JP2001300620A - 継目無鋼管の肉厚制御方法 - Google Patents

継目無鋼管の肉厚制御方法

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JP2001300620A
JP2001300620A JP2000116154A JP2000116154A JP2001300620A JP 2001300620 A JP2001300620 A JP 2001300620A JP 2000116154 A JP2000116154 A JP 2000116154A JP 2000116154 A JP2000116154 A JP 2000116154A JP 2001300620 A JP2001300620 A JP 2001300620A
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mill
thickness
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Hiroyuki Iwamoto
宏之 岩本
Toshio Asano
俊雄 浅野
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Nippon Steel Corp
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Sumitomo Metal Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】周方向偏肉の悪化を最低限に抑えつつ、両管端
部の厚肉化を抑制することができる継目無鋼管の管端肉
厚制御方法を提供する。 【解決手段】延伸圧延機による圧延時においては管の噛
込み時と尻抜け時に孔型圧延ロールの圧下位置を変更
し、定径圧延機による圧延時においては管の噛込み時と
尻抜け時に孔型圧延ロールの回転数を増減速することに
より、定径圧延機による圧延時に生じる管端部の厚肉化
現象を抑制する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、延伸圧延機で圧延
された管に張力を付与して圧延する定径圧延機を有する
継目無鋼管の製造プロセスにおいて生じる管端部の厚肉
化現象を抑制するための管端肉厚制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】継目無鋼管の製造プロセスの代表的な例
としては、図15に示すマンネスマンマンドレルミル方
式がある。その概略は、以下のとおりである。丸鋼片1
1を加熱炉12で加熱した後、穿孔機と呼ばれる粗圧延
機13により穿孔して中空素管となす。引き続き、中空
素管を後続のマンドレルミル14により延伸圧延して、
図示を省略した再加熱炉で再加熱した後に定径圧延機1
5により所定の肉厚、外径の寸法に仕上げて製品である
継目無鋼管となす。延伸圧延後の再加熱は省略する場合
もある。
【0003】まず、マンドレルミル14および定径圧延
機15についてその圧延概要を説明する。
【0004】マンドレルミル14は、パスラインに沿っ
て連続配置され、それぞれが一対の孔型圧延ロールを備
えた4〜8基の2ロールスタンドで構成される。隣接す
るスタンド間では、それぞれの孔型圧延ロールがパスラ
インに垂直な面内で圧下方向を90°ずらせて配置され
る。そして素管は、マンドレルバーが挿入された状態で
各スタンドの孔型圧延ロール間を通過することにより圧
延される。
【0005】定径圧延機15は、パスラインに沿って連
続配置され、孔型圧延ロールを備えた8〜24基の2ロ
ールもしくは3ロールスタンドで構成される。隣接する
スタンド間では、それぞれの孔型圧延ロールがパスライ
ンに垂直な面内で、2ロールの場合は圧下方向を90
°、3ロールの場合は圧下方向を60°ずらせて配置さ
れる。そして、マンドレルミル14で圧延された素管
は、各スタンドの孔型圧延ロールにて外径圧下を加えら
れて圧延される。
【0006】定径圧延機15にて外径絞り圧延を行う
と、外径圧下に応じて肉厚が増加するので、必要に応じ
て各スタンド間に材料軸方向張力を与えて肉厚を減少さ
せるようにしている。
【0007】定径圧延機15で張力を付与して圧延する
と、管が定径圧延機15の全スタンドに噛み込んでいる
定常状態に比べて、噛込み時や尻抜け時のように管が全
スタンドに噛み込まれていない非定常状態においては、
管に作用する軸方向張力は低下するため、圧延後の管の
両端近傍は中央の定常部に比べて厚肉となる。すなわ
ち、両管端の近傍は、厚肉化の現象が発生し、最終製品
ではこの部分がオフゲージとなり切り捨てられるため、
工業生産的にはこの両端のクロップが歩留の観点で非常
に大きな損失となる。
【0008】そこで、両管端部の厚肉化を抑制するため
の方法について従来から研究開発が進められており、以
下の方法が提案されている。
【0009】たとえば、特開平4−322811号公報
に示されるように、定径圧延機での管の両端部の圧延時
に、孔型圧延ロールの回転数を変更する方法がある。す
なわち、管先端圧延時は、各スタンドともに噛込み前は
定常状態に比べて早い回転数で待機しておき、管先端が
各スタンドに噛み込む毎に回転数を定常状態の回転数ま
で低下させることにより、管先端圧延時に後方スタンド
との間に無制御時に比べて大きな管の軸方向張力を発生
させて管先端の厚肉化を防止する。一方、管後端圧延時
は、各スタンドの管の抜ける前に回転数を定常状態に比
べて低下させていくことにより、管後端圧延時に前方ス
タンドとの間に無制御時に比べて大きな管の軸方向張力
を発生させて管後端の厚肉化を防止する方法(以下、定
型圧延機での管端肉厚制御方法という)である。
【0010】また、特公昭51−43825号公報に
は、延伸圧延機にて管の噛込み時と尻抜け時の両時点に
おいて、油圧圧下機構で定径圧延機で発生する両端部の
厚肉化を相殺するために予め薄肉に成形しておく方法が
示されている。すなわち、管先端部圧延時は、予め孔型
圧延ロールギャップを定常状態に比べて閉めて待機して
おき、圧延開始とともにロールギャップを定常状態まで
開くことにより延伸圧延機出側の管先端部の肉厚を薄く
する。一方、管後端部圧延時は、管の抜ける前にロール
ギャップを定常状態から閉め込んでいくことにより延伸
圧延機出側の管後端部の肉厚を薄くする。しかる後に定
径圧延機で圧延することにより、両管端部の厚肉量を相
殺する方法(以下、延伸圧延機での管端肉厚制御方法と
いう)である。
【0011】上記従来の定径圧延機での管端肉厚制御方
法では、両管端部を圧延するときの孔型圧延ロールの回
転数の変更量を大きくすることにより、ある程度までは
両管端部にかかる管軸方向の張力を大きくすることはで
きる。しかし、各スタンドの孔型圧延ロールと管との間
で発生する摩擦力には限界があることは明らかであり、
孔型圧延ロールと管が全面滑りとなると、それ以上に孔
型圧延ロールの回転数の変更量を大きくしても両管端部
の管軸方向の張力を大きくすることは不可能である。
【0012】したがって、定常圧延時の定径圧延機での
管軸方向の張力が大きい場合には、両管端部に定常圧延
時ほどの管軸方向の張力を付与することは不可能であ
る。すなわち、両管端部の厚肉化は全て解消することは
できない。この対策としては、定径圧延機の孔型圧延ロ
ールと管の摩擦係数を大きくする方法も考えられるが、
高い摩擦係数を安定して実現することは極めて困難であ
る。
【0013】また、上記従来の延伸圧延機での管端肉厚
制御方法では、上記のような制御量の限界は存在しない
が、以下の問題がある。
【0014】1点目としては、延伸圧延機にての両管端
部圧延時にロールギャップを変更すると、圧延材に周方
向の偏肉が発生する。その理由は、孔型圧延ロールの孔
型径とマンドレルバーの外径とから決定される間隔によ
り肉厚が決まるため、ある一定のロールギャップ以外で
は、一対の孔型圧延ロールによって形成される孔型形状
が変化し、これに伴って孔型圧延ロールの孔型径とマン
ドレルバーの外径とから決定される間隔が周方向に変化
するためである。
【0015】真円孔型を例にとってこの現象を模式的に
示したのが図16である。同図(a)は、一対の孔型圧
延ロール20、20とマンドレルバー4との間隔が周方
向に均一な状態、すなわち肉厚が周方向で均一になる場
合を示している。一方、同図(b)は、同図(a)の状
態からロールギャップを閉方向に変更した状態を示して
いるが、孔型圧延ロール20、20とマンドレルバー4
との間隔が変化し、孔型圧延ロール20、20とマンド
レルバー4との間隔が周方向で不均一となり、圧延材に
周方向の偏肉が生じることとなる。
【0016】2点目としては、延伸圧延機では、薄肉材
の圧延時には材料の噛込性が悪くなるが、噛込みに失敗
すると管が圧延機内から出てこない大きなトラブルとな
り、長時間の操業停機に追い込まれることがあるため、
特に先端部圧延時のロールギャップ締め込み量を極端に
大きくすることは困難な場合があることである。このよ
うなトラブルを回避するため、適切なロールギャップ変
更量よりも抑えた圧延を行う必要があり、結果として管
端部の厚肉を完全に解消できないこととなる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記のよう
な事情を背景としてなされたものであり、その目的は周
方向の偏肉の悪化を最低限に抑えつつ、両管端部の厚肉
化を抑制することができる継目無鋼管の管端肉厚制御方
法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)〜(5)の継目無鋼管の管端肉厚制御方法にあ
る。 (1)延伸圧延機で圧延された管に張力を付与して圧延
する定径圧延機を有する継目無鋼管の製造プロセスにお
ける管端部肉厚の制御方法であって、延伸圧延機による
圧延時においては管の噛込み時と尻抜け時に孔型圧延ロ
ールの圧下位置を変更し、定径圧延機による圧延時にお
いては管の噛込み時と尻抜け時に孔型圧延ロールの回転
数を増減速することにより、定径圧延機による圧延時に
生じる管端部の厚肉化現象を抑制する継目無鋼管の管端
部肉厚制御方法(発明1)。 (2)上記(1)に記載の方法において、理論モデルま
たは実績値に基づいて定径圧延機において管端部厚肉化
を抑制できる限界を求め、その限界の範囲内で定径圧延
機における管端部厚肉化の抑制量を決定し、定径圧延機
での管の噛込み時と尻抜け時における孔型圧延ロールの
回転数増減量を決定し、定径圧延機で管端部厚肉化を抑
制できない量に応じて延伸圧延機での管の噛込み時と尻
抜け時における孔型圧延ロール圧下位置の変更量を決定
する継目無鋼管の管端部肉厚制御方法(発明2)。 (3)上記(2)に記載の方法において、定径圧延機に
よる管端部厚肉化の抑制量を理論モデルまたは実績値に
基づいて求めた限界値とする継目無鋼管の管端肉厚制御
方法(発明3)。 (4)上記(1)〜(3)のいずれかに記載の方法にお
いて、延伸圧延機の出側に設けられた肉厚計の測定デー
タに基づいて延伸圧延機出側の管端肉厚を計算し、定径
圧延機による圧延時の管の噛込み時と尻抜け時における
孔型圧延ロールの回転数の増減量を理論モデルまたは実
績値に基づいて決定する継目無鋼管の管端肉厚制御方法
(発明4)。 (5)上記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法にお
いて、定径圧延機の出側に設けられた肉厚計の測定デー
タに基づいて管端の厚肉量を算出し、次材以降の制御量
を修正する継目無鋼管の管端肉厚制御方法(発明5)。
【0019】上記(1)〜(5)の本発明は、前述した
製管工程のうち、最終の工程である定径圧延機15出側
の仕上げ管の肉厚を長手方向に均一な分布とするため
に、マンドレルミル14で孔型圧延ロールの圧下位置を
制御し、定径圧延機15で管端部に張力を付与すべく孔
型圧延ロールの回転数を制御するものである。
【0020】以下、本発明に至った経緯を説明する。ま
ず、定径圧延機にて張力をかけて圧延した場合の問題点
を、後述する実施例の結果を示す図7〜9および図11
〜13を用いて具体的に説明する。
【0021】なお、図7は無制御時の定径圧延機後の管
の周方向平均肉厚の長手方向の分布、図8は延伸圧延機
での管端肉厚制御時の定径圧延機後の管の周方向平均肉
厚の長手方向の分布、図9は定径圧延機での管端肉厚制
御時の定径圧延機後の管の周方向平均肉厚の長手方向の
分布をそれぞれ示す模式図である。
【0022】また、図11は無制御時の定径圧延機後の
管の周方向偏肉率の長手方向の分布、図12は延伸圧延
機での管端肉厚制御時の定径圧延機後の管の周方向偏肉
率の長手方向の分布、図13は定径圧延機での管端肉厚
制御時の定径圧延機後の管の周方向偏肉率の長手方向の
分布をそれぞれ示す模式図である。
【0023】図7からわかるように、無制御時には、両
管端部圧延時にて定常時に比べて圧延材の軸方向張力が
少ないため定常部に比べて厚肉となっている。また、図
8からわかるように、延伸圧延機での管端肉厚制御を実
施すると、両管端の厚肉化現象は解消されている。しか
し、図12に示すように、周方向の偏肉が悪化している
ことがわかる。これは、先に述べたように、延伸圧延機
のロールギャップを変更するために孔型圧延ロールとマ
ンドレルバー間の隙間形状が真円でなくなるためであ
る。
【0024】一方、図13からわかるように、定径圧延
機での管端肉厚制御を実施すると、両管端の周方向偏肉
は悪化しない。しかし、図9からわかるように、全面ス
リップが発生するまで定径圧延機での両管端部圧延時の
孔型圧延ロールの回転数の変更量を大きくして圧延して
も両管端部には定常状態程度の管軸方向の張力を付与す
ることができなかったため、管端部に厚肉部が残ってい
る。さらに、両管端の直近に関しては、無制御時に比べ
てあまり改善できていないことがわかる。
【0025】以上の問題点をまとめると次の3点であ
る。(1) 延伸圧延機の管端肉厚制御を実施すると管端部
の周方向偏肉が悪化する。したがって、クロップの短縮
には限界があり、歩留の改善に限界がある。また、薄肉
材圧延においては圧延トラブルの発生が懸念される。
(2) 定径圧延機の管端肉厚制御を実施しても両管端部の
厚肉化を抑制する効果には限界がある。したがって、ク
ロップの短縮には限界があり、歩留の改善に限界があ
る。(3) 定径圧延機の管端肉厚制御を実施しても両管端
近傍の厚肉化はあまり改善されない。したがって、クロ
ップの短縮には限界があり、歩留の改善に限界がある。
【0026】そこで、本発明者らは、両管端部の周方向
偏肉を大幅に悪化させることなく、両管端部の厚肉化を
抑制する方法を実験ならびに数値シミュレーションによ
り鋭意検討を重ねた結果、以下のことを知見した。
【0027】上記(1) の延伸圧延機の管端肉厚制御の問
題に対応するためには、先後端圧延時のロールギャップ
締め込み量を小さくすることが必要であり、定径圧延機
の管端肉厚制御の併用により抑制可能である。また、上
記(2) の定径圧延機の管端肉厚制御の限界に対応するた
めには、延伸圧延機での管端肉厚制御の併用が有効であ
る。
【0028】すなわち、単に延伸圧延機と定径圧延機の
管端肉厚制御を併用するのみでも効果は得られるが、定
径圧延機での管端肉厚制御量が実現可能な範囲を超えて
いる場合には、両管端部に厚肉部が残りやすい。また、
定径圧延機での管端肉厚制御量が実現可能な範囲内であ
っても、かなり小さい量に抑えてしまうと、延伸圧延機
での管端肉厚制御量が大きくなって周方向偏肉が発生し
やすい。
【0029】しかし、定径圧延機にて抑制可能な両管端
部の厚肉化量を定量的に把握することにより、定径圧延
機にて両管端部それぞれの厚肉化量の抑制可能量を求め
て、延伸圧延機では定径圧延機にて抑制不可能な両管端
部の厚肉化量を抑制するという機能分担により、両管端
部の周方向偏肉の発生を極力抑えつつ、両管端部の厚肉
化をより効果的に抑制できる。
【0030】上記(3) の定径圧延機の管端肉厚制御を実
施しても両管端近傍の厚肉化があまり改善されない問題
については、定径圧延機の非定常圧延解析シミュレータ
を用いて解析した結果、先後端圧延時に定径圧延機のロ
ール回転数を張力がかかる方向に変更しても両管端近傍
を圧延するときには張力はあまりかからないことが判明
した。したがって、両管端部近傍の厚肉化は、定径圧延
機の管端肉厚制御で解消できない量を考慮した上で延伸
圧延機の管端肉厚制御を行うことにより解消する。
【0031】さらに、実機にて延伸圧延機の管端肉厚制
御、定径圧延機の管端肉厚制御を実施した際の問題とし
て、延伸圧延機および定径圧延機出側の両管端部近傍の
厚肉が理想通り抑制できない問題がある。これは、圧延
材の噛込みと尻抜のわずかな時間にアクチュエータを動
作させる制御であるため、制御のタイミイングが非常に
重要になるが、設定誤差によりずれる等のために上記の
如く両管端部の肉厚が目標通りにならないものである。
【0032】この問題に関しても対応方法を検討した結
果、定径圧延機出側の肉厚データに基づいて次材以降の
制御に反映することで精度が向上する。さらに、延伸圧
延機と定径圧延機での管端肉厚制御を併用する本発明の
方法においては、延伸圧延機での管端肉厚制御の結果を
定径圧延機での管端肉厚制御に反映することで誤差が低
減する。すなわち、延伸圧延機出側の長手方向の肉厚分
布を測定し、定径圧延機での管端肉厚制御の設定計算に
反映することにより制御の精度が向上する。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明について、その実施
の形態を示す添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0034】図1は、本発明にかかわる継目無鋼管の管
端肉厚制御方法(以下、本発明方法という)の実施状態
の一例をしめす模式図である。
【0035】マンドレルミル2は、パスラインX−Xに
沿って連設されたN個のスタンドS 1〜Snの各々にパス
ラインX−Xを挟んで設置された各一対の孔型圧延ロー
ル20、20、…を備える。孔型圧延ロール20、2
0、…は、素管1を圧延するための孔型が加工されてお
り、図示を省略した駆動モータによりパスラインX−X
と直交する軸廻りに回転駆動される。また、各一対の孔
型圧延ロール20、20、…は、圧下装置21、21、
…の動作によりロールギャップ(ロール圧下位置)を調
整し得るようになっている。
【0036】圧延対象の素管1は、その内側にマンドレ
ルバー4が挿入された状態で第1スタンドS1 の側から
マンドレルミル2に運ばれ、各スタンドS1〜Snの孔型
圧延ロール20、20、…に順次噛み込む。そして、孔
型圧延ロール20、20、…の回転によりパスラインX
−X上を第1スタンドS1 から最終スタンドである第N
スタンドSn に向けて進行し、この間に前記マンドレル
バー4と各スタンドS 1 〜Sn の各孔型圧延ロール2
0、20の間で、各スタンドS1〜Snに設定されたロー
ルギャップに応じた肉厚圧下が加えられ、最終スタンド
n の出側に送り出される。
【0037】素管1に内挿されたマンドレルバー4の基
端部(図の左端)は、図示を省略したバーリテーナーに
連結されていて軸方向の前進速度が制御されている。マ
ンドレルミル2の出側に連設された定径圧延機3は、マ
ンドレルミル2から送り出された素管1を前記のマンド
レルバー4から引き抜きながら所定の外径寸法まで圧延
する。
【0038】定径圧延機3は、マンドレルミル2と同様
に、パスラインに沿って連設されたM個のスタンドs1
〜smの各々に、孔型が加工された孔型圧延ロール3
0、30、…を備え、その孔型のセンターがパスライン
X−Xと一致するように配置されている。
【0039】定径圧延機3の各スタンドs1〜smの孔型
圧延ロール30、30、…は、駆動モータ31、31、
…により回転駆動される。マンドレルミル2の最終スタ
ンドSnから送り出された素管1は、定径圧延機3の第
1スタンドs1の孔型圧延ロール30に噛込み、次いで
下流側に連設されたスタンドs2〜smの孔型圧延ロール
30、30、…に順次噛込む。そして、各スタンドs1
〜smの孔型圧延ロール30、30、…の回転により、
前記のマンドレルバー4から引き抜かれつつ、各スタン
ドs1〜smに設置された孔型圧延ロール30、30、…
による外径圧下を加えられ、所定の外径および肉厚を有
する製品となって定径圧延機3の出側に送り出される。
【0040】マンドレルバー4の引き抜きは、素管1の
マンドレルミル圧延終了以降に素管1は前述の如く孔型
圧延ロール30の回転により前進し、一方マンドレルバ
ー4も図示を省略したバーリテーナーにより拘束されて
おりマンドレルミル2の入側に向けて後退することで行
われる。
【0041】以上のようにして行われるマンドレルミル
2と定径圧延機3による圧延は、圧延制御部5により制
御される。すなわち、マンドレルミル2の各スタンドS
1 〜Sn の孔型圧延ロール20、20、…は、圧延制御
部5から各々の圧下装置21、21、…に与えられる動
作指令に基づいてロール間距離(ロールギャップ)が調
整される。また、定径圧延機3の各スタンドs1〜sm
孔型圧延ロール30、30、…は、圧延制御部5から各
々の駆動モータ31、31、…に与えられる動作指令に
従って回転駆動される。
【0042】圧延制御部5は、マンドレルミル2の各ス
タンドS1〜Snの圧下装置21、21、…の設定圧下位
置を、圧延が開始される前にプロセスコンピュータ6か
ら受け取っておく。対象となるものは、各スタンドS1
〜Snの基準圧下位置(定常圧延時の圧下位置)と管端
肉厚制御対象スタンドSn-1、Snの圧延中の圧下位置変
更パターンである。
【0043】スタンドS1〜Sn-2は、マンドレルミル2
の圧延が開始される前に基準圧下位置に設定され、圧延
が完了するまで圧下制御装置21、21、…にて定位置
制御が行われる。
【0044】図2は、管端肉厚制御対象スタンド
n-1、Snそれぞれの動作例を示す図である。図に示す
ように、管端肉厚制御対象スタンドSn-1、Snは、圧延
開始前に基準圧下位置と圧下位置変更パターンの圧延開
始時の圧下位置変更量を足し合わせた圧下位置に設定さ
れ、各スタンドS1〜Snの圧延が開始されると圧下変更
パターンに基づいてその圧下位置を変更する。
【0045】各スタンドS1〜Snの管先端圧延用の圧下
変更パターンの出力が完了すると、各スタンドS1〜Sn
の管後端圧延用の圧下変更パターンを開始するタイミン
グまで基準圧下位置にて圧延を実施する。各スタンドS
1〜Snの管後端用の圧下位置変更パターンを開始するタ
イミングになると、圧下変更パターンに基づいて基準圧
下位置から圧下位置を変更し、圧延が完了することとな
る。このように圧延することにより、マンドレルミル出
側の管先後端の肉厚を薄肉にしておくことが可能とな
る。
【0046】なお、図2では、圧下位置変更パターンが
直線の例を示しているが、定径圧延機3での先後端の厚
肉パターンに応じて圧下位置変更パターンを決定するも
のであり、折れ線近似や関数近似の方法でもよい。
【0047】また、圧延制御部5は、定径圧延機3の各
スタンドs1〜smの駆動モータ31、31、…の設定回
転数も、圧延が開始される前にプロセスコンピュータ6
から受け取っておく。対象となるものは、各スタンドs
1〜smの基準回転数(定常圧延時の回転数)と各スタン
ドs1〜smの圧延中の回転数変更パターンである。
【0048】図3は、各スタンドs1〜smの動作例を示
す図で、図には隣接した2スタンド分のみ(si スタン
ドとsi+1 スタンド)を示す。図に示すように、各スタ
ンドs1〜smは、圧延開始前に基準回転数と回転数変更
パターンの圧延開始時の回転数変更量を足し合わせた回
転数に設定され、各スタンドs1〜smの圧延が開始され
ると回転数変更パターンに基づいて回転数を変更する。
【0049】各スタンドs1〜smの管先端圧延用の回転
数変更パターンの出力が完了すると、各スタンドs1
mの管後端圧延用の回転数変更パターンを開始するタ
イミングまで基準回転数にて圧延を実施する。各スタン
ドs1〜smの管後端用の回転数変更パターンを開始する
タイミングになると、各スタンドs1〜smの回転数変更
パターンに基づいて基準回転数から回転数を変更し圧延
が完了することとなる。
【0050】なお、図3では、回転数変更パターンが直
線の例を示しているが、定径圧延機3での先後端の厚肉
パターンに応じて回転数変更パターンを決定するもので
あり、折れ線近似や関数近似の方法でもよい。
【0051】このように圧延することにより、図3から
もわかるように、管先後端圧延時には定常圧延時に比べ
て隣接スタンド間の回転数差が大きくなり、無制御時に
比べて先後端圧延時の張力を大きくできるため、管端の
厚肉化を防止することが可能となる。
【0052】プロセスコンピュータ6では、圧延が開始
される前にマンドレルミル2の各スタンドS1〜Snの圧
下装置21、21、…の基準圧下位置(定常圧延時の圧
下位置)と制御対象スタンドSn-1、Snの圧延中の圧下
位置変更パターン、定径圧延機3の各スタンドs1〜sm
の駆動モータ31、31、…の基準回転数(定常圧延時
の回転数)と各スタンドs1〜smの圧延中の回転数変更
パターンを計算して決定しておく。
【0053】以下、プロセスコンピュータ6での制御量
計算方法について説明する。ただし、マンドレルミル2
の各スタンドS1〜Snの圧下装置21、21…の基準圧
下位置(定常圧延時の圧下位置)と、定径圧延機3の各
スタンドs1〜smの駆動モータ31、31…の基準回転
数(定常圧延時の回転数)の計算方法は、本発明と直接
関係がないため詳細は省略するが概略は以下の通りであ
る。
【0054】マンドレルミル2の各スタンドS1〜Sn
圧下装置21、21、…の基準圧下位置(定常圧延時の
圧下位置)は、マンドレルミル2出側の肉厚が目標値と
なり、かつ各スタンドS1〜Snでの圧下配分が適正にな
るように圧延中の目標ロールギャップを決定する。圧延
中には、圧延荷重によりミルスプリングが発生するた
め、それを補償するために、設定基準圧下位置S0 は予
測圧延荷重Pとミル剛性係数Mからミルスプリングを予
測して、圧延中の目標ロールギャップGを実現できるよ
うに、式「S0 =G−P/M」により計算する。
【0055】定径圧延機3の各スタンドs1〜smの駆動
モータ31、31、…の基準回転数(定常圧延時の回転
数)は、定径圧延機3の入側肉厚から仕上げ肉厚に圧延
するために必要な張力を計算し、この必要な張力をかけ
ることができる回転数を計算する。その計算方法は、従
来からいろいろな方法が提案されており、例えば、孔型
圧延ロール30と素管1の各スタンドにおける接触面積
内の力学的釣り合い条件により速度中立線を解析的に求
める方法等により計算する。定径圧延機3の入側肉厚
は、マンドレルミル2の目標肉厚を用いてもよいが、マ
ンドレルミル2の圧延後の実績肉厚を使用することが望
ましい。なお、マンドレルミル2の圧延後の実績肉厚
は、直接肉厚を測定してもよいし、重量と長さ等を測定
して間接的に推定してもかまわない。
【0056】次に、本発明の方法と直接関係するマンド
レルミル2の管端肉厚制御の制御対象スタンドSn-1
nの圧延中の圧下位置変更パターン、定径圧延機3の
各スタンドs1〜smの圧延中の回転数変更パターンを計
算方法について説明する。
【0057】まず、圧延開始前の設定値計算方法を、図
4に示すフローチャートにしたがって説明する。すなわ
ち、下記手順(1) 〜(7) の計算により、圧延制御部5へ
の設定値が決定できる。 (1) 定径圧延機3に付与される張力から両管端部の厚肉
化量を計算 定径圧延機3の各スタンドs1〜smの駆動モータ31、
31、…の基準回転数(定常圧延時の回転数)計算時に
求めた定径圧延機3の張力から両管端部の厚肉化量と厚
肉部長さを算出する。算出の方法は、管端部の非定常圧
延解析理論モデルにて計算してもよいし、実機データ解
析に基づいて決定してもよい。また、計算はオンライン
で実施してもよいが、プロセスコンピュータ6の能力が
十分でない場合は、寸法、材質層別にてオフラインにて
予め計算しておいて、プロセスコンピュータ6内のテー
ブルに登録しておいてもよい。
【0058】ここで、管端部の非定常圧延解析理論モデ
ルとしては、例えば、以下のような(a)〜(h)式を挙げる
ことができ、これらの(a)〜(h)式を用いて管の噛込みか
ら尻抜けまでの圧延シュミレーションを実施すれば、管
端部の肉厚分布を計算することができる。すなわち、下
記の(a)〜(h)式は、軸方向をl、周方向をθ、半径方向
をrとする円筒座標で表すことができる管の変形量を解
くために必要な基礎方程式であり、以下、その内容を具
体的に説明する。
【0059】φl 、φθ 、φr を、それぞれ、軸方
向、円周方向、半径方向の平均の対数歪とすれば、体積
一定の条件式は下記の(a) 式となる。
【0060】φl+φθ+φr=0 ・・・・ (a) また、σl 、σθ 、σr を、それぞれ、軸方向、円周
方向、半径方向の応力とすれば、応力−歪関係式は下記
の(b) で表される。
【0061】 (σl−σθ)/(φl−φθ)=(σθ−σr)/(φθ−φr) =(σr−σl)/(φr−φl) ・・・・ (b) さらに、von Mises の降伏条件は、変形抵抗をkf とし
た場合、下記の(c) 式で表される。
【0062】 (σl−σθ)2+(σθ−σr)2+(σr−σl)2=2kf 2 ・・・・ (c) また更に、半径方向の釣合方程式は、管外面に作用する
半径方向の応力をσrb、管の内半径をra 、管の外半径
をrb とした場合、下記の(d)式で表される。
【0063】 σrb=∫ra rbθ−σr)(dr/r) ・・・・ (d) そして、上記半径方向の応力σr と管外面に作用する半
径方向の応力σrbとの間には、下記(e) 式の関係が成立
する。
【0064】σr =1/2(σrb) ・・・・ (e) ここで、i番目のスタンドにおける対数歪φl 、φ
θ 、φr は、管の肉厚をt、平均外径をdとした場
合、体積一定の条件を満足するように、それぞれ、下記
の(f) 、(g) 、(h) のように定義される。
【0065】 φl=In{ti-1(di-1−ti)/ti(di−ti)} ・・・・ (f) φθ=In{di−ti/(di-1−ti-1)} ・・・・・・・ (g) φr=In{t1/ti-1} ・・・・・・・・・・・・・・ (h) なお、上記の平均外径dは、孔型圧延ロールに設けられ
た孔型の平均径(=孔型の長半径と短半径の和)と等し
い。 (2) 定径圧延機3出側の肉厚測定結果に基づく学習計算
結果による両管端の厚肉化量の修正計算:手順(1) で求
めた両管端部の厚肉化量を、後で説明する定径圧延機3
の出側の肉厚計41の測定結果に基づく学習計算結果に
より修正計算する。すなわち、定径圧延機3出側の肉厚
が両管端で厚いか薄い場合には、制御量を修正する必要
があるため、管端の厚肉化量を修正する。
【0066】ここで、上記の修正計算は、例えば、式
「△WT=△WTcal+△WTadp」により行えばよい。なお、
△WTは学習結果による両管端部の厚肉量の修正結果、△
WTcalは手順(1) で求めた両管端部の厚肉化量、△WTadp
は学習により求めた両管端部の厚肉化量の修正量であ
る。 (3) 定径圧延機3にて解消可能な両管端部の厚肉化量を
計算:定径圧延機3にて解消可能な両管端部の厚肉化量
を、前述した管端部の非定常解析理論モデルまたは実機
データ解析により求める。計算はオンラインで実施して
もよいし、予め計算しておいてもよいことは手順(1) と
同じである。 (4) 定径圧延機3の両管端部の抑制する厚肉化量の決
定:手順(3) で求めた解消可能な範囲内で定径圧延機3
での両管端部の抑制すべき厚肉化量を決定する。ここ
で、本発明になる発明3の方法は、この工程における定
径圧延機3での両管端部の抑制する厚肉化量を可能な範
囲の限界値とするものであるが、こうすることによって
マンドレルミル2での管端肉厚制御量を最小化すること
ができ、両管端部での周方向の偏肉を抑制することがで
きる。
【0067】ただし、本発明になる発明4の方法のよう
に、マンドレルミル2出側の肉厚計40の測定データに
基づいて定径圧延機3の両管端部の制御量を修正する方
法を用いる場合には、定径圧延機3での制御の余裕代を
残しておく必要があるため、定径圧延機3での両管端部
の抑制すべき厚肉化量は、限界値よりも少なくしておく
ことが望ましい。これは、そうしておかないと、定径圧
延機3での制御量を減少する方向の修正しかできなくな
るためである。 (5) マンドレルミル2で両管端部を予め薄肉化する量を
決定:無制御時の定径圧延機3出側の両管端部の厚肉化
量から定径圧延機3で解消する厚肉化量を差し引くこと
でマンドレルミル2で両管端部を予め薄肉化する量を計
算する。 (6) 定径圧延機3の両管端部圧延時の回転数変更パター
ンの計算:定径圧延機3の両管端部圧延時の回転数変更
パターンとは、両管端部圧延時の回転数変更量と変更タ
イミングである。これらの値は、定径圧延機3での両管
端部の抑制すべき厚肉化量に応じて求める。
【0068】ここで、上記の両管端部圧延時の回転数変
更量△Nの計算は、例えば、下記の(i) 式により行えば
よい。また、変更タイミングの計算は、例えば、下記の
(j)式と(k) 式により行えばよい。
【0069】△N=α・△WTSZ ・・・・ (i) なお、(i) 式中、αは厚肉量を解消する回転数変更量を
求めるための係数で、予め実験により求められ、必要に
応じて、管の寸法や材質毎に決定される値であり、△WT
SZは定径圧延機で制御すべき管端部の厚肉化量である。
【0070】 △LSZ=β・LSZ ・・・・・・・・ (j) △TS =θ・△LSZ/VSZ ・・・・ (k) なお、(j) 式中、△LSZは定径圧延機での両管端部の制
御対象長さ、βは厚肉量を解消する制御長さを求めるた
めの係数で、予め実験により求められ、必要に応じて、
管の寸法や材質毎に決定される値であり、LSZは定型圧
延機での両管端部の厚肉部長さである。
【0071】また、(k) 式中、△TS は定径圧延機での
両管端部制御時間、θは定径圧延機での制御対象長さか
ら制御時間を求めるための係数で、予め実験により求め
られ、必要に応じて、管の寸法や材質毎に決定される値
であり、VSZは定型圧延機の圧延速度である。 (7) マンドレルミル2の両管端部圧延時のロールギャッ
プ変更パターンの計算:マンドレルミル2の両管端部圧
延時のロールギャップ変更パターンとは、両管端部圧延
時のロールギャップ変更量と変更タイミングである。こ
れらの値は、マンドレルミル2で両管端部を予め薄肉化
する量に応じて決定される。マンドレルミル2では、孔
型圧延ロール20とマンドレルバー4の間で直接肉厚が
決定されるため、両管端の薄肉化量に応じてロールギャ
ップを閉め込む設定計算を行う。
【0072】ここで、上記の両管端部圧延時のロールギ
ャップ変更量△Gの計算は、例えば、下記の(l) 式によ
り行えばよい。また、変更タイミングの計算は、例え
ば、下記の(m) 式と(n) 式により行えばよい。
【0073】△G=γ・△WTmm ・・・・ (l) なお、(l) 式中、γは厚肉化量を解消するギャップ変更
量を求めるための係数で、予め実験により求められ、必
要に応じて、管の寸法や材質毎に決定される値であり、
△WTmmはマンドレルミルで両管端部を予め薄肉化する肉
厚量である。
【0074】△Lmm=δ・Lmm ・・・・・・ (m) △TM =△Lmm/Vmm ・・・・ (n) なお、(m) 式中、△Lmmはマンドレルミルでの両管端部
の制御対象長さ、δは薄肉化を行う制御長さを求めるた
めの係数で、予め実験により求められ、必要に応じて、
管の寸法や材質毎に決定される値であり、Lmmはマンド
レルミルでの両管端部の薄肉化制御長さである。この薄
肉化制御長さLmmは、定径圧延機での両管端部の厚肉部
長さと定径圧延機での延伸比から計算される。
【0075】また、(n) 式中、△TM はマンドレルミル
での両管端部制御時間、Vmmはマンドレルミルの圧延速
度である。
【0076】次に、マンドレルミル2出側の肉厚測定時
の再計算方法を、図5に示すフローチャートにしたがっ
て説明する。 (1) マンドレルミル2出側の長手方向肉厚分布の取り込
み マンドレルミル2の出側に設置された肉厚計40の測定
データをプロセスコンピュータ6に取り込む。 (2) マンドレルミル2出側の両管端部の肉厚の計算 手順(1) で取り込んだデータに基づいて、マンドレルミ
ル2の出側速度を用いて、圧延材の長手方向の位置に応
じた断面内の平均肉厚を計算し、マンドレルミル2出側
の両管端部の肉厚を計算する。出側速度は、設定計算時
の予測速度またはマンドレルミル2出側に設置された図
示を省略した速度計による計測データの実績速度を用い
る。
【0077】ここで、上記の断面内の平均肉厚WTavの計
算は、例えば、下記の(o) 式により行えばよい。
【0078】WTav=ΣWT(i)/N ・・・・ (o) なお、(o) 式中、WT(i)はiチャンネルの測定肉厚、N
は周方向の肉厚測定点数である。
【0079】この時、マンドレルミル2出側の両管端部
の軸方向肉厚は、肉厚計40のサンプリング時間に圧延
速度を乗じることで求めることができ、管先端からの位
置に対応した肉厚データと管後端からの位置に対応した
肉厚データも算出する。 (3) 定径圧延機3出側の両管端部の厚肉化量を計算:マ
ンドレルミル2出側の両管端部の肉厚は、定径圧延機3
で圧延する素管の寸法であるため、それを用いて定径圧
延機3出側の両管端部の厚肉化量を予測計算する。算出
の方法は、前述した管端部の非定常解析理論モデルにて
計算してもよいし、実機データ解析に基づいて決定して
もよい。また、計算はオンラインで実施してもよいが、
プロセスコンピュータ6の能力が十分でない場合は、寸
法、材質層別にてオフラインにて予め計算しておいて、
プロセスコンピュータ6内のテーブルに登録しておいて
もよい。 (4) 定径圧延機3の両管端部圧延時の回転数変更パター
ンの計算:予測した定径圧延機3出側の両管端部の厚肉
化量を解消するために定径圧延機3の両管端部圧延時の
回転数変更パターンを計算し、圧延制御部5へ再設定を
行う。定径圧延機3の両管端部圧延時の回転数変更パタ
ーンとは、両管端部圧延時の回転数変更量と変更タイミ
ングである。これらの値は、定径圧延機3での両管端部
の抑制する厚肉化量に応じて、前述した非定常圧延の解
析理論モデルまたは実機データ解析により求める。計算
はオンラインで実施してもよいし、予め計算しておいて
もよいことは手順(2) と同じである。
【0080】ここで、上記の両管端部圧延時の回転数変
更量の計算と変更タイミングの計算は、前述した(i) 〜
(k) 式と同様の方法により行えばよい。
【0081】なお、本発明の方法は、図1に示したよう
な、マンドレルミル2と定径圧延機3がタンデムに近接
配置されたような例では、マンドレルミル2出側の肉厚
測定から定径圧延機3の圧延開始までの時間が短くなる
ため、計算に必要な影響係数等をプロセスコンピュータ
6にて圧延開始前に計算して圧延制御部5に送信してお
き、圧延制御部5にてリアルタイムで計算する等の工夫
が必要となる。
【0082】これに対し、マンドレルミル2と定径圧延
機3の間に再加熱炉が設置されている場合等は、ここで
説明したようにプロセスコンピュータ6にてより厳密に
計算することが可能となる。
【0083】次に、定径圧延機3出側の肉厚測定時の誤
差計算方法を、図6に示すフローチャートにしたがって
説明する。 (1) 定径圧延機3出側の長手方向肉厚分布の取り込み:
定径圧延機3の出側に設置された肉厚計41の測定デー
タをプロセスコンピュータ6に取り込む。 (2) 定型圧延機3出側の両管端部の肉厚の計算:手順
(1) で取り込んだデータに基づいて、定径圧延機3の出
側速度を用いて、圧延材の長手方向の位置に応じた断面
内の平均肉厚を計算し、定径圧延機3出側の両管端部の
肉厚を計算する。出側速度は、設定計算時の予測速度も
しくは定径圧延機3出側に設置された図示を省略した速
度計による計測データの実績速度を用いる。
【0084】ここで、上記の断面内の平均肉厚の計算
は、前述した(o) 式と同様の方法により行えばよい。こ
の時、定径圧延機3出側の両管端部の軸方向肉厚は、肉
厚計41のサンプリング時間に圧延速度を乗じることで
求めることができ、管先端からの位置に対応した肉厚デ
ータと管後端からの位置に対応した肉厚データも算出す
る。 (3) 定径圧延機3出側の両管端部の肉厚誤差の計算:実
績肉厚から目標肉厚を減じることにより、定径圧延機3
出側の両管端部の肉厚誤差を計算する。 (4) 定径圧延機3出側の両管端部の肉厚誤差の平滑化処
理:肉厚計の測定データは多少ノイズが含まれており、
1本圧延毎の両管端部の肉厚誤差も変動するため、指数
平滑処理等を実施して定径圧延機3出側の両管端部の肉
厚誤差を決定する。
【0085】ここで、計算した定径圧延機3出側の両管
端部の肉厚誤差は、既に述べたように次材以降の設定計
算処理に反映させる。
【0086】以上は、マンドレルミル2の制御スタンド
を最終2スタンド(Sn-1、Sn)の例で説明している
が、肉厚を直接圧延する2スタンド以上を本発明の制御
対象としてもよい。
【0087】また、定径圧延機3の全スタンドの回転数
を変更する例で説明しているが、必ずしも全スタンド変
更する必要はない。
【0088】さらに、マンドレルミル2のロールギャッ
プのみを圧延中に変更する方法を説明しているが、ロー
ルギャップ変更に伴うマスフロー変化によるマンドレル
ミルスタンド間張力変動を抑制するために、圧延中のロ
ール回転数も変更することが望ましい。
【0089】また更に、図1に示すように、マンドレル
ミル2と定径圧延機3がタンデムに近接配置されている
ような設備では、定径圧延機3の先端圧延時の管端肉厚
制御時にロール回転数を変更すると、マンドレルミル2
と定径圧延機3間の速度バランスが崩れる。このため、
定径圧延機3の全スタンド回転数を一律同時に変更する
等のミル間の速度バランスを考慮した設定をすることが
望ましい。
【0090】マンドレルミル2と定径圧延機3がタンデ
ムに配置され連続圧延されるプロセスを例に説明を行っ
たが、マンドレルミル2と定径圧延機3が、連続圧延す
るプロセスになっていなくとも本発明方法が適用できる
ことは言うまでもない。
【0091】また、2ロール式のマンドレルミルを対象
に説明しているが、3ロール式のマンドレルミルであっ
てもかまわない。
【0092】さらに、本明細書においては、定径圧延機
と表現しているが、サイザー、ストレッチレデューサー
のいずれでもかまわない。
【0093】また更に、先後端の制御方法を同時に説明
しているが、圧延現象自体は異なるため、先端用と後端
用の制御量は当然別々に計算する必要があることは言う
までもない。
【0094】
【実施例】炭素鋼製の素管を、外径139.7mm、肉
厚4.0mmに仕上げる比較実験を行い、得られた製品
管の長手方向の周方向平均肉厚と周方向偏肉率を調べ、
その結果を図7〜14に示した。
【0095】なお、従来の技術である定径圧延機での管
端肉厚制御においては、全面スリップが発生するレベル
まで両管端部圧延時の回転数変更量を大きくした。
【0096】また、図7〜14中、図7〜10は周方向
平均肉厚の長手方向の分布、図11〜14は周方向偏肉
率の長手方向の分布を示す模式図で、図7と図11は無
制御時、図8と図12は延伸圧延機での管端肉厚制御
時、図9と図13は定径圧延機での管端肉厚制御時、図
10と図14は本発明の方法による管端肉厚制御時の結
果である。これらの図から以下のことがわかる。 (a) 延伸圧延機での管端肉厚制御:両管端部の肉厚化は
問題ないレベルであるが、ロールギャップを閉め込んで
いる管端部ほど周方向の偏肉が悪化している。 (b) 定径圧延機での管端肉厚制御:周方向偏肉は問題な
いが、両管端部の肉厚をみると、管端部に十分な管軸方
向張力を付与することができなかったために厚肉部が残
っている。特に、両管端近傍では制御によりあまり管軸
方向の張力がかからないため、あまり厚肉化が改善され
ていない。 (c) 本発明の方法:両管端部の周方向偏肉、長手方向の
肉厚分布とも良好であり、両管端部の周方向偏肉の発生
を極力抑えつつ、両管端部の厚肉化が抑制されている。
【0097】また、延伸圧延機での管端肉厚制御では、
薄肉材ではトラブル防止のため十分な制御量を加えて圧
延することができなかったが、本発明の方法では、延伸
圧延機での管端肉厚制御量を低減することができ、品質
を向上させることが可能であった。
【0098】なお、結果の記載は省略するが、発明4や
発明5の方法によった場合には、両管端部の肉厚精度が
一層向上した。
【0099】
【発明の効果】本発明の方法によれば、両管端部の周方
向偏肉の発生を抑えつつ、両管端部の厚肉化を確実に抑
制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明方法の1例の実施状態を示す模式図であ
る。
【図2】延伸圧延機での管端肉厚制御の動作例を示す模
式図である。
【図3】定径圧延機での管端肉厚制御の動作例を示す模
式図である。
【図4】本発明方法によるマンドレルミルと定径圧延機
の両管端部制御量の計算方法の一例を示すフローチャー
トである。
【図5】本発明方法による延伸圧延機出側の肉厚測定時
の定径圧延機の両管端部制御量の修正計算方法の一例を
示すフローチャートである。
【図6】本発明方法による定径圧延機出側の肉厚測定時
の誤差学習計算方法の一例を示すフローチャートであ
る。
【図7】実施例の結果を示す図で、無制御時の定径圧延
機後の管の周方向平均肉厚の長手方向の分布を示す模式
図である。
【図8】実施例の結果を示す図で、延伸圧延機での管端
肉厚制御時の定径圧延機後の管の周方向平均肉厚の長手
方向の分布を示す模式図である。
【図9】実施例の結果を示す図で、定径圧延機での管端
肉厚制御時の定径圧延機後の管の周方向平均肉厚の長手
方向の分布を示す模式図である。
【図10】実施例の結果を示す図で、本発明の方法での
管端肉厚制御時の定径圧延機後の管の周方向平均肉厚の
長手方向の分布を示す模式図である。
【図11】実施例の結果を示す図で、無制御時の定径圧
延機後の管の周方向偏肉率の長手方向の分布を示す模式
図である。
【図12】実施例の結果を示す図で、延伸圧延機での管
端肉厚制御時の定径圧延機後の管の周方向偏肉率の長手
方向の分布を示す模式図である。
【図13】実施例の結果を示す図で、定径圧延機での管
端肉厚制御時の定径圧延機後の管の周方向偏肉率の長手
方向の分布を示す模式図である。
【図14】実施例の結果を示す図で、本発明の方法での
管端肉厚制御時の定径圧延機後の管の周方向偏肉率の長
手方向の分布を示す模式図である。
【図15】マンドレルミルを用いた管圧延工程の一例を
示す模式図である。
【図16】マンドレルミルの2ロールスタンドでロール
ギャップを変更したときの状況を示す模式的正面図で、
同図(a)は基準ギャップ時、同図(b)はギャップ閉
時を示す図である。
【符号の説明】
1:素管、 2:マンドレルミル、 3:定径圧延機、 4:マンドレルバー、 5:圧延制御部、 6:プロセスコンピュータ、 20:マンドレルミルの孔型圧延ロール、 21:マンドレルミルの孔型圧延ロールの圧下装置、 30:定径圧延機の孔型圧延ロール、 31:定径圧延機の孔型圧延ロールの駆動モータ、 40:マンドレルミル出側の肉厚計、 41:定径圧延機出側の肉厚計。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】延伸圧延機で圧延された管に張力を付与し
    て圧延する定径圧延機を有する継目無鋼管の製造プロセ
    スにおける管端部肉厚の制御方法であって、延伸圧延機
    による圧延時においては管の噛込み時と尻抜け時に孔型
    圧延ロールの圧下位置を変更し、定径圧延機による圧延
    時においては管の噛込み時と尻抜け時に孔型圧延ロール
    の回転数を増減速することにより、定径圧延機による圧
    延時に生じる管端部の厚肉化現象を抑制する継目無鋼管
    の管端部肉厚制御方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の方法において、理論モデ
    ルまたは実績値に基づいて定径圧延機において管端部厚
    肉化を抑制できる限界を求め、その限界の範囲内で定径
    圧延機における管端部厚肉化の抑制量を決定し、定径圧
    延機での管の噛込み時と尻抜け時における孔型圧延ロー
    ルの回転数増減量を決定し、定径圧延機で管端部厚肉化
    を抑制できない量に応じて延伸圧延機での管の噛込み時
    と尻抜け時における孔型圧延ロール圧下位置の変更量を
    決定する継目無鋼管の管端部肉厚制御方法。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の方法において、定径圧延
    機による管端部厚肉化の抑制量を理論モデルまたは実績
    値に基づいて求めた限界値とする継目無鋼管の管端肉厚
    制御方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の方法にお
    いて、延伸圧延機の出側に設けられた肉厚計の測定デー
    タに基づいて延伸圧延機出側の管端肉厚を計算し、定径
    圧延機による圧延時の管の噛込み時と尻抜け時における
    孔型圧延ロールの回転数の増減量を理論モデルまたは実
    績値に基づいて決定する継目無鋼管の管端肉厚制御方
    法。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の方法にお
    いて、定径圧延機の出側に設けられた肉厚計の測定デー
    タに基づいて管端の厚肉量を算出し、次材以降の制御量
    を修正する継目無鋼管の管端肉厚制御方法。
JP2000116154A 2000-04-18 2000-04-18 継目無鋼管の肉厚制御方法 Pending JP2001300620A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104084428A (zh) * 2014-06-11 2014-10-08 攀钢集团成都钢钒有限公司 减定径生产在线控制无缝钢管管壁不均匀增厚的方法

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