JP2001230111A - 回転機 - Google Patents

回転機

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JP2001230111A
JP2001230111A JP2000038479A JP2000038479A JP2001230111A JP 2001230111 A JP2001230111 A JP 2001230111A JP 2000038479 A JP2000038479 A JP 2000038479A JP 2000038479 A JP2000038479 A JP 2000038479A JP 2001230111 A JP2001230111 A JP 2001230111A
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Masahiro Tobise
飛世  正博
Shigeo Tanigawa
茂穂 谷川
Masahiro Mita
正裕 三田
Masahiro Masuzawa
正宏 増澤
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 R−T−N系磁粉(RはYを含む希土類元素
の2種以上でありSmおよびLaを必ず含み、TはFe
またはFeとCoである)を配合してなる、着磁性およ
び可撓性(耐割れ性)に富んだ等方性のR−T−N系シ
ート状ボンド磁石を界磁磁石に用いて構成した、信頼性
を向上した高性能の回転機を提供する。 【解決手段】 原子%でRα100−α−δδ(Rは
Yを含む希土類元素の2種以上であってSmおよびLa
を必ず含み、La含有量が0.05〜2原子%であり、Tは
FeまたはFeとCoであり、6≦α≦15,4≦δ≦30で
ある)で表される主要成分組成を有し、2-17型結晶構造
を有する硬質磁性相を主相とする、還元/拡散法を用い
て作製された磁気等方性の磁粉とバインダーとから構成
されている、厚みが0.05〜5mmの可撓性に富んだシート
状ボンド磁石を用いたことを特徴とする回転機。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、還元/拡散法を用
いて作製されたR−T−N系磁粉を配合してなるR−T
−N系シート状ボンド磁石(RはYを含む希土類元素の
2種以上でありSmおよびLaを必ず含み、TはFeま
たはFeとCoである)を界磁磁石に用いて構成した、
信頼性を向上した回転機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より押出成形法やロール成形法によ
り作製されたシート状ボンド磁石が小型モータ等の用途
に使用されている。これらのボンド磁石の磁粉にはハー
ドフェライト系磁粉が多用されている。
【0003】特開昭63-244714号公報には、ハードフェ
ライト(BaO・6FeO)系磁粉を用いて、厚み1mmのシ
ート状ボンド磁石を成形したことが記載されている。し
かし、その第1表の記載から、BaO・6FeOの組成の磁
粉を用いて成形した厚み1mmのシート状ボンド磁石は最
大エネルギー積(BH)maxが3.2kJ/m(0.4MGOe)と著し
く低く用途が制限されるものである。
【0004】また、特開昭63-244714号公報には、Nd
14Fe80Bの組成の超急冷磁粉を用いてバインダー
混入比が40vol.%の条件で厚みが1mm、(BH)maxが35.8kJ
/m(4.5MGOe)のシート状ボンド磁石を成形したこ
と、およびこのNd14Fe80Bの組成の超急冷磁粉は1
77μm以下のバルク(偏平)状粉末である旨の記載があ
る。しかし、本発明者らの詳細な検討により、このシー
ト状ボンド磁石を用いて回転機を構成した場合、実用に
耐えない下記の問題を発生することがわかった。後述の
通り、Nd-Fe-B系超急冷磁粉を用いて厚みが5mm以
下、密度が4.0Mg/m(4.0g/cm)以上のシート状ボン
ド磁石を成形することは可能である。しかし、このシー
ト状ボンド磁石はNd-Fe-B系超急冷磁粉の扁平粒子
形状を反映して可撓性(耐割れ性)に乏しいという欠点
を有している。例えば図1の界磁磁石1として前記のN
d-Fe-B系超急冷磁粉を用いて成形したシート状ボン
ド磁石を巻回した時点あるいはその巻回したシート状ボ
ンド磁石をヨーク2の内周側に固着してアウターロータ7
を構成した時点で割れが顕著に発生した。Nd−Fe−
B系シート状ボンド磁石を巻回またはリング状ヨークに
固着することにより割れるという問題は、アウターロー
タ型では巻回外径寸法(ヨーク内径寸法)あるいはイン
ナーロータ型では巻回内径寸法(ヨーク外径寸法)が小
さいほど、 またNd−Fe−B系シート状ボンド磁石
が厚いほど顕著であることがわかった。
【0005】特開平9-298111号公報は、磁石粉末と樹脂
とを含有し、前記磁石粉末がR(Rは希土類元素の1種
以上である)、T(TはFe、またはFeとCoであ
る)、NおよびM(MはZr、Ti、V、Cr、Nb、
Hf、Ta、Mo、W、Al、CおよびPから選択され
る少なくとも1種の元素である)を含有し、Rの含有量
が3〜15原子%、Nの含有量が5〜25原子%、Mの含有量
が0.5〜10原子%であって、残部が実質的にTであり、
前記磁石粉末が硬質磁性相と軟質磁性相とを含み、厚さ
が2mm以下である樹脂含有圧延シート磁石を開示してい
る。前記磁石粉末は、実施例等の記載によれば、液体急
冷法により作製したR−T−M系母合金に熱処理、粉砕
および窒化処理を施した後、粒径分布を調整して作製さ
れたものである。しかしながら、特開平9-298111号公報
に記載される液体急冷法を適用して作製した窒化磁石粉
末を用いて、厚みが5mm以下、密度が4.0Mg/m(4.0g/c
m)以上のR−T−M−N系シート状ボンド磁石を成
形後、そのシート状ボンド磁石を巻回して図1の界磁磁
石1とし、ヨーク2に固着してアウターロータ7を構成し
た場合、ヨーク2に前記シート状ボンド磁石を固着した
時点で割れを発生した。あるいは固着初期に割れを発生
しない場合でも固着後所定時間を経過した時点で前記シ
ート状ボンド磁石が割れるという問題を発生した。
【0006】次に、着磁性は等方性のR−T−N系ボン
ド磁石の実用性を左右する重要な特性であり、工業生産
上室温における着磁磁界強度は1989.5kA/m(25kOe)以
下が好ましい。しかし、従来の等方性のR−T−N系シ
ート状ボンド磁石は1989.5kA/m(25kOe)以下で着磁し
た場合の(BH)max(以下、これを着磁性という)が低
く、実用に耐えない場合が多かった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の問題を踏ま
えて、本発明の課題は、還元/拡散法を用いて作製され
た安価で、2-17型結晶構造の硬質磁性相を主相とするR
−T−N系磁粉(RはYを含む希土類元素の2種以上で
ありSmおよびLaを必ず含み、TはFeまたはFeと
Coである)を配合してなる、着磁性および可撓性(耐
割れ性)に富んだ等方性のR−T−N系シート状ボンド
磁石を界磁磁石に用いて構成した、信頼性を向上した高
性能の回転機を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決した本発
明は、原子%でRα100−α−δδ(RはYを含む
希土類元素の2種以上であってSmおよびLaを必ず含
み、La含有量が0.05〜2原子%であり、TはFeまた
はFeとCoであり、6≦α≦15,4≦δ≦30である)で
表される主要成分組成を有し、2-17型結晶構造を有する
硬質磁性相を主相とする、還元/拡散法を用いて作製さ
れた磁気等方性の磁粉とバインダーとから構成されてい
る、厚みが0.05〜5mmの可撓性に富んだシート状ボンド
磁石を用いた回転機である。前記シート状ボンド磁石は
着磁性および可撓性に富んでいるので信頼性の高い高性
能の回転機を提供することができる。また、前記シート
状ボンド磁石をヨーク等に貼着するだけで界磁磁石を構
成できるので回転機の組立工数の低減に寄与するもので
ある。前記磁粉のR成分はSm、Laおよび不可避不純
物からなり、R成分の含有量を6〜15原子%、La含有
量を0.05〜2原子%にすることが前記シート状ボンド磁
石の着磁性を改善し、27.9kJ/m(3.5MGOe)以上の(B
H)maxを得るために好ましい。La含有量が0.05原子%
未満では着磁性が改善されず、2原子%超では角形(H
k)が逆に低下する。これは、前記La含有量範囲のと
きに異方性磁界(HA)および飽和磁束密度(Bs)はやや
低下するが、室温の1989.5kA/m (25kOe)以下で着磁し
た場合のシート状ボンド磁石の(BH)maxおよびHkが高め
られるからである。Hkは4πI-H減磁曲線上において0.7B
rの位置におけるHの値であり、減磁曲線の矩形性の尺度
である。Brは残留磁束密度、Hは磁界の強さ、4πIは磁
化の強さである。また本発明の回転機はファンモータに
好適である。特に、エアコン用通風ファンまたはコンピ
ュータのCPU用冷却ファンなどに有用である。
【0009】前記シート状ボンド磁石は下記の有用な特
徴を有している。 (1) 前記シート状ボンド磁石はフェライト焼結磁石と同
等以上の室温の磁気特性を有し、用いる磁粉粒子は還元
/拡散法により作製された2-17型結晶構造を有する微結
晶組織の硬質磁性相から実質的になり、面積比率の平均
値でαFeは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%
以下、特に好ましくは1%以下のものである。(2)前記磁
粉粒子は丸みを帯びた不定形状を呈しており、可撓性の
向上に寄与している。(3)厚みが0.05〜5mmのときに密度
が4.0Mg/m(4.0g/cm)以上であり、かつ着磁性が良
好であるため(BH)maxが好ましくは27.9kJ/m(3.5MGO
e)以上、より好ましくは31.8kJ/m(4.0MGOe)以上、
特に好ましくは35.8kJ/m (4.5MGOe)以上であるR−
T−N系シート状ボンド磁石が得られ、このシート状ボ
ンド磁石は可撓性に富んでおり界磁磁石として回転機に
組込み、使用した状態で割れ難く、信頼性を高めること
ができる。(4)耐食性が良好である。(5)実用に耐える熱
減磁率を有する。
【0010】本発明に用いるR−T−N系磁粉は還元/
拡散法により作製されたR−T系母合金を用いて作製さ
れる。本発明に用いる磁粉の主要成分の組成限定理由を
以下に説明する。
【0011】R含有量は6〜15原子%が好ましく、7〜12
原子%がさらに好ましい。Rが6原子%未満ではiHcが低
下し、15原子%超では(BH)maxが大きく低下する。Rに
はSmおよびLaを必ず含み、さらにY、Ce、Pr、
Nd、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Y
b、Luのうちの1種または2種以上を含むことが許容
される。Smミッシュメタルやジジム等の2種以上の混
合希土類合金を用いてもよい。Rとして、好ましくはS
mおよびLaとY、Ce、Pr、Nd、Gd、Dy、E
rのうちの1種または2種以上との組み合わせ、さらに
好ましくはSmおよびLaとY、Ce、Pr、Ndのう
ちの1種または2種以上との組み合わせ、特に好ましく
は実質的にRがSmおよびLaからなる場合である。S
mおよびLaの合計量でいえば、iHc≧397.9kA/m(5kO
e)を実現するために、Rに占めるSmおよびLaの合
計の含有量比率を50原子%以上、さらには70原子%以上
とすることがよい。なお、Rには、製造上混入が避けら
れないO、H、C、Al、Si、Na、Mg、Ca等の
不可避不純物を合計で10原子%以下含有することが許容
される。
【0012】窒素含有量は4〜30原子%が好ましく、10
〜20原子%がより好ましい。窒素含有量が4原子%未満
および30原子%超ではiHc、(BH)maxが大きく低下する。
【0013】本発明に用いる磁粉の磁気特性または耐食
性を向上するためにM元素(MはAl、Ti、V、C
r、Mn、Cu、Ga、Zr、Nb、Mo、Hf、T
a、W、Znの1種または2種以上である)を0.5〜10
原子%、より好ましくは1〜6原子%、特に好ましくは1
〜4原子%、含有してもよい。しかし、M元素が10原子
%超ではThMn12型のSm(Fe、M)12相が
生成して磁気特性が低下し、M元素が0.5原子%未満で
は添加効果が認められない。なお、M元素の含有量が5
原子%以上のときに硬質磁性相がThZn17型構造
の菱面体晶およびTh Ni17型構造の六方晶の混晶
となる場合がある。
【0014】本発明に用いる磁粉の磁気特性または耐食
性を向上するためにBを0.1〜4原子%含有してもよい。
しかし、B含有量が0.1原子%未満では添加効果が認め
られず、4原子%超ではiHc、(BH)maxが大きく低下す
る。
【0015】Feの0.5〜30原子%をCoで置換するこ
とによりキュリー温度、iHcの温度係数および耐食性が
向上する。より好ましい置換量は1〜20原子%である。
Coによる置換量が30原子%超ではiHc、(BH)maxが顕著
に低下し、0.5原子%未満では添加効果が認められな
い。また、Feの一部を10原子%以下のNiで置換する
ことにより耐食性が向上する。
【0016】本発明に用いる R−T−N系磁粉の好ま
しい製造条件を以下に説明する。まず、Rの酸化物とF
eまたはFeの酸化物とを、上記R−T−N系磁粉に対
応したR−T系母合金の主要成分組成に配合する。さら
にRの酸化物および必要に応じてFeの酸化物が化学反
応式上100%還元される量(これを化学量論的必要量と
いう)の0.5〜2倍に相当する量の還元剤(Ca、Mg、
CaH、MgHの1種または2種以上)を前記配合
物に添加後、混合する。続いて、混合物を不活性ガス雰
囲気中で1000〜1300℃×1〜20時間加熱してRの酸化物
等を還元し、続いて還元したRとFeとを十分に相互拡
散させた後室温まで冷却する。還元剤の添加量が化学量
論的必要量の0.5倍未満では工業生産上有益な還元反応
が実現されず、2倍超では最終的に磁粉に残留する還元
剤が増大して磁気特性の低下を招く。また、不活性ガス
雰囲気中での加熱温度が1000℃×1時間未満では工業生
産上有益な還元/拡散反応が進行せず、1300℃×20時間
超では還元/拡散反応炉の劣化が顕著になる。次に、反
応物を洗浄液中に投入してCaO等の反応副生成物を洗
い流した後、脱水および真空乾燥を行って還元/拡散法
により作製したR−T系母合金が得られる。次に、前記
R−T系母合金を、窒素を含まない不活性ガス雰囲気中
で1010〜1280℃×1〜40時間加熱する均質化熱処理を行
い、αFeおよび他の偏析相を固溶させた後、室温まで
冷却する。均質化熱処理の条件が1010℃×1時間未満で
はαFeおよび他の偏析相の固溶が進まず、1280℃×40
時間超では均質化熱処理の効果が飽和し、Sm等の蒸発
による組成ずれが顕著になる。こうして得られたR−T
系母合金は、Ca含有量が好ましくは0.4重量%以下、
より好ましくは0.2重量%以下、特に好ましくは0.1重量
%以下であり、酸素含有量が好ましくは0.8重量%以
下、より好ましくは0.4重量%以下、特に好ましくは0.2
重量%以下であり、炭素含有量が好ましくは0.3重量%
以下、より好ましくは0.2重量%以下、特に好ましくは
0.1重量%以下のものである。次に、1.0×10Pa〜1.0
×10Pa (0.1〜10atm)の水素ガス中または水素ガス
分圧を有する不活性ガス(窒素ガスを除く)中で675〜9
00℃×0.5〜8時間加熱する水素化・分解反応処理と、続
いて1.3Pa(1×10−2Torr)以下の高真空中で700〜900
℃×0.5〜10時間加熱する脱水素・再結合反応処理とを
行う。水素化・分解反応により母合金を希土類元素Rの
水素化物RHx相などに分解する。続いて、脱水素・再
結合反応により、母合金相に再結合させて平均結晶粒径
が0.01〜1μmの微細な再結晶粒からなる母合金を得る。
個々の再結晶粒子はランダムに配向する。水素化・分解
反応の水素分圧が1.0×10Pa(0.1atm)未満では分解
反応が起こらず、1.0×10Pa (10atm)超では真空排
気設備の大型化、コスト増を招く。よって水素分圧は1.
0×10〜1.0×10Pa (0.1〜10atm)が好ましく、5.0
×10〜5.0×105Pa (0.5〜5atm)がより好ましい。水
素化・分解反応の加熱条件が675℃(ほぼ水素化分解下
限温度相当)×0.5時間未満では母合金が水素を吸収す
るのみでRHx相などへの分解が起こらず、900℃×8時
間超では脱水素後の母合金が粗大粒化し、シート状ボン
ド磁石のiHcが大きく低下する。よって、水素化・分解
反応の加熱条件は675〜900℃×0.5〜8時間が好ましく、
675〜800℃×0.5〜8時間がより好ましい。脱水素・再結
合反応の水素分圧が1.3Pa(1×10−2Torr)よりも低真
空では処理に長時間を要し、1.3×10−4Pa (1×10
Torr)よりも高真空とすると真空排気装置の大型化、
コスト増を招く。脱水素・再結合反応の加熱条件が700
℃×0.5時間未満ではRHx等の分解が進行せず、900℃
×10時間超では再結晶組織が粗大粒化してiHcが大きく
低下する。よって、平均再結晶粒径を0.01〜1μmとする
ために、脱水素・再結合反応の加熱条件は700〜900℃×
0.5〜10時間が好ましく、725〜875℃×0.5〜10時間がよ
り好ましい。次に必要に応じて粉砕を行い、その後窒化
処理を行うことにより本発明に用いる磁粉が得られる。
窒化前に必要に応じて分級または篩分して粒径分布を調
整することが均一な窒化組織を実現し、かつシート状ボ
ンド磁石の成形容易性および密度を向上するために好ま
しい。窒化は、2.0×10〜1.0×10Pa (0.2〜10at
m)の窒素ガス、水素が1〜95モル%で残部が窒素からな
る(水素+窒素)の混合ガス、NHのモル%が1〜50
%で残部水素からなる(NH+水素)の混合ガスのい
ずれかの雰囲気中で300〜650℃×0.1〜30時間加熱する
ガス窒化が実用性に富んでいる。ガス窒化の加熱条件は
300〜650℃×0.1〜30時間が好ましく、400〜550℃×0.5
〜20時間がより好ましい。300℃×0.1時間未満では窒化
が進行せず、650℃×30時間超では逆にRN相を生成しi
Hcが低下する。窒化における窒素単独ガスまたは窒素含
有ガスの圧力は2.0×10〜1.0×10Pa (0.2〜10at
m)が好ましく、5.0×10〜5.0×10Pa (0.5〜5at
m)がより好ましい。2.0×10Pa(0.2atm)未満では窒
化反応が非常に遅くなり、1.0×10Pa (10atm)超で
は高圧ガス設備の大型化、コスト増を招く。窒化後に、
真空中あるいは不活性ガス中(窒素ガスを除く)で300
〜600℃×0.5〜50時間の熱処理を行うとiHcをさらに高
められる場合がある。こうして得られたR−T−N系磁
粉には0.01〜10原子%の水素の含有が許容される。
【0017】本発明に用いるR−T−N系磁粉の平均粒
径は、好ましくは2〜150μm、より好ましくは5〜100μ
m、特に好ましくは10〜50μmにすることがよく、かつシ
ート状ボンド磁石の厚み寸法よりも磁粉の最大粒径が小
さくなるように粒径分布を調整することが重要である。
平均粒径が2μm未満では酸化が顕著になり(BH)maxが大
きく劣化し、平均粒径が150μm超では表面性が悪化して
磁気回路のギャップの小さい用途に適用できない場合が
ある。
【0018】本発明に用いる磁粉の主相を構成する2-17
型結晶構造の硬質磁性相の平均結晶粒径が、好ましくは
0.01〜1μm、より好ましくは0.01〜0.4μm、特に好まし
くは0.01〜0.3μmのときに有用な磁気特性および可撓性
が得られる。工業生産上、還元/拡散法を用いて平均結
晶粒径が0.01μm未満の磁粉を製造することは困難であ
り、1μm超ではiHcが大きく低下する。硬質磁性相、α
Feの同定および面積比率の算出は、電子顕微鏡および
光学顕微鏡により撮影した断面組織写真、電子回折結果
ならびにX線回折結果等を考慮して求める。例えば、対
象とするR−T−N系磁粉粒子の断面を撮影した透過型
電子顕微鏡写真およびその断面組織の同定結果を符合さ
せて求めることができる。
【0019】前記R−T−N系磁粉とバインダーとを混
練してコンパウンドを作製後、例えば押出成形法、ロー
ル圧延法、カレンダー成形法、圧縮成形法、射出成形法
または押出成形法とロール圧延法とを組み合わせた成形
方法によりシート状のボンド磁石を成形する。成形後、
成形体に含有する水分およびガスを除去するために、大
気中または不活性ガス雰囲気中で50〜100℃で5〜20時間
加熱する熱処理を行うことがよい。また、シート状ボン
ド磁石の可撓性(耐割れ性)を高めるために、大気中ま
たは不活性ガス雰囲気中で100〜200℃で1〜20時間加熱
する熱処理を行うことがよい。また、バインダーが熱硬
化性樹脂の場合は、前記熱処理に替えて、成形体の加熱
硬化のために、大気中または不活性ガス雰囲気中で100
〜200℃で1〜10時間加熱することが好ましい。
【0020】本発明に用いるシート状ボンド磁石のバイ
ンダーとして熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、ゴム材料ま
たは上記R−T−N系磁粉のキュリー温度よりも低い融
点を持つ金属(合金)を用いることができる。このう
ち、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂またはゴム材料をバイ
ンダーとするのが実用性に富んでいる。熱可塑性樹脂と
して、ポリアミド樹脂(ナイロン6、ナイロン66、ナ
イロン11またはナイロン12等)、ポリフェニレンサ
ルファイド樹脂、液晶ポリマー樹脂、熱可塑性ポリイミ
ド樹脂またはエチレン−エチルアクリレート共重合体樹
脂等が挙げられる。ゴム材料として、天然ゴム、イソプ
レンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴ
ム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ニトリル
ゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、クロロプレンゴム
またはハイパロン等が挙げられる。熱硬化性樹脂とし
て、エポキシ樹脂またはフェノール樹脂等が挙げられ
る。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、実施例により本発明を詳し
く説明するが、それらの実施例により本発明が限定され
るものではない。 (実施例1) [シート状ボンド磁石の作製]純度99.9%以上のSmの
酸化物、Laの酸化物およびFeを用いて、原子%で
Sm7.4La0.7Febal.12.5 で示さ
れる磁粉組成に対応するSm−La−Fe系母合金の主
要成分組成に配合した。続いて、前記配合物におけるS
mおよびLaの酸化物が化学反応式上100%還元される
量の1.2倍の金属Caを前記配合物に添加したものを不
活性ガス雰囲気に保持した混合機に投入して混合した。
次に、混合物を還元/拡散反応炉に入炉後、Arガス雰
囲気中で1200℃×4時間加熱後室温まで冷却した。こう
して得られた反応生成物を粗粉砕後、32メッシュアンタ゛ーに篩
分した。次いで、32メッシュアンタ゛ーの反応生成物を、所定の
洗浄槽の洗浄液中に投入して洗浄後、続いて遠心分離器
で脱水した。次に、室温のデシケータ内で約66.5Pa(0.
5Torr)×2時間の真空乾燥を行い、還元/拡散法による
R−T系母合金を得た。次に、前記R−T系母合金をA
rガス雰囲気に保持した雰囲気制御炉に入炉後、1250℃
×5時間加熱後、室温まで冷却する均質化熱処理を行っ
た。次に、均質化熱処理済みの前記母合金を1.0×10P
a(1atm)の水素ガス雰囲気中で700℃で1時間加熱する
水素化・分解反応処理を行った。続いて水素分圧(真空
中)6.7〜10.6Pa(5〜8×10−2Torr)で800℃で1.5時
間加熱する脱水素・再結合反応処理を行った。次に、A
rガス雰囲気中でジョークラッシャーおよびディスクミ
ルを用いて粉砕後、125μmアンタ゛ーに篩分した。次に、篩
分粉末を1.0×10Pa(1atm)の窒化ガス雰囲気中で450
℃×10時間加熱する窒化を行い、室温まで冷却した。そ
の後、Arガス気流中で400℃×30分間熱処理して磁粉
を得た。この磁粉の平均粒径をSympatec社製レーザー回
折型粒径分布測定装置(ヘロス・ロードス)により測定
したところ20μmであった。また、磁粉を分析したとこ
ろ、上記の磁粉組成になっており、酸素含有量は0.18重
量%、炭素含有量は0.06重量%、Ca含有量は0.04重量
%であった。次に、この磁粉粒子の形態を走査型電子顕
微鏡で撮影した写真を図8(a)に示す。図8(a)から、丸
みを帯びた粒子形態を呈していることがわかる。次に、
前記磁粉を樹脂に埋め込み、透過型電子顕微鏡により、
研磨した磁粉粒子断面の任意の10視野について断面組織
を撮影した。またこの10視野の電子回折を行い結晶構造
を同定した。その結果、ThZn17型結晶構造の菱
面体晶の硬質磁性相のみからなる磁粉粒子と、Th
17型結晶構造の菱面体晶の硬質磁性相とごく少量の
αFeとからなる磁粉粒子とが観察された。これら磁粉
のαFeの発生量は面積比率の平均値で1%未満であり
少なかった。また、前記硬質磁性相の平均結晶粒径は0.
21μmであった。次に、前記磁粉:93.5重量部、天然ゴ
ム:2.5重量部、ニトリルゴム:2.0重量部、塩素化ポリ
エチレン:1.94重量部、ビスフェノール型エポキシ樹
脂:0.05重量部およびステアリン酸カルシウム:0.01重
量部を配合後、加熱加圧型ニーダーにより混練した。続
いてこの混練物を図7の加熱した押出装置20に投入して
押出し、排出口21からX1方向に押出された混練物22を大
気中の50℃に保持した圧延ローラー24,24の間に通して
圧延し、厚さ1mm、幅100mmのシート状成形体1’を得
た。次いで、そのシート状成形体を厚み1mm、幅12mm、
長さ88mmに切断した。その後、水分等を除去するために
大気中で50℃x10時間加熱する熱処理を行った。続いて
大気中で加硫処理(150℃x2時間)を行い、シート状ボ
ンド磁石を得た。このシート状ボンド磁石を室温(25
℃)、1989.5kA/m(25kOe)で着磁して磁気特性および
密度を測定したところ、(BH)max=31.8kJ/m(4.0MGO
e)、iHc=748.1kA/m(9.4kOe)、密度5.1Mg/m(g/cm
)が得られた。次に、前記シート状ボンド磁石の着磁
磁界強度と(BH)maxとの関係を室温(25℃)で測定し
た。結果を図2に示す。図2より、良好な着磁性を有す
ることがわかる。次に、前記シート状ボンド磁石を所定
形状に切断後、積層してパーミアンス係数(Pc)=2
の試料を作製した。次に、各試料をそれぞれ室温(25
℃)で磁気特性が飽和する条件で着磁後、サーチコイル
とデジタル磁束計とを用いて開放磁束量(Φ1)を測定
した。続いて大気中で100℃×1〜300時間加熱後室温ま
で冷却する大気中加熱試験を行った。次に、大気中加熱
試験後の各試料の開放磁束量(Φ2)を測定して、下記
式により不可逆減磁率を求めた。 不可逆減磁率=[(Φ1−Φ2)/Φ1]×100(%) Φ1:大気中加熱試験前の室温における開放磁束量(kMx
T) Φ2:大気中加熱試験後の室温における開放磁束量(kMx
T) 不可逆減磁率の測定結果を図3に示す。図3より、実用
に耐える不可逆減磁率を有することがわかる。 [回転機の作製および評価]以下に、前記シート状ボン
ド磁石を用いて図1のファンモータ10を作製し、評価し
た結果を説明する。図1(a)は本発明のファンモータ
の一例を示す要部正面図であり、(b)は(a)の裏側
から見た図である。図1(a)において、1は前記シー
ト状ボンド磁石を1巻きして形成したリング状の界磁磁
石(外径28.0mm)であり、リング状の強磁性体ヨーク2
(SS400等)の内周面側に接着剤により固定されてい
る。1aは界磁磁石1の継ぎ目であり、界磁磁石1の内周
面側に対称4極の磁極1bが形成してある。3はファンモー
タ10の回転軸であり、軸受6を介して回転軸3(回転子
7)が所定の速度で回転するようになっている。回転軸3
とヨーク2とは同軸に配置してあり、ガラス入りポリブ
チレンテレフタレート樹脂製の射出成形部材4により一
体に抱持固定されている。保持部材4はファン4a、リム4
b、スポーク4cおよび背面部4dからなり、回転子7に実用
に耐える強度を付与している。界磁磁石1の着磁は、回
転子7を所定の着磁機の着磁ゾーン(図示省略)に配置
後、界磁磁石1の磁気特性が飽和する条件で行えるので
工業生産効率の向上に寄与するものである。エアギャッ
プ9を介して回転子7と固定子(電機子)8とが対向して
配置してある。固定子8の外周面側に固定子磁極(対称4
極)が形成してあり、ファンモータ駆動制御回路(図示
省略)からの矩形波通電(電気角で180度通電)信号を
受けてファン4aが効率よく回転する。次に、前記回転子
7において、界磁磁石1の内径面周方向における表面磁束
密度分布を測定した結果を図4に示す。次に、前記回転
子7を組み込んだファンモータ10を送風ファンに搭載
後、1ヶ月間連続運転した。連続運転後の界磁磁石1に
は割れまたはクラックは認められず正常な外観を呈して
いた。また、この連続運転によるファンモータ10の性能
劣化は認められなかった。
【0022】(実施例2) [シート状ボンド磁石の作製]純度99.9%以上のSmの
酸化物、Laの酸化物およびFeを用いて、表1に示す
4種類の磁粉組成に対応するSm−La−Fe系母合金
の主要成分組成に各々配合した。以降はそれぞれの配合
物を用いた以外は実施例1と同様にして表1に示す組成
の磁粉を作製した。これらの磁粉はいずれもThZn
17型結晶構造の菱面体晶の硬質磁性相のみからなる磁
粉粒子と、ThZn17型結晶構造の菱面体晶の硬質
磁性相とごく少量のαFeとからなる磁粉粒子とが混在
したものであり、αFeは面積比率の平均値で1%未満
と非常に少なかった。また、前記硬質磁性相の平均結晶
粒径は0.20〜0.30μmの範囲にあった。またいずれの磁
粉も、酸素含有量は0.20重量%未満、炭素含有量は0.10
重量%未満、Ca含有量は0.10重量%未満であった。次
に、表1の各磁粉をそれぞれ用いた以外は実施例1と同
様にしてシート状ボンド磁石を作製した。得られた各シ
ート状ボンド磁石を室温(25℃)、1989.5kA/m(25kO
e)で着磁して磁気特性を測定した。結果を表1に示
す。また、密度は5.0〜5.1Mg/m(g/cm)であった。 (従来例1、比較例1)純度99.9%以上のSmの酸化
物、Laの酸化物およびFeを用いて、表1に示す磁粉
組成に対応した母合金の主要成分組成に各々配合した。
以降は実施例1と同様にして表1に示す組成の磁粉を作
製した。続いて作製した磁粉を用いてそれぞれシート状
ボンド磁石を作製後、室温(25℃)、1989.5kA/m(25kO
e)で着磁して磁気特性を測定した。結果を表1に示
す。次に、従来例1(La=0)および比較例1(La
=3.0原子%)の各シート状ボンド磁石の着磁磁界強度
と(BH)maxとの関係を室温(25℃)で測定した。結果を
図2に示す。図2より、いずれも実施例1に比べて着磁
性が悪いことがわかる。次に、従来例1および比較例1
の各シート状ボンド磁石をそれぞれ所定形状に切断した
後、積層してパーミアンス係数(Pc)=2 の試料を作
製し、不可逆下減磁率を求めた。結果を図3に示す。図
3より、実施例1は従来例1と同等の不可逆減磁率を有
することがわかる。
【0023】
【表1】
【0024】(実施例3)次に、図1のファンモータ10
の回転子7を構成する場合に、シート状ボンド磁石の厚
み寸法と、このシート状ボンド磁石を1巻回して形成し
た界磁磁石1を固着するヨーク2の内径寸法とを、各々変
化したとき、ヨーク2に固着されたシート状ボンド磁石
が割れるか否かを検討した。結果を以下に説明する。実
施例1の磁粉を用いて厚み寸法を変化させた以外は実施
例1と同様にして厚さが0.05〜5.0mm、幅100mmのシート
状成形体を作製後、所定形状に切断した。続いて熱処理
および加硫処理を施した。このシート状成形体の密度は
5.0〜5.2Mg/m(g/cm)であった。なお、厚みが0.05
mm未満のものは工業生産上圧延して作製することが困難
であり、5mm超のものは割れが顕著に発生するため、検
討範囲から除外した。次に、各厚みの所定形状に形成さ
れた切断品をそれぞれ用いて図1の界磁磁石1のリング
形状に1巻き後、内径寸法が1.0〜100.0mmでリング形状
の強磁性体ヨーク2の内周面に接着した試料を作製し
た。この接着試料は表2に示す(各シート厚み)×(各
ヨーク2の内径)寸法毎に20個ずつ準備した。次に、各
接着試料を室温の大気中で1ヶ月間放置後、割れおよび
クラックの発生の有無を調べた。調査結果を表2に示
す。なお、表2のヨーク2の内径寸法がほぼリング状界
磁磁石1の外径寸法である。表2より、シート状ボンド
磁石の厚みが厚いほど、ヨーク2の内径寸法が小さいほ
ど、割れまたはクラックを発生しやすいことがわかっ
た。
【0025】
【表2】
【0026】(比較例2)実施例1の磁粉組成に対応し
た主要成分組成に調整したSm−La−Fe系母合金の
溶湯を、周速を50m/秒とした冷却用ロールにより急冷
凝固し、平均厚み約19μmの母合金フレークを得た。次
に、このフレークをArガス雰囲気中で720℃で0.5時間
加熱後、室温まで冷却した。次に、Arガス雰囲気中で
軽く粗砕した。次に、1.0×10Pa(1atm)の窒素ガス
中で450℃×5時間加熱する窒化処理を施し、その後冷却
した。次に、Arガス気流中で400℃×30分間熱処理
後、室温まで冷却して窒化磁粉を得た。この磁粉粒子を
走査型電子顕微鏡で撮影した写真を図8(b)に示す。次
に、この磁粉を用いた以外は実施例3と同様にして厚さ
が0.05〜5.0mm、幅100mmのシート状成形体を作製した。
続いて、所定形状に切断後、熱処理および加硫処理を施
した。以降は、前記各切断品を用いた以外は実施例3と
同様にして、ヨーク2の内周面にそれぞれ接着して接着
試料を作製した。続いて、室温の大気中で1ヶ月間放置
後、各接着試料に固着したシート状ボンド磁石の割れお
よびクラックの発生の有無を調べた。その結果を表3に
示す。表3より、検討した(シート厚み)×(ヨーク2
の内径)寸法のいずれの組み合わせでも割れまたはクラ
ックが観察された。
【0027】
【表3】
【0028】表2、3の比較から、比較例2のシート状
ボンド磁石に比べて、実施例3のシート状ボンド磁石は
ヨーク2に固着したときの可撓性(耐割れ性)に富んだ
ものであり、信頼性の高いファンモータを構成できるこ
とがわかる。これは、実施例3のシート状ボンド磁石を
構成する磁粉が図8(a)に示す通り丸みを帯びた不定形
塊状であるのに対し、比較例2のシート状ボンド磁石を
構成する磁粉が図8(b)に示されるように厚み20μm未満
の非常に薄い偏平板状であることによると判断される。
上記接着試料の割れ発生品について、その割れた破面を
走査型電子顕微鏡により観察した。その結果、実施例3
の接着試料の破面では磁粉粒子が破壊しているものは観
察されなかったが、比較例2の接着試料の破面では扁平
な磁粉粒子がほぼ厚み方向に折れて破壊しているものが
多く観察された。このことから、実施例3のシート状ボ
ンド磁石では、模式図の図9(a)に示すように、バイン
ダーに結着された状態の塊状粒子に応力σが作用しても
ほぼ等方位の強度を示すため、良好な可撓性を示すと判
断される。これに対し、比較例2の割れを発生したシー
ト状ボンド磁石では、図9(b)に示すように、バインダ
ーで結着された状態の扁平粒子に応力σが作用すると最
も薄い厚み方向の強度が弱いので優先的に厚み方向に折
れて破壊し、可撓性(耐割れ性)を劣化させていると判
断される。
【0029】(従来例2)実施例1の窒化磁粉に替え
て、MQI(マク゛ネクエンチインターナショナル)社製のNd−Fe−B系
磁石粉末(MQP-B材)を磁粉に用いた以外は、実施例1
と同様にして厚み1mm、密度が5.3Mg/m(5.3g/cm
のシート状ボンド磁石を作製した。しかし、このシート
状ボンド磁石を1巻きしたものをヨーク2に固着した時
点でNd−Fe−B系シート状ボンド磁石にクラックが
入り、回転子7を構成できなかった。 (従来例3)日立金属(株)製のラジアル異方性フェラ
イト焼結リング磁石(商品名:YBM-4B、外径28.0mm、厚
み1.0mm)を界磁磁石1として、図1のファンモータ10を
作製した。この回転子7において、対称4極着磁した前記
フェライト焼結リング磁石の内径面周方向の表面磁束密
度分布を測定した結果を図4に示す。この表面磁束密度
分布は実施例1に比べて低かった。
【0030】(実施例4)図5は、本発明の回転機に用
いる界磁磁石として上記シート状ボンド磁石を1巻きし
たものを用いる場合に、その巻回したシート状ボンド磁
石の継ぎ目および継ぎ目に沿う磁極の構成例を示す斜視
図である。図5(a)は、リング状界磁磁石30の継ぎ目31
(磁極境界)が界磁磁石30の軸方向に平行な場合であ
る。図5(b)は、リング状界磁磁石40の継ぎ目(磁極境
界)41が界磁磁石40の軸方向X2に対して角度θ(0<θ
<90度)をなして形成され、かつ継ぎ目41に平行に4磁
極を形成した例である。図5(b)の構成はコギングトル
クの低減に効果がある。図5(c)は、リング状界磁磁石5
0の継ぎ目(磁極境界)51が、軸方向X3に対して角度θ
(0<θ<90度)をなす部分51aと、軸方向X3に垂直な
部分51bとを有するようにし、かつこの継ぎ目51に沿っ
て4磁極を形成した例である。この構成ではコギングト
ルクを抑制し、回転機の出力を向上できるという効果が
得られる。図5(d)は、リング状界磁磁石60の継ぎ目に
相当する部分にすきま61を形成した例である。この状態
でヨークに固着されたシート状ボンド磁石62は熱応力に
対して割れにくくなるという効果を得られる。図5(a)
〜(d)の界磁磁石30〜60のいずれも、各種磁石応用製品
分野において多用される種々の回転機の回転子を構成す
る回転子部材(ヨーク等)の内周側または外周側に接着
することは自在である。
【0031】(実施例5)図6は本発明に用いる回転子
の他の構成を示す要部断面図である。図6(a)は、強磁
性体ヨーク72の内周側に等間隔のすきま73を介して本発
明に用いるシート状ボンド磁石71を接着してなるアウタ
ーロータ型の回転子70である。図6(b)は、強磁性体か
らなる回転子コア82の外周側に、本発明に用いるシート
状ボンド磁石を1巻きして形成した界磁磁石81を接着し
てなるインナーロータ型の回転子80である。図6(c)
は、強磁性体からなる回転子コア92の外周側に等間隔の
すきま93を介して本発明に用いるシート状ボンド磁石91
を接着してなるインナーロータ型の回転子90である。
【0032】特に限定されないが、界磁磁石の磁極は好
ましくは2〜100極、より好ましくは4〜16極が有用であ
り、界磁磁石の内径面または外径面の周方向に等間隔ま
たは不均一な間隔で形成することができる。また、特に
限定されないが、巻回してリング状の界磁磁石を構成す
る場合(図6(a)または(c)の場合を含む)、実用上、界
磁磁石の外径または内径は0.5〜200mmが好ましく、1〜1
00mmがより好ましい。また、シート状ボンドを巻回して
リング状の界磁磁石を構成するために2巻き以上に積層
してもよい。また、上記実施例では回転子にシート状ボ
ンド磁石を配置した場合を記載したが、シート状ボンド
磁石を固定子側に配置して回転機を構成してもよい。
【0033】上記実施例ではファンモータの場合を示し
たが、上記シート状ボンド磁石を用いたブラシレス(D
C)モータあるいはブラシモータは信頼性の高い有用な
ものである。
【0034】上記実施例では回転機の場合を記載した
が、上記シート状ボンド磁石を界磁磁石に用いた発電機
は信頼性の高い有用なものである。
【0035】本発明に用いるシート状ボンド磁石を構成
する磁粉とバインダーとの比率は特に限定されないが、
成形性、磁気特性および可撓性の点から、前記シート状
ボンド磁石の密度を、好ましくは4.0〜5.6M g/m(g/c
m)、より好ましくは4.2〜5.6M g/m(g/cm)、特
に好ましくは4.5〜5.6M g/m(g/cm)になるように
適宜調整する。また、本発明に用いるシート状ボンド磁
石の可撓性、成形性および耐酸化性を高めるために、公
知の表面改質剤(シラン系カップリング剤等)、潤滑
剤、充填剤または酸化防止剤を合計で2重量%以下添加
してもよい。また、耐食性を向上するために、シート状
ボンド磁石の表面に平均膜厚で0.5〜10μmの耐食性皮膜
(エポキシ樹脂塗装等)を施して耐食性を高めてもよ
い。耐食性皮膜の平均膜厚が0.5μm未満では耐食性が高
められず、10μm超では耐食性の付与効果が飽和する。
【0036】上記実施例では金属Caを還元剤に用いた
場合を記載したが、本発明はこれに限定されず、Mg、
CaHまたはMgHを還元剤に用いた場合でも上記
実施例と同様の効果を得ることができる。なお、この場
合の許容される還元剤(MgまたはCa+Mg)の残留
量は好ましくは0.4重量%以下、より好ましくは0.2重量
%以下、特に好ましくは0.1重量%以下である。
【0037】
【発明の効果】αFeが非常に少ない2-17型で微結晶組
織の硬質磁性相から実質的になる、還元/拡散法を用い
て作製された(Sm、La)−T−N系磁粉を配合して
形成した、可撓性および着磁性に富んだシート状ボンド
磁石を界磁磁石に用いたことにより、従来のSm−Fe
−N系シート状ボンド磁石を用いた場合に比べて、信頼
性を向上した高性能の回転機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転機の一例を示す要部正面図(a)、
(a)の裏側から見た図(b)である。
【図2】本発明に用いるシート状ボンド磁石の着磁性の
一例を示す図である。
【図3】本発明に用いるシート状ボンド磁石の不可逆減
磁率の一例を示す図である。
【図4】本発明に用いる回転子の表面磁束密度分布の一
例を示す図である。
【図5】本発明に用いる界磁磁石の継ぎ目および磁極構
成を示す斜視図であり、(a)は継ぎ目部分が平行な場
合、(b)は継ぎ目部分が傾斜している場合、(c)は継ぎ目
部分が傾斜しかつ屈曲している場合、(d)は継ぎ目に相
当する部分が空間である場合、を示す図である。
【図6】本発明に用いる他の回転子の構成を示す要部断
面図であり、(a)アウターロータ型、(b)および (c)はそ
れぞれインナーロータ型、の一例を示す図である。
【図7】シート状ボンド磁石の製造に用いる成形装置の
一例を示す要部断面図である。
【図8】本発明に用いる磁粉を走査型電子顕微鏡で撮影
した写真(a)、比較例の磁粉を走査型電子顕微鏡で撮影
した写真(b)である。
【図9】図8(a)に対応する磁粉粒子の模式図(a)、図8
(b)に対応する磁粉粒子の模式図(b)である。
【符号の説明】
1,30,40,50,60,71,81,91 界磁磁石、1’ シート状成
形体、1a,31,41,51,51a,51b 継ぎ目、1b,33,43,53,63,
85 磁極、2,72 ヨーク、3,84,94 シャフト、4 保持
部材、4a ファン、4b リム、4c スポーク、4d 背面
部、6 軸受、7,70,80,90 回転子、8 電機子、9 エ
アギャップ、10 回転機、20 押出機 、21 排出口、
22 押出物、24 圧延ローラー、32,42,52,62 磁極境
界、61,73,93 すきま、82,92 回転子コア。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 増澤 正宏 埼玉県熊谷市三ヶ尻5200番地日立金属株式 会社磁性材料研究所内 Fターム(参考) 5E040 AA03 AA19 BB03 CA01 HB09 NN01 NN06 5H622 AA03 CA03 CA05 CA13 DD01 DD02 DD05 PP19 QB03

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 原子%でRα100−α−δδ(Rは
    Yを含む希土類元素の2種以上であってSmおよびLa
    を必ず含み、La含有量が0.05〜2原子%であり、Tは
    FeまたはFeとCoであり、6≦α≦15,4≦δ≦30で
    ある)で表される主要成分組成を有し、2-17型結晶構造
    を有する硬質磁性相を主相とする、還元/拡散法を用い
    て作製された磁気等方性の磁粉とバインダーとから構成
    されている、厚みが0.05〜5mmの可撓性に富んだシート
    状ボンド磁石を用いたことを特徴とする回転機。
  2. 【請求項2】 前記回転機がファンモータである請求項
    1に記載の回転機。
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