを支持する一対の支持体1
16a,116bとを有している。一対の弾性部材11
4a,114bはトーションバーの機能を有し、可動板
112を揺動可能に支持する。可動板112は、光ビー
ムを反射するためのミラー142(図2(B)参照)を備え
ており、このミラー142で反射された光ビームは可動
板112の揺動に従って走査される。
【0012】可動板112は、その内部を周回する駆動
コイル122を有している。図示される駆動コイル12
2は二回周回しているが、その数はこれに限らず、その
他の周回数であってもよい。駆動コイル122の一端
は、弾性部材114aの中を延びる配線124aに直接
接続されており、駆動コイル122の他端は、駆動コイ
ル122の上を横切って延びるジャンプ線128を介し
て、弾性部材114aの中を延びる配線124bに接続
されている。配線124aと配線124bはそれぞれ支
持体116aに位置する駆動電極126aと駆動電極1
26bに接続されている。
【0013】可動板112は、さらに、駆動コイル12
2の内側を周回する検出コイル132を有している。図
示される検出コイル132は二回周回しているが、その
数はこれに限らず、その他の周回数であってもよい。検
出コイル132の一端は、駆動コイル122の上を横切
って延びるジャンプ線138を介して、弾性部材114
bの中を延びる配線134aに接続されており、検出コ
イル132の他端は、検出コイル132と駆動コイル1
22の上を横切って延びるジャンプ線140を介して、
弾性部材114bの中を延びる配線134bに接続され
ている。配線134aと配線134bはそれぞれ支持体
116bに位置する検出電極136aと検出電極136
bに接続されている。
【0014】図1に示されるように、駆動電極126
a,126bは、配線を介して、駆動制御回路110の
駆動電流出力端子に電気的に接続されている。検出電極
136a,136bは、配線を介して、駆動制御回路1
10の検出信号入力端子129に電気的に接続されてい
る。また、一対の永久磁石104a,104bは、図示
しない支持機構によって、可動板112の両側に間隔を
置いて支持されている。永久磁石104a,104b
は、弾性部材114a,114bを通る軸に平行に延び
ている。
【0015】駆動制御回路110は、例えば、正弦波や
矩形波や鋸波などの周期的に変化する交流の駆動電流を
駆動電極126a,126bを介して駆動コイル122
に供給する。好適には、駆動制御回路110は、駆動コ
イル122や配線124a,124bなどに流せる電流
の最大値を超える電流が流れないように、供給する電流
を制限する機能を有している。
【0016】駆動コイル122を流れる交流の駆動電流
と、永久磁石104a,104bが作り出す磁場との相
互作用によって、駆動コイル122は一対の弾性部材1
14a,114bを通る軸の周りに偶力を受ける。この
偶力は、駆動コイル122を流れる交流の駆動電流に従
って、大きさと方向が周期的に変化するため、可動板1
12は、一対の弾性部材114a,114bを通る軸の
周りに揺動する。その結果、可動板112のミラー14
2で反射された光ビームは、可動板112の揺動に従っ
て偏向、走査される。
【0017】可動板112の揺動に伴い、検出コイル1
32も永久磁石104a,104bが作り出す磁場の中
を揺動する。その結果、可動板112の速度に比例する
誘導起電力Vが検出コイル132の両端に発生する。駆
動制御回路110は、検出コイル132の両端に発生す
る誘導起電力Vに基づいて可動板112の揺動角を検知
する。
【0018】上述した光偏向ミラー部102は、すなわ
ち、可動板112と一対の弾性部材114a,114b
と一対の支持体116a,116bとから成る構造体
は、公知の半導体製造技術によってモノリシックに作製
される。このため、各部品は非常に高い位置精度を有す
る。また、実装工程の削減にとっても好ましい。
【0019】光偏向ミラー部102は、図2(B)と図2
(C)に示されるように、シリコン基板302と、シリコ
ン基板302に形成された第一の絶縁膜304と、絶縁
膜304の上に選択的に形成された第一の導体膜312
と、導体膜312をその一部を除いて覆う第二の絶縁膜
306と、絶縁膜306の上に選択的に形成された第二
の導体膜314と、導体膜314を覆う第三の絶縁膜3
08とを有する積層構造体で構成される。導体膜31
2,314は例えばアルミ膜から成り、絶縁膜304,
306,308は例えば酸化シリコン膜や窒化シリコン
膜やポリイミド膜から成る。
【0020】第一の導体膜312は、駆動コイル12
2、配線124a,124b、駆動電極126a,12
6b、検出コイル132、配線134a,配線134
b、検出電極136a,136bを構成している。ま
た、第二の導体膜314は、ジャンプ線128、ジャン
プ線138、ジャンプ線140を構成している。第一の
絶縁膜304は第一の導体膜312とシリコン基板30
2を電気的に絶縁し、絶縁膜306は第一の導体膜31
2と第二の導体膜314を電気的に絶縁し、第三の絶縁
膜308は第二の導体膜314を大気から保護してい
る。
【0021】可動板112に含まれるシリコン基板30
2の露出面は研磨されており、これ自体がミラー142
として機能する。つまり、ミラー142は、シリコン基
板302の研磨された面で構成されている。ミラー14
2は、例えば波長650nm程度の半導体レーザ等の光
線をより効率良く反射する必要がある場合は、シリコン
よりも反射率の高いアルミ等を例えばスパッタや蒸着で
成膜して形成されてもよい。光偏向ミラー部102の主
材料はシリコン基板302である。可動板112は振動
中に反射面が変形しないことが望まれるが、シリコン基
板302はこのような要求に好適である。
【0022】以下、光偏向ミラー部102の製造工程に
ついて図5と図6を用いて説明する。なお、図5と図6
に示される各工程の断面は、図2(A)における2B−2
B線に沿って破断された断面である。
【0023】工程1(図5(A)):シリコンウエハを用意
する。シリコンウエハは、100ミクロン〜500ミク
ロン程度の厚さを有し、その両面は共に研磨加工され鏡
面仕上げされている。一枚のシリコンウエハには、生産
性向上のため、好ましくは、その大きさに形成できる最
大数の光偏向ミラー部が作製される。図5と図6には、
一つの光偏向ミラー部の製造工程が示されており、シリ
コンウエハはその一つ分であるシリコン基板302とし
て図示されている。
【0024】工程2(図5(B)):シリコンウエハ302
の表裏面共に酸化シリコン膜を例えば酸化炉で成膜し
て、シリコンウエハ302の表面に第一の絶縁膜304
を、裏面に酸化シリコン膜322を形成する。
【0025】工程3(図5(C)):フォトリソグラフィ技
術により、酸化シリコン膜322を選択的にエッチング
する。つまり、可動板112になる部分と弾性部材11
4a,114bになる部分と支持体116a,116b
になる部分を除いて、酸化シリコン膜322をエッチン
グする。
【0026】工程4(図5(D)):この構造体の表面に例
えばスパッタリング技術によりアルミニウムを成膜し、
その後フォトリソグラフィ技術によりアルミニウムをパ
ターニングして、駆動コイル122と配線124a,1
24bと駆動電極126a,126bと検出コイル13
2と配線134a,配線134bと検出電極136a,
136bを含む第一の導体膜312を形成する。
【0027】工程5(図5(E)):この構造体の表面に例
えばプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)装置
やスパッタリング装置などでシリコン酸化膜やシリコン
窒化膜を成膜した後に、フォトリソグラフィ技術により
パターニングして、第二の絶縁膜306を形成する。
【0028】工程6(図6(A)):この構造体の表面に例
えばスパッタリング装置でアルミニウムを成膜し、その
後フォトリソグラフィ技術によりアルミニウムをパター
ニングして、ジャンプ線128とジャンプ線138とジ
ャンプ線140を含む第二の導体膜314を形成する。
【0029】工程7(図6(B)):この構造体の表面に例
えばプラズマCVD装置やスパッタリング装置などでシ
リコン酸化膜やシリコン窒化膜を成膜した後に、フォト
リソグラフィ技術によりパターニングして、第三の絶縁
膜308を形成する。
【0030】工程8(図6(C)):例えばシリコンエッチ
ング用のRIE(Reactive Ion Etching)装置でシリコン
ウエハ裏面の酸化シリコン膜322をマスクとしてシリ
コンをエッチングする。続いて、酸化シリコン膜322
と、露出している部分の第一の絶縁膜304、すなわ
ち、可動板112と弾性部材114a,114bと支持
体116a,116bに含まれない部分の第一の絶縁膜
304とを、酸化シリコン膜エッチング用のRIEによ
りシリコンウエハ裏面からエッチングする。その結果、
可動板112が一対の弾性部材114a,114bを介
して一対の支持体116a,116bに支持されている
光偏向ミラー部102が形成される。
【0031】本実施の形態では、弾性部材114a,1
14bの主材料はシリコンであるが、これに限定される
ものではなく、例えばガラス、ガリウム−砒素系の半導
体、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、ポリイミド膜な
どの有機材料などであってもよい。
【0032】図1と図3と図4に示されるように、特性
調整機構108は、支持体116aを保持する第一の固
定用部材152と、支持体116bを保持する第二の固
定用部材154と、これらの固定用部材152,154
の間隔を変更するための間隔調整手段とを有している。
間隔調整手段は、例えば、第一の固定用部材152と第
二の固定用部材154を連結する一対の圧電素子15
6,158を含んでいる。
【0033】支持体116aと支持体116bは、例え
ば接着によってそれぞれ第一の固定用部材152と第二
の固定用部材154に固定されている。第一の固定用部
材152はねじ止めや接着により不動部材160に固定
されている。不動部材160は、例えば、振動ユニット
部106を収容し保持するケースである。第二の固定用
部材154は一対の圧電素子156,158を介して第
一の固定用部材152に支持されており、不動部材16
0に対して非接触に保たれる。
【0034】第一の固定用部材152は、図4(B)と図
4(C)に示されるように、第二の固定用部材154より
も大きい高さを有しており、その底面が不動部材160
に固定されているが、これに限定されない。図4(D)と
図4(E)に示されるように、第一の固定用部材152
は、第二の固定用部材154と同じ高さを有し、その側
面が不動部材160に固定されていてもよい。また、第
一の固定用部材152は、振動ユニット部106を収容
するケースと一体に形成されてもよい。
【0035】圧電素子156,158はそれぞれ一対の
駆動電極を備えており、これらの駆動電極は、図1に示
されるように、配線120を介して駆動制御回路110
の間隔信号出力端子に電気的に接続されている。駆動制
御回路110は間隔信号出力端子128から圧電素子1
56,158を伸縮させるための電圧信号を出力する。
圧電素子156,158は供給される電圧信号に応じて
矢印G(図4(A)参照)の方向に伸縮し、その結果、第一
の固定用部材152と第二の固定用部材154の間隔が
変更される。この間隔の変更は、弾性部材114a,1
14bにかかる応力を変更し、弾性部材114a,11
4bのばね定数を変える。すなわち、光偏向ミラー部1
02の特性を変える。
【0036】間隔調整手段は、圧電素子に限定されるも
のではなく、他の素子や機構等が用いられてもよい。間
隔調整手段は例えば静電駆動型や電磁駆動型のアクチュ
エータ等であってもよい。圧電素子や静電駆動型のアク
チュエータを用いれば、共に磁場を作り出さないので、
駆動コイル122や検出コイル132に悪影響を与え
ず、従って、可動板112の好適な駆動を妨げたり、検
出コイル132からの信号に雑音を増やしたりすること
がない。
【0037】さらに、駆動制御回路110は、可動板1
12が常に共振状態で駆動するように、すなわち、可動
板112が常に所望の駆動をするように、圧電素子15
6,158に供給する電圧信号を制御する。前述したよ
うに、駆動制御回路110は、駆動コイル122に交流
の駆動電流Iを供給するとともに、検出コイル132の
両端に発生する誘導起電力Vを検知する。駆動制御回路
110は、誘導起電力Vと駆動電流Iとの位相差が0よ
り大きくπより小さい値、望ましくはπ/2に略等しい
値になるように、圧電素子156,158の長さを制御
する。
【0038】つまり、駆動電流Iの周波数を所望の駆動
周波数に固定し、さらに駆動電流Iの位相と可動板11
2の揺動運動の位相(すなわち誘導起電力Vの位相)との
差が常に0より大きくπよりも小さい値、好ましくはπ
/2にほぼ等しい値になるように、弾性部材114a,
114bのばね定数を制御する。
【0039】時刻tにおける駆動電流を例えば正弦波、 I(t)=Xsin(wt) (1) とする。このとき、可動板112の駆動に寄与するトル
クはI(t)に比例する。一般に可動板112の振れ角θ
(t)は、 θ(t)=Asin(w0t+a)+(w0 2−w2)-1×Bsinwt (2) となる。なお、θはVに比例する。但し、w0は可動板
112の質量と弾性部材114a,114bのばね定数
から決まる可動板112の固有振動数(可動板が自由振
動する時の振動数)、Aとaは初期条件によって決まる
定数、BはX並びに可動板112の慣性モーメントによ
り決定する値である。
【0040】wがw0よりも小さいとき、(2)式の第二
項は駆動電流Iと同じ位相になっている。しかし、wが
0よりも大きいとき、第二項の符号は逆になる。これ
は駆動電流Iの位相と可動板112の振れの位相Vがπ
ずれることを意味する。従って、駆動電流の位相と可動
板の振れの位相との差が0よりも大きくπよりも小さい
範囲にすれば、可動板112は共振し所望の駆動を行
う。さらに好ましくは、駆動電流の位相と可動板の振れ
の位相との差をπ/2にほぼ等しくすれば、可動板11
2はさらに安定した共振状態になる。
【0041】これにより、使用環境の温度変化などに起
因する弾性部材114a,114bの形状や横弾性係数
の変化により可動板112の固有振動数が変化して可動
板112が所望の駆動をしなくなることが防止され、可
動板112は常に所望の駆動をする。
【0042】ここでは、正弦波の電流波形を例にあげた
が、駆動電流は、正弦波で表される波形に限らず、例え
ば鋸波や矩形波などの周期関数で表される波形を有して
いてもよい。
【0043】また、可動板112は、駆動コイル122
に流れる電流と永久磁石104a,104bが作り出す
磁場との相互作用により駆動されているが、可動板11
2の駆動原理はこれに限定されるものではない。可動板
112は、例えば静電力により駆動されてもよい。この
場合も、可動板112の振れと駆動電源の電圧の位相差
が、0より大きくπより小さい範囲に、望ましくはπ/
2の近傍にあれば、可動板112は共振して所望の駆動
をする。
【0044】駆動制御回路110は、さらに好ましく
は、誘導起電力Vに基づいて、可動板112の振れ振幅
が所望の振幅となるように、駆動電流Iの振幅を調整す
る機能を有している。弾性部材114a,114bのば
ね定数を調整する際、共振時における可動板112の振
れ振幅を決める弾性部材のパラメータが、ばね定数とは
独立に変化することがある。この場合、同じ周期の共振
状態で可動板112が振れていても、振れ振幅が違って
くる。駆動制御回路110は、その振れの振幅の違いを
補正するように、すなわち可動板112の振れ振幅が所
望の振れ振幅となるように、可動板112を駆動させる
電源の出力を調整する。
【0045】上述した実施の形態の光偏向器は様々な変
形が可能である。以下、図面を参照しながら、いくつか
の変形例について説明する。図中、上述した部材と同一
の参照符号で示される部材は、同等の部材であり、その
詳しい説明は省略する。
【0046】[第一変形例]本変形例では、図7に示され
るように、特性調整機構108は、支持体116aを保
持する第一の固定用部材152と、支持体116bを保
持する第二の固定用部材154と、これらの固定用部材
152,154の間隔を変更するための間隔調整手段と
を有し、間隔調整手段は、第一の固定用部材152と第
二の固定用部材154を連結する一個の圧電素子156
を含んでいる。
【0047】つまり、本変形例の特性調整機構108
は、第一実施形態の特性調整機構108から圧電素子1
58が省かれた構成となっている。このような本変形例
の構成は、弾性部材114a,114bのばね定数の変
化が小さい場合に適している。
【0048】第一の固定用部材152と第二の固定用部
材154の間隔は、駆動制御回路110により圧電素子
156を矢印Gの方向に伸縮させることにより調整され
る。この調整により、光偏向ミラー部102の弾性部材
114a,114bの製造時の形状のばらつきによるば
ね定数のばらつきを較正できるとともに、環境温度の変
化などに起因するばね定数の変動を補正できる。従っ
て、可動板112を常に所望の特性で駆動させることが
できる。
【0049】[第二変形例]本変形例では、図8に示され
るように、特性調整機構108は、支持体116aを保
持する第一の固定用部材152と、支持体116bを保
持する第二の固定用部材154と、これらの固定用部材
152,154の間隔を変更するための間隔調整手段と
を有し、間隔調整手段は、第一の固定用部材152に形
成された貫通穴166,168を通り、第二の固定用部
材154に形成されたねじ穴170,172に螺合する
一対の調節ねじ162,164を含んでいる。
【0050】第一の固定用部材152と第二の固定用部
材154の間隔は、一対の調節ねじ162,164を適
宜回転させることにより調整される。この調整により、
光偏向ミラー部102の弾性部材114a,114bの
製造時の形状のばらつきによるばね定数のばらつきを較
正できるとともに、環境温度の変化などに起因するばね
定数の変動を補正できる。従って、可動板112を常に
所望の特性で駆動させることができる。
【0051】また、間隔調整手段は、調節ねじ162,
164を回転させるアクチュエータ、例えば電磁型ステ
ッピングモータ、静電型モータなどを更に含み、このア
クチュエータが、可動板112が所望の駆動をするよう
に、駆動制御回路110により制御されてもよい。
【0052】[第三変形例]本変形例では、図9に示され
るように、特性調整機構108は、支持体116aを保
持する第一の固定用部材152と、支持体116bを保
持する第二の固定用部材154と、これらの固定用部材
152,154の間隔を変更するための間隔調整手段と
を有し、間隔調整手段は、第一の固定用部材152に形
成された貫通穴166を通り、第二の固定用部材154
に形成されたねじ穴170に螺合する一本の調節ねじ1
62を含んでいる。
【0053】つまり、本変形例の特性調整機構108
は、第二変形例の特性調整機構108から調節ねじ16
4が省かれた構成となっている。このような本変形例の
構成は、弾性部材114a,114bのばね定数の変化
が小さい場合に適している。
【0054】第一の固定用部材152と第二の固定用部
材154の間隔は、調節ねじ162を適宜回転させるこ
とにより調整される。この調整により、光偏向ミラー部
102の弾性部材114a,114bの製造時の形状の
ばらつきによるばね定数のばらつきを較正できるととも
に、環境温度の変化などに起因するばね定数の変動を補
正できる。従って、可動板112を常に所望の特性で駆
動させることができる。
【0055】また、間隔調整手段は、調節ねじ162を
回転させるアクチュエータを更に含み、このアクチュエ
ータが駆動制御回路110により可動板112が所望の
駆動をするように制御されてもよい。
【0056】[第四変形例]本変形例では、図10(A)と
図10(B)に示されるように、光偏向ミラー部102の
支持体116a,116bは、共に細長の矩形形状をし
ており、可動板112の側方に延出してない。特性調整
機構108は、支持体116aを保持する第一の固定用
部材174と、支持体116bを保持する第二の固定用
部材176とを有し、第一の固定用部材174は不動部
材180に固定され、第二の固定用部材176は圧電素
子178を介して不動部材182に固定されている。特
性調整機構108は、さらに、第一の固定用部材174
と第二の固定用部材176の間隔を変更するための間隔
調整手段を有しており、間隔調整手段は、第二の固定用
部材176と不動部材182を連結する圧電素子178
を含んでいる。
【0057】圧電素子178は駆動制御回路110の間
隔信号出力端子128に電気的に接続されており、第一
の固定用部材174と第二の固定用部材176の間隔
は、駆動制御回路110により圧電素子178を矢印G
の方向に伸縮させることにより調整される。この調整に
より、光偏向ミラー部102の弾性部材114a,11
4bの製造時の形状のばらつきによるばね定数のばらつ
きを較正できるとともに、環境温度の変化などに起因す
るばね定数の変動を補正できる。従って、可動板112
を常に所望の特性で駆動させることができる。
【0058】また、この変形例では、図10(C)に示さ
れるように、永久磁石104a,104bは可動板11
2と同じ高さに配置されている。このため、本変形例の
光偏向器は、永久磁石104a,104bが図10(D)
に示されるレイアウトで配置されている前述した実施の
形態の光偏向器(図1参照)に比べて、高い駆動効率を有
している。
【0059】[第五変形例]本変形例では、図11に示さ
れるように、特性調整機構108は、支持体116aを
保持する第一の固定用部材152と、支持体116bを
保持する第二の固定用部材154と、これらの固定用部
材152,154の間隔を変更するための間隔調整手段
とを有し、間隔調整手段は、第一の固定用部材152と
第二の固定用部材154を連結する一対の圧電素子15
6,158を含んでいる。
【0060】第一の固定用部材152と第二の固定用部
材154の間隔は、駆動制御回路110により圧電素子
156,158を矢印Gの方向に伸縮させることにより
調整される。この調整により、光偏向ミラー部102の
弾性部材114a,114bの製造時の形状のばらつき
によるばね定数のばらつきを較正できるとともに、環境
温度の変化などに起因するばね定数の変動を補正でき
る。従って、可動板112を常に所望の特性で駆動させ
ることができる。
【0061】本変形例では、圧電素子156,158に
連結されている固定用部材152,154の部分152
a,152b,154a,154b、すなわち、固定用
部材152,154の光偏向ミラー部102の側方に位
置している部分152a,152b,154a,154
bは、光偏向ミラー部102から離れている。光偏向ミ
ラー部102とこれらの部分の間に、永久磁石104
a,104bが配置されている。従って、永久磁石10
4a,104bは可動板112と同じ高さに配置されて
いる。このため、本変形例の光偏向器は、前述の実施の
形態の光偏向器(図1参照)に比べて、高い駆動効率を有
している。
【0062】[第六変形例]本変形例では、図12(A)と
図12(B)に示されるように、特性調整機構108は、
支持体116aを保持する第一の固定用部材184と、
支持体116bを保持する第二の固定用部材186を有
し、第一の固定用部材184は不動部材194に固定さ
れ、第二の固定用部材186は伸縮ばね192を介して
不動部材196に固定されている。
【0063】特性調整機構108は、さらに、これらの
固定用部材184,186の間隔を変更するための間隔
調整手段を有しており、間隔調整手段は、一対の櫛形ア
クチュエータ188,190と、伸縮ばね192とを含
んでいる。櫛形アクチュエータ188は、固定用部材1
84,186にそれぞれ設けられた互いに対向する櫛形
電極188a,188bを含み、同様に櫛形アクチュエ
ータ190は、固定用部材184,186にそれぞれ設
けられた互いに対向する櫛形電極190a,190bを
含んでいる。
【0064】伸縮ばね192は、その軸が、光偏向ミラ
ー部102の弾性部材114a,114bのねじり軸に
揃うように設けられている。このようなレイアウトは、
弾性部材114a,114bのばね定数の変化を同様に
し、不所望な振動モードの発生を抑えるとともに、伸縮
ばねの伸縮量と弾性部材114a,114bへの応力の
かかり方の再現性を高める。
【0065】第一の固定用部材184と第二の固定用部
材186の間隔は、駆動制御回路110により櫛形アク
チュエータ188,190に電圧を印加し、その電極間
に働く静電力により伸縮ばね192の伸びを制御するこ
とにより調整される。この調整により、光偏向ミラー部
102の弾性部材114a,114bの製造時の形状の
ばらつきによるばね定数のばらつきを較正できるととも
に、環境温度の変化などに起因するばね定数の変動を補
正できる。従って、可動板112を常に所望の特性で駆
動させることができる。
【0066】[第七変形例]本変形例では、図13に示さ
れるように、光偏向ミラー部102は、可動板112
と、可動板112を揺動可能に支持する一対の弾性部材
114a,114bと、弾性部材114a,114bを
支持する支持体116とを有し、支持体116は可動板
112を取り囲んでいる。つまり、支持体116が二つ
に分割されていない構成となっている。
【0067】特性調整機構108は、支持体116の一
方の側を保持する第一の固定用部材174と、支持体1
16の他方の側を保持する第二の固定用部材176とを
有し、第一の固定用部材174は不動部材に固定され、
第二の固定用部材176は圧電素子178を介して不動
部材182に固定されている。特性調整機構108は、
さらに、第一の固定用部材174と第二の固定用部材1
76の間隔を変更するための間隔調整手段を有してお
り、間隔調整手段は、第二の固定用部材176と不動部
材182を連結する圧電素子178を含んでいる。つま
り、本変形例の特性調整機構108は、第四変形例と同
じ構成を有している。
【0068】圧電素子178は駆動制御回路110の間
隔信号出力端子128に電気的に接続されており、第一
の固定用部材152と第二の固定用部材154の間隔
は、駆動制御回路110により圧電素子178を矢印G
の方向に伸縮させることにより調整される。この調整に
より、光偏向ミラー部102の弾性部材114a,11
4bの製造時の形状のばらつきによるばね定数のばらつ
きを較正できるとともに、環境温度の変化などに起因す
るばね定数の変動を補正できる。従って、可動板112
を常に所望の特性で駆動させることができる。
【0069】[第八変形例]本変形例では、光偏向ミラー
部と特性調整機構が、モノリシックに一体形成されてい
る。この一体形成された構造体は、図14(A)〜図14
(C)に示されるように、可動板112と、可動板112
を揺動可能に支持する一対の弾性部材114a,114
bと、弾性部材114a,114bを支持する一対の支
持体116a,116bと、支持体116a,116b
の間に設けられた一対の櫛形アクチュエータ202,2
04と、支持体116から延びる伸縮ばね206と、伸
縮ばね206の端部が連結する取り付け部208とを有
しており、支持体116aは不動部材210に固定さ
れ、取り付け部208は不動部材212に固定されてい
る。
【0070】光偏向ミラー部は、可動板112と一対の
弾性部材114a,114bと一対の支持体116a,
116bを含んでいる。また、特性調整機構は、一対の
支持体116a,116bの間隔を変更するための間隔
調整手段を有しており、これは、一対の櫛形アクチュエ
ータ202,204と伸縮ばね206を含んでいる。
【0071】櫛形アクチュエータ202は、一対の支持
体116a,116bの各々に設けられた互いに対向す
る櫛形電極202a,202bを含み、同様に櫛形アク
チュエータ204は、一対の支持体116a,116b
の各々に設けられた互いに対向する櫛形電極204a,
204bを含んでいる。
【0072】伸縮ばね206は、一対の弾性部材114
a,114bのばね定数の変化を揃えるため、その軸が
弾性部材114a,114bのねじり軸に揃えられてい
る。伸縮ばねの形状は、図示の形状に限定されるもので
はなく、他の形状、例えば第六変形例と同様に四角柱状
の形状であってもよい。
【0073】このようにモノリシックに一体形成された
構造体は、前述した半導体製造プロセスにおいて、パタ
ーニング形状を伸縮ばね206と取り付け部208を含
む形状に変更するとともに、一連の工程中において櫛形
電極202a,202b,204a,204bを作り込
むことで作製される。
【0074】一対の支持体116a,116bの間隔
は、駆動制御回路110により櫛形アクチュエータ20
2,204に電圧を印加し、その電極間に働く静電力に
より伸縮ばね206の伸びを制御することにより調整さ
れる。この調整により、光偏向ミラー部の弾性部材11
4a,114bの製造時の形状のばらつきによるばね定
数のばらつきを較正できるとともに、環境温度の変化な
どに起因するばね定数の変動を補正できる。従って、可
動板112を常に所望の特性で駆動させることができ
る。
【0075】本変形例では、伸縮ばね206が光偏向ミ
ラー部とモノリシックに一体形成されているので、伸縮
ばね206は第六変形例に比べて正確に位置決めされて
いる。また、伸縮ばね206の実装の手間がないので、
実装の際の不良発生による歩留まり低下がない。
【0076】[第九変形例]本変形例は、第八変形例に類
似した構成をしており、光偏向ミラー部と特性調整機構
がモノリシックに一体形成されている。この一体形成さ
れた構造体は、図15に示されるように、可動板112
と、可動板112を揺動可能に支持する一対の弾性部材
114a,114bと、弾性部材114a,114bを
支持する一対の支持体116a,116bと、支持体1
16a,116bの間に設けられた一対の櫛形アクチュ
エータ202,204と、支持体116から延びる伸縮
ばね206と、伸縮ばね206の端部が連結する取り付
け部208とを有している。支持体116aは不動部材
210に固定され、取り付け部208は不動部材212
に固定されている。
【0077】光偏向ミラー部は、可動板112と一対の
弾性部材114a,114bと一対の支持体116a,
116bを含んでいる。また、特性調整機構は、一対の
支持体116a,116bの間隔を変更するための間隔
調整手段を有しており、これは、一対の櫛形アクチュエ
ータ202,204と伸縮ばね206を含んでいる。伸
縮ばね206は、一対の弾性部材114a,114bの
ばね定数の変化を揃えるため、その軸が弾性部材114
a,114bのねじり軸に揃えられている。
【0078】一対の支持体116a,116bの間隔
は、駆動制御回路110により櫛形アクチュエータ20
2,204に電圧を印加し、その電極間に働く静電力に
より伸縮ばね206の伸びを制御することにより調整さ
れる。この調整により、光偏向ミラー部の弾性部材11
4a,114bの製造時の形状のばらつきによるばね定
数のばらつきを較正できるとともに、環境温度の変化な
どに起因するばね定数の変動を補正できる。従って、可
動板112を常に所望の特性で駆動させることができ
る。
【0079】本変形例では、光偏向ミラー部と特性調整
機構を含む構造体は、図16に示されるように、シリコ
ン基板302と、シリコン基板302に形成された第一
の絶縁膜304と、絶縁膜304の上に選択的に形成さ
れた第一の導体膜312と、導体膜312をその一部を
除いて覆う第二の絶縁膜306と、絶縁膜306の上に
選択的に形成された第二の導体膜314と、導体膜31
4を覆う第三の絶縁膜308とを有している。
【0080】絶縁膜304,306,308は共にポリ
イミド膜から成り、シリコン基板302は、弾性部材1
14a,114bに当たる部分と、伸縮ばね206に当
たる部分においても除去されている。従って、弾性部材
114a,114bと伸縮ばね206は共にポリイミド
膜から成っている。ポリイミドは、シリコンに比べて耐
衝撃性の高い物質であり、このため、この構造体すなわ
ち光偏向器は、第八変形例に比べて、耐衝撃性に優れて
いる。
【0081】上述した実施の形態とその変形例では、電
流と磁場の相互作用を利用して可動板を駆動する電磁駆
動型の光偏向器について述べてきたが、可動板の駆動原
理はこれに限定されるものではなく、光偏向器は、例え
ば静電力を利用して可動板を駆動する静電駆動型などで
あってもよい。
【0082】また、可動板の位置の検出は、可動板に設
けられた検出コイルに可動板の速度に比例して発生する
誘導起電力を利用しているが、可動板の位置検出の原理
はこれに限定されない。可動板の位置の検出は、例え
ば、可動板に設けられたホール素子と、磁場との相互作
用によって発生するホール電流を利用して行ってもよ
く、また、可動板のミラーで反射された光ビームの数パ
ーセントの成分ををビームスプリッタにより取り出し、
これをアレイ状に並んだフォトダイオードで検出するこ
となどで行ってもよい。
【0083】これまで、実施の形態とその変形例につい
て図面を参照しながら具体的に説明したが、本発明は、
上述した実施の形態と変形例に限定されるものではな
く、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実
施を含む。
【0084】1.(構成) 可動板と、支持体と、前記可動板を前記支持体に対して
揺動可能に軸支する2つの弾性部材とを備えた光偏向器
において、前記支持体と前記可動板との間隔を変える間
隔調整手段をさらに有し、前記支持体と前記可動板との
間隔を変化させることにより弾性部材に可変応力を与え
るよう構成した光偏向器。
【0085】(作用効果)間隔調整手段により可動板と支
持体との間隔を変化させるとにより、弾性部材にかかる
応力を変化させ、それによって弾性部材のばね定数を任
意に変化させることができる。これにより、所望の周波
数において、所望の振れ角で可動板を駆動できる。
【0086】2.(構成) 上記支持体は一対の支持体からなり、前記間隔調整手段
は一対の支持体の間隔を変えることを特徴とする第1項
に記載の光偏向器。
【0087】(作用効果)弾性部材の伸縮が支持体が2個
に分割されていない場合に比べて、支持体間の間隔を変
化させることが容易であり、広い範囲の共振周波数のず
れに対して補正しやすい。
【0088】3.(構成) 上記支持体を保持する一対の固定用部材をさらに有し、
上記間隔調整手段は、上記一対の固定用部材の間隔を変
更するものであることを特徴とする請求項1記載の光偏
向器。
【0089】(作用効果)直接支持体を動かすよりも、支
持体を保持する固定用部材を動かす光偏向器のほうが容
易に作成できる。
【0090】4.(構成) 少なくとも前記可動板と、前記弾性部材と、前記支持体
と、前記間隔調整手段がモノリシックに一体形成されて
いることを特徴とする第1項ないし第3項のいずれかひ
とつに記載の光偏向器。
【0091】(作用効果)実装の手間を省くことができ
る。同時に部品点数削減による実装工程における不良率
発生頻度の低減により歩留まりが向上する。
【0092】間隔調整手段の光偏向器の他要素に対する
設置位置が正確に決められ、その結果所望の駆動をする
光偏向器を得られる。
【0093】5.(構成) 前記間隔調整手段に伸縮ばねが含まれていて、伸縮ばね
の材質が有機材料であることを特徴とする第4項に記載
の光偏向器。
【0094】(作用効果)耐衝撃性に優れた光偏向器を提
供できる。
【0095】6.(構成) 前記可動板の振れを検出する検出手段と、前記検出手段
の出力と前記可動板を駆動させるための電源の出力との
位相差に基づいて、前記可動板が共振で駆動するよう前
記間隔調整手段を制御する制御手段とをさらに有するこ
とを特徴とする第1項ないし第5項のいずれかひとつに
記載の光偏向器。
【0096】(作用効果)電源から供給する電流の周期を
可動板の所望の駆動周期Tcに設定する。この時、外界
の例えば温度変化、湿度変化などの環境変化によって弾
性部材のばね定数が変化した場合を考える。前記可動板
の振れの位相と前記電源の位相との位相差から可動板が
所望の駆動周期Tcで共振するように、前記間隔調整手
段により支持体の間隔を調整し、弾性部材のばね定数を
調整することかできる。その結果可動板を常に所望の周
期で所望の振れ角で駆動できる。
【0097】7.(構成) 前記検出手段が、磁場を検出する原理によらないもので
あることを特徴とする第6項に記載の光偏向器。
【0098】(作用効果)検出手段が磁場を検出する原理
によらないものであれば、特性調整機構や可動板を駆動
する手段が電磁駆動などの磁界を発生するようなもので
あっても、検出にあたってその影響を受けないので好ま
しい。
【0099】8.(構成) 前記可動板に設けた駆動コイルと、前記駆動コイルに磁
界を与える磁界発生手段とを備え、前記駆動コイルに電
流を流すことにより発生する磁気力を前記可動板を駆動
する手段とし、前記間隔調整手段が磁気力を用いていな
い第1項ないし第7項のいずれかひとつに記載の光偏向
器。
【0100】(作用効果)駆動コイルに影響を及ぼさない
ので、可動板が所望の駆動をする。9.(構成)前記可動
板の振れを検出する手段から得られる可動板の振れ振幅
が、所望の振れ振幅と一致するように電源の出力を調整
する印加振幅制御手段を具備した第5項に記載の光偏向
器。
【0101】(作用効果)弾性部材のばね定数の調整を行
うと、共振時における可動板の振れの振幅を決める弾性
部材のパラメータがばね定数とは独立に変化することが
ある。この場合、同じ周期の共振状態で可動板が振れて
いる場合でも、振れ振幅が違ってくる。このような場合
には、電源の出力を調整して振れ振幅の違いを調整する
ことにより、所望の振れ振幅を得る。
【0102】
【発明の効果】このように、本発明によれば、可動板を
所望の振れ角と周波数で駆動することのできる光偏向器
を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の光偏向器の概略的な構成
を示す斜視図である。
【図2】(A)は図1に示される光偏向ミラー部の平面
図、(B)は(A)の2B−2B線に沿って破断された断面
図、(C)は(A)の2C−2C線に沿って破断された断面
図である。
【図3】図1に示される特性調整機構の平面図であり、
光偏向ミラー部を保持した状態が示されている。
【図4】(A)は図1に示される特性調整機構の平面図、
(B)は(A)の特性調整機構の側面図、(C)は(A)の4C
−4C線に沿って破断された断面を側面から(A)に記し
た矢印方向に見た図、(D)は変形例の特性調整機構の側
面図、(E)は4C−4C線に沿った断面に相当する(D)
の変形例の特性調整機構の断面を側面から矢印方向に見
た図である。
【図5】図1に示される光偏向ミラー部を製造するため
の一連の工程中の最初の数工程を示しており、各工程の
断面は図2(A)の2B−2B線に沿って破断された断面
に対応している。
【図6】図1に示される光偏向ミラー部を製造するため
の一連の工程中の図5の工程に続く数工程を示してお
り、各工程の断面は図2(A)の2B−2B線に沿って破
断された断面に対応している。
【図7】本発明の光偏向器の実施の形態の第一変形例に
おける特性調整機構の平面図である。
【図8】本発明の光偏向器の実施の形態の第二変形例に
おける特性調整機構の平面図である。
【図9】本発明の光偏向器の実施の形態の第三変形例に
おける特性調整機構の平面図である。
【図10】(A)は本発明の光偏向器の実施の形態の第四
変形例の平面図、(B)は(A)の光偏向器の側面を側面か
ら矢印方向に見た図、(C)は(A)の10C−10C線に
沿って破断された断面図、(D)は図1の光偏向器におけ
る永久磁石のレイアウトを示す図であり、これは(C)の
断面を側面から矢印方向に見た図に相当している。
【図11】本発明の光偏向器の実施の形態の第五変形例
の平面図である。
【図12】(A)は本発明の光偏向器の実施の形態の第六
変形例における特性調整機構の平面図、(B)は(A)の特
性調整機構の側面図である。
【図13】本発明の光偏向器の実施の形態の第七変形例
における光偏向ミラー部と特性調整機構の平面図であ
る。
【図14】(A)は本発明の光偏向器の実施の形態の第八
変形例における光偏向ミラー部と特性調整機構を含む構
造体の平面図、(B)は(A)の14B−14B線に沿って
破断された断面を側面から矢印方向に見た図、(C)は
(A)の14C−14C線に沿って破断された断面を側面
から矢印方向に見た図である。
【図15】本発明の光偏向器の実施の形態の第九変形例
における光偏向ミラー部と特性調整機構を含む構造体の
平面図である。
【図16】図15に示される構造体のXVI−XVI線
に沿って破断された断面を側面から矢印方向に見た図で
ある。
【符号の説明】
100 光偏向器 102 光偏向ミラー部 104a,104b 永久磁石 106 振動ユニット部 108 特性調整機構108 112 可動板 114a,114b 弾性部材 114a,114b 支持体 122 駆動コイル 142 ミラー 152,154 固定用部材 156,158 圧電素子

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ビームを偏向するための光偏向器であ
    って、 光偏向ミラー部と一対の永久磁石から成る振動ユニット
    部と、 光偏向ミラー部の特性を調整するための特性調整機構と
    を備えており、 光偏向ミラー部は、可動板と、可動板を揺動可能に支持
    する一対の弾性部材と、一対の弾性部材を支持する支持
    体とを有しており、 特性調整機構は、支持体を保持する一対の固定用部材
    と、一対の固定用部材の間隔を変更するための間隔調整
    手段とを有している、光偏向器。
  2. 【請求項2】 少なくとも可動板、弾性部材、支持体及
    び間隔調整手段が、がモノリシックに一体形成されてい
    る、請求項1に記載の光偏向器。
  3. 【請求項3】 光ビームを偏向するための光偏向器であ
    って、 光偏向ミラー部と一対の永久磁石から成る振動ユニット
    部と、 光偏向ミラー部の特性を調整するための特性調整機構と
    を備えており、 光偏向ミラー部は、可動板と、可動板を揺動可能に支持
    する一対の弾性部材と、一対の弾性部材を支持する支持
    体とを有しており、支持体は一対の支持体であって、間
    隔調整手段が、一対の支持体にそれぞれ設けらた櫛形ア
    クチュエータと、一対の支持体の一方に連結された伸縮
    ばねとを含んでいる、請求項1に記載の光偏向器。
JP2000123100A 2000-04-24 2000-04-24 光偏向器 Withdrawn JP2001305472A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000123100A JP2001305472A (ja) 2000-04-24 2000-04-24 光偏向器

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000123100A JP2001305472A (ja) 2000-04-24 2000-04-24 光偏向器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2001305472A true JP2001305472A (ja) 2001-10-31

Family

ID=18633468

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000123100A Withdrawn JP2001305472A (ja) 2000-04-24 2000-04-24 光偏向器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2001305472A (ja)

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1486814A1 (en) * 2001-12-26 2004-12-15 Nikon Corporation Light beam switching/adjusting apparatus and manufacturing method thereof
JP2005141229A (ja) * 2003-11-06 2005-06-02 Samsung Electronics Co Ltd 周波数変調可能な共振型スキャナー
JP2008046369A (ja) * 2006-08-16 2008-02-28 Seiko Epson Corp アクチュエータ、投光装置、光学デバイス、光スキャナ、および画像形成装置
JP2008524662A (ja) * 2004-12-22 2008-07-10 カール・ツアイス・レーザー・オプティクス・ゲーエムベーハー 線ビームを生成するための光学照射系
JP2008529813A (ja) * 2005-02-08 2008-08-07 コミサリア、ア、レネルジ、アトミク 移動ビームを備えるマイクロ機械デバイス
JP2011186124A (ja) * 2010-03-08 2011-09-22 Stanley Electric Co Ltd 光偏向器パッケージ
KR101104598B1 (ko) 2007-01-26 2012-01-12 파나소닉 전공 주식회사 광주사 미러와, 반도체 구조 및 그 제조방법

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP1486814A1 (en) * 2001-12-26 2004-12-15 Nikon Corporation Light beam switching/adjusting apparatus and manufacturing method thereof
EP1486814A4 (en) * 2001-12-26 2005-11-16 Nikon Corp APPARATUS FOR SWITCHING / ADJUSTING A BRIGHT BEAM, AND METHOD OF MANUFACTURING THE SAME
US7010200B2 (en) 2001-12-26 2006-03-07 Nikon Corporation Light-beam switching/adjusting apparatus and manufacturing method thereof
JP2005141229A (ja) * 2003-11-06 2005-06-02 Samsung Electronics Co Ltd 周波数変調可能な共振型スキャナー
JP2008524662A (ja) * 2004-12-22 2008-07-10 カール・ツアイス・レーザー・オプティクス・ゲーエムベーハー 線ビームを生成するための光学照射系
JP2008529813A (ja) * 2005-02-08 2008-08-07 コミサリア、ア、レネルジ、アトミク 移動ビームを備えるマイクロ機械デバイス
JP2008046369A (ja) * 2006-08-16 2008-02-28 Seiko Epson Corp アクチュエータ、投光装置、光学デバイス、光スキャナ、および画像形成装置
KR101104598B1 (ko) 2007-01-26 2012-01-12 파나소닉 전공 주식회사 광주사 미러와, 반도체 구조 및 그 제조방법
JP2011186124A (ja) * 2010-03-08 2011-09-22 Stanley Electric Co Ltd 光偏向器パッケージ

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7161275B2 (en) Actuator
US6188504B1 (en) Optical scanner
US6449079B1 (en) Deflectable micro-mirror
US7466474B2 (en) Micromechanical device with tilted electrodes
US7420315B2 (en) Actuator
US7382510B2 (en) Actuator
JP5441533B2 (ja) プレーナ型アクチュエータ
US7684102B2 (en) Oscillator device and image forming apparatus using the same
JP3733383B2 (ja) 2次元光スキャナ
KR19980025006A (ko) 회전 플레이트를 포함하는 마이크로일렉트로메카닉 장치 및 그 관련 방법
JP4262574B2 (ja) 光偏向器
US6445484B1 (en) Torsional rocker
JP2002116403A (ja) 光スキャナ装置
US9097897B2 (en) Optical deflector including narrow piezoelectric sensor element between torsion bar and piezoelectric actuator
JP4197776B2 (ja) 光スキャナ
JP2001305472A (ja) 光偏向器
JPH04211217A (ja) 光偏向子
JP2002350457A (ja) 揺動体
JP2009265560A (ja) 光学反射素子
US20100302612A1 (en) Oscillating structure and oscillator device using the same
WO2001061400A9 (en) Two-dimensional micro-mirror array enhancements
JP4123133B2 (ja) アクチュエータ
JP2011043554A (ja) プレーナ型アクチュエータ
JP5239382B2 (ja) 光学反射素子
CN114450618B (zh) 光学装置

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Withdrawal of application because of no request for examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20070703