JP2001263025A

JP2001263025A - 内燃機関の補機駆動用カップリング装置

Info

Publication number: JP2001263025A
Application number: JP2000073284A
Authority: JP
Inventors: Toshifumi Nishimura; 利文西村
Original assignee: Nissan Motor Co Ltd
Current assignee: Nissan Motor Co Ltd
Priority date: 2000-03-16
Filing date: 2000-03-16
Publication date: 2001-09-26

Abstract

(57)【要約】【課題】オルダムカップリングの一対の摺動部を、確
実に、かつ簡単な構成で潤滑する。【解決手段】燃料ポンプ３の駆動軸４とカムシャフト
１０との間に、カップリング部材９を備えたオルダムカ
ップリングが介在し、カムシャフト１０の駆動力が燃料
ポンプ３へ伝達される。カムシャフト１０内部の潤滑油
通路１４の端部に、オイルジェット１６が設けられ、カ
ップリング部材９へ向けて潤滑油噴霧が与えられる。カ
ップリング部材９には、オイルジェット１６の噴霧衝突
面と部分的に重なるように、連通孔２５が貫通形成され
ており、噴霧の一部が駆動軸４側へ案内される。それぞ
れの潤滑油は、遠心力で外周側へ流れ、オルダムカップ
リングの一対の摺動部を潤滑する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、燃料ポンプのよ
うな補機をカムシャフトの一端で駆動するようにした内
燃機関の補機駆動用カップリング装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】例えば、特開平８−２３２８５１号公報
には、内燃機関のカムシャフトの後端に燃料ポンプの駆
動軸を接続し、上記カムシャフトによって燃料ポンプを
駆動するようにした補機駆動装置が開示されている。こ
のような補機駆動装置において、上記燃料ポンプの取付
位置の僅かな誤差を許容し、駆動軸を円滑に回転させる
ためには、上記公報にも示唆されているように、オルダ
ムカップリングを利用したカップリング装置をカムシャ
フトと駆動軸との間に介在させることが望ましい。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、オルダムカッ
プリングのような摺動部を備えたカップリング装置にお
いては、その潤滑が大きな課題となる。例えば、シリン
ダヘッドカバー内に飛散するオイルミストによる雰囲気
潤滑では、大きなトルクを伝達するカップリング装置の
潤滑は不十分となりやすく、焼き付き等の問題がある。
また、オルダムカップリングでは、中間部材の両側に摺
動部が存在するので、それぞれの摺動部を外側から強制
潤滑しようとすると、潤滑機構が大掛かりとなりやす
い。しかも、カップリングが高速回転するので、外部か
らオイルジェット等により潤滑油を供給しても、内周側
を確実に潤滑することは一般に困難である。

【０００４】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項１に係る発明は、内燃機関のカムシャフト
の一端と補機の駆動軸との間に、それぞれに対し摺動す
る摺動部を各端面に備えた中間部材を配設し、この中間
部材を介してカムシャフトから補機へ駆動力を伝達する
内燃機関の補機駆動用カップリング装置において、上記
カムシャフトの端面に、上記中間部材の一方の端面へ向
けて潤滑油噴霧を供給するオイルジェットが形成されて
いるとともに、この噴霧の一部を受けるように、上記中
間部材に、連通孔が貫通形成されていることを特徴とし
ている。

【０００５】すなわち、カムシャフトの一端のオイルジ
ェットから中間部材へ向けて潤滑油噴霧が供給され、こ
れが中間部材の一方の側で半径方向に拡がって、一方の
摺動部を潤滑する。また潤滑油噴霧の一部は、連通孔を
通して中間部材の他方の側へ供給され、ここで半径方向
に拡がって、他方の摺動部を潤滑する。

【０００６】請求項１の発明をさらに具体化した請求項
２の発明では、上記カップリング装置がオルダムカップ
リングからなり、上記中間部材は、上記摺動部として、
直径方向に沿った突起部が両端面に互いに直交するよう
に形成されていることを特徴とする。

【０００７】また請求項３に係る発明では、上記オイル
ジェットは、オリフィス部と、該オリフィス部に対し拡
大した噴霧拡散孔と、からなり、上記連通孔は、上記噴
霧拡散孔を延長してなる噴霧衝突面の一部に重なってい
る。

【０００８】つまり、潤滑油は、オリフィス部を通して
噴出することで噴霧となり、噴霧拡散孔に沿って中間部
材に衝突する。この噴霧衝突面の一部に重なるように、
上記連通孔が設けられているので、一部の噴霧は、該連
通孔を通って他方の摺動部へと向かう。従って、それぞ
れの摺動部を潤滑する潤滑油の割合は、噴霧衝突面にお
ける連通孔の重なり具合によって調節される。

【０００９】請求項４の発明では、上記オイルジェット
がカムシャフトの中心線上に位置し、上記連通孔は、上
記噴霧衝突面と互いに部分的に重なるように、上記中心
線から偏心して位置している。

【００１０】また請求項５の発明では、上記連通孔がカ
ムシャフトの中心線上に位置し、上記オイルジェット
は、上記噴霧衝突面と上記連通孔とが互いに部分的に重
なるように、上記中心線から偏心して位置している。

【００１１】ここで、請求項６のように、上記噴霧衝突
面と上記連通孔との重なり合った領域の面積が、上記噴
霧衝突面の面積の略半分であることが望ましい。

【００１２】また請求項７の発明では、上記オイルジェ
ットに至るカムシャフト外周面の油孔とシリンダヘッド
側の油孔とが、カムシャフトの回転に伴って間欠的に連
通する。つまり、間欠的に潤滑油が噴霧され、潤滑油圧
の低下を抑制しつつ潤滑が行われる。

【００１３】

【発明の効果】この発明に係る内燃機関の補機駆動用カ
ップリング装置によれば、カップリング装置の中間部材
をカムシャフトの一端から確実に強制潤滑することがで
き、大きなトルクを伝達する場合でも、焼き付き等の問
題を回避できる。特に、複雑な機構によらずに中間部材
の両側の摺動部を内周側から確実に潤滑でき、構成が簡
素であるとともに、信頼性が高いものとなる。

【００１４】特に、請求項４，５の構成によれば、噴霧
衝突面と連通孔の一方を偏心させて互いに部分的に重ね
合わせるようにしているので、連通孔として小径の孔を
用いずに潤滑油の分配状態を任意に調節することができ
る。

【００１５】また、請求項７の構成によれば、間欠的に
潤滑油が噴霧されるため、潤滑系統の油圧の低下を抑制
しつつ確実に潤滑を行うことができる。

【００１６】

【発明の実施の形態】以下、この発明の好ましい実施の
形態を図面に基づいて詳細に説明する。

【００１７】図１および図２は、この発明に係るカップ
リング装置を備えた燃料ポンプ駆動装置を示すもので、
図１は、シリンダヘッド１後端部分の断面図、図２は、
分解斜視図である。図示するように、シリンダヘッド１
の後端面に、フランジ状のポンプアダプタ２を介して、
燃料ポンプ３が取り付けられている。この燃料ポンプ３
は、いわゆるコモンレール式燃料噴射装置におけるサプ
ライポンプとして用いられるものである。なお、上記ポ
ンプアダプタ２とシリンダヘッド１との接合面ならびに
燃料ポンプ３との接合面には、それぞれＯ−リング７，
８が配設されている。

【００１８】上記燃料ポンプ３の略中央に位置する駆動
軸４の端部はテーパ状に加工されており、ここに、略円
筒状のポンプ側カップリング５がナット６により取り付
けられている。そして、カムシャフト１０の一端のフラ
ンジ部１１と上記ポンプ側カップリング５との間に、中
間部材として、オルダムカップリングを構成するカップ
リング部材９が介在しており、ほぼ直列に配置されたカ
ムシャフト１０から駆動軸４への動力伝達を行ってい
る。

【００１９】上記カムシャフト１０は、吸気弁（あるい
は排気弁）１２を開閉するものであって、シリンダヘッ
ド１にカムブラケット１３を介して回転自在に支持され
ており、かつ内部には、その軸中心に沿って潤滑油通路
１４が貫通形成されている。この潤滑油通路１４には、
図示せぬ軸受面の油孔等を通して、適宜な油圧の潤滑油
が常時供給されている。なお、１７は上記シリンダヘッ
ド１の上面を覆うシリンダヘッドカバー（ロッカーカバ
ー）である。また、上記潤滑油通路１４の先端開口は、
プラグ１５の圧入によって封止されている。そして、こ
のプラグ１５に、オイルジェット１６が形成されてい
る。図１１に示すように、このオイルジェット１６は、
流量を規制するオリフィス部１６ａと、該オリフィス部
１６ａからテーパ状に拡大した噴霧拡散孔１６ｂと、か
ら構成されており、第１の実施例では、カムシャフト１
０の中心線上に形成されている。

【００２０】上記カップリング部材９は、図４〜図７に
示すように、円盤状をなし、かつ一方の端面に、直径方
向に沿った第１突起部２１が設けられているとともに、
他方の端面に、直径方向に沿った第２突起部２２が設け
られており、第１突起部２１と第２突起部２２とが互い
に９０度直交する方向に形成されている。なお、第２突
起部２２は、上記ナット６との干渉を避けるように中央
部分が切り欠かれており、実質的に一対に分離した形と
なっている。上記第１突起部２１に対応して、上記カム
シャフト１０のフランジ部１１には、図８に示すよう
に、直径方向に沿った第１係合凹部２３が形成されてお
り、図３に示すように、この第１係合凹部２３に上記第
１突起部２１が摺動可能に嵌合している。また、上記第
２突起部２２に対応して、上記ポンプ側カップリング５
先端面には、図９および図１０に示すように、直径方向
に沿った第２係合凹部２４が形成されており、図３に示
すように、この第２係合凹部２４に上記第２突起部２２
が摺動可能に係合している。このようにして、オルダム
カップリングが構成され、燃料ポンプ３の位置精度が低
い場合でも、カムシャフト１０とポンプ側カップリング
５との間で円滑に駆動力が伝達されるようになってい
る。

【００２１】また、上記カップリング部材９の略中心
に、連通孔２５が軸方向に沿って貫通形成されている。
この連通孔２５は、カムシャフト１０の中心から僅かに
偏心した位置にあり、カップリング部材９自体の中心に
対しても僅かに偏心した位置にある。

【００２２】図１１および図１２は、カムシャフト１０
側のオイルジェット１６とカップリング部材９側の連通
孔２５との位置関係を説明するもので、噴霧拡散孔１６
ｂはカップリング部材９の一端面詳しくは第１突起部２
１の頂面へ向かって開口しているが、該噴霧拡散孔１６
ｂのテーパ面を延長することで、噴霧が衝突する噴霧衝
突面Ｓが規定される。上記連通孔２５は、その入口開口
が上記噴霧衝突面Ｓと互いに部分的に重なるように、偏
心した位置にある。

【００２３】上記の構成においては、カムシャフト１０
内の潤滑油通路１４に加圧された状態で導入された潤滑
油は、オイルジェット１６のオリフィス部１６ａを通し
て噴霧となって噴出し、噴霧拡散孔１６ｂに沿って噴霧
衝突面Ｓに拡がる。この噴霧の一部は、連通孔２５以外
の領域に衝突するので、カップリング部材９に付着し、
第１突起部２１と第１係合凹部２３との間を潤滑する。
特に、カップリング部材９等が高速回転しているので、
潤滑油は遠心力で外周側へ流れ、各部を確実に潤滑す
る。また、噴霧の一部は、連通孔２５を通って第２突起
部２２側へ流出する。そして、この潤滑油もやはり遠心
力で外周側へ流れるので、第２突起部２２と第２係合凹
部２４との間を確実に潤滑する。

【００２４】ここで、第２突起部２２側へ向かう潤滑油
の割合は、噴霧衝突面Ｓと連通孔２５との重なり合った
領域の面積によって調節される。従って、連通孔２５と
して必ずしも小径の孔を加工する必要はなく、偏心量に
よって容易に調節可能である。また、噴霧拡散孔１６ｂ
を介して噴霧を一旦拡げ、その一部を連通孔２５に案内
するようにしているので、連通孔２５の加工位置に多少
のばらつきがあったとしても、潤滑油の流量割合が大き
く変動することがなく、その加工精度の要求が低くな
る。

【００２５】次に、図１３および図１４は、この発明の
第２実施例を示す。この第２実施例においては、連通孔
２５はカップリング部材９の中心つまりカムシャフト１
０の中心線上に配置されており、これに対し、オイルジ
ェット１６がカムシャフト１０中心線から僅かに偏心し
ている。噴霧衝突面Ｓと連通孔２５とが図１４のように
互いに部分的に重なり合っているのは、第１実施例と同
様である。

【００２６】次に、図１５は、この発明の第３実施例を
示す。この第３実施例においては、連通孔２５およびオ
イルジェット１６が、いずれもカムシャフト１０中心線
上に配置されている。但し、連通孔２５の孔径は、前述
した第１，第２実施例に比較して小さくなっており、そ
の開口面積自体で第２突起部２２側へ向かう潤滑油の割
合が調節されている。

【００２７】図１６〜図１８は、この発明の第４実施例
を示す。この第４実施例においては、連通孔２５が断面
半円形の通路となっている。なお、オイルジェット１６
および連通孔２５は、いずれもカムシャフト１０中心線
上に同心状に配置されている。従って、噴霧となって噴
出した潤滑油の略半分が連通孔２５内へ流れることにな
る。

【００２８】また、この第４実施例においては、オイル
ジェット１６上流の潤滑油通路１４Ａに、間欠的に油圧
が作用するようになっている。すなわち、カムシャフト
１０の半径方向に沿って油孔３１が形成されているとと
もに、軸受面側に油孔３２が形成されており、シリンダ
ヘッド１内部の潤滑油通路３３に上記油孔３２が連通し
ている。従って、カムシャフト１０が回転して両油孔３
１，３２が合致したときにのみオイルジェット１６に油
圧が作用し、潤滑油噴霧が形成される。従って、この構
成では、シリンダヘッド１側の潤滑油系統の油圧低下を
回避できる。

【００２９】次に、図１９は、この発明の第５実施例を
示す。この第５実施例においては、別体のプラグ１５を
用いることなく、カムシャフト１０に直接にオイルジェ
ット１６が加工されている。なお、この実施例も、第４
実施例と同じく、間欠的に噴霧を行うものであり、油孔
３１に連続してオイルジェット１６が形成されている。
そして、特に、噴霧拡散孔１６ｂが単純な円筒状の孔と
して形成されている。

【００３０】このような構成においても、オリフィス部
１６ａから出た潤滑油は、噴霧拡散孔１６ｂに沿って噴
霧となって拡散し、カップリング部材９へと向かう。従
って、前述したテーパ状の噴霧拡散孔１６ｂに比較し
て、加工が容易となる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明に係るカップリング装置の第１実施例
を示すシリンダヘッド要部の断面図。

【図２】同じく分解斜視図。

【図３】図１と９０度異なる方向から示す要部の説明
図。

【図４】カップリング部材の一方の側面図。

【図５】カップリング部材の他方の側面図。

【図６】図５のＡ−Ａ線に沿った断面図。

【図７】図４の矢印Ｂ方向から見た平面図。

【図８】カムシャフト端部のフランジ部の側面図。

【図９】ポンプ側カップリングの側面図。

【図１０】同じくポンプ側カップリングの断面図。

【図１１】カップリング装置の要部の拡大断面図。

【図１２】噴霧衝突面Ｓと連通孔との位置関係を示す説
明図。

【図１３】この発明の第２実施例を示す断面図。

【図１４】噴霧衝突面Ｓと連通孔との位置関係を示すカ
ップリング部材の側面図。

【図１５】この発明の第３実施例を示す断面図。

【図１６】この発明の第４実施例を示す断面図。

【図１７】図１６のＣ−Ｃ線に沿った断面図。

【図１８】噴霧衝突面Ｓと連通孔との位置関係を示すカ
ップリング部材の側面図。

【図１９】この発明の第５実施例を示すカムシャフト端
部の断面図。

【符号の説明】４…駆動軸５…ポンプ側カップリング９…カップリング部材１０…カムシャフト１６…オイルジェット２５…連通孔

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】内燃機関のカムシャフトの一端と補機の
駆動軸との間に、それぞれに対し摺動する摺動部を各端
面に備えた中間部材を配設し、この中間部材を介してカ
ムシャフトから補機へ駆動力を伝達する内燃機関の補機
駆動用カップリング装置において、上記カムシャフトの端面に、上記中間部材の一方の端面
へ向けて潤滑油噴霧を供給するオイルジェットが形成さ
れているとともに、この噴霧の一部を受けるように、上
記中間部材に、連通孔が貫通形成されていることを特徴
とする内燃機関の補機駆動用カップリング装置。
【請求項２】上記カップリング装置がオルダムカップ
リングからなり、上記中間部材は、上記摺動部として、
直径方向に沿った突起部が両端面に互いに直交するよう
に形成されていることを特徴とする請求項１記載の内燃
機関の補機駆動用カップリング装置。
【請求項３】上記オイルジェットは、オリフィス部
と、該オリフィス部に対し拡大した噴霧拡散孔と、から
なり、上記連通孔は、上記噴霧拡散孔を延長してなる噴
霧衝突面の一部に重なっていることを特徴とする請求項
１または２に記載の内燃機関の補機駆動用カップリング
装置。
【請求項４】上記オイルジェットがカムシャフトの中
心線上に位置し、上記連通孔は、上記噴霧衝突面と互い
に部分的に重なるように、上記中心線から偏心して位置
していることを特徴とする請求項３記載の内燃機関の補
機駆動用カップリング装置。
【請求項５】上記連通孔がカムシャフトの中心線上に
位置し、上記オイルジェットは、上記噴霧衝突面と上記
連通孔とが互いに部分的に重なるように、上記中心線か
ら偏心して位置していることを特徴とする請求項３記載
の内燃機関の補機駆動用カップリング装置。
【請求項６】上記噴霧衝突面と上記連通孔との重なり
合った領域の面積が、上記噴霧衝突面の面積の略半分で
あることを特徴とする請求項３〜５のいずれかに記載の
内燃機関の補機駆動用カップリング装置。
【請求項７】上記オイルジェットに至るカムシャフト
外周面の油孔とシリンダヘッド側の油孔とが、カムシャ
フトの回転に伴って間欠的に連通することを特徴とする
請求項１〜６のいずれかに記載の内燃機関の補機駆動用
カップリング装置。