JP2001269981A - ポリカーボネート樹脂フィルム - Google Patents

ポリカーボネート樹脂フィルム

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JP2001269981A JP2000083948A JP2000083948A JP2001269981A JP 2001269981 A JP2001269981 A JP 2001269981A JP 2000083948 A JP2000083948 A JP 2000083948A JP 2000083948 A JP2000083948 A JP 2000083948A JP 2001269981 A JP2001269981 A JP 2001269981A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インサート成形後に透視像の歪みの小さいイ
ンサート成形用ポリカーボネート樹脂フィルムを提供す
る。 【解決手段】 ポリカーボネート樹脂フィルムの厚みが
0.05〜0.5mmで、本文記載の方法で測定された
フィルムの押出方向の厚薄ムラΔTRが下記式(1) 0.1≦ΔTR≦0.7 …(1) [式中、ΔTRはフィルムの厚薄ムラ(μm)]を満足
するポリカーボネート樹脂フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は厚薄ムラが殆どなく
鏡面光沢性に優れたポリカーボネート樹脂フィルムに関
する。更に詳しくは加工適性に優れておりかつ透視像の
歪みの少ないインサート成形用途等に好適なポリカーボ
ネート樹脂フィルムとその成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカーボネート樹脂は、安価で軽量か
つ透明性、成形性、光学特性、耐熱性、加工性、機械的
強度に優れている等の特長を生かして種々の分野で幅広
く使用され、かつポリカーボネート樹脂フィルムとして
も使用されており該フィルムに印刷や熱成形、真空成
形、インサート成形、金属蒸着、スパッタリング等に幅
広く利用されているが近年、印刷や熱成形等の加工技術
の進歩に伴い生産速度が速く、かつ加工時間の短縮化に
よる高温高速化により加工条件も厳しくなっている。
【0003】従来、ポリカーボネート樹脂を溶融してフ
ィルム状に押出し複数個の冷却ロールを用いて製造する
に当たり、溶融ポリカーボネート樹脂を冷却ロールの第
1ロールと中央の第2ロールの間に供給しながら当該2
本のロールで挟持加圧させてから他端の第3ロールの間
隙を通過させてから引き取る両面タッチ方式で製造され
た該フィルムは、該フィルムの厚みムラが外観上問題と
なっている。
【0004】フィルムの厚薄ムラは、押出方向に発生す
る厚薄ムラと、押出方向に対し直角な方向すなわち巾方
向に発生する厚薄ムラがあるが、上記用途で問題となる
のは後者の巾方向で近接する距離での厚薄ムラである。
【0005】特に、ポリカーボネート樹脂フィルムにお
いては、少なくとも片面に例えば被覆層をコーティング
して耐摩耗性を付与するなどのハードコート処理等を施
したり、自動車計器カバーや電気製品の前面板等の銘板
用途では、印刷処理を施すなどの表面加工して使用され
る。該フィルムを表面加工した際、加工品の外観は該フ
ィルムの押出方向に直角に周期的に現れる直線性筋模
様、即ちギヤマークを有する為、横縞が目立って得られ
たフィルムの厚薄ムラにより鏡面光沢性が悪くなる等の
不具合が発生するため好ましくなく、製品としての価値
が大幅に低下するという問題が発生していた。
【0006】さらに、該フィルムをインサート成形に使
用する場合、通常、少なくとも片面を例えば印刷、ハー
ドコート等の表面加工して使用される。この表面加工し
た該フィルムをインサート成形した際、成形品表面の外
観は表面加工によりその表面の厚薄ムラにより斜め方向
から透過または反射させて物体を見る時、この物体が歪
んで見えて目立つため、自動車の窓、携帯電話の表示窓
等に使用した場合、被写体または文字等が歪んで見え
る。即ち、透視像を歪めるなどの不具合が発生するため
好ましくなく、製品としての価値が大幅に低下するとい
う問題が発生していた。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、厚薄
ムラが外観上殆ど目立たないでかつ表面性に優れたポリ
カーボネート樹脂フィルムを提供することにある。さら
に該フィルムをインサート成形に用いた際、透視像の歪
みの少ないインサート成形用ポリカーボネート樹脂フィ
ルムを提供することにある。
【0008】本発明者は、従来の技術を解決すべく鋭意
検討した結果、ポリカーボネート樹脂を溶融してフィル
ム状に押出されたシート状物を冷却ロールの第1ロール
と中央の第2ロールの間に供給しながら当該2本のロー
ルで挟持加圧させてから他端の第3ロールの間隙を通過
させてから引き取る両面タッチ方式で製造する際、該フ
ィルムの表面光沢性、厚みを制御して生産すれば、上記
課題を達成し得ることを見出し、本発明に到達した。
【0009】
【課題を解決するための手段】ポリカーボネート樹脂フ
ィルムの厚みが0.05〜0.5mmで、本文記載の方
法で測定されたフィルムの押出方向の厚薄ムラΔTR
下記式(1) 0.1≦ΔTR≦0.7 …(1) [式中、ΔTRはフィルムの厚薄ムラ(μm)]を満足
するポリカーボネート樹脂フィルムに係るものである。
【0010】また本発明はポリカーボネート樹脂をイン
サート成形する際に金型内に、インサートするフィルム
としては前記に記載したポリカーボネート樹脂フィルム
を使用するポリカーボネート樹脂のインサート成形品に
も係わる。
【0011】本発明で使用されるポリカーボネート樹脂
は、二価フェノールとカーボネート前駆体とを界面重縮
合法または溶融法で反応させて得られるものである。二
価フェノールの代表的な例としては2,2−ビス(4−
ヒドロキシフェニル)プロパン[通称ビスフェノール
A]、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘ
キサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフ
ェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)サルファイド、ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)スルホン等が挙げられ、なかでもビスフェノー
ルAが好ましい。これらの二価フェノールは単独または
2種以上を混合して使用できる。
【0012】カーボネート前駆体としてはカルボニルハ
ライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等
が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネ
ートまたは二価フェノールのジハロホルメート等が挙げ
られる。
【0013】上記二価フェノールとカーボネート前駆体
を界面重縮合法または溶融法によって反応させてポリカ
ーボネート樹脂を製造するに当っては、分子量調整剤、
触媒等を必要に応じて使用することができる。更に、ポ
リカーボネート樹脂には、必要に応じて添加剤例えば多
価アルコールと脂肪酸のエステルまたは部分エステル等
の離型剤、亜リン酸エステル、リン酸エステル、ホスホ
ン酸エステル等の熱安定剤、ベンゾトリアゾール系、ア
セトフェノン系、サリチル酸エステル等の紫外線吸収
剤、帯電防止剤、着色剤、増白剤、難燃剤等を配合して
も良い。またポリカーボネート樹脂は三官能以上の多官
能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹
脂であっても、芳香族または脂肪族の二官能性カルボン
酸を共重合したポリエステルカーボネート樹脂であって
もよく、また、得られたポリカーボネート樹脂の2種以
上を混合した混合物であってもよい。
【0014】ポリカーボネート樹脂の分子量は、粘度平
均分子量(M)で10,000〜100,000が好ま
しく、15,000〜35,000がより好ましい。か
かる粘度平均分子量を有するポリカーボネート樹脂は、
十分な強度が得られ、また、成形時の溶融流動性も良好
であり好ましい。本発明でいう粘度平均分子量は塩化メ
チレン100mLにポリカーボネート樹脂0.7gを2
0℃で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に
挿入して求めたものである。 ηsp/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]
は極限粘度) [η]=1.23×10-40.83 c=0.7
【0015】ポリカーボネート樹脂フィルムの厚みが
0.05〜0.5mmで、該フィルム押出方向の厚薄ム
ラΔTR(μm)が下記式(1)を満足するものであ
る。 0.1≦ΔTR≦0.7 …(1) このフィルム押出方向の厚薄ムラΔTR(μm)は、製
膜したフィルムを製膜方向100mm長の厚薄ムラを測
定(測定箇所としては、幅方向の中心部分が好まし
い。)した値から計算する。この測定した100mm長
の厚薄ムラを2mm間隔毎に区分けする。そのi番目の
区分け部分でのフィルム厚さの最大値をDMAX(i)、
最小値をDMIN(i)とした時、この微小部分の厚薄ム
ラD(i)を[DMAX(i)−DMIN(i)]と定義す
る。この時、フィルム押出方向の厚薄ムラΔTR
[(D(1)+D(2)+…+D(i)+…+D(5
0)]/50になる。
【0016】フィルムの厚みに対する該フィルム押出方
向の厚薄ムラΔTRが上記式を満足することは、該フィ
ルムの厚みに対して押出方向に対して直角に発生するギ
ヤマークが目立ちにくくなり、得られたフィルム表面の
鏡面光沢性も良好になる。一方、上記式(1)の範囲を
逸脱したフィルムを用いた場合は、発生するギヤマーク
が目立て得られたフィルム表面の鏡面光沢性が悪くなる
ため、実用に供し難くなり、本発明の課題が達成できな
い。ΔTRの値は、0.1〜0.5μmが好ましい。最
も好ましくは、0.1〜0.3μmである。
【0017】本発明のポリカーボネート樹脂フィルム
は、その厚み許容差ΔTD(%)が下記式(2)を満足
するものが好ましい。 −10<ΔTD<10 …(2) 厚み許容差ΔTDが上記式を満足することは、該フィル
ム全幅の厚みのバラツキが小さいので表面平滑性が得ら
れるため、該フィルム表面の鏡面光沢性が良好になる。
一方、この範囲を逸脱するとフィルム全幅の厚みのバラ
ツキが大きくなるので表面平滑性が得られ難くなるた
め、該フィルム表面の鏡面光沢性が低下することがあ
る。この厚み許容差ΔTDの範囲は−8〜8が好まし
い。最も好ましくは、−5〜5である。
【0018】本発明のポリカーボネート樹脂フィルム
は、60度鏡面光沢度が170以上を満足するものが好
ましい。60度鏡面光沢度が170以上を満足すること
は、該フィルムの横縞が目立ちにくく、得られたフィル
ムの表面平滑性も良好である。この60度鏡面光沢度は
一般には230以下であり、170〜220が好まし
い。最も好ましくは、180〜210である。
【0019】従来、ポリカーボネート樹脂フィルムを製
造する方法としては、Tダイから押出した溶融ポリカー
ボネート樹脂を、挟持加圧もしくは片面タッチ方式の複
数個の鏡面冷却ロールで冷却してフィルムに成形するの
が一般的である。
【0020】本発明のポリカーボネート樹脂フィルムを
製造するには、上記方法に更に、溶融樹脂をTダイより
押出し直後に静電印加する方法、Tダイ両端部に堰板を
設け、該堰板がTダイリップ表面より5〜20mm突出
されせる方法、ダイの外壁に該ダイリップに沿って吸引
装置を設けて押出された溶融物から発生する昇華性物質
を吸引する方法、第2冷却ロールと第3冷却ロールの回
転速度を1.001〜1.015倍にし、且つ第1〜3
冷却ロールの温度を制御する方法、リップエッジのRが
0.005〜0.05mmであり、且つ表面粗さRaが
0.005μm以下であるTダイを用いて溶融押出成形
する方法等の手段を加えることが好ましい。更に、これ
らの手段を複数組合わせた方法が好ましい。
【0021】本発明で使用される好ましい形態を更に詳
細に記述する。その1つの方法を図により説明する。図
1は本発明の方法を実施するに適したフィルムの製造装
置の一例を示す概略図である。図中の1はTダイス、2
は第1冷却ロール、3は第2冷却ロール、4は第3冷却
ロール、5は一対の引取ロールであり、第1〜第3冷却
ロールはいずれもその表面は鏡面仕上げになっており、
その内部には熱媒体が循環し、温度を制御できるように
なっている。
【0022】まず溶融ポリカーボネート樹脂をTダイス
1からシート状に押出す。この際の溶融押出しには格別
の条件を必要とせず、通常のポリカーボネート樹脂シー
トの溶融押出し条件が任意に採用される。次いで押出さ
れたシート状物は、そのままの状態で第1冷却ロール2
と第2冷却ロール3との間に供給しながら当該2本のロ
ールで圧延または中央の第2冷却ロール3に密着させて
から他端の第3ロール4に受け継がれた後、一対の引取
ロール5によって引取られる。
【0023】この際、第2冷却ロール3に対する第3冷
却ロール4の回転速度を1.001〜1.015倍にす
ることが好ましい。第2冷却ロール3に対する第3冷却
ロール4の回転速度をこの範囲に保つと加熱伸縮のバラ
ンスが良好でインサート成形時に皺の発生のない成形品
が得られる。
【0024】さらに、前記第1冷却ロール2の温度は1
30〜145℃、第2冷却ロール3の温度は135〜1
50℃、第3冷却ロール4の温度は145〜155℃に
設定することが好ましい。これら第1〜3冷却ロール2
〜4の温度制御は、従来のロール温度制御手段により容
易に行える。
【0025】別な方法として、Tダイのリップエッジの
R(図2の6、7)は0.005〜0.05mm(0.
005〜0.02mmが好ましい。)であり、Tダイの
リップエッジの表面粗さRaは0.005μm以下(好
ましくは0.0001〜0.005μmであり、より好
ましくは0.0002〜0.003μmであり、さらに
好ましくは0.0003〜0.001μmである。)で
あるTダイがあげられる。また、従来から一般に使用さ
れているTダイのリップエッジのRは0.2〜0.3m
mのものが用いられており、かかるTダイでは長時間の
連続成形で溶融したポリカーボネート樹脂がリップ口に
付着して、ダイラインがフィルム表面に観察されるとい
う問題が生じていたが、リップエッジのRが0.05m
m以下のリップエッジを採用することで樹脂が付着し難
く、ダイラインがフィルム表面に観察されなくなる。ま
た、そのリップエッジは左右対称であることが望まし
く、対称であればリップ口から吐出された溶融樹脂フィ
ルムが落下する時波打つことなくロールに接触し、フィ
ルム表面にうねりが発生するという問題が生じ難く好ま
しい。また、かかるTダイのリップエッジの表面粗さR
aは0.005μm以下であれば、得られるポリカーボ
ネート樹脂フィルム表面に現われるダイラインが薄くな
り、好ましい。
【0026】一般的にTダイは、金属角材を切削機によ
り加工して作製される。本発明で使用されるTダイのリ
ップエッジR部分と所定の表面粗さRaを有する部分
は、表面仕上げとして非常に精密な研磨処理が施され、
さらに腐蝕防止のためクロム鍍金などの鍍金処理が施さ
れる。本発明におけるTダイのリップエッジの表面粗さ
は、リップ口から約1cmまでのエッジ部分の表面粗さ
である。なお、リップエッジ部分の表面粗さは、リップ
エッジ部と同じ表面仕上げ処理を施したリップエッジ部
よりリップ口内面上部の平面部分の表面粗さを測定した
値で代用することができる。
【0027】本発明の上記ポリカーボネート樹脂フィル
ムは、印刷、ハードコート処理等の表面加工適性がよく
インサート成形する際に、金型内にインサートするフィ
ルムとして好適に使用することができる。かかるフィル
ムは、通常、少なくとも片面を表面加工して使用され
る。この表面加工としては、例えば印刷、ハードコート
等があげられ、加工層は単一であっても複層であっても
よい。この層の厚さは一般に0.1〜20μmである。
片面を加工されたフィルムの場合は加工された面(両面
加工の場合は所望の面)を金型表面側にし、フィルムを
セッティングする。次いで熱可塑性樹脂を射出して成形
する。
【0028】かかる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポ
リアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹
脂、ポリウレタン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、
ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポ
リエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート等のポリエステル樹脂、非晶性ポリアリレート樹
脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル/スチレン共
重合体(AS樹脂)、アクリロニトリル/ブタジエン/
スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメタクリレート
樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げら
れるが、ポリカーボネート樹脂が好ましい。
【0029】更に本発明の上記ポリカーボネート樹脂フ
ィルムは、特にポリカーボネート樹脂をインサート成形
する際に、金型内にインサートするフィルムとして使用
することができる。ポリカーボネート樹脂は通常280
℃以上の成形温度で射出成形されることから、金型内に
インサートするフィルムにおいても高度な耐熱性が要求
され、本発明のポリカーボネート樹脂フィルムは高温時
の加熱伸縮率も小さいものが好ましく採用される。
【0030】即ち、加熱温度が160℃での巾方向の加
熱伸縮率(%)をSTD、押出方向の加熱伸縮率(%)S
MDとした時、STDとSMDは各々下記式(3)または
(4)を満足するものである。 −5.0≦STD≦−0.2 …(3) −5.0≦SMD≦−0.2 …(4) このSTDとSMDが適度な加熱伸縮率をもつことで、イン
サート成形中に発生した伸縮応力がフィルムを適度な緊
張状態に保持することができる。その為、インサート成
形品の外観が良好になる。
【0031】また、このSTDMDの比が下記式(5)を
満足するものが好ましい。 0.3≦STD/SMD≦3 …(5) STD/SMDの比が上記比を満足することは、インサート
成形時に縦・横の加熱伸縮率の比がほぼバランス状態に
保たれ、収縮応力の偏りが起こらず、均一な応力がフィ
ルムにかかる。それ故、インサート成形時のフィルム皺
の発生を抑止でき、インサート成形品の外観が良好にな
る。このSTD/SMDの比は0.4〜2が好ましく、0.
5〜1.1がより好ましい。
【0032】また、該フィルムの厚みは0.05〜0.
5mmの範囲がであり、0.1〜0.5mmの範囲が好
ましく、特に0.2〜0.4mmの範囲が好ましい。
【0033】本発明で製造されるポリカーボネート樹脂
フィルムは、その特性を生かして印刷、ハードコート処
理等が施された銘板用途さらに電気部品、建材部品、自
動車部品等に広く利用され、具体的には電気部品の各種
窓材即ち一般家屋、体育館、野球ドーム、車両(建設機
械、自動車、バス、新幹線、電車車輌等)等の窓材のグ
レージング製品、各種銘板、写真カバー、プロジェクシ
ョンテレビやプラズマディスプレーの前面板等にも好適
である。
【0034】
【実施例】以下に実施例をあげて本発明をさらに説明す
る。なお、実施例中の評価は下記に示す方法で従った。 (1)粘度平均分子量 塩化メチレン100mlにポリカーボネート樹脂0.7
gを20℃で溶解した溶液から求めた比粘度を用い前記
の計算式より算出した。
【0035】(2)フィルムの厚薄ムラ アンリツ(株)社製連続厚み測定装置及び広範囲差動電
子マイクロメータK312Aを用い、フィルムの中心を
押出方向に幅25mm、長さ300mmをサンプリング
し、このフィルムを100mm長さ分を連続的に厚み測
定する。この測定した100mm長の厚薄ムラを2mm
間隔毎に区分けする。そのi番目の区分け部分でのフィ
ルム厚さの最大値をDMAX(i)、最小値をDMIN(i)
とした時、この微小部分の厚薄ムラD(i)を[DMAX
(i)−DMIN(i)]と定義する。この時のフィルム
押出方向の厚薄ムラΔTR(μm)は[(D(1)+D
(2)+…+D(i)+…+D(50)]/50にな
る。
【0036】(3)フィルムの厚み許容差 JIS B−7502の規定された外側マイクロメータ
ーを使用して、フィルムの幅方向に10mm毎に厚さを
測定する。耳部分を除くフィルム押出幅での厚み測定値
Tm(mm)、平均厚みTa(mm)から、 R=Tm−Ta を求め、Rと平均厚みから 厚み許容差(%)△TR=R/Ta×100 として求めた。
【0037】(4)加熱伸縮率 JIS K 6735の加熱伸縮率試験法を準用し、1
60℃×40分の加熱条件で行った。
【0038】(5)60度鏡面光沢度 JIS K−7105(プラスチックの光学的特性試験
方法)第5.2項に規定された方法に従って、標準光源
からの光を60度の角度でフィルム表面にあて、正反射
成分を受光器で測定し、得られた値が大きいほど鏡面光
沢性がよい。
【0039】(6)透視歪み JIS R−3211(自動車用安全ガラス試験方法)
に規定される試験方法に従って試験領域Aに適用される
透視歪みの最大値が2分になるまで試験片を傾けてゆき
その時の傾斜角度で示し、この角度が小さいほど透視性
はよい。
【0040】(7)インサート成形品の外観 実施例及び比較例で得られたインサート成形後の成形品
の外観(透視像の歪み)を目視で判定した。インサート
成形後外観の良好なもの(透視像の歪みが小さいもの)
を○、透視像の歪みが大きく目立つようになったものを
×で表示した。
【0041】[実施例1〜3及び比較例1〜2]ビスフ
ェノールAとホスゲンから溶液法により製造した粘度平
均分子量24、500のポリカーボネート樹脂を図1に
示した製造装置によりスクリュー径120mmのTダイ
リップの付いた押出機にて温度約280℃で押出し、幅
1000mmで連続的に押出し、Tダイのリップエッジ
の表面粗さRa、第2冷却ロールに対する第3冷却ロー
ルの速度比、第1〜第3冷却ロールのそれぞれの温度、
引取速度を表1記載の通りに設定して冷却させながらを
成形し、引取ロールにより引取り表2記載の表面光沢
度、厚さのポリカーボネート樹脂フィルムを得た。得ら
れたフィルムにハードコート処理を行い、ハードコート
処理後のフィルムをハードコート面が金型表面側になる
ように射出成形金型内に装着し、ポリカーボネート樹脂
ペレット(パンライトL−1225 帝人化成製)を用
いて310℃の成形温度でインサート成形を行った。得
られたフィルムの物性値、インサート成形後の成形品の
外観を評価し、表3にその結果を示した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート樹脂フィルム
は、該フィルムの押出幅方向の近傍距離での厚薄ムラ及
び該フィルム全幅の厚み許容差を特定範囲にすること
で、フィルムの鏡面光沢性が良好になり、さらに該フィ
ルムをしようしてインサート成形した際、該成形品を透
視して見ても透視像の歪みが小さいので、インサートフ
ィルムとして好適に用いられ、インサート成形による射
出成形品に極めて有用であり、その工業的効果は格別の
ものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフィルム製造の好ましい形態の装置概
念図
【図2】本発明のフィルム製造の好ましい形態のTダイ
の概念図
【符号の説明】
1 Tダイス 2 第1冷却ロール 3 第2冷却ロール 4 第3冷却ロール 5 一対の引取ロール 6 リップエッジR 7 リップエッジR

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリカーボネート樹脂フィルムの厚みが
    0.05〜0.5mmで、本文記載の方法で測定された
    フィルムの押出方向の厚薄ムラΔTRが下記式(1) 0.1≦ΔTR≦0.7 …(1) [式中、ΔTRはフィルムの厚薄ムラ(μm)]を満足
    するポリカーボネート樹脂フィルム。
  2. 【請求項2】 ポリカーボネート樹脂フィルムの全幅の
    厚み許容差ΔTDが下記式(2) −10<ΔTD<10 …(2) [式中、ΔTDはフィルムの厚み許容差(%)]を満足
    する請求項1記載のポリカーボネート樹脂フィルム。
  3. 【請求項3】 ポリカーボネート樹脂フィルムの60度
    鏡面光沢度が170以上を満足する請求項1または2記
    載のポリカーボネート樹脂フィルム。
  4. 【請求項4】 ポリカーボネート樹脂を用いてインサー
    ト成形品を製造する際に、金型内にインサートするフィ
    ルムが請求項1〜3のいずれか1項記載のインサート成
    形用ポリカーボネート樹脂フィルムであるポリカーボネ
    ート樹脂インサート成形品。
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KR101543823B1 (ko) 2010-10-29 2015-08-11 에스카보 시토 가부시키가이샤 압출 수지판의 제조 방법

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