JP2001295113A - アクリル系樹脂手袋 - Google Patents

アクリル系樹脂手袋

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JP2001295113A
JP2001295113A JP2000112352A JP2000112352A JP2001295113A JP 2001295113 A JP2001295113 A JP 2001295113A JP 2000112352 A JP2000112352 A JP 2000112352A JP 2000112352 A JP2000112352 A JP 2000112352A JP 2001295113 A JP2001295113 A JP 2001295113A
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Ai Matsuura
亜衣 松浦
Yoshiaki Miyamoto
芳明 宮本
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Sumitomo Rubber Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡易な方法で得ることができ、成膜後の離型
性に優れ、かつ、表面の粘着性が低いアクリル系樹脂手
袋を提供する。 【解決手段】 本発明のアクリル系樹脂手袋は、アクリ
ル系樹脂層からなる手袋本体の外表面に、平均粒径が1
0〜100μmのセラミック微粒子または有機充填剤微
粒子を含有するゴム層を設けたものであって、前記ゴム
層と前記アクリル系樹脂層とをこの順で、浸漬法によっ
て手袋の型表面に形成し、次いでこの積層体を反転脱型
することによって製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアクリル系樹脂製の
手袋に関し、より詳しくは、製造時の作業性と使用時の
操作性が向上したアクリル系樹脂手袋に関する。
【0002】
【従来の技術】家庭用、作業用、検査用、手術用等の用
途に汎用される手袋には、大きく分けてゴム製のものと
塩化ビニル樹脂製のものとがある。このうち、天然ゴム
(NR)製や、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(N
BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)等の合成
ゴム製の手袋は、一般に粘着性が高いため、手との密着
性が高くなってべた付き感が生じ、スムーズに装着およ
び脱着することができないという問題、すなわち装着性
および脱着性が低い問題がある。
【0003】また、粘着性を低下させるために、上記ゴ
ム手袋の表面に塩素処理を施すことが知られているが、
この塩素処理には作業環境の悪化や、手袋表面の滑性が
過剰になるといった問題があり、さらには、塩素処理を
施すことでゴム製品の廃棄・焼却時にダイオキシンの発
生を招くという問題がある。上記ゴム製の手袋に対し、
モジュラスの大きい塩化ビニル樹脂製の手袋は、手袋の
装着性や脱着性に優れるものの、塩素処理を施したゴム
製品と同じく、廃棄・焼却処理時にダイオキシンの発生
を招く問題があり、近年、環境問題への関心が強まる
中、その使用が抑制されつつある。
【0004】そこで、塩化ビニル樹脂以外の、モジュラ
スの大きな樹脂材料を用いて、装着性および脱着性に優
れた手袋を得ることが求められている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一方、本出願人は先
に、アクリル系樹脂製の手袋を提案している(特願平1
1−307610号、同11−193476号、同11
−255912号、同11−267657号)。かかる
手袋は、塩化ビニル樹脂製の手袋と同様に、そのモジュ
ラスが従来のゴム手袋よりも大きく、伸び特性等に関し
て実用上十分な物性を有するものであって、本出願人に
よる内面処理剤(特願平11−193476号)を使用
することによって、その装着性および脱着性をも優れた
ものとすることができる。
【0006】しかしながら、アクリル系樹脂はガラスや
陶器に対する接着力が大きいため、アクリル系樹脂手袋
を浸漬法によって形成した後、離型するのが困難である
という問題がある。上記の問題を解決すべく、例えば、
あらかじめシリコーン樹脂やフッ素系樹脂による加工を
施した手袋の型を用いることが考えられるが、この場
合、手袋の成膜以前に新たな処理工程が増えることや、
シリコーン樹脂やフッ素系樹脂が高価であることから、
コストアップの問題が生じる。
【0007】そこで、本発明の目的は、簡易な方法で得
ることができ、成膜後の離型性に優れ、かつ、表面の粘
着性が低いアクリル系樹脂手袋を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】本発明
者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結
果、まず、所定の粒径のセラミック粒子または有機充填
剤粒子を含有するゴムラテックスに手袋の型を浸漬して
当該ゴムからなる層を成膜しておき、次いで、その型を
アクリル系樹脂のエマルジョンに浸漬して成膜すること
によってゴム層とアクリル系樹脂層との2層からなる積
層体を形成し、さらにこの積層体を反転脱型すれば、
(I)手袋の型等に特別の処理を施さなくても離型をスム
ーズに行うことができ、(II)アクリル系樹脂本来の大き
なモジュラスや十分な伸び特性といった物性を保持する
ことができ、さらには、(III) 手袋の表面をゴム膜とす
ることに起因する手袋外表面の高粘着性をも改善するこ
とのできる手袋が得られるという全く新たな事実を見出
し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明に係る手袋は、アクリル
系樹脂層からなる手袋本体の外表面に、平均粒径が10
〜100μmのセラミック微粒子または有機充填剤微粒
子を含有するゴム層を設けたものである。上記本発明の
手袋は、前記ゴム層と前記アクリル系樹脂層とをこの順
で、浸漬法によって手袋の型表面に形成し、こうして得
られた積層体を反転脱型することによって得られる。
【0010】上記本発明の手袋は、(i) 浸漬法によって
形成されるものであることから、その製造方法が簡易で
あって、(ii)製造時(製膜時)には手袋の型表面側にあ
り、かつ、脱型後および手袋の使用時に外表面となる層
が、セラミックや有機充填剤の微粒子を含有するゴムで
あることから、成膜後の離型がスムーズで、なおかつ、
手袋の使用時に問題となる外表面の粘着性が低減されて
いる。ところで、特開平8−337910号公報には、
アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)からなる
手袋基体の内面にアクリル系樹脂層を設けた手袋が記載
されている。しかしながら、上記公報に記載の手袋は、
あくまでNBR手袋における手袋外表面の粘着性の問題
を改善することを目的としたものであって、表面の滑り
性が高くなりすぎるおそれがある塩素処理に代えて、手
袋の内表面にアクリル系樹脂からなる層を設ける処理を
施したに過ぎない。また、上記公報に記載の手袋では、
NBR製手袋の欠点である高い粘着性については何ら改
善されていない。
【0011】これに対し、本発明のアクリル系樹脂手袋
によれば、前述のように、手袋製造時の離型性が改善さ
れているだけでなく、手袋の表面に粘着を防止する効果
が付与されている。また、本発明のアクリル系樹脂手袋
では、手袋表面の粘着性を低減させる方法として、従来
公知の方法であるタルク粉、雲母粉、澱粉等の離型剤を
付着させる打ち粉処理を採用せずに、ゴム層内部にセラ
ミック微粒子や有機充填剤微粒子を埋め込む方法を採用
していることから、前記離型剤の脱離による汚染の問題
を生じることがない。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る手袋について
詳細に説明する。本発明のアクリル系樹脂手袋は、前述
のように、アクリル系樹脂層からなる手袋本体の外表面
に、平均粒径が10〜100μmのセラミック微粒子ま
たは有機充填剤微粒子を含有するゴム層を設けたもので
ある。 〔手袋本体〕本発明のアクリル系樹脂手袋における手袋
本体は、アクリル系樹脂エマルジョンを用いて浸漬法に
より成形される。
【0013】(アクリル系樹脂エマルジョン)本発明に
用いられるアクリル系樹脂エマルジョンとしては、例え
ば、(1) アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル
酸、またはメタクリル酸エステルの単独ポリマーのエマ
ルジョン、(2) 上記(1) に開示の、4種のモノマーのう
ち少なくとも2種を組み合わせて得られる共重合体ポリ
マーのエマルジョン、(3) 上記(1) および(2) に開示の
ポリマーのいずれかと、酢酸ビニル、スチレンまたはア
クリロニトリルとの共重合体のエマルジョン、(4) 上記
(1) 〜(3) に開示のポリマーに、水酸基、カルボキシル
基、N−メチロール基、N−メチロールエーテル基等の
架橋性基を有するモノマーを共重合させたポリマーのエ
マルジョン、等の、硬質から軟質までの種々のグレード
のものが挙げられる。
【0014】特に、上記(3) および(4) のように自己架
橋性を有するアクリル系樹脂エマルジョンを用いたとき
は、後述する架橋剤を配合しなくても、モジュラスの高
い手袋を得ることができる。上記アクリル酸エステルお
よびメタクリル酸エステルにおけるエステル部分を構成
する置換基としては、例えばメチル、エチル、n−プロ
ピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル等の、炭
素数が1〜4のアルキル基等が挙げられる。
【0015】上記アクリル系樹脂エマルジョンの具体例
としては、日本ゼオン(株)製の商品名「LX851」
(ガラス転移温度Tg=15℃)、同社製の「LX85
2」(Tg=−6℃、軟質)、同社製の「LX854」
(Tg=−10℃)、同社製の「LX857」(Tg=
43℃、硬質)等が挙げられる(「硬質」、「軟質」の
別は、エマルジョンのグレードである)。本発明におい
て、上記アクリル系樹脂エマルジョンには、アクリル系
樹脂の架橋性を十分なものとし、かつ手袋の強度を向上
させるために、架橋剤を含有させるのが好ましい。
【0016】アクリル系樹脂エマルジョンとして上記
(3) および(4) のエマルジョンなどの、自己架橋性を有
するエマルジョンを用いた場合には、架橋剤が存在しな
くても成膜することができるが、架橋剤を配合すること
によって手袋の強度をより一層向上させることができ
る。 (架橋剤)アクリル系樹脂エマルジョンに含有させる架
橋剤としては、例えば、(a) 亜鉛華、あるいは、(b) メ
ラミン樹脂、エポキシ樹脂、オキサゾリン系樹脂、ブロ
ックイソシアネート等の樹脂架橋剤、といった、ポリマ
ーの加工に用いられる従来公知の種々の架橋剤が挙げら
れる。
【0017】架橋剤の含有量は特に限定されないが、上
記(a) の亜鉛華と、上記(b) の樹脂架橋剤とを併用する
場合であっても、その総量がアクリル系樹脂エマルジョ
ンの樹脂固形分100重量部に対して1〜10重量部に
設定されるのが好ましく、1〜5重量部に設定されるの
がより好ましい。上記(a) の亜鉛華および上記(b) の樹
脂架橋剤は、それぞれ単独でアクリル系樹脂エマルジョ
ンに含有させることもできるが、両者を併用するのがよ
り好ましい。亜鉛華はアクリル系樹脂エマルジョンの感
熱法による成膜性を良好なものとし、樹脂架橋剤はアク
リル系樹脂手袋の耐洗剤性を良好なものとするといった
ように、それぞれ異なる付加的作用を示すからである。
【0018】従って、アクリル系樹脂エマルジョンの樹
脂固形分100重量部に対する架橋剤の含有量は、上記
範囲の中でも特に、亜鉛華を0.5〜5重量部程度と
し、樹脂架橋剤を0.5〜5重量部程度とするのがより
好ましい。なお、亜鉛華の含有量が多くなり過ぎると手
袋の伸びが低下するおそれがあり、樹脂架橋剤の含有量
が多くなり過ぎるとかえって手袋の耐洗剤性が低下する
おそれがある。 (その他の添加剤)本発明のアクリル系樹脂手袋の製造
に用いるアクリル系樹脂エマルジョンには、上記架橋剤
のほかに、例えば老化防止剤、充填剤、分散剤等の、従
来公知の種々の添加剤を配合してもよい。
【0019】上記老化剤としては、一般に、非汚染性の
フェノール類が好適に用いられるが、アミン類を使用し
てもよい。老化防止剤の配合量は、アクリル系樹脂エマ
ルジョンの樹脂固形分100重量部に対して0.5〜3
重量部程度であるのが好ましい。上記充填剤としては、
例えばカオリンクレー、ハードクレー、炭酸カルシウム
等が挙げられる。その配合量は、上記樹脂固形分100
重量部に対して10重量部以下であるのが好ましい。ま
た、上記各添加剤のアクリル系樹脂エマルジョン中への
分散性を良好なものにするには分散剤を配合してもよ
い。かかる分散剤としては、例えば各種陰イオン系界面
活性剤等が挙げられる。分散剤の配合量は、分散対象で
ある成分に対して0.3〜1.0重量%程度であるのが
好ましい。
【0020】〔ゴム層〕本発明のアクリル系樹脂手袋に
おけるゴム層は、ゴムラテックスを用いて浸漬法により
成形される。 (ゴムラテックス)本発明に用いられるゴムラテックス
としては特に限定されるものではなく、例えば天然ゴム
(NR)ラテックスや脱蛋白天然ゴム(DPNR)ラテ
ックス、あるいはアクリロニトリル−ブタジエンゴム
(NBR)ラテックス、スチレン−ブタジエンゴム(S
BR)ラテックス等の、種々の合成ゴムラテックスが挙
げられる。中でも、アクリル系樹脂からなる手袋本体と
の接着性に優れたものを用いるのが好ましく、かかる観
点よりNBRラテックスが好適に用いられる。
【0021】(添加剤)上記ゴムラテックスに配合する
添加剤としては、例えば硫黄、有機含硫黄化合物等の加
硫系添加剤が挙げられる。上記ゴムラテックスには、加
硫系添加剤のほかに、例えば加硫促進剤、充填剤、加硫
促進助剤(活性化剤)、老化防止剤、充填剤、分散剤等
の、従来公知の種々の添加剤を配合することができる。
【0022】加硫促進剤としては、例えばPX(N−エ
チル−N−フェニルジチオカルバミン酸亜鉛)、PZ
(ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛)、EZ(ジエチル
ジチオカルバミン酸亜鉛)、MZ(2‐メルカプトベン
ゾチアゾールの亜鉛塩)、TT(テトラメチルチウラム
ジスルフィド)等が挙げられ、これらは単独でまたは2
種以上混合して用いることができる。その配合量は、ゴ
ムラテックスのゴム固形分100重量部に対して0.5
〜3重量部程度であるのが好ましい。
【0023】加硫促進助剤としては、例えば亜鉛華等が
挙げられる。その配合量は、ゴムラテックスのゴム固形
分100重量部に対して0.5〜3重量部程度であるの
が好ましい。老化防止剤、充填剤としては、アクリル系
樹脂エマルジョン用の添加剤として例示したのと同様の
ものを挙げることができる。 (微粒子)本発明のアクリル系樹脂手袋におけるゴム層
に含有されるセラミック微粒子または有機充填剤の微粒
子としては、平均粒径が10〜100μmであるほかは
特に限定されるものではなく、従来公知の種々の微粒子
が挙げられる。
【0024】具体的には、セラミック微粒子としては、
陶磁器等の窯業製品や、いわゆるファインセラミックス
等を微粒子化したものが挙げられる。有機充填剤の微粒
子としては、例えばポリメタクリル酸メチル(PMM
A)等の(メタ)アクリル系樹脂微粒子;ポリエチレ
ン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂微粒子;
セルロースビーズ等が挙げられる。上記微粒子の平均粒
径が10μmを下回ると、手袋外表面の粘着性を低減さ
せる効果が得られなくなる。逆に、平均粒径が100μ
mを超えると、手袋外表面の凹凸が大きくなってざらつ
き感が生じてしまうために好ましくない。
【0025】微粒子の平均粒径は、上記範囲の中でも特
に、10〜50μmであるのが好ましく、20〜30μ
mであるのがより好ましい。セラミック微粒子や有機充
填剤微粒子の配合量は特に限定されるものではないが、
配合量が少なすぎると手袋表面の粘着性を低減させる効
果が得られなくなるおそれがあり、逆に配合量が多すぎ
ると手袋の柔軟性が低下するといった不具合を招くおそ
れがある。
【0026】従って、上記微粒子の配合量は、これに限
定されるものではないが、通常、ゴム層を形成するゴム
ラテックスのゴム固形分100重量部に対して2〜8重
量部に設定するのが好ましく、2〜6重量部とするのが
より好ましい。 〔手袋の製造方法〕本発明のアクリル系樹脂手袋は、前
述のように、前記ゴム層と前記アクリル系樹脂層とをこ
の順で、浸漬法によって手袋の型表面に形成し、こうし
て得られた積層体を反転脱型することによって得られ
る。
【0027】(1) ゴム層の形成 手袋の外表面を構成する層であるゴム層の形成は、ま
ず、所定のゴムラテックスに加硫系添加剤やその他上記
例示の添加剤を適宜配合し、こうして得られた配合ラテ
ックスに必要に応じて前加硫を施した後、あらかじめ加
熱した手袋の型を浸漬して成膜することによって行われ
る。手袋の型の加熱温度は、使用するゴムラテックスの
種類に応じて適宜設定されるものであるが、通常、型表
面の温度が70〜100℃程度となるように設定され
る。なお、手袋の型には、例えば陶器製、ガラス製等
の、従来公知の種々のものが使用可能である。
【0028】手袋の型には、必要に応じて感熱化剤やア
ノード凝着剤を塗布しておいてもよく、上記配合ラテッ
クス中にあらかじめ感熱化剤やアノード凝着剤を配合し
ておいてもよい。この場合において、使用可能な感熱化
剤およびアノード凝着剤は後述するものと同じものが挙
げられる。ゴムラテックス中への手袋の型の浸漬時間
は、常法に従い、ゴム層の所望の厚さに応じて適宜設定
すればよい。
【0029】ゴム層の厚さは、手袋本体(アクリル系樹
脂の層)よりも薄いほかは特に限定されるものではな
く、手袋の用途に応じて適宜設定されるものであるが、
例えば家庭用の薄手の手袋を形成する場合、0.05〜
0.15mm程度に設定するのが好ましく、0.1mm
程度に設定するのがより好ましい。ゴム層が手袋本体よ
りも厚くなると、アクリル系樹脂エマルジョン製の手袋
が本来有する良好なフィット感や脱着性が損なわれてし
まう。従って、ゴム層の厚みがたとえ上記範囲にあって
も、後述するアクリル系樹脂層の厚みを考慮した上で設
定する必要がある。
【0030】(2) アクリル系樹脂層(手袋本体)の形成 手袋本体を構成するアクリル系樹脂層の形成は、まず、
所定のアクリル系樹脂エマルジョンに感熱化剤やアノー
ド凝着剤を配合し、さらに必要に応じて架橋剤を配合し
た後、上記(1) の「ゴム層の形成」工程において表面に
ゴム膜が形成された手袋の型を再度70〜100℃に加
温した上で、前記アクリル系樹脂エマルジョン中に浸漬
することによって製造される。前記型をアクリル系樹脂
エマルジョン中に浸漬することにより、ゴム膜の表面に
樹脂エマルジョンがゲル化して、膜を形成する。
【0031】手袋の型を前記アクリル系樹脂エマルジョ
ンから引き上げて、乾燥処理を施すことによって、本発
明のアクリル系樹脂手袋が得られる。前記アクリル系樹
脂エマルジョンに配合される感熱化剤としては、例えば
硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、亜鉛アンモニウ
ム錯塩等の無機または有機のアンモニウム塩や、例えば
ポリビニルメチルエーテル、ポリアルキレングリコー
ル、ポリエーテルポリホルマール、官能性ポリシロキサ
ン等の、曇点が常温以上、100℃以下である水溶性高
分子が挙げられる。
【0032】一方、アノード凝着剤としては、例えば硝
酸カルシウム、塩化カルシウム等の2価以上の金属塩、
テトラメチルアンモニウム塩酸塩等の有機アルキルアミ
ン塩などが挙げられる。上記感熱化剤やアノード凝着剤
の配合量は常法に従って設定すればよく、通常、樹脂エ
マルジョン中の樹脂固形分100重量部に対して0.5
〜5重量部、特に0.5〜2.0重量部の範囲で設定さ
れる。
【0033】アクリル系樹脂エマルジョン中への手袋の
型の浸漬時間は、常法に従い、手袋本体(アクリル系樹
脂の層)の所望の厚さに応じて適宜設定すればよい。手
袋本体の厚さは特に限定されるものではなく、手袋の用
途に応じておよび前記ゴム層の厚みに応じて適宜設定さ
れるものであるが、例えば家庭用の薄手の手袋を形成す
る場合、0.1〜0.2mm程度に設定するのが好まし
く、0.15mm程度に設定するのがより好ましい。
【0034】(3) 乾燥、脱型等 手袋の型表面に上記ゴム層と手袋本体(アクリル系樹脂
の層)を成膜した後、例えば100〜150℃程度のオ
ーブン内に手袋の型を放置することによって、成膜され
たゴム層とアクリル系樹脂を十分に乾燥させる。乾燥
後、手袋の型表面に形成されたゴム層とアクリル系樹脂
層との積層体を反転脱型して、前記ゴム層が外表面とな
るようにすることで、本発明のアクリル系樹脂手袋が得
られる。
【0035】
【実施例】次に、実施例および比較例を挙げて本発明を
説明する。 実施例1 NBRラテックス〔日本ゼオン(株)製の商品名「LX
550L」の乾燥ゴム分100重量部に対して、硫黄1
重量部、亜鉛華1重量部、加硫促進剤(ジブチルジチオ
カルバミン酸亜鉛,BZ)1重量部およびセラミック微
粒子(平均粒径30μm)2重量部を添加して24〜4
8時間熟成することにより、前加硫NBRラテックスと
した。
【0036】一方、アクリル系樹脂エマルジョン〔日本
ゼオン(株)製の商品名「LX854」〕の樹脂固形分
100重量部に対して、亜鉛華3重量部とメラミン樹脂
架橋剤〔大日本インキ化学工業(株)製の商品名「ベッ
カミンJ−101」〕3重量部とを添加して、配合アク
リル系樹脂エマルジョンとした。次に、あらかじめ50
℃に加温した手袋の型を、前記前加硫NBRラテックス
に10秒間浸漬して引き上げ、70℃で2〜3分間乾燥
した。こうして、手袋の型表面に薄いNBR膜を形成し
た。さらに、表面にNBRが成膜された手袋の型を、上
記配合アクリル系樹脂エマルジョンに10秒間浸漬して
から引き上げて、手袋型の表面にアクリル系樹脂膜を形
成した。
【0037】次いで、NBR膜とアクリル系樹脂膜とが
形成された手袋の型を100℃のオーブンの中に30分
間放置し、前記膜を完全に乾燥させた。乾燥後、NBR
膜およびアクリル系樹脂膜からなる2層構造の膜を、手
袋の型から反転脱型して、手袋を得た。得られた手袋
は、全体の膜厚が家庭用の薄手の手袋と同程度である
0.24mmであって、このうち手袋本体のアクリル系
樹脂層の厚みが0.15mm、表面のゴム層の厚みが
0.09mmであった。
【0038】実施例2 前加硫NBRラテックスの調製に際して、セラミック微
粒子に代えて、有機充填剤微粒子としてのポリメタクリ
ル酸メチル(PMMA,平均粒径10μm)を使用し、
これを前記NBRラテックスのゴム固形分100重量部
に対して2重量部添加した。こうして得られた前加硫N
BRラテックスを用いたほかは、実施例1と同様にして
手袋を得た。
【0039】得られた手袋の厚みは下記の表1に示すと
おりである。 比較例1 前加硫NBRラテックス中にセラミック微粒子または有
機充填剤微粒子を配合しなかったほかは、実施例1と同
様にして手袋を得た。得られた手袋の厚みは下記の表1
に示すとおりである。 比較例2 あらかじめ50℃に加温した手袋の型を、実施例1で使
用したのと同じ配合アクリル系樹脂エマルジョンに15
秒間浸漬してから引き上げ、手袋型の表面にアクリル系
樹脂膜を形成した。
【0040】次いで、手袋の型を100℃のオーブンの
中に30分間放置して、前記膜を完全に乾燥させた。乾
燥後、アクリル系樹脂エマルジョンからなる膜を脱型し
て、アクリル系樹脂単独からなる手袋を得た。得られた
手袋の厚みは下記の表1に示すとおりである。 比較例3 前加硫NBRラテックスの調製に際して、セラミック微
粒子として、その粒径が150μmであるものを使用
し、これを前記NBRラテックスのゴム固形分100重
量部に対して2重量部添加した。
【0041】こうして得られた前加硫NBRラテックス
を用いたほかは、実施例1と同様にして手袋を得た。得
られた手袋の厚みは下記の表1に示すとおりである。 比較例4 前加硫NBRラテックスの調製に際して、セラミック微
粒子に代えて、有機充填剤微粒子としてのポリメタクリ
ル酸メチル(PMMA,平均粒径5μm)を使用し、こ
れを前記NBRラテックスのゴム固形分100重量部に
対して2重量部添加した。
【0042】こうして得られた前加硫NBRラテックス
を用いたほかは、実施例1と同様にして手袋を得た。得
られた手袋の厚みは下記の表1に示すとおりである。上
記実施例1および2、比較例1〜4の手袋について、製
造時の手袋の型からの離型性と、手袋使用時の外表面の
粘着性とについて、それぞれ以下の基準にて評価した。
【0043】(離型性) ○:手袋の脱型をスムーズに行うことができた。 ×:手袋の脱型をスムーズに行うことができなかった。 (粘着性) ○:粘着性が十分に低減されており、使用時に不具合が
生じなかった。 ×:粘着性が高く、手袋同士が引っ付き易いといった不
具合が生じた。
【0044】以上の結果を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】表1より明らかなように、実施例1および
2では、成膜後の脱型をスムーズに行うことができ、さ
らに、手袋表面の粘着性が十分に低減されていた。これ
に対し、ゴム層(NBR層)中に微粒子を配合しなかっ
た比較例1では手袋表面の粘着性を低減させることがで
きなかった。また、ゴム層自体を形成しなかった比較例
2では、粘着性が高いだけでなく、手袋の脱型をスムー
ズに行うことができないという問題もあった。
【0047】微粒子を含有するゴム層を設けた場合であ
っても、微粒子の粒径が大きすぎる比較例3では手袋の
表面にざらつき感が生じてしまい、実用に供することが
できなかった。また、微粒子の粒径が小さすぎる比較例
4では、粘着性を低減させる効果を十分に得ることがで
きなかった。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アクリル系樹脂層からなる手袋本体の外表
    面に、平均粒径が10〜100μmのセラミック微粒子
    または有機充填剤微粒子を含有するゴム層を設けた手
    袋。
  2. 【請求項2】前記ゴム層と前記アクリル系樹脂層とをこ
    の順で、浸漬法によって手袋の型表面に形成し、こうし
    て得られた積層体を反転脱型した請求項1記載の手袋。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2439933A (en) * 2006-07-11 2008-01-16 Regent Medical Ltd An elastomeric article partially covered with a donning aid
JP2020133082A (ja) * 2019-02-26 2020-08-31 エステー株式会社 手袋

Cited By (3)

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GB2439933A (en) * 2006-07-11 2008-01-16 Regent Medical Ltd An elastomeric article partially covered with a donning aid
JP2020133082A (ja) * 2019-02-26 2020-08-31 エステー株式会社 手袋
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