JP2001287079A - アーク溶接用鋼ワイヤおよびその製造方法 - Google Patents

アーク溶接用鋼ワイヤおよびその製造方法

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JP2001287079A
JP2001287079A JP2000108905A JP2000108905A JP2001287079A JP 2001287079 A JP2001287079 A JP 2001287079A JP 2000108905 A JP2000108905 A JP 2000108905A JP 2000108905 A JP2000108905 A JP 2000108905A JP 2001287079 A JP2001287079 A JP 2001287079A
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plating
wire
arc welding
layer
copper
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JP2000108905A
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Toru Ono
徹 小野
Yoji Chatani
洋司 茶谷
Masaaki Yano
正明 矢野
Masao Kurosaki
將夫 黒崎
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Nippon Steel Corp
Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Nippon Steel Welding and Engineering Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ライナの屈曲等により送給抵抗が高くなる過
酷な使用環境下においても、良好な送給性を発揮するこ
とのできるアーク溶接用鋼ワイヤを提供する。また、低
毒性、高効率であることに加えて廃液処理が簡単で且つ
安定して密着性の良好な銅めっきが得られるアーク溶接
用鋼ワイヤの製造方法を提供する。 【解決手段】 表面鋼素地の亀裂により生じた窪地部と
めっきされた平坦部から構成される表面を有し、めっき
層は付着量1.0〜10g/m2 の銅めっき上層と付着
量0.25〜5.0g/m2 のニッケルめっき下層から
なる2層めっきであり、表面粗度はtp[L/Cv=3
0]=45〜95%、Ra[L]=0.07〜0.23
μmであって、かつワイヤ表面に送給潤滑剤をワイヤ1
0kg当り0.10〜2.00g付着したことを特徴と
するアーク溶接用鋼ワイヤ、およびその製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、送給性に優れた全
自動および半自動溶接用フラックス入りワイヤ、ソリッ
ドワイヤ等のアーク溶接用鋼ワイヤとそのアーク溶接用
鋼ワイヤの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にCO2ガスシールドアーク溶接、
MIG溶接等には細径(0.8〜1.6mmφ)の溶接
用ワイヤが使用される。溶接用ワイヤはスプールに巻か
れた、あるいはぺールパックに装填された形態で溶接に
供せられる。この溶接用ワイヤの使用に際しては、送給
機の送給ローラによりスプールあるいはぺールパックか
らワイヤを引き出すとともに後続するコンジットケーブ
ルに内包されたライナ内に押し込み、このライナを経由
して、コンジットケーブル先端に取り付けられた溶接ト
ーチ内の給電チップまで送給する方式が採用されてい
る。ワイヤはこの給電チップと被溶接材間で電圧を印可
されてアーク溶接が行われる。
【0003】ここで使用されるコンジットライナは鋼線
をスパイラル状にして形成したフレキシブルなガイド管
であり、その長さは通常3〜6m程度であるが広域の溶
接を行なう場合には10〜20mの長尺なものとなり、
溶接個所までの距離に合わせて選択使用される。この方
式によれば、造船現場等の溶接個所が狭隘な、あるいは
高低差がある場所であっても、コンジットケーブル(ラ
イナ)を沿わすことにより比較的容易に溶接が行なえる
利点がある。ところが、使用時に、次のような問題が生
じることがあり、その解決を求められている。
【0004】安定した溶接を行なうためには、溶接用ワ
イヤを決められた一定の速度で溶接部に供給すること、
つまり送給性が良好であることが必要となる。ワイヤは
送給ローラの送給力によってライナ内に押し込まれ、一
方ライナ内面からは接触摩擦による送給抵抗を受ける。
このとき、ライナが直線状態に近い比較的優しい使用環
境下の場合には、送給抵抗はそれ程大きくならず送給性
に問題は生じないが屈曲個所が多く、屈曲半径(曲率半
径)が小さく、あるいはライナが長尺化した場合等の過
酷な使用環境下の場合には、送給抵抗が増加し送給力と
のバランスが崩れ、送給性が悪化する。
【0005】ワイヤの表面状態は、この送給性の良否に
大きく影響している。即ち、送給抵抗が増加したとき、
ワイヤ表面の潤滑剤が少ないと、送給速度が不安定にバ
ラツクようになり送給性が悪化する。また、ワイヤがラ
イナ内で座屈する、送給ローラでワイヤ表面が削れ、こ
の削れ滓がライナ内に進入、蓄積する状態を呈する等に
より、益々送給抵抗が増加するようになる。逆に、ワイ
ヤ表面の潤滑剤が多いと、送給ローラが過剰にスリップ
するようになり、ワイヤは所定の送給速度を維持できず
送給性が悪化する。その結果、溶接アークの不安定化、
ビード形状の不揃い、融合不良、アンダーカットの発生
等のトラブルが発生する。
【0006】コンジットケーブルが直線状態で使われる
溶接現場は殆どなく、複雑に入り組んだ場所でケーブル
を屈曲させながらワークの溶接が行われるのが普通であ
るから、このような状況下においても送給性良好な溶接
用ワイヤが強く要求されるようになった。従来、送給性
を確保するために、溶接ワイヤ表面にさまざまな潤滑処
理が行われている。
【0007】例えば特公昭50−3256号公報には、
緻密平滑な表面に潤滑油を塗布した溶接用ワイヤが開示
されている。ところがワイヤ表面が緻密平滑であると所
定量の潤滑油をむらなく安定して塗布することが困難で
あり、送給性良好なワイヤを得ようとした場合、潤滑油
を多く塗布せざるを得ない。しかし表面の潤滑油が多い
ワイヤは前述のように、送給抵抗の増加により送給ロー
ラがスリップし易くなるからライナの屈曲等に対応でき
難いこと、さらには溶接作業性の不良や拡散性水素量増
加に起因する溶接金属の材質劣化を伴うという欠点があ
る。
【0008】そこで、ワイヤ表面の粗度を大きくしてそ
の凹部に潤滑油を保持させることにより、潤滑油をワイ
ヤ長手方向にむらなく、かつ安定して塗布する技術が提
案された。例えば、特公昭58−56677号公報には
潤滑油圧力を高めて強制潤滑しつつ孔ダイスにより伸線
加工することにより、ワイヤ表面の粗度を大きくするた
めの製造技術が開示されている。しかし、ワイヤ表面の
平坦率は小さくできるものの深さ方向の粗度は得られ難
い、そのため表面の潤滑油付着量が2.0g/10kg
W以上と多量でないと送給性の改善は望めない。
【0009】一般にアーク溶接用ワイヤは通電性や防錆
性、および送給性向上等の観点から銅めっきを施してい
る。銅の電気めっき方法として工業化されているものと
しては、シアン化銅浴からの電気めっきと硫酸銅浴から
の電気めっきとに大別されるが、一般に線材,特に溶接
用ワイヤの銅めっき方法としては、従来密着性及び均一
電着性の優れたシアン化銅浴が一般的に使用されてき
た。しかしながら、近年公害対策を含めてコスト面から
硫酸銅浴からの銅めっきを施す試みも行われるようにな
ってきた。
【0010】硫酸銅浴から銅めっきを施した場合,通常
Cu2++2e→Cuの電析反応と同時進行でCu2++F
e→Cu+Fe2+の置換反応が進行し密着性の悪い銅が
析出し,良い品質の銅めっきが得られない。特にアーク
溶接用鋼ワイヤ表面には溶接性向上のために粒界酸化
層,内部酸化層が存在し置換析出反応が起こりやすい。
そのため、この置換析出反応を防止するために種々の試
みがなされてきた。例えばピロりん酸浴からの電気めっ
きを下地にして、その上に硫酸銅浴から銅めっきを施す
試み(特公平8−26475号公報)もなされてきた。
【0011】このピロりん酸銅浴での下地めっきについ
ては、硫酸銅浴の利点を生かすことはできるが好ましい
条件として硫酸浴からの析出時間をピロりん酸浴からの
それ以下とあり、これでは硫酸浴からの銅付着量が少な
くなり、硫酸浴の利点を十分生かしているとは言い難
い。また一方で、脱シアン浴を目的として高温硫酸浴か
ら高電流密度での銅めっきが提案(特公昭62−333
13号公報)されているが、一般に高温の硫酸銅浴は置
換反応が起こりやすく密着性の良い銅めっきを得る条件
範囲が狭いので、安定操業性に問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は、送給
潤滑剤溜りとして有効な凹部を形成したワイヤ表面を有
し、送給潤滑剤(潤滑油,固体潤滑剤等)を安定して付
着することにより、ライナの屈曲等により送給抵抗が高
くなる過酷な使用環境下であっても潤滑切れを起さず良
好な送給性を発揮することのできるアーク溶接用鋼ワイ
ヤを提供することを目的とする。また本発明は、上記従
来めっき技術の問題点を解決するためのものであり、低
毒性、高効率であることに加えて廃液処理が簡単で且つ
安定して密着性の良好な銅めっきが得られるアーク溶接
用鋼ワイヤの製造方法を提供することを目的とするもの
である。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するためになしたもので、その発明の要旨は、以下の通
りである。 (1)表面鋼素地の亀裂により生じた窪地部とめっきさ
れた平坦部から構成される表面を有し、めっき層は平均
付着量1.0〜20g/m2の銅めっき上層と平均膜厚
0.25〜5.0g/m2のニッケルめっき下層からな
る2層めっきであり、表面粗度はtp[L/Cv=3
0]=50〜95%,Ra[L]=0.07〜0.23
μmであって、かつワイヤ表面に送給潤滑剤をワイヤ1
0kg当り0.10〜2.00g付着したことを特徴と
する溶接用鋼ワイヤ。
【0014】(2)所定径に伸線・焼鈍され表面に酸化
層の存在する鋼線材表面に下記の組成を含み、浴温30
〜70℃のめっき浴において、電流密度10〜100A
/dm 2でニッケル下地めっきを0.5g/m2以上を施
し、次いで銅上層めっきを施し、さらに仕上げ伸線する
ことを特徴とするアーク溶接用鋼ワイヤの製造方法。 NiSO4・6H2O・・・・100〜400g/L NiCl2・6H2O・・・・10〜100g/L H3BO3 ・・・・10〜75g/L
【0015】(3)下記の組成を含み、浴温5〜60℃
のめっき浴において、電流密度5〜20A/dm2で上
層銅めっきを施すことを特徴とする上記(2)に記載の
アーク溶接用鋼ワイヤの製造方法。 CuSO4・7H2O・・・・100〜300g/L H2SO4 ・・・・30〜150g/L (4)上層銅めっき浴に銅析出の抑制剤を添加すること
を特徴とする上記(2)または(3)に記載のアーク溶
接用鋼ワイヤの製造方法。
【0016】(5)銅析出の抑制剤としてチオ尿素,尿
素,ゼラチン,ポリエチレングリコール,ニカワの1種
類もしくは2種類以上を添加することを特徴とする上記
(4)に記載のアーク溶接用鋼ワイヤの製造方法。 (6)上層めっき槽の浴に硫酸ナトリウムを50〜20
0g/Lを含むことを特徴とする上記(2)乃至(5)
に記載のいずれかの一つであるアーク溶接用鋼ワイヤの
製造方法。 (7)下層Niめっき量:0.5g/m2以上、上層銅
めっき量:3g/m2以上を施すことを特徴とする上記
(2)乃至(6)に記載のいずれかの一つであるアーク
溶接用鋼ワイヤの製造方法。
【0017】(8)めっき工程で線径Dmmの線材にめ
っき付着量T1g/m2の銅めっき上層とめっき付着量T
2g/m2のNiめっき下層とからなる2層めっきを行な
った後に、リダクションRed.%(={1−(d/
D)2}×100%)=10〜90%で仕上伸線を行な
い、線径dmmでめっき付着量t1(=T1×d/D×
α)=1.0〜20.0g/m2(αはめっき歩留)の
銅めっき上層とめっき付着量t2(=T2×d/D)=
0.25〜5.00g/m2のNiめっき下層とからな
る2層めっきを表面に有する製品ワイヤ得ることを特徴
とする請求項2乃至7に記載のいずれかの一つであるア
ーク溶接用鋼ワイヤの製造方法にある。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内容を詳しく説明
する。溶接用ワイヤが良好な送給性能を具備するために
は、送給性にとって有効な潤滑剤(潤滑油,固体潤滑剤
等)がワイヤ長手方向に均一かつ安定して付着している
ことが必要である、そのためには、ワイヤ表面に潤滑剤
溜りとしての表面粗度(凹凸)が形成されていることが
必要となる。この目的から、本発明では、JIS B0
601−1994で規定されるワイヤ長手方向(L方
向)の表面粗度を負荷長さ率tp[切断レベルCv=3
0%](以下tp[L/Cv=30]という)と算術平
均粗さRa(以下Ra[L]という)で次のように規定
する。
【0019】tp[L/Cv=30]=50〜95%
Ra[L]=0.07〜0.23μm (測定条件;カットオフ値λc=0.8mm,基準長さ
1=0.80mm,評価長さln=4.00mm) このtp[L/Cv=30]とRa[L]は、触針式粗
度計(針先半径5μm)を使用し、ワイヤの円周方向で
45°間隔8ヶ所の位置における長手方向(L方向)の
測定値の平均値として求めることができる。本発明の粗
度範囲を図示すると図1の様になる。
【0020】負荷長さ率tpは、ワイヤ表面の粗度形状
を示す指標であり、本発明でtp[L/Cv=30]を
50〜95%に規定した理由は、50%未満であると凹
部が過大になり、潤滑剤の安定付着が困難になること、
逆に95%を超えると凹部が過小になり、潤滑剤が付着
し難いことによる。潤滑剤が付着過多になると、送給ロ
ーラが過剰にスリップするようになり、ワイヤは所定の
送給速度を維持できず送給性が悪化する。また、コンジ
ットライナ内部で潤滑剤の脱落が著しくなりライナの使
用寿命を短くする原因になる。逆に潤滑剤が付着過少に
なると、送給抵抗が増加したとき、送給速度が不安定に
バラツキ送給性が悪化する。また、送給ローラでワイヤ
表面が削れ、この削れ滓がライナ内に進入、蓄積し益々
送給抵抗が増加するようになる。
【0021】次に、算術平均粗さRa[L]は粗度の深
さを示す指標であり、本発明でRa[L]を、0.07
〜0.23μmに規定した理由は、0.07μm未満で
あると凹凸部の高低差が過小になり、潤滑剤の保持機能
が乏しくなること、逆に、0.23μmを超えると凹凸
部の高低差が過大になり、潤滑剤の付着が過剰になり易
いことによる。本発明では、このようにワイヤ表面をt
p[L/Cv=30]とRa[L]の組合せによる凹凸
バランスの特定を行なった形状とし、これにより潤滑剤
の適量安定付着を実現する。なお、このような凹凸状表
面はワイヤ全面均等に形成されている必要はない。
【0022】本発明では、溶接用ワイヤ表面に潤滑油,
固体潤滑剤等の送給潤滑剤を付着する。送給潤滑油はワ
イヤ表面全体に付着することにより、送給性を向上させ
る役目を持つ。もちろん伸線加工時においてはダイス−
ワイヤ間の摩擦係数低減機能を有する。送給潤滑油は動
植物油,鉱物油あるいは合成油の何れでも良い。合成油
としては炭化水素系,エステル系,ポリグリコール系,
ポリフェノール系,シリコーン系,フロロカーボン系等
を用いることができる。送給潤滑油中にはさらに潤滑性
能を向上させるため、各種の脂肪酸をはじめとする油性
剤やりん系、塩素系、イオウ系の極圧添加剤を加えても
良く、また、潤滑油の酸化を防ぐための添加剤(酸化防
止剤)を加えても良い。
【0023】溶接用ワイヤ表面の送給潤滑油の付着量
は、ワイヤ10kg当り0.10〜1.00g(g/1
0kgW)であることが望ましい。0.10g/10k
gW未満では送給性改善は望めない。逆に1.00g/
10kgWを超えるとワイヤ表面に過剰付着することに
なり、送給ローラがスリップし易くなり、また溶接金属
に悪影響を招き易い。
【0024】送給潤滑剤は、潤滑油だけでもよいが更に
固体潤滑剤を付着しても良い。ここで望ましい固体潤滑
剤とはMoS2,WS2の1種または2種を含む固体潤滑
剤であり、その他の成分としてポリテトラフルオロエチ
レン(以下、PTFEという),グラファイト,乾式潤
滑剤等が挙げられる。これらの固体潤滑剤はワイヤ表面
に付着してコンジットライナ内壁とワイヤとの摩擦係数
を低減し、送給抵抗の増加を抑制する作用があり、溶接
ワイヤの良好な送給性を確保する。固体潤滑剤の付着量
は、上記効果を発揮するためにワイヤ10kg当り0.
05〜1.0g(g/10kgW)とするのが良い。
0.05g/10kgW未満では送給抵抗の増加抑制に
顕著な効果がみられず、逆に1.0g/10kgWを超
えるとワイヤ表面に過剰付着することになり、送給ロー
ラが大きくスリップし安定送給が困難になる。またコン
ジットライナ内を汚し潤滑剤詰まりによる送給不良が発
生するようになる。
【0025】固体潤滑剤は、製造工程中、乾式ダイス伸
線で使用する乾式潤滑剤中に含有させることによりワイ
ヤ表面に付着させることができる。乾式潤滑剤は一般に
伸線加工に用いられるものと同様のもので良く、粉末状
の金属石けん類や無機物あるいはワックス等から構成さ
れる。これら乾式潤滑剤の一部は、固体潤滑剤ととも製
品ワイヤの表面に付着する。本発明は中実状のソリッド
ワイヤ、ワイヤ中にフラックス材料を内包したフラック
ス入りワイヤの何れの溶接用ワイヤも対象とする。
【0026】一般にアーク溶接用鋼ワイヤは溶接時のワ
イヤ表面からの電気伝導度ならびに耐錆性を良好にする
ために、表面に付着量1.0〜20g/m2程度の単一
めっきが施されている。本発明ではめっき金属の特性に
あわせて2層めっきを施す。すなわち、鋼素地側に硬い
ニッケルめっきを施すことによりワイヤ表面の凹凸を保
護し、その上層に導電性が良く、かつ軟らかく送給潤滑
剤としての機能を併せ持つ銅めっきを施す。また2層に
するので耐錆性も向上する。ニッケルめっきは比較的簡
単である点、またニッケル下地めっきを行なえば単独で
はめっき密着性を確保するのが難しい銅めっきが比較的
容易になる点でも有利である。銅めっき上層は平均付着
量1.0〜20g/m2にする。1.0g/m2未満で
は、導電性、送給潤滑剤としての効果に乏しく、20g
/m2を超えると送給時にコンジットライナ内面で削ら
れ易くなり不利である。ニッケルめっき下層は平均膜厚
0.25〜5.0g/m2にする。0.25g/m2未満
では、ワイヤ表面の保護機能に乏しく、5.0g/m2
超えても顕著な効果期待できない。
【0027】次に、本発明の溶接用ワイヤを得るための
好ましい製造方法について説明する。溶接用ソリッドワ
イヤを製造する場合、例えば原線(5〜10mmφ等)
−縮径加工−焼鈍−めっき−縮径加工を行ない目標の製
品サイズ(1.2〜1.6mmφ等)の溶接用ワイヤを
得る。焼鈍では、酸素量が非常に少ない雰囲気(例えば
2vol.%以下)で軟化焼鈍しワイヤ表面に粒界酸化
層を生成させる。焼鈍炉内の酸素量を少なくためには、
Arガス等の不活性ガスあるいは、N2ガス,COとC
2の混合ガス等のいわゆる中性または還元性ガスを使
用する。
【0028】粒界酸化層を生成させる酸素の供給源は焼
鈍に供されるワイヤに付着している水分、伸線潤滑剤、
あるいは雰囲気ガス中の不純物であり、あるいは積極的
に適量のH2Oを炉内に存在させても良い(例えば露点
=0〜30℃)。これ等により供給される酸素が高温状
態(650℃以上)で鋼ワイヤ中の鉄よりも親和力の強
いケイ素,マンガン,チタン等の合金元素と反応してワ
イヤ表面からほぼ10μm以内にFe2SiO4,FeM
nO2,TiO2等の酸化物からなる硬い粒界酸化層を生
成する。なお、粒界酸化層生成を促進させるために焼鈍
前のワイヤ表面に炭酸塩を塗布する方法も有効である。
【0029】ワイヤ表面に鉄の酸化物(FeO,Fe2
4,Fe23等)からなる薄い被膜も生成するが、め
っき密着性を悪くするのでめっき前処理酸洗で予め除去
する。焼鈍工程に次いでめっき前処理、めっきを行な
う。めっき前処理の酸洗工程で、鉄酸化物被膜の除去の
他、後続の伸線工程で形成される表面亀裂溝の粗度が適
性範囲になるように粒界酸化層の厚さを調整する。ここ
で行なうめっきは以下で詳述するように上層銅めっき、
下層Niめっきの2層めっきである。こうして外周部に
軟らかく延びのあるめっき層、中間部は粒界酸化層、内
部は軟化焼鈍された伸びのある鋼素地の3重構造のワイ
ヤ表層部を有する鋼ワイヤが得られる。次にワイヤを伸
線すると、粒界酸化層に亀裂が生じてワイヤ表面に窪地
部とめっきされた平坦部からなる表面が生成する。
【0030】製品ワイヤの表面粗度の調整は焼鈍条件
(酸素濃度,H2O濃度,雰囲気ガス,処理時間,温度
等),酸洗条件(濃度,処理時間,電流密度等),伸線
条件(減面率,ダイス角等)により行ない、狙い値のt
p[L/Cv=30]=50〜95%、Ra[L]=
0.07〜0.23μmとする。送給潤滑剤は最終ダイ
スにより付着する、あるいは製品サイズに伸線後のワイ
ヤを走行させながら静電塗油する等の手段によりワイヤ
表面に付着させる。
【0031】
【実施例】以下、本発明の効果を実施例により具体的に
説明する。表1に示す工程に従って、仕上径(製品径)
1.2φのソリッドワイヤ(JIS Z3312 YG
W11)を試作し、試作品(スプール巻きワイヤ)の表
面性状と送給性能を調査した。表面性状のうち粗度は触
針式粗度計(針先5μmR)で測定し、油量,固体潤滑
剤の付着量は化学分析(トルエン・エーテル抽出法)に
より測定した。試作条件を表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】送給性評価試験は、図2に示す装置を用い
て行なった。図2において送給機(1)にセットされた
スプール巻き溶接用ワイヤ(2)は、送給ローラ(3)
により引き出され、コンジットケーブル(4)に内包し
たコンジットライナを経てその先端のトーチ(5)まで
送給される。そして通電チップと鋼板(6)の間でビー
ドオンプレート溶接を行う。コンジットケーブル(4)
は6m長で、ワイヤに送給抵抗を与えるために100φ
の輪を2つ形成した屈曲部(7)を設けた。送給機
(1)には送給ローラの周速度Vr(=設定ワイヤ速
度)の検出器(図示しない)、ワイヤの実速度(Vw)
検出器(8)を備えている。送給性評価指標のスリップ
率S1はS1=(Vr−Vw)/Vr×100%で表さ
れる。また、送給ローラ部分に設けられたロードセル
(9)により送給時にワイヤがライナから受ける反力を
送給抵抗Rとして検出した。評価基準を表2に示す。送
給性試験は、気温15℃の室内にて3分間溶接し、送給
抵抗Rとスリップ率Slを測定して平均値を求めた。溶
接条件を表3に示す。
【0034】
【表2】
【0035】
【表3】
【0036】調査結果を表4に示す。No.1から13
は本発明例であり、No.14〜22は比較例を示す。
なお、何れのワイヤも表面鋼素地の亀裂により生じた窪
地部とめっきされた平坦部から構成される表面を有して
いるが、製造条件を調整してめっき厚と表面粗度の程度
を異ならせている。本発明例No.1〜13は、表面粗
度tp[L/Cv=30],Ra[L]、上下層めっき
厚、送給潤滑剤付着量の何れも本発明の適正範囲内にあ
ることから、送給抵抗、スリップ率ともに低く良好な送
給性(○)を示し、アークは安定していた。特にNo.
11〜13は、送給潤滑剤として潤滑油に加えて固体潤
滑剤を付着しているので、送給性は極めて良好(◎)で
あった。
【0037】比較例No.14〜22は、表面粗度tp
[L/Cv=30],Ra[L]、上下層めっき厚、送
給潤滑剤付着量の何れかが本発明の範囲から外れた場合
であり、そのため送給性は不良(×)であった。No.
14〜17では、表面粗度が過小または過大な例であ
り、ワイヤ表面に送給潤滑剤を安定して適量付着するこ
とが出来ない。No.18では、上層銅めっき層の膜厚
が薄過ぎめっき層が送給潤滑剤としての機能を具備せ
ず、また色調も悪い。No.19では、上層銅めっき層
の膜厚が厚過ぎ送給経路の狭隘部(コンジットライナの
口金,本体あるいはチップ)を通過する時に、めっき層
が削られ易く削られた異物が送給路内に詰り易い。N
o.20では、下層Niめっき層の膜厚が薄過ぎるた
め、銅めっきの密着性が悪くコンジット内で脱落しめっ
き粉詰まりが生じた。No.21,22では、送給潤滑
剤が付着過少あるいは付着過多のため送給性は劣ってい
た。
【0038】
【表4】
【0039】次に、本発明のめっき方法について説明す
る。本発明者等は下地めっきを改良し,また銅の析出を
抑制する事により銅の置換反応を抑制し密着性の良好な
銅めっきを得るための種々の検討を行った結果本発明を
見いだした。本発明の最重要部分は銅の置換析出反応を
いかに抑制するかにある。この置換反応で得られた銅め
っきは一般に密着性がほとんどなく容易に剥離してしま
う。そのために本発明ではこの置換反応を抑制する手段
を与えるものである。
【0040】まず、銅めっき浴と素地の鉄が直接接触し
て置換析出反応(Cu2++Fe→Cu+Fe2+)が十分
抑制されるように下地めっきとしてニッケルを施し、そ
の上に硫酸銅浴から銅めっきを施すことを見いだした。
このときのニッケルめっき浴としては下記の組成範囲で
あれば特に問題ない。この範囲外になるとニッケルめっ
き自体の電流効率、つき回り性、密着性が低下し素地の
鉄面を十分覆うのに多量の通電気量およびニッケル付着
量が必要となり、少量のニッケル付着量では鉄面を十分
に覆いきれないので置換反応を十分抑制できない。 NiSO4・6H2O・・・・100〜400g/L NiCl2・6H2O・・・・10〜100g/L H3BO3 ・・・・10〜75g/L
【0041】また、このときの電解浴温、電流密度は操
業性、電流効率、析出速度、操業コストの観点から30
〜70℃、10〜100A/dm2の範囲が好ましい。
表5に示すようにニッケルめっきの浴温は30℃以下だ
とニッケル析出が抑制され、電流効率の低下を来す。ま
た、浴温70℃以上ではニッケルの電流効率に変化は見
られず、エネルギーコストを考えた場合、それ以上の浴
温は無駄である。また、電流密度に関しては表6に示す
ように電流密度10A/dm2以下の場合は析出速度が
遅くなり、電流効率も低下するため操業性が劣化する。
また100A/dm2以上ではニッケル電析の電流効率
が激減するため好ましくない。
【0042】
【表5】
【0043】
【表6】
【0044】以上の条件内であればニッケルの付着量と
しては1g/m2以上であれば、その上に下記の組成の
硫酸銅浴から浴温5〜60℃、電流密度5〜20A/d
2で銅めっきを施す場合には、置換反応は十分抑制さ
れるので十分な密着性のある銅めっきを得ることができ
る。 CuSO4・7H2O・・・・100〜300g/L H2SO4 ・・・・30〜150g/L
【0045】銅めっき浴の硫酸銅の濃度を100g/L
以下にすると銅イオンの拡散限界により生じるめっきや
けが起こりやすくなるためにこの濃度を下限とした。ま
た、室温での飽和濃度である300g/Lを上限とし
た。硫酸はめっき浴の電気伝導性を確保するために30
g/Lを下限とした。また150g/Lを越えるとめっ
き浴中水素イオン濃度が増大しすぎるため、銅めっきの
電流効率が激減するためこの値を上限とした。浴温が6
0℃以上の場合は置換析出反応が特に活性化されるので
不都合である。
【0046】基本的に浴温は低い方が置換析出反応は抑
制される傾向を示すので、できる限り低い方が好ましい
が、その傾向も5℃でほぼ飽和することもあり、実操業
を考えた場合これ以上の低温化は浴温の維持に使用され
るエネルギーコストの面で無駄である。また、電流密度
が20A/dm2を越えるとやけめっきを起こし、5A
/dm2より小さくなると電析反応に比べて置換析出反
応速度が相対的に速くなるので、密着性の悪い銅めっき
しか得られなくなる。ニッケルめっきの付着量を更に増
加させると良好な銅めっきが得られる条件は広くなる
が、操業性、コストの面で実用的ではない。上記の推奨
条件の場合、その効果は付着量5g/m2で飽和する。
【0047】上述したように被めっき線材の表面に酸化
物層が存在する場合にはニッケル付着量1.0g/m2
以上が必要である。しかしながら、以下に記述する抑制
剤を利用すると下地ニッケルの付着量を更に減少させて
も密着性の良い銅めっきを得ることができる。硫酸銅め
っき浴に銅析出の抑制剤を添加すると、銅の析出反応を
抑制してその分置換析出反応(Cu2++Fe→Cu+F
2+)を抑制できることも見いだした。抑制剤は素地の
鉄もしくはニッケル表面に吸着しCu2+イオンの放電サ
イトを減少させることにより銅の析出を抑制している。
【0048】この様な作用を持つものとしては、アミノ
基を含む有機物、ゼラチン等の水酸基を多数持つ高分子
等が知られている。これらの物質のうち比較的容易に入
手でき、分解の心配が比較的少ないものの代表として、
チオ尿素,尿素,ゼラチン,ポリエチレングリコール,
ニカワを選択した。これらの物質を1種類のみもしくは
2種類以上を銅浴中に0.1g/L以上添加した結果、
表面に酸化物層のある線材を用いても下地めっきのニッ
ケル付着量を増加させる必要が無くなり、0.5g/m
2で銅の置換析出反応は十分抑制されるので密着性の良
い銅めっきが得られた。抑制剤の添加量は10g/Lま
では多いほどその効果は高まるが、それ以上になると抑
制剤同士が相互に影響し合って効果が弱くなることもあ
り、また添加量が多いほど廃液処理での手間が増えるの
で、添加量としては0.1〜10g/Lが好ましい。
【0049】このとき、めっき工程の次に行われる伸線
工程において、下記の式で定義される断面減少率(リダ
クション率)は、 断面減少率:Red.=(加工による減少面積/元の断
面積)×100(%)={1−(d/D)2}×100
(%) (D:伸線前の直径,d:伸線後の直径) 伸線加工前後でのめっき歩留まり率(α=(伸線加工後
の実際の付着量)/(伸線加工後の理論的付着量)=t
1/(T1×d/D),T1:伸線加工前のめっき付着
量,t1:伸線加工後のめっき付着量,D:伸線加工前
の直径,d:伸線加工後の直径)80%以上を確保する
ためには通常10〜90%の範囲である必要があり、こ
のリダクション率で実施される場合、最終的な製品の銅
めっき付着量を考慮するとめっき直後の銅めっき付着量
としては3g/m2以上が必要である。
【0050】次に、実施No.23について、その結果
を表7に示す。すなわち、表7に示す実施No.23
は、直径2.45mmの表面に酸化層のある鋼線材を脱
脂・酸洗後ニッケルめっきを施した後、銅めっきを施し
た。ニッケルめっきは、NiSO4 ・6H2 O:340
g/L,NiCl2 ・6H2 O:70g/L,H3 BO
3 :45g/Lの組成の浴から電流密度50A/d
2 、浴温60℃で付着量0〜7g/m2 のめっきを電
解時間を変化させて施した。この上に銅めっきをCuS
4 ・7H2 O:200g/L,H2 SO4 :60g/
Lの組成の浴から電流密度10A/dm2 、浴温50℃
で付着量10g/m2 狙いの電気めっきを施した。密着
性の評価方法は、実際の溶接棒製造プロセスに沿ってφ
2.45mm→φ1.2mmの伸線加工後に図3に示す
ように自径巻きを施したワイヤ表面のめっき剥離状況を
倍率30倍に拡大しての目視観察にて評価した。
【0051】剥離が全くない状態をA(非常に良好)、
剥離の痕跡がある場合をB(良好)、剥離が若干ある場
合をC(やや良好)、剥離が一部ある場合をD(やや不
良)、剥離が多い場合をE(不良)、完全に剥離する場
合を×(著しく不良)にて評価した。A,B,C,Dは
合格レベルであり、E、×は不合格である。表7、図4
に示すようにニッケル付着量1.0g/m2 以上で密着
性の良い銅めっきが得られる。また密着性不良の場合は
銅の置換析出が抑制できていないため、銅の付着量が狙
い値より遙かに高い値を示している。
【0052】
【表7】
【0053】また、実施No.24を表8に示す。この
実施No.24はNo.23において、ニッケル付着量
を0.5g/m2 と一定にし、銅めっき時の浴温を0〜
70℃と種々変化させ、銅付着量10g/m2 狙いのめ
っきを施し、No.23と同様の方法で密着性を評価し
た。その結果、表8に示すように浴温60℃以下で密着性
D以上の良好な銅めっきが得られている。表9に示す実
施No.25はNo.23において、ニッケル付着量を
0.5g/m2 と一定にし、銅めっき時の電流密度を3
〜25A/dm2 と種々変化させ、銅付着量10g/m
2 狙いのめっきを施し、No.23と同様の方法で密着
性を評価した。その結果、表9に示すように電流密度5
〜20A/dm2 で密着性D以上の良好な銅めっきが得
られている。
【0054】
【表8】
【0055】
【表9】
【0056】さらに、表10に示す実施No.26は、
No.23において銅めっき浴に抑制剤としてチオ尿素
を添加した場合であり、この表10、または図5に示す
ように添加量0.05g/Lで効果が現れ始め、0.1
g/L以上の添加でニッケル付着量0.5g/m2 以上
で密着性の良い銅めっきが得られる。また10g/Lを
越える添加はニッケル付着量1.0g/m2 以上を要求
しており、その効果は弱くなる。
【0057】
【表10】
【0058】表11に示す実施No.27は、No.2
3において銅めっき浴に抑制剤としてゼラチンを添加し
た場合であり、この表11に示すように添加量0.05
g/Lで効果が現れ始め、0.1g/L以上の添加でニ
ッケル付着量0.5g/m2以上で密着性の良い銅めっ
きが得られる。また10g/Lを越える添加はニッケル
付着量1.0g/m2 以上を要求しており、その効果は
弱くなる。その他の抑制剤の単独の効果および組合せに
よる複合効果についても検討したところ、ほぼ同様の結
果が得られた。比較例として、実施No.23、26、
27において、ニッケル付着量無しの場合を同時に検討
したが、いづれの場合も銅めっきは完全に剥離してしま
い、密着性は不十分であった。
【0059】
【表11】
【0060】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明では、ワイ
ヤ表面に潤滑溜めとして有効な凹凸状表面を形成し、送
給潤滑剤を安定して付着することにより、ライナの屈曲
等により送給抵抗が高くなる過酷な使用環境下であって
も良好な送給性を発揮することのできる溶接用ワイヤを
提供することができる。また、本発明によれば廃液処
理、操業性、安全性の面で容易に密着性の良い銅めっき
を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が規定する粗度範囲の説明図である。
【図2】送給性試験の実施要領図である。
【図3】めっき密着性評価のための自径巻きの外観を示
したものである。
【図4】ニッケル付着量と銅めっき密着性の関係を示し
たものである。
【図5】ニッケル付着量と銅めっき密着性の関係に及ぼ
すチオ尿素の効果を示したものである。
【符号の説明】
1 送給機 2 スプール巻き溶接用ワイヤ 3 送給ローラ 4 コンジットケーブル 5 トーチ 6 鋼板 7 コンジットケーブルの屈曲部 8 ワイヤ速度検出器 9 ロードセル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C25D 7/06 C25D 7/06 U (72)発明者 茶谷 洋司 東京都中央区築地三丁目5番4号 日鐵溶 接工業株式会社内 (72)発明者 矢野 正明 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 (72)発明者 黒崎 將夫 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内 Fターム(参考) 4K023 AA12 AA19 BA06 CA04 CB32 DA08 4K024 AA03 AA09 AB02 BA02 BB28 BC03 CA02 CA04 CA06 GA01 GA16

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面鋼素地の亀裂により生じた窪地部と
    めっきされた平坦部から構成される表面を有し、めっき
    層は付着量1.0〜20g/m2 の銅めっき上層と付着
    量0.25〜5.0g/m2 のニッケルめっき下層から
    なる2層めっきであり、表面粗度はtp[L/Cv=3
    0]=50〜95%、Ra[L]=0.07〜0.23
    μmであって、かつワイヤ表面に送給潤滑剤をワイヤ1
    0kg当り0.10〜2.00g付着したことを特徴と
    するアーク溶接用鋼ワイヤ。
  2. 【請求項2】 所定径に伸線・焼鈍され表面に酸化層の
    存在する鋼線材表面に下記の組成を含み、浴温30〜7
    0℃のめっき浴において、電流密度10〜100A/d
    2 でニッケル下地めっきを0.5g/m2 以上を施
    し、次いで銅上層めっきを施し、さらに仕上げ伸線する
    ことを特徴とするアーク溶接用鋼ワイヤの製造方法。 NiSO4 ・6H2 O・・・・100〜400g/L NiCl2 ・6H2 O・・・・10〜100g/L H3 BO3 ・・・・10〜75g/L
  3. 【請求項3】 下記の組成を含み、浴温5〜60℃のめ
    っき浴において、電流密度5〜20A/dm2 で上層銅
    めっきを施すことを特徴とする請求項2記載のアーク溶
    接用鋼ワイヤの製造方法。 CuSO4・7H2O・・・・100〜300g/L H2SO4 ・・・・30〜150g/L
  4. 【請求項4】 上層銅めっき浴に銅析出の抑制剤を添加
    することを特徴とする請求項2または3記載のアーク溶
    接用鋼ワイヤの製造方法。
  5. 【請求項5】 銅析出の抑制剤としてチオ尿素,尿素,
    ゼラチン,ポリエチレングリコール,ニカワの1種類も
    しくは2種類以上を添加することを特徴とする請求項4
    記載のアーク溶接用鋼ワイヤの製造方法。
  6. 【請求項6】 上層めっき槽の浴に硫酸ナトリウムを5
    0〜200g/Lを含むことを特徴とする請求項2乃至
    5に記載のいずれかの一つであるアーク溶接用鋼ワイヤ
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 下層Niめっき量:0.5g/m2
    上、上層銅めっき量:3g/m2以上を施すことを特徴
    とする請求項2乃至6に記載のいずれかの一つであるア
    ーク溶接用鋼ワイヤの製造方法。
  8. 【請求項8】 めっき工程で線径Dmmの線材にめっき
    付着量T1g/m2の銅めっき上層とめっき付着量T2
    /m2のNiめっき下層とからなる2層めっきを行なっ
    た後に、リダクションRed.%(={1−(d/D)
    2}×100%)=10〜90%で仕上伸線を行ない、
    線径dmmでめっき付着量t1(=T1×d/D×α)=
    1.0〜20.0g/m2(αはめっき歩留)の銅めっ
    き上層とめっき付着量t2(=T2×d/D)=0.25
    〜5.00g/m2のNiめっき下層とからなる2層め
    っきを表面に有する製品ワイヤを得ることを特徴とする
    請求項2乃至7に記載のいずれかの一つであるアーク溶
    接用鋼ワイヤの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013237890A (ja) * 2012-05-14 2013-11-28 Nippon Steel & Sumikin Welding Co Ltd アーク溶接用鋼ワイヤのめっき前処理方法
EP4060093A1 (de) * 2021-03-17 2022-09-21 Rosenberger Hochfrequenztechnik GmbH & Co. KG Tribologisch verbesserte oberflächen für elektrische kontakte

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