JP2001246201A - 有害塩素化合物含有固体の処理方法及び装置 - Google Patents

有害塩素化合物含有固体の処理方法及び装置

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JP2001246201A
JP2001246201A JP2000058991A JP2000058991A JP2001246201A JP 2001246201 A JP2001246201 A JP 2001246201A JP 2000058991 A JP2000058991 A JP 2000058991A JP 2000058991 A JP2000058991 A JP 2000058991A JP 2001246201 A JP2001246201 A JP 2001246201A
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alkaline
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JP2000058991A
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Koichi Sato
弘一 佐藤
Robelt Masahiro Serikawa
芹川ロベルト正浩
Shusaku Hamada
周作 濱田
Tatsuya Nishimura
達也 西村
Takashi Usui
高史 臼井
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機塩素化合物を含有するアルカリ性固体及
び酸性固体に抽出流体を接触させ、該固体から抽出流体
に有機塩素化合物を効率的に移行させること。その後、
液体媒体中に溶解した有機塩素化合物を超臨界水酸化処
理により分解処理すること。 【解決手段】 有機塩素化合物を含有するアルカリ性固
体及び酸性固体から有機塩素化合物を分離する方法であ
って、前記アルカリ性固体及び前記酸性固体に抽出流体
を接触させることにより、前記アルカリ性固体及び前記
酸性固体とから前記抽出流体中に有機塩素化合物を移行
させることを特徴とする、前記方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ダイオキシン類を
はじめとする有害な有機塩素化合物に汚染された複数の
固体中から有機塩素化合物を分離し、かかる固体を無害
化する方法に関する。特に一般廃棄物焼却炉や産業廃棄
物焼却炉から排出される飛灰または排ガス中の有害物質
を吸着した使用済み活性炭の再生処理に関する。
【0002】
【従来の技術】ダイオキシン類は、微量で高い毒性を有
しており人体や環境への影響が問題視されている。ダイ
オキシン類の主な発生源は焼却炉であり、そのほとんど
が焼却飛灰及び排ガス中に含まれている。焼却炉排ガス
中のダイオキシン類の許容濃度は厳しく規制されてお
り、この濃度より高い場合は、排出基準値以下にするた
めの措置を講ずることが義務付けられている。排ガス中
のダイオキシン類の除去方法として、活性炭に吸着させ
る方法が実施また提案されている(例えば、第10回廃
棄物学会研究発表会講演論文集、1999年、第837
−839頁;第10回廃棄物学会研究発表会講演論文
集、1999年、第843−845頁等参照のこと)。
この活性炭吸着法には、孔径が大きい活性炭を用いるこ
とが好適であることが知られている。これは、かかる高
い孔径を有する活性炭は、ダイオキシン類の吸着性能が
高いからである。また、移動式充填層吸着塔ではペレッ
ト状活性炭、又はバグフィルター手前の吹き込み方式で
は粉状活性炭を用いることが好適であることも知られて
いる(第10回廃棄物学会研究発表会講演論文集、19
99年、第828−830頁等参照のこと)。
【0003】活性炭の製造コストは高く、再生利用する
ことが望まれる。ダイオキシン類を吸着した活性炭(本
発明では、「ダイオキシン類吸着活性炭」という。)の
処理方法として最も一般的な方法は、焼却炉で燃焼させ
る方法である。また、ダイオキシン類に限らず、種々の
物質を吸着した活性炭(本発明では「使用済み活性炭」
という。)の再生処理方法としては、水蒸気を通じて1
00℃以上で反応させ、吸着されている不純物を除去す
る、水蒸気賦活法がある。さらに窒素雰及びアンモニア
囲気下のキャリアーガス中で400〜450℃、2〜4
時保持し、使用済み活性炭を再生する方法(第10回廃
棄物学会研究発表会講演論文集、1999年、第837
−839頁参照のこと)がある。これらの方法のうち、
活性炭を焼却炉に戻して燃焼させることが、最も容易な
処理方法とされていた。焼却炉で発生したダイオキシン
類を活性炭に吸着させ、この活性炭を再び焼却炉で燃焼
するのは、資源を再利用しているという反面、ダイオキ
シン類吸着活性炭を再度焼却しなければならないという
点で無駄、あるいは不利であることは否めない。また、
ダイオキシン類吸着活性炭を焼却するときに、ダイオキ
シン類を完全に分解させるために焼却炉の燃焼温度、滞
留時間を徹底管理させた運転方法が要求される。さら
に、ダイオキシン類吸着活性炭または使用済み活性炭を
燃焼させると、酸性ガスが発生するため、焼却炉にダメ
ージを与えない程度に少量ずつ活性炭を処理する必要性
があった。
【0004】一方、焼却炉から排出される飛灰中にもダ
イオキシン類が含有されているが、飛灰中のダイオキシ
ン類含有量は、「ダイオキシン類対策特別措置法」によ
り単位飛灰量当たりの含有量が厳しく規制されることが
決定した。これにより、各焼却設備は、飛灰中のダイオ
キシン類含有濃度を規制値以下にすることを義務づけら
れることとなった。
【0005】飛灰中のダイオキシン類を直接無害化する
技術はいくつか実施または提案されている。代表的なも
のとして(1)加熱分解処理方式:酸素の少ない状態
(還元雰囲気)で350℃〜400℃に加熱し、ダイオ
キシン類に含まれる塩素を水素と置き換える反応により
無害化する方法(例えば、特開平09−085213号
等参照のこと)(2)光化学分解法:紫外領域の波長の
光を照射することによりダイオキシン類を無害化する方
法(例えば、特開平04−312475号等参照のこ
と)(3)微生物分解法:ダイオキシン類分解活性を持
つ微生物を用いてダイオキシン類を無害化する方法(例
えば、特開平11−341978号等参照のこと)
(4)超臨界水酸化法:超臨界水中にてダイオキシン類
を酸化分解し無害化する方法(例えば、特開平09−3
27678号;第10回廃棄物学会研究発表会講演論文
集、1999年、第873−875頁等参照のこと)
(5)気相水素還元法:無酸素水素雰囲気下で850℃
以上に加熱しダイオキシン類と水素との反応により無害
化する方法(6)約1300℃以上の温度において飛灰
の溶融とともにダイオキシンを分解する方法等がある。
【0006】これらの方法のうち、超臨界水酸化法は、
特に、秒〜分のオーダーで高効率でダイオキシン類を分
解することができるため、最近注目を浴びている。超臨
界水とは、臨界点を越えた温度圧力範囲(374℃以
上、22.1MPa以上)の状態にある水のことであ
る。この超臨界水には、常温常圧では溶解しない弱極
性、非極性有機物が均一に溶解するようになる。また超
臨界水は、気体とも相互に溶解し、均一相を形成するこ
とが知られている(例えば、化学工学論文集第26巻第
1号第68−75頁等参照のこと)。従って、超臨界水
酸化法によるダイオキシン類等有機物の酸化分解を、酸
化剤である空気や酸素を気体成分として用いて行えば、
溶媒としての超臨界水、溶質としての有機物、酸化剤と
しての空気または酸素が均一相を形成し良好な酸化反応
場となるため、非常に短時間の反応時間で高分解率を得
ることができる。また、超臨界水酸化法では、NOx
SOx等の有害気体が発生しないため、かかる気体を除
去するための排ガス処理設備を必要とせず、さらに、反
応媒体として環境に負荷の無い水を用いることから、近
年特に注目されている。この超臨界水酸化処理法は、ダ
イオキシン類が液体媒体に含まれた状態で、高圧ポンプ
などで反応器に圧入することにより、容易に、かつ高効
率で行うことができることが知られている(例えば、第
10回廃棄物学会研究発表会講演論文集、1999年、
第873−875頁等参照のこと)。
【0007】飛灰のような固形物を連続的に超臨界水酸
化処理のための高圧反応容器まで供給するためには、一
般的にはかかる固形物をスラリー状にして供給する必要
がある。しかし、飛灰にはダイオキシン類の他、多量の
塩素およびカルシウム等が含まれており、かかる物質も
飛灰から分離されてくるため、配管及び容器の腐食を起
こしたり、配管を閉塞させるなどの問題が多く発生す
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、活性炭
や飛灰等の固形物に含まれたダイオキシン類を直接処理
しようとした場合、多くの装置的課題及び反応効率的課
題が現れてくる。一方、ダイオキシン類を固体中から液
体媒体中に移行させ、この液体を超臨界水酸化連続処理
に用いると、効率的かつ容易に分解・無害化することが
可能となる。従って、かかる実用的側面から、固形物中
に含まれているダイオキシン類等の有害有機塩素化合物
を、高効率で液体媒体に移す処理法が望まれている。
【0009】飛灰中からのダイオキシン類等の有害有機
塩素化合物を液体媒体に抽出する方法は、いくつか提案
されおり、特に、分析目的の抽出法は、古くから実施さ
れている。飛灰中からのダイオキシン類の分析目的の抽
出には、ベンゼン、トルエン、ヘキサン等の不活性な有
機溶剤を抽出媒体として用いた、代表的にはソックスレ
ー法により抽出する方法が知られている。ソックスレー
法では、ダイオキシン類が溶剤の沸点温度で抽出される
ため、抽出に要する時間が非常に長く、しかも分析目的
の少量抽出は可能であるものの、工業的利用の大量処理
には向いていない。さらに有機溶剤を大量に必要とする
ため、環境負荷が高く、かかる有機溶媒の大量使用は、
安全面からも問題が多い。すなわち、有機溶剤を大量に
用いるプロセスは、常に火災、爆発への考慮が必要であ
り、消防法の規制を受ける。また飛灰からダイオキシン
類を抽出する場合、直接ソックスレー抽出を行うと抽出
効率が悪いため、例えば、塩酸等の酸を添加する酸処理
の前操作が必要である。これは飛灰の酸処理を行うと、
飛灰の比表面積が大きくなり、抽出効率が著しく向上さ
れるからである。この酸処理においても、少量の飛灰を
処理するのは可能であるが、大量に処理するのは技術的
に困難である。
【0010】大量の飛灰中のダイオキシン類を処理する
目的のために、例えば〜300℃、〜25MPaの亜臨
界水、超臨界二酸化炭素(約50℃、10〜30M
P)、超臨界N2O(〜80℃、30〜50MPa)を
用いて抽出する方法も開発段階にある。しかし、これら
の抽出法は、高温及び/または高圧条件下の処理が必要
であり、処理容器や連続処理化においてコストが高くな
ることが予想され、抽出効率に関してもまだ課題が残
る。
【0011】一方、ダイオキシン吸着活性炭または使用
済み活性炭からの、有害有機塩素化合物の液体媒体への
抽出は、飛灰中からのダイオキシン類等の有害有機塩素
化合物を液体媒体に抽出する方法(例えばソックスレー
法)により、ほぼ同様に行うことができる。しかし、上
述の通り、かかる方法は大量の抽出液体媒体を必要と
し、環境負荷が高く、安全面等に問題があることから、
分析目的の少量抽出には向いているものの、工業的利用
の大量処理には適さない。さらに、焼却炉の排ガスに
は、一般的に有害塩素化合物以外に酸性ガスまたは強酸
性成分が含まれており、これらの多くは活性炭に吸着さ
れる。従って、焼却炉で使用した使用済み活性炭からダ
イオキシン類を上述の抽出法などを用いて脱着すると、
これらの酸性成分も同時に脱着するので、抽出に使用し
た液体媒体が腐食性の高い流体となる。分析目的で活性
炭からのダイオキシン類の抽出を行う場合には、ガラス
器具等で行うため、問題は少ない。しかし、工業的目的
で大量に処理する場合には、ガラス器具の使用は困難で
ある。一般に用いられる金属配管、金属容器は、ダイオ
キシンとともに脱着された酸性成分により、著しい腐食
が進行する。特に、一般的な活性炭の再生方法である水
蒸気賦活を行うと、凝縮した水蒸気のpHは1以下とな
るほど酸性成分が多量に抽出される場合が多いので、金
属配管や金属容器をかかる抽出に用いることは困難であ
る。
【0012】本発明は、上記の問題点に鑑み、ダイオキ
シン類を固体中から液体媒体中に移行させ、この液体を
超臨界水酸化連続処理に用いるために、比較的低温・低
圧条件下で効果的に固体中のダイオキシン類等の有害有
機塩素化合物を抽出し、液体中に移行させる方法を提供
することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、焼却飛灰及び焼却
炉における使用済み活性炭に過熱水蒸気を接触させて抽
出を行うことで、容易にダイオキシン類を過熱水蒸気中
に移行させ得ることを見出し、本発明を完成するに至っ
た。すなわち本発明は、有機塩素化合物を含有するアル
カリ性固体及び酸性固体から有機塩素化合物を分離する
方法であって、前記アルカリ性固体及び、前記酸性固体
に抽出流体を接触させることにより、前記アルカリ性固
体及び前記酸性固体とから前記抽出流体中に有機塩素化
合物を移行させることを特徴とする、有機塩素化合物抽
出方法を提供する。
【0014】本発明において、「アルカリ性固体」と
は、該固体を水溶液に溶解させた場合に、pHがアルカ
リ性を示すもの、または抽出条件下の温度圧力条件下で
脱着、溶出、熱分解、加水分解、水性ガスシフト反応等
の作用によって、アルカリ性物質を放出し、これにより
抽出流体がアルカリ性になるものをいう。有機塩素化合
物を含有するアルカリ性固体として、焼却飛灰、ストー
カー型焼却炉等の格子から落ちるボトムアッシュ、アル
カリ性汚染土壌等が挙げられる。
【0015】「酸性固体」とは、該固体を水溶液に溶解
させた場合に、含まれた酸の作用によりpHが酸性とな
るもの、または抽出条件の温度圧力において脱着、溶
出、熱分解、加水分解、水性ガスシフト反応、脱ハロゲ
ン化反応の作用によって、酸性物質を放出し、これによ
り抽出流体が酸性となるものをいう。有機塩素化合物を
含有する酸性固体として、焼却炉における使用済み活性
炭、酸性性汚染土壌、各種ハロゲン含有プラスチックポ
リマー等が挙げられる。尚、抽出流体が後述の過熱水蒸
気である場合、抽出流体が酸性あるいはアルカリ性とな
ることの判断は、その抽出流体を冷却凝縮した際に水溶
液のpHが7以上となる場合、アルカリ性とする。7以
下の場合は酸性とする。
【0016】焼却設備における有機塩素化合物の処理現
場では、有機塩素化合物を含有するアルカリ性固体とし
て焼却飛灰を、有機塩素化合物を含有する酸性固体とし
て使用済み活性炭を用いることができる。尚、ここでい
う「活性炭」とは、気体または溶液中の溶質などに対し
強い吸着能を示す、炭素質の物質全般をいい、水蒸気賦
活、薬品賦活により製造された粉末活性炭、炭の強熱、
赤熱した炭を水、硝酸中に浸す方法により製造された粉
末活性炭、造粒した木炭粉をタール、ピッチなどを粘結
剤として一定粒度に成形し、乾燥、焼成、賦活を行うこ
とにより製造したペレット状活性炭、など、あらゆるも
のを含む。
【0017】かかる固体に「抽出流体を接触させる」と
は、固体に抽出流体を吹き込む、あるいは流す等の操作
をすることにより、該アルカリ性固体及び酸性固体の表
面に接触させるか、あるいは該アルカリ性固体及び酸性
固体内部に抽出流体を通すことをいう。該固体に抽出流
体を接触させる場合に、該アルカリ性固体及び酸性固体
を配置する態様として、アルカリ性固体粒子と酸性固体
粒子とを混合することの他、容器の一方にアルカリ性固
体(あるいは酸性固体)を充填し、その一方に充填され
た固体に接するように、他方に酸性固体(あるいはアル
カリ性固体)を充填する方法等がある。さらにアルカリ
性固体層と酸性固体層とを交互に接するように充填する
こともまた可能である。容器に該アルカリ性固体及び酸
性固体が互いに接するように充填する場合は、各固体間
に仕切り等を入れることも可能である。但しかかる仕切
りは、透過性である必要がある。
【0018】「有機塩素化合物」とは、塩素原子を1以
上分子内に含む有機化合物をいい、例えば、ダイオキシ
ン類、ジクロロメタン、トリクロロメタン、トリクロロ
エチレン、四塩化炭素、PCB類、クロロニトルフェン
(CNP)等が挙げられる。
【0019】「抽出流体」とは、前記アルカリ性固体及
び酸性固体に該流体を接触させて、該固体内から該流体
内に有機塩素化合物を移行させることが可能なものであ
ればよく、液体、気体、あるいは超臨界流体のいずれを
も含む。すなわち、有機塩素化合物を溶解させるもので
あれば有機液体、有機気体、無機液体、無機気体、超臨
界流体のいずれであってもよい。抽出流体として、過熱
水蒸気、有機溶剤を含む過熱水蒸気、超臨界水、超臨界
炭酸ガス、飽和蒸気圧以上にある高温高圧熱水、その他
一般に用いられる有機溶剤などが挙げられる。有機塩素
化合物を効果的に溶解させるという観点、また低圧であ
り環境負荷が少ない水を用いると言う観点からは、過熱
水蒸気を用いることが好ましい。尚、ここでいう「過熱
水蒸気」とは、水の臨界点以下の各圧力において飽和蒸
気温度以上の温度にある蒸気をいう。
【0020】本発明においては、抽出流体をまず酸性固
体に接触させ、次いで酸性固体に接触した抽出流体をア
ルカリ性固体と接触させることにより、酸性固体に含ま
れていた酸性物質を、アルカリ性固体層に中和吸収させ
ることができる。従って、酸性固体及びアルカリ性固体
に接触した後であっても、腐食性の高い抽出流体が発生
しないことになる。また、前述の通り、アルカリ性固体
からダイオキシン類の抽出を高効率で行うためには、予
め酸処理をすることが必要であるが、本発明の方法によ
ると、酸性固体から抽出される酸性物質がアルカリ性固
体に中和吸収されるので、実質的に酸処理を行う必要が
なくなる。
【0021】尚、抽出流体をアルカリ性固体と酸性固体
とに同時に接触させることもまた可能である。具体的に
は、アルカリ性固体粒子及び酸性固体粒子を混合して、
これに抽出流体を接触させる方法である。この方法によ
っても、酸性固体に含まれていた酸性物質がアルカリ性
固体に中和吸収されるので、腐食性の高い抽出流体が発
生することがない。さらに、抽出流体をまずアルカリ性
固体に接触させ、次いでアルカリ性固体に接触した抽出
流体を酸性固体に接触させることも、可能であるが、本
発明の効果を最大限に得るためには、抽出流体をまず酸
性固体に接触させ、次いで酸性固体に接触した抽出流体
をアルカリ性固体と接触させることが好ましい。
【0022】また、有機塩素化合物を抽出した、例えば
水蒸気等の抽出流体が冷却凝集されると、有機塩素化合
物、例えばダイオキシン類は不溶性となる。そこで、配
管、容器等にダイオキシン類が付着残存することを回避
するために、何らかの方策を採る必要がある。本発明で
は、冷却凝集した水蒸気に溶解しきれなくなったダイオ
キシン類を溶解することができる媒体、例えば有機溶剤
等を添加して、不溶性となったダイオキシン類を溶解さ
せることにより、このような問題を回避することが可能
である。このような処理に用いることができる有機溶剤
としては、ヘキサン、トルエン、アセトン、ベンゼン、
ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等が挙
げられる。
【0023】本発明にかかる方法により処理された有機
塩素化合物は、従って、液体媒体(例えば凝縮した水、
または有機溶剤)中にあるため、その後、超臨界水酸化
等の高速分解処理法の適用が容易となる。さらにダイオ
キシンを含む液体媒体には、塩素イオン等の電解質が含
まれていないため、超臨界水酸化等の後工程無害化処理
のハード環境が著しく改善される。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本願発明を、さらに詳しく
説明する。
【0025】焼却飛灰には有害塩素化合物の他、カルシ
ウムが多く含まれているため、本発明でいう代表的な有
害塩素化合物を含むアルカリ性固体である。このカルシ
ウム成分はバグフィルター手前で行う石灰吹き込みに起
因するが、特に石灰吹き込みを行わない焼却炉でも都市
ゴミに含まれている貝、骨、その他のものに起因するカ
ルシウムが飛灰に含まれていることがある。表1に石灰
吹き込みを行っている焼却炉の無機物組成を示す。焼却
飛灰は通常アンダーマイクロメーターから数百マイクロ
メーターまでの粒径分布を有する粉体である。この焼却
飛灰に最も多くダイオキシン類が含まれており、焼却飛
灰の最終処理には特別な扱いが求められている。なお、
飛灰ほどダイオキシン類は含まれていないが、ストーカ
ー型焼却炉等の格子から落ちてくるボトムアッシュも有
機塩素化合物を含むアルカリ性固体の一種である。
【0026】
【表1】
【0027】焼却炉から排出される使用済み活性炭は、
本発明でいう代表的な有機塩素化合物を含む酸性固体で
ある。この使用済み活性炭に、例えば200℃の過熱水
蒸気を接触させると、活性炭の脱着反応が起こると同時
に水蒸気賦活反応も一部起こり、吸着されていたダイオ
キシン類及び酸性物質が放出され、活性炭が再生され
る。なお、活性炭を製造する場合の水蒸気賦活反応は約
800℃近辺で行われるのが一般的であるが、脱着反応
により再生させる場合は、それほど温度を上げる必要性
がない。言うまでもなく高い温度の過熱水蒸気を用いる
と脱着反応はより高速で進むが、活性炭の重量ロスも多
くなる。従って、脱着反応は100℃〜374℃、さら
に好ましくは150℃〜300℃の範囲内で行うことが
好ましい。
【0028】過熱水蒸気と接触させることにより、使用
済み活性炭から放出される酸性物質として硫酸、塩酸、
硝酸などが挙げられる。これの酸性成分は、排ガス中に
含まれていたSOx、NOx、塩酸が活性炭に吸着され
たものに起因すると考えられる。何れの酸であるとして
も、過熱水蒸気と使用済み活性炭を接触させると水蒸気
の凝縮水のpHは酸性となる。発生する酸性成分の腐食
性は非常に高く、また脱着反応を進行させるため抽出器
の温度を約200℃以上にすると、耐食性の高いチタン
金属でも著しく腐食されることが知られている。この活
性炭以外に例えばポリ塩化ビニル樹脂も酸性固体であ
る。ポリ塩化ビニル樹脂約200℃近辺まで加熱すると
脱塩素化反応が進行し、ポリエンと塩酸を発生するから
である。
【0029】本発明では、酸性固体から発生する酸成分
をアルカリ性固体で中和させることに大きな特徴があ
る。金属配管や金属容器の腐食を起こし、活性炭の再生
処理を困難としていた酸性成分が効率よく抽出器内で中
和される。またこれにより焼却飛灰からダイオキシン類
を効率よく抽出させるための酸処理を抽出器内で同時に
行うことが可能となる。すなわち、酸性固体から放出さ
れる酸性成分が実質的にアルカリ性固体の酸処理を行う
ことになるため、結果的にアルカリ性固体からダイオキ
シン類の抽出が効率良く進行することになる。従って、
ダイオキシン分析公定法で定められているソックスレー
抽出の前処理の酸処理と同様な効果がここで得られる。
すなわちこのような実質的な酸処理をすることにより、
アルカリ性固体である飛灰粒子の比表面積が大きくな
り、抽出効率が格段と向上することになるのである。
【0030】アルカリ性固体に酸性固体を接触させず
に、アルカリ性固体のみを、200〜300℃の温度で
抽出しようとした場合、逆にアルカリ性固体のダイオキ
シン類濃度が高くなる場合がある。例えば、焼却飛灰の
みを300℃の過熱水蒸気に15分接触させると、抽出
済み飛灰のダイオキシン類TEQ濃度は逆に高くなる。
(例えば、第10回廃棄物学会研究発表会講演論文集、
1999年、第870−872等参照のこと)。これは
300℃近辺で高塩素化物のダイオキシン異性体が、脱
塩素化反応により毒性の高い4塩化物に変換するためで
あると考えられている。本発明では酸性固体とアルカリ
性固体とを接触させることによって、酸性固体から抽出
される酸性物資により実質的にアルカリ性固体の酸処理
を行い、抽出効率を向上させる。
【0031】この有機塩素化合物を含有するアルカリ性
固体及び酸性固体を抽出流体と接触させる際の該固体の
配置の態様として、抽出容器内でアルカリ性固体粒子と
酸性固体粒子が混合状態となる方法が挙げられる。この
配置方法は、例えばバグフィルター手前で活性炭吹き込
みを行う焼却炉で発生する焼却飛灰に適用できる。粉状
の活性炭と粉状の飛灰であれば混合し易く、酸性成分が
飛灰層に均一に分配され、効率よく抽出が行われる。な
お、抽出済み飛灰と粉状活性炭とを分離することは容易
ではないため、活性炭をさらに再利用する観点からは、
この方法は適当ではない。焼却炉から発生する使用済み
ペレット状活性炭は、飛灰と混合されておらず、抽出器
に個別に挿入することができる。飛灰とペレット状活性
炭は粒子寸法が違うため、ふるいにかけることにより容
易に分離できる。従ってかかる使用済みペレット状活性
炭の処理を行う際には、アルカリ性固体(飛灰)と混合
状態で抽出流体を接触させることが可能である。
【0032】また、抽出器の中に予め下部に使用済み活
性炭を充填し、次いで上に飛灰を充填することができ
る。本発明にかかる方法によれば、この場合、抽出流体
は抽出器の下部から挿入し、まず使用済み活性炭と接触
させ、ダイオキシン類の脱着及び酸性成分の放出をせし
め、次いで飛灰層の酸処理と抽出を行う。逆に飛灰を抽
出器の下部に充填し次いで上部に使用済み活性炭を充填
しても良い。この場合本方によれば抽出媒体は上部から
挿入し同じく活性炭層と予め接触させ、次いで飛灰と接
触させることが好ましい。使用済み活性炭、飛灰の層を
複数交互に設置しても良い。
【0033】抽出器の設置方法としては縦型、横、斜め
又はこれらのいずれの組み合わせでも可能である。抽出
媒体が最初に酸性固体と接触し次いで抽出媒体がアルカ
リ性固体と接触すれば、これらのどの方法でも良い。ま
たアルカリ性固体と酸性固体の間に透過性の仕切りを置
いても良い。なお、この場合酸性固体から発生する酸性
成分に対して十分耐久性のある材料を使う必要性があ
る。使用済み活性炭の場合、殆んどの金属を腐食させる
ためにセラミックス材料、または高温に絶えるテフロン
系の材料が好ましい。
【0034】また酸性固体とアルカリ性固体は予めカー
トリッジに充填して、このカートリッジを抽出器に装備
してもよい。特にアルカリ性固体、酸性固体が粉状であ
る場合、カートリッジを用いることにより、抽出器から
の出し入れにかかる時間が格段と短縮でき、作業能率の
上昇につながる。
【0035】焼却炉から排出される活性炭には高濃度の
ダイオキシン類が含まれていることが多い。ダイオキシ
ン類の濃度として数10〜数100ngTEQ/g含ま
れていることが多い。これは活性炭の種類にもよるが、
ダイオキシン類の吸着能力が高く、吸着限界をオーバー
する以前に活性炭を入れ換えるためである。その一方飛
灰の方は一般的には数ngTEQ/g含まれているのが
一般的である。飛灰中のダイオキシン類濃度は、焼却炉
の性能にもよるが、都市ゴミを焼却する効率の良い焼却
炉では0.5〜3ngTEQ/gの範囲にある。
【0036】本方法では特に抽出器に挿入する酸性固体
とアルカリ性固体の割合を限定するものではない。酸性
固体から排出される酸性成分を中和できる量のアルカリ
性固体の量を合わせることが望ましい。また、理想的に
はアルカリ性固体に含まれる有害塩素化合物の抽出を円
滑に行うための酸処理ができる酸性固体をあわせること
が好ましい。飛灰と活性炭の場合、少なくとも活性炭を
2wt%以上で合わせることが好ましい。効率的な活性
炭の割合は15〜70wt%、好ましくは20〜40w
t%である。活性炭の割合が2wt%以下であると酸性
固体が少ないため酸処理が十分できず、抽出媒体量を多
めにするか又は抽出時間の延長が必要となってくる。ま
た活性炭の割合が70wt%以上であると酸性固体が多
いため、発生する酸性物質を十分中和できず抽出媒体が
強酸性となり配管、容器の腐食を引き起こす恐れがあ
る。
【0037】本発明においては、過熱水蒸気を抽出流体
として好ましく用いることができる。他に、有機溶媒を
少量含む過熱水蒸気等も好ましく用いることができる。
本来ダイオキシンなどの弱極性有機物は水に溶解しにく
い。ダイオキシン類の中で毒性が最も高い2,3,7,
8−テトラクロロジベンゾ−p−ジオキシン(以下、
2,3,7,8−TCDDという。)の水への溶解度は
0.0002mg/L程度とされている。これは、水の
誘電率と深く関係している。常温常圧の水の誘電率は約
80であり、極性溶媒として作用する。そのため極性を
持つ塩類などの電解質は良好に溶解するが非極性物質で
ある油、有機溶媒などは殆んど溶解しない。ちなみに2
5℃においての誘電率に関し、一般的な有機溶媒である
ヘキサンは1.8、ヘプタンは1.9、ベンゼンは2.
28、アセトンは20.7である。2,3,7,8−T
CDDのベンゼンへの溶解度は570mg/Lまたアセ
トンへの溶解度は110mg/Lである。このようにダ
イオキシン類は誘電率が低い溶媒に良好に溶解する傾向
がある。ヘキサンも誘電率が低く、ダイオキシン類は良
好に溶解する。そのためダイオキシン類の分析には一般
的にヘキサンが使用される。
【0038】ところが過熱水蒸気の誘電率は、常温常圧
の水と異なり、有機溶媒と近い誘電率を持つ。たとえば
200℃、3気圧の過熱水蒸気の誘電率は約1である。
過熱水蒸気は常温常圧の水と比較すると格段とダイオキ
シン類を溶解する能力を持っており、抽出流体として用
いるのに適していることが明らかである。なお、過熱水
蒸気と親和性のある成分は疎水性成分が主であり、飛灰
に多く含まれている塩類は殆んど溶解しない。従って抽
出媒体には腐食を起こす塩類は殆んど含まれないことに
なる。
【0039】この様に、本発明においては抽出器で良好
なダイオキシン類の抽出効率が得られる。なお、抽出器
から排出される抽出流体は、熱交換器、冷却器等で冷却
され、常温に近い温度まで下げられる。すると、過熱水
蒸気はまたもとの水にもどり、ダイオキシン類の溶解度
は著しく低下し、熱交換器、冷却器、配管などに付着す
る恐れがある。これらの機器類、配管への付着を防止す
るため、また付着したダイオキシン類を洗浄するため、
またさらに液液抽出を行うため、本発明において有機溶
媒を少量用いることが好ましい。用いる有機溶媒として
は常温水と相分離するものが好ましい。水と相分離する
有機溶媒を用いることによって処理水と有機溶媒の分離
が容易になる。本発明において使用する、水と相分離す
る有機溶媒は特に限定するものではなく、ヘキサン、ベ
ンゼン、トルエン等が使用できる。この有機溶媒の投入
方法として、過熱水蒸気抽出を行っている最中に少量ず
つ連続的に投入しても良い。過熱水蒸気抽出を一定時間
行った後に一定時間投入しても良い。投入する位置は特
に限定するものではない。抽出器のあとに投入しても良
いし、抽出器の前に投入してよい。なお、抽出器の前に
投入する場合、有機溶媒の一部が活性炭に吸着される可
能性があるため、過熱水蒸気をさらにそのあと抽出器に
投入して脱着させることが好ましい。さらに有機溶媒が
抽出器に残存していると、抽出済み固体を取り出すた
め、抽出器を開放した際に発火する恐れがあるため、抽
出操作を終了するまえに過熱水蒸気を抽出器に投入して
洗浄操作をすることが好ましい。
【0040】抽出されたダイオキシン類の大半は有機溶
媒相に移る。この有機溶剤、例えばヘキサン、ベンゼン
等が溶解したダイオキシン溶液は、次の超臨界水分解工
程の燃料として用いることができる。また処理水は、過
熱水蒸気抽出流体を凝縮させたものであるため、塩類濃
度が低く、抽出用の過熱水蒸気製造に再利用しても良
い。またこの再利用する際にpH調整、少量残存する塩
類の除去操作を行ってもよい。過熱水蒸気製造用以外に
ダイオキシン類を分解する次工程の超臨界水分解工程等
で超臨界水製造に用いてもよい。
【0041】本発明において抽出に用いる抽出流体の量
は、特に限定するものではない。これは各固体によって
有害塩素化合物を保持または吸着する能力が異なるため
であり、そのメカニズムは各固体によって異なり、まだ
明らかになっていない部分がある。例えば、活性炭に吸
着されたダイオキシン類は物理化学作用により強固にに
吸着されていると考えられるが、200℃の過熱水蒸気
と接触させると容易に脱着する。ところが飛灰は、活性
炭と異なり、特に吸着サイトを有している等の学術的報
告はないのにも関わらず、ダイオキシン類を脱着させる
となると、活性炭より困難である。投入する抽出媒体の
量は経験的または個別にバッチ式の抽出実験を行い決め
ることが好ましい。飛灰と活性炭の場合に関して言え
ば、非処理固体合計重量に対して0.5倍から100倍
の過熱水蒸気量を用いることが好ましい。0.5倍以下
であると抽出流体量が少なすぎるため有害塩素化合物が
固形物に残存する恐れがある。また100倍以上とする
と、過剰な過熱水蒸気を生成するのにコストがかさみ、
さらに過剰な凝縮水を生成する。好ましくは1〜50
倍、さらに好ましくは2〜30倍の過熱水蒸気を用いる
ことが好ましい。
【0042】抽出に使用する抽出流体として過熱水蒸気
を用いる場合には、過熱水蒸気の圧力は常圧から20気
圧以下であることが好ましい。この圧力は過熱水蒸気が
配管、抽出器、冷却器、熱交換器等を通過する際の合計
圧力損失以上にしておくことが好ましい。
【0043】抽出器の温度は120℃以上、500℃以
下にすることが好ましい。さらに好ましくは150℃〜
350℃である。なお、抽出器の温度は、抽出器の圧力
において水蒸気が飽和となる温度以上に設定し、過熱水
蒸気状態を維持させることが重要である。飽和温度以下
にすると、抽出効率低下の問題以外に、抽出器内におい
て凝縮水が発生し、飛灰の塩類等が溶解し、処理水の方
に移ってくる問題が発生する。抽出器の温度を350℃
以上にすると、ダイオキシン類自体が脱塩素化反応によ
り、分解する。このため固体からのダイオキシン類除去
率に関して、抽出器の温度が高いほど短時間で高い除去
率が得られる。しかし、そのため抽出媒体の温度を上昇
させる必要性があり、熱エネルギーとしての負担が大き
くなるため350℃以下の温度が好ましい。なお、抽出
操作を行っても、ダイオキシン類を含む抽出流体、また
は有機溶媒を処理する適切なプラントが何らかの理由で
確保できない場合、抽出器を高温で運転して、ダイオキ
シン類を抽出器内で分解無害化しても良い。
【0044】投入する有機溶媒の量は酸性固体、アルカ
リ性固体の合計重量に対して0.001倍以上から5倍
以下、好ましくは0.005〜1倍にすることが好まし
い。この有機溶媒は基本的には過熱水蒸気が凝縮したと
きに機器、配管類への有機塩素化合物付着問題を避ける
ため、また抽出された有機塩素化合物を溶解保持する目
的で投入するため、過熱水蒸気量より少なめでよい。
【0045】以下、図面を用いて、本発明の実施の態様
を詳しく説明するが、本発明は以下に説明する態様に限
定されるものではない。
【0046】図1に示す装置は処理する固体が比較的少
量、例えば1t/日以下の場合に適している。貯蔵タン
ク1の抽出流体(水)は流路2を介してポンプ4によ
り、ボイラー6に挿入される。ボイラー6は加熱手段3
を有し、温度指示計7及び5を有する。またボイラー内
の液位を一定にする液位制御機構(図中示さず)を有す
る。さらに蒸気発生量を制御する調節機構(図中示さ
ず)を有する。さらに蒸気圧力を制御する調節機構(図
中示さず)を有する。これらの蒸気発生器及び制御機構
は特に特別なものではなく、公知のものを使うことがで
きる。電気ボイラー、炉筒煙管ボイラー、水管ボイラ
ー、貫流ボイラー、ウエットボトムボイラーの何れの形
式でも良い。ボイラー6で発生した蒸気は流路8を介し
てスーパーヒーター(過熱水蒸気発生器)10に挿入さ
れる。スーパーヒーター10は加熱の手段9と過熱水蒸
気温度を表示する温度指示計11と温度調節を行う制御
機構(図中示さず)を有する。本発明においてこのスー
パーヒーターの形式は限定するものではない。公知のも
のを使用することができる。バーナー燃焼加熱方式、電
気加熱方式等の外部間接的加熱による水蒸気をスーパー
ヒートする方式が利用できる。燃焼ガスを水蒸気と混合
させる方式または加熱体を直接水蒸気と接触させる方式
などの直接加熱方法も利用できる。なお、水蒸気を燃焼
ガスと混合させてスーパーヒートさせる方式ではオイル
バーナー、ガスバーナー等が利用でき、さらにこのバー
ナーの酸化剤としては空気、酸素富化空気、純酸素など
が利用できる。この中で純酸素を用いたガスバーナーで
は窒素ガスなどのイナートがないため、水蒸気濃度を高
く維持できるためさらに適している。なお、図1では、
比較的少量の固体を処理する場合に適している、間接的
外部加熱方式を示す。スーパーヒーターでの出口温度は
抽出器までの配管、継ぎ手、フランジにおいての放熱を
考慮して設定する必要がある。従って、スーパーヒータ
ー出口温度は抽出器の運転温度より最低30℃高めに設
定することが好ましい。
【0047】本装置を立ち上げるときは充分な過熱水蒸
気温度または過熱水蒸気量が得られないため、バルブ1
3を開、バルブ14を閉にして抽出器をバイパスさせる
ことが好ましい。このとき水蒸気はバイパスライン15
を介して直接冷却器26に挿入される。ボイラー6、ス
ーパーヒーター10の運転を立ち上げ、TI11が所定
の温度に到達したあとにバルブ13を閉、バルブ14を
開にして抽出器に抽出流体を挿入することが好ましい。
また、ボイラー、スーパーヒーターの立ち上げと同時に
抽出器の温度を上昇させ、所定の温度に維持させておく
ことが好ましい。これは高い温度の過熱水蒸気を製造し
ても、抽出器の温度が低いと過熱水蒸気が非処理固体、
容器に熱を奪われて、飽和し、凝縮するためである。水
蒸気が凝縮すると、処理固体の電解質が溶解し、処理水
に大量の電解質が含まれる、または抽出効率が低下する
などの問題が生じる。従って過熱水蒸気を抽出器に挿入
する際は、抽出器の温度は最低150℃になっているこ
とが好ましい。このスタートアップ時の抽出器の加熱は
抽出器に設置してある加熱手段20で行う。また抽出器
は温度を測定指示する機構19を有し、温度を調節する
制御機構(図中示さず)を有する。加熱手段20は本発
明において特に限定するものではない。電気ヒーター、
熱媒、バーナー加熱の何れの方式でも利用できる。また
抽出器17は非処理固体の出し入れをするための蓋18
を有する。この蓋18は、本体17にボルト締め、また
はその他の容器のフランジ固定方式、例えば油圧固定で
もよい。蓋は開け閉めの動作を簡単にするため、蝶番
(図中示さず)がついていることが好ましい。本発明に
おいて、固体の処理は回分操作となるためできるだけ固
体の出し入れを速やかに行える方式にすることが好まし
い。そのため、処理する固体は予めカートリッジ24に
挿入して、カートリッジ24ごと抽出器から出し入れす
ることが好ましい。本カートリッジの構造としては、筒
状で上下に抽出媒体が通過する多孔質構造の仕切り22
が設けられている。この仕切り22としては、セラミッ
クスフィルター、ガラスフィルター、焼結金属フィルタ
ー、パンチングプレート金属などが利用できる。焼却飛
灰のように粒径が小さい固形物を処理する場合、焼結金
属フィルター、好ましくチタン製焼結金属フィルターが
利用される。またカートリッジの筒状胴体部分には各種
金属材料が利用できる。ステンレス、ハステロイ、イン
コネル、チタン、タンタルを使用することができる。好
ましくはチタンが使用される。
【0048】図1のカートリッジ24内の固体は、抽出
流体と酸性固体23とが予め接触し、ついでアルカリ性
固体21と接触する配置になっている。酸性固体23か
ら発生した酸性成分はアルカリ性固体21で中和され、
アルカリ性固体の酸処理を抽出と同時に行い有害塩素化
合物が抽出される。
【0049】有害塩素化合物を含む抽出流体は抽出器に
接続されているライン25を介して冷却器26に挿入さ
れる。ここで過熱水蒸気は飽和し、凝縮水となる。冷却
器の構造は空冷、水冷方式でも良いしまた形状として、
二重管構造、多重管構造、コイル構造でもよい。またこ
の冷却器は熱交換器として作用しても良い。すなわちポ
ンプ4の出口を冷却器26に接続させ、ボイラー6に挿
入する抽出媒体を予熱するのに利用しても良い。有害塩
素化合物を含む処理水はタンク28に一次貯蔵され、次
工程の超臨界水酸化の分解工程へ送られる。一定時間抽
出操作を行った後、またバルブ13を開け、バルブ14
を閉じ、抽出媒体をライン15を介してバイパスさせ、
抽出器の加熱を停止させる。抽出器本体温度が100℃
以下、好ましくは50℃以下まで冷却したことを確認し
て、抽出済み固体を抽出器から出し、ついで次の非抽出
固体を挿入し、抽出操作を繰り返す。この抽出操作を数
回行ったあと、有機溶媒を投入する。ポンプ29を作動
させ、配管内、冷却器に付着している有害塩素化合物を
押し出す。有機溶媒を投入し始めたとき、タンク28を
取り替え、有機溶媒を別途タンク30に採取する。この
有機溶媒を多く含む処理液は同じく次の超臨界水酸化工
程に導入され、燃料として用いることができる。本装置
の停止においては、まずボイラーを停止して、蒸気の製
造を停止する。ついでスーパーヒーター、抽出器の加熱
手段を停止させ、冷却を行う。
【0050】図2において本発明の処理装置の別の一実
施形態を示す。図2に示す装置は処理する固体が比較的
大量、例えば1t/日以上の場合に適している。貯蔵タ
ンク100の抽出流体(水)は流路101を介してポン
プ102により、熱交換器104に挿入され予熱され
る。熱交換器104は公知のものを用いることができ
る。チューブアンドシェル方式の多重管構造、二重管構
造の何れでも利用することができる。熱交換器104で
予熱された液体の抽出流体は、ついでボイラー105に
挿入される。ボイラー105は加熱手段106を有す
る。またボイラー内の液位を一定にする液位制御機構
(図中示さず)を有する。さらに蒸気発生量を制御する
調節機構(図中示さず)を有する。さらに蒸気圧力を制
御する調節機構(図中示さず)を有する。これらの蒸気
発生器及び制御機構は特に特別なものではなく、公知の
ものを使うことができる。電気ボイラー、炉筒煙管ボイ
ラー、水管ボイラー、貫流ボイラー、ウエットボトムボ
イラーの何れの形式でも良い。ボイラー105で発生し
た蒸気は流路107を介してスーパーヒーター(過熱水
蒸気発生器)108に挿入される。スーパーヒーター1
08は加熱の手段と過熱水蒸気温度を表示する温度指示
計と温度調節を行う制御機構(図中示さず)を有する。
本発明においてこのスーパーヒーターの形式は限定する
ものではない。公知のものを使用することができる。バ
ーナー燃焼加熱方式、電気加熱方式等の外部間接的加熱
による水蒸気をスーパーヒートする方式が利用できる。
燃焼ガスを水蒸気と混合させる方式または加熱体を直接
水蒸気と接触させる方式などの直接加熱方法も利用でき
る。なお、水蒸気を燃焼ガスと混合させてスーパーヒー
トさせる方式ではオイルバーナー、ガスバーナー等が利
用でき、さらにこのバーナーの酸化剤としては空気、酸
素富化空気、純酸素などが利用できる。この中で純酸素
を用いたガスバーナーでは窒素ガスなどのイナートがな
いため、水蒸気濃度を高く維持できるためさらに適して
いる。なお、図2では、コイル109を電気炉加熱する
間接的加熱のスーパーヒーターを示す。スーパーヒータ
ーでの出口温度は抽出器までの配管、継ぎ手、フランジ
においての放熱を考慮して設定する必要がある。従っ
て、スーパーヒーター出口温度は抽出器の運転温度より
最低30℃高めに設定することが好ましい。
【0051】本装置を立ち上げるときは充分な過熱水蒸
気温度または過熱水蒸気量が得られないため、バルブ1
12を開、バルブ111を閉にして抽出器群をバイパス
させることが好ましい。このとき水蒸気はバイパスライ
ン113を介して直接熱交換器104に挿入される。ボ
イラー105、スーパーヒーター108の運転を立ち上
げ、スーパーヒーターの過熱水蒸気出口温度が所定の温
度に到達したあとにバルブ112を閉、バルブ111を
開にして抽出器に抽出流体を挿入することが好ましい。
また、ボイラー、スーパーヒーターの立ち上げと同時に
抽出器を加熱し、抽出器を所定の温度に維持させておく
ことが好ましい。これは高い温度の過熱水蒸気を製造し
ても、抽出器の温度が低いと過熱水蒸気が非処理固体、
容器に熱を奪われて、飽和凝縮するためである。水蒸気
が凝縮すると、処理固体の電解質が溶解し、処理水に大
量の電解質が含まれる、または抽出効率が悪くなどの問
題が生じる。従って過熱水蒸気を抽出器に挿入する際
は、抽出器の温度は最低150℃以上になっていること
が好ましい。このスタートアップ時の各抽出器の加熱は
抽出器の設置してある加熱手段(図中示さず)で行う。
また抽出器は温度を測定及び指示する機構を有し、温度
を調節する制御機構(図中示さず)を有する。抽出機の
加熱手段は本発明において特に限定するものではない。
電気ーヒーター、熱媒、バーナー加熱の何れの方式でも
利用できる。また抽出器120は非処理固体の出し入れ
をするための蓋121a、121b、121cをそれぞ
れ有する。この蓋121は、本体120にボルト締め、
またはその他の容器のフランジ固定方式、例えば油圧固
定でもよい。蓋は開け閉めの動作を簡単にするため、蝶
番がついていることが好ましい。油圧固定の場合この限
りではない。本発明において、固体の処理は回分操作と
なるためできるだけ固体の出し入れを速やかに行える方
式にすることが好ましい。そのため、処理する固体は予
めカートリッジ122に挿入して、カートリッジ122
ごと抽出器から出し入れすることが好ましい。本カート
リッジの構造としては、筒状で上下に抽出媒体が通過す
る多孔質構造の仕切りが設けられている。この仕切りと
しては、セラミックスフィルター、ガラスフィルター、
焼結金属フィルター、パンチングプレート金属などが利
用できる。焼却飛灰のように粒径が小さい固形物を処理
する場合、焼結金属フィルター、好ましくチタン製焼結
金属フィルターが利用される。またカートリッジの筒状
胴体部分には各種金属材料が利用できる。ステンレス、
ハステロイ、インコネル、チタン、タンタルを使用する
ことができる。好ましくはチタンが使用される。
【0052】図2のカートリッジ内の固体は、抽出流体
と酸性固体とが予め接触し、ついでアルカリ性固体と接
触する配置になっている。酸性固体から発生した酸性成
分はアルカリ性固体で中和され、アルカリ性固体の酸処
理を抽出と同時に行い有害塩素化合物が抽出される。
【0053】有害塩素化合物を含む抽出流体は抽出器に
接続されている流路を介して熱交換器104に挿入され
る。ここで過熱水蒸気は飽和し、凝縮水となる。
【0054】図2に示す本発明の装置では抽出器が3台
(120a、120b、120c)並列に設置されてお
り、また個々の抽出器がバルブ111及び130によっ
て完全に遮断できるようになっている。各抽出器は抽出
工程、加熱工程、冷却工程と別な工程を行う。また各抽
出器は他の抽出器と時間的に異なった工程を行う。図2
では抽出器120aが抽出操作中であり、抽出器120
bが加熱中であり、また120cが冷却操作を終了して
処理済み固体の取り出し中の状態を示す。処理済み固体
の取り出しは、蓋121cを開け、抽出器120c内の
カートリッジ122cをクレーンフック200に引っか
け、クレーン201により上に持ち上げることにより、
抽出器120cの外に出す。ついで120cは新しく非
処理固体を充填して加熱工程へ移る。120bは加熱工
程を終了して抽出工程へ移る。120aは抽出操作終了
して冷却工程へ移る。また抽出を行っている抽出器のバ
ルブ111、130のみが開になっておりその他の11
1及び130は閉としておく。このように複数の抽出器
を用いて加熱、抽出、冷却の各工程を各抽出器で行い、
各抽出器は同時にずれた工程を行う、「メリーゴーラウ
ンド式」方法を採用することにより、プラントの作業性
は向上し、また半連続的な処理が可能となる。
【0055】このように半連続に運転している工程に一
定時間ごとに有機溶媒160をポンプ162を用い、配
管163を介して導入する。この有機溶媒は抽出媒体で
ある過熱水蒸気で押されて配管及び冷却器に付着してい
る有害塩素化合物を溶解させ、液液分離器135に挿入
される。液液分離機135では凝縮水と有機溶媒との比
重差の違いにより分離される。またこの分離を連続的に
行うため、液液分離器は液位を一定にするための液位測
定機構140及び制御バルブ141を有する。この分離
器によって有害塩素化合物を多く含む有機溶媒層はタン
ク151に挿入され、また処理水はタンク150に挿入
される。これらの処理水及び有機溶媒は次工程の超臨界
水酸化の分解工程へ送られる。
【0056】
【実施例】以下、本発明にかかるダイオキシン類抽出方
法を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0057】下記の実施例及び比較例では、図1に示し
たフローと同様な処理装置を用いた。ボイラー6はイン
コネル600製、内容積2.4Lの電気ボイラーを用い
た。スーパーヒーター10は電気加熱方式とした。抽出
器17及びその蓋18はボイラー6と同様にインコネル
600製であり抽出器の内容積は3Lであった。蓋18
は抽出器17にボルト締めにより固定した。被抽出固体
を充填するカートリッジ24はチタン製、内容積1Lと
し、フィルター22はチタン製の焼結金属フィルターを
用いた。
【0058】実施例1 抽出用カートリッジに都市ゴミ焼却設備より採取した飛
灰210g(21)、および粒状活性炭40g(23)を充填
し、抽出器に装填した。抽出流体である過熱水蒸気は抽
出器下方から上方に向けて流すため、カートリッジ内で
は活性炭が下部に飛灰が上部になるようにした。純水を
ポンプ流量40mL/minにてボイラー6に送液し、スーパー
ヒーター9にて過熱水蒸気にした後抽出器24に送り2
時間抽出を行った。過熱水蒸気の平均温度は209℃であ
った。抽出処理後冷却し、カートリッジを取り出して、
飛灰及び活性炭中のダイオキシン類(PCDDs、PCDFs)濃
度を測定し、以下の式(1)により抽出率を算出した。
尚、ダイオキシン濃度の測定は、「廃棄物処理における
ダイオキシン類標準測定法分析マニュアル」厚生省生活
衛星局水道環境部環境整備課(平成9年2月)に準拠し
て行った。 R=(C0−C)/C0×100 (1) R:ダイオキシン類抽出率(%) C0:処理前ダイオキシン類濃度(ng−TEQ/g) C:処理後ダイオキシン類濃度(ng−TEQ/g) その結果ダイオキシン類抽出率は飛灰で97.526%、活性
炭で99.995%であった。また冷却後の凝縮液pHと塩素イ
オン濃度(mg/L)はそれぞれ平均で4.3、4.0であった。
カートリッジ及び焼結金属フィルターに腐食は確認され
なかった。
【0059】実施例2 飛灰重量190g、活性炭重量60g、平均の過熱水蒸気温度
が208℃である以外は実施例1と同条件にて抽出処理を行
った。この場合のダイオキシン類抽出率は飛灰で97.320
%、活性炭で99.984%であった。また冷却後の凝縮液pHと
塩素イオン濃度(mg/L)はそれぞれ平均で4.3、5.2であ
った。カートリッジ及び焼結金属フィルターに腐食は確
認されなかった。
【0060】実施例3 飛灰重量170g、活性炭重量80g、平均の過熱水蒸気温度
が210℃である以外は実施例1と同条件にて抽出処理を行
った。この場合のダイオキシン類抽出率は飛灰で99.165
%、活性炭で99.994%であった。また冷却後の凝縮液pHと
塩素イオン濃度(mg/L)はそれぞれ平均で3.5、24.7で
あった。カートリッジ及び焼結金属フィルターに腐食は
確認されなかった。
【0061】実施例4 飛灰重量150g、活性炭重量100g、平均の過熱水蒸気温度
が216℃である以外は実施例1と同条件にて抽出処理を行
った。この場合のダイオキシン類抽出率は飛灰で98.351
%、活性炭で99.991%であった。また冷却後の凝縮液pHと
塩素イオン濃度(mg/L)はそれぞれ平均で3.0、32.6で
あった。カートリッジ及び焼結金属フィルターに腐食は
確認されなかった。
【0062】実施例5 飛灰重量125g、活性炭重量125g、平均の過熱水蒸気温度
が213℃である以外は実施例1と同条件にて抽出処理を行
った。この場合のダイオキシン類抽出率は飛灰で93.608
%、活性炭で99.990%であった。また冷却後の凝縮液pHと
塩素イオン濃度(mg/L)はそれぞれ平均で3.3、25.5で
あった。カートリッジ及び焼結金属フィルターに腐食は
確認されなかった。
【0063】各実施例により得られた結果を、以下の表
に示す。表2〜表5には、本実施例で処理した飛灰及び
活性炭中のダイオキシン類濃度を示す。表2及び表3
は、飛灰及び活性炭中のダイオキシン類の実測濃度であ
る。また表4−1、4−2及び表5−1、5−2は、飛
灰及び活性炭中のダイオキシン類毒性等価量(TEQ)で
ある。尚、表4−1、4−2及び表5−1、5−2の毒
性等価濃度計算には、WHO−TEF(1997)を用
いている。
【0064】
【表2】
【0065】
【表3】
【0066】
【表4】
【0067】
【表5】
【0068】
【表6】
【0069】
【表7】
【0070】比較例1 抽出用カートリッジに飛灰を250g充填し抽出器に装填し
た。次いで系内を50気圧まで昇圧した後、ポンプ流量50
mL/minにてボイラーに純水を送液し、ボイラーを200℃
まで昇温することで高温高圧水を生成し、この高温高圧
水にて4時間抽出処理を行った。この場合のダイオキシ
ン類抽出率は−40%となりダイオキシン類濃度は増加し
ていた。また冷却後の凝縮液pHと塩素イオン濃度(mg/
L)はそれぞれ平均で8.0、2943であった。
【0071】比較例2 高温高圧水にエントレーナーとしてアセトンを4 vol%純
水に加えたこと以外は比較例1と同条件にて抽出処理を
行った。この場合のダイオキシン類抽出率は5%であっ
た。また冷却後の凝縮液pHと塩素イオン濃度(mg/L)は
それぞれ平均で11.1、4698であった。
【0072】比較例3 抽出用カートリッジに都市ゴミ焼却設備より採取した活
性炭のみを250g充填し、実施例1と同条件にて抽出処理
を行った。過熱水蒸気を供給し始めたところ刺激臭が発
生し、冷却後の処理液のpHが1を下回った。抽出器を開
けたところチタン焼結金属で製作されていた抽出カート
リッジのフィルターは著しく腐食されていた。
【0073】上記実施例1〜5における抽出処理結果を
表6に、比較例1〜3における抽出処理結果を表7に示
す。
【0074】
【表8】
【0075】
【表9】
【0076】表6より、本方法を用いることで飛灰及び
活性炭から同時かつ高効率でダイオキシン類が抽出され
ていることが分かる。また本実験条件の範囲においては
飛灰充填比率が68%の時に最も抽出率が良いことが明ら
かであり、飛灰については99%以上、活性炭については9
9.99%以上の抽出率を達成している。実施例1〜5と比較
例3との比較より、活性炭に過熱水蒸気を通すことで発
生する酸性物質は飛灰中で十分に中和されていることが
分かる。また実施例1と比較例1、2との比較より抽出流
体に過熱水蒸気を用いることで飛灰中の塩素がほとんど
抽出されてこないことが分かり、また活性炭由来の酸に
よる中和効果も明らかである。
【0077】
【発明の効果】本発明によれば固体中、特に焼却飛灰お
よび活性炭中のダイオキシン類等の有害塩素化合物を同
時にかつ容易に抽出することができる。抽出された有害
塩素化合物は溶媒中に移行させることができるため、そ
の後の無害化処理装置への供給が容易となり、例えば超
臨界水酸化法等の無害化方法によって効果的に処理でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる方法を実施するための装置の一
態様を示す説明図である。
【図2】本発明にかかる方法を実施するための装置の他
の態様を示す説明図である。
【符号の説明】
1;貯蔵タンク 3、9、20;加熱手段 4、29;ポンプ 5、7、11、19;温度指示計 6;ボイラー 10;スーパーヒーター 13、14;バルブ 17;抽出器 18;蓋 21;アルカリ性固体 22;仕切り 23;酸性固体 24;カートリッジ 26;冷却器 28;タンク 30;予備タンク 100;貯蔵タンク 102、162;ポンプ 104;熱交換器 105;ボイラー 106;加熱手段 108;スーパーヒーター 109;コイル 111、112、130;バルブ 120a、120b、120c;抽出器 121a、121b、121c;蓋 122a、122b、122c;カートリッジ 135:液液分離器 140;液位測定機構 141;制御バルブ 150、151:タンク 160;有機溶媒 200;クレーンフック 201;クレーン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B09B 3/00 304L (72)発明者 濱田 周作 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 (72)発明者 西村 達也 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 (72)発明者 臼井 高史 神奈川県藤沢市本藤沢4丁目2番1号 株 式会社荏原総合研究所内 Fターム(参考) 2E191 BA12 BA13 BA15 BD11 4D004 AA37 AB07 CA39 CB04 CB32 CC03 DA01 DA06 DA10 4D056 AB01 AB17 AB18 AB20 AC02 AC22 BA11 CA22 CA34 CA37 CA39 CA40 DA01 DA03 DA05 4F301 AA16 CA07 CA13 CA22 CA41 CA51 CA63 CA72 4G066 AA05B CA33 DA02 GA06

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有機塩素化合物を含有するアルカリ性固
    体及び酸性固体から有機塩素化合物を分離する方法であ
    って、前記アルカリ性固体及び前記酸性固体に抽出流体
    を接触させることにより、前記アルカリ性固体及び前記
    酸性固体とから前記抽出流体中に有機塩素化合物を移行
    させることを特徴とする、前記方法。
  2. 【請求項2】 アルカリ性固体が、焼却飛灰であること
    を特徴とする、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 酸性固体が、活性炭であることを特徴と
    する、請求項1記載の方法。
  4. 【請求項4】 酸性固体が、塩素を含むプラスチックポ
    リマーであることを特徴とする、請求項1記載の方法。
  5. 【請求項5】 抽出流体が、過熱水蒸気であることを特
    徴とする、請求項1記載の方法。
  6. 【請求項6】 抽出流体を酸性固体に接触させ、次いで
    酸性固体に接触した抽出流体をアルカリ性固体に接触さ
    せる、請求項1記載の方法。
  7. 【請求項7】 抽出流体を、アルカリ性固体と酸性固体
    とに同時に接触させる、請求項1記載の方法。
  8. 【請求項8】 抽出媒体に有機溶剤を加えることを特徴
    とする、請求項1記載の方法。
  9. 【請求項9】 請求項1の方法により得られた有機塩素
    化合物を含有する抽出流体を、超臨界水酸化処理して有
    機塩素化合物を無害化することを特徴とする、有機塩素
    化合物の無害化方法。
  10. 【請求項10】 有機塩素化合物を含有するアルカリ性
    固体及び酸性固体から有機塩素化合物を分離するための
    装置であって、該アルカリ性固体及び該酸性固体に抽出
    流体を接触させるための抽出容器と、水蒸気を生成する
    水蒸気発生器と、水蒸気を過熱水蒸気とするためのスー
    パーヒーターと、抽出流体を凝縮させる冷却器と、を含
    むことを特徴とする、前記装置。
  11. 【請求項11】 冷却器が、熱交換機能を兼ねる、請求
    項10記載の装置。
  12. 【請求項12】 さらに、有機溶媒を注入する手段を含
    むことを特徴とする、請求項10記載の装置。
  13. 【請求項13】 抽出容器を2以上含むことを特徴とす
    る、請求項10記載の装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104689598A (zh) * 2013-12-06 2015-06-10 马扎创新有限公司 加压低极性水提取装置和使用方法
CN114377429A (zh) * 2021-12-24 2022-04-22 陕西聚泰新材料科技有限公司 一种负载型废催化剂脱有机物和/或单质硫的工艺

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