JP2001272053A - 空気調和機 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷房・暖房時とも風向制御により居住空間に
おける所定の場所に要求に応じて冷暖風を送ることがで
き、かつ低騒音な空気調和機を提供する。 【解決手段】 ケーシングの下端面の周辺部に吸入口
を、下端面の該吸入口より中央寄りに吹出口を有し、上
記ケーシングの内部にファンを、該ファンの周辺を取り
囲むように熱交換器を設けた天井埋込型の室内ユニット
を備えた空気調和機において、前記吹出口に配設された
可動フラップからなる風向制御手段を有する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は天井に埋込む形の室
内ユニットを有する空気調和機に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、天井埋込型の空気調和機の室内ユ
ニットは、部屋の形状や天井の高さに合わせて２方向吹
出、３方向吹出、４方向吹出と多方向から空気を吹出す
方式となり、使用者に吹出方式の選択の余地を与えるよ
うになりつつある。

【０００３】従来の一般的な天井埋込型の空気調和機の
室内ユニットは、例えば第１の公知例としての特開平５
−１７２３６１号公報や第２の公知例としての特開平６
−２５７８４６号公報に開示されているように、天井に
形成した開口に合わせて天井裏空間側に埋め込み状態で
配置される下端面が開口した矩形箱状のケーシングと、
該ケーシングの下端面開口を蓋する矩形平板状形態を有
し、その中央寄り部位に吸入口を、その外周寄り部位の
四辺のそれぞれに吹出口を形成した室内パネルとで囲繞
された空間内に、上記ケーシング内の天井面の略中央部
に取り付けられたモータにより回転駆動される遠心羽根
車を配設すると共に、上記遠心羽根車の外側には該遠心
羽根車に近接状態で熱交換器を配設して構成されたもの
であった。

【０００４】そして、この形式の空気調和機において
は、上記遠心羽根車の運転に伴い中央寄り部位の前記吸
入口から吸い込まれる室内空気が、遠心羽根部分からそ
の径方向外方に位置する上記熱交換器側へ向けて吹き出
され、該熱交換器でその内部を通る冷媒と熱交換されて
温風あるいは冷風となって外周寄り部位の前記各吹出口
から室内側へ吹き出される。

【０００５】また、第３の公知例としての特開平１１−
２３０５６７号公報には、冷房時には羽根車を正回転さ
せ、前記第１及び第２の公知例と同様に中央部の吸入口
から室内空気を吸入み周辺部の吹出口から冷風を吹出す
ように構成すると共に、暖房時には羽根車を逆回転さ
せ、周辺部の吸入口から室内空気を吸込み中央部の吸出
口から温風を吹出すように構成した例が開示されてい
る。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】最近の冷暖房用空気調
和機では、単なる冷暖房機能を超えて、室内における快
適環境を形成する機能が要求されるようになってきてい
る。

【０００７】第１、第２の公知例では、天井埋込型の空
気調和機の室内ユニットにおいて、吸入口が複数の吹出
口で囲まれた中央にあるため、室内ユニットの吹出口か
ら出た空気の循環する範囲は、ほぼ吹出口の延長上の面
で囲まれる範囲に限られた。このため、居住空間におい
て、室内ユニットのまわりとその他の部分で温度差を生
じさせやすいという問題点があった。このことは、室内
ユニットから離れた所にいる人に対しても快適さを感じ
させるためには、室内ユニットにより大きな負荷を与え
る必要があることを意味する。

【０００８】また、暖房時において、温風として吹出さ
れる暖気がその浮力により、天井部に溜まりやすくなる
が、吸入口が複数の吹出口で囲まれているため、天井部
に溜まった暖気が吸入口から吸引されにくいという現象
を惹起する。このような場合、室内の上方空間の空気温
度が高くなり、足元の暖かさが不足するという問題を生
じた。

【０００９】第３の公知例では暖房時に羽根車を逆回転
にすることにより、周辺から吸込んだ空気を暖めて中央
下方に吹出すため、前記した足元の暖かさが不足する問
題は改善されるが、吹出す温風の風向制御ができないと
いう問題が、またファンからの騒音がグリルを通して直
接室内に広がるという問題があった。

【００１０】上記問題点に鑑み、本発明の目的は、冷房
・暖房時とも風向制御により居住空間における所定の場
所に要求に応じて冷暖風を送ることができ、かつ低騒音
な空気調和機を提供することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、本発明による空気調和機は、特許請求の範囲の各請
求項に記載されたところを特徴とするものであるが、特
に独立項としての請求項１に係る発明による空気調和機
は、ケーシングの下端面の周辺部に吸入口を、下端面の
該吸入口より中央寄りに吹出口を有し、上記ケーシング
の内部にファンを、該ファンの周辺を取り囲むように熱
交換器を設けた天井埋込型の室内ユニットを備えた空気
調和機において、前記吹出口に配設された可動フラップ
からなる風向制御手段を有することを特徴とするもので
ある。

【００１２】また、独立項としての請求項３に係る発明
による空気調和機は、ケーシングの下端面の周辺部に吸
入口を、下端面の該吸入口より中央寄りに吹出口を有
し、上記ケーシングの内部にファンを、該ファンの周囲
を取り囲むように熱交換器を設けた天井埋込型の室内ユ
ニットを備えた空気調和機において、前記ケーシングの
下端面の中央にファンカバー部を、前記ファンの吹出部
に対向してガイドを、前記ファンカバー部の外周縁とガ
イド下方先端とで囲まれた前記吹出口を、前記吹出口の
内外縁にそれぞれ可動フラップを、前記吹出口の外周に
カバー部を、さらに該カバー部の外周に吸入口を設けた
ことを特徴とするものである。

【００１３】さらに独立項としての請求項５に係る発明
による空気調和機は、矩形箱状のケーシングの下端面の
長手方向の周辺部二ケ所に吸入口を、下端面の該吸入口
の長手方向中央寄りに配設された可動フラップからなる
風向制御手段を有する吹出口を備え、前記ケーシングの
内部に、長手方向に沿って設けられた熱交換器を有し、
該熱交換器の下流部にそれぞれ一台の横流ファンを配
し、かつ前記横流ファンのまわりには、前記ガイドが形
成されていることを特徴とするものである。

【００１４】

【発明の実施の形態】本発明の第１実施例を図１により
説明する。図１は、本発明の空気調和機の室内ユニット
の概略断面図である。図示のように、空気調和機の天井
埋込型の室内ユニット１０は、矩形箱状のケーシング１
が天井２０に埋め込まれ、下端面周辺部の４か所に室内
空気の流入口となる吸入口２を、下端面の該吸入口２よ
り中央寄りに吹出口３を有する。さらに、ケーシング１
の内部には、中央部に送風機であるモータ６に接続され
たターボ型のファン４と、このファン４の周囲を取り囲
むように熱交換器５が配設されている。熱交換器５は、
プレート・フィン型空気熱交換器であり、平板状または
中空円筒状に形成されたものである。熱交換器５は、外
面５ａと内面５ｂとが空気通路１５に開口し、内面５ｂ
は内方のファン４の吸込部に対向している。

【００１５】ターボ型のファン４の下の端面は、下端面
の中央部であり、ファンカバー部１１が設けられてい
る。ケーシング１には、ファン４から吹出された室内空
気をファンカバー部１１の外周の吹出口３に導入するガ
イド８が、ファン４の羽根の空気吹出部に対向して配設
され、後記の吹出口３の外周にあるカバー部１３とガイ
ド８とが接合する接縁に外側フラップ７ａが、ファンカ
バー部１１の周縁に内側フラップ７ｂが配設されてい
る。これら可動のフラップ７で風向制御を行ない、吹出
す空気を所定の場所に要求に応じて送ることができる。
ガイド８と下端面の接縁の下端面の外周にカバー部１３
を、さらに該カバー部１３の外周に吸入口２を設けた。
また、ガイド８及びファンカバー部１１には吸音材１２
が装着されている。

【００１６】図２、図３に室内ユニット１０を下方から
見た正面図を示す。図２には、６分割されたフラップ７
が図示されているが、内側フラップ７ｂあるいは外側フ
ラップ７ａのいずれか一方のフラップ７周辺に、図４に
示すようにモータ１４等の駆動源及び動力伝達機構を設
け、フラップ７の長手方向に取付けた棒を回転させるこ
とによりフラップをスイングさせる。他方のフラップ７
は、連結棒によるリンク機構で、一方のフラップ７と連
動してスイングする。

【００１７】さらに、６分割されたフラップ７の動き
は、使用者の選択によりリモコン等を用いて個別に設定
することができるようにしても良いし、全体が同じ様に
動くようにしても良い。図３は、フラップ７を４分割し
たもので機能的には６分割したものと大差ない。なお、
停止時には自動的に内側フラップ７ｂ及び外側フラップ
７ａ共に下端面に平行になり、吹出口３を一部被う。

【００１８】ファン４が回転すると、吸入口２を介して
室内空気がターボ型のファン４に吸い込まれる。この
時、吸い込まれた空気は、途中で熱交換器５を通過する
間に冷却または加熱され、吹出口３から室内に再び吹き
出される。

【００１９】このような構成においては、複数の吸入口
２が室内ユニット１０の周辺部にあるため、室内ユニッ
ト１０の吹出口３から出た空気の循環する範囲は、フラ
ップ７を開ききれば図５に示すように、まず、下方に出
て床に当り、周辺で上昇し天井付近で室内ユニット１０
に向かい居住空間３０のほぼ全域となる。このため、居
住空間において室内ユニット１０のまわりとその他の部
分で温度差を生じにくい。このことは、室内ユニット１
０から離れた所にいる人を快適に感じさせるために、室
内ユニット１０により大きな負荷を与える必要が無いこ
とを意味する。つまり、実際に使用する上での省電力化
に大きく寄与する。

【００２０】また、暖房時においては、温風として吹出
される暖気が浮力により、天井２０部に溜まりやすくな
るが、天井２０部に溜まった暖気は吸入口２から容易に
吸引され、吹出口３から下方に向かって再び放出され
る。このため、居住空間３０のほぼ全域の空気温度が高
くなり、足元の暖かさを確保しやすい。このことも実際
に使用する上での省電力化に寄与する。とくに、本発明
では吹出す空気の風向制御ができるので、居住空間にお
ける所定の場所に要求に応じて冷暖風を送ることができ
るため、より快適な環境を実現できる。

【００２１】なお、通常、ファン４に入る空気流には大
きな偏流がなく、かつ本発明では熱交換器５をファン４
の上流側に設けたため、吸入口２から吸引された空気は
熱交換器５内をほぼ一様に流れる。このため、熱交換器
５の効率が高くなり、省エネルギーに寄与できる。ま
た、熱交換器５の高さを大きくとっても効率の低下がほ
とんど無いため、同一の熱交換量を得るのに必要な熱交
換器の伝熱管の列数を少なくでき、室内ユニット１０の
小型化に効果がある。

【００２２】さらに、ファン４から出た空気は途中で、
例えば熱交換器５のように、流動抵抗の大きな構造物に
当ることがないため、ロスなくスムーズに流れる。この
ため、少ないファン動力で室内ユニット１０を運転する
ことができる。このことは、実際に使用する上での省電
力化やファン騒音の低減に寄与する。

【００２３】また、ファン４は室内から直接見えること
がなく、ファンの大部分が吸音材１２に囲まれているた
めに、ファンからの騒音が室内に洩れにくい利点があ
る。

【００２４】図６は、本発明の第２実施例を示してい
る。本実施例では、ターボ型のファン４の替りに軸流型
のファン４ａが用いられている。また、吹出口３にはグ
リル９が設けられている。軸流型のファン４ａは縦方向
に薄いため、ケーシング１の高さを低くすることがで
き、室内ユニット１０の施工性が向上する。また、軸流
型のファン４ａは少ないファン動力で大きな風量を確保
することができるため、実際に使用する上での省電力化
やファン騒音の低減に大きく寄与する。

【００２５】なお、軸流型のファン４ａの中央下部には
ファンカバー部１１があり、該ファンカバー部１１の外
周に吹出口３があり、吹出口３を被うようにフラップ７
は、同心円状に外側フラップ７ａと内側フラップ７ｂと
が連結して吹出口３の内外縁に配設されるが、フラップ
７は第１の実施例と同様いくつかのブロックに分割さ
れ、それぞれ独立に角度を変えることができるようにす
ることもできる。フラップ７の径方向の外側には、軸流
型のファン４ａの流れが下に向かうようにガイド８が設
けられている。ガイド８と下端面の接縁の下端面の外周
にはカバー部１３が設けられ、該カバー部１３の外周に
吸入口２が設けられる。また、とくにフラップ７の騒音
の当たる面に吸音材１２を設ければ、ファン騒音の低減
に寄与することができる。

【００２６】以上、第１、第２の実施例においては、ケ
ーシングの形状を矩形箱状としているが、本発明はこれ
に限ることはなく、例えば円筒状であっても良い。

【００２７】図７は、本発明の第３実施例を示してい
る。本実施例は、２方向から空気の吸込みを行う場合で
あり、横流型のファン４ｂが用いられている。横流型の
ファン４ｂはコンパクトであるため、ケーシング１の高
さを低くすることができ、施工性が向上する。また、比
較的少ないファン動力で大きな風量を確保することがで
きるため、実際に使用する上での省電力化やファン騒音
の低減に寄与する。また、本実施例でもガイド８やファ
ンカバー部１１に吸音材１２を設けることによりファン
から発生した騒音を吸収できる利点がある。

【００２８】なお、天井埋込型室内ユニット１０の流路
構成を、本発明のように変更した場合においても、ファ
ン４及びモータ６の温度は稼動仕事に伴う発熱が有り、
ケーシング１内は露点温度を下回らないため、冷房運転
時において結露が発生することはない。また、暖房運転
時においては、ファン４及びモータ６が４０〜５０℃程
度の高温にさらされるが、このことは例えば民生用のモ
ータ付き樹脂性ファンの使用上限温度が約６０℃である
ことより、問題とはならない。

【００２９】

【発明の効果】請求項１ないし３及び５の発明によれ
ば、冷房・暖房時とも居住空間における気温分布を均一
化でき、あるいは所定の場所に要求に応じて冷暖風を送
ることができる空気調和機を提供することができる。

【００３０】請求項４の発明によれば低騒音な空気調和
機を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の空気調和機の室内ユニッ
トの概略断面図である。

【図２】本発明の第１実施例の空気調和機の室内ユニッ
トの下端面正面図である。（６分割）

【図３】本発明の第１実施例の空気調和機の室内ユニッ
トの下端面正面図である。（４分割）

【図４】フラップの駆動の機構例である。

【図５】本発明の空気調和機の室内ユニットによる室内
空気の流れの概略図である。

【図６】本発明の第２実施例の空気調和機の室内ユニッ
トの概略断面図である。

【図７】本発明の第３実施例の空気調和機の室内ユニッ
トの概略断面図である。

【符号の説明】

１…ケーシング ２…吸入口 ３…吹出口 ４…ファン ４ａ…軸流型のファン ４ｂ…横流型のファン ５…熱交換器 ５ａ…外面 ５ｂ…内面 ７…フラップ ７ａ…外側フラップ ７ｂ…内側フラップ ８…ガイド ９…グリル １０…室内ユニット １１…ファンカバー部 １２…吸音材 １３…カバー部 １４…モータ １５…空気通路 ２０…天井 ３０…居住空間

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ケーシングの下端面の周辺部に吸入口
   を、下端面の該吸入口より中央寄りに吹出口を有し、上
   記ケーシングの内部にファンを、該ファンの周辺を取り
   囲むように熱交換器を設けた天井埋込型の室内ユニット
   を備えた空気調和機において、 前記吹出口に配設された可動フラップからなる風向制御
   手段を有することを特徴とする空気調和機。
2. 【請求項２】 前記吹出口に配設された可動フラップか
   らなる風向制御手段は、それぞれ独立に作動可能な複数
   群に分割され、かつ前記独立に作動可能な複数群の個々
   の動きを、リモコン等により設定可能であることを特徴
   とする請求項１に記載の空気調和機。
3. 【請求項３】 ケーシングの下端面の周辺部に吸入口
   を、下端面の該吸入口より中央寄りに吹出口を有し、上
   記ケーシングの内部にファンを、該ファンの周囲を取り
   囲むように熱交換器を設けた天井埋込型の室内ユニット
   を備えた空気調和機において、 前記ケーシングの下端面の中央にファンカバー部を、前
   記ファンの吹出部に対向してガイドを、前記ファンカバ
   ー部の外周縁とガイド下方先端とで囲まれた前記吹出口
   を、前記吹出口の内外縁にそれぞれ可動フラップを、前
   記吹出口の外周にカバー部を、さらに該カバー部の外周
   に吸入口を設けたことを特徴とする空気調和機。
4. 【請求項４】 前記ファンを囲む前記ガイド、前記フラ
   ップ及び前記ファンカバー部の全部または一部の騒音の
   当たる面に吸音材を配したことを特徴とする請求項３に
   記載の空気調和機。
5. 【請求項５】 矩形箱状のケーシングの下端面の長手方
   向の周辺部二ケ所に吸入口を、下端面の該吸入口の長手
   方向中央寄りに配設された可動フラップからなる風向制
   御手段を有する吹出口を備え、前記ケーシングの内部
   に、長手方向に沿って設けられた熱交換器を有し、該熱
   交換器の下流部にそれぞれ一台の横流ファンを配し、か
   つ前記横流ファンのまわりには、ガイドが形成されてい
   ることを特徴とする空気調和機。